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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】自動運転標識灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20241108BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241108BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241108BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241108BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241108BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21V5/00 510
F21W103:00
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020130650
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026943
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】小泉 浩哉
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168335(JP,A)
【文献】国際公開第2020/080133(WO,A1)
【文献】特開2012-150317(JP,A)
【文献】特開2011-222339(JP,A)
【文献】特開2010-199053(JP,A)
【文献】特開2016-178009(JP,A)
【文献】特開2018-041711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
F21S 43/14
F21V 5/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯であって、
光源と、上記光源の灯具前方側に配置されたレンズと、を備えており、
上記レンズの後面に、上記光源からの出射光を入射させる入射面と、上記入射面の左右両側において上記入射面からの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる1対の第1反射面とが形成されており、
上記レンズの前面に、上記入射面からの入射光を灯具前方へ向けて出射させる第1出射面と、上記第1出射面の左右両側において上記1対の第1反射面からの反射光を灯具前方へ向けて出射させる1対の第2出射面とが形成されており、
上記1対の第2出射面のうち少なくとも一方の第2出射面は、左右方向に関して外側に位置する領域が、上記1対の第1反射面のうち少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて出射させる側方出射領域として構成されており、
上記第1出射面は、上下方向に延びる複数のレンズ素子が縦縞状に配置された構成となっており、
上記複数のレンズ素子は、左右方向に関して外側に位置するレンズ素子ほど、上記入射面から入射した上記光源からの光を出射させる際に灯具正面方向からの側方出射角が大きくなるように形成されており、
上記側方出射領域は、上記少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面と、上記第2反射面からの反射光を出射させる第3出射面とを備えており、かつ、上記第2反射面および上記第3出射面が上下方向に延びるように形成されており、
上記レンズは、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、かつ、上記第1出射面および上記1対の第2出射面の各々が直線状の鉛直断面形状を有している、ことを特徴とする自動運転標識灯。
【請求項2】
上記側方出射領域として、左右方向に並んで配置された複数の領域を備えており、
上記複数の領域からの出射光の側方出射角が互いに異なる値に設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の自動運転標識灯。
【請求項3】
上記側方出射領域は、上記少なくとも一方の第1反射面からの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させるように構成されており、
上記複数の領域は、左右方向に関して外側に位置する領域からの出射光ほど側方出射角が大きくなるように形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の自動運転標識灯。
【請求項4】
上記側方出射領域は、上記1対の第2出射面の各々において灯具前後方向に互いにずれた位置に設けられており、
灯具前方側に位置する上記側方出射領域は、上記第1反射面からの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させるように構成されており、
灯具後方側に位置する上記側方出射領域は、上記第1反射面からの反射光を左右方向に関して外側の方向へ向けて出射させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の自動運転標識灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転による走行が可能な自動運転車両の開発が進められている。
【0003】
このような自動運転車両においては、車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯を装着することが、車両走行時の安全性を確保する上で好ましい。
【0004】
「特許文献1」には、このような光照射を行う自動運転標識灯として、光源とその灯具前方側に配置されたレンズとを備えたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/080133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載されているような自動運転標識灯を採用することにより、自動運転による車両走行時の安全性を高めることが可能となる。
【0007】
しかしながら、自動運転による車両走行時の安全性をさらに高めるためには、灯具視認角(すなわち自動運転標識灯が点灯状態にあることを視認することができる灯具正面方向からの最大傾斜角度)をできるだけ大きく確保して、周囲への報知機能を高めることが望まれる。
【0008】
そしてそのためには、自動運転標識灯として、広範囲にわたって効率良く光照射が行われる構成とすることが望まれる。
【0009】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯において、周囲への報知機能を高めることができる自動運転標識灯を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、自動運転標識灯として光源とその灯具前方側に配置されたレンズとを備えた構成とした上で、そのレンズの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0011】
すなわち、本願発明に係る自動運転標識灯は、
車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯であって、
光源と、上記光源の灯具前方側に配置されたレンズと、を備えており、
上記レンズの後面に、上記光源からの出射光を入射させる入射面と、上記入射面の左右両側において上記入射面からの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる1対の第1反射面とが形成されており、
上記レンズの前面に、上記入射面からの入射光を灯具前方へ向けて出射させる第1出射面と、上記第1出射面の左右両側において上記1対の第1反射面からの反射光を灯具前方へ向けて出射させる1対の第2出射面とが形成されており、
上記1対の第2出射面のうち少なくとも一方の第2出射面は、左右方向に関して外側に位置する領域が、上記1対の第1反射面のうち少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて出射させる側方出射領域として構成されており、
上記第1出射面は、上下方向に延びる複数のレンズ素子が縦縞状に配置された構成となっており、
上記複数のレンズ素子は、左右方向に関して外側に位置するレンズ素子ほど、上記入射面から入射した上記光源からの光を出射させる際に灯具正面方向からの側方出射角が大きくなるように形成されており、
上記側方出射領域は、上記少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面と、上記第2反射面からの反射光を出射させる第3出射面とを備えており、かつ、上記第2反射面および上記第3出射面が上下方向に延びるように形成されており、
上記レンズは、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、かつ、上記第1出射面および上記1対の第2出射面の各々が直線状の鉛直断面形状を有している、ことを特徴とするものである。
【0012】
上記「光源」は、車両が自動運転中であることを周囲に報知するのに適したものであれば、その種類や発光色等は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「側方」は、左右方向に関してレンズの内側の方向であってもよいし外側の方向であってもよい。
【0014】
上記「側方へ向けて出射させる」とは、灯具正面方向に対して左右方向に45°以上傾斜した方向へ向けて出射させることを意味するものである。
【0015】
上記「側方出射領域」は、第1反射面からの反射光を側方へ向けて出射させることが可能な構成を有するものであれば、その具体的な構成については特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る自動運転標識灯は、光源とその灯具前方側に配置されたレンズとを備えた構成となっているが、レンズの後面には、光源からの出射光を入射させる入射面と、その左右両側において入射面からの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる1対の第1反射面とが形成されており、また、レンズの前面には、入射面からの入射光を灯具前方へ向けて出射させる第1出射面と、その左右両側において1対の第1反射面からの反射光を灯具前方へ向けて出射させる1対の第2出射面とが形成されているので、光源からの出射光に対する利用効率を高めた上で灯具前方への光照射を行うことができる。
【0017】
その上で、1対の第2出射面のうち少なくとも一方の第2出射面は、左右方向に関して外側に位置する領域が、1対の第1反射面のうち少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて出射させる側方出射領域として構成されているので、広範囲にわたって光照射が行われるようにすることができる。
【0018】
その際、側方出射領域は、少なくとも一方の第2出射面においてその左右方向に関して外側に位置する領域として設定されているので、第1出射面および第2出射面における他の領域からの光照射が円滑に行われるようにした上で側方照射が行われるようにすることができる。したがって、広範囲にわたって効率良く光照射が行われるようにすることができ、これにより周囲への報知機能を高めることができる。
【0019】
このように本願発明によれば、車両が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯において、周囲への報知機能を高めることができる。
【0020】
上記構成において、さらに、側方出射領域として、少なくとも一方の第1反射面からの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面と、この第2反射面からの反射光を出射させる第3出射面とを備えた構成とした上で、これら第2反射面および第3出射面が上下方向に延びるように形成された構成とすれば、灯具正面方向から水平方向に関して所要角度範囲内の領域を上下方向に関しても所要角度範囲にわたって効率良く照射することが可能となる。そしてこれにより、限られた光源光束の範囲内で周囲への報知機能を高めることができる。
【0021】
その際、第2反射面の構成として、第1反射面からの反射光を上下方向に拡散反射させる複数の反射素子が形成された構成を採用したり、第3出射面の構成として、第2反射面からの反射光を上下方向に拡散出射させる複数のレンズ素子が形成された構成を採用することにより、上下方向に関してより広範囲にわたって光照射が行われるようにすることも可能である。
【0022】
上記構成において、さらに、側方出射領域として、左右方向に並んで配置された複数の領域を備えた構成とした上で、これら複数の領域として、各領域からの出射光の側方出射角が互いに異なる値に設定された構成とすれば、自動運転標識灯からの光照射範囲を略均一な明るさで照射することが容易に可能となる。
【0023】
その際、側方出射領域として、少なくとも一方の第1反射面からの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させる構成とした上で、これを構成する複数の領域として、左右方向に関して外側に位置する領域からの出射光ほど側方出射角が大きくなるように形成されたものとすれば、自動運転標識灯からの光照射範囲を、より一層均一な明るさで照射することができる。
【0024】
上記構成において、さらに、1対の第2出射面の各々において灯具前後方向に互いにずれた位置に側方出射領域が設けられた構成とした上で、灯具前方側に位置する側方出射領域が、第1反射面からの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させるように構成されるとともに、灯具後方側に位置する側方出射領域が、第1反射面からの反射光を左右方向に関して外側の方向へ向けて出射させるように構成されたものとすれば、側方照射光の明るさを増大させることが容易に可能となる。
【0025】
特に、自動運転標識灯が車両の前端部または後端部の左右両側に配置されるような場合には、そのレンズの灯具前方側に透光カバーが配置され、かつ、この透光カバーが車幅方向外側へ向けて灯具後方側に傾斜して延びるように形成されることが多いので、このような構成を採用することが特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明の第1実施形態に係る自動運転標識灯を示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4】上記自動運転標識灯からの照射光によって形成される配光パターンを示す図
図5】(a)は、上記自動運転標識灯が装着された車両を示す平面図、(b)は、本願発明の第2実施形態を示す、(a)と同様の図
図6】(a)は、上記第1実施形態の第1変形例の要部を示す正面図、(b)は、上記第1実施形態の第2変形例の要部を示す正面図
図7】上記第1および第2変形例の作用を示す、図4と同様の図
図8】本願発明の第2実施形態に係る自動運転標識灯を示す、図2と同様の図
図9】上記第2実施形態の作用を示す、図4と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本願発明の第1実施形態に係る自動運転標識灯10を示す正面図である。また、図2は、図1のII-II線断面図であり、図3は、図1のIII-III線断面図である。
【0029】
図1~3において、Xで示す方向が「灯具前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0030】
図5(a)は、本実施形態に係る自動運転標識灯10が装着された車両2を、自動運転標識灯10が点灯した状態で示す平面図である。
【0031】
図5(a)に示す車両2は、自動運転による走行が可能な自動運転車両であって、自動運転標識灯10は、車両2が自動運転中であることを周囲の歩行者や他の走行車両の運転者等に報知するための光照射を行うようになっている。自動運転標識灯10は、車両2の前端部における車幅方向中央部に装着された状態で使用される構成となっている。
【0032】
図1~3に示すように、自動運転標識灯10は、ランプボディ12およびその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14によって形成される灯室内に、灯具ユニット20が組み込まれた構成となっている。
【0033】
灯具ユニット20は、光源30と、この光源30の灯具前方側に配置されたレンズ40とを備えた構成となっている。
【0034】
光源30は、ターコイズ色(すなわち青緑色)に発光する発光ダイオードで構成されており、その発光面を灯具正面方向へ向けた状態で基板32に搭載されている。
【0035】
基板32は、灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って板状に延びるように配置された金属製のヒートシンク34に支持されている。ヒートシンク34は、その左右両側部が灯具前方へ向けて板状に延びるように形成されており、その前端部は灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って外側に延びる左右1対のフランジ部34aとして形成されている。そして、ヒートシンク34は、左右1対のフランジ部34aにおいてランプボディ12に支持されている。
【0036】
レンズ40は、無色透明の樹脂製部材(例えばアクリル樹脂製部材)で構成されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。レンズ40の左右両側部には、灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる左右1対のフランジ部40cが形成されている。そして、レンズ40は、左右1対のフランジ部40cにおいて、ヒートシンク34の左右1対のフランジ部34aを介してランプボディ12に支持されている。
【0037】
上記灯室内には、透光カバー14に沿うようにして延びるエクステンションパネル16が設けられている。エクステンションパネル16には、灯具ユニット20をその前端部近傍において囲む開口部16aが形成されている。
【0038】
灯具ユニット20は、光源30の発光中心を通るようにして灯具前後方向に延びる光軸Axを有している。
【0039】
レンズ40は、光軸Axを含む鉛直面に関して左右対称の形状を有している。
【0040】
レンズ40の後面40bには、光源30からの出射光を入射させる入射面42Aと、入射面42Aの左右両側において入射面42Aからの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる左右1対の第1反射面42Bと、第1出射面44Aの上下両側において入射面42Aからの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる上下1対の付加反射面42Cとが形成されている。
【0041】
一方、レンズ40の前面40aには、入射面42Aからの入射光を直接灯具前方へ向けて出射させる第1出射面44Aと、第1出射面44Aの左右両側において左右1対の第1反射面42Bからの反射光を灯具前方へ向けて出射させる左右1対の第2出射面44Bと、第1出射面44Aの上下両側において上下1対の付加反射面42Cからの反射光を灯具前方へ向けて出射させる上下1対の付加出射面44Cとが形成されている。
【0042】
次に、レンズ40の具体的な構成について説明する。
【0043】
まず、レンズ40の後面40bの構成について説明する。
【0044】
入射面42Aは、基本入射面42A1と、その上下両側に位置する上下1対の付加入射面42A2とで構成されている。
【0045】
図2に示すように、基本入射面42A1は、光源30の発光中心を中心とする凹円弧状の水平断面形状を有している。これにより基本入射面42A1は、光源30の発光中心からの出射光を、水平面内においては屈折させることなくそのままレンズ40に入射させるようになっている。
【0046】
また、図3に示すように、基本入射面42A1は、略凸円弧状の鉛直断面形状を有している。これにより基本入射面42A1は、光源30の発光中心からの光を、鉛直面内において光軸Ax寄りの方向(具体的には光軸Axと平行な方向に対して上下方向に多少拡がる方向)へ屈折させる態様で入射させるようになっている。
【0047】
一方、上下1対の付加入射面42A2は、基本入射面42A1の上下両側において水平面に近い円錐面状に形成されている。これにより上下1対の付加入射面42A2は、光源30からの光を光軸Axから上下両側に離れる方向へ屈折させる態様で入射させるようになっている。
【0048】
図2に示すように、左右1対の第1反射面42Bは、光源30の発光中心を焦点とする放物線状の水平断面形状を有している。これにより左右1対の第1反射面42Bは、基本入射面42A1から入射した光源30からの光の一部を灯具前方へ向けて光軸Axと平行な光として全反射させるようになっている。
【0049】
図3に示すように、上下1対の付加反射面42Cは、光源30の発光中心の近傍に位置する点を焦点とする放物線状の鉛直断面形状を有している。これにより上下1対の付加反射面42Cは、上下1対の付加入射面42A2から入射した光源30からの光を、鉛直面内において灯具前方へ向けて光軸Axと略平行な光として全反射させるようになっている。
【0050】
次に、レンズ40の前面40aの構成について説明する。
【0051】
図2に示すように、第1出射面44Aは、上下方向に延びる複数のレンズ素子44Asが縦縞状に配置された構成となっている。
【0052】
その際、複数のレンズ素子44Asは、光軸Axから左右両側に離れた位置にあるレンズ素子44Asほど、基本入射面42A1から入射した光源30からの光を出射させる際に灯具正面方向からの側方出射角が大きくなるように形成されている。これにより第1出射面44A全体としては、基本入射面42A1からの入射光を、灯具正面方向を中心にして左右両側に拡散する光として灯具前方へ向けて出射させるようになっている。
【0053】
また、図3に示すように、基本入射面42A1から入射した光源30からの光は、上下方向に多少拡がる光として入射するので、第1出射面44Aからの出射光も上下方向に多少拡がる光となる。
【0054】
一方、図1、2に示すように、左右1対の第2出射面44Bの各々は、基本出射領域44B1と、左右方向に関して基本出射領域44B1の外側(すなわち光軸Axから遠い側)に位置する側方出射領域44B2とからなっている。
【0055】
基本出射領域44B1は、2つのレンズ素子44B1sが縦縞状に配置された構成となっている。各レンズ素子44B1sは、上下方向に延びる凸シリンドリカル曲面で構成されており、第1反射面42Bからの反射光を、灯具正面方向を中心にして左右両側に拡散する光として灯具前方へ向けて出射させるようになっている。その際、2つのレンズ素子44B1sは、左右方向に関して内側に位置するレンズ素子44B1sよりも外側に位置するレンズ素子44B1sの方が灯具前方側に変位した状態で配置されている。
【0056】
側方出射領域44B2は、基本出射領域44B1よりも灯具前方側において、左右方向に並んで配置された状態で上下方向に延びる2つの領域44B2A、44B2Bで構成されている。その際、内側に位置する領域44B2Aよりも外側に位置する領域44B2Bの方が灯具前方側に変位した状態で配置されている。
【0057】
各領域44B2A、44B2Bは、第1反射面42Bからの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面44B2A1、44B2B1と、この第2反射面44B2A1、44B2B1からの反射光を出射させる第3出射面44B2A2、44B2B2とで構成されている。
【0058】
各領域44B2A、44B2Bの第2反射面44B2A1、44B2B1は、左右方向に関して外側に大きく傾斜した状態で上下方向に延びる凸シリンドリカル曲面で構成されている。一方、各領域44B2A、44B2Bの第3出射面44B2A2、44B2B2は、光軸Axと平行な鉛直面に対して灯具前方へ向けて僅かに外側に傾斜した平面で構成されている。
【0059】
その際、内側に位置する領域44B2Aの第2反射面44B2A1よりも、外側に位置する領域44B2Bの第2反射面44B2B1の方が、外側への傾斜角が小さい値に設定されている。これにより側方出射領域44B2からの出射光の側方出射角は、領域44B2Bからの出射光の方が領域44B2Aからの出射光よりも側方出射角が大きくなるように設定されている。具体的には、領域44B2Aからの出射光の側方出射角は灯具正面方向に対して40~60°程度の値に設定されており、領域44B2Bからの出射光の側方出射角は灯具正面方向に対して50~70°程度の値に設定されている。
【0060】
図1、3に示すように、上下1対の付加出射面44Cは、第1出射面44Aの上下両側において左右方向に延びるように形成されている。
【0061】
その際、上下1対の付加出射面44Cは、灯具前後方向に関して、左右1対の第2出射面44Bにおける基本出射領域44B1を構成する2つのレンズ素子44B1sと同じ位置に形成されている。各付加出射面44Cは、水平方向に延びる凸シリンドリカル曲面で構成されており、付加反射面42Cからの反射光を、灯具正面方向を中心にして上下両側に拡散する光として灯具前方へ向けて出射させるようになっている。
【0062】
図4は、自動運転標識灯10からの照射光によって形成される配光パターンP1を示す図である。
【0063】
図4において、2点鎖線で示す横長矩形領域Zは、車両2が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射が行われることが望ましい領域である。この横長矩形領域Zは、具体的には例えば、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線から左右両側にそれぞれ60°の範囲内で、かつ、H-Vを水平方向に通るH-H線から上下両側にそれぞれ30°の範囲内の領域として設定されている。
【0064】
配光パターンP1は、H-Vを中心とする横長の配光パターンであって、横長矩形領域Zをカバーする大きさで形成されている。
【0065】
配光パターンP1は、レンズ40の前面40aを構成する第1出射面44A、左右1対の第2出射面44Bおよび上下1対の付加出射面44Cからの出射光によって形成されるが、その左右両端部P1aは、左右1対の第2出射面44Bの側方出射領域44B2からの出射光によって形成される。
【0066】
その際、配光パターンP1は、左右方向の中心部に対して両端部の上下幅がやや狭くなっているが、全体として略横長矩形状の外形形状で形成されている。これは、左右1対の側方出射領域44B2の各々が上下方向に延びる2つの領域44B2A、44B2Bで構成されており、これにより左右両端部P1aにおいても一定程度の上下拡散光が照射されることによるものである。
【0067】
また、配光パターンP1は、左右方向の中心部のみならず左右両端部P1aにおいても略均一な明るさで形成されている。これは、各側方出射領域44B2を構成する2つの領域44B2A、44B2Bからの出射光の側方出射角が互いに異なる値に設定されていることによるものである。
【0068】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0069】
本実施形態に係る自動運転標識灯10は、光源30とその灯具前方側に配置されたレンズ40とを備えた構成となっているが、レンズ40の後面40bには、光源30からの出射光を入射させる入射面42Aと、その左右両側において入射面42Aからの入射光の一部を灯具前方へ向けて全反射させる1対の第1反射面42Bとが形成されており、また、レンズ40の前面40aには、入射面42Aからの入射光を灯具前方へ向けて出射させる第1出射面44Aと、その左右両側において1対の第1反射面42Bからの反射光を灯具前方へ向けて出射させる1対の第2出射面44Bとが形成されているので、光源30からの出射光に対する利用効率を高めた上で灯具前方への光照射を行うことができる。
【0070】
その上で、各第2出射面44Bは、左右方向に関して外側に位置する領域が、各第1反射面42Bからの反射光を側方へ向けて出射させる側方出射領域44B2として構成されているので、広範囲にわたって光照射が行われるようにすることができる。すなわち、車両2が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射が行われるべき横長矩形領域Zをカバーする配光パターンP1を形成することができる。
【0071】
その際、各側方出射領域44B2は、各第2出射面44Bにおいてその左右方向に関して外側に位置する領域として設定されているので、第1出射面44Aおよび第2出射面44Bにおける他の領域からの光照射が円滑に行われるようにした上で側方照射が行われるようにすることができる。したがって、広範囲にわたって効率良く光照射が行われるようにすることができ、これにより周囲への報知機能を高めることができる。
【0072】
このように本実施形態によれば、車両2が自動運転中であることを周囲に報知するための光照射を行う自動運転標識灯10において、周囲への報知機能を高めることができる。
【0073】
本実施形態に係る自動運転標識灯10は、車両2の前端部における車幅方向中央部に装着された状態で使用される構成となっているが、自動運転標識灯10からの側方照射は左右両方向へ向けて行われるので、周囲への報知機能を十分に高めることができる。
【0074】
しかも本実施形態においては、左右1対の側方出射領域44B2の各々が、左右方向に並んで配置された2つの領域44B2A、44B2Bを備えており、かつ、2つの領域44B2A、44B2Bは、その出射光の側方出射角が互いに異なる値に設定されているので、自動運転標識灯2からの光照射範囲を略均一な明るさで照射することが容易に可能となる。
【0075】
その際、各領域44B2A、44B2Bは、第1反射面42Bからの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面44B2A1、44B2B1と、第2反射面44B2A1、44B2B1からの反射光を出射させる第3出射面44B2A2、44B2B2とを備えており、かつ、これら第2反射面44B2A1、44B2B1および第3出射面44B2A2、44B2B2が上下方向に延びるように形成されているので、自動運転標識灯10からの光照射範囲として横長矩形領域Zを含む範囲を効率良く照射することが可能となる。そしてこれにより、限られた光源光束の範囲内で周囲への報知機能を高めることができる。
【0076】
さらに、各側方出射領域44B2を構成する2つの領域44B2A、44B2Bは、各第1反射面42Bからの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させるように構成されており、かつ、左右方向に関して内側に位置する領域44B2Aよりも外側に位置する領域44B2Bからの出射光の方が側方出射角が大きくなるように形成されているので、自動運転標識灯10からの光照射範囲を、より一層均一な明るさで照射することができる。
【0077】
上記実施形態においては、各側方出射領域44B2が、2つの領域44B2A、44B2Bを備えているものとして説明したが、単一の領域あるいは3つ以上の領域を備えた構成とすることも可能である。
【0078】
上記実施形態においては、左右1対の第2出射面44Bの各々に側方出射領域44B2が形成されているものとして説明したが、いずれか一方にのみ側方出射領域44B2が形成された構成とすることも可能である。
【0079】
上記実施形態においては、自動運転標識灯10が車両2の前端部に装着されるものとして説明したが、それ以外の箇所(例えば車両2の後端部)に装着された状態で使用される構成とすることも可能である。
【0080】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0081】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0082】
図6(a)は、本変形例に係る自動運転標識灯の灯具ユニット120の要部を示す正面図である。
【0083】
本変形例においても、灯具ユニット120の基本的な構成は上記第1実施形態の灯具ユニット20と同様であるが、そのレンズ140における側方出射領域144B2の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0084】
すなわち、本変形例の側方出射領域144B2も2つの領域144B2A、144B2Bを備えており、各領域144B2A、144B2Bは第2反射面144B2A1、144B2B1と第3出射面144B2A2、144B2B2とで構成されているが、本変形例においては、第2反射面144B2A1、144B2B1の構成として、第1反射面42B(図2参照)からの反射光を上下方向に拡散反射させる複数の反射素子144B2A1s、144B2B1sが形成されている点で上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、第3出射面144B2A2、144B2B2の構成については上記第1実施形態の場合と同様である。
【0085】
図7は、本変形例に係る自動運転標識灯の灯具ユニット120からの照射光によって形成される配光パターンP2を示す図である。
【0086】
図7に示すように、配光パターンP2は、図4に示す配光パターンP1と同様、横長矩形領域Zをカバーする大きさの横長の配光パターンとして形成されているが、配光パターンP1よりもやや大きい上下幅で形成されており、かつ、配光パターンP1よりも横長矩形に近い外形形状で形成されている。
【0087】
これは、側方出射領域144B2を構成する2つの領域144B2A、144B2Bの第2反射面144B2A1、144B2B1に形成された複数の反射素子144B2A1s、144B2B1sによって、第3出射面144B2A2、144B2B2からの出射光が上下方向に拡散する光となり、これにより配光パターンP2の左右両端部P2aの上下幅が拡張することによるものである。
【0088】
本変形例の構成を採用することにより、配光パターンP2を、横長矩形領域Zを確実かつ効率的にカバーする大きさの横長の配光パターンとして形成することができ、これにより周囲への報知機能をより一層高めることができる。
【0089】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0090】
図6(b)は、本変形例に係る自動運転標識灯の灯具ユニット220の要部を示す正面図である。
【0091】
本変形例においても、灯具ユニット220の基本的な構成は上記第1実施形態の灯具ユニット20と同様であるが、そのレンズ240における側方出射領域244B2の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0092】
すなわち、本変形例の側方出射領域244B2も2つの領域244B2A、244B2Bを備えており、各領域244B2A、244B2Bは第2反射面244B2A1、244B2B1と第3出射面244B2A2、244B2B2とで構成されているが、本変形例においては、第3出射面244B2A2、244B2B2の構成として、第2反射面244B2A1、244B2B1からの反射光を上下方向に拡散出射させる複数のレンズ素子244B2A2s、244B2B2sが形成されている点で上記第1実施形態の場合と異なっている。なお、第2反射面244B2A1、244B2B1の構成については上記第1実施形態の場合と同様である。
【0093】
本変形例においても、側方出射領域244B2を構成する2つの領域244B2A、244B2Bの第3出射面244B2A2、244B2B2に形成された複数のレンズ素子244B2A2s、244B2B2sによって、側方出射領域244B2からの出射光の上下方向の照射幅が拡がるので、図7に示す配光パターンP2と同様、横長矩形領域Zを確実かつ効率的にカバーする大きさの横長の配光パターンを形成することができ、これにより周囲への報知機能をより一層高めることができる。
【0094】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
【0095】
図5(b)は、本実施形態に係る2つの自動運転標識灯510L、510Rが装着された車両502を示す、図5(a)と同様の図である。
【0096】
図5(b)に示すように、2つの自動運転標識灯510L、510Rは、車両502の前端部の左右両側に装着された状態で使用される構成となっている。
【0097】
2つの自動運転標識灯510L、510Rは、左右対称の構成を有している。そこで以下においては、左側に位置する自動運転標識灯510Lの構成について説明する。
【0098】
図8は、自動運転標識灯510Lを示す、図2と同様の図である。
【0099】
図8に示すように、自動運転標識灯510Lは、ランプボディ512およびその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー514によって形成される灯室内に、3つの灯具ユニット520が車幅方向に並んだ状態で組み込まれた構成となっている。
【0100】
透光カバー514は、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて灯具後方側に傾斜して延びるように形成されており、これに伴い、3つの灯具ユニット520は、車幅方向外側に位置するものほど灯具後方側に変位した状態で配置されている。
【0101】
各灯具ユニット520は、光源530と、この光源530の灯具前方側に配置されたレンズ540とを備えており、光源530は基板532に搭載されている。
【0102】
各灯具ユニット520は、いずれも同様の構成を有しており、その基本的な構成は上記第1実施形態の灯具ユニット20と同様であるが、レンズ540の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0103】
3つの灯具ユニット520のレンズ540は、単一の透光部材550として一体的に形成されている。透光部材550には、互いに隣接するレンズ540を繋ぐ連結壁部550a、550bが形成されており、また、その両端部には灯具前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる左右1対のフランジ部550cが形成されている。
【0104】
3つの灯具ユニット520の基板532は、共通のヒートシンク534に支持されている。ヒートシンク534は、透光部材550の各連結壁部550a、550bおよび左右1対のフランジ部550cに当接した状態で、透光部材550を灯具後方側から支持している。透光部材550は、左右1対のフランジ部550cにおいてヒートシンク534を介してランプボディ512に支持されている。
【0105】
本実施形態に係る自動運転標識灯510Lにおいても、その灯室内には、透光カバー514に沿うようにして延びるエクステンションパネル516が設けられている。エクステンションパネル516には、3つの灯具ユニット520をその前端部近傍において囲む開口部516aが形成されている。
【0106】
次に、各灯具ユニット520のレンズ540の具体的な構成について説明する。
【0107】
レンズ540は、上記第1実施形態のレンズ40と略同様の構成を有しているが、その前面540aの構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0108】
すなわち、レンズ540の前面540aには、入射面542Aからの入射光を直接灯具前方へ向けて出射させる第1出射面544Aと、第1出射面544Aの左右両側において左右1対の第1反射面542Bからの反射光を灯具前方へ向けて出射させる左右1対の第2出射面544Bとが形成されており、また、左右1対の第2出射面544Bはそれぞれ基本出射領域544B1と側方出射領域544B2とからなっているが、側方出射領域544B2の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0109】
具体的には、左右1対の側方出射領域544B2は、上記第1実施形態の場合と同様、左右方向に関して左右1対の基本出射領域544B1の外側(すなわち光軸Axから遠い側)に形成されているが、車幅方向外側に位置する側方出射領域544B2は、車幅方向内側に位置する側方出射領域544B2に対して灯具後方側に変位した状態で配置されている。
【0110】
車幅方向内側に位置する側方出射領域544B2は、上記第1実施形態の側方出射領域44B2と略同様の構成を有している。
【0111】
すなわち、側方出射領域544B2は、左右方向に並んで配置された状態で上下方向に延びる2つの領域544B2A、544B2Bで構成されており、その際、光軸Axに関して内側に位置する領域544B2Aよりも外側に位置する領域544B2Bの方が灯具前方側に位置している。
【0112】
各領域544B2A、544B2Bは、第1反射面542Bからの反射光を側方へ向けて全反射させる第2反射面544B2A1、544B2B1と、この第2反射面544B2A1、544B2B1からの反射光を出射させる第3出射面544B2A2、544B2B2とで構成されている。
【0113】
各領域544B2A、544B2Bの第2反射面544B2A1、544B2B1は、左右方向に関して外側に大きく傾斜した状態で上下方向に延びる凸シリンドリカル曲面で構成されている。一方、各領域544B2A、544B2Bの第3出射面544B2A2、544B2B2は、光軸Axと平行な鉛直面に対して灯具前方へ向けて僅かに外側に傾斜した平面で構成されている。
【0114】
その際、領域544B2Aの第2反射面544B2A1よりも領域544B2Bの第2反射面544B2B1の方が、外側への傾斜角が小さい値に設定されている。これにより側方出射領域544B2からの出射光の側方出射角は、領域544B2Bからの出射光の方が領域544B2Aからの出射光よりも側方出射角が大きくなるように設定されている。具体的には、領域544B2Aからの出射光の側方出射角は灯具正面方向に対して50~70°程度の値に設定されており、領域544B2Bからの出射光の側方出射角は灯具正面方向に対して60~80°程度の値に設定されている。
【0115】
一方、車幅方向外側に位置する側方出射領域544B2は、車幅方向内側に位置する側方出射領域544B2を、平行移動させた形状を有している。
【0116】
これにより本実施形態においては、左右1対の側方出射領域544B2が、いずれも第1反射面42Bからの反射光を車幅方向外側へ向けて出射させるように構成されている。
【0117】
図9(c)は、本実施形態に係る左右1対の自動運転標識灯510L、510Rの灯具ユニット120からの照射光によって形成される配光パターンP3を示す図である。
【0118】
図9(c)に示す配光パターンP3は、左右1対の配光パターンP3L、P3Rが部分的に重複した配光パターンとして形成されている。
【0119】
図9(a)に示すように、左側に位置する自動運転標識灯510Lからの照射光によって形成される配光パターンP3Lは、V-V線に関して右方向よりも左方向に大きく拡散する横長の配光パターンとして形成されており、その左端部P3Laは左右1対の側方出射領域544B2からの出射光によって形成されている。
【0120】
図9(b)に示すように、右側に位置する自動運転標識灯510Rからの照射光によって形成される配光パターンP3Rは、V-V線に関して配光パターンP3Lと左右対称の形状を有している。
【0121】
図9(c)に示すように、配光パターンP3は、左右1対の配光パターンP3L、P3Rが、配光パターンP3Lの左端部P3Laおよび配光パターンP3Rの右端部P3Ra以外の部分において重複するようにして形成されている。
【0122】
その際、自動運転標識灯510Lからの左方向への側方出射角および自動運転標識灯510Rからの右方向への側方出射角は、上記第1実施形態の場合よりも大きい値に設定されているので、配光パターンP3は、横長矩形領域Zを余裕をもってカバーする大きさの横長の配光パターンとして形成され、かつ、十分に明るい配光パターンとして形成されている。
【0123】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0124】
本実施形態に係る自動運転標識灯510Lは、各灯具ユニット520のレンズ540において、車幅方向内側でかつ灯具前方側に位置する側方出射領域544B2が、第1反射面542Bからの反射光を左右方向に関して内側の方向へ向けて出射させるとともに、車幅方向外側でかつ灯具後方側に位置する側方出射領域544B2が、第1反射面542Bからの反射光を左右方向に関して外側の方向へ向けて出射させる構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0125】
すなわち、左右1対の側方出射領域544B2において第1反射面42Bからの反射光を車幅方向外側へ向けて効率良く出射させることができ、これにより側方照射光の明るさを増大させることができる。しかも、本実施形態に係る自動運転標識灯510Lは3つの灯具ユニット520を備えているので、側方照射光の明るさをより一層増大させることができる。
【0126】
さらに、本実施形態に係る自動運転標識灯510Lは、透光カバー514が車幅方向外側へ向けて灯具後方側に傾斜して延びるように形成されているので、各灯具ユニット520のレンズ540における左右1対の側方出射領域544B2からの出射光の側方出射角を十分大きくすることができる。
【0127】
また本実施形態においては、図5(b)に示すように、自動運転標識灯510Lおよびこれと左右対称の構成を有する自動運転標識灯510Rが車両の前端部の左右両側に配置される構成となっているので、周囲への報知機能をより一層高めることができる。
【0128】
なお、上記各実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0129】
また、本願発明は、上記各実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0130】
2 車両
10 自動運転標識灯
12 ランプボディ
14 透光カバー
16 エクステンションパネル
16a 開口部
20、120、220 灯具ユニット
30 光源
32 基板
34 ヒートシンク
34a フランジ部
40、140、240 レンズ
40a 前面
40b 後面
40c フランジ部
42A 入射面
42A1 基本入射面
42A2 付加入射面
42B 第1反射面
42C 付加反射面
44A 第1出射面
44As レンズ素子
44B 第2出射面
44B1 基本出射領域
44B1s レンズ素子
44B2、144B2、244B2 側方出射領域
44B2A、44B2B、144B2A、144B2B、244B2A、244B2B 領域
44B2A1、44B2B1、144B2A1、144B2B1、244B2A1、244B2B1 第2反射面
44B2A2、44B2B2、144B2A2、144B2B2、244B2A2、244B2B2 第3出射面
44C 付加出射面
144B2A1s、144B2B1s 反射素子
244B2A2s、244B2B2s レンズ素子
502 車両
510L、510R 自動運転標識灯
512 ランプボディ
514 透光カバー
516 エクステンションパネル
516a 開口部
520 灯具ユニット
530 光源
532 基板
534 ヒートシンク
540 レンズ
550 透光部材
550a、550b 連結壁部
550c フランジ部
540a 前面
542A 入射面
542B 第1反射面
544A 第1出射面
544B 第2出射面
544B1 基本出射領域
544B2 側方出射領域
544B2A、544B2B 領域
544B2A1、544B2B1 第2反射面
544B2A2、544B2B2 第3出射面
Ax 光軸
P1、P2、P3、P3L、P3R 配光パターン
P1a、P2a 左右両端部
P3La 左端部
P3Ra 右端部
Z 横長矩形領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9