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特許7584087照明制御システム、照明制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20241108BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20241108BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20241108BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/11
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021011003
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114634
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上野 早織
(72)【発明者】
【氏名】奥野 達也
(72)【発明者】
【氏名】原田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】向 健二
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162802(JP,A)
【文献】特開2019-040750(JP,A)
【文献】特開2018-056012(JP,A)
【文献】特開2014-197502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0010155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間に設けられた照明負荷の発する光の色温度を制御する照明制御部を備え、
前記照明負荷は、集光形の配光特性を有する第1照明負荷と、拡散形の配光特性を有する第2照明負荷と、を有しており、
前記照明制御部は、前記第1照明負荷の光色が白色となる範囲で前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が白色以外の色となる範囲で前記第2照明負荷を制御し、
前記照明制御部は、前記第2照明負荷の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、薄い青紫、薄い黄赤、オレンジピンク、薄い黄色、薄いピンク、黄みの白、赤、ピンク、黄、黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、及び緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように前記第2照明負荷を制御する、
照明制御システム。
【請求項2】
前記第2照明負荷は、複数であって、
前記照明負荷は、前記第1照明負荷が前記所定空間におけるユーザの使用領域に光を照射し、かつ、前記複数の第2照明負荷が前記使用領域の周囲に光を照射するように、前記所定空間に設けられている、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記所定空間は、ユーザが作業を行う作業空間である、
請求項1又は2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記第1照明負荷の発する光の色温度が4000K以上となるように前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、及び薄い青紫のうちのいずれか1つの光色となるように前記第2照明負荷を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記照明制御部は、前記第1照明負荷の発する光の色温度が4000K以下となるように前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が薄い黄赤、オレンジピンク、ピンク、赤、黄、薄い黄色、薄いピンク、及び黄みの白のうちのいずれか1つの光色となるように前記第2照明負荷を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記照明制御部は、前記第1照明負荷の発する光の色温度が4000K以上となるように前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように前記第2照明負荷を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記照明制御部は、前記第1照明負荷の照度が前記第2照明負荷の照度よりも高くなるように、前記第1照明負荷の照度と前記第2照明負荷の照度との照度比を制御する、
請求項1~のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
所定空間に設けられた照明負荷の発する光の色温度を制御する照明制御ステップを含み、
前記照明負荷は、集光形の配光特性を有する第1照明負荷と、拡散形の配光特性を有する第2照明負荷と、を有しており、
前記照明制御ステップでは、前記第1照明負荷の光色が白色となる範囲で前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が白色以外の色となる範囲で前記第2照明負荷を制御し、
前記照明制御ステップでは、前記第2照明負荷の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、薄い青紫、薄い黄赤、オレンジピンク、薄い黄色、薄いピンク、黄みの白、赤、ピンク、黄、黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、及び緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように前記第2照明負荷を制御する、
照明制御方法。
【請求項9】
1以上のプロセッサに、
請求項に記載の照明制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システム、照明制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明制御装置が開示されている。この照明制御装置は、人体情報検知手段で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアをあらかじめ複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域か非滞在領域かを判定する。そして、照明制御手段は、判定結果に基づき、区分領域に配置された照明器具に対し照明制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-109876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、所定空間を種々の環境に切り替えやすい照明制御システム、照明制御方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、所定空間に設けられた照明負荷の発する光の色温度を制御する照明制御部を備える。前記照明負荷は、第1照明負荷と、第2照明負荷と、を有している。前記照明制御部は、前記第1照明負荷の光色が白色となる範囲で前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が白色以外の色となる範囲で前記第2照明負荷を制御する。
【0006】
本発明の一態様に係る照明制御方法は、所定空間に設けられた照明負荷の発する光の色温度を制御する照明制御ステップを含む。前記照明負荷は、第1照明負荷と、第2照明負荷と、を有している。前記照明制御ステップでは、前記第1照明負荷の光色が白色となる範囲で前記第1照明負荷を制御し、かつ、前記第2照明負荷の光色が白色以外の色となる範囲で前記第2照明負荷を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記照明制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明制御システム、照明制御方法、及びプログラムは、所定空間を種々の環境に切り替えやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明制御システムが使用される所定空間の一例を示す概要図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明制御システムにおける第2照明負荷の光色の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る照明制御システムの第1制御例における第2照明負荷の光色の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る照明制御システムの第2制御例における第2照明負荷の光色の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る照明制御システムの第3制御例における第2照明負荷の光色の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る照明制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態に係る照明制御システムが使用される所定空間での照明負荷の設置例を示す概要図である。
図9図9は、実施の形態に係る照明制御システムが使用される所定空間での照明負荷の他の設置例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[所定空間]
まず、実施の形態に係る照明制御システム100が使用される所定空間4について説明する。図1は、実施の形態に係る照明制御システム100の機能構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る照明制御システム100が使用される所定空間4の一例を示す概要図である。
【0013】
実施の形態に係る照明制御システム100は、例えばオフィス等のユーザU1が作業を行う所定空間4で使用され、このような所定空間4での環境を制御するためのシステムである。言い換えれば、所定空間4は、ユーザU1が作業を行う作業空間を含み得る。実施の形態では、照明制御システム100は、例えば自身の行いたい作業に応じて自由に作業場所を選択し得るABW(Activity Based Working)型のオフィス3に使用される、と仮定する。ここで、「ABW」とは、仕事内容に合わせて働く場所又はデスク等をユーザU1(従業員等)が選択する働き方をいう。ABW型のオフィスにおいては、ユーザU1は、集中力を要する作業を行う場合には比較的静音性の高い場所を選択し、打ち合わせを行う場合にはソファ等のリラックス可能な場所を選択することが可能である。
【0014】
なお、照明制御システム100は、ABW型のオフィスに限らず、フリーアドレス型のオフィスで使用されてもよいし、ユーザU1が行いたい作業に応じて自由に作業場所を選択し得る空間であれば、他の空間で使用されてもよい。例えば、照明制御システム100は、小学校、中学校、高校、又は大学等の教育施設で使用されてもよいし、公民館、又は図書館等の公共施設で使用されてもよいし、店舗又は商業施設で使用されてもよい。
【0015】
また、照明制御システム100が使用される所定空間4は、上述のようにユーザU1が自由に作業場所を選択し得る空間に限らず、例えばユーザU1の作業場所が固定されたオフィスで使用されてもよい。さらに、照明制御システム100が使用される所定空間4は、ユーザU1が作業を行う作業空間に限らず、ユーザU1が休息をとるための空間であってもよい。
【0016】
図2に示す例では、オフィス3は、複数(ここでは、4つ)の所定空間4を有している。各所定空間4には、1以上のユーザU1が作業を行うための什器5が設置されている。図2に示す例では、ユーザU1が行う作業は、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータ等のユーザU1が所持する情報端末6を用いた作業である。なお、情報端末6は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン又はタブレット端末等であってもよい。また、図2に示す例では、什器5は、デスク51と、1以上の椅子52と、を含んでいる。
【0017】
所定空間4は、1以上のユーザU1が存在する空間である。図2に示す例では、隣り合う所定空間4の間は仕切られていないが、例えば壁又は什器等によって仕切られていてもよい。一例として、オフィス3は、壁又は什器等によって仕切られた複数の部屋で構成されていてもよい。この場合、所定空間4は、複数の部屋の各々であってもよいし、複数の部屋のうちの一部であってもよい。
【0018】
[照明負荷]
所定空間4には、照明負荷2が設置されている。実施の形態では、照明負荷2は、所定空間4の天井に設置されている。もちろん、照明負荷2は、所定空間4の天井のみならず、壁、床、又はデスク等の什器に設置されていてもよい。照明負荷2は、所定空間4を照明光で照らすことにより、所定空間4に照明環境を提供する。照明環境のパラメータは、一例として、照明光の照度、色温度(光色)、又は配光分布等を含み得る。
【0019】
所定空間4に設置される照明負荷2は、第1照明負荷21と、第2照明負荷22と、を有している。図2に示す例では、オフィス3の天井に複数(ここでは、8つ)の第1照明負荷21が設置されている。また、図2に示す例では、オフィス3の天井に複数(ここでは、9つ)の第2照明負荷22が設置されている。ここで、オフィス3は、均等に4つの所定空間4に区分けされており、各所定空間4には、複数(ここでは、2つ)の第1照明負荷21と、複数(ここでは、4つ)の第2照明負荷22と、が設置されている。なお、第2照明負荷22の中には、複数の所定空間4で兼用されている照明負荷も存在する。一例として、図2に示すオフィス3の天井の中央に位置する第2照明負荷22は、4つの所定空間4で兼用されている。
【0020】
第1照明負荷21は、少なくとも光色が白色となる範囲で調色可能な光源である。つまり、第1照明負荷21は、後述する照明制御部12により、光色が白色となる範囲で調色可能であればよく、白色以外の光色に調色可能な光源であってもよい。
【0021】
ここでいう「白色となる範囲」は、例えば「JIS Z 9112」、「ANSI C78377-2015, American National Standard for Electric Lamps - Specifications for the Chromaticity of Solid-state Lighting Products, June 17 2015」、又は「IEC60081:1997」のいずれかにて定義される白色の範囲である。例えば、「JIS Z 9112」を参照する場合、「白色となる範囲」は、相関色温度が2700K~6000Kとなる範囲をいう。また、「白色となる範囲」は、昼光色,昼白色,白色,温白色及び電球色を含む範囲である。
【0022】
実施の形態では、第1照明負荷21は、タスクライトとしてのスポットライトであって、LED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子を有する光源を備えている。つまり、第1照明負荷21は、集光形の配光特性を有している。なお、第1照明負荷21は、スポットライトに限らず、例えばスタンドライト、ダウンライト、又はユニバーサルダウンライト等であってもよい。また、第1照明負荷21に用いられる固体発光素子は、LEDに限らず、有機EL(Electro-Luminescence)素子等であってもよい。さらに、第1照明負荷21は、固体発光素子を有する光源に限らず、蛍光ランプ等であってもよい。
【0023】
第2照明負荷22は、少なくとも光色が白色以外の色となる範囲で調色可能な光源である。つまり、第2照明負荷22は、後述する照明制御部12により、光色が白色以外の色となる範囲で調色可能であればよく、白色に調色可能な光源であってもよい。
【0024】
ここでいう「白色以外の色となる範囲」は、「JIS Z 8110」にて定義される白色以外の色の範囲である。例えば、「JIS Z 8110」を参照する場合、「白色以外となる範囲」に含まれる光色は、青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、薄い青紫、薄い黄赤、オレンジピンク、薄い黄色、薄いピンク、黄みの白、赤、ピンク、黄、黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、緑みの白、紫、青緑、赤紫、及び紫みのピンク等である。
【0025】
第2照明負荷22が調色され得る範囲を図3に示す。図3は、実施の形態に係る照明制御システム100における第2照明負荷22の光色の一例を示す図である。図3は、国際照明委員会(Commission Internationale de l'Eclairage,略称 CIE)が1931年に推奨したXYZ表色系における色度図を表している(「JIS Z 8701」参照)。図3において、「x」及び「y」は、いずれも「JIS Z 8701」によるXYZ表色系の色度座標を示す。図3に示す色度図において、ハッチングを施した範囲が、第2照明負荷22が調色され得る範囲を示している。
【0026】
実施の形態では、第2照明負荷22は、対象とする空間を均一に照らすアンビエント照明としてのベースライトであって、LED等の固体発光素子を有する光源を備えている。つまり、第2照明負荷22は、拡散形の配光特性を有している。なお、第2照明負荷22に用いられる固体発光素子は、LEDに限らず、有機EL素子等であってもよい。また、第2照明負荷22は、固体発光素子を有する光源に限らず、蛍光ランプ等であってもよい。
【0027】
なお、照明負荷2の光色は、照明負荷2の発光面又は発光面の近傍での測定結果(相関色温度)で表されてもよいし、後述する照明制御部12による設定値で表されてもよい。なお、設定値は、測定結果に対する±200~300Kの誤差が許容されてもよい。
【0028】
ここで、所定空間4における照明負荷2の光の照射領域について説明する。所定空間4において、第1照明負荷21は、デスク51の上面に光を照射するように設置されている。ここで、デスク51の上面は、例えばユーザU1が情報端末6を用いて作業を行う領域である。言い換えれば、デスク51の上面は、ユーザU1の使用領域41である。つまり、第1照明負荷21は、所定空間4におけるユーザU1の使用領域41に光を照射するように、所定空間4に設けられている。
【0029】
また、所定空間4において、各第2照明負荷22は、デスク51の上面のみならず、デスク51の上面の周囲にも光を照射するように設置されている。つまり、複数の第2照明負荷22は、使用領域41の周囲に光を照射するように、所定空間4に設けられている。なお、第2照明負荷22が光を照射する領域は、少なくとも使用領域41の周囲の領域を含んでいればよく、使用領域41の一部又は全部を更に含んでいてもよい。
【0030】
ところで、実施の形態では、隣り合う2つの空間において、一方の空間に設置された照明負荷2は、厳密に一方の空間の照明環境のみに影響を与えていなくてもよく、他方の空間に影響を与えることが許容されている。つまり、任意の所定空間4においては、当該所定空間4に対応する照明負荷2により提供される照明環境が主たる照明環境となっていればよく、当該所定空間4とは異なる空間に対応する照明負荷2からの影響があっても、当該所定空間4の照明環境に殆ど影響を与えなければよい。なぜならば、このとき当該所定空間4に存在するユーザU1に対して、当該所定空間4とは異なる空間に対応する照明負荷2が及ぼす影響は限定的であると考えられるからである。
【0031】
もちろん、隣り合う空間の環境は、明確に分かれていてもよい。例えば、隣り合う空間の一方の空間の照明環境と、他方の空間の照明環境と、その境界の照明環境と、が分かれていてもよい。具体的には、隣り合う空間の一方の空間には比較的低い色温度の照明光が照射され、他方の空間には比較的高い色温度の照明光を照射されている、と仮定する。この場合、これらの空間の境界の照明環境は、両方の空間からの照明光が混合して照射された環境となるか、又はいずれの空間からも照明光が照射されない環境となることで、隣り合う空間の環境が明確に分かれ得る。
【0032】
[照明制御システム]
照明制御システム100は、図1に示すように、入力受付部11と、照明制御部12と、記憶部13と、を備えている。なお、実施の形態において、照明制御システム100は、照明制御部12を少なくとも備えていればよく、入力受付部11及び記憶部13は備えていなくてもよい。また、照明制御システム100は、オフィス3に設置されていてもよいし、オフィス3から離れた遠隔地に設置されていてもよい。
【0033】
入力受付部11は、照明制御部12に対する制御入力を受け付ける。実施の形態では、入力受付部11は、各所定空間4について、後述する第1制御例~第3制御例のいずれの制御例に従って照明負荷2を制御するかの制御入力を受け付ける。入力受付部11は、例えばユーザU1又は照明制御システム100の管理者等、照明制御システム100による照明制御の実行に関する権限を有する者(以下、「権限者」という)が所持する情報端末からの制御入力を受け付ける。情報端末は、一例として、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等を含み得る。また、情報端末は、入力受付部11と通信することにより、情報端末で受け付けた制御入力を含む信号を入力受付部11へ送信する。この信号を受信することにより、入力受付部11は、制御入力を受け付ける。入力受付部11と情報端末との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格も特に限定されない。
【0034】
照明制御部12は、各所定空間4に設置された照明負荷2と通信可能であって、各照明負荷2に制御信号を送信することにより、各照明負荷2を制御する。つまり、照明制御部12は、所定空間4ごとに照明負荷2を制御する。照明制御部12と各照明負荷2との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格も特に限定されない。
【0035】
照明制御部12は、入力受付部11が受け付けた制御入力に応じて、各所定空間4に設置された照明負荷2について、少なくとも光色を制御する。つまり、照明制御部12は、所定空間4に設けられた照明負荷2の発する光の色温度を制御する。もちろん、照明制御部12は、各所定空間4に設置された照明負荷2について、光色だけでなく照度も制御してもよい。
【0036】
具体的には、照明制御部12は、各所定空間4に設置された照明負荷2について、第1照明負荷21の光色が白色となる範囲で第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が白色以外の色となる範囲で第2照明負荷22を制御する。特に、実施の形態では、照明制御部12は、第2照明負荷22の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、薄い青紫、薄い黄赤、オレンジピンク、薄い黄色、薄いピンク、黄みの白、赤、ピンク、黄、黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、及び緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。つまり、照明制御部12は、図3に示す色度図において、ハッチングを施した範囲の光色となるように、第2照明負荷22を制御する。
【0037】
このように、各所定空間4の環境を制御することにより、例えば所定空間4ごとに環境を異ならせることが可能であり、いわゆるゾーニング効果が期待できる。
【0038】
ここで、ゾーニング効果とは、例えば、空間の認知上の区切れ感を意味し、外観上複数の空間が互いに異なる空間であるとユーザU1が認知しやすい効果を含み得る。また、ゾーニング効果は、ユーザU1による認知をもって、ゾーニングの意図通りにユーザU1の行動又は動線の変化を促しやすくする効果を含み得る。例えば、任意の空間について、ユーザU1が集中力を要する作業を行いやすい空間となることを意図してゾーニングをした、と仮定する。この場合、当該空間を見たユーザU1が、集中力を要する作業を行うことを主目的として当該空間を使用すれば、ゾーニング効果が発揮されたと言える。
【0039】
また、ゾーニング効果は、ユーザU1が実際にゾーニングされた空間を利用した場合に、ユーザU1の主観的な効果・実感、又は生理・心理・生体的作用がゾーニングの主旨に応じた傾向を示す効果を含み得る。例えば、任意の空間について、集中力を要する作業を行いやすい空間となることを意図してゾーニングを行い、当該空間をユーザU1が利用した、と仮定する。この場合、ユーザU1が当該空間を利用することで集中できたという実感を得たり、心理・生体作用としてユーザU1が集中をしていたことを示唆する指標・データが得られたりすれば、ゾーニング効果が発揮されたと言える。
【0040】
上述のように所定空間4に設置された照明負荷2の制御を行うことで、什器又は家具を用いることなく所定空間4をゾーニングすることが可能である。このため、所定空間4の意匠性を高めやすく、かつ、照明負荷2の制御により瞬時にオフィス3のレイアウトを変化させる、いわゆるアクティブゾーニングが可能となる。すなわち、所定空間4における照明負荷2の発する光の色温度(光色)の制御パラメータの変更は、例えば数秒で完了する。この場合、結果としてオフィス3のレイアウトを数秒で変更することが可能である。ここで、什器又は家具を人力で移動させることでオフィス3のレイアウトを変更する場合であれば、60分、数時間、又は一日、場合によっては数日を要する。この点から、上記の照明負荷2の制御によるゾーニングは、極めて顕著な効果を奏し得る。
【0041】
アクティブゾーニングにより、従来の什器又は家具の配置を変更することによるオフィスのレイアウトの変更と比較して、時間ごと、日ごと、又は月ごと等の短周期でオフィス3のレイアウトを変化させることが可能である。
【0042】
実施の形態では、照明制御部12は、以下に列挙する第1制御例~第3制御例のうちのいずれかの制御例を実行することにより、制御例に対応した照明環境を各所定空間4に提供する。第1制御例~第3制御例のうちのいずれの制御例で照明制御部12が制御を実行するかは、例えば権限者により決定される。
【0043】
第1制御例では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以上となるように第1照明負荷21を制御する。また、第1制御例では、照明制御部12は、第2照明負荷22の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、及び薄い青紫のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。第1制御例において第2照明負荷22が調色され得る範囲を図4に示す。図4は、実施の形態に係る照明制御システム100の第1制御例における第2照明負荷22の光色の一例を示す図である。図4は、図3と同様に、XYZ表色系における色度図を表している。第1制御例では、照明制御部12は、図4に示す色度図においてハッチングを施した範囲の光色となるように、第2照明負荷22を制御する。
【0044】
第1制御例による照明環境を提供された所定空間4では、単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1が集中効果を得やすい空間となることが期待できる。
【0045】
第2制御例では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以下となるように第1照明負荷21を制御する。また、第2制御例では、照明制御部12は、第2照明負荷22の光色が薄い黄赤、オレンジピンク、ピンク、赤、黄、薄い黄色、薄いピンク、及び黄みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。第2制御例において第2照明負荷22が調色され得る範囲を図5に示す。図5は、実施の形態に係る照明制御システム100の第2制御例における第2照明負荷22の光色の一例を示す図である。図5は、図3と同様に、XYZ表色系における色度図を表している。第2制御例では、照明制御部12は、図5に示す色度図においてハッチングを施した範囲の光色となるように、第2照明負荷22を制御する。
【0046】
第2制御例による照明環境を提供された所定空間4では、単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1がリラックス効果を得やすい空間となることが期待できる。また、第2制御例による照明環境を提供された所定空間4では、単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1が他のユーザU1とのコミュニケーションを図りやすい効果を得やすい空間となることが期待できる。
【0047】
第3制御例では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以上となるように第1照明負荷21を制御する。また、第3制御例では、照明制御部12は、第2照明負荷22の光色が黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。第3制御例において第2照明負荷22が調色され得る範囲を図6に示す。図6は、実施の形態に係る照明制御システム100の第3制御例における第2照明負荷22の光色の一例を示す図である。図6は、図3と同様に、XYZ表色系における色度図を表している。第3制御例では、照明制御部12は、図6に示す色度図においてハッチングを施した範囲の光色となるように、第2照明負荷22を制御する。
【0048】
第3制御例による照明環境を提供された所定空間4では、単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1がリフレッシュ効果、モチベーションの向上効果、又は覚醒効果を得やすい空間となることが期待できる。
【0049】
記憶部13は、照明制御部12が制御を行うために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよく、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。
【0050】
入力受付部11、照明制御部12、及び記憶部13は、いずれも同一の基板に実装されるか、又は同一の筐体に納められていてもよい。上記基板又は筐体は、オフィス3の天井、壁、床、又はデスク等の什器・家具に備え付けられていてもよい。この場合、照明制御システム100が小型化されるため好ましい。
【0051】
[動作]
以下、実施の形態に係る照明制御システム100の動作の一例について図7を用いて説明する。図7は、実施の形態に係る照明制御システム100の動作例を示すフローチャートである。以下では、照明制御部12は、入力受付部11が制御入力を受け付ける以前においては、各所定空間4に設置された照明負荷2を制御していないこととして説明する。
【0052】
まず、入力受付部11は、制御入力を受け付けるまで待機する(S1:No)。そして、入力受付部11が制御入力を受け付けると(S1:Yes)、照明制御部12は、入力受付部11が受け付けた制御入力に従って、各所定空間4に設置された照明負荷2を制御する(S2)。処理S2及び後述する処理S4,S5は、照明制御方法の照明制御ステップST1に相当する。これにより、各所定空間4の照明環境が、制御入力に基づいて制御される。制御入力は、例えば任意の日における就業時刻から終業時刻までのスケジュールである。この場合、各所定空間4の照明環境が、スケジュールに従って制御される。
【0053】
その後、照明制御部12は、入力受付部11が受け付けた制御入力に変化がない場合(S3:No)、上記制御を維持する(S4)。一方、照明制御部12は、入力受付部11が受け付けた制御入力に変化がある場合(S3:Yes)、変化後の制御入力に基づいて各所定空間4の照明環境を変更するように制御する(S5)。これにより、各所定空間4の照明環境が更新される。制御入力の変化は、例えば権限者が、各所定空間4の照明環境を調整する場合に生じ得る。以下、上記の一連の処理をスケジュールが終了するまで(S6:Yes)、繰り返す。
【0054】
[利点]
以下、実施の形態に係る照明制御システム100の利点について説明する。まず、本願の発明者の着眼点について説明する。近年では、ユーザのワークスタイルが多様化しつつあり、例えばABW型のオフィス3等が台頭している。「ABW」とは、既に述べたように、仕事内容に合わせて働く場所又はデスク等をユーザU1が選択する働き方である。具体的には、「ABW」は、一人で集中して作業をするソロワーク、又は複数人でアイディアを出し合うグループワーク等、ユーザU1の活動内容に応じて、それらに適した空間又は環境を複数個所用意することで、ユーザU1の生産性を向上させることを狙うワークスタイルである。
【0055】
ここで、例えば新型コロナウイルス感染症といった感染症の流行等により、オフィス3にて勤務するユーザU1が減少する傾向にある。これに伴い、オフィス3の面積も縮小する傾向にあることから、限られたオフィス3の空間内でユーザU1のパフォーマンスの最大化を図ることが重要な課題となる。例えば、オフィス3において、リフレッシュルーム又はコラボレーションスペース等の共用部を執務空間(作業空間)とは別に設けることを考える。この場合、執務空間の面積は、オフィス3全体を執務空間とした場合と比較して小さくなることから、限られたオフィス3の面積を有効に利用することができない、といった問題が生じ得る。そこで、本願の発明者は、限られたオフィス3の面積を有効に利用すべく、オフィス3を複数の用途で容易に利用することができるようなシステムを検討した。
【0056】
実施の形態に係る照明制御システム100では、照明制御部12は、第1照明負荷21の光色が白色となる範囲で第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が白色以外の色となる範囲で第2照明負荷22を制御する。これにより、実施の形態に係る照明制御システム100では、例えば第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色(色温度)を変更することにより、所定空間4を種々の環境に容易に切り替えやすい、という利点がある。
【0057】
具体的には、オフィス3において、共用部と執務空間とを設ける場合を考える。この場合、オフィス3における任意の所定空間4において、リラックス効果が期待できる照明環境となるように第1照明負荷21及び第2照明負荷22を制御すれば、当該所定空間4を共用部として利用することができる。また、オフィス3における他の所定空間4において、集中効果が期待できる照明環境となるように第1照明負荷21及び第2照明負荷22を制御すれば、当該所定空間4を執務空間として利用することができる。そして、例えばオフィス3全体を執務空間としたい場合であれば、全ての所定空間4において、集中効果が期待できる照明環境となるように第1照明負荷21及び第2照明負荷22を制御すれば、オフィス3全体を執務空間として利用することができる。
【0058】
ところで、白色以外の光色は、ユーザU1に対して様々な心理的作用を呈し得る。例えばユーザU1が作業をしている際に、ユーザU1の仕事内容、気分、又は好みに合わせた白色以外の光色の光をユーザU1の視野内に照射することで、ユーザU1の所定空間4に対する満足度、及び/又はユーザU1の作業パフォーマンスを改善させやすくなるという効果が期待でき、好ましい。
【0059】
一方、白色以外の光色は、物体の見え方が悪くなりがちであり、作業がしにくくなったり、眼精疲労を蓄積しやすくなったりするといった課題も生じ得る。また、白色以外の光色は、肌の色の見栄えが悪くなりがちであり、空間及び/又は人に対する印象が悪くなりやすいといった課題も生じ得る。これに対して、実施の形態に係る照明制御システム100では、白色となる範囲の光を白色以外の光色の光と併せて所定空間4に提供することができるので、上記のような課題は生じにくい。
【0060】
また、オフィス3においてユーザU1とは別の気分を有する又は所望するユーザが存在する場合、そのユーザを満足させるために別のスペースを用意するという手段が考えられる。しかしながら、この手段では、ユーザの気分ごとに対応するスペースを用意しなければならず、結果としてオフィス3の面積が大きくなり、オフィス3の維持管理に必要なコストが嵩むという課題が生じ得る。これに対して、実施の形態に係る照明制御システム100では、白色以外の光色をユーザU1のその時々の気分によって変更することで、ユーザU1の気分に応じた環境を提供することが容易である。このため、実施の形態に係る照明制御システム100では、ユーザU1の満足度の高い所定空間4を実現しやすい、という利点がある。また、実施の形態に係る照明制御システム100では、上記手段のように別のスペースを用意する必要が無く、オフィス3を必要最小限の面積に留めやすく、オフィス3の維持管理に必要なコストを低減しやすい、という利点がある。
【0061】
(変形例)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0062】
実施の形態において、照明制御部12は、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の照度を制御してもよい。具体的には、照明制御部12は、第1照明負荷21の照度が第2照明負荷22の照度よりも高くなるように、第1照明負荷21の照度と第2照明負荷22の照度との照度比を制御してもよい。ここでいう「照度比」は、例えば第1照明負荷21の最大照度と、第2照明負荷22の最大照度との比である。第1照明負荷21の最大照度は、例えば所定空間4において第1照明負荷21のみを点灯させた場合に、当該所定空間4の使用領域41(ここでは、デスク51の上面)の中心部で測定される照度で表される。また、第2照明負荷22の最大照度は、例えば所定空間4において第2照明負荷22のみを点灯させた場合に、当該所定空間4の使用領域41の中心部で測定される照度で表される。照度の測定は、例えば所定空間4に設置された照度センサにより行われる。
【0063】
この態様では、第1照明負荷21が光を照射する領域において、第2照明負荷22が照射する光の影響が小さくなり、第1照明負荷21が照射する光が強調されやすい。したがって、この態様では、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色のみを制御する場合と比較して、照明環境がユーザU1に及ぼす効果の向上が期待できる、という利点がある。
【0064】
実施の形態では、第1照明負荷21が集光形の配光特性を有しており、第2照明負荷22が拡散形の配光特性を有しているが、これに限られない。例えば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の両方が集光形の配光特性を有していてもよい。また、例えば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の両方が拡散形の配光特性を有していてもよい。
【0065】
以下、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の両方が拡散形の配光特性を有している場合における、所定空間4での照明負荷2の設置例について説明する。図8は、実施の形態に係る照明制御システム100が使用される所定空間4での照明負荷2の設置例を示す概要図である。
【0066】
図8に示す例では、オフィス3は、3つの所定空間4を有している。各所定空間4には、什器5として、デスク51と1以上の椅子52とが設置されている。オフィス3の天井には、複数(ここでは、3つ)の第1照明負荷21と、複数(ここでは、6つ)の第2照明負荷22と、が設置されている。ここで、オフィス3は、均等に3つの所定空間4に区分けされており、各所定空間4には、1つの第1照明負荷21と、2つの第2照明負荷22と、が設置されている。
【0067】
各所定空間4においては、第1照明負荷21が所定空間4の使用領域41に光を照射するように、第1照明負荷21が設置されている。また、各所定空間4においては、各第2照明負荷22が使用領域41の周囲に光を照射するように、第1照明負荷21を挟むようにして2つの第2照明負荷22が設置されている。なお、第2照明負荷22が光を照射する領域は、少なくとも使用領域41の周囲の領域を含んでいればよく、使用領域41の一部又は全部を更に含んでいてもよい。
【0068】
図9は、実施の形態に係る照明制御システム100が使用される所定空間4での照明負荷2の他の設置例を示す概要図である。図9に示す例では、オフィス3は、1つの所定空間4を有している。つまり、図9に示す例では、オフィス3全体が所定空間4である。所定空間4には、什器として、デスク51と1以上の椅子52とが設置されている。オフィス3の天井には、1つの第1照明負荷21と、複数(ここでは、8つ)の第2照明負荷22と、が設置されている。
【0069】
所定空間4においては、第1照明負荷21が所定空間4の使用領域41に光を照射するように、第1照明負荷21が設置されている。また、所定空間4においては、各第2照明負荷22が使用領域41の周囲に光を照射するように、第1照明負荷21を囲むようにして8つの第2照明負荷22が設置されている。なお、第2照明負荷22が光を照射する領域は、少なくとも使用領域41の周囲の領域を含んでいればよく、使用領域41の一部又は全部を更に含んでいてもよい。
【0070】
上記のように第1照明負荷21及び第2照明負荷22の両方が拡散形の配光特性を有している場合でも、第1照明負荷21が集光形の配光特性、第2照明負荷22が拡散形の配光特性を有している場合と同様に、所定空間4を種々の環境に容易に切り替えやすい。
【0071】
実施の形態では、照明制御システム100は、複数の所定空間4の各々の照明負荷2を制御しているが、これに限られない。例えば、照明制御システム100は、1つの所定空間4の照明負荷2のみを制御してもよい。
【0072】
実施の形態では、照明制御システム100は、1つのオフィス3を対象としているが、これに限らない。例えば、照明制御システム100は、複数のオフィス3を対象とし、オフィス3ごとに各所定空間4の照明負荷2を制御してもよい。
【0073】
実施の形態において、照明制御システム100は、入力受付部11を備えていなくてもよい。この場合、照明制御システム100は、例えば第1制御例~第3制御例のいずれかの制御例での照明負荷2の制御を実行するように、照明制御システム100の利用開始時点であらかじめ設定されていればよい。
【0074】
実施の形態において、所定空間4には、照明負荷2として1つの第1照明負荷21と、1つの第2照明負荷22とが設置されていてもよい。つまり、所定空間4において、第2照明負荷22は複数設置されていなくてもよい。
【0075】
実施の形態では、照明負荷2は照明制御システム100の構成要素に含まれていないが、照明負荷2が照明制御システム100の構成要素に含まれていてもよい。
【0076】
また、例えば、上記実施の形態では、照明制御システム100は、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、照明制御システム100は、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。照明制御システム100が複数の装置によって実現される場合、照明制御システム100が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記実施の形態でサーバ装置が備える構成要素は、閉空間に設置された情報端末に備えられてもよい。つまり、本発明は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよいし、エッジコンピューティングによって実現されてもよい。
【0077】
例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0079】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0080】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0081】
例えば、本発明は、照明制御システム100等のコンピュータが実行する照明制御方法として実現されてもよいし、このような照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0082】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0083】
(まとめ)
以上述べたように、照明制御システム100は、所定空間4に設けられた照明負荷2の発する光の色温度を制御する照明制御部12を備える。照明負荷2は、第1照明負荷21と、第2照明負荷22と、を有している。照明制御部12は、第1照明負荷21の光色が白色となる範囲で第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が白色以外の色となる範囲で第2照明負荷22を制御する。
【0084】
このような照明制御システム100によれば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色(色温度)を変更することにより、所定空間4を種々の環境に容易に切り替えやすい、という利点がある。
【0085】
また、例えば、照明制御システム100では、第2照明負荷22は、複数である。照明負荷2は、第1照明負荷21が所定空間4におけるユーザU1の使用領域41に光を照射し、かつ、複数の第2照明負荷22が使用領域41の周囲に光を照射するように、所定空間4に設けられている。
【0086】
このような照明制御システム100によれば、照明環境がユーザU1に及ぼす効果の向上が期待できる、という利点がある。
【0087】
また、例えば、照明制御システム100では、所定空間4は、ユーザU1が作業を行う作業空間である。
【0088】
このような照明制御システム100によれば、作業空間をユーザU1が作業を行うのに適した種々の環境に容易に切り替えやすい、という利点がある。
【0089】
また、例えば、照明制御システム100では、第1照明負荷21は、集光形の配光特性を有する。第2照明負荷22は、拡散形の配光特性を有する。
【0090】
このような照明制御システム100によれば、照明環境がユーザU1に及ぼす効果の向上が期待できる、という利点がある。
【0091】
また、例えば、照明制御システム100では、照明制御部12は、第2照明負荷22の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、薄い青紫、薄い黄赤、オレンジピンク、薄い黄色、薄いピンク、黄みの白、赤、ピンク、黄、黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、及び緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。
【0092】
このような照明制御システム100によれば、ユーザU1が不快感を覚えにくい所定空間4となることが期待できる、という利点がある。
【0093】
また、例えば、照明制御システム100では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以上となるように第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が青、青みの白、紫みの白、薄い青緑、青紫、薄い青、及び薄い青紫のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。
【0094】
このような照明制御システム100によれば、所定空間4に単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1が集中効果を得やすい所定空間4となることが期待できる、という利点がある。
【0095】
また、例えば、照明制御システム100では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以下となるように第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が薄い黄赤、オレンジピンク、ピンク、赤、黄、薄い黄色、薄いピンク、及び黄みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。
【0096】
このような照明制御システム100によれば、所定空間4に単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1が他のユーザU1とのコミュニケーションを図りやすい効果を得やすい所定空間4となることが期待できる、という利点がある。
【0097】
また、例えば、照明制御システム100では、照明制御部12は、第1照明負荷21の発する光の色温度が4000K以上となるように第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が黄緑、薄い黄緑、緑、薄い緑、緑みの白のうちのいずれか1つの光色となるように第2照明負荷22を制御する。
【0098】
このような照明制御システム100によれば、所定空間4に単に白色光のみが照射される場合、及び単に白色以外の光のみが照射される場合と比較して、ユーザU1がリフレッシュ効果、モチベーションの向上効果、又は覚醒効果を得やすい所定空間4となることが期待できる、という利点がある。
【0099】
また、例えば、照明制御システム100では、照明制御部12は、第1照明負荷21の照度が第2照明負荷22の照度よりも高くなるように、第1照明負荷21の照度と第2照明負荷22の照度との照度比を制御する。
【0100】
このような照明制御システム100によれば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色のみを制御する場合と比較して、照明環境がユーザU1に及ぼす効果の向上が期待できる、という利点がある。
【0101】
また、例えば、照明制御方法は、所定空間4に設けられた照明負荷2の発する光の色温度を制御する照明制御ステップST1を含む。照明負荷2は、第1照明負荷21と、第2照明負荷22と、を有している。照明制御ステップST1では、第1照明負荷21の光色が白色となる範囲で第1照明負荷21を制御し、かつ、第2照明負荷22の光色が白色以外の色となる範囲で第2照明負荷22を制御する。
【0102】
このような照明制御方法によれば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色(色温度)を変更することにより、所定空間4を種々の環境に容易に切り替えやすい、という利点がある。
【0103】
また、例えば、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の照明制御方法を実行させる。
【0104】
このようなプログラムによれば、第1照明負荷21及び第2照明負荷22の光色(色温度)を変更することにより、所定空間4を種々の環境に容易に切り替えやすい、という利点がある。
【符号の説明】
【0105】
100 照明制御システム
11 入力受付部
12 照明制御部
2 照明負荷
21 第1照明負荷
22 第2照明負荷
4 所定空間
41 使用領域
ST1 照明制御ステップ
U1 ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9