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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】手すり及び手すりユニット
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020034320
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134644
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智彦
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190016(JP,A)
【文献】特開2008-025227(JP,A)
【文献】特開2002-038689(JP,A)
【文献】実開平01-168658(JP,U)
【文献】米国特許第03901481(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
E04G 21/32
E04G 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する手すり部と、
前記手すり部の長さ方向の端部を支持する支持部と、を備えた、手すりであって、
前記手すり部が、前記支持部に対して前記長さ方向に移動することで、前記手すりが伸縮可能であり、
前記支持部は、
前記手すり部の一部に接触して、前記手すり部が前記支持部に対して移動できる範囲を制限するストッパを有し、
前記手すり部に、開口が形成され、
前記ストッパは、前記手すり部の前記内部空間に位置し、
前記支持部は、
前記手すり部を支持する支持部本体と、
前記開口を通り、前記支持部本体と前記ストッパとを連結する連結具とを有し、
前記手すり部は、前記支持部本体と前記ストッパとで挟まれることで、前記支持部に対して固定され、
前記手すり部の前記内部空間には、前記手すり部の一部を構成する接触部材と、前記長さ方向に延びた棒状の緩衝材と、が前記長さ方向に距離をあけて配され、
前記接触部材と前記緩衝材との間に、前記長さ方向の隙間を介して前記ストッパが配されており、
前記ストッパは、前記接触部材と前記緩衝材との間で前記長さ方向に移動可能である、
手すり。
【請求項2】
前記手すり部は、前記支持部の内部に挿入された状態で、前記支持部によって支持される、
請求項1に記載の手すり。
【請求項3】
前記手すり部は、前記支持部に対して前記長さ方向にスライド可能である、
請求項1又は請求項2に記載の手すり。
【請求項4】
前記手すり部が前記支持部に固定される位置が、前記長さ方向において無段階で調整可能である、
請求項3に記載の手すり。
【請求項5】
前記開口は前記手すり部の前記長さ方向の全長にわたる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の手すり。
【請求項6】
一対の前記支持部を備え、
前記一対の支持部は、前記手すり部の前記長さ方向の両端部をそれぞれ支持する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の手すり。
【請求項7】
前記支持部は、支柱に取り付けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の手すり。
【請求項8】
前記支持部は、構造体に取り付けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の手すり。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の手すりと、
前記支持部を取付ける取付対象物とを備える、
手すりユニット。
【請求項10】
前記取付対象物は、二つの前記手すりが連結される支柱である、
請求項9に記載の手すりユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手すり及び手すりユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手すりが開示されている。この手すりに用いられる手すり本体は、大径パイプと、大径パイプ内に挿入される細径パイプとを有しており、細径パイプが大径パイプに対して移動することで伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-107530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記手すりでは、大径パイプの外径と小径パイプの外形とが異なるため、手すり本体を掴んだときの感触が、大径パイプを掴んだ場合と小径パイプを掴んだ場合とで変化する。また、細径パイプの外周面と、大径パイプの外周面との間には、段差ができるため、この段差部分では引っ掛かるような感触が与えられる。このため、手すりの使い心地が良くない。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、長さ調整可能で、かつ、使い心地の良い手すり及び手すりユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る手すりは、手すり部と、前記手すり部の長さ方向の端部を支持する支持部とを備える。前記手すり部は、前記支持部に対して前記長さ方向に移動可能である。
【0007】
本開示の一態様に係る手すりユニットは、前記手すりと、前記支持部を取付ける取付対象物とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記一態様に係る手すり及び手すりユニットは、手すりの長さ調整を行うことができ、かつ、使い心地が良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る動作補助装置の設置状態を示した斜視図である。
図2図2は、同上の動作補助装置の設置状態を示した側面図である。
図3図3は、同上の動作補助装置が備える棒状手すりの要部分解斜視図である。
図4図4は、図2のA部の断面図である。
図5図5は、同上の棒状手すりを収縮した状態を示した、図4に対応する断面図である。
図6図6は、変形例の動作補助装置の設置状態を示した側面図である。
図7図7A及び図7Bは、変形例の接触部材を示し、図7Aは上側から見た斜視図であり、図7Bは下側から見た斜視図である。
図8図8A及び図8Bは、変形例のストッパを示し、図8Aは上側から見た斜視図であり、図8Bは下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態
図1及び図2に本実施形態の手すりユニット10を備えた動作補助装置1を示す。本実施形態の動作補助装置1は、利用者の動作を補助する。利用者の動作としては、例えば、階段での歩行、水平面での歩行、座った状態からの立ち上がり動作、立った状態からの座り込み動作等が挙げられる。ここで、本開示における利用者は、主に、高齢者、障害者、要支援者及び要介護者であるが、特にこれに限定されない。
【0011】
動作補助装置1は、例えば、図1に示すように設置部9に設置される。図1に示す設置部9は、屋外において形成された階段であり、例えば、玄関先に位置する。設置部9は、動作補助装置1が設置される設置面91を備えている。設置面91は、最低面92、踏面93及び最高面94を有している。最低面92は、設置面91において最も下方に位置する面である。最高面94は、設置面91において最も上方に位置する面である。最低面92、踏面93及び最高面94の各々は、略水平な平面である。
【0012】
以下、動作補助装置1について詳述する。なお、本開示で用いる「上下」、「水平」及び「鉛直」等の方向を示す記載は、各手すりユニット10が、水平な面に設置された状態における方向を意味する。
【0013】
動作補助装置1は、複数の手すりユニット10を備えている。動作補助装置1は、複数の手すりユニット10として、第1ユニット11及び第2ユニット12を備えている。
【0014】
各手すりユニット10は、ベース2、支柱3及び手すり4を有している。第1ユニット11のベース2、支柱3及び手すり4は、それぞれ、第2ユニット12のベース2、支柱3及び手すり4と、同じ部品で構成されている。このため、以下では、各手すりユニット10の共通する要素については、重複する説明を省略する。
【0015】
第1ユニット11及び第2ユニット12のうちの第1ユニット11だけは、手すり5を更に有している。前述した手すり4は、弧状に湾曲しているのに対し、手すり5は、真っ直ぐな棒状に形成されている。以下、手すり5を棒状手すり5といい、手すり4を湾曲手すり4という。棒状手すり5は、第1ユニット11の湾曲手すり4と、第2ユニット12の湾曲手すり4とを連結している。
【0016】
各手すりユニット10のベース2は、設置面91に設置される部分である。以下、必要に応じて、第1ユニット11のベース2及び第2ユニット12のベース2を、それぞれ、第1ベース21及び第2ベース22という。
【0017】
水平な一方向を第1方向D1としたとき、第1ベース21と第2ベース22とは、上方から見て第1方向D1において間隔をあけて離れた2箇所にそれぞれ設置される。図1に示す例では、設置部9の最低面92に第1ベース21が設置され、設置部9の最高面94に第2ベース22が設置されている。各手すりユニット10のベース2は、設置部9に対しては固着具等で固定されない。このため、作業者は、ベース2を設置部9に置くだけで、手すりユニット10を設置することができる。
【0018】
各手すりユニット10のベース2には、支柱3が立てた状態で設けられている。支柱3は、ベース2に取り付けられており、ベース2から上方に突出している。以下、必要に応じて、第1ユニット11の支柱3及び第2ユニット12の支柱3を、それぞれ、第1支柱31及び第2支柱32という。
【0019】
各手すりユニット10の支柱3には、湾曲手すり4が連結されている。湾曲手すり4の一端部は、支柱3の上端部に連結されている。各手すりユニット10において、支柱3は、ベース2と湾曲手すり4とを単独で連結し、湾曲手すり4を単独で支持している。以下、必要に応じて、第1ユニット11の湾曲手すり4を第1湾曲手すり41といい、第2ユニット12の湾曲手すり4を第2湾曲手すり42という。
【0020】
各手すりユニット10の湾曲手すり4には、棒状手すり5が連結されている。棒状手すり5は、一端部が第1湾曲手すり41に連結され、他端部が第2湾曲手すり42に連結されている。
【0021】
ベース2は、水平面に沿った板状で、かつ、上方から見て長方形状に形成されている。水平で、かつ、第1方向D1に対して垂直な一方向を第2方向D2としたとき、ベース2は、上方から見て、短手方向が第1方向D1と平行で、かつ、長さ方向が第2方向D2と平行な長方形状に形成されている。
【0022】
各手すりユニット10の支柱3は、上下方向に延びた棒状に形成されており、上下方向に伸縮可能である。支柱3は、ベース2に固定された固定部材34と、固定部材34に対して上下方向に移動可能な可動部材35とを有している。
【0023】
固定部材34の下端部は、ベース2に取り付けられており、固定部材34は、ベース2から上方に向かって突出している。固定部材34は、軸方向が上下方向と平行な外筒部340を有している。
【0024】
可動部材35は、軸方向が上下方向と平行な内筒部350を有している。内筒部350は、外筒部340の内側に上下方向に移動可能に嵌まっている。内筒部350の一部は、外筒部340から上方に突出している。内筒部350の上端部は、支柱3の上端部を構成している。湾曲手すり4は、内筒部350の上端部に連結されている。
【0025】
内筒部350は、固定具36によって、上下方向の任意の位置で外筒部340に固定されている。上下方向において、内筒部350が外筒部340に固定される位置が変わることで、支柱3が上下方向に伸縮し、内筒部350に連結された湾曲手すり4の高さが変わる。
【0026】
各手すりユニット10において、支柱3がベース2に固定される位置は、変更可能である。本実施形態のベース2は、支柱3を固定可能な固定部24を複数有しており、支柱3は、複数の固定部24から選択された固定部24に固定されることで、ベース2に対して任意の固定位置で固定される。
【0027】
第1ユニット11の棒状手すり5は、手すり部6と、一対の支持部7とを有している。手すり部6は、棒状手すり5の主体を構成する。手すり部6は、利用者に握られる部分であり、断面円形の外周面を有する真っ直ぐな棒状に形成されている。なお、手すり部6の形状は、限定されず、例えば、一部が部分的に曲がっていてもよい。以下、手すり部6の長さ方向と直交する水平な方向を、手すり部6の幅方向とし、手すり部6の長さ方向と幅方向との両者に直交する方向を手すり部6の高さ方向として、棒状手すり5の各要素について説明する。
【0028】
一対の支持部7は、手すり部6の長さ方向の両端部にそれぞれ取り付けられている。一対の支持部7のうちの一方は、第1湾曲手すり41に連結され、他方は、第2湾曲手すり42に連結されている。各支持部7は、湾曲手すり4を介して支柱3に取り付けられており、支柱3を取付対象物としている。なお、各支持部7は、他の部材を介して間接的に支柱3に取り付けられてもよいし、直接支柱3に取り付けられてもよい。一対の支持部7は、それぞれ、手すり部6の長さ方向の両端部を直接支持している。
【0029】
本実施形態の各手すりユニット10は、湾曲手すり4と棒状手すり5とを連結する連結部材8を更に有している。各支持部7は、対応する湾曲手すり4に連結部材8を介して連結されている。
【0030】
各連結部材8は、対応する湾曲手すり4に対して第2方向D2と平行な回転軸A1を中心に回転可能に連結されている。各連結部材8は、対応する支持部7に対して手すり部6の高さ方向と平行な回転軸A2を中心に回転可能に連結されている。連結部材8を湾曲手すり4に対して回転することで、棒状手すり5の長さ方向の水平面に対する角度を変更することができる。支持部7を連結部材8に対して回転することで、上方から見て、棒状手すり5の長さ方向の第1方向D1に対する角度を変更することができる。なお、各支持部7は、対応する湾曲手すり4に連結されてもよい。
【0031】
図3に示すように、手すり部6は、手すり部本体60、一対の接触部材61、緩衝材62及びカバー63を有している。手すり部本体60は金属製であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出成形することで成形される。手すり部本体60は、手すり部6の長さ方向に延びた棒状に形成されている。手すり部本体60の長さ方向と直交する断面の形状は、手すり部本体60の長さ方向にわたって一様である。
【0032】
手すり部本体60には、下方に開口し、手すり部本体60の長さ方向の全長にわたる溝部600が形成されている。手すり部本体60の下面には、溝部600の下端部で構成された開口603が、手すり部本体60の長さ方向の全長にわたって形成されている。
【0033】
溝部600は、手すり部6の長さ方向と直交する断面の形状が略T字状であり、開口603から上方に延びた縦穴部601と、縦穴部601の上端部から手すり部6の幅方向の両外側に向かってそれぞれ延びた一対の横穴部602とを有している。手すり部6は、溝部600の内面で囲まれた空間である内部空間64を有している。
【0034】
図4に示すように、手すり部本体60の溝部600には、一対の接触部材61が配されている。各接触部材61は、手すり部6の一部を構成する。一対の接触部材61は、手すり部本体60の長さ方向の両端部に位置し、手すり部本体60に固定されている。各接触部材61が後述する支持部7のストッパ71に接触することで、手すり部6が支持部7から抜け出すことが抑制される。なお、各接触部材61は、手すり部本体60と一体に形成されてもよい。
【0035】
各接触部材61は、金属製であり、例えば、ストッパ71と同じ材料から形成される。各接触部材61は、例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の押出成形品である。図3に示すように、各接触部材61は、手すり部6の長さ方向と直交する断面の形状が、手すり部本体60の溝部600と略合致する略T字状に形成されている。各接触部材61は、接触部材61の上部から手すり部6の幅方向の両外側に向かってそれぞれ突出した一対の抜止部611を有している。一対の抜止部611は、それぞれ、溝部600の一対の横穴部602に位置している。
【0036】
手すり部6は、一対の接触部材61を手すり部本体60に固定するための一対の固定具65を更に有している。本実施形態の各固定具65は、ねじであり、詳しくは、芋ねじである。一対の固定具65は、それぞれ、一対の接触部材61と一対一で対応している。
【0037】
各接触部材61には、接触部材61を手すり部6の高さ方向に貫通するねじ穴610が形成されている。図4に示すように、各接触部材61のねじ穴610には、対応する固定具65がねじ込まれている。固定具65の上端部は、接触部材61から上方に突出し、溝部600の上底面に押し当たっている。各接触部材61は、対応する固定具65により下方に押され、一対の抜止部611(図3参照)が溝部600の一対の横穴部602の底面に押し当たることで、手すり部本体60に固定されている。なお、固定具65は、ねじに限定されず、例えば、リベット又は釘等であってもよい。
【0038】
図5に示すように、手すり部本体60の内部空間64には、緩衝材62が配されている。緩衝材62は、手すり部6の長さ方向に延びた棒状に形成されている。
【0039】
緩衝材62は、一対の接触部材61の間に位置している。ただし、緩衝材62は、各接触部材61から手すり部本体60の長さ方向の中央側に離れて位置している。緩衝材62と各接触部材61との間には、ストッパ71が配されている。緩衝材62は、例えば、発泡樹脂等から形成されており、ストッパ71よりも柔らかい。
【0040】
手すり部本体60の外周面は、カバー63で覆われている。図3に示すように、カバー63は、手すり部6の長さ方向に延びた円筒状に形成されており、手すり部本体60の長さ方向の全長にわたる。カバー63の外周面は、手すり部6の外周面を構成する。図4に示すように、カバー63の長さ方向の両側の端面は、それぞれ、手すり部本体60の長さ方向の両側の端面と面一である。
【0041】
カバー63の長さ方向と直交する断面の形状は、カバー63の長さ方向の全長にわたって一様である。カバー63は、例えば、熱可塑性エラストマー製の押出成形品であり、手すり部本体60よりも柔らかい。なお、カバー63は、熱可塑性エラストマー製に限定されず、ゴム製等であってもよい。カバー63は、その内部に手すり部本体60が嵌まることで、手すり部本体60に取り付けられる。
【0042】
カバー63における長さ方向の両端部の各々の底部には、手すり部6の高さ方向に貫通した開口部630が形成されている。本実施形態の開口部630は、カバー63の長さ方向の外側に向かって開口した切欠である。開口部630は、手すり部本体60の開口603に通じている。開口部630は、手すり部本体60の溝部600(内部空間64)と、カバー63の外部とを通じさせる。前述した固定具65は、開口部630及び開口603に通されて接触部材61のねじ穴610に下方からねじ込まれる。なお、手すり部本体60の開口603は、開口部630に対向する箇所(手すり部本体60の長さ方向の両端部)にのみ形成されてもよく、孔又は切欠であってもよい。また、カバー63の開口部630は、カバー63の長さ方向の全長にわたってもよい。また、開口部630は、カバー63の長さ方向の外側に向かって開口しない孔であってもよい。
【0043】
棒状手すり5の長さ方向の両端部は、一対の支持部7で構成されている。各支持部7は、手すり部6を支持する支持部本体70と、支持部本体70に取り付けられたストッパ71とを有している。
【0044】
支持部本体70は、支持部7の主体を構成している。支持部本体70は、手すり部6の長さ方向に延び、手すり部6側が開口し、かつ、手すり部6とは反対側が閉塞された、底のある筒状に形成されている。支持部本体70は、断面円形の外周面を有している。支持部本体70における手すり部6とは反対側の端部は、対応する連結部材8に対して回転軸A2を中心に回転可能に連結されている。
【0045】
筒状の支持部本体70の内側には、手すり部6側に開口した嵌込穴700が形成されている。嵌込穴700は、手すり部6とは反対側の端部が閉塞された底の有る穴である。嵌込穴700には、手すり部6における支持部7側の端部が手すり部6の長さ方向において移動可能に嵌め込まれている。これにより、手すり部6は、支持部7の内部に挿入された状態で、支持部7によって直接支持されている。なお、手すり部6は、手すり部6の内部に支持部7が挿入された状態で、支持部7に支持されてもよい。
【0046】
手すり部6のカバー63の外周面が、嵌込穴700の内周面に沿って手すり部6の長さ方向にスライドすることで、手すり部6は、支持部7に対して、手すり部6の長手方向に移動する。このように手すり部6が支持部7に対して移動することで、棒状手すり5は伸縮する。
【0047】
支持部本体70の嵌込穴700には、手すり部6が支持部7に対して移動できる範囲を制限するストッパ71が配されている。ストッパ71は、嵌込穴700において連結部材8とは反対側(手すり部6側)の端部に位置している。ストッパ71は、支持部本体70に対して固定されている。図4に示すように、手すり部6の長さ方向において、手すり部6が支持部7から離れる方向(連結部材8とは反対側に向かう方向)に移動したとき、手すり部6の接触部材61がストッパ71に接触することで、手すり部6が嵌込穴700から抜け出すことが抑制される。
【0048】
ストッパ71は、金属製であり、例えば、アルミニウム製の押出成形品である。ストッパ71は、接触部材61と同様に、手すり部本体60の内部空間64に配されている。ストッパ71は、手すり部6の接触部材61と緩衝材62との間に位置している。ストッパ71は、手すり部本体60に対しては固定されていない。
【0049】
ストッパ71は、図3に示すように、手すり部6の長さ方向と直交する断面の形状が、手すり部本体60の溝部600と略合致する略T字状に形成されている。ストッパ71は、手すり部6の長さ方向における寸法が、接触部材61と比べて大きい。本実施形態のストッパ71は、手すり部6の長さ方向と直交する断面の形状が、接触部材61と同じである。
【0050】
ストッパ71は、ストッパ71の上部から手すり部6の幅方向の両外側に向かってそれぞれ突出した一対の抜止部710を有している。一対の抜止部710は、それぞれ、溝部600の一対の横穴部602に位置している。
【0051】
各支持部7は、支持部本体70とストッパ71とを連結する複数の連結具72を更に有している。本実施形態の各支持部7は、二つの連結具72を有している。各連結具72は、例えば、丸皿小ねじ、皿小ねじ、なべ小ねじ又はトラス小ねじ等のねじ頭を有するねじである。なお、連結具72は、ねじに限定されず、例えば、リベット又は釘等であってもよい。
【0052】
図4に示すように、支持部本体70の底部には、複数の通し孔702が形成されている。本実施形態では、支持部本体70に二つの通し孔702が形成されている。複数の通し孔702と、複数の連結具72とは、それぞれ一対一で対応している。複数の通し孔702は、手すり部6の長さ方向に間隔をあけて並んでいる。各通し孔702は、支持部本体70の底部を、手すり部6の高さ方向に貫通している。
【0053】
ストッパ71には、複数のねじ穴711が形成されている。本実施形態では、ストッパ71に二つのねじ穴711が形成されている。複数のねじ穴711は、手すり部6の長さ方向に間隔をあけて並んでいる。各ねじ穴711は、ストッパ71を手すり部6の高さ方向に貫通している。複数のねじ穴711と、複数の挿通穴702とは、それぞれ一対一で対応している。各ねじ穴711は、手すり部本体60の開口603と、対応するカバー63の開口部630を介して、対応する挿通穴702に通じる。
【0054】
各連結具72は、支持具本体70の対応する通し孔702、カバー63の開口部630及び手すり部本体60の開口603を通過し、ストッパ71の対応するねじ穴711にねじ込まれている。手すり部本体60の底部は、各連結具72の締付力により、ストッパ71の抜止部611(図3参照)と、支持部本体70の底部との間に挟まれている。これにより、手すり部本体60は、支持部7に固定されている。
【0055】
手すり部6は、各連結具72のねじ穴711に対するねじ込み量を小さくして締付力を小さくすることで、支持部7に対して手すり部6の長さ方向に移動可能になる。手すり部6が支持部7に対して手すり部6の長さ方向に移動するとき、支持部本体70とストッパ71とを連結する複数の連結具72は、手すり部本体60の開口603及びカバー63の開口部630を、手すり部6の長さ方向に移動する。
【0056】
棒状手すり5の長さを変更する作業は、例えば、以下のように行われる。まず、前述したように、手すり部6を支持部7に対して手すり部6の長さ方向に移動可能な状態にする。次に、手すり部6を、支持部7に対して手すり部6の長さ方向に移動し、この後、各連結具72を締付力が増すように回転する。これにより、手すり部6は、支持部7に対して手すり部6の長さ方向における任意の位置で固定され、棒状手すり5の長さが変更される。
【0057】
このように本実施形態の棒状手すり5は、手すり部6を支持部7に対して移動することで、棒状手すり5の長さを変更することができる。このため、手すり部6を従来のように外径の異なるパイプを組み合わせる等して形成する必要がない。したがって、手すり部6の外周面を長さ方向の全長にわたって連続させ、手すり部6の太さを長さ方向にわたって一様にすることができる。また、本実施形態では、手すり部6が支持部7に固定される固定位置が、手すり部6の長さ方向において無段階で調整可能である。このため、棒状手すり5の長さを微調整することができる。
【0058】
なお、前記固定位置を調整可能とする機構は限定されない。例えば、手すり部6が支持部7に対してねじ込まれることで取り付けられ、このねじ込み量を調整することで、前記固定位置が変更されてもよい。また、手すり部6が支持部7に固定される固定位置は、手すり部6の長さ方向において段階的に変更可能であってもよい。この場合、例えば、手すり部6又は支持部7の一方にはねじ孔が形成され、他方には手すり部6の長さ方向に間隔をあけて複数の通し孔が形成される。そして、複数の通し孔から選択された任意の通し孔に通したねじがねじ孔にねじ込まれることにより、手すり部6と支持部7とが固定される。
【0059】
手すり部6が支持部7に対して移動可能な範囲は、ストッパ71と、支持部本体70とによって制限される。図4に示すように、手すり部6は、支持部7に対して、接触部材61がストッパ71に接触するまで、支持部7から離れる方向に移動することができる。接触部材61がストッパ71に接触したとき、手すり部6と支持部7とで構成された部分は、手すり部6の長さ方向の寸法が最大になる。
【0060】
図5に示すように、手すり部6は、支持部7に対して、手すり部6の端面(手すり部本体60の長さ方向の一方の端面及びカバー63の長さ方向の一方の端面)が、手すり部本体60の連結部材8側の端部(嵌込穴700の奥部)に接触するまで、支持部7に近づく方向に移動することができる。すなわち、手すり部6の端面が、手すり部本体60の連結部材8側の端部に接触したとき、手すり部6と支持部7とで構成された部分は、手すり部6の長さ方向の寸法が最小になる。前述した緩衝材62は、手すり部6の端面が、手すり部本体60の連結部材8側の端部に接触する直前でストッパ71に接触する。このため、手すり部6の端面が、手すり部本体60の連結部材8側の端部に接触したときの衝撃が和らぐ。なお、緩衝材62は、省略可能である。
【0061】
手すり部6が支持部7に対して近づく方向に移動したときに、手すり部6において支持部7に接触する部分は、手すり部本体60の長さ方向の一方の端面及びカバー63の長さ方向の一方の端面に限定されない。例えば、この接触部分は、手すり部本体60の長さ方向の一方の端面だけであってもよいし、カバー63の長さ方向の一方の端面だけであってもよい。また、この接触部分は、接触部材61であってもよい。
【0062】
上記実施形態の動作補助装置1の各要素の形状、大きさ、位置、数及び材質等は、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態の動作補助装置1は、二つの手すりユニット10を備えるが、動作補助装置1が備える手すりユニット10の数は、限定されない。
【0063】
図6に、三つの手すりユニット10Aを備えた動作補助装置1Aを示す。この動作補助装置1Aは、三つの手すりユニット10Aとして、第1ユニット11A、第2ユニット12A及び第3ユニット13Aを備えている。
【0064】
第1ユニット11A及び第3ユニット13Aは、上記実施形態の第2ユニット12と同じ構成を有している。第2ユニット12Aは、第1ユニット11Aと第3ユニット13Aとの間に設置される。第2ユニット12Aは、上記実施形態のベース2及び支柱3を備えている。第2ユニット12Aは、一対の棒状手すり5Aを更に備えている。各棒状手すり5Aは、上記実施形態の棒状手すり5と同じ構成を有している。一対の棒状手すり5Aのうち、一方の棒状手すり5Aは、一方の支持部7が第1ユニット11Aの連結部材8に回転可能に連結され、他方の支持部7が第2ユニット12Aの支柱3の上端部に回転可能に連結されている。また、他方の棒状手すり5Aは、一方の支持部7が第3ユニット13Aの連結部材8に回転可能に連結され、他方の支持部7が、第2ユニット12Aの支柱3の上端部に回転可能に連結されている。つまり、第2ユニット12Aの支柱3には、二つの棒状手すり5Aが連結されている。
【0065】
動作補助装置1Aは、第1ユニット11Aのベース2が設置部9の最低面92に設置され、第2ユニット12Aのベース2が踏面93に設置され、第3ユニット13Aのベース2が最高面94に設置されている。
【0066】
動作補助装置1Aは、第1ユニット11A及び第3ユニット13Aの各々の棒状手すり5の長さを調整することで、各手すりユニット10Aが設置される位置及び各棒状手すり5の傾き等を変更することができる。
【0067】
また、上記実施形態の接触部材61及びストッパ71の各々は、アルミウム以外の金属又は金属以外の材料から形成されてもよい。図7A及び図7Bに他例の接触部材61Aを示す。接触部材61Aは、合成樹脂製である。接触部材61Aには、ねじ穴610に代えて、通し孔613Aが形成されている。接触部材61Aの上面には、四角ナット66Aが回転不能に嵌め込まれる矩形状の凹部612Aが形成されている。接触部材61Aは、例えば、前述した芋ねじからなる固定具65(図3参照)を通し孔613Aに通して四角ナット66Aにねじ込み、この固定具65の上端部を、前述した実施形態と同様に、溝部600の上底面に押し当てることで、手すり部本体60に固定される。
【0068】
図8A及び図8Bに他例のストッパ71Aを示す。ストッパ71Aは、合成樹脂製である。ストッパ71Aには、複数のねじ穴711に代えて、複数の通し孔712Aが形成されている。ストッパ71Aの上面において各通し孔712Aに対応する箇所には、四角ナット73Aが回転不能に嵌め込まれる矩形状の凹部713Aが形成されている。ストッパ71Aは、例えば、前述したねじからなる連結具72(図3参照)を、通し孔712Aに通して四角ナット66Aにねじ込むことで、支持部本体70に固定される。
【0069】
また、上記実施形態の棒状手すり5は、各支持部7が支柱3に取り付けられているが、各支持部7が取り付けられる取付対象物は、支柱3に限定されない。例えば、取付対象物は、壁又は柱等の建築物の構造体に取り付けられてもよい。
【0070】
(2)態様
以上説明した、実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の手すり(棒状手すり5)は、以下に示す構成を有する。手すり(5)は、手すり部(6)と、手すり部(6)の長さ方向の端部を支持する支持部(7)を備える。手すり部(6)は、支持部(7)に対して前記長さ方向に移動可能である。
【0071】
この態様によれば、手すり部(6)を支持部(7)に対して前記長さ方向に移動することで、手すり(5)の長さを変更することができる。また、利用者の手で握られる手すり部(6)は、従来のように外径の異なるパイプを組み合わせる等して形成する必要がない。このため、例えば、手すり部(6)の外周面を長さ方向の全長にわたって連続させることができる。したがって、手すり(5)の使い心地を良くすることができる。
【0072】
第2の態様の手すり(5)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の手すり部(6)は、支持部(7)の内部に挿入された状態で、支持部(7)によって支持される。
【0073】
第3の態様の手すり(5)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の手すり部(6)は、支持部(7)に対して前記長さ方向にスライド可能である。
【0074】
この態様によれば、手すり部(6)を支持部(7)に対してスライドして、手すり(5)の長さを変更することができる。
【0075】
第4の態様の手すり(5)は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の手すり(5)は、以下に示す構成を有する。手すり部(6)が支持部(7)に固定される位置が、前記長さ方向において無段階で調整可能である。
【0076】
この態様によれば、手すり(5)の長さを微調整することができる。
【0077】
第5の態様の手すり(5)は、第1~第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の手すり(5)は、以下に示す構成を有する。支持部(7)は、ストッパ(71)を有する。ストッパ(71)は、手すり部(6)の一部に接触して、手すり部(6)が支持部(7)に対して移動できる範囲を制限する。
【0078】
この態様によれば、ストッパ(71)により、手すり部(6)が支持部(7)に対して移動できる範囲を制限することができる。
【0079】
第6の態様の手すり(5)は、第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の手すり(5)は、以下に示す構成を有する。手すり部(6)に、開口(603)が形成される。ストッパ(71)は、手すり部(6)の内部に位置する。支持部(7)は、支持部本体(70)と、連結具(72)とを有する。支持部本体(70)は、手すり部(6)を支持する。連結具(72)は、開口(603)を通り、支持部本体(70)とストッパ(71)とを連結する。手すり部(6)は、支持部本体(70)とストッパ(71)とで挟まれることで、支持部(7)に対して固定される。
【0080】
この態様によれば、ストッパ(71)を利用して、手すり部(6)を支持部(7)に固定することができる。
【0081】
第7の態様の手すり(5)は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様の開口(603)は、手すり部(6)の前記長さ方向の全長にわたる。
【0082】
この態様によれば、開口(603)が形成される部分を、例えば、押出成形によって容易に製造することができる。
【0083】
第8の態様の手すり(5)は、第1~7のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様の手すり(5)は、以下に示す構成を有する。手すり(5)は、一対の支持部(7)を備える。一対の支持部(7)は、手すり部(6)の前記長さ方向の両端部をそれぞれ支持する。
【0084】
この態様によれば、手すり部(6)を各支持部(7)に対して移動して、手すり(5)の長さを変更することができる。
【0085】
第9の態様の手すり(5)は、第1~8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様の支持部(7)は、支柱(3)に取り付けられる。
【0086】
この態様によれば、支柱(3)に取り付けられる支持部(7)に対して手すり部(6)を移動することで、手すり(5)の長さを変更できる。
【0087】
第10の態様の手すり(5)は、第1~8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様の支持部(7)は、構造体に取り付けられる。
【0088】
この態様によれば、構造体に取り付けられる支持部(7)に対して手すり部(6)を移動することで、手すり(5)の長さを変更できる。
【0089】
第11の態様の手すりユニット(第1ユニット11,第2ユニット12A)は、以下に示す構成を有する。手すりユニット(11,12A)は、第1~第10のいずれか一つの態様の手すり(5)と、支持部(7)を取付ける取付対象物(支柱3)とを備える。
【0090】
この態様によれば、手すり部(6)を支持部(7)に対して前記長さ方向に移動することで、手すりユニット(11,12A)が備える手すり(5)の長さを変更することができる。また、手すりユニット(11,12A)が備える手すり(5)の使い心地を良くすることができる。
【0091】
第12の態様の手すりユニット(第2ユニット12A)は、第11の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の取付対象物は、二つの手すり(5)が連結される支柱(3)である。
【0092】
この態様によれば、支柱(3)に連結された各手すり(5)の長さを調整して、手すりユニット(12A)の設置位置を調整できる。
【符号の説明】
【0093】
11 第1ユニット(手すりユニット)
12A 第2ユニット(手すりユニット)
3 支柱
5 棒状手すり(手すり)
6 手すり部
603 開口
7 支持部
70 支持部本体
71 ストッパ
72 連結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8