IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図1
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図2
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図3
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図4
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図5
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図6
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図7
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図8
  • 特許-移動体用電源システム、飛行体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】移動体用電源システム、飛行体
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241108BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20241108BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241108BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
B64C27/08
B64D27/24
H01M10/44 P
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021558231
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039436
(87)【国際公開番号】W WO2021100391
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2019210530
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 綾佑
(72)【発明者】
【氏名】武田 睦彦
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222031(JP,A)
【文献】特開2016-024162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
H01M10/42-10/48
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された複数のモータを駆動する複数のモータ駆動部に、それぞれ電流を供給する複数の蓄電パックと、
前記複数のモータ駆動部と前記複数の蓄電パック間を接続する複数の第1電流経路の少なくとも1つに電流を供給、または前記複数の第1電流経路の少なくとも1つから電流を吸収可能な予備蓄電パックと、
前記複数の第1電流経路と前記予備蓄電パック間を接続する複数の第2電流経路上に、それぞれ挿入された複数の第1スイッチと、
前記複数の第1電流経路上において、前記複数の第2電流経路が接続される複数の接続点と、前記複数の蓄電パック間にそれぞれ挿入された複数の第2スイッチと、
前記複数の第1スイッチ及び前記複数の第2スイッチを制御して、前記複数の蓄電パック間の容量のバランスを調整可能な制御部と、
を備えることを特徴とする移動体用電源システム。
【請求項2】
前記予備蓄電パックの容量は、前記複数の蓄電パックの容量より少ないことを特徴とする請求項1に記載の移動体用電源システム。
【請求項3】
前記移動体の移動中、前記複数のモータの消費電力にバラツキが発生している場合、前記制御部は、消費電力が他のモータより大きいモータに繋がる第2電流経路に挿入された前記第1スイッチをオン状態に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体用電源システム。
【請求項4】
前記移動体の停止中、前記制御部は、前記複数の蓄電パック間の容量をアクティブバランス方式で均等化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
【請求項5】
前記複数の第2電流経路は結合されて前記予備蓄電パックと接続され、
前記移動体用電源システムは、
前記複数の第2電流経路の結合点と、前記予備蓄電パックとの間にDC/DCコンバータをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
【請求項6】
前記複数の第2電流経路は結合されて前記予備蓄電パックと接続され、
前記複数の第2電流経路の結合点と前記予備蓄電パックとの間の経路上に、外部充電器からの充電経路が接続されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
【請求項7】
複数のプロペラと、
前記複数のプロペラをそれぞれ回転させる複数のモータと、
前記複数のモータをそれぞれ駆動する複数のモータ駆動部と、
前記複数のモータ駆動部に、それぞれ電流を供給する複数の蓄電パックと、
前記複数のモータ駆動部と前記複数の蓄電パック間を接続する複数の第1電流経路の少なくとも1つに電流を供給、または前記複数の第1電流経路の少なくとも1つから電流を吸収可能な予備蓄電パックと、
前記複数の第1電流経路と前記予備蓄電パック間を接続する複数の第2電流経路上に、それぞれ挿入された複数の第1スイッチと、
前記複数の第1電流経路上において、前記複数の第2電流経路が接続される複数の接続点と、前記複数の蓄電パック間にそれぞれ挿入された複数の第2スイッチと、
前記複数の第1スイッチ及び前記複数の第2スイッチを制御して、前記複数の蓄電パック間の容量のバランスを調整可能な制御部と、
を備えることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモータを備える移動体に搭載される移動体用電源システム、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンなどに代表される複数のモータを持つ飛行体に複数の電池パックを搭載し(例えば、特許文献1参照)、複数のモータと複数の電池パックを1対1に紐付けて接続する方式を採用した場合、複数のモータ間の負荷のバラツキにより、複数の電池パック間の残容量(SOC:State Of Charge)にバラツキが生じる。この場合、1つの電池パックのSOCが0%になった時点で、他の電池パックのSOCが0%になっていなくても、飛行を継続することができなくなる。即ち、他の電池パックのエネルギーを有効活用することができなくなる。これは、複数の電池パックの全エネルギーで本来飛行できる飛行可能距離より、実際の飛行距離が短くなることを意味する。
【0003】
また複数のモータ間の負荷のバラツキにより、複数の電池パック間の充放電レートや放電深度にもバラツキが生じ、劣化状態(SOH:State Of Health)の進行度にもバラツキが生じる。SOHが低下した電池パックの満充電容量(FCC:Full Charge Capacity)は、他の電池パックのFCCよりも少なくなるため、飛行可能距離の減少がより加速することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-222031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数のモータを備える移動体に搭載される複数の蓄電パックの容量を有効活用する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の移動体用電源システムは、移動体に搭載された複数のモータを駆動する複数のモータ駆動部に、それぞれ電流を供給する複数の蓄電パックと、前記複数のモータ駆動部と前記複数の蓄電パック間を接続する複数の第1電流経路の少なくとも1つに電流を供給、または前記複数の第1電流経路の少なくとも1つから電流を吸収可能な予備蓄電パックと、前記複数の第1電流経路と前記予備蓄電パック間を接続する複数の第2電流経路上に、それぞれ挿入された複数の第1スイッチと、前記複数の第1電流経路上において、前記複数の第2電流経路が接続される複数の接続点と、前記複数の蓄電パック間にそれぞれ挿入された複数の第2スイッチと、前記複数の第1スイッチ及び前記複数の第2スイッチを制御して、前記複数の蓄電パック間の容量のバランスを調整可能な制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数のモータを備える移動体に搭載される複数の蓄電パックの容量を有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)、(b)は、実施の形態に係る電源システムを搭載した飛行体を概略的に描いた模式図である。
図2】実施の形態に係る電源システムを搭載した飛行体の機能ブロック図である。
図3】飛行体に搭載される蓄電パックの内部構成例を示す図である。
図4】飛行体に搭載される8個の蓄電パックの充電時の接続状態を示す図である。
図5】飛行体の飛行中における電源システムの状態の一例を示す図である。
図6】飛行体が駐機中における第1蓄電パック-第8蓄電パック間の容量の均等化処理の一例を説明するための図である(その1)。
図7】飛行体が駐機中における第1蓄電パック-第8蓄電パック間の容量の均等化処理の一例を説明するための図である(その2)。
図8】飛行体が駐機中における第1蓄電パック-第8蓄電パック間の容量の均等化処理の一例を説明するための図である(その3)。
図9】実施の形態に係る電源システムを搭載した、インホイールモータ方式の電動車両の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)、(b)は、実施の形態に係る電源システムを搭載した飛行体1を概略的に描いた模式図である。図1(a)は飛行体1を上から見た上面図であり、図1(b)は飛行体1を正面から見た正面図である。実施の形態に係る飛行体1は、空中撮影や農薬散布などに使用される無人ドローンであってもよいし、胴体部2に人間を搭乗させることができる有人ドローンであってもよい。
【0010】
図1(a)、(b)に示す飛行体1は、8個のプロペラ11-18を備える。胴体部2に4本のアームが対角線状に設置され、各アームの先端にそれぞれ2個のプロペラが、垂直方向の上下に設置される。
【0011】
図2は、実施の形態に係る電源システムを搭載した飛行体1の機能ブロック図である。飛行体1は、8個のプロペラ11-18、8個のモータ21-28、8個のモータ駆動部31-38、機体制御部40、センサ41、及び電源システムを備える。
【0012】
8個のモータ21-28は、8個のプロペラ11-18の回転軸にそれぞれ接続される。8個のモータ駆動部31-38は、8個のモータ21-28をそれぞれ駆動する。8個のモータ駆動部31-38はそれぞれインバータを含む。各インバータは、各蓄電パックから供給される直流電流を、機体制御部40から指定される指令値に応じた交流電流に変換して各モータに供給する。8個のモータ21-28は、8個のモータ駆動部31-38からそれぞれ供給される交流電流に応じた回転数で、8個のプロペラ11-18をそれぞれ回転させる。
【0013】
機体制御部40はマイクロコンピュータ及び不揮発メモリ(例えば、EEPROM(ElectricallyErasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ)により構成することができる。センサ41は、飛行体1に搭載される各種センサの総称である。例えばセンサ41として、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ、超音波センサ、磁気方位センサ、GPS(Global Positioning System)センサが搭載される。
【0014】
ジャイロセンサは、飛行体1の角速度を検出して機体制御部40に出力する。加速度センサは、飛行体1の加速度を検出して機体制御部40に出力する。機体制御部40は、入力される角速度と加速度をもとに、飛行体1の姿勢と速度を推定する。気圧センサは、飛行体1が位置する地点の気圧を検出して機体制御部40に出力する。超音波センサは、放射した超音波の反射波を受信し、機体制御部40に出力する。機体制御部40は、入力される気圧と超音波の反射波をもとに飛行体1の高度を推定する。
【0015】
磁気方位センサは、地磁気をもとに方位を検出して機体制御部40に出力する。機体制御部40は、入力される方位をもとに飛行体1の進行方向を推定する。GPSセンサは、複数のGPS衛星から、それぞれの発信時刻を含む電波をそれぞれ受信し、受信した複数の電波にそれぞれ含まれる複数の発信時刻をもとに受信地点の緯度経度を検出し、機体制御部40に出力する。機体制御部40は、入力される緯度経度をもとに、飛行体1の現在位置を推定する。
【0016】
機体制御部40は、所定の機体制御プログラム、センサ41から入力される検出情報、及び胴体部2に搭乗しているドライバの操作情報をもとに、8個のモータ21-28のそれぞれの回転数を決定する。なお、無人ドローンの場合、胴体部2に搭乗しているドライバの操作情報の代わりに、遠隔送信される操作情報、及び所定の自動飛行プログラムの少なくとも一方が使用される。
【0017】
機体制御部40は、決定した8個のモータ21-28のそれぞれの回転数をもとに、8個のモータ駆動部31-38のそれぞれに設定する指令値を生成する。機体制御部40と8個のモータ駆動部31-38のそれぞれとの間は信号線(不図示)で接続されている。機体制御部40は、生成した指令値をそれぞれの信号線を介して8個のモータ駆動部31-38のそれぞれに供給する。なお信号線を設けずに、機体制御部40から無線で指令値を8個のモータ駆動部31-38のそれぞれに伝達してもよい。
【0018】
機体制御部40は、飛行体1をいずれかの方向に移動させる場合、進行方向のモータの回転数を低下させ、進行方向と反対方向のモータの回転数を上昇させる。この制御により、飛行体1が前傾姿勢になり、飛行体1が進行方向に移動することができる。
【0019】
また、飛行体1は隣接するモータの回転方向が逆方向になっている。機体制御部40は、飛行体1をいずれかの方向に回転させる場合、回転させる方向と同方向に回転しているモータの回転数に対して回転させる方向と逆方向に回転しているモータの回転数を増やす。この制御により、飛行体1に回転させる方向の回転力が発生し、飛行体1が回転方向に回転する。
【0020】
飛行体1に搭載される電源システムは、8個の蓄電パック51-58、予備蓄電パック59、8個の第1スイッチS11-S18、8個の第2スイッチS21-S28、DC/DCコンバータ60、及び電源制御部70を有する。
【0021】
8個の蓄電パック51-58は、8個のモータ駆動部31-38に、それぞれ電流を供給するための電源装置である。予備蓄電パック59は、8個のモータ駆動部31-38と8個の蓄電パック51-58間を接続する8本の第1電流経路に電流を供給、又は8本の第1電流経路から電流を吸収可能な補助電源装置である。
【0022】
8個の第1スイッチS11-S18は、8本の第1電流経路と予備蓄電パック59間を接続する8本の第2電流経路上に、それぞれ挿入される。予備蓄電パック59は、8個の第1スイッチS11-S18を介して、8本の第1電流経路の任意の電流経路と導通することができる。8個の第2スイッチS21-S28は、8本の第1電流経路上において、8本の第2電流経路が接続される8個の接続点N1-N8と、8個の蓄電パック51-58間にそれぞれ挿入される。第1スイッチS11-S18及び第2スイッチS21-S28は、リレーで構成されてもよいし、半導体スイッチで構成されてもよい。
【0023】
8本の第2電流経路の予備蓄電パック59側の先端が1本に結合される。その結合点N9と予備蓄電パック59との間にDC/DCコンバータ60が接続される。DC/DCコンバータ60は双方向DC/DCコンバータであり、予備蓄電パック59に充電される際の充電電圧または充電電流、及び予備蓄電パック59から放電される際の放電電圧または放電電流を制御することができる。結合点N9には、充電口P1に接続される充電経路も接続される。
【0024】
電源制御部70はマイクロコンピュータ及び不揮発メモリにより構成することができる。電源制御部70と、8個の蓄電パック51-58とは通信線71で接続される。電源制御部70は、8個の第1スイッチS11-S18及び8個の第2スイッチS21-S28を制御して、8個の蓄電パック51-58間の容量のバランスを調整することができる。
【0025】
図3は、飛行体1に搭載される蓄電パック51の内部構成例を示す図である。蓄電パック51は、蓄電モジュール511及び制御基板512を含む。蓄電モジュール511は、直列接続された複数のセルE1-Enを含む。なお蓄電モジュール511は、複数の蓄電モジュールが直列/直並列接続されて構成されていてもよい。セルには、リチウムイオン電池セル、ニッケル水素電池セル、鉛電池セル、電気二重層キャパシタセル、リチウムイオンキャパシタセル等を用いることができる。以下、本明細書ではリチウムイオン電池セル(公称電圧:3.6-3.7V)を使用する例を想定する。セルE1-Enの直列数は、モータ21の駆動電圧に応じて決定される。
【0026】
複数のセルE1-Enと直列にシャント抵抗Rsが接続される。シャント抵抗Rsは電流検出素子として機能する。なおシャント抵抗Rsの代わりにホール素子を用いてもよい。蓄電モジュール511内に、複数のセルE1-Enの温度を検出するための温度センサT1(例えば、サーミスタ)が設置される。なお、温度センサT1は複数設置されてもよい。
【0027】
制御基板512には、電圧計測部513、温度計測部514、電流計測部515及び管理部516が設けられる。電圧計測部513と、直列接続された複数のセルE1-Enの各ノードとの間は複数の電圧計測線で接続される。電圧計測部513は、隣接する2本の電圧計測線間の電圧をそれぞれ計測することにより、各セルE1-Enの電圧を計測する。電圧計測部513は、計測した各セルE1-Enの電圧を管理部516に送信する。
【0028】
電圧計測部513は管理部516に対して高圧であるため、電圧計測部513と管理部516間は絶縁された状態で、通信線で接続される。電圧計測部513は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)または汎用のアナログフロントエンドICで構成することができる。電圧計測部513はマルチプレクサ及びA/D変換器を含む。マルチプレクサは、隣接する2本の電圧計測線間の電圧を上から順番にA/D変換器に出力する。A/D変換器は、マルチプレクサから入力されるアナログ電圧をデジタル値に変換する。
【0029】
温度計測部514は分圧抵抗およびA/D変換器を含む。A/D変換器は、温度センサT1と分圧抵抗により分圧されたアナログ電圧をデジタル値に変換して管理部516に出力する。管理部516は当該デジタル値をもとに複数のセルE1-Enの温度を推定する。
【0030】
電流計測部515は差動アンプ及びA/D変換器を含む。差動アンプはシャント抵抗Rsの両端電圧を増幅してA/D変換器に出力する。A/D変換器は、差動アンプから入力されるアナログ電圧をデジタル値に変換して管理部516に出力する。管理部516は当該デジタル値をもとに複数のセルE1-Enに流れる電流を推定する。
【0031】
なお管理部516内にA/D変換器が搭載されており、管理部516にアナログ入力ポートが設置されている場合、温度計測部514及び電流計測部515はアナログ電圧を管理部516に出力し、管理部516内のA/D変換器でデジタル値に変換してもよい。
【0032】
管理部516はマイクロコンピュータ及び不揮発メモリにより構成することができる。管理部516は、電圧計測部513、温度計測部514及び電流計測部515により計測された複数のセルE1-Enの電圧、温度、及び電流をもとに複数のセルE1-Enの状態を管理する。
【0033】
管理部516は、複数のセルE1-EnのそれぞれのSOC及びSOHを推定することができる。管理部516は、OCV(Open Circuit Voltage)法、又は電流積算法によりSOCを推定することができる。
【0034】
SOHは、初期のFCCに対する現在のFCCの比率で規定され、数値が低いほど(0%に近いほど)劣化が進行していることを示す。SOHは、完全充放電による容量計測により求めてもよいし、保存劣化とサイクル劣化を合算することにより求めてもよい。保存劣化はSOC、温度、及び保存劣化速度をもとに推定することができる。サイクル劣化は、使用するSOC範囲、温度、電流レート、及びサイクル劣化速度をもとに推定することができる。保存劣化速度およびサイクル劣化速度は、予め実験やシミュレーションにより導出することができる。SOC、温度、SOC範囲、及び電流レートは計測により求めることができる。
【0035】
またSOHは、セルの内部抵抗との相関関係をもとに推定することもできる。内部抵抗は、セルに所定の電流を所定時間流した際に発生する電圧降下を、当該電流値で割ることにより推定することができる。内部抵抗は温度が上がるほど低下する関係にあり、SOHが低下するほど増加する関係にある。
【0036】
蓄電パック51は、外部端子として、蓄電モジュール511の正極に接続された正極端子+、蓄電モジュール511の負極に接続された負極端子-、及び制御基板512に接続された制御端子CNTを備える。制御端子CNTに通信線71が接続される。管理部516は通信線71を介して所定の期間ごとに、複数のセルE1-Enの監視データを電源制御部70に送信する。監視データとして複数のセルE1-Enの電圧、温度、及び電流を送信する。なおSOC及びSOHに関しては、管理部516がSOC及びSOHを推定して電源制御部70に送信してもよいし、電源制御部70が受信した電圧、温度、及び電流をもとに推定してもよい。
【0037】
8個の蓄電パック51-58と電源制御部70間の通信プロトコルには、例えば、RS-485、TCP/IP、CAN(Controller Area Network)等を使用することができる。なお、8個の蓄電パック51-58と電源制御部70間は、無線通信で接続されてもよいし、電力線通信で接続されてもよい。
【0038】
図4は、飛行体1に搭載される8個の蓄電パック51-58の充電時の接続状態を示す図である。充電口P1に充電ケーブル4aを差し込むことにより、外部に設置された充電器4から8個の蓄電パック51-58及び予備蓄電パック59を充電することができる。本実施の形態では充電器4として、商用電力系統5から供給される3相交流電力を直流電力に変換する電力変換機能を有する急速充電器を想定する。充電器4は、商用電力系統5から供給される交流電力を全波整流し、フィルタで平滑化することにより直流電力を生成する。
【0039】
第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の充電を開始する前に、電源制御部70は突入電流を防止するために、DC/DCコンバータ60を制御して予備蓄電パック59を充電する。その後、電源制御部70は、第1.1スイッチS11及び第2.1スイッチS21をターンオンして充電器4から第1蓄電パック51を充電する。その際、予備蓄電パック59は充電電圧の平滑化容量として作用する。
【0040】
第1蓄電パック51の充電が完了すると、電源制御部70は第1.1スイッチS11及び第2.1スイッチS21をターンオフし、次に第1.2スイッチS12及び第2.2スイッチS22をターンオンして充電器4から第2蓄電パック52を充電する。以下同様に、第8蓄電パック58まで順番に充電する。
【0041】
なお電源制御部70は、第1.1スイッチS11-第1.8スイッチS18及び第2.1スイッチS21-第2.8スイッチS28を全てオン状態に制御して、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58を同時に充電してもよい。また2個ずつ順番に充電してもよいし、4個ずつ順番に充電してもよい。同時に充電可能な蓄電パックの数は、電源システムの各部品の仕様に依存する。
【0042】
なお充電器4が普通充電器の場合、一般的に単相100/200Vの交流電力で充電される。交流で充電される場合、結合点N9と充電口P1間の電流経路に、AC/DCコンバータ(不図示)が挿入される。AC/DCコンバータは、充電器4から入力される交流電力を直流電力に変換して、結合点N9に向けて出力する。
【0043】
図5は、飛行体1の飛行中における電源システムの状態の一例を示す図である。上述したように飛行体1が前進する場合、第1モータ21-第4モータ24の回転数より、第5モータ25-第8モータ28の回転数を上げる必要がある。また飛行体1が左前方に進む場合、第1モータ21-第6モータ26の回転数より、第7モータ27-第8モータ28の回転数を上げる必要がある。
【0044】
図5は、飛行体1が左前方に進む場合における電源システムの状態の一例を示している。飛行体1が左前方に進む場合、第7モータ27-第8モータ28の回転数を上げる必要があるため、第7モータ27-第8モータ28の消費電力が、第1モータ21-第6モータ26の消費電力より大きくなる。即ち、第7モータ27-第8モータ28の負荷が、第1モータ21-第6モータ26の負荷より大きくなる。この場合、第7蓄電パック57-第8蓄電パック58のSOCが、第1蓄電パック51-第6蓄電パック56のSOCより早く低下することになる。
【0045】
図5に示す例では、電源制御部70は、消費電力が第1モータ21-第6モータ26より大きい第7モータ27-第8モータ28に繋がる第2電流経路に挿入された第1.7スイッチS17-第1.8スイッチS18をオン状態に制御し、第1モータ21-第6モータ26に繋がる第2電流経路に挿入された第1.1スイッチS11-第1.6スイッチS16をオフ状態に維持する。これにより、第7モータ27-第8モータ28にのみ予備蓄電パック59から補助電流が供給され、第7蓄電パック57-第8蓄電パック58のSOCの低下が緩和される。
【0046】
以下、消費電力が他より大きいモータに繋がる第2電流経路に挿入された第1スイッチのオン/オフ制御を具体的に説明する。基本的に以下の処理は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の消費電力のバラツキが所定値を超えている状態において実行される。
【0047】
電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58から受信される第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の各電流値をもとに、電流値が他より大きい、少なくとも1つの蓄電パックを特定する。電源制御部70は、特定した蓄電パックの超過電流値を算出する。図5に示す例では電源制御部70は、第7蓄電パック57の超過電流値と第8蓄電パック58の超過電流値を合計して、全体の超過電流値を算出する。電源制御部70は、DC/DCコンバータ60の出力電流値が当該超過電流値となるように、DC/DCコンバータ60の電流指令値を決定する。電源制御部70は、決定した電流指令値をDC/DCコンバータ60に設定してDC/DCコンバータ60を稼働させるとともに、第1.7スイッチS17-第1.8スイッチS18をターンオンする。電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の各電流値のバラツキが所定値以内に収まると、DC/DCコンバータ60を停止させるとともに、第1.7スイッチS17-第1.8スイッチS18をターンオフする。
【0048】
また電源制御部70は次のように第1スイッチのオン/オフ制御を実行してもよい。電源制御部70は、機体制御部40から第1モータ21-第8モータ28の各回転数を取得する。電源制御部70は、取得した各回転数をもとに、回転数が他より大きい、少なくとも1つの蓄電パックを特定する。電源制御部70は、特定した蓄電パックの超過回転数に応じた超過電流値を算出する。図5に示す例では電源制御部70は、第7蓄電パック57の超過電流値と第8蓄電パック58の超過電流値を合計して、全体の超過電流値を算出する。以下、上記の処理と同様となる。
【0049】
また電源制御部70は次のように第1スイッチのオン/オフ制御を実行してもよい。電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58から受信される各電圧値をもとに、電圧値が他より小さい、少なくとも1つの蓄電パックを特定する。電源制御部70は、DC/DCコンバータ60の出力電圧値が、特定した蓄電パックの電圧値より高くなるように、DC/DCコンバータ60の電圧指令値を決定する。電源制御部70は、決定した電圧指令値をDC/DCコンバータ60に設定してDC/DCコンバータ60を稼働させるとともに、第1.7スイッチS17-第1.8スイッチS18をターンオンする。電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の電圧値またはSOCのバラツキが所定値以内に収まると、DC/DCコンバータ60を停止させるとともに、第1.7スイッチS17-第1.8スイッチS18をターンオフする。
【0050】
図6図8は、飛行体1が駐機中における第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間の容量の均等化処理の一例を説明するための図である。この例では、充電器4が存在しない場所に、飛行体1が一時駐機した状態を想定している。飛行体1の一時駐機中、電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間の容量をアクティブバランス方式で均等化させる。
【0051】
例えば電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58から受信した第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の電圧の平均値を算出し、算出した平均値を均等化目標電圧(以下、単に目標電圧という)に設定する。
【0052】
電源制御部70は、目標電圧より電圧が高い蓄電パック(図6では第1蓄電パック51)から、目標電圧より電圧が低い蓄電パック(図6では第3蓄電パック53)へエネルギーを移動させる。まず図7に示すように電源制御部70は、第1.1スイッチS11及び第2.1スイッチS21をオン状態に制御して、第1蓄電パック51の電圧が目標電圧に低下するまで、第1蓄電パック51から予備蓄電パック59を充電する。第1蓄電パック51の電圧が予備蓄電パック59の電圧より低い場合、電源制御部70は、DC/DCコンバータ60を制御して第1蓄電パック51の電圧を昇圧する。
【0053】
次に図8に示すように電源制御部70は、第1.3スイッチS13及び第2.3スイッチS23をオン状態に制御して、第3蓄電パック53の電圧が目標電圧に上昇するまで、予備蓄電パック59から第3蓄電パック53を充電する。予備蓄電パック59の電圧が第3蓄電パック53の電圧より低い場合、電源制御部70は、DC/DCコンバータ60を制御して予備蓄電パック59の電圧を昇圧する。
【0054】
電源制御部70は、以上の処理を第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の電圧が全て均等化されるまで繰り返し実行する。以上の説明では、均等化目標値として電圧を使用する例を説明したが、電圧の代わりに、SOC、実容量、放電可能容量、または充電可能容量を使用してもよい。
【0055】
電源制御部70は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間に実質的な容量のバラツキがない場合でも、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58のSOCが設定値以下に低下している場合、予備蓄電パック59から第1蓄電パック51-第8蓄電パック58を充電してもよい。
【0056】
ところで第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の少なくとも1つに不具合が発生する場合がある。不具合が発生した蓄電パックから、対応するモータへの電流供給が停止すると、飛行体1の姿勢制御が困難になる。これに対して電源制御部70は、不具合が発生した蓄電パックに繋がる第1電流経路に挿入された第2スイッチをオフ状態に、当該蓄電パックに繋がる第2電流経路に挿入された第1スイッチをオン状態に制御する。これにより、予備蓄電パック59から当該モータへの電流供給を継続することができる。即ち、予備蓄電パック59が、不具合が発生した蓄電パックを代替する蓄電パックとして機能する。
【0057】
本実施の形態では、予備蓄電パック59の定格出力は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の定格出力に対応する値に設計される。上述したように予備蓄電パック59は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の少なくとも1つの代替として使用されることがあるため、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58と同等の出力性能を有していることが求められる。
【0058】
予備蓄電パック59の容量は、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の容量より少なく設計される。バックアップ容量の確保、及びバッファ領域の確保の観点からは、予備蓄電パック59の容量が多いほうが望ましい。しかしながら、予備蓄電パック59の容量が大きくなると、予備蓄電パック59が重くなり飛行体1の電費を低下させる要因となる。本実施の形態では飛行体1の電費を優先して、予備蓄電パック59の容量が第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の容量より少なく設計されている。
【0059】
以上説明したように本実施の形態によれば、複数の蓄電パック51-58と予備蓄電パック59を設けたことにより、飛行中にいずれかの蓄電パックに異常が発生しても、異常が発生した蓄電パックを予備蓄電パック59に切り替えることにより、安定した飛行を継続することができる。したがって、飛行中の安全性を向上させることができ、有人ドローンの実用化にも貢献する。
【0060】
また飛行中、予備蓄電パック59から回転数が高いモータへ補助電流を供給することにより、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間のSOC低下のバラツキを抑制することができる。これにより、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間の充放電サイクル数を均一化させることができ、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間のSOH低下のバラツキを抑制することができる。したがって、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間の交換時期を揃えることができ、蓄電パックの運用コストの低減にも寄与する。
【0061】
また飛行体1の一時駐機中に、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58間の容量をアクティブバランス方式で均等化することにより、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の容量を最大限に有効活用することができる。即ち、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の全容量で本来飛行できる飛行可能距離より、実際の飛行距離が短くなることを抑制することができる。また予備蓄電パック59をバッファとして活用することにより、アクティブバランス方式の均等化を効率的に行うことができる。アクティブバランス方式の均等化において余った容量を予備蓄電パック59に充電することができるため、パッシブバランス方式のように余った容量を破棄せずに有効活用することができる。
【0062】
アクティブバランス方式の均等化処理時において、SOCが高い蓄電パックから、DC/DCコンバータ60及び予備蓄電パック59を経由して、SOCが低い蓄電パックに充電する。これにより、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58のそれぞれにDC/DCコンバータを接続せずとも、均等化電流を適切に制御することができる。アクティブバランス方式の均等化処理時に、SOCが高い蓄電パックから、SOCが低い蓄電パックに突入電流が流れることも抑制される。したがって、安全性を確保しつつ、コストを削減することができる。
【0063】
また第1蓄電パック51-第8蓄電パック58のそれぞれと、予備蓄電パック59を繋ぐ複数のバスを結合し、複数のバスの結合点N9に対して外部充電することにより、第1蓄電パック51-第8蓄電パック58の充電作業を簡素化することができる。第1蓄電パック51-第8蓄電パック58のそれぞれに対して外部充電すると、充電ケーブル4aを8回差し込む作業が発生するが、本実施の形態では1回の作業で足りる。また予備蓄電パック59を充電時の平滑化容量として機能させることができるため、充電開始時の突入電流を抑制することができる。
【0064】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0065】
上述の実施の形態では、電源システムを飛行体1に搭載する例を説明した。この点、本電源システムを、飛行体1以外の移動体に搭載することも可能である。例えば、インホイールモータ方式の電動車両に搭載することも可能である。
【0066】
図9は、実施の形態に係る電源システムを搭載した、インホイールモータ方式の電動車両1aの機能ブロック図である。電動車両1aは、4個のタイヤ11a-14a、4個のモータ21-24、4個のモータ駆動部31-34、及び電源システムを備える。図9では、4個のモータ21-24の回転制御に関する構成は省略して描いている。
【0067】
電動車両1aに搭載される電源システムは、4個の蓄電パック51-54、予備蓄電パック59、4個の第1スイッチS11-S14、4個の第2スイッチS21-S24、DC/DCコンバータ60、及び電源制御部70を有する。上述した飛行体1に搭載された電源システムと比較し、電流系統が8本から4本に変わっただけで基本的に同様に動作する。電源制御部70は、4個の第1スイッチS11-S14及び4個の第2スイッチS21-S24を制御して、4個の蓄電パック51-58間の容量のバランスを調整することができる。
【0068】
図9に示す電動車両1aによれば、4個の蓄電パック51-54を4個のタイヤ11a-14aのそれぞれの近傍に配置している。一般的な、大容量の蓄電パックを車室空間の下に1個配置する場合と比較し、車室空間を広く設計することができる。また、4個の蓄電パック51-54と予備蓄電パック59を設けることにより、蓄電パックに異常が発生した場合の走行継続性を向上させることができる。特に、内燃機関を搭載しない純粋な電気自動車において有効となる。
【0069】
また上述した実施の形態では、8個のプロペラ11-18を有する飛行体1を説明した。この点、プロペラの数は8個に限るものではない。例えば、プロペラの数は4個でもよいし、6個でもよいし、12個でもよい。
【0070】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0071】
[項目1]
移動体(1)に搭載された複数のモータ(21-28)を駆動する複数のモータ駆動部(31-38)に、それぞれ電流を供給する複数の蓄電パック(51-58)と、
前記複数のモータ駆動部(31-38)と前記複数の蓄電パック(51-58)間を接続する複数の第1電流経路の少なくとも1つに電流を供給、または前記複数の第1電流経路の少なくとも1つから電流を吸収可能な予備蓄電パック(59)と、
前記複数の第1電流経路と前記予備蓄電パック(59)間を接続する複数の第2電流経路上に、それぞれ挿入された複数の第1スイッチ(S11-S18)と、
前記複数の第1電流経路上において、前記複数の第2電流経路が接続される複数の接続点(N1-N8)と、前記複数の蓄電パック(51-58)間にそれぞれ挿入された複数の第2スイッチ(S21-S28)と、
前記複数の第1スイッチ(S11-S18)及び前記複数の第2スイッチ(S21-S28)を制御して、前記複数の蓄電パック(51-58)間の容量のバランスを調整可能な制御部(70)と、
を備えることを特徴とする移動体用電源システム。
これによれば、複数の蓄電パック(51-58)の容量を有効活用することができる。
[項目2]
前記予備蓄電パック(59)の容量は、前記複数の蓄電パック(51-58)の容量より少ないことを特徴とする項目1に記載の移動体用電源システム。
これによれば、移動体(1)の重量増加を抑制することができ、移動体(1)の電費の低下を抑制することができる。
[項目3]
前記移動体(1)の移動中、前記複数のモータ(21-28)の消費電力にバラツキが発生している場合、前記制御部(70)は、消費電力が他のモータより大きいモータに繋がる第2電流経路に挿入された前記第1スイッチをオン状態に制御することを特徴とする項目1または2に記載の移動体用電源システム。
これによれば、複数の蓄電パック(51-58)のSOCの低下を均一化させることができる。
[項目4]
前記移動体(1)の停止中、前記制御部(70)は、前記複数の蓄電パック(51-58)間の容量をアクティブバランス方式で均等化させることを特徴とする項目1から3のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
これによれば、複数の蓄電パック(51-58)の容量を、無駄なく均等化させることができる。
[項目5]
前記複数の第2電流経路は結合されて前記予備蓄電パック(59)と接続され、
前記移動体用電源システムは、
前記複数の第2電流経路の結合点(N9)と、前記予備蓄電パック(59)との間にDC/DCコンバータ(60)をさらに備えることを特徴とする項目1から4のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
これによれば、予備蓄電パック(59)の充放電電流を適切に制御することができる。
[項目6]
前記複数の第2電流経路は結合されて前記予備蓄電パック(59)と接続され、
前記複数の第2電流経路の結合点(N9)と前記予備蓄電パック(59)との間の経路上に、外部充電器(4)からの充電経路が接続されることを特徴とする項目1から5のいずれか1項に記載の移動体用電源システム。
これによれば、1回の接続作業で、複数の蓄電パック(51-58)と予備蓄電パック(59)を充電することができる。
[項目7]
複数のプロペラ(11-18)と、
前記複数のプロペラ(11-18)をそれぞれ回転させる複数のモータ(21-28)と、
前記複数のモータ(21-28)をそれぞれ駆動する複数のモータ駆動部(31-38)と、
前記複数のモータ駆動部(31-38)に、それぞれ電流を供給する複数の蓄電パック(51-58)と、
前記複数のモータ駆動部(31-38)と前記複数の蓄電パック(51-58)間を接続する複数の第1電流経路の少なくとも1つに電流を供給、または前記複数の第1電流経路の少なくとも1つから電流を吸収可能な予備蓄電パック(59)と、
前記複数の第1電流経路と前記予備蓄電パック(59)間を接続する複数の第2電流経路上に、それぞれ挿入された複数の第1スイッチ(S11-S18)と、
前記複数の第1電流経路上において、前記複数の第2電流経路が接続される複数の接続点(N1-N8)と、前記複数の蓄電パック(51-58)間にそれぞれ挿入された複数の第2スイッチ(S21-S28)と、
前記複数の第1スイッチ(S11-S18)及び前記複数の第2スイッチ(S21-S28)を制御して、前記複数の蓄電パック(51-58)間の容量のバランスを調整可能な制御部(70)と、
を備えることを特徴とする飛行体(1)。
これによれば、複数の蓄電パック(51-58)の容量を有効活用することができる電源システムを搭載した飛行体(1)を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 飛行体、 2 胴体部、 11-18 プロペラ、 21-28 モータ、 31-38 モータ駆動部、 40 機体制御部、 41 センサ、 51-58 蓄電パック、 59 予備蓄電パック、 511 蓄電モジュール、 E1-En セル、 Rs シャント抵抗、 T1 温度センサ、 512 制御基板、 513 電圧計測部、 514 温度計測部、 515 電流計測部、 516 管理部、 60 DC/DCコンバータ、 70 電源制御部、 71 通信線、 S11-S18 第1スイッチ、 S21-S28 第2スイッチ、 P1 充電口、 4 充電器、 4a 充電ケーブル、 5 商用電力系統、 1a 電動車両、 11a-14a タイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9