(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】感震式物品落下防止装置
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A47B97/00 B
(21)【出願番号】P 2024109942
(22)【出願日】2024-07-09
【審査請求日】2024-07-09
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309013163
【氏名又は名称】丹治 順一
(72)【発明者】
【氏名】丹治 順一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3003619(JP,U)
【文献】特開2019-103599(JP,A)
【文献】特開2000-210148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/00
A47B 97/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字状のレバー部とU字状のフック部を上下に連結した形状を成し、連結部付近に回動用通穴を設けたハンガーと、
前記レバー部の上端部に枢軸を介して回動可能に設けるおもりと、
前記ハンガーを前記回動用通穴に枢軸を介して設置される保持部材とからなり、
前記保持部材は左右一対に設けられ、前記ハンガーのフック部に配置する落下防止部材からなることを特徴とする感震式物品落下防止装置。
【請求項2】
前記ハンガーにおいて、L字状のレバー部とU字状のフック部との連結部付近に外側へ突出する突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の感震式物品落下防止装置。
【請求項3】
前記ハンガーのフック部の内側にラック状のギアを設け、前記落下防止部材の両端のキャップの外周部にはピニオン状のギアを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の感震式物品落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納棚に載置した物品の、地震等の揺れるによる落下を防止する感震式物品落下防止装置である。
【背景技術】
【0002】
地震等の揺れで棚から物品の落下を防止するため、感震式物品落下防止装置があるが、いずれも一定以上の揺れにて作動機構部が作動し物品収納棚の物品落下防止を図る装置となっている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているように、地震の揺れによりウエイト32が巻バネ20に衝突により巻バネ20が屈折変形することでストッパー部材6が自重で回動する感震式物品落下防止装置となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-39534
【文献】特許第2826811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の
図4(a)(b)に記載よると、地震の揺れによりウエイト32が巻バネ20に衝突により巻バネ20が屈折変形することでストッパー部材6が自重で回動する感震作動手段となっている。
【0006】
又、特許文献2の
図5に記載によると、地震の揺れにより振り子35が係合子30に衝接することで傾動板20の係合支持が解かれ水平バー15が作動する感震作動手段となっている。
【0007】
従来の感震式物品落下防止装置はある一定以上の揺れに対しては作動することが可能であるが、緩やかな揺れが長く続く場合は作動しにくい課題もあり、揺れを感度よく感知し作動する感震式物品落下防止装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
L字状のレバー部とU字状のフック部を上下に連結した形状を成し、連結部付近に回動用の通穴を設けたハンガーと、
前記レバー部の上端部に枢軸を介して回動可能に設けるおもりと、
前記ハンガーを前記回動用通穴に枢軸を介して設けられる保持部材とからなり、
前記保持部材は左右一対に設けられ、前記ハンガーのフック部に配置する落下防止部材からなることを特徴とする感震式物品落下防止装置である。
【0009】
また、前記ハンガーにおいて、L字状のレバー部とU字状のフック部との連結部付近に外側へ突出する突起を設けたことを特徴とする。
更には、前記ハンガーのフック部の内側にラック状のギヤを設け、前記落下防止部材の両端のキャップの外周部にはピニオン状のギヤを設けたことを特徴とする。更に、落下防止部材と落下防止部材待機状態の保持部をギヤ形状と保持部の感震機構をおもりにて回動する枢軸と、もう一つの枢軸とを構成することにより、緩やかな揺れでも落下防止部材の待機状態を解除でき、落下防止機能が発揮される。
【0010】
本発明は、地震等の揺れによりおもりの重心位置が変化し、ハンガー部が回動することで、ハンガー部に系止された落下防止部材が、自重により落下し物品収納棚の開口部に移動することで、物品の落下を防止するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感震式物品落下防止装置は、構造が簡易的であることから小型化及び省コスト化することが可能である。落下防止部材が作動した後も、落下防止部材をハンガーに戻すだけの動作で完了するため、初期化が容易である。また、緩やか長い揺れの地震であっても、おもりの重心を利用しているため、落下防止部材が作動し未然に物品の落下防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】感震式物品落下防止装置を設置した物品収納棚の斜視図である。
【
図2】感震式物品落下防止装置の係止状態の斜視図である。
【
図3】感震式物品落下防止装置の待機状態の斜視図である。
【
図4】感震式物品落下防止装置の部品構成を示す分解拡大斜視図である。
【
図5】感震式物品落下防止装置の待機状態の拡大側断面図である。
【
図6】感震式物品落下防止装置の左ガイドケースの拡大平断面図である。
【
図7】(a)(b)は、感震式物品落下防止装置における落下防止部材の待機位置への移行状態の拡大側断面図である。 (a)は、落下防止部材の待機位置へ移動開始状態の拡大側断面図である。 (b)は、落下防止部材の待機位置へ移動最終状態の拡大側断面図である。
【
図8】(a)から(d)は、感震式物品落下防止装置における落下防止部材の待機位置から待機解錠への状態の拡大側断面図である。(a)は、感震作動手段の可動前(待機)状態を示す拡大側断面図である。(b)は、感震作動手段の可働中の状態を示す拡大側断面図である。(c)は、感震作動手段のフック解錠最終段階の状態を示す拡大側断面図である。(d)は、感震作動手段のフック解錠完了時の状態を示す拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
本発明の感震式物品落下防止装置を、図面を引用して説明する。
【0014】
図1は本発明の感震式物品落下防止装置6を設置した物品収納棚1である。物品収納棚1の上下の棚板3間に形成される開口面5のエリアに侵食することなく両サイドの側板2前面に保持部材8L、8Rを配設し、開口面5前面を上下に移動する落下防止部材7が左右の保持部材8L,8R係合されて物品(書籍)4の落下を防ぐ感震式物品落下防止装置6を具備している。
【0015】
落下防止部材7の待機位置は物品収納棚1の棚板3前方向とし物品(書籍)4の出し入れを阻害しない位置となっている。さらに、地震等の揺れで感震機能が作動し、落下防止部材7の待機状態が解錠され落下防止部材7が下方向の係止状態位置へと移動する。
【0016】
図1の物品収納棚1において棚板3の下方向から1,2,4,5段目は、感震式物品落下防止装置(待機状態)6(U)の設置状態を示し、3段目は、感震式物品落下防止装置(係止状態)6(L)の設置状態である。
【0017】
尚、本実施例において感震式物品落下装置6を物品収納棚1に設置されているが、物品収納棚1開口面5を正面視し基準に前方を前方向、後方を後方向、上方を上方向、下方を下方向、左方を左方向、右方を右方向として説明していく。
【0018】
図2、
図3は感震式物品落下装置(係止状態)(待機状態)6(L)、6(U)を示し、落下防止部材7の両端がガイドケース9L、9Rの開口下面28に落下防止部材7の係止状態を形成されている。本、落下防止部材7はガイドケース9L、9Rの開口面27を上下方向に移動でき、上部のハンガー部10にて保持され落下防止部材7は待機状態となっている。
【0019】
図4、
図5、
図6にて、感震式物品落下装置6の部品構成を説明する。落下防止部材7はバー11の端部にギヤ12aを有するキャップ12がありギヤ12a位置を左右揃えて固着している。
【0020】
保持部材8L,8Rはガイドケース9L,9R上部にハンガー部10が組み込まれている。ハンガー13をピンa14にてガイドケース9L,9Rの通穴a16、ハンガー13の通穴b17にて回動可能な枢軸a20を形成し、枢軸a20を支点にハンガー13のレバー22が矢印B方向、フック23が矢印C方向に回動可能となっている。
【0021】
さらに、上記レバー22端には、おもり31をネジ33にて取付板30に固定した取付板30をピンb15にてレバー22の通穴c18から取付板30の通穴d19にて回動可能な枢軸b21を形成し、枢軸b21を支点に取付板30が矢印A方向に回動可能になっている。
【0022】
よつて、地震等の揺れが発生するとおもり31固定の取付板30が枢軸21を支点に矢印A方向に揺れ、枢軸b21が枢軸a20を支点に矢印B方向に枢軸b21と一体のハンガー13が回動することでフック23がガイドケース9L,9Rの開口26を矢印C方向に回動する。
【0023】
図5は、落下防止部材7の待機状態であるが、上記枢軸a20を支点にハンガー部10が回動することでキャップ12を有する落下防止部材7が解錠状態となる。落下防止部材7のバー11両端に固着のキャップ12は
図6に示す通り、ガイドケース9L,9Rの開口内面27a、突起c27b、開口縁29内を
図5の矢印E方向に移動できる構造である。
【0024】
図7(a),(b)は、落下防止部材7を待機位置への移動状況を説明する。
図7(a)は、ハンガー13のレバー22端の枢軸b21を支点に回動のおもり31の重心X位置が枢軸a20の後方向に距離Pし、ハンガー13のフック23が回動しておりハンガー部10の解錠状態である。
【0025】
上記記載のハンガー部10の解錠状態であるところに、落下防止部材7をガイドケース9L,9Rの開口面27を矢印Eの上方向に移動すると落下防止部材7の端部に取り付けキャップ12のギヤ12aが、ハンガー13の突起a24に当接Tする。
【0026】
さらに、落下防止部材7を上方向に押し上げると枢軸a20を支点に矢印F方向にハンガー部10が回動し
図7(b)に示すように、おもり31を含んだレバー22の枢軸b21が枢軸a20を支点に矢印B方向に回動し、おもり31の重心Xが前方向へ距離Pの移動となる。
【0027】
この時にハンガー13のフック23、ギヤ23aが落下防止部材7のキャップ12、ギヤ12aに当接、フック端23bが落下防止部材7のキャップ12、ギヤ12a矢印Cの下方向に回動して落下防止部材7を保持、待機状態になる。以上作業による1操作で落下防止部材7の待機状態に行うことができる。
【0028】
図8(a)、(b)、(c)、(d)にて、感震式物品落下装置6(U)の待機状態から地震等の揺動による落下防止部材7の待機状態からハンガー部10の解錠工程を説明する。
【0029】
図8(a)は、感震式物品落下装置6(U)の待機状態を示す。落下防止部材7の待機状態は、ハンガー部10の回動支点である枢軸a20が落下防止部材7中心より後方向距離Sにあるため、枢軸a20支点の落下防止部材7の重力による回動は起きない位置としている。さらに、ハンガー13のレバー22端部にある枢軸b21に回動可能で取り付けのおもり31重心Xが前方向距離Pにあり落下防止部材7が安定的に保持される。
【0030】
地震等の揺動を受けると、ハンガー部10取り付けのおもり31が枢軸b21を支点とした矢印A方向に回動することにより、枢軸b21が枢軸a20を支点として矢印B方向に、ハンガー13のフック23が矢印C方向に回動する。
【0031】
図8(b)は、地震等の揺動によりおもり31の重心Xがハンガー部10、ハンガー13回動支点である枢軸a20と同垂線位置にある状態を示す。枢軸a20を支点としてハンガー13のフック23、ギヤ23aが矢印C方向に回動することにより、落下防止部材7のギヤ12a部がガイドケース9L開口内面27aに接触し矢印D方向に回転し矢印E方向へ移動する。
【0032】
図8(c)は、落下防止部材7のキャップ12,ギヤ12aがハンガー13のフック23、フック端23bとガイドケース9Lの開口内面27aに接触の解錠最終段階です。この時、おもり31の重心Xが揺動により枢軸b21が枢軸a20より後方向距離Pにあり、枢軸a20を支点としたおもり31による回動作用と、落下防止部材7の自重にて矢印E下方へ移動する。
【0033】
図8(d)は、枢軸a20を支点として
図5のハンガー13のレバー端22aと突起b25が当接しハンガー部10の回動が停止となる。同時に、おもり31の重心Xは枢軸a20から距離P後方向にあり、ハンガー13のフック23が回動して落下防止部材7のキャップ12が解錠状態となり落下防止部材7が自重によりガイドケース9L,9Rの開口下面28へ落下防止部材7自重移動により感震式物品落下防止装置6(L)係止状態となり物品(書籍)4の落下を防ぐ。
【0034】
さらに、地震等の揺れによりおもり31が枢軸b21を支点に回動しておもり31の重心Xが枢軸a20点を後方向に越えても枢軸b21位置が枢軸a20の後方向に超えないような揺れの場合には解錠状態に至らない。
【0035】
しかし、おもり31の揺れで枢軸a20を支点にハンガー部10が回動したとき、ハンガー13、フック23のギヤ23aが落下防止部材7のギヤ12a付きキャップ12とかみ合っており、落下防止部材7のキャップ12がガイドケース9の開口内面27aに接触し、落下防止部材7の自重の作用にて、ハンガー部10の枢軸a20を支点とした回動の復元を阻む状況になり、揺れが繰り返されると徐々に解錠状態に至り、長い揺れで落下防止部材の待機状態を解錠し係止状態にすることができる。
【0036】
尚、先記載の落下防止部材7の両端取り付けキャップ12のギヤ12aとハンガー部10のハンガー13、ギヤ23aが落下防止部材7の自重でかみ合っているためハンガー部10の解錠状況が両サイドの連動により、片解錠を防ぐことができる。
又、感震方式におもり31を利用しているが、おもり31の重量を変えることで色々な揺れに対応した感震式を作ることができる。おもり31はネジ33で取付板30に固定しているが取付板30と一体でもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 物品収納棚
2 側板
3 棚板
4 物品(書籍)
5 開口面
6(L)感震式物品落下防止装置(係止位置)
6(U)感震式物品落下防止装置(待機位置)
7 落下防止部材
8(L)(R)保持部材
9(L)(R)ガイドケース
10 ハンガー部
11 バー
12 キャップ
12a ギヤ
13 ハンガー
14 ピンa
15 ピンb
16 通穴a
17 通穴b
18 通穴c
19 通穴d
20 枢軸a
21 枢軸b
22 レバー部
23 フック部
23a ギヤ
23b フック端
24 突起a
25 突起b
26 開口
27 開口面
28 開口下面
29 開口縁
30 取付板
31 おもり
32 カバー
33 ネジ
A、B,C,E,F 矢印
P 枢軸aから枢軸b間の水平距離
S 枢軸aから落下防止部材中心間の水平距離
T 当接位置
X おもり重心水平位置
【要約】 (修正有)
【課題】従来の感震式物品落下防止装置はある一定以上の揺れに対しては作動することが可能であるが、緩やかな揺れが長く続く場合は作動しにくい課題もあり、揺れを感度よく感知し作動する感震式物品落下防止装置を提供する。
【解決手段】L字状のレバー部とU字状のフック部を上下に連結した形状を成し、連結部付近に回動用の通穴を設けたハンガーと、前記ハンガーの上端部に枢軸を介して回動可能に設けるおもりと、前記ハンガーを前記回動用通穴に枢軸を介して設けられる保持部材と、左右一対に設けられる前記保持部材の開口部間に配置する落下防止部材からなることを特徴とする感震式物品落下防止装置である。本発明は、地震等の揺れによりおもりの重心位置が変化し、ハンガー部が回動することで、ハンガー部に系止された落下防止部材が、自重により物品収納棚の開口部に移動することで、物品の落下を防止するものである
【選択図】
図7