(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】固体電解質材料およびこれを用いた電池
(51)【国際特許分類】
H01B 1/06 20060101AFI20241108BHJP
H01B 1/08 20060101ALI20241108BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20241108BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241108BHJP
C01F 17/30 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01B1/08
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/62 Z
C01F17/30
(21)【出願番号】P 2022511544
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2020049234
(87)【国際公開番号】W WO2021199550
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020064818
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100143236
【氏名又は名称】間中 恵子
(72)【発明者】
【氏名】宮武 和史
(72)【発明者】
【氏名】西尾 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】久保 敬
(72)【発明者】
【氏名】浅野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 章裕
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/135343(WO,A1)
【文献】特開2017-091955(JP,A)
【文献】特表2019-530963(JP,A)
【文献】特開2011-119158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/06
H01B 1/08
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 4/62
C01F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li、Ca、Y、Sm、X、およびOを含み、
ここで、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであ
り、
Cu-Kα線を用いたX線回折測定によって得られるX線回折パターンにおいて、14.9°以上16.0°以下、16.2°以上17.4°以下、22.3°以上23.5°以下、28.1°以上29.2°以下、30.0°以上31.2°以下、32.1°以上33.3°以下、39.2°以上40.3°以下、47.0°以上48.1°以下、および51.5°以上52.6°以下回折角2θの範囲にピークが存在する、
固体電解質材料。
【請求項2】
Xは、ClおよびBrである、
請求項1に記載の固体電解質材料。
【請求項3】
Gd、Sr、Ba、Al、Sc、Ga、Bi、La、Zr、Hf、Ta、およびNbからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む、
請求項1または2に記載の固体電解質材料。
【請求項4】
以下の4つの数式が充足される:
2.6≦x≦3.4、
0.09≦y≦0.11、
1.2≦z≦2.1、および
2.7≦w≦4.4、
ここで、
xは、YおよびSmの合計に対するLiのモル比を表し、
yは、YおよびSmの合計に対するCaのモル比を表し、
zは、YおよびSmの合計に対するBrのモル比を表し、
wは、YおよびSmの合計に対するClのモル比を表す、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の固体電解質材料。
【請求項5】
YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ、0.36以下である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の固体電解質材料。
【請求項6】
正極、
負極、および
前記正極および前記負極の間に配置されている電解質層、
を備え、
前記正極、前記負極、および前記電解質層からなる群より選択される少なくとも1つは、請求項1から
5のいずれか一項に記載の固体電解質材料を含有する、
電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体電解質材料およびこれを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、硫化物固体電解質を用いた全固体電池を開示している。特許文献2は、Li6-3zYzX6(0<z<2が充足され、かつ、Xは、ClまたはBrである)により表される固体電解質材料を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-129312号公報
【文献】国際公開第2018/025582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、高いリチウムイオン伝導度を有する固体電解質材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の固体電解質材料は、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOを含み、ここで、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、高いリチウムイオン伝導度を有する固体電解質材料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第2実施形態による電池1000の断面図を示す。
【
図2】
図2は、実施例1から4による固体電解質材料のX線回折パターンを示すグラフである。
【
図3】
図3は、固体電解質材料のイオン伝導度を評価するために用いられる加圧成形ダイス300の模式図を示す。
【
図4】
図4は、実施例1による固体電解質材料のインピーダンス測定により得られたCole-Coleプロットを示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施例1および比較例1による電池の初期放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態が、図面を参照しながら説明される。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態による固体電解質材料は、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOを含む。ここで、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0010】
第1実施形態による固体電解質材料は、高いリチウムイオン伝導度を有する。ここで、高いリチウムイオン伝導度とは、例えば1×10-5S/cm以上である。すなわち、第1実施形態による固体電解質材料は、例えば1×10-5S/cm以上のイオン伝導度を有し得る。
【0011】
第1実施形態による固体電解質材料は、充放電特性に優れた全固体電池を得るために用いられ得る。全固体電池は、一次電池でもよく、あるいは二次電池でもよい。
【0012】
第1実施形態による固体電解質材料は、硫黄を含有しないことが望ましい。硫黄を含有しない固体電解質材料は、大気に曝露されても硫化水素が発生しないので、安全性に優れる。特許文献1に開示された硫化物固体電解質は、大気中に曝露されると、硫化水素が発生し得る。
【0013】
第1実施形態による固体電解質材料は、実質的に、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOからなっていてもよい。「第1実施形態による固体電解質材料が、実質的に、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOからなる」とは、第1実施形態による固体電解質材料において、固体電解質材料を構成する全元素の物質量の合計に対する、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOの物質量の合計のモル比(すなわち、モル分率)が、90%以上であることを意味する。一例として、当該モル比は95%以上であってもよい。第1実施形態による固体電解質材料は、Li、Ca、Y、Sm、X、およびOのみからなっていてもよい。
【0014】
固体電解質材料のイオン伝導度を高めるために、Xは、ClおよびBrであってもよい。
【0015】
固体電解質材料のイオン伝導度を高めるために、第1実施形態による固体電解質材料は、Gd、Sr、Ba、Al、Sc、Ga、Bi、La、Zr、Hf、Ta、およびNbからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0016】
本実施形態による固体電解質材料に含まれる遷移金属は、不可避不純物として含まれる元素を除き、YおよびSmのみであってもよい。
【0017】
第1実施形態による固体電解質材料のX線回折パターンは、Cu-Kα線を用いて取得され得る。得られたX線回折パターンにおいて、14.9°以上16.0°以下、16.2°以上17.4°以下、22.3°以上23.5°以下、28.1°以上29.2°以下、30.0°以上31.2°以下、32.1°以上33.3°以下、39.2°以上40.3°以下、47.0°以上48.1°以下、および51.5°以上52.6°以下の回折角2θの範囲にピークが存在してもよい。このような固体電解質材料は、高いイオン伝導度を有する。
【0018】
固体電解質材料のイオン伝導度を高めるために、以下の4つの数式が充足されてもよい。
2.6≦x≦3.4、
0.09≦y≦0.11、
1.2≦z≦2.1、および
2.7≦w≦4.4、
ここで、
xは、YおよびSmの合計に対するLiのモル比を表し、
yは、YおよびSmの合計に対するCaのモル比を表し、
zは、YおよびSmの合計に対するBrのモル比を表し、
wは、YおよびSmの合計に対するClのモル比を表す。
【0019】
固体電解質材料のイオン伝導度をさらに高めるために、以下の4つの数式が充足されてもよい。
2.9≦x≦3.1、
0.09≦y≦0.11、
1.3≦z≦1.9、および
3.0≦w≦4.0
【0020】
固体電解質材料のイオン伝導度を高めるために、YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ、0.36以下であってもよい。
【0021】
固体電解質材料のイオン伝導度を高めるために、第1実施形態による固体電解質材料において、YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ、0.08以下であってもよい。YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ、0.04以下であってもよい。YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ、0.01以下であってもよい。
【0022】
第1実施形態による固体電解質材料の形状は、限定されない。当該形状の例は、針状、球状、または楕円球状である。第1実施形態による固体電解質材料は、粒子であってもよい。第1実施形態による固体電解質材料は、ペレットまたは板の形状を有するように形成されてもよい。
【0023】
第1実施形態による固体電解質材料の形状が粒子状(例えば、球状)である場合、第1実施形態による固体電解質材料は、0.1μm以上かつ100μm以下のメジアン径を有していてもよい。メジアン径とは、体積基準の粒度分布における累積堆積が50%となる粒径を意味する。体積基準の粒度分布は、例えば、レーザー回折式測定装置または画像解析装置により測定される。
【0024】
第1実施形態による固体電解質材料のイオン伝導度を高め、かつ、第1実施形態による固体電解質材料および活物質を良好に分散させるために、メジアン径は0.5μm以上かつ10μm以下であってもよい。
【0025】
<固体電解質材料の製造方法>
第1実施形態による固体電解質材料は、下記の方法により製造され得る。
【0026】
まず、目的とする組成となるように、原料粉が用意され、混合される。
【0027】
Li、Ca、Y、Sm、Br、Cl、およびOからなる固体電解質材料を作製する場合、LiCl原料粉、LiBr原料粉、YCl3原料粉、SmCl3原料粉、およびCaBr2が混合される。得られた混合粉は、酸素濃度および水分濃度が調整された不活性ガス雰囲気(例えば、-60℃以下の露点を有するアルゴン雰囲気)中で焼成される。焼成温度は、例えば、200℃以上かつ650℃以下であってもよい。得られた焼成物は、比較的高い露点を有する雰囲気(例えば、-30℃の露点を有するドライ雰囲気)中で静置される。
【0028】
次いで、例えば、酸素濃度および水分濃度が調整された不活性ガス雰囲気(例えば、-60℃以下の露点を有するアルゴン雰囲気)中で、融点以上の温度(例えば、500℃)で焼成される。融点以上の温度で焼成することにより、Oが固体電解質材料全体に存在することができる。合成プロセスにおいて生じ得る組成変化を相殺するように、あらかじめ調整されたモル比で原料粉は混合されてもよい。原料粉、雰囲気中の酸素濃度、雰囲気中の水分濃度、および反応時間の選択により、固体電解質材料中の酸素量が決定される。このようにして、第1実施形態による固体電解質材料が得られる。
【0029】
1回目の焼成により得られた焼成物を第1実施形態による固体電解質材料としてもよい。
【0030】
混合される原料粉は、酸化物およびハロゲン化物であってもよい。例えば、原料粉として、Y2O3、Sm2O3、NH4Cl、NH4Br、LiCl、LiBr、CaCl2、およびCaBr2が使用されてもよい。
【0031】
第1実施形態による固体電解質材料を構成する酸素は、上記の比較的高い露点を有する雰囲気から取り込まれると考えられる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態が説明される。第1実施形態において説明された事項は、適宜、省略され得る。
【0033】
第2実施形態による電池は、正極、負極、および電解質層を備える。電解質層は、正極および負極の間に配置されている。正極、電解質層、および負極からなる群より選択される少なくとも1つは、第1実施形態による固体電解質材料を含有する。
【0034】
第2実施形態による電池は、第1実施形態による固体電解質材料を含有するため、優れた充放電特性を有する。
【0035】
図1は、第2実施形態による電池1000の断面図を示す。
【0036】
電池1000は、正極201、電解質層202、および負極203を備える。電解質層202は、正極201および負極203の間に配置されている。
【0037】
正極201は、正極活物質粒子204および固体電解質粒子100を含有する。
【0038】
電解質層202は、電解質材料(例えば、固体電解質材料)を含有する。
【0039】
負極203は、負極活物質粒子205および固体電解質粒子100を含有する。
【0040】
固体電解質粒子100は、第1実施形態による固体電解質材料を主たる成分として含む粒子である。ここで、第1実施形態による固体電解質材料を主たる成分として含有する粒子とは、質量比で最も多く含まれる成分が第1実施形態による固体電解質材料である粒子を意味する。固体電解質粒子100は、第1実施形態による固体電解質材料からなる粒子であってもよい。
【0041】
正極201は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出可能な材料を含有する。当該材料は、例えば、正極活物質(例えば、正極活物質粒子204)である。
【0042】
正極活物質の例は、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフッ化物、遷移金属オキシ硫化物、または遷移金属オキシ窒化物である。リチウム含有遷移金属酸化物の例は、LiNi1-d-fCodAlfO2(ここで、0<d、0<f、かつ0<(d+f)<1)またはLiCoO2である。
【0043】
正極201において、正極活物質粒子204および固体電解質粒子100を良好に分散させるために、正極活物質粒子204は、0.1μm以上のメジアン径を有していてもよい。当該良好な分散により、電池1000の充放電特性が向上する。正極活物質粒子204内でリチウムを速やかに拡散させるために、正極活物質粒子204は、100μm以下のメジアン径を有していてもよい。リチウムの速やかな拡散のため、電池1000は、高い出力で動作できる。上記の通り、正極活物質粒子204は、0.1μm以上かつ100μm以下のメジアン径を有していてもよい。
【0044】
正極201において、正極活物質粒子204および固体電解質粒子100を良好に分散させるために、正極活物質粒子204は、固体電解質粒子100よりも大きいメジアン径を有していてもよい。
【0045】
電池1000のエネルギー密度および出力を高めるために、正極201において、正極活物質粒子204および固体電解質粒子100の体積の合計に対する正極活物質粒子204の体積の比は、0.30以上かつ0.95以下あってもよい。
【0046】
電池1000のエネルギー密度および出力を高めるために、正極201は、10μm以上かつ500μm以下の厚みを有していてもよい。
【0047】
電解質層202は、電解質材料を含有する。当該電解質材料は、第1実施形態による固体電解質材料であってもよい。電解質層202は、固体電解質層であってもよい。
【0048】
電解質層202は、第1実施形態による固体電解質材料のみから構成されていてもよい。もしくは、第1実施形態による固体電解質材料とは異なる固体電解質材料のみから構成されていてもよい。
【0049】
第1実施形態による固体電解質材料とは異なる固体電解質材料の例は、Li2MgX’4、Li2FeX’4、Li(Al,Ga,In)X’4、Li3(Al,Ga,In)X’6、またはLiIである。ここで、X’は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0050】
本開示において、「(A,B,C)」は、「A、B、およびCからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0051】
以下、第1実施形態による固体電解質材料は、第1固体電解質材料と呼ばれる。第1実施形態による固体電解質材料とは異なる固体電解質材料は、第2固体電解質材料と呼ばれる。
【0052】
電解質層202は、第1固体電解質材料だけでなく、第2固体電解質材料も含有していてもよい。第1固体電解質材料および第2固体電解質材料は、均一に分散していてもよい。第1固体電解質材料からなる層および第2固体電解質材料からなる層が、電池1000の積層方向に沿って積層されていてもよい。
【0053】
正極201および負極203の間の短絡を抑制し、かつ、電池の出力を高めるために、電解質層202は、1μm以上かつ100μm以下の厚みを有していてもよい。
【0054】
負極203は、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出可能な材料を含有する。当該材料は、例えば、負極活物質(例えば、負極活物質粒子205)である。
【0055】
負極活物質の例は、金属材料、炭素材料、酸化物、窒化物、錫化合物、または珪素化合物である。金属材料は、単体の金属であってもよく、合金であってもよい。金属材料の例は、リチウム金属またはリチウム合金である。炭素材料の例は、天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、人造黒鉛、または非晶質炭素である。容量密度の観点から、負極活物質の好適な例は、珪素(すなわち、Si)、錫(すなわち、Sn)、珪素化合物、または錫化合物である。
【0056】
負極203において、負極活物質粒子205および固体電解質粒子100を良好に分散させるために、負極活物質粒子205は、0.1μm以上のメジアン径を有していてもよい。当該良好な分散により、電池の充放電特性が向上する。負極活物質粒子205内でリチウムを速やかに拡散させるために、負極活物質粒子205は、100μm以下のメジアン径を有していてもよい。リチウムの速やかな拡散のため、電池は高い出力で動作できる。上記の通り、負極活物質粒子205は、0.1μm以上かつ100μm以下のメジアン径を有していてもよい。
【0057】
負極203において、負極活物質粒子205および固体電解質粒子100を良好に分散させるために、負極活物質粒子205は、固体電解質粒子100よりも大きいメジアン径を有していてもよい。
【0058】
電池1000のエネルギー密度および出力を高めるために、負極203において、負極活物質粒子205および固体電解質粒子100の体積の合計に対する負極活物質粒子205の体積の比は、0.30以上かつ0.95以下であってもよい。
【0059】
電池1000のエネルギー密度および出力を高めるために、負極203は、10μm以上かつ500μm以下の厚みを有していてもよい。
【0060】
イオン伝導性、化学的安定性、および電気化学的安定性を高めるために、正極201、電解質層202、および負極203からなる群より選択される少なくとも1つは、第2固体電解質材料を含有していてもよい。
【0061】
上述されたように、第2固体電解質材料は、ハロゲン化物固体電解質であってもよい。ハロゲン化物固体電解質の例は、Li2MgX’4、Li2FeX’4、Li(Al,Ga,In)X’4、Li3(Al,Ga,In)X’6、またはLiIである。ここで、X’は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0062】
第2固体電解質材料は、硫化物固体電解質であってもよい。
【0063】
硫化物固体電解質の例は、Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、Li2S-B2S3、Li2S-GeS2、Li3.25Ge0.25P0.75S4、またはLi10GeP2S12である。
【0064】
第2固体電解質材料は、酸化物固体電解質であってもよい。
【0065】
酸化物固体電解質の例は、
(i)LiTi2(PO4)3またはその元素置換体のようなNASICON型固体電解質、
(ii)(LaLi)TiO3のようなペロブスカイト型固体電解質、
(iii)Li14ZnGe4O16、Li4SiO4、LiGeO4、またはその元素置換体のようなLISICON型固体電解質、
(iv)Li7La3Zr2O12またはその元素置換体のようなガーネット型固体電解質、
または
(v)Li3PO4またはそのN置換体
である。
【0066】
第2固体電解質材料は、有機ポリマー固体電解質であってもよい。
【0067】
有機ポリマー固体電解質の例は、高分子化合物およびリチウム塩の化合物である。高分子化合物はエチレンオキシド構造を有していてもよい。エチレンオキシド構造を有する高分子化合物は、リチウム塩を多く含有することができるため、イオン導電率をより高めることができる。
【0068】
リチウム塩の例は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、またはLiC(SO2CF3)3である。これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で使用されてもよい。あるいは、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が使用されてもよい。
【0069】
正極201、電解質層202、および負極203からなる群より選択される少なくとも1つは、リチウムイオンの授受を容易にし、電池1000の出力特性を向上する目的で、非水電解液、ゲル電解質、またはイオン液体を含有していてもよい。
【0070】
非水電解液は、非水溶媒および当該非水溶媒に溶けたリチウム塩を含む。
【0071】
非水溶媒の例は、環状炭酸エステル溶媒、鎖状炭酸エステル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状エーテル溶媒、環状エステル溶媒、鎖状エステル溶媒、またはフッ素溶媒である。環状炭酸エステル溶媒の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはブチレンカーボネートである。鎖状炭酸エステル溶媒の例は、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはジエチルカーボネートである。環状エーテル溶媒の例は、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、または1,3-ジオキソランである。鎖状エーテル溶媒の例は、1,2-ジメトキシエタンまたは1,2-ジエトキシエタンである。環状エステル溶媒の例は、γ-ブチロラクトンである。鎖状エステル溶媒の例は、酢酸メチルである。フッ素溶媒の例は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロベンゼン、フルオロエチルメチルカーボネート、またはフルオロジメチレンカーボネートである。これらから選択される1種の非水溶媒が、単独で使用されてもよい。あるいは、これらから選択される2種以上の非水溶媒の混合物が使用されてもよい。
【0072】
リチウム塩の例は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、またはLiC(SO2CF3)3である。これらから選択される1種のリチウム塩が、単独で使用されてもよい。あるいは、これらから選択される2種以上のリチウム塩の混合物が使用されてもよい。
【0073】
リチウム塩の濃度は、例えば、0.5mol/リットル以上かつ2mol/リットル以下の範囲にある。
【0074】
ゲル電解質として、非水電解液を含浸させたポリマー材料が使用され得る。ポリマー材料の例は、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、またはエチレンオキシド結合を有するポリマーである。
【0075】
イオン液体に含まれるカチオンの例は、
(i)テトラアルキルアンモニウムまたはテトラアルキルホスホニウムのような脂肪族鎖状4級塩類、
(ii)ピロリジニウム類、モルホリニウム類、イミダゾリニウム類、テトラヒドロピリミジニウム類、ピペラジニウム類、またはピペリジニウム類のような脂肪族環状アンモニウム、または
(iii)ピリジニウム類またはイミダゾリウム類のような含窒ヘテロ環芳香族カチオンである。
イオン液体に含まれるアニオンの例は、PF6
-、BF4
-、SbF6
-、AsF6
-、SO3CF3
-、N(SO2CF3)2
-、N(SO2C2F5)2
-、N(SO2CF3)(SO2C4F9)-、またはC(SO2CF3)3
-である。
【0076】
イオン液体はリチウム塩を含有してもよい。
【0077】
正極201、電解質層202、および負極203からなる群より選択される少なくとも1つは、粒子同士の密着性を向上する目的で、結着剤を含有していてもよい。
【0078】
結着剤の例は、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、またはカルボキシメチルセルロースである。共重合体もまた、結着剤として用いられ得る。このような結着剤の例は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、およびヘキサジエンからなる群より選択された2種以上の材料の共重合体である。これらのうちから選択された2種以上の混合物を結着剤として使用してもよい。
【0079】
正極201および負極203から選択される少なくとも1つは、電子導電性を高めるために、導電助剤を含有していてもよい。
【0080】
導電助剤の例は、
(i)天然黒鉛または人造黒鉛のようなグラファイト類、
(ii)アセチレンブラックまたはケッチェンブラックのようなカーボンブラック類、
(iii)炭素繊維または金属繊維のような導電性繊維類、
(iv)フッ化カーボン、
(v)アルミニウムのような金属粉末類、
(vi)酸化亜鉛またはチタン酸カリウムのような導電性ウィスカー類、
(vii)酸化チタンのような導電性金属酸化物、または
(viii)ポリアニリン、ポリピロール、またはポリチオフェンのような導電性高分子化合物
である。低コスト化のために、上記(i)または(ii)の導電助剤が使用されてもよい。
【0081】
第2実施形態による電池の形状の例は、コイン型、円筒型、角型、シート型、ボタン型、扁平型、または積層型である。
【0082】
第2実施形態による電池は、例えば、正極形成用の材料、電解質層形成用の材料、および負極形成用の材料を準備し、公知の方法で、正極、電解質層、および負極がこの順で配置された積層体を作製することによって製造してもよい。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を参照しながら、本開示がより詳細に説明される。
【0084】
(実施例1)
[固体電解質材料の作製]
-60℃以下の露点および0.0001体積%以下の酸素濃度を有するアルゴン雰囲気(以下、「乾燥アルゴン雰囲気」と称する。)中で、原料粉としてLiCl、LiBr、YCl3、SmCl3、およびCaBr2が、LiCl:LiBr:YCl3:SmCl3:CaBr2=1:1.8:0.8:0.2:0.1程度のモル比となるように用意された。これらの材料が、乳鉢中で粉砕され、混合された。得られた混合物は、アルミナ製るつぼ中で、500℃で1時間焼成された後、乳鉢中で粉砕された。このようにして、実施例1による固体電解質材料が得られた。
【0085】
[固体電解質材料の組成分析]
実施例1による固体電解質材料の単位重量あたりのLi、Ca、SmおよびYの含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific製、iCAP7400)を用いて、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定された。実施例1による固体電解質材料のBrおよびClの含有量は、イオンクロマトグラフ装置(Dionex製、ICS-2000)を用いて、イオンクロマトグラフィー法により測定された。これらの測定結果から得られたLi、Ca、Y、Sm、Br、およびClの含有量をもとに、Li:Ca:Y:Sm:Br:Clモル比が算出された。その結果、実施例1による固体電解質材料は、3.07:0.10:0.80:0.20:1.80:3.75のLi:Ca:Y:Sm:Br:Clモル比を有していた。
【0086】
実施例1による固体電解質材料全体の質量に対するOの質量は、酸素・窒素・水素分析装置(堀場製作所製、EMGA-930)を用いて、非分散型赤外線吸収法により測定された。その結果、Oの質量比は0.03%であった。これをもとに、(Y+Sm):Oモル比が算出された。その結果、実施例1による固体電解質材料は、1.00:0.01の(Y+Sm):Oモル比を有していた。
【0087】
組成分析において、YおよびSmの合計に対して0.01%未満のモル分率である元素は、不純物として見なされた。
【0088】
[X線回折]
-45℃以下の露点を有するドライ環境で、X線回折装置(RIGAKU製、MiniFlex600)を用いて、実施例1による固体電解質材料のX線回折パターンが測定された。X線源として、Cu-Kα線(波長1.5405Åおよび1.5444Å)が使用された。
【0089】
X線回折測定の結果、15.43°、16.80°、22.90°、28.67°、30.59°、32.76°、39.80°、47.55°、および52.05°にピークが存在していた。
図2は、実施例1による固体電解質材料のX線回折パターンを示すグラフである。
【0090】
[イオン伝導度の評価]
図3は、固体電解質材料のイオン伝導度を評価するために用いられた加圧成形ダイス300模式図を示す。加圧成形ダイス300は、パンチ上部301、枠型302、およびパンチ下部303を具備していた。枠型302は、絶縁性ポリカーボネートから形成されていた。パンチ上部301およびパンチ下部303は、いずれも電子伝導性のステンレスから形成されていた。
【0091】
図3に示される加圧成形ダイス300を用いて、下記の方法により、実施例1による固体電解質材料のイオン伝導度が測定された。
【0092】
乾燥アルゴン雰囲気中で、実施例1による固体電解質材料の粉末を加圧成形ダイス300の内部に充填した。加圧成形ダイス300の内部で、実施例1による固体電解質材料(すなわち、
図3において固体電解質材料の粉末101)に、パンチ上部301およびパンチ下部303を用いて400MPaの圧力が印加された。
【0093】
圧力が印加されたまま、パンチ上部301およびパンチ下部303は、ポテンショスタット(Princeton Applied Research製、VersaSTAT4)に接続された。パンチ上部301は、作用極および電位測定用端子に接続された。パンチ下部303は、対極および参照極に接続された。実施例1による固体電解質材料のインピーダンスは、電気化学的インピーダンス測定法により、室温において、測定された。
【0094】
図4は、実施例1による固体電解質材料のインピーダンス測定により得られたCole-Coleプロットを示すグラフである。
【0095】
図4において、複素インピーダンスの位相の絶対値が最も小さい測定点でのインピーダンスの実数値が、実施例1による固体電解質材料のイオン伝導に対する抵抗値と見なされた。当該実数値については、
図4において示される矢印R
SEを参照せよ。当該抵抗値を用いて、以下の数式(1)に基づいて、イオン伝導度が算出された。
σ=(R
SE×S/t)
-1 ・・・(1)
ここで、σは、イオン伝導度である。Sは、固体電解質材料のパンチ上部301との接触面積(
図3において、枠型302の中空部の断面積に等しい)である。R
SEは、インピーダンス測定における固体電解質材料の抵抗値である。tは、圧力が印加された固体電解質材料の厚み(
図3において、固体電解質材料の粉末101から形成される層の厚みに等しい)である。
【0096】
25℃で測定された、実施例1による固体電解質材料のイオン伝導度は、3.0×10-3S/cmであった。
【0097】
[電池の作製]
乾燥アルゴン雰囲気中で、実施例1による固体電解質材料および活物質であるLiCoO2が、70:30の体積比率となるように用意された。これらの材料はメノウ乳鉢中で混合された。このようにして、混合物が得られた。
【0098】
9.5mmの内径を有する絶縁性の筒の中で、実施例1による固体電解質材料(100mg)、上述の混合物(12.0mg)、およびアルミニウム粉末(14.7mg)が、順に積層された。この積層体に300MPaの圧力が印加され、第1電極および固体電解質層が形成された。固体電解質層は、約500μmの厚みを有していた。
【0099】
次に、固体電解質層に、金属In箔を積層した。固体電解質層は、金属In箔および第1電極の間に挟まれていた。金属In箔は、200μmの厚みを有していた。次に、金属In箔に80MPaの圧力が印加され、第2電極が形成された。
【0100】
ステンレス鋼から形成された集電体が第1電極および第2電極に取り付けられ、次いで、当該集電体に集電リードが取り付けられた。最後に、絶縁性フェルールを用いて、絶縁性の筒の内部が外気雰囲気から遮断され、筒の内部が密閉された。このようにして、実施例1による電池が得られた。
【0101】
[充放電試験]
図5は、実施例1による電池の初期放電特性を示すグラフである。次のようにして、充放電試験が行われた。
【0102】
実施例1による電池は、25℃の恒温槽に配置された。
【0103】
86μA/cm3の電流密度で、3.7Vの電圧に達するまで、実施例1による電池を充電した。当該電流密度は、0.05Cレートに相当する。
【0104】
次に、86μA/cm3の電流密度で、1.9Vの電圧に達するまで、実施例1による電池を放電した。
【0105】
充放電試験の結果、実施例1による電池は、515μAhの初期放電容量を有していた。
【0106】
(実施例2から4)
実施例2では、実施例1による固体電解質材料が-30℃の露点および20.9体積%の酸素濃度を有するドライ雰囲気中で約30分間静置された。次いで、乾燥アルゴン雰囲気中で、500℃で1時間焼成された後、乳鉢中で粉砕された。このようにして、実施例2による固体電解質材料が得られた。
【0107】
実施例3では、-30℃の露点および20.9体積%の酸素濃度を有するドライ雰囲気中で静置された時間を、約30分間ではなく2時間としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3による固体電解質材料が得られた。
【0108】
実施例4では、-30℃の露点および20.9体積%の酸素濃度を有するドライ雰囲気中で静置された時間を、約30分間ではなく80時間としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4による固体電解質材料が得られた。
【0109】
実施例1と同様にして、実施例2から4による固体電解質材料の元素比(モル比)、X線回折、およびイオン伝導度が測定された。測定結果は、表1および表2に示される。
図2は、実施例2から4による固体電解質材料のX線回折パターンを示すグラフである。
【0110】
実施例2から4による固体電解質材料全体に対する酸素の質量比は、それぞれ、0.13%、0.31%、および1.58%であった。
【0111】
実施例2から4による固体電解質材料を用いて、実施例1と同様にして、実施例2から4による電池が得られた。
【0112】
実施例2から4による電池を用いて、実施例1と同様にして、充放電試験が実施された。
【0113】
実施例2から4による電池は、実施例1による電池と同様に、良好に充電および放電された。
【0114】
(比較例1)
乾燥アルゴン雰囲気中で、原料粉としてLiClおよびFeCl2が、LiCl:FeCl2=2:1のモル比となるように用意された。これらの材料は、遊星型ボールミルを用いて、25時間、600rpmでメカノケミカル的に反応するようにミリング処理された。このようにして、比較例1による固体電解質材料が得られた。比較例1による固体電解質材料は、Li2FeCl4により表される組成を有する、公知のハロゲン化物固体電解質材料であった。
【0115】
比較例1による固体電解質材料のイオン伝導度が、実施例1と同様に測定された。その結果、22℃で測定されたイオン伝導度は、9.0×10-6S/cmであった。
【0116】
比較例1による固体電解質材料を用いて、実施例1と同様にして、比較例1による電池が得られた。
【0117】
比較例1による電池を用いて、実施例1と同様にして、充放電試験が実施された。比較例1による電池は、1μAh以下の初期放電容量しか有していなかった。すなわち、比較例1による電池は充電も放電もされなかった。
【0118】
【0119】
【0120】
<考察>
表1から明らかなように、実施例1から4による固体電解質材料は、室温近傍において、1×10-5S/cm以上の高いイオン伝導度を有する。
【0121】
実施例1から4から明らかなように、YおよびSmの合計に対するOのモル比は、0より大きく、かつ0.36以下であれば、固体電解質材料が1×10-5S/cm以上の高いイオン伝導度を有する。実施例1から3を実施例4と比較すると明らかなように、当該モル比が0より大きく、かつ0.08以下であれば、固体電解質材料が1×10-3S/cm以上のさらに高いイオン伝導度を有する。
【0122】
図2に示されるX線回折パターンおよび表2から明らかなように、Oの含有量によって、固体電解質材料の結晶構造が変化している。Oの含有量の増加に伴い、BrおよびClの含有量が減少している。したがって、OがBrおよびClと置き換わり、結晶構造に取り込まれたと考えられる。
【0123】
実施例1から4による電池は、25℃において、充電および放電された。
【0124】
実施例1から4による固体電解質材料は、硫黄を含有しないため、硫化水素が発生しない。
【0125】
以上のように、本開示による固体電解質材料は、高いリチウムイオン伝導度を有し、かつ良好に充電および放電可能な電池を提供するために適切である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示の固体電解質材料は、例えば、全固体リチウムイオン二次電池において利用される。
【符号の説明】
【0127】
100 固体電解質粒子
101 固体電解質材料の粉末
201 正極
202 電解質層
203 負極
204 正極活物質粒子
205 負極活物質粒子
300 加圧成形ダイス
301 パンチ上部
302 枠型
303 パンチ下部
1000 電池