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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
E03D9/08 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020093030
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021188320
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 慶記
(72)【発明者】
【氏名】紀田 恭一郎
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-003247(JP,A)
【文献】特開2017-179711(JP,A)
【文献】特開平06-240723(JP,A)
【文献】特開昭61-204434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐水する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するための第1洗浄開始スイッチと、
前記第1洗浄における洗浄強さを調整する調整スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量が前記第1洗浄における最大の流量よりも大きい流量の第2洗浄を開始するための第2洗浄開始スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量を制御する制御部と、
を備え、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の吐水が停止中に前記第2洗浄開始スイッチが操作されると、
前記制御部は、前記第2洗浄の実行を却下する衛生洗浄装置。
【請求項2】
洗浄水を吐水する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するための第1洗浄開始スイッチと、
前記第1洗浄における洗浄強さを調整する調整スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量が前記第1洗浄における最大の流量よりも大きい流量の第2洗浄を開始するための第2洗浄開始スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量を制御する制御部と、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の吐水を停止するための停止スイッチと、
を備え、
前記第2洗浄中に前記停止スイッチが操作されて前記洗浄ノズルからの洗浄水の吐水を停止した後に前記第1洗浄開始スイッチが操作されると、
前記制御部は、前記第2洗浄を実行する前に実行していた前記第1洗浄中の流量の洗浄水を前記洗浄ノズルから吐水させる衛生洗浄装置。
【請求項3】
洗浄水を吐水する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するための第1洗浄開始スイッチと、
前記第1洗浄における洗浄強さを調整する調整スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量が前記第1洗浄における最大の流量よりも大きい流量の第2洗浄を開始するための第2洗浄開始スイッチと、
前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量を制御する制御部と、
を備え、
前記第2洗浄を実行した後、前記第1洗浄を実行すると、
前記制御部は、前記第2洗浄を実行する前に実行していた前記第1洗浄中の流量の洗浄水を前記洗浄ノズルから吐水させる衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は衛生洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流量調整用のダイヤルを回転操作することによって洗浄器からの洗浄水の流量を変更する衛生洗浄装置が開示されている。この衛生洗浄装置は、ダイヤルの回転角度が所定の角度を超える際に、洗浄器からの洗浄水の流量を通常洗浄よりも大きくしたターボ洗浄に切り替えることができる。この衛生洗浄装置は、ダイヤルの回転角度が所定の角度を超えるとき(すなわち、ターボ洗浄に切り替わるとき)にクリック機構が作用し、このクリック感によってターボ洗浄に切り替わることを感覚で把握することができる。流量とは、単位時間当たりに洗浄水が吐水される量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-26966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された衛生洗浄装置は、洗浄器からの洗浄水の流量の変化やクリック感によってターボ洗浄に切り替わったことを使用者に認識させる構成である。つまり、この衛生洗浄装置は、主として使用者の皮膚によって得られた感触によって、ターボ洗浄に切り替わったことを使用者に認識させる構成であるため、使用者がターボ洗浄に切り替わったことを明確に認識し難いおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、洗浄水の流量の変化を使用者に認識し易くすることができる衛生洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の衛生洗浄装置は、洗浄水を吐水する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するための第1洗浄開始スイッチと、前記第1洗浄における洗浄強さを調整する調整スイッチと、前記洗浄ノズルからの洗浄水の流量が前記第1洗浄における最大の流量よりも大きい流量の第2洗浄を開始するための第2洗浄開始スイッチと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の衛生洗浄装置を示す斜視図である。
図2】実施形態1の操作部を正面から見た正面図である。
図3】おしり用ノズルから吐水される洗浄水の流量を縦軸に示し、吐出する洗浄水の勢いを横軸に示したグラフである。
図4】第2洗浄中に停止スイッチが操作された場合における実施形態1の衛生洗浄装置の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】吐水が停止中におしりターボスイッチが操作された場合における実施形態1の衛生洗浄装置の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第1洗浄中におしりターボスイッチが操作された場合における他の実施形態の衛生洗浄装置の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
本開示の衛生洗浄装置1を具備した水洗式便器100を具体化した実施形態1について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向は、図1に示すX軸の正方向を上方向とし、X軸の負方向を下方向とする。左右方向については、図1に示すZ軸の正方向を左方向とし、Z軸の負方向を右方向とする。前後方向は、図1に示すY軸の正方向を前方向とし、Y軸の負方向を後方向とする。
【0009】
[水洗式便器の構成]
便座装置31を具備した水洗式便器100は、便器本体30、便座32、便蓋33、及び収納部34を具備している。便器本体30は、例えば、陶器製であり、便鉢35を具備している。便座32は、便鉢35の上方に配置されている。
便蓋33は、便座32及び便鉢35を覆うように配置されている。便座32、便蓋33は、後述する収納部34に対して回転自在に設けられている。収納部34は、便器本体30の上方後側に設けられており、便座装置31を収納している。便座装置31の構成には、後述する衛生洗浄装置1、便器洗浄装置、便蓋開閉装置、便座開閉装置、及び温風装置等の装置が含まれる。便器洗浄装置、便蓋開閉装置、便座開閉装置、及び温風装置は図示しない。
【0010】
[衛生洗浄装置の構成]
衛生洗浄装置1は、図1に示すように、洗浄ノズルであるおしり用ノズル10A、ビデ用ノズル10B、操作部11、及び制御部12を備えている。おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bは、左右方向に隣合うように収納部34に設けられている。おしり用ノズル10Aの先端部には、洗浄水を吐水する複数の吐水孔10Cが形成されている。ビデ用ノズル10Bの先端部には、洗浄水を吐水する複数の吐水孔が形成されている。ビデ用ノズル10Bの吐水孔は図示しない。
【0011】
おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bは、前進位置と、後退位置との間を前後方向に自在に移動し得る構成とされている。おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bは、洗浄水を吐水しない場合、収納部34に収納され、後退位置に配置される。おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bは、洗浄水を吐水する場合、前方向に移動して、収納部34の前方に突出し、先端部が露出した状態にされて前進位置に配置される。おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bは、便座32に着座した使用者の局部に向けて洗浄水を吐出して使用者の局部を洗浄する。
【0012】
操作部11は、図1に示すように、概ね直方体状をなしている。操作部11は便器本体30が設けられるトイレルームの壁面Wに配置されている。操作部11は、操作することによって、制御部12に向けて赤外線通信やBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信方式で信号を発信し得る構成とされており、便座装置31に設けられた各装置を遠隔操作し得る機能を有している。操作部11は、操作することによって、おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bからの洗浄水の吐水を操作し得る機能を有している。操作部11は乾電池式であってもよく、充電池式であってもよい。操作部11は、ブラケットを介して壁掛け状態としてもよい。ブラケットは図示しない。
【0013】
操作部11の正面には、図2に示すように、停止スイッチ31A、局部洗浄スイッチ(おしり洗浄スイッチ31B、マイルドおしり洗浄スイッチ31C、ビデ洗浄スイッチ31D)、便器洗浄スイッチ(大洗浄スイッチ31E、小洗浄スイッチ31F)、洗浄位置変更スイッチ31G,31H、調整スイッチである洗浄強さ調整スイッチ31J,31K、おしりターボスイッチ31L、及び乾燥スイッチ31Mが設けられている。おしり洗浄スイッチ31Bは、第1洗浄開始スイッチに相当する。おしりターボスイッチ31Lは、第2洗浄開始スイッチに相当する。ここでいう操作部11の正面とは、壁面Wに操作部11が取り付けられた状態において、トイレルームの中央を向いた面である(図1参照。)。
【0014】
操作部11内には、操作部側制御部が収納されている。操作部側制御部は、上記した各スイッチのいずれかが操作されると、操作したスイッチに対応した操作信号を後述する制御部12に向けて送信し得る構成とされている。操作部側制御部は図示しない。ここでいう、スイッチの操作とは、スイッチを押した後、直ぐにスイッチを押していない状態にする動作を意味する。
【0015】
制御部12は、便座装置31に設けられている。制御部12は、例えばマイクロコンピュータとして構成されている。制御部12は、操作部11から出力された赤外線通信やBLE等の通信方式で発信された操作信号を受信し得る機能を有している。制御部12は、操作部11からの操作信号に基づいて、便座装置31に設けられた各装置の動作を制御し得る機能を有している。
【0016】
[操作部における各スイッチの機能について]
停止スイッチ31Aは、局部洗浄スイッチ(おしり洗浄スイッチ31B、ワイドおしり洗浄スイッチ31C、ビデ洗浄スイッチ31D)を操作して、おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bのいずれかから洗浄水が吐水された状態において操作されると、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)からの洗浄水の吐水を停止させる。
【0017】
おしり洗浄スイッチ31Bを操作すると、制御部12は、おしり用ノズル10Aを前方向に移動させて吐水孔10Cを露出した状態にして、おしり用ノズル10Aの複数の吐水孔10Cのうちの一部から洗浄水の吐水を開始させる。おしり洗浄スイッチ31Bを操作しておしり用ノズル10Aから吐水が開始された状態は第1洗浄である。つまり、おしり洗浄スイッチ31Bは、おしり用ノズル10Aから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するためのものである。おしり用ノズル10Aから洗浄水が吐水された状態において、更に、おしり洗浄スイッチ31Bを操作すると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、おしり用ノズル10Aの前後方向への繰り返し移動を開始させる。この状態において、更におしり洗浄スイッチ31Bが操作されると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、おしり用ノズル10Aの前後方向の移動を停止させる。
【0018】
マイルドおしり洗浄スイッチ31Cを操作すると、制御部12は、おしり用ノズル10Aを前方向に移動させて吐水孔10Cを露出した状態にして、おしり用ノズル10Aの複数の吐水孔10Cの全てから洗浄水の吐水を開始させる。このため、おしり洗浄スイッチ31Bを操作した場合に比べて、洗浄水を吐水する領域が広くなる。このとき、全ての吐水孔10Cから洗浄水が吐水されるため、おしり洗浄スイッチ31Bを操作した場合と洗浄水の流量が同じであっても、おしり用ノズル10Aから吐水される洗浄水の勢いは小さくなる。
【0019】
マイルドおしり洗浄スイッチ31Cを操作しておしり用ノズル10Aから洗浄水が吐水された状態において、更にマイルドおしり洗浄スイッチ31Cを操作する。すると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、おしり用ノズル10Aの前後方向への繰り返し移動を開始させる。この状態において、更にマイルドおしり洗浄スイッチ31Cを操作すると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、おしり用ノズル10Aの前後方向の移動を停止させる。
【0020】
ビデ洗浄スイッチ31Dを操作すると、制御部12は、ビデ用ノズル10Bを前方向に移動させて吐水孔(図示せず)を露出した状態にして、ビデ用ノズル10Bから洗浄水の吐水を開始させる。ビデ用ノズル10Bから洗浄水が吐水された状態において、更にビデ洗浄スイッチ31Dを操作すると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、ビデ用ノズル10Bの前後方向への繰り替えし移動を開始させる。この状態において、更にビデ洗浄スイッチ31Dが操作されると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、ビデ用ノズル10Bの前後方向への繰り替えし移動を継続させ、繰り返し移動における前後方向の移動距離を更に大きくさせる。更にビデ洗浄スイッチ31Dを操作すると、制御部12は、吐水する洗浄水の流量を維持させつつ、ビデ用ノズル10Bの前後方向の移動を停止させる。
【0021】
おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bのいずれかから洗浄水が吐水されているときに洗浄位置変更スイッチ31G,31Hを操作する。すると、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)の前後方向の位置は、前進位置と後退位置との間の所定の前後方向の区間内において所望の位置に変更することができる。
【0022】
おしり用ノズル10A、及びビデ用ノズル10Bのいずれかから洗浄水が吐水されて第1洗浄を実行中に、洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kを操作する。すると、制御部12は、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量を段階的に変更し、洗浄強さを調整する。洗浄強さ調整スイッチ31Jを操作すると、洗浄強さが弱くなる。洗浄強さ調整スイッチ31Kを操作すると、洗浄強さが強くなる。つまり、第1洗浄はおしり用ノズル10Aから吐水する洗浄水の流量が段階的に変化する。洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kの間には、洗浄強さを表示する洗浄強さ表示部L1が設けられている。洗浄強さ表示部L1は、例えば、6つのLED素子が洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kを繋ぐように一列に並べられた構成とされている。洗浄強さ表示部L1は、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量に応じて制御部12によって点灯する数が変更される。洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kを操作することによって、制御部12は、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量を6段階に変更することができる。
【0023】
洗浄強さ調整スイッチ31Jを操作して、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量を最も小さくする。すると、図3に示すように、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量はF1となり、洗浄強さ調整スイッチ31Jに最も近い位置の洗浄強さ表示部L1が一つ点灯する。洗浄強さ調整スイッチ31Kを操作しておしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量を段階的に大きくすると、流量の変化に応じて、洗浄強さ調整スイッチ31Jに近い側から洗浄強さ表示部L1の点灯する数が1つずつ増える。洗浄水の流量を最も大きくしたときには、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量はF6となり、洗浄強さ表示部L1の全てが点灯する。洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kを操作することによって、おしり用ノズル10A(ビデ用ノズル10B)から吐水される洗浄水の流量は、流量F1から流量F6の間において線形に変化する。つまり、第1洗浄において、流量の一段階の変化量は同じである。
【0024】
おしり洗浄スイッチ31Bを操作しておしり用ノズル10Aから洗浄水の吐水を開始した後におしりターボスイッチ31Lを操作する。すると、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の流量が第1洗浄における最大の流量F6よりも大きい流量F7の第2洗浄を開始する。つまり、おしりターボスイッチ31Lは、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の流量が第1洗浄における最大の流量F6よりも大きい流量F7の第2洗浄を開始するためのものである。おしりターボスイッチ31Lは、操作し続けるものではなく、一回操作をした後、手を離しても第2洗浄が終了することなく継続する構成である。すなわち、第2洗浄は、おしりターボスイッチ31Lに対してワンタッチの操作をすることによって開始する。このとき、おしり用ノズル10Aから吐出する洗浄水の流量は、現在の流量から減少することなく流量F7に変化する。
【0025】
おしりターボスイッチ31Lを操作すると、制御部12は、第1洗浄において、最も大きい洗浄水の流量F6よりも大きい流量F7の洗浄水をおしり用ノズル10Aから吐水させる。第1洗浄における最大の流量F6と、最大の流量F6よりも一段階小さい流量F5との差D1に比べて、第2洗浄における流量F7と、流量F6との差D2のほうが大きい。流量F7は、図3において、第1洗浄における流量F1から流量F6がなす直線のグラフよりも上に位置する。つまり、第2洗浄における流量F7は、第1洗浄における流量F1から流量F6がなす線形の関係に対して非線形の関係である。第2洗浄中に停止スイッチ31Aを操作すると、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止させる。
【0026】
第2洗浄中に停止スイッチ31Aが操作されておしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止した後(すなわち、第2洗浄を終了した後)におしり洗浄スイッチ31Bが操作される。すると、制御部12は、第2洗浄を実行する前に実行していた第1洗浄中の流量の洗浄水をおしり用ノズル10Aから吐水させる。例えば、第2洗浄を開始する直前における第1洗浄の流量が流量F2である場合、第2洗浄を終了した後におしり洗浄スイッチ31Bを操作すると、制御部12は、おしり用ノズル10Aから流量F2の洗浄水を吐水させる。
【0027】
この場合における制御部12の動作の一例について、図4を参照しつつ説明する。先ず、制御部12は、第2洗浄中であるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1において、第2洗浄中である(ステップS1におけるYes)と制御部12が判別すると、ステップS2に移行して、制御部12は、停止スイッチ31Aが操作されたか否かを判定する。ステップS1において、第2洗浄中でない(ステップS1におけるNo)と制御部12が判別すると、第2洗浄中でない状態を継続しつつ図4における処理を終了する。ステップS2において、停止スイッチ31Aが操作された(ステップS2におけるYes)と制御部12が判別すると、ステップS3に移行して、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止させる。ステップS2において、停止スイッチ31Aが操作されていない(ステップS2におけるNo)と制御部12が判別すると、第2洗浄の実行を継続しつつ図4における処理を終了する。こうして、制御部12は、第2洗浄中に停止スイッチ31Aが操作されると、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止させる。
【0028】
ステップS3を実行した後、ステップS4に移行すると、制御部12は、おしり洗浄スイッチ31Bが操作されたか否かを判定する。ステップS4において、おしり洗浄スイッチ31Bが操作された(ステップS4におけるYes)と制御部12が判別すると、ステップS5に移行して、第2洗浄を実行する前に実行していた第1洗浄中の流量の洗浄水をおしり用ノズル10Aから吐水させる。ステップS4において、おしり洗浄スイッチ31Bが操作されていない(ステップS4におけるNo)と制御部12が判別すると、洗浄水の吐水を停止した状態を継続しつつ図4における処理を終了する。
【0029】
おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中におしりターボスイッチ31Lを操作しても、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水をさせない。つまり、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中におしりターボスイッチ31Lが操作されると、制御部12は、第2洗浄の実行を却下する。
【0030】
この場合における制御部12の動作の一例について、図5を参照しつつ説明する。先ず、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中であるか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11において、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中である(ステップS11におけるYes)と制御部12が判別すると、ステップS12に移行して、制御部12は、おしりターボスイッチ31Lが操作されたか否かを判定する。ステップS11において、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中でない(ステップS11におけるNo)と制御部12が判別すると、洗浄水の吐水を継続しつつ図5における処理を終了する。ステップS12において、おしりターボスイッチ31Lが操作された(ステップS12におけるYes)と制御部12が判別すると、ステップS13に移行して、第2洗浄の実行を却下する。ステップS12において、おしりターボスイッチ31Lが操作されていない(ステップS12におけるNo)と制御部12が判別すると、洗浄水の吐水を停止した状態を継続しつつ図5における処理を終了する。つまり、制御部12は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中である場合、おしりターボスイッチ31Lが操作されても、おしり用ノズル10Aから洗浄水を吐水させることなく、少なくとも第2洗浄の実行を却下する。
【0031】
大洗浄スイッチ31Eを操作すると、制御部12は、便器本体30に形成された吐水口から便鉢35に向けて第1所定量の洗浄水を吐水させて便鉢35を洗浄する。小洗浄スイッチ31Fを操作すると、制御部12は、便器本体30に形成された吐水口から第1所定量よりも少ない第2所定量の洗浄水を便鉢35に向けて吐水させる。吐水口は図示しない。
【0032】
乾燥スイッチ31Mを操作すると、制御部12は、温風装置(図示せず)から温風を送り出させる。乾燥スイッチ31Mの近傍には、温度表示部L2が設けられている。温度表示部L2は、例えば、3つのLED素子が一列に並べられた構成とされており、温風装置から送り出される温風の温度に応じて点灯する数が制御部12によって変更される。具体的には、乾燥スイッチ31Mを一回操作すると、温風装置から最も高い温度の温風が送り出されると共に、温度表示部L2が全て点灯する。更に乾燥スイッチ31Mを操作すると、温風装置から送り出される温風の温度が一段階低くなると共に、温度表示部L2の内の一つが消灯する。更に乾燥スイッチ31Mを操作すると、温風装置から送り出される温風の温度が最も低くなると共に、温度表示部L2が一つのみ点灯する。更に乾燥スイッチ31Mを操作すると、温風装置から送り出される温風の温度が再び最も高い温度になると共に、温度表示部L2が再び全て点灯する。温風装置から温風が送り出されているときに停止スイッチ31Aを操作すると、制御部12は、温風装置からの温風の送り出しを停止させる。
【0033】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
【0034】
衛生洗浄装置1は、洗浄水を吐水するおしり用ノズル10Aと、おしり洗浄スイッチ31Bと、洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kと、おしりターボスイッチ31Lとを備えている。おしり洗浄スイッチ31Bは、おしり用ノズル10Aから洗浄水を吐水する第1洗浄を開始するためのものである。洗浄強さ調整スイッチ31J,31Kは、第1洗浄における洗浄強さを調整する。おしりターボスイッチ31Lは、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の流量が第1洗浄の最大の流量F6よりも大きい流量F7の第2洗浄を開始するためのものである。この構成によれば、使用者は、おしりターボスイッチ31Lを操作することによって第1洗浄の最大の流量F6よりも大きい流量F7の第2洗浄を開始させることができる。このため、使用者は、おしり洗浄スイッチ31Bと別に設けられたおしりターボスイッチ31Lを操作して、第1洗浄の最大の流量F6よりも大きい流量F7の洗浄水を吐水させるため、第2洗浄を認識し易くすることができる。
【0035】
衛生洗浄装置1の第1洗浄は、おしり用ノズル10Aから吐水する洗浄水の流量が段階的に変化し、第1洗浄の最大の流量F6と、この最大の流量F6よりも一段階小さい流量F5との差に比べて、第2洗浄における流量F7と、第1洗浄の最大の流量F6との差のほうが大きい。この構成によれば、第1洗浄の最大の流量F6と、この最大の流量F6よりも一段階小さい流量F5との差に比べて、第2洗浄における流量F7と、最大の流量F6との差が大きい。このため、使用者に対して、第2洗浄が開始した場合における流量の変化が大きくなったように感じさせることができ、第2洗浄が第1洗浄よりも強力な洗浄であることを使用者が認識することができる。
【0036】
衛生洗浄装置1は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止するための停止スイッチ31Aを更に備えている。第2洗浄中に停止スイッチ31Aが操作されておしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水を停止した後におしり洗浄スイッチ31Bが操作される。すると、制御部12は、第2洗浄を実行する前に実行していた第1洗浄中の流量の洗浄水をおしり用ノズル10Aから吐水させる。この構成によれば、再びおしり洗浄スイッチ31Bを操作した際に第2洗浄を実行する前の流量の洗浄水を吐水するため、使い勝手が良好である。
【0037】
衛生洗浄装置1は、おしり用ノズル10Aからの洗浄水の吐水が停止中におしりターボスイッチ31Lが操作されると、制御部12が、第2洗浄の実行を却下する。この構成によれば、突然におしり用ノズル10Aから大きな流量の洗浄水が吐水されることを防止することができる。
【0038】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)おしりターボスイッチを操作して第2洗浄を開始する際、おしり用ノズルからの洗浄水の吐水を停止した後に第2洗浄の流量に変化させてもよい。おしりターボスイッチを操作して第2洗浄を開始する際、現在の流量から弱めることなく第2洗浄の流量に変化させてもよい。
(2)第2洗浄は、マイルドおしり洗浄スイッチやビデ洗浄スイッチを操作した後におしりターボスイッチを操作して実行してもよい。
(3)おしりターボスイッチを操作した際に、第2洗浄中であることを使用者に報知する報知部を設けてもよい。例えば、おしりターボスイッチの近傍に第2洗浄中に点灯するLED素子や第2洗浄中であることを示す文字や記号等を表示する液晶表示を設けることが考えられる。おしりターボスイッチを操作した際に、音声を発するブザーを設ける構成としてもよい。
(4)操作部における各スイッチの構成として、タッチパネル方式や、非接触式の構成を採用してもよい。
(5)操作部を便座装置に設けた構成としてもよい。操作部としてスマートフォンを用いる構成としてもよい。
(6)第2洗浄中に、洗浄強さを弱める洗浄強さ調整スイッチを操作した際、第1洗浄の最大の流量の洗浄水をおしり用ノズルから吐水させてもよい。
(7)第1洗浄中におしりターボスイッチを操作して第2洗浄を開始する際、制御部によって、おしり用ノズルから吐水される洗浄水の流量を一旦第1洗浄における最小の流量にしてから第2洗浄を実行してもよい。この場合における制御部の動作の一例について、図6を参照しつつ説明する。先ず、制御部は、第1洗浄中であるか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21において、第1洗浄中である(ステップS21におけるYes)と制御部が判別すると、ステップS22に移行して、制御部は、おしりターボスイッチが操作されたか否かを判定する。ステップS21において、第1洗浄中でない(ステップS21におけるNo)と制御部が判別すると、第1洗浄中でない状態を継続しつつ図6における処理を終了する。次に、ステップS22において、おしりターボスイッチが操作された(ステップS22におけるYes)と制御部が判別すると、ステップS23に移行して、おしり用ノズルから吐水される洗浄水の流量を一旦第1洗浄における最小の流量にしてから第2洗浄を実行する。ステップS22において、おしりターボスイッチが操作されていない(ステップS22におけるNo)と制御部が判別すると、第1洗浄の状態を継続しつつ図6における処理を終了する。ステップS23において、おしり用ノズルから吐水される洗浄水の流量を0(すなわち、洗浄水の吐水を完全に停止)にしたり、現在の洗浄水の流量から一段階小さい流量にしたりしてから第2洗浄を実行してもよい。つまり、衛生洗浄装置は、おしり用ノズルからの洗浄水の流量を制御する制御部を備えている。第1洗浄中におしりターボスイッチが操作されると、制御部は、おしり用ノズルから吐水される洗浄水の流量を小さくしてから第2洗浄を実行する。この構成によれば、使用者に対して、第1洗浄と第2洗浄との境目を認識させることができ、第1洗浄から第2洗浄に切り替わったことを認識させ易い。
(8)第2洗浄中に、洗浄強さを弱める洗浄強さ調整スイッチを操作した際、第2洗浄を実行する前に実行していた第1洗浄中の流量の洗浄水をおしり用ノズルから吐水させてもよい。
(9)第2洗浄中に、洗浄強さ調整スイッチを操作して、第2洗浄における吐水される洗浄水の流量を変更したり、洗浄位置変更スイッチを操作して、おしり用ノズルやビデ用ノズルを前後方向に移動させたりしてもよい。
(10)第2洗浄は、洗浄水の温度よりも洗浄強さを優先する構成としても良い。例えば、第1洗浄において、吐水される洗浄水の流量は、洗浄水を温めるために便座装置に内蔵されたヒーター等によって所定の水温以上に温められた洗浄水を吐水し得る流量とする。第2洗浄において洗浄水を吐水する場合、洗浄水が所定の水温未満であっても第1洗浄よりも大きい流量の洗浄水を吐水させ、第2洗浄における強い吐水(すなわち、大きい流量の洗浄水の吐水)を実現させる構成としてもよい。ただし、通常の環境温度の下において、第2洗浄であっても洗浄水の水温が所定の温度に到達していることが望ましい。寒冷地等の環境である場合において、洗浄水が所定の水温未満の場合に第2洗浄を実行してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…衛生洗浄装置、10A…おしり用ノズル(洗浄ノズル)、12…制御部、31A…停止スイッチ、31B…おしり洗浄スイッチ(第1洗浄開始スイッチ)、31J,31K…洗浄強さ調整スイッチ(調整スイッチ)、31L…おしりターボスイッチ(第2洗浄開始スイッチ)、F5…最大の流量よりも一段階小さい流量、F6…第1洗浄における最大の流量、F7…第2洗浄における流量
図1
図2
図3
図4
図5
図6