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  • 特許-密封型マイクロポンプ 図1
  • 特許-密封型マイクロポンプ 図2
  • 特許-密封型マイクロポンプ 図3
  • 特許-密封型マイクロポンプ 図4A
  • 特許-密封型マイクロポンプ 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】密封型マイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/135 20210101AFI20241108BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20241108BHJP
   A61M 60/806 20210101ALI20241108BHJP
   A61M 60/825 20210101ALI20241108BHJP
   A61M 60/419 20210101ALI20241108BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/232
A61M60/806
A61M60/825
A61M60/419
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021517195
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076002
(87)【国際公開番号】W WO2020064911
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】102018216695.1
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】ストッツ, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ベット, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ミンゼンメイ, ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】アイベルガー, ファビアン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0004959(US,A1)
【文献】特表2010-534080(JP,A)
【文献】国際公開第2017/162619(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0041934(US,A1)
【文献】国際公開第2010/119267(WO,A1)
【文献】米国特許第04846152(US,A)
【文献】特表2001-515374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/135
A61M 60/232
A61M 60/806
A61M 60/825
A61M 60/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システムであって、該心臓補助システムは密閉型マイクロポンプを含み、該密閉型マイクロポンプは、
一体型モーターと、
当該マイクロポンプのハウジング内に流体流を生成するための少なくとも一つのインペラと、を含み、
前記少なくとも一つのインペラは、前記ハウジング内で前記インペラのインペラピンを支持するように構成されているスパイダーベアリングを含むラジアルスライドベアリングを含み、
前記インペラピンは、前記スパイダーベアリングの材料とは異なる材料で構成されている覆いを含み、該覆いはキャップを含み、該キャップは前記スパイダーベアリングを超えて延びる延長部を含み、
前記スパイダーベアリングは、一つまたは複数の開口部を画定する一つまたは複数のスパイダーベアリング支柱を含み、
前記一つまたは複数のスパイダーベアリング支柱は、前記ハウジングの最外壁部の内面と前記スパイダーベアリングとの間に延在する、心臓補助システム。
【請求項2】
前記インペラピンおよび前記スパイダーベアリングはそれぞれ、金属材料を含み、前記インペラピンの前記覆いはプラスチック材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インペラピンおよび前記スパイダーベアリングはそれぞれ、チタンを含み、前記インペラピンの前記覆いはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記インペラピンは、前記覆いの領域で先細になる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
ベアリング領域における前記インペラピンの前記覆いの半径方向断面は、前記ベアリング領域の外部における前記インペラピンの半径方向断面と同一である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記インペラピンの前記覆いは、コーティングを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インペラピンの前記覆いは、スリーブを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記インペラピンの前記覆いは、前記スパイダーベアリングを超えて延びている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記延長部は、先細になっている、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記延長部は、円錐形または半楕円形である、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記密閉型マイクロポンプは、血液を圧送するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記密閉型マイクロポンプの外径は、最大10mmである、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
心臓補助システムであって、該心臓補助システムは密閉型マイクロポンプを含み、該密閉型マイクロポンプは、
一体型モーターと、
当該マイクロポンプのハウジング内に流体流を生成するための少なくとも一つのインペラと、を含み、
前記少なくとも一つのインペラは、前記ハウジング内で前記インペラのインペラピンを支持するように構成されているスパイダーベアリングを含むラジアルスライドベアリングを含み、
前記インペラピンは、前記スパイダーベアリングの材料とは異なる材料で構成されている覆いを含み、該覆いはキャップを含み、該キャップは前記スパイダーベアリングを超えて延びる延長部を含み、
前記スパイダーベアリングは、一つまたは複数のスパイダーベアリング支柱を介して前記ハウジングに接続され
前記一つまたは複数のスパイダーベアリング支柱は、前記ハウジングの最外壁部の内面と前記スパイダーベアリングとの間に延在する、心臓補助システム。
【請求項14】
前記インペラピンおよび前記スパイダーベアリングはそれぞれ、金属材料を含み、前記インペラピンの前記覆いはプラスチック材料を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記インペラピンおよび前記スパイダーベアリングはそれぞれ、チタンを含み、前記インペラピンの前記覆いはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記インペラピンは、前記覆いの領域で先細になる、請求項13~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
ベアリング領域における前記インペラピンの前記覆いの半径方向断面は、前記ベアリング領域の外部における前記インペラピンの半径方向断面と同一である、請求項13~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記インペラピンの前記覆いは、コーティングを含む、請求項13~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記インペラピンの前記覆いは、スリーブを含む、請求項13~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記インペラピンの前記覆いは、前記スパイダーベアリングを超えて延びている、請求項13~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記延長部は、先細になっている、請求項13~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記延長部は、円錐形または半楕円形である、請求項13~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記密閉型マイクロポンプは、血液を圧送するように構成されている、請求項13~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記密閉型マイクロポンプの外径は、最大10mmである、請求項13~23のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロポンプのハウジング内に流体流を生成するための、一体型モータおよび少なくとも一つのインペラを備える密封型マイクロポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
心不全を有する患者の心血管補助を提供するため、心臓のポンプ機能の一部またはさらにはポンプ機能の全部を引き継ぐシステムが使用される。侵襲的に植込まれる心臓の外側に配置されるシステムに加え、機械的ポンプとして、特に心臓の左心室および隣接する大動脈に低侵襲的に挿入されるシステムも公知である。左心室から継続的に血液を大動脈中に送り込むことにより、心不全患者の体内で十分な酸素を豊富に含む血液が循環する。米国特許出願公開第2013/0303833号明細書は、例えば、内部に配置されたローターによってハウジング内で血流が生成される、植込可能な血液ポンプについて記述する。
【0003】
それらは低侵襲的に植込まれるため、これらのシステムは、特に、例えば、外径が10mm以下であるなど、半径方向円周という観点で非常に小さくなければならない。構成要素の小型化のためのこれらの要件は、大きな課題を呈する。
【0004】
これに基づいて、本発明の根底にある目的は、当技術分野で公知のマイクロポンプおよびシステムをさらに改善し、高信頼性および長寿命を備えながら、流体または血液を送達するための可能な限り最高の効率を達成することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、駆動用の一体型電動モータを備えた遠心ポンプの原理に基づく、低侵襲性植込み用途のために血液ポンプを使用するという発想から開始する。必要な血流は、インペラによって生成される。このようなシステムでは、モータは完全に密封されるべきである。トルクは、永久磁石式磁気カップリング(ラジアルロータリーカップリング)を介して接触することなく伝達され得る。これを行うためには、通常、インペラを半径方向および軸方向に支持する必要がある。流体流のための凹部または穴を含むいわゆるスパイダーベアリングは、半径方向支持のためにハウジング側の上に提供され得る。
【0006】
本発明は、一体型モータを備え、マイクロポンプのハウジング内に流体流を生成するための少なくとも一つのインペラを備え、それによって、ポンプは、ハウジング内のポンプのインペラのインペラピンを支持するためのスパイダーベアリングを有するラジアルスライドベアリングを備える、密封型マイクロポンプを提供する。本発明の重要な要素は、インペラピンが、スパイダーベアリングとは異なる材料で作製された覆いを有することである。覆いは、インペラピンに固定接続される。この構成により、このスライドベアリングに対して摩擦学的に有利な材料の組み合わせを実現することが可能となり、同時に、インペラピンのベアリング配置のためのスペースの節約も可能になる。公知のマイクロポンプと比較して、前述の省スペース化は、インペラピンを囲むスパイダーベアリングの凹部を拡大するために使用され得る。これは、この領域における圧力損失を低減させるという大きな利点を有する。
【0007】
ラジアルスライドベアリングに必要な空間は、必然的に流れに対する抵抗を表す。本発明による解決法によって、スパイダーベアリングの中央開口部の内部にベアリングブッシングを特に必要としないため、スパイダーベアリング内の流体流のために開口部を拡大することが可能となる。インペラピンとスパイダーベアリングとの間の直接的な材料ペアリングの摩擦学的に有利な回避は、通常、両方の金属材料、例えば、チタンと、異なる材料、特にプラスチックから作製された中間構成要素によって作製され、本発明によって提供されるこのような異なる材料によるインペラピンの覆いによって実現される。全体的に、これは、ラジアルスライドベアリングにおける圧力損失を最小化することができ、ポンプの効率を向上させる。マイクロポンプの動作中、より低い回転速度がさらに可能であり、その結果、全体的にベアリング摩耗が少なく、搬送される流体もより穏やかに搬送され得るため、例えば、血管内血液ポンプの場合、繊細な血液成分への損傷が少ない。概して、密封型マイクロポンプの構成、特に、その中に提供されるインペラのためのラジアルスライドベアリングは、マイクロポンプの信頼性および寿命を損なうことなく、流体の流動抵抗の大幅な減少を可能にする。
【0008】
記載の密封型マイクロポンプを製造するために、金属材料は、有利にはインペラピンおよびスパイダーベアリングホイールの材料として選択され、インペラピンの覆いはプラスチックから作製される。インペラピンおよびスパイダーベアリングは、特にチタンから作製され得る。インペラピンの覆いは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作製されることが好ましい。
【0009】
密封型マイクロポンプの特に好ましい構成では、インペラピンの断面は、覆いの領域で先細りする。したがって、スパイダーベアリングのために利用可能な設置スペースは、特に有利に増大され得る。インペラピンを先細にすることにより、ベアリング領域内のインペラピンの覆いを、ベアリング外部のインペラピンの領域に対して半径方向断面の増大がないように構成することが可能となる。スパイダーベアリングに対する効果は、スパイダーベアリング内部の従来的な解決法において提供されるベアリングブッシングに必要な空間が完全に利用可能であり、それゆえ、スパイダーベアリングおよびその流体のための通過開口部が、対応してより大きく設計され得ることである。
【0010】
特に好ましい構成では、インペラピンの覆いは、スリーブまたはコーティングによって形成され、特にプラスチック、好ましくはポリエーテルエーテルケトンで作製され、これは、例えば、接着またはオーバーモールドによって、インペラピンに強固にかつ原則的に永久的に接続される。0.2~0.3mm、特に0.25mmの壁厚を有するスリーブが特に好適である。より薄いまたはより厚い層厚も可能である。インペラおよび覆いは、一体型構成要素を形成し得、それによって、摩擦学的に負荷が加えられるインペラピンの外径を被覆し得る。スパイダーベアリングの内径が、代替的にまたは追加的に被覆されることも、原則的には可能である。
【0011】
マイクロポンプの他の特に好ましい構成では、インペラピンの覆いは、スパイダーベアリングを超えた延長部を含むキャップを形成する。この延長部は、好ましくは、上流方向に先細になり、それによって、分離領域を減少させて、混雑領域を減少させることによって、ベアリング周りのより良い流れ制御を可能にし、それによって圧力損失の低減およびマイクロポンプの効率の向上に寄与する、流れに関して非常に有利な形状を形成する。キャップの延長部については、特に円錐形状または半楕円形状が好ましい場合がある。
【0012】
密封型マイクロポンプは、特に有利には、血液ポンプ、特に微小侵襲的用途のための血管内血液ポンプであり得る。マイクロポンプは、例えば、補助人工心臓システムの構成要素とし得る。ここで提案するマイクロポンプの改善は、設置スペースが非常に小さいシステムにおいて特に効果的であるため、血管内血液ポンプについてここに記載されるマイクロポンプの利点が重要な要素である。本明細書に記述される密封型マイクロポンプの外径は、低侵襲的に埋込まれる血液ポンプの要件が完全に考慮に入れられるように、好ましくは10mm以下である。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面と併せて、以下の設計例の説明から明らかになる。個々の特徴は、個別に、または互いに組み合わせて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は以下を示す。
【0015】
図1図1は、本発明の出発点として現在の開発の、一体型モータを含む密封型マイクロポンプの(長手方向断面の部分的断面)図である。
図2図2は、図1の密封型マイクロポンプのインペラピンのラジアルスライドベアリングを通る長手方向断面図である。
図3図3は、本発明の好ましい実施形態における密封型マイクロポンプのインペラピンのラジアルスライドベアリングを通る長手方向断面である。
図4図4は、図2のラジアルスライドベアリング(図4A)、および図3の発明によるスライドベアリング(図4B)の実施形態の比較断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、断面におけるこのようなポンプの現在の開発による、完全な密封型マイクロポンプ10の水力学的に活性な部分を示す。このマイクロポンプ10は、低侵襲的植込み(血管内血液ポンプ)のための血液ポンプであることが特に意図される。マイクロポンプ10は、一体型電動モータによって駆動され、そのモータシャフト11がここに示される。インペラブレード(ブレード)12を有するローターまたはインペラ19は、ピボットベアリング13を介して半径方向および軸方向に支持され、それによってトルクは永久磁石式磁気カップリング14を介して伝達される。必要な血流は、インペラ19によって密封型血液ポンプ10のハウジング15内に生成される。ある意味では、インペラ19は、ハウジングによって囲まれたプロペラ(インペラ)を形成する。矢印20は、磁気的な作用力を示す。矢印21は、油圧有効力を示す。インペラ19のインペラピン190(ベアリングピン)は、上流に位置するラジアルスライドベアリング16を介してさらに支持される。ラジアルスライドベアリング16は、その中に挿入されるベアリングブッシング18を有するスパイダーベアリング17、およびベアリングブッシング18の内部で回転するインペラピン190を含む。ベアリングブッシング18は、インペラピン190とスパイダーベアリング17との間の摩擦的に好ましくない材料ペアリング、例えば、高度の摩耗に関連するチタン-チタン材料ペアリングを避けるために提供される。ベアリングブッシング18は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作製することができ、その結果、非常に低い摩擦および耐摩耗性である摩擦学的に有利なPEEK-チタン材料ペアリングが、ベアリングブッシング18とインペラピン190との間に存在する。
【0017】
ハウジング15内の血流は、インペラ19の回転によって生成される。スパイダーベアリング17は、血液のための複数の入口開口部を含む。それにもかかわらず、スパイダーベアリング17は断面を収縮させ、その結果ボトルネックが生じるため、スパイダーベアリングの領域に圧力損失がある。インペラ19のベースの領域では、マイクロポンプ10のハウジング15内に開口部22があり、それを通して流体、特に血液が移動し、流出する。
【0018】
図2は、長手方向断面の図1によるマイクロポンプ10の構成要素としてのインペラブレード12を有するインペラ19のインペラピン190の半径方向支持のためのスライドベアリング16の領域を示す。インペラピン190は、ベアリングブッシング18の内側に回転可能に取り付けられ、それによって、インペラピン190とベアリングブッシング18との間に狭いベアリングギャップ31が提供される。ベアリングブッシング18は、スパイダーベアリング17の内側に位置する。領域32は、流体、特に血液が流れ得るスパイダーベアリング17の開口部を示す。
【0019】
一方、図3は、本発明による密封型マイクロポンプ100の好ましい実施形態を示し、それによって、この図はまた、スライドベアリング116の領域も示す。本明細書に示す本発明による密封型マイクロポンプ100の断面は、インペラブレード112を有するインペラ119のインペラピン1190を示し、それによって、インペラピン1190はスライドベアリング116内に回転可能に取り付けられる。マイクロポンプ100のハウジング150の内部で、スパイダーベアリング117は、ラジアルスライドベアリング116の領域に位置する。スライドベアリング116の領域では、インペラピン1190は先細である。先細のインペラピン1190は、覆い118によって囲まれる。この覆い118は、スパイダーベアリング117のそれとは異なる材料から作製される。覆い118は、特にPEEKで作製することができ、スパイダーベアリング117は、金属材料、特にチタンで作製することができる。
【0020】
覆い118とスパイダーベアリング117との間には、狭いベアリングギャップ131がある。したがって、PEEKで被覆されたインペラピン1190は、スパイダーベアリング117の中央凹部内で回転し、それによって、例えば、PEEKとチタンとの摩擦学的に有利な材料ペアリングを実現する。図2のスライドベアリングと比較して、本発明による解決法では、ベアリングブッシング18は、ある意味で、覆い118によって置き換えられ、それによって全直径は変化しない。この置き換えの結果として、ベアリングブッシング18によって必要とされる空間を他の目的に使用することができるが、流体流のために提供されるスパイダーベアリング117内部の開口部132はさらに拡大され得る。したがって、同じ機能的ベアリング寸法(例えば、ベアリング直径1mm、ベアリングギャップ10μm、および覆い0.25mmの壁厚)では、流れに対してより大きな断面が得られる。
【0021】
覆い118はまた、特に好ましくは、覆い118を上流に延在させた、適切に成形された結果として、流れの面で利点を提供するキャップ1180の形態で実装され得る。キャップ1180の形状は、特に、上流、特に円錐形状または半楕円形状で減少する直径を有し得る。したがって、ベアリング116の周りの改善された流れ制御が実現され得、その結果、圧力損失がさらに低減され、マイクロポンプ100の効率が増大する。
【0022】
図4は、図1の断面のスライドベアリング(補助的な図4A)におけるマイクロポンプ10と比較して、スライドベアリング(補助的な図4B)の領域における本発明によるマイクロポンプ100の構成を示す。補助的な図4Aの図は、ベアリングギャップ31によって分離されたベアリングブッシング18の内側に回転可能に取り付けられたインペラピン19を有するスライドベアリングを示す。ベアリングブッシング18は、スパイダーベアリング17の内側に位置し、スパイダーベアリング支柱170を介してマイクロポンプ10のハウジング15の内側に固定される。流体が流れることができる空間32は、個々のスパイダーベアリング支柱170の間に位置する。補助的な図4Bの本発明による構成と比較して、対応する領域132が本発明による解決法において著しく拡大することが明らかになった。補助的な図4Bは、異なる材料で作製された覆い118によって直接囲まれる、インペラピン1190の先細領域を示す。狭いベアリングギャップ131は、覆い118とスパイダーベアリング117の内部との間(スパイダーベアリング17の中央凹部)に配置される。スパイダーベアリング117の内部は、スパイダーベアリング支柱1170を介してマイクロポンプ100のハウジング115に接続される。この構成により、図1によるスライドベアリングと比較して、流体流のための領域132を実質的に拡大することが可能になる。したがって、本発明によるマイクロポンプ100は、インペラピンのラジアルスライドベアリングの上流領域における圧力損失を大幅に低減する。
【0023】
このようなマイクロポンプは、例えば、心臓補助システム用の血液ポンプとして特に有利に使用され得る。

図1
図2
図3
図4A
図4B