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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】癌の予後予測方法およびその組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20241108BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241108BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20241108BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C12Q1/68
C12M1/00 A
G01N33/50 P
G01N33/68
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021565712
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2020005624
(87)【国際公開番号】W WO2020226333
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0052364
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521479334
【氏名又は名称】ディーシージェン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハン ウォン シク
(72)【発明者】
【氏名】イ ハン ビョル
(72)【発明者】
【氏名】パク イン エ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ハン スク
(72)【発明者】
【氏名】アン セイ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ セ ビュル
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム エ リ
(72)【発明者】
【氏名】キム チュン ユル
(72)【発明者】
【氏名】ユン スン ロ
(72)【発明者】
【氏名】キム スン
(72)【発明者】
【氏名】クォン スン ユン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン ス
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ジョン ヒ
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0052985(KR,A)
【文献】国際公開第2018/169145(WO,A1)
【文献】Genomics & Informatics,2017年,Vol.15, No.4,p.156-161
【文献】PLOS ONE,2018年,13(10),e0204897
【文献】Breast Cancer,2018年10月19日,Vol.26, No.3,p.317-325
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C12M 1/00
G01N 33/50
G01N 33/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)対象体から得られた生体試料に対して第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化するステップと、
(b)ステップ(a)の正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた決定指数(Decision Index;DI)を計算するステップとを含む前記対象体の癌の予後を予測するものであって、
前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)であり、
前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)であり、
前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)であり、
前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)であり、
前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)であり、
第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)であって
さらに、前記決定指数(Decision Index;DI)は、下記式1で表されるものである、乳癌の予後に関する情報提供方法。
[式1]
DI=aX(q)+bY(r)+cZ(s)+dK(t)+eL(u)+fM(v)
上記式1中、
q、r、s、t、uおよびvは、それぞれ独立して1以上の整数であり;
前記aは、-2.36~-0.34の有理数であり;
前記bは、0.17~0.42の有理数であり;
前記cは、-0.06~0.22の有理数であり;
前記dは、0.01~0.73の有理数であり;
前記eは、0.08~0.65の有理数であり;
前記fは、-0.58~-0.02の有理数であり;
前記X(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記K(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記L(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記M(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記q、r、s、t、uまたはvが2以上の整数の場合、同一の遺伝子群に属するそれぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算される複数のq、r、s、t、uまたはv値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項2】
前記決定指数(DI)は、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた値に補正係数を追加的に合算して得られるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記正規化するステップは、ACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、およびZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上の基準遺伝子を用いて各遺伝子群の発現レベルを正規化する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象体から得られた生体試料に第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定するための製剤を含み、
前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)であり、
前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)であり、
前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)であり、
前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)であり、
前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)であり、
第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)であって
以下の式1によって表される決定指数(Decision Index;DI)を得る、乳癌の予後予測用製剤
[式1]
DI=aX(q)+bY(r)+cZ(s)+dK(t)+eL(u)+fM(v)
上記式1中、
q、r、s、t、uおよびvは、それぞれ独立して1以上の整数であり;
前記aは、-2.36~-0.34の有理数であり;
前記bは、0.17~0.42の有理数であり;
前記cは、-0.06~0.22の有理数であり;
前記dは、0.01~0.73の有理数であり;
前記eは、0.08~0.65の有理数であり;
前記fは、-0.58~-0.02の有理数であり;
前記X(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記K(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記L(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記M(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記q、r、s、t、uまたはvが2以上の整数の場合、同一の遺伝子群に属するそれぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算される複数のq、r、s、t、uまたはv値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項5】
前記遺伝子群の発現レベルを正規化するためのACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、およびZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上の基準遺伝子の発現レベルを測定するための製剤を追加的に含む、請求項に記載の製剤
【請求項6】
(a)対象体から得られた生体試料に対して第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化する検出部と、
(b)前記検出部で正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた決定指数(Decision Index)を計算する演算部と、
(c)前記演算部で得られた決定指数で前記対象体の癌の予後を予測して出力する出力部とを含み、
前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)であり、
前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)であり、
前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)であり、
前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)であり、
前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)であり、
第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)であって
さらに、前記決定指数(Decision Index;DI)は、下記式1で表されるものである、乳癌の予後診断機器。
[式1]
DI=aX(q)+bY(r)+cZ(s)+dK(t)+eL(u)+fM(v)
上記式1中、
q、r、s、t、uおよびvは、それぞれ独立して1以上の整数であり;
前記aは、-2.36~-0.34の有理数であり;
前記bは、0.17~0.42の有理数であり;
前記cは、-0.06~0.22の有理数であり;
前記dは、0.01~0.73の有理数であり;
前記eは、0.08~0.65の有理数であり;
前記fは、-0.58~-0.02の有理数であり;
前記X(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記K(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記L(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記M(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であり;
前記q、r、s、t、uまたはvが2以上の整数の場合、同一の遺伝子群に属するそれぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算される複数のq、r、s、t、uまたはv値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項7】
前記決定指数(DI)は、前記検出部で正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた値に補正係数を追加的に合算して得られるものである、請求項に記載の診断機器。
【請求項8】
前記検出部は、第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを基準遺伝子の発現レベルに対して正規化し、
前記基準遺伝子は、ACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、およびZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上である、請求項に記載の診断機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の予後予測方法およびその組成物に関する。より詳しくは、本発明は、癌の予後予測方法または抗癌化学療法の治療効果があるかを予測する方法およびそれのための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は全世界的に最も普遍的な死亡原因の一つである。約1千万件の新しいケースが毎年発生し、全体死亡原因の約12%を占めて3番目に多い死亡の原因になっている。様々な種類の癌の中で特に乳癌は、患者の半分程度を占める腋窩リンパ腺転移のないエストロゲンホルモン受容体陽性(ER+)乳癌が5年抗ホルモン治療だけでも10年再発率が15%であり、抗癌化学療法を加える場合、10年再発率の絶対値が約5%程度に減少する(Fisher et al,Lancet.10;364(9437):858-68、PMID:15351193)。しかし、2004年、オンコタイプDx(Oncotype Dx)テストの開発で一部患者でのみ抗癌化学療法が必要という事実が明らかになった(Paik et al,J Clin Oncol24(23):3726-34,PMID:16720680参照)。
【0003】
オンコタイプDxが開発された後に、Mammaprint、Endopredict、Breast Cancer Index、Prosignaなど転写遺伝子の分析に基づく乳癌の予後予測テストが多く開発および商用化されたが、抗癌化学療法の使用の可否を決める臨床適用性が証明されたテストはオンコタイプDxだけである(US2015-0079591A1およびPaik et al,J Clin Oncol24(23):3726-34,PMID:16720680)。
【0004】
一方、このようなオンコタイプDxは費用の面で高価格であり、すべての年齢帯で分析が可能というのではないことが確認された(Wkilliams AD et al,Ann Surg Oncol.2018Oct;25(10):2875-2883.doi:10.1245/s10434-018-6600-9参照)。
【0005】
したがって、本発明の発明者らは、すべての年齢帯で分析可能な方法として、癌の予後および抗癌化学療法使用可否判断装置および方法を見出して、本発明に至るようになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安価でありながらも、すべての年齢帯で分析可能な癌の予後および抗癌化学療法の使用の可否を判断できる装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本願に記載された多様な実施形態が図面を参照して記載される。下記の説明において、本発明の完全な理解のために、多様な特異的詳細事項、例えば、特異的形態、組成物および工程などが記載されている。しかし、特定の実施形態は、これらの特異的詳細事項のうちの1つ以上なしに、または他の公知の方法および形態とともに実行可能である。他の例において、公知の工程および製造技術は、本発明を不要にあいまいにさせないために、特定の詳細事項として記載されない。「一つの実施形態」または「実施形態」に対する本明細書全体による参照は、実施形態と結び付けて記載された特別な特徴、形態、組成または特性が本発明の一つ以上の実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる多様な位置で表現された「一つの実施形態において」または「実施形態」の状況は、必ずしも本発明の同一の実施形態を示すことはない。追加的に、特別な特徴、形態、組成、または特性は、一つ以上の実施形態においていかなる好適な方法で組み合わされてもよい。
【0008】
本発明内の特別な定義がなければ、本明細書に使われたすべての科学的および技術的な用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0009】
本明細書において、用語「ポリヌクレオチド」とは、単数形または複数形で利用される場合、一般的に1つのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指す。これは、変形されないRNAまたはDNAの場合もあり、変形されたRNAまたはDNAの場合もある。したがって、例えば、本明細書において定義されるポリヌクレオチドは、単鎖および二本鎖DNA、単鎖および二本鎖領域を含むDNA、単鎖および二本鎖RNA、および単鎖および二本鎖領域を含むRNA、単鎖の場合もあるが、より通常は、二本鎖であり、または単鎖領域と二本鎖領域とを含む場合もあるDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を含むが、これに限定されるものではない。また、本明細書において、用語「ポリヌクレオチド」とは、RNAまたはDNA、またはRNAとDNAのすべてを含む三本鎖領域を指す。このような領域中の鎖は、同一分子に由来する場合もあり、他の分子に由来する場合もある。これらの領域は、1つ以上の分子すべてを含むことができるが、より典型的には、分子の一部領域のみを含む。二重螺旋領域の分子の1つはオリゴヌクレオチドである。用語「ポリヌクレオチド」は、具体的にはcDNAを含む。この用語は、1個以上が変形された塩基を含むDNA(cDNAを含む)およびRNAを含む。したがって、安定性またはその他の理由から変形された主鎖を有するDNAまたはRNAは、この用語が本願で意図されたように「ポリヌクレオチド」である。また、特異な塩基、例えば、イノシンまたは三重水素化塩基のような変形された塩基を含むDNAまたはRNAは、本明細書で定義される用語「ポリヌクレオチド」内に含まれる。一般的に、用語「ポリヌクレオチド」は、変形されないポリヌクレオチドのすべての化学的、酵素的、または代謝的に変形された形態とウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を含む。
【0010】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、相対的に短いポリヌクレオチド、例えば、単鎖デオキシリボヌクレオチド、単鎖または二本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッドおよび二本鎖DNAを指すが、これに限定されるものではない。オリゴヌクレオチド、例えば、単鎖DNAプローブオリゴヌクレオチドは、化学的方法により市販用自動オリゴヌクレオチド合成器を用いて合成される。その他にも、多様な他の方法、例えば、in vitro組換えDNA媒介技術によって、または細胞および生物のDNAの発現によってオリゴヌクレオチドを製造することができる。
【0011】
用語「遺伝子発現」とは、DNA遺伝子配列情報の転写RNA(最初の非-スプライシングされたRNA転写体または成熟mRNA)またはコーディングされたタンパク質産物への変換を示す。遺伝子の全RNAまたはタンパク質産物のうちの1つまたはこれらの以後のレベルを測定することにより、遺伝子発現をモニタリングすることができる。
【0012】
RNA転写体に関連し、用語「過剰発現」とは、試料またはmRNAの特定基準セットで測定されたすべての転写体のレベルを測定して、基準mRNAのレベルに対する正規化によって決定される転写体のレベルを称して使われる用語である。
【0013】
用語「遺伝子増幅」とは、特定細胞または細胞株において遺伝子または遺伝子断片の多数のコピーが形成されるプロセスを指し示す。複製された領域(増幅されたDNA)は、「アンプリコン(amplicon)」ともいう。また、一般的に生成されたmRNAの量、すなわち遺伝子発現レベルは、発現するそれぞれの遺伝子から構成されるコピー数の比率で増加する。
【0014】
本明細書において、用語「予後」は、癌の組織内の移住および浸潤、他の組織への転移、および疾病に起因した死亡などの病気の経過および完治の有無を意味する。本発明の目的上、予後は、乳癌患者の病気の経過または生存の予後を意味する。本発明の前記方法を用いれば、乳癌による生存の予後を手軽に判断可能で、追加的な治療方法の使用の可否を手軽に決めることができる。究極的に、乳癌発病後の生存率を向上させることができる。
【0015】
本明細書において、用語「予測」とは、患者が薬物または薬物セットに対して疾患の経過および結果を予め予測する行為を意味する。より具体的には、予後予測とは、疾患の治療後経過は患者の生理的または環境的状態に応じて異なり、このような患者の状態を総合的に考慮して治療後病気の経過を予測するすべての行為を意味すると解釈される。
【0016】
本明細書において、用語「有益な反応」とは、患者状態のいかなる尺度、例えば、全体生存、長期間生存、無再発生存および遠隔無再発生存などの当技術分野にて通常用いられる尺度の改善を意味する。無再発生存(RFS)とは、手術から最初の局所再発(local recurrence)、区域再発(regional recurrence)または遠隔再発までの時間(月の数)を指し示す。遠隔無再発生存(Distant recurrence-free survival(DRFS)またはdistant metastasis-free survival(DMFS))とは、手術から最初の遠隔再発までの時間(月の数)を指し示す。再発とは、RFSおよび/またはDFRSを指す。本明細書において、用語「長期間」生存とは、手術後またはその他の治療後、少なくとも3年、または少なくとも5年、または少なくとも8年、または少なくとも10年の生存を指し示す。
【0017】
本明細書において、用語「腫瘍」とは、悪性や陽性を問わず、すべての新生細胞の成長および増殖およびすべての前癌状態および癌性細胞および組織を指す。
【0018】
用語「癌」および「癌性(cancerous)」とは、一般的に制御されていない細胞の増殖を特徴とする哺乳類の生理学的状態を指し示す。癌の例としては、乳癌、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、肝癌、膵臓癌、頭頸部癌、胃癌、大腸癌、尿路上皮癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、黒色腫瘍、卵管癌、子宮癌、血液癌、骨癌、皮膚癌、脳癌、膣癌、内分泌癌、副甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、気管支癌、膀胱癌、骨髄癌、急性リンパ球性またはリンパ芽球性白血病、急性または慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、脳腫瘍、頸管癌、慢性骨髄性白血病、腸癌、T-ゾーンリンパ腫、食道癌、胆汁膀胱癌、ユーイング肉腫(Ewing’s sarcoma)、舌癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、神経芽細胞腫、乳腺癌、頸管癌、陰茎癌、レチノブラストーマ、皮膚癌、および子宮癌が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
癌の「病状(pathology)」は、患者の健康を損なうすべての現象を含む。これとしては、異常または制御不可能な細胞の増殖、転移、隣接する細胞の正常な機能への干渉、異常レベルのサイトカインまたはその他の分泌産物の放出、炎症反応または免疫反応の抑制または悪化、新生物、前悪性、悪性腫瘍、周囲組織または遠隔組織または臓器、例えば、リンパ節の浸潤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書において、「決定指数(Decision Index;DI)」とは、対象体における癌の予後の良し悪しを判断できる点数であって、予後因子および治療予測因子の概念を含む点数を指し示す。乳癌における予後因子は、治療予測因子とは異なる。予後因子とは、乳癌の自然死に関わる可変のものであり、乳癌にかかった患者の再発率および結果に影響を及ぼす。悪い予後に関連する臨床パラメータとしては、例えば、リンパ節の関与、腫瘍のサイズ増大および高い等級(悪性度)の腫瘍が挙げられる。予後因子は、患者を基本再発危険度が異なる小グループに分類するために有用に利用可能である。対照的に、治療予測因子は、それぞれの患者の抗エストロゲンまたは化学療法などの治療に対する有益な反応の可能性に関連する変数であり、予後とは無関係である。
【0021】
本明細書において、DNAまたはRNAを含む核酸配列分析は、次世代核酸配列分析(next generation sequencing:NGS)であってもよい。核酸配列分析は、塩基配列分析、配列分析またはシーケンシング(sequencing)と相互交換的に使用されるものであってもよい。前記NGSは、大規模並列配列分析(massive parallel sequencing)または2世代配列分析(second-generation sequencing)と相互交換的に使用されるものであってもよい。前記NGSは、大量の断片の核酸を同時多発的に配列分析する手法であって、チップ(chip)ベース、そして重合酵素連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)ベースの対末端(paired end)形式で全長遺伝体を小片にし、前記小片を混成化反応(hybridization)に基づいて超高速で配列分析を行うものであってもよい。前記NGSは、例えば、454プラットフォーム(Roche)、GS FLXチタン、Illumina MiSeq、Illumina HiSeq、Illumina HiSeq 2500、Illumina Genome Analyzer、Solexa platform、SOLiD System(Applied Biosystems)、Ion Proton(Life Technologies)、Complete Genomics、Helicos Biosciences Heliscope、Pacific Biosciencesの単一分子リアルタイム(SMRTTM)技術、またはこれらの組み合わせによって行われるものであってもよい。前記核酸配列分析は、関心領域だけを分析するための核酸配列分析法であってもよい。前記核酸配列分析は、例えば、NGSベースの標的配列分析(targeted sequencing)、標的ディープ配列分析(targeted deep sequencing)またはパネル配列分析(panel sequencing)を含むものであってもよい。
【0022】
本明細書において、「次世代配列分析(Next Generation Sequencing、NGS)」は、遺伝体を無数に多い小片に分けた後、各小片の遺伝情報を解読して組み合わせた後、全体塩基配列を分析する方法を意味する。遺伝体の塩基配列を高速分析できるというメリットがあり、High-throughput sequencing、Massive parallel sequencingまたはSecond-generation sequencingともいう。NGSと比較して、サンガーシーケンシングでも全体人体ゲノムを読むことができるが、周知の遺伝子だけをターゲットにすることが可能で、検査に制限的であり、様々な遺伝子を見るためには繰り返し実験をしなければならない。例えば、約300万回を分けて実施しなければならないサンガーシーケンシングに比べて、次世代配列分析は時間と費用の面で大きく改善された分析方法である。次世代塩基配列決定(NGS)技術によって可能になった大量並列塩基配列分析は、組織サンプルにおいてRNA転写体の係数に近づくさらに他の方法であり、RNA-シーケンシングはこれを利用する方法である。それは、現在異なる生理条件間の遺伝子発現レベルの差または発達過程でまたは疾病の進行過程により発生する変化を含み、転写体の分析に使用される最も強力な分析ツールである。具体的には、RNA-シーケンシングは、遺伝子発現の変化、選択的スプライシングイベント、対立遺伝子-特異的遺伝子発現および遺伝子融合現象、新たな転写物およびRNA編集を含むキメラ転写物のような現象を研究するのに使用できる。
【0023】
本明細書において、「プローブ(probe)」とは、目的とする遺伝子に特異的に付着して、目的遺伝子を確認および/または検出する探針子を包括的に含む広義の概念である。
【0024】
本明細書において、「乳癌」は、例えば、生検(biopsy)によって悪性病理状態に分類される状態である。乳癌診断の臨床的な技術は医学分野でよく知られている。当業者であれば、乳癌が、例えば、悪性腫瘍および肉腫を含む、乳房組織のすべての悪性を示すことを理解するであろう。特定の例において、乳癌は、乳管内癌(ductal carcinoma in situ、DCIS)、上皮内小葉性癌腫(lobular carcinoma in situ、LCIS)、または粘液性乳癌(mucinous carcinoma)である。また、乳癌は、浸潤性乳管癌(infiltrating ductal carcinoma、IDC)または浸潤性小葉癌(infiltrating lobular carcinoma、ILC)である。本発明の大部分の例において、目的対象者は、乳癌として推測されるか、または実際に診断されたヒト患者である。
【0025】
「初期段階の乳癌」は、段階0(in situ breast cancer)、I(Tl、NO、MO)、IIA(TO-1、Nl、MOまたはT2、NO、MO)、およびIIB(T2、Nl、MOまたはT3、NO、MO)を意味する。初期段階の乳癌患者にはリンパ節関与がほとんどまたは全く現れない。本願において、「リンパ節関与」または「リンパ節状態」は、癌がリンパ節に転移されたかを示す。乳癌患者はこれに基づいて「リンパ節陽性」または「リンパ節陰性」に分類される。乳癌患者を区別する方法と疾病の段階を付ける方法はよく知られており、手動調査、生検、患者および/または家族歴調査、および乳房X線造影法(mammography)、磁気共鳴映像化(MRI)、超音波(ultrasonography)コンピュータ断層撮映(computed tomography、CT)および陽電子断層撮影術(positron emission tomography、PET)のような映像化手法を含むこともできる。
【0026】
また、乳癌は、例えば、手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療またはその一部の組み合わせを含むことができる様々な代案的な戦略によって管理される。当業界にて知られているように、個別的な乳癌患者に対する治療法の決定は、関連するリンパ節数、エストロゲンおよびプロゲステロンレセプター状態、原発性腫瘍の大きさおよび診断時の疾病段階に基づくことができる。多様な臨床因子および臨床試験分析により、St.Gallen Conference(2001)のInternational Consensus Panelは、初期段階の乳癌に対する勧告案および治療指針案を開発させた。Goldhirsch et al.(200I)J.Clin.Oncol.19:3817-3827を参照することができる。
【0027】
本明細書において、「対象体」とは、乳癌が発病したか、その発病が疑われる患者で、乳癌の適切な治療が必要であるか予想される患者を意味するものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、「生体試料」とは、患者の遺伝子情報を確認できるすべての試料を意味し、これに限定されないが、血液、血漿、血清などであってもよく、遺伝子を確認できる種類であればこれに限定されない。
【0029】
本明細書において、「診断機器」とは、血液、唾、小便など人体で生成された物質をベースとして体外で疾患の診断が可能な装置を意味し、例えば、検出部と、演算部と、出力部などとを含み、前記物質から遺伝子を分析できる形態であれば、限定はない。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、(a)対象体から得られた生体試料に対して第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化するステップと、(b)ステップ(a)の正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を計算するステップとを含み、前記対象体の癌の予後を予測する、癌の予後に関する情報提供方法を提供する。
【0031】
本発明では、まず、前記対象体から得られた生体試料に対して第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルを測定するステップを行うことができる。
【0032】
本発明において、前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0033】
本発明において、前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0034】
本発明において、前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0035】
本発明において、前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0036】
本発明において、前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0037】
本発明において、前記第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0038】
本発明において、前記発現レベルを測定するステップは、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群または第6遺伝子群が複数の遺伝子を含む場合、各遺伝子群に属する複数の遺伝子それぞれの発現レベルを測定して行われる。
【0039】
本発明による前記発現レベルの測定は、前記遺伝子群のmRNAの存在および発現の程度を確認する過程で、対象体の試料から抽出されたmRNAから当該遺伝子の発現量を測定することにより行われる。発現レベル測定のための分析方法としては、RT-PCR、競争的RT-PCR(competitive RT-PCR)、リアルタイムRT-PCR(Real-time RT-PCR)、RNase保護分析法(RPA;RNase protection assay)、ノーザンブロッティング(northern blotting)、DNAマイクロアレイチップなどがあるが、これらに限定されるものではなく、当業界にて通常使用される任意の適切な方法で行われる。
【0040】
本発明によるmRNAの発現レベルを測定する製剤としては、好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プライマーまたはプローブであり、前記遺伝子群の塩基配列に基づいてこれら遺伝子の特定領域を特異的に増幅するプライマーまたはプローブを考案することができる。本発明による遺伝子群の塩基配列は、遺伝子バンク(GenBank)に登録されて当業界にて公知の状態であるので、当業者は前記塩基配列に基づいてこれら遺伝子の特定領域を特異的に増幅できるアンチセンスオリゴヌクレオチド、プライマーまたはプローブをデザインすることができる。
【0041】
本発明において、前記のように、第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定すれば、測定された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルを正規化するステップを行うことができる。
【0042】
本発明において、前記正規化は、基準遺伝子の発現レベルを測定した後、第1遺伝子群の発現レベル、第2遺伝子群の発現レベル、第3遺伝子群の発現レベル、第4遺伝子群の発現レベル、第5遺伝子群の発現レベルおよび第6遺伝子群の発現レベルそれぞれを、測定された基準遺伝子の発現レベルに対して正規化し行われる。
【0043】
本発明による差次的発現遺伝子の発現量を計算する方法として、RNAシーケンシングによりマッピング(mapping)されているリード(read)の数を用いて各サンプルの遺伝子別あるいは転写体別の発現程度を確認することができるが、マッピングされたリード数で発現量を定義するには各サンプル別の誤差があり、客観的値とはいい難いので、より好ましくは、客観的な値を導出するための一つの方法として正規化(normalization)過程を行った。
【0044】
通常、RNAシーケンス発現分析の際、当業界にて主に使用される方法として、FPKM(Fragments Per Kilobase of transcripts per Million mapped reads)、RPKM(Reads Per Kilobase of transcript per Million mapped reads)、TPM(Transcripts Per Million)、TMM(Trimmed Mean of M-value)値を計算して正規化するなどの多様な方法が存在する。
【0045】
かつて通用されていた正規化手法のうち、R package edgeR(Robinson et al.Bioinformatics2010)で使用されるTrimmed Mean of M-value(TMM)手法が最も安全性が高いと知られており(Dillies et al.Briefings in bioinformatics2013)、本発明では、edgeR packageを搭載して生産された標的RNAシーケンシングデータから自動的に正規化された遺伝子発現情報を抽出するパイプラインを設計して用いることができる。NGS技術を利用して生成されたシーケンシングデータは、通用されるalignment software(RNA-STAR)(Dobin et al.Bioinformatics2013)を用いて参照遺伝体にマッピングされ、マッピング結果を通してそれぞれの遺伝子から出た配列の個数を集計して、遺伝子の発現量に対する直接的な推定値を抽出した後、開発した正規化パイプラインはマッピング完了してBAMファイル形式に加工されたデータを入力することで、マッピングされたデータは、パイプラインに内蔵された一連のソフトウェアパッケージ(htseq-count(Anders et al.Bioinformatics2014)、edgeR(Robinson et al.Bioinformatics2010))によってサンプル間の比較が可能な正規化された発現量値で計算される。
【0046】
より具体的には、本発明における前記「正規化過程」は、NGS技術を利用して生成されたリードの中で低品質のリードと人為的に作られたリードは除去し、STAR aligner softwareを用いてヒト参照遺伝体の配列にマッピングし、マッピング完了したBAMファイル形式をもって保存されているエクソン領域(conserved exon)のみを取り出して安定性をより向上させる。前記過程の後、htseq-countを用いて遺伝子別発現量を定量化する。定量化された発現量は、かつて通用されていた正規化手法のうち、R package edgeRで使用されるTrimmed Mean of M-value(TMM)手法を使用するが、特に、標準となる患者群に加えることで正規化が行われ、このような変形されたTMM手法は他の既存の正規化手法に比べて安定性が高い。このような一連の過程によりサンプル間の比較が可能な正規化された発現量値で計算される。しかし、当業界にて通常使用される正規化方法に相当すれば、これに限定されるものではない。
【0047】
本発明において、前記「基準遺伝子」は、細胞または組織タイプ、または撹乱性物質(すなわち、例として、撹乱源)の存在に関係なくほぼ同一レベルを維持するすべての転写体を指し示す。本発明において、前記基準遺伝子は、遺伝子発現データを正規化するための内部対照群として有用であり得る。
【0048】
本発明において、前記基準遺伝子の種類を特に限定しないが、例えば、ACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、JMJD5、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、およびZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0049】
本発明において、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群または第6遺伝子群が複数の遺伝子を含む場合、前記正規化は、各遺伝子群に属する複数の遺伝子それぞれに対して行われる。
【0050】
本発明において、前記のように、第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルを正規化した後には、正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を計算するステップを行うことができる。
【0051】
本発明において、前記正規化された第1遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-2.36~-0.34の有理数であってもよい。
【0052】
本発明において、前記正規化された第2遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.17~0.42の有理数であってもよい。
【0053】
本発明において、前記正規化された第3遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-0.06~0.22の有理数であってもよい。
【0054】
本発明において、前記正規化された第4遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.01~0.73の有理数であってもよい。
【0055】
本発明において、前記正規化された第5遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.08~0.65の有理数であってもよい。
【0056】
本発明において、前記正規化された第6遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-0.58~-0.02の有理数であってもよい。
【0057】
本発明において、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群または第6遺伝子群が複数の遺伝子を含む場合、各遺伝子群に属する複数の遺伝子それぞれの正規化された発現レベルに回帰係数値を乗算することができる。この時、複数の遺伝子が同一の遺伝子群に属していても、これらそれぞれの正規化された発現レベルに乗算される回帰係数値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0058】
本発明において、前記のように正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルに回帰係数値を乗算した後、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を得ることができるが、好ましくは、補正係数値を追加的に合算することができる。
【0059】
本発明において、前記補正係数値は、35.09~47.07の有理数であってもよい。
【0060】
したがって、本発明において、前記決定指数(Decision Index;DI)は、下記のように式1で表されてもよい:
【0061】
[式1]
DI=aX(q)+bY(r)+cZ(s)+dK(t)+eL(u)+fM(v)
【0062】
上記式1中、
q、r、s、t、uおよびvは、それぞれ独立して1以上の整数であり、好ましくは1~6の整数であり、より好ましくは、前記qは、1~3の整数であり、前記rは、1~2の整数であり、前記sは、1~2の整数であり、前記tは、1~5の整数であり、前記uは、1~6の整数であり、前記vは、1~3の整数であってもよい。
【0063】
前記aは、前記正規化された第1遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-2.36~-0.34の有理数であってもよい。
【0064】
前記bは、前記正規化された第2遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.17~0.42の有理数であってもよい。
【0065】
前記cは、前記正規化された第3遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-0.06~0.22の有理数であってもよい。
【0066】
前記dは、前記正規化された第4遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.01~0.73の有理数であってもよい。
【0067】
前記eは、前記正規化された第5遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.08~0.65の有理数であってもよい。
【0068】
前記fは、前記正規化された第6遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-0.58~-0.02の有理数であってもよい。
【0069】
前記X(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記qが1の場合、前記X(q)は、第1遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記aX(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにaを乗算した値の和であってもよく、前記qが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるa値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0070】
前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記rが1の場合、前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記bY(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにbを乗算した値の和であってもよく、前記rが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるb値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0071】
前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記sが1の場合、前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記cZ(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにcを乗算した値の和であってもよく、前記sが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるc値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0072】
前記K(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記tが1の場合、前記K(t)は、第4遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記dK(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにdを乗算した値の和であってもよく、前記tが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるd値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0073】
前記L(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記uが1の場合、前記L(u)は、第5遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記eL(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにeを乗算した値の和であってもよく、前記uが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるe値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0074】
前記M(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記vが1の場合、前記M(v)は、第6遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記fM(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにfを乗算した値の和であってもよく、前記vが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるf値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0075】
本発明において、より詳しくは、前記aX(q)は、下記式2で表されてもよい。
【0076】
[式2]
aX(q)=a*X+…+a*X
【0077】
上記式2中、
qは、1以上の整数、好ましくは1~3の整数であり、
~aは、それぞれ独立して-2.36~-0.34の有理数であり、
~Xは、それぞれ独立して第1遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0078】
また、本発明において、前記bY(r)は、下記式3で表されてもよい。
【0079】
[式3]
bY(r)=b*Y+…+b*Y
【0080】
上記式3中、
rは、1以上の整数、好ましくは1~2の整数であり、
~bは、それぞれ独立して0.17~0.42の有理数であり、
~Yは、それぞれ独立して第2遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0081】
また、本発明において、前記cZ(s)は、下記式4で表されてもよい。
【0082】
[式4]
cZ(s)=c*Z+…+c*Z
【0083】
上記式4中、
sは、1以上の整数、好ましくは1~2の整数であり、
~cは、それぞれ独立して-0.06~0.22の有理数であり、
~Zは、それぞれ独立して第3遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0084】
また、本発明において、前記dK(t)は、下記式5で表されてもよい。
【0085】
[式5]
dK(t)=d*K+…+d*K
【0086】
上記式5中、
tは、1以上の整数、好ましくは1~5の整数であり、
~dは、それぞれ独立して0.01~0.73の有理数であり、
~Kは、それぞれ独立して第4遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0087】
また、本発明において、前記eL(u)は、下記式6で表されてもよい。
【0088】
[式6]
eL(u)=e*L+…+e*L
【0089】
上記式6中、
uは、1以上の整数、好ましくは1~6の整数であり、
~eは、それぞれ独立して0.08~0.65の有理数であり、
~Lは、それぞれ独立して第5遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0090】
また、本発明において、前記fM(v)は、下記式7で表されてもよい。
【0091】
[式7]
fM(v)=f*M+…+f*M
【0092】
上記式7中、
vは、1以上の整数、好ましくは1~3の整数であり、
~fは、それぞれ独立して-0.58~-0.02の有理数であり、
~Mは、それぞれ独立して第6遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0093】
本発明において、前記計算された決定指数(DI)の値が20を超える場合、癌の予後が悪いと予測するステップをさらに含むことができる。
【0094】
本発明において、前記癌は、乳癌、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、肝癌、膵臓癌、頭頸部癌、胃癌、大腸癌、尿路上皮癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、黒色腫瘍、卵管癌、子宮癌、血液癌、骨癌、皮膚癌、脳癌、膣癌、内分泌癌、副甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、気管支癌、膀胱癌、骨髄癌、急性リンパ球性またはリンパ芽球性白血病、急性または慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、脳腫瘍、頸管癌、慢性骨髄性白血病、腸癌、T-ゾーンリンパ腫、食道癌、胆汁膀胱癌、ユーイング肉腫(Ewing’s sarcoma)、舌癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、神経芽細胞腫、乳腺癌、頸管癌、陰茎癌、レチノブラストーマ、皮膚癌、および子宮癌からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0095】
本発明の癌の予後に関する情報提供方法は、対象体の癌の予後を予測できるだけでなく、対象体に対する化学的抗癌療法の可否、化学的抗癌療法に対する治療反応性、または化学的抗癌療法後の予後を予測するのに使用できる。
【0096】
本発明の他の実施形態によれば、対象体から得られた生体試料に第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定するための製剤を含む癌の予後予測用組成物を提供する。
【0097】
本発明において、前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0098】
本発明において、前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0099】
本発明において、前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0100】
本発明において、前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0101】
本発明において、前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0102】
本発明において、前記第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0103】
本発明において、前記遺伝子の発現レベルを測定するための製剤は、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの遺伝子に特異的に結合できるアンチセンスオリゴヌクレオチド、プライマーまたはプローブであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0104】
本発明の癌の予後予測用組成物は、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを正規化するための、基準遺伝子の発現レベルを測定するための製剤をさらに含むことができる。
【0105】
本発明において、前記基準遺伝子の種類を特に限定しないが、例えば、ACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、JMJD5、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、およびZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0106】
本発明において、前記癌は、乳癌、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、肝癌、膵臓癌、頭頸部癌、胃癌、大腸癌、尿路上皮癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、黒色腫瘍、卵管癌、子宮癌、血液癌、骨癌、皮膚癌、脳癌、膣癌、内分泌癌、副甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、気管支癌、膀胱癌、骨髄癌、急性リンパ球性またはリンパ芽球性白血病、急性または慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、脳腫瘍、頸管癌、慢性骨髄性白血病、腸癌、T-ゾーンリンパ腫、食道癌、胆汁膀胱癌、ユーイング肉腫(Ewing’s sarcoma)、舌癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、神経芽細胞腫、乳腺癌、頸管癌、陰茎癌、レチノブラストーマ、皮膚癌、および子宮癌からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0107】
本発明の癌の予後予測用組成物は、対象体の癌の予後を予測できるだけでなく、対象体に対する化学的抗癌療法の可否、化学的抗癌療法に対する治療反応性、または化学的抗癌療法後の予後を予測するのに使用できる。
【0108】
本発明のさらに他の実施形態によれば、(a)対象体から得られた生体試料に第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化する検出部と、(b)前記検出部で正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた決定指数(Decision Index;DI)を計算する演算部と、(c)前記演算部で得られた決定指数で前記対象体の癌の予後を予測して出力する出力部とを含む、癌の予後診断機器を提供する。
【0109】
本発明において、前記検出部は、前記対象体から得られた前記生体試料から第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定することができる。
【0110】
本発明において、前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0111】
本発明において、前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0112】
本発明において、前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0113】
本発明において、前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0114】
本発明において、前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0115】
本発明において、前記第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0116】
本発明において、前記検出部は、測定された前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを基準遺伝子の発現レベルに対して正規化することができる。
【0117】
本発明において、前記基準遺伝子の種類を特に限定しないが、例えば、ACTB、APOBEC3B、ASF1B、ASPM、AURKB、BAG1、BCL2、BIRC5、BLM、BUB1、BUB1B、C14orf45、C16orf61、C7orf63、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNE1、CCT5、CD68、CDC20、CDC25A、CDC45、CDC6、CDCA3、CDCA8、CDK1、CDKN3、CENPA、CENPF、CENPM、CENPN、CEP55、CHEK1、CIRBP、CKS2、CRIM1、CYBRD1、DBF4、DDX39、DLGAP5、DNMT3B、DONSON、DTL、E2F1、ECHDC2、ERBB2、ERCC6L、ESPL1、EXO1、EZH2、FAM64A、FANCI、FBXO5、FEN1、FOXM1、GAPDH、GINS1、GRB7、GTSE1、GUSB、HJURP、HMMR、HN1、IFT46、KIF11、KIF15、KIF18B、KIF20A、KIF2C、KIF4A、KIFC1、LMNB1、LMNB2、LRIG1、LRRC48、LRRC59、MAD2L1、MARCH8、MCM10、MCM2、MCM6、MELK、MKI67、MLF1IP、MYBL2、NCAPG、NCAPG2、NCAPH、NDC80、NEK2、NUP93、NUSAP1、OIP5、PBK、PDSS1、PKMYT1、PLK1、PLK4、PRC1、PTTG1、RACGAP1、RAD51、RAD51AP1、RAI2、RFC4、RPLP0、SETBP1、SF3B3、SHMT2、SLC25A12、SPAG5、SPC25、SQLE、STARD13、STIL、STMN1、SYNC、TACC3、TK1、TOP2A、TPX2、TRIP13、TROAP、TTK、UBE2C、UBE2S、ZWINT、C10orf76、C12orf72、CIAO1、CNOT4、DBR1、DND1、FBXO42、GRK4、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPR、JMJD5、KHDRBS1、KLRAQ1、LACE1、LOC148189、LOC285033、LOC493754、MRPL44、NRF1、PKNOX1、PPHLN1、RRN3P3、SENP8、SLC4A1AP、TARDBP、THRAP3、TTLL11、WDR33、またはZNF143から構成された群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0118】
本発明の検出部において、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群、第6遺伝子群または基準遺伝子の発現レベルを測定するために使用される製剤およびその測定方法と正規化方法は、本発明の癌の予後に関する情報提供方法に記載されたものと重複し、以下、その詳しい記載を省略する。
【0119】
本発明では、前記検出部において、第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルを正規化した後には、演算部で前記検出部で正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を計算することができる。
【0120】
本発明において、前記正規化された第1遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-2.36~-0.34の有理数であってもよい。
【0121】
本発明において、前記正規化された第2遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.17~0.42の有理数であってもよい。
【0122】
本発明において、前記正規化された第3遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-0.06~0.22の有理数であってもよい。
【0123】
本発明において、前記正規化された第4遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.01~0.73の有理数であってもよい。
【0124】
本発明において、前記正規化された第5遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、0.08~0.65の有理数であってもよい。
【0125】
本発明において、前記正規化された第6遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値は、-0.58~-0.02の有理数であってもよい。
【0126】
本発明において、前記第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群または第6遺伝子群が複数の遺伝子を含む場合、各遺伝子群に属する複数の遺伝子それぞれの正規化された発現レベルに回帰係数値を乗算することができる。この時、複数の遺伝子が同一の遺伝子群に属していても、これらそれぞれの正規化された発現レベルに乗算される回帰係数値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0127】
本発明において、前記のように正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルに回帰係数値を乗算した後、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を得ることができるが、好ましくは、補正係数値を追加的に合算することができる。
【0128】
本発明において、前記補正係数値は、35.09~47.07の有理数であってもよい。
【0129】
本発明において、前記決定指数(Decision Index;DI)は、下記のように表されてもよい。
【0130】
[式1]
DI=aX(q)+bY(r)+cZ(s)+dK(t)+eL(u)+fM(v)
【0131】
上記式1中、
q、r、s、t、uおよびvは、それぞれ独立して1以上の整数であり、好ましくは1~6の整数であり、より好ましくは、前記qは、1~3の整数であり、前記rは、1~2の整数であり、前記sは、1~2の整数であり、前記tは、1~5の整数であり、前記uは、1~6の整数であり、前記vは、1~3の整数であってもよい。
【0132】
前記aは、前記正規化された第1遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-2.36~-0.34の有理数であってもよい。
【0133】
前記bは、前記正規化された第2遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.17~0.42の有理数であってもよい。
【0134】
前記cは、前記正規化された第3遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-0.06~0.22の有理数であってもよい。
【0135】
前記dは、前記正規化された第4遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.01~0.73の有理数であってもよい。
【0136】
前記eは、前記正規化された第5遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、0.08~0.65の有理数であってもよい。
【0137】
前記fは、前記正規化された第6遺伝子群の発現レベルに対して乗算される回帰係数値で、-0.58~-0.02の有理数であってもよい。
【0138】
前記X(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記qが1の場合、前記X(q)は、第1遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記aX(q)は、第1遺伝子群に属するq個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにaを乗算した値の和であってもよく、前記qが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるa値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0139】
前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記rが1の場合、前記Y(r)は、第2遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記bY(r)は、第2遺伝子群に属するr個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにbを乗算した値の和であってもよく、前記rが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるb値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0140】
前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記sが1の場合、前記Z(s)は、第3遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記cZ(s)は、第3遺伝子群に属するs個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにcを乗算した値の和であってもよく、前記sが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるc値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0141】
前記K(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記tが1の場合、前記K(t)は、第4遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記dK(t)は、第4遺伝子群に属するt個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにdを乗算した値の和であってもよく、前記tが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるd値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0142】
前記L(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記uが1の場合、前記L(u)は、第5遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記eL(u)は、第5遺伝子群に属するu個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにeを乗算した値の和であってもよく、前記uが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるe値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0143】
前記M(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルの和であってもよい。ただし、前記vが1の場合、前記M(v)は、第6遺伝子群に属するいずれか1つの遺伝子の正規化された発現レベルの値であってもよい。また、前記fM(v)は、第6遺伝子群に属するv個の遺伝子の正規化された発現レベルそれぞれにfを乗算した値の和であってもよく、前記vが2以上の整数の場合、それぞれの遺伝子の正規化された発現レベルに乗算されるf値は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0144】
本発明において、より詳しくは、前記aX(q)は、下記式2で表されてもよい。
【0145】
[式2]
aX(q)=a*X+…+a*X
【0146】
上記式2中、
qは、1以上の整数、好ましくは1~3の整数であり、
~aは、それぞれ独立して-2.36~-0.34の有理数であり、
~Xは、それぞれ独立して第1遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。また、本発明において、前記bY(r)は、下記式3で表されてもよい。
【0147】
[式3]
bY(r)=b*Y+…+b*Y
【0148】
上記式3中、
rは、1以上の整数、好ましくは1~2の整数であり、
~bは、それぞれ独立して0.17~0.42の有理数であり、
~Yは、それぞれ独立して第2遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0149】
また、本発明において、前記cZ(s)は、下記式4で表されてもよい。
【0150】
[式4]
cZ(s)=c*Z+…+c*Z
【0151】
上記式4中、
sは、1以上の整数、好ましくは1~2の整数であり、
~cは、それぞれ独立して-0.06~0.22の有理数であり、
~Zは、それぞれ独立して第3遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0152】
また、本発明において、前記dK(t)は、下記式5で表されてもよい。
【0153】
[式5]
dK(t)=d*K+…+d*K
【0154】
上記式5中、
tは、1以上の整数、好ましくは1~5の整数であり、
~dは、それぞれ独立して0.01~0.73の有理数であり、
~Kは、それぞれ独立して第4遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0155】
また、本発明において、前記eL(u)は、下記式6で表されてもよい。
【0156】
[式6]
eL(u)=e*L+…+e*L
【0157】
上記式6中、
uは、1以上の整数、好ましくは1~6の整数であり、
~eは、それぞれ独立して0.08~0.65の有理数であり、
~Lは、それぞれ独立して第5遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0158】
また、本発明において、前記fM(v)は、下記式7で表されてもよい。
【0159】
[式7]
fM(v)=f*M+…+f*M
【0160】
上記式7中、
vは、1以上の整数、好ましくは1~3の整数であり、
~fは、それぞれ独立して-0.58~-0.02の有理数であり、
~Mは、それぞれ独立して第6遺伝子群に属する任意の遺伝子の正規化された発現レベルであってもよい。
【0161】
本発明の出力部は、前記演算部で得られた決定指数(DI)で前記対象体の癌の予後を予測して出力することができ、前記決定指数(DI)の値が20を超える場合、予後が悪いと予測して出力することができる。
【0162】
本発明において、前記癌は、乳癌、神経膠腫、甲状腺癌、肺癌、肝癌、膵臓癌、頭頸部癌、胃癌、大腸癌、尿路上皮癌、腎臓癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、黒色腫瘍、卵管癌、子宮癌、血液癌、骨癌、皮膚癌、脳癌、膣癌、内分泌癌、副甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、気管支癌、膀胱癌、骨髄癌、急性リンパ球性またはリンパ芽球性白血病、急性または慢性のリンパ球性白血病、急性非リンパ球性白血病、脳腫瘍、頸管癌、慢性骨髄性白血病、腸癌、T-ゾーンリンパ腫、食道癌、胆汁膀胱癌、ユーイング肉腫(Ewing’s sarcoma)、舌癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、神経芽細胞腫、乳腺癌、頸管癌、陰茎癌、レチノブラストーマ、皮膚癌、および子宮癌からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0163】
本発明の癌の予後診断機器は、対象体の癌の予後を予測できるだけでなく、対象体に対する化学的抗癌療法の可否、化学的抗癌療法に対する治療反応性、または化学的抗癌療法後の予後を予測するのに使用できる。
【発明の効果】
【0164】
本発明による場合、20代から80代に至るすべての年齢帯に対して癌の予後を予測することができ、特に、50歳以上または50歳未満のすべての女性のがん予後を予測することができる。また、本発明による場合、癌患者が化学療法における治療反応に対して有益な反応を有する可能性が高いかを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
図1図1Aおよび図1Bは、本発明による癌の予後に関する情報提供方法による乳癌の予後予測した結果を、従来の製品と比較した結果を示すグラフである。
図2】本発明による癌の予後に関する情報提供方法により実施した場合の、危険比を確認したグラフである。
図3A】本発明による癌の予後に関する情報提供方法により患者の年齢が50歳前後の場合を比較したグラフである。
図3B】本発明による癌の予後に関する情報提供方法により患者の年齢が50歳前後の場合を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0166】
本発明の一実施形態によれば、(a)対象体から得られた生体試料に対して第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化するステップと、(b)ステップ(a)の正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群それぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、これらを合算して決定指数(Decision Index;DI)を計算するステップとを含み、前記対象体の癌の予後を予測する、癌の予後に関する情報提供方法に関する。
【0167】
本発明の他の実施形態によれば、対象体から得られた生体試料に第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定するための製剤を含む癌の予後予測用組成物に関する。
【0168】
本発明のさらに他の実施形態によれば、(a)対象体から得られた生体試料に第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群の発現レベルを測定し正規化する検出部と、(b)前記検出部で正規化された第1遺伝子群、第2遺伝子群、第3遺伝子群、第4遺伝子群、第5遺伝子群および第6遺伝子群のそれぞれの発現レベルに回帰係数(weight)値を乗算し、合算して得られた決定指数(Decision Index;DI)を計算する演算部と、(c)前記演算部で得られた決定指数で前記対象体の癌の予後を予測して出力する出力部とを含む、癌の予後診断機器に関する。
【0169】
本発明において、前記第1遺伝子群は、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、およびSCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0170】
本発明において、前記第2遺伝子群は、CTSL2(Cathepsin V)、およびMMP11(Matrix Metallopeptidase 11)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0171】
本発明において、前記第3遺伝子群は、TFRC(Transferrin Receptor)、およびCX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0172】
本発明において、前記第4遺伝子群は、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、およびKPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0173】
本発明において、前記第5遺伝子群は、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、およびKIF23(Kinesin Family Member 23)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【0174】
本発明において、前記第6遺伝子群は、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)からなる群より選択されたいずれか1つ以上であってもよい。
【実施例
【0175】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0176】
実施例
【0177】
対象乳癌患者の選定および検査組織の用意
【0178】
ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陰性である1-2期乳癌の手術組織のうち代表ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffin-embedded、FFPE)ブロックを選定してRNA抽出した。
【0179】
目的となるRNA-シーケンシング
【0180】
一定レベルのRNAクオリティを有すると、これによりcDNAライブラリーを作った。179個の遺伝子パネルプローブを用いて特定遺伝子のみ探知した。179個の遺伝子全体を次世代塩基配列分析(next generation sequencing;NGS)装置を用いてシーケンシングし、ヒトゲノムに整列(Alignment)した。ヒトゲノムリファレンス(public human genome reference)にSTARという整列アルゴリズムによりマッピングした。整列された分析配列の情報から遺伝子別発現量を測定した。
【0181】
目的となるRNA-シーケンシング発現情報の正規化(normalization)
【0182】
モデリングに使った患者および患者の遺伝子を用いて正規化した。343人の患者と179個の遺伝子を用いて正規化した。21個の遺伝子のみ再発点数の計算に使用され、正規化ではすべての遺伝子を使用した。
【0183】
本発明は、化学療法に対する癌、例えば、乳癌患者の反応を予測するのに有用な遺伝子および遺伝子セットを提供した。また、本発明は、複数の遺伝子RNA分析を利用する、化学療法に対する乳癌患者の反応を予測する臨床的に効果的な試験を提供した。
【0184】
本発明者らは、癌患者、例えば、乳癌患者が化学療法に対して有益な反応を示す可能性が高いかを予測するのに有用な一連の遺伝子を選別および確認した。上記のような予測のために、次の6つの面でカテゴリー化して選別した。(1)エストロゲン関連の遺伝子群、(2)浸潤関連の遺伝子群、(3)免疫関連の遺伝子群、(4)増殖関連の遺伝子群、(5)細胞周期関連の遺伝子群、および(6)その他の遺伝子群。より詳しくは、本発明者らが選別した遺伝子としては、ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、SCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)、CTSL2(Cathepsin V)、MMP11(Matrix Metallopeptidase 11)、TFRC(Transferrin Receptor)、CX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)、KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、KPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)、AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、KIF23(Kinesin Family Member 23)、JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、およびGSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)からなる群より選択した。
【0185】
乳癌の予後予測および抗癌化学療法の治療効果予測アルゴリズム
【0186】
予測モデルから出た21個の遺伝子の回帰係数(weight)値と補正係数を用いて決定指数(Decision Index;DI)値を計算した。ここで、予測モデルは、250人の患者を対象に決定指数値を推定するために、Algorithm building過程でラッソ回帰分析(Lasso regression)方式で構築し、93人に検証(validation)した後、413人に臨床検証を実施したモデルである。
【0187】
上記の21個の遺伝子は、(1)ESR1(Estrogen Receptor 1)、PGR(Progesterone Receptor)、SCUBE2(Signal Peptide、CUB Domain And EGF Like Domain Containing 2)から構成されたエストロゲン関連の第1遺伝子群、(2)CTSL2(Cathepsin V)、MMP11(Matrix Metallopeptidase 11)から構成された浸潤関連の第2遺伝子群、(3)TFRC(Transferrin Receptor)、CX3CR1(C-X3-C Motif Chemokine Receptor 1)から構成された免疫関連の第3遺伝子群、(4)KIF14(Kinesin Family Member 14)、RRM2(Ribonucleotide Reductase Regulatory Subunit M2)、SHCBP1(SHC Binding And Spindle Associated 1)、SLC7A5(Solute Carrier Family 7 Member 5)、KPNA2(Karyopherin Subunit Alpha 2)から構成された増殖関連の第4遺伝子群、(5)AURKA(Aurora Kinase A)、CCNE2(Cyclin E2)、CENPE(Centromere Protein E)、E2F8(E2F transcription factor 8)、KIF18A(Kinesin Family Member 18A)、KIF23(Kinesin Family Member 23)から構成された細胞周期関連の第5遺伝子群、(6)JMJD5(Lysine Demethylase 8)、CACNA1D(Calcium Voltage-Gated Channel Subunit Alpha1 D)、GSTM1(Glutathione S-Transferase Mu 1)から構成されたその他の第6遺伝子群として構成した。
【0188】
各6個の遺伝子群のカテゴリーに対する回帰係数(weight)値の適切な範囲は、エストロゲン関連の第1遺伝子群が-2.36~-0.34の有理数であり、浸潤関連の第2遺伝子群が0.17~0.42の有理数であり、免疫関連の第3遺伝子群が-0.06~0.22の有理数であり、増殖関連の第4遺伝子群が0.01~0.73の有理数であり、細胞周期関連の第5遺伝子群が0.08~0.65の有理数であり、その他の遺伝子群が-0.58~-0.02の有理数であることを確認し、補正係数値の適切な範囲は、35.09~47.07の有理数であることを確認した。
【0189】
決定指数(DI)値を下記のように計算した。
【0190】
決定指数(Decision Index;DI)=0.62×KIF23+0.60×SLC7A5+0.59×KPNA2+0.53×AURKA+0.34×E2F8+0.34×MMP11+0.24×SHCBP1+0.20×CTSL2+0.16×CENPE+0.16×TFRC+0.15×KIF18A+0.14×CCNE2+0.04×KIF14+0.04×RRM2+(-0.04)×CX3CR1+(-0.05)×JMJD5+(-0.33)×CACNA1D+(-0.36)×ESR1+(-0.48)×GSTM1+(-1.45)×PGR+(-2.04)×SCUBE2+41.16で算出されたDI値と患者の予後予測診断について解析した。
【0191】
本発明では、上記のような予後点数値によりすべての年齢帯に対して、一具体例では、20代から80代に至る年齢帯に対して、他の具体例では、閉経前後の年齢帯に対して乳癌を診断することができ、特に、初期乳癌患者に対する乳癌の診断が可能であることを確認した。本発明による組成物および方法は、すべての年齢帯に対して、例えば、20代から80代に至る年齢帯に対して、または他の具体例において、閉経前後の年齢帯に対して、ER+/HER2-に対する乳癌患者に対する乳癌の診断が可能であることを確認した。
【0192】
乳癌の予後予測に対する検証(validation)
【0193】
臨床的検証は、リンパ節転移のないER+/HER2-乳癌患者のうち、5年以上追跡観察されている413人を対象に実施した。すべての患者から前記明示された予後予測ツールを用いて決定指数(DI)値を算出した。すべての基準点(cut-off)において敏感度と特異度がどのような関係を有しているかを確認するために、ROC curve(Receiver-Operating Characteristic curve、受信者判断特性曲線)を描き、ROC curveに対するAUC(Area Under Curve、曲線下面積)を計算して、既存の製品と比較した。本発明による癌の予後に関する情報提供方法による乳癌の予後予測した結果(図1A)が、市販の製品(オンコタイプDx、図1B)に比べて正確度に優れていることを確認した(図1参照)。
【0194】
決定指数(DI)と危険比(Hazard ratio、HR)との関係を考慮して最適な基準点(cut-off)を設定し、遠隔転移の有無に対する生存分析を進行させた。その結果、本発明による癌の予後に関する情報提供方法によれば、全体患者を対象に実施した場合に、危険比が約6.6水準と優れた予測力を確認することができた(図2参照)。本発明による癌の予後に関する情報提供方法を用いて患者の年齢が50歳以下(図3A)および50歳超過(図3B)の場合に分けて遠隔転移の有無に対する生存分析を実施した。本発明によれば、50歳前後の年齢基準に関係なく同等に優れた性能を確認することができた(図3参照)。
【0195】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実施形態に過ぎず、よって、本発明の範囲が制限されない点は明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は添付した請求項とその等価物によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、癌患者が化学療法における治療反応に対して有益な反応を有する可能性が高いかを予測するために有用な遺伝子発現情報を提供する。本発明による場合、20代から80代に至るすべての年齢帯に対して癌の予後を予測することができ、特に、50歳以上または50歳未満のすべての女性のがん予後を予測することができる。
図1
図2
図3A
図3B