(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】栽培器具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20241108BHJP
【FI】
A01G9/02 103T
A01G9/02 103G
(21)【出願番号】P 2024132028
(22)【出願日】2024-08-08
【審査請求日】2024-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512045652
【氏名又は名称】株式会社エコテクノス
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛二
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】武澤 達也
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2017-0055367(KR,A)
【文献】特開2013-066384(JP,A)
【文献】特開2013-220062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G2/00-2/38
5/00-9/08
9/28
17/00-17/02
17/18
20/00-22/67
24/00-24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置される栽培器具であって、
周囲を囲む側壁を有し、上下面が開口され、内側に栽培用の土が収容される枠体と、
前記側壁の下部側でかつ前記側壁の周辺部よりも内側領域に開口された開口部と、
前記側壁の前記開口部の上側縁部と下側縁部に対してそれぞれ上端部と下端部が固定されて前記側壁の内側に突出され、前記開口部を覆う土止め部と、
前記開口部および前記土止め部によって設けられ、前記枠体の内側に凹む足先挿入用の凹部と、
を備えることを特徴とする栽培器具。
【請求項2】
前記開口部は、前記側壁の幅方向に沿って長く設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の栽培器具。
【請求項3】
前記側壁は、最下部に前記地面に埋設される埋設部を有し、前記埋設部の上側に前記凹部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の栽培器具。
【請求項4】
前記土止め部は、前記枠体の内側に向けて突出する断面半円環状に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の栽培器具。
【請求項5】
前記枠体は、前記地面に立設される複数の支柱と、前記支柱間に上下方向に積み重ねて配設される前記側壁とを有し、前記側壁の積み重ね数に応じて前記枠体の高さが調整される
ことを特徴とする請求項1に記載の栽培器具。
【請求項6】
前記枠体は、長方形枠状で、長辺に位置する前記側壁に前記凹部が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の栽培器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物を栽培する栽培器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば圃場の地面で農作物を栽培する場合、作業者は座ったり大きく屈んで作業しなければならず、作業者に負担がかかっている。
【0003】
また、周囲を側壁で囲んだボックスを用い、このボックス内に土を入れて植物を栽培することにより、地面よりもボックス内の土の上面の高さを高くして、作業者の負担を軽減することが可能となる。しかし、側壁が存在するため、作業者の足先の位置が規制されてボックスから離れた位置から作業することになり、作業性が損なわれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作業者の負担を軽減し、作業性を向上できる栽培器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の栽培器具は、地面に設置される栽培器具であって、周囲を囲む側壁を有し、上下面が開口され、内側に栽培用の土が収容される枠体と、前記側壁の下部側でかつ前記側壁の周辺部よりも内側領域に開口された開口部と、前記側壁の前記開口部の上側縁部と下側縁部に対してそれぞれ上端部と下端部が固定されて前記側壁の内側に突出され、前記開口部を覆う土止め部と、前記開口部および前記土止め部によって設けられ、前記枠体の内側に凹む足先挿入用の凹部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者の負担を軽減し、作業性を向上可能な栽培器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す栽培器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1および
図2に栽培器具10を示す。栽培器具10は、組み立て式で、例えば圃場の土の地面11上に設置される。
【0011】
栽培器具10は、農作物を栽培するため畑土や園芸土などを含む土12を収容する枠体13を備えている。枠体13は、平面視で長方形状に設けられ、例えば、長手方向の寸法が約4700mm、長手方向の交差する短手方向(幅方向)の寸法が約800mm、地面11からの高さが約1000mmに設けられている。
【0012】
枠体13の内側には、上下面が開口され、土12を収容する収容空間14が形成されている。収容空間14の底面には底板が存在せず、収容空間14の底面は地面11となる。したがって、枠体13の収容空間14に充填される土12は地面11上に堆積される。
【0013】
枠体13は、地面11に立設される複数の支柱15と、これら支柱15間に配設される側壁16と、を有し、複数の側壁16により収容空間14の周囲を囲むように構成されている。支柱15および側壁16は、例えば木製であるが、樹脂製や金属製などでもよい。
【0014】
支柱15は、下部側が地面11に埋設されることにより、地面11に立設される。支柱15は、四隅に配置される隅支柱(第1の支柱)20と、長辺の中間に配置される複数の連結支柱(第2の支柱)21と、を有している。隅支柱20は水平方向の断面が略Lの字形に形成され、隅支柱20の内側に長辺の側壁16の端部と短辺の側壁16の端部とが組み合わされて配置される。また、連結支柱21は、水平方向の断面が略Hの字形に形成され、両側に形成された連結溝部22に側壁16の端部が上方から差し込まれて組み立てられる。
【0015】
側壁16は、枠体13の長辺に配設される長辺側壁23と、枠体13の短辺に配設される短辺側壁24と、を有している。
【0016】
図2および
図3に示すように、長辺側壁23は、最下部の下部側壁23Lと、この下部側壁23L上に積み重ねられる中間側壁23Mと、この中間側壁23Mの上に積み重ねられる最上部の上部側壁23Uとが、含まれる。下部側壁23Lおよび中間側壁23Mの上面には嵌め込み溝部25が長手方向の全域に設けられ、中間側壁23Mおよび上部側壁23Uの下面には嵌め込み溝部25に嵌め込み可能とする嵌め込み突部26が長手方向の全域に設けられている。上部側壁23Uの上面には嵌め込み溝部25は設けられていない。
【0017】
図4に示すように、短辺側壁24は、最下部の下部側壁24Lと、この下部側壁24L上に積み重ねられる中間側壁24Mと、この中間側壁24Mの上に積み重ねられる最上部の上部側壁24Uとが、含まれる。下部側壁24Lおよび中間側壁24Mの上面には嵌め込み溝部25が長手方向の全域に設けられ、中間側壁24Mおよび上部側壁24Uの下面には嵌め込み溝部25に嵌め込み可能とする嵌め込み突部26が長手方向の全域に設けられている。上部側壁24Uの上面には嵌め込み溝部25は設けられていない。
【0018】
図2ないし
図4に示すように、側壁16の下部側、つまり下部側壁23L,24Lの下部側には、地面11に埋設される埋設部27が設けられている。なお、埋設部27は、地面上に配置した後にベース側壁を上方から押圧して地面11に埋設してもよいし、地面11上に配置した後に地面11上の土12を盛って埋設してもよい。あるいは、埋設部27は、地面11上に配置しただけでもよい。
【0019】
なお、支柱20,21の長さ、中間側壁23M,24Mの積み重ね数に応じて、栽培器具10の地面11からの高さを調整することができる。
【0020】
図2および
図3に示すように、枠体13の長辺に位置する側壁16である長辺側壁23の下部側に開口部28が設けられている。開口部28は、下部側壁23Lの埋設部27の上側に設けられている。開口部28の上下方向の高さ寸法は、靴を履いた作業者の足先が挿入可能とする例えば150mm程度とされ、下部側壁23Lの長手方向に沿った方向の幅寸法は下部側壁23Lの長手方向の寸法よりも小さい1200mm程度とされている。開口部28は、下部側壁23Lの周辺部よりも内側領域に開口されている。開口部28の下部側は、作業者の足先が埋設部27に引っ掛かることなく挿入可能なように、地面11の高さと略同じであることが好ましい。
【0021】
下部側壁23Lの開口部28の内側は土止め部30で覆われ、枠体13の内側に収容される土12が開口部28を埋めたり開口部28から外部に出るのを防止する。土止め部30は、例えば樹脂製、金属製、木製のいずれかで、上下方向の断面形状が略半円環状に設けられ、上下端部が開口部28の上下縁部で下部側壁23Lの内側に例えばねじなどの固定部材31によって固定されている。土止め部30の長手方向の寸法は、開口部28の長手方向の寸法と同一または長く設けられている。土止め部30の長手方向の端面は、開口されていてもよいが、閉塞部材で閉塞されていることが好ましい。
【0022】
土止め部30は開口部28よりも枠体13の内側である収容空間14内に突出されており、開口部28およびこの開口部28に対向する土止め部30の内部により、側壁16の下部側に作業者の足先が入る凹部32が形成されている。
【0023】
そして、栽培器具10を設置する場合には、まず、各支柱20,21の下部側を地面11に埋設して各支柱20,21を地面11上に立設する。
【0024】
続いて、長辺側壁23の下部側壁23Lを支柱20,21間および支柱21,21間に上方から差し込み、下部側壁23Lの埋設部27を地面11に埋設する。同様に、短辺側壁24の下部側壁24Lを隅支柱20,20間に上方から差し込み、下部側壁24Lの埋設部27を地面11に埋設する。
【0025】
さらに、下部側壁23L,24L上に、中間側壁23M,24M、上部側壁23U,24Uを順に上方から組み合わせ、枠体13を形成する。
【0026】
枠体13の収容空間14に栽培用の土12を充填する。土12は、枠体13の底面が開口されているため、地面11上に堆積される。
【0027】
そして、設置された栽培器具10に対して、作業者は、栽培器具10の短手方向の両側で栽培器具10の長手方向に沿った作業領域40を移動し、栽培器具10内の土12で農作物を栽培する作業を行う。
【0028】
このとき、栽培器具10内の土12の上面の高さが地面11よりも高い位置に配置されるため、作業者は、座ったり腰を大きく曲げたりすることなく、立ったまま作業を行うことができ、作業者の負担が軽減される。
【0029】
作業者が作業領域40から栽培器具10に対して作業する際、作業者の足先を凹部32に挿入することにより、作業者が栽培器具10に近付いて作業を容易に行うことが可能となる。
【0030】
このように、栽培器具10を用いることにより、作業者の負担を軽減し、作業性を向上できる。
【0031】
凹部32は、側壁16に開口された開口部28と、枠体13の内側に突出され、開口部28を覆う土止め部30と、により形成されており、凹部32に作業者の足先を挿入可能としながら、枠体13内の土12で開口部28が埋まったり土12が開口部28から外部に出るのを防止できる。
【0032】
側壁16の最下部に地面11に埋設される埋設部27が設けられていることにより、側壁16を地面11上に強固に設置できる。
【0033】
側壁16の埋設部27の上側に凹部32が設けられていることにより、凹部32の下部側を地面11の高さと略同じとすることで、作業者の足先を埋設部27に引っ掛けることなく開口部28に挿入することができる。
【0034】
土止め部30が枠体13の内側に向けて突出する断面半円環状に設けられていることにより、強度が高く、凹部32に作業者の足先を挿入可能としながら、枠体13内の土12の圧力を支えることができ、しかも、凹部32に作業者の足先を挿入した際、土止め部30の内側の円弧に沿って徐々に挿入が規制されるので、土止め部30が鉛直状の壁面である場合に比べて、足先が土止め部30に当たって止まるときの衝撃を緩和できる。
【0035】
支柱20,21の長さ、側壁16の積み重ね数に応じて、栽培器具10の地面11からの高さを調整することができる。
【0036】
栽培器具10の枠体13は、平面視形状が長方形で、長辺に位置する側壁16である長辺側壁23に凹部32が設けられることにより、作業者は枠体13の短手方向の一側から反対の他側に亘って作業を行うことが可能となり、作業性を向上できる。
【0037】
なお、枠体13の短辺側壁24にも凹部32を設けてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 栽培器具
11 地面
12 土
13 枠体
15 支柱
16 側壁
27 埋設部
28 開口部
30 土止め部
32 凹部
【要約】
【課題】作業者の負担を軽減し、作業性を向上できる栽培器具を提供する。
【解決手段】地面に設置される栽培器具10である。栽培器具10は、周囲を囲む側壁16を有し、上下面が開口され、内側に栽培用の土12が収容される枠体13を備える。側壁16の下部側に、枠体13の内側に凹む足先挿入用の凹部32を設ける。凹部32は、側壁16に開口された開口部28と、枠体13の内側に突出され、開口部28を覆う土止め部30と、により形成される。
【選択図】
図2