(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】掘削装置および掘削装置の排出口向き変更用回転治具
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20241108BHJP
E21B 10/44 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
E21B7/00 E
E21B10/44
(21)【出願番号】P 2021005648
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
(72)【発明者】
【氏名】荒井 昌彦
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-257363(JP,A)
【文献】特開昭55-136388(JP,A)
【文献】特開平10-169348(JP,A)
【文献】特開平01-097790(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0345574(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0060147(US,A1)
【文献】実開昭54-105109(JP,U)
【文献】実開昭53-107003(JP,U)
【文献】実開昭52-157604(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-19/24
E21B 44/00-44/10
E02D 7/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤掘削可能なスクリューオーガー4を駆動回転させうる内側掘進機構5と、スクリューオーガー4の挿入可能なケーシング6を駆動回転させる外側掘進機構7とを、リーダー2
の正面側に昇降自在に装着し、外側掘進機構7は、ケーシング6を駆動回転させるモーター21とモーター21の回転速度を減速する減速機22を設けた本体側ホルダ23に、本体側ホルダ23に対して縦軸回転可能であって前記スクリューオーガー4が上昇運搬させた排土の排出可能な排出口15
を外周面に有する円筒形状の内管20を設け
、前記外側掘進機構7の本体側ホルダ23は、平面視において中央に円形の挿通孔26を有する側面視横長形状の減速機22の後部と内管20を支持する平面視において中央に円形の挿通孔26を有する側面視横杆形状の上側ホルダ25の後部とを、側面視縦長の後側モーターケース24の上下側にそれぞれ固定状態に取付けると共に、後側モーターケース24内に減速機22を駆動するモーター21を内蔵させる構成とし、前側を自由端として後側モーターケース24にそれぞれ取付けた上側ホルダ25と減速機22と後側モーターケース24とを、リーダー2の前側に取付けた後側モーターケース24を基準に、側面視コの字型状に配置し、減速機22と上側ホルダ25との間に移動空間28を形成し、移動空間28内を排出口15が縦軸回転移動するように内管20を設け、内管20を本体側ホルダ23に対して回転させることにより外側掘進機構7の排出口15から排出する排土の排出方向を変更自在に構成した掘削装置。
【請求項2】
請求項1において、
移動空間28は、平面視において180度の範囲で後側モーターケース24の前方に開口し、少なくとも、内管20の排出口15が平面視において90度の縦軸回転可能に構成した掘削装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、内管20は、内管20の上部に、
放射方向かつ横方向に突出するようにフランジ部33を設け、フランジ部33は上側ホルダ25の上面に当接して内管20を支持する構成とした掘削装置。
【請求項4】
請求項3において、上側ホルダ25の内周面には挿通孔26の中心に向けて突出する振れ止め突起34を、円周方向に所定間隔をおいて複数並設し
、各突起34が内管20の外面に当接して振れ止めさせる構成とした掘削装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4において、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、本体側ホルダ23に対して内管20が回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23
の内周面に設けた係合溝50に、上方から係合する係合突起51を内管20の外周に設け、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させて係合溝50に係合突起51を
係脱させる構成とした掘削装置。
【請求項6】
請求項5において、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対する上動を規制する上動停止機構42を設け、上動停止機構42は本体側ホルダ23に
開口させて設けた挿通孔45に挿入する係合ピン46と、係合ピン46に係合する係合部47とにより構成した掘削装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6において、内管20が本体側ホルダ23に対して回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23に設けた係合溝50、上方から係合する係合突起51を内管20に設けて構成し、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させる回転用治具40を内側掘進機構5に取付け、回転用治具40により内管20の上下と回転を行う構成とした掘削装置
の排出口向き変更用回転治具。
【請求項8】
請求項7において、回転用治具40は内側掘進機構5に取付ける回転軸部62と内管20を上下させる円板部55を有して構成した掘削装置
の排出口向き変更用回転治具。
【請求項9】
請求項8において、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55に下側から係合して支持する支持位置と、円板部55を支持しない待機位置との間位置切替自在に支持部材60を設けた掘削装置
の排出口向き変更用回転治具。
【請求項10】
請求項9において、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55を支持する係合部材57を着脱自在に設けた掘削装置
の排出口向き変更用回転治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置および開口方向変更方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内側掘進機構によりスクリューオーガーを駆動し、外側掘進機構によりケーシングを駆動し、外側掘進機構の下部に設けた排土カップリングから排土を排出する構成は公知である(特許文献1参照)。
なお、該公知公報には、どのようにして、掘削土を排土するかの記載はないが、排土カップリングから排土カップリング中心に360度全域に排土を排出する方法と、外側掘進機構の所定位置に設けた排出口から排土する方法が、従来行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の排土方法のうち、排土を回転軸を中心に360度全域に排出する排出方法では、装置の全周に排出された排土の、その後の運搬処理が面倒困難であるという課題がある。
前記公知例の排土方法のうちの後者の、所定位置の排出口からの排土方法では、排土の運搬は容易になるが、排出方向が正面部に限られているため、敷地境界を考慮し、排土分のスペースを確保する必要から、施工箇所に制約が生じるという課題があった。
本願は、外側掘進機構および排出口の構成を工夫し、排土方向の変更を可能にして、排土処理の容易化と排土処理に伴う施工の制限を緩和することを図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、地盤掘削可能なスクリューオーガー4を駆動回転させうる内側掘進機構5と、スクリューオーガー4の挿入可能なケーシング6を駆動回転させる外側掘進機構7とを、リーダー2の正面側に昇降自在に装着し、外側掘進機構7は、ケーシング6を駆動回転させるモーター21とモーター21の回転速度を減速する減速機22を設けた本体側ホルダ23に、本体側ホルダ23に対して縦軸回転可能であって前記スクリューオーガー4が上昇運搬させた排土の排出可能な排出口15を外周面に有する円筒形状の内管20を設け、前記外側掘進機構7の本体側ホルダ23は、平面視において中央に円形の挿通孔26を有する側面視横長形状の減速機22の後部と内管20を支持する平面視において中央に円形の挿通孔26を有する側面視横杆形状の上側ホルダ25の後部とを、側面視縦長の後側モーターケース24の上下側にそれぞれ固定状態に取付けると共に、後側モーターケース24内に減速機22を駆動するモーター21を内蔵させる構成とし、前側を自由端として後側モーターケース24にそれぞれ取付けた上側ホルダ25と減速機22と後側モーターケース24とを、リーダー2の前側に取付けた後側モーターケース24を基準に、側面視コの字型状に配置し、減速機22と上側ホルダ25との間に移動空間28を形成し、移動空間28内を排出口15が縦軸回転移動するように内管20を設け、内管20を本体側ホルダ23に対して回転させることにより外側掘進機構7の排出口15から排出する排土の排出方向を変更自在に構成した掘削装置としたものである。
請求項2の発明は、移動空間28は、平面視において180度の範囲で後側モーターケース24の前方に開口し、少なくとも、内管20の排出口15が平面視において90度の縦軸回転可能に構成した掘削装置としたものである。
請求項3の発明は、内管20は、内管20の上部に、放射方向かつ横方向に突出するようにフランジ部33を設け、フランジ部33は上側ホルダ25の上面に当接して内管20を支持する構成とした掘削装置としたものである。
請求項4の発明は、上側ホルダ25の内周面には挿通孔26の中心に向けて突出する振れ止め突起34を、円周方向に所定間隔をおいて複数並設し、各突起34が内管20の外面に当接して振れ止めさせる構成とした掘削装置としたものである。
請求項5の発明は、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、本体側ホルダ23に対して内管20が回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23の内周面に設けた係合溝50に、上方から係合する係合突起51を内管20の外周に設け、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させて係合溝50に係合突起51を係脱させる構成とした掘削装置としたものである。
請求項6の発明は、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対する上動を規制する上動停止機構42を設け、上動停止機構42は本体側ホルダ23に開口させて設けた挿通孔45に挿入する係合ピン46と、係合ピン46に係合する係合部47とにより構成した掘削装置としたものである。
請求項7の発明は、内管20が本体側ホルダ23に対して回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23に設けた係合溝50、上方から係合する係合突起51を内管20に設けて構成し、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させる回転用治具40を内側掘進機構5に取付け、回転用治具40により内管20の上下と回転を行う構成とした掘削装置の排出口向き変更用回転治具としたものである。
請求項8の発明は、回転用治具40は内側掘進機構5に取付ける回転軸部62と内管20を上下させる円板部55を有して構成した掘削装置の排出口向き変更用回転治具としたものである。
請求項9の発明は、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55に下側から係合して支持する支持位置と、円板部55を支持しない待機位置との間位置切替自在に支持部材60を設けた掘削装置の排出口向き変更用回転治具としたものである。
請求項10の発明は、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55を支持する係合部材57を着脱自在に設けた掘削装置の排出口向き変更用回転治具としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、外側掘進機構7に向き変更可能な排出口15を設けているので、土砂排出を気にせずに掘削装置Kの設置が可能となり、さらに、排土方向を掘削装置Kの正面から角度をつけることが可能となり、これにより、排土方向が固定されて、排土方向も任意に選択が出来るようになった為、機械を敷地境界まで寄せることが可能になり、排土による施工の制限が無くなり、掘削作業の容易化および効率化を図ることができる。
請求項2の発明では、移動空間28は、180度の範囲で減速機22の前方に開口し、少なくとも、内管20の排出口15が90度の縦軸回転可能に構成しているので、排土方向の選択範囲を十分に確保でき、掘削装置の敷地境界までの接近を容易にする。
請求項3の発明では、内管20は、内管20の上部に、上側ホルダ25の上面に当接して内管20を支持するフランジ部33を設けているので、フランジ部33により内管20の上部を本体側ホルダ23により支持することができ、外側掘進機構7の構成を簡素にしつつ、内管20の回転操作を簡単にできる。
すなわち、仮に、内管20の上下両側部分を本体側ホルダ23側に連結して支持する構成とすると、内管20を回転させるとき、上下両側の支持の連結構成の取り外し操作が必要になるが、本発明では単にフランジ部33により外側掘進機構7の本体側ホルダ23に載置すればよく、簡単に内管20を回転させることができる。
請求項4の発明では、上側ホルダ25の内周面には挿通孔26の中心に向けて突出する振れ止め突起34を円周方向に所定間隔をおいて複数並設しているので、本体側ホルダ23の挿通孔26に内管20を挿入すると、上側ホルダ25の振れ止め突起34が内管20の外周面に当接して、内管20の芯が振れるのを固定でき、これにより、内管20を本体側ホルダ23に対して円滑に回転させることができる。
請求項5の発明では、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、本体側ホルダ23に対して内管20が回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23に設けた係合溝50に、上方から係合する係合突起51を内管20の外周に設け、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させて係合溝50に係合突起51を係合させる構成としているので、通常の掘削作業中、本体側ホルダ23に対して内管20および排出口15の回転を回転停止機構41により停止させることができる。
請求項6の発明では、内管20と外側掘進機構7の本体側ホルダ23との間には、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対する上動を規制する上動停止機構42を設け、上動停止機構42は本体側ホルダ23に設けた挿通孔45に挿入する係合ピン46と、係合ピン46に係合する係合部47とにより構成しているので、通常の掘削作業中、本体側ホルダ23に対して内管20が上動するのを防止することができる。
請求項7の発明では、内管20が本体側ホルダ23に対して回転するのを規制する回転停止機構41を設け、回転停止機構41は本体側ホルダ23に設けた係合溝50に、上方から係合する係合突起51を内管20に設けて構成し、内管20を本体側ホルダ23に対して上下動させる回転用治具40を内側掘進機構5に取付け、回転用治具40により内管20の上下と回転を行う構成としたので、内管20および排出口15の本体側ホルダ23に対する向きを回転用治具40により容易に変更することができる。
請求項8の発明では、回転用治具40は内側掘進機構5に取付ける回転軸部62と内管20を上下させる円板部55を有して構成しているので、回転用治具40を簡素に構成することができる。
請求項9の発明では、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55に下側から係合して支持する支持位置と、円板部55を支持しない待機位置との間切替自在に支持部材60を設けているので、回転用治具40を使用した内管20および排出口15の本体側ホルダ23に対する向き変更操作を容易にすることができる。
請求項10の発明では、内管20のフランジ部33には、回転用治具40の円板部55を支持する係合部材57を着脱自在に設けているので、内管20および排出口15の本体側ホルダ23に対する向き変更操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】外側掘進機構の本体側ホルダの平面図および側面図と、横断平面図および縦断側面図。
【
図9】回転用治具を吊設した状態の正面図および側面図。
【
図10】回転用治具を外側掘進機構の上側ホルダに載置した状態の側面図。
【
図11】回転用治具に内側掘進機構を連結した状態の側面図。
【
図12】内側掘進機構に連結した回転用治具を上昇させた状態の側面図および支持部材の切替状態側面図。
【
図13】上動停止機構を設けた外側掘進機構の側面図。
【
図15】外側掘進機構の回転停止機構の側面図および平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図により説明する。1はベースマシン、2はベースマシン1に設けたリーダーである。リーダー2には、掘削装置Kの一部を構成する、外周面にスクリュー部3を有するスクリューオーガー4を駆動する内側掘進機構5と、掘削装置Kの一部を構成する、前記スクリューオーガー4による掘削から地盤を保護するケーシング6を駆動回転させる外側掘進機構7とを、昇降自在に取付ける。
前記外側掘進機構7は内側掘進機構5の下方に位置してリーダー2に取付けられ、外側掘進機構7の下部には外側カップリング8を設ける。外側カップリング8には前記ケーシング6を取付固定し、かつ、外側カップリング8を介して外側掘進機構7の駆動回転力を伝達して回転させる。
ケーシング6は、下端に設けた掘削刃10の回転と、外側掘進機構7による圧入とにより地盤を掘削下降する。
【0009】
内側掘進機構5には下部カップリング9を介して前記スクリューオーガー4の上部を取り付け(
図1)、スクリューオーガー4の下端には地盤の掘削する掘削ヘッド11を設けている。
前記スクリューオーガー4は上方からケーシング6内に挿通され、スクリューオーガー4の外周面に設けたスクリュー部3により、掘削ヘッド11が掘削した土砂を上昇運搬させる。
上昇運搬した土砂は、外側掘進機構7の所定位置に設けた排出口15から排土することになる。
この場合、従来では、単に、外側掘進機構7の所定位置に外側掘進機構7を中心に360度全域に排出するように設けていたので、排出された土砂の運搬処理等のその後の後処理が面倒であった。
【0010】
また、外側掘進機構7の所定部分に位置固定状態に排出口15を設けた構成では、排出方向が限られているため、施工現場の敷地境界を考慮し、排土分のスペースを確保する必要があり、施工上の制約となっていた。
すなわち、予め排土スペースを確保しつつ、ベースマシン1の掘削装置Kの排出口15を排土スペースに対峙させて設置する必要があり、施工上の制約になっていた。
本願は、外側掘進機構7には、排出口15付きの内管(回転筒体)20を設け、内管20を回転させることで排出口15の向きを変更可能に構成し、これにより、掘削装置Kの敷地境界まで寄せることが可能となり、排土による施工の制約を小さくできる。
すなわち、外側掘進機構7は、ケーシング6を駆動回転させるモーター21と、モーター21の回転速度を地盤に適した回転速度に減速する減速機22とを有するメインフレームとなる本体側ホルダ23に前記排出口15付きの内管20を回転自在に取付け、内管20を回転させることにより外側掘進機構7の排出口15から排出する排土の排出方向を変更自在に構成する。
【0011】
そのため、従来の掘削装置Kの排土方向固定による施工不能状態を回避し、施工上の制約を解消させて掘削装置Kの汎用性を向上させている。
具体的には、外側掘進機構7は、下側の減速機22と上側の上側ホルダ25と、減速機22と上側ホルダ25を連結するように設けた後側モーターケース24を側面視において「コ」の字型状に配置し、減速機22と上側ホルダ25との間に所定の大きさの内管20の排出口15を露出させ、露出した排出口15が回転移動しうる、上側ホルダ25の挿通孔26と連通する移動空間28を減速機22と上側ホルダ25との間に形成し、移動空間28内に排出口15を配置し、内管20を外側掘進機構7に対して回転させることで内管20の排出口15の向きを変更する構成としている。
【0012】
本実施形態では、平面視において、移動空間28は略180度の範囲で減速機22の前方に開口し、移動空間28に嵌合させた内管20の排出口15は略90度程度縦軸回転可能に構成している。
そのため、内管20の排出口15は略90度程度の範囲で開口向きの変更が可能となる。
内管20の構成は任意であるが、一例を示すと、内管20は円筒状に形成し、内管20の所定位置に前記排出口15を設け、排出口15は内管20の内面と外面とを連通させて形成し、排出口15の周囲に外側に突出するように板部材を設けて排土排出シュート31を設ける。
内管20を支持する外側掘進機構7の本体側ホルダ23の構成は任意であるが、一例を示すと、下部にケーシング6を固定する外側カップリング8を設け、外側カップリング8の上方にモーター21の回転速度を地盤に適した回転速度に減速する減速機22を設け、減速機22の後側に後側モーターケース24を設ける。
【0013】
後側モーターケース24の上部には前記減速機22と対峙するように前記上側ホルダ25を設ける。上側ホルダ25の挿通孔26に内管20を上方より挿入し、内管20の上部全周に設けたフランジ部33の下面を外側掘進機構7の上側ホルダ25の上面に載置する。
上側ホルダ25は内管20を挿通しうる挿通孔26があればよく、平面視において横向きUの字形状に形成し、上側ホルダ25の基部を後側モーターケース24に固定状態に取付ける。
上側ホルダ25の内周面には挿通孔26の中心に向けて突出する振れ止め突起34を円周方向に所定間隔をおいて複数並設する。振れ止め突起34は内管20の外周面に当接して、内管20の芯が振れるのを固定する(
図8、なお、作図の都合上、振れ止め突起34は内管20の外周面に当接させていない)。
なお、減速機22にも上側ホルダ25の挿通孔26と同芯の挿通孔26を設けている。
【0014】
また、後側モーターケース24内には前記モーター21を内蔵させ、図示は省略するが、モーター21の出力軸と減速機22とを伝動部材により連結している。
内管20を回転させる回転構成(方法)は任意であるが、少なくとも、ベースマシン1を移動させずに、外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して内管20のみを回転させる構成とする。
そのため、掘削装置Kが掘削した縦掘削穴中心に対して外側掘進機構7の軸心位置を変更させること無く、外側掘進機構7からの排土方向を変更でき、掘削装置Kの施工作業効率を低下させずに、排土処理可能とする。
【0015】
図6は内管20を回転させる回転用治具40を示し、回転用治具40は内側掘進機構5にスクリューオーガー4に変えて取付ける構成とし、回転用治具40に内管20を取付け、内管20を内側掘進機構5の駆動力を利用して外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して回転させ、排出口15の位置を変更させる構成とする。
そのため、掘削装置Kの内側掘進機構5の昇降機構を利用して回転用治具40を上下させ、かつ、内側掘進機構5の駆動力を利用して内管20を回転させて排出口15の向きを変更できるので、既存の掘削装置Kの構成を利用でき、合理的構成となる。
この場合、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して排土方向が変化しないようにする回転停止機構41と、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して上下動しないようにする上動停止機構42を設ける。
上動停止機構42は、本体側ホルダ23の挿通孔45に係合ピン46を着脱自在に挿入し、挿入した係合ピン46の下方に設けた内管20の係合部47を係合させる。
【0016】
回転停止機構41の構成は任意であるが、一例を示すと、本体側ホルダ23の減速機22の挿通孔26の内面側に係合溝50を設け、内管20の外周に係合溝50に係合する係合突起51を設け、回転後の内管20の係合突起51を係合溝50に係合させ、内管20(排出口15)の位置決め(回転止め)を行う構成としている。
すなわち、係合溝50は一対の突起52の間に形成し(
図14)、係合突起51は内管20の回転方向に複数形成し、複数の係合突起51の何れかを係合溝50に上方から選択的に係合させると、内管20(排出口15)が本体側ホルダ23に対して位置決めされ、当然、回転も止められる。なお、
図14の矢印は係合突起51が係合溝50に係合することを指しており、係合させる際の係合方向を意味するものではない。
この場合、
図13に示したように、係合溝50に係合した係合突起51の上方に設けた上動停止機構42の挿通孔45に挿入した係合ピン46を位置させて上動停止させるので、係合溝50に係合した係合突起51が上動停止機構42の係合部47を兼用構成としている。
【0017】
また、回転停止機構41を係合溝50と係合突起51の係合作用により内管20の回転を停止させる構成としたため、回転用治具40に内管20を取付け、内管20を回転用治具40ごと外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して係合溝50から係合突起51が係合離脱するまで上昇させ、この状態で内側掘進機構5の駆動力を利用して回転用治具40ごと、外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して内管20を回転させ、排出口15の位置を変更させる構成とする。
そのため、既存の内側掘進機構5と回転用治具40を利用して、少ない労力で内管20を回転させて、排出口15の向きを変更・設定でき、施工現場の制約を少なくして、施工の汎用性を向上させられる。
【0018】
また、回転用治具40の円板部55には内側掘進機構5の回転力を利用して回転用治具40を回転させるとき、回転に抵抗を与えて内管20の回転操作を容易にするために、回転用治具40の円板部55上面に断面三角状の凹凸突起56を設け、凹凸突起56の凹部に、後述する、係合部材57を係合させている。
なお、
図7では凹凸突起56の図示を省略している。
また、内管20の排土排出シュート31の側部には本体側ホルダ23に当接するストッパー58を設け、内管20の過剰回転により本体側ホルダ23と内管20とが破損するのを防止している。
具体的な回転用治具40の使用例の一例を以下説明する。
先ず、外側掘進機構7の内管20のフランジ部33の支持部材60を内管20の挿通孔26内に突出する支持位置に切り替え、この状態で、内側掘進機構5に上部を係止したワイヤー61の下端を回転用治具40の回転軸部62の上側係止部63に係止し、回転用治具40の円板部55に設けた下側係止部64に別途用意したクレーン(図示省略)に係止したクレーンワイヤー65を係止する(
図9)。
【0019】
次に、本体側ホルダ23の挿通孔45に挿入していた上動停止機構42の係合ピン46を抜いて上動停止機構42のロックを解除する。
次に、回転用治具40を内管20の挿通孔26内に突出する支持位置の支持部材60上に載置し(
図10)、クレーンワイヤー65とワイヤー61を外し、回転用治具40の回転軸部62に内側掘進機構5を下降させて、内側掘進機構5に回転軸部62を連結する(
図11)。
次に、内側掘進機構5を上昇させて、回転用治具40ごと内管20を一旦持ち上げ(
図12)、内管20に設けていた支持部材60を、内管20の挿通孔26から退避する退避位置に切り替え、内側掘進機構5を下降させて、回転用治具40を内管20の挿通孔26内を内管20のフランジ部33よりも下方まで下降させる。
次に、内管20のフランジ部33に係合部材57を取付け、係合部材57を回転用治具40の円板部55の上方に位置させる。
【0020】
この状態で、内側掘進機構5を上昇させると、内側掘進機構5により上昇させられた回転用治具40の円板部55が内管20の係合部材57に係合する(
図13、なお、
図13では内側掘進機構5の図示を省略している)。
さらに、内側掘進機構5を上昇させると、回転用治具40と内管20は体側ホルダ23の挿通孔26を上昇し、回転停止機構41の係合溝50より上方に係合突起51が位置するまで、内管20を回転用治具40により上昇させると(
図15)、回転停止機構41のロックが解除される。
次に、内側掘進機構5の駆動による回転用治具40の回転で内管20を回転させ、内管20の排出口15の向きを変更し、この状態で、内側掘進機構5を下降させ、本体側ホルダ23の係合溝50に係合突起51を係合させ、本体側ホルダ23に対する内管20の回転がロックされ、本体側ホルダ23の挿通孔45に係合ピン46を挿入すると、内管20の上動がロックされて、内管20の排出口15の開口方向の設定、または、変更作業が終了する。
【0021】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、ベースマシン1を施工現場まで走行あるいは運搬し、施工現場にて、リーダー2を起立させ、リーダー2に内側掘進機構5と外側掘進機構7を装着し、内側掘進機構5にスクリューオーガー4を装着し、外側掘進機構7にケーシング6を装着し、スクリューオーガー4とケーシング6により縦杭孔の掘削作業を行う。
なお、スクリューオーガー4の掘削とケーシング6の圧入順序は任意である。
スクリューオーガー4はケーシング6内で回転して地盤を掘削する際に、スクリューオーガー4のスクリュー部3により掘削した土砂を上昇運搬し、外側掘進機構7に設けた排出口15から施工現場の地盤上面に排出する。
この場合、単に、排土をスクリューオーガー4を中心に360度全域に排出すると、排出された残土の運搬処理等のその後の後処理が面倒であり、また、外側掘進機構7の所定位置に排出口15を設けた構成では、排出方向が所定位置に限られているため、施工現場の敷地境界を考慮し、予め、排土スペースを確保する必要があり、敷地境界から所定距離離れてのみしか掘削作業が行えず、施工上の制約となっていた。
【0022】
本願は、外側掘進機構7の本体側ホルダ23に、排出口15付きの内管(回転筒体)20を設け、内管20を本体側ホルダ23に対して回転自在に取付け、内管20に設けた排出口15の向きを変更可能に構成しているので、排出口15からの土砂の排出方向を所望方向とすることができ、敷地境界を考慮した制約から逃れて掘削作業を行うことができ、施工可能範囲を広げることができる。
すなわち、掘削装置Kを敷地境界まで接近させることが可能となり、排土処理による施工制約を小さく(少なく)できる。
本発明の外側掘進機構7は、下側の減速機22と上側の上側ホルダ25と、減速機22と上側ホルダ25を連結するように設けた後側モーターケース24を側面視において「コ」の字型状に配置し、減速機22と上側ホルダ25との間に所定の大きさの内管20の排出口15を露出させ、露出した排出口15が回転移動しうる移動空間28を減速機22と上側ホルダ25との間に形成し、移動空間28内に排出口15を配置し、内管20を外側掘進機構7に対して回転させることで内管20の排出口15の向きを変更する構成としているので、内管20の排出口15は移動空間28内の範囲で変更することができ、排土処理による施工制約を小さく(少なく)できる。
【0023】
本実施形態では、平面視において、移動空間28は略180度の範囲で減速機22の前方に開口し、移動空間28に嵌合させた内管20の排出口15は略90度程度縦軸回転可能に構成しているので、内管20の排出口15は略90度程度の範囲で開口向きの変更が可能となる。
外側掘進機構7は、下部にケーシング6を固定する外側カップリング8を設け、外側カップリング8の上方にモーター21の回転速度を地盤に適した回転速度に減速する減速機22を設け、減速機22の後側に後側モーターケース24を設け、後側モーターケース24の上部には減速機22と対峙するように上側ホルダ25を設け、上側ホルダ25と減速機22の間に移動空間28を設けているので、外側掘進機構7の本体側ホルダ23は内管20を確実に支持しながら、上側ホルダ25と減速機22の間の移動空間28内にて内管20の回転を許容でき、内管20の支持と排出口15の向き変更のための内管20の回転との両立を簡単に実現できる。
【0024】
内管20は、内管20の上部全周に設けたフランジ部33の下面を外側掘進機構7の上側ホルダ25の上面に載置して取付けているので、内管20と本体側ホルダ23の構成を簡素に構成できる。
上側ホルダ25の内周面には挿通孔26の中心に向けて突出する振れ止め突起34を円周方向に所定間隔をおいて複数並設しているので、本体側ホルダ23の挿通孔26に内管20を挿入すると、上側ホルダ25の振れ止め突起34が内管20の外周面に当接して、内管20の芯が振れるのを固定する。
そのため、内管20は本体側ホルダ23に対して円滑に回転させることができる。
内管20を回転させる回転構成は、少なくとも、ベースマシン1を移動させずに、外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して内管20のみを回転させる構成としているので、仮に、掘削作業中の排出口15の向きの変更を行う場合であっても、掘削装置Kが掘削した縦掘削穴中心に対して外側掘進機構7の軸心位置を変更させることなく、外側掘進機構7からの排土方向を変更でき、掘削装置Kの施工作業効率を低下させずに、排土処理可能とする。
【0025】
内管20の回転構成を、スクリューオーガー4に変えて内側掘進機構5に回転用治具40を取付け、回転用治具40に外側掘進機構7の内管20を取付け、内管20を内側掘進機構5の駆動力を利用して外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して回転させ、排出口15の位置を変更させる構成としているので、内側掘進機構5の駆動力を利用して内管20を回転させて排出口15の向きを変更でき、既存の掘削装置Kの構成を利用でき、合理的構成となる。
この場合、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して排土方向が変化しないようにする回転停止機構41と、内管20が外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して上下動しないようにする上動停止機構42を設けているので、内管20の排出口15の向きを設定すると、内管20は外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して上下動と回転が停止させられる。
【0026】
上動停止機構42は、本体側ホルダ23に挿通孔45を設け、挿通孔45に係合ピン46を着脱自在に挿入し、挿入した係合ピン46の下方に設けた内管20の係合部(係合突起51)47を係合させるので、内管20は係合ピン46と係合部(係合突起51)47とにより上下移動が規制される。
回転停止機構41は、本体側ホルダ23の挿通孔26の内面側に係合溝50を設け、内管20の外周に係合溝50に係合する係合突起51を設け、係合溝50に上方から係合突起51を係合させると、内管20(排出口15)が本体側ホルダ23に対して位置決めされ、当然、回転も止められる。
回転停止機構41を係合溝50と係合突起51の係合作用により内管20の回転を停止させる構成としたため、回転用治具40に内管20を取付け、内管20を回転用治具40ごと外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して係合溝50から係合突起51が係合離脱するまで上昇させ、この状態で内側掘進機構5の駆動力を利用して回転用治具40ごと、外側掘進機構7の本体側ホルダ23に対して内管20を回転させ、排出口15の位置を変更させる。
【0027】
そのため、既存の内側掘進機構5と回転用治具40を利用して、少ない労力で内管20を回転させて、排出口15の向きを変更・設定でき、施工現場の制約を少なくして、施工の汎用性を向上させられる。
具体的な回転用治具40の使用例の一例を以下説明すると、先ず、外側掘進機構7の内管20のフランジ部33の支持部材60を内管20の挿通孔26内に突出する支持位置に切り替え、この状態で、内側掘進機構5に上部を係止したワイヤー61の下端を回転用治具40の回転軸部62の上側係止部63に係止し、回転用治具40の円板部55に設けた下側係止部64に別途用意したクレーン(図示省略)に係止したクレーンワイヤー65を係止する(
図9)。
次に、本体側ホルダ23の挿通孔45に挿入していた上動停止機構42の係合ピン46を抜いて上動停止機構42のロックを解除する。
【0028】
次に、回転用治具40を内管20の挿通孔26内に突出する支持位置の支持部材60上に載置し(
図10)、クレーンワイヤー65とワイヤー61を外し、回転用治具40の回転軸部62に内側掘進機構5を下降させて、内側掘進機構5に回転軸部62を連結する(
図11)。
次に、内側掘進機構5を上昇させて、回転用治具40ごと内管20を一旦持ち上げ(
図12)、内管20に設けていた支持部材60を、内管20の挿通孔26から退避する退避位置に切り替え、内側掘進機構5を下降させて、回転用治具40を内管20の挿通孔26内を内管20のフランジ部33よりも下方まで下降させる。
次に、内管20のフランジ部33に係合部材57を取付け、係合部材57を回転用治具40の円板部55の上方に位置させる。
この状態で、内側掘進機構5を上昇させると、内側掘進機構5により上昇させられた回転用治具40の円板部55が内管20の係合部材57に係合する(
図13)。
【0029】
さらに、内側掘進機構5を上昇させると、回転用治具40と内管20は体側ホルダ23の挿通孔26を上昇し、回転停止機構41の係合溝50より上方に係合突起51が位置するまで、内管20を回転用治具40により上昇させると(
図15)、回転停止機構41のロックが解除される。
次に、内側掘進機構5の駆動による回転用治具40の回転で内管20を回転させ、内管20の排出口15の向きを変更し、この状態で、内側掘進機構5を下降させ、本体側ホルダ23の係合溝50に係合突起51を係合させ、本体側ホルダ23に対する内管20の回転がロックされ、本体側ホルダ23の挿通孔45に係合ピン46を挿入すると、内管20の上動がロックされて、内管20の排出口15の開口方向の設定、または、変更作業が終了する。
【符号の説明】
【0030】
1…ベースマシン、2…リーダー、3…スクリュー部、4…スクリューオーガー、5…内側掘進機構、6…ケーシング、7…外側掘進機構、8…外側カップリング、9…下部カップリング、10…掘削刃、11…掘削ヘッド、15…排出口、20…内管、21…モーター、22…減速機、23…本体側ホルダ、24…後側モーターケース、25…上側ホルダ、26…挿通孔、28…移動空間、31…排土排出シュート、33…フランジ部、34…振れ止め突起、40…回転用治具、41…回転停止機構、42…上動停止機構、45…挿通孔、46…係合ピン、47…係合部、50…係合溝、51…係合突起、52…突起、55…円板部、56…凹凸突起、57…係合部材、60…支持部材、61…ワイヤー、62…回転軸部、63…上側係止部、64…下側係止部、65…クレーンワイヤー。