(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】管理装置及び物品管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241108BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241108BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021003410
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】高山 元希
(72)【発明者】
【氏名】古屋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】堀井 裕樹
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-45175(JP,A)
【文献】特開2018-10883(JP,A)
【文献】特開2016-145062(JP,A)
【文献】特開2012-256134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/229574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる製造ラインのそれぞれに組み込まれる同一種別の物品処理装置を管理する管理装置であって、
前記物品処理装置をそれぞれ一意に特定する装置識別情報と、異なる種類の商品をそれぞれ一意に特定する予約番号と、前記物品処理装置の動作に関する情報である制御パラメータと、各前記物品処理装置において前記制御パラメータが変更された場合の変更に関する情報である調整情報と、を関連付けて記憶する記憶部と、
前記予約番号の入力を受け付ける第一受付部と、
前記物品処理装置と相互に通信する通信部と、
前記第一受付部において前記予約番号を受け付けると、前記予約番号に対応する前記制御パラメータを前記記憶部から取得し、前記装置識別情報に基づいて各前記物品処理装置に前記通信部を介して送信する設定制御と、前記物品処理装置に送信された前記制御パラメータが前記物品処理装置において変更された場合、変更された前記制御パラメータの前記調整情報を取得すると共に、取得した前記調整情報を前記装置識別情報及び前記予約番号に関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御と、を実行する管理制御部と、を備える、管理装置。
【請求項2】
前記記憶制御は、変更された前記制御パラメータの前記調整情報に加え、変更された前記物品処理装置から送信されてくる認証情報を取得し、取得した前記認証情報に基づいて、取得した前記調整情報を前記装置識別情報及び前記予約番号に関連付けて前記記憶部に記憶させるか否かを決定する、請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記記憶制御は、取得した前記調整情報を前記装置識別情報及び前記予約番号に関連付けて前記記憶部に記憶させるか否かの選択を前記第一受付部において受け付ける、請求項1又は2記載の管理装置。
【請求項4】
前記記憶制御は、取得した前記調整情報が予め定められた所定条件に合致するか否かに基づいて、取得した前記調整情報を前記装置識別情報及び前記予約番号に関連付けて前記記憶部に記憶させるか否かを決定する、請求項1~3の何れか一項記載の管理装置。
【請求項5】
前記記憶制御は、取得した前記調整情報が予め定められた所定条件に合致するか否かを判定し、所定条件に合致する前記調整情報又は所定条件に合致しない前記調整情報を特定できるような状態で前記記憶部に記憶させる、請求項1~3の何れか一項記載の管理装置。
【請求項6】
前記設定制御は、前記調整情報を同一種別かつ前記装置識別情報が異なる他の前記物品処理装置に送信する、請求項1~5の何れか一項記載の管理装置。
【請求項7】
前記設定制御は、前記制御パラメータを同一種別かつ前記装置識別情報が他の異なる前記物品処理装置に送信する、請求項1~6の何れか一項記載の管理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記予約番号に関連付けて、前記商品又は前記商品を形成する物品の特性及び前記商品又は前記物品の処理の少なくとも一方に関する処理情報が記憶されており、
前記制御部は、前記記憶部に前記予約番号に対応する前記制御パラメータが記憶されていない場合、前記処理情報に基づいてデフォルト値となる前記制御パラメータを生成する、請求項1~7の何れか一項記載の管理装置。
【請求項9】
前記第一受付部において前記予約番号を受け付けると、前記予約番号に対応する前記制御パラメータ及び前記調整情報の少なくとも一方を前記記憶部から読み出し、前記装置識別情報に基づいて各前記物品処理装置に送信すると共に、前記少なくとも一方に基づいて各前記物品処理装置を稼働させる、稼働制御部を更に備える、請求項1~8の何れか一項記載の管理装置。
【請求項10】
請求項1~8の何れか一項記載の管理装置と、
前記管理装置と前記通信部を介して通信可能に設けられる前記物品処理装置と、
前記予約番号を受け付ける第二受付部と、前記第二受付部において前記予約番号を受け付けると、前記予約番号に対応する前記制御パラメータ及び前記調整情報の少なくとも一方を前記記憶部から読み出し、前記装置識別情報に基づいて各前記物品処理装置に送信すると共に、前記少なくとも一方に基づいて各前記物品処理装置を稼働させる稼働制御部と、を有する制御装置と、を備える、物品管理システム。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項記載の管理装置と、
前記管理装置と前記通信部を介して通信可能に設けられる前記物品処理装置と、を備える、物品管理システム。
【請求項12】
前記物品処理装置は、認証情報を受け付ける第三受付部を有しており、前記第三受付部において受け付けた前記認証情報に基づいて、変更された前記制御パラメータの前記調整情報を前記管理装置に送信するか否かを決定する、請求項11記載の物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置及び物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、原料又は半製品等の物品を搬送する搬送装置、搬送装置によって供給された物品を計量する計量装置、計量された物品を包装する包装装置、包装済の物品の量目チェックを行って異常が検出された規格外品を取り除く重量検査装置、及び重量検査装置を通過した包装済の物品(製品)を複数個ずつケースに詰める箱詰装置等、複数の物品処理装置からなる生産ラインが開示されている。このような物品処理装置のそれぞれにおいては、物品又は製品を処理するにあたり物品処理装置を最適に動作させるための各種の制御パラメータが設定されている。
【0003】
例えば、特許文献2においては、物品処理装置(包装装置)において制御パラメータを設定するにあたり、各物品処理装置とサーバとを通信可能に接続し、最適と考えられる制御パラメータを各物品処理装置に送信する管理システム(包装システム)が記載されている。この管理システムによれば、各物品処理装置における制御パラメータの設定操作を大幅に削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-101303号公報
【文献】特開2016-145062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、物品処理装置においては機差があるため、同一種別の物品処理装置であっても装置ごとに最適な制御パラメータが異なるという実情がある。このため、サーバ(管理装置)から最適と考えられる制御パラメータが送信された場合であっても、物品処理装置によっては作業者が制御パラメータを変更することもある。このような実情において、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、例えば生産する物品(商品)の変更を行う場合等、制御パラメータを再設定するときに変更された制御パラメータを反映させたいという要望がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、制御パラメータを再設定する際に、変更された制御パラメータを反映させることができる、管理装置及び物品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管理装置は、互いに異なる製造ラインのそれぞれに組み込まれる同一種別の物品処理装置を管理する管理装置であって、物品処理装置をそれぞれ一意に特定する装置識別情報と、異なる種類の商品をそれぞれ一意に特定する予約番号と、物品処理装置の動作に関する情報である制御パラメータと、各物品処理装置において制御パラメータが変更された場合の変更に関する情報である調整情報と、を関連付けて記憶する記憶部と、予約番号の入力を受け付ける第一受付部と、物品処理装置と相互に通信する通信部と、第一受付部において予約番号を受け付けると、予約番号に対応する制御パラメータを記憶部から取得し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に通信部を介して送信する設定制御と、物品処理装置に送信された制御パラメータが物品処理装置において変更された場合、変更された制御パラメータの調整情報を取得すると共に、取得した調整情報を装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御と、を実行する管理制御部と、を備える。
【0008】
この構成の管理装置は、上記の設定制御によって、記憶部に記憶された制御パラメータを各物品処理装置に送信し、各物品処理装置に制御パラメータを設定することができる。これにより、作業者は、送信された制御パラメータを元に機差を考慮した調整を実施することができるので、作業者の調整負担を軽減することができる。また、個々の物品処理装置において作業者によって調整された制御パラメータが、上記の記憶制御によって収集されるので、同一種別の物品処理装置であっても製造ラインによって異なる制御パラメータが設定されたとしても、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、制御パラメータを再設定する際に、個々に変更された制御パラメータを反映させることができる。
【0009】
本発明に係る管理装置では、記憶制御は、変更された制御パラメータの調整情報に加え、変更された物品処理装置から送信されてくる認証情報を取得し、取得した認証情報に基づいて、取得した調整情報を装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部に記憶させるか否かを決定していてもよい。この構成では、権限のある作業者によって変更された制御パラメータの調整情報のみが記憶部において記憶されるので、制御パラメータが無秩序に更新されることを防止することができる。
【0010】
本発明に係る管理装置では、記憶制御は、取得した調整情報を装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部に記憶させるか否かの選択を第一受付部において受け付けてもよい。この構成では、作業者によって変更された制御パラメータを記憶するか否かの判断が、第一受付部に情報を入力する作業者によって行われるので、制御パラメータが無秩序に変更されることを防止できる。
【0011】
本発明に係る管理装置では、記憶制御は、取得した調整情報が予め定められた所定条件に合致するか否かに基づいて、取得した調整情報を装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部に記憶させるか否かを決定してもよい。この構成では、極端に調整された調整情報が自動的に除外されるので、制御パラメータが無秩序に変更されることを防止できる。
【0012】
本発明に係る管理装置では、記憶制御は、取得した調整情報が予め定められた所定条件に合致するか否かを判定し、所定条件に合致する調整情報又は所定条件に合致しない調整情報を特定できるような状態で記憶部に記憶させてもよい。この構成では、極端に調整された調整情報の記憶が容易に特定できるので、例えば記憶された調整情報に不具合があった場合には、速やかに対応することが可能となる。
【0013】
本発明に係る管理装置では、設定制御は、調整情報を同一種別かつ装置識別情報が異なる他の物品処理装置に送信してもよい。この構成では、機差は考慮されないものの類似する構成の物品処理装置の調整情報を利用して、最適な制御パラメータを設定することが可能となる。これにより、一から制御パラメータを最適な値に調整する場合に比べ、容易な調整が可能となる。
【0014】
本発明に係る管理装置では、設定制御は、制御パラメータを同一種別かつ装置識別情報が異なる他の物品処理装置に送信してもよい。この構成では、機差は考慮されないものの類似する構成の物品処理装置の制御パラメータを利用して、制御パラメータを適正に設定することが可能となる。これにより、制御パラメータを一から適正な値に調整する場合に比べ、容易な調整が可能となる。
【0015】
本発明に係る管理装置では、記憶部は、予約番号に関連付けて、商品又は商品を形成する物品の特性、及び、商品又は物品の処理の少なくとも一方に関する処理情報が記憶されており、制御部は、記憶部に予約番号に対応する制御パラメータが記憶されていない場合、処理情報に基づいてデフォルト値となる制御パラメータを生成してもよい。この構成では、機差は考慮されないものの理論上妥当な制御パラメータを利用して、制御パラメータを適正に設定することが可能となる。これにより、制御パラメータを一から適正な値に調整する場合に比べ、容易な調整が可能となる。
【0016】
本発明に係る管理装置は、第一受付部において予約番号を受け付けると、予約番号に対応する制御パラメータ及び調整情報の少なくとも一方を記憶部から読み出し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に送信すると共に、少なくとも一方に基づいて各物品処理装置を稼働させる、稼働制御部を更に備えてもよい。この構成では、常に記憶部に記憶された情報に基づいて物品処理装置を稼働させることができる。
【0017】
本発明に係る物品管理システムは、上記の管理装置と、管理装置と通信部を介して通信可能に設けられる物品処理装置と、予約番号を受け付ける第二受付部と、第二受付部において予約番号を受け付けると、予約番号に対応する制御パラメータ及び調整情報の少なくとも一方を記憶部から読み出し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に送信すると共に、少なくとも一方の情報に基づいて各物品処理装置を稼働させる稼働制御部と、を有する制御装置と、を備えてもよい。この構成では、常に記憶部に記憶された情報に基づいて物品処理装置を稼働させることができる。
【0018】
本発明に係る物品管理システムは、上記の管理装置と、管理装置と通信部を介して通信可能に設けられる物品処理装置と、を備えてもよい。この構成の物品管理システムは、上記の設定制御によって、記憶部に記憶された制御パラメータを各物品処理装置に送信し、各物品処理装置の制御パラメータを設定することができる。これにより、作業者は、送信された制御パラメータを元に機差を考慮した調整を実施することができるので、作業者の調整負担を軽減することができる。また、作業者によって調整された制御パラメータが、上記の記憶制御によって収集されるので、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、制御パラメータを再設定する際に、変更された制御パラメータを反映させることができる。
【0019】
本発明に係る物品管理システムでは、物品処理装置は、認証情報を受け付ける第三受付部を有しており、第三受付部において受け付けた認証情報に基づいて、変更された制御パラメータの調整情報を管理装置に送信するか否かを決定してもよい。この構成では、権限のある作業者によって変更された制御パラメータの調整情報のみが記憶部において記憶されるので、制御パラメータの調整情報が無秩序に更新されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、制御パラメータを再設定する際に、変更された制御パラメータを反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る製造ラインシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、製造ラインシステムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、物品処理装置の表示受付部に表示される設定画面の一例である。
【
図4】
図4は、記憶部に記憶される予約データの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、管理装置の表示受付部に表示される管理画面の一例である。
【
図6】
図6は、管理装置の表示受付部に表示される予約一覧画面の一例である。
【
図7】
図7は、管理装置の表示受付部に表示される複製詳細画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本開示の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
本実施形態の製造ラインシステム(物品管理システム)1は、
図1に示されるように、複数の物品処理装置からなる製造ライン10A~10N(以下。「製造ライン10」とも称する。)と、上記製造ライン10の生産管理を一元化する端末装置(管理装置)30と、を備える。製造ライン10は、材料又は加工物等の物品から商品を製造し、製造された商品に対して各種検査を行う。物品処理装置は、これら物品又は商品に対して何らかの処理を実行する装置である。
【0024】
製造ライン10のそれぞれは、物品の計量から商品の検査、箱詰めまでを実行する物品処理装置群であり、物品を所定重量に量り分ける組合せ計量装置11(11A~11N)と、物品を包装する袋を製袋しながら、組合せ計量装置11によって量り分けられた物品を包装する製袋包装装置12(12A~12N)と、製袋包装装置12によって製袋包装された袋の異常を検知するシール検査装置13(13A~13N)と、物品が内包された商品の重量を検査する重量検査装置14(14A~14N)と、商品を段ボール箱に詰める箱詰装置15(15A~15N)と、を備える。
【0025】
図2に示されるように、製造ライン10を構成する物品処理装置群のそれぞれは、通信部21と、表示受付部(第三受付部)22と、制御部23と、を備えている。
【0026】
通信部21は、端末装置30と通信する。通信部21と端末装置30とは、有線又は無線によって、互いに直接又は間接的に通信可能に設けられている。表示受付部22は、各物品処理装置における入力部及び出力部として機能する。表示受付部22は、各種情報を表示すると共に、作業者の操作を受け付ける。表示受付部22は、物理的な操作ボタンと液晶等の表示パネルとがそれぞれ別個に設けられる構成であってもよいし、タッチパネルとして構成されてもよい。本実施形態の表示受付部22は、各物品処理装置における制御パラメータの一覧画面及び制御パラメータの変更画面等を表示したり、作業者から物品処理装置における制御パラメータの設定又は変更を受け付けたりする。
【0027】
制御パラメータは、製造する商品(予約番号)ごとに、物品処理装置における各種動作を規定する設定情報である。組合せ計量装置11の制御パラメータの例には、例えば、目標質量値、質量上限値、フィーダ強度、フィーダ時間、及び能力等が含まれる。製袋包装装置12の制御パラメータの例には、例えば、袋長さ、袋幅、レジマーク位置、トラッキング位置、及び能力等が含まれる。シール検査装置13の制御パラメータの例には、例えば、袋長さ、最小厚み、最大厚み、エア漏れ判定値、及び圧力レベル等が含まれる。重量検査装置14の制御パラメータの例には、袋長さ、基準質量値、質量下限値、質量上限値及び空袋質量等が含まれる。箱詰装置15の制御パラメータの例には、箱長さ、箱幅、箱高さ、列数、及び各列の袋数等が含まれる。
【0028】
制御部23は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。制御部23は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各物品処理装置における各種処理を実行する。
【0029】
制御部23は、
図3に示されるように、端末装置30から送信されてきた制御パラメータを表示受付部22に設定画面SC1として表示させたり、作業者から設定画面SC1を介して制御パラメータ変更(設定)を受け付けたり、作業者によって変更された制御パラメータの変更に関する情報である調整情報を通信部21を介して端末装置30に送信したり、端末装置30から送信されてくる調整情報に基づいて物品処理装置を稼働させたりする。
【0030】
ここでいう調整情報とは、各物品処理装置において先に設定されていた(初期設定値及び設定値がない場合(NULL)等も含まれる)制御パラメータに対する変更に関する情報をいう。調整情報の例には、例えば、元の制御パラメータに対する差分及び/又は変更割合だけでなく、調整情報に対応する調整がされた調整済みの制御パラメータそのもの等も含まれる。以後の説明では、物品処理装置の制御部23は、「調整情報に対応する調整がされた調整済みの制御パラメータ」を送信する例を説明するが、「元の制御パラメータに対する差分及び/又は変更割合」を送信する例であっても、同様である。以後、「調整情報に対応する調整がされた調整済みの制御パラメータ」単に「調整済みの制御パラメータ」と称する。
【0031】
また、制御部23は、物品処理装置の表示受付部22を操作する者を特定し、特定されたユーザがどのような権限を有しているかを判定する(ユーザの認証処理)。具体的には、制御部23は、表示受付部22において情報を入力又は操作を受け付ける前に、作業者にユーザ名を入力するように要求し、入力されたユーザ名と予め記憶されたユーザ情報に基づいてユーザ権限(管理ユーザ又は一般ユーザ)を判定する。なお、ユーザ名の入力と同時にパスワードを求めるログイン認証を追加してもよい。
【0032】
制御部23は、物品処理装置において変更された制御パラメータ、すなわち調整済みの制御パラメータを端末装置30に送信するか否かを、どの作業者によって変更されたという情報に基づいて判定する。詳細には、制御部23は、先の認証処理によって、管理ユーザと認証される作業者による変更であれば、調整済みの制御パラメータを端末装置30に送信し、一般ユーザであれば、調整済みの制御パラメータを端末装置30に送信しない。
【0033】
端末装置30は、製造ライン10A~10Nのそれぞれに組み込まれる物品処理装置を制御する。本実施形態の端末装置30は、更に、互いに異なる製造ライン10A~10Nのそれぞれに組み込まれる同一種別の物品処理装置を管理する。同一種別の物品処理装置とは、組合せ計量装置11A~11Nの関係、製袋包装装置12A~12Nの関係、シール検査装置13A~13Nの関係、重量検査装置14A~14Nの関係、及び箱詰装置15A~15Nの関係をいう。本実施形態の端末装置30は、これら同一種別の物品処理装置に設定された制御パラメータを一元的に管理する。より詳細には、端末装置30は、同一種別の他の物品処理装置に対して同一の制御パラメータを設定したり、個々の物品処理装置において設定された調整済みの制御パラメータを取得して管理したり、一方の物品処理装置に設定された制御パラメータ又は調整済みの制御パラメータを他方の物品処理装置に送信(設定)したりする。
【0034】
端末装置30は、製造ライン10が配備される工場等の監視室等に配置されてもよいし、例えば、製造ライン10を構成する物品処理装置の何れか一つ(例えば、製造ライン10Aの製袋包装装置12A)に設けられてもよいし、タブレットのように持ち運び可能に構成されてもよい。端末装置30は、記憶部31と、通信部32と、表示受付部(第一受付部)33と、制御部(管理制御部)34と、を有する。
【0035】
記憶部31は、例えば、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)等によって構成することができる。記憶部31は、物品処理装置をそれぞれ一意に特定する装置識別情報と、異なる種類の物品をそれぞれ一意に特定する予約番号と、物品処理装置の動作に関する情報である制御パラメータと、各物品処理装置において制御パラメータが変更された場合の変更に関する情報である調整情報と、を関連付けて記憶する。本実施形態では、調整情報として調整済みの制御パラメータが記憶される。
【0036】
本実施形態の記憶部31は、
図4に示されるように、予約番号と、予約詳細と、装置識別情報と、制御パラメータ(パラメータa、・・・、パラメータn)と、調整済みの制御パラメータ(パラメータa’、・・・、パラメータn’)と、が関連付けて記憶される。すなわち、記憶部31には、一商品に対して、一製造ラインごとに、各物品処理装置の制御パラメータが関連付けて記憶されている。これら予約番号に関連付けられた一群のデータを予約データと称する。本実施形態の製造ラインシステム1では、当該予約データを用いて商品を製造する。
【0037】
通信部32は、製造ライン10A~10Nのそれぞれに組み込まれる各物品処理装置と通信する。通信部32と各物品処理装置とは、有線又は無線によって、互いに直接又は間接的に通信可能に設けられている。
【0038】
表示受付部33は、各種情報を表示すると共に、作業者の操作を受け付ける。表示受付部33は、物理的な操作ボタンと液晶等の表示パネルとがそれぞれ別個に設けられる構成であってもよいし、タッチパネルとして構成されてもよい。本実施形態の表示受付部33は、
図5に示されるように、作業者から予約番号、予約詳細、ライン番号、装置識別番号、制御パラメータの一覧を表示したり、作業者から予約番号、ライン番号、装置識別番号、制御パラメータの設定値の変更を受け付けたりすることが可能な管理画面S2を表示する。なお、
図5の管理画面S2は、装置識別情報を選択することで、製造ラインを構成する複数の物品処理装置の中から所望の物品処理装置の制御パラメータを表示することができる例を示したが、例えば、画面をスクロールすることで、所望の物品処理装置の制御パラメータを表示するようにしてもよい。
【0039】
制御部34は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。制御部34は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。制御部34は、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって、下記に示す管理制御部34A及び稼働制御部34Bが形成される。管理制御部34A及び稼働制御部34Bにおける各種処理は、CPUの制御のもと実行される。
【0040】
管理制御部34Aは、製造ライン10を構成する物品処理装置における制御パラメータの設定を容易にする設定制御を実行する。管理制御部34Aは、表示受付部33において作業者から予約番号を受け付けると、予約番号に対応する制御パラメータ(予約データ)を記憶部31から取得し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に通信部32を介して送信する(設定制御)。より詳細には、制御部34は、初期設定された制御パラメータ(端末装置30の表示受付部33において入力された制御パラメータも含む)からなる予約データを記憶部31から取得し、予約データとして記憶された装置識別情報のそれぞれに初期設定された制御パラメータを送信する。
【0041】
また、管理制御部34Aは、物品処理装置に送信された制御パラメータが物品処理装置において変更された場合、変更された制御パラメータに関する情報、すなわち調整済みの制御パラメータを当該物品処理装置から取得すると共に、取得した調整済みの制御パラメータを、装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させる(記憶制御)。管理制御部34Aは、物品処理装置から一方的に送信されてくる調整済みの制御パラメータを受信することによって取得してもよいし、管理制御部34Aによる物品処理装置への要求によって送信されてくる調整済みの制御パラメータを受信することによって取得してもよい。
【0042】
上述したとおり、物品処理装置から送信されてくる調整済みの制御パラメータは、管理ユーザである作業者が変更した制御パラメータである。すなわち、本実施形態の管理制御部34Aは、管理ユーザによって入力された調整済みの制御パラメータを装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させる。言い換えれば、一般ユーザによって入力された調整済みの制御パラメータは送信されてこない。
【0043】
更に、本実施形態の管理制御部34Aは、送信されてきた調整済みの制御パラメータが予め定められた所定条件に合致するか否かに基づいて、送信されてきた調整済みの制御パラメータを装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させるか否かを決定する。例えば、組合せ計量装置11Bからフィーダ時間に関する設定値が送信されてきた場合、当該フィーダ時間の設定値が所定範囲内(例えば、事前設定した閾値よりも変化量又は変化率が小さい)の場合には当該フィーダ時間の設定値を記憶部31に記憶し、当該フィーダ時間の設定値が所定範囲外(例えば、事前設定した閾値よりも変化量又は変化率が大きい)の場合には当該フィーダ時間の設定値を記憶部31に記憶しない。この構成では、極端に調整された調整済みの制御パラメータが自動的に除外されるので、制御パラメータが無秩序に記憶されることを防止できる。
【0044】
なお、管理制御部34Aは、送信されてきた調整済みの制御パラメータの内、設定値が所定範囲内の設定値のみを装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させてもよい。また、管理制御部34Aは、送信されてきた調整済みの制御パラメータの全てを装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させると共に当該記憶した調整済みの制御パラメータが、所定条件に合致する調整済みの制御パラメータであるか否かを特定できるような状態で記憶部31に記憶させてもよい。この場合、例えば、管理制御部34Aは、所定条件に合致しない(例えば、事前設定した閾値よりも変化量又は変化率が大きい)調整済みの制御パラメータにフラグを付加した上で記憶部31に記憶させてもよい。この構成では、極端に調整された調整済みの制御パラメータが容易に特定できるので、例えば記憶された調整済みの制御パラメータに不具合があった場合には、速やかに極端な調整(値の大きな変更)が行われた調整済みの制御パラメータを特定することが可能となる。
【0045】
また、管理制御部34Aは、制御パラメータを同一種別かつ装置識別情報が異なる他の物品処理装置に送信する。言い換えれば、管理制御部34Aは、一の製造ライン10の一の物品処理装置に設定されている制御パラメータを複製し、複製した制御パラメータを他の製造ライン10における上記一の物品処理装置と同一種別の物品処理装置に送信する処理を実行する。この機能により、一の製造ライン10用の制御パラメータを他の製造ライン10に流用することができる。更に、管理制御部34Aは、調整情報を同一種別かつ装置識別情報が異なる他の物品処理装置に送信する。言い換えれば、管理制御部34Aは、一の製造ライン10の一の物品処理装置に設定されている調整情報を複製し、複製した調整情報を他の製造ライン10の上記一の物品処理装置と同一種別の物品処理装置に送信する処理を実行する。この処理により、一の製造ライン10用の調整情報を他の製造ライン10に流用することができる。
【0046】
なお、管理制御部34Aによって複製される制御パラメータ又は調整情報は、一つの製造ライン10に含まれる各物品処理装置の制御パラメータ群(基準とする製造ラインの制御パラメータの集まり)であってもよい。この場合、例えば、完全同一の/少なくとも一部が重複する)装置で構成されている他の製造ライン10に対して、この制御パラメータ群を送信することで、対応する物品処理装置の制御パラメータの初期のセッティングが完了する。ここから必要に応じて、機差調整を開始することが可能であり、管理制御部34Aは、変更後のパラメータ、差分、又は変更割合を新たな製造ライン10の調整情報として取得する。
【0047】
稼働制御部34Bは、製造ライン10を構成する物品処理装置の稼働を容易にする稼働制御を実行する。稼働制御部34Bは、表示受付部(第二受付部)33において作業者の製造したい商品に対応する予約番号を受け付けると、予約番号に対応する制御パラメータ又は調整済みの制御パラメータからなる予約データを記憶部31から読み出し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に送信すると共に、送信された予約データに基づいて各物品処理装置を稼働させる稼働制御を実行する。
【0048】
本実施形態の稼働制御部34Bは、商品の製造開始時に作業者から予約番号を受け付けると、予約番号に対応する予約データを記憶部31から読み出し、装置識別情報に基づいて各物品処理装置に送信する。当該送信は、商品の製造開始ごとに送信されるので、送信された物品処理装置では、商品の製造開始の度に新たな制御パラメータが上書き(更新)される。物品処理装置は、当該新たな制御パラメータに基づいて動作する。すなわち、稼働制御部34Bは、商品の製造開始時に送信されてくる予約データに基づいて各物品処理装置を稼働させる。
【0049】
次に、端末装置30を利用して、製造ライン10を新設又は増設したときに各物品処理装置における各種制御パラメータを設定し、設定された制御パラメータに基づいて商品を製造する方法について説明する。
【0050】
(1)初期設定値又は作業者が入力した制御パラメータを用いる場合
記憶部31に予め記憶された初期設定値又は所定のサーバ等からダウンロードすることによって記憶部31に記憶された初期設定値は、
図5に示されるように、表示受付部33の管理画面SC2に表示される。上記の初期設定値は、予約番号(商品)ごと、装置識別情報(物品処理装置)ごとに設定されるデータ群であり、製造ライン10を稼働させることができる上記予約データと同様の構成を有する。作業者は、管理画面SC2の送信ボタンB32を押下(タッチ・クリック等)して、初期設定値を対象(作業者が制御パラメータを設定したい製造ライン10を構成する物品処理装置のそれぞれ)に送信する。
【0051】
次に、作業者は、初期設定値が送信された製造ライン10において商品を製造する(テスト製造)。作業者は、当該テスト製造に基づいて、最適な製造状態となるように各物品処理装置における各種制御パラメータを調整する。なお、テスト製造において調整する必要がないと判断された制御パラメータは、初期設定値を維持してもよい。作業者は、例えば
図3に示されるような、物品処理装置の表示受付部22に表示される設定画面SC1を介して制御パラメータを変更(設定)する。上述したように、作業者が設定画面SC1を操作するときには、ユーザ情報の入力が要求される。作業者は、制御パラメータを確定すると設定ボタンB1を押下する。これにより、作業者によって調整された制御パラメータは、調整済みの制御パラメータとして端末装置30に送信され、端末装置30によって調整済みの制御パラメータ(最新の予約データ)として一元的に管理される。
【0052】
商品の製造を開始するとき、作業者は、端末装置30の表示受付部33に
図5に示されるような管理画面SC2を呼び出す。次に、作業者は、管理画面SC2において、(稼働を開始したい)対象の製造ラインに設定された予約番号(商品)を選択する。これにより、管理画面S2には、選択された予約番号に対応する各物品処理装置の最新の制御パラメータの一覧(すなわち、予約データ)が表示される。商品の製造を開始する場合には、作業者は、開始ボタンB31を押下する。これにより、最新の予約データが対象の製造ラインに送信され、各物品処理装置は、当該送信された予約データに基づく動作が開始される。
【0053】
(2)他の製造ラインの物品処理装置又は他の商品に設定されている調整済みの制御パラメータを複製(コピー)する場合
他の製造ラインの物品処理装置に設定されている調整済みの制御パラメータの一覧は、
図5に示されるように管理画面SC2において、予約番号を入力又は選択することによって一覧を表示させることができる。作業者は、予約一覧ボタンB4を押下し、
図6に示される予約一覧画面SC3を表示させる。予約一覧画面SC3には、予約番号と、予約詳細と、が表示される。なお、予約一覧画面SC3には、ライン番号が表示されてもよいし、予約詳細として表示される情報に予約番号が特定できる情報が含まれていてもよい。作業者は、調整済みの制御パラメータを流用したいと考える予約番号を選択し、複製ボタンB6を押下する。これにより、他の製造ラインの物品処理装置のそれぞれに設定されている調整済みの制御パラメータからなる予約データが複製され、
図7に示されるような複製詳細画面SC4が表示される。
【0054】
複製詳細画面SC4では、複製した予約データに対して新たな予約番号、新たな予約詳細及び適用対象となるライン番号を設定することができる。作業者は、複製ボタンB6を押下した際に表示される仮の予約番号、仮の予約詳細及び仮のライン番号を必要に応じて変更し、OKボタンB7を押下する。これにより、新たな予約データが設定される。次に、作業者は、管理画面SC2の送信ボタンB32を押下して、新たな予約データを対象の製造ライン10における物品処理装置のそれぞれに送信する。つまり、端末装置30は、新たな予約データを同一種別かつ装置識別情報が異なる他の物品処理装置に送信する。なお、新たな予約データが送信された物品処理装置での調整、当該物品処理装置において調整された予約データの流れについては上述したとおりなので、ここでは説明を省略する。
【0055】
このように、他の製造ラインの物品処理装置又は他の商品に設定されている調整済みの制御パラメータを複製する機能を用いれば、製造ラインAに新たに設定したい商品と同一商品の設定がなされている製造ラインBの設定を複製し、この複製を元に製造ラインAの新たな設定をしたり、製造ラインAに新たに設定したい商品と類似商品の設定がなされている製造ラインBの設定を複製し、この複製を元に製造ラインAの新たな設定をしたり、製造ラインAに新たに設定したい商品と類似商品の設定がなされている製造ラインAの設定を複製し、この複製を元に製造ラインAの新たな設定をしたりすることができる。
【0056】
また、ある製造ラインの設定を複製する際には、複製をする最初の時点で、同じ商品を複製するか、又は、別の商品を複製するかを選択する画面を表示してもよい。同じ商品を複製する場合には、同じ商品の複製モードを選択させ、商品の予約番号選択及び複製元のライン番号を選択させ、複製先のライン番号を選択させるようにしてもよい。なお、これらの選択の順番は入替が可能であり、また同時に選択できるようにしてもよい。これにより、複製先へパラメータが送られ、複製先で再設定される。このような設定手順の画面が表示されると、後段にて説明する設定手順の画面と比べて、商品違いの複製ミスを生じさせることなく、作業者は商品を一回選択するだけで済むので直観的にわかりやすい。
【0057】
別の商品を複製する場合には、異なる商品の複製モードを選択させ、複製元の商品の予約番号選択及び複製元のライン番号を選択させ、複製先の商品の予約番号選択及び複製先のライン番号を選択させるようにしてもよい、この場合も、これらの選択の順番は入替が可能であり、また同時に選択できるようにしてもよい。これにより、複製先へパラメータが送られ、複製先で再設定される。このような設定手順の画面が表示されると、類似する商品のパラメータを流用することで、調整パラメータがある程度最適に近く、その後の調整が少なくて済む可能性がある。
【0058】
上記実施形態の製造ラインシステム1(端末装置30)は、上述した設定制御によって、記憶部31に記憶された制御パラメータを各物品処理装置に送信し、各物品処理装置に制御パラメータを設定することができる。これにより、作業者は、送信された制御パラメータを元に機差を考慮した調整を実施することができるので、作業者の調整負担を軽減することができる。また、個々の物品処理装置において作業者によって調整された制御パラメータが、上述した記憶制御によって収集されるので、同一種別の物品処理装置であっても製造ライン10によって異なる制御パラメータが設定されたとしても、各物品処理装置において変更された制御パラメータを適切に管理すると共に、制御パラメータを再設定する際に、個々に変更された制御パラメータを反映させることができる。
【0059】
上記実施形態の製造ラインシステム1(端末装置30)では、物品処理装置は、表示受付部22において受け付けたユーザ情報に基づいてユーザの権限を判定し、判定した権限に基づいて調整済みの制御を端末装置30に送信するか否かを決定している。すなわち、上記実施形態の端末装置30では、権限のある作業者(管理ユーザ)によって変更された調整済みの制御パラメータのみが記憶部において記憶される。これにより、権限のある作業者によって変更された調整済みの制御パラメータのみが記憶部31において記憶されるので、調整済みの制御パラメータが無秩序に更新されることを防止できる。
【0060】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
(変形例1)
上記実施形態の製造ラインシステム1では、物品処理装置の制御部23が認証処理を実行する例を挙げて説明したが、例えば、物品処理装置は、調整済みのパラメータに加え、変更された物品処理装置から送信されてくるユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいて、調整済みのパラメータを作業者がどのような権限の作業者であるかを判定してもよい。すなわち、上記実施形態では物品処理装置において行っていた認証処理を端末装置30の制御部34で行ってもよい。端末装置30の制御部34は、送信されてくるユーザ情報(認証情報)が管理ユーザであると判定すると、取得した調整済みのパラメータを装置識別情報及び予約番号に関連付けて記憶部31に記憶させる。この構成においても、権限のある作業者によって変更された調整済みの制御パラメータのみが記憶部31において記憶されるので、調整済みの制御パラメータが無秩序に更新されることを防止できる。
【0062】
また、上記実施形態における物品処理装置における認証処理又はユーザ情報の送信を省略し、端末装置30が、物品処理装置から送信されてくる調整済みの制御パラメータを記憶部31に記憶させるか否かを判定してもよい。例えば、端末装置30の制御部34は、物品処理装置から送信されてくる調整済みの制御パラメータを記憶部31に記憶させるか否かを作業者に入力させるダイアログを表示受付部33に表示させてもよい。このとき、制御部34は、当該ダイアログの入力が可能な作業者の認証処理を行ってもよい。
【0063】
(変形例2)
上記実施形態又は変形例の端末装置30では、予め記憶された初期設定値を各製造ライン10を構成する物品処理装置に送信する例を挙げて説明したが、下記の方法にてデフォルト値となる初期設定が導出されてもよい。具体的には、記憶部31は、予約番号に関連付けて、物品の特性及び/又は物品の処理に関する情報が記憶されており、制御部34は、記憶部31に予約番号に対応する制御パラメータが記憶されていない場合、物品の特性及び/又は物品の処理に関する情報に基づいてデフォルト値となる制御パラメータを生成してもよい。ここで、一例として、製袋包装装置12A~12Nにおいて、制御パラメータは、物品を包装するフィルムの搬送速度であり、初期値としてのフィルムの搬送速度(調整前のデフォルト値)を算出するための物品の特性及び/又は物品の処理に関する情報は、一袋のフィルム長さ及び生産速度等である。
【0064】
この変形例に係る構成では、機差は考慮されないものの理論上妥当な制御パラメータを利用して、制御パラメータを適正に設定することが可能となる。これにより、制御パラメータを一から適正な値に調整する場合に比べ、容易な調整が可能となる。
【0065】
(変形例3)
上記実施形態の製造ラインシステム1では、端末装置30は、製造ライン10を構成する物品処理装置とは独立して構成される例を挙げて説明したが、例えば、一の物品処理装置に搭載されている制御部と共有されていてもよい。例えば、一の製造ラインを構成する製袋包装装置12に搭載され、製袋包装装置12の各種動作を制御する制御部が、上述した端末装置30の機能を兼ねてもよい。この場合、製袋包装装置12に搭載された表示部が、端末装置30の表示受付部33の機能を兼ねてもよい。
【0066】
また、端末装置30として表示受付部33と制御部34とが一体的に構成された装置を例に挙げて説明したが、表示受付部33と制御部34とが通信可能な別体の構成であってもよい。制御部34を構成する部分は、ネットワークを介してデータセンター等に配備される構成(クラウド)であってもよい。
【0067】
(その他の変形例)
上記実施形態及び変形例では、管理制御部34Aと稼働制御部34Bとが一体的に構成された端末装置30を例に挙げて説明したが、管理制御部34Aと稼働制御部34Bとがそれぞれ別体の制御装置(例えば、サーバ装置)として構成されてもよい。
【0068】
また、上記実施形態の製造ラインシステム1では、複数の製造ライン10の物品処理装置を操作可能な一つの端末装置30(第一受付部)が設けられている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、一つの製造ライン10ごとに一つの端末装置30が設けられてもよい。このような端末装置30は、対応する製造ライン10の状況のみを確認でき(他の製造ライン10は確認できない)、対応する製造ライン10の物品処理装置のみを操作可能(他の製造ライン10の物品処理装置は確認できない)にする仕様とすることができる。そして、この端末装置30が、対応する製造ライン10を目視できる場所に据え付けることで、意図しない製造ライン10を操作及び設定変更することを防止できたり、製造ライン10の状況を目視にて確認しながら稼働させたりすることができる。なお、製造ライン10ごとに端末装置30が設けられる場合でも、他の製造ライン10の状況を確認でき、他の製造ライン10の物品処理装置を操作可能にする仕様としてもよい。
【0069】
このように、複数の端末装置30が設けられる場合であっても、端末装置30と一体又は別体として設けられる記憶部31を介して、端末装置30は、対応する製造ライン10の状況及び設定情報だけでなく、他の製造ライン10の状況及び設定情報を取得することができる。また、記憶部31についても複数の製造ライン10の情報を一元的に管理する一つの記憶部31を設けるだけでなく、例えば、複数の製造ライン10ごとに複数の記憶部31が設けられてもよい。この場合、複数の記憶部31は、一定の周期で同期が図られても良いし、同期を図らなくても、制御部34は、必要に応じて所望の記憶部31(制御パラメータを取得したい物品処理装置を含む製造ラインを管理する記憶部31)にアクセスして所望の情報を取得するようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態及び変形例において設定画面SC1、管理画面SC2、予約一覧画面SC3及び複製詳細画面SC4の画面構成は一例であり、上述した機能を実現するための情報の表示及び入力が可能であれば、これに限定されるものではない。
【0071】
端末装置30は、各物品処理装置の操作部(操作盤の制御部)をエミュレートして、各物品処理装置の制御部にアクセスしてもよい。端末装置30のエミュレートにより、端末装置30から各物品処理装置の制御部に設定された各種制御パラメータを取り出すことができるので、各物品処理装置に通信による外部出力機能がなかったとしても、端末装置30は必要な制御パラメータを取得できる。また、端末装置30のエミュレートにより、端末装置30から各物品処理装置の制御パラメータを設定することができるので、各物品処理装置に通信による外部取込機能がなかったとしても、端末装置30の記憶部31に記憶されたパラメータにより各物品処理装置を動作させることができる。
【0072】
以上説明した種々の実施形態及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々、組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…製造ラインシステム(物品管理システム)、10(10A~10N)…製造ライン(物品処理装置)、11(11A~11N)…計量装置(物品処理装置)、12(12A~12N)…製袋包装装置(物品処理装置)、13(13A~13N)…シール検査装置(物品処理装置)、14(14A~14N)…重量検査装置(物品処理装置)、15(15A~15N)…箱詰装置(物品処理装置)、21…通信部、22…表示受付部(第三受付部)、23…制御部、30…端末装置(管理装置)、31…記憶部、32…通信部、33…表示受付部(第一受付部・第二受付部)、34…制御部、34A…管理制御部、34B…稼働制御部。