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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】部品装着装置及び部品装着方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241108BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021073908
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168444
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】永冶 利彦
(72)【発明者】
【氏名】石本 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 徹
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-118561(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151246(WO,A1)
【文献】特開2002-246800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッドに取り付けられた複数の吸着ノズルを用いて部品を基板に装着する部品装着装置であって、
部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、前記複数の吸着ノズルの中、不良の可能性がある第1吸着ノズルを検出する検出部と、
前記装着ヘッドにおいて前記第1吸着ノズルが取り付けられた第1位置から、前記装着ヘッドにおける第2位置へと前記第1吸着ノズルの取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続するように前記装着ヘッドを制御する制御部と、
前記取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する情報である第2情報に基づいて、前記装着不具合が前記第1吸着ノズルに起因するか否かを判定する判定部とを備える、
部品装着装置。
【請求項2】
前記第2位置に取り付けられた前記第1吸着ノズルにおいて前記装着不具合が発生した場合、前記判定部は、前記装着不具合が前記第1吸着ノズルに起因すると判定する、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記複数の吸着ノズルは、前記第1吸着ノズルと等価な第2吸着ノズルを含み、
前記第2吸着ノズルは、前記第2位置に取り付けられており、
不良の可能性がある前記第1吸着ノズルが検出された場合、前記制御部は、
前記装着ヘッドに取り付けられていない予備の吸着ノズルを保管しているノズル交換部へと前記装着ヘッドから前記第1吸着ノズルと前記第2吸着ノズルとを返却し、
前記第1吸着ノズルを取り外した前記装着ヘッドの前記第1位置に前記第2吸着ノズルを取り付け、
前記第2吸着ノズルを取り外した前記装着ヘッドの前記第2位置に前記第1吸着ノズルを取り付け、
前記装着動作を継続するように前記装着ヘッドを制御する、
請求項1又は2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記第2位置に取り付けられた前記第1吸着ノズルにおいて前記装着不具合が発生しない場合、前記制御部は、
前記ノズル交換部へと前記装着ヘッドから前記第1吸着ノズルと前記第2吸着ノズルとを返却し、
前記第1吸着ノズルを取り外した前記装着ヘッドの前記第2位置に前記第2吸着ノズルを取り付け、
前記第2吸着ノズルを取り外した前記装着ヘッドの前記第1位置に前記第1吸着ノズルを取り付け、
前記装着動作を継続するように前記装着ヘッドを制御する、
請求項3に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記複数の吸着ノズルは、前記第1吸着ノズルと等価な吸着ノズルを複数含み、
前記第2吸着ノズルは、複数の前記等価な吸着ノズルの中、最も装着不具合が少ない、
請求項4に記載の部品装着装置。
【請求項6】
少なくとも前記判定部の判定結果を出力する出力部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記第1情報と前記第2情報とは、前記装着動作のエラーに関する情報である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【請求項8】
前記第1情報と前記第2情報とは、前記基板における部品の装着位置の検査結果に関する情報である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品装着装置。
【請求項9】
部品装着装置を用いて部品を基板に装着する部品装着方法であって、
前記部品装着装置は、装着ヘッドと、前記装着ヘッドに取り付けられた複数の吸着ノズルとを有し、
前記部品装着方法は、
部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、前記複数の吸着ノズルの中、不良の可能性がある第1吸着ノズルを検出し、
前記装着ヘッドにおいて前記第1吸着ノズルが取り付けられた第1位置から、前記装着ヘッドにおける第2位置へと前記第1吸着ノズルの取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続し、
前記取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する第2情報に基づいて、前記装着不具合が前記第1吸着ノズルに起因するか否かを判定する、
部品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品装着装置及び部品装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、流量計測部から部品供給部への吸着ノズルの移動範囲の間で吸着ノズルが一時停止する位置に、エア流量が計測された吸着ノズルの判定が不良である場合に、その不良と判定された吸着ノズルを新たな吸着ノズルと自動的に交換するノズル交換部を設けた部品装着装置が開示されている。
【0003】
また、従来の特許文献2には、部品を実装するに際し、吸着ノズルによる部品の吸着状態を確認し、吸着状態が不良である第1の吸着ノズルを検出しかつ装着ヘッドに装着されている吸着ノズルの中に不良吸着ノズルと等価な第2の吸着ノズルが存在していることを検出した場合には、装着ヘッドに装着されていない予備の保管吸着ノズルを保管しているノズル交換部へ、装着ヘッドから第1、第2の吸着ノズルを返却し、第1の吸着ノズルを取り外した装着ヘッドの位置に第2の吸着ノズルを装着して実装動作を継続する電子部品実装機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3901344号公報
【文献】特開2002-246800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の部品装着装置では、不良と判定された吸着ノズルを新たな吸着ノズルと自動的に交換する場合、生産を一時的に停止させるため、時間を要することになる。
【0006】
また、特許文献2の電子部品実装機では、吸着ノズルを交換後の状況を監視したり、一定期間後に確認したりするため、時間を要することになる。
【0007】
そこで、本開示は、生産の時間的損失の発生を抑制することができる部品装着装置及び部品装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る部品装着装置は、装着ヘッドに取り付けられた複数の吸着ノズルを用いて部品を基板に装着する部品装着装置であって、部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、前記複数の吸着ノズルの中、不良の可能性がある第1吸着ノズルを検出する検出部と、前記装着ヘッドにおいて前記第1吸着ノズルが取り付けられた第1位置から、前記装着ヘッドにおける第2位置へと前記第1吸着ノズルの取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続するように前記装着ヘッドを制御する制御部と、前記取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する情報である第2情報に基づいて、前記装着不具合が前記第1吸着ノズルに起因するか否かを判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の部品装着装置及び部品装着方法によれば、生産の時間的損失の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る部品実装システムを示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る部品装着装置を示す平面図である。
図3図3は、実施の形態に係る部品装着装置に用いられる装着ヘッドを示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る部品装着装置における真空吸引系統及びエアブロー系統の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係る部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施の形態に係る部品装着装置の処理動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る部品装着装置の第1吸着ノズルと第2吸着ノズルとの取り付け位置を変更する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略水平等の表現を用いている。例えば、略水平は、完全に水平であることを意味するだけでなく、実質的に水平である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略水平は、本開示による効果を奏し得る範囲において水平という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0013】
また、以下の実施の形態では、基板搬送方向をX軸方向(図1における左右方向)と規定し、基板搬送方向と直交する方向であり水平面と平行な方向をY軸方向と規定し、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向(上下方向)と規定する。
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(実施の形態)
<構成:部品装着装置1>
図1は、実施の形態に係る部品実装システム1bを示す図である。図2は、実施の形態に係る部品装着装置1の平面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、部品実装システム1bは、基板3に部品(電子部品)を実装して実装基板(電子回路基板)を製造することができる。部品実装システム1bは、検査装置1d、及び、部品装着装置1等を備えている。これら装置は、通信ネットワークを介して管理コンピュータ1cに接続されている。
【0017】
検査装置1dは、部品装着装置1により部品を実装された実装後の基板3における部品の実装状態を検査し、正しい装着位置からの位置ズレの状態を検出する。検査装置1dは、1つの基板3に実装されている全ての部品についての位置ズレの状態を示す情報を纏めた、実装基板についての基板検査情報を生成する。検査装置1dは、検査結果として生成した基板検査情報を管理コンピュータ1cに出力したり、装置記憶部31に出力したりする。
【0018】
管理コンピュータ1cは、検査装置1d及び部品装着装置1等を管理するライン管理機能を有している。例えば、管理コンピュータ1cは、検査装置1dによって取得された基板検査情報に基づいて、部品装着装置1による基板3への部品の実装時の精度を表す評価値を算出する。
【0019】
部品装着装置1では、部品を基板3の所定位置に装着して実装基板を製造することができる。なお、部品装着装置1では、電子部品以外の部品を装着対象物に装着することもできる。
【0020】
本実施の形態の部品装着装置1は、基台1a、基板搬送部2、部品供給部4、Y軸ビーム6、X軸ビーム7、装着ヘッド8、部品認識カメラ11、ノズル交換部10、及び、基板認識カメラ12を備えている。
【0021】
基台1aは、基板3及び基板搬送部2等を配置することが可能である。基台1aには、その上面に、X軸方向に沿って延びる基板搬送部2が配設されている。
【0022】
基板搬送部2は、上流側装置から受け渡された基板3を搬送することで、実装作業位置に基板3を位置決めして保持する。基板搬送部2に対するY軸方向の両側には、部品供給部4がそれぞれ配置されている。
【0023】
部品供給部4は、装着ヘッド8が部品を取り出すため、言い換えれば、装着ヘッド8に部品を供給するための構造体である。部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並設して装着されている。テープフィーダ5は部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構を構成する装着ヘッド8は、装着位置に部品を位置させることができる。
【0024】
また、基台1aの上面におけるX軸プラス方向側の一端部には、長尺状のY軸ビーム6がY軸方向に沿って略水平に配設されている。また、Y軸ビーム6には、長尺状の一対のX軸ビーム7がY軸方向に沿ってスライド自在に装着されている。
【0025】
一対のX軸ビーム7のうちの一方が基板搬送部2に対してY軸プラス方向側に配設され、一対のX軸ビーム7のうちの他方が基板搬送部2に対してY軸マイナス方向側に配設されている。また、一対のX軸ビーム7は、X軸方向に沿って略水平に配設されている。
【0026】
一対のX軸ビーム7は、Y軸ビーム6が有するリニア駆動機構によってY軸方向に移動することができる。一対のX軸ビーム7のそれぞれには、装着ヘッド8がスライド自在に装着されている。
【0027】
装着ヘッド8は、複数のノズルユニット9を有している。また、装着ヘッド8は、X軸ビーム7が有するリニア駆動機構によりX軸方向に沿って移動することができる。
【0028】
リニア駆動機構の駆動によってX軸ビーム7及び装着ヘッド8がX-Y平面において、自在に移動することにより、装着ヘッド8は、ノズルユニット9に設けられた複数の吸着ノズル15によって、それぞれの部品供給部4に配置されたテープフィーダ5から部品を真空吸引(部品を吸着)して取り出し、基板3の上方に移動して部品を基板3の装着位置に搭載する。
【0029】
また、基台1aにおいて基板搬送部2とそれぞれの部品供給部4との間には、部品認識カメラ11及びノズル交換部10が配設されている。部品供給部4から部品を取り出した装着ヘッド8が部品認識カメラ11の上方を通過することにより、部品認識カメラ11は、装着ヘッド8が通過する撮像タイミングで、装着ヘッド8に装着された複数の吸着ノズル15のうちの第1吸着ノズル15b1又は第2吸着ノズル15b2に保持された状態の部品を撮像する。このため、部品認識カメラ11は、複数の吸着ノズル15のうちの第1吸着ノズル15b1又は第2吸着ノズル15b2に吸着された部品を認識することができる。具体的には、部品認識カメラ11は、第2吸着ノズル15b2の先端部15aとして、第2吸着ノズル15b2の吸着面、又は、第2吸着ノズル15b2の長さを認識する。本実施の形態では、第2吸着ノズル15b2は、第1吸着ノズル15b1と並んで設けられている。また、第1吸着ノズル15b1及び第2吸着ノズル15b2を総称して吸着ノズル15と呼ぶことがある。
【0030】
また、部品認識カメラ11が第1吸着ノズル15b1に吸着された部品及び第2吸着ノズル15b2の先端部15aを認識する場合、部品認識カメラ11は、第1照明条件で部品を認識したり、第1照明条件とは異なる第2照明条件で先端部15aを認識したりする。
【0031】
ノズル交換部10は、吸着ノズル15が複数配列されており、装着ヘッド8がノズル交換部10にアクセスすることにより、吸着ノズル15の着脱を行う。これにより、装着ヘッド8には、部品に応じた吸着ノズル15を装着することができる。
【0032】
また、第1吸着ノズル15b1及び第2吸着ノズル15b2は、部品を吸着(真空吸着)することができ、吸着した部品を離間させたりすることができる。また、第1吸着ノズル15b1及び第2吸着ノズル15b2は、このような真空吸着だけでなく、ブローしたりすることもできる。
【0033】
装着ヘッド8が取り付けられている結合プレート8aには、X軸ビーム7の下面側に位置し、装着ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ12が配設されている。基板認識カメラ12は、撮像方向を下向きにした姿勢で結合プレート8aに配設されている。基板搬送部2に保持された基板3の上方に装着ヘッド8を移動させることにより、基板認識カメラ12は、基板3の位置認識マーク等を撮像したり、部品実装後に基板3の上方に移動して基板3に搭載された部品を撮像したりする。
【0034】
部品認識カメラ11、及び、基板認識カメラ12によって取得された画像データを画像認識処理することにより、装着ヘッド8において吸着ノズル15に保持された状態の部品の位置ズレ、及び、基板搬送部2に保持された基板3の位置ズレを検出することができる。装着ヘッド8は、部品実装動作において、これらの位置ズレを加味して、位置を補正して部品を基板3の装着位置に実装する。
【0035】
次に、装着ヘッド8について、図2及び図3を用いて説明する。図3は、実施の形態に係る部品装着装置1に用いられる装着ヘッド8を示す斜視図である。
【0036】
図2及び図3に示すように、装着ヘッド8は、結合プレート8aを介してX軸ビーム7に装着されている。装着ヘッド8は、複数のノズルユニット9を並べた状態で配置している。それぞれのノズルユニット9は、ノズル駆動部9aからノズル軸13を下方に延出させるように配置している。ノズル軸13の下端部に結合されたノズル装着部14には、複数の吸着ノズル15が着脱自在に装着されている。それぞれのノズル駆動部9aは、ノズル軸13と結合された昇降軸をリニアモータにより昇降させるノズル昇降機構を有している。ノズル駆動部9aが駆動することにより、ノズル装着部14に装着された複数の吸着ノズル15は、個別に昇降する。このような、装着ヘッド8は、複数のノズルユニット9の他に、ノズル駆動部9a、ノズル軸13、ノズル装着部14及び吸着ノズル15を有している。なお、装着ヘッド8は、複数のノズルユニット9、複数のノズル駆動部9a、複数のノズル軸13、複数のノズル装着部14及び複数の吸着ノズル15を有しているが、特に言及しない限り、1つのノズルユニット9、1つのノズル駆動部9a、1つのノズル軸13、1つのノズル装着部14及び1つの吸着ノズル15について説明する。
【0037】
吸着ノズル15は、真空吸引する部品のサイズ、及び、形状に応じて複数の種類が用意されている。例えば、大きなサイズの部品には、吸着ノズル15の下端部における図3の吸着面15a1が大きな吸着ノズル15が使用される。
【0038】
また、装着ヘッド8は、装着する吸着ノズル15の種類に応じて複数の種類が用意されている。例えば、大きな部品を吸着する大きな吸着ノズル15を装着する場合は、大きなノズルユニット9を有する装着ヘッド8が使用される。
【0039】
次に、真空吸引系統及びエアブロー系統について、図2~4を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る部品装着装置1における真空吸引系統及びエアブロー系統の構成を示すブロック図である。
【0040】
図2~4に示すように、ノズル軸13は、ノズル装着部14を挿通して吸着ノズル15に連通している。ノズル軸13の内部に設けられた流路孔は、流量センサ16を介して出力経路17に接続されている。すなわち、ノズル軸13の吸引孔と出力経路17は、流量センサ16及び出力経路17を介して、切換バルブ18の出力ポートA1に接続されることで、切換バルブ18と吸着ノズル15とを接続する吸引・エアブロー回路となる。
【0041】
流量センサ16は、第1吸着ノズル15b1又は第2吸着ノズル15b2を流れる空気の流量を計測する。つまり、流量センサ16は、複数の吸着ノズル15における所定の吸着ノズル15の内部を流れる空気の流量を計測する。例えば、流量センサ16は、流量センサ16からノズル軸13の方向(矢印a)に流れ出る正方向と、ノズル軸13から流量センサ16の方向(矢印b)に流れ込む負方向の、正逆2方向の空気の流量を計測する。言い換えれば、流量センサ16は、吸着ノズル15が吸引した場合の真空流量、又は、吸着ノズル15がブローした場合のブロー流量を計測する。流量センサ16は、吸引流量の計測結果、及び、ブロー流量の計測結果をノズル制御部23が有する第1判定部25に出力する。
【0042】
切換バルブ18は、2つの入力ポートP1、P2と出力ポートA1を有する電磁弁等で構成されている。切換バルブ18では、外部からの選択信号により、入力ポートP1から出力ポートA1への経路を開通させた状態と、入力ポートP2から出力ポートA1への経路を開通させた状態とが切り換えられる。切換バルブ18の入力ポートP1は真空ポンプ19に、入力ポートP2はブローバルブ20の出力ポートA2に、出力ポートA1は流量センサ16に通じる出力経路17に、それぞれ接続されている。また、真空ポンプ19は、負の圧力(真空)を発生させることができる。
【0043】
ブローバルブ20は、2つの入力ポートP3、P4と出力ポートA2を有する電磁弁等で構成されている。ブローバルブ20では、外部からの選択信号により、入力ポートP3から出力ポートA2への経路を開通させた状態と、入力ポートP4から出力ポートA2への経路を開通させた状態とが切り換えられる。ブローバルブ20の入力ポートP3はエア供給源21に、入力ポートP4は大気供給源22に、出力ポートA2は切換バルブ18の入力ポートP2に、それぞれ接続されている。また、エア供給源21は、正圧空気を供給することができる。また、大気供給源22は、大気圧の空気を供給することができる。なお、大気供給源22は、ブローバルブ20の入力ポートP4を開放状態にすることでも実現することができる。
【0044】
切換バルブ18及びブローバルブ20は、ノズル制御部23が有するバルブ制御部24に接続されている。流量センサ16の計測結果は、ノズル制御部23が有する第1判定部25に入力される。ノズル制御部23が有するバルブ記憶部26には、バルブ制御部24によって切換バルブ18とブローバルブ20との状態を切り換えるタイミング情報、第1判定部25によって流量センサ16が計測した空気の流量が正常であるか否かを判定するタイミング情報、及び、所定値(判定値)が記憶されている。ノズル制御部23は、装着ヘッド8に配設されており、装着ヘッド8を結合プレート8aに取り付けた状態で、装置制御部30と接続される。
【0045】
バルブ制御部24が切換バルブ18を制御して、入力ポートP1から出力ポートA1への経路を開通させた状態(吸引状態)にすると、真空ポンプ19が切換バルブ18及び流量センサ16を介して吸着ノズル15と連通し、吸着ノズル15は下端部の吸着面15a1から真空吸引する。
【0046】
吸着面15a1に部品が当接している状態で吸着ノズル15が部品を真空吸引すると、吸着ノズル15によって部品が真空吸着される。この時、流量センサ16が計測する空気の流量(真空流量)は、実質的にゼロとなる。吸着面15a1に部品が当接していない状態で吸着ノズル15から真空吸引すると、吸着ノズル15より外気(空気)が吸引される。このため、流量センサ16は、負の空気の流量を計測することができる。
【0047】
バルブ制御部24が切換バルブ18を制御して入力ポートP2から出力ポートA1への経路を開通させ、ブローバルブ20を制御して入力ポートP3から出力ポートA2への経路を開通させた状態(ブロー状態)にすると、エア供給源21は、ブローバルブ20、切換バルブ18及び流量センサ16を介して吸着ノズル15と連通し、吸着ノズル15から正圧空気が吐出される。すなわち、エア供給源21は、吸着ノズル15から正圧空気を吐出させるエアブロー手段となる。この時、流量センサ16によって、正の空気の流量が計測される。
【0048】
バルブ制御部24が切換バルブ18を制御して入力ポートP2から出力ポートA1への経路を開通させ、ブローバルブ20を制御して入力ポートP4から出力ポートA2への経路を開通させた状態(大気圧状態)にすると、大気供給源22がブローバルブ20、切換バルブ18及び流量センサ16を介して吸着ノズル15と連通し、吸着ノズル15が大気圧となる。この時、流量センサ16が計測する空気の流量は、実質的にゼロとなる。
【0049】
このように、切換バルブ18及びブローバルブ20は、真空ポンプ19とエア供給源21とを選択的に吸着ノズル15に接続させる切換手段となる。そして、流量センサ16は、この切換手段(切換バルブ18及びブローバルブ20)と吸着ノズル15とを接続する吸引・エアブロー回路に介設され、吸引・エアブロー回路を通過する空気の流量を正逆2方向で計測する。
【0050】
第1判定部25は、流量センサ16が計測した空気の流量とバルブ記憶部26が記憶する所定値とを比較して、空気の流量が所定値を超えたか否かを判定する。具体的には、第1判定部25は、流量センサ16によって計測された流量に基づいて第1吸着ノズル15b1又は第2吸着ノズル15b2に部品が吸着されているか否かを判定する。例えば、第1判定部25は、第2吸着ノズル15b2が部品の吸着動作を行った後に流量センサ16によって計測された流量が所定値以上の場合、部品は第2吸着ノズル15b2によって吸着されていないと判定する。また、第1判定部25は、第2吸着ノズル15b2が部品の吸着動作を行った後に流量センサ16によって計測された流量が所定値未満の場合、部品は第2吸着ノズル15b2によって吸着されていると判定する。第1判定部25が判定するタイミングは、バルブ記憶部26が記憶するタイミング情報に基づいて、バルブ制御部24によって制御される。第1判定部25による判定結果は、バルブ制御部24を介して装置制御部30に送信される。
【0051】
また、第1判定部25は、部品認識カメラ11による第2吸着ノズル15b2の先端部15aの認識結果に基づいて、第2吸着ノズル15b2の良否を判定する。第1判定部25は、第2吸着ノズル15b2が異常(不良品)であると判定すると、第2吸着ノズル15b2が異常であることを示す判定結果を報知部34に出力する。また、第1判定部25は、第2吸着ノズル15b2が正常(良品)であると判定すると、第2吸着ノズル15b2が正常であることを示す判定結果を報知部34に出力する。
【0052】
次に、部品装着装置1の構成について、図2~5を用いて説明する。図5は、実施の形態に係る部品装着装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0053】
図2~5に示すように、部品装着装置1は、装置制御部30、装置記憶部31、基板搬送部2、部品供給部4、装着ヘッド8、Y軸ビーム6、X軸ビーム7、部品認識カメラ11、基板認識カメラ12、真空ポンプ19、エア供給源21、大気供給源22、入力部32、表示部33、報知部34、検出部35、第2判定部36及び出力部37を備えている。また、装着ヘッド8は、さらにノズル制御部23を備えている。
【0054】
ノズル制御部23は、装着ヘッド8において第1吸着ノズル15b1が取り付けられた第1位置から、装着ヘッド8における第2位置へと第1吸着ノズル15b1の取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。また、ノズル制御部23は、バルブ制御部24、第1判定部25及びバルブ記憶部26を備えている。ノズル制御部23には、流量センサ16、切換バルブ18、及び、ブローバルブ20が接続されている。ノズル制御部23は、制御部の一例である。
【0055】
装置制御部30は、CPU機能を備える演算処理装置であり、内部処理機能として実装制御部30a及び異常処理部30bを備えている。装置記憶部31は、記憶装置であり、実装データ31a、バルブ制御データ31b、判定制御データ31c、基板検査情報等の生産データを記憶している。
【0056】
実装データ31aには、基板3における部品の装着位置、実装される部品の種類(部品名)等の情報が含まれる。実装制御部30aは、実装データ31aに基づいて、基板搬送部2、部品供給部4、装着ヘッド8、ノズル駆動部9a及びヘッド移動機構を制御することで、吸着ノズル15によって、基板3の装着位置に部品が実装できるように制御する。
【0057】
バルブ制御データ31bには、吸着ノズル15が真空吸着した部品を基板3に搭載する際に、バルブ制御部24が切換バルブ18、ブローバルブ20を切り換えるタイミング情報等が記憶されている。
【0058】
判定制御データ31cには、ノズル制御部23の第1判定部25により流量センサ16の計測結果を判定するタイミング情報、計測した空気の流量が正常であるか否かを判定するための閾値である所定値等が記憶されている。
【0059】
バルブ制御データ31bのタイミング情報、判定制御データ31cのタイミング情報、及び、所定値は、装着ヘッド8の種類(ノズルユニット9の数等)、装着ヘッド8の装着される吸着ノズル15の種類に応じた値が、実験及び経験に基づいて予め決定されている。そして、部品装着装置1に装着される装着ヘッド8の種類、ノズルユニット9に装着される吸着ノズル15の種類等、部品装着装置1の構成に対応する各種データは、バルブ制御データ31b、及び、判定制御データ31cからノズル制御部23が有するバルブ記憶部26に転送されることで記憶される。
【0060】
入力部32は、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時等に用いられる。
【0061】
表示部33は、液晶パネル等の表示装置であり、入力部32による操作のための操作画面等の各種情報の他、基板認識カメラ12によって撮像された撮像画像を表示する。
【0062】
報知部34は、報知灯、フラッシュランプ、ブザー等であり、部品装着装置1の異常等の稼動状況を作業者に報知する。例えば、報知部34は、第2吸着ノズル15b2が異常であることを、第1判定部25が判定した場合、第2吸着ノズル15b2が異常であることを示すエラーを報知する。
【0063】
異常処理部30bは、第1判定部25によって真空吸引系統、又は、エアブロー系統の異常が検出された場合に異常処理を実行する。具体的には、異常処理部30bは、異常が検出された際に基板3に搭載されていた部品の装着位置を基板認識カメラ12によって撮像させることで、撮像させた撮像画像を表示部33に表示させる。さらに、異常処理部30bは、報知部34を作動させて作業者に異常を報知させる。
【0064】
すなわち、第1判定部25によって、真空ポンプ19、エア供給源21、切換バルブ18、ブローバルブ20、及び、吸引・エアブロー回路のいずれかが異常と判定されると、第1判定部25によって異常と判定された際に部品が搭載されたことが期待される基板3上の装着位置を、基板認識カメラ12が撮像する。そして、表示部33が基板認識カメラ12によって撮像された基板3上の位置の撮像画像を表示することで、報知部34は、合わせて異常を報知する。
【0065】
検出部35は、部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、複数の吸着ノズル15の中、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を検出する。検出部35は、検出した不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を示す情報を第2判定部36に出力する。ここで、第1情報は、装着動作のエラーに関する情報、又は、基板3における部品の装着位置の検査結果に関する情報である。
【0066】
装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定するために、ノズル制御部23は、第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2との取り付け位置を変更する。具体的には、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1が検出された場合、ノズル制御部23は、装着ヘッド8に取り付けられていない予備の吸着ノズルを保管しているノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却する。そして、ノズル制御部23は、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0067】
ここで、複数の吸着ノズル15は、第1吸着ノズル15b1と等価な第2吸着ノズル15b2を含んでいる。第2吸着ノズル15b2は、装着ヘッド8において、第2位置に取り付けられている。また、複数の吸着ノズル15は、第1吸着ノズル15b1と等価な吸着ノズル15を複数含んでいる。また、第2吸着ノズル15b2は、複数の等価な吸着ノズル15の中、最も装着不具合が少ないものとする。
【0068】
また、第2判定部36は、取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する情報である第2情報に基づいて、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定する。
【0069】
第2位置に取り付けられた第1吸着ノズル15b1において装着不具合が発生した場合、第2判定部36は、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因すると判定する。ここで、第2情報は、装着動作のエラーに関する情報、又は、基板3における部品の装着位置の検査結果に関する情報である。第2判定部36は、判定部の一例である。
【0070】
また、第2位置に取り付けられた第1吸着ノズル15b1において装着不具合が発生しない場合、ノズル制御部23は、ノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却する。また、ノズル制御部23は、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0071】
出力部37は、少なくとも第2判定部36の判定結果を出力する。出力部37は、例えば、出力インターフェイス、モニタ等の表示部、及び、スピーカ等の音声出力部等である。
【0072】
<処理動作>
次に、本実施の形態に係る部品装着装置1及び部品装着方法の処理動作について説明する。図6は、実施の形態に係る部品装着装置1の処理動作を示すフローチャートである。
【0073】
まずは、図6に示すように、部品装着装置1は、装着ヘッド8に設けられているノズルユニット9における複数の吸着ノズル15の状態の監視を開始する(S11)。
【0074】
検出部35は、部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、複数の吸着ノズル15の中、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を検出する。具体的には、複数の吸着ノズル15のそれぞれの状態監視では、部品の吸着ミス、及び、装着エラー等のエラーの有無が監視される。例えば、同一のテープフィーダ5に対して部品吸着する場合、検出部35は、複数の吸着ノズル15のうち、吸着ミス及び装着エラー(部品の持ち帰り、及び、落下)等のエラーが多い吸着ノズル15を検出したりする。例えば、複数の吸着ノズル15として第1吸着ノズル15b1、第2吸着ノズル15b2、第3吸着ノズル15b3等の等価な吸着ノズル15が同一のテープフィーダ5に対して部品吸着する場合、検出部35は、この第1吸着ノズル15b1、第2吸着ノズル15b2、第3吸着ノズル15b3等のうち、エラー発生数が最も多い、又は、閾値以上の吸着ノズル15を、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1として検出したりする。
【0075】
次に、部品装着装置1は、装置記憶部31に記憶されている生産データに基づいて、生産を開始する(S12)。
【0076】
検出部35は、検出した不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を示す情報を第2判定部36に出力する。第2判定部36は、複数の吸着ノズル15のうちの特定の吸着ノズル15において、吸着ミス及び装着エラーといったエラー発生数、又は、エラー発生率が所定値以上であるか否かを判定する(S13)。つまり、第2判定部36は、エラー発生数、又は、エラー発生率が所定値以上の吸着ノズル15が存在するか否かを判定する。なお、第2判定部36は、基板3において正しい装着位置からの位置ズレの状態を示す情報である基板検査情報に基づいて、エラー発生数、又は、エラー発生率が所定値以上であるか否かを判定してもよい。
【0077】
第2判定部36は、吸着ミス及び装着エラーといったエラー発生数、又は、エラー発生率が所定値未満であることを判定した場合(S13でNO)、部品装着装置1は、生産を継続し(S29)、ステップS30に進む。
【0078】
一方、第2判定部36は、吸着ミス及び装着エラーといったエラー発生数、又は、エラー発生率が所定値以上であることを判定した場合(S13でYES)、装着ヘッド8に設けられているノズルユニット9における複数の吸着ノズル15に等価な吸着ノズル15が存在しているか否かを判定する(S14)。
【0079】
第2判定部36は、装着ヘッド8に設けられているノズルユニット9における複数の吸着ノズル15に等価な吸着ノズル15が存在していないことを判定した場合(S14でNO)、ステップS21に進む。
【0080】
一方、第2判定部36は、装着ヘッド8に設けられているノズルユニット9における複数の吸着ノズル15に等価な吸着ノズル15が存在していることを判定した場合(S14でYES)、ノズル交換部10に、吸着ノズル15を配置するための2つ以上の空きスロットが存在しているか否かを判定する(S15)。つまり、第2判定部36は、吸着ノズル15を交換できる状況であるか否かを判定すると言える。
【0081】
第2判定部36は、ノズル交換部10に、吸着ノズルを配置するための2以上の空きスロットが存在していないことを判定すると(S15でNO)、ステップS21に進む。
【0082】
一方、第2判定部36は、ノズル交換部10に、吸着ノズルを配置するための2以上の空きスロットが存在していることを判定すると(S15でYES)、ノズル制御部23は、エラーが最も少ない等価な吸着ノズル15と特定の吸着ノズル15とを自動交換して装着ヘッド8に取り付ける(S16)。
【0083】
ステップS16の動作について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態に係る部品装着装置1の第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2との取り付け位置を変更する様子を示す図である。
【0084】
ノズル制御部23は、装着ヘッド8において第1吸着ノズル15b1が取り付けられた第1位置から、装着ヘッド8における第2位置へと第1吸着ノズル15b1の取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。具体的には、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1が検出された場合、ノズル制御部23は、装着ヘッド8に取り付けられていない予備の吸着ノズルを保管しているノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却する。そして、ノズル制御部23は、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0085】
例えば、複数の吸着ノズル15として第1吸着ノズル15b1、第2吸着ノズル15b2、第3吸着ノズル15b3等の等価な吸着ノズル15が同一のテープフィーダ5に対して部品吸着することが可能な場合、第1吸着ノズル15b1がエラーの最も多い吸着ノズル15であり、第2吸着ノズル15b2がエラーの最も少ない吸着ノズル15であるとする。この場合、装着ヘッド8は、ノズル交換部10を用いて、装着ヘッド8における取り付け位置(第1位置)に取り付けられている第1吸着ノズル15b1と、装着ヘッド8における取り付け位置(第2位置)に取り付けられている第2吸着ノズル15b2とを交換することで、第2吸着ノズル15b1を第2位置に取り付け、第2吸着ノズル15b1を第1位置に取り付ける。
【0086】
次に、部品装着装置1は、ステップS16でエラーが最も少ない等価な吸着ノズル15と特定の吸着ノズル15とを交換した状態の装着ヘッド8を用いて、部品装着動作を再開する(S17)。例えば、部品装着装置1は、装着ヘッド8の第1位置に取り付けられている吸着ノズル15b2と、装着ヘッド8の第2位置に取り付けられている吸着ノズル15b1とを用いて、部品装着動作を再開する。
【0087】
次に、第2判定部36は、ステップS17で再開した部品装着動作において、エラー発生状況が改善されたか否かを判定する(S18)。つまり、第2判定部36は、装着ヘッド8の第1位置に取り付けられている吸着ノズル15b2のエラー発生数、又は、エラー発生率が所定値未満であるか否かを判定する。第2判定部36は、エラー発生率が所定値以上の場合、第1位置におけるエラー発生状況は改善されていないと判定する(S18でNO)。この場合、例えば、装着ヘッド8に何らかの問題があると考えられる。
【0088】
次に、装着ヘッド8は、交換した等価な吸着ノズル15と特定の吸着ノズル15とを元の取り付け位置に自動的に戻す(S20)。具体的には、第1位置におけるエラー発生率が所定値以上の場合、ノズル制御部23は、ノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却する。また、ノズル制御部23は、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0089】
例えば、装着ヘッド8における第1位置に取り付けられている吸着ノズル15b2と、装着ヘッド8における第2位置に取り付けられている吸着ノズル15b1とを交換することで、吸着ノズル15b1を第1位置に取り付け、吸着ノズル15b2を第2位置に取り付ける。
【0090】
そして、部品装着装置1は、処理動作を、ステップS21に進める。
【0091】
一方、第2判定部36は、ステップS17で再開した部品装着動作において、第1位置におけるエラー発生状況が改善されたことを判定した場合(S18でYES)、エラー発生状況の乗り移りの有無を判定し(S19)、ステップS28に進む。ここで、エラー発生状況の乗り移りとは、第2位置の吸着ノズル15b1のエラー発生数、又は、エラー発生率が所定値以上となることをいう。エラー発生状況の乗り移りがあったと判定された場合、吸着ノズル15b1が異常であると考えられる。
【0092】
また、ステップS14、ステップS15及びステップS21の説明に戻る。
【0093】
ステップS14でNOの場合、ステップS15でNOの場合、及び、ステップS20を経由した場合、第2判定部36は、ノズル交換部10に等価な吸着ノズル15が存在しているか否かを判定する(S21)。
【0094】
第2判定部36は、ノズル交換部10に等価な吸着ノズル15が存在していると判定した場合(S21でYES)、特定の吸着ノズルと等価な吸着ノズル15とを自動交換し(S22)、ステップS24に進む。
【0095】
一方、第2判定部36は、ノズル交換部10に等価な吸着ノズル15が存在していないと判定した場合(S21でNO)、手動交換を作業者に指示するために、報知部34を介して、手動交換を促す指示を出力する。つまり、報知部34は、作業者に手動交換を促す指示を報知し(S23)、ステップS24に進む。
【0096】
次に、部品装着装置1は、ステップS22又はS23による交換後の吸着ノズル15と特定の吸着ノズル15とを交換した状態の装着ヘッド8を用いて、部品装着動作を再開する(S24)。
【0097】
次に、第2判定部36は、ステップS24で再開した部品装着動作において、エラー発生状況が改善されたか否かを判定する(S25)。
【0098】
第2判定部36は、ステップS25で再開した部品装着動作において、エラー発生状況が改善されていないことを判定した場合(S25でNO)、部品装着装置1は、動作(生産)を停止(設備停止)し(S27)、ステップS28に進む。
【0099】
一方、第2判定部36は、ステップS25で再開した部品装着動作において、エラー発生状況が改善されたことを判定した場合(S25でYES)、ノズル交換部10の特定の吸着ノズル15は不良ノズルとして設定し(S26)、ステップS28に進む。
【0100】
また、ステップS19、ステップS26及びステップS27の説明に戻る。
【0101】
ステップS19、ステップS26又はステップS27を経由した場合、出力部37は、作業者に対して判定結果(調査結果)を通知し(S28)、ステップS30に進む。
【0102】
また、ステップS28及びステップS29の説明に戻る。
【0103】
ステップS28又はステップS29を経由した場合、ステップS30に進む。
【0104】
次に、第2判定部36は、生産が完了しているか否かを判定する(S30)。
【0105】
第2判定部36は、生産が完了していないことを判定すると(S30でNO)、部品装着装置1は、ステップS13に処理動作を戻す。
【0106】
一方、第2判定部36は、生産が完了したことを判定すると(S30でYES)、部品装着装置1は、複数の吸着ノズル15の状態の監視を終了し(S31)、処理動作を終了する。
【0107】
<作用効果>
次に、本実施の形態における部品装着装置1及び部品装着方法の作用効果について説明する。
【0108】
上述したように、本実施の形態の部品装着装置1は、装着ヘッド8に取り付けられた複数の吸着ノズル15を用いて部品を基板に装着する部品装着装置1であって、部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、複数の吸着ノズル15の中、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を検出する検出部35と、装着ヘッド8において第1吸着ノズル15b1が取り付けられた第1位置から、装着ヘッド8における第2位置へと第1吸着ノズル15b1の取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する制御部(ノズル制御部23)と、取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する情報である第2情報に基づいて、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定する判定部(第2判定部36)とを備える。
【0109】
これによれば、部品装着装置1では、生産中において、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定することができるため、装着不具合の調査をするために部品装着装置1を停止させなくてもよくなる。また、例えば作業者が原因の究明をする場合よりも効率的に調査をすることができる。
【0110】
したがって、この部品装着装置1では、生産の時間的損失の発生を抑制することができる。その結果、例えば、装着不具合のある吸着ノズル15を交換するために部品装着装置1を停止させたり、交換後の吸着ノズル15の状況を監視及び確認したりしなくてもよくなるため、部品装着装置1における生産性の低下を抑制することができる。
【0111】
特に、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定することができるため、例えば装着不具合の判断を作業者がする場合に比べて、精度よく判定することができる。
【0112】
また、本実施の形態の部品装着方法は、部品装着装置1を用いて部品を基板に装着する部品装着方法である。部品装着装置1は、装着ヘッド8と、装着ヘッド8に取り付けられた複数の吸着ノズル15とを有する。また、部品装着方法は、部品の装着状態に関する情報である第1情報に基づいて装着不具合を検出し、複数の吸着ノズル15の中、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1を検出し、装着ヘッド8において第1吸着ノズル15b1が取り付けられた第1位置から、装着ヘッド8における第2位置へと第1吸着ノズル15b1の取り付け位置を変更して、部品の装着動作を継続し、取り付け位置の変更後の部品の装着状態に関する第2情報に基づいて、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを判定する。
【0113】
この部品装着方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0114】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、第2位置に取り付けられた第1吸着ノズル15b1において装着不具合が発生した場合、判定部は、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因すると判定する。
【0115】
これによれば、装着ヘッド8における第1吸着ノズル15b1の取り付け位置を変更しても、第1吸着ノズル15b1に装着不具合が発生していれば、装着不具合のある第1吸着ノズル15b1を精度よく特定することができる。その結果、装着不具合の原因を特定することができるため、第1吸着ノズル15b1を交換する等の対応をとることができるようになる。
【0116】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、複数の吸着ノズル15は、第1吸着ノズル15b1と等価な第2吸着ノズル15b2を含む。また、第2吸着ノズル15b2は、第2位置に取り付けられている。そして、不良の可能性がある第1吸着ノズル15b1が検出された場合、制御部は、装着ヘッド8に取り付けられていない予備の吸着ノズル15を保管しているノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却し、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0117】
これによれば、装着ヘッド8に取り付けられている第1吸着ノズル15b1と等価の第2吸着ノズル15b2との位置を交換することで、第1吸着ノズル15b1に装着不具合があるか否かを精度よく判定することができるようになる。
【0118】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、第2位置に取り付けられた第1吸着ノズル15b1において装着不具合が発生しない場合、制御部は、ノズル交換部10へと装着ヘッド8から第1吸着ノズル15b1と第2吸着ノズル15b2とを返却し、第1吸着ノズル15b1を取り外した装着ヘッド8の第2位置に第2吸着ノズル15b2を取り付け、第2吸着ノズル15b2を取り外した装着ヘッド8の第1位置に第1吸着ノズル15b1を取り付け、装着動作を継続するように装着ヘッド8を制御する。
【0119】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、複数の吸着ノズル15は、第1吸着ノズル15b1と等価な吸着ノズル15を複数含む。そして、第2吸着ノズル15b2は、複数の等価な吸着ノズル15の中、最も装着不具合が少ない。
【0120】
これによれば、最も装着不具合が少ない第2吸着ノズル15b2と、第1吸着ノズル15b1との取り付け位置を変更することで、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを精度よく判定することができるようになる。
【0121】
また、本実施の形態の部品装着装置1は、少なくとも判定部の判定結果を出力する出力部37をさらに備える。
【0122】
これによれば、作業者は、判定結果に応じて、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを把握することができる。
【0123】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、第1情報と第2情報とは、装着動作のエラーに関する情報である。
【0124】
これによれば、装着動作のエラーがあれば、生産中であっても第1吸着ノズル15b1を交換する等の対応をとることができる。このため、装着動作にエラーのある第1吸着ノズル15b1を使用し続けることによる、部品装着装置1における製品の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0125】
また、本実施の形態の部品装着装置1において、第1情報と第2情報とは、基板3における部品の装着位置の検査結果に関する情報である。
【0126】
これによれば、部品の正しい装着位置からの位置ズレの状態を把握することができるようになる。このため、装着不具合が第1吸着ノズル15b1に起因するか否かを精度よく判定することができるようになる。
【0127】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る部品装着装置及び部品装着方法について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0128】
例えば、上記実施の形態に係る部品装着装置及び部品装着方法に含まれる各部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0129】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0130】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0131】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0132】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0133】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0134】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示の部品装着装置及び部品装着方法は、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0136】
1 部品装着装置
3 基板
8 装着ヘッド
10 ノズル交換部
15 吸着ノズル
15b1 第1吸着ノズル
15b2 第2吸着ノズル
16 流量センサ(計測部)
23 ノズル制御部(制御部)
35 検出部
36 第2判定部(判定部)
37 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7