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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】本人認証システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241108BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241108BHJP
   G01S 19/14 20100101ALI20241108BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241108BHJP
   A61B 5/117 20160101ALI20241108BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G06F21/32
G01S19/14
A61B5/11 200
A61B5/117 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023195901
(22)【出願日】2023-11-17
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523210526
【氏名又は名称】Vlightup株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134809
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 亮
(72)【発明者】
【氏名】皆本 祥男
(72)【発明者】
【氏名】桑原 知弘
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0023290(US,A1)
【文献】国際公開第2019/203188(WO,A1)
【文献】特開平10-171591(JP,A)
【文献】特開2019-160295(JP,A)
【文献】特開2021-36645(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132480(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
A61B 5/117
G06F 21/32
G01S 19/14
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を用いて検出されたユーザの動きを示すモーション情報を利用してユーザの本人認証を行う本人認証システムであって、
記憶手段に記憶されている前記ユーザ毎に該当するユーザに関するユーザ情報を管理する手段であって、前記ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理する情報管理手段と、
前記本人認証の対象のユーザを対象ユーザとして特定するユーザ特定手段と、
前記対象ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記取得された位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段と、
前記対象ユーザの前記モーション特徴情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、当該対象ユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行する判定処理手段と、
前記判定処理において、前記モーション特徴情報によって示される部位の動きと、前記部位軌道情報によって示される対象ユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、前記対象ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する認証処理手段と、
を備え
前記判定処理手段が、
前記認証処理を実行するタイミングとは異なるタイミングに前記判定処理を実行することを特徴とする本人認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の本人認証システムにおいて
前記判定処理手段が、
前記異なるタイミングとして、前記認証処理の実行前のタイミング、又は、前記認証処理の実行後のタイミングに、前記判定処理を実行する、本人認証システム。

【請求項3】
請求項1に記載の本人認証システムにおいて、
前記対象ユーザの身体の一部の部位の一連の動きの動作期間中に、予め定められたタイミング毎に取得された、複数の位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道が部位軌道情報として検出されており、
前記判定処理手段が、
前記検出された部位軌道情報に基づいて、前記対象ユーザの前記身体の動きを、モーション情報として、認識し、
当該モーション情報と前記モーション特徴情報とを比較して、前記判定処理を実行する、本人認証システム。
【請求項4】
位置情報を用いて検出されたユーザの動きを示すモーション情報を利用してユーザの本人認証を行うプログラムであって、
記憶手段に記憶されている前記ユーザ毎に該当するユーザに関するユーザ情報を管理する手段であって、前記ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理する情報管理手段、
前記本人認証の対象のユーザを対象ユーザとして特定するユーザ特定手段、
前記対象ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記位置情報を取得する位置情報取得手段、
前記取得された位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段、
前記対象ユーザの前記モーション特徴情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、当該対象ユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行する判定処理手段、及び、
前記判定処理において、前記モーション特徴情報によって示される部位の動きと、前記部位軌道情報によって示される対象ユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、前記対象ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する認証処理手段、
としてコンピュータを機能させ
前記判定処理手段が、
前記認証処理を実行するタイミングとは異なるタイミングに前記判定処理を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーション認識システム、本人認証システム、端末装置、及び、プログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体又は物体を検出してデジタル的に記録するモーションキャプチャーという手法が知られている。
【0003】
特に、このモーションキャプチャーの方法としては、人体の関節部分などに取り付けたマーカを角度の異なる複数のカメラで検出し、かつ、マーカの動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成する光学式のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、近年、WWW(world wide web)を介したインターネットバンクサービス又はオンラインストア等のサービスにおいて、所謂、なりすましに代表される不正使用が急増している。
【0005】
そこで、最近では、取引先又は取引元の位置情報を用いて取引元又は取引先の真正性を判定し、当該電子商取引の承認をする承認処理を実行する構成を有している(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-098576号公報
【文献】特許7321418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法であっては、人体に取り付けるマーカの他に、当該マーカを認識するためのカメラなどの撮像装置及び撮像されたマーカの状況を処理する処理装置など大規模な機材が必要となり、小規模の構成によってモーションキャプチャーに関する処理を実現することが難しい。
【0008】
また、特許文献2のシステムであっては、承認処理を行う際に、個人情報の取得に配慮しつつも、本人認証と匿名性の確保の相反する目的効果に関しては改良の余地がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、位置情報を用いることによって簡易な構成によってユーザの動きを認識することが可能なモーション認識システムなどを提供することにある。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザの動きを用いて本人認証を行うことによって、当該本人認証と匿名性の確保という、相反する目的を簡易なシステムで実現することが可能な本人認証システムなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明は、
端末装置の位置情報を用いてユーザの動きを認識するモーション認識システムであって、
前記ユーザの身体的な特徴を示す情報を身体情報として取得する身体情報取得手段と、
前記ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記端末装置の位置情報に基づいて、前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段と、
前記取得された身体情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する認識処理を実行する認識処理手段と、
前記認識された身体の動きをモーション情報として出力し、又は、所与のデータベースに登録する出力登録管理手段と、
を備える、構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明は、例えば、GPS(Global Positioning System)を含む、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛星通信、携帯型電話器用の基地局との通信、又は、Wi-Fiなどの近距離無線通信の各種の通信を用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、かつ、端末装置の位置情報を用いてユーザの身体の一部の位置変化を検出することができる。
【0013】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0014】
なお、「身体情報」とは、例えば、身長、手足の長さ、肩幅、身丈、手足のサイズ、及び、頭のサイズなどが含まれる。
【0015】
また、「ユーザの身体の一部の部位」には、例えば、手首、足首、頭頂部、額、肘及び膝の他に、各関節などの身体において主に可動する部位、又は、可動にあたり基準(中心)となる部位が含まれる。
【0016】
そして、「部位軌道情報」とは、0.1秒から1.0秒などの所定のタイミング毎に取得した位置情報を実空間において連続的な位置変化として軌道化した情報を示す。
【0017】
さらに、「身体の動き」には、例えば、腕(左右双方又は片方)を回す(種々の回し方含む。)・上げる・下げる、手掌(左右双方又は片方)を振る、頭部を振る(前後、左右)・回す、足(左右どちらか)を上げる(種々の上げ方)・下げる、又は、上体を左右に動かす・曲げるなどの各部位又は複合的な部位の動きだけでなく、歩く、ジャンプする、姿勢を変える(しゃがむ、起こす、横たわるなど)動きなどの身体全体の動きも含まれる。
【0018】
(2)また、本発明は、
前記位置情報取得手段が、
前記ユーザの身体の一部の部位の一連の動きの動作期間中に、予め定められたタイミング毎の位置情報を連続的に取得し、
前記検出手段が、
連続的に取得された複数の位置情報に基づいて、前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する、構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明は、予め定められたタイミングとして、例えば、0.1秒から1.0秒毎に身体の一部の部位の動きに伴って移動する端末装置の位置情報を取得するこ
とができるとともに、数mm~数十mmの位置差を識別することができるので、端末装置の位置を身体の部位に対応付けることによってその位置変化を検出することができる。
【0020】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0021】
なお、「一連の動き」とは、所与の指示に基づいて特定された開始タイミングから終了タイミングまでの特定の部位の動きを示す。
【0022】
また、「動作期間中」とは、例えば、特定された部位の動きに関する開始タイミングから終了タイミングまでの期間を示す。
【0023】
(3)また、本発明は、
前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を前記ユーザに提示する提示手段を更に備え、
前記認識処理手段が、
前記認識処理として、前記提示された軌道を示す提示軌道情報及び前記取得された身体情報とともに、前記検出された部位軌道情報に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する、構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明は、指示された身体の一部の部位の軌道と位置情報とに基づいて身体の動きをデジタル化することができる。
【0025】
また、本発明は、同一性の判定精度が高い場合には、指示通りの動きであるか否かだけでなく、ユーザ固有の動作であるか否かをも判定することができるので、ユーザの動きを用いて本人認証を行うことができる。
【0026】
(4)また、本発明は、
前記ユーザに前記端末装置によって測定するための前記ユーザの所与の身体的な部位を提示する提示手段を更に備え、
前記身体情報取得手段が、
前記提示された身体的な部位に基づく前記端末装置の位置情報を取得して当該取得した端末装置の位置を、前記提示された身体的な部位の位置として認識し、当該認識した身体の部位の位置に基づいて前記身体情報を特定する身体情報特定処理を実行する、構成を有している。
【0027】
この構成により、本発明は、例えば、身体的な部位として頭頂部、肩、手掌、腰部、膝、足首、又は、これらの2以上の部位を提示すれば、位置情報に基づいて、ユーザの身長、腕の長さ、肩の位置、手の位置、胴の長さ、脚の長さ、膝下の長さ、及び、足の位置を認識することができる。
【0028】
したがって、本発明は、身体情報も位置情報に基づいて取得することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0029】
なお、「身体情報特定処理」には、認識した身体的な部位の位置情報の情報をそのまま身体情報として特定してもよいし、肩の位置から手掌の位置を減算して算出されたものを腕の長さとするなどの所定の演算を行うことによって得られた情報を身体情報として特定してもよい。
【0030】
(5)また、上記課題を解決するため、本発明は、
端末装置の位置情報を用いてユーザの動きを認識するプログラムであって、
前記ユーザの身体的な特徴を示す情報を身体情報として取得する身体情報取得手段、
前記ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記端末装置の位置情報を取得する位置情報取得手段、
前記端末装置の位置情報に基づいて、前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段、
前記取得された身体情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する認識処理を実行する認識処理手段、及び、
前記認識された身体の動きをモーション情報として出力し、又は、所与のデータベースに記憶する出力記憶管理手段、
としてコンピュータを機能させる、構成を有している。
【0031】
この構成により、本発明は、例えば、GPSを含むGNSSなどの衛星通信、携帯型電話器用の基地局との通信、又は、Wi-Fiなどの近距離無線通信などを用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、端末装置の位置情報を用いてユーザの身体の一部の位置変化を検出することができる。
【0032】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0033】
(6)また、上記課題を解決するため、本発明は、
位置情報を用いてユーザの動きを認識する端末装置であって、
前記ユーザの身体的な特徴を示す情報を身体情報として取得する身体情報取得手段と、
前記ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する位置情報を受信して取得する位置情報取得手段と、
前記受信された位置情報に基づいて、前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段と、
前記取得された身体情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する認識処理を実行する認識処理手段と、
前記認識された身体の動きをモーション情報として出力し、又は、所与のデータベースに登録する出力登録管理手段と、
を備える、構成を有している。
【0034】
この構成により、本発明は、例えば、GPSを含むGNSSなどの衛星通信、携帯型電話器用の基地局との通信、又は、Wi-Fiなどの近距離無線通信などを用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、端末装置の位置情報を用いてユーザの身体の一部の位置変化を検出することができる。
【0035】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0036】
(7)また、上記課題を解決するため、本発明は、
位置情報を用いてユーザの動きを認識するプログラムであって、
前記ユーザの身体的な特徴を示す情報を身体情報として取得する身体情報取得手段、
前記ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する位置情報を受信して取得する位置情報取得手段、
前記受信された位置情報に基づいて、前記ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道
情報として検出する検出手段、
前記取得された身体情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する認識処理を実行する認識処理手段、及び、
前記認識された身体の動きをモーション情報として出力し、又は、所与のデータベースに記憶する出力記憶管理手段、
としてコンピュータを機能させる、構成を有している。
【0037】
この構成により、本発明は、例えば、GPSを含むGNSSなどの衛星通信、携帯型電話器用の基地局との通信、又は、Wi-Fiなどの近距離無線通信などを用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、端末装置の位置情報を用いてユーザの身体の一部の位置変化を検出することができる。
【0038】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができる。
【0039】
(8)また、上記課題を解決するため、本発明は、
位置情報を用いて検出されたユーザの動きを示すモーション情報を利用してユーザの本人認証を行う本人認証システムであって、
記憶手段に記憶されている前記ユーザ毎に該当するユーザに関するユーザ情報を管理する手段であって、前記ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理する情報管理手段と、
前記本人認証の対象のユーザを対象ユーザとして特定するユーザ特定手段と、
前記対象ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記取得された位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段と、
前記対象ユーザの前記モーション特徴情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、当該対象ユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行する判定処理手段と、
前記判定処理において、前記モーション特徴情報によって示される部位の動きと、前記部位軌道情報によって示される対象ユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、前記対象ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する認証処理手段と、
を備える、構成を有している。
【0040】
この構成により、本発明は、位置情報によって取得された情報に基づいて、本人認証を行うことができるので、氏名又は連絡先などの個人情報を取得することなく、本人認証を行うことができる。
【0041】
すなわち、本発明は、位置情報のみに基づくことによって匿名性を確保し、かつ、身体的な特徴点を用いることによって確実に本人認証を行うことができる。
【0042】
そして、本発明は、ユーザの動きを用いて本人認証を行うことによって、当該本人認証と匿名性の確保という、相反する目的を簡易なシステムで実現することができる。
【0043】
なお、「モーション特徴情報」とは、身体的な部位の動きに関する特徴情報を示し、例えば、例えば、手足・頭部・上体などの可動範囲、若しくは、左右差、又は、癖などの変則的な動き若しくは部位の位置などが示される。
【0044】
(9)また、本発明は、
前記対象ユーザの身体の一部の部位の一連の動きの動作期間中に、予め定められたタイミング毎に取得された、複数の位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道が部位軌道情報として検出されており、
前記判定手段が、
前記検出された部位軌道情報に基づいて、前記対象ユーザの前記身体の動きを、モーション情報として、認識し、
当該モーション情報と前記モーション特徴情報とを比較して、前記判定処理を実行する、構成を有している。
【0045】
この構成により、本発明は、予め定められたタイミングとして、例えば、0.1秒から1.0秒毎に身体の一部の部位の動きに伴って移動する端末装置の位置情報を取得することができるとともに、数mm~数十mmの位置差を識別することができるので、端末装置の位置を身体の部位に対応付けることによってその位置変化を検出することができる。
【0046】
したがって、本発明は、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、位置情報のみに基づくことによって匿名性を確保し、かつ、身体的な特徴点を用いることによって確実に本人認証を行うことができる。
【0047】
(10)また、本発明は、
前記ユーザの身体の一部の部位の軌道をユーザに提示する提示手段を更に備え、
前記認識処理手段が、
前記認識処理として、前記提示された軌道を示す提示軌道情報及び前記取得された身体情報とともに、前記検出された部位軌道情報に基づいて、ユーザの前記身体の動きを認識する、構成を有している。
【0048】
この構成により、本発明は、指示された身体の一部の部位の軌道と位置情報とに基づいて、匿名性を確保し、かつ、身体的な特徴点を用いることによって確実に本人認証を行うことができる。
【0049】
また、本発明は、同一性の判定精度が高い場合には、指示通りの動きであるか否かだけでなく、ユーザ固有の動作であるか否かをも判定することができるので、ユーザの動きを用いて本人認証を行うことができる。
【0050】
(11)また、上記課題を解決するため、本発明は、
位置情報を用いて検出されたユーザの動きを示すモーション情報を利用してユーザの本人認証を行うプログラムであって、
記憶手段に記憶されている前記ユーザ毎に該当するユーザに関するユーザ情報を管理する手段であって、前記ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理する情報管理手段、
前記本人認証の対象のユーザを対象ユーザとして特定するユーザ特定手段、
前記対象ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記位置情報を取得する位置情報取得手段、
前記取得された位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する検出手段、
前記対象ユーザの前記モーション特徴情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、当該対象ユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行する判定処理手段、及び、
前記判定処理において、前記モーション特徴情報によって示される部位の動きと、前記部位軌道情報によって示される対象ユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみ
なされる動きであると判定された場合に、前記対象ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する認証処理手段、
としてコンピュータを機能させる、構成を有している。
【0051】
この構成により、本発明は、位置情報によって取得された情報に基づいて、本人認証を行うことができるので、氏名又は連絡先などの個人情報を取得することなく、本人認証を行うことができる。
【0052】
したがって、本発明は、位置情報のみに基づくことによって匿名性を確保し、かつ、身体的な特徴点を用いることによって確実に本人認証を行うことができる。
すなわち、本発明は、ユーザの動きを用いて本人認証を行うことによって、当該本人認証と匿名性の確保という、相反する目的を簡易なシステムで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】第1実施形態におけるモーション認識システムの構成を示すシステム構成図である。
図2】第1実施形態の情報処理サーバ装置の構成を示す機能ブロック図の一例である。
図3】第1実施形態の情報処理サーバ装置において実行されるユーザのモーションキャプチャー処理について説明するための図である。
図4】第1実施形態の情報処理サーバ装置によって実行されるモーションキャプチャー処理の動作を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態の情報処理サーバ装置によって実行されるモーションキャプチャー処理の動作を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態の本人認証システムの構成を示すシステム構成図である。
図7】第2実施形態の本人認証用サーバ装置の構成を示す機能ブロック図の一例である。
図8】第2実施形態の本人認証用サーバ装置によって実行されるモーション情報に基づく本人認証処理について説明するための図である。
図9】第2実施形態の本人認証用サーバ装置によって実行される本人認証処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0055】
なお、以下に説明する実施の形態は、所定の期間毎の現在位置情報を取得し、ユーザによって保持される端末装置と、当該端末装置の現在位置情報に基づいて、ユーザの身体の動き(すなわち、モーション)を認識する情報処理サーバ装置と、を有するネットワークを利用したモーション認識システム又は当該モーション認識システムに対して本願のモーション認識システム又は本人認証システムなどを適用した場合の実施形態である。
【0056】
[A]第1実施形態(モーション認識システム)
[A1]モーション認識システムの概要
まず、図1を用いて本実施形態のモーション認識システムS1の概要及びシステム構成について説明する。
【0057】
なお、図1は、本実施形態におけるモーション認識システムS1の構成を示すシステム構成図である。
【0058】
また、図が煩雑になることを防止するために、図1においては、一部のユーザによって利用される端末装置20のみを示している。すなわち、実際のモーション認識システムS
1においては、図1に示しているよりも多数の端末装置20が存在している。
【0059】
(システム概要)
本実施形態のモーション認識システムS1は、図1に示すように、所定の期間毎の現在位置情報を利用しつつ、ネットワークを用いてユーザの身体の動き(モーション)を認識し、当該認識したユーザの身体の動きをモーション情報として出力するためのシステムである。
【0060】
すなわち、モーション認識システムS1は、現在位置情報を用いたユーザそのもの又はユーザの身体の一部の部位の動き(いわゆる、モーション)をデジタル的に取得するモーションキャプチャーを実現するためのシステムである。
【0061】
(システム構成)
本実施形態のモーション認識システムS1は、図1に示すように、ネットワークサービスを管理し、ユーザのモーション情報を出力するための各種の処理を実行する情報処理サーバ装置10と、インターネットなどのネットワークを介して情報処理サーバ装置10に接続され、GPS衛星70から送信された衛星信号に基づいて現在位置を特定する端末装置20(例えば、端末装置20A、20B、20C)と、から構成される。
【0062】
情報処理サーバ装置10は、例えば、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)や所定のプラットフォーム等を利用してネットワークサービスに関する各種の処理を実行する情報処理装置である。
【0063】
特に、情報処理サーバ装置10は、端末装置20と連動し、当該端末装置20から送信された現在位置情報と、各ユーザの身体的な特徴とを有する身体情報と、に基づいて、該当するユーザの身体の動きを認識し、当該認識したユーザの身体の動きをモーション情報として出力するための機能を有している。
【0064】
また、情報処理サーバ装置10は、1つの(装置、プロセッサ)で構成されていてもよいし、複数の(装置、プロセッサ)で構成されていてもよい。
【0065】
端末装置20は、ユーザによって利用されるPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型情報通信端末装置、スマートフォン、携帯型電話器、又は、HMDなどの情報処理装置によって構成される通信端末装置である。
【0066】
また、端末装置20は、インターネット(WAN)やLANなどのネットワークを介して情報処理サーバ装置10に接続可能な装置であり、情報処理サーバ装置10と有線又は無線によって通信回線を確立して各種のデータの授受を行う構成を有している。
【0067】
また、端末装置20は、ユーザによって入力された入力情報などの情報処理サーバ装置10との通信を行うための通信制御機能、端末装置20の現在位置(すなわち、現在位置情報)を取得する機能、及び、情報処理サーバ装置10から受信したデータを用いて表示制御を行う表示機能を備える構成を有している。
【0068】
特に、端末装置20は、GPS(Global Positioning System)を含む、GNSS(Global Navigation Satellite System)などのGPS衛星70との通信、携帯型電話器用の基地局BSとの通信、又は、Wi-Fiなどの無線ルータとの近距離無線通信などを用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、端末装置20の現在位置情報を取得する構成を有している。
【0069】
[A2]情報処理サーバ装置
次に、図2を用いて本実施形態の情報処理サーバ装置10について説明する。
【0070】
なお、図2は、本実施形態の情報処理サーバ装置10の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【0071】
本実施形態の情報処理サーバ装置10は、図2に例示するように、処理部100と、記憶部170と、情報記憶媒体180と、通信部196と、を有している。
【0072】
なお、情報処理サーバ装置10は、図2の各部を全て含む必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0073】
記憶部170は、処理部100などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などのハードウェアにより実現できる。
【0074】
具体的には、記憶部170は、各種の処理を実行する際に用いるワークエリアとして使用される主記憶部171と、ユーザ情報が記憶されたユーザ情報記憶部172と、を含む。
【0075】
特に、ユーザ情報記憶部172には、各ユーザのユーザIDに対応付けて、該当するユーザの身長、手足の長さ、肩幅、身丈、手足のサイズ、及び、頭のサイズなどの身体情報が記憶される。
【0076】
なお、本実施形態の記憶部170は、主記憶部171及びユーザ情報記憶部172などの構成の一部を省略する構成としてもよい。
【0077】
情報記憶媒体180は、コンピュータにより読み取り可能であり、この情報記憶媒体180にはプログラムやデータなどが格納されている。すなわち、情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0078】
なお、処理部100は、この情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)から読み出されたデータに基づいて本実施形態の種々の処理を行うことができる。
【0079】
例えば、情報記憶媒体180は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ等のフラッシュメモリ、磁気テープ、メモリ(ROM)、又は、メモリカード等である。
【0080】
通信部196は、外部(例えば、端末装置20)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどによって構成される。
【0081】
処理部100は、記憶部170に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
【0082】
なお、本実施形態の処理部100が、情報記憶媒体180に格納されているプログラムやデータを読み出し、読み出したプログラムやデータを一時的に記憶部170に格納し、そのプログラムやデータに基づいて処理を行ってもよい。
【0083】
また、処理部100(プロセッサ)は、記憶部170内の主記憶部171をワーク領域
として各種処理を行う。そして、処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0084】
具体的には、処理部100は、通信制御部101、データ管理部102、モーション軌道検出部103、モーション認識部104と、出力制御部105と、タイマ管理部110、及び、情報提供部111を含む。
【0085】
通信制御部101は、ネットワークを介して端末装置20などと通信回線を確立し、相互に通信を行う。
【0086】
データ管理部102は、通信制御部101と連動し、通信部196を介して各端末装置20から送信された位置情報を取得する。
【0087】
モーション軌道検出部103は、取得された端末装置20の位置情報に基づいて、該当するユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する。
【0088】
モーション認識部104は、ユーザ情報記憶部172に記憶されている各ユーザの身体情報と、検出された部位軌道情報と、に基づいて、該当するユーザの身体の動きを認識する認識処理を実行する。
【0089】
出力制御部105は、認識された身体の動きをモーション情報として図示しない他のサーバ装置(例えば、端末装置20又は第2実施形態の本人認証用サーバ装置30)に出力する。
【0090】
タイマ管理部110は、現在日時や所定のタイミングからの計測を行う機能を有しており、所定のタイミングが到来した場合に、現在時刻や計測結果を出力する。
【0091】
情報提供部111は、端末装置20と連動し、当該端末装置20によって現在位置情報を取得する際の、該当するユーザの身体の一部に対応付けて当該端末装置20を移動させる軌道などを提示する処理を制御するための情報を提供する。
【0092】
[A3]本実施形態の手法
[A3.1]概要
次に、図3を用いて本実施形態の情報処理サーバ装置10によって実行されるユーザの動き(すなわち、モーション)をデジタル化するモーションキャプチャー処理について説明する。
【0093】
なお、図3は、本実施形態の情報処理サーバ装置10において実行されるユーザのモーションキャプチャー処理について説明するための図である。
【0094】
本実施形態の情報処理サーバ装置10は、例えば、GPSを含む、GNSSなどの衛星通信、携帯型電話器用の基地局との通信、又は、Wi-Fiなどの近距離無線通信などを用いた高精度の測位を行うシステムと連動し、端末装置20の位置情報を用いてユーザの身体の一部の位置変化を検出し、当該検出した位置変化に基づいて当該ユーザの動きをモーションとして認識するモーションキャプチャー処理を実行する構成を有している。
【0095】
具体的には、情報処理サーバ装置10は、図3に示すように、
(A1)ユーザPの身体的な特徴を示す情報を身体情報として取得する処理(すなわち、ユーザ情報を読み出す処理及び端末装置20を用いた入力サポートに基づく身体情報を特定して取得する処理を含む。)、
(A2)ユーザPの身体の一部の部位(すなわち、特定の部位)に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する端末装置20の現在位置情報を取得する処理(以下、「部位位置情報取得処理」という。)、
(A3)端末装置20の位置情報に基づいて、ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する処理(以下、「部位軌道情報検出処理」という。)、
(A4)取得された身体情報と、検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの身体の動きを認識するモーション認識処理、及び、
(A5)認識された身体の動きをモーション情報として出力する出力制御処理、
を実行する構成を有している。
【0096】
なお、図3には、GPS衛星70から送信されたGPS信号を受信することによって端末装置(携帯型)20の位置情報を取得しつつ、身体情報としてユーザの身長(頭上までの地上高)を取得し、かつ、右手を振ったときの部位軌道を取得する場合のモーションキャプチャー処理の例が示されている。
【0097】
本実施形態の情報処理サーバ装置10は、このような構成を有することによって、検出された身体の一部の位置変化を統合して身体の部位の軌道を認識することができるので、簡易なシステム構成によって、的確にユーザの動き(すなわち、モーション)を認識することができるようになっている。
【0098】
[A3.2]身体情報及び身体情報特定処理
次に、本実施形態の身体情報及び情報処理サーバ装置10において実行される身体情報特定処理について説明する。
【0099】
身体情報は、例えば、身長、手足の長さ、肩幅、身丈、手足のサイズ、及び、頭のサイズなど外観上のユーザの身体的な特徴(サイズ)の情報であり、ユーザによる入力操作、又は、端末装置20を用いた入力サポートに基づく身体情報特定処理によって、予めユーザ情報記憶部172にユーザIDに対応付けて記憶されている。
【0100】
特に、データ管理部102は、身体情報特定処理としては、情報提供部111と連動して端末装置20の位置を指定した場合の当該端末装置20の指定位置における地上高を含む現在位置情報を数mm~数十mm単位で取得する。
【0101】
具体的には、データ管理部102は、情報提供部111にユーザに端末装置20によって測定するためのユーザの所与の身体的な部位を提示させ、当該提示せた身体的な部位に基づく端末装置20の現在位置情報を取得する。
【0102】
また、データ管理部102は、当該取得した端末装置20の現在位置を、提示された身体的な部位の位置として認識し、当該認識した身体の部位の位置に基づいて身体情報を特定する。
【0103】
そして、データ管理部102は、当該取得した現在位置情報、又は、当該取得した現在位置情報に基づいて所定の演算を実行して得られた結果を、身体的な特徴を示す身体情報として、ユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部172に登録する。
【0104】
例えば、データ管理部102は、肩の位置から手掌の位置を減算して算出されたものを腕の長さとするなどの所定の演算を行うことによって得られた情報を身体情報として特定してもよい。
【0105】
なお、身体情報を、端末装置20を用いて取得する場合には、データ管理部102は、
モーションキャプチャー処理を実行する際に、情報提供部111と連動して端末装置20から身体情報を取得してもよい。
【0106】
[A3.3]位置情報取得処理
次に、本実施形態の情報処理サーバ装置10において実行される処理であって、ユーザの身体の一部の部位の位置情報を取得する部位位置情報取得処理について説明する。
【0107】
データ管理部102は、ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する端末装置20の現在位置情報を取得する部位位置情報取得処理を実行する。
【0108】
すなわち、データ管理部102は、ユーザの身体の一部の部位の一連の動きの動作期間中に、予め定められたタイミング毎の現在位置情報を連続的に取得する。
【0109】
特に、データ管理部102は、所与の指示に基づいて特定された開始タイミングから終了タイミングまでの特定の部位の動きを、一連の動きとして、予め定められたタイミング毎の現在位置情報を連続的に取得する。
【0110】
また、データ管理部102は、例えば、特定された部位の動きに関する開始タイミングから終了タイミングまでの期間を動作期間とし、当該動作期間中に、特定部位の現在位置情報を連続的に取得する。
【0111】
具体的には、データ管理部102は、ユーザの身体の一部の部位として、例えば、手首、足首、頭頂部、額、肘及び膝の他に、各関節などの身体において主に可動する部位、又は、可動にあたり基準となる部位に対応付けられた端末装置20の現在位置情報を取得する。
【0112】
また、データ管理部102は、情報提供部111と連動し、端末装置20が存在する部位、及び当該部位の動きの開始タイミング及び終了タイミングなどを特定しつつ、端末装置20から送信された現在位置情報と対応付けて取得する。
【0113】
例えば、データ管理部102は、ユーザの身体の一部の部位を特定し、当該特定した部位(以下、「特定部位」という。)の動きの開始タイミングから終了タイミングまでの期間中に、当該部位の現在位置情報を時系列に取得する。
【0114】
そして、データ管理部102は、取得した特定部位の動きの開始タイミングから終了タイミングまでの現在位置情報をモーション軌道検出部103に出力する。
【0115】
[A3.4]部位軌道情報検出処理
次に、本実施形態の情報処理サーバ装置10において実行される処理であって、ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出する部位軌道情報検出処理について説明する。
【0116】
モーション軌道検出部103は、データ管理部102によって取得された、特定部位の動きの開始タイミングから終了タイミングまでの端末装置20の現在位置情報に基づいて、該当するユーザの身体の一部の特定部位の軌道を部位軌道情報として検出する。
【0117】
特に、情報提供部111によって、音声、テキスト又は図などを用いてユーザに実行すべき特定部位の軌道例が提示され、かつ、データ管理部102の下、位置情報取得処理によって、当該提示された軌道例に伴って移動した端末装置20の位置情報が取得されると
、モーション軌道検出部103は、当該提示された軌道に沿って、現在位置が変化している端末装置20の現在位置情報に基づいて、ユーザの身体の一部の特定部位の軌道を部位軌道情報として検出する。
【0118】
具体的には、モーション軌道検出部103は、部位軌道情報として、0.1秒から1.0秒などの所定のタイミング毎に取得した位置情報を実空間において連続的な位置変化として(取得した隣接した位置との間を補完して)軌道化した情報を、特定部位の部位軌道情報を検出する。
【0119】
そして、モーション軌道検出部103は、検出した特定部位の部位軌道情報をモーション認識部104に出力する。
【0120】
なお、情報提供部111によって当該ユーザに提示された特定部位の軌道は、ユーザの指示に基づいて提示されてもよいし、アプリケーションからの要求に基づいて提示されてもよい。
【0121】
また、特定部位の軌道例の提示は、モーション認識処理の実行時において、部位軌道情報検出処理の実行時に実行されてもよいし、モーション認識処理が実行していないタイミングに実行されてもよい。
【0122】
[A3.5]モーション認識処理
次に、本実施形態の情報処理サーバ装置10において実行される処理であって、ユーザの身体の動きを認識するモーション認識処理について説明する。
【0123】
モーション認識部104は、上述のように取得された(読み出された)該当するユーザの身体情報と、上述の部位軌道情報検出処理によって検出された部位軌道情報と、に基づいて、該当するユーザの身体の動きを認識するモーション認識処理を実行する。
【0124】
例えば、モーション認識部104は、身体の動きとして、腕(左右双方又は片方)を回す(種々の回し方含む。)・上げる・下げる、手(左右双方又は片方)を振る、頭部を振る(前後、左右)・回す、足(左右どちらか)を上げる(種々の上げ方)・下げる、又は、上体を左右に動かす・曲げるなどの各部位又は複合的な部位の動きだけでなく、歩く、ジャンプする、姿勢を変える(しゃがむ、起こす、横たわるなど)動きなどの身体全体の動きを認識する。
【0125】
具体的には、モーション認識部104は、モーション認識処理として、既に提示された軌道を示す提示軌道情報及び取得された身体情報とともに、検出された部位軌道情報に基づいて、ユーザの身体の動きを認識する。
【0126】
[A3.6]出力制御処理
次に、本実施形態の情報処理サーバ装置10において実行される処理であって、身体の動きをモーション情報として出力する出力制御処理について説明する。
【0127】
情報提供部111は、モーション認識処理によって認識された身体の動きをモーション情報として端末装置20又は他のサーバ装置(図示しない)などに出力する。
【0128】
具体的には、情報提供部111は、アニメーション用の動作データとして出力してもよいし、第2実施形態に説明するように本人確認用の生体情報として出力してもよい。
【0129】
また、情報提供部111は、出力先としては、端末装置20であってもよいし、第2実
施形態に示す本人認証用サーバ装置(図示せず)、又は、モーションキャプチャーを処理するサーバ装置(図示せず)であってもよい。
【0130】
[A4]本実施形態における動作
次に、図4及び図5を用いて本実施形態の情報処理サーバ装置10によって実行されるモーションキャプチャー処理の動作について説明する。
【0131】
なお、図4及び図5を用いて本実施形態の情報処理サーバ装置10によって実行されるモーションキャプチャー処理の動作を示すフローチャートである。
【0132】
本動作においては、特定のユーザに(すなわち、特定ユーザ)ついてのモーションキャプチャー処理の動作であって、モーションキャプチャー処理の実行時に特定ユーザの身体情報を取得するものとする。
【0133】
まず、データ管理部102は、特定ユーザの端末装置20からモーションキャプチャー処理の実行指示を受信すると(ステップS101)、情報提供部111に、特定ユーザの身長、左右の腕の長さ、左右の脚の長さ、胴の長さ、左右の膝下の長さなどの身体的な特徴を測定するための測定指示を送信する(ステップS102)。
【0134】
このとき、情報提供部111は、特定ユーザが保持する端末装置20に、当該特定ユーザに測定する部位(以下、「測定部位」という。)を提示するための制御を実行する。
【0135】
また、端末装置20は、情報提供部111の制御の下、例えば、頭頂部の位置、両肩の位置、両手の位置、腰の位置、及び、両膝の位置などの測定部位に端末装置20をセットさせるための指示をそれぞれ特定ユーザに提示する。
【0136】
次いで、データ管理部102は、特定ユーザの端末装置20がセットされた部位を特定しつつ、当該端末装置20から送信された現在位置情報を、当該特定した部位に対応付けて、取得する(ステップS103)。
【0137】
なお、このとき、端末装置20は、測定部位毎に検出した端末装置20の現在位置情報をデータ管理部102に提供する。
【0138】
次いで、データ管理部102は、特定した測定部位に対応付けて取得した現在位置情報に基づいて、例えば、身長、手足の長さ、肩幅、身丈、手足のサイズ、及び、頭のサイズなど身体情報を特定する(ステップS104)。
【0139】
次いで、情報提供部111は、通信制御部101の下、特定ユーザに対して動きを実行させるための指示(以下、「モーション実行指示」という。)を端末装置20に送信する(ステップS105)。
【0140】
このとき、情報提供部111は、特定ユーザが保持する端末装置20に、端末装置20を特定の位置(例えば、右手に持たせるなど)にセットさせ、当該特定ユーザにモーションキャプチャー処理の実行開始を提示するための制御を実行する。
【0141】
また、端末装置20は、情報提供部111の制御の下、例えば、特定の位置に端末装置20をセットさせるための指示を特定ユーザに提示する。
【0142】
次いで、データ管理部102は、データ管理部102によって取得された、特定部位の動きを開始する開始タイミングを検出すると(ステップS106)、当該動きを終了させ
る終了タイミングを検出するまで、順次、端末装置20の現在位置情報を取得する(ステップS107及びステップS108)。
【0143】
次いで、データ管理部102によって特定部位の動きを終了させる終了タイミングであることを検出すると(ステップS108)、モーション認識部104は、特定部位の動きの開始タイミングから終了タイミングまでの端末装置20の現在位置情報に基づいて、該当するユーザの身体の一部の特定部位の軌道を部位軌道情報として検出する部位軌道情報検出処理を実行する(ステップS109)。
【0144】
次いで、モーション認識部104は、取得されたユーザの身体情報と、部位軌道情報検出処理によって検出された部位軌道情報と、に基づいて、該当するユーザの身体の動きを認識するモーション認識処理を実行する(ステップS110)。
【0145】
次いで、情報提供部111は、端末装置20にモーションキャプチャー処理の実行終了を指示しつつ(ステップS111)、モーション認識処理によって認識された身体の動きをモーション情報として出力し(ステップS112)、本動作を終了させる。
【0146】
[A5]変形例
[A5.1]変形例1
次に、本実施形態の変形例1について説明する。
【0147】
本変形例は、情報処理サーバ装置10において実行された上記のモーションキャプチャー処理の一部又は全部が端末装置20上で実行される点に特徴がある。
【0148】
例えば、情報処理サーバ装置10のモーションキャプチャー処理の各処理の全部を端末装置20で実行する場合には、当該端末装置20は、ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理する構成を有している。
【0149】
また、端末装置20は、
(A1)本人認証の対象のユーザを対象ユーザとして特定し、
(A2)対象ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する前記位置情報を取得し、
(A3)取得された位置情報に基づいて、前記対象ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出し、
(A4)対象ユーザの前記モーション特徴情報と、前記検出された部位軌道情報と、に基づいて、当該対象ユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行し、
(A5)判定処理において、モーション特徴情報によって示される部位の動きと、部位軌道情報によって示される対象ユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、対象ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する、
構成を有している。
【0150】
[A5.2]変形例2
次に、上記実施形態の変形例2の複数のサーバ装置から構成されるモーション認識システムS1について説明する。
【0151】
上記実施形態又は上記の変形例においては、複数の情報処理サーバ装置10によってモーション認識システムS1が構成されていてもよい。
【0152】
すなわち、本変形例のモーション認識システムS1は、特定ユーザの端末装置20とモーション認識処理の各処理を実行する複数の情報処理サーバ装置10を有していてもよい
【0153】
[A5.3]変形例3
次に、上記実施形態の変形例3としてモーション情報をデジタルデータとして記憶する場合におけるモーション認識システムS1について説明する。
【0154】
本変形例は、上記実施形態において、モーション認識処理によって認識されたモーション情報を端末装置20などの外部に出力する点に代えて、情報処理サーバ装置10内のデータベース又はネットワーク上に形成されたデータベースにデジタルデータとして登録してもよい。
【0155】
具体的には、本変形例のモーション認識システムS1は、データベースとしての記憶部170に、各特定部位の種別に対応付けて、特定ユーザのユーザIDに対応付けて、又は、双方に対応付けて、モーション認識処理によって認識されたモーション情報を登録する。
【0156】
[B]第2実施形態(本人認証システム)
[B1]本人認証システムの概要
次に、図6を用いて本実施形態の本人認証システムS2の概要及びシステム構成について説明する。
【0157】
なお、図6は、本実施形態における本人認証システムS2の構成を示すシステム構成図である。
【0158】
また、図が煩雑になることを防止するために、図6においては、一部のユーザによって利用される端末装置20のみを示している。すなわち、実際のモーション認識システムS1においては、図1に示しているよりも多数の端末装置20が存在している。
【0159】
(システム概要)
本実施形態の本人認証システムS2は、図6に示すように、ネットワークを用いてユーザに各種のサービス(すなわち、ネットワークサービス)を実行する際に必要な本人確認を行うシステムでる。
【0160】
すなわち、本実施形態の本人認証システムS2は、例えば、ユーザのアカウントの乗っ取り、なりすまし、又は、ハッキングなどのネットワークサービスに関する不正利用を回避させつつ、当該ネットワークサービスをユーザに適正に利用させるための本人確認を行うための構成を有している。
【0161】
特に、本実施形態の本人認証システムS2は、第1実施形態のモーションキャプチャー処理によって得られたモーション情報を、生体情報として、利用しつつ、当該モーション情報に基づく生体認証として本人認証システムを実行するための構成を有している。
【0162】
なお、本実施形態の本人認証システムS2において、第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0163】
(システム構成)
本実施形態の本人認証システムS2は、図6に示すように、モーションキャプチャー処理を実行する情報処理サーバ装置10と、本人認証処理を利用するユーザが保持する端末装置20(例えば、端末装置20A、20B、20C)と、情報処理サーバ装置10と連動し、ネットワークサービスなどの承認を行うための各処理を実行する本人認証用サーバ
装置30と、から構成される。
【0164】
本人認証用サーバ装置30は、例えば、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)や所定のプラットフォーム等を利用してネットワークサービスの所与のアクションに対する承認を行うための各種の処理(以下、「本人認証処理」という。)を実行する情報処理装置である。
【0165】
また、本人認証用サーバ装置30は、情報処理サーバ装置10と同様に、1つの装置(プロセッサ)で構成されていてもよいし、複数の装置(プロセッサ)で構成されていてもよい。
【0166】
そして、本人認証用サーバ装置30は、情報処理サーバ装置10によって認識されたユーザの身体の動きを示すモーション情報に基づいて、当該ユーザがネットワークサービスなどの利用者として適正であるか否かを判定することによって本人認証を行う本人認証処理を実行する構成を有している。
【0167】
[B2]本人認証用サーバ装置
次に、図7を用いて本実施形態の本人認証用サーバ装置30について説明する。
【0168】
なお、図7は、本実施形態の本人認証用サーバ装置30の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【0169】
本実施形態の本人認証用サーバ装置30は、図7に例示するように、処理部300と、記憶部370と、情報記憶媒体380と、通信部396と、を有している。
【0170】
なお、本人認証用サーバ装置30は、図7の各部を全て含む必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0171】
記憶部370は、処理部300などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などのハードウェアにより実現できる。
【0172】
具体的には、記憶部370は、各種の処理を実行する際に用いるワークエリアとして使用される主記憶部371と、各ユーザが適正であるか否かを判定するための基準となるモーション情報(以下、「基準モーション情報」という。)が記憶されるモーション情報記憶部372と、を含む。
【0173】
なお、本実施形態の記憶部370は、主記憶部371及びモーション情報記憶部372などの構成の一部を省略する構成としてもよい。
【0174】
情報記憶媒体380は、コンピュータにより読み取り可能であり、この情報記憶媒体180にはプログラムやデータなどが格納されている。すなわち、情報記憶媒体380には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0175】
なお、処理部300は、この情報記憶媒体380に格納されるプログラム(データ)から読み出されたデータに基づいて本実施形態の種々の処理を行うことができる。
【0176】
例えば、情報記憶媒体380は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ等のフラッシュメモリ、磁気テープ、メモリ(ROM)、又は、メモリカード等である。
【0177】
通信部396は、情報処理サーバ装置10との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどによって構成される。
【0178】
処理部300は、記憶部170に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。なお、本実施形態の処理部300が、情報記憶媒体380に格納されているプログラムやデータを読み出し、読み出したプログラムやデータを一時的に記憶部170に格納し、そのプログラムやデータに基づいて処理を行ってもよい。
【0179】
また、処理部300(プロセッサ)は、記憶部370内の主記憶部をワーク領域として各種処理を行う。そして、処理部300の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェア、又は、プログラムにより実現できる。
【0180】
具体的には、処理部300は、通信制御部301、認証処理部304、タイマ管理部310及び情報提供部311を含む。
【0181】
通信制御部301は、ネットワークを介して情報処理サーバ装置10などと通信回線を確立し、相互に通信を行う。
【0182】
認証処理部304は、モーション情報記憶部372に記憶されている各ユーザの基準モーション情報を管理し、かつ、本人認証処理を実行する際に、情報処理サーバ装置10によって認識されたモーション情報(以下、「認識モーション情報」という、)を取得する。
【0183】
また、認証処理部304は、ネットワークサービスへのログインなどの本人認証が必要な際に、該当するユーザに対して、基準モーション情報と、認識モーション情報と、に基づいて、ネットワークサービスに対する所与のアクションの実行を指示する利用者(以下、「特定利用者」という。)が適正(すなわち真正)であるか否かを判定する判定処理(以下、「真正性判定処理」という。)を実行する。
【0184】
そして、認証処理部304は、本人認証が必要な際に、真正性判定処理の結果に基づいて、当該アクションを承認するか否かを判定する本人認証処理を実行する。
【0185】
タイマ管理部310は、現在日時や所定のタイミングからの計測を行う機能を有しており、所定のタイミングが到来した場合に、現在時刻や計測結果を出力する。
【0186】
情報提供部311は、承認処理による判定結果を示す承認判定結果情報を情報処理サーバ装置10に提供する。
【0187】
[B3]本実施形態の手法
[B3.1]概要
次に、図8を用いて本実施形態の本人認証用サーバ装置30によって実行されるモーション情報に基づく本人認証処理について説明する。
【0188】
なお、図8は、本実施形態の本人認証用サーバ装置30によって実行されるモーション情報に基づく本人認証処理について説明するための図である。
【0189】
本実施形態の本人認証用サーバ装置30は、第1実施形態のモーション認識システムから出力されたモーション情報を利用してユーザの本人認証を行うシステムである。
【0190】
特に、本人認証用サーバ装置30は、氏名又は連絡先などの個人情報を取得することなく、位置情報によって取得された情報に基づいて、本人認証を実行し、当該本人認証と匿名性の確保という、相反する目的を簡易なシステムで実現することが可能な構成を有している。
【0191】
具体的には、本実施形態の本人認証用サーバ装置30は、図8を示すように、
(A1)記憶されているユーザ毎に該当するユーザに関するユーザ情報であって、ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理し、
(A2)情報処理サーバ装置10から出力されたモーション情報の対象となるユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)を特定し、
(A3)特定された対象ユーザのモーション特徴情報(すなわち、基準モーション情報)と、情報処理サーバ装置10から出力されたモーション情報と(すなわち、認識モーション情報)、に基づいて、特定されたユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行し、
(A4)判定処理において、モーション特徴情報によって示される部位の動きと、モーション情報によって示されるユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、該当するユーザの本人認証を行う認証処理を実行する、構成を有している。
【0192】
なお、図8には、GPS衛星70から送信されたGPS信号を受信することによって端末装置(携帯型)20の位置情報を取得しつつ、身体情報としてユーザの身長(頭上までの地上高)を取得し、かつ、特定の右手を振ったときの部位軌道を取得する場合のモーションキャプチャー処理の例が示されている。
【0193】
本実施形態の本人認証用サーバ装置30は、このような構成を有することによって、本発明は、位置情報のみに基づくことによって匿名性を確保し、かつ、身体的な特徴点を用いることによって確実に本人認証を行うことができるようになっている。
【0194】
[B3.2]本人認証処理
次に、本実施形態の本人認証処理について説明する。
【0195】
(基本原理)
認証処理部304は、ユーザ又は当該ユーザがログインするネットワークサービス(具体的には、図示しない当該サービスを提供するサーバ装置)からの本人認証処理の要求(以下、「本人認証処理要求」という。)に基づいて、情報処理サーバ装置10と連動し、モーション情報に基づく本人認証処理を実行する。
【0196】
具体的には、認証処理部304は、ユーザの指示又はネットワークサービスからの本人認証処理要求を受信した場合に、本人認証処理の対象のユーザを特定し、当該特定したユーザ(以下、「認証対象ユーザ」という。)の端末装置20に対して、当該認証対象ユーザのユーザID及びモーション情報の提供を要求する。
【0197】
このとき、端末装置20は、認証処理部304にユーザIDを提供するとともに、情報処理サーバ装置10と連動して認証処理部304に対して認証対象ユーザのモーション情報の提供を指示する。
【0198】
なお、端末装置20は、情報処理サーバ装置10から認証対象ユーザのモーション情報を認証処理部304に提供させてもよいし、当該端末装置20が情報処理サーバ装置10
から認証対象ユーザのモーション情報を受信し、当該受信したモーション情報を認証処理部304に提供してもよい。
【0199】
一方、認証処理部304は、要求したユーザID及びモーション情報を受信すると、
(A1)受信したユーザIDに基づいて、モーション情報記憶部372を検索して、入力ユーザIDに対応付けて記憶されているモーション特徴情報を検出し、
(A2)受信したモーション情報と、検出したモーション特徴情報を比較してその同一性を判定する
本人認証処理を実行する。
【0200】
特に、認証処理部304は、同一性の判定として、身体的な部位の同一性、モーションの内容の同一性、及び、移動経路の同一性を判定する。
【0201】
具体的には、認証処理部304は、身体的な部位の同一性としては、例えば、右手の動きであるが、左足の動きであるか、歩き方の全体(歩幅・速度・姿勢など)若しくは一部(いずれかの足に故障があってその影響があることなど)であるかなどを判定する。
【0202】
また、認証処理部304は、モーションの内容としては、部位の平行移動、回転移動、不規則移動、又は、所与の動作に伴う移動(歩行中の腕の振り・)など種別を判定する。
【0203】
さらに、認証処理部304は、モーション情報の地上高を含む経路と、モーション特徴情報の経路と、が所与の誤差の範囲であるか否かを判定する。
【0204】
そして、認証処理部304は、上記の3つの要素が同一の場合(移動経路については誤差の範囲)には、同一と判定する。
【0205】
なお、情報提供部111は、同一と判定した場合には、本人認証が成功した旨を端末装置20又は図示しないネットワークサービスに提供し、同一でないと判定した場合には、本人認証が失敗したとして、その旨を端末装置20又は図示しないネットワークサービスに提供する。
【0206】
[B4]本実施形態における動作
次に、図9を用いて本実施形態の本人認証用サーバ装置30によって実行される本人認証処理の動作について説明する。
【0207】
なお、図9は、本実施形態の本人認証用サーバ装置30によって実行される本人認証処理の動作を示すフローチャートである。
【0208】
本動作においては、特定のユーザに(すなわち、特定ユーザ)ついてのモーションキャプチャー処理の動作であって、モーションキャプチャー処理の実行時に特定ユーザの身体情報を取得するものとする。
【0209】
また、本動作は、端末装置20からの本人認証処理要求に基づいて、本人認証の有無を当該端末装置20に提供する場合の例を用いて説明する。
【0210】
まず、認証処理部304は、端末装置20から送信された本人認証処理の要求を受信すると(ステップS201)、端末装置20に対して認証対象ユーザのユーザID及びモーション情報の提供を要求する(ステップS202)。
【0211】
なお、端末装置20は、ユーザID及びモーション情報の提供の要求を受信すると、情
報処理サーバ装置10に当該認証対象ユーザのモーション情報を要求する。
【0212】
次いで、認証処理部304は、端末装置20から送信されたモーション情報を受信すると(ステップS203)、認証対象ユーザのユーザIDに基づいて、モーション情報記憶部372を検索して、当該ユーザIDに対応付けて記憶されているモーション特徴情報を検出する(ステップS204)。
【0213】
次いで、認証処理部304は、受信したモーション情報と、検出したモーション特徴情報を比較してその同一性を判定する判定処理を実行する(ステップS205)。
【0214】
このとき、情報提供部111は、受信されたモーション情報と、検出されたたモーション特徴情報とが同一又は同一とみなされると判定した場合には、本人認証が成功した旨を端末装置20に送信して(ステップS206)本動作を終了せる。
【0215】
一方、情報提供部111は、受信されたモーション情報と、検出されたたモーション特徴情報とが同一でないと判定した場合には、本人認証が失敗したとして、その旨を端末装置20に送信して(ステップS207)本動作を終了させる。
【0216】
[B5]変形例
[B5.1]変形例1
次に、本実施形態の変形例1について説明する。
【0217】
本変形例は、上記の本人認証用サーバ装置30において実行される本人認証処理の一部又は全部が端末装置20上で実行される点に特徴がある。
【0218】
例えば、情報処理サーバ装置10のモーションキャプチャー処理の各処理の全部を端末装置20で実行する場合には、当該端末装置20は、
(A1)ユーザの身体の一部の部位の動きの特徴を示すモーション特徴情報を、当該ユーザ情報として、管理し、
(A2)情報処理サーバ装置10から出力されたモーション情報のユーザを特定し、
(A3)特定されたユーザのモーション特徴情報と、情報処理サーバ装置10から出力されたモーション情報と、に基づいて、特定されたユーザの身体的な部位の動きの同一性を判定する判定処理を実行し、
(A4)判定処理において、モーション特徴情報によって示される部位の動きと、モーション情報によって示されるユーザの身体的な部位の動きと、が同一又は同一とみなされる動きであると判定された場合に、ユーザの本人認証を行う認証処理を実行する、
構成を有している。
【0219】
なお、本人認証処理が端末装置20において実行される場合には、モーション特徴情報は、端末装置20内に記憶されていてもよいし、ネットワークを介して所与のデータベース(図示しない)から取得してもよい。
【0220】
[B5.2]変形例2
次に、上記実施形態の変形例2の複数のサーバ装置から構成される本人認証システムS2について説明する。
【0221】
上記実施形態又は上記の変形例においては、第1実施形態のように、複数の情報処理サーバ装置10によって本人認証システムS2が構成されていてもよいし、複数の本人認証用サーバ装置30によって、本人認証システムS2が構成されていてもよい。
【0222】
[B5.3]変形例3
次に、上記実施形態の変形例3としてモーション認識処理のタイミングが異なる場合の本人認証処理について説明する。
【0223】
上記の実施形態においては、本人認証処理の実行時にモーション認識処理を実行しているが、本人認証処理とは異なるタイミング、例えば、本人認証処理の実行前のタイミング、又は、本人認証処理の実行後のタイミングにモーション認識処理が実行されてもよい。
【0224】
例えば、ATMや店舗における会計処理などの予め定められた位置にユーザが存在することが必至の本人認証処理が行われる場合であって、情報処理サーバ装置10によって、その位置に到着する前の歩き方などの動きについてモーションキャプチャー処理が実行されれば、本人認証用サーバ装置30は、ユーザがその場所に到着したタイミングにはすでに本人認証処理を終了させることができる。
【0225】
また、例えば、ユーザによる決済の要求と実際の決済にタイムラグがある場合には、情報処理サーバ装置10は、ユーザの決済要求後に、モーションキャプチャー処理を実行し、本人認証用サーバ装置30は、当該モーションキャプチャー処理によって得られたモーション情報を用いて本人認証処理を実行する。
【0226】
そして、この場合において、所与のネットワークサービスを実行する図示しないサーバ装置は、本人認証が成功した場合に、決済を実行すればよい。
【0227】
[B5.4]変形例4
次に、上記実施形態の変形例4として本人認証処理において、人工知能(AI:Artificial Intelligent)に関する技術を用いる場合について説明する。
【0228】
本変形例は、上記の実施形態において、AIなどの機械学習することによって予めモデル化された基準モーション情報を用いるとともに、モデル情報としての基準モーション情報に対して、対象ユーザのIDとモーションキャプチャー処理によって得られたモーション情報と特定部位情報とを入力することによって、当該対象ユーザの特定部位のモーションであるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0229】
この場合には、認証処理部304は、基準モーション情報を教師データとして用いるサポートベクターマシンやニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む。)等の機械学習を実行し、各ユーザの所定の動きのモデルとなるモデル情報を生成し、生成したモデル情報に対して、ユーザID、特定部位、及び、基準モーション情報を入力した結果として、その同一性の判定結果を取得する。
【0230】
特に、認証処理部304は、人工知能を用いたディープラーニング等の機械学習を行う場合には、学習モデル(すなわち、所定の動きの基準モーション情報としてのモデル情報)を形成するニューラルネットワークの中間層のニューロンの数や重み付け係数を更新し、当該モデル情報に対して、ユーザID、特定部位、及び、基準モーション情報を入力した結果として、その同一性の判定結果を取得する。
【0231】
なお、この場合には、認証処理部304は、モデル情報を予め生成しておくことが好ましいが、モーションキャプチャー処理又は本人認証処理を実行する際に生成してもよい。
【0232】
また、認証処理部304は、モデル情報を他の装置によって生成させ、当該生成させたモデル情報を取得してもよい。
【0233】
そして、認証処理部304は、判定処理を実行する毎に、判定結果を評価とするなど、モデル情報をさらに学習させてもよい。
【0234】
[C]その他
本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0235】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0236】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0237】
S1 :モーション認識システム
S2 :本人認証システム
10 :情報処理サーバ装置
20 :端末装置
30 :本人認証用サーバ装置
70 :GPS衛星
100 :処理部
101 :通信制御部
102 :データ管理部
103 :モーション軌道検出部
104 :モーション認識部
105 :出力制御部
110 :タイマ管理部
111 :情報提供部
170 :記憶部
171 :主記憶部
172 :ユーザ情報記憶部
180 :情報記憶媒体
196 :通信部
200 :端末装置
300 :処理部
301 :通信制御部
304 :認証処理部
310 :タイマ管理部
311 :情報提供部
370 :記憶部
371 :主記憶部
372 :モーション情報記憶部
380 :情報記憶媒体
396 :通信部
【要約】
【課題】位置情報を用いることによって簡易な構成によってユーザの動きを認識することが可能なモーション認識システムなどを提供すること。
【解決手段】情報処理サーバ装置10は、ユーザの身体的な特徴を示す身体情報を取得し、ユーザの身体の一部の部位に対応付けて存在し、当該部位の動きに伴って移動する端末装置20の現在位置情報を取得し、端末装置20の位置情報に基づいて、ユーザの身体の一部の部位の軌道を部位軌道情報として検出し、取得された身体情報と、検出された部位軌道情報と、に基づいて、ユーザの身体の動きを認識し、認識された身体の動きをモーション情報として出力する、構成を有している。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9