(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】コンセント
(51)【国際特許分類】
H02H 5/04 20060101AFI20241108BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20241108BHJP
H02H 3/08 20060101ALI20241108BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H02H5/04
H02H7/00 A
H02H3/08 D
H01R13/11 302B
(21)【出願番号】P 2020168090
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-01-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】氏原 秀哲
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003872(JP,A)
【文献】特開2020-057482(JP,A)
【文献】特開2019-193542(JP,A)
【文献】特開2020-054098(JP,A)
【文献】特開2019-186135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0097416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 5/04
H02H 7/00
H02H 3/08
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷器具が接続される負荷端子と、
外部電源が接続される電源端子と、
前記負荷端子と前記電源端子との間を接続する給電路と、
前記負荷端子と、前記電源端子と、前記給電路の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出するための複数の温度検出部と、
前記複数の温度検出部によってそれぞれ検出される前記複数の温度情報の差分に基づいて、異常か否かを検知する検知部と、を備え、
前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される前記複数の温度情報が、温度の情報を含み、
前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される複数の温度のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の温度閾値を超えることをもって、前記検知部は異常有りと検知
し、
前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される前記複数の温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含み、
前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される複数の前記単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の変化量閾値を超えることをもって、前記検知部は異常有りと検知する、
コンセント。
【請求項2】
前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される、前記複数の単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分が、規定期間内で規定回数以上、前記所定の変化量閾値を超えることをもって、前記検知部は異常有りと検知する、
請求項1に記載のコンセント。
【請求項3】
複数の前記負荷端子を有し、
前記複数の温度検出部が、前記複数の負荷端子に対応する温度情報を検出する複数の負荷端子温度検出部を含む、
請求項1又は2に記載のコンセント。
【請求項4】
前記複数の負荷端子が、基準面に対して対称に配置され、
前記複数の負荷端子温度検出部が、前記基準面に対して、対称に配置される、
請求項3に記載のコンセント。
【請求項5】
複数の前記電源端子を有し、
前記複数の温度検出部が、前記複数の電源端子に対応する温度情報を検出する複数の電源端子温度検出部を含む、
請求項3又は4に記載のコンセント。
【請求項6】
前記複数の電源端子が、基準面に対して対称に配置され、
前記複数の電源端子温度検出部が、前記基準面に対して、対称に配置される、
請求項5に記載のコンセント。
【請求項7】
前記複数の電源端子温度検出部で、それぞれ検出される前記温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含み、
前記複数の電源端子温度検出部で、それぞれ検出される複数の前記単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分を、第1温度変化量として検出し、
前記複数の負荷端子温度検出部で、それぞれ検出される前記温度情報が、前記単位時間あたりの温度変化量の情報を含み、
前記複数の負荷端子温度検出部で、それぞれ検出される前記複数の単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分を、第2温度変化量として検出し、
前記第2温度変化量を前記第1温度変化量で除した値に基づいて、前記検知部が異常の有無を検知する、
請求項5又は6に記載のコンセント。
【請求項8】
前記負荷端子及び前記電源端子を保持する筐体を更に備え、
前記複数の温度検出部が、前記負荷端子と前記電源端子と前記給電路以外の、前記筐体内部の場所に対応する温度情報を、基準温度情報として検出する、基準温度検出部を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項9】
前記検知部が異常を検知すると、前記給電路の遮断を実行する開閉部を備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項10】
前記検知部の検知結果を、外部に出力する出力部を備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項11】
前記外部電源から前記電源端子を経て入力される電圧を降下させるドロッパ回路と、
前記ドロッパ回路の出力電圧を定電圧化して、前記複数の温度検出部に供給する定電圧回路と、
前記ドロッパ回路と前記定電圧回路との間に接続されて、前記定電圧回路に流れる電流を制限するための電流制限回路と、を含む、
請求項1~10のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項12】
前記電流制限回路が、前記ドロッパ回路と前記定電圧回路との間に直列に接続された抵抗素子を少なくとも含む、
請求項11に記載のコンセント。
【請求項13】
前記抵抗素子と合わせて、ローパスフィルタを構成する、容量性素子を備える、
請求項12に記載のコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コンセント、より詳細には、コンセント本体部内の温度情報を検出するコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の配線器具(コンセント)は、器具本体部と、温度検出部と、制御部と、を備える。温度検出部は、器具本体部内における電力の給電路に対応する温度を検出する。また制御部は、温度検出部で検出した温度に基づく判定を行い、当該判定の結果に応じて、給電路の遮断、及び温度に関する通知のうち少なくとも一方を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンセントのように、コンセントの温度をもとに異常な温度上昇の有無を判定する制御方法の場合、コンセントの状態変化による温度上昇でない、例えば、外部環境温度の変化などによる、コンセントの温度上昇も異常と判定してしまう可能性がある。そのため、温度上昇の検出精度が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、温度上昇の検出精度の向上を図ることができる、コンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコンセントは、負荷端子と、電源端子と、給電路と、複数の温度検出部と、検知部と、を備える。前記負荷端子には負荷器具が接続され、前記電源端子には外部電源が接続される。前記給電路は、前記負荷端子と、前記電源端子との間を接続する。前記複数の温度検出部は、前記負荷端子と、前記電源端子と、前記給電路の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出する。また、検知部は、前記複数の温度検出部によってそれぞれ検出される前記複数の温度情報の差分に基づいて、異常か否かを検知する。前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される前記複数の温度情報が、温度の情報を含む。前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される複数の温度のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の温度閾値を超えることをもって、前記検知部は異常有りと検知する。前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される前記複数の温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含む。前記複数の温度検出部で、それぞれ検出される複数の前記単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の変化量閾値を超えることをもって、前記検知部は異常有りと検知する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、温度上昇の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るコンセントの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上のコンセントの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のコンセントの使用例を示し、開閉部が導通状態にあるときの外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のコンセントの使用例を示し、開閉部が遮断状態にあるときの外観斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のコンセントの外カバー及び内カバーを外した状態の正面図である。
【
図6】
図6は、同上のコンセントの外カバー及び内カバーを外した状態の背面図である。
【
図7】
図7は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図5のX1-X1線断面に相当する概略図である。
【
図8】
図8は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図6のX2-X2線断面に相当する概略図である。
【
図9】
図9は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図5のZ1-Z1線断面に相当する概略図である。
【
図10】
図10は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図5のZ2-Z2線断面に相当する概略図である。
【
図11】
図11は、同上のコンセントの電源回路の構成を示す回路図である。
【
図12】
図12は、同上のコンセントにおける検知モード1に関する説明をするためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、同上のコンセントにおける検知モード2に関する説明をするためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、同上のコンセントにおける検知モード2に関する説明をするためのグラフである。
【
図15】
図15は、同上のコンセントにおける検知モード2に関する説明をするためのグラフである。
【
図16】
図16は、同上のコンセントにおける検知モード3に関する説明をするためのフローチャートである。
【
図17】
図17は、同上のコンセントにおける検知モード3に関する説明をするためのグラフである。
【
図18】
図18は、同上のコンセントにおける検知モード4に関する説明をするためのフローチャートである。
【
図19】
図19は、同上のコンセントにおける検知モード4に関する説明をするためのグラフである。
【
図20】
図20は、同上のコンセントにおける検知モード4に関する説明をするためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(1)概要
まず、本実施形態のコンセント1の概要について、
図1、
図2及び
図8を参照して説明する。
【0011】
本実施形態では、コンセント1は、負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1と、複数の温度検出部9と、検知部101と、を備える。負荷端子3には負荷器具2が電気的に接続され、電源端子4には外部電源5が接続され、給電路L1は負荷端子3と電源端子4との間を電気的に接続する電路である。複数の温度検出部9は、負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出する。検知部101は複数の温度検出部9によってそれぞれ検出される複数の温度情報の差分に基づいて、異常か否かを検知する。ここで、「温度情報」とは、それぞれの温度検出部9における温度の他、単位時間あたりの温度変化量等を含む。また「負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報」は、負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つの温度情報でもよいし、熱伝導によって、負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つと熱の授受を行う部位(空気層も含む、熱的に結合された部位)の温度でもよい。
【0012】
さらに、本実施形態では、コンセント1は複数の負荷端子3を有し、それぞれの負荷端子3に対応する温度情報を検出する複数の負荷端子温度検出部92を備える。なお、
図1では、後述する電源端子温度検出部91と、負荷端子温度検出部92とが1つずつであるように図示されているが、複数の電源端子4に対応して複数の電源端子温度検出部91が設けられ、複数の負荷端子3に対応して複数の負荷端子温度検出部92が設けられている。また、コンセント1は複数の電源端子4を有し、それぞれの電源端子4に対応する温度情報を検出する複数の電源端子温度検出部91を備える。すなわち、複数の温度検出部9は、複数の負荷端子温度検出部92と複数の電源端子温度検出部91とを含む。また、コンセント1は電源回路22を含み、温度検出部9は、外部電源5から電源回路22を介して供給される電圧によって動作する。電源回路22は、ドロッパ回路221と電流制限回路222と定電圧回路223とを含む。
【0013】
ところで、本実施形態の、複数の温度検出部9によってそれぞれ検出される複数の温度情報の差分に基づいて、検知部101がコンセント1の状態が異常か否かを検知する構成によれば、コンセント1内部の異常な温度上昇の検出精度を向上させることができる。
【0014】
(2)詳細
以下に、本実施形態に係るコンセント1について
図1~
図20を参照して、より詳細に説明する。
【0015】
(2.1)全体構成
本実施形態では、コンセント1は、電源端子4に接続された外部電源5から、負荷端子3に接続された負荷器具2に、給電路L1を通じて電力を供給する。コンセント1は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の非住宅施設等に設置される。コンセント1は、例えば、施設(建物)の壁面、天井面及び床面等の造営面11(
図3参照)に設置される。なお、コンセント1は造営面11に設置されるものに限定されず、机などの什器に取り付けられるものでもよいし、載置面(例えば床面)に置かれた状態で使用されるものでもよい。
【0016】
本実施形態では、コンセント1は、
図1及び
図3に示すように、筐体1Bを備え、筐体1Bは負荷端子3及び電源端子4を保持する。またコンセント1は、給電路L1、複数の温度検出部9と、検知部101と、制御部102と、出力部M1と、開閉部12と、スイッチ16とを備える。制御部102は、検知部101が異常を検知すると、給電路L1の遮断の指令を開閉部12に対して出す。また、制御部102は、検知部101の検知結果に関する通知を行う。ここで、制御部102は検知部101と合わせて、処理部10を構成する。出力部M1は、制御部102からの、検知部101の検知結果に関する通知を外部に出力する。つまり、出力部M1は検知部101の検知結果を、外部に出力する。ここで出力部M1は、例えば、制御部102からの、検知部101の検知結果に関する通知を発光によって報知する表示部14と、音声によって報知するブザー15を有する。開閉部12は、検知部101が異常を検知すると、制御部102からの指令を受けて、給電路L1の遮断を実行する。すなわち、検知部101が異常を検知すると、開閉部12が給電路L1の遮断を実行する。また開閉部12には操作部材13が機械的に結合されている。スイッチ16は制御部102に対して、外部から指令を出すために備えられる。
【0017】
図3及び
図4は、コンセント1が造営面11に取り付けられた状態の斜視図である。本実施形態では、コンセント1は、日本工業規格によって規格化された大角形連用コンセントの取付枠に取り付けられる埋込形コンセントである。具体的には、コンセント1は、取付枠を介して造営面11に取り付けられる。ここで、取付枠は、埋込ボックスを介して又は直接的に、造営面11に固定される。つまり、取付枠が造営面11に固定されることにより、コンセント1が取付枠を介して造営面11に取り付けられる。取付枠には化粧プレート111が取り付けられ、
図3及び
図4に示すように、化粧プレート111の前面の開口窓112からコンセント1の前面1Cが露出する形になる。ここで、取付枠は、コンセント1と別部材であってもよいし、一部材であってもよい。本実施形態では、コンセント1が屋内用である場合、つまり造営面11が建物(施設)の内壁面である場合について説明するが、この例に限らず、コンセント1は屋外用であってもよい。
【0018】
以下では、造営面11である建物の内壁面にコンセント1が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な方向を「上下方向」とし、コンセント1を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。また、上下方向と直交し、かつ造営面11に平行な方向を「左右方向」とし、コンセント1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり造営面11に直交する方向を「前後方向」とし、造営面11の裏側(壁裏側)を「後方」として説明する。ただし、これらの方向はコンセント1の使用方向を限定する趣旨ではない。例えば、コンセント1が壁面ではなく床面に取り付けられる場合には、「前後方向」は水平面に対して垂直な方向となり、上記の「上下方向」及び「左右方向」は水平面に平行な方向となる。また、コンセント1が壁面に取り付けられる場合でも、上記の「上下方向」が水平面に平行な方向となる向き(つまり横向き)で、コンセント1が壁面に取り付けられてもよく、この場合、上記の「左右方向」は水平面に垂直な方向となる。なお、本開示における「垂直」とは、完全な垂直だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な垂直も含む。また、本開示における「平行」とは、完全な平行だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な平行も含む。
【0019】
本実施形態では、1個のプラグ21(
図7参照)を接続可能な1個口タイプのコンセント1を例示する。すなわち、コンセント1は、1個のプラグ21の栓刃211に対応するように、1個の接続口17を有している。1個の接続口17はコンセント1の前面1Cに配置されている。なお、本実施形態では、プラグ21は栓刃211を2個とアースピン212を1個備えた2極アース付きプラグであり、接続口17は、2つの栓刃挿入孔171と1つのアースピン挿入孔172を有する。
【0020】
本実施形態では、2極アース付きプラグであるプラグ21に対応するように、コンセント1は、互いに異極性となる一対の電源端子4と、アース端子7とを備えている。つまり、一対の電源端子4のうち一方の電源端子4には外部電源5からのL極(Live)側の給電線51が接続され、他方の電源端子4には外部電源5からのN極(Neutral)側の給電線51が接続される。アース端子7には、アース線78が接続される。また、コンセント1は、互いに異極性となる一対の負荷端子3と、アースピン端子19とを備えている。さらに、互いに同極性である負荷端子3と電源端子4とは、開閉部12を介して、それぞれ給電路L1で電気的に接続されている。また、アース端子7とアースピン端子19とは、導電部材77を介して、電気的に接続されている。
【0021】
図2及び
図8に示すように、コンセント1は、電源端子4及び負荷端子3等の内部部品と、内部部品を保持する筐体1Bとを有している。筐体1Bは、外ボディ181と、外カバー182と、内カバー183と、内ブロック184と、端子ブロック185とを有している。ここで、外ボディ181、外カバー182、内カバー183、内ブロック184及び端子ブロック185は、例えば合成樹脂等の絶縁材料製である。
【0022】
外ボディ181は、前面が開口された箱状に形成されている。外ボディ181の開口面(前面)は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも長い長方形状である。内ブロック184は、負荷端子3及びアースピン端子19を保持した状態で、他の内部部品(電源端子4及び開閉部12等)と共に外ボディ181に収容される。外ボディ181の前面には内カバー183が取り付けられる。これにより、外ボディ181と内カバー183との間には、内ブロック184に保持された状態の負荷端子3及びアースピン端子19を含む内部部品が収容されることになる。外カバー182は、内カバー183の前面に取り付けられる。これにより、内ブロック184と外カバー182との間に負荷端子3及びアースピン端子19が収容される。ここで、内カバー183のうち、内ブロック184に対応する部位には、前後方向に貫通する開口窓183Aが形成されている。そのため、負荷端子3及びアースピン端子19を保持した内ブロック184の前面は外カバー182で覆われることになり、外カバー182を外した状態では、内ブロック184の前面は開口窓183Aを通して前方に露出する。端子ブロック185は、電源端子4及びアース端子7を保持した状態で、他の内部部品と共に外ボディ181に収容される。
【0023】
更に本実施形態では、外カバー182は、複数の部材(例えば、第1部位182A、第2部位182B、及びアース蓋182Cの3つの部材)に分割可能に構成されている。
【0024】
外カバー182のうち内ブロック184を覆う第1部位182Aには、上述した1個の接続口17が形成されている。接続口17は、一対の栓刃挿入孔171と、アース極付きプラグのアースピン212が差し込まれるアースピン挿入孔172を有し、その下にはアース蓋182Cが設けられている。筐体1Bの内部において、一対の栓刃挿入孔171にそれぞれ対応する位置に負荷端子3が配置され、アースピン挿入孔172に対応する位置にはアースピン端子19が配置され、アース蓋182Cに対応する位置にはアース端子7が配置される。ここで、アースピン端子19とアース端子7は電気的に接続されている。アースピン端子19は、プラグ21のアースピン212が接続されるばね部材である。アース端子7は、アース蓋182Cに対向する側に負荷器具2のアース線78が接続される第1アース端子71を備え、第1アース端子71の反対側に、外部電源のアース線78が接続される第2アース端子72を備える。
【0025】
また、外ボディ181と内カバー183との間の空間であって内ブロック184の左方には、開閉部12及び基板20等が収容されている。基板20は、開閉部12の上方に配置されている。基板20には、表示部14を構成する第1表示灯141及び第2表示灯142、並びにスイッチ16が実装されている。一例として、第1表示灯141及び第2表示灯142は、互いに発光色の異なるLED(Light Emitting Diode)であって、スイッチ16は、押ボタンスイッチである。また、表示部14の光がコンセント1の前方から視認可能となり、かつコンセント1の前方からスイッチ16の押操作が可能となるように、内カバー183には透光部183C及びカンチレバー183Dが形成されている。つまり、表示部14の光は透光部183Cを通してコンセント1の前方から視認可能であって、スイッチ16はカンチレバー183Dを介してコンセント1の前方から押操作可能である。
図3及び
図4では、便宜上、コンセント1の前面1Cにおける、表示部14(第1表示灯141及び第2表示灯142)及びスイッチ16に対応する各位置に、表示部14及びスイッチ16の符号を付している。
【0026】
(2.2)負荷端子及び電源端子
本実施形態で、コンセント1が備える一対(2個)の負荷端子3は、
図5及び
図7に示すように、内ブロック184に保持されている。また、内ブロック184にはアースピン端子19も保持されている。ここで、一対の負荷端子3は、外カバー182に形成された1対の栓刃挿入孔171にそれぞれ対応する位置に配置されている。アースピン端子19は、外カバー182に形成されたアースピン挿入孔172に対応する位置に配置されている。
【0027】
負荷端子3は、プラグ21の接続時に、プラグ21の栓刃211が差し込まれる刃受部材である。また、アースピン端子19は、プラグ21のアースピン212が差し込まれるばね部材である。負荷端子3及びアースピン端子19は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。負荷端子3は、栓刃211と電気的に接続され、かつ栓刃211を機械的に保持する。アースピン端子19は、アースピン212と電気的に接続され、かつアースピン212を機械的に保持する。
【0028】
一対の電源端子4は、
図6、
図8及び
図9に示すように、端子ブロック185に保持されている。また、端子ブロック185には、アース端子7も保持されている。ここで、一対の電源端子4は、端子ブロック185の後面に形成された一対の電源端子孔185Aにそれぞれ対応する位置に配置されている。アース端子7はアースピン端子19と一体に形成されている。アース端子7は、端子ブロック185の後面に形成されたアース端子孔185Bに対応する位置に配置されている。各電源端子4は、給電線51の心線52が差し込まれることで給電線51が接続される、差込式の速結端子である。具体的には、各電源端子4は、
図8に示すように、端子板41及び鎖錠ばね42を有している。端子板41は、導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。鎖錠ばね42は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。各電源端子4は、一対の電源端子孔185Aにおける、対応する電源端子孔185Aから露出する。各電源端子4は、給電線51が、対応する電源端子孔185Aに挿入されると、端子板41と鎖錠ばね42との間に給電線51の心線52を挟んだ状態で、給電線51と電気的に接続され、かつ給電線51を機械的に保持する。また、各電源端子4は、端子板41の、コンセント1の前方側において、基板6の一面(例えば後面62)に実装される。ここで、各電源端子4と基板6とは、熱的に結合されている。
【0029】
アース端子7は、
図5、
図5及び
図9に示すように、負荷器具2のアース線78が接続される第1アース端子71と、外部電源5のアース線78が接続される第2アース端子72を備える。第1アース端子71及び第2アース端子72は、共通の台座部材73を備える。第1アース端子71は、負荷器具2のアース線78を台座部材73に固定する保持部材74とネジ75を備え、第2アース端子72は、台座部材73に保持される鎖錠ばね76を備える。台座部材73は導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。鎖錠ばね76は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。第2アース端子72は電源端子4と同様の差込式の速結端子であって、端子ブロック185の後面に形成されたアース端子孔185Bに対応する位置に配置されている。ここで、第1アース端子71と第2アース端子72とアースピン端子19とは電気的に接続されている。ここで、台座部材73は、第1アース端子71及び第2アース端子72において、それぞれ別部材で設けられてもよい。
【0030】
(2.3)検知システム
本実施形態では、温度検出部9と処理部10(検知部101及び制御部102)と開閉部12とが検知システムS1を構成する(
図1参照)。以下、検知システムS1について詳しく説明する。
【0031】
(2.3.1)温度検出部
まず、検知システムS1の温度検出部9について、
図1、
図2、
図5、
図8及び
図10を参照して説明する。
【0032】
本実施形態では、温度検出部9は、電源端子4に対応する温度情報と、負荷端子3に対応する温度情報とをそれぞれ検出する。なお、温度検出部9は、電源端子4に対応する温度情報と、負荷端子3に対応する温度情報とを検出するものに限定されず、電源端子4、負荷端子3、及び給電路L1のうち少なくとも1つに対応する温度情報を検出すればよい。
【0033】
本実施形態では、温度検出部9は、電源端子4に対応する温度情報を検出する電源端子温度検出部91(以下、第1温度検出部という)と、負荷端子3に対応する温度情報を検出する負荷端子温度検出部92(以下、第2温度検出部という)と、を備える。第1温度検出部91は、第1温度センサ93を含み、第2温度検出部92は、第2温度センサ94を含む。第1温度センサ93は、電源端子4に対して熱的に結合されている。第2温度センサ94は、負荷端子3に対して熱的に結合されている。第1温度センサ93及び第2温度センサ94は、例えば、サーミスタ、熱電対、又はサーモパイル等で実現される。
【0034】
本実施形態では、第1温度検出部91の第1温度センサ93は、
図8に示すように、基板6の後面62に実装されている。すなわち、温度検出部9が、基板6に実装された温度センサ97(第1温度センサ93)を含んでいる。ここで、同じく基板6の後面62に実装される電源端子4の端子板41と、第1温度センサ93との間に、熱伝導性を有し、絶縁性を有する伝熱部材95を配置することで、第1温度センサ93と電源端子4とが熱的により強く結合される。なお、伝熱部材95はコンセント1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。ここで第1温度検出部91に含まれる第1温度センサ93は、互いに異極性となる一対の電源端子4に対応して、一対設けられている。各第1温度センサ93は、伝熱部材95を介して、それぞれ対応する電源端子4に対応する温度情報を検出する。換言すると、本実施形態において、コンセント1は複数(一対)の電源端子4を有し、複数の温度検出部9は、複数の電源端子4に対応する温度情報を検出する複数(一対)の第1温度検出部91を含む。また、
図10に示すように、本実施形態では、複数(一対)の電源端子4は、基準面AA1に対して対称に配置されており、それぞれ対応する複数(一対)の第1温度検出部91もまた基準面AA1に対して、対称に配置されている。なお、基準面AA1は、一対の電源端子4が並ぶ方向において、一対の電源端子4と対向する面であって、一対の電源端子4の間の距離の中点を通る。
【0035】
負荷端子3は、
図7に示すように、側面視の形状がC型に形成された保持部96を有しており、この保持部96によって、ブロック状の第2温度センサ94が保持された状態で固定される。これにより、第2温度センサ94と負荷端子3との熱的な結合が実現される。ここで第2温度検出部92に含まれる第2温度センサ94は、互いに異極性となる一対の負荷端子3に対応して、一対設けられている。各第2温度センサ94は、それぞれ対応する負荷端子3に対応する温度情報を検出する。換言すると、本実施形態において、コンセント1は複数(一対)の負荷端子3を有し、複数の温度検出部9は、複数の負荷端子3に対応する温度情報を検出する複数(一対)の第2温度検出部92を含む。また、
図5に示すように、本実施形態では、複数(一対)の負荷端子3は、基準面AA2に対して対称に配置されており、それぞれ対応する複数(一対)の第2温度検出部92もまた基準面AA2に対して、対称に配置されている。なお、基準面AA2は一対の負荷端子3が並ぶ方向において、一対の負荷端子3と対向する面であって、一対の負荷端子3の間の距離の中点を通る。
【0036】
温度検出部9は、検出した温度情報に応じた検出信号を検知部101に出力する。検出信号は、温度情報を伝える電気信号であればよく、例えば、温度情報に応じて変化する、抵抗値、電圧値又は電流値等の信号である。
【0037】
本実施形態では、コンセント1は電源回路22を含み、温度検出部9は、外部電源5から電源回路22を介して供給される電圧によって動作する。電源回路22は、例えば筐体1Bに保持される制御基板23に実装される。電源回路22はドロッパ回路221と電流制限回路222と定電圧回路223とを含む。換言すると、コンセント1は、ドロッパ回路221と、定電圧回路223と、電流制限回路222とを含む。ドロッパ回路221は、外部電源5から電源端子4を経て入力される電圧を降下させる。定電圧回路223は、ドロッパ回路221の出力電圧を定電圧化して、複数の温度検出部9に供給する。電流制限回路222は、ドロッパ回路221と定電圧回路223との間に接続されて、定電圧回路223に流れる電流を制限する。
【0038】
本実施形態では、
図11に示すように、外部電源5から入力される電圧が交流電圧であるため、電源回路22は交流電圧を直流電圧に変換する整流部224を含む。整流部224は、例えば複数のダイオードを有するダイオードブリッジ回路(整流回路)である。整流部224には、外部電源5から交流電圧が入力される。整流部224は、入力された交流電圧を全波整流して直流電圧として出力する。
【0039】
ドロッパ回路221は、整流部224の後段に電気的に接続されている。ドロッパ回路221は、入力された直流電圧を所定の電圧値まで降圧し、電流制限回路222に出力する。ドロッパ回路221は、例えば、ツェナーダイオードZD1と、第1抵抗素子R1と、第2抵抗素子R2と、第1容量性素子C1と、能動素子Q1を有している。ここで容量性素子C1は、例えばセラミックコンデンサであり、能動素子Q1は、例えばNチャネル型MOSFETである。能動素子Q1のドレイン端子は、整流部224に第1抵抗素子R1を介して電気的に接続されている。能動素子Q1のソース端子は、電流制限回路222に電気的に接続されている。第1抵抗素子R1と第2抵抗素子R2とツェナーダイオードZD1は、整流部224の出力端子間に電気的に直列に接続されている。またツェナーダイオードZD1のアノード端子は整流部224の低電位側の出力端子に電気的に接続されている。ツェナーダイオードZD1と並列に容量性素子C1が接続されている。能動素子Q1のゲート端子は、ツェナーダイオードZD1のカソード端子に接続されている。
【0040】
ドロッパ回路221には、整流部224から直流電圧が入力される。ここで、第1抵抗素子R1と、第2抵抗素子R2と、ツェナーダイオードZD1に電流が流れ、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧に基づく直流電圧が能動素子Q1のゲート端子とソース端子に印加される。これにより、能動素子Q1のドレイン端子とソース端子間が導通し、入力された直流電圧に対して降圧された直流電圧が、ドロッパ回路221から出力される。なお、ドロッパ回路221の出力電圧は、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧に基づく電圧値に設定される。ここで、容量性素子C1は第1抵抗素子R1と第2抵抗素子R2と合わせてローパスフィルタとして機能する。容量性素子C1と第1抵抗素子R1と第2抵抗素子R2とで構成されたローパスフィルタによってドロッパ回路221から出力される直流電圧は高周波ノイズが低減される。
【0041】
電流制限回路222は、ドロッパ回路221の後段に電気的に接続されている。電流制限回路222は、定電圧回路223に流れる電流の値を制限する。電流制限回路222は、ドロッパ回路221と定電圧回路223との間に直列に接続された抵抗素子を少なくとも含み、本実施形態では、例えば、ドロッパ回路221と定電圧回路223との間に直列に接続された第3抵抗素子R3から成る。
【0042】
電流制限回路222には、ドロッパ回路221から直流電圧が入力される。ここで第3抵抗素子R3に電流が流れ、第3抵抗素子R3でさらに直流電圧は降圧される。降圧された直流電圧が、電流制限回路222から出力される。ここで、第3抵抗素子R3があることにより、電源回路22全体のインピーダンスが増大し、電源回路22に流れる電流が制限される。換言すると、電流制限回路222によって、定電圧回路223に流れる電流が制限される。
【0043】
定電圧回路223は、電流制限回路222の後段に電気的に接続されている。定電圧回路223は、入力された直流電圧を、温度検出部9の動作に必要な電圧値に変換して、温度検出部9に動作電圧を出力する。
【0044】
定電圧回路223は、例えば、整流ダイオードD1と、第2容量性素子C2と、レギュレータRG1と、第3容量性素子C3を有している。ここで第2容量性素子C2と、第3容量性素子C3は、例えば、セラミックコンデンサであり、レギュレータRG1は、例えば、三端子レギュレータである。整流ダイオードD1のアノード端子は、電流制限回路222に電気的に接続されている。レギュレータRG1の入力端子は、整流ダイオードD1のカソード端子と電気的に接続されている。レギュレータRG1のグランド端子は整流部224の低電位側の出力端子と電気的に接続されている。レギュレータRG1の出力端子は、温度検出部9に電気的に接続されている。第2容量性素子C2は、整流ダイオードD1のカソード端子と整流部224の低電位側の出力端子との間に電気的に接続されている。第3容量性素子C3は、温度検出部9と整流部224の低電位側の出力端子との間に電気的に接続されている。
【0045】
定電圧回路223においては、電流制限回路222から直流電圧が入力される。ここで、整流ダイオードD1は、レギュレータRG1への入力の逆接続に対する保護ダイオードとして機能する。また第2容量性素子C2は、電流制限回路222を構成する第3抵抗素子R3と合わせて、レギュレータRG1への入力直流電圧に対してのローパスフィルタとして機能する。第3抵抗素子R3と容量性素子C2で構成されたローパスフィルタによって高周波ノイズが低減された直流電圧は、レギュレータRG1に入力され、所定の電圧値の直流定電圧としてレギュレータRG1から出力される。ここで、容量性素子C3はレギュレータRG1と合わせて、レギュレータRG1から出力される直流定電圧に対して、ローパスフィルタとして機能する。容量性素子C3とレギュレータRG1とで構成されたローパスフィルタによって高周波ノイズが低減された直流定電圧は、温度検出部9に入力される。
【0046】
なお、回路の構成は上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。また、本開示で示すドロッパ回路221、電流制限回路222、定電圧回路223の構成は、コンセントに限らず、他の低電流の配線器具全般に応用が可能である。
【0047】
(2.3.2)処理部
次に、検知システムS1の処理部10(検知部101及び制御部102)について
図1を参照して説明する。
【0048】
処理部10(検知部101及び制御部102)は、例えば、内ブロック184の後方に配置された制御基板23に実装されている。また、制御部102からの通知を出力するブザー15も、例えば、制御基板23に実装されている。制御部102は、開閉部12、出力部M1(表示部14、ブザー15)、スイッチ16、及び温度検出部9に電気的に接続されており、制御部102は、少なくとも開閉部12、出力部M1(表示部14及びブザー15)の制御を行う。
【0049】
処理部10(検知部101及び制御部102)は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部10として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0050】
検知部101は、温度検出部9で検出した温度情報に基き、温度検出部9で検出した温度が所定の閾値を超えるか否かを判断することで、コンセント1の状態が異常か否かを検知するように構成されている。制御部102は、検知部101による異常の検知結果に応じて、給電路L1の遮断(以下、単に遮断と呼ぶ)、及び検知部101の検知結果に関する通知(以下、単に通知と呼ぶ)のうち少なくとも一方を行うように構成されている。
【0051】
以下、処理部10の具体的な動作について説明する。
【0052】
本実施形態では、コンセント1は外部電源5から電源端子4に交流電力が入力され、例えば、制御基板23に実装された電源回路22によって、処理部10(検知部101及び制御部102)に必要な動作電力が供給される。
【0053】
検知部101は、温度検出部9からの検出信号に基づいて、コンセント1が異常な温度にあると検知すると、異常検知信号を制御部102に出力する。制御部102は、検知部101からの異常検知信号に基づいて、駆動信号を開閉部12に出力して、開閉部12を導通状態から遮断状態に切り替えるように制御する。本実施形態では、コンセント1は互いに異極性となる一対の電源端子4と、互いに異極性となる一対の負荷端子3を備えている。同極性の電源端子4と負荷端子3とは、それぞれの極性に対応する給電路L1により、開閉部12を介して、電気的に接続されている。ここで、開閉部12は、L極の電源端子4とL極の負荷端子3との間に接続される接点装置と、N極の電源端子4とN極の負荷端子3との間に接続される接点装置とを有している。開閉部12が備える一対の接点装置は制御部102によって導通状態又は遮断状態に同時に制御される。そのため、開閉部12が備える一対の接点装置が遮断状態にあれば、それぞれの極性に対応する給電路L1が、両方とも電気的に遮断された状態となる。
【0054】
また制御部102は、検知部101の検知結果に関する通知を行う。すなわち、制御部102は、出力部M1(表示部14及びブザー15)を通じて、異常な温度を検出したことをユーザに報知する。すなわち、本実施形態では、制御部102での報知は、表示部14の発光、及びブザー15からの報知音の出力より実現される。
【0055】
スイッチ16は、ブザー15の報知音の出力を停止させる際に操作される。つまり、ブザー15が報知音を出力している状態でスイッチ16が押操作されると、ブザー15の報知音を停止させるように、制御部102がブザー15を制御する。また、スイッチ16は、テストスイッチとしても使用され、開閉部12の接点を強制的に導通状態から遮断状態に切り替える場合にも使用される。
【0056】
具体的には、開閉部12は、互いに異極性となる一対の接点装置と、電磁釈放装置と、を有している。一対の接点装置の各々は、固定接点及び可動接点を有している。可動接点は、固定接点に接触する閉位置と、固定接点から離れた開位置との間で移動する。固定接点には電源端子4が電気的に接続され、可動接点には負荷端子3が電気的に接続される。
【0057】
このような構成の開閉部12は、定常時には、可動接点が閉位置に位置することで、電源端子4と負荷端子3との間を導通させる導通状態にある。一方、制御部102が、温度検出部9で検出した温度に基づいて、コンセント1の状態が異常であると検知し、制御部102が開閉部12に駆動信号を送信すると、開閉部12は、電磁釈放装置を作動させて可動接触子を駆動し、可動接点を開位置に移動させる。これにより、電源端子4と負荷端子3との間を電気的に遮断する遮断状態に切り替わる。このように、開閉部12は、制御部102からの駆動信号により、導通状態から遮断状態に切り替わる。
【0058】
開閉部12には、操作部材13が機械的に結合されている。操作部材13は、回転軸を中心に回転可能なレバー式ハンドルである。ここで、コンセント1の前方から操作部材13の操作が可能となるように、内カバー183及び外カバー182にはそれぞれ第1操作孔183B及び第2操作孔182Dが形成されている。つまり、操作部材13は、第1操作孔183B及び第2操作孔182Dを通してコンセント1の前方に露出し、コンセント1の前方から操作可能となる。
【0059】
操作部材13は、給電路L1の遮断に応じてコンセント1に対して変位する。具体的には、操作部材13は、開閉部12に連動して回転し、オン位置(
図3参照)と、オフ位置(
図4参照)との間で移動する。オン位置は開閉部12が備える一対の接点装置の導通状態に対応する位置であって、オフ位置は開閉部12が備える一対の接点装置の遮断状態に対応する位置である。つまり、開閉部12が備える一対の接点装置が導通状態にあれば、
図3に示すように、操作部材13がオン位置に位置する。操作部材13が備える一対の接点装置がオン位置にあるとき、操作部材13の前面はコンセント1の前面1Cと略面一になる。一方、開閉部12が備える一対の接点装置が導通状態から遮断状態に切り替わると、操作部材13が回転して操作部材13の先端部が前方(手前側)に移動し、
図4に示すように、操作部材13がオフ位置に移動する。操作部材13がオフ位置にあるとき、操作部材13はコンセント1の前面1Cから前方に突出する。なお、操作部材13をオフ位置からオン位置に移動させると、開閉部12が備える一対の接点装置を遮断状態から導通状態に切り替えることができる。
【0060】
このように、検知部101が温度の異常を検知すると、制御部102による制御により開閉部12が遮断状態に切り替わるので、負荷器具2への給電を停止して、コンセント1の加熱を抑制できる。また、温度の異常の原因を解決した後に、操作部材13をオフ位置からオン位置に移動させて導通状態に切り替えることで、負荷器具2への電力供給を再開できる。
【0061】
(2.4)検知モード
コンセント1は、負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出する、複数の温度検出部9を備える。またコンセント1は、複数の温度検出部9によってそれぞれ検出される複数の温度情報の差分に基づいて、異常か否かを検知部101が検知する。
【0062】
本実施形態では、コンセント1は一対の負荷端子3を有し、それぞれの負荷端子3に対応する温度を検出する一対の温度検出部9、すなわち第2温度検出部92を備える。また、コンセント1は一対の電源端子4を有し、それぞれの電源端子4に対応する温度を検出する一対の温度検出部9、すなわち第1温度検出部91を備える。
【0063】
以下、コンセント1の検知部101が検知を行う際の複数の検知モードについて詳しく説明する。なお、以下に詳述する第1検知モードと、第2検知モードと、第3検知モードと、第4検知モードと、による検知は、それぞれ単体で実行されてもよいし、任意に組み合わせて実行されてもよい。また、同時に実施される検知モードのうち、少なくともいずれか1つの検知モードにおいて、検知部101が異常を検知した場合は、開閉部12によって給電路が遮断される。また同時に出力部M1から、検知部101での検知結果が、外部に出力される。
【0064】
(2.4.1)第1検知モード
本実施形態では、複数の温度検出部9でそれぞれ検出される温度情報は、温度Tの情報を含む。複数の温度検出部で、それぞれ検出される複数の温度Tのうちの、最大値Tmaxと最小値Tminの差分が、所定の温度閾値Tthを超えることをもって、検知部101は異常有りと検知する検知モードを第1検知モードとする。以下、第1検知モードの動作の一例について、
図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
まず、コンセント1が備える複数(4つ)の温度検出部9は、所定の時間間隔で、複数の温度T1~T4の検出を行う(
図12ST1)。次に、検知部101は、各検出タイミングで複数(4つ)の温度検出部9が検出した複数(4つ)の温度T1~T4から、最大値Tmaxと最小値Tminを求め、Tmaxと最小値Tminの差分Tmax―Tminを検出する(
図12ST2)。そして、検知部101は、差分Tmax―Tminの値が、所定の温度閾値Tthを超えているか否かを判断する(
図12ST3)。ここで、Tmax―Tminの値が、所定の温度閾値Tthを超えている場合に、検知部101は異常有りと検知する(
図12ST4)。検知部101が異常有りと検知すると、制御部102が、給電路L1の遮断及び出力部M1を通じて異常の通知を行う。Tmax-Tminの値が、所定の温度閾値Tthを超えていない場合は、第1検知モードは処理を終了する。
【0066】
(2.4.2)第2検知モード
本実施形態では、複数の温度検出部9でそれぞれ検出される温度情報は、単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTの情報を含む。複数の温度検出部9で、それぞれ検出される複数の温度変化量ΔTのうちの、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminの差分ΔTmax―ΔTminが、所定の変化量閾値ΔTthを超えることをもって、検知部101は異常有りと検知する検知モードを第2検知モードとする。以下、第2検知モードの動作の一例について、
図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0067】
まず、コンセント1が備える複数(4つ)の温度検出部9は、第2検知モードの所定のサンプリング周期Δt2で、複数の温度T1~T4の検出を行う(
図13ST1)。ここで、それぞれの温度検出部9は、各サンプリング周期Δt2で温度T1~T4を検出すると、前回のサンプリング時の温度T1~T4との差分を求めることで、
図14に示すように、複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1~ΔT4を検出する(
図13ST2)。なお、本実施形態では、サンプリング周期Δt2と、温度変化量ΔTを求める単位時間Δtとが等しい場合を想定している。次に、検知部101は、複数(4つ)の温度検出部9がサンプリング周期Δt2毎に検出した複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1~ΔT4から最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとを求める。そして、
図15に示すように、検知部101は、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminの差分ΔTmax―ΔTminを検出する(
図13ST3)。
【0068】
例えば、時間tでの、複数(4つ)の温度検出部9が検出する温度はT1(t)~T4(t)と表され、時間tでの、複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量はΔT1(t)~ΔT4(t)と表される。
図14は時間t1、t2、t3での温度変化量ΔT1(t)~ΔT4(t)の一例を示す。
【0069】
ここで、第2検知モードにおける時間t1での、複数(4つ)の温度検出部9が検出する、複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1(t)~ΔT4(t)は以下のように表される。なお、時間t1は、温度検出部9が初回に温度を検出する時間t0からΔt経過した時間とする。
ΔT1(t1)=T1(t1)―T1(t0)
ΔT2(t1)=T2(t1)―T2(t0)
ΔT3(t1)=T3(t1)―T3(t0)
ΔT4(t1)=T4(t1)―T4(t0)
【0070】
同様に、時間t1からさらに所定の単位時間Δtが経過した時間t2での、複数(4つ)の温度検出部9が検出する、複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1(t)~ΔT4(t)は以下のように表される。
ΔT1(t2)=T1(t2)―T1(t1)
ΔT2(t2)=T2(t2)―T2(t1)
ΔT3(t2)=T3(t2)―T3(t1)
ΔT4(t2)=T4(t2)―T4(t1)
【0071】
同様に、時間t2からさらに所定の単位時間Δtが経過した時間t3での、複数(4つ)の温度検出部9が検出する、複数(4つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1(t)~ΔT4(t)は以下のように表される。
ΔT1(t3)=T1(t3)―T1(t2)
ΔT2(t3)=T2(t3)―T2(t2)
ΔT3(t3)=T3(t3)―T3(t2)
ΔT4(t3)=T4(t3)―T4(t2)
【0072】
このように、所定の単位時間Δt毎に温度変化量ΔT(t)が複数(4つ)の温度検出部9で検出される。
【0073】
次に、検知部101は、差分ΔTmax―ΔTminが、所定の変化量閾値ΔTthを超えているか否かを判断する(
図13ST4)。ここで、差分ΔTmax―ΔTminが、所定の変化量閾値ΔTthを超えた場合に、検知部101は異常有りと検知する(
図13ST5)。検知部101が異常有りと検知すると、制御部102が、給電路L1の遮断及び出力部M1を通じて異常の通知を行う。ΔTmax-ΔTminの値が、所定の温度閾値ΔTthを超えていない場合は、第2検知モードは処理を終了する。
【0074】
(2.4.3)第3検知モード
複数の温度検出部9で、それぞれ検出される、複数の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTのうち、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminの差分が、規定期間内で規定回数n回以上、所定の変化量閾値ΔTthを超えることをもって、検知部101は異常有りと検知する検知モードを第3検知モードとする。以下、第3検知モードの動作の一例について、
図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0075】
まず、第2検知モードと同様に、コンセント1が備える複数(4つ)の温度検出部9は、第2検知モードの所定のサンプリング周期Δt2で、複数の温度T1~T4の検出を行い(
図16ST1)、次に複数(4つ)の単位時間Δt(Δt2)あたりの温度変化量ΔT1~ΔT4を検出する(
図16ST2)。次に、検知部101は、温度変化量ΔT1~ΔT4から最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとを求め、差分ΔTmax―ΔTminを検出する(
図16ST3)。次に、検知部101は、差分ΔTmax―ΔTminが所定の変化量閾値ΔTthを超えているか否かを判断する(
図16ST4)。そして、差分ΔTmax―ΔTminが、所定の変化量閾値ΔTthを超えた場合に、検知部101は、第3検知モードの所定のサンプリング周期Δt3の間に、差分ΔTmax―ΔTminが、所定の変化量閾値ΔTthを、規定回数n回(例えば3回)以上超えたかを判断する(
図16ST5)。そして、
図17に示すように、サンプリング周期Δt3(サンプリング周期Δt2の例えば8倍の時間)の間に、その回数が規定回数n回(例えば3回)を超えた場合に、検知部101は異常有りと検知する(
図16ST6)。検知部101が異常有りと検知すると、制御部102が、給電路L1の遮断及び出力部M1を通じて異常の通知を行う。サンプリング周期Δt3の間に、所定の変化量閾値ΔTthを規定回数n回以上超えていない場合は、第3検知モードは処理を終了する。なお、本実施形態では第3検知モードのサンプリング周期Δt3は、第2検知モードの所定のサンプリング周期Δt2にnを乗した時間以上となるように設定する。
【0076】
(2.4.4)第4検知モード
本実施形態では、複数の第1温度検出部91で、それぞれ検出される温度情報が、単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTの情報を含む。また、検知部101は、複数の第1温度検出部91がそれぞれ検出する、複数の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTのうちの、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminの差分ΔTmax―ΔTminを、第1温度変化量TD1として検出する。さらに、複数の第2温度検出部92で、それぞれ検出される温度情報が、単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTの情報を含む。また、検知部101は、複数の第2温度検出部92がそれぞれ検出する、複数の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔTのうちの、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminの差分ΔTmax―ΔTminを、第2温度変化量TD2として検出する。そして、第2温度変化量TD2を第1温度変化量TD1で除した値に基づいて、検知部101が異常の有無を検知する検知モードを第4検知モードとする。以下、第4検知モードの動作の一例について、
図18のフローチャートに基づいて説明する。なお、
図18のフローチャートにおいて、処理の順番が入れ替わってもよいし、処理が追加されてもよい。
【0077】
まず、コンセント1が備える複数(2つ)の第1温度検出部91は、温度T1及びT2を検出し(
図18ST1)、温度T1及びT2から、第4検知モードの所定のサンプリング周期Δt4毎に、複数(2つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1及びΔT2を検出する(
図18ST2)。なお、本実施形態では、第4検知モードの所定のサンプリング周期Δt4とΔtが等しい場合を想定している。検知部101は、複数(2つ)の第1温度検出部91が第4検知モードのサンプリング周期Δt4毎に検出した複数(2つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT1及びΔT2から、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとを求める。そして、
図19に示すように、検知部101は、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとの差分ΔTmax―ΔTminである第1温度変化量TD1を検出する(
図18ST3)。また、コンセント1が備える複数(2つ)の第2温度検出部92は、温度T3及びT4を検出し(
図18ST4)、温度T3及びT4から、第4検知モードの所定のサンプリング周期Δt4毎に、複数(2つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT3及びΔT4を検出する(
図18ST5)。そして、検知部101は、複数(2つ)の第2温度検出部92が第4検知モードの所定のサンプリング周期Δt4毎に検出した複数(2つ)の単位時間Δtあたりの温度変化量ΔT3及びΔT4から、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとを求める。そして、
図19に示すように、検知部101は、最大値ΔTmaxと最小値ΔTminとの差分ΔTmax―ΔTminである第2温度変化量TD2を検出する(
図18ST6)。そして、検知部101は、第2温度変化量TD2を第1温度変化量TD1で除した値TD2/TD1を求める(
図18ST7)。次に検知部101は、値TD2/TD1と所定の閾値TDthとの高低に基づいて、異常の有無を判断する(
図18ST8)。例えば、
図20に示すように、値TD2/TD1が閾値TDthを超えた場合に、検知部101は異常有りと検知する(
図18ST9)。検知部101が異常有りと検知すると、制御部102が、給電路L1の遮断及び出力部M1を通じて異常の通知を行う。値TD2/TD1が、所定の閾値TDthを超えていない場合は、第4検知モードは処理を終了する。
【0078】
(3)変形例
以下、コンセント1の変形例1について、説明する。ただし上記実施形態のコンセント1と共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜その説明を省略する。また、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0079】
上記実施形態で説明したコンセント1は、複数の温度検出部9を備え、複数の温度検出部9は負荷端子3と、電源端子4と、給電路L1の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出する。変形例1では、複数の温度検出部9が、基準温度検出部を含む点で上記実施形態とは異なる。基準温度検出部は、負荷端子3と電源端子4と給電路L1以外のコンセント1の筐体1B内部の場所に対応する温度情報を基準温度情報として検出する。基準温度検出部で検出される基準温度情報は、温度の情報と、温度変化量の情報を含む。例えば、コンセント1の通電時において、基準温度検出部で検出される温度及び温度変化量が、他の温度検出部で検出される温度及び温度変化量に対して値が小さければ、第1~第4検知モードにおいて検知に利用される、温度及び温度変化量の最小値は基準温度検出部の温度及び温度変化量となる。
【0080】
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0081】
コンセント1は、互いに異極性となる負荷端子3の対と、負荷器具2のプラグ21が接続される接続口17をそれぞれ複数備えてもよい。
【0082】
コンセントの外カバー182は、一部材であってもよい。
【0083】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様のコンセント(1)では、負荷端子(3)と、電源端子(4)と、給電路(L1)と、複数の温度検出部(9)と、検知部(101)と、を備える。負荷端子(3)には負荷器具(2)が接続され、電源端子(4)には外部電源(5)が接続され、給電路(L1)は電源端子(4)と負荷端子(3)との間を接続する電路である。複数の温度検出部(9)は、負荷端子(3)と、電源端子(4)と、給電路(L1)の少なくとも1つに対応する、複数の温度情報を検出する。検知部(101)は複数の温度検出部(9)によってそれぞれ検出される複数の温度情報の差分に基づいて、異常か否かを検知する。
【0084】
第1の態様によれば、コンセント(1)の異常の検知の精度を向上させることができる。
【0085】
第2の態様のコンセント(1)では、第1の態様において、複数の温度検出部(9)で、それぞれ検出される温度情報が、温度の情報を含む。複数の温度検出部(9)で、それぞれ検出される複数の温度のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の温度閾値を超えることをもって、検知部(101)は異常有りと検知する。
【0086】
第2の態様によれば、温度の差分に基づくことにより、コンセント(1)の異常の検知の精度を向上させることができる。
【0087】
第3の態様のコンセント(1)では、第1又は第2の態様において、複数の温度検出部(9)で、それぞれ検出される温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含む。複数の温度検出部(9)で、それぞれ検出される複数の温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分が、所定の変化量閾値を超えることをもって、検知部(101)は異常有りと検知する。
【0088】
第3の態様によれば、温度変化量の差分に基づくことにより、コンセント(1)の異常の検知の精度を向上させることができる。
【0089】
第4の態様のコンセント(1)では、第3の態様において、複数の温度検出部(9)で、それぞれ検出される、複数の単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分が、規定期間内で規定回数以上、所定の変化量閾値を超えることをもって、検知部(101)は異常有りと検知する。
【0090】
第4の態様によれば、温度変化量の差分と、温度変化量の差分の変化の頻度に基づくことにより、コンセント(1)の異常の検知の精度を向上させることができる。
【0091】
第5の態様のコンセント(1)では、第1~第4のいずれか1つの態様において、コンセント(1)は複数の負荷端子(3)を有し、複数の温度検出部(9)が、複数の負荷端子(3)に対応する温度情報を検出する複数の負荷端子温度検出部(92)を含む。
【0092】
第5の態様によれば、負荷端子(3)に対応する温度情報を検出することができる。
【0093】
第6の態様のコンセント(1)では、第5の態様において、複数の負荷端子(3)が、基準面(AA2)に対して対称に配置され、複数の負荷端子温度検出部(92)が基準面(AA2)に対して、対称に配置される。
【0094】
第6の態様によれば、複数の負荷端子(3)に対応する温度情報のばらつきを低減することができる。
【0095】
第7の態様のコンセント(1)では、第5又は第6の態様において、コンセント(1)は複数の電源端子(4)を有し、複数の温度検出部(9)が、複数の電源端子(4)に対応する温度情報を検出する複数の電源端子温度検出部(91)を含む。
【0096】
第7の態様によれば、電源端子(4)に対応する温度情報を検出することができる。
【0097】
第8の態様のコンセント(1)では、第7の態様において、複数の電源端子(4)が、基準面(AA1)に対して対称に配置され、複数の電源端子温度検出部(91)が基準面(AA1)に対して、対称に配置される。
【0098】
第8の態様によれば、複数の電源端子(4)に対応する温度情報のばらつきを低減することができる。
【0099】
第9の態様のコンセント(1)では、第7又は第8の態様において、複数の電源端子温度検出部(91)で、それぞれ検出される温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含む。また、複数の電源端子温度検出部(91)で、それぞれ検出される複数の単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分を、第1温度変化量(TD1)として検出する。さらに、複数の負荷端子温度検出部(92)で、それぞれ検出される温度情報が、単位時間あたりの温度変化量の情報を含む。また、複数の負荷端子温度検出部(92)が、それぞれ検出される複数の単位時間あたりの温度変化量のうちの、最大値と最小値の差分を、第2温度変化量(TD2)として検出する。そして、第2温度変化量(TD2)を第1温度変化量(TD1)で除した値に基づいて、検知部(101)が異常の有無を検知する。
【0100】
第9の態様によれば、前記第2温度変化量を前記第1温度変化量で除した値に基づくことにより、コンセント(1)の異常の検知の精度を向上させることができる。
【0101】
第10の態様のコンセント(1)では、第1~第9のいずれか1つの態様において、負荷端子(3)及び電源端子(4)を保持する筐体(1B)を更に備える。また、複数の温度検出部(9)が、負荷端子(3)と電源端子(4)と給電路(L1)以外の、筐体(1B)内部の場所に対応する温度情報を、基準温度情報として検出する、基準温度検出部(98)を含む。
【0102】
第10の態様によれば、検知部(101)が、基準温度検出部(98)で検出される温度情報を含む温度情報に基づいて、異常の有無を検知することができる。
【0103】
第11の態様のコンセント(1)では、第1~第10のいずれか1つの態様において、検知部(101)が異常を検知すると、給電路(L1)の遮断を実行する開閉部(12)を備える。
【0104】
第11の態様によれば、コンセント(1)の加熱を抑制することができる。
【0105】
第12の態様のコンセント(1)では、第1~第11のいずれか1つの態様において、検知部(101)の検知結果を、外部に出力する出力部(M1)を備える。
【0106】
第12の態様によれば、検知部(101)の検知結果を、外部に報知することができる。
【0107】
第13の態様のコンセント(1)では、第1~第12のいずれか1つの態様において、ドロッパ回路(221)と、定電圧回路(223)と、電流制限回路(222)と、を含む。ドロッパ回路(221)は、外部電源(5)から電源端子(4)を経て入力される電圧を降下させる。定電圧回路(223)は、ドロッパ回路(221)の出力電圧を定電圧化して、複数の温度検出部(9)に供給する。電流制限回路(222)は、ドロッパ回路(221)と定電圧回路(223)との間に接続されて、定電圧回路(223)に流れる電流を制限する。
【0108】
第13の態様によれば、複数の温度検出部(9)に適切な値の動作電圧を供給することができる。
【0109】
第14の態様のコンセント(1)では、第13の態様において、電流制限回路(222)が、ドロッパ回路(221)と定電圧回路(223)との間に直列に接続された抵抗素子(R3)を少なくとも含む。
【0110】
第14の態様によれば、電流制限回路(222)の構成部品の数を抑制することができる。
【0111】
第15の態様のコンセント(1)では、第14の態様において、抵抗素子(R3)と合わせて、ローパスフィルタを構成する、容量性素子(C2)を備える。
【0112】
第15の態様によれば、電圧の高周波ノイズを低減することができる。
【0113】
なお、第2~第15の態様に係る構成については、コンセント(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 コンセント
1B 筐体
2 負荷器具
3 負荷端子
4 電源端子
5 外部電源
9 温度検出部
91 電源端子温度検出部
92 負荷端子温度検出部
98 基準温度検出部
101 検知部
12 開閉部
221 ドロッパ回路
222 電流制限回路
223 定電圧回路
L1 給電路
M1 出力部
AA1 基準面
AA2 基準面
TD1 第1温度変化量
TD2 第2温度変化量
R3 抵抗素子
C2 容量性素子