(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】商品推奨システム、商品推奨方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20241108BHJP
【FI】
G06Q30/0202
(21)【出願番号】P 2021550457
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(86)【国際出願番号】 JP2020033051
(87)【国際公開番号】W WO2021065291
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2019183220
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江島 將高
(72)【発明者】
【氏名】田島 敬士
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/151679(JP,A1)
【文献】特開2006-285681(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/040789(JP,A1)
【文献】特開2015-162182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、
第1店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する
第1取り扱い情報と、
前記第1店舗群と異なる店舗形態の第2店舗群に属する店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第2取り扱い情報と、を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記実績情報
、前記第1取り扱い情報及び前記
第2取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する推奨部と、を備える、
商品推奨システム。
【請求項2】
商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記実績情報及び前記取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する推奨部と、を備え、
前記取得部は、前記商品群に属する商品について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得し、
前記取得部で取得した前記履歴情報に基づいて、前記商品が属する商品カテゴリにおいて前記商品への拘り度を算出する算出部を更に備え、
前記拘り度は、前記顧客の前記商品カテゴリに属する全商品の購入回数における、前記商品の購入回数の割合であり、
前記推奨部は、前記算出部で算出された前記拘り度を参照して、前記推奨商品を決定する、
商品推奨システム。
【請求項3】
前記推奨部は、前記対象店舗において取り扱われていない商品を前記推奨商品として決定する、
請求項1又は2記載の商品推奨システム。
【請求項4】
前記実績情報は、前記商品群のうち特定商品群の全体の売上に対する前記商品の売上の占有率を含み、
前記推奨部は、前記占有率に基づいて前記推奨商品を決定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の商品推奨システム。
【請求項5】
前記実績情報は、前記特定商品群における前記占有率の順位を含み、
前記推奨部は、前記占有率の順位に基づいて前記推奨商品を決定する、
請求項4記載の商品推奨システム。
【請求項6】
前記推奨部は、前記占有率が占有閾値よりも小さい商品を前記推奨商品から除外する、
請求項4又は5に記載の商品推奨システム。
【請求項7】
前記推奨部は、前記対象店舗にて過去に取り扱いがあった商品を前記推奨商品から除外する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の商品推奨システム。
【請求項8】
前記第1店舗群の店舗形態はコンビニエンスストアであり、前記第2店舗群の店舗形態はスーパーマーケットである、
請求項1に記載の商品推奨システム。
【請求項9】
前記商品群は、前記第2店舗群が取り扱う商品のみを含む、
請求項1記載の商品推奨システム。
【請求項10】
前記推奨部は、前記商品群のうち、前記対象店舗の経営に関する指標である経営指標に基づいて特定された特定カテゴリに属する商品を、前記推奨商品として決定する、
請求項1に記載の商品推奨システム。
【請求項11】
前記特定カテゴリは、前記第1店舗群及び前記第2店舗群のいずれでも前記商品を購入する顧客であって、前記第1店舗群を利用する頻度が頻度閾値よりも大きい特定顧客が購入する商品が属するように決定される、
請求項10記載の商品推奨システム。
【請求項12】
前記特定カテゴリは、前記特定カテゴリに属する前記商品の購入者のうち前記特定顧客の占める割合が割合閾値よりも大きい商品カテゴリとなるように決定される、
請求項11記載の商品推奨システム。
【請求項13】
前記取得部は、前記商品群に属する商品について前記対象店舗にて取り扱われている商品との類似性に関する類似情報を更に取得し、
前記推奨部は、前記取得部で取得した前記類似情報を参照して前記推奨商品を決定する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の商品推奨システム。
【請求項14】
前記取得部は、前記商品群に属する商品について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得し、
前記取得部で取得した前記履歴情報に基づいて、前記商品が属する商品カテゴリにおいて当該商品が同じ顧客により再度購入された頻度を表すリピート率を算出する算出部を更に備え、
前記推奨部は、前記算出部で算出された前記リピート率を参照して、前記推奨商品を決定する、
請求項1に記載の商品推奨システム。
【請求項15】
前記取得部は、前記商品群に属する商品の発注に関する発注情報を更に取得し、
前記推奨部は、前記取得部で取得した前記発注情報を参照して前記推奨商品を決定する、
請求項1~14のいずれか1項に記載の商品推奨システム。
【請求項16】
1以上のプロセッサが実行する商品推奨方法であって、
商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、第1店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第1取り扱い情報と、前記第1店舗群と異なる店舗形態の第2店舗群に属する店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第2取り扱い情報と、を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記実績情報、前記第1取り扱い情報及び前記第2取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する推奨処理と、を有する、
商品推奨方法。
【請求項17】
1以上のプロセッサが実行する商品推奨方法であって、
商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する取得処理と、
前記取得処理で取得した前記実績情報及び前記取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する推奨処理と、を有し、
前記取得処理では、前記商品群に属する商品について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得し、
前記取得処理で取得した前記履歴情報に基づいて、前記商品が属する商品カテゴリにおいて前記商品への拘り度を算出する算出処理を更に有し、
前記拘り度は、前記顧客の前記商品カテゴリに属する全商品の購入回数における、前記商品の購入回数の割合であり、
前記推奨処理では、前記算出処理で算出された前記拘り度を参照して、前記推奨商品を決定する、
商品推奨方法。
【請求項18】
1以上のプロセッサに、
請求項16又は17記載の商品推奨方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に商品推奨システム、商品推奨方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、対象店舗で取り扱うべき商品を推奨する商品推奨システム、商品推奨方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本部側で多くの店舗を管理する業務形態において、適切な商品の在庫管理を通じて売上を増加させるために、推奨する品揃を決定する品揃推奨装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の品揃推奨装置では、予め定めた過去の期間における対象店舗の販売実績に基づいて、その対象店舗で販売実績がある商品の販売金額構成情報である第一構成情報を算出する。また、品揃推奨装置は、上記期間において対象店舗で販売実績がない商品の販売金額構成情報である第二構成情報を、商品単品の販売金額構成情報を予測する予測モデルに基づいて算出する。そして、品揃推奨装置は、第一構成情報が算出された商品と第二構成情報が算出された商品の中から、販売金額構成情報が示す金額の高い順に、指定された数の商品を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は、対象店舗の経営状況の改善に適した商品を推奨しやすい商品推奨システム、商品推奨方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る商品推奨システムは、取得部と、推奨部と、を備える。前記取得部は、商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、第1店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第1取り扱い情報と、前記第1店舗群と異なる店舗形態の第2店舗群に属する店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第2取り扱い情報と、を取得する。前記推奨部は、前記取得部で取得した前記実績情報、第1取り扱い情報及び前記第2取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する。
本開示の一態様に係る商品推奨システムは、取得部と、推奨部と、を備える。前記取得部は、商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する。前記推奨部は、前記取得部で取得した前記実績情報及び前記取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する。前記商品推奨システムは、前記取得部で取得した前記履歴情報に基づいて、前記商品が属する商品カテゴリにおいて前記商品への拘り度を算出する算出部を更に備える。前記拘り度は、前記顧客の前記商品カテゴリに属する全商品の購入回数における、前記商品の購入回数の割合である。前記推奨部は、前記算出部で算出された前記拘り度を参照して、前記推奨商品を決定する。
【0007】
本開示の一態様に係る商品推奨方法は、1以上のプロセッサが実行する商品推奨方法である。前記商品推奨方法は、取得処理と、推奨処理と、を有する。前記取得処理は、商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、第1店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第1取り扱い情報と、前記第1店舗群と異なる店舗形態の第2店舗群に属する店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する第2取り扱い情報と、を取得する処理である。前記推奨処理は、前記取得処理で取得した前記実績情報、前記第1取り扱い情報及び前記第2取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する処理である。
本開示の一態様に係る商品推奨方法は、1以上のプロセッサが実行する商品推奨方法である。前記商品推奨方法は、取得処理と、推奨処理と、を有する。前記取得処理は、商品群に属する商品の販売実績に関する実績情報と、店舗群に属する対象店舗における前記商品の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する処理である。前記推奨処理は、前記取得処理で取得した前記実績情報及び前記取り扱い情報に基づいて、前記商品群から前記対象店舗にて取り扱うことを推奨する推奨商品を決定する処理である。前記取得処理では、前記商品群に属する商品について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得する。前記取得処理で取得した前記履歴情報に基づいて、前記商品が属する商品カテゴリにおいて前記商品への拘り度を算出する算出処理を更に有する。前記拘り度は、前記顧客の前記商品カテゴリに属する全商品の購入回数における、前記商品の購入回数の割合である。前記推奨処理では、前記算出処理で算出された前記拘り度を参照して、前記推奨商品を決定する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の商品推奨方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る商品推奨システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の商品推奨システムが採用される対象店舗の概略図である。
【
図3】
図3は、同上の商品推奨システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の商品推奨システムによる推奨商品を決定する態様を表す概念図である。
【
図5】
図5は、同上の商品推奨システムにおいて、特定顧客の存在する商品カテゴリの一例についての説明図である。
【
図6】
図6は、同上の商品推奨システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
本実施形態に係る商品推奨システム10(
図1参照)は、対象店舗20(
図1参照)で取り扱うべき商品3(
図4参照)を推奨するシステムである。ここでいう対象店舗20は、店舗群200(
図4参照)に属する複数の店舗2(
図1参照)のうち、商品推奨システム10による支援の対象となる店舗である。対象店舗20は、
図2に示すように、複数の陳列棚201に複数種類の商品3を陳列して販売する店舗である。本実施形態では、商品推奨システム10が、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、衣料品店、家電量販店又はホームセンター等の小売店の店舗2に導入される場合を例として説明する。
【0011】
店舗群200には、対象店舗20の他に、対象店舗20と類似する店舗2が属している。ここで、対象店舗20と類似する店舗2は、対象店舗20との間で所定の類似条件を満たす店舗である。例えば、コーポレートチェーン(レギュラーチェーン)又はフランチャイズチェーンのようにチェーン展開されている複数の店舗2が存在する場合には、これら複数の店舗2は互いに類似条件を満たすこととする。類似条件には、国、地域、営業時間帯又は客層等に関する条件が含まれていてもよい。
【0012】
本実施形態に係る商品推奨システム10は、対象店舗20の売上高の向上を図ることにより、対象店舗20の経営状況の改善を図るシステムである。より具体的には、商品推奨システム10は、対象店舗20における客単価、LTV(Life Time Value)の平均値、又は利益(粗利及び営業利益等を含む)等の向上を図ることによって、対象店舗20の売上高を向上させるシステムである。
【0013】
本開示でいう「LTV(Life Time Value)」は、商品3の購入又はサービスの提供を受ける顧客が、商品3又はサービスに対する対価として所定期間(Life Time)に支払う対価を意味する。一例として、所定期間が1日(24時間)であれば、ある顧客が1日に対象店舗で使用する金額が、この顧客のLTVとなる。そのため、ある顧客が1日にN回(Nは2以上)、対象店舗で買物をするようなケースにおいては、この顧客が1回の買物で使用する金額ではなく、N回の買物で使用した合計金額が、この顧客のLTVとなる。このように、LTVは、一見すると客単価に類似するものの、所定期間に使用した合計金額を表す点で、客単価とは相違する。
【0014】
本開示でいう「利益」は、対象店舗20における売上高に関係する利益全般を意味し、例えば、粗利(売上総利益)、営業利益、経営利益、税引前当期純利益、及び税引後当期純利益等を含む。
【0015】
商品推奨システム10は、上述したような対象店舗20の売上高の向上を図るための手段として、対象店舗20で取り扱うべき商品3、すなわち推奨商品31(
図4参照)を提案する。対象店舗20においては、このような提案された推奨商品31を取り扱うことにより、売上高の向上を図ることが可能となる。
【0016】
商品推奨システム10は、
図3に示すように、取得部121と、推奨部122と、を備えている。
【0017】
取得部121は、商品群30に属する商品3の販売実績に関する実績情報と、店舗群200に属する対象店舗20における商品3の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する。つまり、取得部121は、商品群30に属する複数の商品3の各々について、販売実績に関する実績情報と、取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する。
【0018】
ここで、商品群30には、対象店舗20で既に取り扱っている商品3の他、店舗群200に属する店舗2のうち対象店舗20以外の店舗2で取り扱っている商品3を含み得る。また、商品群30には、他店舗群600(
図4参照)に属する他店舗6(
図4参照)で取り扱っている商品3を含み得る。本開示でいう「他店舗群」は、店舗群200の店舗形態とは異なる店舗形態を有している。本実施形態では、他店舗群600は、店舗群200の業種とは異なる業種である。他店舗群600の業種には、例えばインターネット等のネットワークを介して顧客に商品3を販売するネット販売業者を含み得る。一例として、店舗群200がコンビニエンスストアの集合であれば、他店舗群600は、スーパーマーケット(他店舗6)の集合、又はドラッグストア(他店舗6)の集合等である。なお、他店舗群600に属する複数の他店舗6は、店舗群200に属する複数の店舗2と同様に、互いに所定の類似条件を満たす店舗である。
【0019】
推奨部122は、取得部121で取得した実績情報及び取り扱い情報に基づいて、商品群30から対象店舗20にて取り扱うことを推奨する推奨商品31を決定する。例えば、推奨部122は、商品群30に属する複数の商品3のうち対象店舗20で現在取り扱っていない1以上の商品3を抽出し、かつ、1以上の商品3の個々の販売実績を参照することで、1以上の商品3から推奨商品31を決定する。
【0020】
上述のように、本実施形態の商品推奨システム10は、対象店舗20で取り扱っていない商品3であって、かつ、対象店舗20以外の店舗での販売実績を考慮した商品3を、推奨商品31として決定することが可能である。このため、本実施形態では、対象店舗20以外の店舗での販売実績が良好な商品3、つまり対象店舗20の経営状況の改善に適すると想定される商品3(推奨商品31)を推奨しやすい、という利点がある。
【0021】
ところで、例えばコンビニエンスストアのように、対象店舗20の参考となり得る店舗2及び他店舗6の数が、100店以上、1000店以上、又は10000店以上といった多数になり得る場合、商品推奨システム10は特に有用である。
【0022】
すなわち、通常、多数の店舗2は、所定の類似条件は満たしながらも、個々別々の条件の下で営業している。多数の他店舗6も同様である。このため、これら多数の店舗2及び他店舗6にわたる膨大な量の情報を、ある対象店舗20向けに反映するには、人の処理能力を遥かに上回る演算等が必要となり、人では到底実現し得ない。しかも、これらの多数の店舗2及び他店舗6の運営及び経営に関する情報は、時間経過に伴って(例えば季節ごとに)随時変動するところ、多数の店舗2及び他店舗6の最新の情報を考慮して推奨商品31をアップデートすることなど、人では到底なし得ない。
【0023】
これに対して、本実施形態に係る商品推奨システム10は、例えば一般的な情報処理装置を用いることにより、上述したような膨大かつ変動する情報であっても処理し得る。このように、多数の店舗2及び他店舗6を参考にする業態においては、本実施形態に係る商品推奨システム10は特に有用である。
【0024】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る商品推奨システム10について詳しく説明する。本実施形態では、商品推奨システム10が導入される店舗2としてコンビニエンスストアを例に説明する。つまり、「店員」はコンビニエンスストアの店員(アルバイト及びパートタイマを含む)、「顧客」はコンビニエンスストアの来客である。本実施形態においては、店舗2の数が、10000店以上である場合を想定する。以下では、これら複数(多数)の店舗2のうちの1つが、対象店舗20である場合について説明するが、実際には、複数の店舗2がそれぞれ対象店舗20となり得る。すなわち、商品推奨システム10は、複数の店舗2のそれぞれを支援の対象とし得るが、以下では、説明を簡単にするため、対象店舗20が1つである場合を例に説明する。
【0025】
商品推奨システム10は、サーバ装置1で構成されている。本実施形態では、商品推奨システム10は、複数の店舗2(対象店舗20を含む)にそれぞれ設置されている、POS(Point Of Sales)システム21、及びストア端末22に、インターネット等のネットワークNT1を通じて接続されている。また、本実施形態では、商品推奨システム10は、複数の店舗2を展開するチェーン本部5に設置されている本部端末51に、ネットワークNT1を通じて接続されている。
【0026】
ここで、商品推奨システム10は、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。本実施形態では、商品推奨システム10は、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と、双方向に通信可能である。さらに、本実施形態では、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の間でも、相互に通信可能に構成されている。
【0027】
各店舗2(対象店舗20を含む)には、上述したように、POSシステム21及びストア端末22が、それぞれ1台以上設置されている。POSシステム21及びストア端末22は、それぞれ1つの店舗2に複数台設けられていてもよい。
図1においては、各店舗2がネットワークNT1に接続されているかのように表記しているが、実際には、各店舗2に設置されているPOSシステム21及びストア端末22等の機器が、ゲートウェイ等を介してネットワークNT1に接続される。
【0028】
POSシステム21及びストア端末22の各々は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、POSシステム21及びストア端末22の各々として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0029】
本実施形態では特に、POSシステム21は、ID-POSデータを取り扱うことが可能な、いわゆる「ID-POS」である。ここでいう「ID-POSデータ」は、POSデータに顧客の識別情報(ID:identification)としての「顧客ID」が付加されたデータである。この種のPOSシステム21(ID-POS)は、顧客が買物を行う際に顧客の認証を行うことで、顧客の識別情報(顧客ID)を取得する。顧客の認証は、一例として、会員カード、ポイントカード又はクレジットカード等の各種カード等で実現されてもよいし、顧客の携帯情報端末との通信、又は生体認証(顔認証を含む)等によって実現されてもよい。なお、POSシステム21は、ID-POSに限らず、ID-POSデータを取り扱わない単なるPOSであってもよい。
【0030】
ストア端末22は、店舗2の店員又はオーナ等が所有する情報端末である。ストア端末22は、ユーザインタフェースとしてタッチパネルディスプレイを有しており、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。
【0031】
このようなPOSシステム21及びストア端末22によれば、少なくとも店舗2における商品3の購買履歴をデータとして、ネットワークNT1経由で、サーバ装置1(商品推奨システム10)に送信することが可能である。特に、本実施形態では、POSシステム21は、ID-POSデータを取り扱うことが可能であるため、例えば、会計が行われる度に、購入された商品3の情報を、顧客の識別情報(顧客ID)と対応付けた状態で購買履歴として出力できる。
【0032】
また、各店舗2には、POSシステム21及びストア端末22以外にも、ネットワークNT1に接続される機器があってもよい。一例として、ストアコンピュータ、又は各店員が所持する携帯端末(スマートフォン及びウェアラブル端末等を含む)等のコンピュータシステムを主構成とする機器が、各店舗2に設けられ、ネットワークNT1に接続されていてもよい。
【0033】
本部端末51は、上述したように、複数の店舗2を展開するチェーン本部5に設置されている。本部端末51は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、本部端末51として機能する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0034】
本部端末51は、例えば、ユーザインタフェースとしてタッチパネルディスプレイを有しており、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。本部端末51のユーザは、主としてチェーン本部5のオペレータ等である。
【0035】
商品推奨システム10は、
図3に示すように、通信部11と、処理部12とを備える。商品推奨システム10は、例えば、商品推奨システム10を提供するサービス会社、又は店舗2の運営会社等に設置される。商品推奨システム10は、Paas(Platform as a Service)環境を用い、OS、ランタイム及びミドルウェアの管理が無いパブリッククラウド環境であることが好ましい。
【0036】
通信部11は、通信インタフェースである。特に、通信部11は、ネットワークNT1に接続可能な通信インタフェースであり、ネットワークNT1を通じた通信を行う機能を有する。これにより、商品推奨システム10は、ネットワークNT1を通じて、POSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の各々と通信可能である。なお、通信部11の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0037】
処理部12は、商品推奨システム10の全体的な制御をするように構成される。処理部12は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部12として機能する。プログラムは、ここでは処理部12のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0038】
処理部12は、
図3に示すように、取得部121と、推奨部122と、算出部123と、を備える。
図3において、取得部121と、推奨部122と、算出部123とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部12によって実現される機能を示している。
【0039】
取得部121は、実績情報と、取り扱い情報と、を取得する。具体的には、取得部121は、ネットワークNT1を通じて、例えば商品3の購入履歴を含む購買データを提供するサービス事業者のサーバ装置又はクラウド(クラウドコンピューティング)上のストレージ等から、実績情報を取得する。また、取得部121は、ネットワークNT1を通じて、例えば対象店舗20のPOSシステム21、ストア端末22及び本部端末51の少なくともいずれかと通信して、取り扱い情報を取得する。
【0040】
本実施形態では、取得部121は、購買データに対して適宜の統計処理を施すことにより、実績情報を取得する。また、本実施形態では、取得部121は、所定期間(例えば、数年間)においてサービス事業者のサーバ装置又はクラウド上のストレージ等に収集された購買データに基づいて、実績情報を取得する。
【0041】
ここで、購買データは、一例として、サービス事業者がユーザ(顧客)に対して提供するアプリケーションをユーザが使用することにより、サービス事業者のサーバ装置又はクラウド上のストレージ等に収集される。例えば、上記アプリケーションが顧客の所持するスマートフォン等の情報端末にインストールされている、と仮定する。この場合、顧客が、店舗2又は他店舗6で商品3を購入した際に手渡されるレシートを、上記アプリケーションを介して情報端末に備え付けのカメラで撮像する。すると、上記アプリケーションにより、カメラにて撮像された画像に適宜の画像処理が施され、レシートに記載された商品3の購買履歴等の情報が購買データとして顧客のID等の顧客情報と紐付けられる。そして、上記アプリケーションにて取得された購買データは、サービス事業者のサーバ装置又はクラウド上のストレージ等に送信される。
【0042】
購買データには、購買履歴として、例えば商品3の名称、商品3の商品カテゴリ、商品3の売上高(例えば、価格及び個数を含む)、商品3の購入日(例えば、平日又は休日)、及び商品3の購入された時間帯等の情報が含まれ得る。また、購買データには、購買履歴として、商品3が購入された店舗2(又は他店舗6)の所在地(例えば、都道府県、及び/又は市区町村)、及び店舗2(又は他店舗6)の店舗形態(例えば、コンビニエンスストア又はスーパーマーケット)等の情報が含まれ得る。また、購買データには、顧客情報として、商品3を購入した顧客のID、顧客の性別、顧客の年代、及び顧客の家族構成等の情報が含まれ得る。
【0043】
本開示でいう「商品カテゴリ」は、商品3を用途、機能又は客層等で分類するためのラベルであって、例えば、食品、衣類、医薬品、美容関連商品、電化品又は日用品等のように、比較的大きな分類(大カテゴリ)であってもよい。さらに、商品カテゴリは、大カテゴリを更に複数に分類する中カテゴリであってもよく、中カテゴリの具体例として、食品の中には、ソフトドリンク、お酒、弁当、総菜、スイーツ、お菓子及びアイスクリーム等の中カテゴリがある。さらに、商品カテゴリは、中カテゴリを更に複数に分類する小カテゴリであってもよく、小カテゴリの具体例として、ソフトドリンクの中には、麦茶、緑茶、紅茶、コーヒー、乳酸飲料、炭酸飲料、ミネラルウォータ及びスポーツドリンク等の小カテゴリがある。
【0044】
上述のように、本実施形態では、購買データには、店舗群200に属する店舗2での情報に限らず、他店舗群600に属する他店舗6での情報も含まれている。つまり、購買データは、店舗2及び他店舗6の区別なく、多数の顧客の各々がいずれかの店舗2(又は他店舗6)にて購入した商品3についての膨大なデータ、すなわちビッグデータを含んでいる。なお、購買データは、レシートから取得した情報に限らず、例えばID-POSデータが含まれていてもよい。つまり、店舗群200及び他店舗群600から購買データを収集する手段は、特に限定されない。
【0045】
実績情報は、商品群30に属する商品3の販売実績に関する情報である。商品3の販売実績に関する情報には、対象店舗20における商品3の販売実績に関する情報が含まれ得る他、対象店舗20以外の店舗2における商品3の販売実績に関する情報が含まれ得る。また、商品3の販売実績に関する情報には、他店舗群600に属する他店舗6における商品3の販売実績に関する情報が含まれ得る。商品群30には、対象店舗20で取り扱っている商品3の他、店舗群200に属する対象店舗20以外の店舗2で取り扱っている商品3が含まれる。また、商品群30には、他店舗群600に属する他店舗6で取り扱っている商品3が含まれる。つまり、本実施形態では、商品群30は、店舗群200の店舗形態とは異なる店舗形態である他店舗群600が取り扱う商品3を含んでいる。
【0046】
商品3の例としては、食品、衣類、医薬品、美容関連商品、電化品、日用品等が挙げられる。商品3は、アイテム又はSKU(Stock Keeping Unit)で管理される。本実施形態では、SKUが商品3の管理に用いられる。本開示でいう「SKU(Stock Keeping Unit)」は、商品の受発注管理又は在庫管理における最小の管理単位を意味する。例えば、同一商品名の商品でも、サイズ、色、パッケージ又は入り数等の違いで個別のSKUとしてカウントされ、SKUとしてはアイテムよりも小さな単位に分類される。本開示でいう「アイテム」は、広義の1つの商品を意味し、例えば、同一商品名の商品は1つのアイテムとしてカウントする。一例として、「ABC食パン」という名称の商品に4枚切り、5枚切り及び6枚切りの3種類がある場合、「ABC食パン」についてのアイテム数は「1」であって、SKU数は「3」となる。
【0047】
販売実績は、一例として、商品3の売上高、利益等を含み得る。また、本実施形態では、販売実績は、商品群30のうち特定商品群に属する全ての商品3の総売上高に対して商品3の売上高が占める割合、言い換えれば商品シェアを含んでいる。つまり、実績情報は、商品群30のうち特定商品群の全体の売上に対する商品3の売上の占有率(商品シェア)を含んでいる。特定商品群は、一例として、他店舗群600で取り扱う全ての商品3である。また、特定商品群は、一例として、任意の商品カテゴリ(例えば、食品等)に属する全ての商品3である。特定商品群は、商品群30のうちの一部の範囲に限らず、商品群30全体であってもよい。また、本実施形態では、販売実績は、特定商品群における商品3の売上の占有率の順位を含んでいる。言い換えれば、実績情報は、特定商品群における占有率(商品シェア)の順位を含んでいる。
【0048】
取り扱い情報は、対象店舗20における商品3の取り扱いの有無に関する情報である。つまり、取り扱い情報は、商品群30に属する個々の商品3について、対象店舗20で現在取り扱っているか否かの情報を含んでいる。なお、取り扱い情報は、商品群30に属する個々の商品3について、対象店舗20で過去に取り扱ったことがあるか否かの情報を含んでいてもよい。
【0049】
本実施形態では、取得部121は、商品群30に属する商品3について対象店舗20にて取り扱われている商品3との類似性に関する類似情報を更に取得している。ここでいう「類似性」は、例えば、商品3のジャンル、成分、味、コンセプト(プレミアム商品等)、ターゲットとする客層、又は価格帯等についての総合的な類似性を意味する。例えば、商品カテゴリに関して、「緑茶」という小カテゴリが一致し、かつターゲットとする客層、又は価格帯が一致するような2つの商品3が、異なるメーカから販売されている場合、これら2つの商品3の類似性は高くなる。例えば、類似情報は、商品群30に属する個々の商品3について、対象店舗20で取り扱われている全ての商品3のうちの少なくとも1以上の商品3と類似しているか否かの情報を含み得る。
【0050】
また、本実施形態では、取得部121は、商品群30に属する商品3について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得している。例えば、履歴情報は、商品群30に属する個々の商品3について、顧客ごとの所定期間(例えば、数年間)における商品3の購入回数、又は購入頻度等を含み得る。
【0051】
また、本実施形態では、取得部121は、商品群30に属する商品3の発注に関する発注情報を更に取得している。例えば、発注情報は、商品群30に属する個々の商品3について、対象店舗20にて商品3を発注することが可能であるか否かの情報を含み得る。具体的には、対象店舗20が関西に存在しており、商品3の販売ネットワークが関東にのみ存在する場合には、当該商品3についての発注情報は、対象店舗20で発注することが不可能であるか、又は発注の難易度が比較的高いことを表す情報となる。また、例えば、商品3が他店舗群600の経営母体が独自に企画した自主企画品(プライベートブランド)である場合には、当該商品3についての発注情報は、対象店舗20で発注することが不可能であることを表す情報となる。
【0052】
算出部123は、取得部121で取得した履歴情報に基づいて、リピート率を算出する。リピート率は、商品3が属する商品カテゴリにおいて当該商品3が同じ顧客により再度購入された頻度を表す。例えば、商品カテゴリが「コーヒー」であって、顧客が購入した商品3が「コーヒーA」である、と仮定する。この場合、リピート率は、この顧客が「コーヒー」の商品カテゴリに含まれる複数種類のコーヒーから再度「コーヒーA」を購入した割合を表す。例えば、所定の期間(例えば、数年間)において、ある顧客がコーヒーを100本購入し、そのうち「コーヒーA」を30本購入していた場合、リピート率は30%となる。つまり、リピート率は、同じ商品カテゴリに存在する複数種類の商品3のうちの特定の商品3に対する嗜好の強さ、言い換えれば顧客の商品3に対する拘り度を表している、と言える。
【0053】
推奨部122は、取得部121で取得した情報(ここでは、主として実績情報及び取り扱い情報)に基づいて、商品群30から対象店舗20にて取り扱うことを推奨する推奨商品31を決定する。具体的には、推奨部122は、商品群30に属する商品3について、取得部121で取得した情報を参照しながら所定の条件に合致するか否かを判定するフィルタ処理を複数種類実行する。これにより、推奨部122は、商品群30から複数種類の所定の条件に対する合致度合いが最も大きい、又は合致度合いが閾値よりも大きい1以上の商品3を、推奨商品31として決定する。
【0054】
推奨部122で決定された推奨商品31は、例えば対象店舗20のオーナ等のユーザがストア端末22を用いて閲覧することが可能である。推奨商品31を閲覧したユーザは、推奨商品31を対象店舗20にて取り扱うか否かを決定したり、推奨商品31を参考にして他の商品3を取り扱うことを決定したり等、提示された推奨商品31に基づいて経営状況の改善に役立てることが可能である。
【0055】
以下、推奨部122にて実行される複数のフィルタ処理について具体的に説明する。以下の説明では、説明の便宜上、複数のフィルタ処理をそれぞれ「第1フィルタ処理」~「第7フィルタ処理」と称しているが、フィルタ処理を実行する順番を一意に決定しているわけではない。
【0056】
ここで、推奨部122は、各フィルタ処理を実行する際に、直前に実行されたフィルタ処理により決定された選出カテゴリを参照する。例えば、推奨部122が第1フィルタ処理を実行した場合、第2フィルタ処理においては、第1フィルタ処理により決定された選出カテゴリに含まれる商品3の集合に対して、第2フィルタ処理が実行されることになる。したがって、以下の各フィルタ処理の説明では、直前に他のフィルタ処理を実行している場合、「商品群30のうち」は「商品群30のうち直前のフィルタ処理により決定された選出カテゴリのうち」と読み替える。また、以下の各フィルタ処理の説明では、直前に他のフィルタ処理を実行している場合、「選出カテゴリを決定する」は「選出カテゴリを更に限定する」と読み替える。
【0057】
第1フィルタ処理では、推奨部122は、実績情報に基づいて、選出カテゴリを決定する。第1フィルタ処理では、選出カテゴリは、対象店舗20の経営に関する指標である経営指標に基づいて、例えば食品等、対象店舗20の売上高の増大に寄与し得る商品カテゴリに決定される。以下では、経営指標に基づいて決定される選出カテゴリを、特定カテゴリとも称す。経営指標は、所定期間(例えば、数年間)における商品3の売上高、及び商品3の販売数等を含み得る。商品3の売上高、及び商品3の販売数には、対象店舗20における商品3の売上高、及び商品3の販売数が含まれ得る他、対象店舗20以外の店舗2における商品3の売上高、及び商品3の販売数が含まれ得る。また、商品3の売上高、及び商品3の販売数には、他店舗群600に属する他店舗6における商品3の売上高、及び商品3の販売数が含まれ得る。具体例として、推奨部122は、商品群30に属する複数の商品カテゴリ(例えば、大カテゴリ)のうち、商品3の総売上高が所定の売上高よりも高い1以上の商品カテゴリを選出カテゴリとして決定する。ここで、推奨部122は、複数の商品カテゴリとして、大カテゴリではなく中カテゴリ又は小カテゴリを採用してもよい。つまり、推奨部122は、第1フィルタ処理を実行することにより、商品群30のうち、対象店舗20の経営指標に基づいて特定された選出カテゴリ(特定カテゴリ)に属する商品3を、推奨商品31として決定することになる。
【0058】
第2フィルタ処理では、推奨部122は、実績情報に基づいて、選出カテゴリ(特定カテゴリ)を決定する。第2フィルタ処理では、選出カテゴリは、特定顧客が購入する商品3が属するように決定される。本開示でいう「特定顧客」は、コンビニエンスストア(店舗群200の店舗2)とスーパーマーケット(他店舗群600の他店舗6)とを併用しており、コンビニエンスストアを利用する頻度が比較的高い、いわゆるコンビニエンスストアのヘビーユーザである。つまり、「特定顧客」は、店舗群200及び他店舗群600のいずれでも商品3(実際に購入する商品3だけでなく、商品3の属する商品カテゴリにおける他の商品3を含む)を購入する顧客であって、店舗群200を利用する頻度が閾値(第2閾値)よりも大きい顧客である。ここで、「頻度が閾値よりも大きい顧客」とは、一例として、店舗群200の顧客のうち、例えば店舗群200に属するいずれかの店舗2での商品3の購入金額の総額が所定金額よりも大きい顧客である。その他、「頻度が閾値よりも大きい顧客」とは、店舗群200の顧客のうち、所定期間(例えば、1週間)における店舗2での商品3の購入回数が所定回数よりも大きい顧客である。
【0059】
図5に特定顧客の存在する商品カテゴリの一例を示す。
図5に示す例では、特定顧客の存在する商品カテゴリとして、4つの商品カテゴリ「アイスクリーム」、「おにぎり」、「カップ麺」、及び「冷凍食品」を挙げている。各商品カテゴリにおいては、棒グラフにより店舗群200のみを利用する顧客、他店舗群600のみを利用する顧客、及び店舗群200及び他店舗群600の両方を利用する顧客(特定顧客)の占める割合を表している。
図5では、各商品カテゴリにおいて、店舗群200のみを利用する顧客の占める割合を空白の領域A1で、他店舗群600のみを利用する顧客の占める割合をドットを施した領域A2で表している。また、
図5では、各商品カテゴリにおいて、特定顧客の占める割合をハッチングを施した領域A3で表している。例えば、商品カテゴリ「おにぎり」及び「冷凍食品」を比較すると、商品カテゴリ「おにぎり」の方が特定顧客の占める割合が大きくなっている。
【0060】
特に、本実施形態では、推奨部122は、上記のように特定顧客が購入する商品3が属する1以上の商品カテゴリのうち、特定顧客の占める割合が閾値よりも大きい商品カテゴリを、選出カテゴリ(特定カテゴリ)として決定する。言い換えれば、選出カテゴリは、特定顧客の占める割合が閾値(第3閾値)よりも大きい商品カテゴリとなるように決定される。
図5に示す例において、4つの商品カテゴリ「アイスクリーム」、「おにぎり」、「カップ麺」、及び「冷凍食品」のうち、特定顧客の占める割合が閾値(例えば、15%)よりも大きいのは、商品カテゴリ「アイスクリーム」である、と仮定する。この場合、推奨部122は、商品カテゴリ「アイスクリーム」を選出カテゴリとして決定することになる。
【0061】
ここで、特定顧客は、店舗群200を利用する頻度が比較的大きい顧客であるため、対象店舗20で取り扱われている商品3の変化に気付きやすい、と考えられる。このため、特定顧客は、他店舗群600でしか取り扱っていなかった商品3が対象店舗20にて取り扱われ始めた場合、他の顧客と比較して新たに取り扱われ始めた商品3に気付きやすい、と考えられる。したがって、第2フィルタ処理により、特定顧客に焦点を当てた商品3を推奨商品31として決定することで、対象店舗20にて新たに取り扱われる商品3(推奨商品31)が売上の増加に寄与しやすくなる、という効果が期待できる。
【0062】
第3フィルタ処理では、推奨部122は、取り扱い情報に基づいて、選出カテゴリを決定する。第3フィルタ処理では、推奨部122は、商品群30のうち、対象店舗20で現在取り扱っていない商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。つまり、推奨部122は、対象店舗20において取り扱われていない商品(非取り扱い商品)を推奨商品31として決定することになる。言い換えると、推奨部122は、対象店舗において取り扱われている商品を推奨商品31から除外することになる。例えば、対象店舗20にて酒類が取り扱われていない場合、酒類が選出カテゴリに含まれ得る。また、例えば、対象店舗20にて「ボールペンA」が取り扱われている場合、商品カテゴリ「ボールペン」に属する「ボールペンA」以外のボールペン(「ボールペンB」等)が選出カテゴリに含まれ得る。
【0063】
第4フィルタ処理では、推奨部122は、実績情報に基づいて、選出カテゴリを決定する。第4フィルタ処理では、推奨部122は、商品群30のうち、商品シェア(占有率)の比較的高い商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。つまり、推奨部122は、占有率に基づいて推奨商品31を決定することになる。特に、本実施形態では、第4フィルタ処理を実行する前に第2フィルタ処理を実行していることが好ましい。この場合、上記の読み替えの定義に則れば、第4フィルタ処理では、推奨部122は、商品群30のうち特定顧客が購入する商品3が属する選出カテゴリにおいて、占有率の比較的高い商品3の集合を、選出カテゴリとして更に限定することになる。言い換えれば、この場合、第4フィルタ処理は、特定顧客が購入する商品3の集合のみに焦点を当てて、この商品3の集合の中から占有率の比較的高い商品3の集合を、選出カテゴリとして更に限定することになる。
【0064】
本実施形態では、推奨部122は、占有率が1位~数十位(例えば、30位)までの商品3の集合を選出カテゴリとして決定する。つまり、本実施形態では、推奨部122は、占有率の順位に基づいて推奨商品31を決定することになる。なお、推奨部122は、占有率が所定の閾値を上回る商品3の集合を選出カテゴリとして決定してもよい。
【0065】
第4フィルタ処理においては、推奨部122は、商品カテゴリに依らず、占有率のみを参照して選出カテゴリを決定する。つまり、選出カテゴリに含まれる商品3の商品カテゴリは、1つだけでなく、複数の場合もあり得る。例えば、推奨部122が、占有率が1位~3位までの商品3の集合を選出カテゴリとして決定する、と仮定する。また、商品群30に商品カテゴリ「アイスクリーム」及び商品カテゴリ「コーヒー」のみが含まれる、と仮定する。さらに、商品カテゴリ「アイスクリーム」において「アイスクリームA」、「アイスクリームB」、及び「アイスクリームC」の占有率がそれぞれ5%、3%、及び1%、商品カテゴリ「コーヒー」において「コーヒーA」及び「コーヒーB」の占有率がそれぞれ4%、2%である、と仮定する。この場合、推奨部122は、占有率が1位である「アイスクリームA」、占有率が2位である「コーヒーA」、及び占有率が3位である「アイスクリームB」の集合を選出カテゴリとして決定する。
【0066】
第5フィルタ処理では、推奨部122は、類似情報に基づいて、選出カテゴリを決定する。つまり、第5フィルタ処理では、推奨部122は、取得部121で取得した類似情報を参照して推奨商品31を決定することになる。本実施形態では、推奨部122は、類似情報を参照することにより、対象店舗20で取り扱っている商品3とは類似性が比較的低い商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。例えば、商品群30に「鮭おにぎりA」、「鮭おにぎりB」、及び「昆布おにぎりA」が含まれており、「鮭おにぎりA」のみが対象店舗20にて現在取り扱われている、と仮定する。この場合、「昆布おにぎりA」は、「鮭おにぎりA」と味が異なるので、「鮭おにぎりA」との類似性が比較的低いとされ、推奨部122により選出カテゴリに含められる可能性が高い。一方、「鮭おにぎりB」は、「鮭おにぎりA」と味が同じであるが、例えば「鮭おにぎりA」と比較して価格が高ければ、「鮭おにぎりA」との類似性が比較的低いとされ、推奨部122により選出カテゴリに含められる可能性がある。
【0067】
第5フィルタ処理では、対象店舗20で現在取り扱われている商品3と同じ機能を有する商品3を推奨商品31から排除することで、同じ機能を有する商品3が対象店舗20で取り扱われることで生じ得るカニバリゼーションを未然に防止し得る。例えば、対象店舗20で既に「高級食パンA」が取り扱われている場合、「高級食パンA」とは異なる「高級食パンB」を推奨商品31とすれば、対象店舗20にて「高級食パンA」及び「高級食パンB」が競合する可能性がある。一方、本実施形態では、第5フィルタ処理により「高級食パンB」が推奨商品31から排除されるので、上記の競合を回避することが可能である。
【0068】
第6フィルタ処理では、推奨部122は、リピート率に基づいて、選出カテゴリを決定する。つまり、第6フィルタ処理では、推奨部122は、算出部123で算出されたリピート率を参照して、推奨商品31を決定することになる。本実施形態では、推奨部122は、商品群30のうち、リピート率が所定の閾値よりも高い商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。本実施形態では、第6フィルタ処理で用いられるリピート率は、一例として1以上の特定顧客ごとのリピート率の平均値である。
【0069】
第6フィルタ処理においては、推奨部122は、商品カテゴリに依らず、リピート率のみを参照して選出カテゴリを決定する。つまり、選出カテゴリに含まれる商品3の商品カテゴリは、1つだけでなく、複数の場合もあり得る。例えば、推奨部122が、リピート率が1位~3位までの商品3の集合を選出カテゴリとして決定する、と仮定する。また、商品群30に商品カテゴリ「ビール」及び商品カテゴリ「食パン」のみが含まれる、と仮定する。さらに、商品カテゴリ「ビール」において「ビールA」、「ビールB」、及び「ビールC」のリピート率がそれぞれ20%、30%、及び10%、商品カテゴリ「食パン」において「食パンA」及び「食パンB」のリピート率がそれぞれ25%、18%である、と仮定する。この場合、推奨部122は、リピート率が1位である「ビールB」、リピート率が2位である「食パンA」、及びリピート率が3位である「ビールA」の集合を選出カテゴリとして決定する。
【0070】
第7フィルタ処理では、推奨部122は、発注情報に基づいて、選出カテゴリを決定する。つまり、第7フィルタ処理では、推奨部122は、取得部121で取得した発注情報を参照して推奨商品31を決定することになる。本実施形態では、推奨部122は、商品群30のうち、対象店舗20での発注の難易度が比較的低い商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。例えば、商品群30に全国的に発注可能な「商品A」と、主として北海道エリアで発注可能な「商品B」と、が含まれており、対象店舗20が関西に存在する、と仮定する。この場合、「商品A」は、対象店舗20でも発注しやすいので、発注の難易度が比較的低いとされ、推奨部122により選出カテゴリに含められる可能性が高い。一方、「商品B」は、発注可能なエリアが関西以外であるため、発注の難易度が比較的高いとされ、推奨部122により選出カテゴリに含められない可能性が高い。
【0071】
本実施形態では、推奨部122は、上記の第1フィルタ処理から第7フィルタ処理までを順次実行することによりフィルタリングされた1以上の商品3を、推奨商品31として決定する。ここで、推奨部122が第1フィルタ処理~第7フィルタ処理を実行する順番は、上記の順番に限定されず、実行する順番によっては、推奨部122が提示する推奨商品31が変動し得る。例えば、本実施形態のように第3フィルタ処理の実行後に第4フィルタ処理を実行する場合、推奨部122は、対象店舗20において取り扱われていない商品3のうち、占有率が1位~数十位までの商品3の集合を選出カテゴリとして決定することになる。一方、第3フィルタ処理を実行する前に第4フィルタ処理を実行する場合、推奨部122は、対象店舗20での取り扱いの有無に依らず、占有率が1位~数十位までの商品3の集合を選出カテゴリとして決定することになる。第1フィルタ処理~第7フィルタ処理を実行する順番は、例えば商品推奨システム10の管理者等により適宜決定されてよい。
【0072】
(3)動作
以下、本実施形態の商品推奨システム10の動作の一例について
図6を用いて説明する。まず、商品推奨システム10の取得部121が、ネットワークNT1を通じて、実績情報及び取り扱い情報等の各種情報を取得する(S1)。次に、商品推奨システム10の算出部123が、取得部121で取得した履歴情報に基づいて、リピート率を算出する(S2)。そして、商品推奨システム10の推奨部122が、第1フィルタ処理(S3)、第2フィルタ処理(S4)、第3フィルタ処理(S5)、第4フィルタ処理(S6)、第5フィルタ処理(S7)、第6フィルタ処理(S8)、及び第7フィルタ処理(S9)を順次実行する。このように、推奨部122は、第1フィルタ処理から第7フィルタ処理までを順次実行することによりフィルタリングされた1以上の商品3を推奨商品31として決定する(S10)。
【0073】
上述のように、本実施形態の商品推奨システム10では、対象店舗20で取り扱っていない商品3であって、かつ、対象店舗20以外の店舗(他店舗6を含む)での販売実績を考慮した商品3を、推奨商品31として決定することが可能である。このため、本実施形態では、対象店舗20以外の店舗での販売実績が良好な商品3、つまり対象店舗20の経営状況の改善に適すると想定される商品3(推奨商品31)を推奨しやすい、という利点がある。
【0074】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る商品推奨システム10と同様の機能は、商品推奨方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0075】
一態様に係る商品推奨方法は、取得処理と、推奨処理と、を有する。取得処理は、商品群30に属する商品3の販売実績に関する実績情報と、店舗群200に属する対象店舗20における商品3の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する処理である。推奨処理は、取得処理で取得した実績情報及び取り扱い情報に基づいて、商品群30から対象店舗20にて取り扱うことを推奨する推奨商品31を決定する処理である。また、一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の商品推奨方法を実行させる。
【0076】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0077】
本開示における商品推奨システム10は、例えば、サーバ装置1等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における商品推奨システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0078】
また、商品推奨システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは商品推奨システム10に必須の構成ではなく、商品推奨システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、商品推奨システム10の少なくとも一部の機能、例えば、サーバ装置1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0079】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている商品推奨システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0080】
また、商品推奨システム10の用途はコンビニエンスストアに限らず、コンビニエンスストア以外の店舗2に商品推奨システム10が導入されていてもよい。一例として、レストラン等の飲食店に商品推奨システム10が導入されていてもよい。この場合、顧客に提供される料理等が商品3に相当する。
【0081】
また、商品3は、有形商品に限定されず、無形商品であってもよい。
【0082】
また、ストア端末22等におけるユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。さらに、ユーザインタフェースは、例えば、プロジェクションマッピング技術により映像を投影するプロジェクタ等の表示装置を含んでいてもよい。また、ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。この場合、ユーザインタフェースは、スピーカから出力される音声により、店員等に向けて各種の情報を提示することが可能である。さらに、ユーザインタフェースは、マイクロホンから出力された音声信号に対して音声認識及び意味解析の処理を施すことで、店員等においては音声による操作(音声入力)も可能になる。
【0083】
また、上述の実施形態では、商品推奨システム10は、算出部123を備えるが、算出部123は必須ではない。つまり、商品推奨システム10は、少なくとも、取得部121及び推奨部122を備えていればよい。
【0084】
また、店舗2での商品3の販売形態は、上述の実施形態のように、複数の商品3が店内に陳列された状態で販売される形態に限らない。例えば、複数の商品3をストックする自動販売機を用いて、顧客が選択した商品3について、精算及び商品3の払い出しを実行するような形態で、商品3が販売されてもよい。さらに、複数の商品3が店内に陳列された状態で販売される形態であっても、例えば、セルフレジ(Self-checkout)等を用いることにより、顧客が店員を介さずに精算を行う販売形態であってもよい。
【0085】
上述の実施形態では、推奨部122は、第1フィルタ処理から第7フィルタ処理までを全て実行することで推奨商品31を決定しているが、これに限らない。例えば、推奨部122は、第1フィルタ処理から第7フィルタ処理のうち一部のフィルタ処理を実行することで推奨商品31を決定してもよい。つまり、推奨部122は、商品群30から少なくとも実績情報及び取り扱い情報に基づいてフィルタリングされた1以上の商品3を推奨商品31として決定する態様であればよい。
【0086】
上述の実施形態において、推奨部122は、第1フィルタ処理~第7フィルタ処理とは別に第8フィルタ処理を更に実行してもよい。第8フィルタ処理では、推奨部122は、取り扱い情報に基づいて、商品群30のうち、対象店舗20にて過去に取り扱いがあった商品3を除いた商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。つまり、推奨部122は、対象店舗20にて過去に取り扱いがあった商品3を推奨商品31から除外してもよい。また、推奨部122は、対象店舗20にて過去の所定の期間に取り扱いがあった商品3を推奨商品31から除外してもよい。一例として、対象店舗20にて過去(例えば、数年前)に商品カテゴリ「衣類」を取り扱っていた、と仮定する。この場合、推奨部122は、商品群30から商品カテゴリ「衣類」を除いた商品3の集合を、選出カテゴリとして決定する。
【0087】
上述の実施形態において、推奨部122は、第4フィルタ処理にて、商品シェア(占有率)が閾値(第1閾値)よりも小さい商品3を、選出カテゴリから除外してもよい。つまり、推奨部122は、占有率が閾値(第1閾値)よりも小さい商品3を推奨商品31から除外してもよい。一例として、占有率の順位が上述の実施形態における第4フィルタ処理の条件を満たす「商品C」が存在する、と仮定する。この場合、「商品C」の占有率が閾値よりも小さければ、「商品C」は選出カテゴリから除外されることになる。
【0088】
上述の実施形態では、商品群30には、対象店舗20で既に取り扱っている商品3、及び店舗群200に属する店舗2のうち対象店舗20以外の店舗2で取り扱っている商品3が含まれているが、これに限らない。例えば、商品群30は、他店舗群600が取り扱う商品3のみを含んでいてもよい。
【0089】
上述の実施形態では、算出部123は、取得部121で取得した履歴情報に基づいて、商品3が属する商品カテゴリにおいて当該商品3が同じ顧客により再度購入された頻度を表すリピート率を算出しているが、これに限らない。例えば、算出部123は、商品3が属する商品カテゴリにおいて、当該商品3を含む当該商品3と類似の機能を有する商品3が同じ顧客により再度購入された頻度を表す類似リピート率を算出してもよい。ここで、「類似の機能を有する商品」とは、例えば商品3が「無糖紅茶A」である場合、「無糖紅茶A」以外の無糖紅茶である。この場合、推奨部122は、第6フィルタ処理において、リピート率の代わりに類似リピート率に基づいて、選出カテゴリを決定すればよい。また、例えば、算出部123は、リピート率と類似リピート率との両方を算出してもよい。推奨部122は、第6フィルタ処理において、リピート率と類似リピート率とに基づいて、選出カテゴリを決定してもよい。
【0090】
上述の実施形態において、推奨部122は、上記の各フィルタ処理を、他のフィルタ処理の実行結果に依らず実行してもよい。つまり、推奨部122は、各フィルタ処理を商品群30に属する全ての商品3に対して実行してもよい。この場合、推奨部122は、各フィルタ処理に重み付けを行い、各商品3について推奨スコアを算出してもよい。そして、推奨部122は、推奨スコアが所定のスコア以上である1以上の商品3を推奨商品31として決定してもよい。
【0091】
上述の実施形態において、推奨部122は、対象店舗20にて取り扱っていない商品3のみならず、対象店舗20にて現在取り扱っている商品3からも推奨商品31を決定してもよい。対象店舗20にて現在取り扱っている商品3が推奨商品31として決定された場合、対象店舗20のオーナ等のユーザは、当該商品3のストックを増やしたり、当該商品3を人目に付きやすい棚に配置したり等の措置を取ることが可能である。
【0092】
上述の実施形態では、他店舗群600は、店舗群200の業種とは異なる業種であるが、これに限らない。例えば、他店舗群600は、店舗群200の業種と同じであるが、店舗群200の系列とは異なる系列である場合も含み得る。具体的には、店舗群200が「A系列」のコンビニエンスストアの集合である場合、他店舗群600は、「B系列」のコンビニエンスストアの集合であってもよい。
【0093】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る商品推奨システム(10)は、取得部(121)と、推奨部(122)と、を備える。取得部(121)は、商品群(30)に属する商品(3)の販売実績に関する実績情報と、店舗群(200)に属する対象店舗(20)における商品(3)の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する。推奨部(122)は、取得部(121)で取得した実績情報及び取り扱い情報に基づいて、商品群(30)から対象店舗(20)にて取り扱うことを推奨する推奨商品(31)を決定する。
【0094】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を推奨しやすい、という利点がある。
【0095】
第2の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1の態様において、推奨部(122)は、対象店舗(20)において取り扱われていない商品(3)を推奨商品(31)として決定する。
【0096】
この態様によれば、対象店舗(20)では従前取り扱われていなかった商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことで、顧客の誘引を図ることができる、という利点がある。
【0097】
第3の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1又は第2の態様において、実績情報は、商品群(30)のうち特定商品群の全体の売上に対する商品(3)の売上の占有率を含む。推奨部(122)は、占有率に基づいて推奨商品(31)を決定する。
【0098】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に寄与すると想定される商品(3)を積極的に推奨商品(31)に含めることで、より経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができる、という利点がある。
【0099】
第4の態様に係る商品推奨システム(10)では、第3の態様において、実績情報は、特定商品群における占有率の順位を含む。推奨部(122)は、占有率の順位に基づいて推奨商品(31)を決定する。
【0100】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に寄与すると想定される商品(3)を積極的に推奨商品(31)に含めることで、より経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができる、という利点がある。
【0101】
第5の態様に係る商品推奨システム(10)では、第3又は第4の態様において、推奨部(122)は、占有率が占有閾値(第1閾値)よりも小さい商品(3)を推奨商品(31)から除外する。
【0102】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に寄与しにくいと想定される商品(3)を推奨商品(31)から除外することで、より経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができる、という利点がある。
【0103】
第6の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1~第5のいずれかの態様において、推奨部(122)は、対象店舗(20)にて過去に取り扱いがあった商品(3)を推奨商品(31)から除外する。
【0104】
この態様によれば、例えば過去に対象店舗(20)の経営状況の改善に寄与しなかった商品(3)を推奨商品(31)から除外することで、より経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができる、という利点がある。
【0105】
第7の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1~第6のいずれかの態様において、商品群(30)は、店舗群(200)の店舗形態とは異なる店舗形態である他店舗群(600)が取り扱う商品(3)を含む。
【0106】
この態様によれば、店舗群(200)では従前取り扱っていなかった商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができるので、他店舗群(600)の顧客を対象店舗(20)に誘引しやすくなる、という利点がある。
【0107】
第8の態様に係る商品推奨システム(10)では、第7の態様において、商品群(30)は、他店舗群(600)が取り扱う商品(3)のみを含む。
【0108】
この態様によれば、店舗群(200)では従前取り扱っていなかった商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことができるので、他店舗群(600)の顧客を対象店舗(20)に誘引しやすくなる、という利点がある。
【0109】
第9の態様に係る商品推奨システム(10)では、第7又は第8の態様において、推奨部(122)は、商品群(30)のうち、対象店舗(20)の経営に関する指標である経営指標に基づいて特定された特定カテゴリに属する商品(3)を、推奨商品(31)として決定する。
【0110】
この態様によれば、推奨商品(31)を特定カテゴリから決定しない場合と比較して、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を推奨しやすい、という利点がある。
【0111】
第10の態様に係る商品推奨システム(10)では、第9の態様において、特定カテゴリは、特定顧客が購入する商品(3)が属するように決定される。特定顧客は、店舗群(200)及び他店舗群(600)のいずれでも商品(3)を購入する顧客であって、店舗群(200)を利用する頻度が頻度閾値(第2閾値)よりも大きい顧客である。
【0112】
この態様によれば、特定顧客が購入すると想定される商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことで、特定顧客による対象店舗(20)の利用率の更なる改善を図ることができる、という利点がある。
【0113】
第11の態様に係る商品推奨システム(10)では、第10の態様において、特定カテゴリは、特定カテゴリに属する商品(3)の購入者のうち特定顧客の占める割合が割合閾値(第3閾値)よりも大きい商品カテゴリとなるように決定される。
【0114】
この態様によれば、特定顧客が購入すると想定される商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことで、特定顧客による対象店舗(20)の利用率の更なる改善を図ることができる、という利点がある。
【0115】
第12の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1~第11のいずれかの態様において、取得部(121)は、商品群(30)に属する商品(3)について対象店舗(20)にて取り扱われている商品(3)との類似性に関する類似情報を更に取得する。推奨部(122)は、取得部(121)で取得した類似情報を参照して推奨商品(31)を決定する。
【0116】
この態様によれば、例えば対象店舗(20)では従前取り扱われていなかった機能を有する商品(3)(推奨商品(31))を取り扱うように促すことで、顧客の誘引を図ることができる、という利点がある。
【0117】
第13の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1~第12のいずれかの態様において、取得部(121)は、商品群(30)に属する商品(3)について顧客の購入履歴に関する履歴情報を更に取得する。商品推奨システム(10)は、算出部(123)を更に備える。算出部(123)は、取得部(121)で取得した履歴情報に基づいて、商品(3)が属する商品カテゴリにおいて当該商品(3)が同じ顧客により再度購入された頻度を表すリピート率を算出する。推奨部(122)は、算出部(123)で算出されたリピート率を参照して、推奨商品(31)を決定する。
【0118】
この態様によれば、顧客が繰り返し購入すると想定される商品(3)(推奨商品(31))を対象店舗(20)で取り扱うように促すことで、リピーターの増加を図ることができる、という利点がある。
【0119】
第14の態様に係る商品推奨システム(10)では、第1~第13のいずれかの態様において、取得部(121)は、商品群(30)に属する商品(3)の発注に関する発注情報を更に取得する。推奨部(122)は、取得部(121)で取得した発注情報を参照して推奨商品(31)を決定する。
【0120】
この態様によれば、対象店舗(20)における商品(3)の発注の難易度を考慮して、対象店舗(20)で取り扱う商品(3)(推奨商品(31))を決定することができる、という利点がある。
【0121】
第15の態様に係る商品推奨方法は、取得処理と、推奨処理と、を有する。取得処理は、商品群(30)に属する商品(3)の販売実績に関する実績情報と、店舗群(200)に属する対象店舗(20)における商品(3)の取り扱いの有無に関する取り扱い情報と、を取得する処理である。推奨処理は、取得処理で取得した実績情報及び取り扱い情報に基づいて、商品群(30)から対象店舗(20)にて取り扱うことを推奨する推奨商品(31)を決定する処理である。
【0122】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を推奨しやすい、という利点がある。
【0123】
第16の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第15の態様の商品推奨方法を実行させる。
【0124】
この態様によれば、対象店舗(20)の経営状況の改善に適した商品(3)(推奨商品(31))を推奨しやすい、という利点がある。
【0125】
第2~第14の態様に係る構成については、商品推奨システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 商品推奨システム
121 取得部
122 推奨部
123 算出部
20 対象店舗
200 店舗群
600 他店舗群
3 商品
30 商品群
31 推奨商品