IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7584240ファスナコーティングツール、そのキット、及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ファスナコーティングツール、そのキット、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/02 20060101AFI20241108BHJP
   F16B 33/06 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20241108BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B05C1/02 101
F16B33/06 H
B05D7/00 K
B05D1/28
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020087769
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021000623
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】16/418,674
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンズ, リチャード リン
(72)【発明者】
【氏名】ダックワース, ライマン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ララビー, ダイアナ デュジャンコ ダン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン, ジャネット カレン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイド, サンドラ ロレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】バスケス, エルカー アイ.
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-209860(JP,A)
【文献】登録実用新案第3126247(JP,U)
【文献】米国特許第09061313(US,B1)
【文献】特開2011-025236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0055075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/02
F16B 33/06
B05D 7/00
B05D 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖形状を有する非浸透壁(104)を備える非浸透体(102)であって、前記非浸透壁(104)が、
前記非浸透体(102)内に内部空洞(106)を画定する内表面(108)と、
前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)とは逆側に面している外表面(110)と、
閉鎖形状を有しており、かつ前記非浸透壁(104)の前記内表面(108)と前記外表面(110)とを相互接続させる終端面(116)とを備える、非浸透体(102)、及び
浸透体(112)であって、
前記非浸透壁(104)の前記外表面(110)の少なくとも一部分と重なり、
前記非浸透壁(104)の前記終端面(116)全体と重なり、
前記非浸透壁(104)の前記内表面(108)の少なくとも一部分と重なり、
前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)の広さにわたり、
前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)の中に少なくとも部分的に延在するファスナ空洞(114)であって、ファスナアセンブリ(50)のコーティングされるべき部分を受容するよう、サイズ決定されかつ形状決定されている、ファスナ空洞(114)を画定する、浸透体(112)を備える、ファスナコーティングツール(100)であって、前記ファスナ空洞(114)は、前記非浸透壁(104)の前記終端面(116)の近位に開端部(118)を有し、前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)の中の、前記開端部(118)の反対側に、閉端部(119)を有する、
ファスナコーティングツール(100)。
【請求項2】
液体(122)を前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)に供給するよう構成された液体源(120)を更に備える、請求項1に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項3】
前記非浸透体(102)が、第1非浸透体部品(140)と、前記第1非浸透体部品(140)に連結された第2非浸透体部品(142)とを備え、
前記第1非浸透体部品(140)が、前記内表面(108)と、前記外表面(110)と、前記終端面(116)とを備え、
前記第2非浸透体部品(142)は、前記液体源(120)から前記液体(122)を受容するための、前記非浸透体(102)の前記内部空洞(106)に至る入口(144)を備える、請求項2に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項4】
前記浸透体(112)が中心軸(113)を有し、
前記浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、前記第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
前記第1浸透体部品(130)は前記ファスナ空洞(114)の前記開端部(118)を画定し、
前記第2浸透体部品(132)は前記ファスナ空洞(114)の前記閉端部(119)を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項5】
前記第1浸透体部品(130)は、前記中心軸(113)に平行な方向に、前記第2浸透体部品(132)と少なくとも部分的に重なる、請求項4に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項6】
前記第1浸透体部品(130)は、前記中心軸(113)を横切る方向に、前記第2浸透体部品(132)と少なくとも部分的に重なる、請求項5に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項7】
前記第1浸透体部品(130)は、前記第2浸透体部品(132)を取り囲んでおり、前記中心軸(113)に沿って見た場合に、前記第2浸透体部品(132)のいかなる部分とも重ならない、請求項4又は5に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項8】
前記中心軸(113)は、前記第2浸透体部品(132)と交差するが、前記第1浸透体部品(130)とは交差しない、請求項7に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項9】
前記第2浸透体部品(132)は、前記中心軸(113)に沿って見た場合に、前記第1浸透体部品(130)と重なる、請求項4又は5に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項10】
前記中心軸(113)は、前記第2浸透体部品(132)と交差するが、前記第1浸透体部品(130)とは交差しない、請求項9に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項11】
前記第1浸透体部品(130)が、前記非浸透体(102)の前記非浸透壁(104)の前記外表面(110)の少なくとも一部分と重なり、
前記第1浸透体部品(130)が、前記非浸透体(102)の前記非浸透壁(104)の前記終端面(116)全体と重なり、
前記第1浸透体部品(130)が、前記非浸透体(102)の前記非浸透壁(104)の前記内表面(108)の少なくとも一部分と重なる、請求項4から10のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項12】
前記浸透体(112)の前記ファスナ空洞(114)が、深さ寸法(134)と、前記ファスナ空洞(114)の前記開端部(118)における第1横方向寸法(136)と、前記ファスナ空洞(114)の前記閉端部(119)における第2横方向寸法(138)とを有し、
前記第1横方向寸法(136)は、前記深さ寸法(134)が測定される軸に対して直角な軸に沿って測定され、
前記第2横方向寸法(138)は、前記深さ寸法(134)が測定される軸に対して直角な軸に沿って測定され、
前記第1横方向寸法(136)は、前記第2横方向寸法(138)よりも大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項13】
前記浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、前記第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
前記第1浸透体部品(130)は前記ファスナ空洞(114)の前記開端部(118)を画定し、
前記第2浸透体部品(132)は前記ファスナ空洞(114)の前記閉端部(119)を画定し、
前記第1浸透体部品(130)が前記第1横方向寸法(136)を画定し、前記第2浸透体部品(132)が前記第2横方向寸法(138)を画定する、請求項12に記載のファスナコーティングツール(100)。
【請求項14】
前記浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、前記第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
前記第1浸透体部品(130)は前記ファスナ空洞(114)の前記開端部(118)を画定し、
前記第2浸透体部品(132)は前記ファスナ空洞(114)の前記閉端部(119)を画定し、
前記第1浸透体部品(130)が前記第1横方向寸法(136)及び前記第2横方向寸法(138)を画定する、請求項12に記載のファスナコーティングツール(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば下塗り剤、塗料、又はその他の液体を用いて、ファスナをコーティングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
航空輸送体、地上輸送体、海洋輸送体、宇宙輸送体、機械類の製造におけるものを含め、様々なファスナが、製造業全体にわたって使用されている。一部の応用では、アセンブリ全体が塗装される前に、装着済みのファスナを下塗り剤でコーティングすることが必要になりうる。一部の応用では、仕様により、露出したファスナを下塗り剤で完全に覆うこと、及び、基板(この基板からファスナが延在している)上のファスナの周りの輪の中に正確に下塗り剤を塗布することが、必要になる。従来的に、下塗り剤は、発泡体ブラシ又は毛ブラシを利用することにより、手作業でファスナに塗布される。しかし、手作業の技法は、下塗り剤の塗布の過多又は過少をもたらすことが多く、これにより、時間の(ゆえに費用も)かかるリワークが生じる。
【発明の概要】
【0003】
ファスナコーティングツール、そのキット(kits)、及び関連する方法が開示される。
【0004】
本書では、非浸透体と浸透体とを備えるファスナコーティングツールが開示されている。非浸透体は、閉鎖形状を有する非浸透壁を備える。非浸透壁は、内表面と、外表面と、終端面とを備える。内表面は、非浸透体内に内部空洞を画定する。外表面は、非浸透体の内部空洞とは逆側に面している。終端面は、閉鎖形状を有しており、非浸透壁の内表面と外表面とを相互接続させる。浸透体は、非浸透壁の外表面の少なくとも一部分と重なり、非浸透壁の終端面全体と重なり、非浸透壁の内表面の少なくとも一部分と重なり、非浸透体の内部空洞の広さにわたり、かつファスナ空洞を画定する。ファスナ空洞は、非浸透体の内部空洞の中に少なくとも部分的に延在しており、ファスナアセンブリのコーティングされるべき部分を受容するよう、サイズ決定されかつ形状決定される。ファスナ空洞は、非浸透壁の終端面の近位に開端部を有し、非浸透体の内部空洞の中の、開端部の反対側に、閉端部を有する。
【0005】
本書では、本開示による、2つ以上のファスナコーティングツールを備えるキットも開示されている。
【0006】
本書では更に、基板から延在するファスナアセンブリをコーティングする方法であって、ある量の液体で浸透体を少なくとも部分的に飽和させるステップと、浸透体でファスナアセンブリを覆うステップとを含む、方法も開示されている。ファスナアセンブリを覆うステップは、ファスナアセンブリに浸透体を少なくとも部分的に押し付けるステップと、ある量の液体の一部分を、浸透体から、ファスナアセンブリの露出した外表面、及びファスナアセンブリを囲む基板上の輪に移動させるステップとを、含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板から延在している例示的なファスナアセンブリであって、本開示によるファスナコーティングツールによって塗布された液体でコーティングされた、又は本開示による方法の結果として液体でコーティングされた、例示的なファスナアセンブリの斜視図である。
図2】本開示によるファスナコーティングツールの例を示す概略側面断面図である。
図3】本開示によるファスナコーティングツールの例を示す概略側面断面図である。
図4】本開示によるファスナコーティングツールの更なる例を示す概略側面断面図である。
図5】本開示によるファスナコーティングツールの更なる例を示す概略側面断面図である。
図6】本開示によるファスナコーティングツールの更なる例を示す概略側面断面図である。
図7】本開示によるファスナコーティングツールの更なる例を示す概略側面断面図である。
図8】本開示によるキットを示す概略図である。
図9】本開示による例示的なファスナコーティングツールが描かれている。
図10】本開示による例示的なファスナコーティングツールの例示的な非浸透体の端面図である。
図11図10の非浸透体の側面図である。
図12図11の線12-12に沿って切られた、図10の非浸透体の断面図である。
図13】本開示による例示的なファスナコーティングツールの例示的な非浸透体の端面図である。
図14図13の非浸透体の側面図である。
図15図14の線15-15に沿って切られた、図13の非浸透体の断面図である。
図16】本開示による例示的なファスナコーティングツールの例示的な非浸透体の端面図である。
図17図16の非浸透体の側面図である。
図18図17の線18-18に沿って切られた、図16の非浸透体の断面図である。
図19】本開示による例示的なファスナコーティングツールの例示的な非浸透体の端面図である。
図20図19の非浸透体の側面図である。
図21図20の線21-21に沿って切られた、図19の非浸透体の断面図である。
図22】本開示による例示的なファスナコーティングツールの例示的な非浸透体の端面図である。
図23図22の非浸透体の側面図である。
図24図23の線24-24に沿って切られた、図22の非浸透体の断面図である。
図25】本開示による例示的なファスナコーティングツールの斜視図である。
図26】本開示による例示的なキットの斜視図である。
図27】本開示による例示的な方法を概略的に示すフロー図である。
図28】航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
図29】航空機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本書では、ファスナアセンブリをコーティングするファスナコーティングツール、そのキット、及び関連する方法が開示される。詳細には、図1を参照するに、ファスナアセンブリ50の外表面54、及び基板52(ファスナアセンブリ50はこの基板52から延在している)上のファスナアセンブリ50の周りの輪56を、下塗り剤、塗料、又はその他の液体でコーティングするために、ファスナコーティングツール及びキットが使用され、かつ方法が実装されうる。ファスナアセンブリの例は、航空宇宙関連産業、自動車関連産業、海洋輸送体及び宇宙輸送体を製造する産業において使用されるものを含み、例えばロックボルトアセンブリ、ボルトナットアセンブリ、リベットなどであるが、これらに限定されるわけではない。
【0009】
図2から図7は、ファスナコーティングツールの様々な例を概略的に示している。一般に、これらの図では、所与の例に含まれることが多い要素が実線で示されている一方、所与の例ではオプションでありうる要素は破線で示されている。しかし、実線で示される要素が本開示の例の全てに必須というわけではなく、本開示の範囲を逸脱しなければ、実線で示される要素が特定の例から省かれることもある。更に、一部の例では、破線で示される要素が重要になることもある。
【0010】
図2から図7に概略的に示しているように、ファスナコーティングツール100は、少なくとも、非浸透体102と浸透体112とを備える。「非浸透(non-permeable)」という語は、非浸透体102を構築している材料が、概して、液体122の通過を許容しないことを意味する。一部の例では、非浸透体102は、浸透体112を支持する剛性体であるとも説明されうる。一又は複数の例では、非浸透体102は、非浸透体102とファスナアセンブリ50及び隣接する基板52との間で浸透体112を有効に圧縮させるために浸透体112を支持するのに、十分な剛性を有する、プラスチック又は金属で構築される。「浸透(permeable)」という語は、浸透体112を構築している材料が、液体122の通過を許容することを意味する。詳細には、浸透体112は、ファスナアセンブリ50及び隣接する基板52への塗布のために、液体122を吸収し、吸い上げる(wick)よう構成される。一部の例では、浸透体112は、非浸透体102とファスナアセンブリ50及び隣接する基板52との間で圧縮されてから、規定状態に回復するか若しくは緩んで規定状態になるように、弾性であるとも、又は弾性材料で構築されるとも説明されうる。一部の例では、浸透体112の全ての部分が、流体に関して浸透性である。一又は複数の例では、浸透体112は、網状発泡体材料128で構築されるか又は構成される。網状発泡体材料128は、追加的又は代替的に、連続気泡発泡体材料であるとも説明されることがあり、その一具体例は、1インチあたり約50~100の細孔(1センチあたり約127~254の細孔)を有する網状ポリウレタン発泡体である。しかし、浸透体112を構築するために、例えばファスナコーティングツール100によって塗布される液体122の材料特性に基づいて、その他の材料構成も使用されうる。網状発泡体材料128で構築されることによって、本書に記述されているように、ファスナアセンブリ50及び隣接する基板52への塗布のための、浸透体112全体にわたる液体122の吸い上げ又はそれ以外の移動が可能になる。
【0011】
非浸透体102は、閉鎖形状を有する非浸透壁104であって、非浸透体102内に内部空洞106を画定する内表面108、内部空洞106とは逆側に面している外表面110、及び閉鎖形状を有し、かつ内表面108と外表面110とを相互接続させる終端面116を備える、非浸透壁104を備える。「閉鎖形状(closed shape)」を有する、という文言は、ファスナアセンブリ50が内部空洞106の中に少なくとも部分的に受容されると、非浸透壁104と終端面116とがファスナアセンブリ50を完全に取り囲むことを意味する。とはいえ、非浸透壁104は、本書に記述されているように、内部空洞106に至る入口144を備えてよく、それでもなお、閉鎖形状を有すると見なされうる。
【0012】
図2から図7に概略的に示しているように、浸透体112は、非浸透壁104の外表面110の少なくとも一部分と重なり、非浸透壁104の終端面116全体と重なり、非浸透壁104の内表面108の少なくとも一部分と重なり、かつ非浸透体102の内部空洞106の広さにわたる。加えて、浸透体112は、非浸透体102の内部空洞106の中に少なくとも部分的に延在するファスナ空洞114を画定し、ファスナ空洞114は、ファスナアセンブリ50の液体122でコーティングされるべき部分を受容するよう、サイズ決定されかつ形状決定される。つまり、ファスナ空洞114は、非浸透壁104の終端面116の近位に、ファスナ空洞114内にファスナアセンブリ50を受容するための開端部118を有し、かつ、非浸透体102の内部空洞106の中の、開端部118の反対側に、閉端部119を有する。したがって、基板52から延在するファスナアセンブリ50が開端部118を通じてファスナ空洞114の中に受容されると、浸透体112の、非浸透体102の非浸透壁104の終端面116と重なっている部分は、基板52に液体122の輪56を塗布するように、基板52と係合することになる。加えて、浸透体112の、非浸透体102の非浸透壁104の内表面108と重なっている部分は、ファスナアセンブリ50の側面に液体122を塗布するように、ファスナアセンブリ50の側面と係合することになり、浸透体112の、非浸透体102の内部空洞106の広さにわたり、かつファスナ空洞114の閉端部119を画定している部分は、ファスナアセンブリ50の終端部に液体122を塗布するように、ファスナアセンブリ50の終端部と係合することになる。
【0013】
特定のファスナアセンブリの一部分を受容するようサイズ決定されかつ形状決定される、という文言は、浸透体112によって画定されたファスナ空洞114が概して、特定のファスナアセンブリの、基板52から延在している部分の形状であることを意味する。一又は複数の例では、ファスナ空洞114の中にファスナアセンブリ50が受容される前には、ファスナ空洞はファスナアセンブリ50よりも若干小さい。その結果として、ファスナアセンブリ50がファスナ空洞114の中に受容されると、浸透体112は圧縮され、液体122を浸透体112からファスナアセンブリ50に移動させる。更に、非浸透体102の非浸透壁104は、ファスナアセンブリ50がファスナ空洞114の中に受容されると浸透体112が非浸透壁104とファスナアセンブリ50との間で圧縮されるように、浸透体112に支持を提供する。加えて、ファスナコーティングツール100が基板52に押し付けられると、浸透体112が基板52と非浸透体102の非浸透壁104の終端面116との間で圧縮されることによって、液体122は浸透体112から基板52に移動して、ファスナアセンブリ50の周りに液体122の輪56が作り出される。
【0014】
図2から図7に概略的にオプションとして示されているように、一部のファスナコーティングツール100は、液体122を液体源120から非浸透体102の内部空洞106に供給するよう構成されている、液体源120を更に備える。一又は複数のかかる例では、液体源120は、ある量の液体122を保持するよう構成されている、リザーバ124を備える。したがって、一又は複数のファスナアセンブリ50に塗布するための液体122の供給が、容易に利用可能になる。好適な量は、具体的な応用に基づいて選択されうる。例えば、一部の応用では、製造環境内の作業ステーションなどにおいて、いくつかのファスナアセンブリを有効にコーティングするのに十分なほど大きな量を有することが、望ましいこともある。一部の応用では、例えば、ファスナコーティングツール100のユーザが吐出される(dispensed)液体122の量を制御することを必要とせずに、液体122が吐出されうるように、単一のファスナアセンブリへの液体122の単一塗布に対応する量の液体122を有することが、望ましいこともある。例えば、ファスナコーティングツール100の使用中にユーザが疲弊することを避けるために、ファスナコーティングツール100の全体重量を閾値未満に保つのに十分なほど小さな量を有することが、望ましいこともある。一部の例では、リザーバ124は、ファスナコーティングツール100の非浸透体102と一体化されうるか、さもなければ固定的に連結されうる。これにより、ファスナコーティングツール100は、全体として携帯可能になる。他の例では、リザーバ124は、例えば、リザーバ124と非浸透体102の内部空洞106とを接続するチューブやホースを用いて、非浸透体102から遠隔にあることもある。かかる例では、より大型の大量リザーバが提供されうる。これによって、ある量の液体122を有するリザーバ124に交換すること、又はある量の液体122をリザーバ124に継ぎ足すことに要する時間は増大する。特定のファスナコーティングツールの応用に応じて、ファスナコーティングツール100は様々な種類の液体122と共に使用されるよう構成されてよく、リザーバ124は様々な種類の液体122を保持するよう構成されうる。記載しているように、液体122の例は下塗り剤及び塗料を含む。一部の例では、ファスナコーティングツール100は、100センチストーク未満の粘度を有する液体向けに特に構成されてよく、かかる液体に良好に適しうる。
【0015】
引き続き図2から図7を参照するに、一又は複数の例では、液体源120は、液体源120から非浸透体102の内部空洞106に所定の量の液体122を選択的に吐出するよう構成されている、ユーザ入力機構126を備える。つまり、ユーザ入力機構126は、内部空洞106に液体122を選択的に吐出するための、(例えばユーザの直接的関与による)ユーザからの入力を、受信するよう構成される。したがって、ユーザがユーザ入力機構126を有効に関与させると、既知の分量の液体122が、内部空洞106に(ひいては最終的に、ファスナアセンブリ50への塗布のために浸透体112に)吐出される。ユーザ入力機構126の非排他的な例は、ボタン、トリガ、レバー、プランジャなどを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)。
【0016】
図2から図4に実線で概略的に示されているように、一部の例では、浸透体112は単一の部品からなる。浸透体112のかかる構成により、非浸透体102との組み立ての簡易化が促進される。しかし、図2から図4に破線で概略的にオプションとして示されているように、かつ図5から7に実線で概略的に示されているように、他の例では、浸透体112は、複数の別個の部品を備える。かかる例の一部では、かかる構成により、浸透体112の製造が容易になる。例えば、図2から図4の概略的なオプションとしての(破線の)例を参照するに、2つのピースを有する浸透体112は、円柱形の発泡体の幹状部からコアが除去された結果として得られる中空円筒、及び中実コアから構築されうる。中空円筒は、次いで非浸透体102と組み立てられた後、非浸透体102の内部空洞106の広さにわたり、かつファスナ空洞114の閉端部119を画定するために、中実コアの少なくとも一部分が挿入される。その他の例(図5から図7の概略図など)では、1を上回る数の浸透体部品を利用することで、例えば、形状及びサイズを特定のファスナアセンブリと一致させると共に、浸透体112の、液体122を吸収し保有するための領域全体にわたり、浸透体112の厚さを最適化するために、ファスナ空洞114の独自で望ましい輪郭を作り出すことが可能になる。
【0017】
一又は複数の例では、図2から図7に概略的に示されているように、浸透体112は、中心軸113を有し、かつ、第1浸透体部品130及び第1浸透体部品130と接触している第2浸透体部品132を備える。かかる例の一部では、図2から図5及び図7に示しているように、第1浸透体部品130はファスナ空洞114の開端部118を画定し、第2浸透体部品132はファスナ空洞114の閉端部119を画定する。かかる構成により、特定のファスナアセンブリの外形に一致する、ファスナ空洞114の階段状輪郭を作り出す能力が、促進される。その他のかかる例では、図6に示しているように、第2浸透体部品132が、ファスナ空洞114の閉端部119と開端部118の両方を画定する。この後者の例により、ファスナ空洞114の中の2つの浸透体部品の間のシームが回避される。かかるシームは、回避されなければ、例えばファスナアセンブリ50のエッジに引っかかることにより、ファスナアセンブリ50への液体122の均一な塗布に影響を与えうる。
【0018】
一部の例では、第1浸透体部品130は、例えば図2から図4に破線でオプションとして示しており、かつ図5から図7に実線で示しているように、中心軸113に平行な方向に、第2浸透体部品132と少なくとも部分的に重なる。追加的又は代替的には、一部の例では、図5から図7に示しているように、第1浸透体部品130は、中心軸113を横切る方向に、第2浸透体部品132と少なくとも部分的に重なる。かかる構成により、浸透体112全体にわたって液体122を有効に吸い上げるのに十分な、2つの浸透体部品の間の接触が確実になる。
【0019】
一又は複数の例では、図2から図4の破線でオプションとして示しているように、第1浸透体部品130は、第2浸透体部品132を取り囲んでおり、中心軸113に沿って見た場合に、第2浸透体部品132のいかなる部分とも重なっていない。かかる例の一部では、中心軸113は、第2浸透体部品132と交差するが、第1浸透体部品130とは交差しない。かかる構成により、例えば上述した円柱形の発泡体の幹状部からの、製造及び組み立ての容易化が促進される。
【0020】
一又は複数の例では、図5から図7の例に示しているように、第2浸透体部品132は、中心軸113に沿って見た場合に、第1浸透体部品130と重なる。かかる構成により、浸透体112全体にわたって液体122を有効に吸い上げるのに十分な、2つの浸透体部品の間の接触が確実になりうる。かかる例の一部では、中心軸113は、第2浸透体部品132と交差するが、第1浸透体部品130とは交差しない。
【0021】
一又は複数の例では、第1浸透体部品130は、非浸透壁104の外表面110の少なくとも一部分と重なり、非浸透壁104の終端面116全体と重なり、非浸透壁104の内表面108の少なくとも一部分と重なる。第1浸透体部品130が外表面110から内表面108までを取り巻くようにすることによって、第1浸透体部品130は、浸透体112が構築されている材料の弾性力により、非浸透壁104上に留められる。更に、第1浸透体部品130を、外表面110と終端面116と内表面108の3つ全てに沿って延在させることによって、ファスナアセンブリ50がファスナ空洞114の中に受容されても、ファスナ空洞114から除去されても、浸透体112の一体性(integrity)が維持される。
【0022】
引き続き図2から図7を参照するに、ファスナ空洞114は、深さ寸法134と、ファスナ空洞114の開端部118における第1横方向寸法136と、ファスナ空洞114の閉端部119における第2横方向寸法138とを、有するものと説明されうる。第1横方向寸法136及び第2横方向寸法138は、深さ寸法134が測定される軸に対して直角な軸に沿って、測定される。一部の例では、図3から図5及び図7に示されているように、第1横方向寸法136は第2横方向寸法138よりも大きい。したがって、ファスナ空洞114は、ファスナアセンブリ50であって、図1の例に示しているように、その終端部がベース(ファスナアセンブリ50が、基板52から延在しているところ)よりも狭くなっている、ファスナアセンブリ50に一致するよう、形状決定される。図3から図5にオプションとして示している、浸透体112が2つの浸透体部品を備える例では、第1浸透体部品130が第1横方向寸法136を画定し、第2浸透体部品132が第2横方向寸法138を画定する。その他の例では、図2図4、及び図7にオプションとして示しているように、第1浸透体部品130が、第1横方向寸法136と第2横方向寸法138の両方を画定する。
【0023】
一又は複数の例では、図4に概略的に示しているように、非浸透体102の内部空洞106は、ファスナ空洞114の開端部118の近位では、ファスナ空洞114の閉端部119の近位よりも広くなっている。したがって、かかる例では、非浸透体102は、浸透体112の、非浸透体102の非浸透壁104の内表面108と重なる部分の厚さを考慮して、ファスナアセンブリ50の外部輪郭と一致するよう、形状決定されうる。その結果として、浸透体112が単純に内部空洞106の形状に適合することにより、ファスナ空洞114も、ファスナアセンブリ50の外部輪郭と一致するよう、形状決定されることになる。したがって、ファスナアセンブリ50がファスナ空洞114の中に受容されると、内表面108とファスナアセンブリ50とが集合的に浸透体112を圧縮し、その結果、浸透体112の中に保持された液体122が、ファスナアセンブリ50に塗布されることになる。
【0024】
一部の例では、非浸透体102は単一部品からなる。その他の例では、図2から図7にオプションとして示されているように、非浸透体102は1を上回る数の部品を備える。例えば、非浸透体102は、第1非浸透体部品140と、第1非浸透体部品140に連結されている第2非浸透体部品142とを備えてよく、第1非浸透体部品140が、内表面108と、外表面110と、終端面116とを備える。かかる例の一部では、第2非浸透体部品142は、液体源120から液体122を受容するための、非浸透体102の内部空洞106に至る入口144を備える。かかる例は、二部品の非浸透体を有すると説明されてよく、かつ、例えば内部空洞106の加工を容易にするファスナコーティングツール100の構築を容易にしうる。追加的又は代替的には、かかる二部品の非浸透体により、例えば第1非浸透体部品140と第2非浸透体部品142との間に位置付けられ、係合されている把持部146との、有効な連結が容易になりうる。一又は複数の例では、第2非浸透体部品142は、例えばネジ式の又はその他の取り外し可能な接続によって、第1非浸透体部品140に取り外し可能に連結される。
【0025】
一部の例では、第2非浸透体部品142は、液体源120から液体122を受容するための、非浸透体102の内部空洞106に至る入口144を備える。その他の例では、図2から図7にオプションとして概略的に示されているように、第1非浸透体部品140が入口144を備える。入口144は、一部の例では、内部空洞106と長手方向に並んでいるが、他の例では、内部空洞106の長手方向軸を横切る方向である。したがって、非浸透体102は、ファスナコーティングツール100の最終的な使用に基づく人間工学的要因(例えば、最終的な応用に関連する場所や空間の制約)に対処するために、構成部品の製造を容易にするよう多種多様な方式で構築されうる。
【0026】
図2から図7の破線で概略的にオプションとして示されているように、一又は複数の例では、ファスナコーティングツール100は、非浸透体102に連結された把持部146であって、ファスナアセンブリ50の上にファスナ空洞114を選択的に配置するためにユーザによって把持されるよう形状決定された、把持部146を更に備える。ファスナコーティングツール100の最終的な使用(例えば、最終的な応用に関連する場所や空間の制約)に応じて、様々な構成の把持部が提供されうる。一部の例では、把持部146は、例えばユーザが、概してユーザに向かう方向に延在しているファスナアセンブリ50に到達し、それをコーティングすることを可能にするために、ファスナ空洞114と長手方向に並んでいる。他の例では、把持部146は、例えばユーザが、ユーザに対して概して横断方向に延在しているファスナアセンブリ50に到達し、それをコーティングすることを可能にするために、ファスナ空洞114を横断する方向に延在している。把持部146のその他の構成も、ファスナコーティングツール100に組込まれうる。
【0027】
一部の例では、把持部146は、ユーザが、2つの離間したファスナアセンブリを、ファスナアセンブリ50の間隔に応じて同時に或いは連続的にコーティングしうるように、2つの非浸透体に連結され、2つの非浸透体の間に延在する。かかる例の一部では、2つの非浸透体は、例えば構成が類似した2つのファスナアセンブリのコーティングを容易にするために、サイズ及び形状が同一のファスナ空洞を有する。しかし、他の例では、2つの非浸透体は、例えば構成が異なる2つのファスナアセンブリのコーティングを容易にするために、サイズ及び/又は形状が異なるファスナ空洞を有する。
【0028】
引き続き図2から図7を参照するに、破線でオプションとして概略的に示されているように、ファスナコーティングツール100の一又は複数の例では、非浸透壁104の内表面108と、終端面116と、外表面110との間の推移には、90°未満の角度はない。かかる構成により、浸透体112を損傷させうるか、さもなければ早期に摩耗させうる、鋭いエッジが回避される。
【0029】
図2から図7に破線で概略的にオプションとして示されているように、一又は複数の例では、非浸透体102の非浸透壁104は、浸透体112と係合するよう位置付けられている棚状部148を画定する。かかる例では、棚状部148は、構造物であって、浸透体112がそれに当接して位置付けられる構造物を提供する。したがって、棚状部148は浸透体112と非浸透体102との組み立てを容易にし、これにより、浸透体112が、内部空洞106の中に、終端面116を有効に取り巻くのに十分な長さを有して、適切に位置付けられるようになる。
【0030】
ここで図8を参照するに、本開示による2つ以上のファスナコーティングツール100を備えるキット200も、本開示の範囲に含まれる。一部の例では、第1ファスナコーティングツール202のファスナ空洞は、第2ファスナコーティングツール204のファスナ空洞とは異なるサイズ及び/又は形状を有する。したがって、種々のファスナコーティングツールが種々の構成のファスナアセンブリ50をコーティングするよう構成されている、複数のファスナコーティングツール100が、例えば製造施設の作業ステーションにおいて提供されうる。
【0031】
ここで図9から図26を参照するに、ファスナコーティングツール100、その構成部品、及びキット200の、例示的かつ非排他的な例が示されている。図2から図8の概略図の参照番号は、(それが適切な場合には)図9から図26の例の対応する部品を指し示すのに使用される。しかし、図9から図26の例は非排他的であり、ファスナコーティングツール100及びキット200を図9から図26に示している例に限定するものではない。つまり、ファスナコーティングツール100及びキット200は、図9から図26に示している具体例に限定されるわけではなく、図2から図8の概略図及び/又は図9から図26のより具体的な例、並びにこれらの変形例に示されており、それらを参照して記述されている、ファスナコーティングツール100及びキット200の任意の数の様々な態様、構成、特性、特質などを包含しうるが、かかる態様、構成、特性、特質などの全てを含むことが必要なわけではない。前述した構成要素、部品、部分、態様、領域などの各々及びそれらの変種については、簡潔にするために、図9から図26の例を参照して再度記述すること、図示すること、及び/又は分類することは、ないかもしれない。しかし、前述した特徴、変種などが、提供されている例と共に利用されうることは、本開示の範囲に含まれる。
【0032】
図9には、レバー408の形態のユーザ入力機構126を有する、手動シリンジディスペンサ404の形態の液体源120と、シリンジ410の形態のリザーバ124とを備える、例示的なファスナコーティングツール(ファスナコーティングツール400と表示されている)が描かれている。ファスナコーティングツール400は、シリンジ410と非浸透体102とを相互接続させる、ホース402を更に備える。ファスナコーティングツール400は、2つの部品を有する非浸透体102を備え、第2非浸透体部品142が非浸透体の内部空洞の長手方向軸を横切る方向の入口144を画定し、ホース取付具406が入口144に連結されている。手動シリンジディスペンサ404により、シリンジ410からの既知の量の液体122の正確な塗布、及びユーザによる使用の簡易化がもたらされる。好適な手動シリンジディスペンサの例は、DYMAX(登録商標) CorporationによってMICRO-DOT(登録商標)のブランドで販売されているものを含む。液体源120のその他の好適な例は、NORDSON(登録商標) Corporationによって販売されている携帯式流体ディスペンサを含む。
【0033】
図10から図12には、例示的な非浸透体(非浸透体500と表示されている)が描かれている。非浸透体500は、内部空洞106と長手方向に並んでいる、一体型の狭長把持部を備える更に、非浸透体500は非浸透体102の一例であり、その内部空洞106は、特定のファスナアセンブリの形状と一致するよう形状決定されている。非浸透体500の把持部146は、液体が内部空洞106に吐出されるための入口144を画定し、液体源120と有効に連結するために関連するチューブ内に挿入されるよう形状決定される。
【0034】
図13から図15には、非浸透体102の別の例(非浸透体600と表示されている)が描かれている。非浸透体600も非浸透体102の一例であり、その内部空洞106は、特定のファスナアセンブリの形状と一致するよう形状決定されている。非浸透体600は、ファスナコーティングツール100の上流構成要素(例えば、第2非浸透体部品142、又は、非浸透体600の内部空洞106への液体122の供給を容易にするよう構成されたその他の構造物)と選択的に連結するための、外部ネジ山602を備える。非浸透体600は、外表面110と終端面116と内表面108との間の推移が90°を上回る角度を有するように終端面116が面取りされている、非浸透体102の一例でもある。
【0035】
図16から図18には、非浸透体102の別の例(非浸透体700と表示されている)が描かれている。非浸透体700も非浸透体102の一例であり、その内部空洞106は、特定のファスナアセンブリの形状と一致するよう形状決定されている。非浸透体700は、ファスナコーティングツール100の上流構成要素(例えば、第2非浸透体部品142、又は、非浸透体700の内部空洞106への液体122の供給を容易にするよう構成されたその他の構造物)と選択的に連結するための、外部ネジ山702を備える。非浸透体700は、外表面110と終端面116と内表面108との間の推移が90°を上回る角度を有するように、終端面116が面取りされている、非浸透体102の一例でもある。
【0036】
図19から図21には、非浸透体102の別の例(非浸透体800と表示されている)が描かれている。非浸透体800は非浸透体102の更に別の例であり、その内部空洞106は、特定のファスナアセンブリの形状と一致するよう形状決定されている。非浸透体800は、ファスナコーティングツール100の上流構成要素(例えば、第2非浸透体部品142、又は、非浸透体800の内部空洞106への液体122の供給を容易にするよう構成されたその他の構造物)と選択的に連結するための、外部ネジ山802を備える。非浸透体800は、外表面110と終端面116と内表面108との間の推移が90°を上回る角度を有するように終端面116が面取りされている、非浸透体102の一例でもある。
【0037】
図22から図24には、非浸透体102の更に別の例(非浸透体900と表示されている)が描かれている。非浸透体900も非浸透体102の一例であり、その内部空洞106は、特定のファスナアセンブリの形状と一致するよう形状決定されている。非浸透体900は、ファスナコーティングツール100の上流構成要素(例えば、第2非浸透体部品142、又は、非浸透体900の内部空洞106への液体122の供給を容易にするよう構成されたその他の構造物)と選択的に連結するための、外部ネジ山902を備える。非浸透体900は、外表面110と終端面116と内表面108との間の推移が90°を上回る角度を有するように終端面116が面取りされている、非浸透体102の一例でもある。
【0038】
図25には、例示的なファスナコーティングツール(ファスナコーティングツール1000と表示されている)が描かれている。ファスナコーティングツール1000は、第2非浸透体1002及び第2非浸透体1002に連結されている第2浸透体1004と、非浸透体102及び第2非浸透体1002に連結され、かつ非浸透体102と第2非浸透体1002との間に延在する把持部146とを備える、ファスナコーティングツール100の一例である。より具体的には、把持部146は、2つの浸透体のファスナ空洞114、1006を横切る方向に延在する。かかるファスナコーティングツールの例の一部では、第2浸透体のファスナ空洞1006は、サイズ及び形状が浸透体112のファスナ空洞114と同一である。かかるファスナコーティングツールの他の例では、第2浸透体のファスナ空洞1006は、サイズ及び/又は形状が浸透体112のファスナ空洞114とは異なる。
【0039】
図26には、例示的なキット(キット250と表示されている)が描かれている。キット250は、最大8つの、異なる構成の非浸透体と浸透体とのアセンブリを選択的に留め置き、保持するよう構成された、複数のボア穴254を有する支持プレート252を備える。したがって、キット250は、例えば、様々なサイズ及び/又は形状のファスナアセンブリ50がコーティングされる必要がある製造環境内の作業ステーションに、位置付けられうる。したがって、キット250のユーザは、特定のファスナアセンブリと共に使用するのに望ましいアセンブリを、支持プレート252から選択しうる。
【0040】
図27は、本開示による方法300の例示的で非排他的な例を示すフロー図を、概略的に提供している。図27では、一部のステップが破線のボックスで示されており、これは、かかるステップが、オプションでありうるか、又は本開示による方法のオプションのバージョンに対応しうることを示す。とはいえ、本開示によるすべての方法が、実線のボックスで示されたステップを含む必要があるわけではない。更に、点線で提示されているステップが、方法300の一部の実行形態では重要になることもある。図27に示している方法及びステップは限定的ではなく、本書の記述から分かるように、図示しているステップの数よりも多い又は少ない数のステップを有する方法を含むその他の方法及びステップも、本開示の範囲内に含まれる。方法300の全ての例において必須なわけではないが、方法300は、一部の例では、本開示によるファスナコーティングツール100、又は本開示によるキット200を使用して実装される。
【0041】
図27に概略的に示されているように、図1から図7のファスナアセンブリ50及びファスナコーティングツール100の例示的な図を参照するに、基板52から延在しているファスナアセンブリ50をコーティングする方法300が開示されている。方法300は、(ブロック302)ある量の液体122で浸透体112を少なくとも部分的に飽和させるステップと、(ブロック304)浸透体112でファスナアセンブリ50を覆うステップとを、含む。(ブロック304)ファスナアセンブリ50を覆うステップは、(ブロック306)ファスナアセンブリ50に浸透体112を少なくとも部分的に押し付けるステップと、(ブロック308)ある量の液体122の一部分を、浸透体112から、ファスナアセンブリ50の露出した外表面54、及びファスナアセンブリ50を囲む基板52上の輪56に移動させるステップとを、含む。したがって、方法300を実装することにより、ファスナアセンブリの露出した外表面54、及び基板52上の輪56に、液体122が塗布されることになり、これは、例えば製品の製造における仕様に対応しうる。
【0042】
一部の方法300によると、図27にオプションとして示されているように、(ブロック306)浸透体112を少なくとも部分的に押し付けるステップは、(ブロック310)ファスナアセンブリ50と非浸透体102との間、及び基板52と非浸透体102との間で、浸透体112を圧縮させることを含む。非浸透体102は、浸透体112のための剛性支持体としての役割を果たし、ゆえに、非浸透体102が基板52に向けて、ファスナアセンブリ50の上に押し付けられると、浸透体112の圧縮により、液体122が、ファスナアセンブリ50及び基板52に移動することになる。
【0043】
一部の方法300によると、図27にオプションとして示されているように、(ブロック302)ある量の液体122で浸透体112を少なくとも部分的に飽和させるステップは、(ブロック312)液体源120から所定の量の液体122を吐出させるステップを含む。つまり、例えばファスナアセンブリ50の十分なコーティング及び輪56の作成が確実になると共に、過剰な量の液体122が移動しないことも確実になるよう、既知の分量の液体122が吐出される。かかる方法300の一部では、(ブロック312)液体源120から所定の量の液体122を吐出させるオプションのステップは、(ブロック314)ユーザ入力機構126を関与させるステップを含む。つまり、ユーザ入力機構126が有効に関与することにより、所定の量の液体122が吐出されることになる。
【0044】
一部の方法300によると、(ブロック304)浸透体でファスナアセンブリ50を覆うステップは、(ブロック316)浸透体112のファスナ空洞114の中にファスナアセンブリ50を受容するステップをオプションで含む。例えば、ファスナ空洞114が、ファスナアセンブリ50との締まり嵌めを有するよう、サイズ決定されかつ形状決定されている場合、ファスナ空洞114の中にファスナアセンブリ50を受容することによって浸透体112が圧縮され、これにより、液体122が浸透体112からファスナアセンブリ50の露出した外表面54に移動することになる。
【0045】
本開示の例は、図28に示す航空機の製造及び保守方法1100、並びに図29に示す航空機1102に照らして説明されうる。製造前段階において、例示的な方法1100は、航空機1102の仕様及び設計(ブロック1104)と材料の調達(ブロック1106)とを含みうる。製造段階では、航空機1102のコンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)と、システムインテグレーション(ブロック1110)とが行われうる。その後、航空機1102は、認可及び納品(ブロック1112)を経て運航(ブロック1114)に供されうる。運航期間中、航空機1102には、定期的な整備及び保守(ブロック1116)が予定されうる。定期的な整備及び保守は、航空機1102の一又は複数のシステムの改変、再構成、改修等を含みうる。
【0046】
例示的な方法1100の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって、実施又は実行されうる。この明細書の解釈上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるがこれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがこれらに限定されず、かつ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0047】
図29に示しているように、例示的な方法1100によって製造された航空機1102は、複数の高レベルシステム1120及び内装1122を有する、機体1118を含みうる。高レベルシステム1120の例は、推進システム1124、電気システム1126、液圧システム1128、及び環境システム1130のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれることもある。航空宇宙産業の例を示しているが、本書で開示されている原理は、その他の産業(自動車産業など)にも適用されうる。したがって、本書で開示されている原理は、航空機1102に加えて、その他の輸送体(例えば陸上輸送体、海洋輸送体、宇宙輸送体等)にも適用されうる。
【0048】
本書で図示され又は説明されている装置(複数可)及び方法(複数可)は、製造及び保守方法1100の、一又は複数の任意の段階において用いられうる。例えば、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック1108)に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機1102の運航(ブロック1114)期間中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方式で、製作又は製造されうる。また、装置(複数可)、方法(複数可)、又はこれらの組み合わせの一又は複数の例が、例えば、航空機1102の組立てを著しく効率化すること、又は航空機1102のコストを著しく削減することにより、製造段階1108及び1110において利用されうる。同様に、装置又は方法を実現する一又は複数の例、又はこれらの組み合わせは、限定するわけではないが例としては、航空機1102の運航(ブロック1114)期間中に、及び/又は、整備及び保守(ブロック1116)において、利用されうる。
【0049】
本開示による発明主題の例示的で非排他的な例について、下記に列挙する条項において説明する。
【0050】
A1.
閉鎖形状を有する非浸透壁(104)を備える非浸透体(102)であって、非浸透壁(104)が、
非浸透体(102)の内部空洞(106)を画定する内表面(108)と、
非浸透体(102)の内部空洞(106)とは逆側に面している外表面(110)と、
閉鎖形状を有しており、かつ非浸透壁(104)の内表面(108)と外表面(110)とを相互接続させる終端面(116)とを備える、非浸透体(102)、及び
浸透体(112)であって、
非浸透壁(104)の外表面(110)の少なくとも一部分と重なり、
非浸透壁(104)の終端面(116)全体と重なり、
非浸透壁(104)の内表面(108)の少なくとも一部分と重なり、
非浸透体(102)の内部空洞(106)の広さにわたり、かつ
非浸透体(102)の内部空洞(106)の中に少なくとも部分的に延在するファスナ空洞(114)であって、ファスナアセンブリ(50)のコーティングされるべき部分を受容するよう、サイズ決定されかつ形状決定されている、ファスナ空洞(114)を画定する、浸透体(112)を備える、ファスナコーティングツール(100)であって、ファスナ空洞(114)は、非浸透壁(104)の終端面(116)の近位に開端部(118)を有し、非浸透体(102)の内部空洞(106)の中の、開端部(118)の反対側に、閉端部(119)を有する、
ファスナコーティングツール(100)。
【0051】
A2.
浸透体(112)の全ての部分が流体に関して浸透性である、条項A1に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0052】
A3.
非浸透体(102)の内部空洞(106)に液体(122)を供給するよう構成された液体源120を更に備える、条項A1又はA2に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0053】
A4.
液体源(120)が、ある量の液体(122)を保持するよう構成されたリザーバ(124)を備える、条項A3に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0054】
A5.
ある量の液体(122)を更に備え、ある量の液体(122)がリザーバ(124)内に保持される、条項A4に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0055】
A6.
液体(122)が、100センチストーク未満の粘度を有する、下塗り剤、塗料、又は液体のうちの少なくとも1つを含む、条項A3からA5のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0056】
A7.
液体源(120)が、液体源(120)から非浸透体(102)の内部空洞(106)に所定の量の液体(122)を選択的に吐出するよう構成されたユーザ入力機構(126)を備える、条項A3からA6のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0057】
A8.
非浸透体(102)が、第1非浸透体部品(140)と、第1非浸透体部品(140)に連結された第2非浸透体部品(142)とを備え、
第1非浸透体部品(140)は、内表面(108)と、外表面(110)と、終端面(116)とを備え、
第2非浸透体部品(142)は、液体源(120)から液体(122)を受容するための、非浸透体(102)の内部空洞(106)に至る入口(144)を備える、条項A3からA7のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0058】
A9.
第2非浸透体部品(142)が、第1非浸透体部品(140)に取り外し可能に連結される、条項A8に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0059】
A10.
浸透体(112)が網状発泡体材料(128)で構成される、条項A1からA9のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0060】
A11.
網状発泡体材料(128)が、1インチあたり約50~100の細孔(1センチあたり127~254の細孔)を有する、条項A10に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0061】
A12.
浸透体(112)が単一の部品からなる、条項A1からA11のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0062】
A13.
浸透体(112)が複数の別個の部品を備える、条項A1からA11のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0063】
A14.
浸透体(112)が中心軸(113)を有し、
浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
第1浸透体部品(130)はファスナ空洞(114)の開端部(118)を画定し、
第2浸透体部品(132)はファスナ空洞(114)の閉端部(119)を画定する、条項A1からA11のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0064】
A15.
第1浸透体部品(130)は、中心軸(113)に平行な方向に、第2浸透体部品(132)と少なくとも部分的に重なる、条項A14に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0065】
A16.
第1浸透体部品(130)は、中心軸(113)を横切る方向に、第2浸透体部品(132)と少なくとも部分的に重なる、条項A14又はA15に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0066】
A17.
第1浸透体部品(130)は、第2浸透体部品(132)を取り囲んでおり、中心軸(113)に沿って見た場合に、第2浸透体部品(132)のいかなる部分とも重ならない、条項A14又はA15に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0067】
A18.
中心軸(113)は、第2浸透体部品(132)と交差するが、第1浸透体部品(130)とは交差しない、条項A17に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0068】
A19.
第2浸透体部品(132)は、中心軸(113)に沿って見た場合に、第1浸透体部品(130)と重なる、条項A14又はA15に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0069】
A20.
中心軸(113)は、第2浸透体部品(132)と交差するが、第1浸透体部品(130)とは交差しない、条項A19に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0070】
A21.
第1浸透体部品(130)が、非浸透体(102)の非浸透壁(104)の外表面(110)の少なくとも一部分と重なり、
第1浸透体部品(130)が、非浸透体(102)の非浸透壁(104)の終端面(116)全体と重なり、
第1浸透体部品(130)が、非浸透体(102)の非浸透壁(104)の内表面(108)の少なくとも一部分と重なる、条項A14からA20のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0071】
A22.
浸透体(112)のファスナ空洞(114)が、深さ寸法(134)と、ファスナ空洞(114)の開端部(118)における第1横方向寸法(136)と、ファスナ空洞(114)の閉端部(119)における第2横方向寸法(138)とを有し、
第1横方向寸法(136)は、深さ寸法(134)が測定される軸に対して直角な軸に沿って測定され、
第2横方向寸法(138)は、深さ寸法(134)が測定される軸に対して直角な軸に沿って測定され、
第1横方向寸法(136)が第2横方向寸法(138)よりも大きい、条項A1からA21のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0072】
A23.
浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
第1浸透体部品(130)はファスナ空洞(114)の開端部(118)を画定し、
第2浸透体部品(132)はファスナ空洞(114)の閉端部(119)を画定し、
第1浸透体部品(130)は第1横方向寸法(136)を画定し、第2浸透体部品(132)は第2横方向寸法(138)を画定する、条項A22に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0073】
A24.
浸透体(112)が、第1浸透体部品(130)と、第1浸透体部品(130)と接触している第2浸透体部品(132)とを備え、
第1浸透体部品(130)はファスナ空洞(114)の開端部(118)を画定し、
第2浸透体部品(132)はファスナ空洞(114)の閉端部(119)を画定し、
第1浸透体部品(130)が第1横方向寸法(136)及び第2横方向寸法(138)を画定する、条項A22に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0074】
A25.
非浸透体(102)の内部空洞(106)が、ファスナ空洞(114)の開端部118の近位では、ファスナ空洞(114)の閉端部(119)の近位よりも広くなっている、条項A1からA24のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0075】
A26.
非浸透体(102)が単一の部品からなる、条項A1からA25のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0076】
A27.
非浸透体(102)が複数の別個の部品を備える、条項A1からA25のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0077】
A28.
非浸透体(102)に連結された把持部(146)であって、ファスナアセンブリ(50)の上にファスナ空洞(114)を選択的に配置するためにユーザによって把持されるよう形状決定された、把持部(146)を更に備える、条項A1からA27のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0078】
A29.
第2非浸透体(1002)と、第2非浸透体(1002)に連結された第2浸透体(1004)とを更に備え、
把持部(146)が、非浸透体(102)及び第2非浸透体(1002)に連結されており、かつ非浸透体(102)と第2非浸透体(1002)との間に延在する、条項A28に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0079】
A30.
第2浸透体(1004)が第2浸透体のファスナ空洞(1006)を画定し、第2浸透体のファスナ空洞(1006)は、ファスナアセンブリ(50)のコーティングされるべき部分或いは別のファスナアセンブリのコーティングされるべき部分を受容するよう、サイズ決定されかつ形状決定されている、条項A29に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0080】
A31.
第2浸透体のファスナ空洞(1006)のサイズ及び形状が、浸透体(112)のファスナ空洞(114)と同一である、条項A30に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0081】
A32.
第2浸透体のファスナ空洞(1006)のサイズ及び/又は形状が、浸透体(112)のファスナ空洞(114)と異なる、条項A30に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0082】
A33.
条項C1からC12のいずれか一項に記載の方法(300)を実施するよう構成された、条項A1からA32のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)。
【0083】
B1.
条項A1からA33のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)を2つ以上備える、キット(200)。
【0084】
B2.
2つ以上のファスナコーティングツール(100)のうちの1つのもののファスナ空洞(114)が、2つ以上のファスナコーティングツール(100)のうちの別のもののファスナ空洞(114)とは異なるサイズ又は形状を有する、条項B1に記載のキット(200)。
【0085】
C1.
基板(52)から延在しているファスナアセンブリ(50)をコーティングする方法(300)であって、
ある量の液体(122)で浸透体(112)を少なくとも部分的に飽和させるステップと、
浸透体(112)でファスナアセンブリ(50)を覆うステップとを含み、ファスナアセンブリ(50)を覆うステップが、
ファスナアセンブリ(50)に浸透体(112)を少なくとも部分的に押し付けるステップと、
ある量の液体(122)の一部分を、浸透体(112)から、ファスナアセンブリ(50)の露出した外表面(54)、及びファスナアセンブリ(50)を囲む基板(52)上の輪(56)に移動させるステップとを含む、
方法(300)
【0086】
C2.
浸透体(112)を少なくとも部分的に押し付けるステップが、ファスナアセンブリ(50)と非浸透体(102)との間、及び基板(52)と非浸透体(102)との間で、浸透体(112)を圧縮させることを含む、条項C1に記載の方法(300)。
【0087】
C3.
液体(122)が、100センチストーク未満の粘度を有する、下塗り剤、塗料、又は液体のうちの少なくとも1つを含む、条項C1又はC2に記載の方法(300)。
【0088】
C4.
ある量の液体(122)で浸透体(112)を少なくとも部分的に飽和させるステップが、液体源(120)から所定の量の液体(122)を吐出させるステップを含む、条項C1からC3のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0089】
C5.
液体源(120)から所定の量の液体(122)を吐出させるステップが、ユーザ入力機構(126)を関与させるステップを含む、条項C4に記載の方法(300)。
【0090】
C6.
浸透体(112)が網状発泡体材料(128)で構成される、条項C1からC5のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0091】
C7.
網状発泡体材料(128)が、1インチあたり約50~100の細孔(1センチあたり127~254の細孔)を有する、条項C6に記載の方法(300)。
【0092】
C8.
浸透体(112)が単一の部品からなる、条項C1からC7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0093】
C9.
浸透体(112)が複数の別個の部品を備える、条項C1からC7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0094】
C10.
浸透体(112)でファスナアセンブリ(50)を覆うステップが、浸透体(112)のファスナ空洞(114)の中にファスナアセンブリ(50)を受容するステップを含む、条項C1からC9のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0095】
C11.
ファスナ空洞(114)が、ファスナアセンブリ(50)との締まり嵌めを有するよう、サイズ決定されかつ形状決定されている、条項C10に記載の方法(300)。
【0096】
C12.
条項A1からA33のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)又は条項B1又はB2に記載のキット(200)を使用して実装される、条項C1からC11のいずれか一項に記載の方法(300)。
【0097】
D1.
ファスナアセンブリ(50)及びファスナアセンブリ(50)を囲む基板(52)上の輪(56)を液体(122)でコーティングするための、条項A1からA33のいずれか一項に記載のファスナコーティングツール(100)又は条項B1又はB2に記載のキット(200)の使用。
【0098】
本書で使用される場合、「適合し(adapted)」及び「構成され(configured)」という語は、要素、構成要素、又はその他の対象が、所与の機能を果たすよう設計され、かつ/又は意図されていることを意味する。ゆえに、「適合し」及び「構成され」という語の使用は、所与の要素、構成要素、又は他の対象が、単に所与の機能を果たすことが「可能である(capable of)」ことを意味すると解釈すべきではなく、これらの要素、構成要素、及び/又は他の対象が、特にその機能を果たすという目的のために、選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラミングされ、かつ/又は設計されていることを意味すると、解釈すべきである。特定の機能を果たすよう適合していると記載される要素、構成要素、及び/又はその他の記載対象が、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう構成されていると説明されうること、及びその逆も、本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を果たすよう構成されていると記載される対象は、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう動作可能であるとも説明されうる。
【0099】
本書で使用される場合、第1の実在物と第2の実在物との間に置かれる「及び/又は(and/or)」という語は、(1)第1の実在物、(2)第2の実在物、(3)第1の実在物及び第2の実在物、のうちの1つを意味する。「及び/又は」を用いて列挙された複数の実在物は、同じように(すなわち、実在物のうちの「一又は複数(one or more)」がそのように等位接続されている(so conjoined)と)解釈されるべきである。具体的に識別されるかかる実在物に関連しているかどうかにかかわらず、「及び/又は」という文節によって具体的に識別される実在物以外に、その他の実在物がオプションで存在することもある。ゆえに、非限定的な例としては、「含む/備える(comprising)」といったオーブンエンド型の語と併用される時の「A及び/又はB」への言及は、一例ではAのみ(オプションでB以外の実在物を含む)を指すことがあり、別の例ではBのみ(オプションでA以外の実在物を含む)を指すことがあり、更に別の例では、AとBの両方(オプションで他の実在物を含む)を指すことがある。かかる実在物は、要素、動作、構造、ステップ、工程、値などのことを指しうる。
【0100】
本書で開示されている装置(複数可)及び方法(複数可)の種々の例は、多種多様な構成要素、特徴、及び機能を含む。本書で開示されている装置(複数可)及び方法(複数可)の様々な例は、本書で開示されている装置(複数可)及び方法(複数可)の別の例のうち任意のものの、構成要素、特徴及び機能のうちのいずれかを、任意の組み合わせにおいて含む可能性があること、及び、かかる可能性は全て本開示の範囲に含まれることが意図されていることを、理解すべきである。
【0101】
上述の説明及び関連図面に提示した教示から受益する、本開示に関連する当業者には、本書に明示した例の多数の変形例が想起されよう。
【0102】
したがって、本開示は例示された具体例に限定されないこと、及び、変形例及びその他の例は付随する特許請求の範囲に含まれると意図されていることを理解されたい。更に、上述の説明及び関連図面は、要素及び/又は機能のある種の例示的な組み合わせに照らして本開示の例を説明しているが、付随する特許請求の範囲から逸脱しなければ、代替的な実行形態によって、要素及び/又は機能の種々の組み合わせが提供されうることを、認識すべきである。したがって、付随する特許請求の範囲におけるカッコ内の参照番号は、例示のためだけに提示されており、特許請求される主題の範囲を、本開示で提供されている具体例に限定することを意図するものではない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29