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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】回転光ビーム発生装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20241108BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B6/02 401
G02B6/02 411
G02B6/02 356A
G02B6/032 A
G02B6/032 Z
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020149468
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2021047399
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】62/900,992
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/703,723
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー ファウルハーバー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ジェー モアヘッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ペティット
(72)【発明者】
【氏名】パトリック グレッグ
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084813(JP,A)
【文献】特表2019-508892(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00227366(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/10、6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分及び第2部分を有するコアと、該コアを取り囲むクラッドを備える光ファイバデバイスであって、
前記第2部分は、前記第1部分内の開口部に挿入される少なくとも1つの挿入部を備え、
前記少なくとも1つの挿入部は、前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入され、
前記少なくとも1つの挿入部は、前記第1部分内の前記開口部内に含まれる流体又は真空を含み、
前記第1部分の屈折率は、前記第2部分の屈折率と異なり、
前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれ、
前記軸周りでの前記第2部分のねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加し、
前記軸周りでねじれた前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの前記第1端部で発出される光ビームの少なくとも一部を、当該光ファイバデバイスの前記第2端部で回転光ビームに変換する、光ファイバデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの挿入部は、円形断面を有する、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項3】
前記第2部分は、前記第1部分内に挿入される2つ以上の挿入部を含む、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項4】
前記第1部分と前記第2部分の断面は丸形であり、
前記少なくとも1つの挿入部の断面直径は、前記第1部分の直径の略5%未満である、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズは、当該光ファイバデバイスの長さの一部に沿って、当該光ファイバデバイスの前記第1端部から前記第2端部へ向かって増大する、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズは、当該光ファイバデバイスの長さの一部に沿って、当該光ファイバデバイスの前記第1端部から前記第2端部へ向かって減少する、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズは、当該光ファイバデバイスの前記第1端部にて略ゼロである、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズは、当該光ファイバデバイスの前記第2端部にて略ゼロである、請求項1に記載の光ファイバデバイス。
【請求項9】
ローテータファイバによって該ローテータファイバの第1端部で光ビームを受ける段階であって、前記ローテータファイバは、第1部分及び第2部分を有するコアを有し、前記第2部分は、前記第1部分内の開口部に挿入される少なくとも1つの挿入部を備え、前記少なくとも1つの挿入部を前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入し、前記少なくとも1つの挿入部は、前記第1部分内の前記開口部内に含まれる流体又は真空を含み、前記第1部分の屈折率は、前記第2部分の屈折率と異なり、前記第2部分を、当該ローテータファイバの長さに沿った当該ローテータファイバの軸周りでねじり、前記軸周りでの前記第2部分のねじれ度を、当該ローテータファイバの第1端部での第1ねじれ度から、当該ローテータファイバの第2端部での第2ねじれ度へ増加させる、段階と、
前記ローテータファイバによって前記光ビームの少なくとも一部を回転光ビームへ変換する段階であって、前記光ビームの少なくとも一部を、前記第2部分が前記軸周りでねじられた結果として前記回転光ビームに変換する、段階と、
前記ローテータファイバによって前記回転光ビームを出力する段階、を有する方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの挿入部は、円形断面を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2部分は、前記第1部分内に挿入される6つ以下の挿入部を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズを、前記ローテータファイバの長さの一部に沿って、前記ローテータファイバの前記第1端部から前記第2端部へ向かって増大させる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズを、前記ローテータファイバの長さの一部に沿って、前記ローテータファイバの前記第1端部から前記第2端部へ向かって減少させる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの挿入部の断面サイズは、前記ローテータファイバの前記第1端部又は前記第2端部にて略ゼロとする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
光ファイバデバイスを備える環状ビーム発生装置であって、
当該光ファイバデバイスは、第1部分及び第2部分を含むコア部を備え、
前記第2部分は、前記第1部分内の開口部に挿入される組の挿入部を備え、
前記1組の挿入部は、それぞれ前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入され、
前記一組の挿入部は、前記第1部分内の前記開口部内に含まれる流体又は真空を含み、
前記第1部分の屈折率は、前記第2部分の屈折率と異なり、
前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれ、
前記第2部分の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加する、環状ビーム発生装置。
【請求項16】
前記1組の挿入部の断面のサイズは、当該光ファイバデバイスの長さに沿って当該光ファイバデバイスの前記第1端部から前記第2端部へ向かって変化する、請求項15に記載の環状ビーム発生装置。
【請求項17】
第1部分を備えるファイバプリフォームを提供する段階と、
前記ファイバプリフォームの長さに沿って前記ファイバプリフォームの前記第1部分内に開口部を形成する段階であって、前記開口部を、前記ファイバプリフォームの中心軸からオフセットさせる、段階と、
前記ファイバプリフォームの前記第1部分の前記開口部内に挿入部を挿入することで前記ファイバプリフォームの第2部分を生成する段階であって、
前記少なくとも1つの挿入部は、前記第1部分内の前記開口部内に含まれる流体又は真空を含み、
前記第1部分の屈折率は、前記第2部分の屈折率と異なり、
前記第1部分と前記第2部分はコアを構成する、
段階と、
前記ファイバプリフォームを統合し、延伸し、かつねじることでねじれローテータファイバを生成する段階であって、前記ねじりの結果、前記第2部分を、前記ねじれローテータファイバの長さに沿って前記ねじれローテータファイバの軸周りでねじれさせる、段階を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年9月16日に出願された米国仮特許出願第62/900992号の優先権を主張する、2019年6月28日に出願された米国特許出願第16/457018号の一部継続出願(CIP)である。米国特許出願第16/457018号は、2018年8月6日に出願された米国仮特許出願第62/715040号の優先権を主張する、2017年11月3日に出願された米国特許出願第15/802897号(現在は米国特許第10429584号)の一部継続出願(CIP)である。米国特許出願第15/802897号は、2016年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/425431号の優先権を主張する。これら各出願の内容は、その全てが参照によって組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、環状ビーム形状を有する光ビームを生成する光ファイバデバイス、及び、環状ビーム形状を有する回転光ビームを光ファイバ内に直接的に(すなわち、自由空間光学系を用いることなく)生成する光ファイバデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光ビームのビームプロファイルは、その光ビームを用いて実行される材料の処理に係る処理性能に対して重大な影響を有する。例えば、ビームプロファイルが環状の光ビームは、優れた金属切断を可能にする。しかし、ほとんどのファイバによって供給される光ビームのビームプロファイルは相対的に単純化され過ぎてしまう。例えば、ビームプロファイルは、強く集束した光ビームを用いて薄いシート状金属(例えば、厚さが約3mm以下のシート状金属)を処理するために用いることのできる低ビームパラメータ積(BPP)のレーザ(例えば、BPPが約3mm・mrad以下)については、ガウス型又は略ガウス型のプロファイルであると考えられる。他の例として、ビームプロファイルは、拡散した光ビームを用いて厚いシート状金属(例えば、厚さが約3mm以上のシート状金属)を処理するのに用いることのできる高ビームパラメータ積(BPP)のレーザ(例えば、BPPが約3mm・mrad超)については、トップハット型(フラットトップ型とも称される)プロファイルを有するものと考えられる。
【発明の概要】
【0004】
複数の実施形態によると、光ファイバデバイスは、第1部分及び第2部分を含む一体化コアと、該一体化コアを取り囲むクラッドを備えてよい。前記第2部分の少なくとも一部は、前記一体化コアからオフセットされ、前記一体化コアは、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの光軸周りでねじれ、前記第1部分の屈折率は、前記第2部分の屈折率よりも大きい。
【0005】
複数の実施形態によると、光ファイバデバイスは、第1部分を含む一体化コア、及び、該一体化コアを取り囲むクラッドを備えてよい。前記一体化コアの前記第1部分は、非円形状を有し、前記一体化コアは、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの光軸周りでねじれる。
【0006】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバによって前記ローテータファイバの第1端部で光ビームを受ける段階であって、前記ローテータファイバは、該ローテータファイバの長さに沿った前記ローテータファイバの光軸周りでねじれる、段階と、前記ローテータファイバによって、前記光ビームを回転光ビームへ少なくとも部分的に変換する段階であって、前記光ビームは、前記一体化コアが前記光軸周りでねじれた結果として、少なくとも一部が前記回転光ビームに変換される、段階と、前記ローテータファイバによって前記回転光ビームを出力する段階を有することができる。
【0007】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバのプリフォームを製造する段階であって、前記ローテータファイバのプリフォームは、該ローテータファイバのプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造とした一体化コアを有する、段階と、統合ローテータファイバのプリフォームを生成するために前記ローテータファイバのプリフォームを統合する段階と、スパンローテータファイバを生成するために前記統合ローテータファイバのプリフォームの延伸及びスピン付与を同時に行う段階と、先細のスパンローテータファイバを生成するために前記スパンローテータファイバを先細にする段階であって、前記先細スパンローテータファイバ内部で、前記一体化コアを、前記先細スパンローテータファイバの長さに沿って、前記先細スパンローテータファイバの光軸周りで回転させる、段階を有することができる。
【0008】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバのプリフォームを製造する段階であって、前記ローテータファイバのプリフォームは、該ローテータファイバのプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造とした一体化コアを有する、段階と、統合ローテータファイバのプリフォームを生成するために前記ローテータファイバのプリフォームを統合する段階と、延伸ローテータファイバを生成するために前記統合ローテータファイバのプリフォームを延伸する段階と、ねじれローテータファイバを生成するために前記延伸ローテータファイバをねじる段階であって、前記ねじれローテータファイバ内部では、前記一体化コアを、前記ねじれローテータファイバの長さに沿って、前記ねじれローテータファイバの光軸周りで回転させる、段階を有することができる。
【0009】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバのプリフォームを製造する段階であって、前記ローテータファイバのプリフォームは、該ローテータファイバのプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造を有する一体化コアを有する、段階と、統合ローテータファイバのプリフォームを生成するために前記ローテータファイバのプリフォームを統合する段階と、延伸ローテータファイバを生成するために前記統合ローテータファイバのプリフォームを引っ張る段階と、ねじれローテータファイバを生成するために前記延伸ローテータファイバをねじる段階であって、前記ねじれローテータファイバ内部では、前記一体化コアを、前記ねじれローテータファイバの長さに沿った前記ねじれローテータファイバの光軸周りで回転させる、段階を有することができる。
【0010】
複数の実施形態によると、光ファイバデバイスは、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれるコア部と、該コア部を取り囲むクラッドを備えてよい。前記コア部の中心は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸からオフセットされ、前記コア部の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加し、前記軸周りでねじれる前記コア部は、当該光ファイバデバイスの前記第1端部で発出される光ビームの少なくとも一部を、当該光ファイバデバイスの前記第2端部で回転光ビームに変換する。
【0011】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバによって該ローテータファイバの第1端部で光ビームを受ける段階であって、前記ローテータファイバは、該ローテータファイバの長さに沿った前記ローテータファイバの軸周りでねじれるコア部を有し、その際、前記コア部の中心は、前記ローテータファイバの前記長さに沿った前記ローテータファイバの前記軸からオフセットされ、前記コア部の前記軸周りでのねじれ度が、前記ローテータファイバの第1端部での第1ねじれ度から、前記ローテータファイバの第2端部での第2ねじれ度へ増加する、段階と、前記ローテータファイバによって前記光ビームの少なくとも一部を回転光ビームへ変換する段階であって、前記光ビームは、前記コア部が前記軸周りでねじれた結果として、少なくとも一部が前記回転光ビームに変換される、段階と、前記ローテータファイバによって前記回転光ビームを出力する段階、を有することができる。
【0012】
複数の実施形態によると、環状ビーム発生装置は、光ファイバデバイスを備えてよい。当該光ファイバデバイスは、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれるコア部と、該コア部を取り囲むクラッドを備えてよい。前記コア部の中心は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸からオフセットされ、前記コア部の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加する。
【0013】
複数の実施形態によると、方法は、コアと該コアを取り囲むクラッドを有するファイバプリフォームを取得する段階であって、前記コアは前記ファイバプリフォームの略中心に位置する、段階と、前記ファイバプリフォームの長さに沿って前記コアを取り囲む前記クラッドの一部を除去する段階と、ローテータファイバプリフォームを生成するために前記ファイバプリフォームを再スリーブ形成する段階であって、前記ローテータファイバプリフォーム内では、前記コアの中心は、前記ローテータファイバプリフォームの中心軸からオフセットされる、段階と、前記ローテータファイバプリフォームを用いてローテータファイバを生成する段階であって、前記ローテータファイバ内では、前記コアの中心は、前記ローテータファイバの長さに沿った前記ローテータファイバの前記軸からオフセットされ、かつ、前記ローテータファイバ内では、前記コアは、前記ローテータファイバの前記長さに沿った前記ローテータファイバの前記軸周りでねじれる、段階を有することができる。
【0014】
複数の実施形態によると、方法は、クラッドロッドの長さに沿って前記クラッドロッドの中心軸からオフセットされる開口部を生成する段階と、前記クラッドロッドの前記長さに沿って前記開口部内にコアロッドを挿入する段階と、統合ローテータファイバプリフォームを生成するために前記コアロッドと前記クラッドロッドとを統合する段階と、前記ローテータファイバプリフォームを用いてローテータファイバを生成する段階であって、前記ローテータファイバ内では、前記コアの中心は、前記ローテータファイバの長さに沿った前記ローテータファイバの軸からオフセットされ、かつ、前記ローテータファイバ内では、前記コアは、前記ローテータファイバの前記長さに沿った前記ローテータファイバの前記軸周りでねじれる、段階を有することができる。
【0015】
複数の実施形態によると、光ファイバデバイスは、第1部分と第2部分を有するコアと、該コアを取り囲むクラッドを備えてよい。前記第2部分は、前記第1部分内に挿入される少なくとも1つの挿入部を備え、前記少なくとも1つの挿入部は前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入され、前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれ、前記第2部分の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加し、前記軸周りでねじれる前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの前記第1端部で発出される光ビームの少なくとも一部を、当該光ファイバデバイスの前記第2端部で回転光ビームに変換する。
【0016】
複数の実施形態によると、方法は、ローテータファイバによって該ローテータファイバの第1端部で光ビームを受ける段階であって、前記ローテータファイバは、第1部分と第2部分を有し、前記第2部分は、前記第1部分内に挿入される少なくとも1つの挿入部を備え、前記少なくとも1つの挿入部は前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入され、前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれ、前記第2部分の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加する、段階と、前記ローテータファイバによって前記光ビームの少なくとも一部を回転光ビームへ変換する段階であって、前記光ビームは、前記第2部分が前記軸周りでねじれた結果として、少なくとも一部が前記回転光ビームに変換される、段階と、前記ローテータファイバによって前記回転光ビームを出力する段階、を有することができる。
【0017】
複数の実施形態によると、環状ビーム発生装置は、光ファイバデバイスを有することができる。当該光ファイバデバイスは、第1部分と第2部分を含むコア部を備えてよい。前記第2部分は、前記第1部分内に挿入される1組の挿入部を備え、前記1組の挿入部は、それぞれ前記第1部分の中心に対するオフセンタ位置に挿入され、前記第2部分は、当該光ファイバデバイスの長さに沿った当該光ファイバデバイスの軸周りでねじれ、前記第2部分の前記軸周りでのねじれ度は、当該光ファイバデバイスの第1端部での第1ねじれ度から、当該光ファイバデバイスの第2端部での第2ねじれ度へ増加する。
【0018】
複数の実施形態によると、方法は、第1部分を備えるファイバプリフォームを提供する段階と、前記ファイバプリフォームの長さに沿って前記ファイバプリフォームの前記第1部分内に開口部を形成する段階であって、前記開口部は、前記ファイバプリフォームの中心軸からオフセットされる、段階と、前記ファイバプリフォームの前記第1部分の前記開口部内に挿入部を挿入することで前記ファイバプリフォームの第2部分を生成する段階と、前記ファイバプリフォームを統合し、延伸し、かつねじることでねじれローテータファイバを生成する段階であって、前記ねじれの結果、前記第2部分は、前記ねじれローテータファイバの長さに沿った前記ねじれローテータファイバの軸周りでねじれる、段階を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】A及びBは、本願で説明される回転光ビームを生成する例示的なローテータファイバに係る概略図である。
図2】回転光ビームを生成するローテータファイバが実施可能な例示的環境の図である。
図3】カットオフ未満の放物状屈折率分布型ファイバの様々な低次導波モードLPlmの例示的な近接場強度パターンを表す図である。
図4】A及びBは、回転光ビームを生成する例示的なローテータファイバの断面図である。
図5】本願で説明される例示的な先細ローテータファイバを表す図である。
図6】本願で説明されるローテータファイバを製造するスピンファイバ法の例示的なプロセスのフローチャートである。
図7】本願で説明されるローテータファイバを製造するねじれファイバ法の例示的なプロセスのフローチャートである。
図8】A~Cは、本願で説明されるローテータファイバの様々な先細長を利用した例示的なシミュレーションに係る図である。
図9】A及びBは、回転光ビームを生成するさらなる例示的ローテータファイバの図である。
図10】本願で説明されているオフセットされた一体化コアによってローテータファイバを製造する例示的なプロセスのフローチャートである。
図11】本願で説明されているオフセットされた一体化コアによってローテータファイバを製造する例示的なプロセスのフローチャートである。
図12】例示的な光ファイバの例示的な断面図である。ここに、2つのロッド形状の第2部分は、クラッド部によって取り囲まれる第1部分内にオフセンタ位置で挿入される。
図13】A~Dは、図12に示された光ファイバデバイスによって生成される回転ビームを示す例示的な計算結果に係る図である。
図14】本願で説明されている挿入部を備えるローテータファイバを製造する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
例示的な実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面を参照するものである。異なる図中であっても、同一の参照番号は同一又は類似の部材を特定する。以降で説明する実施形態は単なる例示であり、その実施形態は開示された厳密な形式に限定されるものではない。その代わりに、実施形態は、説明によって当業者がその実施形態を実施可能となるように選ばれている。
【0021】
上述したように、従来のファイバによって供給される光ビームのビーム形状は相対的に単純化され過ぎている(例えば、ガウス型又は略ガウス型のプロファイル、トップハット型のプロファイル等を有するように)。比較的進んだビーム形状-例えば、環状ビーム形状(リング形状ビーム)-を有する光ビームの生成には、高価で、特殊で、位置合わせに敏感な自由空間光学系-例えば、アキシコン、螺旋状の位相板等-が必要となる。しかも、そのような光学系は一般的に、光ビームの供給に係るファイバから離れた処理ヘッド内に配置する必要がある。処理ヘッドは、加速度や(例えば、煙、金属デブリ、埃等からの)汚染の影響を受けやすい光学機械的な組立体であるため、高価で、位置合わせに敏感で、かさばり、及び/又は重い光学素子にとって望ましくない場所である。
【0022】
さらに、環状ビーム形状を有する光ビームを生成する従来方法は一般的に、ビーム品質の不十分な光ビームを提供する。例えば、従来方法では、過剰にBPPが高く、環の中心での出力が過剰で、ビーム端が広がる(例えば、半径端部が相対的に長いことで処理品質を不十分にしてしまう)。
【0023】
本願で説明されている複数の実施形態は、環状ビーム形状を有する光ビームを光ファイバ内に直接的に(すなわち、自由空間光学系を用いずに)生成する光ファイバデバイスを提供する。より詳細には、生成された光ビームは、回転光ビーム(つまり光ファイバ内を螺旋状に伝播する光ビーム)であるため、環状ビーム形状を有する光ビームを生成する。複数の実施形態では、光ビームの回転特性は保存されてよい(例えば、光ビームが光ファイバを飛び出すときに)。その結果、光ファイバから試料へ投射されるレーザスポットは、例えば、明瞭な縁部と高いビーム品質を有する環状ビームプロファイルを示す。このようにして、環状ビーム形状を有する光ビームが光ファイバ内に生成されることで、材料処理の改善が容易となる。
【0024】
図1A及び図1Bは、本願で説明される回転光ビームを生成するローテータファイバの例100に係る概略図である。
【0025】
回転光ビームを生成する光ファイバデバイス(本願ではローテータファイバと呼ばれる。)は、第1部分及び第2部分を有することができる一体化コアを備えてよい。第2部分の少なくとも一部は、前記一体化コアの中心からオフセットされる。係るローテータファイバの例示的な断面が、図1Aに示されている。図1Aに示された例では、第2部分(例えば、“+”形状の断面部分)は、第1部分を4部分に分離するように配置される。さらに示されているように、ローテータファイバは、一体化コアを取り囲むクラッド領域をさらに有することができる。
【0026】
図1Bに示されているように、一体化コア(すなわち、第1部分及び第2部分)は、ローテータファイバの長さに沿った前記ローテータファイバの光軸(例えば、前記一体化コアの中心)周りでねじれてよい。一部の実施形態では、以降で詳述するように、光軸周りでねじれる一体化コアによって、ローテータファイバの入力端部で発出される入力光ビーム(例えば、非回転光ビーム)の少なくとも一部は、前記ローテータファイバの出力端部で回転光ビームに変換される。
【0027】
さらに図1Bに示されているように、一部の実施形態では、ローテータファイバは、入力ファイバと出力ファイバとの間に設けられてよい。一部の実施形態では、入力ファイバ、ローテータファイバ、及び出力ファイバは、(例えば、従来のファイバ溶融接続法を用いて)溶融接続で一体化されてよい。
【0028】
動作時、ローテータファイバは、入力ファイバから入力光ビームを受けてよい。図示されているように、入力光ビームは、1つ以上の非回転導波モードにて伝播する光を含んでよい。光がローテータファイバを伝播し、かつ、前記ローテータファイバの長さに沿って一体化コアがねじれているため、前記ローテータファイバは、入力光ビームから回転光ビームを生成する。換言すると、ローテータファイバは、(例えば、1つ以上の非回転導波モードの少なくとも一部を、少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波に変換することによって)入力光ビームの少なくとも一部を回転光ビームに変換することができる。よって図1Bで示唆されているように、回転光ビームは、少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝播する光を含むことができる。
【0029】
一部の実施形態では、光が少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝播するため、回転光ビームは、環状ビーム形状を有する。回転光ビームは、(例えば、金属切断のような材料処理で用いるために)出力ファイバを介して発出されてよい。ここで、光ビームの回転特性は保存されてよい。その結果、出力ファイバから投影されるレーザスポットは、明瞭な縁部と高いビーム品質を有する環状ビームプロファイルを示す。このようにして、光ファイバデバイスは、環状ビーム形状を有する回転光ビームを光ファイバ内に直接(つまり自由空間光学系を用いずに)生成することで、(例えば、上述した従来の方法と比較して)材料処理の改善を容易に達成することができる。
【0030】
上で示唆したように、図1A及び図1Bは、単なる例として供される。他の例も可能であり、図1A及び図1Bで説明したものと異なってよい。例えば、図1A及び図1Bに示された一体化コアは第1部分と第2部分を有するが、他の実施形態-例えば、第1部分のみを有する一体化コア(例えば、非円形状の第1部分、光軸からオフセットされる第1部分等)-も可能である。ローテータファイバの例示的な設計に関するさらなる詳細については後述する。
【0031】
図2は、回転光ビームを生成するローテータファイバが実施可能な例示的環境200の図である。図2に示されているように、環境200は、入力ファイバ210、ローテータファイバ220、及び出力ファイバ230を有することができる。
【0032】
入力ファイバ210は、ローテータファイバ220へ入力光ビーム(例えば、入力レーザビーム)を発出する光ファイバを含む。一部の実施形態では、入力ファイバ210は、屈折率階段型光ファイバ又は屈折率分布型光ファイバであってよく、かつ、入力ファイバ210の光ファイバ軸付近に光ビームを運ぶように設計されてよい。一部の実施形態では、入力ファイバ210は、ファイバレーザの出力ファイバに接続されてよいし、あるいは、入力ファイバ210自体がファイバレーザの出力ファイバであってもよい。あるいはその代りに、場合によっては、入力光ビームは、自由空間から入力ファイバ210へ発出されてよい。そのような場合では、入力ファイバ210は実際には省略されてよく、かつ、入力光ビームは、(例えば、入力ファイバ210ではなく)ローテータファイバ220へ直接発出されてよい。
【0033】
一部の実施形態では、システムの設計と入力ファイバ210の設計に依存して、入力ファイバ210によって発出される入力光ビームは、入力ファイバ210のコアの導波モードをとってよい。屈折率階段型ファイバの場合では、導波モードは、2次モーメント法を用いて、かつ、次式で表されるカットオフ条件を満たして測定される空気中での特性半発散角(θ)を有することができる。
[数1] sinθ<NA
ここで、NA=√(n -n )は開口数で、nとnはそれぞれ、入力ファイバ210のコアと入力ファイバ210のクラッドの屈折率である。入力ファイバ210が屈折率階段型ファイバではない場合では、導波モードは、ファイバ中での波動方程式の従来の解を用いて同様に定義されてよい。
【0034】
入力ファイバ210が屈折率階段型ファイバであるか否かによらず、弱導波の円形コアファイバの導波モードは、所謂LPモードLPlmと呼ばれてよい。ここで、回転量子数lは0以上の整数(l≧0)で、かつ、動径量子数mは0以上の整数(m≧1)である。lとmの上限は、上述の入力ファイバ210の屈折率プロファイルに係るカットオフ条件によって決定することができる。
【0035】
一部の実施形態では、入力ファイバ210によって発出される入力光ビームは、単一モード光ビームでも多モード光ビームでもよく、かつ、偏光光ビームでも無偏光光ビームでもよい。入力光ビームが偏光する場合、その入力光ビームは円偏光とすることができる。円偏光は、ローテータファイバ220及び/又は出力ファイバ230内においてより良好に維持できるからである(例えば、直線偏光又は楕円偏光と比較して)。一部の実施形態では、直線偏光の出力光ビームが望ましい場合には、直線偏光を、例えば1/4波長板を用いることによって、出力ファイバ230の通過後に円偏光から生成することができる。
【0036】
ローテータファイバ220は、第1回転状態の入力光ビームの少なくとも一部を、第2回転状態の出力光ビームに変換する光ファイバデバイスを有する。例えば、ローテータファイバ220は、光ビーム(例えば、非回転光ビーム)の少なくとも一部を、回転光ビームに変換する光ファイバデバイスを有することができる。一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、相対的に短くてよい(例えば、1mm超で1m未満)一方、入力ファイバ210と出力ファイバ230の長さは、ローテータファイバ220が配置される光学系によって規定することができる(例えば、約0.5m~約100mの範囲)。ローテータファイバ220によって生成される回転光ビームに係る設計態様は、以降の段落で説明されるが、ローテータファイバ220に係る設計態様は、以降の図4A図4B図9A図9B及び図12で説明する。
【0037】
一部の実施形態では、回転光ビームは、1つ以上の回転導波モードで伝播する光を含んでよい。回転導波モードは、l≧1、かつ、一の明確な回転方向を有するモードとして定義される。一の明確な回転方向を有するモードは以下のように定義される。l≧1のモードでは、LPモードは、sin(lφ)とcos(lφ)の依存性、又は、eilφの依存性のいずれかのモードで表されてよい。ここでφは角度座標である。l=0のモードは角度依存性を持たない。sinとcosのモードは、角度方向で定常波である。角度方向には節が存在し、正味の回転方向はゼロである。複素指数モードは、角度方向の節を持たない角度方向の進行波である。これらのモードは、一の明確な回転方向(例えば、時計回り又は反時計回り)を有する。前記回転方向は、eilφ内での+と-の選択によって選ばれる。
【0038】
一部の実施形態では、本願で説明される回転光ビームの回転導波モードでは、mは1に等しくて(m=1)よいし、あるいは、1よりも有意に小さくても(1の約50%未満、1の約20%未満等)よい。一部の実施形態では、(1と比較して)比較的小さなmの値を用いることで、回転導波モードが、顕著な環状形状を有することが保障される。一特にm=1の回転導波モードは、原点ではゼロ以外の半径方向の節を持たない。換言すると、m=1の回転導波モードは単一リングである(他方mの値が大きいモードは、m個の同心円を有するモードに対応する)。一部の実施形態では、一の明確な回転方向を有し、角度方向の節を持たず、かつ/あるいは、半径方向の節をほとんど持たない角度方向の進行波が、ローテータファイバ220によって生成されてよい。
【0039】
図3は、カットオフ未満の放物状屈折率分布型ファイバの様々な低次導波モードLPlmの例示的な近接場強度パターンを表す図である。他の回転対称な屈折率プロファイルを有する光ファイバのモード-例えば、屈折率階段型光ファイバ-は、図3に示された強度パターンと同様の強度パターンを有することができる。図3では、それぞれのmの値に対応する左欄内と右欄内には、l≧1について、それぞれのmの値での角度方向の定常波(cos)モードと進行波モードの両方が、示されている。
【0040】
一部の実施形態では、(例えば、図3で塗りつぶした四角枠で示された)m=1の回転導波モードは、ローテータファイバ220によって生成される回転光ビーム内に含まれてよい。特に、この回転導波モードの組は、大きな値のlの値(例えば、lが20以上)に拡張される。図示されているように、m=1の回転導波モードは、任意の方向で節を持たない顕著な環状形状を有する。一部の実施形態では、mの値が少しだけ大きな(例えば、m=2、m=3等)回転導波モードもまた、特に大きなlの値で、有用な環状ビームを提供することができる。一部の実施形態では、回転光ビームに含まれる回転導波モードは、10以上のlの値(l≧10で、例えばl=15、l=18、l=20等)を有することができる。
【0041】
それに加えて又はその代わりに、回転光ビームは、1つ以上の回転漏洩波内を伝播する光を含んでよい。漏洩波は、光ファイバ内の非導波光(例えば、光ファイバのコアによって導波されない光)に分類される。光ファイバのコアへ発出される漏洩波は、その光ファイバのクラッドへ逃げ込んでよい。しかしファイバ中の大抵の非導波光とは対照的に、漏洩波光は、コアからクラッドへ相対的にゆっくりと漏れる。
【0042】
回転漏洩波光により、特に、相対的に広いパラメータ範囲にわたって損失を低下させることができる。NAが0.10でコア直径が50マイクロメートル(μm)である屈折率階段型シリカファイバ内では、半径方向に節がなく、かつ、特性半発散角θがsinθ=0.11を満たす波長1030ナノメートル(nm)(λ=1030nm)の回転漏洩波光は、計算上ではわずか1mで0.14デシベル(dB/m)しか損失しない。よって回転漏洩波は、導波モードの基準を満たさないが、最大数dBの損失であれば許容し得る数十m以下のオーダーの出力ファイバ長の用途-例えば、受動的光パワー供給ファイバ及び能動的増幅ファイバ-で用いることができる。回転導波モードの場合と同様に、回転漏洩波は、一の明確な回転方向を有し、かつ、角度方向の節を持たず一般的には(ほとんど)半径方向の節も持たず、ローテータファイバ220によって生成される回転光ビームに含まれる構成とすることができる。一部の実施形態では、回転光ビームに含まれる1つ以上の回転漏洩波は、10以上のl(l≧10で、例えばl=15、l=18、l=20等)を有することができる。
【0043】
一部の実施形態では、回転光ビームは、1つ以上の回転導波モード及び/又は1つ以上の漏洩波との組み合わせを含んでよい。一部の実施形態では、入力光ビームが単一モード光ビームである場合には、回転光ビームが相対的に純粋な(例えば、約50%超の純度、約80%超の純度等)単一回転導波モード又はlが特定の値をとる回転漏洩波を含むように、ローテータファイバ220は設計されてよい。換言すると、一部の実施形態では、入力光ビームの入力パワーの少なくとも50%が、その入力光ビームの単一回転導波モード又は単一回転漏洩波に変換されるように、ローテータファイバ220は設計されてよい。上述したように、(例えば、1つ以上の回転導波モード及び/又は1つ以上の漏洩波を含む)回転光ビームは、ローテータファイバ220の出力端で環状形状を有する。
【0044】
図2に戻ると、出力ファイバ230は、ローテータファイバ220によって発出される出力光ビーム(例えば、回転光ビーム)を受ける光ファイバを有する。一部の実施形態では、出力ファイバ230は、屈折率階段型光ファイバ、屈折率分布型光ファイバ、又は、特殊な屈折率プロファイルを有するファイバ-例えば、他のモード又は漏洩波への結合を最小にする回転光ビームを運ぶように設計された環状コアファイバ、及び/又は、好適半径強度プロファイルを提供するように設計された環状コアファイバ-であってよい。一部の実施形態では、例えば、光学系の出力が(例えば、ファイバへではなく)自由空間へ直接結合される場合には、出力ファイバ230は省略されてよい。
【0045】
図2に関連して図示及び説明された構成要素の個数及び配置は、例として供されている。実際、環境200は、図2に示された構成要素に加えてさらに構成要素を有することができるし、図示された個数よりも少ない個数の構成要素を有してもよいし、図示された構成要素とは異なる構成要素を有してもよいし、図示された配置の構成要素とは異なる配置の構成要素を有してもよいし、かつ/あるいは、図示されたサイズの構成要素とは異なるサイズの構成要素を有してもよい。
【0046】
図4A及び図4Bはそれぞれ、回転光ビームを生成する例示的なローテータファイバ220の断面400と450を表す図である。
【0047】
図4Aに示されているように、一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、屈折率がnの第1部分410(例えば、図4Aに示された例では部分410-1、部分410-2、部分410-3、及び部分410-4)と、屈折率がnの第2部分430を含む一体化コア405を有することができる。一体化コア405の複数の部分(例えば、第1部分410と第2部分430)が、ローテータファイバ220内部で単一体を構成するように相互に接触する意味において、一体化コア405は一体化したものとして記載されている。さらに図示されているように、ローテータファイバ220は、一体化コア405を取り囲む屈折率がnのクラッド420を有することができる。一部の実施形態では、断面400で表されているように、第2部分430の一体化コア405内での配置は、第2部分430の少なくとも一部が、一体化コア405の中心からオフセットされるようにされてよい。
【0048】
一部の実施形態では、一体化コア405は、(例えば、これまで説明し、かつ、図1Bで表されたように)ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の光軸(例えば、ローテータファイバ220の中心)の周りでねじれてよい。一部の実施形態では、光軸周りでのねじれ度は、ローテータファイバ220の第1端部付近(例えば、入力ファイバ210付近の端部)での第1ねじれ度から、ローテータファイバ220の第2端部付近(例えば、出力ファイバ220付近の端部)での第2ねじれ度へ増大する。例えば、ローテータファイバの入力端付近でのねじれ度は、1mmあたり略ゼロ(例えば、1mmあたり略0.02以下のねじれ度(50mmで略1のねじれ))のねじれから、ローテータファイバ220の出力端付近では1mmあたり略0.17のねじれ(6mmで略1のねじれ)にまで増加してよい。
【0049】
一部の実施形態では、一体化コア405のサイズ(例えば直径)が、入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230のコアのサイズとローテータファイバ220のそれぞれの端部で実質的に一致するように、ローテータファイバ220は先細ってよい。
【0050】
図5は、本願で説明される例示的な先細ローテータファイバ220を表す図である。図5に示されているように、一部の実施形態では、ローテータファイバ220の入力端(例えば、ねじれ度が略ゼロである入力ファイバ210に接合される端部)でのローテータファイバ220のサイズは、ローテータファイバ220の出力端(例えば、入力端と比較してねじれ度が増大する出力ファイバ230に接合される端部)でのローテータファイバ220のサイズよりも小さくなるように、ローテータファイバ220は先細ってよい。
【0051】
さらに図5に示されているように、一体化コア405の光軸周りでのねじれ度は、ローテータファイバ220の入力端付近での第1ねじれ度(例えば、略ゼロのねじれ度)から、ローテータファイバ220の出力端付近での第2ねじれ度へ増大してよい。上述のように、図5は、単なる例として供されている。他の例も可能であり、図5で説明したものと異なってよい。図5ではローテータファイバ220は直線状で表されているが、ローテータファイバ220は任意の形状を有することができる。
【0052】
図4Aに戻ると、一部の実施形態では、nはnとnよりも大きく、n 以上である(n≦n<n)。換言すると、nはn及びnとは異なり(例えば、n及びnより大きく)、かつ、n と異なって(例えば 以上であって)よい。このローテータファイバ220の屈折率の関係によって、光がローテータファイバ220を伝播する際の回転光ビームの生成は容易になる。例えば、ほとんどの入力光ビームが(屈折率がnの)第1部分410内で発出される一方、一部の入力光ビームは(屈折率がnの)第2部分430内で発出される。ここで、nとnのいずれもn(クラッド420の屈折率)よりも大きいので、一体化コア405(例えば、第1部分410及び第2部分430)内で発出される光は、クラッド420によって導光されてよい。さらに、nがn未満なので、第2部分430は、多少第1部分410の別個の部分に光を導光し、かつ、一体化コア405が光軸周りでねじれているので、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の光軸周りで光をねじることで、回転光ビームを生成する。
【0053】
一部の実施形態では、例示的な断面400で表されているように、第2部分430は、第1部分410を(例えば、第2部分430が第1部分410の複数の部分間に存在するように)少なくとも2つの部分に分離してよい。一部の実施形態では、一体化コア405は、少なくとも2つの部分(例えば、2つの部分、3つの部分、4つの部分、6つの部分等)を有する第1部分410を含んでよい。一部の実施形態では、第1部分410の少なくとも2つの部分は、略等しい断面積を有することができる。さらに又は代わりに、第1部分410の少なくとも2つの部分は、異なる断面積を有することができる。
【0054】
一部の実施形態では、例示的な断面400で表されているように、第2部分430の断面は、ローテータファイバ220の光軸に対して対称であってよい。あるいはその代わりに、一部の実施形態では、第2部分430の断面は、ローテータファイバ220の光軸に対して非対称であってよい。
【0055】
一部の実施形態では、第2部分430は少なくとも3つの部分を含んでよい。前記少なくとも3つの部分は、ローテータファイバ220の断面内でローテータファイバ220の光軸に対して垂直な方向に延びる。一部の実施形態では、少なくとも3つの部分のうちの1つが延びる方向は、前記少なくとも3つの部分のうちの他が延びる方向に対して垂直であってよい。例えば、断面400を参照すると、第2部分430は、水平部分、第1垂直部分(例えば、図4Aの第2部分430の水平部分上方の垂直部分)、及び、第2垂直部分(例えば、図4Aの第2部分430の水平部分下方の垂直部分)を有することができる。ここで図示されているように、水平部分、第1垂直部分、及び、第2垂直部分は、ローテータファイバ220の光軸に垂直な方向に延びる。さらに図4Aに示されているように、水平部分が延びる方向は第1垂直部分が延びる方向に対して垂直で、かつ、水平部分が延びる方向は第2垂直部分が延びる方向に対して垂直である。
【0056】
特に例示的な断面400は、単なる例として供されている。一般的には、(例えば、第1部分410と第2部分430を含む)一体化コア405は、ローテータファイバ220の光軸に対して角度方向に変化する屈折率構造を有することができる。ここで一体化コア405は、ローテータファイバ220の光軸周りでねじれている。例示的な断面400では、角度方向に変化する屈折率構造は、クラッド420によって取り囲まれた一体化コア405内の“+”形状の第2部分430の屈折率構造である。この例では、第2部分430は完全な分割器を構成する。その結果、第1部分410の複数の部分は、第2部分430によって分離される。
【0057】
角度方向に変化する屈折率構造の他の例は、図4Aに示されているように、第1部分410が、第2部分430によって分離される様々な個数の部分を含むローテータファイバ220を含んでよい。一部の実施形態では、一体化コア405の屈折率構造に係る第2部分430の対称性は、回転光ビームに含まれる所望の回転導波モードに基づいて選ばれてよい。例えばl=8の回転導波モードが望ましい場合、一体化コア405の屈折率構造が、対称な8つのブレードを構成する(例えば、その結果、第1部分410が8つの部分を有する)ように、ローテータファイバ220の光軸に対する第2部分430の対称性は選ばれてよい。一般的には、第2部分430の対称性は、l又はその倍数に等しいlのモードを選択的に生成する。例えば、ローテータファイバ220が、対称な4つのブレードからなる分割器を構成する(例えばそれにより断面400で示されているように、第1部分410が4つの部分を有する)第2部分430を含む場合、l=4のモードと、lが4の倍数(例えばl=0、l=8、l=12、l=16等)であるモードを選択的に励起することができる。
【0058】
角度方向に変化する屈折率構造のさらに他の例は、第2部分430によって、(例えば、第1部分410を複数の部分を分離することなく)一体化コア405の断面形状をローテータファイバ220の光軸に対して非対称な断面形状とするローテータファイバ220を含むことができる。
【0059】
角度方向に変化する屈折率構造のさらに他の例は、第1部分410及び/又は第2部分430が屈折率分布型材料を含むローテータファイバ220、第2部分430が、(例えば、クラッド420の内径の約85%をとることで、単一の相互接続する第1部分410を含む一体化コア405を形成する第2部分430のような、例示的な断面400内に示された完全な分割器と比較して)部分的な分割器を構成するローテータファイバ220、一体化コア405内にオフセンタ位置で配置される環状の含有物を含むローテータファイバ220等を含んでよい。
【0060】
別例として、図4Bの例示的な断面450に示されているように、一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、第2部分430を含まなくてよい(例えば、ローテータファイバ220は、屈折率がnの材料を含まなくてよい)。換言すると、一部の実施形態では、一体化コア405は、第1部分410のみを含んでよい。そのような場合、屈折率構造の角度変化は、クラッド420内の第1部分410の非円形状によって定められてよい(例えば、星形五角形の第1部分410が、例示的な断面450内に示されている)。一般的には、第1部分410の非円形状の周囲の少なくとも一部は、凹形状であってよい(例えば、星形五角形の第1部分410は5つの凹部を有する)。そのような場合、一体化コア405の非円形状は、ローテータファイバ220の長さに沿ってねじれてよい(例えば、星形五角形の点が、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の光軸周りで回転するように)。ここで、非円形状の一体化コア405が光軸周りでねじれているので、非円形状の一体化コア405内を伝播する光(例えば、例示的な断面450に示された星形五角形の点又はその付近を伝播する光)は、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の光軸周りでねじれる。それにより回転光ビームが生成される。一部の実施形態では、一体化コア405のサイズが、入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230のコア領域のサイズと、ローテータファイバ220の各端部で実質的に一致するように、非円形状の一体化コア405(つまり非円形状の第1部分410)を含むローテータファイバ220は、先細ってよい。
【0061】
上述のように、図4A及び図4Bは、単なる例として供される。他の例も可能であり、図4A及び図4Bで説明したものと異なってよい。
【0062】
一部の実施形態では、角度方向に変化する断面を有するローテータファイバ220は、ロッド・イン・チューブプリフォームアセンブリ法を用いて製造されてよい。この方法によって、ローテータファイバ220のプリフォームは(例えば、各々が適切な屈折率を有する複数の別個のガラス部材を用いて)製造される。続いてローテータファイバ220のプリフォームは、ガラスの融点付近で一つとなるように融解されてよい。ねじれは、ファイバ引き込み処理の間に(例えば、偏光保持、低複屈折、又はキラル結合コアファイバで用いられるのと同様な)プリフォーム回転法を用いるか、あるいは、ファイバ引き込み処理の後に、ローテータファイバ220を加熱している間にローテータファイバ220の短い長さをねじることによって導入されてよい。ローテータファイバ220の製造に関するさらなる詳細は、以降の図6及び図7で説明する。
【0063】
動作中、ローテータファイバ220は、該ローテータファイバ220の第1端部で光ビームを受けてよい。光ビームがローテータファイバ220を伝播することで、ローテータファイバ220は、その光ビームの少なくとも一部を回転光ビームへ変換し、かつ、その回転光ビームを出力ファイバへ出力してよい。
【0064】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220のモードは、角度方向に変化する屈折率構造のねじれパターンに従う。このことは、光ビームがローテータファイバ220を伝播することで、モードは、本質的に回転特性を持つ傾向にあることを意味する。その結果、ローテータファイバ220が出力ファイバ230に接合されるとき、出力ファイバ230へ発出される光は、1つ以上の回転導波モード及び/又は1つ以上の回転漏洩波を含む回転状態とすることができる。ローテータファイバ220の出力端でのねじれ度(Φ;単位は、例えば1mあたりの回転数)は、次式に従って出力発散半値角と回転光ビームの略回転状態を決定する。
[数2] sin(θ) ~ 2πn1
[数3] l ~ 2πRsin(θ)/λ
ここでRは回転導波モード及び/又は回転漏洩波(いずれも単複不問)の実効半径で、例示的には一体化コア405の半径の略10%未満である。よって、例えば、回転ピッチが6mm、コアの屈折率が(例えば、溶融シリカガラスでは例示的な値として)1.450、及び、動作波長λが1080nmであるコア直径が100μmのローテータファイバ220を用いると、実効半径は略45×10-6mとなる(例えば、R~90%×(100/2)=45×10-6m)。ここで、ねじれ度は、166.7回転/m(例えば1/(6mm)=166.7)であるので、sin(θ)は0.068ラジアンとなり、lは略18となる(例えば、l~18)。
【0065】
回転状態が18というのは高回転ビームを表し、~0.068ラジアンの出力発散は、産業用途でのファイバ供給レーザビームで例示的である。BPPは3.1mm・mrad(例えば、45×0.068=3.1mrad)で、これは薄い金属の処理に適しているが、環状ビーム形状の場合には厚い金属の処理にも適している。
【0066】
任意の光ファイバでは、ローテータファイバ220の導光能は、そのローテータファイバ220のNAによって定められる。ここでNA=√(n -n )である。上の例では、回転光ビームを1つの回転導波モード又は複数の回転導波モードとして伝播するため、ローテータファイバ220のNAは少なくとも0.068でなければならない。よってnの値は、例えば、ドーピングされた溶融シリカを用いて実現可能な1.4484以下でなければならない。あるいはその代わりに、回転光ビームを回転漏洩波として伝播することが望ましい場合、0.068よりもわずかに小さなNAの値(例えば、略0.060~略0.067の範囲の値)が用いられてよい。一部の実施形態では、出力ファイバ230もまた、回転光ビームを回転漏洩波及び/又は回転漏洩波として伝えるのに適切なNAを有しなければならない。
【0067】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220への入力ファイバ210の結合の質は、どれだけ効率的に入力パワー(例えば非回転)が、ローテータファイバ220の出力で、(例えば、ローテータファイバ220外部へ散乱される、又は、例えば多くの異なるモードを含む劣化したビーム品質の非回転ビームとして伝播するのとは対照的な)高輝度回転光パワーへ変換されるのかを決定することができる。高効率ビーム変換を保証するため、全ての遷移は、具体的には3つの態様において滑らかで断熱的でなければならない。
【0068】
断熱遷移の提供に係る第1態様は、モード及び/又は漏洩が顕著なモードの混合を起こすことなく移行するように、入力ファイバ210からローテータファイバ220への遷移でのコアサイズと、ローテータファイバ220から出力ファイバ230への遷移でのコアサイズが、実質的に一致しなければならない。よって、入力ファイバ210のコアと出力ファイバ230のコアが異なるサイズである場合、入力端でのローテータファイバ220のコアサイズと出力端でのローテータファイバ220のコアサイズが、入力ファイバ210のコアサイズと出力ファイバ230のコアサイズにそれぞれ実質的に一致するように、ローテータファイバ220は先細っていなければならない(例えば、図5について上述したように)。一部の実施形態では、先細りの度合いは、断熱遷移を可能にするのに十分な程度にゆるやかであってよい。一部の実施形態では、断熱的なまま相対的に短い先細りを可能にするため、平方根先細プロファイルが用いられてよい。
【0069】
断熱遷移の提供に係る他の態様は、ローテータファイバ220のねじれ度は、ローテータファイバ220の入力端(例えば、入力ファイバ210に最も近い端部)で(略)ゼロで、かつ、ローテータファイバ220の長さに沿ってゆるやかに増加しなければならない。例えば、ローテータファイバ220の入力ファイバ210付近でのねじれ度は、略2以下及び/又は0.5以下等の回転状態lに相当してよい。一部の実施形態では、ねじれ度は、ローテータファイバ220の長さに沿って、ローテータファイバ220の出力端付近で最大ねじれ度になるまで増大してよい。ここで、ねじれ度の変化率は、断熱遷移を可能にするのに十分な程度ゆるやかでなければならない。特にねじれ度は、出力ファイバ230付近で(略)ゼロとなる(例えば、入力ファイバ210と出力ファイバ230のいずれも角度方向に変化する屈折率構造を有してないため、固有な程度のねじれは存在せず、(回転状態がそのファイバのカットオフ未満である限り)これらのファイバは、これらのファイバへ発出される所与の回転状態を有する光を送出する)。
【0070】
断熱遷移の提供に係るさらに他の態様は、入力ファイバ210から第2部分430(ローテータファイバ220に含まれる場合)へ直接発出される光を、第1部分410によって順次に取り込んで回転特性を達成するものである。このような効果は、一部の実施形態では、ローテータファイバ220のサイズが、入力ファイバ210から出力ファイバ230へ向けて太くなるように先細るときに実現することができる。よって、上述の第1態様を満たすため、出力ファイバ230のコアサイズは、入力ファイバ210のコアサイズよりも大きくなければならない。最初に第2部分430へ発出される光は、クラッド420によって導光されてよい。しかしこの光は、第1部分410と第2部分430にわたって導光されることなく通過する。ローテータファイバ220のコアサイズが出力ファイバ230へ向かって太くなるように先細るとき、この光の発散角は、コアサイズに反比例して減少する。それにより、発散角が、第1部分410の屈折率と第2部分430の屈折率との界面(つまりn-n界面)によって定められるNAを下回ることで、この光のより多くが第1部分410によって取り込まれる。一部の実施形態では、ローテータファイバ220と、それに係る先細度合いを適切に設計することによって、第2部分430へ発出される光のうちの少なくとも50%(例えば80%)は、第1部分410によって捕獲され得て、回転特性を得ることができる。
【0071】
図6は、ローテータファイバ220を製造する回転ファイバ法の例示的なプロセス600のフローチャートである。
【0072】
図6に示されているように、プロセス600は、一体化コアを有するローテータファイバ220のプリフォームを製造する段階であって、前記一体化コアは、ローテータファイバ220のプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造を備える段階を含んでよい(ブロック610)。例えば、ファイバ断面構造-例えば図4Aに示されているようなもの-のプリフォームは、(例えば第1部分410を構成する)屈折率がnのガラスの1/4円を4つ、(例えば第2部分430を構成する)屈折率がnのガラス板を少なくとも3つ、及び、(例えばクラッド420を構成する)屈折率がnのガラス管を用いて製造されてよい。ローテータファイバ220のプリフォームを製造する他の方法も可能である。
【0073】
さらに図6に示されているように、プロセス600は、統合ローテータファイバ220のプリフォームを生成するためにローテータファイバ220のプリフォームを統合する段階を含んでよい(ブロック620)。一部の実施形態では、ローテータファイバ220のプリフォームは、(例えば、ローテータファイバ220のプリフォームのガラスの部分片が溶融して一つになるように)熱源を用いて統合されてよい。一部の実施形態では、ローテータファイバ220のプリフォームは、ブロック610に係るプリフォーム形成処理の間、又は、後述するブロック630に係るスピン付与処理の間に統合されてよい。
【0074】
さらに図6に示されているように、プロセス600は、スパンローテータファイバを生成するために統合ローテータファイバ220のプリフォームの延伸とスピン付与を同時に行う段階を含んでよい(ブロック630)。一部の実施形態では、スパンローテータファイバを生成するため、統合ローテータファイバ220のプリフォームは、ファイバ延伸塔上のプリフォームスピナにおいて固定されてよく、かつ、統合ローテータファイバ220のプリフォームは、(例えば、所謂スパンファイバの生成に係る従来方法を用いることによって)スピンを付与する間に延伸されてよい。
【0075】
一部の実施形態では、ファイバ延伸速度に対するスピン付与度は、スピンローテータファイバ220内でのねじれ度を決定することができる。一部の実施形態では、スピン付与の度合いは、スピンローテータファイバ220内でのねじれ度が回転光ビームにとって望ましいものとなるように選ばれる。例示的なねじれ度は、例えば、略50回転/m~略2000回転/mの範囲内でであってよい(とはいえ、場合により、より緩やかな度合い又はより速い度合いが用いられてもよい)。一部の実施形態では、コアのサイズが、出力ファイバ230のコアのサイズと略同一であるか、あるいは、わずかに小さくなるように、スピンローテータファイバ220は下方に引っ張られる。
【0076】
さらに図6に示されているように、プロセス600は、スピンローテータファイバ220を出力ファイバ230の端部へ接合する段階を含んでよい(ブロック640)。例えば、スピンローテータファイバ220は、出力ファイバ230の端部へ融着接続されてよい。
【0077】
さらに図6に示されているように、プロセス600は、先細スパンローテータファイバ220を生成するためにスパンローテータファイバ220を先細にする段階であって、先細スパンローテータファイバ220の内部では、一体化コアが、先細スパンローテータファイバ220の長さに沿って、先細スパンローテータファイバ220の光軸周りで回転する、段階を含んでよい(ブロック650)。
【0078】
一部の実施形態では、スパンローテータファイバ220のコアのサイズは、入力ファイバ210のコアのサイズと略同程度又はそれよりもわずかに大きくなる程度に先細るように、下向きテーパが、熱源(例えば、トーチ及び/又は融着接続機等)を用いてスパンローテータファイバ220を加熱して軟化させることによって、スパンローテータファイバ220内に形成されてよい。ここで、先細構造は本質的に、(図5で表されているように)先細スパンローテータファイバ220のねじれ度を減少させる。その結果、先細スパンローテータファイバ220の入力端でのねじれ度は(略)ゼロとなり、入力ファイバ210によって発出される光ビームの例示的な非回転特性への適合が実現される。
【0079】
上述したように、先細度合いは選ばれてよい。先細スパンローテータファイバ220を伝播する光の(例えば、第1回転状態から第2回転状態への)遷移が、例えば、輝度損失の最小化、及び/又は、先細スパンローテータファイバ220によって回転光ビーム内に生成される回転状態(単複不問)の純度最大化のため、(略)断熱的であってよい。より具体的には、コアのサイズの増加度合い、ねじれ度の増加、及び、クラッド420から一体化コア405への光の移行は、断熱遷移を保証する程度に十分緩やかでなければならない。断熱遷移は、遷移をさらにより緩やかにすることが、顕著な性能の改善とはならない遷移と定義されてよい。
【0080】
一部の実施形態では、先細スパンローテータファイバ220を生成するために先細にした後、先細スパンローテータファイバ220は、入力ファイバ210の端部に接合(例えば融着接続)されてよい。
【0081】
例として、コア直径が100μmの先細スパンローテータファイバ220についてこれまでに供された値を用いることによって、コア直径が100μmの出力ファイバ230は、ローテータファイバ220へ接合され、かつ、先細スパンローテータファイバ220の入力端は、30μmのコア入力ファイバ210と一致させるため、例えば30μmのコア直径へ向けて先細にされてよい。この例では、ねじれ度は、このテーパによって、15回転/mに減少すると計算することができる(例えば、(30/100)×166.7=15回転/m)。その結果、ローテータファイバ220の入力端で略0.18(l~0.18)の回転状態となる。この回転状態は、実効的に非回転であるので、入力ファイバ210によって運ばれる非回転入力光ビームに十分適合する。一部の実施形態では、ローテータファイバ220が、該ローテータファイバ220の入力端で(略)ゼロのねじれ度を有するように、入力ファイバ210のコアのサイズは、出力ファイバ230のコアのサイズよりも顕著に小さくてよい(例えば、入力ファイバ210のコアのサイズは、出力ファイバ230のコアのサイズよりも略30%小さくてよい)。
【0082】
図6は例示的なプロセス600を示しているが、一部の実施形態では、プロセス600は、追加のブロック、図6に示されたよりも少ないブロック、図6に示されたブロックとは異なるブロック、又は、図6に示されたブロックとは異なる配置のブロックを含んでよい。それに加えて又は代わりに、プロセス600の2つ以上のブロックが並行して実行されてよい。
【0083】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220を製造するスピンファイバ法のプロセスは、ローテータファイバのプリフォームを製造する段階であって、前記ローテータファイバのプリフォームは、該ローテータファイバのプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造を有する一体化コアを有する、段階と、統合ローテータファイバのプリフォームを生成するために前記ローテータファイバのプリフォームを統合する段階と、スパンローテータファイバを生成するために前記統合ローテータファイバのプリフォームの延伸とスピン付与を同時に行う段階と、先細スパンローテータファイバを生成するために前記スパンローテータファイバを先細にする段階であって、前記先細スパンローテータファイバの内部では、一体化コアが、前記先細スパンローテータファイバの長さに沿った前記先細スパンローテータファイバの光軸周りで回転する、段階を含んでよい。一部の実施形態では、前記スパンローテータファイバを先細らせることで、入力ファイバと出力ファイバとの間での断熱遷移、及び、第1回転状態から第2回転状態への断熱遷移がなされる。
【0084】
図7は、ローテータファイバ220を製造するねじれファイバ法の例示的なプロセス700のフローチャートである。
【0085】
図7に示されているように、プロセス700は、一体化コアを有するローテータファイバ220のプリフォームを製造する段階であって、前記一体化コアは、ローテータファイバ220のプリフォームの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造を備える段階を含んでよい(ブロック710)。例えばローテータファイバ220のプリフォームは、例示的なプロセス600に関連して上述した方法と同様の方法で製造されてよい。
【0086】
さらに図7に示されているように、プロセス700は、統合ローテータファイバ220のプリフォームを生成するためにローテータファイバ220のプリフォームを統合する段階を含んでよい(ブロック720)。例えばローテータファイバ220のプリフォームは、例示的なプロセス600で関連して上述した方法と同様の方法で統合されてよい。
【0087】
さらに図7に示されているように、プロセス700は、統合ローテータファイバ220のプリフォームを生成するためにローテータファイバ220のプリフォームを統合する段階を含んでよい(ブロック730)。一部の実施形態では、統合ローテータファイバ220のプリフォームは、スピンを付与することなく従来のファイバ延伸処理を用いて延伸させてよい。一部の実施形態では、延伸ローテータファイバ220のコアサイズ(例えば、一体化コア405のサイズ)が、出力ファイバ230のコアのサイズと略等しいか、あるいは、わずかに小さくなるように、統合ローテータファイバ220のプリフォームは引っ張られてよい。
【0088】
さらに図7に示されているように、プロセス700は、延伸ローテータファイバ220を出力ファイバ230の端部へ接合する段階を含んでよい(ブロック740)。例えば延伸ローテータファイバ220の端部は、出力ファイバ230の端部へ融着接続されてよい。
【0089】
さらに図7に示されているように、プロセス700は、ねじれローテータファイバ220を生成するために延伸ローテータファイバ220をねじる段階を含んでよい。ねじれローテータファイバ220内部では、一体化コアが、ねじれローテータファイバ220の長さに沿ったねじれローテータファイバ220の光軸周りで回転する。
【0090】
一部の実施形態では、ねじれ度が変化する(例えば、ねじれローテータファイバ220の入力端での(略)ゼロから、ねじれローテータファイバ220の出力端での所望のねじれ度にまで変化するねじれ度合い)ねじれローテータファイバ220を生成するため、延伸ローテータファイバ220は、熱源(例えばトーチ及び/又は融着接続機等)を用いて加熱及び/又は軟化されながらねじられてよい。一部の実施形態では、ねじれローテータファイバ220のサイズが入力ファイバ210と出力ファイバ230の両方と一致するように、先細プロファイルが、ねじれローテータファイバ220に与えられてもよい。
【0091】
一部の実施形態では、ねじれスパンローテータファイバ220を生成するためにねじった後、ねじれローテータファイバ220は、入力ファイバ210の端部に接合(例えば融着接続)されてよい。
【0092】
特に、先細スパンローテータファイバ220に係る延伸中での一定のねじれではなく、ねじれローテータファイバ220内で変化するねじれを生成する必要があるため、プロセス700は、プロセス600よりもある程度複雑になることがある。しかしプロセス700は、プロセス600と比較してさらなる自由度を提供することができる。例えばプロセス700によって、出力ファイバ230のコアサイズよりも大きなコアサイズの入力ファイバ210を利用することが可能となる。別例として、先細スパンローテータファイバ220の入力端でのねじれ度がスピンファイバ法での先細度合いによって決定されるプロセス600と比較して、プロセス700によれば、ねじれローテータファイバ220の入力端のねじれ度をゼロ(例えば略ゼロ)にすることが可能となる。一部の実施形態では、ハイブリッド法が可能である。ここでは、スパンローテータファイバ220は、入力端でのねじれ度を微調整(又は完全に除去)するため、熱源を用いて先細らせてさらなるねじれを付与することによって修正される。
【0093】
図7は例示的なプロセス700を示しているが、一部の実施形態では、プロセス700は、追加のブロック、図7に示されたよりも少ないブロック、図7に示されたブロックとは異なるブロック、又は、図7に示されたブロックとは異なる配置のブロックを含んでよい。それに加えて又は代わりに、プロセス700の2つ以上のブロックが並行して実行されてよい。
【0094】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220を製造するねじれファイバ法のプロセスは、ローテータファイバの中心に対して角度方向に変化する屈折率構造を有する一体化コアを有するローテータファイバのプリフォームを製造する段階と、統合ローテータファイバのプリフォームを生成するためにローテータファイバのプリフォームを統合する段階と、延伸ローテータファイバを生成するために統合ローテータファイバのプリフォームを引っ張る段階と、ねじれローテータファイバを生成するために延伸ローテータファイバをねじる段階を含んでよい。ねじれローテータファイバ内部では、一体化コアが、ねじれローテータファイバの長さに沿ったねじれローテータファイバの光軸周りで回転する。一部の実施形態では、当該プロセスは、延伸ローテータファイバをねじりながら熱源を用いて延伸ローテータファイバを柔らかくする段階をさらに有することができる。その結果、延伸ローテータファイバは、ねじれローテータファイバの長さに沿ってねじれ度が変化するようにねじられる。
【0095】
図8A図8Cは、ローテータファイバの様々なテーパ長さを用いた例示的なシミュレーションに係る図である。図8A~Cに係るシミュレーションでは、入力ファイバ210は30μmのコアを有し、出力ファイバ230は100μmのコアを有する。ローテータファイバ220は、30μmのコアから100μmのコアへの放物プロファイルとなるように先細るスパンローテータファイバで、かつ、ローテータファイバ220の出力端で166.7のねじれ度を有する。さらに、入力ファイバ210は、LP01,LP02,LP11(+),LP11(-),LP21(+),LP21(-)の6つの等しく存在するモードを運ぶ。(+)と(-)は、対応するモードの2つのとり得る回転方向を示している。LP11モードとLP21モード(それぞれl=1とl=2)の回転量はそれぞれ小さいが、6つのモード全てが等しく存在するので、入力モードの混合したものの平均回転状態はゼロである。ローテータファイバ220のクラッドのNAは0.22である(例えば、それゆえに全ての関連するモードは強く導波された)。出力光ビームの性質は、励起したモード数によって特徴づけられる。
【0096】
図8A図8B及び図8Cのローテータファイバ220には、これらのテーパ長さの断熱性を評価するため、10mmのテーパ長、40mmのテーパ長、及び、80mmのテーパ長がそれぞれ対応付けられる。例示的なシミュレーションは、期待通り、出力放射線の大半が、強い回転モードLP11であることを示した。回転数lの関数としてモード出力を示す結果が、図8A~8Cに示されている。
【0097】
図示されているように、上述のローテータファイバによって生成される回転状態は、l~18付近で中心となる。しかし、2つ以上の入力モードが存在したため、複数の分布状態が存在する。それに加えて、図8A図8B、及び図8Cの比較に基づき、10mmのテーパは、40mmのテーパ及び80mmのテーパよりも顕著に多くの励起状態を有することがわかる。10mmのテーパは、断熱的にするには短すぎる(つまり10mmのテーパでは、入力端から出力端までにローテータファイバ220のパラメータがあまりに急峻に変化する)ので、さらなるモードが励起され、輝度とモード純度が劣化することを、この結果は示唆する。
【0098】
他方、図8B及び図8Cの比較で示唆されているように、40mmのテーパと80mmのテーパとの間に存在する変化は相対的に小さい。このことは、これらのテーパのいずれも断熱的で、かつ、その結果得られたモード分布は最適に近いことを示唆している。特に6つの入力モードが存在したことを考慮すると、理想的な場合では、6つの出力モードが存在するはずである。図からわかるように、断熱的テーパ内での出力群の大半は、6つのモード内で捕獲される。一部は隣接するモードにわずかに広がる。
【0099】
生成されたモードの全てが回転モードであるため、ローテータファイバ220の出力に係る出力スポットは、より有効な材料処理で所望されているように、端部の鋭い明瞭な環とすることができる。
【0100】
上で示唆されているように、図8A図8Cは単なる例として供される。他の例も可能で、かつ、図8A図8Cで説明したものと異なってよい。
【0101】
一部の実施形態では、上述したように、ローテータファイバ220は第2部分430を含まなくてよく(つまり一体化コア405は第1部分410のみ含んでよい)、かつ、入力光ビームの少なくとも一部を回転光ビームに変換することに関連して、一体化コア405の中心(つまり第1部分410の中心)は、一体化コア405(つまり第1部分410の中心)は、ローテータファイバ220の光軸からオフセットされてよい。図9A及び図9Bは、一体化コア405の中心がローテータファイバ220の光軸からオフセットされる例示的なローテータファイバ220の図である。
【0102】
図9A及び図9Bに示されているように、一部の実施形態では、一体化コア405は単一の第1部分410を有し、かつ、一体化コア405の中心(つまり単一の第1部分410の中心)は、ローテータファイバ220の光軸からオフセットされてよい。係る一体化コア405は、本願ではオフセットされた一体化コア405と呼ぶことにする。一部の実施形態では、オフセットされた一体化コア405は、(図9A及び図9Bに示されているような)円形状の断面、長方形断面、楕円形断面、輪状断面、部分環状断面、楔形状断面、又は他の形状の断面を有してよい。図9A及び図9Bに示されている例示的なローテータファイバ220は例えば、クラッド420(例えば400μmのクラッド)の中心軸に対して10μmオフセットされる80μm直径(多モード性の高い)の一体化コア405(例えば、NAが0.22で、かつ、略1μm、1.5μm、1.9μm等の例示的な動作波長周辺で数千のモードが存在する)を表してよい。
【0103】
図9A及び図9Bに示されているように、オフセットされた一体化コア405は、ローテータファイバ220の長さに沿ってねじれてよい。(例えば、その際に一体化コア405は、ローテータファイバ220の長さに沿って光軸周りで回転する。)そのような場合では、屈折率構造の角度変化は、ローテータファイバ220の光軸に対する一体化コア405のオフセットによって定められてよい。ここで、オフセットされた一体化コア405が光軸周りでねじれていることで、オフセットされた一体化コア405内を伝播する光は、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の光軸周りでねじれる。その結果、上述の方法と同様にして(例えば、少なくとも1つの回転導波モード又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝播する光を含む)回転光ビームが生成される。一部の実施形態では、回転光ビームは、上述したように、ローテータファイバ220の第2端部で環形状を有してよい。
【0104】
一部の実施形態では、上述したように、オフセットされた一体化コア405の光軸周りでのねじれ度は、ローテータファイバ220の第1端部での第1ねじれ度から、ローテータファイバ220の第2端部での第2ねじれ度へ増大する。一部の実施形態では、ローテータファイバ220の第1端部での第1ねじれ度は、50mmあたり1回のねじれ以下であってよい。一部の実施形態では、図9Aで示されたように、一体化コア405が、ローテータファイバ220の軸からオフセットされ、かつ、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の軸周りでねじれることで、一体化コア405は、らせん形状を有する。
【0105】
一部の実施形態では、一体化コア405のサイズが、入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230のコア領域のサイズと、ローテータファイバ220の各端部で実質的に一致するように、オフセットされた一体化コア405(つまり光軸からオフセットされた第1部分410)を含むローテータファイバ220は、先細ってよい。一部の実施形態では、ローテータファイバ220の第1端部でのローテータファイバ220のサイズは、ローテータファイバ220の第2端部でのローテータファイバ220のサイズよりも小さくなるように、ローテータファイバ220は先細ってよい。
【0106】
一部の実施形態では、図9Bで示されたように、オフセットされた一体化コア405を取り囲むクラッド420の厚さは、(単一の第1部分410が光軸からオフセットされているため)ローテータファイバ220の所与の断面で不均一である。よって一部の実施形態では、オフセットされた一体化コア405を含むローテータファイバ220の断面は、ローテータファイバ220の光軸に対して非対称であってよい。
【0107】
一部の実施形態では、オフセットされた一体化コア405(例えば単一の第1部分)を含むローテータファイバ220は、(例えば図4Aで示された例示的なローテータファイバ220と比較して)製造が相対的に容易となる。例えば、コア(例えば単一の第1部分410を含む一体化コア405)が中心に位置する従来のプリフォームが製造可能で、かつ、クラッド420の一部は、一体化コア405がオフセンタとなるように削られてよい。続いて、(必要な場合には)一体化コア405の軸を外れた位置を維持しながら、さらなるクラッド材料を追加する再スリーブ形成が実行されてよい。あるいはその代わりに、ドーピングされていないロッドにオフセンタ穴があけられ、かつ、コア又はコア/クラッドのロッドがオフセンタ穴に挿入されてよい。続いてこの構造は、統合され、かつ、延伸されることでファイバとなってよい。特に、これらのプロセスは例として供され、他の方法が、オフセットされた一体化コア405を含む所望のローテータファイバ220を製造するのに利用されてよい。
【0108】
一部の実施形態では、ねじられたオフセットされた一体化コア405の出力端は、回転光ビームが保存されるように、適切な従来の非らせんコアの多モード出力ファイバ230に接合されてよい。一部の実施形態では、出力ファイバ230のコアの半径は、オフセットされた一体化コア405の最大変位と一致してよい。例えば、80μm直径の一体化コア405と10μmオフセットされた一体化コア405では、一体化コア405の最大変位は50μm(例えば、半径40μm+オフセット10μm=50μm)で、かつ、オフセットされた一体化コア405内部の光の大半は、(遠心力によって)50μm半径付近に存在するはずである。したがってこの例では、適切な一致出力ファイバ230は、50μm半径(つまり100μm直径)のコアファイバだと思われる。ここで、回転光ビームは、オフセットされた一体化コア405の外側で閉じ込められている領域から、出力ファイバ230のコアの50μm半径へ切れ目なく移行しなければならない。
【0109】
非回転入力光ビームの少なくとも一部を、最大の効率で回転光ビームに変換するため、上述の方法が用いられてよい。例えば、オフセットされた一体化コア405を備えるローテータファイバ220は、先細り、入力ファイバ210に接合されてよい。上の例から数値を用いると、入力ファイバ210が30μmのコアを有する場合、80μmのオフセットされた一体化コア405と400μmのクラッド420を備えるローテータファイバ220は、30μmのコアと400μmのクラッドに先細ることができる。入力ファイバ210は、入力ファイバ210のコアとオフセットされた一体化コア405が位置合わせされるように接合されてよい。ここで、入力ファイバ210は中心をとるコアを有する場合があるので、コア同士が位置合わせされているときには、入力ファイバ210のクラッドの外側端部とローテータファイバ220クラッド420は位置合わせされなくてよい。上述の例では、出力ファイバ230は100μmのコアを有してよい。接合を容易にするため、出力ファイバ230のクラッドは400μmであってよく、出力ファイバ230のクラッドとローテータファイバ220のクラッド420は位置合わせされてよい。
【0110】
さらに上述したように、ファイバ回転のピッチは、所望のビーム回転率(特定の出力NAに相当する)を提供するように選ばれてよく、かつ、テーパの長さは、出力の質を最適化するように選ばれてよい。上述の例で、6mmの回転ピッチを用いると、80mmの直線テーパ長さは、LP01が50%でLP02が50%の入力モードの混合で高品質の回転ビームを与えると予想される。ここで、近視野場と遠視野場のいずれでも、明瞭な輪構造が形成することができる。このことは、高い割合で回転モードが励起されていることを意味する。モデルは、励起モードの回転数が、上述のモデルの結果と一致する略8から略20にまでの範囲に及ぶことを示している。
【0111】
さらに上述したように、先細構造を用いることで、非回転状態から回転状態への緩やかな遷移と、小さな(例えば30μm)入力光ビームから大きな(例えば100μm)入力光ビームへの緩やかな遷移が同時に与えられる。一部の実施形態では、平方根先細テーパパターンが利用されてよい。
【0112】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、スピンファイバ法を用い(例えばファイバ延伸中にプリフォームにスピンを付与する)、続いて非スピンテーパを付与することによって製造されてよいし、あるいは上述したように、非スピンファイバ法を用い、テーパ処理中に回転を行うことによって製造されてもよい。
【0113】
回転ビームでは、顕著な曲げ損失を避けるように注意する必要がある。よって、オフセットされた一体化コア405を含むローテータファイバ220のクラッド420のNAは、生成された回転光の発散よりも大きくてよい。6mmの回転ピッチで100μmの出力ファイバ230である上の例では、出力発散(遠視野半径)は、略0.10ラジアンにまで広がる。ここで、NAが0.12以上(例えば0.15以上)のファイバを用いることで、曲げ損失を防止する適切なマージンが与えられる。
【0114】
特にローテータファイバ220のオフセットされた一体化コア405によって供される効果によって、円形状のコアを利用する必要がなくなる。例えば一の他の実施形態は、図4Aに示された「4つのブレード」型の実施形態で開始する段階、及び、光を第1部分410のうちの1つにのみ入射させる段階を含む。この場合、実効的には光を運ぶのは単一の第1部分410しか存在せず、この単一の第1部分410は、ローテータファイバ220の中心からオフセットされている(例えば、楔型の頂点は中心付近で、かつ、全ての光伝播領域は中心から離れている)。
【0115】
上で示唆したように、図9A及び図9Bは単なる例として供されている。他の例は、図9A及び図9Bで説明したものと異なってよい。
【0116】
図10は、オフセットされた一体化コア405を含むローテータファイバ220の第1製造方法の例示的なプロセス1000のフローチャートである。
【0117】
図10に示されているように、プロセス1000は、コアと該コアを取り囲むクラッドを含むファイバプリフォームを取得する段階であって、前記コアは前記ファイバプリフォームの中心軸で略中心をとる段階を有してよい(ブロック1010)。例えば、円形状のコアと該コアを取り囲むクラッドを含むファイバプリフォームが得られてよい。ここで、ファイバプリフォームのコアは、ファイバプリフォームの中心軸で略中心をとってよい。
【0118】
さらに図10に示されているように、プロセス1000は、ファイバプリフォームの長さに沿ってコアを取り囲むクラッドの一部を除去する段階を有してよい(ブロック1020)。例えばファイバプリフォームのクラッドの一部は、ファイバプリフォームの長さに沿って削られてよい。
【0119】
さらに図10に示されているように、プロセス1000は、ローテータファイバプリフォームを生成するためにファイバプリフォームの再スリーブ形成を行う段階を有してよい。前記ローテータファイバプリフォーム内では、前記コアの中心は前記ローテータファイバプリフォームの中心軸からオフセットされている(ブロック1030)。例えば、ファイバプリフォームの(シフトした)中心軸に対して一体化コア405位置を軸から外れた状態に維持しながら、さらなるクラッド材料を追加する再スリーブ形成が実行されてよい。
【0120】
さらに図10に示されているように、プロセス1000は、ローテータファイバプリフォームを用いてローテータファイバ220を生成する段階を有してよい。ローテータファイバ220内では、コア(例えば一体化コア405)の中心は、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の軸からオフセットされ、かつ、ローテータファイバ220内では、オフセットされた一体化コア405が、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の軸周りでねじれる(ブロック1040)。一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、上の図6で述べたように(延伸とスピン付与を同時に行う方法を含む)スピンファイバ法を用いて生成されてよい。一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、上の図7で述べたように(延伸の後にスピンを付与する方法を含む)ねじれファイバ法を用いて生成されてよい。
【0121】
図10は例示的なプロセス1000を示しているが、一部の実施形態では、プロセス1000は、追加のブロック、図10に示されたよりも少ないブロック、図10に示されたブロックとは異なるブロック、又は、図10に示されたブロックとは異なる配置のブロックを含んでよい。それに加えて又は代わりに、プロセス1000の2つ以上のブロックが並行して実行されてよい。
【0122】
図11は、オフセットされた一体化コア405を含むローテータファイバ220の第2製造方法の例示的なプロセス1100のフローチャートである。
【0123】
図11に示されているように、プロセス1100は、クラッドロッドの長さに沿ってクラッドロッドの中心軸からオフセットされた開口部を生成する段階を有してよい(ブロック1110)。例えばオフセンタ穴が、(ドーピングされていない)クラッドロッド内にあけられてよい。
【0124】
さらに図11に示されているように、プロセス1100は、クラッドロッドの長さに沿った開口部内にコアロッドを挿入する段階を有してよい(ブロック1120)。例えばコアロッドは、クラッドロッドの長さに沿ってクラッドロッド内の穴に挿入されてよい。
【0125】
さらに図11に示されているように、プロセス1100は、統合されたローテータファイバプリフォームを生成するためにコアロッドとクラッドロッドとを統合する段階を有してよい(ブロック1130)。例えばコアロッドとクラッドロッドは、ローテータファイバ220のプリフォームを形成するように統合されてよい。一部の実施形態では、ローテータファイバのプリフォームは、(例えばローテータファイバ220のプリフォームのガラスの部分片が溶融して一つになるように)熱源を用いて統合されてよい。一部の実施形態では、ローテータファイバのプリフォームは、後述するブロック1140に係るローテータファイバ220の生成中に統合されてよい。
【0126】
さらに図11に示されているように、プロセス1100は、ローテータファイバプリフォームを用いてローテータファイバ220を生成する段階を有してよい。ローテータファイバ220内では、コア(例えば一体化コア405)の中心は、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の軸からオフセットされ、かつ、ローテータファイバ220内では、オフセットされた一体化コア405が、ローテータファイバ220の長さに沿ったローテータファイバ220の軸周りでねじれる(ブロック1140)。一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、上の図6で述べたように(延伸とスピン付与を同時に行う方法を含む)スピンファイバ法を用いて生成されてよい。一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、上の図7で述べたように(延伸の後にスピンを付与する方法を含む)ねじれファイバ法を用いて生成されてよい。
【0127】
図11は例示的なプロセス1100を示しているが、一部の実施形態では、プロセス1100は、追加のブロック、図11に示されたよりも少ないブロック、図11に示されたブロックとは異なるブロック、又は、図11に示されたブロックとは異なる配置のブロックを含んでよい。それに加えて又は代わりに、プロセス1100の2つ以上のブロックが並行して実行されてよい。
【0128】
一部の実施形態では、1つ以上の第2部分430が、1つ以上の挿入部(例えば、1つ以上のロッド形状の挿入部)として実施されてよい。一部の実施形態では、挿入部は、1つ以上の第1部分410にオフセンタ位置で挿入されてよい。つまり、第2部分430は、第1部分内で第1部分410の中心に対するオフセンタ位置に挿入される少なくとも1つの挿入部を有してよい。一部の実施形態では、挿入部は、第1部分410よりも小さな屈折率を有してよい。一部の実施形態では、挿入部の断面は丸形(例えば円形、楕円形等)であってよい。一部の実施形態では、所与の挿入部の断面サイズ(例えば直径)は、第1部分410のサイズ(例えば断面直径)の略5%未満であってよい。一部の実施形態では、1つ以上の挿入部は、第1部分410及び/又はクラッド420を構成するプリフォームに、それぞれの挿入部に対応する穴を開け、その穴に第2部分430の1つ以上の挿入部を挿入し、続いてプリフォームの統合と延伸を行うことでファイバにすることによって実施されてよい。続いてファイバは、本願の他の箇所で説明したように、延伸処理又はその後に続いてねじられてよい。
【0129】
図12は、例示的な光ファイバの例示的な断面図1200である。図中、2つのロッド形状の第2部分(例えば第2部分430はロッド形状の挿入部)は、クラッド部によって取り囲まれる第1部分内にオフセンタ位置で挿入される。一部の実施形態では、この設計は、(例えば図4Aで示された設計と比較して)製造が相対的に容易なプリフォームを提供する。
【0130】
一部の実施形態では、光ファイバの長さに沿って図12に示されたプロファイルをねじることで、第1部分410内部の光ビームは、回転光ビームに変換される。つまり、軸周りでねじれたオフセンタ状態の挿入部によって、光ファイバの第1端部で発出される光ビームの少なくとも一部は、光ファイバの第2端部で回転光ビームに変換される。一部の実施形態では、上述したように、1つ以上の挿入部である第2部分の光ファイバ周りでのねじれ度は、光ファイバの第1端部での第1ねじれ度から光ファイバの第2端部での第2ねじれ度に増大してよい。上述したように、一部の実施形態では、ねじれ度は、ゼロ又は比較的小さなねじれ度で始まり、比較的高い(例えば1mm~1m超)のねじれ度にまで徐々に増大してよい。一部の実施形態では、ファイバは、上述したように太くなってよい。一部の実施形態では、入力ビームは、第2部分430よりもむしろ第1部分410に主として注入されてよい。
【0131】
上述したように、図12は、単なる例として供されている。他の例は、図12で説明したものと異なってよい。
【0132】
図12に示された設計を用いることで光ファイバデバイスによって生成された回転光ビームを示す例示的な計算が、図13A図13Dに示されている。図13Aに示された第1部分410の幾何学構造に基づくファイバのテーパを伝播した後、図13Bの強度プロットで示されているように、ファイバの中心から光強度がなくなることで示されているように、回転が光ビームに誘起された。そのようなビームは、標準的な供給ファイバを通過したとき、図13C図13Dで示唆されているように、(例えば、近視野と遠視野で輪形状を有する)回転光ビームを供給することができる。一部の実施形態では、回転光ビームのパラメータ(例えば回転率、遠視野でのビームサイズ等)は、図13Aに示された光ファイバの寸法の選択、又は、屈折率プロファイルの回転を加速させるようなデバイスの創製に基づいて制御されてよい。
【0133】
上で示唆したように、単なる例として供されている。他の例は、図13A図13Dで説明したものと異なってよい。
【0134】
一部の実施形態では、所与の挿入部は、ドーピングされたシリカ、ドーピングされていないシリカ、又は、第1部分410よりも屈折率の小さい他のガラスを含んでよい。
【0135】
一部の実施形態では、第2部分430を構成する挿入部は、流体(例えば、液体、気体、例えば空気等の混合気体)、又は、第1部分410内の1つ以上の開口部内に含まれる真空であってよい。そのような実施形態は、多数の利点を有する。一の利点は、充填材料が、構造の特性を変更するように変更できることである。例えば、構造は、(例えば、回転構造が光ビームによって見えないように)低屈折率の液体を第1部分410と同一の屈折率を有する液体に置換することによって、回転誘起から非回転誘起に変更されてよい。そのような場合、液体が回転構造に対して(例えばリアルタイムで)流入出可能となるようなファイバの創製が利用されてよい。
【0136】
第2部分430内に挿入部を実装するために流体を用いることの他の利点は、第1部分410のプリフォーム内の穴が、挿入部が段階的に「オン」と「オフ」を行う再に、光ファイバの製造中に選択的かつ段階的に壊れる場合があることである。例えば、光ファイバが、1つ以上の穴を開いたまま(例えば空気によって満たされる状態)にして延伸し、かつ、ねじられる場合、光ファイバデバイスの最終処理中、1つ以上の穴は、所望の領域内でファイバに十分な熱を加えることによって、入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230付近で穏やかに壊れる場合がある。そのような場合、1つ以上の挿入部の断面サイズは、光ファイバの第1の部位(例えば、光ファイバの入力端近傍の部分)に沿って増大し、光ファイバの第2の部位(例えば、光ファイバの出力端近傍の部分)に沿って減少してよい。よって一部の実施形態では、1つ以上の挿入部の断面サイズは、光ファイバの長さの少なくとも一部に沿って変化してよい。一部の実施形態では、1つ以上の挿入部の断面サイズ(例えば直径)は、光ファイバの第1端部と第2端部でゼロ又はゼロ付近で、第1端部と第2端部との間ではゼロよりも十分に大きくてよい。このようにして、入力光ビームをローテータファイバ220のモード(単複不問)へ断熱的又は略断熱的に変換し、かつ、ローテータファイバ220の1つ以上のモード又は漏洩波を出力ファイバ230の1つ以上のモード又は漏洩波へ断熱的又は略断熱的に変換することができる。この方法の一の利点は、モード変換が理想状態に近くなり得ることである。例えば単一の入力モード(例えば基本モードLP01)を、単一の高次回転モード(例えばLP81又はLP15,1)へ効率的に変換することができる。それに加えて、入力ファイバ120との入力境界では第2部分430へ直接発出される光-光ファイバデバイスの性能を劣化させる-は存在し得ない。この実施形態では、1つ以上の穴は、該1つ以上の穴の第2端部が(例えば空気又は真空)封止されるときに、光学系内に存在する流体によって満たされてよいが、必要に応じて、代わりに特定の気体、特定の混合気体、又は特定の液体で満たされてもよい。
【0137】
図14は、本願で説明した、挿入部である第2部分430を含むローテータファイバ220の製造方法の例示的なプロセス1400のフローチャートである。
【0138】
図14に示されているように、プロセス1400は、第1部分410を含むファイバプリフォームを提供する段階を有してよい(ブロック1410)。
【0139】
さらに図14に示されているように、プロセス1400は、ファイバプリフォームの長さに沿ってファイバプリフォームの第1部分410内に、ファイバプリフォームの中心軸からオフセットされる開口部を形成する段階を有してよい(ブロック1420)。一部の実施形態では、上述したように、開口部は、ファイバプリフォームの第1部分内に穴を開けることによってファイバプリフォーム内に形成されてよい。
【0140】
さらに図14に示されているように、プロセス1400は、ファイバプリフォームの第1部分410の開口部内に挿入部を挿入することでファイバプリフォームの第2部分430を生成する段階を有してよい(ブロック1430)。一部の実施形態では、上述したように、挿入部は、開口部内に挿入される流体(例えば液体、気体、空気のような混合気体)、又は、第1部分410内の開口部内に含まれるように生成される真空であってよい。
【0141】
さらに図14に示されているように、プロセス1400は、ファイバプリフォームを統合し、延伸し、かつねじることでねじれローテータファイバを生成する段階を有してよい。ねじれの結果、第2部分430(つまり挿入部)は、ねじれローテータファイバの長さに沿ったねじれローテータファイバの軸周りでねじれる(ブロック1430)。
【0142】
一部の実施形態では、ローテータファイバのプリフォームは、(例えばーテータファイバ220のプリフォームのガラスの部分片が溶融して一つになるように)熱源を用いて統合されてよい。
【0143】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220のプリフォームは、スピンを付与尾せずに従来のファイバ延伸処理を用いて引っ張られてよい。一部の実施形態では、延伸ローテータファイバ220のコアサイズ(例えば。一体化コア405のサイズ)が、出力ファイバ230のコアのサイズと略等しいか、あるいは、わずかに小さくなるように、統合ローテータファイバ220のプリフォームは引っ張られてよい。
【0144】
一部の実施形態では、ローテータファイバ220は、ねじれ度が変化する(例えば、ねじれローテータファイバ220の入力端での(略)ゼロから、ねじれローテータファイバ220の出力端での所望のねじれ度にまで変化する)ねじれローテータファイバ220を生成するため、延伸ローテータファイバ220は、熱源(例えばトーチ及び/又は融着接続機等)を用いて加熱及び/又は軟化されながらねじられてよい。一部の実施形態では、ねじれローテータファイバ220のサイズが入力ファイバ210と出力ファイバ230の両方と一致するように、先細プロファイルが、ねじれローテータファイバ220に与えられてもよい。
【0145】
図14は例示的なプロセス1400を示しているが、一部の実施形態では、プロセス1400は、追加のブロック、図14に示されたよりも少ないブロック、図14に示されたブロックとは異なるブロック、又は、図14に示されたブロックとは異なる配置のブロックを含んでよい。それに加えて又は代わりに、プロセス1400の2つ以上のブロックが並行して実行されてよい。
【0146】
本願で説明されている複数の実施形態は、環状ビーム形状を有する光ビームを光ファイバ内に直接(つまり自由空間光学系を用いずに)生成する光ファイバデバイスを提供する。より詳細には、生成された光ビームは、回転光ビーム(つまり光ファイバ内を螺旋状に伝播する光ビーム)であるため、環状ビーム形状を有する光ビームを生成する。複数の実施形態では、光ビームの回転特性は保存されてよい(例えば、光ビームが光ファイバを飛び出すときに)。その結果、光ファイバから試料へ投影されるレーザスポットは例えば、明瞭な縁部と高いビーム品質を有する環状ビームプロファイルを示す。
【0147】
上記の開示は、例示と説明を与えるが、排他的ではないし、実施形態を開示された厳密な形態に限定することも意図していない。修正型や変形例が、上記の開示に照らして可能であるし、あるいは、実施形態の実施から得ることができる。
【0148】
例えばローテータファイバ220は、非回転ビームを回転ビームへ変換する目的で用いられるものとして説明されてきた。しかし一部の応用では、ローテータファイバ220は、入力回転光ビームを出力非回転光ビームへ変換するため、逆方向で用いられてよい。これは、テーパとねじれの変化を含むローテータファイバ220の設計を逆にすることによって実現することができる。その結果、ローテータファイバ220の入力端でのねじれ度は、入力光ビームの回転と一致し、かつ、ローテータファイバ220の出力端でのねじれ度は、(略)ゼロとなる。上述の製造方法のいずれも、この例に適合されてよい。
【0149】
他の例として、ローテータファイバ220は、任意の回転状態の入力光ビームを、他の(異なる)回転状態の出力光ビームへ変換するために設計されてよい。これを実現する基準は、ローテータファイバ220の入力端でのねじれ度が入力光ビームの回転状態と一致することと、ローテータファイバ220の出力端でのねじれ度が出力光ビームの所望の回転状態と一致することである。上述の製造方法のいずれも、この例に適合されてよい。
【0150】
たとえ複数の特徴の特定の組み合わせが請求項中に記載及び/又は明細書中に開示されているとしても、これらの組み合わせは、可能な実施形態の開示に限定することを意図していない。実際、これらの特徴の多くは、請求項中に具体的に記載及び/又は明細書中に具体的に開示されていない方法で結合することができる。たとえ以降の「特許請求の範囲」で列挙される各従属請求項が直接的には1つの請求項にしか従属していないとしても、可能な実施形態の開示には、「特許請求の範囲」における他の全ての請求項と結合する各従属請求項が含まれる。
【0151】
本願で用いられている構成要素、作用、又は命令は、重要又は必須と明記されていない限りそのようには構成されてはならない。また本願で用いられているように、単数を表す不定冠詞は、1つ以上のものを含むことを意図し、かつ、「1つ以上」と同義的に用いられてよい。さらに本願で用いられているように、「組(集合)」という語句は、1つ以上のもの(例えば、関連するもの、関連しないもの、関連するものと関連しないものとの組み合わせ等)を含むことを意図し、かつ、「1つ以上」と同義的に用いられてよい。1つのものが意図されている場合には、「1つの」等の語句が用いられる。また本願で用いられているように、「有する」等の語句は、制限のない語句であることが意図されている。さらに「基づく」という語句は、明示的に否定されていない限り、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14