(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ポリエステル組成物、その製造方法およびその応用
(51)【国際特許分類】
C08L 67/02 20060101AFI20241108BHJP
A61L 15/12 20060101ALI20241108BHJP
A61L 15/14 20060101ALI20241108BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20241108BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20241108BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20241108BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20241108BHJP
B29C 55/02 20060101ALI20241108BHJP
B29C 61/06 20060101ALI20241108BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20241108BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20241108BHJP
C08J 3/21 20060101ALI20241108BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20241108BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20241108BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20241108BHJP
D04H 3/011 20120101ALI20241108BHJP
【FI】
C08L67/02
A61L15/12
A61L15/14
A61L31/06
A61L31/14 400
B29C45/00
B29C48/08
B29C55/02
B29C61/06
B29C64/118
B29C70/06
C08J3/21 CFD
C08J5/00
C08K7/02
D01F6/92 307A
D04H3/011
(21)【出願番号】P 2019520899
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2017107106
(87)【国際公開番号】W WO2018072746
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】201610922101.3
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710702760.0
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703232.7
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703435.6
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703617.3
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703774.4
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703875.1
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710703901.0
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鄭萃
(72)【発明者】
【氏名】祝桂香
(72)【発明者】
【氏名】劉立志
(72)【発明者】
【氏名】張偉
(72)【発明者】
【氏名】姚雪容
(72)【発明者】
【氏名】任敏巧
(72)【発明者】
【氏名】韓▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】任毅
(72)【発明者】
【氏名】陳楠
(72)【発明者】
【氏名】史穎
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】藤井 勲
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/329924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/134363(US,A1)
【文献】特表2007-515543(JP,A)
【文献】特開2008-156508(JP,A)
【文献】特開2008-189764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00- 67/08
C08K 3/00- 13/08
C08J 3/00- 99/00
A61L 15/00- 15/64
A61L 31/00- 31/18
B29C 31/00- 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのポリエステルを含むポリエステル組成物であって、当該少なくとも2つのポリエステルは、下記からなる群より選択され:
(1)脂肪族-芳香族コポリエステルから選択される1つ以上である第1のポリエステルであって、
式(I)によって表される繰り返しユニットAおよび式(II)によって表される繰り返しユニットBからなる共重合体であり、
【化1】
式中、前記脂肪族-芳香族コポリエステル中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル量に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は51~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は5~49モル%であり、好ましくは、前記繰り返しユニットAの含有量は55~80モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は20~45モル%であり;mは、2~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~4の整数であり;nは、2~8、好ましくは2~4の整数であり;pは、2~10、好ましくは2~4の整数であり;m、nおよびpは、同じであるか、または互いに異なり、
前記第1のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、ランダム共重合体である、第1のポリエステル;
(2)
(i)脂肪族ポリエステルおよび前記第1のポリエステルと異なる脂肪族-芳香族コポリエステルであるか、または、(ii)前記第1のポリエステルと異なる脂肪族-芳香族コポリエステルである、第2のポリエステルであって、
前記脂肪族ポリエステルが、式(I''')によって表される繰り返しユニットDからなり、
【化2】
式中、m3は、mに対する定義と同じであり;n3は、nに対する定義と同じであり;n3は、互いに同じであるか、または異なり、前記脂肪族ポリエステルのGPCによって測定される重量平均分子量が、50,000~900,000である
;
前記第1のポリエステルと異なる前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、式(I)によって表される前記繰り返しユニットAおよび式(II)によって表される前記繰り返しユニットBからなる、第2のポリエステル;
前記第1のポリエステルの含有量は、前記第1のポリエステルおよび第2のポリエステルの総重量に対して、51~99重量%であり、
前記第2のポリエステルの含有量は、前記第1のポリエステルおよび前記第2のポリエステルの総重量に対して、1~49重量%である、
ポリエステル組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ポリエステルのGPCによって測定される重量平均分子量が100,000~500,000であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項3】
前記第1のポリエステルまたは前記第2のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルのGPCによって測定される重量平均分子量が50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、好ましくはGPCによって測定される分子量分布が、1.2~3であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項4】
前記第2のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル組成物が、核剤と、繊維充填材と、組成物融解物の凝固を促進し、組成物の機械的強度を調節し、組成物の色および光沢を調節し、かつ組成物の難燃性および耐酸化性を改善する作用を有する補助充填材と
、ホワイト油と、からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記補助充填材が、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、無機中空微小球、金属粉末、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸エステルまたはポリリン酸塩、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、高分岐ポリアミド、エチレン-メタクリル酸イオノマー、エチレンビスステアラミド、シリコーン粉末、ならびにペンタエリスリトールステアレートからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つであり、
好ましくは、炭酸カルシウム、無水硫酸カルシウム、銅粉末、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)リン酸、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、エチレンビスステアラミドおよびエルシルアミドからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つであり、
好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量が、0.1~60重量%、好ましくは0.1~50重量%、より好ましくは1~25重量%、より好ましくは1~20重量%、さらにより好ましくは2~10重量%であることを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記核剤が、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料、カオリン、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミドならびにエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、炭酸カルシウム、低密度ポリエチレン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体ならびに高分岐ポリアミドからなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記核剤の含有量が、0.01~20重量%、好ましくは0.2~5重量%であることを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
前記繊維充填材が、炭素繊維、ガラス繊維、バソールト繊維、アラミド繊維、およびPET繊維からなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、およびバソールト繊維からなる群から選択される1つ以上であり、
好ましくは、前記繊維充填材の長さが、0.1~10mm、好ましくは0.5~2mmであることを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAと式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCと式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルB;
(3)請求項1中で定義される前記脂肪族ポリエステル;
を含み
【化3】
式中、m1およびm2は、互いに独立して、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n1およびn2は、互いに独立して、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり、n1は、n2未満であり、
前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルの総モル数に対して、前記繰り返しユニットBの含有量が、5~49モル%、好ましくは10~45モル%、より好ましくは20~40モル%である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAと前記繰り返しユニットBとの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量が、51~90モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量が、10~49モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCと前記繰り返しユニットBとの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量が、40~95モル%、好ましくは50~90モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量が、5~60モル%、好ましくは10~50モル%であることを特徴とする請求項9に記載のポリエステル組成物。
【請求項11】
前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルのモル比が、20~90:1~90:1~20、好ましくは20~90:1~70:1~20であることを特徴とする、請求項9または10に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I-1)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体である、51~98重量%のポリエステルAであって、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は56~80モル%、好ましくは60~75モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は20~44モル%、好ましくは25~40モル%である、ポリエステルA;
【化4】
(2)式(I’)で表される繰り返しユニットCおよび式(IV’)で表される繰り返しユニット
D’からなる共重合体である、1~48重量%のポリエステルBであって、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニット
D’の総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは85~95モル%であり、前記繰り返しユニット
D’の含有量は、1~19モル%、好ましくは5~15モル%であり、
【化5】
式中、m1は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n1は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり、a1は、請求項1中のpに対する定義と同じであり、a1およびm1は、同じであるか、または互いに異なる、ポリエステルB;
(3)式(I'')で表される繰り返しユニットEおよび式(IV'')で表される繰り返しユニットFからなる共重合体である、ポリエステルCであって、
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットEおよび前記繰り返しユニットFの総モル数に対して、前記繰り返しユニットEの含有量は、0~
50モル%、好ましくは15~50モル%、前記繰り返しユニットFの含有量は、
50~100モル%、好ましくは50~85モル%であり、
【化6】
式中、m2は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n2は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり、a2は、請求項1中のpに対する定義と同じであり、a2およびm2は、同じであるか、または互いに異なる、ポリエステルC;
前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、
51~98重量%の前記ポリエステルAと、
1~48重量%の前記ポリエステルBと、
1~48重量%の前記ポリエステルCと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
前記ポリエステル組成物が、70~94重量%の前記ポリエステルA、3~25重量%の前記ポリエステルB、および3~20重量%の前記ポリエステルCを含むことを特徴とする、請求項12に記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルAであって、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~70モル%、好ましくは55~68モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、30~49モル%、好ましくは32~45モル%であり、
【化7】
式中、m1は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n1は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または異なり;好ましくは、m1は2~4の整数であり、n1は2~4の整数、好ましくは2である、ポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルBであって、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、1~50モル%、好ましくは20~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、50~99モル%、好ましくは55~80モル%であり、
【化8】
式中、m2は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n2は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数、好ましくは2である、ポリエステルB;
前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、
51~99重量%の前記ポリエステルAと、
1~49重量%の前記ポリエステルBと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
前記ポリエステル組成物が、80~95重量%の前記ポリエステルA、および5~20重量%の前記ポリエステルBを含むことを特徴とする、請求項14に記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルAであって、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、60~80モル%、好ましくは62~78モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~40モル%、好ましくは22~38モル%であり、
【化9】
式中、m1は、請求項中のmに対する定義と同じであり、n1は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、互いに同じであるか、または異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数、好ましくは2である、ポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルBであって、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~59モル%、好ましくは30~55モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、41~80モル%、好ましくは45~70モル%であり、
【化10】
式中、m2は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n2は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、互いに同じであるか、または異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数であり、好ましくは、n2は2である、ポリエステルB;
前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、
51~99重量%の前記ポリエステルAと、
1~49重量%の前記ポリエステルBと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
前記ポリエステル組成物が、70~90重量%の前記ポリエステルA、および10~30重量%の前記ポリエステルBを含むことを特徴とする、請求項
16に記載のポリエステル組成物。
【請求項18】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルAであって、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、75~95モル%、好ましくは81~95モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~25モル%、好ましくは5~19モル%であり、
【化11】
式中、m1は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n1は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるかまたは互いに異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数であり、好ましくは、n1は2である、ポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルBであって、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~74モル%、好ましくは40~70モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、26~80モル%、好ましくは30~60モル%であり、
【化12】
式中、m2は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n2は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数であり、好ましくは、n2は2である、ポリエステルB;
前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、
51~99重量%の前記ポリエステルAと、
1~49重量%の前記ポリエステルBと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項19】
前記ポリエステル組成物が、55~70重量%の前記ポリエステルA、および30~45重量%の前記ポリエステルBを含むことを特徴とする、請求項
18に記載のポリエステル組成物。
【請求項20】
前記少なくとも2つのポリエステルは、下記からなり:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルAであって、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAと前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~80モル%、好ましくは60~75モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~49モル%、好ましくは25~40モル%であり、
【化13】
式中、m1は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n1は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m1は、2~8の整数であり、n1は、2~6の整数であり、より好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は2~4の整数である、ポリエステルA;
;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルBであって、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは83~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、1~19モル%、好ましくは5~17モル%であり、
【化14】
式中、m2は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n2は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m2は、2~8の整数であり、n2は、2~6の整数であり、より好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は2~4の整数である、ポリエステルB;
(3)式(I''')で表される繰り返しユニットDおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットBからなる共重合体であるポリエステルCであって、
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットDおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットDの含有量は、0~49モル%、好ましくは15~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、51~100モル%、好ましくは55~85モル%であり、
【化15】
式中、m3は、請求項1中のmに対する定義と同じであり、n3は、請求項1中のnに対する定義と同じであり、m3およびn3は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m3は、2~8の整数であり、n3は、2~6の整数であり、より好ましくは、m3は、2~4の整数であり、n3は2~4の整数である、ポリエステルC;
前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、
30~98重量%の前記ポリエステルAと、
1~69重量%の前記ポリエステルBと、
1~69重量%の前記ポリエステルCと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
【請求項21】
前記ポリエステル組成物が、60~93重量%の前記ポリエステルA、5~38重量%の前記ポリエステルB、および1~20重量%の前記ポリエステルCを含むことを特徴とする、請求項
20に記載のポリエステル組成物。
【請求項22】
第1のポリエステルおよび第2のポリエステルを含む全ての成分を混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化してポリエステル組成物を得る工程を含み、
好ましくは、前記混合する工程中に、相溶化剤を添加しない、
請求項1~
21のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
【請求項23】
前記混合する工程が攪拌下で行われることを特徴とする、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記押出してペレット化は、二軸押出機中で行われ、
好ましくは80~270℃、好ましくは110~220℃で、スクリューの回転速度10~70rpm、トルク2~80N・mで行われることを特徴とする、請求項
22に記載の方法。
【請求項25】
以下の態様:形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ
、医療用手足固定具
、不織布および不織布物品(特に、使い捨て不織布物品、より好ましくは使い捨て医療用不織布物品)の1つ以上における、請求項1~
21のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の使用。
【請求項26】
請求項9~11のいずれか1項に記載のポリエステル組成物を含む、形状記憶材料。
【請求項27】
請求項12または13に記載のポリエステル組成物を含む3Dプリントワイヤ、好ましくは0.1~10mm、好ましくは1~4mmの直径を有する3Dプリントワイヤ。
【請求項28】
ポリエステル組成物を連続的に押出し、冷却して3Dプリントワイヤを得る工程を含み、
好ましくは、押出温度は90~260℃であり、冷却温度は0~60℃である、
請求項
27に記載の3Dプリントワイヤの製造方法。
【請求項29】
請求項14または15に記載のポリエステル組成物を含む、熱収縮性スリーブ。
【請求項30】
ポリエステル組成物を連続的に押出し、延伸し、冷却し、形成して熱収縮性スリーブを得る工程を含み、
好ましくは押出温度が90~240℃、好ましくは120~180℃であり、冷却温度が0~60℃、好ましくは20~40℃である、
請求項
29に記載の熱収縮性スリーブの製造方法。
【請求項31】
前記方法が、冷却されたパイプを、連続して、加熱、直径拡張、二次冷却、および形成する工程をさらに含み、
好ましくは前記加熱温度が65~120℃、好ましくは70~90℃であり;好ましくは前記直径拡張の拡張率が元のサイズの1.5~5倍、好ましくは3~5倍であり;好ましくは前記二次冷却の温度が0~60℃、好ましくは20~40℃である、
請求項
30に記載の製造方法。
【請求項32】
請求項
16または17に記載のポリエステル組成物を含み、
好ましくは医療用手足固定具の厚さが、0.2~10mm、好ましくは1~3mmであり、好ましくは医療用手足固定具が、細孔構造を有している、および/または有しておらず、好ましくは細孔構造を有し、より好ましくは前記細孔構造の細孔サイズが、1~10mm、好ましくは1~5mmである、
医療用手足固定具。
【請求項33】
ポリエステル組成物を連続的に押出し、成形し、任意に穴抜きして医療用手足固定具を得る工程を含み、
好ましくは、前記押出し温度は、90~230℃、好ましくは110~170℃であり、好ましくは、前記成形は、射出成形および/または圧縮成形であり;好ましくは、前記成形する工程によって、医療用手足固定具の厚さが0.2~10mm、好ましくは1~3mmとなり;好ましくは、前記穴抜き工程に使用されるパンチャーの直径が、1~10mm、好ましくは1~5mmである、
請求項
32に記載の医療用手足固定具の製造方法。
【請求項34】
請求項
18または19に記載のポリエステル組成物を含む不織布。
【請求項35】
スパンボンディング方法によりポリエステル組成物から不織布を製造する工程を含み、
好ましくは、前記スパンボンディング方法が、押出工程、紡糸する工程、網状形成する工程、および強化する工程を含み;好ましくは、前記押出工程が、3つの温度帯を備え、ここで、前記第1の温度帯の温度が140~250℃、前記第2の温度帯の温度が150~260℃、前記第3の温度帯の温度が170~260℃であり;好ましくは、前記紡糸温度が150~240℃、前記紡糸速度が10~40r/分であり;好ましくは、前記網状形成速度が5~30r/分であり;好ましくは、前記強化する工程が熱間圧延の方法を採用し、前記熱間圧延温度が80~170℃である、
請求項
34に記載の不織布の製造方法。
【請求項36】
請求項
20または21に記載のポリエステル組成物を含む弾性繊維であって、
好ましくは、前記弾性繊維の繊維数が、5~500dtexであり;GB/T 14337-2008規格による破断強度が、3~19cN/dtexであり;GB/T 14337-2008規格による破断点伸びが、130~620%であり;GB/T 14337-2008規格による応力緩和率が、1~12%であり;およびGB/T 14337-2008規格による永久歪み率が、1~11%である、
弾性繊維。
【請求項37】
前記ポリエステル組成物を連続してフィラメント形成させ、低温配置および延伸して弾性繊維を得る工程を含み、
好ましくは、前記フィラメント形成の方法が、溶融紡糸であり;好ましくは、前記フィラメント形成の温度が、120~270℃、好ましくは150~220℃であり;好ましくは、前記低温配置の条件として、温度が20~55℃、好ましくは25~45℃の温度であり;時間が2~120分間、好ましくは15~60分間であり;好ましくは、延伸の条件において、温度が56~110℃、好ましくは60~90℃であり;延伸比が1.2~10倍、好ましくは2~5倍である、
請求項
36に記載の弾性繊維の製造方法。
【請求項38】
以下の態様:形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ
、医療用手足固定具
、不織布および不織布物品(特に、使い捨て不織布物品、より好ましくは使い捨て医療用不織布物品)の1つ以上における、請求項1~
21のいずれか1項に定義された第1のポリエステルとしての脂肪族-芳香族コポリエステルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料の分野、特にポリエステル組成物、ポリエステル組成物の製造方法、および形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布および弾性繊維などの態様におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
形状記憶材料は、インテリジェント材料のうち特別な部類である。最初の形成後、熱刺激された形状記憶材料を、ある温度で外力によって変形する。刺激された形状記憶材料は、冷却後に変形した形状を維持することができ;再加熱後に元の形状に復元することができる。形状記憶型ポリマーは処理が容易である、軽量である、動作温度が低い、低価格などの利点を有する。そのため、形状記憶型ポリマーは、多くの高付加価値産業において、しばしば研究されている。形状記憶型ポリマーは、2種類(いわゆる、可逆型および不可逆型)に分類される。
【0003】
CN103160948Aは、架橋型形状記憶ポリマーを開示している。変形固定率は約90~98%、形状回復率は85~95%、最大変形率は通常20~400%である。このような形状記憶ポリマーの初期形状は、繰り返し再現可能なものではない。
【0004】
CN105504474Aは、形状回復率が80~95%、形状固定率が約90~98%、最大変形率が約50%である、形状記憶ポリマーを開示している。このような形状記憶ポリマーの初期形状は反復可能であるが、それらの形状回復率および形状固定率は、不可逆的形状記憶ポリマーよりも劣ることが多く、最大変形率は、はるかに悪い。
【0005】
現在、大幅に変形可能な、形状回復率と形状固定率の両方が100%に近い可逆的形状記憶型ポリマーは、市販されていない。
【0006】
積層造形技術として、3D印刷は、複雑な形状を有する製品の設計および製造に無限の可能性を提供し、近年多くの注目を集めている。現在、3D印刷技術として、主に、選択的レーザ焼結(SLS)、ステレオリソグラフィ(SLA)、溶融堆積モデリング(FDM)などが挙げられる。これらの中でも、FDMは、最も簡単で便利な3D印刷法であり、装置コストが低い。現在、FDM用の3Dプリントワイヤの市場は、未だ、比較的限られており、市場の最も重要な消耗品は、ABSおよびPLAである。異なる分野でのFDM 3D印刷技術の促進に伴い、3D印刷物品の物性および加工に対する要求もますます多くなっている。
【0007】
現在、市場の主な消耗品は硬質材料であり、一方で、軟質材料および弾性材料は依然として限られている。市場の可撓性消耗品は、主に、ポリウレタン(TPU)材料(例えば、CN104845353Aに記載されるポリウレタン(TPU)材料またはCN104004377Aに記載されるTPU複合材料など)である。CN104845353Aに記載されているTPU材料において、実施例で提示されている印刷温度は220℃以上である。CN104004377Aに記載されているTPU複合材料において、提示されている印刷温度は240~260℃である。市販のFDMポリウレタンワイヤにおいて、提示されている印刷温度は、一般的に190℃を超える(例えば190~250℃など)。
【0008】
したがって、低温で印刷可能な可撓性ワイヤの開発は、異なる機会における3D印刷の応用を拡大し、印刷の安全性を改善し、エネルギー消費を低減するなどのために、非常に重要である。
【0009】
熱収縮性スリーブの態様において、現在、市場では、熱収縮性スリーブは、照射架橋されたポリオレフィン材料から主に製造され、膨張および成形後に加熱することによって元の形状に復元することができる。
【0010】
CN1033402Aは、主成分として、エチレン-ヘキセンアセテート共重合体、水酸化マグネシウムなどを用いて架橋することにより得られる、赤リンを含まない、ハロゲンフリーの熱収縮性パイプの構築を開示している。
【0011】
加えて、特殊なニーズを満たすためのいくつかの特殊な熱収縮性パイプが存在し(例えば、化学腐食に非常に耐性のあるポリフッ化ビニリデン(PVDF)熱収縮性パイプ、高い透明性を有する光ファイバ熱収縮性パイプ、および良好な誘電特性を有するシリコーン樹脂熱収縮性パイプなど)、様々なニーズを満たしている。
【0012】
しかし、市販のこれらの製品は、すべて架橋されたポリマー材料から製造されており、廃棄後に処分するのが困難であり、特に架橋された高分子網目構造は、分解するのが困難である。
【0013】
現在、ますます深刻な環境問題の点において、大量消費を伴う一種の使い捨て製品として、熱可塑性スリーブは、生分解性処理様式に対する潜在的な需要を有する。
【0014】
CN101049729Aは、PET熱収縮性パイプの製造方法を開示しており、その主成分は、ポリエチレンテレフタレート(PET)混合ポリエステルエラストマーである。前記製造方法は、架橋することなく押出成形することができるが、PETの分解は、依然として困難である。
【0015】
CN1580092Aは、コポリエステルおよびコポリエステルを使用した熱収縮性スリーブの製造方法を開示している。使用されるポリエステルは、コモノマーとしてエチレングリコールを含む材料であり、収縮特性は良好であるが、生分解性を有してはいない。
【0016】
そのため、現在、熱収縮特性が良好であるだけでなく、分解性熱収縮性スリーブを見つけることが急務となっている。
【0017】
スポーツプロテクター市場には、現在、主にソフトプロテクターとハードプロテクターがある。市場で最も一般的なハードプロテクターの内層は、材料の点でソフトプロテクターと同じであり、固定作用を得るために、綿、スパンデックス、およびゴムの繊維で身体の一部を取り囲み、さらに、EVAまたはポリウレタン、および他の緩衝材料からなる中間層と結合している。最も外側の層は、耐衝撃性および耐引っかき性を提供するために、通常、PPまたはPEまたはABSを使用している。この種のスポーツプロテクターの利点は、比較的安価である点であり、欠点は、硬い外層の形状と保護されるべき身体の一部の形状との整合が不十分であることにより、しっかりと固定されない、移動中に落ちやすく滑りやすい、または不快な装着感があるという点である。
【0018】
スポーツプロテクターの開発において、米国のDow Corning社は、新しい特許された耐衝撃性技術-ダウコーニング活性保護システム(Dow Corning Acrive Protection System)を提案し、英国のD3O Lab社は、US0157083に記載されたD3Oを使用するスポーツ保護ヘルメットなどの特殊な衣料を開発し、スウェーデンのPOC社は、独立して装甲保護材料を開発し、米国のRogers社は、ポロンプロテクター材料を開発した。また、上述の材料は高価であり、さらに低温可塑性を有しておらず、人体装着後の個々のニーズに応じた形状に調整することができない。また、これらの材料は、高温記憶復元機能を有しておらず、傷がついた後は、外観およびその後の使用に大きな影響を及ぼす。
【0019】
さらに、スポーツプロテクターにおける歯科用シールドの役割も非常に重要である。完成した歯科用シールドの材料は、主にゴム、ポリ塩化ビニル、およびポリ酢酸ビニル-ポリエチレン共重合体である。完成した歯科用シールドは安価で、個々のニーズに応じて改変することができず、着用時に不快であり、容易に不快感を与え、運動に影響を及ぼし、徐々に放棄されてきた。現在、口腔内で成形された半完成品は、2つのカテゴリーに分けられる(一方は、硬質シェル軟質コア歯科用シールドであり、他方は、熱可塑性ポリマー材料である)。硬質シェル軟質コア歯科用シールドの場合、アクリル材料およびEVAが、軟質コアとして硬質シェル(ポリ塩化ビニル)に注入され、歯に一体的に取り付けられる。前記熱可塑性ポリマー材料は、通常、ポリ酢酸ビニル-ポリエチレン共重合体であり、熱水で加熱した後、口内で噛み合わせることによって成形される。これらの2つの形態の歯科用シールドは、ある程度の保護性能を提供することができるが、可塑性が低く、熱可塑性時間が短すぎるために、着用は十分に快適ではなく、繰り返される加熱および口腔唾液による影響のために、これらのタイプの製品の耐用年数は短い。
【0020】
熱可塑性型歯科用シールドは、US005339832Aに記載されており、該文献において、エネルギーを吸収するための弾性体が装具内に埋め込まれているが、可塑性が十分に良好ではないという欠点が依然としてある。
【0021】
加えて、子供用歯科用シールドの分野では、成長中に子供の口腔の形状が変化し続けるため、正確に成形でき、記憶機能を有する歯科用シールドが、市場で緊急に必要とされている製品である。
【0022】
医療用手足固定具の態様において、現在、市場では主に2つのカテゴリーが存在する(一方は、石膏包帯であり、他方は、ポリウレタンポリマー包帯である)。さらに、病院でわずかに使用される、比較的高価な架橋された包帯があり、それは、主に架橋されたポリカプロラクトンから製造される。
【0023】
US4376438は、ポリウレタンベースの包帯製品を提示しており、CN102397133Bのような、中国における高分子包帯に関する多くの改良された特許もある。石膏包帯に比べて、強度が高く、X線を透過でき、軽量であるという利点がある。固定させるために、すべての高分子包帯は、水と接触した際のイソシアネートプレポリマーの架橋を介した迅速な重合または硬化を利用する。その処理は、依然として、パッケージを開き、次いで、複数回圧搾するために水中へ浸漬し、続いて、影響を受けた領域を迅速に成形かつ巻き込むことを必要とする。
【0024】
さらに、石膏包帯またはポリウレタンポリマー包帯のどちらも、廃棄後にリサイクルできず、分解もされず、医療廃棄物として扱われる。
【0025】
したがって、成形が容易で、良好な固定効果を有し、取り外しが容易で、リサイクル可能な、医療用手足固定具に適した材料を見出すことが急務である。
【0026】
熱収縮性フィルムは、加熱後に、サイズを著しく減少させることができるフィルムである。包装業界では、熱収縮性フィルムが広く使用されている。一般に使用される熱収縮性フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルム、非架橋ポリエチレンインフレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、PETおよびPETGフィルムである。このようなフィルムは、一方向に大きな収縮率(75%まで)であり、他方向に非常に小さな収縮率(わずか1%)であることを達成し得る。近年、純粋な材料のフィルムに加えて、複合材料のフィルムも、熱収縮性フィルムとして大量に使用されており、主に、以下の2つのカテゴリーが挙げられる:(1)POFフィルム(一般的に、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層が共押出され、二重気泡処理によって膨らまされる);(2)多層共押出架橋ポリエチレンフィルム(multilayer co-extruded crosslinked polyethylene films)。市場で必要とされる熱収縮性フィルムが有し得る、いくつかの重要な特性として、より大きな収縮率、環境保護(例えば、リサイクル可能、燃焼時に有害でないなど)、高いヒートシール強度、良好な表面光沢などが挙げられる。現在、これら全ての特性が、同時に優れたフィルムは市販されていない。
【0027】
さらに、現在、分解性熱収縮性フィルムのための比較的完成した解決策は市場に存在しない。CN106519400Aに記載されているように、光分解剤が添加されたタイプのポリオレフィンフィルムも分解性膜のカテゴリーであると主張されているが、このような膜は完全に分解することはできず、ポリオレフィンは小さな断片にしか分解され得ない。電流分解性フィルムとしては、CN103483789Aに記載されているようなヒドロキシアルカノエートに基づくもの、およびCN103625061Bに記載されているようなポリ乳酸に基づくものが挙げられる。しかしながら、これら電流分解性フィルムの特性は、上述される一般的な熱収縮性フィルムの一般的な特性に達していないため、これらの販売促進に歯止めがかかっている。
【0028】
使い捨て繊維物品、特に使い捨て医療用繊維物品は、主に、不織布によって作られる。現在、市販されている使い捨て手術着の一般的な材料には、以下のタイプが含まれる:CN20580418Uに記載されているような、ポリプロピレン木材パルプ複合スパンレース不織布;CN20439434UおよびCN105054444Aに記載されているような、ポリプロピレン、ポリヒドロキシブチレートおよびポリ乳酸多層複合材料;CN204317582Uに記載されているような、ポリエチレンフィルムおよびSMS不織布複合材料;CN105015128Bに記載されているような、樹脂補強シートを有する不織布。1回の手術の後、使い捨て手術保護着は、医療廃棄物となる。医療廃棄物の処分は、二次汚染の原因となる。現在、市販されている材料のほとんどは、リサイクルが困難である。したがって、使い捨て医療用繊維物品をいかに便利にリサイクルするかが、差し迫った課題となっている。
【0029】
弾性繊維とは、弾性が高く、弾性率が低く、および弾性回復力が高い繊維の分類を表す、一般的な用語である。これらの弾性繊維は、大きく2つのカテゴリーに分類される。1つは、材料自体の弾性によって得られる弾性繊維(例えば、天然ゴム繊維、ポリウレタン繊維(スパンデックス)、ポリアクリレート繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエーテルエステルエラストマー(TPEE)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、およびポリオレフィン(XLA)繊維)である。このような弾性繊維の弾性は、主として材料自体によって決定される。それらの中でも、ポリアクリレート繊維、PBT繊維、およびPTT繊維は、弾性が低めで、弾性はわずかである;天然ゴム繊維は、弾性が高いが、強度が弱く、経年劣化しやすい;ポリウレタン繊維は、強度が弱い;ポリエーテルエステルエラストマー繊維は、総合的な特性に優れ、広範囲で特性の調整が可能であるが、コストが高すぎる;XLA繊維は、弾性が良好で、耐熱性が良好で、機械的強度も良好であるが、特性が比較的固定されていて、適応性が不十分である。もう一方のカテゴリーは、2つの材料の収縮率の差から生じる螺旋弾性を利用する、マルチフィラメント複合弾性繊維であり、一般的には、T400繊維である。このような繊維の弾性は、製造工程によって制御することができるが、螺旋によって引き起こされる弾性力の値は非常に低く、通常、材料自体によってもたらされる弾性よりもはるかに小さい。
【0030】
現在、市場では、低コストであって、適度な弾性および強度の両方を有し、広範囲で特性の調整が可能で、多様な製品のニーズに適応させることができる、という弾性繊維が存在しない。
【0031】
要約すると、前記の欠点を有さない、改良された形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布、および弾性繊維が引き続き必要とされている。
〔開示〕
【発明の概要】
【0032】
以上のことから、既存の形状記憶製品、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布および弾性繊維の前記の欠点を克服するため、本発明の目的は、ポリエステル組成物およびその製造方法、ならびにこれらの材料における、ポリエステル組成物の使用を提供することである。
【0033】
特に、本発明の目的は、低温可塑性および形状記憶特性に優れたポリエステル組成物を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物から製造される3Dプリントワイヤが、可撓性ワイヤであり、低温で印刷可能で、高い光沢および分解性をも有する、該ポリエステル組成物を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物から製造される熱収縮性スリーブが、熱収縮特性および断熱特性に優れ、さらに、熱収縮性スリーブが製造中に架橋を必要とせず、良好な分解性を有する、該ポリエステル組成物を提供することである。ゆえに、熱収縮性スリーブの市場が広がる。
【0036】
本発明の別の目的は、スポーツプロテクターに使用される場合、プロテクターが身体により適合し、より快適であり、さらに製造が容易であるように、異なる適用部位に応じて成形することができ;さらに、前記スポーツプロテクターが着用されるか、またはわずかに損傷される場合、温度を上昇させながら柔らかくし、低温で再成形することで、再び元の外観に復元することができる、ポリエステル組成物を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物の硬度が、時間および温度によって変化する、特に、比較的高い温度で比較的低い硬度を有し、冷却後、比較的短時間で硬度が明らかに増加し、良好な可塑性および固定性を示す、該ポリエステル組成物を提供することである。ゆえに、前記ポリエステル組成物は、医療用手足固定具を製造するのに特に適している。
【0038】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物から製造される熱収縮性フィルムが、比較的高い熱収縮率を有するだけでなく、異なるニーズを満たすように、より広い範囲内で熱収縮率を変化させることができる、該ポリエステル組成物を提供することである。さらに、熱収縮性フィルムは、適切なヒートシール強度を有し、良好な光沢を有する平坦な表面を有し、分解可能であり、繰り返し熱可塑的に処理およびリサイクルが可能である。
【0039】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物から製造される不織布は、良好な吸水性、ガス透過性を有し、かつ滅菌が容易である、該ポリエステル組成物を提供することである。特に、前記不織布は、熱水(例えば、100℃)中で消毒され得、大幅に収縮する。そのため、前記不織布は、容易に圧縮し、体積を小さくすることができる。これは、材料(特に、使い捨て材料)を復元および再生するのに好都合である。さらに、新たに製造された不織布は、初めに使用された不織布の特性と同様の特性を有し、使い捨て不織布物品(特に、使い捨て医療用繊維物品)の出発物質として機能し続けることに適している。
【0040】
本発明の別の目的は、ポリエステル組成物から製造される弾性繊維が、適度な弾性および強度の両方を有し、ならびに広範囲で特性の調整が可能である、該ポリエステル組成物を提供することである。
【0041】
本発明によれば、前記目的は、特定の脂肪族-芳香族コポリエステルを含むポリエステル組成物によって達成される。
【0042】
具体的には、本発明は、以下の態様を提供する。
【0043】
第1の態様において、本発明は、
(1)式(I)によって表される繰り返しユニットAおよび式(II)によって表される繰り返しユニットBを含んでいる共重合体である複数の脂肪族-芳香族コポリエステル
【0044】
【0045】
(ここで、前記脂肪族-芳香族共重合体中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル量に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は51~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は5~49モル%であり、好ましくは、前記繰り返しユニットAの含有量は55~80モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は20~45モル%であり;mは、2~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~4の整数であり;nは、2~8、好ましくは2~4の整数であり;pは、2~10、好ましくは2~4の整数であり;m、nおよびpは、同じであるか、または互いに異なる)
から選択される1つ以上である第1のポリエステルを、前記第1のポリエステルおよび第2のポリエステルの総重量に対して、50~100重量%、好ましくは51~99重量%の量で;
(2)任意に、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、および前記第1のポリエステルと異なる脂肪族-芳香族コポリエステルから選択される1つ以上である第2のポリエステルを、前記第1のポリエステルおよび第2のポリエステルの総重量に対して、50重量%以下、好ましくは1~49重量%の量で
含み、
少なくとも2つのポリエステルを含む、
ポリエステル組成物を提供する。
【0046】
好ましくは、前記第2のポリエステルとしての前記脂肪族ポリエステルが、式(I''')で表される繰り返しユニットDを含む:
【0047】
【0048】
(ここで、m3は、上述のmに対する定義と同じであり、n3は、上述のnに対する定義と同じであり、m3およびn3は同じであるか、または互いに異なり、前記脂肪族ポリエステルのゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される重量平均分子量が50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である)。
【0049】
好ましくは、前記第2のポリエステルとしての前記芳香族ポリエステルが、式(II)で表される前記繰り返しユニットBからなる。
【0050】
好ましくは、前記第2のポリエステルとしての、前記第1のポリエステルと異なる前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、前記式(I)で表される繰り返しユニットAと、前記式(II)で表される繰り返しユニットBと、を含む共重合体である。
【0051】
好ましくは、式(I)で表される前記繰り返しユニットAおよび式(II)で表される前記繰り返しユニットBを含む、前記第1のポリエステルまたは前記第2のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、GPCによって測定されるときに50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000の重量平均分子量を有しており、好ましくは分子量分布が、GPCによって測定されるときに1.2~3である。
【0052】
前記第1のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであってもよく;前記第2のポリエステルとしての前記脂肪族-芳香族コポリエステルが、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0053】
本発明のポリエステル組成物が、核剤と、繊維充填材と、組成物融解物の凝固を促進し、組成物の機械的強度を調節し、組成物の色および光沢を調節し、かつ組成物の難燃性および耐酸化性を改善する作用を有する補助充填材と、エルシルアミドおよび/またはホワイト油と、からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0054】
例えば、前記補助充填材が、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、無機中空微小球、金属粉末、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸エステルまたは塩、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、高分岐ポリアミド、エチレン-メタクリル酸イオノマー、エチレンビスステアラミド、シリコーン粉末、およびペンタエリスリトールステアレートからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ;好ましくは、炭酸カルシウム、無水硫酸カルシウム、銅粉末、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)リン酸、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、エチレンビスステアラミドおよびエルシルアミドからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つであってもよく、好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量が、0.1~60重量%、好ましくは0.1~50重量%、より好ましくは1~25重量%、より好ましくは1~20重量%、さらにより好ましくは2~10重量%である。
【0055】
例えば、前記核剤が、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料、カオリン、金属カルボン酸塩、金属リン酸塩、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される1つ以上;好ましくは、前記核剤が、炭酸カルシウム、低密度ポリエチレン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、および高分岐ポリアミドからなる群から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記核剤の含有量が、0.01~20重量%、好ましくは0.2~5重量%である。
【0056】
例えば、前記繊維充填材が、炭素繊維、ガラス繊維、バソールト繊維、アラミド繊維、およびPET繊維からなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、前記繊維充填材が、ガラス繊維、炭素繊維、およびバソールト繊維からなる群から選択される1つ以上であってもよく、好ましくは、前記繊維充填材の長さが、0.1~10mm、好ましくは0.5~2mmである。
【0057】
第一の好ましい実施形態において、本発明に係る前記ポリエステル組成物が、
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAと式(II-1)で表される繰り返しユニットBと、を含む共重合体であるポリエステルA、
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCと式(II-1)で表される繰り返しユニットBと、を含む共重合体であるポリエステルB、
(3)脂肪族ポリエステル
を含み
【0058】
【0059】
(ここで、m1およびm2は、互いに独立して、上述のmに対する定義と同じであり、n1およびn2は、互いに独立して、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり、n1は、n2未満である);
前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルの総モル数に対して、前記繰り返しユニットBの含有量が、5~49モル%、好ましくは10~45モル%、より好ましくは20~40モル%である。
【0060】
好ましくは、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAと前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量が、51~90モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量が、10~49モル%であり;前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCと前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量が、40~95モル%、好ましくは50~90モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量が、5~60モル%、好ましくは10~50モル%である。
【0061】
好ましくは、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルのモル比が、20~90:1~90:1~20、好ましくは20~90:1~70:1~20である。
【0062】
第2の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I-1)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0063】
【0064】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり、a1は、上述のpに対する定義と同じであり、a1およびm1は、同じであるか、または互いに異なる)
を含む共重合体である、51~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I’)で表される繰り返しユニットCおよび式(IV’)で表される繰り返しユニットD
【0065】
【0066】
を含む共重合体である、1~48重量%のポリエステルB;
(3)式(I'')で表される繰り返しユニットEおよび式(IV'')で表される繰り返しユニットF
【0067】
【0068】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり、a2は、上述のpに対する定義と同じであり、a2およびm2は、同じであるか、または互いに異なる)
を含む共重合体である、1~48重量%のポリエステルC
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は56~80モル%、好ましくは60~75モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は20~44モル%、好ましくは25~40モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットDの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは85~95モル%であり、前記繰り返しユニットDの含有量は、1~19モル%、好ましくは5~15モル%であり、
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットEおよび前記繰り返しユニットFの総モル数に対して、前記繰り返しユニットEの含有量は、0~55モル%、好ましくは15~50モル%、前記繰り返しユニットFの含有量は、45~100モル%、好ましくは50~85モル%である。
【0069】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、70~94重量%の前記ポリエステルA、3~25重量%の前記ポリエステルB、および3~20重量%の前記ポリエステルCを含む。
【0070】
第3の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0071】
【0072】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または異なり;好ましくは、m1は2~4の整数であり、n1は2~4の整数、好ましくは2である)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0073】
【0074】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数、好ましくは2である)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~70モル%、好ましくは55~68モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、30~49モル%、好ましくは32~45モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、1~50モル%、好ましくは20~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、50~99モル%、好ましくは55~80モル%である。
【0075】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、80~95重量%の前記ポリエステルA、および5~20重量%の前記ポリエステルBを含む。
【0076】
第4の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0077】
【0078】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数、好ましくは4である)
を含む共重合体である、50~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0079】
【0080】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、互いに同じであるか、または異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数、好ましくは2である)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB;
(3)1~49重量%の繊維充填材
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、55~79モル%、好ましくは60~77モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は21~45モル%、好ましくは23~40モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、繰り返しユニットCの含有量は、80~100モル%、好ましくは85~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、0~20モル%、好ましくは5~15モル%である。
【0081】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、60~90重量%の前記ポリエステルA、5~30重量%の前記ポリエステルB、および5~30重量%の前記繊維充填材を含む。
【0082】
第5の実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0083】
【0084】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、互いに同じであるか、または異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数、好ましくは、n1は2である)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0085】
【0086】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、互いに同じであるか、または異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数であり、好ましくは、n2は2である)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、60~80モル%、好ましくは62~78モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~40モル%、好ましくは22~38モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~59モル%、好ましくは30~55モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、41~80モル%、好ましくは45~70モル%である。
【0087】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、70~90重量%の前記ポリエステルA、および10~30重量%の前記ポリエステルBを含む。
【0088】
第6の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0089】
【0090】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数であり、好ましくは、n1は2である)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0091】
【0092】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m2は2~4の整数であり、n2は2~4の整数であり、好ましくは、n2は2である)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、60~80モル%、好ましくは62~72モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~40モル%、好ましくは28~38モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは85~97モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、1~19モル%、好ましくは3~15モル%である。
【0093】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、60~90重量%の前記ポリエステルA、および10~40重量%の前記ポリエステルBを含む。
【0094】
第7の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0095】
【0096】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は、2~4の整数であり、好ましくは、n1は2である)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0097】
【0098】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数であり、好ましくは、n2は2である)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、75~95モル%、好ましくは81~95モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~25モル%、好ましくは5~19モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~74モル%、好ましくは40~70モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、26~80モル%、好ましくは30~60モル%である。
【0099】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、55~70重量%の前記ポリエステルA、および30~45重量%の前記ポリエステルBを含む。
【0100】
第8の好ましい実施形態において、本発明に係るポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に基づいて以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0101】
【0102】
(ここで、m1は、上述のmに対する定義と同じであり、n1は、上述のnに対する定義と同じであり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m1は、2~8の整数であり、n1は、2~6の整数であり、より好ましくは、m1は、2~4の整数であり、n1は2~4の整数である)
を含む共重合体である、30~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0103】
【0104】
(ここで、m2は、上述のmに対する定義と同じであり、n2は、上述のnに対する定義と同じであり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m2は、2~4の整数であり、n2は、2~4の整数である)
を含む共重合体である、1~69重量%のポリエステルB;
(3)式(I''')で表される繰り返しユニットDおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0105】
【0106】
(ここで、m3は、上述のmに対する定義と同じであり、n3は、上述のnに対する定義と同じであり、m3およびn3は、同じであるか、または互いに異なり;好ましくは、m3は、2~8の整数であり、n3は、2~6の整数であり、より好ましくは、m3は、2~4の整数であり、n3は2~4の整数である)
を含む共重合体である、1~69重量%のポリエステルC
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAと前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~80モル%、好ましくは60~75モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~49モル%、好ましくは25~40モル%であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは83~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、1~19モル%、好ましくは5~17モル%であり、
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットDおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットDの含有量は、0~49モル%、好ましくは15~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、51~100モル%、好ましくは55~85モル%である。
【0107】
好ましくは、前記ポリエステル組成物が、60~93重量%の前記ポリエステルA、5~38重量%の前記ポリエステルB、および1~20重量%の前記ポリエステルCを含む。
【0108】
別の一態様において、本発明は、本発明に係るポリエステル混合物の製造方法を提供する。前記製造方法は第1のポリエステルおよび第2のポリエステルを含む全ての成分を混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化してポリエステル組成物を得る工程を含み、好ましくは、混合する工程中に、相溶化剤を添加しない。
【0109】
好ましくは、前記混合する工程が攪拌下で行われる。
【0110】
好ましくは、前記押出してペレット化は、二軸押出機中で行われ、好ましくは80~270℃、好ましくは110~220℃で、スクリューの回転速度10~70rpm、トルク2~80N・mで行われる。
【0111】
別の一態様において、本発明は、以下の態様の1つ以上における、本発明のポリエステル組成物の使用を提供する:形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層(例えば、スポーツプロテクターのための機能層)、スポーツプロテクター(例えば、歯科プロテクター、肢関節プロテクター、身体および頭部プロテクターのための大面積プロテクター)、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布および不織布物品(特に、使い捨て不織布物品、より好ましくは使い捨て医療用不織布物品)。
【0112】
別の一態様において、本発明は、上述の第1の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む、形状記憶材料を提供する。
【0113】
別の一態様において、本発明は、上述の第2の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む、3Dプリントワイヤを提供する。好ましくは、前記3Dプリントワイヤは、0.1~10mm、好ましくは1~4mmの直径を有する。
【0114】
別の一態様において、本発明は、ポリエステル組成物を連続的に押出し、冷却して3Dプリントワイヤを得る工程を含み;好ましくは、押出温度は90~260℃であり、冷却温度は0~60℃である、本発明に記載の3Dプリントワイヤの製造方法を提供する。
【0115】
別の一態様において、本発明は、上述の第3の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む、熱収縮性スリーブを提供する。
【0116】
別の一態様において、本発明は、ポリエステル組成物を連続的に押出し、延伸し、冷却し、形成して熱収縮性スリーブを得る工程を含み;好ましくは押出温度が90~240℃、好ましくは120~180℃であり、冷却温度が0~60℃、好ましくは20~40℃である、本発明に記載の熱収縮性スリーブの製造方法を提供する。
【0117】
好ましくは、前記方法が、冷却されたパイプを、連続して、加熱、直径拡張、二次冷却、および形成する工程をさらに含み、好ましくは前記加熱温度が65~120℃、好ましくは70~90℃であり;好ましくは前記直径拡張の拡張率が元のサイズの1.5~5倍、好ましくは3~5倍であり;好ましくは前記二次冷却の温度が0~60℃、好ましくは20~40℃である。
【0118】
別の一態様において、本発明は、上述の第4の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む機能層、好ましくはスポーツプロテクター用の機能層を提供する。
【0119】
別の一態様において、本発明は、ポリエステル組成物を成形する工程を含み、前記成形する工程は、好ましくは押出成形または射出成形であり;好ましくは、前記射出成形の温度が140~270℃、好ましくは170~185℃である、本発明に係る機能層の製造方法を提供する。
【0120】
別の一態様において、本発明は、上述の第5の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含み;好ましくは医療用手足固定具の厚さが、0.2~10mm、好ましくは1~3mmであって、好ましくは医療用手足固定具が、細孔構造を有している、および/または有しておらず、好ましくは細孔構造を有し、より好ましくは前記細孔構造がの細孔サイズが、1~10mm、好ましくは1~5mmである、医療用手足固定具を提供する。
【0121】
別の一態様において、本発明は、ポリエステル組成物を連続的に押出し、成形し、任意に穴抜きして医療用手足固定具を得る工程を含み;好ましくは、前記押出し温度は、90~230℃、好ましくは110~170℃であり、好ましくは、前記成形は、射出成形および/または圧縮成形であり;好ましくは、前記成形する工程によって、医療用手足固定具の厚さが0.2~10mm、好ましくは1~3mmであり;好ましくは、前記穴抜き工程に使用されるパンチャーの直径が、1~10mm、好ましくは1~5mmである、本発明に係る医療用手足固定具の製造方法を提供する。
【0122】
別の一態様において、本発明は、上述の第6の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む熱収縮性フィルムを提供する。
【0123】
別の一態様において、本発明は、鋳造、放置および延伸する工程によって前記ポリエステル組成物を連続してフィルム形成させて熱収縮性フィルムを得る工程を含み;好ましくは、前記フィルム形成の温度が、80~220℃、好ましくは110~180℃であり;好ましくは、前記放置時間が、30分間~20日間、好ましくは4~24時間であり;好ましくは、前記延伸する工程が、単軸延伸または二軸延伸であり;好ましくは、前記延伸温度が、40~150℃、好ましくは60~120℃である、本発明に係る熱収縮性フィルムの製造方法を提供する。
【0124】
別の一態様において、本発明は、上述の第7の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む不織布を提供する。
【0125】
別の一態様において、本発明は、スパンボンディング方法によりポリエステル組成物から不織布を製造する工程を含み;好ましくは、前記スパンボンディング方法が、押出工程、紡糸する工程、網状形成する工程、および強化する工程を含み;好ましくは、前記押出工程が、3つの温度帯を備え、ここで、前記第1の温度帯の温度が140~250℃、前記第2の温度帯の温度が150~260℃、前記第3の温度帯の温度が170~260℃であり;好ましくは、前記紡糸温度が150~240℃、前記紡糸速度が10~40r/分であり;好ましくは、前記網状形成速度が5~30r/分であり;好ましくは、前記強化する工程が熱間圧延の方法を採用し、前記熱間圧延温度が80~170℃である、本発明に係る不織布の製造方法を提供する。
【0126】
別の一態様において、本発明は、上述の第8の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含み;好ましくは、前記弾性繊維の繊維数が、5~500dtexであり;破断強度が、3~19cN/dtexであり;破断点伸びが、130~620%であり;応力緩和率が、1~12%であり;および永久歪み率が、1~11%である、上述の第8の好ましい実施形態に係るポリエステル組成物を含む弾性繊維を提供する。
【0127】
別の一態様において、本発明は、ポリエステル組成物を連続してフィラメント形成させる工程、低温配置および延伸する工程を含み、前記弾性繊維を得;好ましくは、前記フィラメント形成の方法が、溶融紡糸であり;好ましくは、前記フィラメント形成の温度が、120~270℃、好ましくは150~220℃であり;好ましくは、前記低温配置の条件として、温度が20~55℃、好ましくは25~45℃の温度であり;時間が2~120分間、好ましくは15~60分間であり;好ましくは、延伸の条件において、温度が56~110℃、好ましくは60~90℃であり;延伸比が1.2~10倍、好ましくは2~5倍である、本発明に係る弾性繊維の製造方法を提供する。
【0128】
別の一態様において、本発明は、以下の態様の1つ以上における、上述の前記第1のポリエステルとしての脂肪族-芳香族コポリエステルの使用もまた、提供する:形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層(例えば、スポーツプロテクターのための機能層)、スポーツプロテクター(例えば、歯科プロテクター、肢関節プロテクター、身体および頭部プロテクターのための大面積プロテクター)、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布および不織布物品(特に、使い捨て不織布物品、より好ましくは使い捨て医療用不織布物品)。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1】
図1は、本発明に係る実施例IV-10で得られた完成した歯科用プロテクターの断面図である(ここで、1は口腔上顎装具であり、2は口腔下顎装具である)。
【
図2】
図2は、本発明に係る実施例IV-10で得られた完成した歯科用プロテクターの側面立体図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る実施例IV-11で得られた完成した膝パッドの側面立体図である(ここで、1は膝パッドの内層であり、2は膝パッドの中間層であり、3は膝パッドの外層であり、4は膝パッドの外層の表面上の突出部分である)。
【
図4】
図4は、本発明に係る実施例IV-11で得られた完成した膝パッドの正面立体図である(ここで、1は膝パッドの内層であり、2は膝パッドの中間層であり、3は膝パッドの外層であり、4は膝パッドの外層の表面上の突出部分である)。
【
図5】
図5は、本発明に係る実施例IV-12で得られた完成した上半身プロテクターの正面立体図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る実施例IV-12で得られた完成した上半身プロテクターの断面図である(ここで、1は上半身プロテクターの内層であり、2は上半身プロテクターの中間層であり、3は上半身プロテクターの外層である)。
【
図7】
図7は、本発明に係る実施例IV-13で得られた完成したヘルメットの側面立体図である(ここで、1はヘルメットの外層であり、2はヘルメットの中間層であり、3はヘルメットの内層であり、4はバックルである)。
【
図8】
図8および
図9は、本発明に係る医療用手足固定具の一例を示す図である。
【
図9】
図8および
図9は、本発明に係る医療用手足固定具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
〔発明の詳細な説明〕
本発明のポリエステル組成物は、形状記憶材料、3Dプリントワイヤ、熱収縮性スリーブ、機能層、医療用手足固定具、熱収縮性フィルム、不織布、弾性繊維、および他の態様に使用することができる。本発明のポリエステル組成物は、異なる用途について以下に記載される。
【0131】
[形状記憶材料]
本発明はポリエステル組成物を提供する。前記ポリエステル組成物は、
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAと式(II-1)で表される繰り返しユニットBと、を含む共重合体であるポリエステルA、
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCと式(II-1)で表される繰り返しユニットBと、を含む共重合体であるポリエステルB、
(3)脂肪族ポリエステル
を含み
【0132】
【0133】
(ここで、m1は、2~10の整数であり、n1は、2~8の整数であり、m1およびn1は同じであるか、または異なり;m2は2~10の整数であり、n2は、2~8の整数であり、m2およびn2は、同じであるか、または異なる);
前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000であり、
前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000であり;
さらに、n1は、n2未満であり;
前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび脂肪族ポリエステルの総モル数に対して、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~49モル%である。
【0134】
好ましくは、m1は、2~6の整数であり、n1は、2~4の整数であり、m1およびn1は、同じであるか、または異なり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、100,000~500,000であり、m2は、2~6の整数であり、n2は、2~4の整数であり、m2およびn2は、同じであるか、または異なり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、100,000~500,000であり、さらに、n1は、n2未満であり、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルの総モル数に対して、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~49モル%、好ましくは10~45モル%、より好ましくは20~40モル%、より好ましくは25~40モル%、または35~45モル%である。
【0135】
本発明において、前記重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定される。
【0136】
本発明において、前記ポリエステルAは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明におけるポリエステルAの供給源は、特に限定されない。ポリエステルAは、当技術分野における従来の方法によって得ることができる。例えば、商業的に得ることができ、またはCN100429256Cに開示される工程によって製造することができる。具体的には、ポリエステルAの製造方法は、以下のステップを含む:1,4-ブタンジオール、安息香酸ジメチルおよびUS11312373に記載の触媒を反応器に添加し、透明な溶液が得られるまで窒素雰囲気下で加熱および攪拌し;その後、反応のために温度を160~220℃に上げ;系中の蒸留メタノールの大部分を除去する際にコハク酸を添加し、温度を180~240℃に上げ;蒸留によって水分の大部分を除去し、次いでゆっくりと減圧環境を作り、系の温度を220~280℃に上げ;3~6時間後に反応を完了させ、生成物を得る。
【0137】
本発明において、前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明におけるポリエステルBの供給源は、特に限定されない。ポリエステルBは、当技術分野における従来の手段によって得ることができる。例えば、商業的に得ることができ、またはCN100429256Cに開示されている方法によって製造することができる。具体的には、ポリエステルBの製造方法は、以下のステップを含む:1,4-ブタンジオール、安息香酸ジメチルおよびUS11312373に記載の触媒を反応器に添加し、透明な溶液が得られるまで窒素雰囲気下で加熱および攪拌し;その後、反応のために温度を160~220℃に上げ;系中の蒸留メタノールの大部分を除去する際にアジピン酸を添加し、温度を180~240℃に上げ;蒸留によって水分の大部分を除去し、次いでゆっくりと減圧環境を作り、系の温度を220~280℃に上げ;3~6時間後に反応を完了させ、生成物を得る。
【0138】
本発明によれば、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、40~95モル%、好ましくは45~90モル%、より好ましくは45~70モル%であってもよく、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~60モル%、好ましくは10~55モル%、より好ましくは30~55モル%であってもよく;
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、40~95モル%、好ましくは50~90モル%、より好ましくは50~80モル%であってもよく、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~60モル%、好ましくは10~50モル%、より好ましくは20~50モル%であってもよい。
【0139】
本発明によれば、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルのモル比は、20~90:1~90:1~20、好ましくは20~90:1~70:1~20であってよい。
【0140】
本発明において、前記脂肪族ポリエステルの種類および供給源は、特に限定されず、当該技術分野において従来から用いられている脂肪族ポリエステルであってもよい。
【0141】
好ましくは、前記脂肪族ポリエステルは、式(I''')で表される前記繰り返しユニットDを含む:
【0142】
【0143】
(ここで、m3は、2~10の整数であり、n3は、2~8の整数であり、m3およびn3は、同じであるか、または異なり、前記脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、50,000~900,000であり;より好ましくは、m3は、2~6の整数であり、n3は、2~4の整数であり、m3およびn3は、同じであるか、または異なり、前記脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、100,000~500,000である)。
【0144】
本発明において、前記脂肪族ポリエステルは、従来の方法によって得ることができる。例えば、商業的に入手することができ(例えば、BASF社から購入、製品名「1111HTA4」)、またはCN104039865Bに開示されている方法に従って製造することができる。ここで、目的生成物の組成および分子量に応じて、反応のための出発物質の種類を適宜調整することができ、供給量および供給比率を調整することにより、生成物の分子量および生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0145】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、成核剤をさらに含んでいてもよく;前記成核剤の含有量は、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、0.01~20重量%、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは1~5重量%であってもよい。
【0146】
本発明によれば、前記成核剤は、当該技術分野における従来から選択されるものであってもよい。前記成核剤は、タルク、酸化カルシウム、カーボンブラック、炭酸カルシウム、無機顔料(Guangzhou Yingyi Plastic Pigment株式会社から購入した黄色または緑色顔料など)、カオリン、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、1つ以上;好ましくは、炭酸カルシウム、低密度ポリエチレン、ジベンジルソルビトールおよびそれらの誘導体、ならびに高分岐ポリアミドからなる群から選択される1つ以上;より好ましくは炭酸カルシウムおよび/または低密度ポリエチレンであってもよい。
【0147】
本発明において、前記ポリエステル組成物は、他の添加剤(エルシルアミドおよび/またはホワイト油など)をさらに含んでいてもよい。
【0148】
本発明はさらに、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記脂肪族ポリエステルを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出ペレット化して、ポリエステル組成物を得ることを含む、ポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0149】
本発明において、前記方法は、前記成核剤および任意に他の添加剤の存在下で、前記ポリエステルA、前記ポリエステルB、前記脂肪族ポリエステルおよび前記成核剤を混合する工程を実施することをさらに含んでもよい。ここで、前記他の添加剤は、エルシルアミドおよび/またはホワイト油であってもよい。
【0150】
本発明によれば、前記混合する工程を攪拌下で実施することができ、攪拌速度は6~60rpm、攪拌時間は2~30分間とすることができる。
【0151】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、従来の押出してペレット化する方法に従って実施することができる。例えば、押出してペレット化する工程は、二軸押出機中で行うことができ、好ましくは前記押出してペレット化する条件は、温度160~220℃、スクリューの回転速度10~70rpm、トルク2~80N・mであり;より好ましくは、二軸スクリュー押出機が6つの温度帯を含み、供給入口から押出し出口まで、各温度帯の温度は、連続して160~190℃、170~200℃、180~210℃、180~220℃、180~220℃、170~210℃である。
【0152】
本発明はさらに、形状記憶材料における前記ポリエステル組成物の使用を提供する。
【0153】
本発明は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を共重合および混合改変することにより、形状記憶材料としての利用に適したポリエステル組成物を得る。前記ポリエステル組成物を形状記憶材料に用いる場合、前記形状記憶材料の変形固定率および形状回復率は、いずれも92%以上で100%に近く、最大変形率は400%以上と高い。加えて、前記形状記憶材料の初期成形温度および開始温度の両方を調節することができる。これは、日常生活で、前記形状記憶材料を応用するためにより好ましい。
【0154】
[3D印刷材料]
本発明は、ポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I-1)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0155】
【0156】
(ここで、m1は、2~10の整数、好ましくは2~4の整数であり、n1は、2~8の整数、好ましくは2~4の整数であり、m1およびn1は、同じであるか、または互いに異なり;a1は、2~10の整数、好ましくは2~4の整数であり、a1およびm1は、同じであるか、または互いに異なる)
を含む共重合体である、51~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I’)で表される繰り返しユニットCおよび式(IV’)で表される繰り返しユニットD
【0157】
【0158】
を含む共重合体である、1~48重量%のポリエステルB;
(3)式(I'')で表される繰り返しユニットEおよび式(IV'')で表される繰り返しユニットF
【0159】
【0160】
(ここで、m2は、2~10の整数、好ましくは2~4の整数であり、n2は、2~8の整数、好ましくは2~4の整数であり、m2およびn2は、同じであるか、または互いに異なり;a2は、2~10の整数、好ましくは2~4の整数であり、a2およびm2は、同じであるか、または互いに異なる)
を含む共重合体である、1~48重量%のポリエステルC
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は56~80モル%、好ましくは60~75モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は20~44モル%、好ましくは25~40モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットDの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは85~95モル%であり、前記繰り返しユニットDの含有量は、1~19モル%、好ましくは5~15モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットEおよび前記繰り返しユニットFの総モル数に対して、前記繰り返しユニットEの含有量は、0~55モル%、好ましくは15~50モル%、前記繰り返しユニットFの含有量は、45~100モル%、好ましくは50~85モル%であり、前記ポリエステルCの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である、
ポリエステル組成物を提供する。
【0161】
本発明において、m1およびm2は、同じであっても異なっていてもよく、n1およびn2は、同じであっても異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、n1およびn2もまた同じである場合、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットDの含有量は、前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットFの含有量とは異なる。
【0162】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを70~94重量%、ポリエステルBを3~25重量%、および前記ポリエステルCを3~20重量%含む。
【0163】
本発明において、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCの供給源は、特に限定されない。前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCは、当該技術分野における従来の手段によって得ることができる。これらは、商業的に得ることができ、またはCN100429256Cの実施例B13~B21に開示されている方法によって製造することができる。具体的には、ポリエステルAの製造方法は、以下のステップを含んでいてもよい:
本発明の好ましい実施形態において、m1が4である場合、ポリエステルAの製造方法は、以下の工程を含む:
(S1)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、ブタンジオールをモノマーA’と反応させるステップ;
(S2)第2の触媒の存在下で、ステップ(S1)で得られた反応生成物をコハク酸と反応させるステップ;
ここで、A’は、テレフタル酸および/またはそのエステルであり、好ましくは、テレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される、少なくとも1つであり;前記第1の触媒および前記第2の触媒は、上述の通りであり、本明細書ではさらに説明しない。
【0164】
本発明においては、ステップ(S1)において、モノマーA’と第1触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0165】
好ましくは、前記第1の触媒の量と前記第2の触媒の量のモル比は、1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0166】
本発明において、目的生成物の組成や分子量に応じて、各種反応性モノマーの種類を適宜調整することができ、供給量や供給比率を調整することにより、生成物の分子量や生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0167】
本発明においては、ステップ(S1)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(S2)において、反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0168】
好ましくは、ポリエステルBの製造方法は、以下の工程を含む:
(1)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、モノマーAをモノマーBと反応させるステップ;
(2)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、モノマーCをモノマーDと反応させるステップ;
(3)第2の触媒の存在下で、ステップ(1)で得られた反応生成物を、工程(2)で得られた反応生成物と反応させるステップ;
ここで、前記モノマーAは、C2~C8ジオール(特に直鎖状飽和ジオール)であり;前記モノマーBは、テレフタル酸および/またはそのエステルであり、好ましくはテレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される、少なくとも1つであり;前記モノマーCは、C2~C10ジオール(特に直鎖状飽和ジオール)であり;前記モノマーDは、C4~C10二塩基酸(特に直鎖状飽和二塩基酸)であり;前記第1の触媒は、テトラブチルチタネート、二酸化チタン、ジエトキシチタンおよび酢酸亜鉛からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくはテトラブチルチタネートであり;前記第2の触媒は、ランタンアセチルアセトネート、三塩化ランタン、トリフェノキシランタンおよびランタンプロピオネートからなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくはランタンアセチルアセトネートである。
【0169】
本発明においては、ステップ(1)において、前記モノマーBと前記第1の触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0170】
本発明においては、ステップ(2)において、前記モノマーDと前記第1の触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0171】
好ましくは、前記第1の触媒の総量(ステップ(1)における第1の触媒の量とステップ(2)における第1の触媒の量との合計)と、前記第2の触媒の量とのモル比は、1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0172】
本発明において、目的生成物の組成や分子量に応じて、各種反応性モノマーの種類を適宜調整することができ、供給量や供給比率を調整することにより、生成物の分子量や生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0173】
本発明においては、ステップ(1)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(2)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(3)において、反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0174】
本発明によれば、前記のポリエステルBの製造方法に従って、前記ポリエステルCを製造することもできる。ここで、ポリエステルCを得るために、目的生成物の組成および分子量に応じて、種々の反応性モノマーの種類を適宜調節することができ、供給量および供給比率を調節することにより、生成物の分子量および生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0175】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含んでいてもよく;好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量は0.1~50重量%、好ましくは1~25重量%である。
【0176】
本発明によれば、前記補助充填材は、組成物の溶融物の凝固を促進する機能、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の難燃性および耐酸化性を改善する機能、および組成物の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来選択されるものであり得る。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸エステルまたは塩、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミド、エチレン-メタクリル酸イオノマー、エチレンビステアラミド、シリコーン粉末およびペンタエリスリトールステアレートからなる群から選択される、少なくとも1つであり、好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、低密度ポリエチレン、高分岐ポリアミド、エチレンビステアラミドおよびエルシルアミドからなる群から選択される、少なくとも1つである。
【0177】
本発明はさらに、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0178】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0179】
本発明によれば、混合する工程は、攪拌下で実施することができる。本発明における攪拌条件は、出発物質を均一に混合することができれば特に限定されない。好ましくは、攪拌速度は20~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0180】
本発明によれば、押出してペレット化する工程は、従来の押出してペレット化する方法に従って実施することができる。例えば、押出してペレット化する工程は、スクリュー押出機中で行うことができる。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は90~260℃、好ましくは110~180℃である。
【0181】
本発明はまた、上述のポリエステル組成物を含む3Dプリントワイヤを提供する。すなわち、前記3Dプリントワイヤは、上述のポリエステル組成物から製造される。
【0182】
本発明によれば、3Dプリントワイヤの直径は、0.1~10mm、好ましくは1~4mmであってもよい。
【0183】
本発明はまた、ポリエステル組成物を連続的に押出し、冷却して3Dプリントワイヤを得る工程を含む、3Dプリントワイヤの製造方法を提供する。ここで、前記ポリエステル組成物は、上述のポリエステル組成物である。
【0184】
本発明によれば、前記押出する工程は、従来の押出方法を用いて実施することができる。例えば、前記押出する工程は、スクリュー押出機中で実施することができる。好ましくは前記押出する工程が、3Dプリントワイヤを得るために、丸孔ダイを有する押出機中で実施され、より好ましくは、得られる3Dプリントワイヤの直径が、0.1~10mm、好ましくは1~4mmである。
【0185】
本発明の3Dプリントワイヤの製造方法において、押出温度は90~260℃である。好ましくは、冷却温度は0~60℃である。
【0186】
本発明は、特定のポリエステルA、ポリエステルBおよびポリエステルCを、特定の比率(ポリエステルAを51~98重量%、ポリエステルBを1~48重量%、ポリエステルCを1~48重量%)でブレンドすることによって、ポリエステル組成物を得、該ポリエステル組成物から作られる3Dプリントワイヤは、比較的高い光沢を有し、比較的低い温度(105~165℃)で印刷することができる。同時に、前記3Dプリントワイヤは可撓性ワイヤ(35~50のショアD硬度)として使用することができ、分解可能であり、環境に優しいという利点を有し、かつ応用力に優れるという見込みがある。
【0187】
[熱収縮性パイプ]
本発明は、ポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0188】
【0189】
(ここで、m1は2~4の整数であり;n1は2~4の整数、好ましくは2であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0190】
【0191】
(ここで、m2は、2~4の整数であり;n2は、2~4の整数、好ましくは2であり;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~70モル%、好ましくは55~68モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、30~49モル%、好ましくは32~45モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、1~50モル%、好ましくは20~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、50~99モル%、好ましくは55~80モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である、
ポリエステル組成物を提供する。
【0192】
本発明において、m1およびm2は、同じであるか、または異なっていてもよく、n1とn2は、同じであるか、または異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、n1およびn2も同じである場合、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量とは異なる。
【0193】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを80~95重量%、および前記ポリエステルBを5~20重量%含む。
【0194】
本発明において、前記重合体の構成は、出発物質の供給量によって決定される。
【0195】
本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBの供給源は、特に限定されない。前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、当技術分野における従来の方法によって得ることができる。これらは、商業的に得ることができ、またはCN100429256Cの実施例B13~B21に開示されている方法によって製造することができる。具体的には、前記ポリエステルAの製造方法は以下のステップを含んでいてもよい:
(1)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、モノマーAをモノマーBと反応させるステップ;
(2)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、モノマーCをモノマーDと反応させるステップ;
(3)第2の触媒の存在下で、ステップ(1)で得られた反応生成物を、工程(2)で得られた反応生成物と反応させるステップ;
ここで、前記モノマーAは、ブタンジオールであり;前記モノマーBはテレフタル酸および/またはそのエステル、好ましくは、テレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1つであり;前記モノマーCは、C2~C4ジオール(特に直鎖状飽和ジオール)であり;前記モノマーDは、C4~C6二塩基酸(特に、直鎖状飽和二塩基酸)であり;前記第1の触媒は、テトラブチルチタネート、二酸化チタン、ジエトキシチタンおよび酢酸亜鉛からなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくはテトラブチルチタネートであり;前記第2の触媒は、ランタンアセチルアセトネート、三塩化ランタン、トリフェノキシランタンおよびランタンプロピオネートからなる群から選択される、少なくとも1つ、好ましくはランタンアセチルアセトネートである。
【0196】
本発明においては、ステップ(1)において、前記モノマーBと前記第1触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0197】
本発明においては、ステップ(2)において、前記モノマーDと前記第1触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0198】
好ましくは、前記第1の触媒の総量(ステップ(1)における前記第1の触媒の量とステップ(2)における前記第1の触媒の量との合計)と、前記第2の触媒の量とのモル比は、1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0199】
本発明において、目的生成物の組成や分子量に応じて、各種反応性モノマーの種類を適宜調整することができ、供給量や供給比率を調整することにより、生成物の分子量や生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0200】
本発明においては、ステップ(1)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(2)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(3)において、反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0201】
本発明の好ましい実施形態において、m1が4である場合、前記ポリエステルAの製造方法は、以下の工程を含む:
(S1)不活性雰囲気中、第1の触媒の存在下で、ブタンジオールをモノマーA’と反応させるステップ;
(S2)第2の触媒の存在下で、ステップ(S1)で得られた反応生成物をモノマーB’と反応させるステップ;
ここで、A’は、テレフタル酸および/またはそのエステルであり、好ましくはテレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジエチルテレフタレートからなる群から選択される、少なくとも1つであり;前記モノマーB’は、C4~C6二塩基酸(特に直鎖状飽和二塩基酸)であり;前記第1の触媒および第2の触媒は、上述の通りであり、本明細書ではさらに説明しない。
【0202】
本発明において、ステップ(S1)において、前記モノマーA’と前記第1触媒とのモル比は、1:0.0001~0.02:0.0001~0.02、より好ましくは1:0.001~0.003:0.001~0.003である。
【0203】
好ましくは、前記第1の触媒の量と前記第2の触媒の量とのモル比は、1:0.5~1.5、好ましくは1:0.8~1.2である。
【0204】
本発明において、目的生成物の組成や分子量に応じて、各種反応性モノマーの種類を適宜調整することができ、供給量や供給比率を調整することにより、生成物の分子量や生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0205】
本発明においては、ステップ(S1)において、反応温度は160~220℃であることが好ましく、本発明においては、ステップ(S2)において、反応温度は180~240℃であることが好ましい。
【0206】
本発明によれば、前記ポリエステルBは、上述の前記ポリエステルAの製造方法に従って製造することができる。ここで、ポリエステルBを得るために、目的生成物の組成および分子量に応じて、各種反応性モノマーの種類を適宜調整することができ、供給量および供給比率を調整することによって、生成物の分子量および生成物中の各繰り返しユニットの含有量を、それぞれ制御することができる。
【0207】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含むことができ;好ましくは、ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量は、0.1~60重量%、より好ましくは1~20重量%である。
【0208】
本発明によれば、前記補助充填材は、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の難燃性および耐酸化性を改善する機能、組成物の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、亜リン酸エステル、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、少なくとも1つ;好ましくは、カーボンブラック、ヒンダードフェノール、炭酸カルシウム、エルシルアミド、二酸化チタン、ポリリン酸エステル、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つ;より好ましくは、カーボンブラック、ヒンダードフェノール、炭酸カルシウム、エルシルアミド、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(TDBPP)、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも2つであってもよい。
【0209】
本発明はさらに、上述のポリエステルAおよびポリエステルBを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0210】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0211】
本発明によれば、前記混合する工程は、上述の通りである。好ましくは、攪拌速度は20~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0212】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は160~220℃であり、スクリュー押出機のスクリューの回転速度は10~70rpmであり、スクリュートルクは2~80N・mである。
【0213】
本発明はまた、上述のポリエステル組成物および/または上述の製造方法によって得られたポリエステル組成物を含む熱収縮性スリーブを提供する。すなわち、前記熱収縮性スリーブは、上述のポリエステル組成物および/または上述の製造プロセスによって得られたポリエステル組成物から製造される。
【0214】
本発明において、前記熱収縮性スリーブは、厚さが0.3~10mmであり、収縮率が5:1~4.5であり、良好な絶縁性、および25kV/mm以上の破壊強度を有し得る。
【0215】
本発明はまた、熱収縮性スリーブを得るために、前記ポリエステル組成物を連続的に押出し、延伸し、冷却し、形成して熱収縮性スリーブを得る工程を含む、前記熱収縮性スリーブの製造方法を提供する。
【0216】
本発明の熱収縮性スリーブの製造方法において、前記押出する工程は特に限定されず、パイプを得るために、従来のスクリュー押出機で実施することができる。好ましくは、押出する工程は、リング形状ダイを備えたスクリュー押出機で実施される。より好ましくは、押出温度は90~240℃、さらに好ましくは120~180℃である。
【0217】
本発明の熱収縮性スリーブの製造方法において、冷却温度は0~60℃、好ましくは20~40℃であってもよい。
【0218】
好ましくは、前記製造方法は、冷却されたパイプを、連続して、加熱、直径拡張、二次冷却、および形成する工程をさらに含む。好ましくは、加熱温度は65~120℃、より好ましくは70~90℃である。
【0219】
本発明において、直径拡径の拡張率は、元のサイズ(すなわち、拡径前)の1.5~5倍であることが好ましく、3~5倍であることがより好ましい。
【0220】
本発明において、二次冷却の温度は、0~60℃、好ましくは20~40℃であってもよい。
【0221】
[機能層(スポーツプロテクター)]
本発明は、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0222】
【0223】
(ここで、m1は、2~4の整数であり;n1は、2~4の整数、好ましくは4であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、50~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0224】
【0225】
(ここで、m2は、2~4の整数であり;n2は、2~4の整数、好ましくは2であり;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB;
(3)1~49重量%の繊維充填材
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、55~79モル%、好ましくは60~77モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は21~45モル%、好ましくは23~40モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、繰り返しユニットCの含有量は、80~100モル%、好ましくは85~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、0~20モル%、好ましくは5~15モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量よりも多い、
ポリエステル組成物を提供する。
【0226】
本発明において、m1とおよびm2は、同じであるか、異なっていてもよく、n1およびn2は、同じであるか、異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、n1およびn2も同じである場合、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量とは異なる。
【0227】
好ましくは、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量よりも多い。
【0228】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを60~90重量%、前記ポリエステルBを5~30重量%、および前記繊維充填材を5~30重量%含む。
【0229】
本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBの供給源は、特に限定されず、供給源および製造方法は上述の通りである。
【0230】
前記繊維充填材は、炭素繊維、ガラス繊維、バソールト繊維、アラミド繊維、およびポリエチレンテレフタレート繊維からなる群から選択される、1つ以上であってもよく、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、およびバソールト繊維からなる群から選択される1つ以上であってもよい。好ましくは、繊維充填材の長さは、0.1~10mm、好ましくは0.5~2mmである。
【0231】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含むことができ;好ましくは、前記補助充填材の含有量は、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、0.1~25重量%、より好ましくは1~20重量%である。
【0232】
本発明によれば、前記補助充填材は、組成物溶融物の凝固を促進する機能、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、無機炭酸塩充填材、無機ケイ酸塩充填材、無機硫酸塩充填材、無機中空微小球および金属粉末からなる群から選択される1つ以上、好ましくは、無機炭酸塩充填材、無機ケイ酸塩充填材、無機硫酸塩充填材および金属粉末からなる群から選択される1つ以上、より好ましくは、無水硫酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび銅粉末からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0233】
本発明はさらに、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記繊維充填材を混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0234】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記繊維充填材が良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0235】
本発明によれば、混合する工程は、上述の通りである。好ましくは、攪拌速度は20~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0236】
本発明によれば、押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は120~240℃、好ましくは150~200℃である。
【0237】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物を含む機能層を提供する。すなわち、前記機能層は、上述のポリエステル組成物から製造される。
【0238】
本発明において、前記機能層は、低温可塑性、および形状記憶特性を有する。具体的には、T1(80~100℃)の条件下で、前記機能層のショアD硬度値が0~35であり、T2(-20~50℃)の条件下で、前記機能層のショアD硬度値が40~80である。すなわち、T1(80~100℃)の条件下で、前記機能層を軟化させることができ、このとき、外力を加えることで所望の形状に成形することができる。成形が完了した後、T2(-20~50℃)の条件まで温度を下げ、前記機能層の硬度を高めて、その形状を維持する。
【0239】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物を成形する工程を含む、機能層の製造方法を提供する。
【0240】
本発明において、様々な用途に応じて成形することで、任意の形状およびサイズの機能層を製造することができる。
【0241】
本発明によれば、前記成形する工程は、押出成形または射出成形、好ましくは射出成形であり得る。好ましくは、射出成形の温度は、140~270℃、好ましくは170~185℃である。
【0242】
本発明はさらに、スポーツプロテクターにおける、上述のポリエステル組成物および上述の機能層の応用を提供し;好ましくは、前記スポーツプロテクターは、歯科用プロテクター、肢関節プロテクター、身体および頭部プロテクターのための大面積プロテクターからなる群から選択される1つ以上である。
【0243】
本発明において、「歯科用プロテクター」という用語は、運動中に歯を保護するプロテクターを指す。歯科用プロテクターは、前記機能層を含んでいてもよく、好ましくは前記機能層からなっていてもよい。
【0244】
本発明において、前記歯科用プロテクターは、低温可塑性および形状記憶特性を有する。具体的には、T1(80~100℃)の条件下で、前記歯科用プロテクターのショアD硬度が0~35であり、T2(-20~50℃)の条件下で、前記歯科用プロテクターのショアD硬度が40~80である。
【0245】
本発明はさらに、本発明によって提供される機能層を、連続して軟化、成形および冷却処理する工程を含む、歯科用プロテクターの製造方法を提供する。具体的には、前記製造方法は、T1(80~100℃)の状態下で機能層を軟化し、所望の形状(歯の形状など)を得るために、外力(歯の咬合など)を加えることによって機能層を成形する工程;成形完了後、T2(-20~50℃)の条件まで温度を下げ、それにより、前記歯科用プロテクターの硬度を高めて、形状を維持する工程を含む。
【0246】
本発明において、「肢関節プロテクター」という用語は、運動中に肢関節(例えば、膝関節、肘関節、肩関節、手首関節など)を保護するプロテクターを指す。前記肢関節プロテクターは、前記機能層を含む。
【0247】
好ましい場合として、前記肢関節プロテクターは、任意の外層、中間層、および任意の内層を含む。ここで、前記中間層は、上述の機能層であり;前記外層は硬質材料(金属材料、硬質プラスチック(本発明のポリエステル組成物を除く)、セラミック、および木材からなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよく;前記内層は軟質材料(例えば、スポンジ、発泡体、軟質シリカゲル、および軟質ゴムからなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよい。さらに、前記外層、前記中間層、および前記内層は、結合しており;好ましくは、ボンディング(例えば、接着剤を使用する)、スレッディング、またはバックリングによって結合される。より好ましくは前記外層、前記中間層および前記内層は、すべて着脱可能である。
【0248】
本発明はさらに、本発明によって提供される機能層を連続して、軟化、成形および冷却処理する工程を含み、肢関節プロテクターの中間層を得る、肢関節プロテクターの製造方法を提供する。具体的には、前記製造工程は、T1(80~100℃)の条件下で、前記機能層を軟化し、所望の形状(例えば、関節に適合する形状)を得るために、外力(例えば、関節の表面上に置き、加圧するなど)を加えることによって機能層を成形する工程;成形の完了後、T2(-20~50℃)の条件まで温度を下げ、それにより、前記機能層の硬度を高めて形状を維持することで、前記肢関節プロテクターを得る工程を含む。任意で、前記肢関節プロテクターの製造方法は、前記外層および/または前記内層を、それぞれ中間層の外面および/または内面に結合させる工程をさらに含む。ここで、前記外層および前記内層は、上述した通りであり、ここでは再度説明しない。
【0249】
本発明において、「身体のための大面積プロテクター」という用語は、運動中に身体の主要部分(例えば、胸部、背部、腰部、腹部、大腿の前部、下腿の前部など)を保護するプロテクターを指す。前記身体のための大面積プロテクターは、前記機能層を含む。
【0250】
好ましい場合において、前記身体のための大面積プロテクターは、外層、中間層、および任意の内層を含む。ここで、前記中間層は、上述の機能層であり;前記外層は硬質材料(例えば、金属材料、硬質プラスチック(本発明のポリエステル組成物を除く)、セラミック、および木材からなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよく;前記内層は、軟質材料(例えば、スポンジ、発泡体、軟質シリカゲル、および軟質ゴムからなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよい。さらに、前記外層、前記中間層および前記内層は結合しており;好ましくは、前記内層および前記中間層は、ボンディングにより結合され、前記中間層および前記外層は、バックリング、アタッチメント、または帯具を用いた固定により結合される。より好ましくは、前記外層、前記中間層および前記内層は、すべて着脱可能である。
【0251】
本発明はさらに、本発明によって提供される機能層を、連続して軟化、成形、および冷却処理する工程を含み、身体のための大面積プロテクターの中間層を得る、身体のための大面積プロテクターの製造方法を提供する。具体的には、前記製造方法は、T1(80~100℃)の条件下で、機能層を軟化させ、所望の形状(例えば、身体部分に適合する形状)を得るために、外力(例えば、身体部分の表面に配置し、加圧する)を加えることによって前記機能層を成形する工程;成形の完了後、T2(-20~50℃)の条件まで温度を下げ、それにより、前記機能層の硬度を高めて形状を維持することで、身体のための大面積プロテクターの中間層を得る工程;さらに、外層を、前記中間層の外面に結合する工程を含む。任意で、前記身体のための大面積プロテクターの製造工程は、内層を前記中間層の内面に結合させる工程をさらに含む。ここで、前記外層および前記内層は、上述した通りであり、ここでは再度説明しない。
【0252】
本発明において、「頭部プロテクター」という用語は、運動中に頭部を保護するプロテクターを指す。好ましくは、前記頭部プロテクターは、ヘルメットである。
【0253】
本発明において、前記頭部プロテクターは、前記機能層を含む。
【0254】
好ましくは、前記頭部プロテクターは、任意の外層、中間層、および任意の内層を含む。ここで、前記中間層は、上述の機能層であり;前記外層は硬質材料(例えば、金属材料、硬質プラスチック(本発明のポリエステル組成物を除く)、セラミック、および木材からなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよく;前記内層は、軟質材料(例えば、スポンジ、発泡体、軟質シリカゲル、および軟質ゴムからなる群から選択される少なくとも1つなど)であってもよい。さらに、前記外層、前記中間層および前記内層は結合しており;好ましくは、前記内層および前記中間層は、ボンディングによって結合され、前記中間層および前記外層は、バックリング、アタッチメント、または帯具を用いた固定によって結合される。より好ましくは、前記外層、前記中間層および前記内層は、すべて着脱可能である。
【0255】
本発明はさらに、本発明によって提供される機能層を、連続して軟化、成形、および冷却処理する工程を含み、頭部プロテクターの中間層を得る、頭部プロテクターの製造方法を提供する。具体的には、前記製造方法は、T1(80~100℃)の条件下で、機能層を軟化させ、所望の形状(例えば、頭部に適合する形状)を得るために、外力(例えば、頭部の表面に配置し、プレスする)を加えることによって機能層を成形する工程;成形の完了後、T2(-20~50℃)の条件まで温度を下げ、それによって前記機能層の硬度を高めて形状を維持することで、頭部プロテクターの中間層を得る工程を含む。任意で、前記頭部プロテクターの製造方法は、内層および/または外層を、それぞれ中間層の内面および/または外面に結合させる工程をさらに含む。ここで、前記外層および前記内層は、上述した通りであり、ここでは再度説明しない。
【0256】
本発明は、特定の構造を有するポリエステルAおよびポリエステルB、ならびに繊維充填材を、特定の比率(前記ポリエステルAを50~98重量%、前記ポリエステルBを1~49重量%、前記繊維充填材を1~49重量%)で組み合わせて用いることにより、ポリエステル組成物を得ることができる。前記ポリエステル組成物は、高温条件下(例えば80~100℃)で十分に軟化(硬度が低下)し得、対象部分に応じた成形を経て、軟化した前記ポリエステル組成物を任意の形状の機能層にすることができる。そうすることで、前記ポリエステル組成物が対象部分に良好に適合することができる。次いで、比較的低温(例えば、-20~50℃)で、硬度を著しく高めることができる。これにより、目的の成形を行うことができる。さらに、本発明により提供されるポリエステル組成物は、良好な形状記憶特性をさらに有し、その変形固定率は90%以上であり、その変形回復率は90%以上であり、最大変形率は280%以上の高さである。加えて、本発明によって提供されるポリエステル組成物の上述の軟化および成形する工程は、可逆的である。前記ポリエステル組成物からスポーツプロテクターを製造する場合、前記スポーツプロテクターが着用またはわずかに損傷した後、温度を上げることによって再び軟化し、低温で再形成することで、前記プロテクターを元の外観に戻すことができる。したがって、本発明によって提供される機能層によって製造されるスポーツプロテクターは、応用力に優れるという見込みがある。
【0257】
本発明のポリエステル組成物は、良好な低温可塑性および形状記憶特性を有する。したがって、本発明によって提供されるポリエステル組成物がスポーツプロテクターに使用される場合、プロテクターが身体により良く適合するように、異なる適用部分に従って成形することができ、その結果、プロテクターはより快適であり、製造のために好都合である。
【0258】
[医療用手足固定具]
本発明は、前記ポリエステル組成物が、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0259】
【0260】
(ここで、m1は、2~4の整数であり;n1は、2~4の整数、好ましくは2であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0261】
【0262】
(ここで、m2は、2~4の整数であり;n2は、2~4の整数であり、好ましくは、2であり、;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、60~80モル%、好ましくは62~78モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~40モル%、好ましくは22~38モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~59モル%、好ましくは30~55モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、41~80モル%、好ましくは45~70モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である、
ことを特徴とするポリエステル組成物を提供する。
【0263】
本発明において、m1およびm2は、同じであるか、または異なっていてもよく、n1およびn2は、同じであるか、または異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、n1およびn2も同じである場合、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量とは異なる。
【0264】
好ましくは、ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを、70~90重量%、および前記ポリエステルBを10~30重量%を含み;より好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを70~80重量%、および前記ポリエステルBを20~30重量%含む。
【0265】
本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBの供給源は、特に限定されず、供給源および製造工程は上述の通りである。
【0266】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含んでいてもよく;好ましくは前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量は、0.1~60重量%、より好ましくは1~20重量%である。
【0267】
本発明によれば、前記補助充填材は、組成物の凝固を調節する機能、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の難燃性および耐酸化性を改善する機能、組成物の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、少なくとも1つ;好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、二酸化チタン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つ;より好ましくは、酸化鉄、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(TDBPP)、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0268】
本発明はさらに、上述のポリエステルAをポリエステルBと混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含むことを特徴とする、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0269】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0270】
本発明によれば、前記混合工程は前記の通りである。好ましくは、攪拌速度は20~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0271】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は110~260℃、好ましくは160~220℃である。
【0272】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物を含む医療用手足固定具を提供する。すなわち、前記医療用手足固定具は、上述のポリエステル組成物から製造される。
【0273】
本発明によれば、前記医療用手足固定具の厚さは、0.2~10mm、好ましくは1~3mmであってもよい。
【0274】
本発明によれば、前記医療用手足固定具は細孔構造を有している、および/または有しておらず、好ましくは、細孔構造を有する。
【0275】
本発明では、前記細孔構造は、医療用手足固定具のガス透過性を改善するために、前記医療用手足固定具全体に分布している。好ましくは、前記細孔構造の細孔サイズは、1~10mm、好ましくは1~5mmである。
【0276】
本発明において、前記医療用手足固定具は、任意の手足部分を固定するために使用することができ、例えば、指、4つの手足、首、および背中などの様々な身体部分に使用することができる。
【0277】
本発明はさらに、前記ポリエステル組成物を連続的に押出する工程、成形する工程および任意の穴抜き工程を含み、医療用手足固定具を得る、医療用手足固定具の製造方法を提供する。ここで、前記ポリエステル組成物は、上述のポリエステル組成物である。
【0278】
本発明の医療用手足固定具の製造方法において、前記押出する工程は、好ましくは溶融押出であり、より好ましくは、押出温度が90~230℃、好ましくは110~170℃である。
【0279】
本発明の医療用手足固定具の製造方法において、前記成形する工程は、射出成形および/または圧縮成形であってもよい。好ましくは、前記成形する工程は、前記医療用手足固定具の厚さが、0.2~10mm、好ましくは1~3mmとなるような工程である。
【0280】
本発明の医療用手足固定具の製造方法において、前記穴抜き工程は、パンチャーを用いて行ってもよく、好ましくは使用されるパンチャーの直径は、1~10mm、好ましくは1~5mmである。
【0281】
本発明の医療用手足固定具の製造方法において、製造方法は、成形された材料を切断する工程をさらに含み、適したサイズおよび形状の医療用手足固定具を得てもよい。
【0282】
本発明は特定の共重合体(ポリエステルAおよびポリエステルB)を特定の割合(前記ポリエステルAの含有量が51~99重量%、前記ポリエステルBの含有量が1~49重量%)で混合することにより、温度および時間によって硬度が変化し得るポリエステル組成物を得る。本発明により提供されるポリエステル組成物を用いて製造される医療用手足固定具は、高温条件下(例えば、熱水中、特に沸騰水中)で十分に軟化させることができ、軟化した材料は、適切な大きさおよび形状に切断されるときに切断が容易であり、固定を必要とする手足部分に巻き付けられると、それ自体で硬化および接着することができる。これにより、前記医療用手足固定具は、良好な成形を行うことができ、かつ固定するという目的を達成することができる。さらに、上述の製造方法は、可逆的であり、手足部分に応じて再整形することができ、さらに、前記医療用手足固定具は、簡便に取り外して清掃することができるとともに、分解性も良好である。前記製造工程は、熱可塑性処理(架橋剤を使用しない)を採用しているので、残った材料をリサイクルして再利用することができる。
【0283】
加えて、本発明の医療用手足固定具は、以下の利点をさらに有している:保管および輸送中に防水パッケージなどの特殊パッケージを必要とせず、パッケージの開封後であっても、少なくとも2年間劣化が起こらない;重量がポリマー包帯の重量に近く、石膏包帯の重量の約1/5に過ぎない;X線透過性に優れている;水との反応に関与しないので、完全に撥水性であり、使用前の保管時に湿度の心配がない。
【0284】
本発明によって提供されるポリエステル組成物の硬度は、時間および温度によって変化する。具体的には、高温では硬度が低く、冷却後の短時間で硬度が著しく上昇するため、良好な可塑性および定着性を示す。したがって、本発明によって提供されるポリエステル組成物は、医療用手足固定具の製造に特に適している。
【0285】
[熱収縮性フィルム]
本発明は、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0286】
【0287】
(ここで、m1は、2~4の整数であり;n1は、2~4の整数、好ましくは2であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0288】
【0289】
(ここで、m2は2~4の整数であり;n2は2~4の整数、好ましくは2であり;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、60~80モル%、好ましくは62~72モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~40モル%、好ましくは28~38モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは85~97モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、1~19モル%、好ましくは3~15モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である、
ポリエステル組成物を提供する。
【0290】
本発明において、m1およびm2は、同じであるか、または異なっていてもよく、n1およびn2は、同じであるか、または異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、かつn1およびn2も同じである場合、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量とは異なる。
【0291】
好ましくは、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量よりも多い。
【0292】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを60~90重量%、および前記ポリエステルBを10~40重量%含む。
【0293】
本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBの供給源は、特に限定されず、供給源および製造方法は上述の通りである。
【0294】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含んでいてもよく;好ましくは、前記補助充填材の含有量は、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、0.1~20重量%、より好ましくは10~20重量%である。
【0295】
本発明によれば、前記補助充填材は、組成物溶融物の凝固を促進する機能、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の難燃性および耐酸化性を改善する機能、組成物の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、少なくとも1つ;好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、二酸化チタン、ポリホスフェート、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つ;より好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも2つであってもよい。
【0296】
本発明はさらに、上述のポリエステルAおよびポリエステルBを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0297】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0298】
本発明によれば、前記混合工程は前記の通りである。好ましくは、攪拌速度は10~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0299】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は80~220℃、好ましくは110~180℃である。
【0300】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物を含む熱収縮性フィルムを提供する。すなわち、前記熱収縮性フィルムは、上述のポリエステル組成物から製造される。
【0301】
本発明において、前記熱収縮性フィルムの厚さは、5~1000μmであってもよく、配合およびポリエステル構造を調節することで、熱収縮率を広い範囲で変化させることができる。例えば、前記熱収縮性フィルムの熱収縮率は、10~80%であり、前記熱収縮性フィルムは、異なるニーズを満たすことができる。さらに、前記熱収縮性フィルムのヒートシール強度は、11~19N/15mmであり、前記熱収縮性フィルムは、良好な分解性を有する。
【0302】
本発明はさらに、鋳造する工程、放置する工程および延伸する工程によって前記ポリエステル組成物を連続的にフィルム形成させる工程を含み、熱収縮性フィルムを得る、熱収縮性フィルムの製造方法をさらに提供する。ここで、前記ポリエステル組成物は、上述のポリエステル組成物である。
【0303】
本発明によれば、前記鋳造する工程によってフィルム形成させる工程の方法は、特に限定されず、例えば、鋳造機で行うことができる。好ましくは、前記鋳造する工程によってフィルム形成させる工程の温度は80~220℃、好ましくは110~180℃である。
【0304】
本発明において、放置する工程の方法は、特に限定されず、例えば、室温(25℃)環境下で放置することができる。好ましくは、静置時間は30分間~20日間、好ましくは4~24時間である。
【0305】
本発明において、延伸する工程は、単軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。好ましくは、延伸温度は40~150℃、好ましくは60~120℃である。
【0306】
本発明は、特定の共重合体(ポリエステルAとポリエステルB)を特定の割合(前記ポリエステルAの含有量が51~99重量%、前記ポリエステルBの含有量が1~49重量%)で配合することにより、70%以上の加熱収縮率を有する熱収縮性フィルムを得ることができるだけでなく、10%の加熱収縮率を有するフィルムを得ることができ、これは、本発明において、配合およびポリエステル構造を調整することにより、前記フィルムの加熱収縮率を広い範囲で変化させることができることを示している。さらに、本発明によって得られる熱収縮性フィルムは、適切なヒートシール強度(11~19N/15mmまで)を有し、前記フィルムは平坦な表面を有し、良好な光沢を有し、分解可能であり、熱可塑的に繰り返し処理することができ、リサイクルすることができる。したがって、前記熱収縮性フィルムは、環境に優しいという利点があることは明白であり、工業的用途の見込みがある。
【0307】
[不織布]
本発明は、ポリエステル組成物を提供する。前記ポリエステル組成物は、種々の成分の総重量に対して、以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0308】
【0309】
(ここで、m1は、2~4の整数であり;n1は、2~4の整数、好ましくは2であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、51~99重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0310】
【0311】
(ここで、m2は、2~4の整数であり;n2は、2~4の整数、好ましくは2であり;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~49重量%のポリエステルB
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、75~95モル%、好ましくは81~95モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、5~25モル%、好ましくは5~19モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり、
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、20~74モル%、好ましくは40~70モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、26~80モル%、好ましくは30~60モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である。
【0312】
本発明において、m1およびm2は、同じであるか、または異なっていてもよく、n1およびn2は、同じであるか、または異なっていてもよい。しかし、m1およびm2が同じであり、かつn1およびn2も同じである場合、前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットBの含有量は、前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットBの含有量とは異なる。
【0313】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを55~70重量%、および前記ポリエステルBを30~45重量%含む。
【0314】
本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBは、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明におけるポリエステルAおよびポリエステルBの供給源は特に限定されず、供給源および製造方法は上述の通りである。
【0315】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含むことができ;好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量は、0.1~25重量%、より好ましくは1~20重量%である。
【0316】
本発明によれば、前記補助充填材は、紡糸中の材料の凝固を促進する機能、布または不織布の機械的強度を調節する機能、物品の難燃性および耐酸化性を改善する機能、物品の色および光沢を調節する機能などを有し、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、酸化鉄、金属カルボキシレート、金属ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、少なくとも1つ;好ましくは、ヒンダードフェノール、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(TDBPP)、低密度ポリエチレンおよび高分岐ポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0317】
本発明はさらに、上述のポリエステルAおよびポリエステルBを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0318】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルAおよび前記ポリエステルBが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0319】
本発明によれば、前記混合工程は前記の通りである。好ましくは、攪拌速度は20~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0320】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は140~220℃、好ましくは160~200℃である。
【0321】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物を含む不織布を提供する。すなわち、前記不織布は、上述のポリエステル組成物から製造される。
【0322】
本発明において、前記不織布のフィラメント径は、5~100μm、好ましくは20~50μmであってもよい。
【0323】
本発明はさらに、スパンボンディング方法により、上述のポリエステル組成物から不織布を製造することを含む、不織布の製造方法を提供する。本発明のスパンボンディング方法に用いられるマシンは特に限定されず、例えば、当該技術分野において、従来から用いられているスパンボンディングマシンを用いることができる。
【0324】
好ましくは、前記スパンボンディング方法は、押出する工程、紡糸する工程、網状形成工程および補強する工程を含む。より好ましくは、前記押出工程は3つの温度帯を含む。ここで、第1の温度帯の温度は140~250℃、好ましくは160~210℃であり、第2の温度帯の温度は150~260℃、好ましくは165~220℃であり、第3の温度帯の温度は170~260℃、好ましくは180~230℃である。
【0325】
本発明において、紡糸する工程の条件は特に限定されず、例えば、紡糸温度は150~240℃、好ましくは170~220℃であり、紡糸速度は10~40r/分、好ましくは15~30r/分である。
【0326】
本発明において、網状形成工程の条件は、特に限定されず、例えば、網状形成の速度は5~30r/分、好ましくは10~20r/分とすることができる。
【0327】
本発明において、補強する工程は、好ましくは熱間圧延により行われ、熱間圧延温度は80~170℃、好ましくは90~120℃である。
【0328】
本発明はさらに、不織布物品、好ましくは使い捨て不織布物品、より好ましくは使い捨て医療用不織布物品における、上述のポリエステル組成物および上述の不織布の使用を提供する。
【0329】
好ましくは、前記使い捨て医療用不織布物品は、使い捨て手術着、使い捨て医療用マスク、使い捨て医療用キャップ、使い捨て医療用ベッドシート、および使い捨て外科用ドレープからなる群から選択される、少なくとも1つである。
【0330】
[弾性繊維]
本発明は、種々の成分の総重量に基づいて以下の成分:
(1)式(I’)で表される繰り返しユニットAおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0331】
【0332】
(ここで、m1は、2~8の整数、好ましくは2~4の整数であり;n1は、2~6の整数、好ましくは2~4の整数であり;m1およびn1は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、30~98重量%のポリエステルA;
(2)式(I'')で表される繰り返しユニットCとおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0333】
【0334】
(ここで、 m2は、2~8の整数、好ましくは2~4の整数であり;n2は、2~6の整数、好ましくは2~4の整数であり;m2およびn2は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~69重量%のポリエステルB;
(3)式(I''')で表される繰り返しユニットDおよび式(II-1)で表される繰り返しユニットB
【0335】
【0336】
(ここで、m3は、2~8の整数、好ましくは2~4の整数であり;n3は、2~6の整数、好ましくは2~4の整数であり;m2およびn3は、同じであるか、または異なる)
を含む共重合体である、1~69重量%のポリエステルC
を含み、
前記ポリエステルA中の前記繰り返しユニットAと前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットAの含有量は、51~80モル%、好ましくは60~75モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、20~49モル%、好ましくは25~40モル%であり、前記ポリエステルAの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり;
前記ポリエステルB中の前記繰り返しユニットCおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットCの含有量は、81~99モル%、好ましくは83~95モル%であり、前記繰り返しユニットBの含有量は、1~19モル%、好ましくは5~17モル%であり、前記ポリエステルBの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000であり;
前記ポリエステルC中の前記繰り返しユニットDおよび前記繰り返しユニットBの総モル数に対して、前記繰り返しユニットDの含有量は、0~49モル%、好ましくは15~45モル%、前記繰り返しユニットBの含有量は、51~100モル%、好ましくは55~85モル%であり、前記ポリエステルCの重量平均分子量は、50,000~900,000、好ましくは100,000~500,000である、
ポリエステル組成物を提供する。
【0337】
本発明において、m1、m2およびm3は、同じであるか、または異なっていてもよく、n1、n2およびn3は、同じであるか、または異なっていてもよい。ただし、m1、m2およびm3が同じであり、かつn1、n2およびn3も同じである場合、前記ポリエステルA中、前記ポリエステルB中、およびポリエステルC中の前記繰り返しユニットBの含有量は、それぞれに異なる。
【0338】
好ましくは、前記ポリエステル組成物は、前記ポリエステルAを60~93重量%、前記ポリエステルBを5~38重量%、および前記ポリエステルCを1~20重量%含む。
【0339】
本発明において、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCは、いずれもランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体、好ましくはランダム共重合体および/またはブロック共重合体からなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。本発明における前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよび前記ポリエステルCの供給源は特に限定されず、供給源および製造方法は上述の通りである。
【0340】
本発明によれば、前記ポリエステル組成物は、補助充填材をさらに含むことができ;好ましくは、前記ポリエステル組成物の総重量に対して、前記補助充填材の含有量は、1~20重量%、より好ましくは2~10重量%である。
【0341】
本発明において、前記補助充填材は、組成物の溶融物の凝固を促進する機能、組成物の機械的強度を調節する機能、組成物の難燃性および耐酸化性を改善する機能、組成物の色および光沢を調節する機能などを有していてもよく、当該技術分野において従来から選択されるものであってもよい。例えば、前記補助充填材は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、エルシルアミド、二酸化チタン、低密度ポリエチレン、ポリリン酸塩またはポリリン酸エステル、亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ジベンジルソルビトールおよびその誘導体、高分岐ポリアミドおよびエチレン-メタクリル酸イオノマーからなる群から選択される、少なくとも1つ以上;好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、エルシルアミド、二酸化チタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(TDBPP)および低密度ポリエチレンからなる群から選択される、少なくとも1つ以上である。
【0342】
本発明はさらに、上述のポリエステルA、ポリエステルBおよびポリエステルCを混合する工程、次いで、得られた混合物を押出してペレット化する工程を含む、上述のポリエステル組成物の製造方法を提供する。
【0343】
本発明者らは予想外にも、本発明において、前記ポリエステルA、前記ポリエステルBおよびポリエステルCが良好な相溶性を有するため、混合中に相溶化剤を添加しないことが可能であることを、研究中に見出した。前記相溶化剤は、混合出発物質の相溶性を向上させるために、当該技術分野において従来から使用されている物質である。前記相溶化剤は、例えば、PE-g-ST、PP-g-ST、ABS-g-MAH、PE-g-MAHおよびPP-g-MAHからなる群から選択される、少なくとも1つであってもよい。
【0344】
本発明によれば、前記混合工程は前記の通りである。好ましくは、攪拌速度は10~150r/分であり、攪拌時間は5~15分間である。
【0345】
本発明によれば、前記押出してペレット化する工程は、上述の通りである。好ましくは、押出してペレット化する工程の温度は110~270℃、好ましくは130~230℃である。
【0346】
本発明はさらに、上述のポリエステル組成物および/または上述の製造方法によって得られるポリエステル組成物を含む弾性繊維を提供する。すなわち、前記弾性繊維は、上述のポリエステル組成物および/または上述の製造方法によって得られるポリエステル組成物から製造される。
【0347】
本発明によれば、前記弾性繊維の繊維数は、5~500dtexであってもよい。破断強度は1cN/dtex以上、好ましくは3~19cN/dtexであり;破断点伸びは100%以上、好ましくは130~620%であり;応力緩和率は12%以上、好ましくは1~12%であり;永久歪み率は12%以上であり、好ましくは1~11%である。本発明において、従来のデニール計(denierer)を用いて、繊維数を検出することができる。
【0348】
本発明はさらに、ポリエステル組成物を連続してフィラメント形成、低温配置および延伸する工程を含み、弾性繊維を得る、弾性繊維の製造方法を提供する。ここで、前記ポリエステル組成物は、上述のポリエステル組成物である。
【0349】
本発明によれば、フィラメント形成の方法は、当該技術分野において従来から選択されるものであり得、好ましくは溶融紡糸であり得る。好ましくは、フィラメント形成の温度は120~270℃、好ましくは150~220℃である。
【0350】
本発明によれば、低温配置の条件は、温度が20~55℃、好ましくは25~45℃であり、時間が2~120分間、好ましくは15~60分間であることを含む。
【0351】
本発明によれば、延伸する工程の条件は、温度が56~110℃、好ましくは60~90℃であり、延伸比が1.2~10倍、好ましくは2~5倍であることを含む。
【0352】
本発明は、特定のポリエステルA、ポリエステルB、およびポリエステルCを特定の比率(ポリエステルAが30~98重量%、ポリエステルBが1~69重量%、ポリエステルCが1~69重量%)で混合することによってポリエステル組成物を得る。前記ポリエステル組成物を用いて製造される弾性繊維の破断強度は1cN/dtex以上であり、配合および分子構造を調整することよって、広い範囲で変化させることができ、最大破断強度は20cN/dtexに近い。さらに、本発明によって提供される弾性繊維の破断点伸びは130%以上と高く、応力緩和率および永久歪み率の両方は、12%以上であり得る。これは、本発明によって提供される弾性繊維は、弾性および強度の両方を適度に有し、広範囲で特性の調整が可能であり、それゆえ、応用力に優れるという見込みがある。
【0353】
加えて、本発明は特に、高温におけるフィラメント形成-低温配置-高温における延伸する工程という、方法および条件を用いて弾性繊維を製造する。この方法はさらに、弾性繊維の破断強度を改善し、特性の調整可能な範囲を拡張し、弾性繊維の応力緩和および永久歪み率を低減することができる。
【0354】
本発明におけるいくつかのパラメーターの測定基準は以下の通りである:
繊維数:繊維数をプロペラマイクロメートルで直接測定し、対応する値をJIS L0104-2000の方法により算出した。
【0355】
繊維の破断強度:GB/T 14337-2008
繊維の破断点伸び:GB/T 14337-2008
応力緩和率:GB/T 14337-2008
永久歪み率:GB/T 14337-2008
プラスチック試験片の強度:GB/T 1040.2-2006/ISO 527-2:1993
プラスチック試験片の破断点伸び:GB/T 1040.2-2006/ISO 527-2:1993
ショア硬度:GB/T 2411-2008/ ISO 868:2003。
【0356】
〔実施形態〕
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。実施例は、単に本発明を例示するために使用され、本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0357】
[実施例]
以下の実施例および比較例において、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、Waters-208(Waters 2410 RI検出器、1.5mL/分流量、30℃)機器上でゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定し、ポリスチレンを基準として較正した;
前記ポリエステルA、前記ポリエステルB、前記ポリエステルC、前記脂肪族ポリエステルおよび前記芳香族ポリエステルの微細構造を、溶媒として重水素化クロロホルムを用いて、スイスのBruker社のAVANCE DRX 400MHz NMR分光計によって測定した;
前記ポリエステル組成物の構成は、出発物質の供給によって決定した;
前記ポリエステル組成物の変形記憶特性を、Instron 5965引張試験機(インキュベーターを有する)を用いて、以下のように測定した:
ポリエステル組成物の資料の室温における初期長さは「a」であった。インキュベーターの温度を80℃に上げると十分に軟化し、延伸速度50mm/分の条件で長さ「b」に延伸した。延伸された長さが変化しないように外力を維持した。温度を下げ、試料を固化した後、前記外力を除去したところ、この時点で試料の長さは「c」であった。試料の温度を再び80℃に上げ、試料が十分に縮んだ時点での試料の長さは「d」であった;
変形固定率(%)=(c-A)/(b-A)×100%;
形状回復率(%)=(c-d)/(c-a)×100%;
最大変形率(%)=bmax/a×100%(ここで、bmaxは、試験片が損傷を受けるまでに到達し得る、最大b値であった);
本発明に用いた脂肪族-芳香族コポリエステルは、特に断らない限り、CN100429256Cの実施例B13~B21に開示されている方法により自己製造したものであり、ここで、反応のための出発物質の種類は、目的生成物の組成および分子量に応じて適宜調整することができ、前記生成物の分子量および前記生成物中の各繰り返しユニットの含有量は、それぞれ、供給量および供給比率を調整することにより制御することができる。
【0358】
<形状記憶材料>
(実施例I-1)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、ブチレンテレフタレート(BT)-ブチレンサクシネート(BS)コポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%であった)、ブチレンテレフタレート(BT)-ブチレンアジペート(BA)コポリエステル(BASF社から購入、商品名「ecoflex」、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)およびポリブチレンサクシネート(PBS)(BASF社から購入、商品名「1111HTA4」)を40:40:20のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)1重量%の炭酸カルシウムを添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A1を得た。
【0359】
(比較例I-1)
実施例I-1で使用したBT-BSコポリエステルの替わりに、同じモル量のポリブチレンテレフタル酸(PBT)(DuPont社から購入、商品名「Crastin SC164 NC010」)を使用した以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-D1を得た。
【0360】
(比較例I-2)
実施例I-1で使用したBT-BAコポリエステルの替わりに、同じモル量のPBT(Dupont社から購入、商品名「Crastin SC164 NC010」)を使用した以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-D2を得た。
【0361】
(比較例I-3)
実施例I-1で使用したPBSを添加しなかったこと以外は、実施例I-1の方法に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-D3を得た。
【0362】
(比較例I-4)
BT-BSコポリエステル、BT-BAコポリエステルおよびPBSを、2:2:96のモル比で混合した以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-D4を得た。
【0363】
(実施例I-2)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、BT-BSコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は55モル%であった)、BT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は20モル%であった)およびPBSを20:70:10のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)1重量%の炭酸カルシウムを添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A2を得た。
【0364】
(実施例I-3)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、BT-BSコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%であった)、BT-BAコポリエステル(BASF社から購入、商品名「ecoflex」、重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)およびPBSを50:49:1のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)1重量%の炭酸カルシウムを添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A3を得た。
【0365】
(実施例I-4)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、BT-BSコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%であった)、BT-BAコポリエステル(BASF社から購入、商品名「ecoflex」、重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)およびPBSを90:1:9のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)1重量%の炭酸カルシウムを添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に160℃、170℃、180℃、180℃、180℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A4を得た。
【0366】
(実施例I-5)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、BT-BSコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%であった)、BT-BAコポリエステル(BASF社から購入、商品名「ecoflex」、重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)およびPBSを90:1:9のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)5重量%の炭酸カルシウムを添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に160℃、170℃、180℃、180℃、180℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A5を得た。
【0367】
(実施例I-6)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、BT-BSコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%であった)、BT-BAコポリエステル(BASF社から購入、商品名「ecoflex」、重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)およびPBSを90:1:9のモル比で混合し、(混合物の総重量に対して)5重量%の低密度ポリエチレン(SINOPEC Yanshan Petrochemical社、商品名「LD607」)を添加した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に160℃、170℃、180℃、180℃、180℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物I-A4を得た。
【0368】
(実施例I-7)
実施例I-1で使用した炭酸カルシウムを添加しなかったこと以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-A7を得た。
【0369】
(実施例I-8)
実施例I-1で使用したBT-BSコポリエステルの替わりに、同じモル量のエチレンテレフタレート(ET)-エチレンサクシネート(ES)コポリエステル(重量平均分子量100,000、ここで、ET繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの総モル数に対して、ET繰り返しユニットの含有量は、50モル%であった)を使用したこと以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-A8を得た。
【0370】
(実施例I-9)
実施例I-1で使用したPBSの替わりに、同じモル量のポリヘキシレンサクシネート(PHS)(CN104039865Bに開示された方法に準じて製造、重量平均分子量100,000)を使用したこと以外は、実施例I-1の工程に準じてポリエステル組成物を製造し、ポリエステル組成物I-A9を得た。
【0371】
(形状記憶特性試験例)
実施例I-1~I-9および比較例I-1~I-4で製造したポリエステル組成物から、それぞれ試料を作製し、形状記憶特性試験を行った。結果を、下記の表1に示す。
【0372】
【0373】
上述の実施例I-1~I-9で製造したポリエステル組成物を形状記憶材料に用いた場合、前記形状記憶材料の変形固定率および形状回復率がともに92%以上であり、最大変形率が400%以上の高さであった。加えて、形状記憶材料の初期成形温度および開始温度の両方を調節することができた。これは、日常生活において、形状記憶材料を応用するためにより好ましい。
【0374】
<3Dプリント材料>
(実施例II-1)
攪拌条件(攪拌速度50r/分、10分間)下で、1kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量300,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)粒子、50gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)粒子、50gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は80モル%である)粒子、および100gの二酸化チタンを混合した後、二軸押出機に投入した。180℃にて溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物II-A1を得た。
【0375】
前記ポリエステル組成物II-A1を押出機に投入し、180℃にて丸孔ダイから押出し、0℃にて空気または水タンクを通して冷却した。このようにして、直径1.75mmの3DプリントワイヤII-B1を得た。
【0376】
(実施例II-2)
攪拌条件(攪拌速度50r/分、10分間)下で、880gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量300,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%である)粒子、110gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は15モル%である)粒子、110gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は85モル%である)粒子、および100gの二酸化チタンを混合した後、二軸押出機に投入した。180℃にて溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物II-A2を得た。
【0377】
前記ポリエステル組成物II-A2を押出機に投入し、180℃にて丸孔ダイから押出し、0℃にて空気または水タンクを通して冷却した。このようにして、直径1.75mmの3DプリントワイヤII-B2を得た。
【0378】
(実施例II-3)
攪拌条件(攪拌速度50r/分、10分間)下で、770gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量300,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)粒子、165gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は5モル%である)粒子、165gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%である)粒子、および100gの二酸化チタンを混合した後、二軸押出機に投入した。180℃にて溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物II-A3を得た。
【0379】
前記ポリエステル組成物II-A3を押出機に投入し、180℃にて丸孔ダイから押出し、0℃にて空気または水タンクを通して冷却した。このようにして、直径1.75mmの3DプリントワイヤII-B3を得た。
【0380】
(実施例II-4)
攪拌条件(攪拌速度50r/分、10分間)下で、605gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量300,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は44モル%である)粒子、275gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は19モル%である)粒子、220gのPBT(ポリエステルC、DuPont社から購入、商品名「Crastin SC164 NC010」)粒子、および100gの二酸化チタンを混合した後、混合物を二軸押出機に投入した。180℃にて溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物II-A4を得た。
【0381】
前記ポリエステル組成物II-A4を押出機に投入し、180℃にて丸孔ダイから押出し、0℃にて空気または水タンクを通して冷却した。このようにして、直径1.75mmの3DプリントワイヤII-B4を得た。
【0382】
(実施例II-5)
攪拌条件(攪拌速度50r/分、10分間)下で、1078gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量300,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は20モル%である)粒子、11gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は1モル%である)粒子、11gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は45モル%である)粒子、および100gの二酸化チタンを混合し、二軸押出機に投入した。180℃にて溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物II-A5を得た。
【0383】
前記ポリエステル組成物II-A5を押出機に投入し、180℃にて丸孔ダイから押出し、0℃にて空気または水タンクを通して冷却した。このようにして、直径1.75mmの3DプリントワイヤII-B5を得た。
【0384】
(実施例II-6)
ポリエステルBをBT-BAコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%であった)に変更し、ポリエステルをBT-BAコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は80モル%であった)に変更した。それ以外は、実施例II-1の工程に準じて、ポリエステル組成物II-A6および3DプリントワイヤII-B6を得た。
【0385】
(実施例II-7)
ポリエステルBをET-EA(エチレンアジペート)コポリエステル(重量平均分子量200,000、ET繰り返しユニットおよびEA繰り返しユニットの総モル数に対して、ET繰り返しユニットの含有量は10モル%であった)に変更し、ポリエステルCをET-EAコポリエステル(重量平均分子量200,000、ET繰り返しユニットおよびEA繰り返しユニットの総モル数に対して、ET繰り返しユニットの含有量は80モル%であった)に変更した。それ以外は、実施例II-1の工程に準じて、ポリエステル組成物II-A7および3DプリントワイヤII-B7を得た。
【0386】
(実施例II-8)
ポリエステルBをET-BSコポリエステル(重量平均分子量200,000、ET繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、ET繰り返しユニットの含有量は10モル%であった)に変更し、ポリエステルCをBT-EAコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびEA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は80モル%であった)に変更した。それ以外は、実施例II-1の工程に準じて、ポリエステル組成物II-A8および3DプリントワイヤII-B8を得た。
【0387】
(実施例II-9)
実施例II-1において、二酸化チタンの替わりに、同じ重量の炭酸カルシウムを使用した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ポリエステル組成物II-A9および3DプリントワイヤII-B9を得た。
【0388】
(実施例II-10)
100gの二酸化チタンを添加しなかったこと以外は、実施例II-1の工程に準じて、ポリエステル組成物II-A10および3DプリントワイヤII-B10を得た。
【0389】
(比較例II-1)
実施例II-1で使用したポリエステルAを1kg、実施例II-1で使用したポリエステルBを100g、および二酸化チタンを100g混合し、実施例II-1で使用したポリエステルCを加えなかった以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D1を得た。
【0390】
(比較例II-2)
実施例II-1で使用したポリエステルAを1kg、実施例II-1で使用したポリエステルCを100g、および二酸化チタンを100g混合し、実施例II-1で使用したポリエステルBを加えなかった以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D2を得た。
【0391】
(比較例II-3)
実施例II-1で使用したポリエステルBを550g、実施例II-1で使用したポリエステルCを550g、および二酸化チタンを100g混合し、実施例II-1で使用したポリエステルAを加えなかった以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D3を得た。
【0392】
(比較例II-4)
実施例II-1で使用したポリエステルAを50g、実施例II-1で使用したポリエステルBを1kg、実施例II-1で使用したポリエステルCを50g、および二酸化チタンを100g混合した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D4を得た。
【0393】
(比較例II-5)
実施例II-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(BASF社から購入、商品名「1111HTA4」)を使用した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D5を得た。
【0394】
(比較例II-6)
実施例II-1で使用したポリエステルCの替わりに、同じ重量のPBS(BASF社から購入、商品名「1111HTA4」)を使用した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D6を得た。
【0395】
(比較例II-7)
実施例II-1で使用したポリエステルAを1.1kg、および二酸化チタンを100g混合した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D7を得た。
【0396】
(比較例II-8)
実施例II-1で使用したポリエステルBを1.1kg、および二酸化チタンを100g混合した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D8を得た。
【0397】
(比較例II-9)
実施例II-1で使用したポリエステルCを1.1kg、および二酸化チタンを100g混合した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D9を得た。
【0398】
(比較例II-10)
PBT(DuPont社から購入、商品名「Crastin SC164 NC010」)を1.1kg、および二酸化チタンを100g混合した以外は、実施例II-1の工程に準じて、ワイヤII-D10を得た。
【0399】
(試験例II-1~II-20)
1.光沢評価
実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10で得たポリエステル組成物ペレットを、Haake小型鋳造機により、室温(25℃)にて平板に鋳造した。鋳造シートが完全に冷却されて固化した後、冷却板に接触していなかった表面を光沢試験に課した。実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10において得られた鋳造シートの光沢を、GB/T9754-2007に従って評価した。表2に結果を示す。
【0400】
2.硬さ(または可撓性)評価
実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10で得られたワイヤをパーティクルに切断した。Carverホットプレスによって、このパーティクルを融点以上でホットプレスして、7cm×7cm×4mmのシートを得た。実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10によって得られたシートのショア硬さ(D型)を、GB/T2411-2008の方法に従って評価した。表2に結果を示す。
【0401】
3.最小印刷温度および印刷効果
実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10で得られたワイヤを、Makerbot Replicator 2Xプリンタに装填し、ノズルを通るワイヤの流下速度が2.4m/分に達するまでノズル温度を上昇させた。この温度を、最小印刷温度と定義した。積層機器のデフォルトの印刷条件設定で3D印刷を行ったときに、与えられた3D印刷の形状が最終的に作製することができたならば、印刷効果が「良好」であるとした。実際に印刷された形状が、与えられた3D印刷の形状から外れているならば、印刷効果が「不良」であるとした。最小印刷温度および印刷効果の結果を表2に示す。
【0402】
4.分解性
実施例II-1~II-10および比較例II-1~II-10によって作製されたフィルムの生分解性を、以下の方法に従って試験した。18gの堆肥(堆肥化期間2ヶ月、北京南宮堆肥廠より提供)を使用した。試験を課すワイヤ3gを入れ、適量の蒸留水を添加してから混合し、適宜攪拌した後、混合物を常温(25℃)で静置した。3ヶ月後の重量減少が50%以上であるか否かを、生分解性の合否を評価する基準とした。表1に結果を示す。
【0403】
また、実施例II-1~II-10で得られた3Dプリントワイヤは、常温常湿の清浄な環境においては、明瞭な変化を伴わずに1年間以上保存することができた。土壌環境、富栄養環境または堆肥環境の場合にのみ、著しい劣化が生じた。
【0404】
【0405】
上掲の表2の結果から分かるように、本発明により得られるポリエステル組成物は、特定のポリエステルA、ポリエステルB、およびポリエステルCを特定の比率(ポリエステルA:51~98重量%、ポリエステルB:1~48重量%、ポリエステルC:1~48重量%)で配合する。前記ポリエステル組成物から作製された3Dプリントワイヤは、より高い光沢を有し、より低い温度での印刷が可能である(105~165℃)。併せて、前記3Dプリントワイヤは、可撓性ワイヤとして使用することができ(ショア硬さ(D型):35~50)、分解性である。そのため、環境に優しいという利点および応用の見込みを有している。
【0406】
<熱収縮パイプ>
(実施例III-1)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、4kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は32モル%であった)、1kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は55モル%であった)、0.05kgの酸化防止剤300(ヒンダードフェノール酸化防止剤、化学工業部材料合成研究院製)、0.05kgのカーボンブラックを混合した。その後、二軸押出機を介して押出し、引き延ばし、空冷し、ペレット化した。このとき、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした。スクリューの回転速度は10rpmであり、トルクは20N・mであった。ポリエステル組成物III-A1を得た。
【0407】
前記ポリエステル組成物III-A1のペレットを、リング状ダイを備えたスクリュー押出機に供給し、180℃でパイプに押出し、40℃で水冷することにより成形した。さらに、このパイプを90℃に加熱し、内径が元の5倍になるように拡径し、40℃で冷却し成形して、熱収縮性スリーブIII-B1を得た。
【0408】
(実施例III-2)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、4.75kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は45モル%であった)、0.25kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は80モル%であった)、0.05kgの酸化防止剤300(ヒンダードフェノール酸化防止剤、化学工業部材料合成研究院製)、および0.05kgのカーボンブラックを混合した。その後、二軸押出機を介して押出し、引き延ばし、空冷し、ペレット化した。このとき、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした。スクリューの回転速度は20rpmであり、トルクは10N・mであった。ポリエステル組成物III-A2を得た。
【0409】
前記ポリエステル組成物III-A2のペレットを、リング状ダイを備えたスクリュー押出機に供給し、120℃でパイプに押出し、20℃で水冷することにより成形した。さらに、このパイプを70℃に加熱し、内径が元の5倍になるように拡径し、20℃で冷却し成形して、熱収縮性スリーブIII-B2を得た。
【0410】
(実施例III-3)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、4.25kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%であった)、0.75kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%であった)、0.05kgの酸化防止剤300(ヒンダードフェノール酸化防止剤、化学工業部材料合成研究院製)、および0.05kgのカーボンブラックを混合した。その後、二軸押出機を介して押出し、引き延ばし、空冷し、ペレット化した。このとき、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした。スクリューの回転速度は10rpmであり、トルクは20N・mであった。ポリエステル組成物III-A3を得た。
【0411】
前記ポリエステル組成物III-A3のペレットを、リング状ダイを備えたスクリュー押出機に供給し、160℃でパイプに押出し、25℃で水冷することにより成形した。さらに、このパイプを80℃に加熱し、内径が元の5倍になるように拡径し、25℃で冷却し成形して、熱収縮性スリーブIII-B3を得た。
【0412】
(実施例III-4)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、4.95kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は49モル%であった)、0.05kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は99モル%であった)、0.05kgの酸化防止剤300(ヒンダードフェノール酸化防止剤、化学工業部材料合成研究院製)、および0.05kgのカーボンブラックを混合した。その後、二軸押出機を介して押出し、引き延ばし、空冷し、ペレット化した。このとき、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした。スクリューの回転速度は10rpm、トルクは20N・mであった。ポリエステル組成物III-A4を得た。
【0413】
前記ポリエステル組成物III-A4のペレットを、リング状ダイを備えたスクリュー押出機に供給し、180℃でパイプに押出し、25℃で水冷することにより成形した。さらに、このパイプを90℃に加熱し、内径が元の5倍になるように拡径し、25℃で冷却し成形して、熱収縮性スリーブIII-B4を得た。
【0414】
(実施例III-5)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2.55kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%であった)、2.45kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%であった)、0.05kgの酸化防止剤300(ヒンダードフェノール酸化防止剤、化学工業部材料合成研究院製)、および0.05kgのカーボンブラックを混合した。その後、二軸押出機を介して押出し、引き延ばし、空冷し、ペレット化した。このとき、このとき、供給入口から押出し出口までの、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に190℃、200℃、210℃、220℃、220℃、210℃とした。スクリューの回転速度は10rpmであり、トルクは20N・mであった。ポリエステル組成物III-A5を得た。
【0415】
前記ポリエステル組成物III-A5のペレットを、リング状ダイを備えたスクリュー押出機に供給し、180℃でパイプに押出し、25℃で水冷することにより成形した。さらに、このパイプを90℃に加熱し、内径が元の5倍になるように拡径し、25℃で冷却し成形して、熱収縮性スリーブIII-B5を得た。
【0416】
(実施例III-6)
ポリエステルAをBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットのの含有量は45モル%であった)に変更し、ポリエステルBをBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%であった)に変更した以外は、実施例III-1の工程に準じて、ポリエステル組成物III-A6および熱収縮性スリーブIII-B6を得た。
【0417】
(実施例III-7)
ポリエステルAをBT-ES(エチレンスクシネート)コポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は45モル%であった)に変更し、ポリエステルBをBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%であった)に変更した以外は、実施例III-1の工程に準じて、ポリエステル組成物III-A7および熱収縮性スリーブIII-B7を得た。
【0418】
(実施例III-8)
ポリエステルAをBT-BAコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は45モル%であった)に変更し、ポリエステルBをBT-ESコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの総モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%であった)に変更した以外は、実施例III-1の工程に準じて、ポリエステル組成物III-A8および熱収縮性スリーブIII-B8を得た。
【0419】
(実施例III-9)
実施例III-1で使用した0.05kgのカーボンブラックの替わりに、0.05kgの二酸化チタンを使用した以外は、実施例III-1の工程に準じて、ポリエステル組成物III-A9および熱収縮性スリーブIII-B9を得た。
【0420】
(実施例III-10)
0.05kgの酸化防止剤300および0.05kgのカーボンブラックを加えなかった以外は、実施例III-1の工程に準じて、ポリエステル組成物III-A10および熱収縮性スリーブIII-B10を得た。
【0421】
(比較例III-1)
実施例III-1のポリエステルAを直接スリーブIII-DB1の作製に用い、実施例III-1のポリエステルBとの混合工程を含めなかった以外は、実施例III-1の工程に準じた。
【0422】
(比較例III-2)
実施例III-1のポリエステルBを直接スリーブIII-DB2の作製に用い、実施例III-1のポリエステルAとの混合工程を含めなかった以外は、実施例III-1の工程に準じた。
【0423】
(比較例III-3)
実施例III-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBT(DuPont社から購入、商品名「Crastin SC164 NC010」、以下同じ)を使用した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB3を作製した。
【0424】
(比較例III-4)
実施例III-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBTを使用した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB4を製造した。
【0425】
(比較例III-5)
実施例III-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(BASF社から購入、商品名「1111HTA4」、以下同じ)を使用した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB5を作製した。
【0426】
(比較例III-6)
実施例III-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBSを使用した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB6を作製した。
【0427】
(比較例III-7)
ポリエステルAの量を1kgに変更し、ポリエステルBの量を4kgに変更した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB7を作製した。
【0428】
(比較例III-8)
ポリエステルAの量を2.5kgに変更し、ポリエステルBの量を2.5kgに変更した以外は、実施例III-1の工程に準じて、スリーブIII-DB8を作製した。
【0429】
(比較例III-9)
PBTから直接スリーブIII-DB9を作製した以外は、実施例III-1の工程に準じた。
【0430】
(比較例10)
PBSから直接スリーブIII-DB10を作製した以外は、実施例III-1の工程に準じた。
【0431】
(試験例III-1~III-20)
収縮率試験:
収縮前の熱収縮性パイプの外径を、25℃にて、ノギスを用いて測定した。熱収縮性パイプを、80℃の定温下にて1時間オーブンに入れ、取り出し、25℃まで自然冷却した。その後、収縮後の熱収縮性パイプの外径を、ノギスを用いて測定した。収縮率の結果は、「収縮前の直径:収縮後の直径」として記録した。実施例III-1~III-10および比較例III-1~III-10で作製したスリーブの収縮率を、前記の方法により測定した。その結果を表3に示す。
【0432】
絶縁破壊試験:
絶縁破壊強度に関して、実施例III-1~III-10および比較例III-1~III-10で作製したスリーブ材料を、中国標準GB/T1408.1-2006の方法に従って試験した。その結果、実施例III-1~III-10で作製されたスリーブの絶縁破壊強度は、全て25kv/mm以上であった。このことは、本発明によって得られたスリーブが、良好な絶縁特性を有することを示している。
【0433】
分解性試験:
18kgの堆肥(堆肥化期間2ヶ月、北京南宮堆肥廠より提供)を使用した。試験を課すフィルム3gを入れ、適量の蒸留水を添加してから混合し、適宜攪拌した後、混合物を常温で静置した。3ヶ月後の重量減少が50%以上であるか否かを、生分解性の合否を評価する基準とした。表1に結果を示す。
【0434】
前記収縮率試験および分解性試験の結果を、表3に示す。
【0435】
また、実施例III-1~III-10で得られた熱収縮性スリーブは、常温常湿の清浄な環境においては、明瞭な変化を伴わずに1年間以上保存することができた。土壌環境、富栄養環境または堆肥環境の場合にのみ、著しい劣化が生じた。
【0436】
【0437】
前掲の表3の結果から分かるように、本発明では、特定の共重合体を(ポリエステルAおよびポリエステルB)、特定の割合(ポリエステルAの含有量:51~99重量%、ポリエステルBの含有量:1~49重量%)で配合することにより、熱収縮率が高く(5:4.5以上の高さ)、絶縁特性が高い熱収縮性スリーブが得られる。さらに、前記熱収縮性スリーブは、製造工程の間に架橋する必要がなく、高い分解性を示し、それゆえ広い市場空間を有している。
【0438】
<機能層(スポーツプロテクター)>
(実施例IV-1)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、5分間)下で、150gのBT-BAコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)粒子、20gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量110,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)粒子、20gのガラス繊維(Taishan Fiberglass Inc、Tademark T536、以下同じ)、10gの無水硫酸カルシウム(Tianjin Zhiyuan Chemical Reagents Co、Ltd.、analytical)を十分に混合した。得られた混合物を二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを40N・mとし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に180℃、190℃、195℃、195℃、195℃、195℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物IV-A1を得た。
【0439】
(実施例IV-2)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、5分間)下で、171gのBT-BAコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が40モル%である)粒子、9.5gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量110,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が15モル%である)粒子、9.5gのガラス繊維、10gの無水硫酸カルシウムを、十分に混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを40N・mとし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に180℃、190℃、195℃、195℃、195℃、195℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物IV-A2を得た。
【0440】
(実施例IV-3)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、5分間)下で、114gのBT-BAコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が23モル%である)粒子、57gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量110,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が5モル%である)粒子、19gのガラス繊維、および10gの無水硫酸カルシウムを、十分に混合した。得られた混合物を二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを40N・mとし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に180℃、190℃、195℃、195℃、195℃、195℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物IV-A3を得た。
【0441】
(実施例IV-4)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、5分間)下で、95gのBT-BAコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が45モル%である)粒子、85.5gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量110,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が20モル%である)粒子、9.5gの玄武岩繊維および10gの無水硫酸カルシウムを十分に混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを40N・mとし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に180℃、190℃、195℃、195℃、195℃、195℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物IV-A4を得た。
【0442】
(実施例IV-5)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、5分間)下で、95gのBT-BAコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は20モル%である)粒子、9.5gのPBT(Crastin SC164 NC010の名称でDuPont社から購入)粒子、85.5gの玄武岩繊維、および10gの無水硫酸カルシウムを完全に混合した。得られた混合物を二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを40N・mとし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に180℃、190℃、195℃、195℃、195℃、195℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物IV-A5を得た。
【0443】
(実施例IV-6)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%であった)であったこと;ポリエステルBがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量110,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%であった)であったことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-A6を得た。
【0444】
(実施例IV-7)
ポリエステルAがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)であったことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-A7を得た。
【0445】
(実施例IV-8)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)であったことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-A8を得た。
【0446】
(実施例IV-9)
無水硫酸カルシウムを添加しなかったことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-A9を得た。
【0447】
(比較例IV-1)
実施例IV-1で使用した170gのポリエステルA、20gのガラス繊維および10gの無水硫酸カルシウムを、実施例IV-1で使用したポリエステルBを添加せずに混合したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D1を得た。
【0448】
(比較例IV-2)
実施例IV-1で使用した170gのポリエステルB、20gのガラス繊維および10gの無水硫酸カルシウムを、実施例IV-1で使用したポリエステルAを添加せずに混合したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D2を得た。
【0449】
(比較例IV-3)
実施例IV-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入)を使用したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D3を得た。
【0450】
(比較例IV-4)
実施例IV-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入)を使用したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D4を得た。
【0451】
(比較例IV-5)
実施例IV-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(商品名「1111HTA4」、BASF社から購入、以下同じ)を使用したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D5を得た。
【0452】
(比較例IV-6)
ガラス繊維を添加しなかったことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D6を得た。
【0453】
(比較例IV-7)
ポリエステルAの量を20g、ポリエステルBの量を150gとした以外は、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D7を得た。
【0454】
(比較例IV-8)
190gのPBTおよび10gの無水硫酸カルシウムを混合したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D8を得た。
【0455】
(比較例IV-9)
190gのPBSおよび10gの無水硫酸カルシウムを混合したことを除いて、実施例IV-1の方法に従った。ポリエステル組成物IV-D9を得た。
【0456】
(試験例IV-1~IV-18)
1.硬度試験
実施例IV-1~IV-9および比較例IV-1~IV-9で製造したポリエステル組成物をそれぞれ溶融し、170℃および1000MPaで5分間処理し、厚さ4mmおよび一辺の長さが7cmの板状にプレスした。熱い板を、取り出し、室温に長期間放置した冷たい鉄ブロックで1分間急冷し、それから取り出し、室温(25℃)で1時間放置した。放置後の板を、Drick shore Dハンドヘルドデュロメーターを用いて測定し、測定結果を15秒後に記録した。その後、ホットステージ上で90℃まで加熱し、同様の方法でショアD硬度も測定した。結果を表4に示す。
【0457】
2.形状記憶特性試験
実施例IV-1~IV-9および比較例IV-1~IV-9で製造したポリエステル組成物から、それぞれ試験片を作製し、形状記憶特性試験を行った。結果を表4に示す。ポリエステル組成物の形状記憶特性は、インストロン5965引張試験機(インキュベーター付き)を用いて以下のように測定した。
【0458】
ポリエステル組成物の試験片は、室温で初期長さaを有し、インキュベーターの温度を80℃に上昇させると十分に軟化し、50mm/分の延伸速度の状態で長さbに延伸した;延伸長さが変化しないように外力を維持し、温度を低下させ、試験片を固化させて外力を除去したときの試験片の長さは「c」であった;試験片の温度は再び80℃に上昇させ試験片が十分に収縮したときの試験片の長さは「d」であった。
【0459】
変形固定率(%)=(c-A)/(b-A)×100%;
変形回復率(%)=(c-d)/(c-a)×100%;
最大変形率(%)=bmax/a×100%
ここで、bmaxは、試験片が損傷を受けるまでに到達し得る最大b値であった。
【0460】
【0461】
前記表4の結果から、実施例IV-1~IV-9と比較すると、実施例IV-1~IV-9のポリエステル組成物は高温(90℃)では硬度が低く、低温(25℃)では硬度が著しく上昇しており、成形が容易であったことが分かる。また、実施例IV-1~IV-9のポリエステル組成物は、比較的高い変形固定率(90%以上)、変形回復率(90%以上)、最大変形率(280%以上)を有していた。前記結果は、本発明によって提供されるポリエステル組成物が、良好な低温可塑性および形状記憶特性を有することを示している。
【0462】
(実施例IV-10)
実施例IV-1で得られたポリエステル組成物IV-A1を、170℃の温度で射出成形することによって歯のプロテクターとして成形した(アルミニウム金型に注入し、常温(25℃)でU字の型として取り出した)。得られたU字の型を90℃の熱水中で軟化させた後、0℃まで急冷し、口内に入れ、上下の歯によって咬み合せ、歯の輪郭を作り、トリミング後に、
図1および
図2に示すように、完成した歯のプロテクターを得た。
【0463】
歯のプロテクターが着用されるとき、または使用のために不快であったとき、歯のプロテクターは、90℃の温水中で再び軟化され、0℃まで急冷され、口内に入れ、上下の歯によって咬み合せ、歯の輪郭を形成し、トリミング後に歯とより適合した形状の完成した歯のプロテクターを新たに得た。
【0464】
(実施例IV-11)
実施例IV-1で得られたポリエステル組成物IV-A1を、175℃の温度で射出成形することにより、膝パッドの中間層を形成した(アルミニウム金型に射出し、常温(25℃)で型として取り出した)。得られた型を90℃の熱水中で軟化させた後、0℃まで急冷し、膝関節の表面に押し付けて膝関節輪郭を形成し、トリミング後に膝パッドの中間層を得た。そして、得られた膝パッドの中間層の内面を、綿材の内層にテープで留め、膝パッドの中間層の外面をアルミニウム合金材の外層に接着性のバックルで留め、中間層をいつでも取り外せるようにした。これにより、
図3および
図4に示すように、外層、中間層および内層を一緒に組み立て、完成した膝パッドとした。
【0465】
膝パッドが着用されるとき、または使用のために不快であったとき、再び90℃の温水中で軟化させ、0℃まで急冷し、膝関節の表面に押し付けて膝関節輪郭を形成し、トリミング後に膝関節とより適合した形状の膝パッドの中間層を新たに得た。
【0466】
(実施例IV-12)
実施例IV-1で得られたポリエステル組成物IV-A1を、180℃の温度で射出成形することによって上半身防護服の中間層として形成した(アルミニウム金型に射出し、常温(25℃)で型として取り出した)。得られた型を90℃の熱水中で軟化させ、0℃まで急冷し、上半身の表面の周りに押し付けて上半身の輪郭を形成し、トリミング後に上半身プロテクターの中間層を得た。そして、得られた上半身防護服の中間層の内面をスパンデックス材の内層にテープで留め、上半身防護服の中間層の外面をPBS材の外層に接着性のバックルで留め、中間層をいつでも取り外せるようにした。これにより、
図5および
図6に示すように、外層、中間層および内側層を一緒に組み立て、完成した上半身防護服とした。
【0467】
上半身用保護具をするとき、または使用のために不快であったとき、再び90℃の温水中で上半身用保護具を軟化させた後、0℃まで急冷し、上半身の表面に押し付けて上半身の輪郭を形成し、トリミング後に上半身とより適合した形状の上半身用保護具の中間層を新たに得た。
【0468】
(実施例IV-13)
実施例IV-1で得られたポリエステル組成物IV-A1を、185℃の温度で射出成形することによってヘルメットの中間層として形成した(アルミニウム金型に射出し、常温(25℃)で型として取り出した)。得られた型を90℃の熱水中で軟化させ、0℃まで急冷し、頭部の表面に押し付けて頭部の輪郭を形成し、トリミング後にヘルメットの中間層を得た。次に、得られたヘルメットの中間層の内面をスポンジ材の内層に接着性のバックルで留め、膝パッドの中間層の外面をアルミニウム合金材の外層に接着性のバックルで留めた。
図7に示すように、外層、中間層および内層もバックルによって固定し、一緒に組み立て、完成したヘルメットにした。
【0469】
ヘルメットを着用するとき、または使用するために不快であったとき、ヘルメットを90℃の温水中で再び軟化させ、0℃まで急冷し、頭部の表面に押し付けて頭部輪郭を形成し、トリミング後に頭部とより適合した形状のヘルメットの中間層を新たに得た。
【0470】
前記実施例IV-10~IV-13から、本発明により提供されるポリエステル組成物をスポーツプロテクターに使用した場合、異なる適用部分に従って成形することができ、その結果、身体とより適合したプロテクターはより快適であり、製造が容易であり、さらに、本発明のスポーツプロテクターが着用するとき、またはわずかに損傷を受けたとき、温度を上昇させることおよび低温再成形を介して軟化することによって、元の外観に再び回復することができた。
【0471】
〔医療の四肢固定装具〕
(実施例V-1)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、7kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量30モル%である)粒子、3kgのBT-BAコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量70モル%である)粒子、および1kgの酸化鉄を混合した。得られた混合物を二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mとし、供給入口から押出し出口までで、二軸押出機の種々の部分の温度を連続的に150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物V-A1を得た。
【0472】
(実施例V-2)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、8kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量25モル%である)粒子、2kgのBT-BAコポリエステルB(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量50モル%である)粒子、および1kgの二酸化チタンを混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mにし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物V-A2を得た。
【0473】
(実施例V-3)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、9kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量30モル%である)粒子、1kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量60モル%である)粒子、および1kgの二酸化チタンを混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mにし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物V-A3を得た。
【0474】
(実施例V-4)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、9.9kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量40モル%である)粒子、0.1kgのBT-BAコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量80モル%である)粒子、および1kgの酸化鉄を混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mにし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物V-A4を得た。
【0475】
(実施例V-5)
攪拌条件(攪拌速度30rpm、10分間)下で、5.1kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量20モル%である)粒子、4.9kgのBT-BAコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量41モル%である)粒子、および1kgの酸化鉄を混合した。得られた混合物を、二軸押出機(スクリューの回転速度を10rpmに制御し、トルクを20N・mにし、供給入口から押出し出口まで、二軸押出機における種々の部分の温度を連続的に150℃、160℃、170℃、170℃、170℃、170℃とした)を介して押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物V-A5を得た。
【0476】
(実施例V-6)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%である)であったことを除いて、実施例V-1の方法に従った。ポリエステル組成物V-A6を得た。
【0477】
(実施例V-7)
ポリエステルAがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%である)であったことを除いて、実施例V-1の方法に従った。ポリエステル組成物V-A7を得た。
【0478】
(実施例V-8)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は70モル%である)であったことを除いて、実施例V-1の方法に従った。ポリエステル組成物V-A8を得た。
【0479】
(実施例V-9)
酸化鉄を添加しなかったことを除いて、実施例V-1の方法に従った。ポリエステル組成物V-A9を得た。
【0480】
(比較例V-1)
実施例V-1で使用した10kgのポリエステルAおよび1kgの酸化鉄を、実施例V-1で使用したポリエステルBを添加せずに混合したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D1を得た。
【0481】
(比較例V-2)
実施例V-1で使用した10kgのポリエステルBおよび1kgの酸化鉄を、実施例V-1で使用したポリエステルAを添加せずに混合したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D2を得た。
【0482】
(比較例V-3)
実施例V-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入)を使用したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D3を得た。
【0483】
(比較例V-4)
実施例V-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入)を使用したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D4を得た。
【0484】
(比較例V-5)
実施例V-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(商品名「1111HTA4」、BASF社から購入、以下同じ)を使用したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D5を得た。
【0485】
(比較例V-6)
実施例V-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBSを使用したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D6を得た。
【0486】
(比較例V-7)
ポリエステルAの量を3kg、ポリエステルBの量を7kgにしたことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D7を得た。
【0487】
(比較例V-8)
ポリエステルAの量を5kg、ポリエステルBの量を5kgにしたことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D8を得た。
【0488】
(比較例V-9)
10kgのPBTおよび1kgの酸化鉄を混合したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D9を得た。
【0489】
(比較例V-10)
10kgのPBSおよび1kgの酸化鉄を混合したことを除いて、実施例V-1の方法に従った。組成物V-D10を得た。
【0490】
(比較例V-11)
医療用の硫酸カルシウム粒子(Osteosetペレット、Wright社、米国)を、V-D11として直接使用した。
【0491】
(試験例V-1~V-20)
1.ショアA硬度試験
実施例V-1~V-9および比較例V-1~V-11で得た材料をそれぞれ溶融した後に、170℃および1000MPaで5分間処理し、厚さ4mm、一辺の長さが7cmの板状にプレスした。熱い板を取り出し、室温に長期間置いた冷たい鉄ブロックで1分間急冷し、時刻ゼロを記録した。急冷したプレートを、時間に応じたショアA硬度の試験に供した(Drick Shore Aハンドヘルドデュロメーターを測定に使用し、3秒後の測定結果を記録した)。結果を下記の表5-1に示す。
【0492】
【0493】
前記表5-1の結果から分かるように、実施例V-1~V-9で得られたポリエステル組成物V-A1~V-A9は、試験開始時の硬度が比較的低く(比較的高温)、冷却後の時間とともに徐々に硬度が上昇した。それにもかかわらず、比較例V-1~V-11で得られた材料V-D1~V-D11は試験開始時に非常に高い温度を有し、時間とともに変化しなかった。比較すると、実施例V-1~V-9で得られたポリエステル組成物V-A1~V-A9は良好な可塑性および固定性を有し、医療用手足固定具の製造に適していることが分かった。
【0494】
2.耐水性試験
実施例V-1~V-9および比較例V-1~V-11で得られた材料をそれぞれ溶融した後に、170℃および1000MPaで5分間処理し、厚さ2mm、一辺の長さが7cmの板にプレスした。板の重量を計り、サイズを測定し、写真撮影し、その外観を観察した。板を、25℃の水に24時間浸漬し、取り出し、乾燥させ、観察し、その重量を計り、サイズを測定し、写真撮影し、外観を観察した。水に浸漬した後の板状の外観が、水に浸漬する前の外観と比べて変化しなかった場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。水に浸漬した後の板状のサイズが、水に浸漬した前のサイズと比べて約±2%以内で変化した場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。水に浸漬した後の板の重量が、水に浸漬する前と比べて約±2%以内で変化した場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。結果を表5-2に示す。
【0495】
3.保存時間試験
実施例V-1~V-9および比較例V-1~V-11で得られた材料をそれぞれ溶融した後に、170℃および1000MPaで5分間処理し、厚さ2mm、一辺の長さが7cmの板にプレスした。板の重量を計り、サイズを測定し、写真撮影し、その外観を観察した。次に、得られたプレートを室温(25℃)、常圧環境に2年間放置し、板の重量を計り、その大きさを測定し、写真撮影し、その外観を観察した。板の外観が、放置前と比べて、2年間放置した後に変化しなかった場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。板状サイズが、放置前と比べて、2年間放置した後に変化しなかった場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。2年間放置した後の板の重量が、放置前と比べて約±2%以内で変化した場合、「変化なし」と記録し、そうでない場合、「変化した」と記録した。結果を表5-2に示す。
【0496】
4.X線透過率試験
実施例V-1~V-9および比較例V-1~V-11で得られた材料をそれぞれ溶融した後に、170℃および1000MPaで5分間処理し、厚さ2mm、一辺の長さが1cmにプレスし、正方形の板に切断した。切断した板をBruker D8 Discovery 2D WAXDスキャトロメータ上に置き、透過法で測定し、散乱角に対する散乱強度の散乱曲線を求め、5°~30°の散乱角内のピーク面積を積分し、積分値をInt-1とした。また、比較例V-11の無水硫酸カルシウムに少量の水を加えてペースト状にし、1cm×1cmの正方形の溝に、溝の底から2mmまで入れ、約15分間待ち、1cm×1cm×2mmの石膏板とした。石膏板について、前記と同様の方法でX線散乱測定を行い、得られたピーク面積積分値をInt-2とした。Int-1/Int-2の値が10より大きいとき、サンプルが優れたX線透過率を有していることを示し、「良好」と記録し;比が2~10のとき、サンプルが通常のX線透過率を有していることを示し、「通常」と記録し;比が2未満のとき、サンプルがX線透過率を有していないことを示し、「透過なし」と記録した。結果を表5-2に示す。
【0497】
【0498】
前記表5-2の結果から、本発明のポリエステル組成物は、良好な耐水性を有しており、保存および輸送時に防水包装などの特殊な包装を必要とせず、さらに室温で少なくとも2年間は劣化しないままであり、硫酸カルシウムによって作製された従来の板の重量のわずか約1/5の小さい重量を有しており、同時に、優れたX線透過性を有していたことが分かった。
【0499】
(実施例V-10)
実施例V-1で得られたポリエステル組成物V-A1を溶融した後に、170℃、1000MPaでプレスし、厚さ2mm、一辺の長さが7cmの板を得た。板がまだ熱いときに、7mmの直径を有するパンチャーを用いて、板をパンチし、均等に4つの穴を空けた。約1時間後に、板は、完全に硬化し、医療四肢固定装具として使用可能であった。
【0500】
使用時に、医療四肢固定装具を熱水(約100℃)に約10秒間入れ、医療四肢固定装具を十分に軟化させた。次に、医療四肢固定用装具を、取り出し、手に熱くない程度に冷水で冷やし、乾燥させ、固定を要する肢部(指など)に巻き付け、医療四肢固定用装具が肢に適合するように穏やかに押圧した。約5分間待った後、医療四肢固定装具を部分的に硬化させ、肢の形状に適合するように固定した。四肢の大きな動きは回避され、約30分間待った後に、医療用手足固定具は、四肢を保護し固定する目的を達成するために、完全に硬化した。特定の硬化した医療用手足固定具を
図8および
図9に示す。
【0501】
硬化した医療四肢固定装具と肢との間の適合が十分でない場合、硬化した医療四肢固定装具を、100℃の熱水に改めて入れ、それを再び軟化させ、次いで、固定を要する四肢の部分にふたたび巻き付けられ、硬化後に四肢と適合している形状にした。
【0502】
以上の結果は、本発明により提供されるポリエステル組成物を用いて製造された医療用肢固定化装具が高温条件下(例えば、熱水中、特に沸騰水中)で十分に軟化することができ、軟化した材料は適切なサイズおよび形状に切断され、固定を要する四肢の部分に巻き付けられた後、切断することが容易であり、硬化し、自己接着することができ、それによって良好な成形および固定目的を達成することを示した。さらに、前記プロセスは可逆的であり、四肢の部分に応じて再成形を達成することができた。
【0503】
また、医療四肢固定用装具は、取り外しと洗浄が容易であり、同時に、熱可塑性処理(架橋剤を使用しない)を用いないため、良好な分解性を有し、残りをリサイクルし、再利用することができた。
【0504】
〔熱収縮性フィルム〕
(実施例VI-1)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は35モル%である)粒子、BT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は15モル%である)粒子、0.5kgの炭酸カルシウム、および0.01kgのエルシルアミドを混合した。それから、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、190℃、190℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VI-A1を得た。
【0505】
前記ポリエステル組成物VI-A1ペレットを射出形成機に通し、150℃で射出形成し、厚さ0.2mmのフィルムを得た。このフィルムを室温(25℃)で10時間置き、次いで、単軸引張機で、60℃で元の長さの5倍に延伸して、熱収縮性フィルムVI-B1を製造した。
【0506】
(実施例VI-2)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、1.8kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は38モル%である)粒子、1.2kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は3モル%である)粒子、0.5kgの炭酸カルシウム、および0.01kgのエルシルアミドを混合し、それから、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、190℃、190℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VI-A2を得た。
【0507】
前記ポリエステル組成物VI-A2ペレットを射出成型機に通し、150℃で射出成形して、厚さ0.2mmのフィルムを得た。このフィルムを室温(25℃)で10時間置き、次いで、単軸引張機で、60℃で元の長さの4.5倍に延伸し、熱収縮性フィルムVI-B2を製造した。
【0508】
(実施例VI-3)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2.7kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は28モル%である)粒子、0.3kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量が15モル%である)粒子、0.5kgの炭酸カルシウム、および0.01kgのエルシルアミドを混合し、次いで、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、190℃、190℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VI-A3を得た。
【0509】
前記ポリエステル組成物VI-A3ペレットを射出成型機に通し、150℃で射出成形して、厚さ0.2mmのフィルムを得た。このフィルムを室温(25℃)で10時間置き、次いで、単軸引張機で、60℃で元の長さの4倍に延伸して、熱収縮性フィルムVI-B3を製造した。
【0510】
(実施例VI-4)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2.97kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が40モル%である)粒子、0.03kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が20モル%である)粒子、0.5kgの炭酸カルシウム、および0.01kgのエルシルアミドを混合し、次いで、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、190℃、190℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VI-A4を得た。
【0511】
前記ポリエステル組成物VI-A4ペレットを射出成型機に通し、150℃で射出成形して、厚さ0.2mmのフィルムを得た。このフィルムを室温(25℃)で10時間置き、次いで、単軸引張機で、60℃で元の長さの4倍に延伸して、熱収縮性フィルムVI-B4を製造した。
【0512】
(実施例VI-5)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、1.53kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量が20モル%である)粒子、1.47kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は1モル%である)粒子、0.5kgの炭酸カルシウム、および0.5kgのエルシルアミドを混合し、次いで、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、190℃、190℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VI-A5を得た。
【0513】
前記ポリエステル組成物VI-A5ペレットを射出成型機に通し、150℃で射出成形して、厚さ0.2mmのフィルムを得た。フィルムを室温(25℃)で10時間置き、次いで、単軸引張機で、60℃で元の長さの1.5倍に延伸して、熱収縮性フィルムVI-B5を製造した。
【0514】
(実施例VI-6)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は35モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は15モル%である)であったことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。ポリエステル組成物VI-A6および熱収縮性フィルムVI-B6を得た。
【0515】
(実施例VI-7)
ポリエステルAがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は35モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は15モル%である)であったことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。ポリエステル組成物VI-A7および熱収縮性フィルムVI-B7を得た。
【0516】
(実施例VI-8)
ポリエステルAがBT-BO(シュウ酸ブチレン)コポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびBO繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は35モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は15モル%である)であったことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。ポリエステル組成物VI-A8および熱収縮性フィルムVI-B8を得た。
【0517】
(実施例VI-9)
実施例VI-1で使用した0.5kgの炭酸カルシウムおよび0.01kgのエルシルアミドの替わりに、0.2kgのカーボンブラックおよび0.2kgの二酸化チタンを使用したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。ポリエステル組成物VI-A9および熱収縮性フィルムVI-B9を得た。
【0518】
(実施例VI-10)
0.5kgの炭酸カルシウムおよび0.01kgのエルシルアミドを添加しなかったことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。ポリエステル組成物VI-A10および熱収縮性フィルムVI-B10を得た。
【0519】
(比較例VI-1)
実施例VI-1のポリエステルAを、実施例VI-1のポリエステルBと混合する工程なしに、膜VI-DB1に直接製造したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0520】
(較例VI-2)
実施例VI-1のポリエステルBを、実施例VI-1のポリエステルAと混合する工程なしに、膜VI-DB2に直接製造したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0521】
(比較例VI-3)
膜VI-DB3を製造するために実施例VI-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入、以下同じ)を使用したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0522】
(比較例VI-4)
実施例VI-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBTを使用して膜VI-DB4を製造したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0523】
(比較例VI-5)
膜VI-DB5を製造するために、実施例VI-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(商品名「1111HTA4」、BASF社から購入、以下同じ)を使用したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0524】
(比較例VI-6)
実施例VI-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBSを使用して膜VI-DB6を製造したことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0525】
(比較例VI-7)
ポリエステルAの量を1kgとし、ポリエステルBの量を2kgとしたことを除いて、実施例VI-1の方法に従って、膜VI-DB7を製造した。
【0526】
(比較例VI-8)
ポリエステルAの量を1.5kgとし、ポリエステルBの量を1.5kgとしたことを除いて、実施例VI-1の方法に従って、膜VI-DB8を製造した。
【0527】
(比較例VI-9)
PBTを直接フィルムVI-DB9にしたことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0528】
(比較例VI-10)
PBSを直接フィルムVI-DB10にしたことを除いて、実施例VI-1の方法に従った。
【0529】
(試験例VI-1~VI-20)
熱収縮率試験:実施例VI-1~VI-10および比較例VI-1~VI-10で製造した膜を、Labthink Thermotek 2710熱収縮率計器で70℃の環境下で5秒間加熱することによって、熱収縮率(%)についてそれぞれ試験した。
【0530】
ヒートシール強度試験:Brugger Munchen HSG-Cヒートシーラーを用いて25μmのポリテトラフルオロエチレンで包んだ後に、対応する膜の各2層を90℃、100Nの圧力で2秒間加熱シールし、次に実施例VI-1~VI-10および比較例VI-1~VI-10で製造した膜のヒートシール強度(N/15mm)を、QB/T 2358-1998の試験方法に従って、インストロン 5965引張試験機(50mm/分の速度)でそれぞれ試験した。
【0531】
実施例VI-1~VI-10および比較例VI-1~VI-10で製造したフィルムの生分解性試験は、それぞれ以下の方法で行った。具体的には北京南京堆肥工場が提供している18gの堆肥(肥齢2ヶ月)を用い、試験対象フィルム3gを添加し、適量の蒸留水を加え、混合し、適度に攪拌した後、常温(25℃)に置いた。質量損失が3ヶ月で50%を超えたか否かが、生分解が合格であるか否かを評価する基準であった。
【0532】
前記試験の結果を表6に示す。
【0533】
さらに、実施例VI-1~VI-10で得られた熱収縮性フィルムは、常温常湿の清浄な環境では明らかな変化なしに、少なくとも1年間貯蔵することができ、土壌、富栄養化または堆肥の場合にのみ、著しい分解が起こった。
【0534】
【0535】
前記表6の結果から分かるように、本発明では70%以上の加熱収縮率を有する熱収縮性フィルムを得ることができたうえに、特定の比率(ポリエステルAの含有量は51~99重量%、ポリエステルBの含有量は1~49重量%である)で特定の共重合体(ポリエステルAおよびポリエステルB)を混合することにより、10%の加熱収縮率を有するフィルムを得ることができ、本発明では、調合およびポリエステル構造の調整によって、フィルムの加熱収縮率を広範囲に変化させることができることが示された。さらに、本発明によって得られた熱収縮性フィルムは適切なヒートシール強度(11~19N/15mmまで)を有し、フィルムは平坦な表面および良好な光沢を有し、分解性であり、繰り返し熱可塑的に処理およびリサイクルすることができ、したがって、明らかに環境に優しい利点および工業的用途の見通しを有していた。
【0536】
〔不織布基材〕
実施例VII-1
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、3kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は18モル%である)粒子、2kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%である)粒子、および0.25kgの酸化防止剤300(化学工業大学の物質合成研究所によって製造されたヒンダードフェノール酸化防止剤、以下同じ)を混合し、二軸押出機(供給口から二軸押出機の種々な部分の温度を連続的に170℃、180℃、185℃、185℃、190℃、190℃とした)を介して延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VII-A1を得た。
【0537】
前記ポリエステルポリマーVII-A1をスパンボンディング機のスクリュー(スクリューの第1区域の温度が185℃、第2区域の温度が190℃、第3区域の温度が205℃、スピニング温度が195℃、計量ポンプの回転速度が20r/分、ウェブの形成速度が17m/分、熱間圧延温度が105℃である)に加え、不織布VII-B1を得た。
【0538】
(実施例VII-2)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、3.5kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は5モル%である)粒子、1.5kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)粒子、および0.25kgの酸化防止剤300を混合し、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、185℃、185℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VII-A2を得た。
【0539】
前記ポリエステルポリマーVII-A2をスパンボンディング機のスクリュー(スクリューの第1区域の温度が185℃、第2区域の温度が190℃、第3区域の温度が205℃、スピニング温度が195℃、計量ポンプの回転速度が20r/分、ウェブの形成速度が17m/分、熱間圧延温度が105℃である)に加え、不織布VII-B2を得た。
【0540】
(実施例VII-3)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2.75kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は12モル%である)粒子、BT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)粒子、および0.25kgの酸化防止剤300を混合し、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、185℃、185℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VII-A3を得た。
【0541】
前記ポリエステルポリマーVII-A3をスパンボンディング機のスクリュー(スクリューの第1区域の温度が185℃、第2区域の温度が190℃、第3区域の温度が205℃、スピニング温度が195℃、計量ポンプの回転速度が20r/分、ウェブの形成速度が17m/分、熱間圧延温度が105℃である)に加え、不織布VII-B3を得た。
【0542】
(実施例VII-4)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、4.95kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)粒子、0.05kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は80モル%である)粒子、および0.25kgの酸化防止剤300を混合し、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、185℃、185℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VII-A4を得た。
【0543】
前記ポリエステルポリマーVII-A4をスパンボンディング機のスクリュー(スクリューの第1区域の温度が185℃、第2区域の温度が190℃、第3区域の温度が205℃、スピニング温度が195℃、計量ポンプの回転速度が20r/分、ウェブの形成速度が17m/分、熱間圧延温度が105℃である)に加え、不織布VII-B4を得た。
【0544】
(実施例VII-5)
攪拌条件(攪拌速度30r/分、10分間)下で、2.55kgのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は1モル%である)粒子、2.45kgのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は26モル%である)粒子、および0.25kgの酸化防止剤300を混合し、二軸押出機(供給入口から押出し出口まで、二軸押出機内の種々の部分の温度を連続的に170℃、180℃、185℃、185℃、190℃、190℃とした)を介して押出し、延伸し、空冷し、ペレット化した。ポリエステル組成物VII-A5を得た。
【0545】
前記ポリエステルポリマーVII-A5をスパンボンディング機のスクリュー(スクリューの第1区域の温度が185℃、第2区域の温度が190℃、第3区域の温度が205℃、スピニング温度が195℃、計量ポンプの回転速度が20r/分、ウェブの形成速度が17m/分、熱間圧延温度が105℃である)に加え、不織布VII-B5を得た。
【0546】
(実施例VII-6)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量120,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は18モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%である)であったことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VII-A6および不織布VII-B6を得た。
【0547】
(実施例VII-7)
ポリエステルAがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は18モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量200,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%である)であったことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VII-A7および不織布VII-B7を得た。
【0548】
(実施例VII-8)
ポリエステルAがBT-BOコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびBO繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は18モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量500,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は50モル%である)であったことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VII-A8および不織布VII-B8を得た。
【0549】
(実施例VII-9)
実施例VII-1で使用した0.25kgの酸化防止剤300の替わりに、同じ重量の0.25kgの二酸化チタンを使用したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VII-A9および不織布VII-B9を得た。
【0550】
(実施例VII-10)
0.25kgの酸化防止剤300を添加しなかったことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VII-A10および熱収縮性フィルムVII-B10を得た。
【0551】
(比較例VII-1)
実施例VII-1のポリエステルAを、実施例VII-1のポリエステルBとブレンドする工程なしに、実施例VII-1のポリエステルAを不織布VII-DB1に直接製造したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0552】
(比較例VII-2)
実施例VII-1のポリエステルBを、実施例VII-1のポリエステルAとブレンドする工程なしに、実施例VII-1のポリエステルBを不織布VII-DB2に直接製造したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0553】
(比較例VII-3)
実施例VII-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入、以下に同じ)を使用して、不織布VII-DB3を得たことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0554】
(比較例VII-4)
実施例VII-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBTを使用したことを除いて、実施例VII-1の方法に従い、不織布VII-DB4を得た。
【0555】
(比較例VII-5)
不織布VII-DB5を得るために、実施例VII-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(商品名「1111HTA4」、BASF社から購入、以下同じ)を使用したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0556】
(比較例VII-6)
実施例VII-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBSを使用したことを除いて、実施例VII-1の方法に従い、不織布VII-DB6を得た。
【0557】
(比較例VII-7)
ポリエステルAの量を2kgとし、ポリエステルBの量を3kgとしたことを除いて、実施例VII-1の方法に従い、不織布VII-DB7を得た。
【0558】
(比較例VII-8)
ポリエステルAの量を2.5kgとし、ポリエステルBの量を2.5kgとしたことを除いて、実施例VII-1の方法に従い、膜VII-DB8を得た。
【0559】
(比較例VII-9)
PBTから不織布VII-DB9に直接製造したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0560】
(比較例VII-10)
PBSから不織布VII-DB10に直接製造したことを除いて、実施例VII-1の方法に従った。
【0561】
(試験例VII-1~VII-20)
吸水試験は、2つの方法、すなわち、不織布水滴下試験および材料自体の水に対する接触角試験によって検証された。具体的な試験方法は以下の通りであった。
【0562】
水滴下試験:得られた不織布の表面に脱イオン水をピペットで滴下した。水滴が不織布を通って支障なく浸透した場合、結果「浸透した」と記録した。水滴が表面に漂い、良好な形状(蓮の葉の表面にある水滴と類似)を維持した場合、結果「滴」と記録した。
【0563】
接触角試験:各実施例または比較例で得られた組成物を、170℃、4000kgの圧力で、70mm×70mm×1mmの板にプレスした。続いて、ピペッティングガンを用いて、プレスした板の表面に脱イオン水を注意深く滴下し、カメラのマクロモード側から水滴の形状を撮影し、写真から材料表面に対する水滴の接触角を読んだ。接触角が90°未満のとき、結果「親水性」と記録し、接触角が90°より大きいとき、結果「疎水性」と記録した。
【0564】
ガス透過試験:バルーンを、約1mmの内径を有する細管に押し込み、バルーンに気体を満たして同じ大きさにした。バルーンは細管を通して自由に収縮し、時刻をt1と記録した。続いて、実施例または比較例の不織布の小片を用いて、細管の口を塞ぎ、空になるまでの時間を試験し、t2と記録した。t2が2×t1未満である場合、結果「ガス透過性」と記録し、そうでない場合、結果「ガス不透過性」と記録した。
【0565】
エタノール耐性試験:エタノール耐性試験は、不織布がエタノールと反応するか否か、またはエタノール滅菌中にエタノールに溶解するが否か(不織布の滅菌の容易さを反映している)を示すために用いた。具体的には、2gの不織布サンプルを75vol%エタノールに入れ、室温で24時間放置した後、風乾し、その表面を観察し、重量を量った。サンプルが、(1)外観に明らかな変化がなく、(2)元の重量の99%以上の重量であるという条件を同時に満たすとき、結果「耐性あり」と記録し、そうでない場合、結果「不安定」と記録した。
【0566】
熱収縮試験:熱水(80℃、90℃、95℃)に10cm×10cmの不織布をそれぞれ10秒間入れ、取り出し、サイズを測定し、不織布のうち縮小部分の面積の、初期面積に基づく割合を算出した。
【0567】
前記水滴下試験、接触角試験、ガス透過試験、耐エタノール性試験および熱収縮試験の結果を表7-1および表7-2に示す。
【0568】
【0569】
【0570】
(試験例VII-1~VII-20)
実施例VII-1~VII-10および比較例VII-1~VII-10で製造した不織布のそれぞれから使い捨て手術着を作製し、臨床使用後、廃棄した使い捨て手術着を殺菌のために沸騰水に浸漬した。
【0571】
実施例VII-1~VII-10で得られた不織布VII-B1~VII-B10により製造された使い捨て手術着は、沸騰水で大きく収縮し、体積が著しく減少して再生を容易にすることが分かった。さらに、不織布を作製するための原料として、回収した出発物質をスパンボンドマシンに加え、実施例VII-1のスパンボンド法の条件に従って、新たに不織布を得た。また、新たに得られた不織布は前記実施例VII-1~VII-10で製造した不織布VII-B1~VII-B10と同様の特性を有し、使い捨て医療用織物の出発物質として引き続き機能させるのに適しており、材料のリサイクルが達成されたことも見出された。
【0572】
比較例VII-1~VII-10で得られた不織布VII-DB1~VII-DB10により製造された使い捨て手術着は、沸騰水中の体積の変化がほとんどなく、これはリサイクル作業を非常に煩雑にする。さらに、不織布を作製するための原料として、回収した出発物質をスパンボンドマシンに加し、実施例VII-1のスパンボンド法の条件に従って、新たに不織布を得た。あるものは良好に成形できず、一方、他のものは良好な熱収縮特性を有さず、使い捨て医療用織物の出発物質としての役割を果たし続けるのに適していないことが分かった。
【0573】
前記試験例VII-1~VII-20および試験例VII-1~VII-20の結果から分かるように、特定の比率(ポリエステルAの含有量は51~99重量%であり、ポリエステルBの含有量は1~49重量%であった)で、特定の共重合体(ポリエステルAおよびポリエステルB)を混合することによって得られた本発明の不織布は、良好な吸水性、気体透過性および容易な滅菌性を有し、特に、本発明の不織布は熱水(例えば、100℃)中で消毒され得、それらは、小さい体積に容易に圧縮され得、材料(特に、使い捨て再製造された不織布)は最初に使用された不織布と同様の特性を有し、使い捨て不織布物品(特に、使い捨て医療用織物品)の出発材料として機能し続けるのに適しており、それによって、材料のリサイクルの問題は十分に解決された。
【0574】
〔弾性繊維〕
(実施例VIII-1)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、150gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)粒子、30gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)粒子、20gのBT-BAコポリエステルC(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間、攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化して、ポリエステル組成物VIII-A1を得た。
【0575】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A1を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B1を得た。
【0576】
(実施例VIII-2)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、186gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニット30モル%である)粒子、12gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニット10モル%である)粒子、BT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度でペレット化してポリエステル組成物VIII-A2を得た。
【0577】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A2を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B2を得た。
【0578】
(実施例VIII-3)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、120gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は40モル%である)粒子、40gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は17モル%である)粒子、40gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は85モル%である)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間、攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化してポリエステル組成物VIII-A3を得た。
【0579】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A3を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B3を得た。
【0580】
(実施例VIII-4)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、120gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は25モル%である)粒子、70gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は5モル%である)粒子、10gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は55モル%である)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化してポリエステル組成物VIII-A4を得た。
【0581】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A4を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B4を得た。
【0582】
(実施例VIII-5)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、60gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は49モル%である)粒子、138gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は19モル%である)粒子、2gのPBT(商品名「Crastin SC164 NC010」、DuPont社から購入)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化してポリエステル組成物VIII-A5を得た。
【0583】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A5を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B5を得た。
【0584】
(実施例VIII-6)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、60gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は20モル%である)粒子、2gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は51モル%である)粒子、および10gの二酸化チタンを混合し、10r/分の速度で10分間攪拌した。混合物を二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化してポリエステル組成物VIII-A6を得た。
【0585】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A6を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B6を得た。
【0586】
(実施例VIII-7)
(1)ポリエステル組成物の製造
攪拌条件(攪拌速度10r/分、10分間)下で、196gのBT-BSコポリエステルA(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)粒子、2gのBT-BSコポリエステルB(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)粒子、2gのBT-BSコポリエステルC(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBS繰り返しユニットの合計モル数に対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)粒子、および二酸化チタン10gを混合し、10r/分の速度で10分間攪拌した。混合物を、二軸押出機に加え、220℃の温度で溶融押出し、ペレット化してポリエステル組成物VIII-A7を得た。
【0587】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーA7を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を40℃に60分間置き、次いで70℃に加熱し、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B7を得た。
【0588】
(実施例VIII-8)
ポリエステルAがBT-BAコポリエステル(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-ESポリエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)であったこと;およびポリエステルCがBT-ESエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)であったことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-A8および弾性繊維VIII-B8を得た。
【0589】
(実施例VIII-9)
ポリエステルAがBT-ESコポリエステル(重量平均分子量130,000、BT繰り返しユニットおよびES繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は30モル%である)であったこと;ポリエステルBがBT-BAエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は10モル%である)であったこと;およびポリエステルCがBT-BAエステル(重量平均分子量100,000、BT繰り返しユニットおよびBA繰り返しユニットの合計モルに対して、BT繰り返しユニットの含有量は60モル%である)であったことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-A9および弾性繊維VIII-B9を得た。
【0590】
(実施例VIII-10)
実施例VIII-1の二酸化チタンの替わりに、同じ重量の炭酸カルシウムを使用したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-A10および弾性繊維VIII-B10を得た。
【0591】
(実施例VIII-11)
10gの二酸化チタンを添加しなかったことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-A11および弾性繊維VIII-B11を得た。
【0592】
(実施例VIII-12)
(1)ポリエステル組成物の製造
実施例VIII-1の方法に従って、ポリエステル組成物VIII-A1を得た。
【0593】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A1を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を55℃で120分間置き、次に110℃に加熱し、元の長さの10倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B12を得た。
【0594】
(実施例VIII-13)
(1)ポリエステル組成物の製造
実施例VIII-1の方法に従い、ポリエステル組成物VIII-A1を得た。
【0595】
(2)弾性繊維の製造
前記ポリエステルポリマーVIII-A1を、170℃で溶融紡糸法により、72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸した。繊維を20℃に2分間置き、次いで56℃に加熱し、元の長さの1.2倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII-B13を得た。
【0596】
(実施例VIII-14)
(1)ポリエステル組成物の製造
実施例VIII-1の方法に従って、ポリエステル組成物VIII-A1を得た。
【0597】
(2)弾性繊維の製造
前記のポリエステルポリマーVIII-A1を、170℃で溶融紡糸法により72dtexの繊維数を有する繊維に紡糸し、続いて、実施例VIII-1における40℃に放置する工程なしに、温度を70℃まで直接低下させ、元の長さの4倍に延伸した。冷却後、弾性繊維VIII~B14を得た。
【0598】
(比較例VIII-1)
実施例VIII-1で使用した150gのポリエステルA、実施例VIII-1で使用した50gのポリエステルB、および10gの二酸化チタンを、実施例VIII-1で使用したポリエステルCを添加せずに混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA1および弾性繊維VIII-DB1を得た。
【0599】
(比較例VIII-2)
実施例VIII-1で使用した150gのポリエステルA、実施例VIII-1で使用した50gのポリエステルC、および10gの二酸化チタンを、実施例VIII-1で使用したポリエステルBを添加せずに混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA2および弾性繊維VIII-DB2を得た。
【0600】
(比較例VIII-3)
実施例VIII-1で使用した120gのポリエステルB、実施例VIII-1で使用した80gのポリエステルC、および10gの二酸化チタンを、実施例VIII-1で使用したポリエステルAを添加せずに混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA3および弾性繊維VIII-DB3を得た。
【0601】
(比較例VIII-4)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用した20gのポリエステルA、実施例VIII-1で使用した160gのポリエステルB、実施例VIII-1で使用した20gのポリエステルC、および10gの二酸化チタンを混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA4および弾性繊維VIII-DB4を得た。
【0602】
(比較例VIII-5)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用したポリエステルAの替わりに、同じ重量のPBS(商品名「1111HTA4」、BASF社から購入)を使用したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA5および弾性繊維VIII-DB5を得た。
【0603】
(比較例VIII-6)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用したポリエステルBの替わりに、同じ重量のPBS(所品名「1111HTA4」、BASF社から購入)を使用したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA6および弾性繊維VIII-DB6を得た。
【0604】
(比較例VIII-7)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用したポリエステルCの替わりに、同じ重量のPBAを使用することを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。PBAを製造する方法は、以下の工程によって構成されていた:窒素雰囲気中で、アジピン酸およびブタンジオールを、攪拌し、テトラブチルチタネートおよびアセチルアセトン酸ランタンの両方の存在下で、240℃で反応させ;VIII-のアジピン酸、ブタンジオール、チタン酸テトラブチルおよびアセチル酢酸ランタンの比率は1800:2000:1:1であり;反応の2時間後に、圧力が100Paに安定になるまで、30分間、系を排気し;系に残っている物質が生成物であった。ポリエステル組成物VIII‐DA7および弾性繊維VIII‐DB7を得た。
【0605】
(比較例VIII-8)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用した200gのポリエステルAおよび10gの二酸化チタンを混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA8および弾性繊維VIII-DB8を得た。
【0606】
(比較例VIII-9)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用した200gのポリエステルBおよび10gの二酸化チタンを混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA9および弾性繊維VIII-DB9を得た。
【0607】
(比較例VIII-10)
工程(1)において、実施例VIII-1で使用した200gのポリエステルCおよび10gの二酸化チタンを混合したことを除いて、実施例VIII-1の方法に従った。ポリエステル組成物VIII-DA10および弾性繊維VIII-DB10を得た。
【0608】
(試験例VIII-1~VIII-24)
実施例VIII-1~VIII-14および比較例VIII-1~VIII-10で得られた弾性繊維の破断強度、破断点伸び、応力緩和および永久歪み速度を、それぞれ以下の方法で評価した。結果は表8の通りであった。
【0609】
具体的には、長さ2cm(L1)の試料をインストロン5965引張試験機で50mm/分の速度で元の長さ(歪み100%)の2倍に延伸し、このときの応力をE1とした。そして、その長さを20秒間維持した後、このときの応力をE2として記録した。次いで、応力が0になるまで歪みを減少させ、この時点で試料の長さはL2であった。そして、破断まで50mm/分の速度で延伸し、破断時の試料長さはL3、応力値はE3であった。前記パラメーターを計算するための式は以下の通りであった:
破断強度=E3
破断点伸び%=100%×(L3-L1)/L1
応力緩和率%=100%×(E1-E2)/E1
永久歪速度%=100%×(L2-L1)/L1。
【0610】
【0611】
前記の表8の結果から分かるように、特定のポリエステルA、ポリエステルB、およびポリエステルCを、特定の比率(ポリエステルAの30~98重量%、ポリエステルBの1~69重量%、およびポリエステルCの1~69重量%)で混合することによって得られた本発明のポリエステル組成物を用いて、製造された弾性繊維は、良好な弾性特性を有し、破断強度は≧1cN/dtexであり、配合および分子構造の調整によって広範囲に変化することができ、最大破断強度は20cN/dtexに近く、さらに、本発明によって提供された弾性繊維の破断点伸びは130%以上と高く、応力緩和および永久歪み速度は≦12%であり、本発明によって提供された弾性繊維は、中程度の弾性および強度の両方を有しており、ならびに広範囲で特性の調整が可能であり、従って良好な応用の見込みを有していた。
【0612】
また、実施例VIII-1の結果を、実施例VIII-12~VIII-14と比較することによって、本発明は、前記方法および高温のフィラメント形成-低温配置-高温延伸の条件を用いることによって、特に弾性繊維を製造することが、明らかである。前記方法は弾性繊維の破断強度をさらに改善し、特性の調整可能な範囲を拡張し、弾性繊維の応力緩和および永久歪み速度を低減することができる。
【0613】
本明細書に開示される範囲および任意の値の端点は、厳密な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値は、範囲または値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲について、組み合わせが、種々の範囲の端点と端点との間、種々の範囲の端点と個々の1点値との間、および個々の1点値と個々の1点値との間でなされて、1つ以上の新しい数値範囲を得ることができる。これらの数値範囲は、本明細書に具体的に開示されるものとみなされるべきである。
【0614】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の技術的概念の範囲内で、様々な技術的特徴の任意の他の適切な方法での組み合わせを含む、様々な単純な修正が本発明の技術的解決策に対してなされ得、これらの単純な修正および組み合わせもまた、本発明の開示とみなされるべきであり、すべては、本発明の保護範囲内にある。
【0615】
さらに、本発明の様々な異なる実施形態は、互いにランダムに組み合わせることができる。このような組み合わせが本発明の思想から逸脱しない限り、本発明の開示ともみなされる。