(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
F24D 19/10 20060101AFI20241108BHJP
F24H 3/04 20220101ALI20241108BHJP
F24H 15/128 20220101ALI20241108BHJP
F24H 15/273 20220101ALI20241108BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20241108BHJP
【FI】
F24D19/10 C
F24H3/04 301
F24H15/128
F24H15/273
F24H15/457
(21)【出願番号】P 2020053968
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-12-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 開斗
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸一
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174075(JP,A)
【文献】特表2017-532855(JP,A)
【文献】特開2012-189427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00-19/10
F24H 1/00-15/493
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房装置と、
情報通信網を介して前記暖房装置と通信可能に接続されると共に、前記暖房装置の運転開始予約を実行する携帯通信端末と、
前記暖房装置の位置を示す装置位置情報を記憶する記憶部と、
前記携帯通信端末の位置を示す端末位置情報を取得する位置取得部と、
前記端末位置情報及び前記装置位置情報に基づいて、前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定する距離判定部と、
前記運転開始予約が実行された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離以下であると判定された場合に前記暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、
予約取消部と、を備え、
前記運転開始予約が実行された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に
、前記予約取消部が前記運転開始予約を取り消
す暖房システム。
【請求項2】
前記開始制御部によって前記暖房装置の運転が開始された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離よりも長いと判定された場合に前記暖房装置の運転を停止させる停止制御部を備える請求項1に記載の暖房システム。
【請求項3】
暖房装置と、
情報通信網を介して前記暖房装置と通信可能に接続されると共に、前記暖房装置の運転開始予約を実行する携帯通信端末と、
前記暖房装置の位置を示す装置位置情報を記憶する記憶部と、
前記携帯通信端末の位置を示す端末位置情報を取得する位置取得部と、
前記端末位置情報及び前記装置位置情報に基づいて、前記携帯通信端末が前記暖房装置の位置に到達するまでに要する時間である到達所要時間が所定時間以下であるか否かを判定する時間判定部と、
前記運転開始予約が実行された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間以下であると判定された場合に前記暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、
予約取消部と、を備え、
前記運転開始予約が実行された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に
、前記予約取消部が前記運転開始予約を取り消
す暖房システム。
【請求項4】
前記開始制御部によって前記暖房装置の運転が開始された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間よりも長いと判定された場合に前記暖房装置の運転を停止させる停止制御部を備える請求項3に記載の暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置と、暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、を備える暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような暖房システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この暖房システムでは、暖房機本体とリモコンとの間の距離が所定距離以内であるときに、使用者がリモコンを運転開始操作すると、開始制御部(特許文献1では「制御装置」)が、暖房装置(特許文献1では「ヒータ装置」)の運転を開始させる。
【0003】
また、この暖房システムでは、暖房機本体とリモコンとの間の距離が所定距離よりも長いときには、使用者がリモコンを運転開始操作しても、リモコンの操作信号は暖房機本体に受け付けられない。そのため、このとき、暖房装置の運転は開始されない。
【0004】
即ち、この暖房システムでは、使用者は、暖房装置に近づいてからリモコンを運転開始操作する。これにより、使用者がリモコンによって暖房装置の運転を開始させる際、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置の近傍に存在するか否かを、使用者が確実に確認することとなる。その結果、暖房装置の運転開始による不測の事態を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の暖房システムでは、リモコンによって暖房装置の運転を開始させる場合、使用者は、暖房機本体とリモコンとの間の距離が所定距離以内となる位置まで暖房装置に近づいてから、リモコンを人為操作する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、暖房装置の運転開始による不測の事態を回避しながらも、運転開始のための操作を、暖房装置と使用者との間の距離にかかわらず行うことができる暖房システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、暖房装置と、情報通信網を介して前記暖房装置と通信可能に接続されると共に、前記暖房装置の運転開始予約を実行する携帯通信端末と、前記暖房装置の位置を示す装置位置情報を記憶する記憶部と、前記携帯通信端末の位置を示す端末位置情報を取得する位置取得部と、前記端末位置情報及び前記装置位置情報に基づいて、前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が所定距離以下であるか否かを判定する距離判定部と、前記運転開始予約が実行された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離以下であると判定された場合に前記暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、予約取消部と、を備えており、前記運転開始予約が実行された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に、前記予約取消部が前記運転開始予約を取り消すことにある。
【0009】
本発明であれば、使用者は、暖房装置と使用者との間の距離にかかわらず、携帯通信端末を操作することによって、暖房装置の運転開始予約を実行することができる。
【0010】
しかも、本発明であれば、暖房装置の運転が実際に開始するタイミングは、携帯通信端末を所持しながら暖房装置へ接近していく使用者が、暖房装置から所定距離以内の範囲に入った時点である。そのため、この所定距離を適宜設定すれば、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置の近傍に存在する場合であっても、その物品等が過度に昇温してしまう前に、使用者は、暖房装置の近傍に到達することとなる。これにより、使用者は、その物品等が暖房装置の近傍に存在することに気付き、暖房装置の運転を停止することができる。
【0011】
従って、本発明であれば、暖房装置の運転開始による不測の事態を回避しながらも、運転開始のための操作を、暖房装置と使用者との間の距離にかかわらず行うことができる暖房システムを実現できる。
また、この構成によれば、運転開始予約が実行された後、判定時間以内に、携帯通信端末を所持する使用者が暖房装置から所定距離以内の範囲に入らなかった場合には、運転開始予約が取り消される。
そのため、例えば、運転開始予約を実行した後に使用者の行動予定が変わり、暖房装置の運転開始が不要になった場合、判定時間以内に、携帯通信端末を所持する使用者が暖房装置から所定距離以内の範囲に入らなければ、自動的に運転開始予約が取り消されることとなる。
従って、上記の構成によれば、暖房システムの利便性を向上させることができる。
【0012】
尚、本明細書において、過度に昇温させるべきでない物品等とは、例えば、過度な昇温により品質が劣化してしまう物品等である。
【0013】
さらに、本発明において、前記開始制御部によって前記暖房装置の運転が開始された後、前記距離判定部によって前記携帯通信端末と前記暖房装置との間の距離が前記所定距離よりも長いと判定された場合に前記暖房装置の運転を停止させる停止制御部を備えると好適である。
【0014】
この構成によれば、運転開始予約が実行された後、携帯通信端末を所持する使用者が暖房装置に接近していき、暖房装置の運転が開始された後で、使用者が暖房装置の近傍に到達することなく引き返し、暖房装置から所定距離以内の範囲から外に出た場合に、暖房装置の運転が停止される。これにより、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置の近傍に存在する場合であっても、その物品等が過度に昇温してしまう前に、暖房装置の運転が停止されやすい。
【0015】
従って、この構成によれば、暖房装置の運転による不測の事態を回避しやすい。
【0020】
また、本発明の別の特徴は、暖房装置と、情報通信網を介して前記暖房装置と通信可能に接続されると共に、前記暖房装置の運転開始予約を実行する携帯通信端末と、前記暖房装置の位置を示す装置位置情報を記憶する記憶部と、前記携帯通信端末の位置を示す端末位置情報を取得する位置取得部と、前記端末位置情報及び前記装置位置情報に基づいて、前記携帯通信端末が前記暖房装置の位置に到達するまでに要する時間である到達所要時間が所定時間以下であるか否かを判定する時間判定部と、前記運転開始予約が実行された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間以下であると判定された場合に前記暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、予約取消部と、を備えており、前記運転開始予約が実行された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に、前記予約取消部が前記運転開始予約を取り消すことにある。
【0021】
本発明であれば、使用者は、暖房装置と使用者との間の距離にかかわらず、携帯通信端末を操作することによって、暖房装置の運転開始予約を実行することができる。
【0022】
しかも、本発明であれば、暖房装置の運転が実際に開始するタイミングは、携帯通信端末を所持しながら暖房装置へ接近していく使用者が、到達所要時間が所定時間以下である範囲に入った時点である。そのため、この所定時間を適宜設定すれば、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置の近傍に存在する場合であっても、その物品等が過度に昇温してしまう前に、使用者は、暖房装置の近傍に到達することとなる。これにより、使用者は、その物品等が暖房装置の近傍に存在することに気付き、暖房装置の運転を停止することができる。
【0023】
従って、本発明であれば、暖房装置の運転開始による不測の事態を回避しながらも、運転開始のための操作を、暖房装置と使用者との間の距離にかかわらず行うことができる暖房システムを実現できる。
また、この構成によれば、運転開始予約が実行された後、判定時間以内に、携帯通信端末を所持する使用者が、到達所要時間が所定時間以下である範囲に入らなかった場合には、運転開始予約が取り消される。
そのため、例えば、運転開始予約を実行した後に使用者の行動予定が変わり、暖房装置の運転開始が不要になった場合、判定時間以内に、携帯通信端末を所持する使用者が、到達所要時間が所定時間以下である範囲に入らなければ、自動的に運転開始予約が取り消されることとなる。
従って、上記の構成によれば、暖房システムの利便性を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明において、前記開始制御部によって前記暖房装置の運転が開始された後、前記時間判定部によって前記到達所要時間が前記所定時間よりも長いと判定された場合に前記暖房装置の運転を停止させる停止制御部を備えると好適である。
【0025】
この構成によれば、運転開始予約が実行された後、携帯通信端末を所持する使用者が暖房装置に接近していき、暖房装置の運転が開始された後で、使用者が暖房装置の近傍に到達することなく引き返し、到達所要時間が所定時間以下である範囲から外に出た場合に、暖房装置の運転が停止される。これにより、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置の近傍に存在する場合であっても、その物品等が過度に昇温してしまう前に、暖房装置の運転が停止されやすい。
【0026】
従って、この構成によれば、暖房装置の運転による不測の事態を回避しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】暖房システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】ガスファンヒータの概略内部構成を示す正面図である。
【
図4】ガスファンヒータの概略内部構成を示す縦断右側面図である。
【
図5】ガスファンヒータの運転操作部を示す平面図である。
【
図6】暖房装置の遠隔操作に関する主要な制御構成を示すブロック図である。
【
図9】第1別実施形態における暖房装置の遠隔操作に関する主要な制御構成を示すブロック図である。
【
図10】第1別実施形態における遠隔操作ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態で例示する暖房システムは、ガスファンヒータ1と、ガスファンヒータ1を遠隔操作可能なスマートフォン2(本発明に係る「携帯通信端末」に相当)と、外部サーバ27と、を備えている。
【0033】
〔ガスファンヒータについて〕
図1~4に示すように、ガスファンヒータ1は、使用者による直接的な運転操作を可能にする運転操作部11、燃料(天然ガス)を燃焼させて暖房対象の流動空気を加熱するガスバーナ12、ガスバーナ12に向けて空気を流動させる送風ファン13、情報通信網としてのインターネット回線Iに接続されているルータRUに無線通信(Wi-Fi等)を介して接続される装置側通信手段14、ガスバーナ12や送風ファン13等の作動を制御する作動制御手段15、及び、外周を覆う筐体17等を備えて構成されている。
【0034】
また、ガスバーナ12及び送風ファン13により、暖房装置Dが構成されている。即ち、本実施形態における暖房システムは、暖房装置Dを備えている。
【0035】
図3に示すように、運転操作部11は、筐体17の天面に配備されている。
図2及び
図5に示すように、運転操作部11は、使用者により操作されるスイッチ類として、ガスファンヒータ1の運転開始操作と運転停止操作とを可能にする運転スイッチ11A、おはようタイマー機能の選択を可能にするおはようタイマースイッチ11B、おやすみタイマー機能の選択を可能にするおやすみタイマースイッチ11C、使用者によるエコ運転機能の選択を可能にするエコ運転スイッチ11D、及び、設定室温と設定時間の変更を可能にする設定スイッチ11E等を備えている。又、運転開始に伴って点灯する運転ランプ11a、おはようタイマー機能の選択に伴って点灯するおはようタイマーランプ11b、おやすみタイマー機能の選択に伴って点灯するおやすみタイマーランプ11c、エコ運転機能の選択に伴って点灯するエコ運転ランプ11d、スマートフォン2との通信接続に伴って点灯する通信ランプ11e、温度表示部11f等も備えられている。
【0036】
図2~4に示すように、ガスバーナ12は、燃料ガスと燃焼用空気との混合気を燃焼させる燃焼器12A、燃焼器12Aに向けて燃料ガスを噴射することで燃料ガスと燃焼用空気とを混合させる噴射ノズル12B、噴射ノズル12Bに燃料ガスを案内するガス管12C、ガス管12Cを開閉する第1電磁弁12Dと第2電磁弁12E、及び、燃料ガスの流量調節を可能にする比例弁12Fを備えている。燃焼器12Aは、その燃焼室12aに案内された燃料に点火する点火器12b、及び、着火による火炎を検出して火炎の立ち消え検知を可能にする火炎センサ12cを備えている。
【0037】
図4に示すように、筐体17は、その背面に吸込口17Aが形成され、前面に温風吹き出し口17Bが形成されている。筐体17の背部には、吸込口17Aから吸い込まれる空気から塵埃を取り除く塵埃捕捉用のエアフィルタ18、及び、温度センサ19が配備されている。温度センサ19は、吸込口17Aから吸い込まれる空気の温度を検出することにより、現在室温を取得する。
【0038】
図2及び
図4に示すように、送風ファン13は、ファンモータ13Bの作動でクロスフローファン13Aが回転することにより、筐体17の吸込口17Aから外気を吸い込む。吸い込まれた空気の一部は、燃焼用空気として燃料ガスと混合されて燃焼室12aに供給される。残りの空気は、燃焼器12Aを迂回し、燃焼室12aからの燃焼排ガスと混合されて昇温した後、温風吹き出し口17Bから吹き出される。昇温した流動空気が温風吹き出し口17Bから吹き出されることで、暖房対象の室内を温める。
【0039】
図2に示す作動制御手段15は、演算処理機能及び情報記憶機能等を有するマイクロコンピュータ等から構成されている。作動制御手段15は、運転操作部11の操作に基づいて、ガスバーナ12、送風ファン13、及び、装置側通信手段14の作動を制御するように構成されている。
【0040】
作動制御手段15は、ガスファンヒータ1の運転停止中に、運転スイッチ11Aにて運転開始操作が行われると、ガスファンヒータ1の運転を開始させる運転開始処理を実行する。この運転開始処理では、作動制御手段15は、ガスバーナ12及び送風ファン13を始動させてガスバーナ12による流動空気の加熱を開始させ、運転ランプ11aを点灯させる。ガスバーナ12は、運転開始処理を実行されると、第1電磁弁12D及び第2電磁弁12Eが開弁され、点火器12bが点火作動することで燃焼作動を開始する。
【0041】
作動制御手段15は、運転開始処理の実行後は、使用者により設定された設定室温を制御目標温度に設定して、温度センサ19で検出される現在室温を制御目標温度に維持するようにガスバーナ12を作動させる燃焼制御を実行する。
【0042】
作動制御手段15は、ガスファンヒータ1の運転中に、運転スイッチ11Aにて運転停止操作が行われると、ガスファンヒータ1の運転を停止させる停止処理を実行する。この停止処理では、作動制御手段15は、第1電磁弁12D及び第2電磁弁12Eを閉弁させて、ガスバーナ12の燃焼作動を停止し、かつ、運転ランプ11aを消灯させた後、送風ファン13を設定時間だけ作動させてガスバーナ12を冷却させる。
【0043】
作動制御手段15は、おはようタイマースイッチ11Bが操作されると、おはようタイマー機能によって、予め設定された運転開始予定時刻になると運転開始処理を実行する。また、作動制御手段15は、おやすみタイマースイッチ11Cが操作されると、おやすみタイマー機能によって、設定時間の経過後に停止処理を実行する。エコ運転機能では、通常運転モードの設定室温から1℃下げた温度を制御目標温度とするエコ運転モードでガスバーナ12を作動させる。
【0044】
〔スマートフォンについて〕
図1及び
図2に示すように、スマートフォン2は、使用者による人為操作により各種の入力情報を入力可能であり且つ種々の画像や情報等を表示する表示手段としてのタッチパネル式の画像表示器21、音声を出力する音声出力部22、他の通話機との通話等を可能にする通話機能部23、インターネット回線Iと無線通信可能に接続される端末側通信手段24、スマートフォン2の作動を制御する端末側制御手段25、及び、周囲を囲う筐体26等を備えて構成されている。端末側制御手段25は、演算処理機能及び情報記憶機能等を有するマイクロプロセッサ等から構成されている。
【0045】
スマートフォン2は、ガスファンヒータ1を無線遠隔操作するためのアプリケーションプログラム(以下、遠隔操作アプリと称する)を、インターネット回線Iを介して外部サーバ27からダウンロード可能に構成されている。そして、スマートフォン2は、この遠隔操作アプリをインストール可能である。ちなみに、この遠隔操作アプリは、スマートフォン2によりインターネット回線Iを介してガスファンヒータ1の無線遠隔操作を可能にするものであり、ガスファンヒータ1の製造事業者等から提供される。外部サーバ27はガスファンヒータ1の製造事業者等によって管理されている。
【0046】
この遠隔操作アプリがインストールされたスマートフォン2は、
図2に示すように、インターネット回線I、装置側通信手段14、作動制御手段15を介して暖房装置Dと通信可能に接続されている。
【0047】
〔暖房装置の遠隔操作について〕
以下では、スマートフォン2に上述の遠隔操作アプリがインストールされているものとして、本実施形態における暖房装置Dの遠隔操作について説明する。
【0048】
図2及び
図6に示すように、スマートフォン2は、位置取得部30を有している。また、
図6に示すように、端末側制御手段25は、距離判定部31、予約管理部33、記憶部34、運転制御部35を有している。
【0049】
予約管理部33は、暖房装置Dの運転開始予約の状態を記憶するように構成されている。以下では、暖房装置Dの運転開始予約の状態を、「予約状態」と呼称する。予約状態は、オンとオフとの間で切り替わる。尚、初期状態において、予約状態はオフである。
【0050】
スマートフォン2の端末側制御手段25は、遠隔操作アプリが起動されると、画像表示器21にホーム画面(図示せず)を表示する。このホーム画面には、予約実行ボタン(図示せず)が表示される。
【0051】
使用者が、この予約実行ボタンを人為操作すると、
図6に示すように、所定の信号が予約管理部33へ送られる。予約管理部33に記憶されている予約状態がオフであるとき、予約管理部33がこの信号を受け取ると、予約管理部33は、予約状態をオフからオンに切り替える。これにより、暖房装置Dの運転開始予約が実行されたこととなる。
【0052】
即ち、本実施形態における暖房システムは、インターネット回線Iを介して暖房装置Dと通信可能に接続されると共に、暖房装置Dの運転開始予約を実行するスマートフォン2を備えている。
【0053】
予約管理部33に記憶されている予約状態は、予約管理部33から運転制御部35へ経時的に送られる。
【0054】
位置取得部30は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星からのGPS信号を受信する。そして、位置取得部30は、受信したGPS信号に基づいて、スマートフォン2の位置を示す端末位置情報を生成する。これにより、位置取得部30は、端末位置情報を取得する。
【0055】
即ち、本実施形態における暖房システムは、スマートフォン2の位置を示す端末位置情報を取得する位置取得部30を備えている。
【0056】
位置取得部30により取得された端末位置情報は、位置取得部30から距離判定部31へ送られる。
【0057】
記憶部34には、暖房装置Dの位置を示す装置位置情報が記憶されている。即ち、本実施形態における暖房システムは、暖房装置Dの位置を示す装置位置情報を記憶する記憶部34を備えている。
【0058】
尚、本実施形態においては、使用者がスマートフォン2を操作することにより、ガスファンヒータ1の設置場所を入力することができるように構成されている。そして、入力された設置場所が、装置位置情報として、記憶部34に記憶される。
【0059】
記憶部34に記憶されている装置位置情報は、記憶部34から距離判定部31へ送られる。
【0060】
距離判定部31は、位置取得部30から受け取った端末位置情報と、記憶部34から受け取った装置位置情報と、に基づいて、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R(
図7参照)以下であるか否かを経時的に判定する。
【0061】
即ち、本実施形態における暖房システムは、端末位置情報及び装置位置情報に基づいて、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であるか否かを判定する距離判定部31を備えている。
【0062】
尚、所定距離Rは、例えば、100メートルであっても良い。また、距離判定部31による判定は、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離と、所定距離Rと、を比較することにより行われても良いし、暖房装置Dを中心として半径が所定距離Rである円形の領域を設定し、この領域内にスマートフォン2が入っているか否かに基づいて行われても良い。
【0063】
距離判定部31による判定結果は、距離判定部31から運転制御部35へ経時的に送られる。
【0064】
図6に示すように、運転制御部35は、開始制御部36を有している。開始制御部36は、運転開始予約が実行された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であると判定された場合に暖房装置Dの運転を開始させる。
【0065】
より具体的には、開始制御部36は、予約管理部33から受け取った予約状態がオンであるときに、距離判定部31から受け取った判定結果が、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であることを示すものである場合、暖房装置Dの運転開始指令を、端末側通信手段24へ送る。
【0066】
そして、
図2に示すように、端末側通信手段24は、この運転開始指令を、インターネット回線I及び外部サーバ27を介して、ガスファンヒータ1の装置側通信手段14に送信する。そして、装置側通信手段14に受信された運転開始指令は、作動制御手段15へ送信される。作動制御手段15は、この運転開始指令に従って、暖房装置Dの運転を開始させる。
【0067】
即ち、本実施形態における暖房システムは、運転開始予約が実行された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であると判定された場合に暖房装置Dの運転を開始させる開始制御部36を備えている。
【0068】
また、
図6に示すように、運転制御部35は、停止制御部37を有している。停止制御部37は、開始制御部36によって暖房装置Dの運転が開始された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定された場合に暖房装置Dの運転を停止させる。
【0069】
より具体的には、停止制御部37は、開始制御部36によって暖房装置Dの運転が開始された後、距離判定部31から受け取った判定結果が、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いことを示すものである場合、暖房装置Dの運転停止指令を、端末側通信手段24へ送る。
【0070】
そして、
図2に示すように、端末側通信手段24は、この運転停止指令を、インターネット回線I及び外部サーバ27を介して、ガスファンヒータ1の装置側通信手段14に送信する。そして、装置側通信手段14に受信された運転停止指令は、作動制御手段15へ送信される。作動制御手段15は、この運転停止指令に従って、暖房装置Dの運転を停止させる。
【0071】
即ち、本実施形態における暖房システムは、開始制御部36によって暖房装置Dの運転が開始された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定された場合に暖房装置Dの運転を停止させる停止制御部37を備えている。
【0072】
また、
図6に示すように、端末側制御手段25は、予約取消部32を有している。予約取消部32は、運転開始予約が実行された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に運転開始予約を取り消す。
【0073】
尚、所定の判定時間は、例えば、1時間であっても良い。
【0074】
詳述すると、
図6に示すように、距離判定部31による判定結果は、距離判定部31から予約取消部32へ経時的に送られる。また、予約取消部32は、予約管理部33から、予約管理部33に記憶されている予約状態を経時的に取得する。
【0075】
そして、予約状態がオフからオンに切り替わった後、距離判定部31から経時的に送られる判定結果が、所定の判定時間以上に亘って継続的に、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いことを示すものである場合、予約取消部32は、予約管理部33に所定の信号を送る。予約管理部33がこの信号を受け取ると、予約管理部33は、予約状態をオンからオフに切り替える。これにより、暖房装置Dの運転開始予約が取り消されたこととなる。
【0076】
即ち、本実施形態における暖房システムは、運転開始予約が実行された後、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に運転開始予約を取り消す予約取消部32を備える。
【0077】
〔遠隔操作ルーチンについて〕
暖房装置Dが運転停止状態であるときには、
図8に示す遠隔操作ルーチンが実行される。尚、この遠隔操作ルーチンは、端末側制御手段25に格納されている。以下、
図8に示す遠隔操作ルーチンについて説明する。
【0078】
遠隔操作ルーチンが実行されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、運転開始予約が実行された状態であるか否かが判定される。即ち、ステップS01では、予約管理部33に記憶されている予約状態がオンであるか否かが、開始制御部36により判定される。
【0079】
例えば、
図7では、スマートフォン2を所持する使用者が、位置P1、P2を通過して暖房装置Dに接近していくケースを実線の矢印で示している。尚、
図7においては、暖房装置Dから所定距離R以内の範囲を示す円が仮想線により示されている。このケースにおいては、使用者が位置P1に位置しているときに、使用者が、上述の予約実行ボタンを人為操作するものとする。この場合、使用者が位置P1に到達するまでの間、ステップS01では、Noと判定される。
【0080】
ステップS01でNoと判定されると、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0081】
そして、使用者が位置P1に到達し、上述の予約実行ボタンを人為操作した後は、ステップS01でYesと判定され、処理はステップS02へ移行する。ステップS02では、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であるか否かが、距離判定部31によって判定される。
【0082】
例えば、
図7に実線の矢印で示すケースでは、位置P2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rである。そして、スマートフォン2を所持する使用者が、位置P1と位置P2との間に位置している間、ステップS02では、Noと判定される。
【0083】
ステップS02でNoと判定されると、処理はステップS03へ移行する。ステップS03では、距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続したか否かが判定される。
【0084】
距離判定部31によってスマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続していない場合、ステップS03でNoと判定され、処理はステップS02へ戻る。
【0085】
即ち、
図7に実線の矢印で示すケースでは、スマートフォン2を所持する使用者が位置P1と位置P2との間に位置しているとき、スマートフォン2を所持する使用者が位置P1と位置P2との間に位置している期間が所定の判定時間に達するまでの間は、処理はステップS02とステップS03とを交互に繰り返すこととなる。
【0086】
そして、スマートフォン2を所持する使用者が位置P1と位置P2との間に位置している期間が所定の判定時間に達すると、ステップS03でYesと判定され、処理はステップS04へ移行する。
【0087】
ステップS04では、予約取消部32により、予約状態がオンからオフに切り替えられる。これにより、暖房装置Dの運転開始予約が取り消される。そして、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0088】
また、スマートフォン2を所持する使用者が位置P1と位置P2との間に位置している期間が所定の判定時間に達することなく、使用者が位置P2に到達した場合、ステップS02でYesと判定される。言い換えれば、使用者が位置P1に到達し、上述の予約実行ボタンを人為操作した後、所定の判定時間以内に使用者が位置P2に到達した場合、ステップS02でYesと判定される。
【0089】
ステップS02でYesと判定されると、処理はステップS05へ移行する。ステップS05では、開始制御部36が、暖房装置Dの運転開始指令を端末側通信手段24へ送る。これにより、暖房装置Dの運転が開始する。そして、処理はステップS06へ移行する。
【0090】
ステップS06では、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離Rよりも長いか否かが、距離判定部31によって判定される。
【0091】
スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下である場合、ステップS06でNoと判定され、処理はステップS07へ移行する。
【0092】
ステップS07では、スマートフォン2の位置が暖房装置Dの近傍に到達したか否かが判定される。より具体的には、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定の閾値以下であるか否かが、距離判定部31によって判定される。尚、この所定の閾値は、所定距離Rより小さい値であり、任意に設定可能である。例えば、この所定の閾値は、2メートルであっても良い。
【0093】
スマートフォン2の位置が暖房装置Dの近傍に到達していない場合、ステップS07でNoと判定され、処理はステップS06へ戻る。即ち、
図7に実線の矢印で示すケースでは、スマートフォン2を所持する使用者が位置P2と暖房装置Dとの間に位置しているとき、スマートフォン2を所持する使用者が暖房装置Dの近傍に到達するまでの間は、処理はステップS06とステップS07とを交互に繰り返すこととなる。
【0094】
そして、スマートフォン2を所持する使用者が暖房装置Dの近傍に到達すると、ステップS07でYesと判定され、この遠隔操作ルーチンは終了する。その後、暖房装置Dが運転中の状態である限り、
図8に示す遠隔操作ルーチンは実行されない。
【0095】
ここで、以上で説明した例において、仮に、
図7に破線の矢印で示すように、スマートフォン2を所持する使用者が、位置P2から、暖房装置Dの近傍に到達することなく、暖房装置Dから離れていくケースについて説明する。
【0096】
このケースでは、使用者は、
図7に示す位置P3を通過する。位置P3と暖房装置Dとの間の距離は、所定距離Rである。
【0097】
このケースでは、使用者が位置P2に到達した後、上述の例と同様に、処理はステップS06へ移行する。そして、使用者が位置P3に到達するまでの間、処理はステップS06とステップS07とを交互に繰り返すこととなる。
【0098】
使用者が位置P3を通過すると、ステップS06でYesと判定され、処理はステップS08へ移行する。ステップS08では、停止制御部37が、暖房装置Dの運転停止指令を端末側通信手段24へ送る。これにより、暖房装置Dの運転が停止する。そして、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0099】
以上で説明した構成であれば、使用者は、暖房装置Dと使用者との間の距離にかかわらず、スマートフォン2を操作することによって、暖房装置Dの運転開始予約を実行することができる。
【0100】
しかも、以上で説明した構成であれば、暖房装置Dの運転が実際に開始するタイミングは、スマートフォン2を所持しながら暖房装置Dへ接近していく使用者が、暖房装置Dから所定距離R以内の範囲に入った時点である。そのため、この所定距離Rを適宜設定すれば、過度に昇温させるべきでない物品等が暖房装置Dの近傍に存在する場合であっても、その物品等が過度に昇温してしまう前に、使用者は、暖房装置Dの近傍に到達することとなる。これにより、使用者は、その物品等が暖房装置Dの近傍に存在することに気付き、暖房装置Dの運転を停止することができる。
【0101】
従って、以上で説明した構成であれば、暖房装置Dの運転開始による不測の事態を回避しながらも、運転開始のための操作を、暖房装置Dと使用者との間の距離にかかわらず行うことができる暖房システムを実現できる。
【0102】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、端末側制御手段25は、距離判定部31を有している。そして、距離判定部31は、位置取得部30から受け取った端末位置情報と、記憶部34から受け取った装置位置情報と、に基づいて、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離が所定距離R以下であるか否かを経時的に判定する。
【0103】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0104】
図9に示すように、本発明に係る第1別実施形態において、端末側制御手段25は、時間判定部131を有している。位置取得部30により取得された端末位置情報は、位置取得部30から時間判定部131へ送られる。また、記憶部34に記憶されている装置位置情報は、記憶部34から時間判定部131へ送られる。
【0105】
時間判定部131は、位置取得部30から受け取った端末位置情報と、記憶部34から受け取った装置位置情報と、に基づいて、スマートフォン2が暖房装置Dの位置に到達するまでに要する時間である到達所要時間が所定時間以下であるか否かを経時的に判定する。尚、所定時間は、例えば、10分であっても良い。
【0106】
即ち、第1別実施形態における暖房システムは、端末位置情報及び装置位置情報に基づいて、スマートフォン2が暖房装置Dの位置に到達するまでに要する時間である到達所要時間が所定時間以下であるか否かを判定する時間判定部131を備えている。
【0107】
尚、より具体的には、時間判定部131は、端末位置情報と、装置位置情報と、に基づいて、スマートフォン2と暖房装置Dとの間の距離を算出する。さらに、時間判定部131は、算出された距離を、所定の移動速度で除することによって、到達所要時間を算出する。そして、算出された到達所要時間と、所定時間と、を比較することにより、到達所要時間が所定時間以下であるか否かを判定する。
【0108】
しかしながら、本発明はこれに限定されず、時間判定部131は、到達所要時間が所定時間以下であるか否かを、上述の方法以外のいかなる方法によって判定しても良い。
【0109】
時間判定部131による判定結果は、時間判定部131から運転制御部35へ経時的に送られる。
【0110】
図9に示すように、運転制御部35は、開始制御部136を有している。開始制御部136は、運転開始予約が実行された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間以下であると判定された場合に暖房装置Dの運転を開始させる。
【0111】
より具体的には、開始制御部136は、予約管理部33から受け取った予約状態がオンであるときに、時間判定部131から受け取った判定結果が、到達所要時間が所定時間以下であることを示すものである場合、暖房装置Dの運転開始指令を、端末側通信手段24へ送る。
【0112】
そして、
図2に示すように、端末側通信手段24は、この運転開始指令を、インターネット回線I及び外部サーバ27を介して、ガスファンヒータ1の装置側通信手段14に送信する。そして、装置側通信手段14に受信された運転開始指令は、作動制御手段15へ送信される。作動制御手段15は、この運転開始指令に従って、暖房装置Dの運転を開始させる。
【0113】
即ち、第1別実施形態における暖房システムは、運転開始予約が実行された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間以下であると判定された場合に暖房装置Dの運転を開始させる開始制御部136を備えている。
【0114】
また、
図9に示すように、運転制御部35は、停止制御部137を有している。停止制御部137は、開始制御部136によって暖房装置Dの運転が開始された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定された場合に暖房装置Dの運転を停止させる。
【0115】
より具体的には、停止制御部137は、開始制御部136によって暖房装置Dの運転が開始された後、時間判定部131から受け取った判定結果が、到達所要時間が所定時間よりも長いことを示すものである場合、暖房装置Dの運転停止指令を、端末側通信手段24へ送る。
【0116】
そして、
図2に示すように、端末側通信手段24は、この運転停止指令を、インターネット回線I及び外部サーバ27を介して、ガスファンヒータ1の装置側通信手段14に送信する。そして、装置側通信手段14に受信された運転停止指令は、作動制御手段15へ送信される。作動制御手段15は、この運転停止指令に従って、暖房装置Dの運転を停止させる。
【0117】
即ち、第1別実施形態における暖房システムは、開始制御部136によって暖房装置Dの運転が開始された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定された場合に暖房装置Dの運転を停止させる停止制御部137を備えている。
【0118】
また、
図9に示すように、端末側制御手段25は、予約取消部132を有している。予約取消部132は、運転開始予約が実行された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に運転開始予約を取り消す。
【0119】
詳述すると、
図9に示すように、時間判定部131による判定結果は、時間判定部131から予約取消部132へ経時的に送られる。また、予約取消部132は、予約管理部33から、予約管理部33に記憶されている予約状態を経時的に取得する。
【0120】
そして、予約状態がオフからオンに切り替わった後、時間判定部131から経時的に送られる判定結果が、所定の判定時間以上に亘って継続的に、到達所要時間が所定時間よりも長いことを示すものである場合、予約取消部132は、予約管理部33に所定の信号を送る。予約管理部33がこの信号を受け取ると、予約管理部33は、予約状態をオンからオフに切り替える。これにより、暖房装置Dの運転開始予約が取り消されたこととなる。
【0121】
即ち、第1別実施形態における暖房システムは、運転開始予約が実行された後、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続した場合に運転開始予約を取り消す予約取消部132を備える。
【0122】
また、第1別実施形態における暖房システムにおいて、暖房装置Dが運転停止状態であるときには、
図10に示す遠隔操作ルーチンが実行される。尚、この遠隔操作ルーチンは、端末側制御手段25に格納されている。以下、
図10に示す遠隔操作ルーチンについて説明する。
【0123】
遠隔操作ルーチンが実行されると、まず、ステップS11の処理が実行される。ステップS11では、運転開始予約が実行された状態であるか否かが判定される。即ち、ステップS11では、予約管理部33に記憶されている予約状態がオンであるか否かが、開始制御部136により判定される。
【0124】
予約管理部33に記憶されている予約状態がオフである場合、ステップS11でNoと判定され、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0125】
予約管理部33に記憶されている予約状態がオンである場合、ステップS11でYesと判定され、処理はステップS12へ移行する。ステップS12では、到達所要時間が所定時間以下であるか否かが、時間判定部131によって判定される。
【0126】
到達所要時間が所定時間よりも長い場合、ステップS12でNoと判定され、処理はステップS13へ移行する。ステップS13では、時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続したか否かが判定される。
【0127】
時間判定部131によって到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態が所定の判定時間以上に亘って継続していない場合、ステップS13でNoと判定され、処理はステップS12へ戻る。
【0128】
即ち、ステップS11でYesと判定された後、スマートフォン2を所持する使用者が、到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される位置に位置しているとき、到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態の継続期間が所定の判定時間に達するまでの間は、処理はステップS12とステップS13とを交互に繰り返すこととなる。
【0129】
そして、到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態の継続期間が所定の判定時間に達すると、ステップS13でYesと判定され、処理はステップS14へ移行する。
【0130】
ステップS14では、予約取消部32により、予約状態がオンからオフに切り替えられる。これにより、暖房装置Dの運転開始予約が取り消される。そして、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0131】
また、到達所要時間が所定時間よりも長いと判定される状態の継続期間が所定の判定時間に達することなく、到達所要時間が所定時間以下となった場合、ステップS12でYesと判定され、処理はステップS15へ移行する。
【0132】
ステップS15では、開始制御部136が、暖房装置Dの運転開始指令を端末側通信手段24へ送る。これにより、暖房装置Dの運転が開始する。そして、処理はステップS16へ移行する。
【0133】
ステップS16では、到達所要時間が所定時間よりも長いか否かが、時間判定部131によって判定される。
【0134】
到達所要時間が所定時間以下である場合、ステップS16でNoと判定され、処理はステップS17へ移行する。
【0135】
ステップS17では、スマートフォン2の位置が暖房装置Dの近傍に到達したか否かが判定される。より具体的には、到達所要時間が所定の閾値以下であるか否かが、時間判定部131によって判定される。尚、この所定の閾値は、所定時間より小さい値であり、任意に設定可能である。例えば、この所定の閾値は、10秒であっても良い。
【0136】
スマートフォン2の位置が暖房装置Dの近傍に到達していない場合、ステップS17でNoと判定され、処理はステップS16へ戻る。即ち、スマートフォン2を所持する使用者が、到達所要時間が所定時間以下であると判定される位置に位置しているとき、スマートフォン2を所持する使用者が暖房装置Dの近傍に到達するまでの間は、処理はステップS16とステップS17とを交互に繰り返すこととなる。
【0137】
そして、スマートフォン2を所持する使用者が暖房装置Dの近傍に到達すると、ステップS17でYesと判定され、この遠隔操作ルーチンは終了する。その後、暖房装置Dが運転中の状態である限り、
図10に示す遠隔操作ルーチンは実行されない。
【0138】
ここで、処理がステップS16に初めて移行した後、スマートフォン2を所持する使用者が、暖房装置Dの近傍に到達することなく暖房装置Dから離れていくケースでは、以下の通りとなる。
【0139】
即ち、このケースでは、スマートフォン2を所持する使用者が暖房装置Dから離れていくに従って、到達所要時間が長くなる。そして、到達所要時間が所定時間よりも長くなると、ステップS16でYesと判定され、処理はステップS18へ移行する。ステップS18では、停止制御部137が、暖房装置Dの運転停止指令を端末側通信手段24へ送る。これにより、暖房装置Dの運転が停止する。そして、この遠隔操作ルーチンは一旦終了する。
【0140】
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態では、ガスファンヒータ1の装置側通信手段14が、ルータRUを介してインターネット回線Iと接続される構成としたが、これに代えて、規格が異なるネットワーク同士を中継するゲートウエイとの間で近距離無線通信を介してインターネット回線Iと接続される構成でもよく、携帯電話網の基地局との間で通信回線を介して直接接続される構成としてもよい。また、上記実施形態では、スマートフォン2とガスファンヒータ1とが、インターネット回線I及び外部サーバ27を介して、情報を通信するようにしたが、外部サーバ27を介することなく、インターネット回線Iを介して、あるいは近距離無線通信(本発明に係る「情報通信網」に相当)を介して、スマートフォン2とガスファンヒータ1とが直接に通信可能に接続されるものでもよい。
【0141】
(2)ガスファンヒータ1に代えて、石油ファンヒータや電気ストーブ等が備えられていても良い。
【0142】
(3)スマートフォン2に代えて、従来の携帯電話機やタブレット端末等が備えられていても良い。
【0143】
(4)上記実施形態では、本発明に係る「暖房装置」に相当する要素として、暖房装置Dを例に挙げて説明したが、ガスファンヒータ1も、本発明に係る「暖房装置」に相当する。
【0144】
(5)
図8に示す遠隔操作ルーチンにおけるステップS05において、開始制御部36が暖房装置Dの運転を開始させることに加えて、予約状態がオンからオフに切り替えられても良い。
【0145】
(6)
図8に示す遠隔操作ルーチンにおいて、ステップS08の次にステップS02へ処理が移行するように構成されていても良い。
【0146】
(7)
図10に示す遠隔操作ルーチンにおけるステップS15において、開始制御部136が暖房装置Dの運転を開始させることに加えて、予約状態がオンからオフに切り替えられても良い。
【0147】
(8)
図10に示す遠隔操作ルーチンにおいて、ステップS18の次にステップS12へ処理が移行するように構成されていても良い。
【0148】
(9)停止制御部37は設けられていなくても良い。
【0149】
(10)予約取消部32は設けられていなくても良い。
【0150】
(11)上記実施形態において、距離判定部31、予約取消部32、予約管理部33、記憶部34、開始制御部36、停止制御部37のうち、一部または全てが、ガスファンヒータ1に備えられていても良いし、外部サーバ27に備えられていても良い。
【0151】
(12)第1別実施形態において、時間判定部131、予約取消部132、予約管理部33、記憶部34、開始制御部136、停止制御部137のうち、一部または全てが、ガスファンヒータ1に備えられていても良いし、外部サーバ27に備えられていても良い。
【0152】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、暖房装置と、暖房装置の運転を開始させる開始制御部と、を備える暖房システムに適用できる。
【符号の説明】
【0154】
2 スマートフォン(携帯通信端末)
30 位置取得部
31 距離判定部
32、132 予約取消部
34 記憶部
36、136 開始制御部
37、137 停止制御部
131 時間判定部
D 暖房装置
I インターネット回線(情報通信網)
R 所定距離