(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】物品回収装置
(51)【国際特許分類】
G07F 9/10 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G07F9/10 H
(21)【出願番号】P 2024098962
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524233078
【氏名又は名称】株式会社SDクリエーション
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】芳屋 昌治
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-073649(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231275(JP,U)
【文献】特開2009-175789(JP,A)
【文献】特開2014-090279(JP,A)
【文献】特開2011-039768(JP,A)
【文献】特開2001-283305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00 - 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機で販売される商品から内容物が取り出された残りの物品を回収するボックスを備えた物品回収装置であって、
前記残りの物品は、容器と、前記容器に取り付けられているラベルと、前記容器の内容物取り出し口を塞ぐキャップと、を含み、
前記ボックスは、
前記容器が投入される第1投入口と、
前記ラベルが投入される第2投入口と、
前記キャップが投入される第3投入口と、
をそれぞれ別々に備
え、
前記ボックスは、水平面に対して傾斜された傾斜壁を備え、
前記第1投入口は、前記傾斜壁を貫通して設けられ、
異物が前記第1投入口へ進入することを抑制するプレートが前記ボックスに設けられ、
前記プレートの一部は、前記第1投入口の上方に配置されている、物品回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の物品回収装置であって、
処理を実行するプロセッサと、
音声を出力するスピーカと、
画像を表示するモニターと、
が更に設けられ、
前記プロセッサは、
前記第1投入口、前記第2投入口及び前記第3投入口のうち、1以上の投入口へ前記残りの物品が投入されたか否かを判断する処理と、
前記第1投入口、前記第2投入口及び前記第3投入口のうち、1以上の投入口へ前記残りの物品が投入されたと判断すると、前記スピーカから音声を出力させる処理、または、前記モニターで画像を表示させる処理のうち、何れか1以上の処理と、
を実行する構成である、物品回収装置。
【請求項3】
請求項1記載の物品回収装置であって、
処理を実行するプロセッサと、
前記ボックスの周囲の画像を撮影するカメラと、
ネットワークを介して外部コンピュータへ接続される通信インタフェースと、
が更に設けられ、
前記プロセッサは、前記カメラが撮影した映像を前記ネットワークを介して前記外部コンピュータへ送る処理を実行する構成である、物品回収装置。
【請求項4】
請求項1記載の物品回収装置であって、
処理を実行するプロセッサと、
情報を表示するモニターと、
ネットワークを介して外部コンピュータへ接続される通信インタフェースと、
が更に設けられ、
前記プロセッサは、前記外部コンピュータから取得した情報を前記モニターで表示させる処理を実行する構成である、物品回収装置。
【請求項5】
請求項1記載の物品回収装置であって、
前記ボックスは、前記ボックスの外部から前記ボックスの内部を目視できる窓を有する、物品回収装置。
【請求項6】
請求項4記載の物品回収装置であって、
前記プロセッサは、
前記自動販売機で販売されている前記商品を利用者が購入した情報を、前記自動販売機に設けられている制御装置から取得する処理と、
前記制御装置から取得した情報を、前記自動販売機で前記商品を販売する商品販売者が運営する前記外部コンピュータへ送る処理と、
を実行する構成である、物品回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動販売機で販売される商品の容器を含む物品を回収する物品回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機で販売される商品の容器を含む物品を回収する物品回収装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された自動販売機用の容器回収装置は、内容物が封入された容器を販売する自動販売機上部に、内容物が排出された特定の容器を収容する収容部を設け、自動販売機側部に、内容物が排出された容器を投入する投入口を設け、投入口と収容部の間に、容器を移送する容器移送手段を設け、投入口に、特定の容器のみに限り投入許容する容器限定手段を設けたものである。
【0003】
また、特許文献1に記載された自動販売機用の容器回収装置は、容器内の残留内容液を排出する液排出機と、液排出時に容器の口部に取付けられたキャップを分離するキャップ分離機と、容器に取付けられたラベルを分離するラベル分離機と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている自動販売機の容器回収装置は、容器、キャップ、及びラベルをそれぞれ分離できるものの、構造が複雑である、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、自動販売機で販売される商品の容器を含む物品をそれぞれ分別して回収でき、かつ、構造が簡易な物品回収装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態は、自動販売機で販売される商品から内容物が取り出された残りの物品を回収するボックスを備えた物品回収装置であって、前記残りの物品は、容器と、前記容器に取り付けられているラベルと、前記容器の内容物取り出し口を塞ぐキャップと、を含み、前記ボックスは、前記容器が投入される第1投入口と、前記ラベルが投入される第2投入口と、前記キャップが投入される第3投入口と、をそれぞれ別々に備えている、物品回収装置を構成した。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態の物品回収装置は、自動販売機で販売される商品の容器を含む残りの物品をそれぞれ分別して回収でき、かつ、構造が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】自動販売機及び物品回収装置の構成例を示す正面図である。
【
図3】自動販売機及び物品回収装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】物品回収装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(概要)
本実施形態では、物品回収装置を含む物品回収システムの一例が、図面に基づいて開示されている。
図1及び
図3に示す物品回収システム60は、物品回収装置10及び自動販売機11を含む。物品回収装置10は、自動販売機11の側方へ置かれる。物品回収装置10は、自動販売機11で商品12,13を販売する管理者(企業・会社・協賛企業)または、管理者とは異なるリサイクル業者等により管理される。物品回収装置10は、ネットワーク42、例えば、インターネットワークを介して外部コンピュータ43へ接続される。物品回収装置10は、ネットワーク42、例えば、近距離無線通信を介して自動販売機11へ接続される。
【0011】
図2の物品回収装置10は、自動販売機11で販売される商品12,13から、内容物以外の“残りの物品14”を回収するために設けられる。自動販売機11で販売される商品12,13は、容器内に内容物が充填されている。商品12の容器は、例えばペットボトル16であり、商品13の容器は、例えば、缶17である。商品12が自動販売機11内に収容されている状態では、ペットボトル16の開口部に合成樹脂製のキャップ18が取り付けられ、かつ、ペットボトル16の外面に、樹脂フィルム製のラベル19が装着されている。缶17は、アルミニウム製、スチール製を含む。内容物は、例えば、コーヒー、ジュース、紅茶、緑茶、炭酸飲料、スポーツドリンク、等を含む。物品回収装置10で回収される残りの物品14は、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19である。
【0012】
(物品回収装置)
物品回収装置10は、
図1、
図2及び
図3に示されている。物品回収装置10は、ボックス20、投入口21,22、23,24、投入口センサー25、モニター26、カメラ27、スピーカ28、コンピュータ29、電源61等を有する。ボックス20は、設置場所30へ置かれる。ボックス20は、例えば、金属、合成樹脂、木材、紙、等の材質のうち、何れか1以上の材質により構成された中空容器である。投入口21,22は、ボックス20の傾斜壁20Aに設けられた開口部である。傾斜壁20Aは、水平面に対して傾斜して設けられている。
【0013】
また、ボックス20には、プレート31が取り付けられている。プレート31は、例えば、金属製または合成樹脂製であり、プレート31は、水平部31Aと垂直部31Bとを有する。水平部31Aは、略水平に配置され、垂直部31Bは、略垂直に配置される。水平部31Aと垂直部31Bとは接続され、水平部31Aは、投入口21,22の上方に配置されている。投入口23,24は、垂直部31Bを貫通するように設けられている。投入口21は、ペットボトル16専用の投入口、投入口22は、缶17専用の投入口、投入口23は、ペットボトル16から剥がしたラベル19専用の投入口、投入口24は、ペットボトル16のキャップ18専用の投入口である。
【0014】
ボックス20の内部には、複数の物品回収袋が設けられている。物品回収袋は、例えば、ナイロン製、ポリエチレン製、炭酸カルシウム製、等により構成された回収袋である。物品回収袋の開口部は、4個所の投入口21,22,23,24へそれぞれ別々につながっている。また、ボックス20には、窓32が設けられている。窓32は、合成樹脂製またはガラス製であり、窓32は、透明または半透明である。このため、物品回収装置10の利用者は、ボックス20の外部から、窓32を通してボックス20の内部を目視できる。
【0015】
投入口センサー25は、4箇所の投入口21,22,23,24に対応させてそれぞれ設けられている。投入口センサー25は、例えば、ボックス20の内部に設けられている。投入口センサー25は、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19のそれぞれの投入の有無、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19以外の物品の投入の有無、を別々に検出して信号を出力する。
【0016】
モニター26は、ボックス20の外面から露出するように設けられている。物品回収装置10の付近に居る人は、ボックス20の外部からモニター26を目視できる。モニター26は、例えば、液晶モニター、有機エレクトロルミネッセンスモニターのうち、少なくとも何れか一方のモニターにより構成される。モニター26は、情報を画像で表示する構成である。画像は、動画、静止画、等を含む。なお、モニター26は、ディスプレイと把握することも可能である。モニター26が表示する静止画及び動画は、おみくじ、ゲーム、協賛企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)の活動に関する内容、自動販売機11が設置されている地域の天候情報、災害情報、防犯情報、治安情報、等を含む。
【0017】
カメラ27は、ボックス20へ取り付けられている。カメラ27は、物品回収装置10の周囲の対象物、例えば、利用者、人流、投入口21,22,23,24へ投入される物品等を撮影して画像を生成し、かつ、生成した画像を含む情報を出力する機能を有する。カメラ27が生成する画像は、静止画及び動画を含む。カメラ27は、アナログハイビジョンカメラ、デジタルハイビジョンカメラ、ネットワークカメラ、等のうち、1以上のカメラにより構成されている。カメラ27から出力される情報は、画像、画像の撮影場所、画像の撮影年月日、画像の撮影時刻、等を含む。カメラ27がAI(Artificial Intelligence)カメラであると、カメラ27は、画像・映像の解析機能を備えており、撮影機能と解析機能を合わせ持つことで、映像及び画像から必要な情報及びデータを抽出し、確認及び分析することができる。スピーカ28は、ボックス20へ取り付けられている。スピーカ28は、音声を出力する。音声は、話し言葉、音楽、擬音、自然音、自然環境音、等を含む。
【0018】
コンピュータ29は、ボックス20へ取り付けられている。コンピュータ29は、プロセッサ33、主メモリ34、補助メモリ35、通信インタフェース36等を備えている。プロセッサ33は、演算装置(演算回路)と制御装置(制御回路)とが統合された中央演算処理装置(CPU(Central Processing Unit))により構成されている。プロセッサ33は、バス37を介して主メモリ34、補助メモリ35、通信インタフェース36等へ通信可能に接続されている。バス37は、通信回路及び通信ケーブルを含む。また、コンピュータ29は、投入口センサー25、モニター26、カメラ27、スピーカ28へバス37を介して通信可能に接続されている。
【0019】
主メモリ34は、揮発性の記憶装置であり、主メモリ34は、プロセッサ33が各種の処理及び判断を実行する場合に、ワーク領域及びバッファ領域として機能する。補助メモリ35は、主メモリ34より大容量であり、補助メモリ35は、プロセッサ33による入力命令及び出力命令により動作する。補助メモリ35は、不揮発性の記憶装置、つまり、非一時的な記憶媒体である。補助メモリ35は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、等により実現される。磁気ディスクとしては、ハードディスクドライブが例示される。光ディスクとしては、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク、等が例示される。フラッシュメモリは、半導体メモリの一種であり、フラッシュメモリとしては、SDメモリーカード、USBフラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ、等が例示される。補助メモリ35に含まれる1以上の要素は、本体へ取り付け及び取り外しができる記憶媒体35Aとして定義可能である。
【0020】
補助メモリ35には、非一時的なアプリケーションが記憶されている。アプリケーションは、プログラム、設定ファイル、データを保管するファイル、各種ライブラリ等を含む。また、補助メモリ35には、プロセッサ33で処理及び判断される情報、プロセッサ33で処理及び判断を実行するために用いられる情報、等が記憶される。補助メモリ35に記憶される情報は、プロセッサ33の処理結果、画像、各種の情報、データ、等を含む。
【0021】
プロセッサ33は、補助メモリ35に記憶されているアプリケーションを読み込んで動作することにより、物品監視部38、画像処理部39、音声処理部40、情報処理部41として機能する構成を有する。物品監視部38は、各投入口センサー25の信号を処理することにより、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19が投入されたか否かをそれぞれ別々に判断し、かつ、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19を相互に識別する機能を有する。物品監視部38は、各投入口センサー25の信号を処理することにより、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19以外の物品が投入されたか否かを判断する機能を有する。画像処理部39は、モニター26で表示する画像を処理し、かつ、カメラ27で撮影された画像を処理する機能を有する。
【0022】
音声処理部40は、スピーカ28から出力する音声を処理する機能を有する。情報処理部41は、コンピュータ29で処理する各種の情報及びデータの処理、物品回収装置10からネットワーク42を介して外部コンピュータ43へ送る情報及びデータの処理、外部コンピュータ43からネットワーク42を介して取得する各種の情報及びデータの処理、を行なう機能を有する。
【0023】
電源61は、物品回収装置10を構成する電気部品、電子部品へ電力を供給する機能を有する。電源は、交流電源または直流電源の何れであってもよい。また、電源61は、バッテリ、例えば、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する太陽光発電装置で得られた電力を蓄えるバッテリであってもよい。さらに、電源61は、乾電池であってもよい。
【0024】
通信インタフェース36は、コンピュータ29を、無線通信システムまたは有線通信システムのうち、少なくとも何れか一方の通信システムにより、ネットワーク42を介して外部コンピュータ43へ接続する構造及び規格を含む。コンピュータ29をネットワーク42へ接続する構造は、通信回路、通信ケーブル、通信ターミナル、アンテナ、等を含む。また、通信インタフェース36は、近距離無線通信により、自動販売機11の通信インタフェース58と接続されてもよい。近距離無線通信は、例えば、無線LAN(Wi-Fi(登録商標))、ブルートゥース(登録商標)を含む。
【0025】
(自動販売機)
自動販売機11は、商品販売者等により管理される商品販売装置である。自動販売機11は、設置場所30へ置かれている。自動販売機11は、箱形状の本体44と、本体44に取り付けられた前面部45と、を有する。前面部45は扉であり、鍵機構により閉じられている。また、商品12,13は、商品投入口を介して商品ラックへ収容されている。前面部45には、電部照(商品表示部)46、コイン投入口47、紙幣挿入口48、読み取り部49、返却レバー50、コイン返却口51、商品取り出し口52、等が設けられている。
【0026】
電照部46は、商品12,13の種類を購入者へ提示する箇所である。電照部46は、複数の商品ダミー列53と、商品ダミー列53のそれぞれに対応して設けられた商品選択ボタン54と、を備えている。商品ダミー列53は、ダミー53Aを横方向に複数個並べて構成されている。ダミー53Aは、商品12,13の実物を模したラベル、または、商品12,13の容器の模型である。つまり、複数の商品選択ボタン54は、自動販売機11で販売される商品12,13の種類に対応してそれぞれ設けられている。
【0027】
さらに、本体44の内部に商品投入口、ラック、商品シュート、制御装置(制御回路)55、商品送り出し機構56、メモリ57、通信インタフェース58等が設けられている。制御装置55は、入力ポート、出力ポート、中央演算処理回路、等を有するプロセッサにより構成されている。制御装置55は、バス59を介して読み取り部49、複数の商品選択ボタン54、商品送り出し機構56、メモリ57、通信インタフェース58へ通信可能に接続されている。商品送り出し機構56は、複数の商品選択ボタン54に対応してそれぞれ設けられており、制御装置55により動作が制御される。通信インタフェース58は、ネットワーク42を介して物品回収装置10及び外部コンピュータ43及びへ接続されている。制御装置55は、各商品選択ボタン54がそれぞれ押された回数、各商品選択ボタン54に対応する商品12,13の種類、等の情報を取得できる。制御装置55は、取得した情報、つまり、購入された商品12,13の情報を、ネットワーク42を介して物品回収装置10へ送る処理を実行できる。
【0028】
(商品の購入例)
ユーザが、自動販売機11を利用して商品12,13を購入する例は、次の通りである。ユーザがコイン投入口47へコインを投入するか、または、紙幣挿入口48へ紙幣を挿入すると、購入可能な商品12,13に対応する商品選択ボタン54のランプが点灯される。ユーザが、ランプの点灯した商品選択ボタン54の何れか1つを押すと、制御装置55は、押された商品選択ボタン54に対応する商品送り出し機構56を動作させる。このため、ユーザが選択した商品12または商品13が、商品取り出し口52へ搬送されて停止する。ユーザは、商品取り出し口52のカバーを開き、商品12または商品13を取り出すことができる。ユーザが返却レバー50を操作すると、釣銭がコイン返却口51へ戻される。
【0029】
なお、現金以外のキャッシュレス器具を用いて商品を購入する場合、先に商品選択ボタン54を押してランプを点灯させた後、キャッシュレス器具を読み取り部49へ近づけると、読み取り部49がキャッシュレス器具を読みとり、制御装置は、商品送り出し機構を動作させる。その結果、商品12または商品13が商品取り出し口52へ搬送されて停止する。キャッシュレス器具は、キャッシュレスカード、ユーザ端末、腕時計型の器具、等の何れであってもよい。
【0030】
(物品回収装置の利用例)
図4は、物品回収装置10の利用例を示すフローチャートである。ユーザは、自動販売機11で購入した商品12,13の内容物を取り出した後、残りの物品14を物品回収装置10へ投入する。例えば、ペットボトル16は、投入口21へ投入され、ユーザがペットボトル16から取り外したキャップ18は、投入口24へ投入され、ユーザがペットボトル16から剥がしたラベル19は、投入口23へ投入される。
【0031】
物品回収装置10のコンピュータ29は、ステップS10において、取得した情報及びデータを処理する。そして、コンピュータ29は、ステップS11において、残りの物品14がボックス20へ投入されたか否かを判断する。コンピュータ29は、ステップS11でYesと判断すると、ステップS12及びステップS13の処理を実行できる。コンピュータ29は、ステップS12において、スピーカ28から音声、例えば、“ありがとう”または“やったね”等を出力させる。コンピュータ29は、ステップS13において、モニター26で画像、例えば、おみくじ、ゲーム、協賛企業の社会的責任の活動等を表示させる。
【0032】
コンピュータ29は、ステップS12及びステップS13の実行後、または、ステップS11でNoと判断すると、ステップS14において、カメラ27で物品回収装置10の周囲の対象物を撮影させる処理を実行する。コンピュータ29は、カメラ27で撮影された画像を処理することにより、物品回収装置10の周囲の人流解析データを取得することができる。人流解析データは、例えば、1日における時間帯毎の通過人数、各曜日毎の通過人数、通過する人の属性等を含む。通過する人の属性は、例えば、年齢層及び性別である。なお、通過人数、通過する人は、物品回収装置10の利用者、及び自動販売機11の利用者を含む。
【0033】
コンピュータ29は、ステップS14で取得した人流解析データを、外部コンピュータ43へ送ることができる。外部コンピュータ43が、自動販売機11で商品12,13を販売する商品販売者により運営されていると、商品販売者は、外部コンピュータ43で取得した人流解析データを、自動販売機11で取り扱う商品12,13の種類、商品数等に反映させることができる。
【0034】
コンピュータ29は、ステップS15において天候情報、災害情報、防犯情報、治安情報をモニター26で表示でき、かつ、スピーカ28から音声で出力させる。コンピュータ29は、気象庁、物品回収装置10が置かれている地域の災害管理センター、物品回収装置10が置かれている地域の警察署等が運営する外部コンピュータ43からネットワーク42のウェブサイトへ提供されている情報から、天候情報、災害情報、防犯情報、治安情報を取得できる。さらに、コンピュータ29は、ステップS16において、各種の情報及びデータを、ネットワーク42を介して外部コンピュータ43へ送ることもできる。
【0035】
なお、コンピュータ29は、ステップS12またはステップS13のうち、何れか1以上のステップを実行できる。また、コンピュータ29は、ステップS12及びステップS13を同じタイミングで実行してもよい。さらに、コンピュータ29は、ステップS12とステップS13とを、異なるタイミングで実行してもよい。
【0036】
また、コンピュータ29は、ステップS14、ステップS15、ステップS16のうち、何れか1以上のステップを実行できる。また、コンピュータ29は、ステップS14、ステップS15、ステップS16を同じタイミングで実行してもよい。さらに、コンピュータ29は、ステップS14、ステップS15、ステップS16を、それぞれ異なるタイミングで実行してもよい。
【0037】
(実施形態の効果)
物品回収装置10は、自動販売機11で販売される商品12,13の容器を含む残りの物品14を、ゴミではなく資源として回収できる。また、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19を分別するための分別機構が設けられておらず、構造が簡易である。ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19は、リサイクル業者へ運搬されて新たな商品として生まれ変わる。
【0038】
また、物品回収装置10は、外観上、ロボットキャラクターのような形状を有し、2個のカメラ27がロボットの顔の目に相当する位置にあり、スピーカ28がロボットの顔の口に相当する位置にある。したがって、物品回収装置10は、見た目にも親しみ易い。
【0039】
さらに、物品回収装置10の周囲を通過する利用者は、モニター26を目視することで、天候情報、災害情報、防犯情報、治安情報を確認できる。したがって、地域社会の環境保全に貢献できる。さらに、コンピュータ29は、カメラ27で撮影された画像をネットワーク42を介して外部コンピュータ43へ送ることができる。したがって、外部コンピュータ43が行政機関及び学校等が運営していると、外部コンピュータ43は、天候情報、災害情報、防犯情報、治安情報を共有できる。
【0040】
さらに、コンピュータ29は、災害時にモニター26で二次元コード、例えば、QRコード(登録商標)を表示させることができる。二次元コードは、自動販売機11の商品12,13を無料で取得できるものである。利用者は、携帯型端末で二次元コードを読み取り、かつ、読み取った二次元コードを画面に表示し、かつ、画面を自動販売機11の読み取り部49へ近づける。すると、自動販売機11の制御装置55は、コインの投入無し、及びキャッシュレス器具の使用無しで商品選択ボタン54が押された場合に、商品送り出し機構56を動作させ、商品12,13を商品取り出し口52へ供給する。
【0041】
また、利用者は、窓32を通してボックス20内を目視できる。したがって、ボックス20で回収された(溜まった)残りの物品14の量を概ね確認できる。また、ペットボトル16及び缶17は、傾斜壁20Aとプレート31との間を通過され、かつ、投入口21,22へそれぞれ投入される。そして、投入口21,22の上方には、水平部31Aが配置されている。したがって、異物が投入口21,22からボックス20内へ進入することを抑制できる。
【0042】
さらに、さらに、コンピュータ29は、ステップS11でYesと判断した後にステップS16へ進み、ボックス20へ投入されたペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19のそれぞれの個数を、商品販売者が運営する外部コンピュータ43へ送ることもできる。このため、商品販売者は、作業者が定期的に自動販売機11の前面部45を開いて商品12,13の補充を行なうより前の段階で、自動販売機11で売れた商品12,13を、リアルタイムで取得できる。したがって、商品販売者は、自動販売機11で販売する商品12,13の管理が容易となる。
【0043】
さらに、コンピュータ29は、ステップS10において、自動販売機11から情報、例えば、1日のうちに商品選択ボタン54が押された回数、商品選択ボタン54が押された時間帯、押された商品選択ボタン54に対応する商品12,13の種類、等の情報を取得してもよい。そして、コンピュータ29は、ステップS16へ進み、自動販売機11から取得した情報を、商品販売者が運営する外部コンピュータ43へ送ることもできる。このため、商品販売者は、作業者が定期的に自動販売機11の前面部45を開いて商品12,13の補充を行なうより前の段階で、自動販売機11で売れた商品12,13の種類、個数等を、リアルタイムで取得できる。したがって、商品販売者は、自動販売機11で販売する商品12,13の管理が容易となる。
【0044】
さらに、コンピュータ29は、ステップS11において、ボックス20へ投入された物品が、ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19の何れかであるか否かを判断してもよい。そして、コンピュータ29は、ステップS11でNoと判断すると、ステップS16において、ボックス20にペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19とは異なる物品(以外の物品)が投入されたことを、外部コンピュータ43へ送信してもよい。
【0045】
また、コンピュータ29は、ステップS16において、モニター26で“ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19とは異なる物品を投入しないでください”と表示する処理、スピーカ28で“ペットボトル16、缶17、キャップ18、ラベル19とは異なる物品を投入しないでください”との音声を出力する処理、のうち1以上の処理を実行してもよい。
【0046】
(その他の説明)
本実施形態において開示された事項の技術的意味の一例は、次の通りである。自動販売機11は、自動販売機の一例である。ボックス20は、ボックスの一例である。物品回収装置10は、物品回収装置の一例である。投入口21,22は、第1投入口の一例であり、投入口23は、第2投入口の一例であり、投入口24は、第3投入口の一例である。プロセッサ33は、プロセッサの一例である。スピーカ28は、スピーカの一例である。モニター26は、モニター26の一例である。カメラ27は、カメラの一例である。通信インタフェース36は、通信インタフェースの一例である。窓32は、窓の一例である。プレート31は、プレートの一例である。傾斜壁20Aは、傾斜壁の一例であり、かつ、プレートの一部に相当する。また、物品回収装置10の管理者と、自動販売機11の管理者とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
本実施形態には、次のような構成の物品回収システムが開示されている。商品を販売する自動販売機と、前記自動販売機で販売される前記商品から内容物が取り出された残りの物品を回収する物品回収装置と、を有する物品回収システムであって、前記残りの物品は、容器と、前記容器に取り付けられているラベルと、前記容器の内容物取り出し口を塞ぐキャップと、を含み、前記物品回収装置は、残りの物品が投入される中空のボックスと、前記ボックスに設けられて前記容器が投入される第1投入口と、前記ボックスに設けられて前記ラベルが投入される第2投入口と、前記ボックスに設けられて前記キャップが投入される第3投入口と、をそれぞれ別々に有する、物品回収システムが開示されている。
【0048】
また、コンピュータが構成する各処理部は、処理回路、処理器、処理手段として把握してもよい。さらに、コンピュータが構成する監視部は、監視回路、監視器、監視手段として把握してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本実施形態は、自動販売機で販売される商品の容器を含む物品を回収する物品回収装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…物品回収装置、11…自動販売機、20…ボックス、20A…傾斜壁、21,22、23,24…投入口、26…モニター、27…カメラ、28…スピーカ、31…プレート、31A…水平部、32…窓、33…プロセッサ、36…通信インタフェース
【要約】
【課題】自動販売機で販売される商品の容器を含む残りの物品をそれぞれ分別して回収でき、かつ、構造が簡易な物品回収装置を提供する。
【解決手段】自動販売機で販売される商品12,13から内容物が取り出された残りの物品14を回収するボックス20を備えた物品回収装置10であって、残りの物品14は、容器16,17と、容器16に取り付けられているラベル19と、容器16の内容物取り出し口を塞ぐキャップ18と、を含み、ボックス20は、容器16,17が投入される投入口21,22と、ラベル19が投入される投入口23と、キャップ18が投入される投入口24と、をそれぞれ別々に備えている、物品回収装置を構成した。
【選択図】
図2