(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】部品供給装置および部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2023008442
(22)【出願日】2023-01-24
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 力
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-239108(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189986(WO,A1)
【文献】特開2013-229628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給するパーツフィーダと、前記パーツフィーダがスライドされて取り付けられるフィーダベースを備えたフィーダ台車と、を有する部品供給装置であって、
前記パーツフィーダは、前記フィーダベースに対してスライドされる動作で前記フィーダ台車側に設けられた台車側係合部材に係合するフック状のフィーダ側係合部材を備え、
前記フィーダ台車は、前記フィーダベースに対して前記パーツフィーダがスライドされる方向である前後方向と直交する水平方向である横方向に並んで設けられた複数のガイド片を備え、
前記フィーダ側係合部材は、前記複数のガイド片のうち隣接する2つのガイド片の前記横方向に対向する一対の側面の間のガイド通路を通って前記台車側係合部材に係合し
て前記フィーダベースにロックされ、
前記一対の側面は、前記フィーダ側係合部材が前記台車側係合部材に係合する際に、前記フィーダ側係合部材の両側面をガイドする、部品供給装置。
【請求項2】
前記ガイド通路を構成する前記2つのガイド片は、前記フィーダ側係合部材の前記両側面を前記一対の側面の間に誘い込むテーパ形状部を備える、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
1つの前記ガイド片は、隣接して位置する2つの前記ガイド通路それぞれの一方の前記側面を有する、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記フィーダ側係合部材は、板状の部材であり、前記台車側係合部材と係合する窪みを上部に有し、
前記一対の側面は、前記フィーダ側係合部材の下部をガイドする、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の部品供給装置と、前記部品供給装置の前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして部品搭載対象物に搭載する搭載ヘッドと、を備えた部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を供給するパーツフィーダとパーツフィーダが取り付けられるフィーダ台車から成る部品供給装置およびこの部品供給装置を備えた部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等の部品搭載対象物に部品を搭載する部品搭載装置は、部品供給部(部品供給装置)と、部品供給部から供給される部品を部品搭載対象物に搭載する部品搭載部とを備えている。部品供給装置は、部品を供給するパーツフィーダと、パーツフィーダが取り付けられるフィーダ台車から成る。パーツフィーダは筐体の前部の下面にスライダを備えており、フィーダ台車はブロック状のフィーダベースの上面に、スライダがスライドされて取り付けられるフィーダ取付け部を備えている(例えば、下記の特許文献1参照)。フィーダベースに取り付けられたパーツフィーダは、筐体の後部に設けられたフック状のフィーダ側係合部材がフィーダ台車側に設けられた台車側係合部材に係合されることで、フィーダベースに対してロックされる。
【0003】
このような構成を有する部品供給装置において、パーツフィーダの部品供給口は筐体の前部に位置しており、スライダの前部に位置するスライダがフィーダ取付け部に取り付けられて筐体が保持されることは、パーツフィーダの横揺れ(倒れ方向の変位)による影響を小さくすることができ、部品の供給精度を高めることに寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のようにパーツフィーダが薄型化してくると、筐体の前部がフィーダベースに保持されるだけでは筐体の横揺れを防止しにくくなり、部品の供給精度が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、フィーダ台車に取り付けられたパーツフィーダの横揺れを抑制できる部品供給装置およびこの部品供給装置を備えた部品搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品供給装置は、部品を供給するパーツフィーダと、前記パーツフィーダがスライドされて取り付けられるフィーダベースを備えたフィーダ台車と、を有する部品供給装置であって、前記パーツフィーダは、前記フィーダベースに対してスライドされる動作で前記フィーダ台車側に設けられた台車側係合部材に係合するフック状のフィーダ側係合部材を備え、前記フィーダ台車は、前記フィーダベースに対して前記パーツフィーダがスライドされる方向である前後方向と直交する水平方向である横方向に並んで設けられた複数のガイド片を備え、前記フィーダ側係合部材は、前記複数のガイド片のうち隣接する2つのガイド片の前記横方向に対向する一対の側面の間のガイド通路を通って前記台車側係合部材に係合して前記フィーダベースにロックされ、前記一対の側面は、前記フィーダ側係合部材が前記台車側係合部材に係合する際に、前記フィーダ側係合部材の両側面をガイドする。
【0008】
本発明の部品搭載装置は、上記本発明の部品供給装置と、前記部品供給装置の前記パーツフィーダが供給する部品をピックアップして部品搭載対象物に搭載する搭載ヘッドと、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィーダ台車に取り付けられたパーツフィーダの横揺れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品搭載装置の要部側面図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品搭載装置の部品供給部を構成するパーツフィーダとフィーダ台車が備えるフィーダベースの斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車が備えるフィーダベースの斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車が備えるフィーダベースの一部の斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車が備えるフィーダベースの一部の平面図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車が備えるフィーダベースの一部の(a)側面図(b)正面図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車が備えるフィーダベースの一部の斜視図
【
図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるフィーダ台車の一部の側面図
【
図9】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの斜視図
【
図10】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの(a)側面図(b)底面図
【
図11】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの一部の斜視図
【
図12】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの下方延出部の透視図
【
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの一部の透視側面図
【
図14】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダのエアプラグとバルブユニットが第1チューブによって接続されている状態を示す側面図
【
図15】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダのプレート部材を筐体のボルト取付け部に取り付ける手順を示す図
【
図16】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車に取り付けている状態を示す図
【
図17】本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダがフィーダ台車に取り付けられた状態の(a)スライダとフィーダ取付け部材の断面図(b)位置決め突起と位置決めガイドの断面図
【
図18】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車に取り付けたときのロックアームの動作を説明する図
【
図19】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダの一部とフィーダ台車が備えるガイド片を含む領域の斜視図
【
図20】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車から取り外したときのパーツフィーダの動きを示す側面図
【
図21】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車から取り外したときのロック解除部材とロックアームの動作を説明する図
【
図22】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車から取り外したときのパーツフィーダの動きを示す側面図
【
図23】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるパーツフィーダをフィーダ台車から取り外している状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品搭載装置1を示している。部品搭載装置1は上流工程側から搬入した部品搭載対象物(例えばプリント基板)KBに部品BHを搭載して下流工程側に搬出する部品搭載作業を繰り返し実行する装置である。ここでは説明の便宜上、部品搭載装置1における部品搭載対象物KBの搬送方向に沿った水平方向をX方向とし、X方向と直交する水平方向をY方向、上下方向をZ方向とする。また、作業者OPから見たX方向を横方向、作業者OPから見たY方向を前後方向とし、前後方向のうち作業者OPから遠い方を前方、近い方を後方と表現する。
【0012】
図1において、部品搭載装置1は、部品BHを供給する部品供給部1Aと、部品供給部1Aが供給する部品BHを部品搭載対象物KBに搭載する部品搭載部1Bから構成されている。部品供給部1Aはパーツフィーダ11とフィーダ台車12を備えており、部品搭載部1Bは基台13、搬送部14、搭載ヘッド15、ヘッド移動機構16および搭載部制御装置17を備えている。
【0013】
図2において、部品供給部1Aを構成するパーツフィーダ11は、全体としてYZ平面に沿って広がった形状を有している。パーツフィーダ11はフィーダ台車12に取り付けられた状態で、作業者OPから見た前方(奥側)の上部に部品BHの供給口(部品供給口11K)を備えている。
【0014】
図1において、フィーダ台車12は、床面FL上を移動させることができる車体部21から上方に延びたフィーダベース支持部22を有し、フィーダベース支持部22の上部には、パーツフィーダ11が着脱自在に取り付けられるブロック状のフィーダベース23を備えている。フィーダベース23には複数のパーツフィーダ11をX方向に並べて取り付けることができる。
【0015】
図1において、部品搭載部1Bを構成する搬送部14は一対のベルトコンベア14aから成り、基台13上をX方向に延びて設けられている。搬送部14は、上流工程側から送られてきた部品搭載対象物KBを搬入し、所定の作業位置に位置決めする。
【0016】
図1において、搭載ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている。搭載ヘッド15は各ノズル15Nを上下方向に移動させることができ、上下軸まわりに回動させることもできる、搭載ヘッド15はまた、各ノズル15Nの下端に、真空圧による吸着力を発生させることができる。ヘッド移動機構16は例えばXYテーブル機構から成り、基台13の上方の領域で搭載ヘッド15を水平面(XY面)に沿って移動させる。
【0017】
図1において、基台13内には搭載部制御装置17が設けられている。搭載部制御装置17は、部品搭載部1Bの各部の動作を制御する。具体的には、搭載部制御装置17は、搬送部14による部品搭載対象物KBの搬送動作と作業位置への位置決め動作を制御し、搭載ヘッド15が備える複数のノズル15Nそれぞれの昇降および回転動作を制御する。搭載部制御装置17はまた、各ノズル15Nの下端に部品BHの吸着力を発生させ、ヘッド移動機構16を作動させて搭載ヘッド15を移動させる。
【0018】
部品搭載装置1が部品搭載作業を行う場合には先ず、上流工程側から送られてきた部品搭載対象物KBを搬送部14により受け取って搬送し、作業位置に位置決めする。部品搭載対象物KBを作業位置に位置決めしたら、ヘッド移動機構16を作動させて搭載ヘッド15をパーツフィーダ11の上方に移動させ、複数のノズル15Nそれぞれに部品BHを吸着させる。
【0019】
複数のノズル15Nそれぞれに部品BHを吸着させたら、搭載ヘッド15を部品搭載対象物KBの上方に移動させる。そして、部品搭載対象物KB上に設定された目標搭載位置の上方でノズル15Nを下降させて、目標搭載位置に部品BHを搭載する。このような搭載ヘッド15の動作が繰り返し実行されて、部品搭載対象物KBに搭載されるべき全ての部品BHが搭載されたら、搬送部14が作動して、部品搭載対象物KBを下流工程側に搬出する。これにより部品搭載装置1による部品搭載対象物KBの1枚当たりの部品搭載作業が終了する。
【0020】
このような構成の部品搭載装置1において、本実施の形態では部品供給部1Aを構成するパーツフィーダ11およびフィーダ台車12の構成に特徴があり、以下にその説明を行う。
【0021】
先ず、フィーダ台車12について説明する。
図2および
図3において、フィーダ台車12が備えるフィーダベース23の上面の前方領域(作業者ОPから見て奥側の領域)には、フィーダベース23の後方領域(作業者OPから見て手前側の領域)よりも上面が高い位置に位置する台状部23Dが形成されている。台状部23Dには、複数のフィーダ取付け部材24がX方向に間隔をあけた配置で設けられている。
【0022】
各フィーダ取付け部材24は、Y方向に延びた断面「T」字の棒状部材から成る。隣接する2つのフィーダ取付け部材24の間の空間は「T」字の天地を反対にした「逆T」字状であり、以下、この空間をフィーダ取付け部25と称する。
【0023】
図2および
図3において、フィーダベース23の上面の後方領域には位置決めガイド26が取り付けられている。位置決めガイド26は、
図4にも示すように、横方向(X方向)に延びたプレート状の部材から成る。位置決めガイド26の上面には、複数の壁部26Fが一定間隔をおいてX方向に並んで設けられている。隣接する2つの壁部26Fの間は、後述するパーツフィーダ11の位置決め突起56が係合する位置決め溝26Mとなっている。このように位置決めガイド26は、その上面側に、X方向に並んだ複数の位置決め溝26Mを備えた構成となっている(
図4)。
【0024】
図4において、位置決めガイド26の両端に位置する2つの位置決め溝26Mそれぞれの底面には螺子挿通孔26Hが設けられており、螺子挿通孔26Hが設けられた2つの位置決め溝26Mとは異なる他の2つの位置決め溝26Mそれぞれの底面には突起係合孔26Kが設けられている。フィーダベース23の上面には、位置決めガイド26が有する2つ突起係合孔26Kと係合する2つの位置合わせ突起23Tが上方に突出して設けられており、2つの突起係合孔26Kに2つの位置合わせ突起23Tが係合された状態で2つの螺子挿通孔26Hと合致する2つの位置それぞれには螺子穴23H(
図4)が設けられている。
【0025】
位置決めガイド26をフィーダベース23の上面に取り付けるには、先ず、フィーダベース23が有する2つの位置合わせ突起23Tに、位置決めガイド26が有する2つの突起係合孔26Kを嵌入させることにより、位置決めガイド26をフィーダベース23の上面に位置決めした状態で載置する。これにより位置決めガイド26側の2つの螺子挿通孔26Hと、フィーダベース23側の2つの螺子穴23Hが合致した状態となったら、2つの螺子挿通孔26Hそれぞれから螺子27を挿入し、対応する螺子穴23Hにねじ込んでいく。これにより位置決めガイド26は、位置合わせ突起23Tによってフィーダベース23に対して正確に位置決めされた状態で、フィーダベース23の上面に取り付けられる。
【0026】
ここで、螺子27は例えば皿螺子であり、螺子挿通孔26Hに挿通した螺子27が螺子穴23Hにねじ込まれた状態では、螺子27の頭部の上面は位置決めガイド26の位置決め溝26Mの底面と同じ高さかであるか、あるいは位置決め溝26Mの底面よりも低い高さとなる。また、突起係合孔26Kに係合させた位置合わせ突起23Tの上端は、突起係合孔26Kから上方に突出しない(すなわち位置決め溝26Mの底面より低い位置に位置する)。
【0027】
図2および
図5において、フィーダベース23上を横方向(X方向)に並ぶ複数のフィーダ取付け部25それぞれと、各フィーダ取付け部25に対応する位置決めガイド26とは1つのスロット28を形成している。すなわちフィーダベース23はその上面に、X方向に並んだ複数のスロット28を備えた構成となっている。本実施の形態では、フィーダベース23の上面に取り付けられる位置決めガイド26は2つであり、フィーダベース23の上面に位置する複数の位置決め溝26Mは2つの位置決めガイド26に分けて設けられている。
【0028】
このように本実施の形態では、位置決め溝26Mはフィーダベース23に対するパーツフィーダ11のスライド方向と(Y方向)直交する水平方向である横方向(X方向)に複数並んで設けられており、1つの位置決めガイド26に複数の位置決め溝26Mが形成された状態となっている。また、フィーダベース23上の複数の位置決め溝26Mは、フィーダベース23の上面に設けられた複数(ここでは2つ)の位置決めガイド26に分けて設けられた状態となっている。
【0029】
本実施の形態において、位置決めガイド26は位置決め溝26Mの底面を貫通してフィーダベース23に螺入される螺子27によりフィーダベース23に対して着脱自在であり、位置決めガイド26が螺子27によりフィーダベース23に取り付けられた状態で、螺子27の頭部の上面は位置決め溝26Mの底面の上方に突出しないようになっている。
【0030】
図2および
図3において、フィーダベース23の前側(作業者OPから見た奥側)の端部には、フィーダストッパ31が設けられている。フィーダストッパ31は、全体としてXZ面に沿って広がって上方に延びた形状を有している。フィーダストッパ31の上部と下部とのそれぞれには、各スロット28に対応した配置で上側ピン嵌入穴31Aと下側ピン嵌入穴31Bが設けられている。
【0031】
図2、
図3および
図6(a),(b)において、フィーダベース23の後部(作業者OPから見た手前側)の下面には、フィーダベース23の後下方に張り出して延びた張出し部材32が設けられている。張出し部材32の後部には、全体としてXZ面に沿って広がって下方に延びた形状を有するブラケット33が着脱自在に設けられている。
【0032】
図2、
図3および
図6(a),(b)において、張出し部材32の後端部には、複数のロックアーム34が各スロット28に対応した配置でX方向に並んで設けられている。ロックアーム34は、
図7に示すように、X方向に対向して配置されて前後方向(Y方向)に延びた一対のアームプレート34aと、一対のアームプレート34aの間に設けられてX方向に延びた操作ピン34bとロックピン34cを備えている。
【0033】
図3において、フィーダベース23の後端部には複数の鉤状部23KがX方向に並んで設けられている。鉤状部23Kは、
図6(a)および
図7に示すように、一対のアームプレート34aの前端部が、X方向に延びて設けられた枢支軸34dによって枢支されている。操作ピン34bは、一対のアームプレート34aの前後方向の後端部に両端が支持されている。ロックピン34cは、一対のアームプレート34aの前後方向の中間部に両端が支持されている。ロックアーム34の枢支軸34dよりも前側の部分は、付勢ばね34eによって上方に付勢されている。
【0034】
図2、
図3および
図6(a),(b)において、張出し部材32の後端面であって、X方向に並んだ複数のロックアーム34の下方には、複数のガイド片35が横方向(X方向)に並んで設けられている。各ガイド片35は後方に突出した形状を有しており、隣接して位置する2つのガイド片35の横方向(X方向)に対向する一対の側面(「ガイド面35G」と称する)の間にはガイド通路36が形成されている。
【0035】
このように本実施の形態において、フィーダ台車12は、フィーダベース23に対してパーツフィーダ11がスライドされる方向である前後方向(Y方向)と直交する水平方向である横方向(X方向)に並んで設けられた複数のガイド片を備え、これら複数のガイド片35のうち隣接する2つのガイド片35の横方向に対応する一対の面の間はガイド通路36となっている。
図5に示すように、2つのガイド面35Gそれぞれの後方に連接する部分は、後方に広がるテーパ形状に形成されたテーパ面35Mとなっている。
【0036】
図2、
図3および
図6(a)において、張出し部材32の後端にはエアソケット37が設けられている。張出し部材32に着脱自在なブラケット33の上部には、台車側コネクタ38と係合ピン39が設けられている。
【0037】
図2、
図3および
図6(a)において、エアソケット37,台車側コネクタ38および係合ピン39は上方からこの順で位置しており、それぞれ後方に突出した状態となっている。エアソケット37、台車側コネクタ38および係合ピン39はそれぞれX方向に並んで設けられており、上下方向に並んだ1つのエアソケット37、1つの台車側コネクタ38および1つの係合ピン39の1組が、複数のスロット28それぞれに対応して配置されている。
【0038】
エアソケット37は、部品搭載部1Bの外部に設置されたエア供給源(図示せず)からエアが供給される部品搭載部1B内のエア配管に接続されている。台車側コネクタ38は、部品搭載部1Bの外部に設置された電源(図示せず)から電源が供給される部品搭載部1B内の電気ケーブルに接続されている。
【0039】
図2、
図3および
図6(a)において、ブラケット33の前側(奥側)の領域には、フィーダ台車12側の制御基板である台車側制御基板41が取り付けられている。詳細には、台車側制御基板41は、その厚さ方向(表面に対する法線NR)がフィーダベース23に対するパーツフィーダ11のスライド方向(フィーダ取付け部材24の延びる方向であり、Y方向)に向く縦姿勢でブラケット33に取り付けられている。
【0040】
このように本実施の形態では、フィーダ台車12に設けられる台車側制御基板41が、従来のように横置き姿勢ではなく縦姿勢で設けられるので、フィーダベース23の奥行き方向(Y方向)の寸法を短縮化でき、フィーダ台車12の全体をコンパクト化できる。
【0041】
図6(a)において、複数の台車側コネクタ38はそれぞれ、台車側配線41Cによって台車側制御基板41と電気的に接続されている。すなわち台車側制御基板41は、台車側コネクタ38およびブラケット33と一体となったユニット(制御基板ユニット41U)として構成されている。
【0042】
前述したように、ブラケット33はフィーダベース23の張出し部材32に対して着脱自在であるので、ブラケット33をフィーダベース23から取り外すことで、台車側制御基板41と台車側コネクタ38を含む制御基板ユニット41Uの全体をフィーダベース23から取り外すことができる。このため台車側制御基板41と台車側コネクタ38のメンテナンス作業を極めて容易に行うことができる。
【0043】
図6(a),(b)において、フィーダ台車12のフィーダベース支持部22とフィーダベース23の間には、フィーダベース23の上面がほぼ水平な基準姿勢となるようにフィーダベース23を支持(フローティング支持)するフローティング機構43が設けられている。フローティング機構43は、フィーダベース支持部22の上端に設けられた固定側部材43aと、固定側部材43aの上方に位置してフィーダベース23と結合された可動側部材43bを備えて構成されている。
【0044】
フィーダベース23(固定側部材43a)は、自重以外の上下方向の外力が加わっていない自然状態では可動側部材43bの上面に上方から当接して水平姿勢(基準姿勢)となっているが、外力が作用した場合には、その外力に従って基準姿勢から傾いた姿勢となる。具体的には、フィーダベース23の後端部に上向きの外力が作用すると、フィーダベース23は(従って可動側部材43bは)前端下げの姿勢になり、これとは反対に、フィーダベース23の後端部に下向きの外力が作用した場合には、フィーダベース23はその外力に従って基準姿勢から傾いた姿勢となる。
【0045】
このように本実施の形態におけるフィーダ台車12は、フィーダベース23と、フィーダベース23を下方から支持するフィーダベース支持部22との間に介装されてフィーダベース23をフローティング支持するフローティング機構43を備えたものとなっている。
【0046】
図6(a),(b)において、フィーダベース23の下面には当接部材44が下方に突出して設けられている。一方、フローティング機構43を構成する固定側部材43aの上面には、被当接部材45が上方に突出して設けられている。当接部材44は、
図6(a)に示すように、横方向(X方向)に延びたチャンネル型断面の部材から成り、横方向に複数並んで設けられている。固定側部材43aも、横方向(X方向)に延びたチャンネル型断面の部材からなっている。
【0047】
当接部材44は、フィーダベース23が基準姿勢にある状態で、被当接部材45に上方から当接している(
図6(a),(b)中に示す標準当接点T0参照)。このためフィーダベース23は、基準姿勢から前端側を下げる方向に傾動(前傾)しようとしても容易には傾動できない。
【0048】
このように本実施の形態において、フィーダベース23の下面から下方に突出して設けられたベース側部材である当接部材44と、フィーダベース23を支持するフィーダベース支持部22に(直接的には固定側部材43aに)設けられて当接部材44と当接する支持部側部材である被当接部材45は、フィーダベース23がほぼ水平な基準姿勢から前端側を下げる方向に傾動する前傾動作の動作範囲を規制する前傾規制部46となっている。
【0049】
当接部材44が被当接部材45に当接してフィーダベース23の基準姿勢からの前傾が規制された状態からフィーダベース23を強制的に前傾させようとする外力が作用した場合には、フィーダベース23は、標準当接点T0よりも前方の前傾時当接点T1を支点にして前傾する。なお、この場合でも、その前傾は、可動側部材43bに設けられた傾動制限ストッパ(前傾制限ストッパ47。
図6(a))が固定側部材43aに当接して、フィーダベース23がそれ以上前傾できなくなるまでの範囲内に制限される(
図8(a))。
【0050】
このように本実施の形態におけるフィーダ台車12は、フィーダベース支持部22とフィーダベース23との間に介装されてフィーダベース23をフローティング支持するフローティング機構43に加え、フィーダベース23がほぼ水平な基準姿勢から前端側を下げる方向に傾動する前傾動作の動作範囲を規制する前傾規制部46を備えている。このためフィーダベース23は、フローティング機構43によってフローティング支持されつつも、前傾規制部46によって、ほぼ水平な基準姿勢からの前傾が規制された状態となり、フィーダベース23のコンパクト化によってフィーダベース23の重心が前方に位置したような場合であっても、フィーダベース23が自重で前傾してしまうことが防止されるようになっている。
【0051】
一方、基準姿勢のフィーダベース23に後端下げ方向の外力が作用した場合には、フィーダベース23はその外力に従って後傾する。そして、基準姿勢からの傾動角度が一定量に達すると、固定側部材43aの後端部43Eに上方から当接した状態となる。そして、このようにフィーダベース23が固定側部材43aの後端部43E(
図8(b))に当接した状態からフィーダベース23をさらに後傾させようとする外力が作用した場合には、フィーダベース23は、固定側部材43aの後端部43Eとの当接点(後傾時当接点T2。
図8(b))を支点にして後傾する。なお、この場合でも、その後傾は、固定側部材43aに設けられた傾動制限ストッパ(後傾制限ストッパ49。
図6(a))が可動側部材43bに当接して、フィーダベース23がそれ以上後傾できなくなるまでの範囲内に制限される(
図8(b))。
【0052】
このように本実施の形態におけるフィーダ台車12は、フィーダベース23が基準姿勢から後端側を下げる方向に傾動する後傾動作の動作範囲を規制する後傾規制部を備えたものとなっている。
【0053】
次に、パーツフィーダ11について説明する。
図9および
図10(a),(b)において、パーツフィーダ11は、全体として横方向(X方向)の寸法が小さい薄型形状の筐体51を有している。筐体51内には、筐体51の後部から筐体51の前上部に位置する部品供給口11Kに向かってキャリアテープCTを搬送する部品供給機構(図示せず)が設けられており、筐体51の後上部にはハンドル部51Dが設けられている。
【0054】
図2、
図9および
図10(a)において、筐体51の後部の下方に突出した部分(筐体51の一部)は下方延出部52となっている。パーツフィーダ11は、本実施の形態では、
図1に示すように、部品BHが収納されたキャリアテープCTをリールRLから引き出して搬送することによって部品供給口11Kに部品BHを供給するテープフィーダを想定しているが、パーツフィーダ11としてはテープフィーダに限られず、バルクフィーダやスティックフィーダ等であってもよい。
【0055】
図9および
図10(a),(b)において、筐体51の前端部には上下の2つの位置決めピンである上側ピン53と下側ピン54が、それぞれ前方に向けて突出して設けられている。筐体51の前後方向(Y方向)の前部にはスライダ55が筐体51の下面に沿って延びて設けられており、筐体51の前後方向の中間部には、位置決め突起56が下方に突出して設けられている。
【0056】
スライダ55は、フィーダベース23の(詳細には台状部23Dの)上面に設けられた複数のフィーダ取付け部材24の隣接する2つフィーダ取付け部材24同士の間に形成された空間(前述のフィーダ取付け部25)に挿入可能な「逆T」字状の断面形状を有している。
図2、
図9および
図10(a),(b)に示すように、スライダ55は、筐体51の前後方向(Y方向)、すなわちフィーダベース23に対するスライド方向の中間部に切欠き部55Kを有しており、その切欠き部55Kの前方に位置する部分(前部スライダ55a)と、切欠き部55Kの後方に位置する部分(後部スライダ55b)とに分かれた状態となっている。
【0057】
すなわち本実施の形態において、パーツフィーダ11が備えるスライダ55のフィーダベース23に対するスライド方向(Y方向)の中間部には切欠き部55Kが設けられており、切欠き部55Kよりも前方に位置する前部スライダ55aと切欠き部55Kよりも後方に位置する後部スライダ55bから成っている。
【0058】
図2、
図9および
図10(a),(b)において、位置決め突起56は円柱状のピン部材から成っている。位置決め突起56はスライダ55の延長線上、すなわちスライダ55のY軸に沿った中心線上に位置して設けられている。
【0059】
図9、
図10(a)および
図11において、下方延出部52にはフック状部材61、ロック解除部材62、エアプラグ63、フィーダ側コネクタ64および底板部材65が設けられている。フック状部材61、ロック解除部材62、エアプラグ63およびフィーダ側コネクタ64はそれぞれ、下方延出部52の前面から前方に突出して設けられている。
【0060】
図10(a)および
図11において、フック状部材61は台車側の係合部材(台車側係合部材)である前述のロックピン34cと係合するパーツフィーダ11側の係合部材(フィーダ側係合部材)であり、YZ面に沿って延びた板状の部材から成る。フック状部材61は後端側の基端部が筐体51(詳細には下方延出部52)に対して固定されている。
【0061】
図11および
図12において、フック状部材61の上縁は、先端(前端)側から後方に向けて上り勾配となる斜面部61aとなっている。フック状部材61の先端部には上方に開口した先端側窪み部61bが設けられており、フック状部材61の基端側には同じく上方に開口した基端側窪み部61cが設けられている。先端側窪み部61bの後側の上縁と基端側窪み部61cの前側の上縁とは斜面部61aに連接している。
【0062】
図11において、ロック解除部材62は、フック状部材61と同様にYZ面に沿った板状の部材から成り、フック状部材61の側方に設けられている。
図12にも示すように、ロック解除部材62の上面(上縁)は、後方から前方に向けて高さが低くなる傾斜面62aとなっている。
【0063】
図12および
図13(a),(b)において、ロック解除部材62は、その中間部が、下方延出部52内に位置する前方枢支ピン71によって枢支されている。このためロック解除部材62は前方枢支ピン71を中心にYZ面に沿った面内で揺動自在であり、ほぼ水平な姿勢となる基準位置(
図13(a))と、基準位置から先端(前端)上げの姿勢となるロック解除位置(
図13(b))との間での移動が可能である。
【0064】
図11および
図12において、下方延出部52内におけるロック解除部材62の後方位置にはレバー部材72が設けられている。レバー部材72は全体としてY方向に延びた板状の部材であり、その中間部が下方延出部52内に位置する後方枢支ピン73によって枢支されている。このためレバー部材72は後方枢支ピン73を中心にYZ面に沿った面内で揺動自在であり、後部を下げて前部72Mを上げた第1の位置(
図13(a))と、後部を上げて前部72Mを下げた第2の位置(
図13(b))との間での移動が可能である。
【0065】
図10(a)および
図13(a),(b)において、筐体51の後上部にはY方向に延びて形成されたスライド空間51Sが設けられている。スライド空間51S内にはY方向に延びた形状のスライド部材74が筐体51の後面側から挿入されている。
【0066】
スライド部材74はスライド空間51S内をY方向にスライド自在であり、スライド空間51S内を最も前方に位置した非操作位置(
図13(a))と、スライド空間51S内を最も後方に位置した操作位置(
図13(b))との間で移動可能である。スライド部材74は、被操作位置に位置した状態ではスライド空間51Sを形成する筐体51内の内壁51Nに後方から当接し(
図13(a))、操作位置に位置した状態では、筐体51の後方に突出する(
図13(b))。
【0067】
図9および
図10(a)において、スライド部材74の後端部には操作つまみ75が取り付けられている。操作つまみ75はつまみ枢支ピン75Pによって基端部がスライド部材74に枢支されており、つまみ枢支ピン75Pを中心にYZ面に沿った面内で揺動自在である。操作つまみ75は、先端部を基端部の上方に位置させた格納位置(
図13(a)中に実線で示す操作つまみ75参照)と、先端部を基端部の後方に位置させた使用位置(
図13(a)中に一点鎖線で示す操作つまみ75参照)との間で移動させることができる。
【0068】
図10(a)および
図13(a),(b)において、筐体51内のスライド部材74の前方の位置にはプーリ76が設けられている。スライド部材74の後端にはワイヤ77の一端(上端)側が連結されており、ワイヤ77の他端(下端)側はプーリ76を介してレバー部材72の後端に取り付けられている(
図10(a)および
図13(a),(b))。
【0069】
図13(a)に示すように、作業者OPによって操作つまみ75が操作されていない状態では、スライド部材74はその前端を筐体51の内壁51Nに当接させた非操作位置に位置しており、レバー部材72は前部72Mを上げた第1の位置に位置している。レバー部材72の前部72Mはロック解除部材62の後端に設けられてX方向に突出した被操作ピン62Pに上方から当接させているが、レバー部材72は被操作ピン62Pを押し下げておらず、ロック解除部材62はほぼ水平な姿勢となる基準位置に位置している。そして、フック状部材61の先端側窪み部61bと基端側窪み部61cはそれぞれ、側面視において、ロック解除部材62の傾斜面62aの上方に露出している(
図13(a))。
【0070】
上記のように操作つまみ75が操作されていない状態から、作業者OPによって操作つまみ75が後方に引っ張られると(
図13(a)→
図13(b))、スライド部材74は筐体51の後方に突出するように移動して操作位置に位置し、ワイヤ77を介してレバー部材72の後端が持ち上げられる。これによりレバー部材72は後方枢支ピン73を中心に揺動して第2の位置に位置し(
図13(b))、前部72Mによってロック解除部材62の被操作ピン62Pを押し下げるので、ロック解除部材62は前方枢支ピン71を中心に揺動してロック解除位置に位置する。ロック解除部材62がロック解除位置に位置すると、フック状部材61の先端側窪み部61bと基端側窪み部61cはそれぞれ、側面視において、ロック解除部材62の傾斜面62aの下方に隠れた状態となる(
図13(b))。
【0071】
作業者OPが操作つまみ75を後方に引っ張った状態を解除すると、レバー部材72は自重バランスによって第1の位置に復帰し、ロック解除部材62の被操作ピン62Pの押し下げは解除される。これによりロック解除部材62は自重バランスによってほぼ水平な姿勢となる基準位置に復帰し(
図13(b)→
図13(a))、スライド部材74はワイヤ77により引っ張られて非操作位置に復帰する(
図13(a))。
【0072】
図11、
図12および
図14に示すように、下方延出部52の前面側にはプレート部材81が設けられている。プレート部材81は上下方向に延びたほぼ矩形の板状部材から成る。プレート部材81の中間部には、これを板厚方向に貫通して取り付けられたエアプラグ63の長手方向(Y方向)の中間部が、2つの固定ナット81Nによって締め付けられた状態で保持されている(
図11および
図14)。エアプラグ63は、フィーダ台車12とこれに取り付けられたパーツフィーダ11との間で構成されるエアカップリングのパーツフィーダ11側のカップリング部材(フィーダ側カップリング部材)である。
【0073】
図11、
図12および
図14において、プレート部材81は、その上下の端部が、2つの段付きボルト82(上側段付きボルト82aおよび下側段付きボルト82b)よって、下方延出部52の前面に取り付けられている。これによりプレート部材81によって中間部が保持されたエアプラグ63の一端側63aは筐体51内に位置し、エアプラグ63の他端側63bは筐体51の外部(下方延出部52の前方)に位置した状態となっている。
【0074】
ここで、プレート部材81は、プレート部材81と2つの段付きボルト82から構成されるエアプラグ保持部83(
図11、
図12および
図14)によって、下方延出部52の前面(すなわち筐体51の外面)に対して遊動可能な状態に取り付けられている。これを詳細に説明すると、
図15(a),(b),(c)に示すように、プレート部材81の上下の位置、すなわちエアプラグ63の保持部分を挟んで位置する上下の2箇所それぞれにはボルト挿通部84(上側ボルト挿通部84aおよび下側ボルト挿通部84b)が設けられており、上下のボルト挿通部84には、2つの段付きボルト82(上側段付きボルト82aおよび下側段付きボルト82b)がそれぞれ筐体51側の部材である上下のプレート保持部51Tに設けられたボルト穴51Hにねじ込まれている。ここで、段付きボルト82の非螺子部であるカラー部82Cの高さ寸法は、プレート部材81の厚さ寸法よりも大きくなっており(
図15(a))、このためプレート部材81は、段付きボルト82のカラー部82Cの高さの範囲内で遊動が可能になっている。
【0075】
このように本実施の形態において、パーツフィーダ11は、パーツフィーダ11がスライドされて取付けられるフィーダ台車12との間で構成されるエアカップリングのパーツフィーダ11側のカップリング部材であるフィーダ側カップリング部材であるエアプラグ63と、エアプラグ63をパーツフィーダ11の筐体51に対して水平かつ遊動自在な状態に保持するフィーダ側カップリング部材保持部としてのエアプラグ保持部83を備えたものとなっている。そして、エアプラグ保持部83は、エアプラグ63が取り付けられたプレート部材81と、プレート部材81をパーツフィーダ11の筐体51に対して遊動可能な状態で取り付けてエアプラグ63をほぼ水平姿勢に保持するプレート部材取付け部材としての複数の段付きボルト82から成り、2つの段付きボルト82は、プレート部材81のエアプラグ63が取り付けられた部分を挟む上下の位置に設けられた2つのボルト挿通部84に挿通されるようになっている。
【0076】
プレート部材81を下方延出部52の前面(すなわち筐体51の外面)に取り付ける場合には、先ず、プレート部材81を90°傾けて横方向に延びた姿勢にする(
図15(a))。そして、上側ボルト挿通部84aを上側段付きボルト82aのカラー部82Cに横方向から係合させたうえで(
図15(b))、上側段付きボルト82aを支点にして、プレート部材81の下端側が下がるように、プレート部材81を90°回転させる。そして、下側ボルト挿通部84bを下側段付きボルト82bのカラー部82Cに係合させる。これによりプレート部材81が筐体51に取り付けられた状態となる(
図15(c))。
【0077】
このように本実施の形態において、プレート部材81は、2つのボルト挿通部84のうちの一方(ここでは上側ボルト挿通部84a)がプレート部材81の上縁に開口し、2つのボルト挿通部84のうちの他方(ここでは下側ボルト挿通部84b)はプレート部材81の側縁に開口した構成となっている。このためプレート部材81を筐体51に取り付ける際は、2つの段付きボルト82がそれぞれ筐体51のプレート保持部51Tに螺入された状態で行うことができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、上側のボルト挿通部84がプレート部材81の上縁に開口して下側のボルト挿通部84がプレート部材81の側方に開口していたが、下側のボルト挿通部84がプレート部材81の下縁に開口して上側のボルト挿通部84がプレート部材81の側縁に開口していてもよい。すなわち、プレート部材81が備える2つのボルト挿通部84のうちの一方がプレート部材81の上縁または下縁に開口し、2つのボルト挿通部84のうちの他方がプレート部材81の側縁に開口していればよい。
【0079】
図12および
図14において、筐体51の内部にはエア制御用のバルブユニット91と、エア配管用の2つのチューブ(第1チューブ92と第2チューブ93)が配置されている。第1チューブ92と第2チューブ93はそれぞれゴム等の弾性体から構成されており、屈曲変形させることが可能である。
【0080】
第1チューブ92は一端(下端)側がバルブユニット91から上方に突出した2つのエア配管接続口のうちの一方である第1接続口91aに接続されており、他端(上端)側はエアプラグ63の一端側63aに接続されている。すなわち第1チューブ92は筐体51内に設けられており、一方の端部が筐体51内に位置するエア配管接続口である第1接続口91aに接続され、他方の端部がフィーダ側カップリング部材であるエアプラグ63の一端側63aに接続された弾性体から成るエア配管用チューブとなっている。
【0081】
一方、第2チューブ93は、一端(下端)側はバルブユニット91が備える2つのエア配管接続口のうちの他方である第2接続口91bに接続されており、他端(上端)側は筐体51内に設置されてエアの供給を受けて作動するエア作動装置(図示せず)に接続されている。エアプラグ63を通じ第1チューブ92に導入されたエアはバルブユニット91において制御され、第2チューブ93を通じてエア作動装置に送られる。
【0082】
本実施の形態では、
図14に示すように、第1接続口91aは図の上方を向いており、エアプラグ63の一端部は図の左方を向いている。第1チューブ92は、一端部が第1接続口91aに接続されるとともに、他端部がエアプラグ63の一端部に取り付けられている状態で、
図14中の破線で示す状態から実線で示す状態に復帰しようとする弾性的な復元力が作用するように筐体51内に配置されている。すなわち第1チューブ92は、第1接続口91aに接続された側の端部(一端部)近傍における第1チューブ92の弾性的な復元力が、エアプラグ63を筐体51の内側から外側に向けて押圧する方向の成分を有するように配置されている。
【0083】
ここで、エアプラグ63は、プレート部材81と2つの段付きボルト82から成るエアプラグ保持部83により筐体51に対して水平かつ遊動可能な状態に保持されているうえ、
図14や
図15(a),(b),(c)から分かるように、筐体51の内部に位置する一端側の長さよりも筐体51の外部に位置する他端側の長さの方が大きいので、エアプラグ63は自重によって筐体51の外部に位置する側が下がる先端下げの姿勢となってしまうところである。
【0084】
しかしながら、本実施の形態では、エアプラグ63は、第1チューブ92によって、筐体51の内側から外側に向けて押圧されており、プレート部材81の上下両端を2つの段付きボルト82それぞれの頭部に内側から押し付けるようにして、水平姿勢に保持されるようになっている。このように第1チューブ92によってプレート部材81の上下両端が2つの段付きボルト82それぞれの頭部に内側から押し付けられた状態では、プレート部材81に保持されたエアプラグ63は、第1チューブ92の弾性力によって、フローティング状態で水平姿勢に保持された状態となっている。
【0085】
このように本実施の形態におけるパーツフィーダ11は、エアプラグ63を筐体51に対して水平かつ遊動可能な状態に保持し、エアプラグ63の一端側63aを筐体51の内部に位置させるとともにエアプラグ63の他端側63bを筐体51の外部に位置させるフィーダ側カップリング部材保持部としてのエアプラグ保持部83(プレート部材81および2つの段付きボルト82)と、筐体51内に設けられ、一方の端部が筐体51内に位置するエア配管接続口である第1接続口91aに接続され、他方の端部がエアプラグ63の一端側63aに接続された弾性体から成るエア配管用チューブである第1チューブ92を備えており、エアプラグ63は、第1チューブ92によって筐体51の内側から外側に向けて押圧された状態となっている。
【0086】
このため本実施の形態におけるパーツフィーダ11では、エアプラグ63の筐体51の外部への突出量が大きい場合であっても、エアプラグ63が筐体51に対して自重で先端下げの姿勢となることが防止され、フィーダ台車12に取り付けられる際に、エアプラグ63をフィーダ台車12側のエアソケット37にスムーズに嵌合させることができる。なお、第1チューブ92がエアプラグ63を筐体51の内側から外側に向けて押圧するように配置されている場合には、第1チューブ92がエアプラグ63を押圧する力FCは、第1チューブ92の外径が大きいほど大きくなり、また第1チューブ92の長さが長いほど大きくなる。
【0087】
図12において、下方延出部52内のバルブユニット91の後方位置には、フィーダ側制御基板94が設けられている。フィーダ側制御基板94はパーツフィーダ11の各部の動作を制御する機能を有する。フィーダ側制御基板94はフィーダ内配線95によってフィーダ側コネクタ64と電気的に接続されている。フィーダ側コネクタ64は、フィーダ台車12との間で形成される電気的カップリングのパーツフィーダ11側の電気コネクタである。
【0088】
図12において、底板部材65は下方延出部52の下面をY方向に延びて設けられている。底板部材65はその前端部分が下方延出部52よりも前方に突出しており、その突出した部分は上方に屈曲して延びて屈曲部65Kを形成している。屈曲部65Kには底板部材65を板厚方向(Y方向)に貫通したピン係合孔65Hが設けられている。
【0089】
このような構成のパーツフィーダ11をフィーダ台車12のフィーダベース23に取り付ける場合には、作業者OPは、フィーダベース23の後方から、複数のスロット28のうちから選択した1つのスロット28のフィーダ取付け部25に、パーツフィーダ11のスライダ55(前部スライダ55aと後部スライダ55b)を挿入し、前方(奥側)に向かってパーツフィーダ11の筐体51を押し込んでいく(
図16(a)中に示す矢印A1)。これにより先ず前部スライダ55aがスロット28のフィーダ取付け部25内を後方に向かって進行し、次いで後部スライダ55bがフィーダ取付け部25内を後方に向かって進行する。
【0090】
上記のようにパーツフィーダ11の後部スライダ55bがフィーダ取付け部25内を進行していくと、筐体51の前端部に位置する上下の位置決めピン(上側ピン53と下側ピン54)が、フィーダストッパ31に設けられた上下のピン挿入穴(上側ピン嵌入穴31Aと下側ピン嵌入穴31B)に嵌入し、パーツフィーダ11の前端がフィーダストッパ31に当接する(
図16(b))。これにより筐体51の前部の前後方向(Y方向)の位置決めがなされる。また、スライダ55がフィーダ取付け部25内を進行していくと、筐体51の前後方向の中間部に設けられた位置決め突起56が、フィーダ取付け部25の後方に位置する位置決め溝26Mに後方から進入して係合する(
図16(b))。
【0091】
図17(a)は、フィーダ取付け部25に取り付けられた状態のスライダ55をフィーダ台車12の後方から見た図である。この図から分かるように、フィーダ取付け部25内のスライダ55の下面はフィーダベース23の上面から離間している。筐体51の前部は、スライダ55の側面がフィーダ取付け部25を形成する隣接する2つのフィーダ取付け部材24によって挟まれることで横方向(X方向)の位置決めがなされ、上述のように下側ピン54が下側ピン嵌入穴31Bに嵌入し、また位置決め突起56が位置決め溝26Mに嵌入することで、高さ方向(Z方向)の位置決めがなされる。なお、この状態では、筐体51の下面はフィーダ取付け部材24の上面から離間し、スライダ55の下面はフィーダベース23の上面(詳細には台状部23Dの上面)から離間した状態となる(
図17(a))。
【0092】
図17(b)は位置決め溝26Mに係合した状態の位置決め突起56をフィーダ台車12の後方から見た図である。この図から分かるように、位置決め溝26M内の位置決め突起56の下端は位置決め溝26Mの底面に当接している。筐体51の中間部は、位置決め突起56の下端が位置決め溝26Mの底面に当接することで高さ方向(Z方向)の位置決めがなされる。
【0093】
このように本実施の形態において、筐体51の中間部から下方に突出した位置決め突起56は、フィーダベース23に取り付けられた状態のパーツフィーダ11の(詳細には筐体51の前後方向の中間部の)フィーダベース23に対する高さ方向の位置決めをする機能を有している。
【0094】
また、
図17(b)に示すように、位置決め突起56は、位置決め溝26Mを構成する2つの壁部26Fに対して公差分だけ小さい寸法で隙間嵌めされた状態となり、位置決め突起56は位置決め溝26M内において、Y方向にスライド可能であるが、X方向に対しては拘束された状態となる。このため位置決め突起56が位置決め溝26Mに係合することで、フィーダベース23に取り付けられた状態のパーツフィーダ11の後部のフィーダベース23に対する横方向(X方向)の位置決めがなされる。
【0095】
ここで、前述したように、位置決めガイド26をフィーダベース23の上面に取り付ける複数の螺子27それぞれの頭部は、位置決め溝26M内に突出せず、位置合わせ突起23Tはその上端が位置決め溝26Mの底面から上方に突出しないようにその高さ方向寸法が設定されている。このためパーツフィーダ11をフィーダベース23に着脱する際、パーツフィーダ11の位置決め突起56が位置決め溝26M内の螺子27や位置合わせ突起23Tと干渉することはない。このためパーツフィーダ11のフィーダベース23への着脱をスムーズに行うことができ、パーツフィーダ11の位置決め突起56を損傷させるおそれもない。
【0096】
このように本実施の形態において、フィーダ台車12は、パーツフィーダ11が取り付けられる過程において、位置決め突起56を受容して位置決め突起56の下面を支持することによりフィーダベース23に対してパーツフィーダを位置決めする位置決め溝26Mを有する位置決めガイド26が、フィーダベース23に対して着脱自在になっている。このため、位置決めガイド26をフィーダベース23とは別部材として作製することができ、従来のようにフィーダベース23の上面に複雑な凹凸形状を形成する加工を施す必要がないので、フィーダベース23を安価に作製することができる。
【0097】
また、位置決めガイド26はフィーダベース23に対して着脱自在であるため、位置決め溝26Mの清掃等のメンテナンス作業を行い易い。また、摩耗により位置決め溝26Mを形成する壁部26F等が損傷した場合であっても、フィーダベース23の全体を交換する必要がない。
【0098】
また、本実施の形態では、1つの位置決めガイドの複数の位置決め溝26Mが形成されているので、複数の位置決め溝26Mのメンテナンスをまとめて行うことができ、メンテナンス作業を効率化できる。また、本実施の形態では、パーツフィーダ11のスライド方向(X方向)に並んで設けられた複数の位置決め溝26Mの全てが1つの位置決めガイド26に形成されているのではなく、複数の(全ての)位置決め溝26Mは複数の位置決めガイド26に分けて設けられている(
図4)。このため、長尺になりがちな位置決めガイド26をコンパクトなサイズにすることができ、取り扱いや保管が容易にすることができる。
【0099】
上記のようにしてパーツフィーダ11がフィーダベース23に取り付けられる過程において、フィーダ側カップリング部材であるエアプラグ63と台車側カップリング部材であるエアソケット37が嵌合し、エアカップリングが結合した状態となる。これによりフィーダ台車12側(すなわち部品搭載部1B側)からパーツフィーダ11側にエアを供給することが可能となる。
【0100】
ここで、前述したように、エアプラグ63はエアプラグ保持部83によって、下方延出部52に対して(すなわち筐体51に対して)遊動可能な状態に取り付けられているので、パーツフィーダ11がフィーダ取付け部25に取り付けられる際、パーツフィーダ11の筐体51が横方向に若干傾いていたとしても、エアプラグ63をフィーダ台車12側のエアソケット37にスムーズに嵌合させることができる。また、エアプラグ63は、第1チューブ92によって筐体51の内側から外側に向けて押圧されることで、先端下げの姿勢となることが防止されて水平姿勢が維持されるので、パーツフィーダ11をフィーダ台車12に取り付ける際に、エアプラグ63をフィーダ台車12側のエアソケット37にスムーズに嵌合させることができる。さらには、エアプラグ63は、エアソケット37と嵌合した後も第1チューブ92によって筐体51の内側から外側に向けて押し付けられる状態が維持されるので、エアプラグ63をエアソケット37に強固に結合させることができる。
【0101】
また、上記のように、パーツフィーダ11がフィーダベース23に取り付けられる過程において、フィーダ側コネクタ64と台車側コネクタ38が嵌合し、フィーダ台車12側の係合ピン39がパーツフィーダ11側のピン係合孔65Hに係合する。これにより部品搭載部1Bからパーツフィーダ11への電力の供給が可能になるとともに、搭載部制御装置17がパーツフィーダ11の動作制御を行うことが可能となる。係合ピン39がピン係合孔65Hに係合することで、パーツフィーダ11の後部の横方向の移動が規制され、フィーダベース23に取り付けられた状態で振動を受けたときの筐体51の後部の横揺れが防止される。
【0102】
また、上記のように筐体51の先頭部がフィーダストッパ31に当接する直前において、パーツフィーダ11が備えるフック状部材61とフィーダ台車12のロックアーム34が備えるロックピン34cが係合する。これを詳細に説明すると、スライダ55をフィーダ取付け部25内に挿入させて筐体51を前方(奥側)に押し込んでいくと(
図18(a)中に示す矢印A1)、先ず、フック状部材61の斜面部61aがロックアーム34の操作ピン34bに後方から当接する(
図18(a))。
【0103】
斜面部61aが操作ピン34bに当接したあと、さらに筐体51を後方に押し込んでいくと、フック状部材61の斜面部61aが操作ピン34bを押し上げる。これによりロックアーム34は付勢ばね34eを圧縮させながら枢支軸34dを中心にして揺動し(
図18(b)中に示す矢印R1)、その後、操作ピン34bがフック状部材61の基端側窪み部61cの上方に達したところで、斜面部61aによる操作ピン34bの押し上げ状態が解除される。このためロックアーム34は付勢ばね34eの復元力によって元の姿勢に復帰するように揺動し(
図18(c))中に示す矢印R2)、操作ピン34bはフック状部材61の基端側窪み部61cに落ち込む。また、これと同時にロックアーム34が備えるロックピン34cはフック状部材61の先端側窪み部61bに落ち込んで係合する。これによりパーツフィーダ11は、フィーダベース23にロックされる。
【0104】
このように本実施の形態において、パーツフィーダ11が備えるフック状のフィーダ側係合部材であるフック状部材61は、フィーダ台車12のフィーダベース23に対してスライドされる動作によって、フィーダ台車12側に設けられた台車側係合部材であるロックピン34cに係合するようになっている。
【0105】
上記のようにフック状部材61がロックピン34cに係合するとき、フック状部材61は、フィーダ台車12が備える複数のガイド片35のうち、係合対象となるロックピン34cに対応して位置する2つのガイド片35の間のガイド通路36内に進入する。このときフック状部材61の両側面は、2つのガイド片35に設けられたテーパ面35Mによって、スムーズにガイド通路36内に誘い込まれる。
【0106】
ガイド通路36内に誘いこまれたフック状部材61は、ガイド通路36を構成する一対の側面(ガイド面35G)によって両側面がガイドされ(
図19(a)→
図19(b))、さらにはロックピン34cに係合した後も、一対のガイド面35Gによってガイド(支持)された状態が維持される。ここで、一対のガイド面35Gの間の距離KK(
図5)は、フック状部材61の厚さ方向の寸法よりも若干大きい程度に設定されており、一対のガイド面35Gによって両側面がガイド(支持)された状態のフック状部材61は、筐体51の(すなわちパーツフィーダ11の)側方への倒れ方向の変位が抑制される。このため、パーツフィーダ11が部品供給動作を行うことによって生じる加振力を受けても、筐体51の横揺れを小さくできる。このためパーツフィーダ11による部品供給口11Kへの部品BHの供給精度を高めることができる。
【0107】
このように本実施の形態における部品供給部1Aのパーツフィーダ11は、フィーダベース23に対してスライドされる動作でフィーダ台車12側に設けられたロックピン34cに係合するフック状部材61を備え、フィーダ台車12は、フィーダベース23に対してパーツフィーダ11がスライドされる方向である前後方向(Y方向)と直交する水平方向である横方向(X方向)に並んで設けられた複数のガイド片35を備えている。そして、フック状部材61は、複数のガイド片35のうち隣接する2つのガイド片35の横方向に対向する一対のガイド面35Gの間のガイド通路36を通ってロックピン34cに係合し、一対のガイド面35Gは、フック状部材61がロックピン34cに係合する前および係合した後においてフック状部材61の両側面を支持するようになっている。
【0108】
このためパーツフィーダ11が薄型化し、スライダ55が設けられている筐体51の前部がフィーダベース23に対して固定されるだけでは筐体51の横方向尾の(倒れ方向の)変位を十分に防止しきれない場合であっても、フィーダベース23に対するパーツフィーダ11の横揺れを抑制することができる。また、筐体51の横揺れを抑制できることにより、スライドによりパーツフィーダ11をフィーダベース23に取り付ける際、エアプラグ63とフィーダ側コネクタ64をそれぞれフィーダ台車12側のエアソケット37と台車側コネクタ38にスムーズに嵌合させることができ、また、係合ピン39とピン係合孔65Hをスムーズに係合させることができる。
【0109】
フィーダベース23に取り付けられた状態のパーツフィーダ11を取り外す場合には、作業者OPは、パーツフィーダ11をフィーダベース23への取り付け時とは反対の方向にパーツフィーダ11をスライドさせて引き抜く。具体的には、作業者OPは、フィーダベース23から引き抜こうとするパーツフィーダ11の後面に設けられた操作つまみ75を後方に引っ張る(
図20(a)中に示す矢印A2)。
【0110】
作業者OPが操作つまみ75を後方に引っ張ると、操作つまみ75に連結されたスライド部材74がスライド空間51S内を後方にスライドし、ワイヤ77の上端側を後方に引っ張るので、ワイヤ77の下端側に連結されたレバー部材72の後端が引っ張り上げられる(
図13(a)→
図13(b))。レバー部材72の後端が引っ張り上げられると、レバー部材72の前部72Mはロック解除部材62の被操作ピン62Pを押し下げ、ロック解除部材62は前方枢支ピン71を中心にして前端上げ方向に揺動するので、フック状部材61の基端側窪み61c内に位置している操作ピン34bはロック解除部材62の傾斜面62aによって上方に押し上げられる(
図13(a)→
図13(b)、
図21(a)→
図21(b))。これによりロックピン34cはフック状部材61の先端側窪み部61bから上方に離脱し、フック状部材61とロックピン34cとの間の係合(ロック)が解除される(
図21(a)→
図21(b))。
【0111】
上記のようにフック状部材61とロックピン34cとの間の係合が解除されると、作業者OPが操作つまみ75を後方に引っ張っている力によって、パーツフィーダ11はフィーダベース23上を後方に移動する。これによりスライダ55はフィーダ取付け部25内を後方にスライドし、位置決め突起56は位置決め溝26M内をスライドして位置決め溝26Mから離脱する。また、エアプラグ63はエアソケット37から分離し、フィーダ側コネクタ64は台車側コネクタ38から分離し、係合ピン39はピン係合孔65Hから分離する(
図21(b)→
図21(c))。
【0112】
スライダ55は、上記のように、フィーダ取付け部25内を後方にスライドすることによって、先ず後部スライダ55bがフィーダ取付け部25から後方に外れる(
図22(a))。この時点ではまだ前部スライダ55aの全体がフィーダ取付け部25内に残っているので筐体51はほぼ水平姿勢を維持しているが、前部スライダ55aがさらにフィーダ取付け部25内を後方にスライドしていき、前部スライダ55aがフィーダ取付け部25から外れそうになると、筐体51は後部下げ方向に傾く(
図22(b)中に示す矢印B1)。そして、前部スライダ55aの後端が位置決めガイド26に前方から当接し(
図22(b)および
図20(b))、それ以上、筐体51を後方へ移動させることができなくなるので、パーツフィーダ11のフィーダベース23(フィーダ取付け部25)からの引き抜きは中断される。
【0113】
このようにパーツフィーダ11が備えるスライダ55のフィーダベース23に対するスライド方向(Y方向)の中間部に切欠き部55Kが設けられており、フィーダベース23は、フィーダ取付け部25の後方にストッパとしての位置決めガイド26を備えている。そして、位置決めガイド26は、スライダ55がフィーダ取付け部25に取り付けられた状態からパーツフィーダ11が後方に移動され、スライダ55のうち切欠き部55Kよりも前方に位置する前部スライダ55aがフィーダ取付け部25から抜け出る直前においてパーツフィーダ11の後側が下がる方向にパーツフィーダ11が傾いたとき前部スライダ55aの後端と当接するようになっている。
【0114】
作業者OPは、上記のようにパーツフィーダ11のフィーダベース23からの引き抜きが中断された状態からパーツフィーダ11をフィーダ取付け部25から完全に引き抜くには、筐体51に設けられたハンドル部51Dを作業者OPが手HDで握って筐体51の後上部を持ち上げ(
図23(a)中に示す矢印B2)、筐体51を水平姿勢にする(
図23(a))。そして、ハンドル部51Dを握ったまま筐体51を水平後方に引っ張ると(
図23(b)中に示す矢印A2)、パーツフィーダ11はフィーダベース23から完全に引き抜かれた状態となる。
【0115】
このように本実施の形態では、操作つまみ75を後方に引っ張ってフィーダベース23に対するパーツフィーダ11のロックの解除とフィーダベース23からのパーツフィーダ11の引き抜きを同時に行った場合であっても、パーツフィーダ11はフィーダベース23から完全に引き抜かれる前に、その後方への移動が中断される。このためパーツフィーダ11のフィーダベース23からの取り外し時にパーツフィーダ11がフィーダベース23から一気に抜け出てしまうことはない。このため、フィーダ台車12に取り付けられたパーツフィーダ11を片手で安全かつ容易に取り外すことができる。また、パーツフィーダ11の移動が中断された状態になることで、作業者OPはパーツフィーダ11に対する作業が容易になる。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態における部品供給装置(部品供給部1A)およびこれを備える部品搭載装置1では、パーツフィーダ11が備えるフック状部材61の両側面が、フィーダ台車12が備える一対のガイド片35(一対のガイド面35G)によってガイドされ、パーツフィーダ11の横方向(倒れ方向)の変位が抑制される。このためパーツフィーダ11の横揺れを小さくでき、部品供給口11Kへの部品BHの供給精度を高めることができる。
【0117】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態ではパーツフィーダ11はテープフィーダであるとして説明したが、パーツフィーダ11はテープフィーダに限られず、パルクフィーダ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
フィーダ台車に取り付けられたパーツフィーダの横揺れを抑制できる部品供給装置およびこの部品供給装置を備えた部品搭載装置を提供する。
【符号の説明】
【0119】
1 部品搭載装置
1A 部品供給部
1B 部品搭載部
11 パーツフィーダ
12 フィーダ台車
15 搭載ヘッド
22 フィーダベース支持部
23 フィーダベース
23T 位置合わせ突起
24 フィーダ取付け部材
25 フィーダ取付け部
26 位置決めガイド
26F 壁部
26M 位置決め溝
27 螺子
28 スロット
31 フィーダストッパ
33 ブラケット
34 ロックアーム
34c ロックピン(台車側係合部材)
35 ガイド片
35M テーパ面
35G ガイド面
36 ガイド通路
37 エアソケット
38 台車側コネクタ
41 台車側制御基板
41C 台車側配線
41U 制御基板ユニット
43 フローティング機構
43a 固定側部材
43b 可動側部材
44 当接部材
45 被当接部材
46 前傾規制部
51 筐体
52 下方延出部
55 スライダ
55K 切欠き部
55a 前部スライダ
55b 後部スライダ
56 位置決め突起
61 フック状部材(フィーダ側係合部材)
61b 先端側窪み部
61c 基端側窪み部
62 ロック解除部材
63 エアプラグ
64 フィーダ側コネクタ
81 プレート部材
82 段付きボルト
82a 上側段付きボルト
82b 下側段付きボルト
83 エアプラグ保持部
84 ボルト挿通部
91 バルブユニット
91a 第1接続口
91b 第2接続口
92 第1チューブ
93 第2チューブ
BH 部品