(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】刺激出力システム、および、刺激出力方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20241108BHJP
【FI】
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2021010988
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 益巳
(72)【発明者】
【氏名】八木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】倉地 敏明
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-167362(JP,A)
【文献】特開2004-290470(JP,A)
【文献】特開2019-121067(JP,A)
【文献】特開2015-115876(JP,A)
【文献】特開2007-193782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を検知するセンサと、
前記ユーザに感覚刺激を与える出力装置と、
前記出力装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記センサが検知した前記生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線との乖離の程度を判定し、前記乖離の程度に応じて、前記出力装置に、前記ユーザに前記感覚刺激を与えさせる、
刺激出力システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ユーザの睡眠中のデータを目的変数とし、前記ユーザの睡眠前と前記ユーザの睡眠後のデータとを説明変数とする機械学習モデルを用いて、前記生体情報を解析し、前記基礎データを算出する、
請求項1に記載の刺激出力システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記生体情報を線型回帰分析、ロジスティック回帰分析、および、決定木分析のうちのいずれかを用いて解析し、前記基礎データを算出する、
請求項1又は2に記載の刺激出力システム。
【請求項4】
前記出力装置は、照明器具である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項5】
ユーザの生体情報を検知するセンサと、
前記ユーザに感覚刺激を与える照明器具である出力装置と、
前記出力装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記センサが検知した前記生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、前記出力装置に、前
記ユーザに前記感覚刺激を与えさせ、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線とが、所定の値以上乖離していた場合、前記出力装置の照度を強める、
刺激出力システム。
【請求項6】
前記制御装置は、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線とが、所定の値以上乖離していない場合、前記出力装置の照度を変更しない、
請求項5に記載の刺激出力システム。
【請求項7】
前記出力装置は、空調装置である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項8】
前記出力装置は、音響装置である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項9】
前記出力装置は、照明器具、空調装置、および、音響装置のうちの複数である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項10】
前記センサは、前記ユーザが直立した姿勢において、前記ユーザの肩よりも下の位置で、前記ユーザに接触した状態で前記ユーザの前記生体情報を検知する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項11】
前記センサは、前記ユーザから離間した状態で、前記ユーザの前記生体情報を検知する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項12】
前記生体情報は、脳波、心拍数、前記ユーザの睡眠中の動作、汗、および、呼吸のそれぞれに関する情報のうちの少なくとも一つを含む、
請求項1~11のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項13】
前記生体情報が取得される周期は、24時間である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項14】
さらに、外部の環境に関するデータである外部環境データを取得する外部環境センサを備え、
前記制御装置は、前記外部環境センサが取得した外部環境データを解析する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項15】
前記外部環境データは、浴光量、気温、および、湿度のうち少なくとも1つを含む、
請求項14に記載の刺激出力システム。
【請求項16】
さらに、携帯端末を備え、
前記携帯端末が動作しているときに、前記センサが起動した場合、前記携帯端末と前記センサとは同期し、前記携帯端末と前記センサとが動作している間、前記携帯端末は、一定間隔毎に前記センサから前記生体情報を自動で取得、または、ユーザによる手動入力によって取得する、
請求項1~15のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項17】
前記センサは、動作していない場合、前記携帯端末と同期しない、
請求項16に記載の刺激出力システム。
【請求項18】
前記制御装置は、前記出力装置を制御するアルゴリズムを、外部から無線で取得して更新する、
請求項1~17のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項19】
前記制御装置は、前記センサが検知した前記ユーザの前記生体情報に基づいて、前記ユーザの睡眠のサイクルを示すサーカディアンリズムを算出し、
前記算出した前記ユーザの前記サーカディアンリズムと、AI(Artificial
Intelligence)を用いて生成した前記ユーザの前記睡眠についてのアドバイスを、前記ユーザに通知する、
請求項1~18のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項20】
ユーザの生体情報を検知するセンサと、
前記ユーザに感覚刺激を与える照明器具である出力装置と、
前記出力装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記センサが検知した前記生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、前記出力装置に、前記ユーザに前記感覚刺激を与えさせ、1日の浴光量の目標値に対する、対象となる日の浴光量の達成度であるルクスh達成度を算出し、可視化する、
刺激出力システム。
【請求項21】
前記制御装置は、前記ルクスh達成度と、前記ユーザの心拍数から算出される、前記ユーザの睡眠の質をあらわす睡眠スコアとを可視化する、
請求項20に記載の刺激出力システム。
【請求項22】
前記制御装置は、前記1日の浴光量の目標値と、前記ルクスh達成度との差を補うような光を、前記ユーザに対して、照明器具である前記出力装置に出力させる、
請求項20又は21に記載の刺激出力システム。
【請求項23】
制御装置が実行する刺激出力方法であって、
センサによって検知されたユーザの生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出するステップと、
対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線との乖離の程度を判定するステップと、
前記乖離の程度に応じて、出力装置に、前記ユーザ
に感覚刺激を与えさせるステップとを含む、
刺激出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、刺激出力システム、および、刺激出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象者の徐派活動を検知し生信号を出力する複数のセンサと、対象者に刺激を与える複数の刺激装置と、1つまたは複数のセンサと1つまたは複数の刺激装置と通信する1つまたは複数のハードウェアプロセッサとを備え、受信した生信号とフィルタ処理された生信号とのそれぞれから徐派の事象のタイミングを決定し、両者を比較することによって刺激を出力するタイミングを調整するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムでは、刺激の出力に際して、対象者の睡眠に関する情報は考慮されていなかった。また、従来のシステムでは、刺激の出力が聴覚刺激に限定されており、センサ等も専用の機器が用いられ汎用性が低いという課題があった。
【0005】
本開示は、汎用性の高い機器を用い、従来より豊富な種類の刺激による、対象者の睡眠に関する情報を反映した刺激出力を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る刺激出力システムは、ユーザの生体情報を検知するセンサと、前記ユーザに感覚刺激を与える出力装置と、前記出力装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記センサが検知した前記生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線との乖離の程度を判定し、前記乖離の程度に応じて、前記出力装置に、前記ユーザに前記感覚刺激を与えさせる。
【0007】
また、本開示の一態様に係る刺激出力方法は、制御装置が実行する刺激出力方法であって、センサによって検知されたユーザの生体情報を蓄積し、基礎データとして、蓄積した複数の前記生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出するステップと、対象となる前記生体情報と前記回帰直線とを比較した結果に基づいて、対象となる前記生体情報と、前記回帰直線との乖離の程度を判定するステップと、前記乖離の程度に応じて、出力装置に、前記ユーザに感覚刺激を与えさせるステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る刺激出力システム等は、汎用性の高い機器を用い、従来より豊富な種類の刺激による、対象者の睡眠に関する情報を反映した刺激出力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における刺激出力システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における刺激出力システムの動作を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態における刺激出力システムのセンサを表す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における刺激出力システムのセンサが取得する心拍数のデータの例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における刺激出力システムの行う回帰分析を用いた処理の動作を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態における刺激出力システムが行う心拍数データの回帰分析の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における刺激出力システムの出力装置の例を示す図である。
【
図8】
図8は、外出ありのときと、外出なしのときにおける心拍数を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態における刺激出力システムの照明制御の概略を示す図である。
【
図10】
図10は、太陽光と身体要因との関係を表す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態における刺激出力システムの制御装置が行う、照明装置の制御を表すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態における刺激出力システムの外部環境センサの例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態における刺激出力システムの携帯端末との同期について表す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態における刺激出力システムがアドバイスの通知を行う画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下に実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0011】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において、縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0012】
以下の実施の形態に係る刺激出力システム、および、刺激出力方法について説明する。
【0013】
(実施の形態)
[刺激出力システムの構成]
まず、刺激出力システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態における刺激出力システム1のブロック図である。
図1に示されるように、刺激出力システム1は、制御装置10、センサ20、出力装置30、外部環境センサ40および携帯端末50を備える。なお、刺激出力システム1は、外部環境センサ40および携帯端末50を備えなくてもよい。制御装置10は、取得部11、蓄積部12、算出部13、判定部14、出力部15および通知部16を備える。制御装置10は、蓄積部12、算出部13および判定部14の一連の処理によって、機械学習的な手法で、生体情報を解析し、出力装置30に刺激を出力させる。なお、制御装置10は、通知部16を備えなくてもよい。
【0014】
また、センサ20は、心拍計21、脳波計22、加速度センサ23および汗センサ24を備える。なお、センサ20は、心拍計21、脳波計22、加速度センサ23および汗センサ24のうちのいずれかを備えていればよく、必ずしもすべてを備えていなくてもよい。
【0015】
また、出力装置30は、照明器具31、空調装置32および音響装置33を備える。なお、出力装置30は、照明器具31、空調装置32および音響装置33のうちのいずれかを備えていればよく、必ずしもすべてを備えていなくてもよい。出力装置30は、照明器具31、空調装置32および音響装置33のうちのいずれか2つを備えていてもよい。
【0016】
外部環境センサ40は、照度計41、温度計42および湿度計43を備える。なお、外部環境センサ40は、照度計41、温度計42および湿度計43のうちのいずれかを備えていればよく、必ずしもすべてを備えなくてもよい。
【0017】
制御装置10は、CPU等のプロセッサおよびメモリで実現される。制御装置10は、出力装置30の刺激出力を制御する。また、制御装置10は、センサ20からの生体情報を示す信号を受信して蓄積し、蓄積した生体情報を解析する。加えて、制御装置10は、生体情報を解析した結果をユーザに通知する。
【0018】
取得部11は、センサ20から送信された生体情報、および、外部環境センサ40から送信された外部環境データを取得する。
【0019】
蓄積部12は、取得部11が取得した生体情報を記憶して蓄積する。蓄積部12は、さらに、取得部11が取得した外部環境データを記憶して蓄積してもよい。
【0020】
算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析して、基礎データを算出する。ここで、解析の手法は、例えば、回帰分析等である。算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報に関するデータに対して、回帰分析またはその他の機械学習を用いた解析を行ってもよい。算出部13が算出する基礎データは、例えば、蓄積部12が蓄積した生体情報を回帰分析して得られる回帰直線である。基礎データは、蓄積部12が蓄積した生体情報に対して数理解析を行って得られる結果でもよい。
【0021】
判定部14は、対象となる生体情報と、基礎データとから、対象となる生体情報が基準を満たしているか否かを判定する。例えば、判定部14は、対象となる生体情報と、基礎データであり、蓄積部12が蓄積した生体情報を回帰分析して得られた回帰直線とを比較し、対象となる生体情報と回帰直線との乖離の程度を判定する。ここで、対象となる生体情報とは、判定の対象となる1つの生体情報を示す。対象となる生体情報は、蓄積部12が蓄積した生体情報に含まれる1つの生体情報でもよいし、蓄積部12が蓄積した生体情報に含まれず、センサ20が検知した生体情報でもよい。
【0022】
出力部15は、出力装置30に、ユーザに対して感覚刺激を与えさせる。出力部15は、判定部14の結果に応じて、出力装置30に、ユーザに対して感覚刺激を与えさせてもよい。
【0023】
通知部16は、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果、または、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果から導出されたユーザの睡眠に関するアドバイスを、ユーザに通知する。通知部16は、ディスプレイに蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果、または、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果から導出されたユーザの睡眠に関するアドバイスを表示させてもよいし、スマートフォンまたはタブレット端末等の携帯端末に蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果、または、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果から導出されたユーザの睡眠に関するアドバイスを表示させてもよい。また、通知部16は、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果、または、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析した結果から導出されたユーザの睡眠に関するアドバイスをスピーカ等に音声で通知させてもよい。
【0024】
センサ20は、ユーザの生体情報を検知し、検知した信号を制御装置10の取得部11に送信する。
【0025】
心拍計21は、ユーザの脈波を検知する。心拍計21は、具体的には、光電脈波法を用いて脈波を検知する脈波センサである。光電脈波法は、赤外光または赤色光(反射型の場合は緑色光も使用可能)を体表面に照射し、体内を透過する光の変化量または体内で反射する光の変化量を、血流量の変化としてとらえる脈波の検知方法である。心拍計21は、例えば、ユーザの耳たぶ付近を対象として脈波を検知し、脈波データを出力する。
【0026】
脳波計22は、ユーザの脳波を検知する。脳波計22は、具体的には、ユーザの耳上部(言い換えれば、側頭部)に接する第1の電極と、ユーザの耳たぶに接する第2電極との間の電圧値を検知して脳波データとして出力する回路である。なお、第1の電極および第2の電極の位置は一例であり、特に限定されない。
【0027】
加速度センサ23は、例えば、3軸加速度センサであり、X、Y、Z軸の各方向の加速度を検知し、検知結果を加速度データとして出力する。加速度データは、ユーザが静止状態であるか否かの判定に用いられる。加速度センサ23は、ピエゾ抵抗型の加速度センサであってもよいし、静電容量型の加速度センサであってもよいし、熱検知型の加速度センサであってもよい。
【0028】
汗センサ24は、汗センサ24を装着したユーザの発汗量を測定するセンサである。汗センサ24は、例えば、内蔵する湿度計によって外気の湿度を検出する。加えて、汗センサ24は、汗センサ24を装着したユーザの汗を拡散した空気を採取し、その湿度を検知する。そして、両者を作動増幅器にて差分することで、ユーザの皮膚から蒸散した汗の量を検出する。
【0029】
出力装置30は、ユーザに感覚刺激を与えるための装置である。出力装置30は、制御装置10からの信号を受信し、当該信号に基づいて感覚刺激を出力する。
【0030】
照明器具31は、例えば、室内を照明するいわゆるシーリングライトであり、制御装置10によって調光制御される。なお、照明器具20-1~20-nの態様は、平面士形状が長方形のシーリングライトに限られず、平面視形状が円形のシーリングライト、スポットライト、ベースライトまたはダウンライト等であってもよい。
【0031】
空調装置32は、エアフィルタと、加湿器と、冷却コイルと、加熱コイルと、送風機とを備える。空調装置32は、ヒートポンプ等を用いて、加熱された空気、冷却された空気、加湿された空気、または、除湿された空気を搬送することで、室内の空気の温度または湿度等を調整する装置である。
【0032】
音響装置33は、制御装置10の制御に基づいて音を出力する。音響装置は、例えば、ラウドスピーカである。例えば、音響装置33は、コーン型スピーカ、ドーム型スピーカ、ホーン型スピーカまたはリボン型スピーカでもよい。
【0033】
外部環境センサ40は、刺激出力システムを取り巻く外部環境の状態を検知するセンサであり、検知した信号を、制御装置10の取得部11に送信する。
【0034】
照度計41は、刺激出力システム1が設置された室内の照度を検知する。照度計41は、単位面積あたりの光束を測定し、光に照らされる面の明るさを数値化する。照度計41は、フォトダイオード、光学フィルタ、および、拡散グローブ等を備える。
【0035】
温度計42は、刺激出力システム1が設置された室内の温度を検知する。温度計42は、例えば、サーミスタ温度計、または、赤外放射温度計である。サーミスタ温度計は、熱電能が異なる2種類の金属を溶接したセンサに微量の電流を流して抵抗を測定し、それを温度値に変換する。赤外放射温度計は、物体から放射される赤外線を検知して、温度を検知する。また、温度計42は、水銀温度計、または、バイメタル式温度計でもよい。
【0036】
湿度計43は、刺激出力システム1が設置された室内の湿度を検知する。湿度計43は、バイメタル式湿度計でもよいし、乾湿計でもよいし、電気式湿度計でもよいし、露点計でもよいし、伸縮式湿度計でもよい。電気式湿度計は抵抗式でもよいし、容量式でもよい。電気式湿度計は、感湿材料の抵抗値の変化を電極で検知することによって、湿度を検知する。
【0037】
携帯端末50は、スマートフォンまたはタブレット端末等の端末である。また、携帯端末50は、PDA(Personal Digital Assistant)でもよい。携帯端末50は、制御装置10と通信を行い、データを同期する。
【0038】
[刺激出力システムの動作の概要]
次に、刺激出力システム1の動作の概要について説明する。
図2は、実施の形態における刺激出力システムの動作を表すフローチャートである。
【0039】
まず、センサ20は、ユーザの睡眠前の生体情報を収集する(ステップS100)。センサ20は、例えば、心拍計21であり、睡眠前のユーザの心拍数として、日中に活動しているユーザの心拍を検知する。
【0040】
次に、センサ20は、ユーザの睡眠中の生体情報を収集する(ステップS101)。センサ20は、例えば、心拍計21であり、睡眠中のユーザの心拍を検知する。また、例えば、センサ20は、加速度センサ23であり、睡眠中のユーザの体動の有無、または、体動の様子を検知してもよい。ここで、体動の様子とは、体動が行われた時間、体動の激しさ、および、体動の大きさ等のいずれかを検知することである。なお、体動の様子として、上記以外の体動に関することが検知されてもよい。
【0041】
続いて、センサ20は、ユーザの睡眠後の生体情報を収集する(ステップS102)。センサ20は、例えば、心拍計21であり、睡眠後のユーザの心拍数として、起床直後のユーザの心拍を検知する。ここで、起床直後のユーザの心拍とは、具体的には、起床して1時間以内のユーザの心拍である。なお、起床直後のユーザの心拍とは、ステップS100で検知された睡眠前のユーザの心拍数が検知されると定められた時間帯の前の時間に検知される心拍数であれば、起床して1時間以内の心拍数に限らない。
【0042】
次に、制御装置10の算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析するための、機械学習モデルを構築する(ステップS103)。ステップS103で用いられる機械学習モデルについては後述する。
【0043】
そして、算出部13は、機械学習モデルによる解析によって、基礎データを算出する(ステップS104)。例えば、制御装置10は、ユーザの睡眠中のデータを目的変数とし、ユーザの睡眠前とユーザの睡眠後のデータとを説明変数とする機械学習モデルを用いて、生体情報を解析し、基礎データを算出してもよい。
【0044】
続いて、制御装置10の判定部14は、対象となる生体情報と、基礎データとの乖離の程度が許容範囲内か否かを判定する(ステップS105)。
【0045】
判定部14が、対象となる生体情報と、基礎データとの乖離の程度が許容範囲内であると判定した場合(ステップS105でYes)、制御装置10は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS107)。
【0046】
制御装置10が、処理を終了すると判定した場合(ステップS107でYes)、制御装置10は、処理を終了する。
【0047】
制御装置10が、処理を終了しないと判定した場合(ステップS107でNo)、ステップS100に戻る。
【0048】
判定部14が、対象となる生体情報と、基礎データとの乖離の程度が許容範囲内でないと判定した場合(ステップS105でNo)、制御装置10の出力部15は、出力装置30に、ユーザに対して感覚刺激を与えさせる(ステップS106)。
【0049】
次に、ステップS106の後、制御装置10は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS107)。
【0050】
制御装置10が、処理を終了すると判定した場合(ステップS107でYes)、制御装置10は、処理を終了する。
【0051】
制御装置10が、処理を終了しないと判定した場合(ステップS107でNo)、ステップS100に戻る。
【0052】
[生体情報の収集]
次に、刺激出力システム1が行う生体情報の収集について説明する。
【0053】
図3は、実施の形態における刺激出力システム1のセンサ20を表す図である。
図3の(a)に示されるように、センサ20は、例えば、時計型のウェアラブルデバイスである心拍計21である。ユーザは、手首に心拍計21を装着し、日中の活動および睡眠を取ることを行い、心拍計21は、日中の活動および睡眠を取ることを行っているユーザの心拍数を検知する。なお、センサ20は、時計型のウェアラブルデバイスに限らない。センサ20は、リストバンド型のウェアラブルデバイスでもよいし、眼鏡型のウェアラブルデバイスでもよい。また、センサ20は、ユーザの皮膚に直接貼り付けられる形態のセンサであってもよい。センサ20は、有線または無線で取得部11と通信する。
【0054】
また、例えば、センサ20は、ユーザが直立した姿勢において、ユーザの肩よりも下の位置で、ユーザに接触した状態でユーザの生体情報を検知する。
【0055】
また、
図3の(b)に示されるように、センサ20は例えばカメラである。センサ20は、可視カメラでもよいし、赤外カメラでもよい。例えば、センサ20であるカメラは、ユーザの体温または活動量を検知する。つまり、センサ20は、ユーザから離間した状態で、ユーザの生体情報を検知する。
【0056】
続いて、センサ20が検知する生体情報の具体例について説明する。
図4は、実施の形態における刺激出力システム1のセンサ20が取得する心拍数のデータの例を示す図である。
図4に示されるように、心拍計21は、0.5時間ごとに継続してユーザの心拍数を検知する。
図4に示されるように、心拍計21は、ユーザの睡眠時間と活動時間の両方に渡って、ユーザの心拍数を検知することができる。また、
図4に示されるように、蓄積部12は、継続して検知した心拍数データのセットを複数蓄積する。心拍数データのセットの周期は、24時間でもよいし、36時間でもよい。
【0057】
[生体情報の回帰分析]
次に、刺激出力システム1が実施する生体情報の回帰分析を用いた解析について説明する。
図5は、実施の形態における刺激出力システムの行う回帰分析を用いた処理の動作を表すフローチャートである。制御装置10は、基礎データとして、蓄積した複数の生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる生体情報と回帰直線とを比較した結果に基づいて、出力装置30にユーザに感覚刺激を与えさせる。算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報を解析して、基礎データを算出するが、このとき、回帰分析を用いて解析を行う。回帰分析の種類は、単回帰分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、または、非線形回帰分析等である。
【0058】
まず、センサ20は、ユーザの生体情報を検知する(ステップS200)。
【0059】
次に、蓄積部12は、取得部11がセンサ20から取得した、ユーザの生体情報を蓄積する(ステップS201)。
【0060】
続いて、算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報を回帰分析の手法で解析する(ステップS202)。ここで、算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報から、回帰直線を算出する。ここで、算出部13が解析の対象とする生体情報は、蓄積部12が蓄積した生体情報のうちの一部でもよい。算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報のうち、直近に蓄積された一定量の生体情報を解析の対象としてもよい。
【0061】
そして、判定部14は、対象となる生体情報と、ステップS202で算出した回帰直線との乖離の程度を判定する(ステップS203)。ここで、対象となる生体情報と、ステップS202で算出した回帰直線との乖離の程度とは、対象となる生体情報と同一のX座標における、回帰直線のy座標の値と、対象となる生体情報のy座標の値の差のことでもよい。
【0062】
次に、出力部15は、判定部14が出した判定結果に基づいて、出力装置30を制御する(ステップS204)。つまり、出力部15は、判定部14が出した判定結果に応じて、出力装置30に、ユーザに対して感覚刺激を与えさせる。
【0063】
例えば、算出部13は、
図6に示されるような回帰直線を算出する。
図6は、実施の形態における刺激出力システムが行う心拍数データの回帰分析の例を示す図である。
図6の中の実線で示された直線が、算出部13が算出した回帰直線を示す。
図6において、算出された回帰直線から所定の値だけ乖離した直線を破線で示す。所定の値は任意に定められる。また、所定の値は、判定部14が行う判定の都度、変更されてもよい。所定の値が変更される周期は、判定1回毎でもよいし、所定の回数の判定毎でもよい。
【0064】
制御装置10は、対象となる生体情報と、回帰直線との乖離の程度を判定し、乖離の程度に応じて、出力装置30に、ユーザに感覚刺激を与えさせる。判定部14は、破線で示された直線より下の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)について、NGと判定する。なお、判定の閾値を示す破線で示された直線は、
図6では1つだが、2つでもよい。例えば、判定部14は、破線で示された直線より下の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)と、別の破線で示された直線(図示せず)より上の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)とについて、NGと判定してもよい。
【0065】
[出力装置による刺激の出力]
次に、出力装置30による刺激の出力について説明する。
図7は、実施の形態における刺激出力システムの出力装置の例を示す図である。出力装置30は、制御装置10の出力部15からの制御を受けて、ユーザに対して感覚刺激を出力する。出力装置30は、
図7に示されるように、照明装置でもよいし、空調装置でもよいし、音響装置でもよい。
【0066】
以下、出力装置30が照明装置であり、ユーザに対して光の刺激を出力する場合について説明する。
【0067】
図8は、外出ありのときと、外出なしのときにおける心拍数を示す図である。
図8に示されるように、実線で示された外出ありのときの睡眠時の心拍数は、破線で示された外出なしのときの睡眠時の心拍数より低くなっている。これは、日中、外出するなどして太陽光をより浴びたときの方が、日中に外出せず太陽光をより浴びなかったときに比べて、睡眠時の心拍数が低くなり、より質の高い睡眠がとれていることを示す。
【0068】
よって、刺激出力システム1は、
図9に示されるように、ユーザの心拍数から算出される睡眠スコアが低かった日には、照明装置の照度を強める制御を行う。
図9は、実施の形態における刺激出力システムの照明制御の概略を示す図である。ここで、睡眠スコアとは、センサ20が検知したユーザの心拍数に基づいて、算出部13が算出する値である。例えば、睡眠時のユーザの心拍数が高いほど、睡眠スコアを低く算出する。
【0069】
睡眠スコアが平均的な日の照明制御は、例えば、起床後の時間が3時間~5時間の間は、4000K、起床後の時間が5時間~7時間の間は5000K、起床後の時間が7時間から9時間の間は4000K、起床後の時間が9時間~11時間の間は3500K、起床後の時間が11時間~12時間の間は3000K、起床後の時間が12時間以降は、2700Kとする。この照明制御は、太陽光を模したものであってもよい。
【0070】
これに対して、睡眠スコアが低かった日の照明制御は、例えば、起床後の時間が3時間~5時間の間は、4000Kより高い値、起床後の時間が5時間~7時間の間は5000Kより高い値、起床後の時間が7時間から9時間の間は4000Kより高い値、起床後の時間が9時間~11時間の間は3500K、起床後の時間が11時間~12時間の間は3000K、起床後の時間が12時間以降は、2700Kとする。この照明制御は、太陽光を模したものであってもよい。
【0071】
睡眠スコアが低かった日の照明制御において、照明装置の照度は、睡眠スコアが平均的な日の照明制御で用いられる照度より、100~数百K高い照度でもよいし、1000~数千K高い照度でもよい。睡眠スコアが低かった日の照明制御において、睡眠スコアが平均的な日の照明制御よりも高い照度が用いられる時間は、数時間でもよいし、半日程度でもよい。
【0072】
睡眠スコアが低かった日の照明制御において、照明装置は、ユーザが日中数時間外で太陽光を浴びた際に浴する光と同程度の光を浴することができるような照度を、その強度と光が持続される時間において、再現してもよい。
【0073】
図10は、太陽光と身体要因との関係を表す図である。
図10によれば、太陽光を浴びることと、セロトニン、メラトニン、成長ホルモン、および、ストレスホルモン等の体内時計と関連する身体要因は、関係がある。よって、刺激出力システム1が、ユーザが日中に外出して浴びる太陽光と同様の光刺激をユーザに与えることで、ユーザの体内時計をコントロールできる可能性が高まる。よって、刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムの改善に役立つ。
【0074】
つまり、刺激出力システム1は、ユーザの睡眠スコアが低かった日に、日中に外出して浴びる太陽光と同様の光刺激をユーザに与えることによって、ユーザの体内時計に関わる身体要因をコントロールし、ユーザの体内時計を改善することができる可能性がある。
【0075】
図11は、実施の形態における刺激出力システム1の制御装置10が行う、照明装置の制御を表すフローチャートである。
【0076】
まず、センサ20は、ユーザの生体情報を検知する(ステップS300)。
【0077】
次に、蓄積部12は、センサ20が検知したユーザの生体情報を蓄積する(ステップS301)。
【0078】
続いて、算出部13は、蓄積部12が蓄積した生体情報を回帰分析の手法を用いて解析する(ステップS302)。
【0079】
次に、判定部14は、対象となる生体情報と回帰直線とが所定の値以上乖離しているか否かを判定する(ステップS303)。
【0080】
判定部14が、対象となる生体情報と回帰直線とが所定の値以上乖離していると判定した場合(ステップS303でYes)、出力部15は、出力装置30の照度を強める(ステップS304)。つまり、判定部14が、対象となる生体情報がNGであると判定した場合、出力部15は、出力装置30の照度を強める。
【0081】
判定部14が、対象となる生体情報と回帰直線とが所定の値以上乖離していないと判定した場合(ステップS303でNo)、出力部15は、出力装置30の照度を維持する(ステップS305)。つまり、判定部14が、対象となる生体情報がNGでないと判定した場合、出力部15は、出力装置30の照度を維持する。
【0082】
[外部環境センサ]
次に、刺激出力システム1が備える外部環境センサ40について説明する。
図12は、実施の形態における刺激出力システムの外部環境センサ40の例を示す図である。刺激出力システム1は、刺激出力システム1が設置された場所の環境を検知するための外部環境センサ40を備えてもよい。外部環境センサ40は、
図12に示されるように、例えば、照度計、温度計および湿度計等である。外部環境センサ40は、照度計、温度計および湿度計のうちのいずれかであってもよい。外部環境センサ40が取得する外部環境データは、浴光量、気温、および、湿度のうち少なくとも1つを含む。
【0083】
刺激出力システム1は、刺激出力システム1が設置された環境における、照度計が検知した照度、温度計が検知した温度、または、湿度計が検知した湿度を、判定部14が行う判定に用いられる閾値(回帰直線と乖離している値)の決定に反映させてもよい。また、刺激出力システム1は、刺激出力システム1が設置された環境における、照度計が検知した照度、温度計が検知した温度、または、湿度計が検知した湿度を、出力部15が決定する出力装置30に感覚刺激を出力させる際の照度、風量、風向、または、音量等に反映させてもよい。
【0084】
[刺激出力システムのその他の動作]
刺激出力システム1は、対象となる生体情報を解析する際に、解析毎に、蓄積部12によって蓄積された生体情報のうち、解析の対象となる生体情報の範囲を変更してもよい。当該変更には、生体情報以外の情報(例えば、温度、湿度、および、照度などの外部環境データ)が反映されてもよい。
【0085】
また、刺激出力システム1は、対象となる生体情報が基礎データから所定の値以上乖離しているかを判定する際に、判定毎に、所定の値を変更してもよい。当該変更には、直前に取得された心拍数等の生体情報、または、前日の睡眠スコア、および、生体情報以外の情報(例えば、温度、湿度、および、照度などの外部環境データ)等が反映されてもよい。
【0086】
上述の各種変更によって、刺激出力システム1は、ユーザの状態に追随して、より適切な感覚刺激を出力してもよい。
【0087】
また、制御装置10は、出力装置30を制御するアルゴリズムを、外部から無線で取得して更新してもよい。例えば、制御装置10は、通信部を備え、通信部は、算出部13および判定部14のそれぞれが用いるアルゴリズム、または、出力部15が照明の制御に用いるアルゴリズムを外部から無線通信により取得し、算出部13、判定部14、および、出力部15は、通信部が取得したアルゴリズムを用いて、既存のアルゴリズムを更新する。また、通信部は、有線による通信を行ってもよい。また、制御装置10は、USB(Universal Serial Bus)メモリまたはCD-ROM(Compact Disc Read only memory)等の記憶媒体から、アルゴリズムを読み取り、アルゴリズムを取得してもよい。
【0088】
また、刺激出力システム1は、1日の浴光量の目標値に対する、対象となる日の浴光量の達成度であるルクスh達成度を算出し、可視化してもよい。例えば、ある日のユーザの1日の浴光量を計測し、ルクスh達成度として、計測した浴光量が、1日の浴光量の目標値に対してどれだけ差があるかを算出してもよい。また、刺激出力システム1は、ある日のユーザの1日の浴光量を計測し、ルクスh達成度として、計測した浴光量が、1日の浴光量の目標値に対してどれだけの割合を算出してもよい。
【0089】
また、刺激出力システム1は、ルクスh達成度と、ユーザの心拍数から算出される、ユーザの睡眠の質をあらわす睡眠スコアとを可視化してもよい。
【0090】
また、刺激出力システム1は、1日の浴光量の目標値と、ルクスh達成度との差を補うような光を、ユーザに対して、照明器具に出力させてもよい。例えば、刺激出力システム1は、ルクスh達成度として、対象となる日の浴光量を、1日の浴光量の目標値で割り、ルクスh達成度が1になるように、照明器具から光を出力させてもよい。
【0091】
図13は、実施の形態における刺激出力システム1の携帯端末50との同期について表す図である。刺激出力システム1は、さらに携帯端末50を備えてもよい。刺激出力システム1は、携帯端末50が動作しているときに、センサ20が起動した場合、携帯端末50とセンサ20とは同期し、携帯端末50とセンサ20とが動作している間、携帯端末50は、一定間隔毎にセンサ20から生体情報を自動で取得、または、ユーザによる手動入力によって取得する。また、携帯端末50は、センサ20が動作していない場合、携帯端末50と同期しなくてもよい。
【0092】
図14は、実施の形態における刺激出力システムがアドバイスの通知を行う画面の例を示す図である。制御装置10は、センサ20が検知したユーザの生体情報に基づいて、ユーザの睡眠のサイクルを示すサーカディアンリズムを算出し、算出したユーザのサーカディアンリズムと、AI(Artificial Intelligence)を用いて生成したユーザの睡眠についてのアドバイスを、ユーザに通知する。
【0093】
例えば、制御装置10の通知部16は、センサ20が検知したユーザの生体情報に基づいて、ユーザのサーカディアンリズムを算出する。そして、算出したサーカディアンリズムが、平均値よりも所定の値乖離している場合、通知部16は、ユーザにサーカディアンリズムを整える効果のある行動を取るように促すメッセージを通知する。例えば、通知部16は、ディスプレイに、睡眠に関するアドバイスとして「昼間、日光浴をしましょう。」というメッセージを表示させる。上記のサーカディアンリズムの算出と、サーカディアンリズムの判定は、AIを用いて行われてもよい。
【0094】
[効果等]
本開示の刺激出力システム1は、ユーザの生体情報を検知するセンサ20と、ユーザに感覚刺激を与える出力装置30と、出力装置30を制御する制御装置10と、を備え、制御装置10は、センサ20が検知した生体情報を蓄積し、蓄積した生体情報を解析して基礎データを算出し、算出した基礎データに基づいて、出力装置30に、ユーザに感覚刺激を与えさせる。
【0095】
これにより、刺激出力システム1は、汎用性の高い機器を用い、従来より豊富な種類の刺激による、ユーザの睡眠に関する情報を反映した刺激出力を行うことができる。
【0096】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、基礎データとして、蓄積した複数の生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる生体情報と回帰直線とを比較した結果に基づいて、出力装置30にユーザに感覚刺激を与えさせる。
【0097】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの生体情報を回帰分析で解析することによって、ユーザの睡眠を判定し、それに応じた刺激出力を行うことができる。
【0098】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、対象となる生体情報と、回帰直線との乖離の程度を判定し、乖離の程度に応じて、出力装置30に、ユーザに感覚刺激を与えさせる。
【0099】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムが平均値から乖離しているときに、ユーザの睡眠リズムが平均に近づくような刺激出力を行うことができる。
【0100】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、ユーザの睡眠中のデータを目的変数とし、ユーザの睡眠前とユーザの睡眠後のデータとを説明変数とする機械学習モデルを用いて、生体情報を解析し、基礎データを算出する。
【0101】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの生体情報を機械学習の手法を用いて解析することによって、ユーザの睡眠を判定し、それに応じた刺激出力を行うことができる。
【0102】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、生体情報を線型回帰分析、ロジスティック回帰分析、および、決定木分析のうちのいずれかを用いて解析し、基礎データを算出する。
【0103】
これにより、刺激出力システム1は、様々な手法の回帰分析を用いて、ユーザの生体情報を解析することができる。
【0104】
また、例えば、刺激出力システム1において、出力装置30は、照明器具である。
【0105】
これにより、刺激出力システム1は、感覚刺激として光の刺激を出力することができる。
【0106】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、対象となる生体情報と、回帰直線とが、所定の値以上乖離していた場合、出力装置30の照度を強める。
【0107】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムが平均値から所定の値だけ乖離しているときに、ユーザのサーカディアンリズムが平均値に近づくように、光の刺激を出力することができる。
【0108】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、対象となる生体情報と、回帰直線とが、所定の値以上乖離していない場合、出力装置30の照度を変更しない。
【0109】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムが平均値から所定の値だけ乖離していないときに、ユーザのサーカディアンリズムを維持するように、光の刺激を出力することができる。
【0110】
また、例えば、刺激出力システム1において、出力装置30は、空調装置である。
【0111】
これにより、刺激出力システム1は、感覚刺激として、風の刺激を出力することができ、また、室温および湿度を調整することができる。
【0112】
また、例えば、刺激出力システム1において、出力装置30は、音響装置である。
【0113】
これにより、刺激出力システム1は、感覚刺激として、音の刺激を出力することができる。
【0114】
また、例えば、刺激出力システム1において、出力装置30は、照明器具、空調装置、および、音響装置のうちの複数である。
【0115】
これにより、刺激出力システム1は、感覚刺激として、光の刺激の出力、風の刺激の出力または室温および湿度の調整、および音の刺激の出力のうちの複数を行うことができる。
【0116】
また、例えば、刺激出力システム1において、センサ20は、ユーザが直立した姿勢において、ユーザの肩よりも下の位置で、ユーザに接触した状態でユーザの生体情報を検知する。
【0117】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの手首等に接触するセンサによって、ユーザの生体情報を検知することができる。
【0118】
また、例えば、刺激出力システム1において、センサ20は、ユーザから離間した状態で、ユーザの生体情報を検知する。
【0119】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザと非接触で、ユーザの生体情報を検知することができる。
【0120】
また、例えば、刺激出力システム1において、生体情報は、脳波、心拍数、ユーザの睡眠中の動作、汗、および、呼吸のそれぞれに関する情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0121】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの睡眠の質および長さについて、検知し解析することができる。
【0122】
また、例えば、刺激出力システム1において、生体情報が取得される周期は、24時間である。
【0123】
これにより、刺激出力システム1は、1日毎にユーザのサーカディアンリズムを判定することができる。
【0124】
また、例えば、刺激出力システム1は、さらに、外部の環境に関するデータである外部環境データを取得する外部環境センサ40を備え、制御装置10は、外部環境センサ40が取得した外部環境データを解析する。
【0125】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの生体情報の解析および刺激の出力に、刺激出力システム1が設置された場所の環境を反映することができる。
【0126】
また、例えば、外部環境データは、浴光量、気温、および、湿度のうち少なくとも1つを含む。
【0127】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの睡眠の質等に係る外部環境因子を検知し、解析することができる。
【0128】
また、例えば、刺激出力システム1は、さらに、携帯端末50を備え、携帯端末50が動作しているときに、センサ20が起動した場合、携帯端末50とセンサ20とは同期し、携帯端末50とセンサ20とが動作している間、携帯端末50は、一定間隔毎にセンサ20から生体情報を自動で取得、または、ユーザによる手動入力によって取得する。
【0129】
これにより、刺激出力システム1は、センサ20と携帯端末50と同期させて処理を行うことができる。
【0130】
また、例えば、刺激出力システム1において、センサ20は、動作していない場合、携帯端末50と同期しない。
【0131】
これにより、刺激出力システム1は、適切なタイミングで、センサ20と携帯端末50とを同期させることができる。
【0132】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、出力装置30を制御するアルゴリズムを、外部から無線で取得して更新する。
【0133】
これにより、刺激出力システム1は、適宜、適切なアルゴリズムを用いて処理を行うことができる。
【0134】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、センサ20が検知したユーザの生体情報に基づいて、ユーザの睡眠のサイクルを示すサーカディアンリズムを算出し、算出したユーザのサーカディアンリズムと、AIを用いて生成したユーザの睡眠についてのアドバイスを、ユーザに通知する。
【0135】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザに適切な睡眠ついてのアドバイスを通知することができる。
【0136】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、1日の浴光量の目標値に対する、対象となる日の浴光量の達成度であるルクスh達成度を算出し、可視化する。
【0137】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザに、浴光量を通知することができ、ユーザのサーカディアンリズムの改善に役立てることができる。
【0138】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、ルクスh達成度と、ユーザの心拍数から算出される、ユーザの睡眠の質をあらわす睡眠スコアとを可視化する。
【0139】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザに浴光量とユーザの睡眠の質を通知することができ、ユーザのサーカディアンリズムの改善に役立てることができる。
【0140】
また、例えば、刺激出力システム1において、制御装置10は、1日の浴光量の目標値と、ルクスh達成度との差を補うような光を、ユーザに対して、照明器具に出力させる。
【0141】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを改善することができる。
【0142】
また、例えば、刺激出力方法は、センサ20でユーザの生体情報を検知する検知ステップと、出力装置30で、ユーザに感覚刺激を与える出力ステップと、出力装置30を制御する制御ステップと、を含み、制御ステップでは、センサ20が検知した生体情報を蓄積し、蓄積した生体情報を解析して基礎データを算出し、算出した基礎データに基づいて、出力装置30に、ユーザに感覚刺激を与えさせる。
【0143】
これにより、刺激出力方法は、上記刺激出力システム1と同様の効果を奏することができる。
【0144】
[その他]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0145】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したコンピュータプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0147】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0148】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0149】
例えば、本発明は、上記実施の形態の刺激出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。なお、このようなプログラムには、汎用のコントローラまたは携帯端末を上記実施の形態に係る全館空調システムにおけるコントローラまたは携帯端末として動作させるためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0150】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1 刺激出力システム
10 制御装置
20 センサ
30 出力装置
31 照明器具
32 空調装置
33 音響装置
40 外部環境センサ
41 照度計
42 温度計
43 湿度計
50 携帯端末