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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ショーケース兼用通い函
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20241108BHJP
   A47F 3/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65D6/18 D
A47F3/00 C
A47F3/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024063696
(22)【出願日】2024-04-11
【審査請求日】2024-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307009908
【氏名又は名称】株式会社エコシステム販売
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】岡本 元気
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-106760(JP,A)
【文献】特開2005-053560(JP,A)
【文献】特開2001-171653(JP,A)
【文献】特開2012-176795(JP,A)
【文献】特開2002-037250(JP,A)
【文献】特開2005-035604(JP,A)
【文献】登録実用新案第3214230(JP,U)
【文献】実公昭39-7453(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
A47F 3/00
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通い函本体に所定の商品を整列梱包して輸送され、開封後、開封した状態でそのままショーケースとなるショーケース兼用通い函であって、通い函本体は、内方に折り込み可能になっている底部、この底部の左右で立設した折り畳み可能な左右側壁、左右側壁の後縁相互間で連結されて底部から立設した後側壁、左右側壁の前縁下部相互間で連結されて底部から立設して、通い函本体の前面の下部開口部を覆う前側壁、この前側壁の上縁折線から起伏自在に連設されていて、前面の上部開口部と通い函本体の上面開口部とを覆う開閉蓋壁を備え、開閉蓋壁はスライドファスナーによって通い函本体自体を開閉自在にするようにし、開閉蓋壁は、剛性材によって形成されていて、通い函本体の前面の上部開口部を覆う前面蓋部と、通い函本体の上面開口部を覆う本体蓋部とを蓋折線によって折曲自在に連結して成り、通い函本体を開放したときには裏返しされて、その前面蓋部は前側壁の前面に重ね合せられ、また本体蓋部は通い函本体の底部の下面に配置されるようにしてあることを特徴とするショーケース兼用通い函。
【請求項2】
スライドファスナーは、開閉させる縁部に設けた務歯と、これらの務歯を噛み合わせるように左右に配した対状のスライダーとから成り、通い函本体の前部から後部に移動させることで通い函本体を閉塞し、後部から前部に移動させることで通い函本体を開放するようにしてある請求項1に記載のショーケース兼用通い函。
【請求項3】
底部には、底部の後側縁に起伏自在に連結してあって、通い函本体の前後で二つ折りされる剛性材製の底補強板を設けてある請求項1に記載のショーケース兼用通い函。
【請求項4】
左右側壁は、剛性材によって形成されていて、前後方向の中央で折線によって通い函本体の内方に向かって二つ折りされ、二つ折りされるときは通い函本体内に折り込まれる底部と共に重ね合わせられ、後側壁の前面に折畳まれるようにしてある請求項1に記載のショーケース兼用通い函。
【請求項5】
通い函本体の前後方向の長さをa、その幅員をb、その高さをcとするとき、底部は、前後方向の長さはa、その幅員はbとなし、左右側壁は、前後方向に沿う長さはa、高さはcとなし、この左右側壁の高さcは、通い函本体を折畳むとき、左右側壁自体が後側壁に左右から重ね合わせられるようa/2とし、左右側壁の前後縁から、左右側壁自体を通い函本体の内方に向かって二つ折りさせるよう左右側壁の中央に設けた折線に至る長さはa/2とし、後側壁の幅員はb、高さはcとし、また、前側壁は、その幅員はbで、その高さはc/2とし、開閉蓋壁は、これの前面蓋部は、その長さは前側壁の高さと、幅員は前側壁の幅員とそれぞれ同一とし、本体蓋部は底部の長さと同様な長さ、幅員と同様な幅員となしてある請求項1に記載のショーケース兼用通い函。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種商品を梱包して店舗などに輸送、搬入するとき、搬入後に開封することでそのまま商品棚などに陳列でき、商品の販売後ではコンパクトに折り畳み、回収することで繰り返し使用できるようにしたショーケース兼用通い函に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット、ディカウントストアなどの店舗においては、各種商品を商品陳列棚などに並べることで陳列、販売しており、仕入先から梱包状態で輸送、搬入される商品は店舗従業員などによって商品陳列棚の所定位置に商品毎に整理されて並べられている。
【0003】
そして、店舗への商品の搬送は、例えばダンボール紙製の容器を使用した場合、商品が取り出された後の容器などはそのまま廃棄されることが多い。また、容器などを廃棄処分することの無駄を回避するように、店舗と仕入先との間で繰り返し使用される折り畳み式の通い函が使用されることもある。
【0004】
一方、商品を梱包している容器などをそのまま再利用するようにすることも提案されている。例えば収納容器である特許文献1、同じく収納容器である特許文献2、収納ケースである特許文献3などがある。特許文献1の収納容器は、衣類や布団などの収納と取り出しとができ、押し入れやクローゼットなどの収納空間を整理整頓できるとする。特許文献2の収納容器は、衣類などを積層保管しやすくするように、収納物が崩れにくく、収納物の収納、取出しが容易になるようにするとする。特許文献3の収納ケースは、単体での使用のほか積み重ね使用も可能とし、不使用時にはコンパクトに折り畳むことができるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3217495号公報
【文献】実用新案登録第3210582号公報
【文献】実用新案登録第3140960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが上記のような従来の収納容器などは、店舗などで商品として販売された後の収納物の整理、整頓のために使用されるもので、これを店舗における商品陳列什器として使用することは考慮されていない。すなわち、商品梱包状態の収納容器を、購入後の商品の整理、整頓のための整理容器として使用できるよう商品と共に提供しているにすぎず、収納した商品のみを販売し、空になった収納容器が回収されて再利用されるとするものではない。
【0007】
また、収納容器内に複数の商品を梱包しておくことで、上記の従来の収納容器そのものを陳列什器として使用するとしても、店舗においで開封された収納容器自体は、複数の商品を容器内で並べておくことは困難であり、陳列什器としては適当ではない。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、多数の商品が整列状態で陳列販売されるとき、それらを纏めて体裁よく収納梱包でき、店舗への搬入後で開封すれば、開封後ではそのまま陳列容器として商品棚などに載置でき、また販売終了後ではコンパクトに纏めて回収でき、繰り返し使用できるようにしたショーケース兼用通い函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、通い函本体1に所定の商品Gを整列梱包して輸送され、開封後、開封した状態でそのままショーケースとなるショーケース兼用通い函であって、通い函本体1は、内方に折り込み可能になっている底部2、この底部2の左右で立設した折り畳み可能な左右側壁6、左右側壁6の後縁相互間で連結されて底部2から立設した後側壁8、左右側壁6の前縁下部相互間で連結されて底部2から立設して、通い函本体1の前面の下部開口部を覆う前側壁9、この前側壁9の上縁折線9Aから起伏自在に連設されていて、前面の上部開口部と通い函本体1の上面開口部とを覆う開閉蓋壁10を備え、開閉蓋壁10はスライドファスナー15によって通い函本体1自体を開閉自在にするようにしたことを特徴とする。
スライドファスナー15は、開閉させる縁部に設けた務歯と、これらの務歯を噛み合わせるように左右に配した対状のスライダーとから成り、通い函本体1の前部から後部に移動させることで通い函本体1を閉塞し、後部から前部に移動させることで通い函本体1を開放するようにして構成することができる。
底部2には、底部2の後側縁に起伏自在に連結してあって、通い函本体1の前後で底折線4Aによって二つ折りされる剛性材製の底補強板4を設けて構成することができる。
左右側壁6は、剛性材によって形成されていて、前後方向の中央に設けた折線7によって左右側壁6自体が通い函本体1の内方に向かって二つ折りされ、二つ折りされるときは通い函本体1内に折り込まれる底部2と共に重ね合わせられ、後側壁8の前面に折畳まれるようにして構成することができる。
開閉蓋壁10は、剛性材によって形成されていて、前側壁9の上縁折線9Aに起伏自在に連結されており、前側壁9の上縁折線9Aに折曲自在に連結されて通い函本体1の前面の上部開口部を覆う前面蓋部11と、通い函本体1の上面開口部を覆う本体蓋部12とを蓋折線13によって折曲自在に連結して構成することができる。
開閉蓋壁10は、通い函本体1を開放したときには裏返しされて、その前面蓋部11は前側壁9の前面に重ね合せられ、また本体蓋部12は通い函本体1の底部2の下面に配置されるようにして構成することができる。
通い函本体1の前後方向の長さをa、その幅員をb、その高さをcとするとき、底部2は、前後方向の長さはa、その幅員はbとなし、左右側壁6は、前後方向に沿う長さはa、高さはcとなし、この左右側壁6の高さcは、通い函本体1を折畳むとき、左右側壁6自体が後側壁8に左右から重ね合わせられるようa/2とし、左右側壁6の前後縁から前記折線7に至る長さはa/2とし、後側壁8の幅員はb、高さはcとし、また、前側壁9は、その幅員はbで、その高さはc/2とし、開閉蓋壁10は、これの前面蓋部11は、その長さは前側壁9の高さと、幅員は前側壁9の幅員とそれぞれ同一とし、本体蓋部12は底部2の長さと同様な長さ、幅員と同様な幅員となして構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係るショーケース兼用通い函にあって、開放した通い函本体1に所定の商品Gを収納し、スライドファスナー15によって閉塞することで梱包状態とさせ、その輸送先である例えば店舗ではスライドファスナー15によって開放することで商品Gが現わされ、開閉蓋壁10を裏返して底部2の下面に位置させることで、そのままで商品Gを陳列させるショーケースとなる。
底部2上で起伏自在に底折線4Aによって二つ折りされる底補強板4は、伸展状態では底部2を補強させて、収納した商品Gを通い函本体1内で支持させ、左右側壁6の通い函本体1内への折線7による折り込みと共に後側壁8の内側面に折り畳まれることで、通い函本体1を後側壁8の大きさ程度にコンパクトに折り畳ませる。
通い函本体1の前面には、この前面の下部開口部を覆う前側壁9が設けられており、この前側壁9の上縁折線9Aに起伏自在に連結した開閉蓋壁10では、蓋折線13の折曲作用と相俟ち、前面蓋部11によって通い函本体1の前面の上部開口部を覆い、本体蓋部12によって通い函本体1の上面開口部を覆うことで、通い函本体1の上部面、前面の開口部分を開閉自在に覆わせる。
開閉蓋壁10の開放時では、通い函本体1の上部面はもとより、前面開口部の上半分を開放することで、通い函本体1に収納した商品Gを一覧的に現わさせ、陳列時における商品Gの存在をアピールさせる。
通い函本体1における底補強板4、左右側壁6、後側壁8、前側壁9、開閉蓋壁10などは剛性材によって形成されていることで、スライドファスナー15によって閉塞された状態では、これを多段的に積み重ねても、それらの自重によって圧壊されることはなく、内部収納の商品Gは十分に保護される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば店舗などで多数の商品Gが整列状態で陳列販売されるとき、それらを纏めて体裁よく収納梱包した状態で店舗などに搬入でき、店舗への搬入後で開封すれば、開封後では通い函本体1に現れた商品Gを取り出すことなく、通い函本体1自体をそのままショーケースとして例えば陳列棚に載置することで使用できる。また、また販売終了後ではコンパクトに折り畳むことで容積を極めて小さくでき、複数で纏めた包装状態で回収でき、繰り返し使用できることで省資源にも大きく役立つ。
【0012】
すなわち、これは本発明において、商品Gを整列梱包して輸送する通い函本体1として、折り込み可能になっている底部2、この底部2の左右で立設した折り畳み可能な左右側壁6、左右側壁6の後縁相互間で連結して底部2から立設した後側壁8、左右側壁6の前縁下部相互間で連結し、底部2から立設して通い函本体1の前面の下部開口部を覆う前側壁9、この前側壁9の上縁折線9Aら起伏自在に連設して、前面の上部開口部と通い函本体1の開口部とを覆う開閉蓋壁10を備え、開閉蓋壁10はスライドファスナー15によって開閉自在にすることで、前部から後部に移動させると通い函本体1を閉塞し、後部から前部に移動させると開放するようにしたからである。
【0013】
また、底部2上には、二つ折りされる剛性材製の底補強板4が底部2の後側縁で起伏自在に設けられていることで、この底補強板4が底部2上に敷設配置されることによって折り込み可能な底部2を補強し、収納した商品Gをしっかりと支持する。そして、二つ折りされることで通い函本体1を折畳むとき、内方に折り込まれる左右側壁6と共に後側壁8の前面に重ね合せられ、全体をコンパクトにさせる。
【0014】
左右側壁6は、折線7によって通い函本体1の内方に折り込み可能な剛性材製で形成されていることで、収納した商品Gを外側方からの衝撃その他から保護し、不使用時には底部2と共に通い函本体1の内方に折畳まれることでコンパクトに纏めさせる。
【0015】
通い函本体1の前面には、この前面開口部の下部開口部を閉塞する剛性材製の前側壁9が左右側壁6の側縁相互間で連結して設けられていることで、通い函本体1の剛性力を高めている。また、この前側壁9の上縁折線9Aから連結した開閉蓋壁10の起伏操作によって通い函本体1の上面及び前面開口部の上部開口部を開閉できる。
【0016】
開閉蓋壁10による閉塞時では、前面蓋部11が前側壁9と共に前面を覆い、蓋折線13によって前面開口部の上縁位置で折曲された本体蓋部12が上面を覆うことで、内部収納の商品Gを保護し、スライドファスナー15による閉塞時では、内部に収納した商品Gに対する外部からの干渉その他を排除でき、例えば輸送中での商品Gを安全に保護する。
【0017】
閉蓋壁10は、通い函本体1の開放時では、通い函本体1の前面で裏返して、前面蓋部11を前側壁9の前面に重ね合わせ、また前面開口部の下縁位置で折曲された蓋折線13によって本体蓋部12を底部2の下面に配置することで、通い函本体1の前面の上部、上面全体を開放した状態とさせるのであり、開閉蓋壁10自体は、陳列棚D内で陳列載置するときに邪魔にならない。
【0018】
通い函本体1の各側壁を構成し、配置される底補強板4、左右側壁6、後側壁8、前側壁9、開閉蓋壁10などは剛性材によって形成されていることで、複数の通い函本体1を多段的に多段的に積み重ねても、収納した商品Gその他による重量によっても圧壊されることはなく、内部収納の商品Gを十分に保護できる。このとき、積み重ね方向に沿って、通い函本体1相互間を締結するよう、挿通ループ24にベルトBを挿通させることで荷崩れを防止することもできる。
【0019】
そして、商品Gの販売などが終了して空になった通い函本体1は、底補強板4を持ち上げての二つ折り、左右側壁6の底部2と共による内方への折り込みによって後側壁8に押し当て重ね合わせ、このようにして折畳んだ通い函本体1全体を、本体蓋折部14によって折畳んだ開閉蓋壁10自体によって巻くようにした後、結束バンド20によって全体を結束することでコンパクトに纏めることができる。このように纏められた状態では他の通い函本体1内に複数個で纏めて収納でき、回収時に嵩張ることがない。
【0020】
また、通い函本体1内に商品Gを収納梱包するに際し、陳列時におけるレイアウトに沿って整列させておけばよく、例えば店舗などでの仕分けの必要がなく、陳列レイアウト作業を効率的に遂行でき、現場での労働負担の軽減に繋がる。そればかりでなく、通い函本体1自体をショーケースとして使用するから、従来のように空のケースなどを保管する必要がなく、また使用後ではコンパクトに折り畳むことができるから、バックスペースが狭い店舗などでも邪魔になることがない。
【0021】
しかも、少量の商品Gの収納梱包では1箱で輸送でき、商品Gの量が増大したときでは例えば2段組などの複数段で重ね合わせ、挿通ループ23に挿通させたベルトBなどで一体状に纏めることで物流上に掛かる経費を削減でき、その時々で物流コストが掛からない最適な態様で輸送でき、便利である。
【0022】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を実施するための一形態を示す斜視図である。
図2】同じく組立途中の斜視図である。
図3】同じく商品を収納するときの斜視図である。
図4】同じく開閉蓋壁の開放後、折畳んだ状態の断面図である。
図5】同じく商品が梱包されるとき、あるいは開封後の陳列状態の斜視図である。
図6】同じく折り畳み開始時の斜視図である。
図7】同じくその(A)は後側壁に底補強板を折り畳み重ね合わせた後、開閉蓋壁の折り畳み中の斜視図、(B)は開閉蓋壁を後側壁の裏面に回したときの斜視図、(C)は結束バンドにて結束した状態の斜視図である。
図8】同じく陳列棚に並べられて商品が販売されているときの正面図である。
図9】同じく複数段に積み重ねたときの斜視図である。
図10】同じく展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は通い函本体であり、この通い函本体1は、所定の商品Gを整列させて梱包して店舗などに輸送され、店舗などで開封後、開封した状態でそのままショーケースとなって例えば陳列棚Dなどに載置され、必要あれば適当にディスプレーされることで商品Gが販売されるようにしている。
【0025】
通い函本体1は、内方に折り込み可能になっている底部2、この底部2の左右で立設した折り畳み可能な左右側壁6、左右側壁6の後縁相互間で連結されて底部2から立設した後側壁8、左右側壁6の前縁下部相互間で連結されて底部2から立設して、通い函本体1の前面の下部開口部を覆う前側壁9、この前側壁9の上縁折線9Aから起伏自在に連設されていて、前面の上部開口部と通い函本体1の開口部とを覆う開閉蓋壁10を備え、開閉蓋壁10はスライドファスナー15によって通い函本体1自体を開閉自在にするように構成されている。
【0026】
底部2は、通常は折り込み可能なように例えば所定肉厚の合成樹脂製シート材によって形成されており、また、この底部2上に重ね合わせられるように、底部2の後側縁で、後側壁8を立設させてある基部を支点とする剛性材製の底補強板4を設けてある。この底補強板4は、通い函本体1の前後方向に沿って底折線4Aによって前後に二つ折りされることで、後側壁8の内側面に重ね合わせられるようにしてある。なお、本発明において、剛性材は、収納梱包する各種の商品Gなどの荷重を支持するに足る強度を備えていればよく、例えば硬質合成樹脂製のプレート素材、肉厚な段ボール紙その他を採用選択し得る。
【0027】
また、底部2には、この底部2を通い函本体1の内方に折り込むように引き上げる底摘み3が底部2のほぼ中央位置に、また、底補強板4の二つ折り時に底補強板4自体を引き上げて、あるいは折り畳まれている底補強板4を前方に引き出す底操作摘み5が底補強板4の前縁にそれぞれ設けられている。
【0028】
左右側壁6は、剛性材によって形成されていて、前後方向の中央位置に設けた折線7によって前後に通い函本体1の内方に向かって左右側壁6自体が二つ折りされるようにしてある。前後方向に沿って二つ折りされるときは折り込まれる底部2と共に重ね合わせられ、後側壁8の前面に折畳まれる例えば前記底補強板4の前面に重ね合わせられるようになっている。
【0029】
後側壁8は、剛性材によって形成されていて、左右側壁6と共に通い函本体1自体の自立性を維持している。
【0030】
そして、通い函本体1の前面開口部は、上下に2分割に構成されていて、下部開口部は底部2、左右側壁6に連設されることで立設形成された前記前側壁9によって閉塞されており、上部開口部は、通い函本体1の上面開口部と共に開閉蓋壁10によって開閉自在となっている。
【0031】
開閉蓋壁10は、前後方向のほぼ中央位置に設けられた本体蓋折部14を介して折曲自在になるよう剛性材によって形成されていて、前側壁9の上縁折線9Aに起伏自在に連結されている。開閉蓋壁10自体は、前側壁9の上縁折線9Aに折曲自在に連結されて通い函本体1の前面の上部開口部を覆う前面蓋部11と、通い函本体1の上面開口部を覆う本体蓋部12とを蓋折線13によって折曲自在に連結して成る。また、通い函本体1の前面開口部は、上下で同面積となるように2分割されており、蓋折線13は、通い函本体1が閉塞されたときには前面開口部の上縁に位置され、開放されて裏返したときには前面開口部の下縁に位置される。
【0032】
なお、本体蓋折部14自体は、本体蓋部12を前後方向でほぼ2分割する位置に設けられており、後述するように、不使用時に通い函本体1の全体を折畳んだ後、その全体を巻くように折り畳むことができるように、前後方向での幅員がやや大きくされるように形成されている。
【0033】
前面蓋部11は、通い函本体1を開放したときには裏返して前側壁9の前面に重ね合せられ、また本体蓋部12は、通い函本体1の底部2の下面に配置されることで、通い函本体1内に収納した商品Gを露出させるようにしている。このようにして開放されることで、そのままでショーケースとして例えば陳列棚D内に載置されて、収納した商品Gが陳列されるようにしてある。
【0034】
ここで、上述したような通い函本体1を形成する各側壁などの大きさを説明すると、図10に示すように、通い函本体1の前後方向の長さをa、その幅員をb、その高さをcとすると、以下のようになる。
【0035】
底部2は、前後方向の長さがa、その幅員がbとなり、左右側壁6は、前後方向に沿う長さはa、高さはcである。この高さcは、通い函本体1を折畳むとき、左右側壁6自体が後側壁8に左右から重ね合わせられることからa/2としてあり、左右側壁6の前後縁から前記折線7に至る長さは、同じくa/2としてある。後側壁8の幅員はb、高さはcである。また、前側壁9は、その幅員はbであり、その高さはc/2であり、開閉蓋壁10は、これの前面蓋部11は、その長さは前側壁9の高さと、幅員は前側壁9の幅員とそれぞれ同一であり、本体蓋部12は底部2の長さと同様な長さ、幅員と同様な幅員となしてある。なお、左右側壁6の前後縁から折線7に至る長さa/2は、底部の幅員bの1/2長さより小さくされている。
【0036】
また、通い函本体1の上面開口部を開閉蓋壁10によって覆うとき、スライドファスナー15によって閉塞されるのであり、このスライドファスナー15は、開閉蓋壁10の側縁と、前面の上部開口部の側縁及び左右側壁6の上縁、後側壁8の上縁とを開閉自在に構成して成る。
【0037】
スライドファスナー15は、開閉させる縁部に設けた務歯と、これらの務歯を噛み合わせるように左右に配した対状のスライダーとから成り、対状のスライダーが前面における前面の上部開口部端の左右に位置するときは通い函本体1を開放状態とし、スライダーを通い函本体1の後方に移動させ、例えば後側壁8の中央に位置させたときは通い函本体1を閉塞状態とさせるようにしてある。また、左右のスライダーは、突き合わせた状態にあるときの相互間でロックできるようにしてあって、ロックすることで輸送時などの安全性を図れるようにしている。
【0038】
なお、スライドファスナー15自体の務歯は、通い函本体1における前側壁9の上端縁から開閉蓋壁10の左右縁、前縁、及び左右側壁6の前縁における上半分、上縁、さらには後側壁8の上縁に配されており、通い函本体1における上部開口端の左右のいずれか一方から他方にスライド移動させることによって、通い函本体1を開閉させるように構成することもできる。
【0039】
なお、左右側壁6のいずれか一方には、内部に収納した商品Gを表示するカードなどを挿入するポケット21を設ける。また、左右側壁6の外側面には例えば帯状材の端部を固定したことによる取っ手22が付設されていて、通い函本体1の運搬、移動その他に使用できる。また、左右側壁6の外側面の左右に対状に挿通ループ23が配置されており、図9に示すように例えば複数段で積重ねた通い函それぞれの挿通ループ24にベルトBなどを挿通、固定することで、積み重ね時の荷崩れなどを防止できる。
【0040】
また、符号20は、例えば開閉蓋壁10において、本体蓋折部14位置より後側部分の内側面に設けた結束バンドであり、折畳まれた通い函本体1を、本体蓋折部14によって二つ折りした開閉蓋壁10で巻くようにした後、結束バンド20自体を折り返すようにして全体を束ねることができるようにしてある。
【0041】
次にこれの使用の一例を説明すると、図1に示されるように組み立てられ、閉塞された状態にあるとき、スライドファスナー15における対状配置のスライダーを共に前側壁9がわに移動させ、本体蓋部12を前方に持ち来して通い函本体1を開放する。開放後は、底補強板4を平坦状に伸展させて底部2上に重ね合せ(図2参照)、必要があれば、本体蓋部12を底部2の下面がわに折り返して重ね合わせる(図3図4参照)。
【0042】
次いで、通い函本体1内に、所定の商品Gを収納すればよく、その後、本体蓋部12を、その前面蓋部11を前側壁9の直上に位置させながら通い函本体1の開口部に被せる。被せた状態で、スライドファスナー15のスライダーを後側壁8がわに移動させることで通い函本体1の開口部を閉塞し、場合によってはスライダー相互をロックする(図1参照)。閉塞状態で店舗などに搬送するのであり、搬送時に多数段で重ね合わせて積載する場合には、必要あれば図9に示されるようにベルトBなどで固定する。
【0043】
搬送先の店舗などにおいては、スライドファスナー15を前側壁9がわに移動することで開閉蓋壁10を後側壁8、左右側壁6から離反させることで通い函本体1を開放し、前面蓋部11は前側壁9に重ね合せ、本体蓋部12は底部2の下面がわに折り返して重ね合わせることで(図4参照)、収納した商品Gを現わした状態とし、適当な陳列棚D上で並べればよい(図8参照)。
【0044】
このように本体蓋部12を底部2の下面がわに折り返したときには、内部に収納した商品Gなどは、その上部が現わされるから顧客に対してアピールできるショーケースとなっている。
【0045】
そして、商品Gの販売終了で空になった通い函本体1は、底補強板4を底操作摘み5によって持ち上げ、後側壁8がわに重ね合わせるよう折り畳むと共に、底摘み3によって底部2を持ち上げ折り込みながら、左右側壁6をその折線7によって左右から共に通い函本体1の内方に折り込み、折畳んだ底補強板4に重ね合わせる(図6参照)。次いで、前面開口部の上縁位置で折り返した本体蓋部12を本体蓋折部14によって折り返し(図7(A)参照)、折り返した本体蓋部12の前側部分を後側壁8の裏面に重ね合わせる(図7(B)参照)。こうすることで、全体の各部が折り畳まれることでを前後方向で重ね合わせた状態となり、その後、後側壁8の裏面にある本体蓋部12の後側部分に設けた結束バンド20を後面がわに折り返して全体を結束する(図7(C)参照)。
【0046】
結束された状態を前方から見ると、ほぼ後側壁8の大きさとなることでコンパクトに纏められたものとなり、これらを適当数で纏めることで、他の通い函本体1内に収納でき、回収時には嵩張らず、取り扱いを容易にさせる。
【符号の説明】
【0047】
B…ベルト
D…陳列棚
G…商品
1…通い函本体
2…底部
3…底摘み
4…底補強板
4A…底折線
5…底操作摘み
6…左右側壁
7…折線
8…後側壁
9…前側壁
9A…上縁折線
10…開閉蓋壁
11…前面蓋部
12…本体蓋部
13…蓋折線
14…本体蓋折部
15…スライドファスナー
20…結束バンド
21…ポケット
22…取っ手
23…挿通ループ
【要約】      (修正有)
【課題】各種商品を梱包して店舗などに輸送、搬入するとき、搬入後の開封状態では、品棚などに陳列でき、商品の販売後ではコンパクトに折り畳み、回収可能にする通い函を提供する。
【解決手段】商品を整列梱包して輸送する通い函本体1は、折り込み可能な底部2、この底部2の左右で立設した折り畳み可能な左右側壁6、左右側壁6の後縁相互間で連結して底部2から立設した後側壁8、左右側壁6の前縁下部相互間で連結し、底部2から立設して通い函本体1の前面の下部開口部を覆う前側壁9、この前側壁9の上縁折線9Aから起伏自在に連設して、前面の上部開口部と通い函本体1の開口部とを覆う開閉蓋壁10を備える。開閉蓋壁10はスライドファスナーによって開閉自在にし、前部から後部に移動させると通い函本体1を閉塞し、後部から前部に移動させると開放する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10