(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】洗面台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20241108BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A47K1/00 V
E03C1/042 E
(21)【出願番号】P 2021091925
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2020215501
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 高志
(72)【発明者】
【氏名】安田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良和
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162212(JP,A)
【文献】実開昭53-73197(JP,U)
【文献】実開平7-27015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00-1/102
E03C 1/00-1/33
A47B 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターと、
前記カウンターの後部から上方に延びるバックガードと、
前記バックガードの前面に取り付けられる水栓ユニットと、
前記バックガードの前面に取り付けられる水栓装置と、を備える洗面台であって、
前記水栓ユニットは、
機能部材と、
前記バックガードに取り付けられる取付ベースと、
前記機能部材が取り付けられるユニットカバーと、を有し、
前記取付ベースは、
前記バックガードの取付部の上端面に載置される上横片と、
前記上横片の前端部から下方に延びて前記バックガードの前記前面に接触する前縦片と、を有し、
前記ユニットカバーは、前記取付ベースから前方に突出するように前記取付ベースに取り付けられ、前記ユニットカバーと前記取付ベースとで囲まれる収納空間に前記水栓装置及び前記機能部材が収納されている
洗面台。
【請求項2】
前記ユニットカバーは、前記機能部材が取り付けられた状態で、前記取付ベースに着脱可能に取り付けられる
請求項1に記載の洗面台。
【請求項3】
前記ユニットカバーは、
前壁と、
前記前壁の上部より後方に延びる上壁と、
前記前壁の下部より後方に延びる下壁と、を有し、
前記上壁の後端部に、基端部が下方に延びてかつ先端部が上方に延びるフック部が形成されており、
前記取付ベースは、前記前縦片の上部より前方に延びる前上横片を更に有し、
前記前上横片は、前後に離間して下方に延びる二つの溝部構成片及び前記溝部構成片の間で下方に向けて開放され前記フック部が挿入される溝部を有し、前記溝部に下方より挿入された前記フック部を中心として前記ユニットカバーが回転可能に構成される
請求項2に記載の洗面台。
【請求項4】
前記ユニットカバーは、前記前壁、前記上壁及び前記下壁を有するカバー本体と、前記カバー本体の左右方向中間部に取り付けられて前記収納空間を左右に仕切る仕切りと、を有し、
前記仕切りは、上辺の前記フック部及び前記溝部構成片に対応する位置に、前記フック部及び前記溝部構成片の形状に沿って前記フック部及び前記溝部構成片を収容する凹部を有する
請求項3に記載の洗面台。
【請求項5】
前記取付ベースは、前記前縦片の下部より前方に延びて、前記下壁が取り付けられる前下横片を更に有する
請求項3又は4に記載の洗面台。
【請求項6】
前記ユニットカバーは、前記前下横片に前記ユニットカバーの重量を支持させる支持片を有する
請求項5に記載の洗面台。
【請求項7】
前記ユニットカバーは、前記前壁、前記上壁及び前記下壁を有するカバー本体と、前記カバー本体の左右方向の端部に取り付けられて前記収納空間を閉塞するサイドキャップと、を有し、
前記支持片は前記サイドキャップに設けられている
請求項6に記載の洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台に関し、更に詳しくは、カウンターと、バックガードと、水栓ユニットと、を備えた洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗面化粧台が開示されている。この洗面化粧台は、洗面ボウルの後周壁の上面に水栓装置ボックス(水栓装置収納部)が載せられる。水栓装置ボックスには、吐水ヘッドや水栓ユニットが収納されており、取外し可能な前面パネルが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する洗面化粧台にあっては、水栓装置ボックスの内部に収納される機器は、後周壁よりも前方に突出せず、後周壁の前面よりも後方に位置するため、洗面化粧台の後周壁へ取り付ける必要があり、洗面化粧台への機器の取り付けがしにくいものであった。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、機能部材をバックガードに取り付ける必要がなく、機能部材の取り付けが容易な洗面台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の洗面台は、カウンターと、前記カウンターの後部から上方に延びるバックガードと、前記バックガードの前面に取り付けられる水栓ユニットと、前記バックガードの前面に取り付けられる水栓装置と、を備える。前記水栓ユニットは、機能部材と、前記バックガードに取り付けられる取付ベースと、前記機能部材が取り付けられるユニットカバーと、を有する。前記取付ベースは、前記バックガードの取付部の上端面に載置される上横片と、前記上横片の前端部から下方に延びて前記バックガードの前記前面に接触する前縦片と、を有する。前記ユニットカバーは、前記取付ベースから前方に突出するように前記取付ベースに取り付けられる。前記ユニットカバーと前記取付ベースとで囲まれる収納空間に前記水栓装置及び前記機能部材が収納されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る一形態の洗面台にあっては、機能部材をバックガードに取り付ける必要がなく、機能部材が取り付けられたユニットカバーを、バックガードに取り付けられた取付ベースに取り付けるだけでよいため、機能部材の洗面台への取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗面台の正面図である。
【
図2】
図2は、同上の洗面台のボウル部を中心とする部分の前斜め上方より見た斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上の洗面台に用いられるバックガードの前面に水栓装置及び取付ベースを取り付けた状態の前斜め下方より見た斜視図である。
図3Bは、同上の洗面台のバックガードの前面に水栓装置及び取付ベースを取り付けた状態の後斜め下方より見た斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の取付ベースの側面図である。
図4Bは、同上の取付ベースの前斜め下方より見た斜視図である。
【
図5】
図5Aは、同上の洗面台に用いられるユニットカバーの側面図である。
図5Bは、同上のユニットカバーの前斜め下方より見た斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の洗面台に用いられる水栓ユニット及び水栓装置の前斜め上方より見た分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のユニットカバーに用いられるサイドキャップの前斜め下方より見た斜視図である。
【
図8】
図8Aは、同上の洗面台に用いられる機能部材が取り付けられたユニットカバーの前斜め下方より見た斜視図である。
図8Bは、同上の機能部材が取り付けられたユニットカバーの後斜め下方より見た斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のユニットカバーの取付ベースへの取り付けを説明する断面図である。
【
図10】
図10は、同上のユニットカバーの取付ベースへの取り付けを説明する断面図である。
【
図11】
図11は、同上のユニットカバーの取付ベースへの取り付けを説明する断面図である。
【
図12】
図12は、同上のバックガード、取付ベース、ユニットカバー及び機能部材の取付状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る洗面台について、実施形態に基づいて説明する。なお、本開示に係る洗面台の実施形態は、下記実施形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
本実施形態に係る洗面台について、添付図面に基いて説明する。
【0011】
(1)洗面台
本実施形態に係る洗面台1は、
図1に示すように、鏡を有する洗面化粧台である。洗面台1は、下部キャビネット11と、ボウル部21(
図2参照)を有して下部キャビネット11の上側に配置されるカウンター2と、水栓ユニット4と、上部キャビネット12と、を備えている。
【0012】
(1.1)下部キャビネット
下部キャビネット11は、上面及び前面に開口を有する箱状に形成される。なお、以下の説明においては便宜上、洗面台1を基準として、設計上、使用者が洗面台1を使用する時に位置する方を前方とすると共に、その反対を後方とする。また、使用者が後方を見たときの左方を左方とすると共に、使用者が後方を見たときの右方を右方とし、左方と右方とをまとめて横方向とする。
【0013】
下部キャビネット11は、前面の開口を通して物品を内部に収納することができる。また、下部キャビネット11の内部には、配管が収納されてもよい。下部キャビネット11の前面の開口には、扉111が設けられる。下部キャビネット11は、その背面が部屋の壁面に沿うように、部屋の床面上に設置される。下部キャビネット11の上側には、下部キャビネット11の上面に形成された開口を覆うように、カウンター2が載置される。
【0014】
(1.2)カウンター
図2に示すように、カウンター2は、ボウル部21を有する。ボウル部21は、カウンター2の中央部に形成される。なお、ボウル部21は、カウンター2の略全面にわたって形成されてもよく、ボウル部21の形状は特に限定されない。カウンター2及びボウル部21は、樹脂により一体に形成される。カウンター2は、ボウル部21を含む。ボウル部21の底部には、排水口が形成される。カウンター2の後部からは、バックガード3が上方に延びている。
【0015】
(1.3)バックガード
バックガード3は、カウンター2の後端部の横方向の全長にわたって形成されている。
図3A及び
図3Bに示すように、バックガード3は、正面視矩形状をした前壁部31と、前壁部31の上端部から後方に延びる天壁部32と、前壁部31の左端部から後方に延びる左壁部33と、前壁部31の右端部から後方に延びる右壁部34と、を有している。前壁部31の前面が、バックガード3の前面を構成し、天壁部32の上面が、バックガード3の上端面を構成する。バックガード3は、樹脂により形成される。本実施形態では、バックガード3は、カウンター2と一体に形成される。
【0016】
(1.4)水栓装置
前壁部31には、水栓装置5が取り付けられるための開口が形成されている。開口として、前壁部31の左右方向中央部に第1開口が形成され、第1開口の右側に第2開口が形成されている。
【0017】
(1.4.1)吐水部
第1開口には、水栓装置5を構成する吐水部51が取り付けられる。吐水部51は、シャワーヘッド52、シャワーホース及びシャワーヘッド保持部材53を有する。シャワーヘッド保持部材53は、前壁部31の前面の第1開口の周縁部に取り付けられる取付プレート531と、前壁部31の背面の第1開口の周縁部に取り付けられるダクト部材532と、を有する。取付プレート531の前方より、ボルト533を、取付プレート531に形成された孔に挿通すると共に前壁部31を貫通して、ダクト部材532に形成されたねじ孔からなる固着孔534にねじ込むことにより、取付プレート531とダクト部材532とが前壁部31に取り付けられる。これにより、水栓装置5を構成する吐水部51が、バックガード3の前面に取り付けられる。
【0018】
シャワーホースは、後方よりダクト部材532及び第1開口を通って、前壁部31の前方に引き出される。シャワーホースの前端部に、シャワーヘッド52が取り付けられる。シャワーヘッド52は、基端部が第1開口に挿入されると共に先端部が前壁部31の前側に位置する状態で、シャワーヘッド保持部材53に保持される。また、シャワーヘッド52は、シャワーヘッド保持部材53に保持されている状態から、前方に引き出し可能である。
【0019】
(1.4.2)混合栓部
第2開口には、水栓装置5を構成する混合栓部50が取り付けられる。混合栓部50は、栓本体を有するカートリッジ54と、カートリッジ54に対して可動となるように設けられるレバー部55と、を有する。カートリッジ54は、ビス等によりバックガード3の前面に取り付けられる。カートリッジ54には、第2開口を通して、給水管及び給湯管が接続される。
【0020】
レバー部55は、栓本体を動かすためのもので、レバー部55の先端が前方に位置している状態で吐水され、レバー部55の先端が後方に位置している状態で止水される。また、レバー部55の先端の位置が前方にいく程、吐水量が多くなる。また、レバー部55の先端が横方向に移動可能であり、レバー部55の先端が横方向の一方へいく程、吐水温度が高くなる。更に、混合栓部50は、電子制御が可能である。
【0021】
(1.5)上部キャビネット
図1に示すように、バックガード3の上側には、上部キャビネット12が配置される。上部キャビネット12は、前面に開口を有する箱状に形成される。上部キャビネット12は、前面の開口を通して物品を内部に収納することができる。上部キャビネット12の前面の開口には、扉13が設けられる。本実施形態では、上部キャビネット12は、左右方向に並ぶ三個の独立したキャビネット14を有している。各キャビネット14の前面にそれぞれ扉13が設けられ、扉13には鏡15が設けられており、これらの鏡15により三面鏡として利用可能である。
【0022】
また、各キャビネット14の間には、前方を照らす照明装置16が配置されている。この照明装置16は、上下に延びる導光部材と、導光部材の一端より光を入射させる光源と、を有している。また、上部キャビネット12には、この照明装置16に給電するための電源装置17が設けられている。
【0023】
(2)水栓ユニット
図2に示すように、水栓ユニット4は、バックガード3の前面に取り付けられる。水栓ユニット4は、機能部材6と、取付ベース7(
図3A参照)と、ユニットカバー400と、を有する。
【0024】
(2.1)機能部材
機能部材6は、栓本体を有する混合栓部50を除く、様々な機能を付与するための部材である。本実施形態では、機能部材6として、水栓制御装置61、手元照明装置62、照明切替装置63及びコンセント部64が設けられている。
【0025】
水栓制御装置61は、水栓用非接触センサ及び制御部を有する。水栓用非接触センサは、非接触で人体を検知するいわゆる人感センサであり、赤外線式、光学式をはじめとする各種方式の様々な人感センサが適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。なお、人感センサは、人体以外の検知対象を検知してもよい。
【0026】
制御部は、水栓用非接触センサでの検知結果に基づいて、吐水部51からの吐水と止水とを切り替えるように、混合栓部50を制御する。例えば、手を水栓用非接触センサの検知範囲にかざしたりして、水栓用非接触センサが人体を検知している時に、吐水部51から吐水され、水栓用非接触センサが人体を検知しない時には、吐水部51から吐水されない。
【0027】
手元照明装置62は、下方に位置する手、ボウル部21を照らすものであり、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を有するものであるが、光源はLEDに限定されない。
【0028】
照明切替装置63は、照明用非接触センサ及び制御部を有する。照明用非接触センサは、人感センサであり、詳細な説明は省略する。なお、照明用非接触センサは、水栓用非接触センサと同様のセンサであってもよいし、水栓用非接触センサと異なるセンサであってもよい。
【0029】
制御部は、照明用非接触センサでの検知結果に基づいて、手元照明装置62の点灯と消灯とを切り替えるように、手元照明装置62を制御する。例えば、手を照明用非接触センサの検知範囲にかざしたりして、照明用非接触センサが人体を検知している時に、手元照明装置62が点灯し、照明用非接触センサが人体を検知しない時には、手元照明装置62が消灯する。
【0030】
また、照明切替装置63は、手元照明装置62の点灯と消灯とを切り替えるのではなく、上部キャビネット12に設けられている照明装置16の点灯と消灯とを切り替えるものであってもよい。更に、照明切替装置63は、上部キャビネット12に設けられている照明装置16と手元照明装置62の両方の点灯と消灯とを切り替えるものであってもよい。
【0031】
(2.2)取付ベース
図3A及び
図3Bに示すように、取付ベース7は、バックガード3の上端部に取り付けられる。なお、バックガード3の上端部は、天壁部32と、前壁部31、左壁部33及び右壁部34の上端部により構成される。
図4A及び
図4Bに示すように、取付ベース7は、上横片71と、前縦片72と、前上横片73と、前下横片74と、を有する。取付ベース7は、本実施形態ではアルミニウムの押出成形により形成される。取付ベース7は、押出成形により成形された後、防錆のためのアルマイト処理及びクリア塗装が施される。
【0032】
上横片71は、バックガード3の取付部の上端面(すなわち天壁部32の上面)に載置される部分である。本実施形態では、バックガード3の取付部は、前壁部31の上部及び天壁部32により構成される。上横片71の前端部から下方に向けて、前縦片72が延びる。前縦片72は、バックガード3の前面に接触する部分である。前縦片72には、バックガード3に固定されるための固着孔721が形成されている。前縦片72の上部より前方に向けて、前上横片73が延びる。本実施形態では、前上横片73は、前縦片72の上端部より前方に延びている。前上横片73は、前後に離間して下方に延びる二つの溝部構成片732と、溝部構成片732の間で下方に向けて開放され、後述するフック部821が挿入される溝部731を有する。後方側の溝部構成片732には、上方へ行くほど後方に位置する傾斜辺733が形成されている。
【0033】
前上横片73には、ユニットカバー400が取り付けられる。前縦片72の下部より前方に向けて、前下横片74が延びる。本実施形態では、前下横片74は、前縦片72の下端部より前方に延びている。前下横片74には、ユニットカバー400が取り付けられるもので、前下横片74には、ユニットカバー400が固定されるためのねじ孔70が形成されている。
【0034】
また、取付ベース7の左右方向の中間部には、前縦片72の上下方向中間部から前下横片74の前端部にかけて、バックガード3の前面に取り付けられる吐水部51及び混合栓部50を逃がすための切欠75が形成されている。
【0035】
(2.3)ユニットカバー
図2に示すように、ユニットカバー400は、取付ベース7から前方に突出するように、取付ベース7に取り付けられる。ユニットカバー400は、カバー本体8と、サイドキャップ41と、仕切り42と、を有する。カバー本体8には、機能部材6が取り付けられる。
図5A及び
図5Bに示すように、カバー本体8は、前壁81と、上壁82と、下壁83と、を有する。カバー本体8は、本実施形態ではアルミニウムの押出成形により形成される。カバー本体8は、押出成形により成形された後、防錆のためのアルマイト処理及びクリア塗装が施される。
【0036】
前壁81は、水栓ユニット4の前面を構成する。前壁81は、正面視矩形状をし、かつ、側面視において概ね上下方向に延びる板状をしているが、上端部は後方に向けて曲がっている。前壁81の上部より後方に向けて、上壁82が延びる。本実施形態では、上壁82は、前壁81の上端部より後方に延びている。上壁82は、平面視矩形状をし、かつ、側面視において概ね前後方向に延びる板状をしているが、前端部は下方に向けて曲がっている。前壁81と上壁82の境界は、特に明確でなくてもよく、この場合には境界は適宜決められる。上壁82の後端部に、基端部822が下方に延び、かつ、先端部823が上方に延びるフック部821が形成されている。
【0037】
前壁81の左右方向の略中央部には、水栓制御装置61が挿通する開口85が形成されている。また、前壁81の左端部には、コンセント部64が挿通する開口86が形成される。
【0038】
前壁81の下部より後方に向けて、下壁83が延びる。本実施形態では、下壁83は、前壁81の下端部より後方に延びている。下壁83は、平面視矩形状をし、かつ、側面視において概ね前後方向に延びる板状をしている。下壁83の左右方向の中間部には、バックガード3の前面に取り付けられる吐水部51及び混合栓部50を逃がすための切欠84が形成されている。
【0039】
下壁83の後端部には、取付ベース7の前下横片74に固定されるための固着孔80が形成されている。下壁83の切欠84の左側には、手元照明装置62が挿通する開口87及び手元照明装置62が固定されるための固着孔871が形成されている。また、下壁83の開口87及び固着孔871の左側には、照明切替装置63が挿通する開口88及び照明切替装置63が固定されるための固着孔881が形成されている。また、下壁83の上述した開口85に対応する部分には、水栓制御装置61が固定されるための固着孔851が形成されている。また、下壁83の左右両端部には、サイドキャップ41が固定されるための固着孔89が形成されている。
【0040】
(2.4)サイドキャップ
また、
図6に示すように、カバー本体8と取付ベース7の左右の側端部にはそれぞれ、サイドキャップ41が設けられる。サイドキャップ41は、例えばABS等の樹脂により形成される。サイドキャップ41は、耐薬性を有することが好ましい。サイドキャップ41は、カバー本体8の左右方向の端部に取り付けられて、収納空間40(
図12参照)を閉塞する。サイドキャップ41は、カバー本体8に取り付けられた時に収納空間40を向く面に、ねじ孔412を有する取付用突起411が形成される。取付ベース7、カバー本体8及びサイドキャップ41により、水栓ユニット4のカバー部が形成される。カバー部の内部に、水栓装置5及び機能部材6が収納される収納空間40が形成される。
【0041】
サイドキャップ41は、前下横片74にユニットカバー400の重量を支持させる支持片43を有する。
【0042】
(2.5)仕切り
図9に示すように、仕切り42は、カバー本体8の左右方向中間部に取り付けられて、収納空間40を左右に仕切る。仕切り42は、上辺のフック部821及び溝部構成片732に対応する位置に、フック部821及び溝部構成片732の形状に沿ってフック部821及び溝部構成片732を収容する凹部421を有する。凹部421の後端部には、上方へ行くほど後方に位置する傾斜辺422が形成されている。仕切り42の外周部には、パッキンが設けられるが、パッキンは特に必須の構成ではない。
【0043】
(3)水栓ユニットのバックガードへの取り付け
以下に、水栓ユニット4のバックガード3への取り付けについて説明する。
【0044】
(3.1)水栓装置のバックガードへの取り付け
図3A及び
図3Bに示すように、水栓装置5がバックガード3に取り付けられる。これにあたっては、上述したように、ボルト533やビス等により、混合栓部50及び吐水部51がバックガード3の前面に取り付けられる。
【0045】
(3.2)取付ベースのバックガードへの取り付け
取付ベース7は、前縦片72がバックガード3の前壁部31の前面に接触している状態で、前方よりボルト76が固着孔721及び前壁部31の孔に挿入され、ボルト76の先端部にナット77が嵌められて、取付ベース7がバックガード3に取り付けられる。
【0046】
(3.3)機能部材のユニットカバーへの取り付け
図8A及び
図8Bに示すように、カバー本体8に、機能部材6が取り付けられる。カバー本体8の前壁81に形成された開口85に、水栓制御装置61の前端部が挿入される。そして、下壁83に形成された固着孔851(
図5B参照)にビスからなる固着具852が挿入されて、水栓制御装置61に形成されたねじ孔にねじ込まれ、水栓制御装置61がカバー本体8に取り付けられる。
【0047】
また、カバー本体8の下壁83に形成された開口87に、手元照明装置62の下端部が挿入される。そして、下壁83に形成された固着孔871(
図5B参照)にビスからなる固着具872が挿入されて、手元照明装置62に形成されたねじ孔にねじ込まれ、手元照明装置62がカバー本体8に取り付けられる。
【0048】
また、下壁83に形成された開口88に、照明切替装置63の下端部が挿入される。そして、下壁83に形成された固着孔881(
図5B参照)にビスからなる固着具882が挿入されて、照明切替装置63に形成されたねじ孔にねじ込まれ、照明切替装置63がカバー本体8に取り付けられる。
【0049】
また、前壁81の開口86の周縁部が、コンセント部64の前側の部材と後側の部材とで挟持されて、コンセント部64がカバー本体8に取り付けられる。
【0050】
(3.4)サイドキャップの取付ベースへの取り付け
カバー本体8及び取付ベース7の左右の側端部に、サイドキャップ41が嵌め込まれ、カバー本体8の下壁83に形成された固着孔89を通してビスからなる固着具413がサイドキャップ41に形成されたねじ孔412にねじ込まれ、サイドキャップ41がカバー本体8に取り付けられる(
図11参照)。
【0051】
(3.5)ユニットカバーの取付ベースへの取り付け
機能部材6が取り付けられたカバー本体8は、取付ベース7に取り付けられる。
図9に示すように、カバー本体8の上壁82のフック部821の先端部823を、取付ベース7の前上横片73の溝部731に下方より挿入する。この時、仕切り42に凹部421が形成されていることにより、取付ベース7の後方側の溝部構成片732を凹部421に挿入させれば、フック部821の先端部823を容易に溝部731に挿入することができる。すなわち、このような凹部421を備えた仕切り42がユニットカバー400に設けられていない場合、フック部821の先端部823は、後方側の溝部構成片732よりも後方に入ってしまいやすいが、このような凹部421を備えた仕切り42により、凹部421がガイドとなり、フック部821の先端部823が溝部731に入りやすい。
【0052】
更に、本実施形態では、凹部421の後端部に、上方へ行くほど後方に位置する傾斜辺422が形成されている。これにより、取付ベース7の後方側の溝部構成片732を傾斜辺422に当てて、傾斜辺422でガイドさせることにより、より一層、フック部821の先端部823を溝部731に挿入しやすい。
【0053】
次に、
図11に示すように、溝部731に下方より挿入されたフック部821を中心として、ユニットカバー400の下端部を、後方に回転させる。そして、カバー本体8の下壁83が取付ベース7の前下横片74の下面に接触させるのであるが、この時、サイドキャップ41に設けられた支持片43が前下横片74上に載置され、ユニットカバー400の重量が前下横片74に支持される。これにより、作業者は、次のカバー本体8の取付ベース7への取り付け作業をするにあたり、手でユニットカバー400を支持しておく必要がなくなり、取り付け作業をしやすくなる。
【0054】
図10に示すように、仕切り42は、取付ベース7の切欠75が形成されている部分に位置する。仕切り42の後端辺の上側の部分は、取付ベース7の前縦片の切欠75よりも上側の部分にパッキンを介して接触し、仕切り42の後端辺の下側の部分は、切欠75を通ってバックガード3の前壁部31の前面に接触する。仕切り42は、フック部821及び溝部構成片732を含む取付ベース7、カバー本体8及びバックガード3の形に沿った外径をしているため、水栓装置5側から収納空間40の奥へ水が浸入するのがよく抑制される。
【0055】
そして、ビスからなる固着具800が下壁83の固着孔80(
図6参照)を通して前下横片74のねじ孔70(
図6参照)にねじ込まれ、下壁83が前下横片74に取り付けられる。これにより、カバー本体8が取付ベース7に取り付けられる。また、固着具800を外すことにより、容易にカバー本体8を取付ベース7から取り外すことができる。すなわち、カバー本体8は、取付ベース7に着脱可能に取り付けられる。
【0056】
(4)効果
以上のようにして、水栓ユニット4がバックガード3に取り付けられる。この洗面台1にあっては、機能部材6が取り付けられたカバー本体8を、バックガード3に取り付けられた取付ベース7に取り付けるだけでよい。このため、機能部材6をバックガード3に取り付ける必要がなく、機能部材6の洗面台1への取り付けが容易となる。
【0057】
また、カバー本体8は、取付ベース7に着脱可能に取り付けられるため、カバー本体8の取付ベース7への取り付け及び取り外しが容易となる。
【0058】
また、カバー本体8の上壁82にフック部821が形成され、取付ベース7の前上横片73に溝部731が形成されているため、上壁82のフック部821を前上横片73の溝部731に挿入するだけでよく、カバー本体8の取付ベース7への取り付け作業がしやすくなる。
【0059】
また、カバー本体8の上壁82を取付ベース7の前上横片73に取り付けると共に、カバー本体8の下壁83を取付ベース7の前下横片74に取り付けるため、バックガード3よりも前方においてカバー本体8の下壁83を取り付けることが可能となり、カバー本体8の取付ベース7への取り付け作業がしやすくなる。
【0060】
(5)変形例
カウンター2及びボウル部21は、一体に形成されなくてもよいし、樹脂により形成されなくてもよく、例えば無垢の木材や合板等の木質材により形成されてもよく、特に限定されない。
【0061】
バックガード3は、カウンター2と一体に形成されなくてもよいし、樹脂により形成されなくてもよく、例えば無垢の木材や合板等の木質材により形成されてもよく、特に限定されない。
【0062】
吐水部51は、シャワーヘッド52を有するものでなく、固定されたカランを有するものであってもよい。
【0063】
混合栓部50の代わりに、吐水、止水の切替え及び吐水量の調節を行うだけの温度調節が不能な水栓部が設けられてもよい。
【0064】
各キャビネット14の間に設けられる照明装置16は、導光部材を有するものでなくてもよい。上部キャビネット12には、電源装置17、内部コンセントは設けられなくてもよい。
【0065】
取付ベース7及びカバー本体8は、押出成形により形成されなくてもよいし、アルミニウムにより形成されなくてもよく、例えばSUSをはじめとする他の金属であってもよい。また、取付ベース7及びカバー本体8は、アルマイト処理及びクリア塗装が施されなくてもよい。
【0066】
前上横片73及び前下横片74は任意の構成であり、取付ベース7は、前上横片73及び前下横片74の一方又は両方を有しなくてもよい。
【0067】
サイドキャップ41は任意の構成であり、水栓ユニット4に設けられなくてもよい。この場合、カバー本体8と取付ベース7とで囲まれて側方に開口する空間が、収納空間40となる。
【0068】
仕切り42は任意の構成であり、水栓ユニット4に設けられなくてもよい。
【0069】
支持片43は、サイドキャップ41に設けられなくてもよい。支持片43は、例えばカバー本体8に設けられてもよく、ユニットカバー400に設けられればよい。
【0070】
水栓装置5のバックガード3への取り付け、取付ベース7のバックガード3への取り付け、及び、機能部材6のカバー本体8への取り付けの順序は、任意である。
【0071】
(まとめ)
以上、述べた本実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様の洗面台(1)は、カウンター(2)と、カウンター(2)の後部から上方に延びるバックガード(3)と、バックガード(3)の前面に取り付けられる水栓ユニット(4)と、バックガード(3)の前面に取り付けられる水栓装置(5)と、を備える。水栓ユニット(4)は、機能部材(6)と、バックガード(3)に取り付けられる取付ベース(7)と、機能部材(6)が取り付けられるユニットカバー(400)と、を有する。取付ベース(7)は、バックガード(3)の取付部の上端面に載置される上横片(71)と、上横片(71)の前端部から下方に延びてバックガード(3)の前面に接触する前縦片(72)と、を有する。ユニットカバー(400)は、取付ベース(7)から前方に突出するように取付ベース(7)に取り付けられる。ユニットカバー(400)と取付ベース(7)とで囲まれる収納空間(40)に水栓装置(5)及び機能部材(6)が収納されている。
【0072】
第1の態様によれば、機能部材(6)をバックガード(3)に取り付ける必要がなく、機能部材(6)が取り付けられたユニットカバー(400)を、バックガード(3)に取り付けられた取付ベース(7)に取り付けるだけでよいため、機能部材(6)の洗面台(1)への取り付けが容易となる。
【0073】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、ユニットカバー(400)は、機能部材(6)が取り付けられた状態で、取付ベース(7)に着脱可能に取り付けられる。
【0074】
第2の態様によれば、ユニットカバー(400)の取付ベース(7)への取り付け及び取り外しが容易となる。
【0075】
第3の態様は、第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、ユニットカバー(400)は、前壁(81)と、前壁(81)の上部より後方に延びる上壁(82)と、前壁(81)の下部より後方に延びる下壁(83)と、を有する。上壁(82)の後端部に、基端部(822)が下方に延びてかつ先端部(823)が上方に延びるフック部(821)が形成されている。取付ベース(7)は、前縦片(72)の上部より前方に延びる前上横片(73)を更に有する。前上横片(73)は、前後に離間して下方に延びる二つの溝部構成片(732)及び溝部構成片(732)の間で下方に向けて開放されフック部(821)が挿入される溝部(731)を有し、溝部(731)に下方より挿入されたフック部(821)を中心としてユニットカバー(400)が回転可能に構成される。
【0076】
第3の態様によれば、溝部(731)に下方より挿入されたフック部(821)を中心としてユニットカバー(400)が回転可能となるため、上壁(82)の前上横片(73)への取り付けが容易となる。
【0077】
第4の態様は、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、ユニットカバー(400)は、前壁(81)、上壁(82)及び下壁(83)を有するカバー本体(8)と、カバー本体(8)の左右方向中間部に取り付けられて収納空間(40)を左右に仕切る仕切り(42)と、を有する。
【0078】
仕切り(42)は、上辺のフック部(821)及び溝部構成片(732)に対応する位置に、フック部(821)及び溝部構成片(732)の形状に沿ってフック部(821)及び溝部構成片(732)を収容する凹部(421)を有する。
【0079】
第4の態様によれば、仕切り(42)が設けられたことにより、水栓装置(5)側から収納空間(40)の奥へ水が浸入するのが抑制される。
【0080】
第5の態様は、第3又は第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、取付ベース(7)は、前縦片(72)の下部より前方に延びて、下壁(83)が取り付けられる前下横片(74)を更に有する。
【0081】
第5の態様によれば、バックガード(3)よりも前方においてユニットカバー(400)の下壁(83)を取り付けることが可能となり、ユニットカバー(400)の取付ベース(7)への取り付け作業がしやすくなる。
【0082】
第6の態様は、第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、ユニットカバー(400)は、前下横片(74)にユニットカバー(400)の重量を支持させる支持片(43)を有する。
【0083】
第6の態様によれば、作業者は、カバー本体(8)の取付ベース(7)への取り付け作業をするにあたり、手でユニットカバー(400)を支持しておく必要がなくなり、取り付け作業をしやすくなる。
【0084】
第7の態様は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、ユニットカバー(400)は、前壁(81)、上壁(82)及び下壁(83)を有するカバー本体(8)と、カバー本体(8)の左右方向の端部に取り付けられて収納空間(40)を閉塞するサイドキャップ(41)と、を有する。支持片(43)はサイドキャップ(41)に設けられている。
【0085】
第7の態様によれば、サイドキャップ(41)に支持片(43)を形成すればよく、ユニットカバー(400)に支持片(43)を形成しやすい。
【符号の説明】
【0086】
1 洗面台
2 カウンター
3 バックガード
4 水栓ユニット
40 収納空間
400 ユニットカバー
41 サイドキャップ
42 仕切り
421 凹部
43 支持片
5 水栓装置
6 機能部材
7 取付ベース
71 上横片
72 前縦片
73 前上横片
731 溝部
732 溝部構成片
74 前下横片
8 カバー本体
81 前壁
82 上壁
821 フック部
822 基端部
823 先端部
83 下壁