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特許7584089環境制御システム、環境制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】環境制御システム、環境制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20241108BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241108BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20241108BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/16
H05B47/17
H05B47/11
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021027986
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129306
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上野 早織
(72)【発明者】
【氏名】原田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】奥野 達也
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-162216(JP,A)
【文献】特開2010-267594(JP,A)
【文献】特開2019-029109(JP,A)
【文献】特開2014-154483(JP,A)
【文献】特開2011-233481(JP,A)
【文献】特開2017-091884(JP,A)
【文献】特開2020-161347(JP,A)
【文献】特開2003-153358(JP,A)
【文献】特開2014-053180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間に設けられた照明負荷の照度を制御する照明制御部を備え、
前記照明負荷は、拡散形の配光特性を有する第1負荷と、集光形の配光特性を有する第2負荷と、を有し、
前記照明制御部は、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度に対する、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度の照度比が0.4以下となるように前記照明負荷を制御し、
前記照明制御部の制御パラメータを表示する表示部を有する表示装置を更に備え、
前記表示装置は、前記制御パラメータの設定入力を受け付ける入力受付部を更に有して
おり、
前記表示部は、前記入力受付部で受け付け可能な前記制御パラメータの範囲を表示し、
前記表示部は、前記入力受付部が前記第1負荷及び前記第2負荷のいずれか一方の前記制御パラメータの設定入力を受け付けると、前記一方の前記制御パラメータと連動して他方の前記制御パラメータを表示する、
環境制御システム。
【請求項2】
前記照明制御部は、前記照度比が0.25以下となるように前記照明負荷を制御する、
請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度が750lx以上となるように前記照明負荷を制御する、
請求項1又は2に記載の環境制御システム。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度が1000lx以上となるように前記照明負荷を制御する、
請求項3に記載の環境制御システム。
【請求項5】
前記照明制御部は、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度が300lx以下となるように前記照明負荷を制御する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項6】
前記照明制御部は、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度が200lx以下となるように前記照明負荷を制御する、
請求項5に記載の環境制御システム。
【請求項7】
前記照明制御部は、前記照明負荷の発する光の色温度が3500K以上となるように前記照明負荷を制御する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項8】
前記照明制御部は、日中において前記照明負荷を制御する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項9】
前記作業空間に設けられた音響装置を制御する音響制御部を更に備え、
前記音響制御部は、前記作業空間に自然環境音及びホワイトノイズの少なくとも一方を再生するように前記音響装置を制御する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項10】
前記音響制御部は、前記作業空間に流水音を再生するように前記音響装置を制御する、
請求項9に記載の環境制御システム。
【請求項11】
前記音響制御部は、前記作業空間の騒音レベルが40dB以上60dB未満となるように前記音響装置を制御する、
請求項9又は10に記載の環境制御システム。
【請求項12】
前記作業空間に設けられた音響装置を制御する音響制御部を更に備え、
前記作業空間は複数であって、
前記照明制御部及び前記音響制御部は、それぞれ前記複数の作業空間の環境を互いに異ならせるように、前記複数の作業空間の各々に割り当てられた前記照明負荷及び前記音響装置を制御する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項13】
前記複数の作業空間のうちのいずれかの作業空間において、
前記照明制御部は、前記照明負荷の発する光の色温度が4000K以下となるように前記照明負荷を制御し、
前記音響制御部は、前記作業空間にジャズ又はボサノバに分類される音楽を再生するように前記音響装置を制御する、
請求項12に記載の環境制御システム。
【請求項14】
前記複数の作業空間のうちのいずれかの作業空間において、
前記照明制御部は、前記作業空間における作業領域の中央の照度がそれ以外の部分の照度よりも高くなるように前記照明負荷を制御し、
前記音響制御部は、前記作業空間にホワイトノイズ又は自然環境音を再生するように前記音響装置を制御する、
請求項12又は13に記載の環境制御システム。
【請求項15】
作業空間に設けられた照明負荷の照度を制御する照明制御ステップを含み、
前記照明負荷は、拡散形の配光特性を有する第1負荷と、集光形の配光特性を有する第2負荷と、を有し、
前記照明制御ステップでは、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度に対する、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度の照度比が0.4以下となるように前記照明負荷を制御し、
前記照明制御ステップの制御パラメータを表示装置が有する表示部に表示する表示ステップを更に含み、
前記表示装置は、前記制御パラメータの設定入力を受け付ける入力受付部を更に有して
おり、
前記表示ステップでは、前記入力受付部で受け付け可能な前記制御パラメータの範囲を前記表示部に表示し、
前記表示ステップでは、前記入力受付部が前記第1負荷及び前記第2負荷のいずれか一方の前記制御パラメータの設定入力を受け付けると、前記一方の前記制御パラメータと連動して他方の前記制御パラメータを前記表示部に表示する、
環境制御方法。
【請求項16】
1以上のプロセッサに、
請求項15に記載の環境制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境制御システム、環境制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明制御装置が開示されている。この照明制御装置は、人体情報検知手段で検知した照明エリアの人間の動作速度に基づいて、照明エリアをあらかじめ複数に区分した各々の区分領域が人間の滞在する滞在領域か非滞在領域かを判定する。そして、照明制御手段は、判定結果に基づき、区分領域に配置された照明器具に対し照明制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-109876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ユーザが比較的集中しやすい空間を提供することができる環境制御システム、環境制御方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る環境制御システムは、作業空間に設けられた照明負荷の照度を制御する照明制御部を備える。前記照明負荷は、拡散形の配光特性を有する第1負荷と、集光形の配光特性を有する第2負荷と、を有する。前記照明制御部は、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度に対する、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度の照度比が0.4以下となるように前記照明負荷を制御する。
【0006】
本発明の一態様に係る環境制御方法は、作業空間に設けられた照明負荷の照度を制御する照明制御ステップを含む。前記照明負荷は、拡散形の配光特性を有する第1負荷と、集光形の配光特性を有する第2負荷と、を有する。前記照明制御ステップでは、前記第2負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度に対する、前記第1負荷を点灯させた場合における前記作業空間の最大照度の照度比が0.4以下となるように前記照明負荷を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記環境制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の環境制御システム、環境制御方法、及びプログラムは、ユーザが比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る環境制御システムが使用される作業空間の一例を示す概要図である。
図3図3は、実施の形態に係る環境制御システムの表示装置の一例を示す概要図である。
図4図4は、第1実験の結果を示す図である。
図5図5は、第2実験の結果を示す図である。
図6図6は、第3実験の結果を示す図である。
図7図7は、第4実験の結果を示す図である。
図8図8は、第5実験の結果を示す図である。
図9図9は、第6実験の結果を示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[作業空間]
まず、実施の形態に係る環境制御システム100が使用される作業空間4について説明する。図1は、実施の形態に係る環境制御システム100の機能構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る環境制御システム100が使用される作業空間4の一例を示す概要図である。
【0013】
実施の形態に係る環境制御システム100は、例えばオフィス等のユーザU1が作業を行う作業空間4で使用され、このような作業空間4での環境を制御するためのシステムである。実施の形態では、環境制御システム100は、例えば自身の行いたい作業に応じて自由に作業場所を選択し得るABW(Activity Based Working)型のオフィス3に使用される、と仮定する。ここで、「ABW」とは、仕事内容に合わせて働く場所又はデスク等をユーザU1(従業員等)が選択する働き方をいう。ABW型のオフィスにおいては、ユーザU1は、集中力を要する作業を行う場合には比較的静音性の高い場所を選択し、打ち合わせを行う場合にはソファ等のリラックス可能な場所を選択することが可能である。
【0014】
なお、環境制御システム100は、ABW型のオフィスに限らず、フリーアドレス型のオフィスで使用されてもよいし、ユーザU1が行いたい作業に応じて自由に作業場所を選択し得る空間であれば、他の空間で使用されてもよい。例えば、環境制御システム100は、小学校、中学校、高校、又は大学等の教育施設で使用されてもよいし、公民館、又は図書館等の公共施設で使用されてもよいし、店舗又は商業施設で使用されてもよい。
【0015】
また、環境制御システム100が使用される作業空間4は、上述のようにユーザU1が自由に作業場所を選択し得る空間に限らず、例えばユーザU1の作業場所が固定されたオフィスで使用されてもよい。
【0016】
図2に示す例では、オフィス3は、複数(ここでは、6つ)の作業空間4を有している。各作業空間4には、1以上のユーザU1が作業を行うための什器5が設置されている。
図2に示す例では、ユーザU1が行う作業は、例えばラップトップ型のパーソナルコンピュータ等のユーザU1が所持する情報端末8を用いた作業である。なお、情報端末8は、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォン又はタブレット端末等であってもよい。また、図2に示す例では、什器5は、デスク51と、1以上の椅子52と、を含んでいる。
【0017】
図2に示す例では、隣り合う作業空間4の間は仕切られていないが、例えば壁又は什器等によって仕切られていてもよい。一例として、オフィス3は、壁又は什器等によって仕切られた複数の部屋で構成されていてもよい。この場合、作業空間4は、複数の部屋の各々であってもよいし、複数の部屋のうちの一部であってもよい。
【0018】
作業空間4には、照明負荷6が設置されている。実施の形態では、照明負荷6は、作業空間4の天井に設置されている。もちろん、照明負荷6は、作業空間4の天井のみならず、壁、床、又はデスク等の什器に設置されていてもよい。照明負荷6は、作業空間4を照明光で照らすことにより、作業空間4に照明環境を提供する。照明環境のパラメータは、一例として、照明光の照度、色温度(光色)、又は配光分布等を含み得る。
【0019】
作業空間4に設置される照明負荷6は、第1負荷61と、第2負荷62と、を有している。図2に示す例では、オフィス3の天井に複数(ここでは、9つ)の第1負荷61が設置されている。また、図2に示す例では、オフィス3の天井に複数(ここでは、6つ)の第2負荷62が設置されている。ここで、オフィス3は、均等に6つの作業空間4に区分けされており、各作業空間4には、複数(ここでは、2つ)の第1負荷61と、1つの第2負荷62と、が設置されている。なお、第1負荷61の中には、複数の作業空間4で兼用されている照明負荷も存在する。一例として、図2に示すオフィス3の天井の中央に位置する第1負荷61は、2つの作業空間4で兼用されている。
【0020】
第1負荷61は、対象とする空間を均一に照らすアンビエント照明としてのベースライトであって、LED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子を有する光源を備えている。つまり、第1負荷61は、拡散形の配光特性を有している。なお、第1負荷61に用いられる固体発光素子は、LEDに限らず、有機EL(Electro-Luminescence)素子等であってもよい。また、第1負荷61は、固体発光素子を有する光源に限らず、蛍光ランプ等であってもよい。
【0021】
第2負荷62は、タスクライトとしてのスポットライトであって、LED等の固体発光素子を有する光源を備えている。つまり、第2負荷62は、集光形の配光特性を有している。なお、第2負荷62は、スポットライトに限らず、例えばスタンドライト、ダウンライト、又はユニバーサルダウンライト等であってもよい。また、第2負荷62に用いられる固体発光素子は、LEDに限らず、有機EL素子等であってもよい。さらに、第2負荷62は、固体発光素子を有する光源に限らず、蛍光ランプ等であってもよい。
【0022】
ここで、作業空間4における照明負荷6の光の照射領域について説明する。第1負荷61は、作業空間4全体に光を照射するように設置されている。一方、第2負荷62は、作業空間4の一部であるデスク51の上面に光を照射するように設置されている。ここで、デスク51の上面は、例えばユーザU1が情報端末8を用いて作業を行う領域である。言い換えれば、デスク51の上面は、ユーザU1の作業領域41である。つまり、第2負荷62は、作業空間4におけるユーザU1の作業領域41に光を照射するように、作業空間4に設けられている。
【0023】
ところで、実施の形態では、隣り合う2つの空間において、一方の空間に設置された照明負荷6は、厳密に一方の空間の照明環境のみに影響を与えていなくてもよく、他方の空
間に影響を与えることが許容されている。つまり、任意の作業空間4においては、当該作業空間4に対応する照明負荷6により提供される照明環境が主たる照明環境となっていればよく、当該作業空間4とは異なる空間に対応する照明負荷6からの影響があっても、当該作業空間4の照明環境に殆ど影響を与えなければよい。なぜならば、このとき当該作業空間4に存在するユーザU1に対して、当該作業空間4とは異なる空間に対応する照明負荷6が及ぼす影響は限定的であると考えられるからである。
【0024】
また、作業空間4には、音響装置7が設置されている。実施の形態では、音響装置7は、作業空間4の天井に設置されている。もちろん、音響装置7は、作業空間4の天井のみならず、壁、床、又はデスク等の什器に設置されていてもよい。図2に示す例では、オフィス3の天井に複数(ここでは、8つ)の音響装置7が設置されており、各作業空間4には、複数(ここでは、2つ)の音響装置7が設置されている。なお、音響装置7の中には、複数の作業空間4で兼用されている音響装置も存在する。一例として、図2に示すオフィス3の中央奥側に位置する2つの音響装置7は、いずれも2つの作業空間4で兼用されている。
【0025】
音響装置7は、対象とする空間に音を出力することにより、当該空間に音響環境を提供する。音響環境のパラメータは、一例として、再生されるコンテンツ、又は音量等を含み得る。音響装置は、一例として、無指向性のスピーカであって、音響制御部12に制御されることにより、音響制御部12から送信されるコンテンツを再生する。なお、音響装置7は、例えばパラメトリック・スピーカ、超音波を用いたスピーカ、又は筐体をホーン構造にしたスピーカ等の指向性を有するスピーカであってもよい。指向性を有するスピーカを用いた場合、一部の音が他の空間へ漏れ出る割合を小さくしやすい、という効果が期待できる。
【0026】
ところで、実施の形態では、隣り合う2つの空間において、一方の空間に設置された音響装置7から出力される音は、一方の空間のみに出力されなくてもよく、一部の音が他方の空間へと漏れ出ることが許容されている。つまり、任意の作業空間4においては、当該作業空間4に対応する音響装置7から出力される音が主たる音となっていればよく、当該作業空間4とは異なる空間からの音の一部が漏れてきても、当該作業空間4の音響に殆ど影響を与えなければよい。
【0027】
[環境制御システム]
環境制御システム100は、図1に示すように、照明制御部11と、音響制御部12と、記憶部13と、表示装置2と、を備えている。なお、実施の形態において、環境制御システム100は、照明制御部11を少なくとも備えていればよく、音響制御部12、記憶部13、及び表示装置2は備えていなくてもよい。環境制御システム100が音響制御部12を備えていない場合、各作業空間4において音響装置7は設置されていなくてもよい。また、環境制御システム100のうちの表示装置2を除く構成要素は、オフィス3に設置されていてもよいし、オフィス3から離れた遠隔地に設置されていてもよい。
【0028】
照明制御部11は、各作業空間4に設置された照明負荷6と通信可能であって、各照明負荷6に照明制御信号を送信することにより、各照明負荷6を制御する。つまり、照明制御部11は、作業空間4ごとに照明負荷6を制御する。実施の形態では、照明制御部11は、各照明負荷6の調光及び調色の両方を制御する。照明制御部11と各照明負荷6との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格も特に限定されない。
【0029】
実施の形態では、照明制御部11は、表示装置2とも通信可能であって、表示装置2と通信することにより、表示装置2で受け付けた照明制御入力を含む信号を受信することも
可能である。この場合、照明制御部11は、受信した照明制御入力に応じて、各照明負荷6を制御する。照明制御部11と表示装置2との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格も特に限定されない。
【0030】
音響制御部12は、各作業空間4に設置された音響装置7と通信可能であって、各音響装置7に音響制御信号(再生させたいコンテンツを含む)を送信することにより、各音響装置7にコンテンツを再生させるように制御する。つまり、音響制御部12は、作業空間4ごとに音響装置7を制御する。音響制御部12と各音響装置7との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格は特に限定されない。
【0031】
また、コンテンツは、音響制御部12に保存されていてもよいし、各音響装置7に保存されていてもよいし、記憶部13に保存されていてもよい。コンテンツは、例えば、WAV形式、mp3形式などの電子データ媒体で保存されるが、これに限定されるものではなく、例えばコンパクトディスク(CD)など、公知のいかなる保存方法で保存されてもよい。
【0032】
実施の形態では、音響制御部12は、表示装置2とも通信可能であって、表示装置2と通信することにより、表示装置2で受け付けた音響制御入力を含む信号を受信することも可能である。この場合、音響制御部12は、受信した音響制御入力に応じて、各音響装置7を制御する。音響制御部12と表示装置2との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよいし、通信規格も特に限定されない。
【0033】
このように、各作業空間4の照明環境及び音響環境を制御することにより、例えば作業空間4ごとに環境を異ならせることが可能であり、いわゆるゾーニング効果が期待できる。
【0034】
ここで、ゾーニング効果とは、例えば、空間の認知上の区切れ感を意味し、外観上複数の空間が互いに異なる空間であるとユーザU1が認知しやすい効果を含み得る。また、ゾーニング効果は、ユーザU1による認知をもって、ゾーニングの意図通りにユーザU1の行動又は動線の変化を促しやすくする効果を含み得る。例えば、任意の空間について、ユーザU1が集中力を要する作業を行いやすい空間となることを意図してゾーニングをした、と仮定する。この場合、当該空間を見たユーザU1が、集中力を要する作業を行うことを主目的として当該空間を使用すれば、ゾーニング効果が発揮されたと言える。
【0035】
また、ゾーニング効果は、ユーザU1が実際にゾーニングされた空間を利用した場合に、ユーザU1の主観的な効果・実感、又は生理・心理・生体的作用がゾーニングの主旨に応じた傾向を示す効果を含み得る。例えば、任意の空間について、集中力を要する作業を行いやすい空間となることを意図してゾーニングを行い、当該空間をユーザU1が利用した、と仮定する。この場合、ユーザU1が当該空間を利用することで集中できたという実感を得たり、心理・生体作用としてユーザU1が集中をしていたことを示唆する指標・データが得られたりすれば、ゾーニング効果が発揮されたと言える。
【0036】
上述のように作業空間4に設置された照明負荷6及び音響装置7の制御を行うことで、什器又は家具を用いることなく作業空間4をゾーニングすることが可能である。このため、作業空間4の意匠性を高めやすく、かつ、照明負荷6及び音響装置7の制御により瞬時にオフィス3のレイアウトを変化させる、いわゆるアクティブゾーニングが可能となる。一例として、作業空間4における照明負荷6の発する光の色温度(光色)の制御パラメータの変更は、例えば数秒で完了する。この場合、結果としてオフィス3のレイアウトを数秒で変更することが可能である。ここで、什器又は家具を人力で移動させることでオフィス3のレイアウトを変更する場合であれば、60分、数時間、又は一日、場合によっては
数日を要する。この点から、上記の照明負荷6の制御によるゾーニングは、極めて顕著な効果を奏し得る。
【0037】
アクティブゾーニングにより、従来の什器又は家具の配置を変更することによるオフィスのレイアウトの変更と比較して、時間ごと、日ごと、又は月ごと等の短周期でオフィス3のレイアウトを変化させることが可能である。
【0038】
実施の形態では、各作業空間4において、照明制御部11は、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度に対する、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度の照度比(以下、「第1負荷61と第2負荷62との照度比」ともいう)が0.4以下となるように照明負荷6を制御する。ここでいう「最大照度」は、例えば作業空間4における作業領域41の中心部で測定される照度で表される。作業領域41は、ユーザU1が作業を行う領域である。実施の形態では、作業領域41は、デスク51の上面である。照度の測定は、例えば作業空間4に設置された照度センサにより行われる。
【0039】
一例として、照明制御部11が、第2負荷62のみを点灯させた場合における作業空間4の最大照度が750lxとなるように第2負荷62を制御している、と仮定する。この場合、照明制御部11は、第1負荷61のみを点灯させた場合における作業空間4の最大照度が300lx以下となるように、つまり第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4以下となるように第2負荷62を併せて制御する。
【0040】
ここで、照明制御部11が第1負荷61のみを調光率が100%となるように制御した場合における作業空間4の最大照度が750lxである、と仮定する。この場合、実施の形態では、照明制御部11は、第1負荷61のみを点灯させた場合における作業空間4の最大照度が300lx以下となるように、つまり調光率が40%以下となるように第1負荷61を制御することになる。
【0041】
実施の形態では、各作業空間4において、音響制御部12は、作業空間4に自然環境音及びホワイトノイズの少なくとも一方を再生するように音響装置7を制御する。音響制御部12は、各作業空間4において、作業空間4に滞在するユーザU1が感知し得る程度の音量で自然環境音及び/又はホワイトノイズを再生するように、音響装置7を制御する。自然環境音は、照明光により期待できるゾーニング効果と同様のゾーニング効果が期待できるような音であるのが好ましい。なぜならば、そのようにすることで照明光により期待できるゾーニング効果と、音により期待できるゾーニング効果とを、単純に足し合わせた以上の効果を発現しやすくなり、予期せぬ好適な相乗効果を有しやすくなるからである。
【0042】
自然環境音は、風の音、波の音、雷の音、動物の発する音、又は昆虫の発する音等、自然界において日常的な環境が発している音声及び音楽以外の音である。実施の形態では、自然環境音は、流水音であるのが好ましい。また、ホワイトノイズは、広範囲の周波数領域において一定以上の音圧を有するような音である。自然環境音及びホワイトノイズは、いずれもユーザU1の副交感神経を高めやすい音である。
【0043】
なお、実施の形態において、音響制御部12は、各作業空間4において、BGMを再生するように音響装置7を制御してもよいし、音を再生しないように音響装置7を制御してもよい。この場合、音により期待できるゾーニング効果は発揮できないが、照明光により期待できるゾーニング効果は発揮することが可能である。つまり、実施の形態では、各作業空間4において、照明制御部11が第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制御するだけでも、十分にゾーニング効果が発揮される。
【0044】
記憶部13は、照明制御部11及び音響制御部12の各々が制御を行うために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよく、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。
【0045】
照明制御部11、音響制御部12、及び記憶部13は、いずれも同一の基板に実装されるか、又は同一の筐体に納められていてもよい。上記基板又は筐体は、オフィス3の天井、壁、床、又はデスク等の什器・家具に備え付けられていてもよい。この場合、表示装置2を除いた環境制御システム100が小型化されるため好ましい。
【0046】
表示装置2は、照明制御部11及び音響制御部12の制御パラメータを表示する表示部21を有する。また、表示装置2は、制御パラメータの設定入力を受け付ける入力受付部22を更に有している。実施の形態では、表示部21及び入力受付部22は、タッチパネルディスプレイにより実現されている。照明制御部11の制御パラメータは、例えば作業空間4の照度、又は照明負荷6の発する光の色温度、又は配光分布等を含み得る。また、音響制御部12の制御パラメータは、例えば再生するコンテンツ、又は音響装置7の音量等を含み得る。
【0047】
実施の形態では、表示装置2は、環境制御システム100に専用のコントローラであって、オフィス3に設置されている。また、実施の形態では、表示装置2は、例えばユーザU1又は環境制御システム100の管理者等、環境制御システム100による制御の実行に関する権限を有する者(以下、「権限者」という)が認証を経て操作することができるように構成されている。
【0048】
なお、表示装置2は、権限者が所持する情報端末により実現されてもよい。情報端末は、一例として、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等を含み得る。この場合、権限者は、表示装置2としての機能を実行するためのアプリケーションを情報端末にインストールし、当該アプリケーションを情報端末にて起動することで、情報端末を表示装置2として利用することが可能である。
【0049】
また、実施の形態において、環境制御システム100が音響制御部12を備えていない場合であれば、表示部21は、音響制御部12の制御パラメータを表示する機能を有していなくてもよい。また、この場合であれば、入力受付部22は、音響制御部12の制御パラメータの設定入力を受け付ける機能を有していなくてもよい。
【0050】
図3は、実施の形態に係る環境制御システム100の表示装置2の一例を示す概要図である。図3に示す例では、表示部21には、オフィス3における各照明負荷6及び各音響装置7の配置を表す画像211と、第1負荷調節バー212と、第2負荷調節バー213と、が表示されている。画像211には、複数の作業空間4が仮想的に表示されている。権限者は、画像211に指で触れることにより、いずれかの作業空間4を選択する入力を行うことが可能である。
【0051】
第1負荷調節バー212には、画像211にて選択された作業空間4における第1負荷61の現在の調光率を表す摘み212aが表示されている。権限者は、第1負荷調節バー212の摘み212aに指で触れて上下にスライドさせることにより、当該作業空間4における第1負荷61の調光率を調節する入力を行うことが可能である。当該入力は、照明制御入力として表示装置2から照明制御部11へと送信される。
【0052】
第2負荷調節バー213には、画像211にて選択された作業空間4における第2負荷62の現在の調光率を表す摘み213aが表示されている。権限者は、第2負荷調節バー
213の摘み213aに指で触れて上下にスライドさせることにより、当該作業空間4における第2負荷62の調光率を調節する入力を行うことが可能である。当該入力は、照明制御入力として表示装置2から照明制御部11へと送信される。
【0053】
ここで、権限者は、表示装置2を用いて作業空間4の照明環境を変更することが可能であるが、変更可能な範囲は制限されるのが好ましい。というのも、環境制御システム100が作業空間4に提供する照明環境が許容される範囲を超えて変更されると、ユーザU1に及ぼすことが期待される効果が発揮できないからである。
【0054】
そこで、実施の形態では、表示部21は、入力受付部22で受け付け可能な制御パラメータの範囲を表示している。図3に示す例では、第1負荷調節バー212には、制御パラメータとしての第1負荷61の調光率を調節可能な範囲として、網掛けの調節可能領域212bが表示されている。また、図3に示す例では、第2負荷調節バー213には、制御パラメータとしての第2負荷62の調光率を調節可能な範囲として、網掛けの調節可能領域213bが表示されている。このため、権限者が作業空間4の環境を変更可能な範囲を視覚的に把握しやすいので、作業空間4の環境が許容範囲を超えて変更されにくい、という利点がある。
【0055】
なお、実施の形態では、仮に権限者が第1負荷調節バー212において調節可能領域212b外まで摘み212aをスライドさせようとしても、摘み212aを調節可能領域212b外へとスライドさせることはできない。第2負荷調節バー213においても同様である。この態様では、作業空間4の環境が許容範囲を超えて変更されることを防止することができる、という利点がある。
【0056】
また、実施の形態において、例えば権限者が第1負荷調節バー212の摘み212aをスライドさせた場合、表示部21は、第1負荷61と第2負荷62との照度比が所定の範囲(ここでは、0.4以下)に収まるように、第2負荷調節バー213の摘み213aを連動してスライドさせてもよい。つまり、表示部21は、入力受付部22が第1負荷61及び第2負荷62のいずれか一方の制御パラメータの設定入力を受け付けると、一方の制御パラメータと連動して他方の制御パラメータを表示してもよい。この場合、権限者は、第1負荷61及び第2負荷62のいずれか一方の調光率(照度)さえ調節すれば、他方も自動的に調整されるため、権限者の利便性が向上する。
【0057】
[検証]
ここで、本願の発明者は、照明環境及び音響環境がユーザU1に及ぼす効果を検証すべく、以下に示す実験を行った。すなわち、実験対象の空間(ここでは、オフィスの一室)に複数(ここでは、数十人)の被験者を集め、実験対象の空間の条件を変えながら各被験者に所定の作業(ここでは、パーソナルコンピュータでの1分間のタイピング作業)を行ってもらった。そして、各被験者に対して、実験対象の空間の条件ごとに、実験対象の空間に対する印象についてアンケートを実施した。
【0058】
実験対象の空間には、複数のデスクが設置されている。そして、各被験者は、いずれかのデスクにてパーソナルコンピュータ(ここでは、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ)を用いてタイピング作業を行った。つまり、デスク上面は、作業領域41に相当する。事件で用いたデスクの寸法は、一例として、奥行き寸法が500~1000mm、幅寸法が1000~2000mmである。また、実験対象の空間の天井には、実験対象の空間全体を均一に照らすための複数のベースライト(第1負荷61に相当)が設置されている。さらに、各デスクには、対応するデスクを局所的に照らすためのスポットライト(第2負荷62に相当)が設置されている。
【0059】
また、実験対象の空間には、音響装置が設置されているが、特に断りのない限り、実験対象の空間の全ての条件において、音響装置から音は再生されていない。なお、音響装置からは音が再生されていなくても、実験対象の空間には他の被験者のタイピング音等の騒音が発生している。
【0060】
各被験者に対するアンケートでは、4個の項目の各々について、実験対象の空間に対する印象について回答を得た。具体的には、4個の項目の各々について、実験対象の空間に対する印象が、(a)非常に良い、(b)かなり良い、(c)やや良い、(d)どちらでもない、(e)やや悪い、(f)かなり悪い、(g)非常に悪い、の7段階評価のうちのいずれであるか、各被験者から回答を得た。
【0061】
4個の項目のうち、第1項目は実験対象の空間が集中しやすいか否かであり、第2項目は実験対象の空間が没入感を覚えやすいか否かである。また、第3項目はタイピング作業に用いるパーソナルコンピュータのディスプレイの文字が見えやすいか否かであり、第4項目は実験対象の空間の騒音が気にならないか否かである。第1~第4項目は、いずれもユーザU1が作業空間4で作業をする際の集中度合いに関する因子である。
【0062】
そして、本願の発明者は、各被験者に対するアンケートの結果に基づいて、実験対象の空間の条件を定量的に評価した。具体的には、4個の項目の各々について、アンケートで得られた7段階評価を等間隔尺度として取り扱い、上記(g)、(f)、…、(a)の評価にそれぞれ「-3」、「-2」、…、「+3」のスカラ値を割り当てた。そして、このスカラ値に基づいて、実験対象の空間の条件ごとにスコアを求めた。
【0063】
例えば、第1項目についてのスコアとして、各被験者の第1項目についてのスカラ値の平均値を求めた、と仮定する。この場合、スコアが最大値の「+3」であれば、全ての被験者が実験対象の空間に対して、「非常に集中しやすい」という印象を抱いていることを表す。一方、スコアが最小値の「-3」であれば、全ての被験者が実験対象の空間に対して「非常に集中しにくい」という印象を抱いていることを表す。
【0064】
以下、上記実験の結果について列挙する。図4は、第1実験の結果を示す図である。図4において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第1実験では、スコアは、第1項目及び第2項目の計2つの項目についてのスカラ値の合計値である。したがって、第1実験では、スコアの最大値は「+6」であり、スコアの最小値は「-6」となる。また、第1実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間の環境である。具体的には、図4は、第1環境En1と、第2環境En2との各々でスコアを求めた結果を表している。第1環境En1では、ベースライトのみを実験対象の空間の平均照度が750lxとなるように点灯させており、かつ、音響装置から流水音を再生させている。第2環境En2では、ベースライトを最大照度が300lx、スポットライトを最大照度が1500lxとなるように点灯させており、かつ、音響装置から流水音を再生させている。つまり、第2環境En2では、ベースライト(第1負荷61に相当)とスポットライト(第2負荷62に相当)との照度比が0.4となるように、ベースライト及びスポットライトを制御している。
【0065】
図4に示すひげA1は、全ての被験者のスコアの範囲を表している。また、図4に示すボックスA2は、全ての被験者のスコアの標準偏差の範囲を表している。また、図4に示す線分A3は、全ての被験者のスコアの代表値(ここでは、中央値)を表している。図4に示すように、第1環境En1ではスコアの代表値が「0」である一方、第2環境En2ではスコアの代表値が「+4」となっている。つまり、後者の場合、第1項目及び第2項目の各々のスカラ値の平均値が「+2」以上となっている。このため、各被験者は、ベースライトのみを点灯させた環境と比較して、ベースライトとスポットライトとの照度比を
調節した(ここでは、照度比を0.4となるように調節した)環境の方が集中しやすい、という印象を抱いている。
【0066】
第1実験の結果により、本願の発明者は、照明制御部11が、第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。
【0067】
図5は、第2実験の結果を示す図である。図5において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第2実験では、スコアは、第1項目及び第2項目の計2つの項目についてのスカラ値の合計値である。したがって、第2実験では、スコアの最大値は「+6」であり、スコアの最小値は「-6」となる。また、第2実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間におけるベースライトとスポットライトとの照度比である。つまり、図5は、実験対象の空間における照度比を変化させ、照度比ごとにスコアを求めた結果を表している。
【0068】
図5に示す直線B1は、近似的に一次関数として求められたスコアと照度比との相関関係を表している。図5に示すように、スコアと照度比とは負の相関の関係にある。言い換えれば、図5は、照度比が大きければ大きい程、各被験者が集中しにくくなる、という結果を示している。そして、図5に示すように、照度比が0.4以下の範囲においては、スコアが「+1」以上となっている。このため、実験対象の空間における照度比が0.4以下の範囲においては、各被験者は集中しやすい、という印象を抱いている。さらに、図5に示すように、照度比が0.25以下の範囲においては、スコアが「+2」以上となっており、第1項目及び第2項目の各々のスカラ値の平均値が「+1」以上となっている。このため、実験対象の空間における照度比が0.25以下の範囲においては、各被験者は更に集中しやすい、という印象を抱いている。
【0069】
第2実験の結果により、本願の発明者は、照明制御部11が、第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。また、本願の発明者は、照明制御部11が、第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.25以下となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が更に集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。
【0070】
図6は、第3実験の結果を示す図である。図6において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第3実験では、スコアは、第1項目及び第2項目の計2つの項目についてのスカラ値の合計値である。したがって、第3実験では、スコアの最大値は「+6」であり、スコアの最小値は「-6」となる。また、第3実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間におけるスポットライトの最大照度である。つまり、図6は、実験対象の空間におけるスポットライトの最大照度を変化させ、最大照度ごとにスコアを求めた結果を表している。
【0071】
図6に示す直線C1は、近似的に一次関数として求められたスコアと最大照度との相関関係を表している。図6に示すように、スコアと最大照度とは正の相関の関係にある。言い換えれば、図6は、スポットライトの最大照度が大きければ大きい程、各被験者が集中しやすくなる、という結果を示している。そして、図6に示すように、スポットライトの最大照度が750lx以上の範囲においては、スコアが「+1」以上となっている。このため、スポットライトの最大照度が750lx以上の範囲においては、各被験者は集中しやすい、という印象を抱いている。さらに、図6に示すように、スポットライトの最大照度が1000lx以上の範囲においては、スコアが「+2」以上となっており、第1項目及び第2項目の各々のスカラ値の平均値が「+1」以上となっている。このため、スポッ
トライトの最大照度が1000lx以上の範囲においては、各被験者は更に集中しやすい、という印象を抱いている。
【0072】
第3実験の結果により、本願の発明者は、照明制御部11が、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が750lx以上となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。また、本願の発明者は、照明制御部11が、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が1000lx以上となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が更に集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。
【0073】
図7は、第4実験の結果を示す図である。図7において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第4実験では、スコアは、第1項目及び第2項目の計2つの項目についてのスカラ値の合計値である。したがって、第4実験では、スコアの最大値は「+6」であり、スコアの最小値は「-6」となる。また、第4実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間におけるベースライトの最大照度である。つまり、図7は、実験対象の空間におけるベースライトの最大照度を変化させ、最大照度ごとにスコアを求めた結果を表している。
【0074】
図7に示す直線D1は、近似的に一次関数として求められたスコアと最大照度との相関関係を表している。図7に示すように、スコアと最大照度とは負の相関の関係にある。言い換えれば、図7は、ベースライトの最大照度が小さければ小さい程、各被験者が集中しやすくなる、という結果を示している。そして、図7に示すように、ベースライトの最大照度が300lx以下の範囲においては、スコアが「+1」以上となっている。このため、ベースライトの最大照度が300lx以下の範囲においては、各被験者は集中しやすい、という印象を抱いている。さらに、図7に示すように、ベースライトの最大照度が200lx以下の範囲においては、スコアが「+2」以上となっており、第1項目及び第2項目の各々のスカラ値の平均値が「+1」以上となっている。このため、ベースライトの最大照度が200lx以下の範囲においては、各被験者は更に集中しやすい、という印象を抱いている。
【0075】
第4実験の結果により、本願の発明者は、照明制御部11が、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が300lx以下となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。また、本願の発明者は、照明制御部11が、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が200lx以下となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1が更に集中しやすくなる効果が期待できる、という知見を得た。
【0076】
図8は、第5実験の結果を示す図である。図8において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第5実験では、スコアは、各被験者の第3項目についてのスカラ値である。したがって、第5実験では、スコアの最大値は「+3」であり、スコアの最小値は「-3」となる。また、第5実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間におけるベースライト及びスポットライトの各々が発する照明光の色温度(相関色温度)である。つまり、図8は、実験対象の空間における照明光の色温度を変化させ、色温度ごとにスコアを求めた結果を表している。なお、図8では、横軸の数値は、逆色温度の単位であるミレッド値により表されている。
【0077】
図8に示す直線E1は、近似的に一次関数として求められたスコアとミレッド値との相関関係を表している。図8に示すように、スコアとミレッド値とは負の相関の関係にある
。言い換えれば、図8は、色温度が低ければ低い程、タイピング作業に用いるパーソナルコンピュータのディスプレイの文字が見えにくくなる、という結果を示している。そして、図8に示すように、ミレッド値が約250以下の範囲(言い換えれば、実験対象の空間における照明光の色温度が約3500K以上の範囲)においては、スコアが「0」以上となっている。このため、実験対象の空間における照明光の色温度が3500K以上の範囲においては、各被験者は、タイピング作業に用いるパーソナルコンピュータのディスプレイの文字が見えやすい、という印象を抱いている。
【0078】
第5実験の結果により、本願の発明者は、照明制御部11が、照明負荷6の発する光の色温度が3500K以上となるように照明負荷6を制御することで、作業空間4で作業を行うユーザU1の作業性を向上する効果が期待できる、という知見を得た。
【0079】
図9は、第6実験の結果を示す図である。図9において、縦軸は実験対象の空間に対するスコアを表しており、横軸は実験対象の空間の条件を表している。第6実験では、スコアは、各被験者の第4項目についてのスカラ値の合計値である。したがって、第6実験では、スコアの最大値は「+3」であり、スコアの最小値は「-3」となる。また、第6実験では、実験対象の空間の条件は、実験対象の空間の環境である。具体的には、図6は、第2環境En2と、第3環境En3と、第4環境En4と、の各々でスコアを求めた結果を表している。第3環境En3では、ベースライトのみを実験対象の空間の平均照度が750lxとなるように点灯させており、かつ、音響装置から音を再生させていない。第4環境En4では、ベースライトを最大照度が300lx、スポットライトを最大照度が1500lxとなるように点灯させており、かつ、音響装置からホワイトノイズを再生させている。
【0080】
図9に示すひげF1は、全ての被験者のスコアの範囲を表している。また、図9に示すボックスF2は、全ての被験者のスコアの標準偏差の範囲を表している。また、図9に示す線分F3は、全ての被験者のスコアの代表値(ここでは、中央値)を表している。図9に示すように、第3環境En3ではスコアの代表値が「-1.5」である一方、第4環境En4ではスコアの代表値が「0」以上となっている。さらに、第2環境En2ではスコアの代表値が「+1」以上となっている。このため、各被験者は、実験対象の空間に音を再生していない環境と比較して、実験対象の空間にホワイトノイズ又は流水音を再生した環境の方が作業の妨げになりにくい、という印象を抱いている。
【0081】
第6実験の結果により、本願の発明者は、音響制御部12が、作業空間4に自然環境音及びホワイトノイズの少なくとも一方を再生するように音響装置7を制御することで、作業空間4における騒音がユーザU1の作業の妨げとなりにくくなる効果が期待できる、という知見を得た。また、本願の発明者は、音響制御部12が、作業空間4に流水音を再生するように音響装置7を制御することで、作業空間4における騒音が更にユーザU1の作業の妨げとなりにくくなる効果が期待できる、という知見を得た。
【0082】
[動作]
以下、実施の形態に係る環境制御システム100の動作の一例について説明する。図10は、実施の形態に係る環境制御システム100の動作例を示すフローチャートである。以下では、照明制御部11及び音響制御部12は、それぞれ照明制御入力及び音響制御入力を受け付ける以前においては、各作業空間4に設置された照明負荷6及び音響装置7を制御していないこととして説明する。
【0083】
まず、照明制御部11及び音響制御部12は、それぞれ照明制御入力及び音響制御入力を受け付けるまで待機する(S1:No)。そして、照明制御入力及び音響制御入力を受け付けると(S1:Yes)、照明制御部11及び音響制御部12は、それぞれ受け付け
た照明制御入力及び音響制御入力に従って、各作業空間4に設置された照明負荷6及び音響装置7を制御する(S2)。処理S2の一部及び後述する処理S4,S5は、環境制御方法の照明制御ステップST1に相当する。これにより、各作業空間4の照明環境及び音響環境が、照明制御入力及び音響制御入力に基づいて制御される。
【0084】
照明制御入力は、例えば任意の日における就業時刻から終業時刻までの照明スケジュールである。また、音響制御入力は、例えば任意の日における就業時刻から終業時刻までの音響スケジュールである。この場合、各作業空間4の照明環境及び音響環境が、それぞれ照明スケジュール及び音響スケジュールに従って制御される。
【0085】
その後、照明制御部11は、受け付けた照明制御入力に変化がない場合(S3:No)、上記制御を維持する(S4)。一方、照明制御部11は、受け付けた照明制御入力に変化がある場合(S3:Yes)、変化後の照明制御入力に基づいて各作業空間4の照明環境を変更するように制御する(S5)。これにより、各作業空間4の照明環境が更新される。
【0086】
同様に、音響制御部12は、受け付けた音響制御入力に変化がない場合(S6:No)、上記制御を維持する(S7)。一方、音響制御部12は、受け付けた音響制御入力に変化がある場合(S6:Yes)、変化後の音響制御入力に基づいて各作業空間4の音響環境を変更するように制御する(S8)。これにより、各作業空間4の音響環境が更新される。
【0087】
照明制御入力の変化は、例えば権限者が、表示装置2を用いて各作業空間4の照明環境を調整する場合に生じ得る。音響制御入力の変化は、例えば権限者が、表示装置2を用いて各作業空間4の音響環境を調整する場合に生じ得る。以下、上記の一連の処理を照明スケジュール及び音響スケジュールが終了するまで(S9:Yes)、繰り返す。
【0088】
[利点]
以下、実施の形態に係る環境制御システム100の利点について説明する。まず、本願の発明者の着眼点について説明する。近年では、ユーザのワークスタイルが多様化しつつあり、例えばABW型のオフィス3等が台頭している。「ABW」とは、既に述べたように、仕事内容に合わせて働く場所又はデスク等をユーザU1が選択する働き方である。具体的には、「ABW」は、一人で集中して作業をするソロワーク、又は複数人でアイディアを出し合うグループワーク等、ユーザU1の活動内容に応じて、それらに適した空間又は環境を複数個所用意することで、ユーザU1の生産性を向上させることを狙うワークスタイルである。
【0089】
ところで、個室又は個人ブース等を用意することにより、ユーザU1が作業に集中しやすいスペースを提供することは可能である。しかしながら、複数のユーザU1が同じ空間に滞在するオープンスペースを有するオフィス3において、各ユーザU1が作業に集中しやすい環境を提供することは難しい。そこで、本願の発明者は、オフィス3においてユーザU1が作業に集中しやすくなるシステムを検討した。
【0090】
上記の[検証]の結果を踏まえて、実施の形態に係る環境制御システム100では、照明制御部11は、第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制御する。これにより、実施の形態に係る環境制御システム100では、ユーザU1が比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。具体的には、実施の形態に係る環境制御システム100では、複数のユーザU1が同じ空間に滞在するオープンスペースを有するオフィス3においても、各ユーザU1が滞在する作業空間4ごとに第1負荷61と第2負荷62との照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制
御すれば、各ユーザU1が作業に集中しやすい環境を提供することが可能である。
【0091】
(変形例)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0092】
実施の形態では、各作業空間4において、照明制御部11及び音響制御部12は、日中において照明負荷6及び音響装置7を制御してもよいし、夜間に照明負荷6及び音響装置7を制御してもよいし、日中及び夜間の両方において照明負荷6及び音響装置7を制御してもよい。なお、日中において照明負荷6を上記実施の形態のように制御することで、日中においてサーカディアンリズムを考慮して色温度(相関色温度)が比較的高くなるように照明負荷6のみを制御する場合と比較して、作業性及び快適性の両方の向上が図りやすい、という利点がある。
【0093】
実施の形態では、各作業空間4において、音響制御部12は、作業空間4の騒音レベルが40dB以上60dB未満となるように音響装置7を制御するのが好ましい。例えば、作業空間4の騒音レベルが60dB以上となるように音響装置7を制御した場合、ユーザU1は、音響装置7から再生される音が気になり、作業の妨げとなる可能性が高い。一方、この態様では、ユーザU1が作業を行う際に、音響装置7から再生される音が作業の妨げとなりにくい、という利点がある。
【0094】
実施の形態において、作業空間4が複数である場合、照明制御部11及び音響制御部12は、それぞれ複数の作業空間4の環境を互いに異ならせるように、複数の作業空間4の各々に割り当てられた照明負荷6及び音響装置7を制御してもよい。これにより、作業空間4ごとに環境を異ならせることが可能であり、作業空間4ごとに異なるゾーニング効果及び前述のアクティブゾーニングの効果が期待できる。
【0095】
また、上記の場合、複数の作業空間4のうちのいずれかの作業空間4において、照明制御部11は、照明負荷6の発する光の色温度が4000K以下となるように照明負荷6を制御し、かつ、音響制御部12は、作業空間4にジャズ又はボサノバに分類される音楽を再生するように音響装置7を制御してもよい。
【0096】
これにより、照明負荷6からの照明光のみが作業空間4に提供される場合と比較して、更なるリラックス効果が期待できる空間を提供することができる。なお、ジャズ又はボサノバに分類される音楽に代えて、例えばユーザU1の副交感神経が交感神経よりも優位になりやすい他の音楽であってもよい。
【0097】
さらに、上記の場合、複数の作業空間4のうちのいずれかの作業空間4において、照明制御部11は、作業空間4における作業領域41の中央の照度がそれ以外の部分の照度よりも高くなるように照明負荷6を制御し、かつ、音響制御部12は、作業空間4にホワイトノイズ又は自然環境音を再生するように音響装置7を制御してもよい。
【0098】
これにより、照明負荷6からの照明光のみが作業空間4に提供される場合と比較して、更に集中力を高める効果が期待できる空間を提供することができる。
【0099】
実施の形態では、環境制御システム100は、複数の作業空間4の各々の照明負荷6及び音響装置7を制御しているが、これに限られない。例えば、環境制御システム100は、1つの作業空間4の照明負荷6及び音響装置7のみを制御してもよい。
【0100】
実施の形態では、環境制御システム100は、1つのオフィス3を対象としているが、これに限らない。例えば、環境制御システム100は、複数のオフィス3を対象とし、オフィス3ごとに各作業空間4の照明負荷6及び音響装置7を制御してもよい。
【0101】
実施の形態において、環境制御システム100は、表示装置2を備えていなくてもよい。この場合、環境制御システム100は、例えば照明負荷6及び音響装置7の制御を実行するように、環境制御システム100の利用開始時点であらかじめ設定されていればよい。
【0102】
実施の形態では、照明負荷6は環境制御システム100の構成要素に含まれていないが、照明負荷6が環境制御システム100の構成要素に含まれていてもよい。同様に、実施の形態では、音響装置7は環境制御システム100の構成要素に含まれていないが、音響装置7が環境制御システム100の構成要素に含まれていてもよい。
【0103】
実施の形態では、オフィス3は複数の作業空間4を有しているが、これに限られない。例えば、オフィス3は、1つの作業空間4のみを有していてもよい。つまり、オフィス3全体が作業空間4であってもよい。
【0104】
また、例えば、上記実施の形態では、環境制御システム100は、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、環境制御システム100は、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。環境制御システム100が複数の装置によって実現される場合、環境制御システム100が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記実施の形態でサーバ装置が備える構成要素は、閉空間に設置された情報端末に備えられてもよい。つまり、本発明は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよいし、エッジコンピューティングによって実現されてもよい。
【0105】
例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0106】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0107】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0108】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0109】
例えば、本発明は、環境制御システム100等のコンピュータが実行する照明制御方法として実現されてもよいし、このような照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0110】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0111】
(まとめ)
以上述べたように、環境制御システム100は、照明制御部11を備える。照明制御部11は、作業空間4に設けられた照明負荷6の照度を制御する。照明負荷6は、拡散形の配光特性を有する第1負荷61と、集光形の配光特性を有する第2負荷62と、を有する。照明制御部11は、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度に対する、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度の照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制御する。
【0112】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0113】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、照度比が0.25以下となるように照明負荷6を制御する。
【0114】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が更に集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0115】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が750lx以上となるように照明負荷6を制御する。
【0116】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が更に集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0117】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が1000lx以上となるように照明負荷6を制御する。
【0118】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が更に集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0119】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が300lx以下となるように照明負荷6を制御する。
【0120】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が更に集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0121】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度が200lx以下となるように照明負荷6を制御する。
【0122】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が更に集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0123】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、照明負荷6の発する
光の色温度が3500K以上となるように照明負荷6を制御する。
【0124】
このような環境制御システム100によれば、作業空間4で作業を行うユーザU1の作業性の向上を図りやすい、という利点がある。
【0125】
また、例えば、環境制御システム100では、照明制御部11は、日中において照明負荷6を制御する。
【0126】
このような環境制御システム100によれば、日中においてサーカディアンリズムを考慮して色温度(相関色温度)が比較的高くなるように照明負荷6のみを制御する場合と比較して、作業性及び快適性の両方の向上が図りやすい、という利点がある。
【0127】
また、例えば、環境制御システム100は、作業空間4に設けられた音響装置7を制御する音響制御部12を更に備える。音響制御部12は、作業空間4に自然環境音及びホワイトノイズの少なくとも一方を再生するように音響装置7を制御する。
【0128】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が作業を行う際に、作業空間4における騒音が作業の妨げとなりにくい、という利点がある。
【0129】
また、例えば、環境制御システム100によれば、音響制御部12は、作業空間4に流水音を再生するように音響装置7を制御する。
【0130】
このような環境制御システム100によれば、作業空間4における騒音が更に作業の妨げになりにくいという利点がある。
【0131】
また、例えば、環境制御システム100では、音響制御部12は、作業空間4の騒音レベルが40dB以上60dB未満となるように音響装置7を制御する。
【0132】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が作業を行う際に、音響装置7から再生される音が作業の妨げとなりにくい、という利点がある。
【0133】
また、例えば、環境制御システム100は、照明制御部11の制御パラメータを表示する表示部21を有する表示装置2を更に備える。
【0134】
このような環境制御システム100によれば、権限者が制御内容を視覚的に把握しやすい、という利点がある。
【0135】
また、例えば、環境制御システム100では、表示装置2は、制御パラメータの設定入力を受け付ける入力受付部22を更に有する。表示部21は、入力受付部22で受け付け可能な制御パラメータの範囲を表示する。
【0136】
このような環境制御システム100によれば、権限者が作業空間4の環境を変更可能な範囲を視覚的に把握しやすいので、作業空間4の環境が許容範囲を超えて変更されにくい、という利点がある。
【0137】
また、例えば、環境制御システム100では、表示部21は、入力受付部22が第1負荷61及び第2負荷62のいずれか一方の制御パラメータの設定入力を受け付けると、一方の制御パラメータと連動して他方の制御パラメータを表示する。
【0138】
このような環境制御システム100によれば、権限者は、第1負荷61及び第2負荷6
2のいずれか一方の制御パラメータのみを設定すれば済むので、権限者の利便性が向上する、という利点がある。
【0139】
また、例えば、環境制御システム100は、作業空間4に設けられた音響装置7を制御する音響制御部12を更に備える。作業空間4は複数である。照明制御部11及び音響制御部12は、それぞれ複数の作業空間4の環境を互いに異ならせるように、複数の作業空間4の各々に割り当てられた照明負荷6及び音響装置7を制御する。
【0140】
このような環境制御システム100によれば、作業空間4ごとに異なる環境を提供することで、ユーザU1が所望する環境を選択しやすくなり、ユーザU1の利便性が向上しやすい、という利点がある。
【0141】
また、例えば、環境制御システム100では、複数の作業空間4のうちのいずれかの作業空間4において、照明制御部11は、照明負荷6の発する光の色温度が4000K以下となるように照明負荷6を制御する。音響制御部12は、作業空間4にジャズ又はボサノバに分類される音楽を再生するように音響装置7を制御する。
【0142】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が比較的リラックスしやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0143】
また、例えば、環境制御システム100では、複数の作業空間4のうちのいずれかの作業空間4において、照明制御部11は、作業空間4における作業領域41の中央の照度がそれ以外の部分の照度よりも高くなるように照明負荷6を制御する。音響制御部12は、作業空間4にホワイトノイズ又は自然環境音を再生するように音響装置7を制御する。
【0144】
このような環境制御システム100によれば、ユーザU1が比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0145】
また、例えば、環境制御方法は、照明制御ステップST1を含む。照明制御ステップST1では、作業空間4に設けられた照明負荷6の照度を制御する。照明負荷6は、拡散形の配光特性を有する第1負荷61と、集光形の配光特性を有する第2負荷62と、を有する。照明制御ステップST1では、第2負荷62を点灯させた場合における作業空間4の最大照度に対する、第1負荷61を点灯させた場合における作業空間4の最大照度の照度比が0.4以下となるように照明負荷6を制御する。
【0146】
このような環境制御方法によれば、ユーザU1が比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【0147】
また、例えば、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の環境制御方法を実行させる。
【0148】
このようなプログラムによれば、ユーザU1が比較的集中しやすい空間を提供することができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0149】
100 環境制御システム
11 照明制御部
12 音響制御部
2 表示装置
21 表示部
22 入力受付部
4 作業空間
41 作業領域
6 照明負荷
61 第1負荷
62 第2負荷
7 音響装置
ST1 照明制御ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10