(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】回遊推定システム及び回遊推定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241108BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024106497
(22)【出願日】2024-07-01
【審査請求日】2024-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510111814
【氏名又は名称】株式会社アドインテ
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】荒川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】十河 慎治
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004336(JP,A)
【文献】特開2022-144212(JP,A)
【文献】特開2019-175123(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131214(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/061623(WO,A1)
【文献】中川 翼 Tsubasa Nakagawa,一般社団法人 人工知能学会 第34回全国大会(2020) [online],2020年06月09日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各場所で回遊する複数のユーザ端末のそれぞれの端末IDと、当該ユーザ端末が滞在した各場所毎のカテゴリ情
報を示す端末IDのカテゴリ情報と、当該場所にユーザ端末が接触した接触日
時を示す前記カテゴリ情報の接触日時とを各ユーザ端
末の端末ID毎に収集する収集制御部と、
前記収集された複数の端末IDと
、前記収集された端末IDのカテゴリ情報と
、前記収集されたカテゴリ情報の接触日時とを3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、前記端末IDの各カテゴリ情報毎に、接触日時から算出される滞在時間の分布を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出する算出制御部と、
前記算出された各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性と、に基づいて、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出する抽出制御部と、
前記抽出された回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合に基づいて、当該回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定する推定制御部と、
を備える回遊推定システム。
【請求項2】
前記抽出制御部は、全ての回遊クラスタを抽出すると、当該抽出した回遊クラスタの数が所定のクラスタ閾値以下であるか否かを判定し、
前記判定の結果、前記回遊クラスタの数が前記クラスタ閾値以下の場合、前記抽出制御部は、抽出処理を終了し、
前記判定の結果、前記回遊クラスタの数が前記クラスタ閾値を超える場合、前記抽出制御部は、端末IDとカテゴリ情報と滞在時間との収集と、各端末ID毎の回遊パターンの算出と、回遊クラスタの抽出とを再度行わせて、前記回遊クラスタの数の収束を図る、
請求項1に記載の回遊推定システム。
【請求項3】
前記推定制御部は、各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合から、カテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の時間割合とを組にして並べた意味付第一階層を作成し、時間割合の範囲と、当該時間割合の範囲内におけるユーザの行動的意味とが関連付けて記憶されている時間割合テーブルを用いて、意味付第一階層のカテゴリ情報の時間割合を、時間割合テーブル800の行動的意味802に変更して、カテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の時間割合に関連付けられた行動的意味を組にした意味付第二階層に変換して、前記言語的意味付けを推定する、
請求項1に記載の回遊推定システム。
【請求項4】
前記推定された言語的意味付けを所定のコンテキスト機械学習部に入力することで、当該言語的意味付けを推定された回遊クラスタのユーザ端末のユーザのコンテキストを生成する生成制御部
を更に備える、
請求項1に記載の回遊推定システム。
【請求項5】
各場所で回遊する複数のユーザ端末のそれぞれの端末IDと、当該ユーザ端末が滞在した各場所毎のカテゴリ情
報を示す端末IDのカテゴリ情報と、当該場所にユーザ端末が接触した接触日
時を示す前記カテゴリ情報の接触日時とを各ユーザ端
末の端末ID毎に収集する収集制御工程と、
前記収集された複数の端末IDと
、前記収集された端末IDのカテゴリ情報と
、前記収集されたカテゴリ情報の接触日時とを3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、前記端末IDの各カテゴリ情報毎に、接触日時から算出される滞在時間の分布を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出する算出制御工程と、
前記算出された各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性と、に基づいて、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出する抽出制御工程と、
前記抽出された回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合に基づいて、当該回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定する推定制御工程と、
を備える回遊推定システムの回遊推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回遊推定システム及び回遊推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザの動線に基づいて、ユーザの属性や特徴を分析、推定する技術は存在する。例えば、特開2019-23851号公報(特許文献1)には、ユーザが操作するユーザ端末と、サービス基盤事業者装置と、サービス享受事業者装置とが互いにインターネットで相互に接続されたデータ分析システムが開示されている。このデータ分析システムのサービス基盤事業者装置は、Webサーバと、ログサーバと、分析サーバとを有する。Webサーバは、ユーザ端末へWebコンテンツを提供し、ログサーバは、ユーザ端末の位置情報及びユーザ端末から入力されるユーザの属性情報をログとして格納する。分析サーバは、ログサーバに格納されているログを収集して保存するデータベースと、データベースに保存されているログを統計処理する統計処理部と、統計処理部で統計処理された統計データをもとに、属性分析データや人流分析データを作成する描画部と、を備える。サービス基盤事業者装置は、サービス享受事業者装置からの要求に応じて、収集したデータを統計処理部が要求に応じた統計処理をし、得られた統計データをもとに、属性分析データ又は人流分析データを作成して、サービス享受事業者装置へ送信する。ここで、描画部が作成する人流分析データは、スポット間移動情報をもとに、ユーザが移動したエリアを表すノードを移動した順に第1の方向へ並べるとともに、ノード間をリンクで結び、かつ、複数のユーザが互いに別の経路で移動したスポットは、ノードを第1の方向と交差する第2の方向に並べて表示する人流情報である。これにより、ユーザ端末を利用するユーザの膨大な属性情報や動態情報を統計処理することで、可視化を容易にすることができ、分析の支援を行うことができるとしている。
【0003】
又、非特許文献1(久保 基ら、“非負値テンソル因子分解を用いた観光行動データからの情報抽出”、マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2019論文集2019、1259-1263、2019-06-26)には、スマートフォンアプリから得られた多次元の観光行動ログデータから、日本全国を対象とした外国人観光客の行動パターンを、滞在時間帯/滞在場所/推定居住国の3階テンソルとして構成し、非負値テンソル因子分解(Nonnegative Tensor Factorization,NTF)を適用することで分析を行ったことが開示されている。これにより、3階テンソルを5つのクラスタに分解することで、7月と8月では、アメリカを中心とした訪日外国人観光客のクラスタ及びイタリアを中心とした訪日外国人観光客のクラスタを抽出することが出来たとしている。
【0004】
又、非特許文献1(熊谷 雄介ら、“非負値複合テンソル因子分解を用いた訪日外国人観光客の回遊行動分析”、電子情報通信学会技術研究報告(IEICE Technical Report(Institute of Electronics, Information and Communication Engineers))、115巻、112号、15-19、2015年6月16日)には、スマートフォンアプリから得られる様々な情報にもとづき、福岡市を中心とした外国人観光客の回遊行動を非負値複合テンソル因子分解(NMTF)を用いて分析を行ったことが開示されている。これにより、時空間情報及び利用者属性に強く依存する回遊パターンが抽出されることが確認出来たとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】久保 基ら、“非負値テンソル因子分解を用いた観光行動データからの情報抽出”、マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2019論文集2019、1259-1263、2019-06-26
【文献】熊谷 雄介ら、“非負値複合テンソル因子分解を用いた訪日外国人観光客の回遊行動分析”、電子情報通信学会技術研究報告(IEICE Technical Report(Institute of Electronics, Information and Communication Engineers))、115巻、112号、15-19、2015年6月16日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、ユーザ端末の属性分析において、ユーザ端末のMACアドレス、GPS情報等の識別情報を用いて、特定のユーザ端末の移動や追跡を考慮した属性分析が行われている。このような識別情報は、追跡性IDと呼ばれている。ここで、追跡性IDとは、識別情報が何であるかが分かることと、識別情報が他の何かと同じであると分かることを備えた識別情報を意味する。
【0008】
一方、現在では、ユーザ端末の識別情報の取得は、法令やプライバシーに触れることは無いが、ESGの観点から、ユーザ端末の識別情報の取得を規制する可能性もあり、又、将来的には、個人情報保護法等で、ユーザ端末の識別情報の取得が、個人情報の定義及び個人関連情報としての取扱に含まれ、ユーザ端末の識別情報の取得自体が難しくなる可能性がある。
【0009】
そこで、今後は、特定のユーザ端末の移動や追跡から、当該特定のユーザ端末の属性を分析するのではなく、複数のユーザ端末の中から、一定の条件でグループに分類し、それぞれのグループの時間経過に伴う行動の変化を分析して、グループの特性を抽象化した匿名の集団の分析(コホート分析)が主流になるであろう。つまり、追跡性IDを収集したとしても、一定の処理を行うことで、個人情報に依存せずにプライバシーを配慮したコホート分析が重要になってくる。
【0010】
ここで、上述した特許文献1に記載の技術では、一人一人のユーザの識別情報の人流情報を基準としており、パターン抽出やパターンのクラスタリングを行っておらず、単に、複数のユーザ端末の時系列事象間の因果関係を算出するだけであり、コホート分析を前提としていない。
【0011】
又、上述した非特許文献1に記載の技術では、特定のグループである訪日外国人観光客のクラスタを抽出している。又、上述した非特許文献2に記載の技術では、時空間情報及び利用者属性に強く依存する回遊パターンを抽出している。しかしながら、このクラスタや回遊パターンに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを明らかにすることは出来ないという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、個人情報に依存せずに、プライバシーを考慮して、特定のグループに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを精度高く推定することが可能な回遊推定システム及び回遊推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る回遊推定システムは、収集制御部と、算出制御部と、抽出制御部と、推定制御部と、を備える。収集制御部は、各場所で回遊する複数のユーザ端末のそれぞれの端末IDと、当該ユーザ端末が滞在した各場所毎のカテゴリ情報と、当該場所にユーザ端末が接触した接触日時とを各ユーザ端末毎に収集する。算出制御部は、前記収集された複数の端末IDと、当該端末IDのカテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の接触日時とを3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、前記端末IDの各カテゴリ情報毎に、接触日時から算出される滞在時間の分布を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出する。抽出制御部は、前記算出された各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性と、に基づいて、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出する。推定制御部は、前記抽出された回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合に基づいて、当該回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定する。
【0014】
又、本発明に係る回遊推定方法は、収集制御工程と、算出制御工程と、抽出制御工程と、推定制御工程と、を備える。回遊推定方法の各制御工程は、回遊推定システムの各制御部に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、個人情報に依存せずに、プライバシーを考慮して、特定のグループに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを精度高く推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る回遊推定システムの機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る回遊推定方法の実行手順を示すためのフローチャートである。
【
図3】4つの無線機器とユーザ端末との近距離無線通信から端末IDと機器IDと接触開始日時と接触終了日時を取得する場合の一例を示す図(
図3A)と、ログテーブルの一例を示す図(
図3B)と、である。
【
図4】機器カテゴリテーブルと回遊テーブルの一例を示す図(
図4A)と、ユーザ端末のGPS機能により端末IDとGPS情報と通信日時を取得する場合とGPSテーブルの一例を示す図(
図4B)と、である。
【
図5】GPSカテゴリテーブルと回遊テーブルの一例を示す図(
図5A)と、行(X軸)を端末IDとし、列(Y軸)をカテゴリ情報とし、奥行き(Z軸)を滞在時間として設定したテンソル形式のグラフの一例を示す図(
図5B)と、である。
【
図6】端末ID「a01」の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列とユーザの行動線形情報の一例を示す図(
図6A)と、回遊クラスタを抽出する場合の一例を示す図(
図6B)と、である。
【
図7】第一の回遊クラスタ(「cluster A」)における各カテゴリ情報毎の時間割合を算出する場合の一例を示す図(
図7A)と、縦軸(X軸)を時間割合とし、横軸(Y軸)をカテゴリ情報として設定した各カテゴリ情報毎の時間割合の一例を示す図(
図7B)と、である。
【
図8】回遊クラスタ(「cluster A」)の意味付第一階層と時間割合テーブルとを照合する場合の一例を示す図(
図8A)と、意味付第一階層から意味付第二階層に変換する場合の一例を示す図(
図8B)と、である。
【
図9】機器カテゴリテーブルとGPSカテゴリテーブルとのそれぞれのカテゴリ情報をメインカテゴリ情報とし、サブカテゴリ情報を加えた場合の一例を示す図(
図9A)と、サブカテゴリ情報を用いて、意味付第一階層から意味付第二階層に変換する場合の一例を示す図(
図9B)と、である。
【
図10】実施例において、行(X軸)を端末IDとし、列(Y軸)をカテゴリ情報とし、奥行き(Z軸)を滞在時間として設定したテンソル形式のグラフと階の説明の一例を示す図である。
【
図11】実施例において、端末ID「USER ID 000001」の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列とユーザの行動線形情報の一例を示す図である。
【
図12】実施例において、所定数の回遊クラスタを抽出する場合の一例を示す図である。
【
図13】実施例において、縦軸(X軸)を時間割合とし、横軸(Y軸)をカテゴリ情報として設定した各カテゴリ情報毎の時間割合の一例を示す図である。
【
図14】実施例において、メインカテゴリ情報で構成される第一の回遊クラスタ(「トップレベル クラスタ」)の意味付第一階層と意味付第二階層と、サブカテゴリ情報を活用した第一の回遊クラスタの意味付第一階層と意味付第二階層との一例を示す図である。
【
図15】言語的意味付けからユーザのコンテキストを生成する場合の一例を示す図である。
【
図16】ユーザのコンテキストから言語又は画像を生成する場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
本発明に係る回遊推定システム1は、
図1に示すように、複数のユーザ端末10と、各場所毎に設置された複数の無線機器11と、ネットワーク12を介してユーザ端末10と無線機器11と無線通信可能なサーバ13とを備えている。
【0019】
ここで、ユーザ端末10は、画面を表示する表示部(出力部)と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける受付部(入力部)と、無線通信用の通信部と、データを記憶させる記憶部と、各部を制御する制御部とを備えている。ユーザ端末10の通信部は、無線機器11とサーバ13とのそれぞれに対して無線通信可能である。又、ユーザ端末10には、GPS機能が設けられており、ユーザ端末10のGPS機能に基づいて、GPS情報がユーザ端末10の位置情報として取得される。GPS情報は、例えば、ユーザ端末10の経度及び緯度を挙げることが出来る。更に、ユーザ端末10は、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコン等である。
【0020】
又、無線機器11は、ユーザ端末10と近距離無線通信可能な通信部を備えている。近距離無線通信とは、無線信号の電波を用いて数十cm~百数十mの範囲内でデータの送信又は受信を行うことを意味する。ここで、ユーザ端末10は、無線機器11の電波受信圏(受信範囲)に入ると、無線機器11と近距離無線通信する。無線機器11は、Wi-Fiセンサ、Beacon端末、又はこれらの組み合わせを含む。
【0021】
又、無線機器11の設置場所は、ユーザ端末10のユーザが出入りし、内部や外部を回遊することが出来る場所であり、例えば、商品を販売する店舗、スーパーマーケット、量販店、駅、道路、大学、学校、公園、病院、ギャンブル場等を挙げることが出来る。又、各場所には、GPS情報による位置情報が予め設定されている。
【0022】
又、ネットワーク12は、ユーザ端末10と、無線機器11と、サーバ13とのそれぞれに通信可能に接続する。ネットワーク12は、Wifi(登録商標)のアクセスポイントを介したLAN(Local Area Network)の他、無線基地局を介したWAN(Wide Area Networ)、第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、第5世代(5G)以降の通信方式、Bluetooth(登録商標)等の無線通信ネットワークを含む。
【0023】
又、サーバ13は、一般的に使用されるコンピュータ等であり、無線及び有線通信用の通信部と、データを蓄積する記憶部と、各種処理する処理部とを備えている。サーバ13は、ネットワーク12を経由してユーザ端末10や無線機器11からデータを受信したり、ユーザ端末10にデータを送信したりする。尚、サーバ13は、一台のサーバであっても、複数のサーバの組み合わせであっても良い。
【0024】
又、ユーザ端末10と、無線機器11と、サーバ13とは、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各制御部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各制御部を実現する。
【0025】
次に、
図1-
図9を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、ユーザ端末10を所有する複数のユーザが、様々な場所を回遊する(行き来する)と、サーバ13の収集制御部101が、各場所で回遊する複数のユーザ端末10のそれぞれの端末IDと、当該ユーザ端末10が滞在した各場所毎のカテゴリ情報と、当該場所にユーザ端末10が接触した接触日時とを各ユーザ端末10毎に収集する(
図2:S101)。
【0026】
ここで、収集制御部101が収集する方法に特に限定は無いが、例えば、ユーザ端末10の回遊場所が、予め設置された無線機器11によって特定される場合は、下記のようになる。即ち、
図3Aに示すように、端末IDが「a01」のユーザ端末10が、機器IDが「abc」の無線機器11の電波受信圏に入ると、当該無線機器11と近距離無線通信する。すると、収集制御部101は、当該無線機器11の機器ID「abc」と、当該ユーザ端末10の端末ID「a01」と、近距離無線通信によるユーザ端末10の接触開始日時(例えば、「2023/4/11 7:30」)と、を取得する。又、端末IDが「a01」のユーザ端末10が、機器IDが「abc」の無線機器11の電波受信圏から出ると、収集制御部101は、当該無線機器11の機器ID「abc」と、当該ユーザ端末10の端末ID「a01」と、近距離無線通信によるユーザ端末10の接触終了日時(例えば、「2023/4/11 7:40」)と、を取得する。そして、収集制御部101は、無線機器11の機器ID「abc」と、当該ユーザ端末10の端末ID「a01」と、接触開始日時「2023/4/11 7:30」と、接触終了日時「2023/4/11 7:40」と、を関連付けたログテーブルを作成する。
【0027】
ここで、ログテーブル300には、
図3Bに示すように、機器ID301と、端末ID302と、接触開始日時303と、接触終了日時304とが関連付けて記憶されている。尚、機器IDは、無線機器11を識別するための識別情報であり、例えば、MACアドレス等を挙げることが出来る。又、端末IDは、ユーザ端末10を識別するための識別情報であり、同様に、MACアドレス等を挙げることが出来る。
【0028】
さて、収集制御部101が、機器IDと、端末IDと、接触開始日時又は接触終了日時とを取得する方法に特に限定は無い。例えば、無線機器11がWi-Fiセンサの場合は、ユーザ端末10は、通常、無線LAN(Local Area Network)通信のアクセスポイントを検索するための電波(Beacon、無方向性の電波)を定期的に発信している。この電波には、ユーザ端末10の端末ID(「a01」)が含まれている。そこで、ユーザ端末10がWi-Fiセンサ11の電波受信圏に入ると、Wi-Fiセンサ11は、ユーザ端末10の電波を受信し、Wi-Fiセンサ11を識別するための機器ID(「abc」)と、電波内の端末ID(「a01」)と、接触開始日時「2023/4/11 7:30」とをネットワーク12を介してサーバ13に送信する。この際、電波強度が送信されても構わない。又、ユーザ端末10がWi-Fiセンサ11の電波受信圏から出ると、Wi-Fiセンサ11は、ユーザ端末10の電波の受信が停止することで、機器ID(「abc」)と、電波受信が停止した端末ID(「a01」)と、接触終了日時(「2023/4/11 7:40」)とをネットワーク12を介してサーバ13に送信する。尚、Wi-Fiセンサ11がユーザ端末10の電波の受信の停止を検出することで、接触終了日時を特定しても構わない。
【0029】
一方、無線機器11がBeacon端末の場合、Beacon端末11は近距離無線通信用の電波を定期的に発信している。この電波は、Beacon端末11を識別するための機器ID(「abc」)が含まれている。そこで、ユーザ端末10がBeacon端末11の電波受信圏に入ると、ユーザ端末10が、Beacon端末11からの電波を受信し、電波内の機器ID(「abc」)と、ユーザ端末10の端末ID(「a01」)と、接触開始日時(「2023/4/11 7:30)とをネットワーク12を介してサーバ13に送信する。尚、この場合、Beacon端末11へ情報をサーバ13に(自動的に)送信する特定のプログラム(アプリケーション等)をユーザ端末10に予め導入しておけばよい。又、ユーザ端末10がBeacon端末11の電波受信圏から出ると、ユーザ端末10が、Beacon端末11からの電波の受信が停止することで、電波受信が停止した機器ID(「abc」)と、端末ID(「a01」)と、接触終了日時(「2023/4/11 7:40」)とをネットワーク12を介してサーバ13に送信する。尚、ユーザ端末10がBeacon端末11の電波の受信の停止を検出することで、接触終了日時を特定しても構わない。
【0030】
このように、無線機器11がWi-Fiセンサ又はBeacon端末のいずれの場合であっても、サーバ13の収集制御部101は、ネットワーク12を介して、一つの無線機器11から、当該無線機器11の周辺に存在するユーザ端末10との近距離無線通信によって、機器IDと、端末IDと、接触開始日時又は接触終了日時とを受信して取得することが出来る。
【0031】
ここで、例えば、
図3Aに示すように、4カ所の場所に、機器IDが「abc」、「def」、「ghi」、「jkl」の4つの無線機器11がそれぞれ設置されている場合、端末ID「a01」のユーザ端末10を保有するユーザが、自身の興味のある場所を回遊し、機器ID「abc」の無線機器11に接近して滞在すると、収集制御部101は、
図3Bに示すように、ログテーブル300に、機器ID301(「abc」)と、端末ID302(「a01」)と、接触開始日時303(「2023/4/11 7:30)と、接触終了日時304(「2023/4/11 7:40」)と、を関連付けて記憶させる。又、端末ID「a01」のユーザ端末10のユーザが、機器ID「jkl」の無線機器11に接近して滞在すると、収集制御部101は、ログテーブル300に、機器ID301(「jkl」)と、端末ID302(「a01」)と、接触開始日時303(「2023/4/11 8:00)と、接触終了日時304(「2023/4/11 8:20」)と、を関連付けて記憶させる。
【0032】
さて、一つの機器ID301に対して一つの端末ID302の接触開始日時303と、接触終了日時304とが関連付けて記憶されると、収集制御部101は、所定の機器カテゴリテーブルを参照する。ここで、機器カテゴリテーブル400には、
図4Aに示すように、機器ID401(例えば、「abc」)と、当該機器IDの無線機器11が設置された場所のカテゴリ情報402(例えば、「PC01」)とが関連付けて記憶されている。ここで、カテゴリ情報は、場所の特徴を示す情報として予め設定されており、例えば、オフィス、教育、寺社仏閣、レジャー、アミューズメント、スポーツ、学習、文化、販売店、外食、医院、交通等を挙げることが出来る。
【0033】
そこで、収集制御部101は、ログテーブル300の機器ID301(「abc」)に対応する機器カテゴリテーブル400の機器ID401(「abc」)を参照し、参照した機器ID401(「abc」)に関連付けられたカテゴリ情報402(「PC01」)を取得する。そして、収集制御部101は、端末ID(「a01」)と、取得したカテゴリ情報(「PC01」)と、接触開始日時(「2023/4/11 8:00」)と、接触終了日時(「2023/4/11 8:20」)と、を関連付けた回遊テーブルを作成する。
【0034】
ここで、回遊テーブル403は、
図4Aに示すように、端末ID404(「a01」)と、カテゴリ情報405(「PC01」)と、接触日時406{接触開始日時(「2023/4/11 7:30」)と接触終了日時(「2023/4/11 7:40」)}とが関連付けて記憶されている。又、上述のように、端末ID(「a01」)のユーザ端末10のユーザが機器ID(「jkl」)の無線機器11の設置場所を回遊した場合は、収集制御部101は、端末ID404(「a01」)と、カテゴリ情報405(「PC04」)と、接触日時406{接触開始日時(「2023/4/11 8:00」)と接触終了日時(「2023/4/11 8:20」)}とが関連付けて記憶させる。このように、回遊テーブル403によって、各無線機器11の周辺を回遊したユーザのユーザ端末10の端末ID404と無線機器11の設置場所のカテゴリ情報405と接触日時406とをデータベース化することが出来る。
【0035】
ところで、上述では、無線機器11を用いて、ユーザ端末10の回遊テーブルを作成したが、ユーザ端末10の回遊場所に無線機器11が無く、ユーザ端末10のGPS機能によって、ユーザ端末10の回遊場所が特定される場合は、下記のようになる。即ち、
図4Bに示すように、端末IDが「a02」のユーザ端末10のユーザが、自身の興味のある場所を回遊し、端末ID「a02」と、GPS機能によるGPS情報(例えば、「X21、Y21」)と、通信日時(例えば、「2023/4/11 7:30」)とをネットワーク12を介してサーバ13に送信する。すると、収集制御部101は、端末ID「a02」と、GPS情報(「X21、Y21」)と、通信日時(「2023/4/11 7:30」)と、を関連付けたGPSテーブルを作成する。
【0036】
ここで、GPSテーブル407には、
図4Bに示すように、端末ID408と、GPS情報409と、通信日時410とが関連付けて記憶されている。ここで、例えば、
図4Bに示すように、端末ID「a02」のユーザ端末10のユーザが、自身の興味のある場所であって、GPS情報(「X20、Y20」)で特定される場所を回遊して滞在すると、収集制御部101は、GPSテーブル407に、端末ID408(「a02」)と、GPS情報409(「X21、Y21」)と、通信日時410(「2023/4/11 7:30」)と、を関連付けて記憶させるとともに、端末ID408(「a02」)と、GPS情報409(「X22、Y22」)と、通信日時410(「2023/4/11 7:45」)と、を関連付けて記憶させる。又、このユーザが、他のGPS情報(「X30、Y30」)で特定される場所を回遊して滞在すると、収集制御部101は、GPSテーブル407に、端末ID408(「a02」)と、GPS情報409(「X31、Y31」)と、通信日時410(「2023/4/11 8:00」)と、を関連付けて記憶させるとともに、端末ID408(「a02」)と、GPS情報409(「X32、Y32」)と、通信日時410(「2023/4/11 8:20」)と、を関連付けて記憶させる。
【0037】
そして、収集制御部101は、ユーザ端末10から端末ID等の情報を受信する度に、受信した端末ID等の情報をGPSテーブル407に記憶させる。これにより、無線機器11が設置されていない場所であっても、ユーザ端末10のGPS機能を利用することで、ユーザ端末10の回遊場所を特定することが出来る。
【0038】
さて、近接する所定数のGPS情報409に対して一つの端末ID408の通信日時410が関連付けられると、収集制御部101は、所定のGPSカテゴリテーブルを参照する。ここで、GPSカテゴリテーブル500には、
図5Aに示すように、特定の場所を示すGPS情報501(例えば、「X20、Y20」)と、当該場所のカテゴリ情報502(例えば、「PC02」)とが関連付けて記憶されている。
【0039】
そこで、収集制御部101は、GPSテーブル407のGPS情報409(「X21、Y21」、「X22、Y22」)を中心とした所定の範囲(例えば、所定の半径を有する円範囲、所定の辺を有する正方形範囲等)内に含まれるGPSカテゴリテーブル500のGPS情報501(「X20、Y20」)を参照し、参照したGPS情報501(「X20、Y20」)に関連付けられたカテゴリ情報402(「PC02」)を取得する。そして、収集制御部101は、GPSカテゴリテーブル500のGPS情報501(「X20、Y20」)が含まれたGPSテーブル407のGPS情報409(「X21、Y21」、「X22、Y22」)のうち、最初の日時を示す通信日時410(「2023/4/11 7:30」)を接触開始日時として取得する。又、収集制御部101は、GPSカテゴリテーブル500のGPS情報501(「X20、Y20」)が含まれたGPSテーブル407のGPS情報409(「X21、Y21」、「X22、Y22」)のうち、
最後の日時を示す通信日時410(「2023/4/11 7:45」)を接触終了日時として取得する。更に、収集制御部101は、端末ID(「a02」)と、取得したカテゴリ情報(「PC02」)と、取得した接触開始日時(「2023/4/11 7:30」)と、接触終了日時(「2023/4/11 7:45」)と、を関連付けた回遊テーブルを作成する。
【0040】
ここで、回遊テーブル503は、
図5Aに示すように、端末ID504(「a02」)と、カテゴリ情報505(「PC02」)と、接触日時506{接触開始日時(「2023/4/11 7:30」)、接触終了日時(「2023/4/11 7:45」)}とが関連付けて記憶されている。又、上述のように、端末ID(「a02」)のユーザ端末10が他のGPS情報(「X30、Y30」)の場所を回遊した場合は、収集制御部101は、端末ID504(「a02」)と、カテゴリ情報505(「PC03」)と、接触日時506{接触開始日時(「2023/4/11 8:00」)、接触終了日時(「2023/4/11 8:20」)}とが関連付けて記憶させる。このように、無線機器11が設置されていない場所であっても、ユーザ端末10のGPS機能を利用することで、各場所を回遊したユーザ端末10の端末ID504と回遊場所のカテゴリ情報505と接触日時506とをデータベース化することが出来る。
【0041】
さて、収集制御部101が収集を完了すると、サーバ13の算出制御部102は、収集された複数の端末IDと、当該端末IDのカテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の接触日時とを3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、端末IDの各カテゴリ情報毎に、接触日時から算出される滞在時間の分布を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出する(
図2:S102)。
【0042】
ここで、算出制御部102が算出する方法に特に限定は無い。例えば、一つの端末IDに対して関連付けられたカテゴリ情報と、接触日時とのデータは、テンソル形式により表現することが出来る。テンソルとは、行列の拡張であり、例えば、行(X軸)、列(Y軸)及び奥行き(Z軸)という3つの軸を有するデータのことを意味する。一つの端末IDに対するカテゴリ情報と、滞在時間とのデータをテンソル形式にした場合、行の軸は、端末IDとされ、列の軸は、カテゴリ情報とされ、奥行きの軸は、接触日時とされる。テンソル形式のデータ中に存在するクラスタを発見する場合、非負値テンソル因数分解(Non-negative Tensor Factorization:NTF)が有効である。クラスタとは、例えば、一定の類似度に基づいて分類されたグループであり、似たような特徴を有するグループを意味する。テンソル形式のデータに対してNTFを適用すると、当該テンソル形式のデータは、より低次のランクの行列(以下、「低次行列」という。)の積に分解される。各低次行列は、それぞれ、テンソル形式のデータ中に存在する各行、各列、及び各奥行きに対応する事物のクラスタへの寄与度を示す。その結果、テンソル形式のデータ中に存在するクラスタの発見が可能となる。
【0043】
本発明では、
図5Bに示すように、算出制御部102が、回遊テーブルを用いて、行(X軸)を端末IDとし、列(Y軸)をカテゴリ情報として設定する。次に、算出制御部102は、端末IDとカテゴリ情報とで特定される接触日時について、接触終了日時から接触開始日時を減算した減算時間を、カテゴリ情報の場所におけるユーザの滞在時間として算出する。例えば、端末ID「a01」とカテゴリ情報「PC01」とで特定される接触日時では、接触終了日時(「2023/4/11 7:40」)から接触開始日時(「2023/4/11 7:30」)を減算することで、滞在時間(「10」)が算出される。ここで、算出制御部102は、端末IDに属する各カテゴリ情報毎のそれぞれの接触日時から各カテゴリ情報毎の滞在時間を算出する。端末ID「a01」に属するカテゴリ情報「PC04」では、算出制御部102は、接触終了日時(「2023/4/11 8:20」)から接触開始日時(「2023/4/11 8:00」)を減算した滞在時間(「20」)を算出する。一方、算出制御部102は、接触日時が存在しないカテゴリ情報について、滞在時間を「null」(「0」)として取り扱う。
【0044】
そして、算出制御部102は、奥行き(Z軸)を滞在時間として設定し、端末IDと、カテゴリ情報と、滞在時間とを3階(3次元)のテンソルとして取り扱う。ここでは、端末IDの各カテゴリ情報毎の滞在時間は、端末IDのユーザ端末10のユーザの行動履歴(接触履歴)を反映しており、ユーザの行動線形情報として取り扱われる。又、算出制御部102は、3階のテンソルについて、基底数を3とし、階0を端末IDとし、階1をカテゴリ情報とし、階2を滞在時間として、非負値テンソル因数分解を行い、端末IDの各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出する。ここで、端末IDの回遊パターンは、複数のカテゴリ情報の順番に対応して並べられた各カテゴリ情報毎の滞在時間を配列した低次行列に対応する。
【0045】
さて、例えば、端末ID「a01」の回遊パターンが算出されると、
図6Aに示すように、端末ID「a01」の回遊パターン601は、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示しており、Y軸に対応する複数のカテゴリ情報の順番「PC01」、「PC02」、「PC03」、「PC04」、、、に対応して、Z軸の接触日時から算出される各カテゴリ情報毎の複数の滞在時間「10」、「null」、「null」、「20」、、、が配列されている。ここで、Y軸の各カテゴリ情報毎について、Z軸の接触日時から算出される滞在時間をプロットすると、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示す回遊パターンは、端末ID「a01」のユーザ端末10のユーザの行動線形情報(低次行列)として表現される。そして、算出制御部102は、端末IDの回遊パターンを各端末ID毎に算出する。これにより、各端末ID毎のユーザ端末10の回遊パターンをユーザの行動線形情報として算出することが出来る。
【0046】
さて、算出制御部102が算出を完了すると、サーバ13の抽出制御部103は、算出された各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性と、に基づいて、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出する(
図2:S103)。
【0047】
ここで、抽出制御部103が抽出する方法に特に限定は無い。先ず、抽出制御103は、各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性に基づいて、候補となる端末IDの回遊パターンを抽出する。例えば、抽出制御部103は、基準となる第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601において、滞在時間が「null」であるカテゴリ情報の数を基準端末IDのゼロ総数として算出する。次に、抽出制御部103は、
図6Bに示すように、第一の端末ID(例えば、「a01」)の回遊パターン601と、他の第二の端末ID(例えば、「a02」)の回遊パターン602とを比較して、同じ位置のカテゴリ情報において、滞在時間が「null」で共通するカテゴリ情報の数を比較端末IDのゼロ数として算出する。そして、抽出制御部103は、比較端末IDのゼロ数を基準端末IDのゼロ総数で除算した除算値を比較端末IDのゼロ比率として算出し、比較端末IDのゼロ比率が、所定のゼロ閾値(例えば、「0.8」)以上であるか否かを判定する。
【0048】
上述では、カテゴリ情報が複数存在していると想定しているが、ここでは、本発明の理解を容易にするために、4種類のカテゴリ情報しか存在しないと仮定する。すると、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601における各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列は、「10」、「null」、「null」、「20」であるが、第二の端末ID(「a02」)の回遊パターン602における各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列は、「null」、「15」、「20」、「null」である。そのため、第一の端末IDの回遊パターン601における基準端末IDのゼロ総数は、「2」であり、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と第二の端末ID(「a02」)の回遊パターン602とを比較して算出される比較端末IDのゼロ数は、「0」であるため、比較端末IDのゼロ比率は、「0」である。この場合は、抽出制御部103は、比較端末IDのゼロ比率がゼロ閾値(「0.8」)未満であると判定し、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第二の端末ID(「a02」)の回遊パターン602とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列が類似しないと判定する。
【0049】
すると、抽出制御部103は、第二の端末ID(「a02」)の回遊パターン602の次の第三の端末ID(例えば、「a03」)の回遊パターン603を参照して、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603とを比較して、(第三の端末IDに対応する)比較端末IDのゼロ数を算出し、比較端末IDのゼロ比率を算出し、比較端末IDのゼロ比率がゼロ閾値(「0.8」)以上であるか否かを判定する。
【0050】
ここで、第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603における各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列は、「5」、「null」、「null」、「5」である。第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603とを比較して算出される比較端末IDのゼロ数は、「2」であるため、比較端末IDのゼロ比率は、「1」である。この場合は、抽出制御部103は、比較端末IDのゼロ比率(「1」)がゼロ閾値(「0.8」)以上であると判定し、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列が類似すると判定する。これにより、各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性を判断して、候補となる端末IDの回遊パターンを抽出することが出来る。
【0051】
次に、抽出制御103は、各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性に基づいて、更に、類似する端末IDの回遊パターンを抽出する。例えば、抽出制御部103は、基準の第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601において、滞在時間が「null」でないカテゴリ情報の数を基準端末IDの非ゼロ総数として算出する。次に、抽出制御部103は、
図6Bに示すように、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、候補の第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603とを比較して、同じ位置のカテゴリ情報において、第一の端末ID(「a01」)の滞在時間と第三の端末ID(「a03」)の滞在時間との差分値が所定の差分閾値(例えば、「5」)の範囲内であるカテゴリ情報の数を比較端末IDの非ゼロ数として算出する。そして、抽出制御部103は、比較端末IDの非ゼロ数を基準端末IDの非ゼロ総数で除算した除算値を比較端末IDの非ゼロ比率として算出し、比較端末IDの非ゼロ比率が、所定の非ゼロ閾値(例えば、「0.8」)以上であるか否かを判定する。
【0052】
例えば、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601における基準端末IDの非ゼロ総数は、「2」であり、一番目のカテゴリ情報における差分値が「5」であり、四番目のカテゴリ情報における差分値が「15」であるため、比較端末IDの非ゼロ数は、「1」であり、比較端末IDの非ゼロ比率は、「0.5」である。この場合は、抽出制御部103は、比較端末IDの非ゼロ比率が非ゼロ閾値(「0.8」)未満であると判定し、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第三の端末ID(「a03」)の回遊パターン603とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間が近似しないと判定する。
【0053】
すると、抽出制御部103は、次の第四の端末ID(例えば、「a04」)の回遊パターン604を参照して、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とを比較して、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列が類似するか否かを判定する。
【0054】
ここで、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604における各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列は、「15」、「null」、「null」、「15」であるため、比較端末IDのゼロ数は、「2」であり、比較端末IDのゼロ比率は、「1」であるため、抽出制御部103は、比較端末IDのゼロ比率(「1」)がゼロ閾値(「0.8」)以上であると判定し、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列が類似すると判定する。
【0055】
次に、抽出制御部103は、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とを比較すると、一番目のカテゴリ情報における差分値が「5」であり、四番目のカテゴリ情報における差分値が「5」である。そのため、比較端末IDの非ゼロ数は、「2」であり、比較端末IDの非ゼロ比率は、「1」となる。この場合は、抽出制御部103は、比較端末IDの非ゼロ比率が非ゼロ閾値(「0.8」)以上であると判定し、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とにおいて、各カテゴリ情報毎の滞在時間が近似すると判定する。この場合は、抽出制御部103は、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604が第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と類似する回遊パターンとして抽出し、類似する第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601と第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604とを第一の回遊クラスタ(例えば、「cluster A」)として抽出する。これにより、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出することが可能となる。
【0056】
尚、抽出制御部103は、各端末ID毎の回遊パターンを比較して、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性の判定と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性の判定とを繰り返すことで、所定数の回遊クラスタを抽出することになる。
【0057】
ここで、
図6Bに示すように、抽出制御部103が、更に、第二の端末ID(「a02」)の回遊パターン602と第五の端末ID(「a05」)の回遊パターン605とを第二の回遊クラスタ(例えば、「cluster B」)として抽出したとする。
【0058】
ここで、抽出制御部103が所定数の回遊クラスタを抽出した後は、そのまま次の工程に進んでも良いが、回遊クラスタから推定される言語的意味の精度を高めるために、抽出制御部102が、全ての回遊クラスタを抽出すると、抽出した回遊クラスタの数が所定のクラスタ閾値(例えば、「2」)以下であるか否かを判定しても良い(
図2:S104)。
【0059】
上述のように、抽出された回遊クラスタの数は、「2」であるため、抽出制御部102が、回遊クラスタの数がクラスタ閾値(「2」)以下であると判定する(
図2:S104YES)。この場合、抽出制御部103は、特徴的な回遊パターンをクラスタリングした回遊クラスタの数が収束していると判定し、抽出処理を終了する。
【0060】
一方、抽出された回遊クラスタの数が、「3」である場合、抽出制御部102が、回遊クラスタの数がクラスタ閾値(「2」)を超えると判定する(
図2:S104NO)。この場合、抽出制御部103は、特徴的な回遊パターンをクラスタリングした回遊クラスタの数が拡散していると判定する。すると、抽出制御部103は、S101に戻って、端末IDとカテゴリ情報と滞在時間との収集(
図2:S101)と、各端末ID毎の回遊パターンの算出(
図2:S102)と、回遊クラスタの抽出(
図2:S103)とを再度行わせて、回遊クラスタの数の収束を図る。そして、抽出制御部103は、抽出した回遊クラスタの数が所定のクラスタ閾値(「2」)以下であるか否かを判定する(
図2:S104)。これにより、判定対象の端末IDの回遊パターンの数を増やして、回遊クラスタの数を収束するように処理することで、特徴的な回遊パターンを集めた回遊クラスタを精度高く抽出することが出来る。
【0061】
さて、抽出制御部103が抽出を完了すると、サーバ13の推定制御部104は、抽出された回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合に基づいて、当該回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定する(
図2:S105)。
【0062】
ここで、推定制御部104が推定する方法に特に限定は無い。例えば、
図7Aに示すように、推定制御部104は、第一の回遊クラスタ(例えば、「cluster A」)を参照して、第一の回遊クラスタ(「cluster A」)に属する所定数の端末IDの回遊クラスタにおける所定のカテゴリ情報の滞在時間を全て合算した総時間を当該カテゴリ情報の総滞在時間として各カテゴリ情報毎に算出する。次に、推定制御部104は、各カテゴリ情報毎の総滞在時間を全て合算した総時間を全部時間として算出し、所定のカテゴリ情報の総滞在時間を全部時間で除算した除算値を当該カテゴリ情報の時間割合として算出する。
【0063】
例えば、推定制御部104は、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601における一番目のカテゴリ情報の滞在時間「10」と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604における一番目のカテゴリ情報の滞在時間「15」とを全て合算して、一番目のカテゴリ情報の総滞在時間「25」を算出する。又、推定制御部104は、第一の端末ID(「a01」)の回遊パターン601における四番目のカテゴリ情報の滞在時間「20」と、第四の端末ID(「a04」)の回遊パターン604における四番目のカテゴリ情報の滞在時間「15」とを全て合算して、四番目のカテゴリ情報の総滞在時間「35」を算出する。尚、第一の回遊クラスタ(「cluster A」)では、二番目と三番目のカテゴリ情報の滞在時間は「null」であるため、二番目と三番目のカテゴリ情報の総滞在時間は「0」となる。次に、推定制御部104は、一番目のカテゴリ情報の総滞在時間「25」と、四番目のカテゴリ情報の総滞在時間「35」とを全て合算して、全部時間「60」を算出し、一番目のカテゴリ情報の総滞在時間「25」を全部時間「60」で除算して、一番目のカテゴリ情報の時間割合「41.7%」(0.417)を算出し、四番目のカテゴリ情報の総滞在時間「35」を全部時間「60」で除算して、一番目のカテゴリ情報の時間割合「58.3%」(0.58.3)を算出する。尚、二番目と三番目のカテゴリ情報の時間割合は「0.0%」となる。
【0064】
ここで、縦軸(X軸)を時間割合とし、横軸(Y軸)をカテゴリ情報として設定して、算出された各カテゴリ情報毎の時間割合を示すと、
図7Bに示すように、四番目のカテゴリ情報(「PC04」)に最も多くの時間が使われており、その次に一番目のカテゴリ情報(「PC01」)に時間が使われていることが理解される。つまり、第一の回遊クラスタ(「cluster A」)では、四番目のカテゴリ情報(「PC04」)に最も関心があり、次に一番目のカテゴリ情報(「PC01」)に関心があることが推定される。
【0065】
次に、推定制御部104では、各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合を用いて、回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを行う。具体的には、
図8Aに示すように、推定制御部104が、所定の回遊クラスタ(「cluster A」)の各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合から、カテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の時間割合とを組にして並べた意味付第一階層を作成する。ここでは、カテゴリ情報と時間割合との組は、例えば、時間割合が小さい順番に並べられている。回遊クラスタ(「cluster A」)の意味付第一階層では、{PC02:0.0%},{PC03:0.0%},{PC01:41.7%},{PC04:58.3%}となる。そして、推定制御部104は、時間割合テーブルを参照する。
【0066】
時間割合テーブル800には、
図8Aに示すように、時間割合の範囲801と、当該時間割合の範囲801内におけるユーザの行動的意味802とが関連付けて記憶されている。時間割合の範囲801は、範囲801が小さい順に並べられている。例えば、時間割合の範囲801が、「0.0%<t≦5.0%」の場合は、行動的意味802は、「少し滞在し」とされ、時間割合の範囲801が、「5.0%<t≦25.0%」の場合は、行動的意味802は、「足早に鑑賞し」とされ、時間割合の範囲801が、「25.0%<t≦50.0%」の場合は、行動的意味802は、「ぐるりと見て回り」とされ、時間割合の範囲801が、「50.0%<t≦75.0%」の場合は、行動的意味802は、「じっくり見て回り」とされている。このように、時間割合が長い程、行動的意味が、その場所での滞在を長くするように設定されている。尚、時間割合が「0.0%」の場合は、全く関係が無いため、行動的意味802は存在しない。
【0067】
さて、推定制御部104は、
図8Bに示すように、作成した意味付第一階層の所定のカテゴリ情報の時間割合が含まれる時間割合テーブル800の時間割合の範囲801に照合して、照合した時間割合の範囲801に関連付けられた行動的意味802を、当該カテゴリ情報に関連付ける。推定制御部104は、意味付第一階層のカテゴリ情報の時間割合を、時間割合テーブル800の行動的意味802に変更して、カテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の時間割合に関連付けられた行動的意味を組にした意味付第二階層に変換して、言語的意味付けを推定する。
【0068】
例えば、推定制御部104は、意味付第一階層の一番目と二番目のカテゴリ情報の時間割合を参照すると、一番目と二番目のカテゴリ情報の時間割合は、「0.0%」であるため、推定制御部104が時間割合テーブル800の時間割合の範囲801を参照しても、照合する時間割合の範囲801は存在しない。そのため、推定制御部104は、次の三番目のカテゴリ情報の時間割合を参照する。三番目のカテゴリ情報の時間割合は、「41.7%」であるため、推定制御部104は、時間割合「41.7%」が含まれる時間割合の範囲801の「25.0%<t≦50.0%」に関連付けられた行動的意味802の「ぐるりと見て回り」を取得して、三番目のカテゴリ情報に関連付ける。又、四番目のカテゴリ情報の時間割合は、「58.3%」であるため、推定制御部104は、時間割合「58.3%」が含まれる時間割合の範囲801の「50.0%<t≦75.0%」に関連付けられた行動的意味802の「じっくり見て回り」を取得して、四番目のカテゴリ情報に関連付ける。このように、推定制御部104は、カテゴリ情報と、カテゴリ情報に関連付けられた行動的意味とを一組とした意味付第二階層に変換することが出来る。
【0069】
ここで、例えば、三番目のカテゴリ情報の「PC03」が、「オフィス」であり、四番目のカテゴリ情報の「PC04」が、「スポーツ」であれば、この回遊クラスタ(「cluster A」)の移動及び滞在は、「オフィス」を「ぐるりと見て回り」、「スポーツ」を「じっくり見て回り」という生活行動があるか、これらに興味関心があることが理解される。このように、推定制御部104が、意味付第二階層まで変換することで、回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定することが可能となり、個人情報に依存せずに、プライバシーを考慮して、特定のグループに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを精度高く推定することが出来るのである。
【0070】
ここで、所定の回遊クラスタ(「cluster A」)の移動及び滞在から、言語的意味付けに基づいた回遊クラスタの基本目的の明確化が可能となるため、例えば、この基本目的から、回遊クラスタをターゲットとしたマーケティングやプロモーションが可能となる。
【0071】
尚、上述では、推定制御部104は、各カテゴリ情報毎の時間割合を一定の式で一義的に算出しているが、カテゴリ情報の内容に応じて、それぞれの時間割合に一定の重み付けを行い、各カテゴリ情報毎の時間割合に高低差が生じるようにしても構わない。これにより、言語的意味付けを行う際に、生活行動や興味関心をより鮮明に推定することが可能となる。
【0072】
ところで、カテゴリ情報が具体的である程、言語的意味付けの具体性が向上する。そこで、カテゴリ情報を具体的にするために、上述した機器カテゴリテーブル400及びGPSカテゴリテーブル500について、メインカテゴリ情報とサブカテゴリ情報とを二つ関連付けて設定するようにしても構わない。例えば、
図9Aに示すように、機器カテゴリテーブル400には、
図9Aに示すように、機器ID401(「abc」)と、当該機器IDの無線機器11が設置された場所のメインカテゴリ情報402(「PC01」)と、当該場所のサブカテゴリ情報900(例えば、「SC01」)が関連付けて記憶されている。又、GPSカテゴリテーブル500には、GPS情報501(「X20、Y20」)と、当該場所のメインカテゴリ情報502(「PC02」)と、当該場所のサブカテゴリ情報900(例えば、「SC02」)が関連付けて記憶されている。ここで、メインカテゴリ情報402、502は、上述のように、オフィス、教育、寺社仏閣、レジャー、アミューズメント、スポーツ、学習、文化、販売店、外食、医院、交通等の大まかなカテゴリが設定され、サブカテゴリ情報900には、例えば、販売店の分野である日用品、ドラッグストア、コンビニエンスストア、珈琲専門店等、具体的なカテゴリが設定される。
【0073】
ここで、S101において、端末IDとカテゴリ情報と滞在時間との収集の際に、メインカテゴリ情報402、502に加えてサブカテゴリ情報900を収集されるが、S102における各端末ID毎の回遊パターンの算出と、S103における回遊クラスタの抽出とは、メインカテゴリ情報402、502を用いることで行われる。そして、S105における回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合を算出する際に、サブカテゴリ情報900が適宜使用される。
【0074】
例えば、
図9Bに示すように、第一の回遊クラスタ(例えば、「cluster A」)について、メインカテゴリ情報が、「PC01」、「PC02」、「PC03」、「PC04」、、、であり、メインカテゴリ情報の時間割合が、「15.0%」、「5.0%」、「30.0%」、「10.0%」、、、である。ここで、メインカテゴリ情報の「PC03」と「PC04」が、ともに販売店に関係するカテゴリ情報の場合、そのまま言語的意味付けを行っても、第一の回遊クラスタが興味を示す販売のターゲットを明確にし難い。そこで、推定制御部104は、メインカテゴリ情報のうち、分野が共通したり、目的が共通したりする複数の共通メインカテゴリ情報について、それぞれのサブカテゴリ情報900を取得して、共通メインカテゴリ情報の時間割合の合計を全部時間割合として算出し、取得したサブカテゴリ情報の時間割合を全部時間割合で除算した除算値を、取得したサブカテゴリ情報の時間割合として算出する。
【0075】
例えば、メインカテゴリ情報「PC03」のサブカテゴリ情報「SC03」とメインカテゴリ情報「PC04」のサブカテゴリ情報「SC04」を取得し、共通メインカテゴリ情報の時間割合の合計「40.0%」(「30.0%」+「10.0%」)を全部時間割合として算出し、サブカテゴリ情報「SC03」の時間割合を「75.0%」(「30.0%」/「40.0%」)とし、サブカテゴリ情報「SC04」の時間割合を「25.0%」(「10.0%」/「40.0%」)として算出する。そして、推定制御部104は、最も高い時間割合を有するサブカテゴリ情報「SC03」を意味付第一階層へ反映させる。ここでは、{PC02:5.0%},{PC01:15.0%},{SC03:75.0%}となる。そして、推定制御部104は、時間割合テーブル800を用いて、意味付第一階層を意味付第二階層に変換して、第一の回遊クラスタの言語的意味付けを行う。ここでは、意味付第二階層は、{PC02:少し滞在し},{PC01:足早に鑑賞し},{SC03:じっくり見て回り}となる。ここで、例えば、サブカテゴリ情報「SC03」が「ドラッグストア」であれば、第一の回遊クラスタは、「ドラッグストア」で「じっくり見て回り」、買い物をする生活行動や興味関心があることが分かる。
【0076】
尚、サブカテゴリ情報を用いなかった場合、例えば、メインカテゴリ情報の「PC03」と「PC04」が、「販売店A」「販売店B」でともに「販売店」の場合、メインカテゴリ情報「PC03」では、時間割合が「30.0%」のため、行動的意味が「ぐるりと見て回り」となり、メインカテゴリ情報「PC04」では、時間割合が「10.0%」のため、行動的意味が「足早に鑑賞し」となる。そのまま言語的意味付けを行うと、「販売店A」で「足早に鑑賞し」、「販売店B」で「ぐるりと見て回り」と変換され、第一の回遊クラスタの言語的意味が不明確になることが分かるであろう。
【0077】
従って、メインカテゴリ情報にサブカテゴリ情報を加えることで、より明確な回遊クラスタの言語的意味付けが可能となるのである。
【0078】
さて、本発明の適用例を説明する。例えば、様々な場所に無線機器11を設置して、各場所で回遊する複数のユーザ端末10のそれぞれの端末ID(例えば、「USER ID 000001」)と、当該ユーザ端末10が滞在した各場所毎のカテゴリ情報(例えば、「PLACE CATEGORY N」)と、当該場所でユーザ端末10が滞在した滞在時間とを各ユーザ端末10毎に収集した。
【0079】
そして、収集された複数の端末IDと、当該端末IDのカテゴリ情報と、当該カテゴリ情報の接触日時とを3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、端末IDの各カテゴリ情報毎に、接触日時から算出される滞在時間の分布を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出した。
図10に示すように、行(X軸)を端末IDとし、列(Y軸)をカテゴリ情報とし、奥行き(Z軸)を滞在時間として設定することで、端末IDと、カテゴリ情報と、滞在時間とを3階(3次元)のテンソルとして取り扱った。そして、階0を端末IDとし、水準数をn(多数)とし、水準を、計測する端末数(固定MACアドレス数)とした。階1をカテゴリ情報とし、水準数を12とし、水準を設置場所数とした。階2を滞在時間とし、水準数を2,880とし、水準を滞在時間としている。このようにして、端末IDの各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示す回遊パターンを各端末ID毎に算出した。
【0080】
ここで、例えば、端末ID「USER ID 000001」の回遊パターンが算出されると、
図11に示すように、端末ID「USER ID 000001」の回遊パターンは、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示しており、Y軸に対応する複数のカテゴリ情報の順番「PLACE0001」、「PLACE0002」、「PLACE0003」、「PLACE0004」、、、に対応して、Z軸の接触日時から算出される各カテゴリ情報毎の複数の滞在時間「0.5」、「10.0」、「40.0」、「60.0」、、、が配列される。そして、Y軸の各カテゴリ情報毎について、Z軸の接触日時から算出される滞在時間がプロットされると、各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列を示す回遊パターンは、端末ID「USER ID 000001」のユーザ端末10のユーザの行動線形情報として表現される。
【0081】
そして、算出された各端末ID毎の回遊パターンにおける各カテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と、各カテゴリ情報毎の滞在時間の近似性と、に基づいて、類似する所定数の端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出した。例えば、
図12に示すように、各端末ID毎の回遊パターンの類似性と近似性から、所定数の回遊クラスタ(例えば、「クラスタA」、「クラスタB」)を抽出した。更に、抽出された回遊クラスタに属する所定数の端末IDの回遊クラスタの各カテゴリ情報毎の滞在時間の時間割合を算出した。
【0082】
ここで、
図13に示すように、縦軸(X軸)を時間割合とし、横軸(Y軸)をカテゴリ情報として設定して、算出された各カテゴリ情報毎の時間割合を示すと、カテゴリ情報の「交通…」、「文化…」、「販売店…」、「販売店…」、「販売店…」、「外食店…」、、、に対して、回遊クラスタ(「クラスタA」)の時間割合は、「12.0」、「18.2」、「9.6」、「20.8」、「2.6」、「30.9」、、、である。ここで、三番目から五番目までのカテゴリ情報は、「販売店…」と相互に関連しているため、共通メインカテゴリ情報として取り扱い、共通メインカテゴリ情報「販売店…」として、その時間割合を、三番目から五番目までのカテゴリ情報の時間割合の合計「33.0」を算出した。
【0083】
そして、
図14に示すように、メインカテゴリ情報で構成される第一の回遊クラスタ(「トップレベル クラスタ」)について、意味付第一階層を生成した。意味付第一階層は、{交通…:12.0%},{文化…:18.2%},{販売店…:33.0%},{外食店…:30.9%}、、、となった。これに時間割合テーブルを適用して、意味付第二階層に変換すると、意味付第二階層は、{交通…:少し滞在し},{文化…:足早に鑑賞し},{販売店…:ぐるりと見て回り},{外食店…:急ぎ食事をし}となった。尚、時間割合テーブルの行動的意味の内容は、カテゴリ情報の内容に応じて設計しており、カテゴリ情報が「外食店」の場合、「ぐるりと見て回り」を「急ぎ食事をし」に変更している。これにより、第一の回遊クラスタ(「トップレベル クラスタ」)の生活行動や興味関心の特徴が明確になることが理解される。
【0084】
更に、サブカテゴリ情報を活用した第一の回遊クラスタ(「セカンダリ クラスタ」)について、意味付第一階層を生成した。意味付第一階層は、{交通…:12.0%},{文化…:18.2%},{ドラッグ…:26.0%},{外食店…:30.9%}、、、となった。「ドラッグ」が、共通メインカテゴリ情報「販売店…」のうち、最も高い時間割合を有するメインカテゴリ情報のサブカテゴリ情報である。これに時間割合テーブルを適用して、意味付第二階層に変換すると、意味付第二階層は、{交通…:少し滞在し},{文化…:足早に鑑賞し},{ドラッグ:中心に買い物をし},{外食店…:急ぎ食事をし}となった。ここでも、サブカテゴリ情報が「ドラッグ」の場合、「ぐるりと見て回り」を「中心に買い物をし」に変更している。これにより、第一の回遊クラスタ(「セカンダリ クラスタ」」)の生活行動や興味関心の特徴がより具体的になったことが理解される。これらの言語的意味付けを活用して、例えば、回遊クラスタの属性(性別、年齢層、趣味、趣向等)を更に推定して、マーケティングやプロモーションに活用することが出来るのである。
【0085】
さて、本発明では、推定制御部104が言語的意味付けを推定すると(
図2:S105)、当該言語的意味付けをそのまま出力しても良いし、サーバ13の生成制御部105が、推定された言語的意味付けを所定のコンテキスト機械学習部に入力することで、当該言語的意味付けを推定された回遊クラスタのユーザ端末10のユーザのコンテキストを生成しても良い(
図2:S106)。
【0086】
ここで、ユーザのコンテキストとは、ユーザ端末10を携帯するユーザの背景、状況、場面等を意味し、ユーザのコンテキストを生成にすることで、ユーザが生活者として有する基本属性や興味関心、行動条件を具体的に明確にすることが出来る。
【0087】
さて、生成制御部105がコンテキストを生成する方法に特に限定は無いが、例えば、
図15に示すように、推定制御部104が、メインカテゴリ情報で構成される第一の回遊クラスタ(「トップレベル クラスタ」)について、意味付第一階層({交通…:12.0%}、、、)と、意味付第二階層({交通…:少し滞在し}、、、)を生成すると、生成制御部105は、第一の回遊クラスタの意味付第一階層と意味付第二階層とをコンテキスト機械学習部105aに入力する。
【0088】
ここで、コンテキスト機械学習部105aとは、あるデータの中から一定の規則を発見し、その規則に基づいて未知のデータに対する推測や予測などを実現する機械学習の手法を用いたコンピュータ、装置、ソフトウェア等を挙げることが出来る。機械学習については公知の技術を用いてもよく、機械学習に特に限定は無いが、例えば、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム、強化学習等を用いることが出来る。
【0089】
ここでは、例えば、コンテキスト機械学習部105aは、推定された言語的意味付けの属性や数値に応じて構成されており、生成制御部105は、第一の回遊クラスタの意味付第一階層({交通…:12.0%}、、、)の属性や数値をコンテキスト機械学習部105aに入力することで、コンテキスト機械学習部105aに、その属性や数値に応じたグラフや表をユーザのコンテキストとして生成させる。ここで、グラフの種類に特に限定は無く、例えば、
図15に示すように、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフ等を挙げることが出来る。又、表の種類に特に限定は無く、例えば、行列や地図等を挙げることが出来る。
【0090】
例えば、回遊クラスタの言語的意味付けが、年齢や性別に関係するデータであれば、年齢や性別を示す基本属性のグラフとなり、回遊クラスタの言語的意味付けが、ライフステージに関係するデータであれば、ライフステージを示す興味関心のグラフとなり、回遊クラスタの言語的意味付けが、居住地や勤務地に関係するデータであれば、居住地や勤務地を示す行動条件のグラフとなる。
【0091】
例えば、第一の回遊クラスタの意味付第一階層が、{交通…:12.0%},{文化…:18.2%},{販売店…:33.0%},{外食店…:30.9%}、、、であれば、ユーザのコンテキストは、興味関心や行動条件のグラフとなる。又、第一の回遊クラスタの意味付第二階層が、、{交通…:少し滞在し},{文化…:足早に鑑賞し},{販売店…:ぐるりと見て回り},{外食店…:急ぎ食事をし}、、、であれば、ユーザのコンテキストは、基本属性や興味関心、行動条件のグラフとなる。このように、ユーザのコンテキストを生成することで、ユーザの属性(性別、年齢層、趣味、趣向等)をより具体的に可視化したり推定したりすることが可能となる。
【0092】
ところで、生成制御部105が、コンテキスト機械学習部105aを用いてユーザのコンテキストを生成する場合、コンテキスト機械学習部105aが、過去に入力された言語的意味付けを利用すると好ましい。例えば、コンテキスト機械学習部105aは、入力された言語的意味付けの属性や数値と、この属性に関係する過去に入力された言語的意味付けの属性や数値を用いて、グラフや表を生成させる。すると、入力された言語的意味付け以外の過去の言語的意味付けを考慮して、ユーザのコンテキストを生成することが出来るため、より適切なユーザのコンテキストを生成することが可能となる。機械学習部105aは、過去の言語的意味付けを追加や補充で用いることが出来る。
【0093】
又、S106において、生成制御部105が、ユーザのコンテキストを生成した際に、更に、生成したユーザのコンテキストを他の機械学習部に入力することで、ユーザのコンテキストを示す言語又は画像を生成しても良い。
【0094】
ここで、生成制御部105が言語又は画像を生成する方法に特に限定は無いが、例えば、
図16に示すように、生成制御部105が、生成したユーザのコンテキストを他の機械学習部105bに入力する。
【0095】
ここで、他の機械学習部105bに特に限定は無く、上述したコンテキスト機械学習部105aと同様の構成でもよいし、サーバ13と異なる外部の機械学習部の構成としても構わない。
【0096】
例えば、他の機械学習部105bが、言語に特化した外部の機械学習部である場合、その機械学習部は、OpenAI(登録商標)のChatGPT、GPT-3.5、GPT-4、Meta AI(登録商標)のLLaMa等を挙げることが出来る。ここでは、ユーザのコンテキストが、5種類のトピックで構成されている場合、他の機械学習部105bが、各トピック毎に言語を出力する。例えば、「トピック0:特徴のあるカテゴリ:保育・教育・学問 | 旅行・宿泊 子どもに高校生を含むことが多い家族世帯で、旅行を好む層であり、核家族でありながら世帯構成数は平均をやや上回ることが推測され、親戚等との交流もある世帯であると言える。トピック1:特徴のあるカテゴリ:ショッピング | レジャー・スポーツ | 趣味・エンタメ 家電量販店・書店・生活雑貨など、広いカテゴリでショッピングを楽しむ層であり、カラオケボックスやゲームセンター、ギャンブル等の一人でも楽しめる施設への関心が比較的高く、単身で、かつ、比較的若年僧が多く含まれる層と考えられる。トピック2:特徴のあるカテゴリ:公共交通・自動車 | 公共施設 | 保育・教育・学問 自動車を利用する頻度が高く、未就学児童を家族構成とする世帯が多く含まれる。また、公園等の公共施設の利用も多く、家族またはお子さんとの週末の過ごし方に特徴がある。トピック3:特徴のあるカテゴリ:レジャー・スポーツ | 医療・健康・介護、旅行・宿泊 ゴルフに関する興味関心が特に高く、また、介護施設やマッサージ・整体への関心も極めて高い。比較的中高年齢層で出張等が多く、要介護の親がおられる家庭層と推察される。トピック4:特徴のあるカテゴリ:飲食 | 美容・ファッション 外食に関する指向性が高い層で、美容・ファッションに対し際立った興味関心を持ち、特に、エステ・理美容への関心が高い。反面、趣味・エンタメ関連施設への関心は低いため、外形的表現に係る自分磨きへの時間消費が多い層と言える。」というように、各トピック毎に言語を出力する。これにより、ユーザのコンテキストを言語化し、ユーザ(来訪者や来場者)の興味関心を具体的な言語で示し、ユーザに対する理解を深めることが可能となる。
【0097】
又、例えば、他の機械学習部105bが、画像に特化した外部の機械学習部である場合、その機械学習部は、OpenAI(登録商標)のDALL-E3等を挙げることが出来る。ここでは、ここでは、ユーザのコンテキストが、5種類のトピックで構成されている場合、他の機械学習部105bが、各トピック毎に画像を出力する。例えば、「トピック0:ミニマル・ラグジュアル、トピック1:ミニマル・タレント、トピック2:ミニマル・ファミリー、トピック3:ラグジュアル・エグゼクティブ、トピック4:ラグジュアル・タレント」というように、各トピック毎に画像を出力する。これにより、ユーザのコンテキストを画像化し、ユーザの代表的人物像を可視化して、ユーザに対する理解を深めることが可能となる。
【0098】
このように、本発明では、個人情報に依存せずに、プライバシーを考慮して、特定のグループに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを精度高く推定することが可能となる。又、本発明では、推定した言語的意味付けを、より分かりやすいユーザのコンテキストにすることが可能である。更に、本発明では、ユーザのコンテキストを言語又は画像にして、ユーザに対する理解を深めることが可能となる。
【0099】
尚、本発明の実施形態では、回遊推定システム1が各制御部を備えるよう構成したが、当該各制御部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、当該装置が各制御部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各制御部が実行する工程をハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る回遊推定システム及び回遊推定方法は、複数のユーザ端末の行動履歴の活用に有用であり、個人情報に依存せずに、プライバシーを考慮して、特定のグループに、どのような生活行動や興味関心の特徴があるのかを精度高く推定することが可能な回遊推定システム及び回遊推定方法として有効である。
【符号の説明】
【0101】
1 回遊推定システム
10 センサ
11 サーバ
12 ネットワーク
101 収集制御部
102 算出制御部
103 抽出制御部
104 推定制御部
【要約】 (修正有)
【課題】プライバシーを考慮して特定のグループにの生活行動や興味関心の特徴を精度高く推定する回遊推定システム及び方法を提供する。
【解決手段】システムにおいて、複数の無線機器11とネットワーク12を介して通信可能なサーバは、各場所で回遊する複数のユーザ端末の端末IDと、ユーザ端末10が滞在した各場所毎のカテゴリ情報と、各場所にユーザ端末が接触した接触日時とを収集する収集制御部、端末ID、カテゴリ情報及び接触日時を3軸としたテンソルに対して非負値テンソル分解を行って、端末IDの回遊パターンを算出する算出制御部、回遊パターンにおけるカテゴリ情報毎の滞在時間の配列の類似性と滞在時間の近似性とに基づいて、類似する端末IDの回遊パターンを回遊クラスタとして抽出する抽出制御部及び回遊クラスタに属する端末IDの滞在時間の時間割合に基づいて、回遊クラスタの特徴を示す言語的意味付けを推定する推定制御部を備える。
【選択図】
図1