(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ローカライズされた不揮発性メモリを有する流れ制御組立体
(51)【国際特許分類】
B01D 15/10 20060101AFI20241108BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20241108BHJP
G01N 30/36 20060101ALI20241108BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20241108BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20241108BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20241108BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B01D15/10
G01N1/00 101L
G01N30/36
G01N30/86 V
G01N35/02 G
G01N35/08 A
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019560645
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018028851
(87)【国際公開番号】W WO2018208489
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-31
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513237308
【氏名又は名称】アイデックス ヘルス アンド サイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイメイヤー、ティム
(72)【発明者】
【氏名】ルーフ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブルー、マイケル
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0185659(US,A1)
【文献】特表2013-500452(JP,A)
【文献】特開2015-152033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁情報をデジタルで記憶するためのメモリユニット、モータコントローラ、及びプロセッサ、を含むホストコンピュータが計算制御装置を介して接続され、
マイクロ流体マルチポート制御弁組立体の構成要素の障害予測のために当該弁組立体と共に移動するローカライ
ズされたデータストレージリポジトリ
を有する、
高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)ユニットのマイクロ流体マルチポート制御弁組立体であって、前記弁組立体が、
弁ハウジング
によって囲まれたマルチポート制御弁であって、当該弁ハウジングに前記ローカライズされたデータストレージリポジトリが固定された、マルチポート制御弁と、
前記マルチポート制御弁に結合されるアクチュエータ組立体であって、前記アクチュエータ組立体が、前記マルチポート制御弁を作動させるアクチュエータを有する、アクチュエータ組立体と、
前記マルチポート制御
弁の位置及び移動
に関する信号
、並びに前記アクチュエータの移動に関する信号を発生させる位置センサと、
を備え
前記アクチュエータ組立体、前記位置センサ、及び前記ローカライ
ズされたデータストレージリポジトリ
は計算制御装置に通信可能に結合され
、
前記位置センサによる、前記マルチポート制御弁及
び前記アクチュエータ
の移動に
関する信号から決定された、総蓄積的移動量である蓄積値が、
蓄積的摩耗のインジケータとして前記
ローカライズされたデータストレージリポジトリに記憶され、前記計算制御装置は、前記ホストコンピュータとの
互換性を有するデータの変換を行うように適合されている、マイクロ流体マルチポート制御弁組立体。
【請求項2】
前記データストレージリポジトリが不揮発性メモリを有する、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項3】
前記データストレージリポジトリが不揮発性FRAMメモリを有する、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項4】
前記位置センサがエンコーダの形態である、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項5】
前記弁ハウジングがモジュール型ポッドである、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項6】
前記マルチポート制御弁の回転量に対応するデータが、前記ローカライ
ズされたデータストレージリポジトリの不揮発性メモリに記憶される、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項7】
記憶されるデータが、弁の再構築状態、弁位置、シリアルナンバー、部品番号、製造業者、製造日、駆動システム比、エンコーダの種類、シャフトモーションの蓄積量、弁の最後の既知の位置、ポートロケーションの最適位置、モータモーションのエラー、修理情報、保守管理要求、又は、前記弁で使用される流体の種類に対応し得る、請求項1に記載の制御弁組立体。
【請求項8】
弁情報をデジタルで記憶するためのメモリユニット、モータコントローラ、及びプロセッサ、を含むホストコンピュータが計算制御装置を介して接続され、
マイクロ流体マルチポート制御弁組立体の構成要素の障害予測のために当該弁組立体と共に移動するローカライズされた
データストレージリポジトリを有する、
高
圧液体クロマトグラフィ(HPLC)ユニットのマイクロ流体マルチポート制御弁組立体を
前記計算制御装置が評価する方法であって、前記方法が、
高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)ユニットに
取り外し可能に結合される
前記マイクロ流体マルチポート制御弁組立体を初期化するステップであり、前記マルチポート制御弁組立体の
マルチポート制御弁の移動が、アクチュエータ組立体によって実行される、ステップと、
前記
マルチポート制御弁及び前記アクチュエータ組立体の移動を制御するステップと、
前記マルチポート制御弁の位置に対応する位置データを
、前記マルチポート制御弁及び前記計算制御装置に結合される位置センサから取得するステップと、
前記マルチポート制御弁及び前記アクチュエータ組立体の移動に対応する移動データを
前記位置センサから取得するステップと、
前記マルチポート制御弁及び前記アクチュエータ組立体の
移動に関する、総蓄積的移動
量である蓄積値を
決定するステップと、
前記弁組立体と共に移動するために前記弁組立体に固定されたローカライズされたデータストレージリポジトリに、前記位置データ、
前記移動データ、及び
蓄積的摩耗のインジケータとして前記蓄積値を記憶
させるステップと、
前記蓄積値が所定の限界値を超えているか否かを判断するステップと、
前記ホストコンピュータとの互換性のために前記ローカライズされたデータストレージリポジトリからの前記位置データ、
前記移動データ、及び
前記蓄積値を変換するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記ローカライズされたデータストレージリポジトリが不揮発性メモリを有する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記弁の再構築状態、前記弁位置、弁のシリアルナンバー、部品番号、製造業者、製造日、駆動システム比、エンコーダの種類、弁の最後の既知の位置、弁ポートロケーションの最適位置、モータモーションのエラー、修理情報、保守管理要求、又は前記弁で使用される流体の種類に対応する識別データを記憶するステップをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれている、2017年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/502,853号の出願の利益及び優先権を主張するものである。
【0002】
連邦政府による資金提供
不適用
【0003】
共同研究契約
不適用
【0004】
本発明は、一般に、流体流れ制御組立体に関し、より詳細には、弁制御組立体に対応する識別データを記憶するためのローカライズされたデータ・リポジトリを有する高圧液体クロマトグラフィ(HPLC:High Pressure Liquid Chromatography)・ユニットのマイクロ流体マルチポート制御弁組立体に関する。いくつかの実施例では、記憶されるデータが、最後の既知の弁位置に対応し、それにより毎回の電源遮断の後に弁を再初期化する必要性を排除する。ローカライズされたデータ・リポジトリは、弁が使用される環境に関係なく、弁と共に移動する。さらに、いくつかの実施例では、ローカライズされたデータ・リポジトリに記憶される識別データは、マイクロ流体マルチポート制御弁組立体の構成要素の予測障害(predictive failure)の蓄積的な使用及び摩耗特性に対応するデータを含み得る。本発明は、流れ制御装置を評価する方法にさらに関し、より詳細には、マイクロ流体マルチポート制御弁組立体の構成要素の予測障害のためのローカライズされた蓄積的摩耗インジケータを有する高性能液体クロマトグラフィ(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)のマイクロ流体マルチポート制御弁組立体を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
従来、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)・ユニットは、HPLCユニットを通る試料流体の流れを制御するために複数のポンプ及び弁を使用する。コスト・コンピュータ・システムは、通常、HPLCユニットに、並びにマイクロプロセッサ制御のポンプ及び弁を有するHPLCユニット内の種々の構成要素に電気的に結合される。ホスト・システムは、HPLC内の構成要素を制御することができ、構成要素の制御に関連する情報を記憶する。HPLCユニット内の種々の構成要素は多様な速度において摩耗特性を呈する。例えば、HPLCポンプは、同じHPLCユニット内で動作するHPLC制御弁とは異なるペースで修理又は交換を必要とする可能性がある。さらに、場合によっては、構成要素全体を交換するのではく、ポンプ又は弁の一部分のみを修理又は交換することが所望される。
【0006】
ホスト・コンピュータが連続して並べられる構成要素に関連する修理事象及び交換事象に関連するデータをメモリに記録することができるが、場合によっては、1つのHPLCユニットからの種々の構成要素がスワップ・アウトされて別のユニットの中に配置される。2つのホスト・コンピュータがデザリングされない限り、第2のホスト・コンピュータが、取り換えられる構成要素の履歴を有することはなく、したがってすべての取り換えられる構成要素を再初期化しなければならない。また、現在の流れ制御構成要素が構成要素の外側部分に取り付けられるタグ又はラベルを有さなければならないが、ラベル上に含まれる印が限定されて固定される。さらに、第2のホスト・コンピュータがこれらの構成要素のための使用履歴を有さない場合、HPLCの使用者が例えば寿命の終了近くである可能性があるか又は保守管理を必要とする可能性がある1つ又は複数の構成要素をHPLCユニットが有し得ることに気付かない可能性もある。
【0007】
したがって、HPLCユニット内で使用されるのに適し得るような、流れ制御構成要素に関連する更新された情報及びデータを不揮発性メモリに記憶することができる流れ制御構成要素を提供することが望ましい。限定する意図はないが、例えば、構成要素の修理状態、構成要素のサブコンポーネントの幾何学的配置、その環境内での構成要素の幾何学的配置、構成要素のシリアル・ナンバー、サブコンポーネントの部品番号、構成要素の製造業者、製造日、構成要素の構成、寿命/使用頻度(usage)、動作仕様、材料適合性、構成要素の移動に関連する値、構成要素モーションの蓄積量に関連する値、構成要素の最後の既知の位置、構成要素の最適位置、構成要素のエラー、構成要素の修理情報、構成要素の保守管理要求、又は構成要素を露出する環境に関連する情報に関連する構成要素情報をローカル・メモリに記憶することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第8,201,185(B2)号
【文献】米国特許第7,201,185(B2)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様による実施例は、構成要素の使用に関連する多種多様な情報を記憶するための1つ又は複数のローカライズされたデータ・リポジトリを有する流れ制御構成要素を有する。データ・リポジトリが、限定する意図はないが、好適にはFRAM(登録商標)型の不揮発性メモリを有する。本明細書では、FRAMが、好適なローカライズされたデータ・リポジトリ・メモリとして説明されるが、MRAM、NAND、又はEEPROMなどの不揮発性メモリを含めた他の機械読み書き可能なメモリがローカライズされたデータ・リポジトリとして利用され得ることを、当業者であれば認識するであろう。
【0010】
特定の実施例では、流れ制御構成要素が、単一ユニットとして収容される、モータと、駆動トレインと、流体経路組立体とを有する直接駆動流れ制御弁であってよい。印刷回路基板(PCB:printed circuit board)及びモータ駆動装置が直接駆動弁に設置される。弁の流体経路組立体が、カバー又はステータと、中に形成されるポートを備えるダイヤフラム又はロータとを有することができる。ダイヤフラムがモータによって回転させられ得、それにより弁を通る所望の流れを制御する。場合によっては、流体経路組立体が、ロータ構成要素及びステータ構成要素のみを交換することにより修理又は交換され得る。流体経路組立体の再構築の記録がデータ・リポジトリに記憶され得る。さらに、ダイヤフラム又はロータの回転量が判断され得、回転量の記録がデータ・リポジトリに記憶され得る。さらに、ロータのモーション及びモータのモーションの蓄積的な量又は総量もデータ・リポジトリに記録され得る。流体経路組立体が再構築されるとき、各ロータの蓄積的な回転量がデータ・リポジトリに別個に記憶され得る。このようにして、情報が、「単一ユニット」全体の寿命を通しての各々の再構築に対応するように保有される。駆動トレイン及びモータの合計の移動又は回転に関連するデータも保有され得、ロータの回転とは別個の値として記憶される。
【0011】
特定の実施例では、流れ制御構成要素が、モータと、アクチュエータと、モジュール型ポッドとを有する流れ制御弁組立体を備えることができる。弁又はダイヤフラムがモジュール型ポッド内に収容される。1つ又は複数のPCBが弁組立体に設置され得る。例えば、PCBがアクチェータ及びモータの両方に設置され得る。駆動コントローラ、マイクロプロセッサ、及び内在する不揮発性メモリがPCBに設置され得る。流体経路組立体がポッド内に収容され、流体経路組立体が、ポッド全体を迅速に交換することにより又はPOD内の1つ又は複数の構成要素を交換することにより、「補修点検」を行われ得る。POD全体を単純な形で交換することの容易さにより、HPLCシステムのダウン・タイムを短縮する。PODに補修点検を行うことに関連するデータが、POD自体に固定される不揮発メモリに記憶され得る。或いは、PODが取り外されて、直接駆動のロータ構成要素及びステータ構成要素を再構築するのと同様の形で再構築され得る。再構築されると、再構築に関連する情報がPODのメモリに記憶され、別のPODが補修点検を必要とするときに新たな迅速な取り換えに対してPODの用意が整った状態となる。データ・リポジトリがPODの上及びアクチュエータ又はモータの上の両方で維持され得る。POD上のデータ・リポジトリが、弁の総数又は回転、再構築の♯、及びPOD特有の他のデータ、に対応するデータを維持するのに利用され得る。データ・リポジトリは例えばFRAMであってよい。アクチュエータに取り付けられるpcbが、位置センサ及び弁のための、駆動装置を有することができる。PCBが、POD上のFRAMを管理する役割を有する、分離されるFRAM、IC、及びマイクロプロセッサを支持することができる。
【0012】
弁組立体の全体(流体弁、アクチュエータ、及びモータ)をアンテザリングするとき、アクチュエータ及びPOD(POD内の弁、アクチュエータ、及びモータ)をアンテザリングするとき、又はアクチュエータ及びホスト・システムからPOD(POD内の弁)をアンテザリングするとき、弁に関連するデータが失われることがないようにするために、1つ又は複数のローカライズされたデータ・リポジトリが利用されることを当業者であれば認識するであろう。データ・リポジトリがPOD(例えば、POD[弁]上でFRAM及びICを支持するPCB)に固定されるとき、電力がアクチュエータのPCB及びICを介してICに供給されて制御されることになる。アクチュエータ上のPCBがそれ自体のFRAMをさらに有することになり、さらにはアクチュエータ及びPOD上のFRAM及びICの両方を個別に管理するためのマイクロプロセッサを有することになる。本明細書ではFRAMがPODに取り付けられる好適なローカライズされたデータ・リポジトリ・メモリとして説明されるが、MRAM、NAND、又はEEPROMなどの不揮発性メモリを含めた他の機械読み書き可能なメモリがローカライズされたデータ・リポジトリとして利用され得ることが当業者であれば認識するであろう。
【0013】
本発明の特定の実施例では、弁ハウジング内の又はPOD内の弁の位置が判断されて、ローカライズされたメモリに記憶される。既知の適切な構成の位置センサが位置及び回転量を判断するのに利用され得る。弁の位置及び回転を判断するのに、インクリメンタル・エンコーダが有用となり得るか、又は絶対位置の感知が有用となり得る。現在のエンコーダの解決策は、インクリメンタルと、絶対的概念(absolute)と、の2つの主要なタイプに分類され得る。インクリメンタル・エンコーダは、ホスト・システムが電源を入れられるときの開始位置を判断するために漸進的移動デバイスを初期化することを必要とする。初期化した後、相対的な位置変化のためにデバイスの各々の移動が監視される。絶対位置エンコーダは、常に位置が知られていることを理由として、初期化のシーケンスを必要としない。両方のエンコーダ・タイプは、必要とされる精度及び正確度に応じて、高価となる可能性がある。
【0014】
適切なバルブ位置センサの種類を限定することを意図しないが、例として、ポート・トゥ・ポートの接続性を画定する弁の位置を判断することに関連させてエンコーダを説明する。エンコーダを使用することにより各弁ユニットの形態ファクタ及びコストを低減することができる。その理由は、インクリメンタル・エンコーダはコンパクトとなり得、絶対位置センサよりコストを低くすることができるからである。しかし、弁が始動されるごとに、エンコーダが初期化プロセスを必要とする。弁の始動は、弁のモーションと、弁の使用寿命を短縮することとを必要とする。再初期化を必要とすることなく弁を使用することを可能にすることが弁の寿命を延ばすと考えられる。
【0015】
本文書における記載は、エンコーダに言及するが、弁の機能性はエンコーダの種類によって決定されない(インクリメンタル 対 絶対的概念)。さらに、一定の範囲の均等に離間されるポート構成においてポートのロケーションに位置合わせされるエンコーダの移行を最適化することが所望される可能性があるが(例えば、60個の窓が等しく離間され、その結果、窓の移行が常にポート・ロケーションに位置することになる)、窓をポートのロケーションに位置合わせする必要はない。とは言っても、好適なポートの位置をメモリに記憶することがモーションの再現性及び精度を向上させることができる。その理由は、窓の間のロケーションが、物理的な窓又は戻り止めの間での「バランス」をとる電気信号を用いて維持されるからである。
【0016】
インクリメンタル・エンコーダを不揮発性メモリと組み合わせることにより、ポート構成、製造データ、寿命/使用頻度、動作仕様、材料適合性などの、弁に関連する情報を記憶することにおける追加的な利益を提供しながら、絶対位置センサの利点に匹敵するような、低コストであり、形態要因の少ない解決策(low cost, small form factor solution)を提供することができる。弁の使用に関連する特定の情報が、ホスト・コンピュータ上に記憶されて管理されるのではなく、弁と共に移動することができる。弁を移動させることにより及び/又は弁構成要素を再構築することにより、ホスト・システムが、データ管理の労力を最小にして、弁使用情報を認識することができる。最初の初期化の後、弁がすべてのモーションをメモリに記憶する。弁の動力が増大される場合は常に、最後の既知の位置がメモリから判断され得、初期化されることなく弁が作動される。
【0017】
エンコーダのフィードバックに基づいて公称通りに位置決めしても、組立体内での機械的な変化を理由として、弁ポートが最適に位置合わせされない可能性がある。ポートのロケーションの最適な位置決めが参照用テーブルとしてメモリに記憶され得る。実際のエンコーダのフィードバックが参照用テーブルを介して解釈され得、弁位置に対しての修正が行われ得る。参照用テーブルが多種多様な方法を使用して構築され得る。多種多様な方法のうちの1つの方法は、最大限に「開いている」ポートのアライメントを見つけることを目的として背圧を測定することを伴うものである。
【0018】
加えて、最後の既知の弁位置を記憶する能力が動作の効率を向上させ、有用であるモーションを、弁を複数回初期化することに費やすことの必要性を低減する。弁位置が既知となれば、弁が作動されない限り、メモリに記憶される弁位置が変化することがない。弁の初期化中、弁の初期化中、弁の初期状態の始動ポイントがホーム・ポジションとして設計され得る。弁モーション中にシステムの障害が生じる場合、「サクセスフル・モーション」フラグが設定されず、コントローラ・システムが「サクセスフル・モーション」フラグが正当ではないことを認識することになる。弁が、弁がモーションを完了していないが弁の位置が依然として分かっていることをホスト・システムに能動的に伝えることができる。制御システムが移動すべき場所をホスト・システムに問い合わせることができるが、制御システムが弁をホーム・ポジションまで初期化する必要はない。その理由は、制御システムがその移動を常に記録しているからである。弁モーションが達成されなかった場合でも、システムの障害が起こる前及びその後での両方で弁の位置が分かる。
【0019】
本発明のインクリメンタル・エンコーダは、所与の用途に適する、多数のインクリメンタル・カウント・ステーション、又は窓を採用することができる。60個の窓のインクリメンタル・エンコーダが、6ポート、8ポート、10ポート、及び12ポートの弁を有する多様な一般的な弁の変形形態に対しての広範の適用可能性を提供する。
【0020】
取り外し可能なPODを備えるアクチュエータを有する本発明の特定の実施例では、メモリが複数の別個のロケーションに位置してよいが、情報の通信及び共有を可能にするように接続される。アクチュエータがアクチュエータの寿命を通して使用されるすべてのPODの記録を有することができ、これにはPOD交換日及びPOD交換の総数が伴われる。PODがそれ自体の関連情報を維持することができ、その固有のデータを失うことなく特定のアクチュエータから分離され得る。
【0021】
エンコーダの機能性に関しては、弁が初期化されると、最後の既知の弁位置が不揮発性メモリに記憶され得る。弁が作動されると、成功裏の移動を示す値がオンボード・メモリに書き込まれ得、つまりホスト・システムが弁の位置決めを判断することができる。弁が初期化されると、最新の位置がローカル・メモリにセーブされ、コントローラが弁の最後の既知の位置をメモリから判断することができる。弁が移動することができない事象では、システムが弁の位置を知ることになる。その理由は、弁が移動するときには位置に関連する値が常にメモリに書き込まれるからである。例えば、パルス又は制御信号がステッパ・モータに送信される場合には常に、パルス計数、又はエンコーダの移行などの他の増加量が、モーション要求の前にメモリに書き込まれ得る。したがって、不成功の移動とは、メモリに記憶される最後の増加量が弁の最後の物理的位置を示す、ということを意味する。
【0022】
弁移動の情報のローカル・ストレージの追加の利点は、弁の使用の場所及び時間に関係なく、弁が有効寿命に近づいているときの弁の障害を予測するのに使用され得るような、弁のための更新される作動カウントを維持することである。弁情報が弁メモリから読み取られ得ることを理由として、ホスト・システムが所与のHPLCプロセスとの適合性を保証することができ、弁が種々のプロセスとシステムとの間で「移動可能」であるとみなされ得る。完全なユニットとしての弁との一体化に加えて、メモリが弁組立体上の複数のロケーションに位置することができ(例えば、アクチュエータ 対 交換用POD)、分離される実在物として管理及び維持され得る。
【0023】
エンコーダの機能性に関して、弁が初期化されると、最後の既知の弁位置が不揮発性メモリ内に記憶され得る。弁が作動されると、成功裏の移動を示す値がオンボード・メモリに書き込まれ得、つまり、ホスト・システムが弁の位置決めを判断することができるか、又は再初期化が必要であるかどうかを知ることができる。他の弁構成に固有のコマンドの解釈及び実行が可能であり、これは例えば、異なる種類又は構成の物理的エンコーダ、多様な駆動システム比、及びステップ・カウントなどである。
【0024】
流れ制御構成要素を支持する弁の電子装置(valve electronics)が弁に一体化され得、適切に大きさを決定される。例えば、直接駆動弁が、単一のPCBに統合されて弁のモータの底部に設置されるようなメモリ、プロセッサ、モータ駆動装置、及びエンコーダ・センサを有することができるか、又はメモリ、プロセッサ、エンコーダ・センサがモータの後部に設置されて外部のモータ駆動装置に電気的に結合され得る。或いは、アクチュエータ及びPODが、各々に対応する個別の寿命データを追跡するための専用の分離されるFRAM(メモリ)を有することができる。弁の組み立て中及び試験中に種々の情報がメモリ・ユニットに入力され得、種々の情報には、製造日、構成要素のシリアル・ナンバー、構成要素及びサブコンポーネントの部品番号、弁ポートの構成、動作条件(例えば、最高温度、最大圧力、化学的適合性、弁流体経路の材料、など)、予期されるモーションの最大数、弁の最後の既知の位置、又はゼロ・モーション・カウント(zero motion count)、に関連する情報が含まれる。弁を使用する間、追加の情報が収集され、ローカライズされたデータ・リポジトリに記憶され得、これらの追加の情報には、成功裏の移動のフラグ、最後の既知の位置、モータ・モーション及び弁モーションの蓄積数又は総回転移動距離;弁の保守管理又は補修点検の前のモーションの最大数の値が含まれる。
【0025】
ローカライズされたデータ・リポジトリは、好適には、FRAMなどのローカル・メモリ・ユニットを利用することができる。その理由は、この種類の不揮発性メモリが、(ほぼ)制限されない読み取り/書き込みオペレーションと、単純な形のデータ管理と、「無期限」でデータを記憶するための外部供給の電力の必要性の排除と、を可能にする高い書き換え耐性を有するからである。さらに、以下の事象に対応するデータが容易に記憶され得る:弁メモリに記憶されるような、シリアル・ナンバー、部品番号、製造業者、製造日、駆動システム比、エンコーダの種類、シャフト・モーションの蓄積量、弁の最後の既知の位置、ポート・ロケーションの最適位置、モータ・モーションのエラー、修理/交換情報、或いは用途特有の情報。
【0026】
特定の実施例では、流れ制御構成要素が、予期される保守管理事象及び予測される寿命を識別するためのデータ情報を有する。流れ制御構成要素が、プロセッサ、ポジション・センサ、FRAM、及びモータ・コントローラを有する。システムが、弁の合計のモーションを追跡するための位置センサ(エンコーダ・カウント)を使用する。また、エンコーダ・カウント及びトルクが合計の仕事を計算するのに使用され得る。さらに、モーション・エラーが記録され得、弁の障害を予測するために比較され得る。
【0027】
記憶されるデータが、合計のモーションの個別の追跡、再構築の回数、再構築日、ペアのシリアル・ナンバーの履歴を含むことができる。ホスト・コンピュータ(プロセッサ、エンコーダ、FRAM、モータ・コントローラ)によるモータ及びエンコーダの種々の見込みの変換又は解釈が、1つの種類の駆動システム又はエンコーダ・システムに固有のソフトウェアを有する多種多様なホスト・コンピュータに対して弁を一体化するのを可能にする。ホスト・システムがモーションに関連する情報を記憶することができるが、最新の弁情報がポータブルになり得ないホスト・コンピュータのデータベースに記憶されることを理由として、弁の「状態」はポータブルではない。本発明の利点には、低コスト、(ポータブルな)データ管理の新たな効率性(new efficiency)、及び弁使用のポータブルな履歴記録の導入が含まれる。追加の利点には、インクリメンタル・エンコーダを装備する弁で現在必要であるような弁位置の繰り返しの初期化を回避することによる弁モーションの最小化が含まれる。アクチュエータ及び任意の交換用流体経路構成要素(POD)の履歴を個別に追跡するために、複数のFRAM ICが単一の弁上で使用され得る。アクチュエータの寿命が、弁(POD)の交換可能な流体経路サブ組立体よりも大幅に長くなることができる。例えば、アクチュエータの寿命を通してアクチュエータ上に設置されたPODシリアル・ナンバーのリストなどの、アクチュエータの使用履歴を記録することにより、追跡を向上させることが可能となる。
【0028】
本発明は、少なくとも、弁のオンボード・メモリが双方向となり得て、したがってポータブルなメモリ構成で読み込み能力及び書き込み能力の両方を提供することを理由として、従来のシステムに対しての改善を表す。さらに、最大予測寿命、弁構成などを単純に報告するのではなく、本発明のシステムは、最新の弁使用に関連する情報を記憶することができ、これらの情報が弁の最大予測寿命と比較され得、それにより、コントローラ・システムの寿命を通してコントローラ・システム上に設置されることになる弁の集団(population)の詳細を記憶及び追跡するための器具制御装置の必要性を排除する。言い換えると、データのポータビリティを用いる本発明を介してデータ管理が単純化される。
【0029】
特定の実施例では、モータ駆動装置チップが、モータがステップを行うのに失敗した場合を検出する。この検出は、トルクが設計制限を超えたことを示す。本発明は、モータが折に触れてステップを行いし損ねること、又はモータが全く移動することができずにより重大なモーションの問題を示していること、をさらに検出する。したがって、コントローラが、決定される最大限界まで駆動電流を増大させることにより、止まったモータを解放するのを試みることができる。
【0030】
失敗したステップの数、モータ電流を増大させることによりモータの障害が解決されたかどうか、及びモータが通常電流で通常動作に戻ることができるかどうかが、すべて、ローカル・メモリに保持され得る。シャフト・モーションが磁気検出器(on-axis又はoff-axis)、移動を判断するために複数の窓を使用する光学検出器を用いて検出され得る。エンコーダ・カウントが回転度に相互に関連付けられる。各モーションの後、最後のモーションにより寿命全体における回転を増加させることにより、及び合計の移動カウントを1ずつ増加させることにより、メモリが更新されることになる。このようにして、合計の回転の蓄積的合計値又は中間の合計値(角度に相互に関連付けられ得る)、及び個別のモーションの回数がセーブされる。各々が連続的なモーションである限りにおいて、60度の移動が1としてカウントされ、120度の移動(又は、任意の他の角度変化)も1としてカウントされる。加えて、失敗したステップの回数が記録に残され得る(モータ駆動装置がステップの命令を出すが、シャフトが動いていなかったことを検出する)。これは、目標位置に達するまでモータを駆動することにより迅速に修正され得る「ソフト・エラー」とみなされ得る。さらに、所望の位置に達することの失敗も記録に残され、セーブされ得る。これらのエラーは「ハード・エラー」であり、ホスト・システムに通知することを必要とする。
【0031】
この「寿命の分離(lifetime partitioning)」の別の実例は、ロータ及びステータがいくらかの程度のモーションの総数まで試験されることである。1つのロータ/ステータ器具の組み合わせが、規定される最大圧力で30kのモーションを継続し、対して別の組み合わせが60Kのモーションを継続する。アクチュエータ及びモータ(通常、一体である)が800kのモーションを継続することを要求されるが、これは特定の製品要求からの1つの抜粋であり、つまりこれらの限界値は用途又はデザインと共に変化してよい。
【0032】
最大限界、寿命限界、保守管理要求、及び他の予め設定される限界値が、信頼性試験に基づいて設定される。例えば、試験を介して、PODがアクチュエータよりより大きい摩耗を呈することになることが判断される。したがって、PODがアクチュエータ又はモータとは異なるインターバルで交換される。直接駆動弁を用いる場合、ロータ及びステータがXの回数のモーションごとに交換される。駆動トレイン及びモータは、異なるインターバルで補修点検が行われ、例えば、それぞれy及びzの回数のモーションごとに補修点検が行われる。直接駆動弁の駆動トレインがモータから容易に分離され、迅速に交換され得る。モータ寿命は、5百万のモーションを超える場合もあり、最小量の保守管理しか必要としないことがあり得る。
【0033】
本発明のHPLC弁が、バルブ寿命と、モーションの継続的な監視に基づいてHPLCユニット又はユニットに対して見込まれる保守管理要求と、弁構成要素レベルでのトルク・フィードバックとを能動的に伝える。本発明のHPLCが弁レベルでの弁情報を能動的に更新し、その結果、弁がポータブルとなり、ホスト・システムから独立する。ポータビリティが、弁をホスト・システムからアンテザリングして、識別の情報、寿命履歴、及びバルブ流体経路構成の初期化位置、の損失なしで、弁を他の場所で使用するのを可能にする。
【0034】
本発明の態様による実施例は、マイクロ流体マルチポート制御弁組立体の構成要素の予測障害のために、弁組立体と共に移動する蓄積的摩耗の記憶される指標のためのローカライズドされたリポジトリを有する高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)・ユニットのマイクロ流体マルチポート制御弁組立体を含む。弁組立体は、マルチポート弁と、データ・ストレージ・リポジトリと、アクチュエータ組立体と、位置感知部材と、計算制御装置とを有する。マルチポート制御弁は、マルチポート制御弁を囲む弁ハウジングを有する。データ・ストレージ・リポジトリは弁ハウジングに固定される。アクチュエータ組立体はマルチポート制御弁に結合され、アクチュエータ組立体は、マルチポート制御弁を作動させるアクチュエータを有する。位置感知部材は、マルチポート制御弁及びアクチュエータ組立体のアクチュエータの両方に結合され、ここでは、位置感知部材が、マルチポート制御弁及びアクチュエータ組立体のアクチュエータの位置及び移動に対応する信号を発生させる。計算制御装置は、アクチュエータ組立体、位置感知部材、及びデータ・ストレージ・リポジトリに電気的に結合される。マルチポート制御弁及びアクチュエータ組立体のアクチュエータの位置及び移動に対応する信号に関連するデータが、データ・ストレージ・リポジトリに記憶される。
【0035】
本発明の態様による実施例は、データ記憶のための不揮発性メモリを有するデータ・ストレージ・リポジトリをさらに含むことができる。さらに、不揮発性メモリがFRAMであってよい。また、位置感知部材は、弁ハウジング内に収容されるエンコーダの形態であってよい。弁ハウジングは、モジュール型ポッドであってもよいし、又はアクチュエータ組立体に一体化されてもよい。マルチポート制御弁の回転量に対応するデータが、データ・ストレージ・リポジトリの不揮発性メモリに記憶される。或いは、マルチポート制御弁の回転量に対応するデータが、計算制御装置の内在する不揮発性メモリに記憶される。或いは、マルチポート制御弁の回転量に対応するデータが、データ・ストレージ・リポジトリの不揮発性メモリ及び計算制御装置の内在する不揮発性メモリの両方に記憶されてもよい。記憶されるデータは、弁の蓄積的回転と、アクチュエータの蓄積的回転と、障害が起きたアクチュエータの起動とからなる群から選択される摩耗特性指標に対応し得る。記憶されるデータが、弁の再構築状態、弁位置、シリアル・ナンバー、部品番号、製造業者、製造日、駆動システム比、エンコーダの種類、シャフト・モーションの蓄積量、弁の最後の既知の位置、ポート・ロケーションの最適位置、モータ・モーションのエラー、修理情報、保守管理要求、又は、弁で使用される流体の種類、にさらに対応し得る。
【0036】
本発明の態様による実施例は、障害予測のためのローカライズされたメモリを有する流れ制御装置を含む。流れ制御装置は、流れ制御構成要素と、データ・リポジトリと、位置感知部材と、計算制御装置とを有する。データ・ストレージ・リポジトリは、流れ制御構成要素に機械的に固定される。位置感知部材は、流れ制御構成要素に結合され、ここでは、位置感知部材が、流れ制御構成要素の位置及び移動に対応する信号を発生させる。計算制御装置は、流れ制御要素、及びデータ・ストレージ・リポジトリに電気的に結合される。流れ制御構成要素の位置及び移動に対応する信号に関連するデータが、データ・ストレージ・リポジトリに記憶される。
【0037】
本発明の流れ制御装置のデータ・ストレージ・リポジトリは、例えば不揮発性FRAMメモリであってよい不揮発性メモリを含む。流れ制御装置のモーション量に対応するデータが、データ・ストレージ・リポジトリの不揮発性メモリ及び計算制御装置の内在する不揮発性メモリ内に記憶される。加えて、固有の弁識別データが、データ・ストレージ・リポジトリに記憶され得、ここでは、識別データが、装置の修理状態、装置内での構成要素の位置、シリアル・ナンバー、部品番号、製造業者、製造日、構成要素モーションの蓄積量、構成要素の最後の既知の位置、構成要素の最適位置、構成要素のエラー、修理情報、保守管理要求、又は流れ制御装置によって使用される環境の種類に対応し得る。
【0038】
本発明の態様による実施例は、組立体の構成要素の予測障害のためのローカライズされた蓄積的摩耗インジケータを有する高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)・ユニットのマイクロ流体マルチポート制御弁組立体を評価する方法をさらに含むことができる。この方法は、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)・ユニットに結合されるマイクロ流体マルチポート制御弁組立体を初期化するステップであって、ここでは、マルチポート制御弁組立体の移動がアクチュエータ組立体によって実行される、ステップと、弁組立体及びアクチュエータ組立体の移動を制御するステップと、マルチポート制御弁の位置に対応する位置データを取得するステップと、マルチポート制御弁及びアクチュエータ組立体の移動に対応する移動データを取得するステップと、マルチポート制御弁及びアクチュエータ組立体の合計の蓄積的移動に対応する蓄積値を判断するステップと、弁組立体と共に移動する弁組立体に固定されるローカライズされたデータ・ストレージ・リポジトリに、位置データ、移動データ、及び蓄積値を記憶するステップと、予め定義される限界値と蓄積値とを比較するステップとを含む。
【0039】
本発明の態様による方法は、マルチポート制御弁の回転量に対応するデータを記憶するステップをさらに含むことができる。ローカライズされたデータ・ストレージ・リポジトリは、不揮発性メモリを有する。さらに、移動データを記憶するステップが、アクチュエータ組立体の回転量に対応するデータを記憶することを含むことができる。この方法は、障害が起きたアクチュエータの起動に対応するアクチュエータ・データを記憶することをさらに含むことができる。加えて、この方法は、弁の再構築状態、弁位置、弁のシリアル・ナンバー、部品番号、製造業者、製造日、駆動システム比、エンコーダの種類、弁の最後の既知の位置、弁ポート・ロケーションの最適位置、モータ・モーションのエラー、修理情報、保守管理要求、又は、弁で使用される流体の種類、に対応する識別データを記憶するステップを含むことができる。
【0040】
本明細書の一部に組み込まれ、本出願の一部を構成する添付図面は、本発明の実施例を示しており、詳細な説明と共に、本発明をさらに解説する働きをする。本明細書で示される実施例は、現在好適なものである。ただし、本発明は、示される正確な配置構成及び手段のみに限定されないことを理解されたい。本発明の性質及び利点のさらに完全な理解のために、添付図面と併せて詳細な説明も参照されるべきである。
【0041】
必ずしも正確な縮尺で描かれているとは限らない種々の図において、これらの図を通して同様の符号は、実質的に同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるマイクロ流体マイクロポート直接駆動制御弁組立体の正面斜視図である。
【
図2】本発明によるマイクロ流体マイクロポート直接駆動制御弁の背面斜視図である。
【
図3】本発明によるマイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の正面斜視図である。
【
図4】本発明による。
図3に示される種類のマイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の部分的な断面側面図である。
【
図5】本発明による組立体のモジュール型ポッドに固定されるローカライズされたデータ・ストレージ・リポジトリを示している、マイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の一部分の部分的な断面斜視図である。
【
図6】アクチュエータから分離されるモジュール型弁ポッドを示している、本発明によるマイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の部分的な分解斜視図である。
【
図7】アクチュエータから分離されるモジュール型弁ポッド、及び取り外されたアクチュエータ組立体に取り付けられるpcbのカバーを示している、本発明によるマイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の部分的な分解斜視図である。
【
図8】アクチュエータから分離されるモジュール型弁ポッドを示しており、モジュール型ポッドから分離されるローカライズされたデータ・ストレージ・リポジトリ、及びアクチュエータ組立体から分離されるpcbを示している、本発明によるマイクロ流体マイクロポート・モジュール型制御弁組立体の部分的な分解斜視図である。
【
図9】モジュール型弁ポッドの弁ハウジングに固定されるローカライズされたデータ・ストレージ・リポジトリと共に示される、本発明によるモジュール型弁ポッドの背面斜視図である。
【
図10】本発明による、HPLCユニットのコントローラ及びユニットのサブコンポーネントに対するホスト・コンピュータの電気的な結合を示す概略ブロック図である。
【
図11】ホスト・コンピュータに結合される流れ制御構成要素のコントローラに結合されるオンボードの不揮発性メモリ・ユニットの回路図の一部分の実例を示す図である。
【
図12】ホスト・システムから独立した構成要素の予測障害を可能にするためのローカライズされたデータ・ストレージを有する交換可能な流れ制御構成要素の制御を示す流れ図である。
【
図13】弁のためのインクリメンタル・モーション・コントローラに関連する、本発明のインクリメンタル・エンコーダの例示の動作を記述するフローチャートである。
【
図14】弁のためのインクリメンタル・モーション・コントローラに関連する、本発明のインクリメンタル・エンコーダの例示の動作を記述するフローチャートである。
【
図15】弁の漸進的なモーションに関連する、本発明のインクリメンタル・モータの例示の制御を記述するフローチャートである。
【
図16】弁のインクリメンタル・モーション・コントローラに関連する、ホスト・コンピュータに結合される本発明のインクリメンタル・エンコーダの例示の動作を記述するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明は、本発明の種々の実施例の詳細を提供するものであり、種々の実施例の1つ又は複数の実例が以下に記載される。これらの実施例の各々は、本発明の説明として提供され、本発明を限定することを意図されない。また、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明内で多様な修正形態及び変形形態が作られ得ることを当業者であれば認識するであろう。例えば、一実施例の一部分として示されるか又は説明される特徴が、別の実施例で使用され得、それによりさらに別の実施例を作ることができる、ことが当業者には認識されよう。したがって、本発明はさらに、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるような修正形態及び変形形態を包含することを意図される。
【0044】
本発明の流れ制御構成要素10が、概して、弁組立体14と、アクチュエータ組立体16と、モータ18とを有する。流れ制御構成要素10がマイクロ流体制御弁組立体として示されるが、流れ制御構成要素が適切な構成の多様な他の弁及びポンプを有することができることを当業者であれば認識するであろう。直接駆動制御弁組立体及びモジュール型ポッド制御弁組立体を、図の説明と併せて、より詳細に説明する。
【0045】
図1及び
図2を参照すると、本発明の直接駆動弁組立体が示されている。直接駆動弁組立体20が、主として、弁組立体22と、アクチュエータ組立体24とから構成される。弁組立体が、弁ハウジング34と、弁ハウジング34内に収容されるロータとを有する。アクチュエータ組立体24が、ステッパ・モータと、ハウジング内でモータからロータ要素まで回転運動を伝達する駆動組立体とを有するアクチュエータ・ハウジング36を有する。駆動組立体がモータを弁組立体22に結合する。駆動組立体が、弁シャフトと、遊星歯車システムとを有することができる。或いは、駆動システムが、中間歯車を使用することなくモータに直接に係合される弁シャフトを有することができる。この構成では、歯車システムが存在しないことを理由とするモータ・トルクの低下が、より大きいトルクを有するモータを適用することによって補償され得る。例えば、IDEX Health & Scienceによって製造されているModel EZ670-000-4のRheodyne Titan EZ valveが、42mmのtin canステッパ・モータに射出成形の遊星歯車システムを組み合わせて最大0.79Nm(7in-lb)を達成する。
【0046】
弁ハウジング34が概略円筒形状であり、そこを軸方向に通過する中央通路を画定し、中央通路が遠位側設置用端部からそのポート端部まで延在する。ロータ要素がシャフト・アダプタを介してアクチュエータ組立体に機械的に結合され得、シャフト・アダプタが駆動弁シャフトに回転可能に係合され、それによりロータ要素の回転を可能にする。弁シャフトがキーを有することができ、その結果、その長手方向軸を中心とした弁シャフトのいかなるトルク及び回転もシャフト・アダプタに伝達され、最終的にはロータ要素に伝達される。弁、位置センサ、アクチュエータ、及びモータの許容される実施例の種々の他の構成要素及び詳細が、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,201,185(B2)号でさらに説明されている。
【0047】
本発明の直接駆動弁20が、弁ハウジング34に固定される対応するローカルの不揮発性FRAMメモリ28を備えるPCB26をさらに有する。加えて、モータ・コントローラ38、電気接続部46、集積回路、及びローカルの不揮発性FRAMメモリ44が、アクチュエータ組立体ハウジング36の端部に結合されるモータPCB40に結合される。直接駆動弁20の制御が後でより詳細に説明される。
【0048】
図3~
図9を参照すると、本発明のモジュール型マイクロ流体マイクロポート制御弁組立体60が示されている。概して、このマルチポジション・マイクロ流体弁システムが、アクチュエータ組立体の一方の端部で駆動モータ64に結合されてもう一方の端部で弁ポッド68を取り外し可能に受け入れるアクチュエータ組立体66を有する。アクチュエータ組立体が、ハウジングと、その駆動軸を中心とした駆動シャフトの回転変位のための、ハウジング内に回転可能に配置される駆動組立体とを有する。駆動シャフトの一方の端部が、駆動軸を中心として駆動シャフトを選択的に回転させるための駆動モータ64に結合されるように構成される。マルチポジション流体弁ポッド68がアクチュエータ組立体に取り外し可能に設置され、複数の別個の流体分配位置の間でのその弁回転軸を中心とした回転運動のために構成される対応する弁シャフトを有する。弁ポッドが、アクチュエータ66に対してポッド68を取り外し可能に選択的に設置するように構成されるクイック・コネクト結合デバイス70をさらに有し、それにより複数の別個の流体分配位置のうちの個別の1つの位置に弁デバイスを選択的に配置するのを可能にする。
【0049】
したがって、1つ又は複数のマルチポジション弁を単一のアクチュエータ組立体に取り外し可能に設置するのを可能にするマイクロ流体弁システムが提供され、マルチポジション弁の各々が全体として異なる形で再構成される液体端部システムとして機能する。他の弁システムとは異なり、アクチュエータ組立体の構造を修正することなく、シックスポジション・マイクロ流体弁システムがエイトポジション・マイクロ流体弁システム又はさらにはフィフティーンポジション・マイクロ流体弁システムと交換され得る。後でより詳細に説明するように、選択される弁ポッド68がアクチュエータ組立体66に位置合わせされて設置されると、及び弁デバイスが識別されると、弁システムが2つ以上の種類のマルチポジション・マイクロ流体弁を制御するように動作させられ得る。さらに、弁デバイスが修理及び/又は交換を必要とするような状況では、分析機器内に添着される弁システム全体を取り外すことを必要とすることなく、弁が修理又は交換のために容易に取り外され得る。結果として、マイクロ流体弁システムが非常に高い多用途性を有することになり、さらに全体の構成要素の数が減ることを部分的な理由としてコストが大幅に低下することになる。
【0050】
アクチュエータ組立体66が示されており、アクチュエータ組立体66が、駆動モータ64に設置される長方形形状の近位側部分と、弁ポッド68に取り外し可能に設置される円筒形形状の遠位側バレル部分とを有するハウジングを備える。ハウジングが、高強度を有するように設計される比較的高い剛性を有する複合材料から好適には構成されるシェル構造によって提供される。ハウジングの内壁が、近位側部分から遠位側バレル部分までハウジングを軸方向に通って延在する中央貫通チャンバを画定する。貫通チャンバの中心近くで、環状軸受構造が内壁から径方向内側に延在する。軸受構造が、中央通路を形成する内部環状軸受壁と、軸受構造の遠位側にある第1の軸受レース部分とを有する。
図4及び5で最も良好に見られるように、環状の第1の軸受レース部分が駆動軸を中心として配置され、概してセミドーナツ形状である。複数の玉軸受が第1の軸受レース部分内に配置され、環状の軸受壁と協働し、それにより駆動軸を中心として駆動組立体26を旋回可能に支持するのを実現する。
【0051】
駆動組立体が、駆動シャフトと、駆動シャフトの近位端に配置される歯車キャリア・プラットフォームとを有する。駆動シャフトが、本質的には、そのシャフト軸から径方向外側に延在する複数のスプラインを有する細長いスプライン・シャフトである。他方で、歯車キャリア・プラットフォームが概してディスク形状であり、キャリア・プラットフォーム及び駆動シャフトを駆動軸に沿って実質的に同軸にして単一のユニットとして一体に機能させるような形で駆動シャフトに添着される。駆動組立体がアクチュエータ・ハウジング内で組み立てられるとき、キャリア・プラットフォームが歯車列組立体に繋げられ、歯車列組立体が、駆動シャフトを駆動する駆動モータと対合する。
【0052】
本発明によると、弁システムが、設置される弁の正確な回転可能な切り換え位置を決定するための位置センサ組立体72を有する。回転可能な切り換え位置を正確に切り換えることにより、弁デバイスが正確に作動され得、回転量が決定されてローカル・データ・リポジトリ・メモリに記憶され得る。したがって、いずれの弁ポッド68がアクチュエータ組立体66に設置されているかに関係なく、ポッドが最初に初期化されると、再初期化を必要とすることなく、弁の位置が正確に制御及び位置決めされ得る。
【0053】
本発明の特定の実施例では、センサ組立体72が、駆動軸を基準としたエンコーダ・ホイールの絶対的回転位置及び幾何学的配置を決定するために、対応する固定の光学センサと協働する回転するエンコーダ・スプールに設置される1つ又は複数のエンコーダ・ホイールを有する。互いに協働するように設計される光学センサ及び2つのエンコーダ・ホイールの組み合わせを使用することにより、(結合される弁ポッド68の)複数位置でのポーティングのシナリオが絶対位置のフィードバックを用いて決定され得る。
【0054】
各エンコーダ・ホイールが、内径窓のセットと、外径ノッチのセットとを含み、それにより光信号がそこを通って伝達されるのを可能にする。センサPCBボード76に設置される一対の隣接するセンサが、ノッチ又は窓を感知したか否かを判断するために1つの幾何学的配置においてそれぞれの回転ホイールを跨ぐように位置する。エンコーダ・ホイールが、別々の位置に弁を絶対的に位置させるために光学センサと共に働く。エンコーダを使用することにより、弁の漸進的な位置決めが実現される。したがって、弁デバイスが、その正確な制御及び動作のために、2つの別個の漸進的な位置を有するということから、15個以上の別々の位置を有するということまで、広範囲に及ぶことができる。
【0055】
エンコーダ・スプールの遠位側バレル・セクションの外径の周りにエンコーダ・ホイールを戦略的に位置決めするために、バレル・セクションがスロットを有し、ホイールの内壁から径方向内側に延在する対応する歯部分を受けるように構成される。これらの軸方向に離間されるエンコーダ・ホイールは、適切な設置アライメントを保証するために個別の幾何学的配置でのみスプールの遠位側バレル・セクションに装着され得る。結合デバイスを通してアクチュエータ組立体に対して選択される弁デバイスを位置合わせして設置することにより、弁デバイスの位置決めが、センサ組立体とステッピング駆動モータとの間に配置される制御ユニット(図示せず)を介して正確に制御され得る。本質的には、この構成が、エンコーダ・ホイールを介する、駆動シャフトの正確な幾何学的配置及び位置決めを可能にする。したがって、どのマルチポジション弁ポッド68が適切に位置合わせされてアクチュエータ・ハウジング内に着座させられるかを最初に判断することにより、制御ユニットが、その検出される弁に対応するようにプログラムされて動作させられ得るようになり、その結果、任意の弁における正確な動作が実現され得るようになる。
【0056】
上で説明したように、光学センサが、アクチュエータ組立体に設置されるPCB上に位置する。結合デバイスが、戦略的に方向付けられて、弁回転軸を中心として回転するために弁デバイスの弁シャフトの端部に添着される結合部材を有する。アクチュエータ・ハウジングの側壁内のボード受けスロットがそこを通って貫通チャンバに入るアクセス・ポートを提供する。このポートが、ハウジングに対して駆動組立体が動作可能に設置されるときの2つのエンコーダまでのセンサによるアクセスを可能にする。したがって、エンコーダ・スプール/駆動組立体が組み立てられると、言及したように、センサが対応するエンコーダ・ホイールの縁部を跨ぐように位置するのを可能にするような形で、アクチュエータPCBがボード受けスロットの中に装着され得る。POD、位置センサ、アクチュエータ、及びモータの許容される実施例の種々の他の構成要素及び詳細が、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,201,185(B2)号でさらに説明されている。
【0057】
本発明のモジュール型マイクロ流体マイクロポート制御弁組立体60が、弁ポッド68と、アクチュエータ66と、モータ64とを、外部システムに結合するための電気導管78をさらに有する。さらに、FRAMメモリ82の形態のローカライズされたデータ・リポジトリがハウジング84内に収容され、ポッド68に結合される。電気リード80がアクチュエータPCBから延在し、ローカル・メモリ82をアクチュエータ及びモータ・コントローラ86に対して電気的に相互接続する。
【0058】
図10を参照すると、マイクロ流体マイクロポート制御弁組立体100が、HPLCユニット104及び外部ホスト・コンピュータ110と共に概略的に示されている。弁組立体が弁ハウジングに取り付けられるそれ自体のローカライズされたメモリ116を有する弁114と、アクチュエータ・ハウジングに取り付けられるそのメモリ120を有するアクチュエータ118と、駆動コントローラ及びモータに結合されるプロセッサ124を有するモータ122と、を有する。弁メモリ116、アクチュエータ・メモリ120、及びコントローラ124が、すべて、ホスト・コンピュータ110に電気的に結合される。HPLCが、ホスト・コンピュータ110と、弁メモリ116、アクチュエータ・メモリ120、及びコントローラ124との間の媒介手段として機能する内在するコントローラ106を有することができる。
図11から
図16の記述と併せて、弁組立体の制御及び使用をさらに説明する。
【0059】
図11が、ホスト・コンピュータ138に結合される流れ制御構成要素のコントローラ132に結合されるオンボードの不揮発性メモリ・ユニット130の回路図の一部分を示す。コントローラがモータ駆動装置134及び位置センサ136に結合され、それにより弁及びモータのモーション制御及びモーション分析を実現する。モータ・モーション及び弁モーションに関連するデータ又は値が不揮発性メモリに記憶され、それでもさらに、システム制御装置140を介してホスト・コンピュータ138にも伝えられ得る。
【0060】
流れ制御構成要素又はより具体的にはマイクロ流体マイクロポート制御弁組立体の典型的な使用が
図12に示される。例えば最初に弁がHPLC内で使用されるとき、弁組立体が初期化されなければならない(160)。弁組立体の初期化が、弁ポート位置を決定するステップ(162)と、ローカル・メモリ又は内在するメモリに弁位置を記憶するステップ(164)とを含む。弁コントローラが、弁の最適位置を決定するために較正シーケンスをさらに実施することができ、この位置がさらにローカル・メモリに記憶される(166)。弁が初期化されると、弁がシステム内での流体の流れを制御するのに利用され得る。弁が、弁の移動又は作動を制御する制御信号を受信することができる(168)。弁及びコントローラに結合される位置センサが弁の移動を検出して、検出された移動に対応する信号をコントローラに伝達する。次いで、信号が処理され、コントローラが、弁移動を特徴付ける値をローカル・メモリに記憶することができる(170)。位置センサが、モータに結合されるアクチュエータ(駆動シャフト)の検出された移動に対応する信号をコントローラに伝達するのにさらに利用され得る。次いで、信号が処理され、コントローラが、アクチュエータ172の検出及び移動を特徴付ける値をローカル・メモリに記憶することができる(172)。或いは、モータ駆動装置が、モータに送信されるコマンドによりモータが移動するかどうかを判断するのに利用され得る。コントローラ及びモード駆動装置が、1つ又は複数のモーション・エラーを検出するのにさらに利用され得る(174)。次いで、コントローラが、弁移動、モータ移動、及びモータのエラーに関連する蓄積値を決定することができる(176)。蓄積値に関連する値がローカル・メモリに記憶される(178)。この制御がさらに、所定の限界値に対して蓄積値を分析及び比較する(180)。所定の限界値に関連する値もローカル・メモリに記憶され、使用者によって調整又は修正され得る。蓄積値のうちのいずれかの蓄積値が所定の限界値を超えると、対応する処置が開始される。例えば、コントローラが、弁構成要素のうちの1つ又は複数の構成要素が修理又は交換を必要としていることを示す信号をホスト・システムに送信することができる。加えて、所定の限界値と蓄積値との比較の結果が、構成要素の可能性のある障害を予測するのにさらに利用され得る(182)。障害が予測されない場合、弁が制御信号を受信するのを継続する(186)。障害が予測される場合、必要な構成要素が修理又は交換され(184)、弁が運転に戻され、弁がコントローラからの制御信号を受信するのを継続する(188)。
【0061】
図13は、弁を新しい位置まで作動させる(200)ことにおいてコントローラ及びモータ駆動装置により利用されるプロセス又はルーチンを示す。最初に、コントローラが成功裏のモーション・フラグをfalseに設定し(202)、モーション入力をモータに送信することにより弁移動を開始する(204)。次いで、位置センサからの信号が評価され、弁の移動を判断する。段階的な弁のモーションを制御するために信号が実時間で評価され得る(206)。コントローラが位置センサ信号を分析し、成功裏にモーションが完了したか否かを判断する(208)。モーションが成功裏に完了する場合(210)、コントローラが成功裏のモーション・フラグをtrueに設定し(214)、メモリ内の弁位置を更新する(216)。成功裏に完了したモーションは全体のモーション・シーケンスのうちのステップの間で判断されてもよく、つまりポート・トゥ・ポートの「トータル・モーション」をなすマルチパルス・モーションの各パルス後に状態を調べてもよい。コントローラがさらに、弁及びモータに対応する蓄積的モーション又は合計の移動距離に関連するデータ又は値をメモリ内で更新する(218)。次いで、コントローラは、弁モーションが完了したこと(220)を示す。コントローラが、モーションが成功裏に完了していないと判断する場合(212)、コントローラは、弁のための復元データ状態を設定し(222)、これらの制御が、成功裏のモーション・フラグがfalseであることをメモリに記憶する(224)。さらに、コントローラは、弁位置を更新せず(226)、位置センサからの信号が分析され、弁の概略の位置を判断する(228)。次いで、弁が未知の状態として初期化される(230)。しかし、最後の既知の位置は分かっており、メモリからアクセス可能である。その理由は、各々の個別のステップ・レベルのための又はエンコーダ・カウント・レベルのための位置がメモリに記憶されているからである。弁の位置がホーム・ポジションにない可能性があり、弁の位置がポート位置の間にある可能性があるが、弁の絶対位置が分かっている。その理由は、未遂の移動の前の最後の位置がメモリに記憶されているからである。
【0062】
図14がモータ・モーションの分析及び制御を示す。モータ駆動装置がモーション入力を受信し(240)、コントローラがモータ移動の量を計算する。モータ移動の量は、ステップ、並びにステップの数及びステップの速度、として特徴付けられ得(242)、ステップの数及びステップの速度の両方がローカル・メモリに記憶され得る。位置センサからの信号が分析され得、ローカル・メモリに記憶される補正表と比較され得る(244)。次いで、モータ駆動装置がモータ・モーションのための相電流を発生させ(246)、位置センサからの信号が監視され、移動量を判断する(248)。次いで、コントローラが信号を分析し、モーションが許容されるかどうか?を判断する(250)。モーションが許容されない場合(254)、モーション・データ、モーション・エラー、及びエラー・タイプが、ローカル・メモリに記憶され(256)、コントローラ及びモータ駆動装置がモータのための訂正された相電流を発生させることができる。モーションが許容される場合(252)、コントローラは、弁モーションが完了したか否かを判断する(258)。モーションが完了していない場合(260)、モータ駆動装置が相電流を発生させ、モータ・モーションが繰り返される(ループ260)。モーションが完了している場合(262)、モーション量及び弁の最終位置に対応する値がローカル・メモリに記録され(264)、コントローラは、モーションが完了していることを示す(266)。
【0063】
図15が、弁の障害を監視及び予測するためのコントローラ及びモータのプロセス・シーケンスを示す。モータ駆動装置がアクチュエータに信号を送信して弁モーションを始動させる場合(300)、コントローラが、モータ駆動装置のフィードバックからの計算されるトルクに対して、ローカル・メモリに記憶される所定のトルク限界値を比較する(302)。次いで、コントローラが、所定のトルク限界値を超えているかどうかを判断する(304)。限界値を超えている場合(306)、コントローラが、位置エラーをチェックする(312)ために保守管理が必要であること(308)及び保守管理が継続されること(310)を示す信号を発生させる。コントローラが、トルク限界値を超えていないと判断する場合(314)、コントローラが、位置エラー312のチェックを継続する(312)。次いで、コントローラが、位置エラーが警告レベルであるか否か(316)を判断する。警告レベルに達すると(318)、その情報がローカル・メモリに記憶され、コントローラが、警告情報を伝える信号を送信する(320)。次いで、コントローラが、蓄積的モーションが所定の限界値を超えているか否か(324及び328)を判断するためにデータを分析することを継続する(322)。警告レベルに達していない場合(326)、コントローラが進行して、蓄積的モーションが所定の限界値を超えているか否か(324及び328)を判断するためにデータを分析する。蓄積的モーションが予め設定される限界値を超えている場合(330)、コントローラが信号を発生させ、その信号がホスト・コンピュータに送信され得るか又は他の形で使用者に伝えられ得(332)、コントローラが進行し(334)、それにより監視モードを完了する(336)。蓄積的モーションが予め設定される限界値を超えていない場合(338)、その情報がローカル・メモリに記録され、コントローラが監視モードを完了する(336)。
【0064】
図16が代替のモータ・モーションの分析及び制御を示す。モータ駆動装置がホスト・システムからモーション入力を受信する(400)。コントローラがホスト・コマンドを解釈してそのコマンドを位置センサ及びモータに送る(402)。次いで、コントローラがモータ移動の量を計算する。モータ移動の量は、ステップ、並びにステップの数及びステップの速度、として特徴付けられ得(404)、ステップの数及びステップの速度の両方がローカル・メモリに記憶され得る。位置センサからの信号が分析され得、ローカル・メモリに記憶される補正表と比較され得る(406)。次いで、モータ駆動装置がモータ・モーションのための相電流を発生させ(408)、位置センサからの信号が監視され、移動量を判断する(410)。位置センサからの信号が変換され、その変換に関連するデータがホスト・システムに送信される(412)。次いで、コントローラが信号を分析し、モーションが許容されるか否かを判断する(416)。モータが許容されない場合(418)、モーション・データ、モーション・エラー、及びエラー・タイプが、ローカル・メモリに記憶され(420)、コントローラ及びモータ駆動装置がモータのための訂正された相電流を発生させることができる。モーションが許容される場合(422)、コントローラは、弁モーションが完了したか否かを判断する(426)。モーションが完了していない場合(428)、モータ駆動装置が相電流を発生させ、モータ・モーションが繰り返される(ループ428)。モーションが完了している場合、モーション量及び弁の最終位置に対応する値がローカル・メモリに記録され(430)、コントローラは、モーションが完了していることを示す(432)。
【0065】
本発明のこれらの態様及び特徴並びに種々の他の態様及び特徴は、限定的ではなく例示的であることを意図されて記述されるものである。特許法を順守することを目的として、並びに新規な原理を適用するのに及び必要なものである特殊化した構成要素を構築及び使用するのに必要である情報を当業者に提供することを目的として、本明細書において本発明を詳細に説明してきた。しかし、本発明が特定の別の構成によっても実行され得ること、並びに本発明の範囲から逸脱することなく構成及び動作手順の両方に関しての種々の修正形態が達成され得ることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲では、列挙される要素に追加される要素も存在し得ることを理由として、「comprising」及び「including」などの移行句は非限定的な意味で使用されている。本文書を読むことにより当業者には他の実例が明らかとなろう。