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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】結像レンズ系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20241108BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020167999
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022060027
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-051826(JP,A)
【文献】特開昭55-163509(JP,A)
【文献】特開昭56-065110(JP,A)
【文献】特開昭56-102819(JP,A)
【文献】特開昭57-002013(JP,A)
【文献】特開昭59-071014(JP,A)
【文献】特公昭44-013678(JP,B1)
【文献】特開2019-191523(JP,A)
【文献】米国特許第08675289(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0185446(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212390(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に正のパワーを有する第1レンズ,物体側が凸形状のメニスカスの第2レンズ,物体側が凸形状のメニスカスの第3レンズ,物体側が凹形状であるメニスカスの第4レンズ,正のパワーを有す第5レンズからなり,
前記第1レンズはガラスレンズであり,
前記第2レンズ,前記第3レンズ及び前記第4レンズはプラスチックレンズであり,
レンズ系全体の焦点距離をf,前記第1レンズの焦点距離をf1,前記第2レンズの焦点距離をf2,前記第3レンズの焦点距離をf3と定義した時に下記条件式(1)~(3)を満足する結像レンズ系。
1.25<f1/f<1.55 …(1)
|f/f2|<0.3 …(2)
|f/f3|<0.3 …(3)
【請求項2】
レンズ全長をtol,最終レンズと結像面の距離をbfと定義した時に下記条件式(4)を満足する請求項に記載の結像レンズ系。
0.1<bf/tol<0.3 …(4)
【請求項3】
前記第5レンズは物体側に凸形状であり像側の面は変曲点を有する請求項1または2に記載の結像レンズ系。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の結像レンズ系と,
前記結像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子と,を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結像レンズ系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラや携帯電話に搭載されるカメラは,より高解像度の結像光学系が求められている。
【0003】
このような結像レンズ系として,特許文献1には,Fnoは1.8程度で5枚のプラスチックレンズで構成された結像レンズ系が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-124880公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された結像レンズ系では,オートフォーカス機構の上に成り立っており,物体距離や温度におけるフォーカス変化を機構により補正する必要があるという問題があった。
【0006】
本発明は,このような問題点に鑑みてなされたものであり,Fnoが小さく,大口径であり,望遠系で温度環境での温度ずれ補正を実現できる結像レンズ系及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の結像レンズ系は,物体側から順に正のパワーを有する第1レンズ,物体側が凸形状のメニスカスの第2レンズ,第3レンズ,物体側が凹形状であるメニスカスの第4レンズ,正のパワーを有す第5レンズからなり,前記第1レンズはガラスレンズであり,前記第2レンズ,前記第3レンズ及び前記第4レンズはプラスチックレンズであり,レンズ系全体の焦点距離をf,前記第1レンズの焦点距離をfと定義した時に下記条件式(1)を満足するようにした。
1.25<f1/f<1.55 …(1)
【0008】
一実施形態の結像レンズ系によれば,Fnoが小さく,大口径であり,望遠系で温度環境での温度ずれ補正を実現できる結像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,Fnoが小さく,大口径であり,望遠系で温度環境での温度ずれ補正を実現できる結像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る結像レンズ系の構成を示す断面図である。
図2】実施例1の結像レンズ系における球面収差図である。
図3】実施例1の結像レンズ系における像面湾曲図である。
図4】実施例1の結像レンズ系における歪曲収差図である。
図5】実施例1の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図6】実施例1の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図7】実施例1の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図8】実施例2に係る結像レンズ系の構成を示す断面図である。
図9】実施例2の結像レンズ系における球面収差図である。
図10】実施例2の結像レンズ系における像面湾曲図である。
図11】実施例2の結像レンズ系における歪曲収差図である。
図12】実施例2の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図13】実施例2の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図14】実施例2の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図15】実施例3に係る結像レンズ系の構成を示す断面図である。
図16】実施例3の結像レンズ系における球面収差図である。
図17】実施例3の結像レンズ系における像面湾曲図である。
図18】実施例3の結像レンズ系における歪曲収差図である。
図19】実施例3の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図20】実施例3の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図21】実施例3の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。
図22】実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本実施の形態に係る光学レンズ及び撮像装置を説明する。
(実施の形態1:結像レンズ系)
実施の形態1の結像レンズ系は,物体側から順に正のパワーを有する第1レンズL1,物体側が凸形状のメニスカスの第2レンズL2,第3レンズL3,物体側が凹形状であるメニスカスの第4レンズL4,正のパワーを有す第5レンズL5からなり,第1レンズL1はガラスレンズであり,第2レンズL2,第3レンズL3及び第4レンズL4はプラスチックレンズであり,レンズ系全体の焦点距離をf,第1レンズL1の焦点距離をfと定義した時に下記条件式(1)を満足するようにした。
1.25<f1/f<1.55 …(1)
【0012】
このように,実施の形態1の結像レンズ系によれば,第1レンズL1の焦点距離f1はレンズの結像状態を左右する形で設定しているため,全体の焦点距離に対し,条件式の下限を下回ると温度補正が過剰となり上回ると補正不足となり環境変化によるフォーカス変化が補正できなくなることを回避し,温度補正できる。この結果,機構的なピント調整を用いることなく温度補正できる。
【0013】
上記実施の形態1の結像レンズ系は,第2レンズL2の焦点距離をf,第3レンズL3の焦点距離をfと定義した時に下記条件式(2)及び(3)を満足するようにしてもよい。
|f/f2|<0.3 …(2)
|f/f3|<0.3 …(3)
【0014】
このように,実施の形態1の結像レンズ系によれば,焦点距離が短くなる(上限値を上回る)と結像性能への起因量が大きくなるためフォーカス変化を補正しにくくなることを回避し,温度補正時の収差補正効率がよくなる。
【0015】
上記実施の形態1の結像レンズ系は,レンズ全長をtol,最終レンズと結像面の距離をbfと定義した時に下記条件式(4)を満足するようにしてもよい。
0.1<bf/tol<0.3 …(4)
【0016】
このように,実施の形態1の結像レンズ系によれば,最終レンズと結像面の距離bfが長く(上限値を上回ると)なると第5レンズL5の焦点距離の温度変化によりフォーカス変化の影響度が大きくなること,及び最終レンズと結像面の距離bfが短いとイメージセンサとの配置が難しくなることを回避できる。
【0017】
上記実施の形態1の結像レンズ系は,第5レンズL5は物体側に凸形状であり像側の面は変曲点を有してもよい。
【0018】
このように,実施の形態1の結像レンズ系によれば,像面湾曲の補正を有効にできる。
【0019】
次に,実施の形態1の結像レンズ系に対応する実施例について,図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は,実施例1の結像レンズ系の構成を示す断面図である。図1において,結像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,第1レンズL1,第2レンズL2,第3レンズL3,第4レンズL4,第5レンズL5からなる。結像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。
【0020】
第1レンズL1は,正のパワーを有する球面のガラスレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は,物体側に凸を向けている。第1レンズL1の像側レンズ面S2は凹面を向けている。
【0021】
第2レンズL2は,負のパワーを有する非球面のプラスチックのメニスカスレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は,物体側に凸面を向けている。また,第2レンズL2の像側レンズ面S4は,像側に凹面を向けている。
【0022】
第3レンズL3は,負のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S5は,物体側に凸面を向けている。また,第3レンズL3の像側レンズ面S6は,像面側に凹面を向けている。
【0023】
第4レンズL4は,正のパワーを有する非球面のプラスチックのメニスカスレンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S9は,物体側に凹面を向けている。また,第4レンズL4の像側レンズ面S10は,像面側に凸面を向けている。
【0024】
第5レンズL5は,正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第5レンズL5の物体側レンズ面S11は,物体側に凸形状であり像側の面は変曲点を有する。また,第5レンズL5の像側レンズ面S12は,像面側に凹形状の曲面部分を有している。
【0025】
IRフィルタ12は,赤外領域の光を透過するバンドパスフィルタである。IRフィルタ12は,結像レンズ系11の設計時には,結像レンズ系11と一体として扱われる。しかし,IRフィルタ12は,結像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
【0026】
表1に,実施例1の結像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表1では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd,及びd線に対するアッベ数Vdを提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。また,表1において,例えば「-6.522528E-03」は,「-6.522528×10-3」を意味する。以下の表についても数値の表現は同様である。
【0027】
【表1】
【0028】
レンズ面に採用される非球面形状は,zをサグ量,cを曲率半径の逆数,kを円錐係数,rを光軸Zからの光線高さとして,4次,6次,8次,10次,12次,14次,16次の非球面係数をそれぞれA4,A6,A8,A10,A12,A14,A16としたときに,次式により表わされる。
【0029】
表2に,実施例1の結像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
次に,収差について図面を用いて説明する。図2は,実施例1の結像レンズ系における球面収差図である。図2において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図2は,左から波長800nm、810nm、820nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0032】
図3は,実施例1の結像レンズ系における像面湾曲図である。図3において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図3において,Sはサジタル面における非点収差を示し,Tはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図3は,波長810nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0033】
図4は,実施例1の結像レンズ系における歪曲収差図である。図4において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。図2図4に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0034】
次に,レンズの特性値について説明する。表3に,実施例1の結像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表3において,結像レンズ系11における,レンズ系全体の焦点距離をf,第1レンズL1の焦点距離をf,第2レンズL2の焦点距離をf,第3レンズL3の焦点距離をf,第4レンズL4の焦点距離をf,第5レンズL5の焦点距離をf,レンズ全長をtol,最終レンズと結像面の距離をbf,第1レンズL1の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値をf1/f,第2レンズL2の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値の絶対値を|f2/f|,第3レンズL3の焦点距離をレンズ系全体の焦点距離で除算した値の絶対値を|f3/f|,レンズ全長を最終レンズと結像面の距離で除算した値をbf/tolとしたときの各特性値を示している。表3において,焦点距離及び中心厚みの単位はいずれもmmである。また,表3の各種の焦点距離は,810nmの波長の光線を用いて計算した。
【0035】
【表3】
【0036】
図5は,実施例1の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図6は,実施例1の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図7は,実施例1の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図5図7において,縦軸はMTF(Modulation Transfer Function)を示す。また横軸はフォーカスシフト量を示す。図5図7では,温度別でフォーカスシフト量とMTFの関係を示している。
【0037】
(実施例2)
図8は,実施例2の結像レンズ系の構成を示す断面図である。図8において,結像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,正のパワーを有する第1レンズL1,負のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,正のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5からなる。結像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,結像レンズ系11は,IRフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例1と同様である。
【0038】
表4に,実施例2の結像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表4では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd及びd線に対するアッベ数Vdを提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0039】
【表4】
【0040】
表5に,実施例2の結像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表5において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例2と同様の式にて表される。
【0041】
【表5】
【0042】
次に,収差について図面を用いて説明する。図9は,実施例2の結像レンズ系における球面収差図である。図9において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図9は,左から波長800nm、810nm、820nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0043】
図10は,実施例2の結像レンズ系における像面湾曲図である。図10において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図10において,Sはサジタル面における非点収差を示し,Tはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図3は,波長810nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
【0044】
図11は,実施例2の結像レンズ系における歪曲収差図である。図11において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
図9図11に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0045】
次に,レンズの特性値について説明する。表6に,実施例2の結像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表6の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表6の各種の焦点距離は,810nmの波長の光線を用いて計算した。
【0046】
【表6】
【0047】
図12は,実施例2の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図13は,実施例2の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図14は,実施例2の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図12図14において,縦軸はMTF(Modulation Transfer Function)を示す。また横軸はフォーカスシフト量を示す。図12図14では,温度別でフォーカスシフト量とMTFの関係を示している。
【0048】
(実施例3)
図15は,実施例3の結像レンズ系の構成を示す断面図である。図15において,結像レンズ系11は,物体側から像側に向かって順に,正のパワーを有する第1レンズL1,負のパワーを有する第2レンズL2,正のパワーを有する第3レンズL3,正のパワーを有する第4レンズL4,正のパワーを有する第5レンズL5からなる。結像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また,結像レンズ系11は,IRフィルタ12を備えてもよい。また,各レンズの形状及び材質は実施例3と同様である。
【0049】
表7に,実施例3の結像レンズ系11における,各レンズ面のレンズデータを示す。表7では,レンズデータとして,各面の曲率半径(mm),中心光軸における面間隔(mm),d線に対する屈折率Nd及びd線に対するアッベ数Vdを提示している。「*印」がついた面は,非球面であることを示している。
【0050】
【表7】
【0051】
表8に,実施例3の結像レンズ系11において,非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表8において,レンズ面に採用される非球面形状は,実施例3と同様の式にて表される。
【0052】
【表8】
【0053】
次に,収差について図面を用いて説明する。図16は,実施例3の結像レンズ系における球面収差図である。図16において,横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し,縦軸は瞳径での高さを示す。また,図16は,左から波長800nm、810nm、820nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0054】
図17は,実施例3の結像レンズ系における像面湾曲図である。図17において,横軸は光軸Z方向の距離を示し,縦軸は像高(画角)を示す。また,図17において,Sはサジタル面における非点収差を示し,Tはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また,図3は,波長810nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0055】
図18は,実施例3の結像レンズ系における歪曲収差図である。図18において,横軸は像の歪み量(%)を示し,縦軸は像高(画角)を示す。
図16図18に示すように,良好に収差補正されていることがわかる。
【0056】
次に,レンズの特性値について説明する。表9に,実施例3の結像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表9の各項目は,表3と同様の各特性値を示している。また,表9の各種の焦点距離は,810nmの波長の光線を用いて計算した。
【0057】
【表9】
【0058】
図19は,実施例3の結像レンズ系における25℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図20は,実施例3の結像レンズ系における-40℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図21は,実施例3の結像レンズ系における85℃での空間周波数とMTFの関係を示すグラフである。図19図21において,縦軸はMTF(Modulation Transfer Function)を示す。また横軸はフォーカスシフト量を示す。図19図21では,温度別でフォーカスシフト量とMTFの関係を示している。
【0059】
(実施の形態2:撮像装置への適用例)
図22は,撮像装置21は,結像レンズ系11と,撮像素子22と,を備える。結像レンズ系11と,撮像素子22と,は筐体(不図示)に収容されている。結像レンズ系11は,上述の実施の形態1に記載された結像レンズ系11である。
【0060】
撮像素子22は,受光した光を電気信号に変換する素子であり,例えば,CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子22は,結像レンズ系11の結像位置に配置されている。
【0061】
このように,実施の形態2の撮像装置によれば,Fnoが小さく,大口径であり,望遠系で温度環境での温度ずれ補正を実現できる結像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【0062】
なお,本発明は上記実施例に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,実施例2は,実施例1~3に適用してもよい。例えば,本発明の結像レンズ系の用途は,車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく,携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いることができる。
【0063】
また,本発明は可視光のみならず赤外光(特に近赤外)用に好適である。例えば,パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し,遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)用に好適である。
【符号の説明】
【0064】
11 結像レンズ系
12 IRフィルタ
21 撮像装置
22 撮像素子
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
IMG 結像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22