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特許7584083インターホンシステム、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】インターホンシステム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20241108BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20241108BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B25/04 J
G08B21/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020200108
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087951
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野上 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】桑野 剛
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158435(WO,A1)
【文献】特開2020-112692(JP,A)
【文献】特開2020-003925(JP,A)
【文献】特開2019-061111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
G10L13/00-99/00
H03J9/00-9/06
H04L12/28
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
99/00
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の音情報を取得する取得部と、
前記施設内に所定の情報を出力する報知部と、
前記取得部により取得される前記音情報にトリガーワードが含まれ、前記トリガーワードに続いて音が取得される場合に、当該音の認識結果に基づく処理を実行する制御部と、
を備え、
前記所定の情報は、前記施設内の人に対する問い合わせ及び前記問い合わせに対する応答方法の案内の音声を含み、
前記制御部は、前記報知部により前記所定の情報が出力された場合、前記音情報に前記トリガーワードが含まれていなくても、前記所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行する、インターホンシステム。
【請求項2】
前記所定の情報の内容を設定するための第1設定手段を備える、請求項1に記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記所定の情報を出力する起動条件を設定するための第2設定手段を備え、
前記報知部は、前記起動条件が成立したときに前記所定の情報を出力する、請求項1又は2のいずれか一項に記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記報知部により前記所定の情報が出力された後、所定の停止条件が成立した場合、前記トリガーワードを含まない前記音情報に基づく処理を実行しない、請求項1~のいずれか一項に記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記停止条件には、前記所定の情報が出力されてからの経過時間が閾値を超えたこと、または前記所定の情報の出力回数が閾値を超えたことが含まれる、請求項に記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記停止条件には、前記音情報が認識されたこと、または前記音情報に基づく処理が実行されたことが含まれる、請求項4又は5に記載のインターホンシステム。
【請求項7】
音情報にトリガーワードが含まれ、前記トリガーワードに続いて音が取得される場合に、当該音の認識結果に基づく処理を実行するように構成されたインターホンシステムに適用される制御方法であって、
施設内の人に対する問い合わせ及び前記問い合わせに対する応答方法の案内を含む所定の情報を出力するステップと、
前記所定の情報の出力後に、前記音情報を取得するステップであって、前記音情報に前記トリガーワードが含まれていなくても、前記所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行するステップと、
を含む、制御方法。
【請求項8】
請求項に記載の制御方法をコンピュータで実現するための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インターホンシステム、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合住宅において、共用玄関に設けられたロビーインターホン装置と、各住戸に設けられた複数のインターホン親機と、これらの装置を制御する制御部とを備えたインターホンシステムが広く知られている。例えば、特許文献1には、住人が不在であることを表す不在情報が取得され、かつ対応する住戸のインターホン親機に対して呼び出しがあった場合に、スマートフォン等の情報端末に対して呼び出しを行うインターホンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-078036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インターホンシステムは、マンション等の集合住宅だけでなく、戸建の住宅、オフィス、工場、医療施設、宿泊施設など様々な施設に導入され、ユーザーのニーズに対応した種々の機能を有する高機能インターホンシステムが提案されている。しかし、インターホンシステムに対するユーザーのニーズは多様化しており、ユーザビリティの更なる向上が期待されている。
【0005】
本開示の目的は、ユーザビリティを更に向上させることができるインターホンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るインターホンシステムは、施設内の音情報を取得する取得部と、施設内に所定の情報を出力する報知部と、取得部により取得される音情報にトリガーワードが含まれ、トリガーワードに続いて音が取得される場合に、当該音の認識結果に基づく処理を実行する制御部とを備え、制御部は、報知部により所定の情報が出力された場合、音情報にトリガーワードが含まれていなくても、所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行することを特徴とする。
【0007】
本開示に係る制御方法は、音情報にトリガーワードが含まれ、トリガーワードに続いて音が取得される場合に、当該音の認識結果に基づく処理を実行するように構成されたインターホンシステムに適用される制御方法であって、所定の情報を出力するステップと、所定の情報の出力後に、音情報を取得するステップであって、音情報にトリガーワードが含まれていなくても、所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本開示に係る制御プログラムは、上記制御方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るインターホンシステムによれば、ユーザビリティを更に向上させることができる。本開示に係るインターホンシステムは、例えば、子供や高齢者の見守り、居住者の安否確認などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の一例であるインターホンシステムの概略図である。
図2】実施形態の一例であるインターホン親機の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の一例であるインターホンシステムの制御手順を示すフローチャートである。
図4】第1の実施例の制御手順を示すフローチャートである。
図5】第1の実施例を説明するための図である。
図6】第2の実施例の制御手順を示すフローチャートである。
図7】第2の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態および変形例を選択的に組み合わせることは本開示の範囲に含まれる。
【0012】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
図1は、実施形態の一例であるインターホンシステム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、インターホンシステム1は、マンション等の集合住宅に設置されるシステムであって、共用玄関10に設けられたロビーインターホン装置11と、各住戸20に設けられた複数のインターホン親機21と、これらの装置を制御する制御装置30とを備える。制御装置30は、インターホンシステム1を統括的に制御する装置であって、ロビーインターホン装置11およびインターホン親機21と通信可能に接続されている。
【0014】
インターホンシステム1は、各住戸20に設けられた複数の玄関子機22を備える。インターホン親機21および玄関子機22は、一般的に、各住戸20に1台ずつ設置されている。インターホン親機21は、各住戸20の室内に設置され、1台の玄関子機22と通信可能に接続されている。玄関子機22は、各住戸20の室外において、玄関近傍に設置される。なお、各住戸20には、インターホン親機21を介して玄関子機22と通信可能に接続された副親機が設けられていてもよい。
【0015】
インターホンシステム1は、例えばマンション、寮、社宅、老人ホーム等の集合住宅に適用されるものとして説明するが、本開示に係るインターホンシステムの適用対象は集合住宅に限定されない。本開示に係るインターホンシステムは、オフィス、工場、研究施設、医療施設、介護施設、宿泊施設などに適用可能である。また、本開示に係るインターホンシステムは、戸建住宅に適用されてもよい。
【0016】
インターホンシステム1は、管理室15に設けられた管理事務室親機16を備えていてもよい。管理事務室親機16は、制御装置30を介してロビーインターホン装置11およびインターホン親機21と通信可能に接続されている。管理事務室親機16は、例えば、ロビーインターホン装置11および複数のインターホン親機21に種々の情報を送信できる。図1に示す例では、制御装置30がゲートウェイ32を介してサーバ31に接続されている。ゲートウェイ32は、ルータとして機能する。制御装置30は、インターホンシステム1の制御に必要な情報をサーバ31から取得してもよい。
【0017】
詳しくは後述するが、インターホンシステム1は、音声認識に基づいて所定の処理を実行する機能を備える。インターホンシステム1は、トリガーワードが含まれる音情報が取得されたときに、トリガーワードに続いて取得される音の認識結果に基づく処理を実行するように構成されている。つまり、インターホンシステム1は、トリガーワードに続く音声コマンドを認識し、音声コマンドに基づく処理を実行する「音声アシスタント機能」を備える。
【0018】
また、インターホンシステム1は、居住者に対する安否確認用の情報など、所定の情報を出力可能に構成されている。インターホンシステム1は、所定の情報の出力後に取得される音情報にトリガーワードが含まれていなくても、その音情報の認識結果に基づいて所定の処理を実行する。以下では、この機能をトリガーワードが必要な音声アシスタント機能と区別して「トリガーレス音声認識制御機能」という場合がある。
【0019】
共用玄関10には、上述の通り、ロビーインターホン装置11が設置されている。ロビーインターホン装置11は、各住戸20の呼び出しを行うための装置である。来訪者は、ロビーインターホン装置11に訪問先の住戸20の番号を入力して呼び出すことができる。図1に示す例では、予め登録されたカードキーを検知する非接触キー検知装置12が共用玄関10に設置されている。なお、カードキーは、マンションの居住者が所持しているが、宅配業者、新聞配達員等の特定の来訪者に提供される場合がある。各カードキーは、識別情報(ID)を有している。このため、非接触キー検知装置12により認証されたカードキーの所有者を特定可能である。
【0020】
共用玄関10には、玄関ドア13と、玄関ドア13を施錠するロック装置14とが設けられている。ロック装置14は、例えば、玄関ドア13が閉まると自動的に玄関ドア13を施錠するオートロック装置であって、制御装置30の制御下で玄関ドア13に取り付けられた電気錠を作動させる。玄関ドア13は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。
【0021】
ロビーインターホン装置11は、共用玄関10の玄関ドア13の外側に設置されている。このため、来訪者が玄関ドア13の内側に入るためには、ロビーインターホン装置11で訪問先の住戸20を呼び出し、その住戸20の居住者に玄関ドア13の電気錠を解錠してもらう必要がある。居住者は、インターホン親機21で来訪者を確認し、インターホン親機21を操作して電気錠を解錠することができる。非接触キー検知装置12は、ロビーインターホン装置11と同様に、玄関ドア13よりも外側に設置されている。
【0022】
ロビーインターホン装置11は、一般的に、住戸番号を入力するためのテンキーと、呼び出しを実行するための呼び出しボタンとを備える。来訪者は、テンキーで住戸番号を入力し、呼び出しボタンを押すことで、訪問先の住戸を呼び出すことができる。また、ロビーインターホン装置11は、例えばカメラ、マイク、スピーカ、モニタ、および逆マスターキー挿入部を備える。鍵を所有する居住者等は、逆マスターキー挿入部に鍵を挿入して玄関ドア13の電気錠を解錠することもできる。
【0023】
ロビーインターホン装置11は、カメラにより来訪者を撮影し、呼び出しを行ったインターホン親機21に映像を送信する。スピーカからは、呼び出し音、居住者が応答した場合にはその音声等が出力される。また、来訪者の声はマイクにより取得されて呼び出し先の住戸20のインターホン親機21に送信されるので、居住者と通話することができる。モニタには、例えば、テンキーにより入力した住戸番号が表示されてもよく、カメラにより撮影された映像が表示されてもよい。
【0024】
各住戸20には、上述の通り、インターホン親機21と、玄関子機22とが1台ずつ設けられている。インターホン親機21は、玄関子機22と通信可能に接続され、また分岐器17および制御装置30を介してロビーインターホン装置11と通信可能に接続されている。居住者は、インターホン親機21により、ロビーインターホン装置11および玄関子機22を介して来訪者と通話可能であり、来訪者の映像を確認することができる。本実施形態では、インターホン親機21に音声アシスタント機能を実現する音声認識エンジンが搭載されている。
【0025】
インターホン親機21は、広域通信網に接続されており、特定の情報端末60に来訪者があったことを知らせる通知を送信するように構成されていてもよい。広域通信網の一例としては、インターネット回線、電話回線等が挙げられる。また、インターホン親機21は、トリガーレス音声認識制御において、居住者の安否確認情報等を情報端末60に送信するように構成されていてもよい。情報端末60は、インターホン親機21から情報を受信可能な装置であればよく、一例としては、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パソコン等が挙げられる。
【0026】
玄関子機22は、インターホン親機21を呼び出すための呼び出しボタンを備える。また、玄関子機22は、例えばカメラ、マイク、およびスピーカを備える。呼び出しボタンが操作されると、玄関子機22が接続されたインターホン親機21の呼び出しが行われると共に、玄関子機22のカメラにより来訪者が撮影され、その映像がインターホン親機21に送信される。なお、インターホン親機21には、来訪者の映像を録画する機能が設けられていてもよい。
【0027】
制御装置30は、共用玄関10のロビーインターホン装置11、各住戸20のインターホン親機21、および管理室15の管理事務室親機16と通信可能に接続され、これらの装置を制御する機能を有する。制御装置30は、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータにより構成される。メモリは、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成される。なお、制御装置30は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、制御装置30の機能の一部または全部が、サーバ31等のマンションの外部にある装置に存在していてもよい。
【0028】
以下、図2を参照しながら、インターホン親機21の構成について詳説する。図2は、インターホン親機21の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、インターホン親機21は、スピーカ40、マイク41、通話ボタン42、および解錠ボタン43を備える。インターホン親機21は、ロビーインターホン装置11または玄関子機22の呼び出し操作に基づいて生成される呼び出し信号を受信したときに、スピーカ40から呼び出し音を出力させる。通話ボタン42は、玄関子機22等との通話を開始および終了するためのボタンである。居住者は、インターホン親機21の通話ボタン42を押したときに、呼び出し操作が行われたロビーインターホン装置11または玄関子機22を介して来訪者等と通話することができる。解錠ボタン43は、玄関ドア13の電気錠を解錠するためのボタンである。
【0030】
また、インターホン親機21には、モニタ44が設けられている。モニタ44には、ロビーインターホン装置11および玄関子機22のカメラにより取得された映像が表示される。モニタ44には、緊急地震速報等の気象関連情報、火災等の異常発生情報、管理室15からの連絡事項などが表示されてもよい。モニタ44の一例としては、タッチパネル式のモニタが挙げられる。なお、インターホン親機21は、玄関子機22等により取得された音声、映像を受信する通信インターフェイスを備える。
【0031】
インターホン親機21は、さらに、種々の設定を行うための設定操作部45を備える。インターホン親機21は、例えば、扁平な箱形の筐体を有し、この筐体の表面に通話ボタン42、解錠ボタン43、モニタ44等が設けられている。設定操作部45は、通話ボタン42等と同様に、筐体の表面に設けられていてもよく、タッチパネル式のモニタ44に表示されてもよい。本実施形態では、設定操作部45により、トリガーレス音声認識制御の内容および起動条件が設定される。設定操作部45の一例としては、モニタ44に表示される複数のボタン、テンキー、キーボード等が挙げられる。
【0032】
なお、インターホン親機21には、通話音量を調整するためのボタン、モニタ44の明るさ等を調整するためのボタン、録画された映像を再生するためのボタン、施工設定を行うためのボタンなどが設けられていてもよい。施工設定は、設定操作部45を用いて行われてもよい。また、インターホン親機21には、住戸20に設置された防犯システムなどが接続されていてもよい。
【0033】
インターホン親機21は、ロビーインターホン装置11および玄関子機22との通話、カメラにより取得された映像の表示、録画等を実行するための制御部50を備える。制御部50は、プロセッサ51およびメモリ52を有するマイクロコンピュータで構成され、インターホン親機21に内蔵されている。メモリ52は、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成され、制御プログラムおよび種々の設定情報が記憶されている。プロセッサ51は、メモリ52にインストールされた制御プログラムを読み出して実行することにより、制御部50の各処理部の機能を実現する。
【0034】
制御部50は、ロビーインターホン装置11または玄関子機22から呼び出し信号を受信したときに、スピーカ40から呼び出し音を出力し、来訪者の映像をモニタ44に表示させる処理を実行する第1処理部53を含む。また、第1処理部53は、通話ボタン42が押されたときには呼び出し信号の発信源であるロビーインターホン装置11または玄関子機22と通話できる状態とし、マイク41により取得した音声信号を通話状態の装置に送信する。第1処理部53は、インターホン親機21における一般的なインターホンシステムとしての動作を制御する。
【0035】
制御部50は、さらに、音声アシスタント機能およびトリガーレス音声認識制御機能を実行するための処理部として、第2処理部54、第3処理部55、および第4処理部56を含む。本実施形態では、音声アシスタント機能等を実行するための全ての構成がインターホン親機21に存在している。具体的には、インターホン親機21のマイク41が音情報を取得する取得部となり、スピーカ40が安否確認用情報等の所定の情報を出力する報知部となる。
【0036】
第2処理部54は、マイク41により取得される音情報にトリガーワードが含まれ、トリガーワードに続いて音が取得される場合に、当該音の認識結果に基づく処理を実行する。即ち、第2処理部54は、マイク41により取得される音情報からトリガーワードと音声コマンドを認識して認識結果を生成し、その結果に基づいて所定の処理を実行する。インターホン親機21には、取得された音情報からトリガーワードおよび音声コマンドを認識する音声認識エンジンが搭載されている。
【0037】
トリガーワードは、音声アシスタント機能を起動させる際に使用されるキーワードであって、一般的にウェイクワードとも呼ばれる。音情報からトリガーワードが認識されない場合、音声アシスタント機能は実行されない。トリガーワードの一例としては、インターホンシステム1の名称、音声アシスタント機能(または音声認識エンジン)のソフトウェアの名称、システムに予め登録されたワードなどが挙げられる。また、トリガーワードは、設定操作部45の操作によりユーザーが任意に設定可能であってもよい。
【0038】
音声アシスタント機能の適用範囲は、インターホン親機21の操作により行うことができる操作全般に及んでいてもよい。具体例としては、ロビーインターホン装置11および玄関子機22との通話の開始および終了、玄関ドア13の電気錠の解錠、映像の録画および再生、通話音量の調整などが挙げられる。ユーザーは、例えば、インターホン親機21に向かってトリガーワードを発した後、「通話状態にして」のような音声コマンドを発することにより玄関子機22等との通話を開始することができる。なお、音声アシスタント機能の適用範囲は、非通話状態における操作など、特定の操作に限定されていてもよい。
【0039】
制御部50は、上述のように、トリガーワードを必要としないトリガーレス音声認識制御を実行する。制御部50は、まずスピーカ40から所定の情報を出力する。そして、所定の情報が出力された場合、マイク41により取得される音情報にトリガーワードが含まれていなくても、所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行する。本実施形態では、第3処理部55の機能により所定の情報が出力され、第2処理部54の機能により音の認識結果に基づく処理が実行される。
【0040】
第3処理部55は、所定の起動条件が成立したときに、インターホン親機21のスピーカ40から所定の情報を出力させる。この所定の情報の出力により、トリガーレス音声認識制御が起動される。この場合、第2処理部54は、音声認識エンジンによりトリガーワードが認識されなくても、所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行する。つまり、この制御モードでは、第3処理部55による所定の情報の出力がトリガーとなる。そして、ユーザーはコマンドとなるワードを発するだけで、予め定められた所定の処理が自動的に実行される。
【0041】
第3処理部55は、音声認識エンジンにより、所定の処理を実行するための適切な認識結果が生成されない場合に、所定の情報を複数回出力させてもよい。所定の情報の出力回数には、上限が設定されてもよい。或いは、所定の情報を出力する時間に上限が設定されていてもよい。即ち、第3処理部55は、例えば、音声認識エンジンによる音声コマンドの認識エラーの回数または時間が所定の閾値を超えるまで所定の情報を出力させる。第2処理部54は、適切な認識結果が生成されなかった場合、適切な認証結果に基づく処理と異なる別の処理を実行してもよい。
【0042】
所定の情報を出力する起動条件の一例としては、共用玄関10の非接触キー検知装置12により特定のカードキーが認証されたこと、時刻が予め設定された時刻になったこと、および緊急地震速報等の特定の情報が取得されたことなどが挙げられる。カードキーの各々は識別情報を有するので、トリガーレス音声認識制御を起動させるための情報として、例えば、子供が所持するカードキーの識別情報を予め登録しておくことにより、特定のカードキーの認証情報を起動条件として使用できる。
【0043】
第3処理部55は、例えば、非接触キー検知装置12により特定のカードキーが認証された後、所定時間経過後にインターホン親機21のスピーカ40から所定の情報を出力させる。このとき、ロビーインターホン装置11または玄関子機22のスピーカから所定の情報を出力させてもよい。また、第3処理部55は、時刻が予め設定された時刻になったとき、または緊急地震速報等の特定の情報が取得されたときに、スピーカ40から所定の情報を出力させてもよい。
【0044】
上記所定の情報の一例としては、居住者の安否を確認するための情報、居住者の活動を管理するための情報などが挙げられる。安否確認用の情報は、例えば子供の帰宅、高齢者の健康状態、地震等の異常発生時の居住者の状態などを確認するために出力される。活動管理用の情報は、例えば薬の服用、健康状態のチェック、リハビリのための運動、医療機器等の点検、通院などが行われたか否かを確認し、場合によっては、これらの行為を促すために出力される。また、ニュース、気象情報、近隣情報、マンションの連絡事項など、居住者に提供すべき種々の情報が所定の情報として出力されてもよい。
【0045】
上記所定の情報はモニタ44に表示されてもよいが、その場合もモニタ44に情報が表示されたことを知らせる音をスピーカ40から出力することが好ましい。スピーカ40から出力される音には、音声が含まれていることがより好ましい。音声は、インターホン親機21に予め登録された合成された音声であってもよく、居住者等により録音された音声であってもよい。また、所定の情報が安否確認用の情報、活動管理用の情報である場合、この音声には居住者に対する問合せが含まれている。更に、問合せを含む音声には、問合せに対する応答方法の案内が含まれていてもよい。
【0046】
問合せの音声の一例としては、「只今8時です。血圧は測定しましたか?」、「血圧はいくつでしたか?」のような応答を必要とするものが挙げられる。問合せに対する応答方法の案内の一例としては、「只今8時です。血圧は測定しましたか?はい/いいえで答えて下さい。」、「血圧はいくつでしたか?上の血圧と下の血圧を順に答えて下さい。」のような応答方法を指定するものが挙げられる。応答方法の案内を出力することにより、居住者は応答し易くなり、また音声認識の精度も向上する。
【0047】
本実施形態では、スピーカ40から問合せを含む音声を出力した場合、その音声の後に続く居住者の応答(音情報)をマイク41により取得し、音声認識エンジンにより認識結果を生成する。音声認識エンジンは、例えば、マイク41により取得された音情報をテキスト化し、所定の処理を実行するためのコマンドを認識する。この一連の処理は、第2処理部54の機能により実行される。音声認識エンジンは、問合せの音声の出力後に起動されてもよく、「ポーン」のような電子音によりスピーカ40から出力してエンジンの起動を知らせてもよい。
【0048】
制御部50は、スピーカ40から音声を出力した後、音声認識エンジンの認識結果に関わらず、マイク41により収集した音情報を録音してもよい。この音情報は、インターホン親機21のメモリ52に録音され、また管理事務室親機16、サーバ31、および情報端末60の少なくとも1つに送信されて、これらの機器で録音されてもよい。この録音機能により、例えば、居住者は応答内容を確認することが可能になる。また、管理人等が音情報を確認することも可能になる。
【0049】
上記所定の処理は、例えば、安否確認用の情報が出力された場合には、予め登録された情報端末60に係る情報を使用して、情報端末60が受信可能な安否情報を出力することが挙げられる。インターホン親機21は、インターネット、電話回線等の広域通信網に接続されているため、広域通信網を介してスマートフォン等の情報端末60に種々の情報を送信可能である。例えば、インターホン親機21のメモリ52には、情報端末60に係る情報として、メールアドレス、電話番号、所定のアプリのアカウント情報等が記憶されている。
【0050】
第2処理部54は、例えば、予め登録されたメールアドレスに安否情報を含むメールを送信する。メールに含まれる安否情報は、居住者の応答により、即ち音声認識エンジンにより生成される認識結果により、また認識結果が生成されたか否かにより異なったものとなる。言い換えると、認識結果の有無および内容により、実行される所定の処理は異なったものとなる。なお、認識結果が生成されない場合、例えば、出力される所定の情報の内容によってはいかなる処理も実行されない。
【0051】
以下では、説明の便宜上、問合せを含む所定の情報に対して、帰宅したこと、健康状態に問題がないこと、無事であることなどを示す肯定的な応答に基づいて認識結果が生成された場合に実行される所定の処理を「第1の処理」とする。他方、否定的な応答に基づいて認識結果が生成された場合、または認識結果が生成されない場合に実行される所定の処理を「第2の処理」とする。
【0052】
第2処理部54は、スピーカ40から所定の情報が出力された後、所定の停止条件が成立した場合に、トリガーレス音声認識制御を終了する。即ち、停止条件が成立すると、第2処理部54は、トリガーワードを含まない音情報に基づく処理を実行しない。停止条件が成立すると、再び上記起動条件が成立するまで、音声によりインターホンシステム1を動作させるためには、トリガーワードが必要となる。停止条件を設けてトリガーレス音声認識制御を自動的に終了させることで、システムの誤作動を効果的に抑制できる。
【0053】
上記停止条件には、例えば、所定の情報が出力されてからの経過時間が閾値を超えたこと、または所定の情報の出力回数が閾値を超えたことが含まれる。一般的には、第1の処理を実行するための適切な音声認識ができなかった場合、このような停止条件が成立する。経過時間および出力回数の閾値は、特に限定されず、設定操作部45の操作により任意に設定可能であってもよい。また、停止条件には、音情報が認識されたこと、または音情報に基づく処理が実行されたか否かが含まれていてもよい。第1の処理を実行するための適切な音声認識がなされた場合、このような停止条件が成立する。
【0054】
インターホンシステム1には、上記所定の情報の内容を設定するための設定手段、および上記起動条件を設定するための設定手段の少なくとも一方が設けられていてもよい。本実施形態では、設定操作部45の操作により所定の情報および起動条件を設定できる。また、音声認識結果に基づいて実行される所定の処理の内容、所定の処理に必要な情報についても、ユーザーが設定可能である。なお、インターホンシステム1には、所定の情報、起動条件、および所定の処理が幾つか予め設定されていてもよい。その中からユーザーにより選択された内容に基づいてトリガーレス音声認識制御が実行されてもよい。
【0055】
第4処理部56は、スピーカ40から出力される所定の情報の内容を設定するための処理を実行する。第4処理部56は、例えば、設定操作部45が操作されたときに、その操作により入力された所定の情報および所定の処理の内容をメモリ52に記憶させる。また、第4処理部56は、起動条件を設定するための処理を実行する。第4処理部56は、例えば、設定操作部45が操作されたときに、その操作により入力された起動条件の内容をメモリ52に記憶させる。第1処理部53および第2処理部54は、メモリ52からこれらの設定情報を読み出してトリガーレス音声認識制御を実行する。
【0056】
以下、図3を参照しながら、インターホンシステム1の制御手順(動作)について説明する。図3は、トリガーレス音声認識制御の一例を示すフローチャートである。
【0057】
トリガーレス音声認識制御は、要約すると、所定の情報を出力する第1のステップと、所定の情報の出力後に、音情報を取得する第2のステップとを含む制御である。第2のステップでは、音情報にトリガーワードが含まれていなくても、所定の情報の出力後に取得される音の認識結果に基づいて所定の処理を実行する。インターホン親機21のメモリ52には、トリガーレス音声認識制御をコンピュータで実現するための制御プログラムが記憶されている。
【0058】
図3に示すように、所定の起動条件が成立した場合に、トリガーレス音声認識制御を開始する(S1)。S1では、トリガーレス音声認識制御の起動条件が成立したか否かを判定する。起動条件は、例えば、共用玄関10等において予め特定した対象者が検知された場合に成立する。対象者の検知方法は特に限定されず、一例としては、非接触キー検知装置12によるカードキーの認証情報から検知する方法、共用玄関10等に設置されたカメラの顔認証情報から検知する方法などが挙げられる。また、時刻が予め設定された時刻になったとき、或いは緊急地震速報等の特定の情報が取得されたときに、起動条件が成立してもよい。
【0059】
S1において起動条件が成立したと判定された場合、安否確認用情報、活動管理用情報等の所定の情報を出力する(S2)。所定の情報は、インターホン親機21のモニタ44に出力される映像または文字情報であってもよいが、好ましくはスピーカ40から音声情報として出力される。本実施形態では、インターホン親機21から住戸20の室内の居住者に対して所定の情報が出力されるが、所定の情報はロビーインターホン装置11または玄関子機22から出力されてもよい。
【0060】
S2において所定の情報が出力された場合、その後に取得される音情報から音声コマンドを認識し、認識結果を生成する(S3)。なお、S3の音声コマンドは、S4の処理を実行させるための指令である。インターホン親機21に搭載された音声認識エンジンは、取得された音情報をテキスト化し、音声コマンドを認識する(認識結果の生成)。音情報はインターホン親機21のマイク41により取得されるが、音情報を取得できない場合、または適切な音声コマンドを認識できない場合は、認識結果は生成されない。その場合、S2に戻って再度、所定の情報を出力してもよい。
【0061】
S3では、マイク41により取得される音情報にトリガーワードが含まれていなくても、音情報の認識結果を生成する。これに対し、S2が存在しない音声アシスタント機能による制御の場合は、マイク41により取得される音情報にトリガーワードが含まれている場合にのみ、音情報の認識結果を生成する。言い換えると、音声アシスタント機能による制御では、トリガーワードが認識されなければ音情報の認識結果は生成されない。S3では、トリガーワードの認識の有無に関係なく、音情報の認識結果を生成する。
【0062】
S3において適切な認識結果が生成された場合、その認識結果に基づいて第1の処理を実行する(S4)。S4における第1の処理としては、例えば、S2において安否確認用情報が出力された場合、居住者が無事であることを知らせる通知を予め登録されたメールアドレス等に送信することが挙げられる。他方、S3において適切な認識結果が生成されなかった場合、S4の処理と異なる第2の処理を実行する(S5)。S5における第2の処理としては、居住者から応答がないことを知らせる通知を予め登録されたメールアドレス等に送信することが挙げられる。
【0063】
第2の処理が実行された場合、情報端末60からインターホン親機21の呼び出しを可能としてもよい。インターホンシステム1は、例えば、情報端末60からインターホン親機21を呼び出し、通話ボタン42が押されなくてもインターホン親機21との通話を可能とするように構成されていてもよい。また、第2の処理は、インターホン親機21から情報端末60を呼び出し、インターホン親機21との通話を可能とする処理であってもよい。かかる通話機能は、第2の処理が実行された場合にのみ起動されてもよい。インターホン親機21および情報端末60には、この呼び出し・通話機能を実現するためのソフトウェアがインストールされていてもよい。
【0064】
住戸20の外にいる居住者は、例えば、情報端末60からインターホン親機21を呼び出して、またはインターホン親機21からの呼び出しに応答して、インターホン親機21のスピーカ40から住戸20の室内に音声を出力させることができる。また、インターホン親機21に防犯システムが接続されている場合、情報端末60からインターホン親機21を介して防犯システムにアクセスし、住戸20の室内の様子を確認できるようにしてもよい。
【0065】
S2において所定の情報が出力された後、所定の停止条件が成立したときに、トリガーレス音声認識制御を終了する(S6)。停止条件が成立すると、以後の音声によるインターホンシステム1の制御には、トリガーワードが必要となる。停止条件は、例えば、所定の情報が出力されてからの経過時間が閾値を超えたとき、または所定の情報の出力回数が閾値を超えたときに成立する。或いは、音情報が認識されたとき、または音情報に基づく制御が実行されたときに成立する。
【0066】
なお、S3からS5に進んだ場合、手動による停止操作がなされるまで、トリガーレス音声認識制御を継続してもよい。手動による停止操作は、例えば、インターホン親機21の操作により行うことができる。
【0067】
以下、図4図7を参照しながら、トリガーレス音声認識制御の具体例について説明する。図4および図5は、子供の帰宅を確認するためのトリガーレス音声認識制御の一例を示す図である。
【0068】
図4および図5に示す例では、共用玄関10で子供の帰宅が検知されたときに、トリガーレス音声認識制御を開始する(S11)。具体的には、非接触キー検知装置12により子供が所持するカードキーが認証されたこと、ロビーインターホン装置11のカメラまたは共用玄関10に設置された監視カメラにより取得された映像から子供の顔認証がなされたこと等により、共用玄関10において子供の帰宅が検知される。インターホンシステム1は、例えば、玄関ドア13の電気錠を解錠する処理がなされ、その処理が子供に起因して行われたことが特定された場合に、トリガーレス音声認識制御を開始する。
【0069】
カードキーの認証情報等に基づいて共用玄関10で子供の帰宅が検知された場合、その検知から所定時間経過後に、住戸20の室内に無事到着したことを確認するための安否(帰宅)確認用情報を出力する(S12,S13)。帰宅確認用情報は、例えば「〇〇ちゃん帰宅したら、応答して下さい。」のような応答を必要とする問合せの音声を含み、インターホン親機21のスピーカ40から出力される。S12の所定時間は、例えば、共用玄関10から住戸20に到着するまでの時間を考慮して決定される。
【0070】
帰宅確認の問合せは、上記所定時間経過後、予め定められた間隔で複数回出力されてもよい。問合せの音声は、合成された音声であってもよく、居住者により録音された音声であってもよい。また、問合せの音声には、「〇〇ちゃん帰宅したら、『ただいま』と応答して下さい。」のように応答方法の案内が含まれていてもよい。或いは、共用玄関10で子供の帰宅が検知されたとき、または上記所定時間経過以後に、インターホンシステム1から情報端末60に帰宅の通知が送信され、情報端末60からリアルタイムで帰宅確認の問合せができるように構成されていてもよい。
【0071】
インターホン親機21のスピーカ40から帰宅確認の問合せの音声が出力された場合、その後、マイク41により取得される音情報から音声コマンドを認識し、認識結果を生成する(S14)。S14では、取得された音情報にトリガーワードが含まれていなくても、音情報の認識結果を生成する。つまり、帰宅した子供がスピーカ40から出力される帰宅確認の問合せの音声を聞き、「帰宅しました。」のように帰宅を示す応答をした場合、その応答はトリガーワードが含まれていなくても後述の処理を実行するための音声コマンドとして認識される。
【0072】
帰宅を示す応答がなされて音声認識された場合、帰宅確認情報を出力する(S15)。具体的には、インターホン親機21のメモリ52に記憶されたメールアドレス、電話番号、所定のアプリのアカウント情報等の情報端末60に係る情報を使用して、当該メールアドレスに帰宅確認情報を含むメールを送信する等、情報端末60により受信可能な通知を出力する。インターホン親機21は、帰宅確認の問合せに対する応答を録音し、帰宅確認情報として出力してもよい。なお、帰宅を示す応答が認識されたとき、または帰宅確認情報が出力されたときに、所定の停止条件が成立したものとして、トリガーレス音声認識制御を終了する。
【0073】
他方、帰宅を示す応答が認識されなかった場合、登録されたメールアドレスに帰宅未確認情報を含むメールを送信する等、帰宅未確認情報を出力する(S16)。この場合、情報端末60からインターホン親機21を呼び出し、インターホン親機21との通話を可能としてもよい。或いは、S16において、帰宅未確認情報の出力の代わりに、またはこの情報の出力と共に、インターホン親機21から情報端末60を呼び出し、インターホン親機21と通話できる状態にしてもよく、情報端末60から防犯システムへのアクセスを許可してもよい。
【0074】
この場合、住戸20の外にいる居住者は、インターホン親機21のスピーカ40から住戸20の室内に応答を促す音声を出力させることができる。また、情報端末60から防犯システムにアクセスし、防犯システムのカメラにより住戸20の室内の様子を確認できる。応答を促す音声の出力により、帰宅を示す応答が認識されたとき、または帰宅確認情報が出力されたときには、所定の停止条件が成立したものとして、トリガーレス音声認識制御を終了する。一方、依然として帰宅を示す応答が認識されない場合は、手動による停止操作がなされるまで、トリガーレス音声認識制御を継続してもよい。
【0075】
図6および図7は、薬の服用を確認するためのトリガーレス音声認識制御の一例を示す図である。
【0076】
図6および図7に示す例では、現在時刻が予め設定された時刻になったときに、トリガーレス音声認識制御を開始する(S21)。インターホン親機21は、現在時刻と設定時刻の情報を有しており、両時刻が一致したときに「お薬飲みましたか?」のような薬の服用を確認するための活動管理用情報を出力する(S22)。この活動管理用情報は、薬の服用の有無の応答を必要とする問合せの音声であって、インターホン親機21のスピーカ40から出力される。問合せの音声には、「お薬飲みましたか?はい/いいえで答えて下さい。」のように応答方法の案内が含まれていてもよい。
【0077】
薬の服用の問合せは、応答の音声が認識されるまで、予め定められた間隔で複数回出力されてもよい。また、現在時刻が予め設定された時刻になったときに、インターホンシステム1から情報端末60に服用時間の情報が送信され、情報端末60からリアルタイムで問合せができるように構成されていてもよい。なお、薬の服用の問合せと共に、またはこの問合せの代わりに、居住者のニーズに合わせて、薬剤の注射、リハビリ運動等の実施の有無、血圧、血糖値の測定結果等を含む健康状態の問合せなどを行ってもよい。このような設定は、居住者により、またはケアマネジャー等の介護関係者によりなされてもよい。
【0078】
インターホン親機21のスピーカ40から薬の服用確認の問合せの音声が出力された場合、その後、マイク41により取得される音情報から音声コマンドを認識し、認識結果を生成する(S23)。S23では、取得された音情報にトリガーワードが含まれていなくても、音情報の認識結果を生成する。例えば、薬を服用すべき高齢者がスピーカ40から出力される服用確認の問合せの音声を聞き、「飲みました。」のように服用を示す応答をした場合、その応答はトリガーワードが含まれていなくても後述の処理を実行するための音声コマンドとして認識される。
【0079】
薬の服用を示す応答がなされて音声認識された場合、服用確認情報を出力する(S24)。このとき、薬の服用回数、服用時間等をまとめた一覧表(服用履歴)を作成してメモリ52等に記憶し、この一覧表を服用確認情報として出力してもよい。インターホン親機21は、例えば、登録されたメールアドレスに服用確認情報を含むメールを送信する等、情報端末60により受信可能な通知を出力する。なお、薬の服用を示す応答が認識されたとき、または服用確認情報が出力されたときに、所定の停止条件が成立したものとして、トリガーレス音声認識制御を終了する。
【0080】
他方、薬の服用を示す応答が認識されなかった場合、登録されたメールアドレスに服用未確認情報を含むメールを送信する等、服用未確認情報を出力する(S25)。S23において「まだ飲んでいません。」のように未服用を示す応答がなされて音声認識された場合は、服用未確認情報を出力すると共に、インターホン親機21のスピーカ40から「早めに薬を飲んで下さい。」のように薬の服用を促す音声を出力させてもよい。
【0081】
音声認識エンジンにより応答が認識されなかった場合、そのときマイク41により収集される音情報を取得してもよい。インターホン親機21は、例えば、薬の服用確認の問合せを出力した後、マイク41により収集される音情報を録音する。また、インターホン親機21は、管理事務室親機16、サーバ31、および情報端末60の少なくとも1つに録音した音情報を送信してもよい。特に高齢者の場合は、発話した内容が音声認識エンジンにより認識されないことが想定されるが、音情報が録音される場合、管理人等がその音情報を聞いて、薬の服用の有無や、居住者の状況等を確認することが可能になる。
【0082】
また、S23において応答がなく音声認識結果が生成されなかった場合は、服用未確認情報を出力すると共に、情報端末60からインターホン親機21を呼び出し、インターホン親機21との通話を可能としてもよい。或いは、S25において、服用未確認情報の出力の代わりに、またはこの情報の出力と共に、インターホン親機21から情報端末60を呼び出し、インターホン親機21と通話できる状態にしてもよく、情報端末60から防犯システムへのアクセスを許可してもよい。応答がない場合は、居住者の健康状態に異常が発生したことも想定されるため、このような対応を可能とすることで、居住者の異常を迅速に把握することができる。
【0083】
以上のように、インターホンシステム1によれば、トリガーワードに続いて音声コマンドを発することで、インターホン親機21に対する種々の操作を行うことができる。更に、インターホン親機21のスピーカ40から安否確認用情報、活動管理用情報等の問合せの音声を出力することにより、例えば子供の帰宅確認、高齢者の健康管理、地震発生時等における居住者の安否確認などを行うことができる。
【0084】
問合せの音声を聞いた居住者は、問合せに従った応答を発するだけで、インターホンシステム1により自動的に所定の処理が実行される。この際、トリガーワードを発する必要はない。つまり、身近にあるインターホンシステム1を用いて、トリガーワードを必要としない音声による簡単な応答で、子供や高齢者の見守り、居住者の安否確認などを迅速に行うことが可能である。
【0085】
また、インターホンシステム1では、スピーカ40から出力される所定の情報、所定の情報を出力する起動条件、居住者の応答により実行される所定の処理を含むトリガーレス音声認識制御の内容を、各ユーザーのニーズに合わせて任意に設定できる。居住者等は、設定操作部45の操作により、これらの内容を容易に設定、変更可能である。
【0086】
インターホンシステム1は、ユーザーニーズ、ライフスタイルが多様化する現代において、極めて有用で利便性の高い、ユーザビリティに優れたシステムとなり得る。
【0087】
なお、上記実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では、音声認識エンジンがインターホン親機21に搭載されているが、音声認識エンジンは、制御装置30、ロビーインターホン装置11、玄関子機22、サーバ31、またはインターホンシステム1と通信可能に接続された他の機器に搭載されていてもよい。
【0088】
また、上記トリガーレス音声認識制御では、所定の情報として応答を要求する問合せの音声を出力するが、応答を要求しない情報を出力してもよい。応答を要求しない情報の一例としては、居住者により予め設定されたジャンルのニュース、新製品販売等の情報、セール等の情報、気象情報、当日のスケジュール、マンションの連絡事項など、種々の情報が挙げられる。このような情報が出力された場合、例えば、「その情報をメールして」のような情報の送信を要求する音声コマンド、「明日の天気は?」のような追加情報を要求する音声コマンドを発することで、トリガーワードなしで目的とする処理を実行させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 インターホンシステム、10 共用玄関、11 ロビーインターホン装置、12 非接触キー検知装置、13 玄関ドア、14 ロック装置、15 管理室、16 管理事務室親機、17 分岐器、20 住戸、21 インターホン親機、22 玄関子機、30 制御装置、31 サーバ、32 ゲートウェイ、40 スピーカ、41 マイク、42 通話ボタン、43 解錠ボタン、44 モニタ、45 設定操作部、50 制御部、51 プロセッサ、52 メモリ、53 第1処理部、54 第2処理部、55 第3処理部、56 第4処理部、60 情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7