(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】液状又は半固体状酸性調味料
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20241108BHJP
A23L 27/60 20160101ALI20241108BHJP
A23L 29/256 20160101ALN20241108BHJP
A23L 29/269 20160101ALN20241108BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/60 A
A23L29/256
A23L29/269
(21)【出願番号】P 2020095286
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019103683
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】豊泉 智
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-259356(JP,A)
【文献】特開2020-146038(JP,A)
【文献】特開2013-085508(JP,A)
【文献】特開2010-075157(JP,A)
【文献】特開平05-091853(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133672(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/079577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下(A)~(D)を含有する、液状又は半固体状酸性調味料;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
【請求項2】
液状又は半固体状酸性調味料に、以下(A)~(D)を含有させる工程を含む、液状又は半固体状酸性調味料の製造方法;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
【請求項3】
(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法であって、
液状又は半固体状酸性調味料に、(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、及び(D)寒天を0.001~0.5質量%含有させることを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法。
【請求項4】
(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤であって、
(B)キサンタンガム、(C)果実由来食物繊維、及び(D)寒天を含有
し、(B)キサンタンガム1質量部に対する(C)果実由来食物繊維の含有量が0.05~400質量部であり、(B)キサンタンガム1質量部に対する(D)寒天の含有量が0.001~100質量部であることを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状又は半固体状酸性調味料に関する。また、本発明は、液状又は半固体状酸性調味料の製造方法に関する。また、本発明は、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法に関する。また、本発明は、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水及び油脂を含有する液状又は半固体状酸性調味料は数多く存在するが、通常、油脂を水中に油滴として安定に分散させるために、卵黄や乳化剤が使用される。乳化剤としては、具体的には、界面活性剤や両親媒性の乳化性多糖類(例えば、アラビアガム、ガティガム等)が使用され、当該乳化剤が均質化処理によって生じた油滴と水との界面に吸着してミセルを形成し、油滴を水中に分散安定させる。このように、乳化剤を使用して油滴を分散させた液状又は半固体状酸性調味料は、油滴の分散が維持された状態で長期間安定に保存できるので、喫食前に容器を振る必要が無く、利便性が高いという利点を有する。
【0003】
人間の舌が美味しさを感じるファクターの一つとして、油の存在感(油脂感)が挙げられる。しかし、乳化剤を使用して油滴を分散させた液状又は半固体状酸性調味料では、乳化粒子径が小さくなる傾向があり、また油滴の表面を乳化剤が覆ってしまうため、油脂感が損なわれるという欠点を有している。
【0004】
乳化剤を使用せずに、又は乳化剤の使用量を抑えつつ、油を水中に安定分散させる試みとしては、例えば、柑橘類を搾汁して得られる原果汁から分離されたパルプ成分を水分80%以上に調整し、臼式摩砕機により粒度2~50μmに微粉砕して得られる処理済パルプ成分又はその乾燥物を配合してなる水中油型乳化食品(特許文献1)や、果物に含有する結晶セルロースから選択されるセルロース0.05~4重量%、ガム質を0.05~2重量%、及び油脂分0.5~95重量%含有する乳化組成物(特許文献2)等が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許2627528号公報
【文献】特許2734062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に開示された発明では、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性が十分ではない。また、喫食した際の油脂感が十分でなかったり、べたつきやぬめりといった食感の問題が生じたりする。したがって、本発明は、油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料において、高い油脂感と、べたつきやぬめりが軽減された優れた食感を有しつつも、油脂の分散安定性が向上した液状又は半固体状酸性調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料において、(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、及び(D)寒天を0.001~0.5質量%併用することにより、高い油脂感と、べたつきやぬめりが軽減された優れた食感を有しつつも、油脂の分散安定性に優れた液状又は半固体状酸性調味料を提供できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
詳細には、本発明は以下の態様を有する;
項1.以下(A)~(D)を含有する、液状又は半固体状酸性調味料;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
項2.液状又は半固体状酸性調味料に、以下(A)~(D)を含有させる工程を含む、液状又は半固体状酸性調味料の製造方法;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
項3.(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法であって、
液状又は半固体状酸性調味料に、(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、及び(D)寒天を0.001~0.5質量%含有させることを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法。
項4.(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤であって、
(B)キサンタンガム、(C)果実由来食物繊維、及び(D)寒天を含有することを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料において、高い油脂感と、べたつきやぬめりが軽減された優れた食感を有しつつも、油脂の分散安定性が向上した液状又は半固体状酸性調味料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実験例1において、25℃で28日間保存後の実施例1-1~1-2、及び 比較例1-1~1-4の状態を示す写真である。
【
図2】実験例2において、25℃で28日間保存後の実施例2-1、及び比較例2 -1~2-2の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、液状又は半固体状酸性調味料とは、酸性を示す原材料を含有する液状又は半固体状の流動性を有する調味料である。
【0012】
上記酸性を示す原材料とは、例えば、有機酸、無機酸、醸造酢、柑橘系果汁等が挙げられ、具体的には、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、グルコン酸(グルコノデルタラクトンを含む)、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸;リン酸等の無機酸;米酢、玄米酢、もろみ酢、大麦黒酢、その他穀物酢、リンゴ酢、ブドウ酢、その他果実酢等の醸造酢;レモン果汁、リンゴ果汁、ユズ果汁等の柑橘系果汁等が挙げられる。風味の点において、有機酸、醸造酢及び柑橘系果汁からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0013】
このような液状又は半固体状酸性調味料の商品群としては、例えば、ドレッシング類;ポン酢、おろしだれ、甘酢ソース等のたれ・ソース類等が挙げられる。
【0014】
[1.液状又は半固体状酸性調味料]
本発明は、以下(A)~(D)を含有する、液状又は半固体状酸性調味料に関するものである;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
【0015】
(A)油脂
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、油脂を1~80質量%含有する。健康志向の観点から、調味料における油脂の含有量は、例えば、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下とすることができる。また、油脂含量が多いほど、油脂の分散安定性を保持することが困難となるが、本発明によれば、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の含有量が、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上であっても、べたつきやぬめりが軽減された優れた食感を有しつつ、油脂の分散安定性を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料で使用される油脂としては、食用油脂であれば特に制限されず、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、椿油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、ココナッツ油、キャノーラ油、小麦胚芽油、エゴマ油、シソ油等の植物性油脂;乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂;及びこれらを加工した食用油脂(例えば、分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等)等が挙げられる。
【0017】
一般に、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性は、乳化粒子が長期的に分散安定しているほど、優れていると評価される。また、油脂の分散安定性は、乳化粒子径が小さい程、向上する傾向がある。本発明においては、調製した油脂が分散した調味料の平均粒子径(μm)を測定することにより、当該水性食品の乳化安定性を評価することができる。なお、本発明において、平均粒子径(μm)とは、レーザー回析式粒度分布測定装置SALD-2100(株式会社島津製作所製)を用いた測定値をいう。
【0018】
人間の舌が美味しさを感じるファクターの一つとして、油脂の存在感(油脂感)が挙げられるが、乳化剤を使用して油滴を分散させた液状又は半固体状酸性調味料では、乳化粒子径が小さく、油脂感が損なわれる。一方、本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、一般的な乳化剤を使用して油滴を分散させた液状又は半固体状酸性調味料の乳化粒子よりも大きい粒子径を有する油滴を含有するため、高い油脂感を有する。本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、例えば、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上の平均粒子径を有する油滴を含有し得る。
【0019】
本発明では、このように、通常であれば容易に二層分離しやすい、大きな粒子径を有する油滴を含有しつつも、意外にも油脂の長期分散安定性に優れた液状又は半固体状酸性調味料を提供できるという新たな知見に基づいてなされた発明である。本発明において、油脂の分散(状態)が安定している状態とは、油滴が水相中に存在しており、水相と油相が二層に分離していないことを示す。
【0020】
(B)キサンタンガム
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用されるキサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する多糖類であり、D-マンノース、D-グルコース、D-グルクロン酸から構成されている。主鎖はβ-1,4結合しているD-グルコースからなり、側鎖は主鎖のD-グルコース残基1つおきに、D-マンノース2分子とD-グルクロン酸とが結合している。側鎖の末端にあるD-マンノースは、ピルビン酸塩になっている場合がある。また、主鎖に結合したD-マンノースのC-6位は、アセチル化されている場合がある。キサンタンガムは商業的に入手することができ、例えば、サンエース(登録商標)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0021】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における(B)キサンタンガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、調味料の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、通常0.005~1質量%、好ましくは0.0075~0.75質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0022】
(C)果実由来食物繊維
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される果実由来食物繊維は、果実を原料として得られる食物繊維であれば特に制限されず、一般に流通している果実由来食物繊維を広く利用することができる。原料の果実としては、例えば、柑橘類(例えば、オレンジ、みかん、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼす、柚子、グレープフルーツ、レモン、ライム等)、リンゴ、マンゴ、パパイヤ、トマト、なし等が挙げられる。好ましくは柑橘類及び/又はリンゴ由来の食物繊維であり、より好ましくは柑橘類由来の食物繊維であり、更に好ましくはオレンジ、レモン、及びライムからなる群より選択される1種以上由来の食物繊維であり、より更に好ましくはレモン及び/又はライム由来の食物繊維である。
【0023】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される(C)果実由来食物繊維は、公知の方法によって得ることができ、例えば、前記果実の圧搾後に果汁を除いた残渣、又はその生成物として調製できる。具体例としては、前記果実からペクチンを採取する際に生じる残渣を乾燥し、粉砕することにより調製できる。本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される(C)果実由来食物繊維は、例えば、果実の細胞のミセル構造が壊れポーラスな構造を有しているものであることができる。
【0024】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される(C)果実由来食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維、及び水不溶性食物繊維を含有する複合型食物繊維であることができる。本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される果実由来食物繊維は、好ましくは、ペクチン質を含有する食物繊維である。
上記水溶性食物繊維としては、例えば、水溶性ヘミセルロース、及びペクチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。上記水不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、リグニン、水不溶性ヘミセルロース、及びプロトペクチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。
上記複合型食物繊維は、好ましくは、食物繊維を40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上又は80質量%以上含有することができる。
上記複合型食物繊維は、好ましくは、水溶性食物繊維を、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上又は60質量%以上含有することができる。
上記複合型食物繊維は、好ましくは、水不溶性食物繊維を、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上又は60質量%以上含有することができる。
【0025】
上記複合型食物繊維が含有する水溶性食物繊維及び水不溶性食物繊維の質量比は、好ましくは0.05:1~15:1であり、より好ましくは0.075:1~10:1であり、更に好ましくは0.1:1~5:1である。
【0026】
上記のような(C)果実由来食物繊維は、商業的に入手することができる。
本発明に関し、食物繊維含有量、水溶性食物繊維含有量、及び水不溶性食物繊維含有量は、プロスキー変法によって測定される。当業者が通常理解する通り、プロスキー変法によって測定された複合型食物繊維の食物繊維含有量は、必ずしも100質量%、又はこれに近い値ではない。
【0027】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における(C)果実由来食物繊維の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、通常0.05~2質量%、好ましくは0.075~1.75質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%である。
【0028】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における、(B)キサンタンガム1質量部に対する(C)果実由来食物繊維の含有量は特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.05~400質量部、より好ましくは0.06~80質量部、更に好ましくは0.75~60質量部、より更に好ましくは1~50質量部、特に好ましくは1.2~40質量部、より特に好ましくは1.5~30質量部、殊更に好ましくは1.75~20質量部、最も好ましくは2~10質量部である。
【0029】
(D)寒天
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用される寒天は、紅藻(テングサ科、オゴノリ科等)から得られる多糖類である。また、製造技術によりゲル強度を高めた(弱めた)もの、粘弾性を高めた(弱めた)もの、高融点化(低融点化)したもの、低分子化(高分子化)したものなど、いずれのものも使用することができる。また、異なる種類の寒天を組みあわせて使用することもできる。寒天は商業的に入手することができ、例えば、ゲルアップ(登録商標) J-1630(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0030】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における(D)寒天の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、通常0.001~0.5質量%、好ましくは0.003~0.3質量%、より好ましくは0.005~0.1質量%である。
【0031】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における、(B)キサンタンガム1質量部に対する(D)寒天の含有量は特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.001~100質量部、より好ましくは0.01~50質量部、更に好ましくは0.1~1質量部、より更に好ましくは0.15~0.75質量部、特に好ましくは0.2~0.5質量部である。
【0032】
(その他成分)
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、本発明の効果を妨げない範囲において、任意の可食成分を含有することができる。このような任意の可食成分としては、例えば、糖類、高甘味度甘味料、ビタミン類、アミノ酸類、油脂類、タンパク質類、ミネラル類、乳、卵、果汁、果肉、植物抽出物、食物繊維、香料、着色料、調味料、酸味料、抗酸化剤、保存料、抗菌剤等を挙げることができる。
【0033】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、本発明の効果を妨げない範囲において、上記(B)~(D)の成分以外の多糖類を含有することができる。本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料に使用することができる多糖類としては、例えば、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カラギナン(例えば、カッパカラギナン、イオタカラギナン、ラムダカラギナン等)、ジェランガム(例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム等)、ペクチン(例えば、HMペクチン、LMペクチン等)、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、マクロホモプシスガム、カードラン、トラガントガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、澱粉(例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、甘藷澱粉、サゴヤシ澱粉等)、化学的、酵素的又は物理的な処理を施した澱粉(例えば、酸分解澱粉、酵素分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉、加熱処理澱粉、湿熱処理澱粉等)、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、発酵セルロース、結晶セルロース等)、デキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等)等が挙げられ、2種以上の多糖類を使用してもよい。
【0034】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における水分の含有量は、例えば、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下とすることができる。また、液状又は半固体状酸性調味料における水分の含有量は、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上とすることができる。本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における水分の含有量は、好ましくは10~95質量%、より好ましくは15~85質量%、更に好ましくは20~75質量%、より更に好ましくは25~65質量%、特に好ましくは30~60質量%である。
【0035】
(pH)
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料のpHは、酸性であれば特に制限されないが、例えば、pH6.5以下、pH6以下、pH5.5以下、pH5以下、pH4.5以下、pH4以下であっても、安定性が低下することなく長期的に油脂の分散を保持できる。
なお、本発明においてpHの測定方法は、対象試料を温度25℃に調温し、pHメータ(HORIBA社製、ポータブルpHメータ〈D-72〉)を用い、対象試料へ電極を浸漬した後、1分後に測定する。
【0036】
(粘度)
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料の粘度は、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは7,000mPa・s以下、更に好ましくは5,000mPa・s以下、より更に好ましくは2,500mPa・s以下とすることができる。
本明細書において、粘度は、液状又は半固体状酸性調味料を25℃の条件下で、B型回転粘度計を用いて回転数60rpmで1分間測定することによって求められ、以下の方法によって測定された値を示す。
当該測定においては、液状又は半固体状酸性調味料の粘度に応じて、次のローターを使用する。
ローター1号1~100mPa・s
ローター2号101~500mPa・s
ローター3号501~2,000mPa・s
ローター4号2,001~10,000mPa・s
一般に、水及び油を含有する食品は、粘度が高い程、油相と水相との二層への分離が抑制されやすい。しかし、本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料は、25℃における粘度が2,500mPa・s以下といった低粘度であっても、良好な油脂の分散安定性を有する。
【0037】
[2.液状又は半固体状酸性調味料の製造方法]
本発明は、液状又は半固体状酸性調味料に、以下(A)~(D)を含有させる工程を含む、液状又は半固体状酸性調味料の製造方法に関するものである;
(A)油脂を1~80質量%、
(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、
(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、
(D)寒天を0.001~0.5質量%。
【0038】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料の製造方法に使用される成分やその含有量、その他条件等の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0039】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料の製造方法は、液状又は半固体状酸性調味料に上記(A)~(D)の成分を含有させる工程を含めば、これらを含有させる順序や他の工程は特に制限されない。例えば、上記工程の他、食品に製造工程において一般的に行なわれる処理工程として、均質化処理工程、殺菌処理工程等を含むことができる。
【0040】
[3.液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法]
本発明は、(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法であって、液状又は半固体状酸性調味料に(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、及び(D)寒天を0.001~0.5質量%含有させることを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法に関するものである。
【0041】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法に使用される成分やその含有量、その他の条件等の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0042】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させる方法は、調味料に上記(A)~(D)の成分を含有させる工程を含めば、これらを含有させる順序や他の工程は特に制限されず、上記[2.]に記載したとおりである。なお、本発明によれば、均質化処理工程を経ることなく、調味料における油脂の分散安定性を向上させることができる。
【0043】
本発明によれば、(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料に、(B)キサンタンガムを0.005~1質量%、(C)果実由来食物繊維を0.05~2質量%、及び(D)寒天を0.001~0.5質量%含有させることにより、高い油脂感と、べたつきやぬめりが軽減された優れた食感を有しつつも、油脂の分散安定性を向上させることができる。
【0044】
本発明によれば、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性を向上させることができるため、油相と水相が分離せず、均一な状態で液状又は半固体状酸性調味料の製造工程・充填工程を進めることができる。また、液状又は半固体状酸性調味料を長期保存する場合であっても油脂の分散安定性が維持される。また、液状又は半固体状酸性調味料の喫食中も油脂の分散安定性が維持される。
【0045】
[4.液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤]
本発明は、(A)油脂を1~80質量%含有する液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤であって、(B)キサンタンガム、(C)果実由来食物繊維、及び(D)寒天を含有することを特徴とする、液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤に関するものである。
【0046】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤に使用される成分、その他の条件等の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0047】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤の形状は特に制限されない。例えば、固体形状(例えば、粉末状、顆粒状及び錠剤状等)、液体形状(例えば、溶解液、分散液等)、ペースト等が挙げられる。
【0048】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、果実由来食物繊維の含有量は、特に限定されないが、油脂の分散安定性向上剤の全量に対して、好ましくは1~99.5質量%であり、より好ましくは10~99質量%、更に好ましくは25~99質量%、より更に好ましくは50~98.5質量%である。
【0049】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、(B)キサンタンガムの含有量は、特に限定されないが、油脂の分散安定性向上剤の全量に対して、好ましくは0.05~80質量%であり、より好ましくは0.1~70質量%、更に好ましくは0.5~60質量%、より更に好ましくは1~50質量%である。
【0050】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、(C)果実由来食物繊維の含有量は、特に限定されないが、油脂の分散安定性向上剤の全量に対して、好ましくは0.05~80質量%であり、より好ましくは0.1~70質量%、更に好ましくは0.5~60質量%、より更に好ましくは1~50質量%である。
【0051】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、(D)寒天の含有量は、特に限定されないが、油脂の分散安定性向上剤の全量に対して、好ましくは0.05~80質量%であり、より好ましくは0.1~70質量%、更に好ましくは0.5~60質量%、より更に好ましくは1~50質量%である。
【0052】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、(B)キサンタンガム1質量部に対する(C)果実由来食物繊維の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05~400質量部、より好ましくは0.06~80質量部、更に好ましくは0.75~60質量部、より更に好ましくは1~50質量部、特に好ましくは1.2~40質量部、より特に好ましくは1.5~30質量部、殊更に好ましくは1.75~20質量部、最も好ましくは2~10質量部である。
【0053】
本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤における、(B)キサンタンガム1質量部に対する(D)寒天の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.001~100質量部、より好ましくは0.01~50質量部、更に好ましくは0.1~1質量部、より更に好ましくは0.15~0.75質量部、特に好ましくは0.2~0.5質量部である。
【0054】
対象となる液状又は半固体状酸性調味料に対する、本発明に係る液状又は半固体状酸性調味料における油脂の分散安定性向上剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、液状又は半固体状酸性調味料における(B)キサンタンガム、(C)果実由来食物繊維、及び(D)寒天の含有量が上記[1.]に記載の範囲となるように配合することが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。
【0056】
[実験例1.液状ドレッシング]
表1及び2の処方に基づき、液状ドレッシングを調製した。詳細には以下のとおりである。
(1)水に多糖類を加え、10分間撹拌を行った。
(2)サラダ油を除く残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行った。
(3)ホモミキサーで撹拌しながら、徐々にサラダ油を加え、10,000rpmで10分間撹拌を行った。
(4)85℃まで加温後、容器にホットパック充填した。
なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0057】
【0058】
【0059】
(油脂の分散安定性の評価)
得られた液状ドレッシングを25℃で28日間保存後、油の分離状態を目視にて観察した。結果を表3及び
図1に示した。
【0060】
(乳化粒子径の評価)
得られた液状ドレッシングを25℃に調温し、レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD-2100(株式会社島津製作所製)を使用して、乳化粒子径の測定を行なった。結果を表3に示した。
【0061】
(粘度)
得られた液状ドレッシングを25℃に調温し、B型回転粘度計 TVB-10(東機産業株式会社製)を使用して、回転数60rpm、1分後の条件で粘度の測定を行った。結果を表3に示した。
【0062】
(油脂感及び食感の評価)
得られた液状ドレッシングを25℃に調温し、油脂感及び食感の判定を日常的に行っているパネラー5名(A~E)により、ブラインドによる官能評価を行った。各評価項目について、良好度合いに応じて3>2>1の3段階評価を行った。具体的な評価基準は次のとおりである。なお、官能評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが評価基準について共通認識を持つようにした。
【0063】
「油脂感」の評価基準
3:油の存在感が非常に舌で感じられやすい。
2:油の存在感が舌で感じられやすい。
1:油の存在感が舌で感じられにくい。
【0064】
「食感」の評価基準
3:ぬめりやべたつきがなく、非常に滑らかな食感を有する。
2:ぬめりやべたつきがなく、滑らかな食感を有する。
1:ぬめりやべたつきがある。
結果を表3に示した。
【0065】
【0066】
キサンタンガム又は寒天のいずれかを欠く比較例1-1~1-4において、比較例1-1、1-3、及び1-4では、25℃で28日間保存後に、容器の上部にて油の分離が観察され、容器の下部にて離水が観察された。そして、比較例1-2では、油相(上層)と水相(下層)との完全分離が観察された。
一方、果実由来食物繊維、キサンタンガム、及び寒天を含有する実施例1-1及び1-2では、大きい粒子径を有する油滴を含有するにもかかわらず、25℃で28日間保存後も、油の分離や離水は観察されず、油の分散安定性に優れていた。さらには、実施例1-1及び1-2は、油の分散安定性に優れるだけではなく、良好な油脂感、及びぬめりやべたつきの無い優れた食感を有していた。
【0067】
[実験例2.液状ドレッシング]
表4及び5の処方に基づき、液状ドレッシングを調製した。詳細には以下のとおりである。
(1)水に多糖類を加え、10分間撹拌を行った。
(2)サラダ油を除く残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行った。
(3)ホモミキサーで撹拌しながら、徐々にサラダ油を加え、10,000rpmで10分間撹拌を行った。
(4)85℃まで加温後、容器にホットパック充填した。
なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0068】
【0069】
【0070】
(油脂の分散安定性の評価)
得られた液状ドレッシングを25℃で28日間保存後、油の分離状態を目視にて観察した。結果を表6及び
図2に示した。
【0071】
(乳化粒子径の評価)
得られた液状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、乳化粒子径の測定を行った。結果を表6に示した。
【0072】
(粘度)
得られた液状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、粘度の測定を行った。結果を表6に示した。
【0073】
(油脂感及び食感の評価)
得られた液状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、油脂感及び食感の評価を行った。結果を表6に示した。
【0074】
【0075】
乳化性多糖類として、アラビアガム又はガティガムを含有し、寒天を欠く比較例2-1及び2-2では、25℃で28日間保存後に、容器の上部にて油の分離が観察され、容器の下部にて離水が観察された。また、比較例2-2では、油の存在感が舌で感じられにくく、油脂感が顕著に低かった。
一方、果実由来食物繊維、キサンタンガム及び寒天を含有する実施例2-1は、大きい粒子径を有する油滴を含有するにもかかわらず、25℃で28日間保存後も、油の分離や離水は観察されず、油の分散安定性に優れていた。さらに、実施例2-1は、油の分散安定性に優れるだけではなく、良好な油脂感、及びぬめりやべたつきの無い優れた食感を有していた。
【0076】
[実験例3.液状ドレッシング]
表7の処方に基づき、液状ドレッシングを調製した。詳細には以下のとおりである。
(1)水に多糖類を加え、10分間撹拌を行った。
(2)サラダ油を除く残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行った。
(3)ホモミキサーで撹拌しながら、徐々にサラダ油を加え、10,000rpmで10分間撹拌を行った。
(4)85℃まで加温後、容器にホットパック充填した。
なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0077】
【0078】
(油脂の分散安定性の評価)
得られた液状ドレッシングを25℃で28日間保存後、油の分離状態を目視にて観察した。結果を表8に示した。
【0079】
(粘度)
得られた液状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、粘度の測定を行った。結果を表8に示した。
【0080】
(油脂感及び食感の評価)
得られた液状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、油脂感及び食感の評価を行った。結果を表8に示した。
【0081】
【0082】
キサンタンガムを欠く比較例3-1では、25℃で28日間保存後に、容器の上部にて油の分離が観察された。
一方、果実由来食物繊維、キサンタンガム、及び寒天を含有する実施例3-1では、25℃で28日間保存後も、油の分離や離水は観察されず、油の分散安定性に優れていた。また、実施例3-1は油の分散安定性に優れているだけでなく、良好な油脂感、及びぬめりやべたつきの無い優れた食感を有しており、総合的観点から比較例3-1に比べ優れていた。
【0083】
[実験例4.半固体状ドレッシング]
表9の処方に基づき、半固体状ドレッシングを調製した。詳細には以下のとおりである。
(1)水に多糖類を加え、10分間撹拌を行った。
(2)サラダ油を除く残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行った。
(3)徐々にサラダ油を加え、更に5分間撹拌を行った。
(4)コロイドミル処理 (スリット幅 500μm、回転数 3,000rpm)を行った。
なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0084】
【0085】
(油脂の分散安定性の評価)
得られた半固体状ドレッシングを25℃で1日間保存後、油の分離状態を目視にて観察した。結果を表10に示した。
【0086】
(粘度)
得られた半固体状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、粘度の測定を行った。結果を表10に示した。
【0087】
(油脂感及び食感の評価)
得られた半固体状ドレッシングについて、実験例1と同じ手法により、油脂感及び食感の評価を行った。結果を表10に示した。
【0088】
【0089】
果実由来食物繊維を欠く比較例4-1において、25℃1日後に、表面に油のにじみが観察された。
一方、果実由来食物繊維、キサンタンガム、及び寒天を含有する実施例4-1は25℃1日後でも油のにじみは観察されず、油の分散安定性に優れていた。さらには、実施例4-1は油の分散安定性に優れているだけでなく、良好な油脂感、及びぬめりやべたつきの無い優れた食感を有していた。