IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NOFメタルコーティングス株式会社の特許一覧

特許7584149防錆処理方法、および防錆処理された物品
<>
  • 特許-防錆処理方法、および防錆処理された物品 図1A
  • 特許-防錆処理方法、および防錆処理された物品 図1B
  • 特許-防錆処理方法、および防錆処理された物品 図2A
  • 特許-防錆処理方法、および防錆処理された物品 図2B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】防錆処理方法、および防錆処理された物品
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/77 20060101AFI20241108BHJP
   C23C 22/83 20060101ALI20241108BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20241108BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C23C22/77
C23C22/83
C23C26/00 A
C23C26/00 C
C23C28/00 B
B05D3/02 B
B05D7/14 P
B05D7/24 303B
B05D7/24 301C
B05D5/00 Z
B05D3/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021548942
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 JP2020035851
(87)【国際公開番号】W WO2021060294
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2019174904
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000152907
【氏名又は名称】NOFメタルコーティングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松▲崎▼ 匠
(72)【発明者】
【氏名】玉置 暁
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-211198(JP,A)
【文献】特開2013-022508(JP,A)
【文献】特開昭54-148142(JP,A)
【文献】国際公開第2013/042239(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146584(WO,A1)
【文献】特開2001-140052(JP,A)
【文献】特開昭50-116331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0081196(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102719118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00 - 22/86
C23C 24/00 - 30/00
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する被処理物、または、180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、無機塩を含有する水溶液で処理する工程を含み、
前記無機塩を含有する水溶液が、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、及び炭酸ジルコニウムアンモニウムから選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液であり、
前記被処理物が、鉄を含有するものであるか、または、前記膜または層が亜鉛及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種を含有するものであることを特徴とする防錆処理方法。
【請求項2】
前記水溶液で処理する際の、被処理物の温度が、220℃を超える温度であることを特徴とする請求項1に記載の防錆処理方法。
【請求項3】
記無機塩を含有する水溶液中の無機塩の含有量が、0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の防錆処理方法。
【請求項4】
記無機塩を含有する水溶液が、潤滑剤をさらに含有することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の防錆処理方法。
【請求項5】
記無機塩を含有する水溶液のpHが、4以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の防錆処理方法。
【請求項6】
前記水溶液での処理の後、被処理物を200℃以上に加熱する工程を有さないことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の防錆処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防錆処理方法、および防錆処理された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防錆処理方法として、金属または合金の表面に、亜鉛等の金属または合金を含有する防錆膜または防錆層を形成する方法が一般的に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、その表面に無機系改質(具体的には、二酸化ケイ素)を有する金属粒子(具体的には、亜鉛または亜鉛合金をベースとする金属粒子)を含有する防食塗料組成物、および、この組成物から得られる防食コーティングが開示されている。
【0004】
特許文献2には、金属製基板のための腐食抑制若しくは腐食防止する硬化性コーティング組成物として、樹脂バインダと、表面が少なくとも1つの表面改質基(具体的には、ポリジアルキルシロキサン等)で処理されているナノ粒子(具体的には、ZnO、Al、Al(O)OH等)とを具備する硬化性コーティング組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、金属マグネシウム、亜鉛、アルミニウムもしくはチタン粒子、またはこれらの金属のうちの少なくとも1つを含有する混合物もしくは合金を、少なくとも1つの金属化合物(具体的には、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド等)と混合し、この金属粒子と金属化合物との間の反応は表面改質された金属粒子をもたらす工程と、得られた表面改質された金属粒子を前記金属表面に付与する工程と、この表面改質された金属粒子から生成された層を室温~500℃の間の温度で硬化する工程と、250℃~約700℃の範囲の温度で実施され、数秒~数時間続く焼き戻し工程とを有する、金属表面上に変形可能な防食層を製造するための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-70999号公報
【文献】特表2013-510932号公報
【文献】特表2012-505963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、防錆性能は高いほど望ましく、また、簡便に、優れた防錆性能を付与できることが望ましい。
【0008】
本発明は、金属材料または合金材料に対して、より優れた防錆性能を簡便に付与することができる防錆処理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、より優れた防錆性能を有する物品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の各項に関する。
[1] 180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する被処理物、または、180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、無機酸または無機塩を含有する水溶液で処理する工程を含むことを特徴とする防錆処理方法。
[2] 前記水溶液で処理する際の、被処理物の温度が、220℃を超える温度であることを特徴とする上記[1]に記載の防錆処理方法。
[3] 前記無機酸または無機塩を含有する水溶液が、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸、硫酸塩、硝酸、硝酸塩、モリブデン酸、モリブデン酸塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の防錆処理方法。
[4] 前記無機酸または無機塩を含有する水溶液中の無機酸および/または無機塩の含有量が、0.1質量%以上であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載の防錆処理方法。
[5] 前記無機酸または無機塩を含有する水溶液が、潤滑剤をさらに含有することを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載の防錆処理方法。
[6] 前記無機酸または無機塩を含有する水溶液のpHが、4以上であることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれかに記載の防錆処理方法。
[7] 前記水溶液での処理の後、被処理物を200℃以上に加熱する工程を有さないことを特徴とする上記[1]~[6]のいずれかに記載の防錆処理方法。
【0010】
[8] 金属または合金を含有する被処理物、または、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液で処理する工程を含むことを特徴とする防錆処理方法。
[9] 前記無機酸または無機塩を含有する水溶液が、潤滑剤をさらに含有することを特徴とする上記[8]に記載の防錆処理方法。
[10] 前記水溶液での処理の後、被処理物を200℃以上に加熱する工程を有さないことを特徴とする上記[8]または[9]に記載の防錆処理方法。
【0011】
[11] 前記被処理物が、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、及び鉄合金から選ばれる少なくとも1種を含有するものであるか、または、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、及び鉄合金から選ばれる少なくとも1種を含有する膜または層を表面に有するものであることを特徴とする上記[1]~[10]のいずれかに記載の防錆処理方法。
[12] 前記被処理物が、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種を含有する防錆膜を表面に有するものであることを特徴とする上記[1]~[10]のいずれかに記載の防錆処理方法。
【0012】
[13] 上記[1]~[12]のいずれかに記載の防錆処理方法により、防錆処理が施されていることを特徴とする物品。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属材料または合金材料に対して、より優れた防錆性能を簡便に付与することができる防錆処理方法を提供することができる。また、本発明によれば、より優れた防錆性能を有する物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、実施例58のケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を施した冷間圧延鋼板の、塩水噴霧試験開始から1時間後の写真である。
図1B図1Bは、実施例58のケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を施した冷間圧延鋼板の、塩水噴霧試験開始から5時間後の写真である。
図2A図2Aは、比較例14のケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を施していない冷間圧延鋼板の、塩水噴霧試験開始から1時間後の写真である。
図2B図2Bは、比較例14のケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を施していない冷間圧延鋼板の、塩水噴霧試験開始から5時間後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の態様の防錆処理方法は、180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する被処理物、または、180℃を超える温度に加熱された、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、無機酸または無機塩を含有する水溶液(以下、「無機酸系処理剤」とも言う。)で処理する工程を含むものである。本発明の第2の態様の防錆処理方法は、金属または合金を含有する被処理物、または、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液で処理する工程を含むものである。以下、本発明の第1の態様の防錆処理方法と本発明の第2の態様の防錆処理方法をまとめて、「本発明の防錆処理方法」と言うこともある。
【0016】
本発明の防錆処理方法においては、金属または合金を含有する被処理物、または、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を無機酸系処理剤で処理する。ここで、無機酸系処理剤で処理する際の被処理物の温度を、180℃を超える温度、より好ましくは220℃を超える温度にすることにより、被処理物の防錆性能を向上させることができる。また、無機酸系処理剤の中でも、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液で処理する場合は、被処理物の温度が180℃以下であっても、十分に被処理物の防錆性能を向上させることができる。
【0017】
すなわち、180℃を超える温度に加熱された被処理物を無機酸系処理剤で処理する、本発明の第1の態様の防錆処理方法によれば、金属材料または合金材料に対して、より優れた防錆性能を簡便に付与することができる。また、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液で被処理物を処理する、本発明の第2の態様の防錆処理方法によれば、被処理物を180℃を超える温度に加熱する場合も、室温など、180℃を超える温度に加熱しない場合も、金属材料または合金材料に対して、より優れた防錆性能を簡便に付与することができる。
【0018】
本発明において用いる無機酸系処理剤は、無機酸および/または無機塩を含有する水溶液であり、無機酸および無機塩としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸、硫酸塩、硝酸、硝酸塩、モリブデン酸、モリブデン酸塩、ジルコニウム塩などが挙げられる。ここで、ケイ酸及びケイ酸塩としては、オルトケイ酸及びオルトケイ酸塩、ピロケイ酸及びピロケイ酸塩、メタケイ酸及びメタケイ酸塩等のいずれをも用いることができる。リン酸及びリン酸塩としては、オルトリン酸及びオルトリン酸塩、ピロリン酸及びピロリン酸塩、メタリン酸及びメタリン酸塩等のいずれをも用いることができる。
【0019】
無機酸および無機塩としては、中でも、ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、ジルコニウム塩が好ましい。無機塩であるケイ酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、硝酸塩、モリブデン酸塩は、いずれも、金属塩、特に、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などの一価の金属塩や、マグネシウム塩、カルシウム塩などの二価の金属塩が好ましい。ジルコニウム塩としては、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウムが好ましい。無機酸および無機塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)の濃度、すなわち、水溶液中の無機酸および/または無機塩の含有量は、特に限定されないが、通常、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、無機酸系処理剤の濃度、すなわち、水溶液中の無機酸および/または無機塩の含有量の上限値は、特に限定されず、飽和溶液であってもよいが、通常、15質量%以下、より好ましくは5質量%以下であることが好ましい。
【0021】
無機酸系処理剤は、その所望の効果を損なわない範囲内で、例えば、pH調整剤、水溶性架橋剤、水溶性樹脂、潤滑剤、顔料、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、増粘剤、つや消し剤、防汚剤、防腐剤、UV吸収剤、染料などの添加剤または添加成分を含有することもできる。防錆処理を施す物品の物性を向上あるいは変化させる目的で、潤滑剤などの添加剤または添加成分を無機酸系処理剤に添加することが好ましい場合がある。一方、防錆処理を施す物品の物性を向上あるいは変化させる必要がない場合は、通常、無機酸系処理剤は、pH調整剤以外の添加成分は含有しないことが好ましい。また、無機酸系処理剤は、通常、溶媒として水以外は含有しないこと、すなわち、有機溶媒を含有しないことが好ましいが、分散性などの点から、少量(例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下)の有機溶媒を添加することが好ましい場合もある。
【0022】
ある実施態様においては、本発明において用いる無機酸系処理剤は、潤滑剤を含有することが好ましい。無機酸系処理剤に潤滑剤を含有させることで、本発明の防錆処理が施された物品の表面の摩擦係数を低下させることができ、本発明の防錆処理が施された物品の表面の摩擦係数を容易に制御することができる。
【0023】
潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンおよび変性ポリオレフィン(ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレンなど)、パラフィンなどのワックス類、カルナバワックス類、フッ素樹脂、メラミンシアヌレート、六方晶窒化ホウ素などが挙げられる。ワックス類は、通常、エマルジョンの形態で添加・混合して、無機酸系処理剤を調製することが好ましい。潤滑剤は、市販されており、例えば、BYK社製「CERAFLOUR 913」(商品名)、「CERAFLOUR 914」(商品名)、「CERAFLOUR 915」(商品名)、「CERAFLOUR 916」(商品名)、「CERAFLOUR 917」(商品名)、「CERAFLOUR 925」(商品名)、「CERAFLOUR 927」(商品名)、「CERAFLOUR 929」(商品名)、「CERAFLOUR 950」(商品名)、「CERAFLOUR 988」(商品名)、「CERAFLOUR 1000」(商品名)、え497」(商品名)、「AQUACER 507」(商品名)、「AQUACER 515」(商品名)、「AQUACER 526」(商品名)、「AQUACER 531」(商品名)、「AQUACER 537」(商品名)、「AQUACER 539」(商品名)、「AQUACER 552」(商品名)、「AQUACER 593」(商品名)、「AQUACER 840」(商品名)、「AQUACER 1547」(商品名)、「AQUAMAT 208」(商品名)、「AQUAMAT 263」(商品名)、「AQUAMAT 272」(商品名)、「AQUAMAT 8421」(商品名)、「HARDAMER PE02」(商品名)、「HARDAMER PE03」(商品名)、「HARDAMER PE04」(商品名)、「CERACOL 79」(商品名)、三洋化成社製「サンワックス161-P」(商品名)、「サンワックス131-P」(商品名)、「サンワックス151-P」(商品名)、「サンワックス171-P」(商品名)、「ビスコール330-P」(商品名)、「ビスコール440-P」(商品名)、「ビスコール550-P」(商品名)、「ビスコール660-P」(商品名)、三井化学社製「ハイワックス 100P」(商品名)、「ハイワックス 400P」(商品名)、「ハイワックス 800P」(商品名)、「ハイワックス 1105A」(商品名)、「ハイワックス 2203A」(商品名)、「ハイワックス 1120H」(商品名)、「ハイワックス 4202E」(商品名)、「ハイワックス 405MP」(商品名)、「ハイワックス 4051E」(商品名)、「ハイワックス 410P」(商品名)、CLARIANT社製「LICOWAX PE 520」(商品名)、「LICOWAX PE 130」(商品名)、「LICOWAX PE 190」(商品名)、「LICOWAX PED 521」(商品名)、「LICOWAX PED 522」(商品名)、「LICOWAX PED 153」(商品名)、「LICOWAX PED 191」(商品名)、「LICOWAX PED 192」(商品名)、「LICOWAX 371 FP」(商品名)、「LICOCENE PP 6102」(商品名)、「LICOCENE PP 6502」(商品名)、「LICOCENE PP 7502」(商品名)、「LICOCENE PP 1302」(商品名)、「LICOCENE PP 1502」(商品名)、「LICOCENE PP 1602」(商品名)、「LICOCENE PP 2602」(商品名)、「LICOCENE PP 3602」(商品名)、「LICOCENE PE 4201」(商品名)、「LICOCENE PE 5301」(商品名)、「LICOCENE PP MA 1332」(商品名)、「LICOCENE PP MA 6252」(商品名)、「LICOCENE PP MA 6452」(商品名)、「LICOCENE PP MA 7452」(商品名)、「LICOCENE PE MA 4221」(商品名)、「LICOCENE PE MA 4351」(商品名)、「CERIDUST 3620」(商品名)、「CERIDUST 3610」(商品名)、「CERIDUST 3715」(商品名)、「CERIDUST 6050 M」(商品名)、「CERIDUST 9610 F」(商品名)、「CERIDUST 9630 F」(商品名)、「CERIDUST 3920 F」(商品名)、「CERIDUST 3940 F」(商品名)、「CERIDUST 9202 F」(商品名)、「CERIDUST 9205 F」(商品名)、Westlake社製「Epolene E-10」(商品名)、「Epolene E-10P」(商品名)、「Epolene E-14」(商品名)、「Epolene E-14E」(商品名)、「Epolene E-14EP」(商品名)、「Epolene E-14P」(商品名)、「Epolene E-16」(商品名)、「Epolene E-20」(商品名)、「Epolene E-20P」(商品名)、「Epolene EE-2」(商品名)、「Epolene E-43」(商品名)、「Epolene E-43P」(商品名)、株式会社岐阜セラツク製造所製「Hi-Disper A-113」(商品名)、「Hi-Disper A-375」(商品名)、「Hi-Disper AB-50」(商品名)、「Hi-Disper AF-41」(商品名)、「Hi-Disper AG-73」(商品名)、「Hi-Disper A-110」(商品名)、「Hi-Disper A-512」(商品名)、「Hi-Disper A-348」(商品名)、「Hi-Disper A-332」(商品名)、「Hi-Disper A-206N」(商品名)、「Hi-Disper AD-62」(商品名)、Shamrock Technologies社製「nanoFLONE PTFE AQ-60」(商品名)、「nanoFLONE PTFE AQ 50 SM」(商品名)、BASF社製「Poligen WE 1」(商品名)、「Poligen WE 3」(商品名)、「Poligen WE 4」(商品名)、「Poligen WE 6」(商品名)、「Poligen Wax V Flakes」(商品名)、ダイキン株式会社製「ルブロン LDW-410」(商品名)などを好適に用いることができる。潤滑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)中の潤滑剤の含有量は、特に限定されず、所望の物品の表面の摩擦係数が得られるように適宜選択することができるが、通常、10質量%以下であることが好ましい。
【0025】
なお、本発明において用いる無機酸系処理剤は、公知の方法で、所定量の無機酸および/または無機塩と、必要に応じて添加剤または添加成分とを水溶媒に混合・溶解することにより、調製することができる。
【0026】
ある実施態様においては、本発明において用いる無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)のpHは、4以上であることが好ましく、4~12であることがより好ましい。pHが4未満になると、金属または合金を含有する表面が酸による影響を受けやすくなることがある。一方、pHが高くなると、安全上、取扱に注意が必要になってくることがある。なお、本発明におけるpHは、20℃におけるpHを意味する。
【0027】
本発明においては、使用する無機酸および無機塩の種類及び濃度により無機酸系処理剤のpHは変動するため、所定のpHに調整する目的で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムや硝酸等をpH調整剤として使用することができる。
【0028】
本発明の防錆処理方法が適用される被処理物は、金属材料または合金材料を表面に有するものであり、金属または合金を含有する被処理物、または、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物である。金属または合金を含有する膜または層は、被処理物の全表面に形成されていても、表面の一部にのみ形成されていてもよい。
【0029】
本発明の防錆処理方法を適用できる金属材料または合金材料としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛およびZn-Al系合金などの亜鉛合金、アルミニウムおよびAl-Mg系合金などのアルミニウム合金、鉄および炭素鋼などの鉄合金、Mg-Zn系合金などのマグネシウム合金などが挙げられる。
【0030】
中でも、被処理物が、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、および鉄合金から選ばれる少なくとも1種を含有するものであるか、または、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、および鉄合金から選ばれる少なくとも1種を含有する膜または層を表面に有するものである場合、本発明の防錆処理方法を好適に適用することができる。なお、ここで、亜鉛合金(またはアルミニウム合金)は、亜鉛アルミニウム合金であってもよい。また、金属材料または合金材料の防錆処理として、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金のいずれかを含有する防錆膜を表面に形成することが一般的に行われているが、被処理物が、このような亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種を含有する防錆膜を表面に有するものである場合も、本発明の防錆処理方法を好適に適用することができ、被処理物の防錆性能をさらに向上させることができる。
【0031】
本発明の防錆処理方法においては、金属または合金を含有する被処理物、または、金属または合金を含有する膜または層を表面に有する被処理物を、好ましくは180℃を超える温度に加熱し、または加熱せずに、上記のような無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)で処理する。無機酸系処理剤も、加熱しても、加熱しなくてもよく、また、凝固しない程度に冷却することもできる。この無機酸系処理剤での処理は、例えば、浸漬処理、すなわち、無機酸系処理剤に被処理物を浸漬して行うことができ、または、スプレー処理、すなわち、無機酸系処理剤を被処理物にスプレーして行うこともできる。
【0032】
本発明の第1の態様の防錆処理方法においては、無機酸系処理剤で処理する際の被処理物の温度は、180℃を超える温度であり、220℃を超える温度であることが好ましい。本発明の第2の態様の防錆処理方法においては、無機酸系処理剤(ケイ酸、ケイ酸塩、リン酸、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、及びジルコニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液)で処理する際の被処理物の温度は、特に限定されず、180℃以下であってもよいが、この場合も、無機酸系処理剤で処理する際の被処理物の温度は、防錆性能をより向上できる点からは、180℃を超える温度であることが好ましく、220℃を超える温度であることがより好ましい。なお、添加する潤滑剤の種類によっては、被処理物の温度が高温になると、例えば180℃を超えると、あるいは、さらに高温になると、物品の表面の摩擦係数がより低くなってくる場合がある。
【0033】
本発明の第1の態様の防錆処理方法においても、本発明の第2の態様の防錆処理方法においても、無機酸系処理剤で処理する際の被処理物の温度の上限値は、特に限定されないが、通常、350℃以下であることが好ましく、320℃以下であることがより好ましい。
【0034】
一方、被処理物を処理する際に用いる無機酸系処理剤の温度は、特に限定されず、無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)の凝固点を超えて沸点未満であればよいが、コストや作業の容易さの点からは、通常、15~50℃程度であることが好ましい。
【0035】
被処理物を無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)で処理する時間(浸漬処理の場合、被処理物を無機酸系処理剤に浸漬する時間;スプレー処理の場合、被処理物に無機酸系処理剤をスプレーする時間)は、無機酸系処理剤の濃度などにもより、特に限定されないが、通常、1秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがより好ましい。また、被処理物を無機酸系処理剤で長時間にわたって処理してもよいが、生産性、効率の点からは、通常、15分以下であることが好ましく、10分以下であることがより好ましい。
【0036】
なお、無機酸系処理剤での処理は、被処理物の金属または合金を含有する表面の少なくとも一部、好ましくは全部を無機酸系処理剤で処理すればよく、必ずしも被処理物の全表面を無機酸系処理剤で処理することを要しない。例えば、浸漬処理の場合、被処理物全体を無機酸系処理剤に浸漬してもよく、または、被処理物の金属または合金を含有する表面のみを無機酸系処理剤に浸漬してもよい。スプレー処理の場合は、金属または合金を含有しない表面も含めて被処理物の全表面に無機酸系処理剤をスプレーしてもかまわないが、被処理物の金属または合金を含有する表面に無機酸系処理剤をスプレーすればよい。
【0037】
なお、無機酸系処理剤での処理は、被処理物の全表面を同時に処理することもできるし、一面ずつ処理することもできる。また、被処理物の全表面を同じ無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)で処理してもよいし、異なるもので処理してもよい。
【0038】
被処理物の加熱、および、無機酸系処理剤の加熱または冷却は、公知の手段で行うことができ、無機酸系処理剤での処理、具体的には、浸漬処理およびスプレー処理も、公知の手段で行うことができる。また、被処理物の温度、無機酸系処理剤の温度、および、処理時間以外の処理条件も、特に限定されず、適宜選択することができる。浸漬処理およびスプレー処理のいずれの場合も、金属または合金を含有する表面全体を均一に処理できるようにすることが好ましい。
【0039】
被処理物を無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)で処理した後は、必要に応じて水洗などを行い、乾燥して、本発明の防錆処理が施された物品を得ることができる。
【0040】
無機酸系処理剤で処理した被処理物の乾燥は、公知の手段で行うことができ、乾燥条件も特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、常温下で自然乾燥もしくは風乾することもでき、遠心乾燥することもできる。乾燥は、大気中で行っても、あるいは、窒素ガスなどの不活性ガス中で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
【0041】
被処理物を加熱して乾燥することもできるが、本発明においては、水溶媒を除去すればよく、被処理物を高温に加熱する必要はない。コストや作業の容易さの点からは、通常、被処理物を高温に加熱しないことが好ましく、具体的には、無機酸系処理剤で処理した後、被処理物を200℃以上に加熱する工程を有さないことが好ましく、被処理物を150℃以上に加熱する工程を有さないことがより好ましい。
【0042】
ある実施態様においては、本発明の防錆処理方法が適用される被処理物は、金属または合金を含有する膜または層を表面に有するもの、例えば、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金を含有する防錆膜を表面に有するものである。このような亜鉛、アルミニウムなどの金属、またはこれらの合金を含有する膜または層は、公知の方法により形成することができ、例えば、金属粒子または合金粒子と、バインダー樹脂またはバインダー樹脂の前駆体(重合または硬化してバインダー樹脂となるモノマーまたはオリゴマーなど)とを含有する溶液または分散液を、被処理物となる物品の表面に塗布した後、高温に加熱して、溶媒を除去するとともに、バインダー樹脂の前駆体の場合はこれを重合または硬化することで、形成することができる。この金属または合金を含有する膜または層を形成する際の加熱処理温度は、多くの場合、250℃を超える温度、さらには、300℃を超える温度である。
【0043】
被処理物が、金属または合金を含有する膜または層を表面に有するものである場合、上記のように、250℃を超える温度、さらには300℃を超える温度に加熱して、被処理物となる物品の表面に金属または合金を含有する膜または層を形成した後、冷却することなく、そのまま、温度が250℃を超える温度である状態の、あるいは、若干自然冷却された、温度が180℃を超える温度である状態の被処理物を無機酸系処理剤(無機酸または無機塩を含有する水溶液)で処理することもできる。このようにして本発明の防錆処理方法を実施することは、表面に金属または合金を含有する膜または層を形成した後の被処理物の冷却・再加熱が不要であり、工程を短縮化することができるため、好ましい。
【0044】
なお、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金を含有する防錆膜を、被処理物となる物品の表面に形成する方法は、特に限定されないが、例えば、特開2005-200678号公報、特開2006-52361号公報に記載の方法などにより好適に形成することができる。
【実施例
【0045】
以下、本発明について、実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0046】
<実施例1>
以下の成分を均一に混合することにより、亜鉛フレークを主成分とするベースコート用処理剤を調製した。
脱イオン水 39.06質量%
亜鉛フレーク 32.12質量%
アルミニウムフレーク 5.08質量%
DPG(ジプロピレングリコール) 10.29質量%
Synperonic(登録商標)13/6.5 3.15質量%
Silquest(登録商標)A187 8.66質量%
Schwego foam(登録商標) 0.40質量%
Nipar(登録商標)S10 0.71質量%
Aerosol(登録商標)TR70 0.53質量%
【0047】
なお、上記の商品名で記載されているものは、以下の通りのものである。
Synperonic(登録商標)13/6.5:ポリオキシエチレン(6.5)イソトリデカノール界面活性剤
Silquest(登録商標)A187:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Schwego foam(登録商標):消泡剤
Nipar(登録商標)S10:1-ニトロプロパン
Aerosol(登録商標)TR70:陰イオン界面活性剤(ビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム)
【0048】
また、浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.4であった。
【0049】
次に、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。皮膜付着量は6g/mであった。以下、この亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成する処理を「ベース処理」と言う。
【0050】
電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、調製した液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0051】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量6g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1008時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0052】
<比較例1>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例1と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0053】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量6g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点で、5本のボルトのうち、2本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から336時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0054】
<実施例2>
ベース処理の際に、ディップスピン法において、塗布遠心振り切りを行う際の回転数を変えることで、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜の皮膜付着量を8g/mに変えた以外は実施例1と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0055】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量8g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0056】
<比較例2>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例2と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0057】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量8g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点で、5本のボルトのうち、2本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から336時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0058】
<実施例3>
ベース処理の際に、ディップスピン法において、塗布遠心振り切りを行う際の回転数を変えることで、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜の皮膜付着量を10g/mに変えた以外は実施例1と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0059】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量10g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0060】
<比較例3>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例3と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0061】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量10g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0062】
<実施例4>
ベース処理の際に、ディップスピン法において、塗布遠心振り切りを行う際の回転数を変えることで、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜の皮膜付着量を12g/mに変えた以外は実施例1と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0063】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1344時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。試験開始から2016時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0064】
<比較例4>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例4と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0065】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、2本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から504時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0066】
<実施例5>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、0.1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは10.2であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の0.1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0067】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(0.1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0068】
<実施例6>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、0.3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは10.3であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の0.3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0069】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(0.3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1008時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から1344時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0070】
<実施例7>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、0.5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは10.9であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の0.5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0071】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(0.5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1680時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1848時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から2016時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0072】
<実施例8>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.1であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0073】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2184時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0074】
<実施例9>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.5であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0075】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0076】
<実施例10>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、10質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.6であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の10質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0077】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(10質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1680時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1848時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から2016時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0078】
<実施例11>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、15質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.6であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の15質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0079】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(15質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1680時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1848時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から2016時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0080】
<実施例12>
浸漬処理剤として、リン酸二水素ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは4.3であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0081】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0082】
<実施例13>
浸漬処理剤として、炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属株式会社製「ベイコート20」(商品名))を脱イオン水に溶解し、5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは9.2であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0083】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1176時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0084】
<実施例14>
浸漬処理剤として、硝酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%硝酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは6.8であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%硝酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0085】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(硝酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から672時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0086】
<実施例15>
浸漬処理剤として、硫酸カリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%硫酸カリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは5.8であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%硫酸カリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0087】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(硫酸カリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0088】
<実施例16>
浸漬処理剤として、モリブデン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%モリブデン酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは8.1であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%モリブデン酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0089】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(モリブデン酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0090】
<比較例5>
浸漬処理剤として、シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「A187T」)を脱イオン水に溶解し、5質量%シランカップリング剤水溶液150mlを調製した。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%シランカップリング剤水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例4と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0091】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(シランカップリング剤水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から504時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0092】
<実施例17>
ベース処理の際に、ディップスピン法において、塗布遠心振り切りを行う際の回転数を変えることで、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜の皮膜付着量を14g/mに変えた以外は実施例1と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0093】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量14g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0094】
<比較例6>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例17と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0095】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量14g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、2本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から504時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0096】
<実施例18>
浸漬処理剤として、リン酸二水素ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは4.3であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例17と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0097】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量14g/m)と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0098】
<実施例19>
浸漬処理剤として、硫酸カリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%硫酸カリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは5.8であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%硫酸カリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例17と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0099】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量14g/m)と浸漬処理(硫酸カリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0100】
<比較例7>
浸漬処理剤として、クエン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%クエン酸ナトリウム水溶液150mlを調製した。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%クエン酸ナトリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例17と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0101】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量14g/m)と浸漬処理(クエン酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0102】
<実施例20>
ベース処理の際に、ディップスピン法において、塗布遠心振り切りを行う際の回転数を変えることで、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜の皮膜付着量を18g/mに変えた以外は実施例1と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0103】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量18g/m)と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から1848時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から2016時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0104】
<比較例8>
ベース処理の後に、3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例20と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0105】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量18g/m)のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から672時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0106】
<実施例21>
浸漬処理剤として、ケイ酸リチウムを脱イオン水に溶解し、3質量%ケイ酸リチウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.0であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%ケイ酸リチウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例20と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0107】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量18g/m)と浸漬処理(ケイ酸リチウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2184時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から2352時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認された。
【0108】
<実施例22>
浸漬処理剤として、ケイ酸カリウムを脱イオン水に溶解し、3質量%ケイ酸カリウム水溶液150mlを調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.4であった。そして、液温20℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%ケイ酸カリウム水溶液150mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例20と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0109】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量18g/m)と浸漬処理(ケイ酸カリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1848時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。試験開始から2016時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から2352時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0110】
<実施例23>
実施例4と同様にしてベース処理を行った後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温0℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに約60秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0111】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(0℃のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1680時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0112】
<実施例24>
浸漬処理剤である3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlの液温を50℃に変えた以外は実施例23と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0113】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(50℃のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1680時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0114】
<実施例25>
浸漬処理剤である3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlの液温を90℃に変えた以外は実施例23と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0115】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(90℃のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0116】
<実施例26>
実施例4と同様にしてベース処理を行った後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温0℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlに約60秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0117】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(0℃のリン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1680時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0118】
<実施例27>
浸漬処理剤である3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150mlの液温を50℃に変えた以外は実施例26と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0119】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(50℃のリン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1176時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0120】
<実施例28>
実施例4と同様にしてベース処理を行った後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、浸漬するボルトの総重量の1倍の重量である、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0121】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(ボルトの総重量の1倍の重量のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2352時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0122】
<実施例29>
浸漬処理剤である3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液の使用量を、ボルトの総重量の3倍の重量の量に変えた以外は実施例28と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0123】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(ボルトの総重量の3倍の重量のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2352時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0124】
<実施例30>
浸漬処理剤である3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液の使用量を、ボルトの総重量の5倍の重量の量に変えた以外は実施例28と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0125】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(ボルトの総重量の5倍の重量のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2520時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0126】
<実施例31>
浸漬処理剤である3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液の使用量を、ボルトの総重量の10倍の重量の量に変えた以外は実施例28と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0127】
このようにして作製したベース処理(皮膜付着量12g/m)と浸漬処理(ボルトの総重量の10倍の重量のケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から2016時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から2352時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0128】
<比較例9>
実施例1と同様にして、亜鉛フレークを主成分とするベースコート用処理剤を調製した。
【0129】
次に、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。皮膜付着量は12g/mであった。以下、この亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成する処理を「ベース処理」と言う。
【0130】
そして、電気炉から取り出したボルト5本をそのまま室温まで冷却して、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0131】
このようにして作製したベース処理のみを施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、2本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から504時間の時点で、半数以上の3本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0132】
<実施例32>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0133】
その後、電気炉から取り出したボルト5本をそのまま室温(約25℃)まで冷却した後、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0134】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度 室温(約25℃))を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0135】
<実施例33>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0136】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が35℃~60℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0137】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度35℃~60℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1008時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0138】
<実施例34>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0139】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が65℃~100℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0140】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度65℃~100℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0141】
<実施例35>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0142】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が105℃~140℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0143】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度105℃~140℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0144】
<実施例36>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0145】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0146】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。試験開始から1008時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0147】
<実施例37>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0148】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が185℃~220℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0149】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1344時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0150】
<実施例38>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0151】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0152】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1344時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0153】
<実施例39>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0154】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150ml(pH11.5)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0155】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1344時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0156】
<実施例40>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0157】
その後、電気炉から取り出したボルト5本をそのまま室温(約25℃)まで冷却した後、液温25℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0158】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度 室温(約25℃))を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0159】
<実施例41>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0160】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が35℃~60℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃で3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0161】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度35℃~60℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0162】
<実施例42>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0163】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が65℃~100℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃で3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0164】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度65℃~100℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであり、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0165】
<実施例43>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0166】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が105℃~140℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0167】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度105℃~140℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0168】
<実施例44>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0169】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃で3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0170】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであり、試験開始から1008時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0171】
<実施例45>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0172】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が185℃~220℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0173】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0174】
<実施例46>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0175】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0176】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から840時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0177】
<実施例47>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0178】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の3質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液150ml(pH4.4)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0179】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(リン酸二水素ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0180】
<実施例48>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0181】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が65℃~100℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0182】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度65℃~100℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであり、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0183】
<実施例49>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0184】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が105℃~140℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0185】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度105℃~140℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0186】
<実施例50>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0187】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0188】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1008時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0189】
<実施例51>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0190】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0191】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から840時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1008時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0192】
<実施例52>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0193】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃で5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0194】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0195】
<実施例53>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0196】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液150ml(pH9.1)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0197】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0198】
<比較例10>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0199】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硫酸カリウム水溶液150ml(pH5.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0200】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硫酸カリウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から504時間の時点で、2本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0201】
<実施例54>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0202】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硫酸カリウム水溶液150ml(pH5.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0203】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硫酸カリウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであり、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0204】
<実施例55>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0205】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硫酸カリウム水溶液150ml(pH5.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0206】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硫酸カリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から672時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0207】
<比較例11>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0208】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が145℃~180℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硝酸ナトリウム水溶液150ml(pH6.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0209】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硝酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度145℃~180℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、1本のボルトで錆の発生が確認され、試験開始から672時間の時点で、2本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【0210】
<実施例56>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0211】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硝酸ナトリウム水溶液150ml(pH6.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0212】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硝酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から336時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から504時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであり、試験開始から672時間の時点でも、2本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0213】
<実施例57>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0214】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%硝酸ナトリウム水溶液150ml(pH6.8)に約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0215】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(硝酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度265℃~300℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から504時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から672時間の時点でも、1本のボルトで錆の発生が確認されたのみであった。
【0216】
<比較例12>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0217】
その後、電気炉から取り出したボルト5本をそのまま室温(約25℃)まで冷却した後、液温25℃の5質量%クエン酸ナトリウム水溶液150mlに約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0218】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(クエン酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度 室温(約25℃))を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点で、5本のボルトのうち、1本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から336時間の時点で、2本のボルトで錆の発生が確認された。
【0219】
<比較例13>
比較例9と同様にして、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM6の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。
【0220】
その後、電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が225℃~260℃であることを赤外線放射温度計で確認し、液温25℃の5質量%クエン酸ナトリウム水溶液150mlに約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0221】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(クエン酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度225℃~260℃)を施したボルト5本について、実施例1と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点で、5本のボルトのうち、1本のボルトで錆の発生が確認された。試験開始から336時間の時点で、2本のボルトで錆の発生が確認された。
【0222】
<実施例58>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液を調製した。調製した浸漬処理剤のpHは11.5(20℃)であった。
【0223】
次に、150mm×70mm×0.8mmの冷間圧延鋼板をジクロロメタンで脱脂した後、330℃の電気炉内で15分間加熱した。電気炉から取り出した冷間圧延鋼板を、その表面温度が265℃~300℃であることを赤外線放射温度計で確認し、調製した液温20℃の5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液150mlに約10秒間浸漬した後、取り出して乾燥した。
【0224】
そして、この浸漬処理を施した冷間圧延鋼板について、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。塩水噴霧試験開始から1時間後と、5時間後の浸漬処理を施した冷間圧延鋼板の写真を、それぞれ、図1A図1Bに示す。
【0225】
<比較例14>
330℃の電気炉内で15分間加熱した後に、ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例58と同様にして、耐食性評価のための冷間圧延鋼板を用意した。
【0226】
そして、この浸漬処理を施していない冷間圧延鋼板について、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、耐食性の評価を行った。塩水噴霧試験開始から1時間後と、5時間後の浸漬処理を施した冷間圧延鋼板の写真を、それぞれ、図2A図2Bに示す。
【0227】
ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を施した実施例58の冷間圧延鋼板は、漬処理を施していない比較例14の冷間圧延鋼板と比較して、錆の発生が抑制されていた。
【0228】
<実施例59>
以下の成分を均一に混合することにより、亜鉛フレークを主成分とするベースコート用処理剤を調製した。
脱イオン水 39.06質量%
亜鉛フレーク 32.12質量%
アルミニウムフレーク 5.08質量%
DPG(ジプロピレングリコール) 10.29質量%
Synperonic(登録商標)13/6.5 3.15質量%
Silquest(登録商標)A187 8.66質量%
Schwego foam(登録商標) 0.40質量%
Nipar(登録商標)S10 0.71質量%
Aerosol(登録商標)TR70 0.53質量%
【0229】
なお、上記の商品名で記載されているものは、以下の通りのものである。
Synperonic(登録商標)13/6.5:ポリオキシエチレン(6.5)イソトリデカノール界面活性剤
Silquest(登録商標)A187:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Schwego foam(登録商標):消泡剤
Nipar(登録商標)S10:1-ニトロプロパン
Aerosol(登録商標)TR70:陰イオン界面活性剤(ビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム)
【0230】
また、浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%になるように、ケイ酸ナトリウムを脱イオン水に溶解し、1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。
【0231】
次に、ジクロロメタンによる蒸気脱脂とショットブラスト処理したM10の六角フランジボルト5本に対して、調製したベースコート用処理剤を用い、遠心振り切りを伴う浸漬法(ディップスピン法)で塗装した後、電気炉内で100℃、10分間の予備加熱を実施し、さらに、電気炉内で330℃、30分間の焼付けを実施して、亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成した。皮膜付着量は14g/mであった。以下、この亜鉛とアルミニウムを含有する皮膜を形成する処理を「ベース処理」と言う。
【0232】
電気炉から取り出したボルト5本を、その表面温度が185℃~220℃であることを赤外線放射温度計で確認し、調製した液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに約1分間浸漬した後、取り出して乾燥し、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0233】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.243であった。
【0234】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されず、試験開始から1344時間の時点で、1本のボルトでのみ錆の発生が確認された。
【0235】
<実施例60>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 593」(商品名)(以下、「潤滑剤a」と言う。)の含有量が1質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤aを脱イオン水に溶解・混合し、1質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の1質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。なお、潤滑剤a(BYK社製「AQUACER 593」)は、変性ポリプロピレンワックスをベースとする水系エマルションである。
【0236】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(1質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.173であった。
【0237】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(1質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0238】
<実施例61>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 593」(商品名)(潤滑剤a)の含有量が5質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤aを脱イオン水に溶解・混合し、5質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0239】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.154であった。
【0240】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0241】
<実施例62>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 497」(商品名)(以下、「潤滑剤b」と言う。)の含有量が3質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤bを脱イオン水に溶解・混合し、3質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。なお、潤滑剤b(BYK社製「AQUACER 497」)は、パラフィンワックスをベースとする水系エマルションである。
【0242】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.111であった。
【0243】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0244】
<実施例63>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 497」(商品名)(潤滑剤b)の含有量が5質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤bを脱イオン水に溶解・混合し、5質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0245】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.098であった。
【0246】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤b含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0247】
<実施例64>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 1547」(商品名)(以下、「潤滑剤c」と言う。)の含有量が3質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤cを脱イオン水に溶解・混合し、3質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。なお、潤滑剤c(BYK社製「AQUACER 1547」)は、変性ポリエチレンワックスをベースとする水系エマルションである。
【0248】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.120であった。
【0249】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0250】
<実施例65>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 1547」(商品名)(潤滑剤c)の含有量が5質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤cを脱イオン水に溶解・混合し、5質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0251】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.105であった。
【0252】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤c含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0253】
<実施例66>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、ダイキン工業株式会社製「ルブロン LDW-410」(商品名)(以下、「潤滑剤d」と言う。)の含有量が3質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤dを脱イオン水に溶解・混合し、3質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。なお、潤滑剤d(ダイキン工業株式会社製「ルブロン LDW-410」)は、低分子量フッ素樹脂の微粒子を水に分散させた分散液である。
【0254】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.166であった。
【0255】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0256】
<実施例67>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、ダイキン工業株式会社製「ルブロン LDW-410」(商品名)(潤滑剤d)の含有量が5質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤dを脱イオン水に溶解・混合し、5質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の5質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0257】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.173であった。
【0258】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(5質量%潤滑剤d含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度185℃~220℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1008時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0259】
<実施例68>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 593」(商品名)(潤滑剤a)の含有量が3質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤aを脱イオン水に溶解・混合し、3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、ボルトの表面温度を235℃~270℃にして、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0260】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度235℃~270℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.162であった。
【0261】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度235℃~270℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から1176時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0262】
<実施例69>
浸漬処理剤として、ケイ酸ナトリウムの含有量が1質量%、潤滑剤として、BYK社製「AQUACER 593」(商品名)(潤滑剤a)の含有量が3質量%になるように、ケイ酸ナトリウムと潤滑剤aを脱イオン水に溶解・混合し、3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを調製した。そして、液温20℃の1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlに代えて、調製した液温20℃の3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液1000mlを用い、ボルトの表面温度を85℃~120℃にして、浸漬処理を行った以外は実施例59と同様にして、ベース処理と浸漬処理を施したボルト5本を作製した。
【0263】
このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度85℃~120℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.166であった。
【0264】
また、このようにして作製したベース処理と浸漬処理(3質量%潤滑剤a含有1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液;ボルト表面温度85℃~120℃)を施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から672時間の時点でも、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかった。
【0265】
<比較例15>
ベース処理の後に、1質量%ケイ酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行わず、そのまま室温まで冷却した以外は実施例59と同様にして、ベース処理のみを施したボルト5本を作製した。
【0266】
このようにして作製したベース処理のみを施したボルト5本について、実施例59と同様に、ISO16047 HH法に準拠して表面の摩擦係数を測定し、その平均値を算出したところ、平均摩擦係数は0.228であった。
【0267】
また、このようにして作製したベース処理のみを施したボルト5本について、実施例59と同様に、JIS Z-2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、試験開始から168時間ごとに、ボルトに錆が発生しているかを確認して、耐食性の評価を行った。その結果、塩水噴霧試験開始から168時間の時点では、5本のボルト全てについて錆の発生は確認されなかったが、試験開始から336時間の時点で、2本以上のボルトで錆の発生が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明によれば、金属材料または合金材料に対して、より優れた防錆性能を簡便に付与することができる。また、本発明によれば、従来より優れた防錆性能を有する物品を提供することができる。
図1A
図1B
図2A
図2B