(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】カバー付きボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20241108BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65D23/00 B
B65D25/20 A
(21)【出願番号】P 2020183052
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-05-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】原田 峻
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-145463(JP,U)
【文献】特開2009-007061(JP,A)
【文献】特開2004-115120(JP,A)
【文献】特開2001-018998(JP,A)
【文献】米国特許第04273248(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で四角形状を呈する有底筒状の胴部、および前記胴部の上端部から径方向内側に広がる肩部を有するボトル本体と、
前記肩部に取り付けられたカバーと、
を備え、
前記肩部には、上方に突出し平面視で外縁が四角形状を呈する段差部が形成され、
前記カバーは、前記段差部に外嵌され平面視で内縁が四角形状を呈する嵌合枠部を有し、
平面視で前記段差部の外縁における各辺をそれぞれ構成する各外側面と、平面視で前記嵌合枠部の内縁における各辺をそれぞれ構成する各内側面と、のうちのいずれか一方には、係合凹部が形成され、
各前記外側面と各前記内側面とのうちのいずれか他方には、前記係合凹部内に挿入されて前記係合凹部に係合される係合凸部が形成され、
前記段差部と前記カバーとの間には、互いに対向した1つの前記外側面および1つの前記内側面からなる対向辺部が周方向に沿って4つ設けられ、
互いに係合する1組の前記係合凹部および前記係合凸部は、4つの前記対向辺部ごとに、平面視で前記対向辺部の中心を通る中心線を挟んで少なくとも2組ずつ形成され
、
前記ボトル本体には、パーティングラインが形成され、
前記パーティングラインは、前記段差部に形成された段差ライン部を有し、
前記段差ライン部は、平面視において、前記段差部の対角線に沿って延び、
前記係合凹部は、前記段差部の前記外側面に形成され、
前記係合凹部の形状は、平面視において、前記係合凹部が形成された前記外側面が延びる方向に互いに対向して配置される一対の対向面を有する形状であり、
平面視において、前記一対の対向面のうち、前記係合凹部が形成された前記外側面が延びる方向において前記段差ライン部から遠い側に位置する前記対向面に接する接線と、前記段差ライン部と、が前記係合凹部と前記段差ライン部との周方向の間で成す角度は、90°以上となっている、カバー付きボトル。
【請求項2】
互いに係合する1組の前記係合凹部および前記係合凸部は、平面視において、前記中心線に対して線対称に配置されている、請求項1に記載のカバー付きボトル。
【請求項3】
前記ボトル本体は、二軸延伸ブローボトルである、請求項
1または2に記載のカバー付きボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー付きボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル本体の肩部を覆うカバーを備えるカバー付きボトルが知られている。例えば、特許文献1には、カバー(肩カバー部材)が、ボトル本体(容器本体)の口部に着脱可能に取り付けられた注出栓に固定された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなカバー付きボトルにおいて、ボトル本体の胴部が四角筒状である場合、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りにずれると、ボトル本体の胴部が円筒状である場合に比べて、カバー付きボトルの外観の意匠性が低下しやすい、カバーがボトル本体から外れやすい、などの不具合が生じる虞がある。そのため、ボトル本体の胴部が四角筒状であるカバー付きボトルにおいては、ボトル本体に対してカバーをよりずれにくく取り付けられることが望まれていた。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りにずれることを抑制できる構造を有するカバー付きボトルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカバー付きボトルの一つの態様は、平面視で四角形状を呈する有底筒状の胴部、および前記胴部の上端部から径方向内側に広がる肩部を有するボトル本体と、前記肩部に取り付けられたカバーと、を備え、前記肩部には、上方に突出し平面視で外縁が四角形状を呈する段差部が形成され、前記カバーは、前記段差部に外嵌され平面視で内縁が四角形状を呈する嵌合枠部を有し、平面視で前記段差部の外縁における各辺をそれぞれ構成する各外側面と、平面視で前記嵌合枠部の内縁における各辺をそれぞれ構成する各内側面と、のうちのいずれか一方には、係合凹部が形成され、各前記外側面と各前記内側面とのうちのいずれか他方には、前記係合凹部内に挿入されて前記係合凹部に係合される係合凸部が形成され、前記段差部と前記カバーとの間には、互いに対向した1つの前記外側面および1つの前記内側面からなる対向辺部が周方向に沿って4つ設けられ、互いに係合する1組の前記係合凹部および前記係合凸部は、4つの前記対向辺部ごとに、平面視で前記対向辺部の中心を通る中心線を挟んで少なくとも2組ずつ形成されている。
【0007】
本発明のカバー付きボトルの一つの態様によれば、互いに係合する1組の係合凹部および係合凸部は、4つの対向辺部ごとに、平面視で対向辺部の中心を通る中心線を挟んで少なくとも2組ずつ形成されている。そのため、カバーをボトル本体に対してボトル軸回りに回転させようとした場合、一方の組において係合凸部が係合凹部から脱離する向きに動こうとする一方で、他方の組において係合凸部が係合凹部の内面に押し付けられる向きに動こうとする。
【0008】
これにより、カバーをボトル本体に対してボトル軸回りのいずれの向きに回転させようとした場合であっても、各対向辺部のそれぞれにおいて2組の係合凹部および係合凸部のうちいずれか一方の組の係合凹部および係合凸部は、互いに強く当接する向きに相対的に動こうとする。したがって、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りに回転することを好適に抑制することができる。そのため、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りにずれることを抑制できる。これにより、ボトル本体の胴部が四角筒状であるカバー付きボトルにおいて、外観の意匠性が低下することを抑制できる。また、カバーがボトル本体から外れることを抑制できる。
【0009】
互いに係合する1組の前記係合凹部および前記係合凸部は、平面視において、前記中心線に対して線対称に配置されている構成としてもよい。
この構成によれば、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りに回転しようとして2組の係合凹部および係合凸部のいずれの組において係合凹部と係合凸部とが強く当接し合う向きに動こうとした場合であっても、係合凹部と係合凸部との係合によってカバーの回転を阻止する向きに生じる力を同程度に得ることができる。これにより、カバーをボトル本体に対してボトル軸回りのいずれの向きに回転させようとした場合であっても、カバーがボトル本体に対してずれることを好適に抑制できる。
また、各対向辺部において2組の係合凹部および係合凸部における各組が線対称に配置されることで、ボトル本体の形状およびカバーの形状が複雑化することを抑制できる。そのため、カバー付きボトルの製造コストが増大することを抑制できる。
【0010】
前記ボトル本体には、パーティングラインが形成され、前記パーティングラインは、前記段差部に形成された段差ライン部を有し、前記段差ライン部は、平面視において、前記段差部の対角線に沿って延び、前記係合凹部は、前記段差部の前記外側面に形成され、前記係合凹部の形状は、平面視において、前記係合凹部が形成された前記外側面が延びる方向に互いに対向して配置される一対の対向面を有する形状であり、平面視において、前記一対の対向面のうち、前記係合凹部が形成された前記外側面が延びる方向において前記段差ライン部から遠い側に位置する前記対向面に接する接線と、前記段差ライン部と、が前記係合凹部と前記段差ライン部との周方向の間で成す角度は、90°以上となっている構成としてもよい。
【0011】
ここで、上下方向と直交する方向に分割された一対の成形金型を組み合わせてボトル本体を成形する場合、パーティングラインのうち肩部に形成された部分は、平面視において、一対の成形金型が分割された方向と直交する方向に延びるように形成される。一対の成形金型が分割された方向とは、ボトル本体の成形後に一対の成形金型を移動させて取り外す方向でもある。このとき、成形するボトル本体の形状が複雑である場合などには、一対の成形金型ではボトル本体を成形した後に各成形金型を抜けず、3つ以上の成形金型を用いる必要がある場合などがある。この場合、ボトル本体の製造コストが増大する虞がある。
【0012】
これに対して、上記の構成によれば、パーティングラインの段差ライン部を平面視で段差部の対角線に沿って形成されるように配置し、かつ、段差ライン部から遠い側の対向面を、平面視において対向面に接する接線と段差ライン部とが成す角度が90°以上となるような形状とすることで、複数の係合凹部が段差部に形成されたボトル本体を、一対の成形金型を用いて製造することができる。より具体的には、成形金型を抜く際に、係合凹部内に位置していた成形金型の部分が成形された係合凹部の内面と干渉することがない。したがって、平面視で段差ライン部が延びる方向と直交する方向に分割された一対の成形金型によって、複数の係合凹部が段差部の各外側面に2つずつ形成された形状のボトル本体を成形することができる。そのため、ボトル本体の製造コストが増大することを抑制できる。
【0013】
前記ボトル本体は、二軸延伸ブローボトルである構成としてもよい。
二軸延伸ブローボトルは、射出成形などにより成形されたプリフォーム(1次成形品)が二軸延伸ブロー成形されることで形成される。ここで、ボトル本体を二軸延伸ブロー成形により成形する際には、まずボトル本体の口部が形成されたプリフォームを射出成形などで成形し、成形された口部を径方向外側から成形金型で挟み込んで固定して、二軸延伸ブロー成形を行う。そのため、例えば、係合凹部または係合凸部が口部に形成されていると、二軸延伸ブロー成形を行う際に、成形金型のうち口部を固定する部分の形状を変更する必要がある、成形金型による口部の固定が不安定になる、などの不具合が生じる虞があった。
【0014】
これ対して、上記の構成によれば、二軸延伸ブローボトルであるボトル本体において係合凹部は、肩部に形成された段差部に形成されている。そのため、口部が形成されたプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を行う場合であっても、口部を固定する成形金型の形状を変更する必要がなく、成形金型による口部の固定が不安定になることも抑制できる。これにより、ボトル本体を二軸延伸ブロー成形によって低コストかつ安定して製造することが可能となる。このように、カバーの回転を抑制するための係合凹部を、単にボトル本体に形成するだけでなく、ボトル本体のうちでも肩部に形成することによって、ボトル本体を二軸延伸ブローボトルとする場合に、ボトル本体の製造コストが増大することを効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの態様によれば、カバーがボトル本体に対してボトル軸回りにずれることを抑制できる構造を有するカバー付きボトルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態のカバー付きボトルを示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のカバー付きボトルを上方から見た平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のボトル本体の一部を上方から見た平面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のカバー付きボトルの一部を上方から見た平面図であって、カバーをボトル本体に対してボトル軸回りに回転させようとした場合について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るカバー付きボトルついて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0018】
本実施形態のカバー付きボトル1は、
図1および
図2に示すように、平面視で四角形状を呈する有底筒状の胴部11を有し内容物が収容されるボトル本体10と、ボトル本体10の口部13に着脱可能に取り付けられた有頂円筒状のキャップ20と、ボトル本体10の肩部12に取り付けられたカバー30と、を備える。
本実施形態では、ボトル本体10、キャップ20、およびカバー30の各中心軸は、共通の軸線上に配置されている。以下、この共通の軸線をボトル軸Oと呼び、ボトル軸Oに沿う方向を上下方向(Z軸方向)と呼ぶ。また、ボトル本体10に対してキャップ20が位置する側(+Z側)を上側または上方と呼び、逆側(-Z側)を下側または下方と呼ぶ。また、平面視において、ボトル軸Oに交差する方向を径方向と呼び、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。なお、本明細書において「平面視」とは、対象を上方から見ることを意味する。
【0019】
ボトル本体10の内部に収容される内容物は、特に限定されない。本実施形態においてボトル本体10は、射出成形などによって有底筒状に成形されたプリフォーム(1次成形品)が二軸延伸ブロー成形されて形成される二軸延伸ブローボトルである。
図2に示すように、ボトル本体10には、二軸延伸ブロー成形によって成形された際に形成されたパーティングラインPLが形成されている。パーティングラインPLのうち肩部12に形成された部分は、平面視において、四角形状を呈する胴部11の対角線に沿って延びている。パーティングラインPLのうち肩部12に形成された部分は、後述する段差部15に形成された段差ライン部PLaを有する。段差ライン部PLaは、平面視において、四角形状を呈する胴部11の対角線に沿って延びている。
【0020】
なお、本明細書において「四角」とは、4つの角を有することを意味し、当該角は、丸面取りされたような丸みを帯びた角であってもよい。つまり、本明細書において「或る対象が四角形状を呈する」とは、或る対象が鋭角な四角形状を呈する場合と、或る対象が角丸の四角形状を呈する場合と、を含む。また、本明細書において「或る対象が四角筒状である」とは、或る対象を筒の軸方向に見た場合に、或る対象の外形が鋭角な四角形状を呈する場合と、或る対象の外形が角丸の四角形状を呈する場合と、を含む。
【0021】
ボトル本体10は、
図1に示すように、胴部11と、肩部12と、口部13と、を有する。胴部11と肩部12と口部13とは、下方から上方に向かって、この順に連設されている。
本実施形態において胴部11は、
図2に示すように、平面視において、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形状である。
【0022】
口部13は、
図1に示すように、肩部12を介して胴部11の上側に繋がっている。口部13は、ボトル軸Oと同軸に配置され、上方に開口する円筒状である。口部13の外径は、胴部11の径方向の寸法よりも小さい。口部13には、キャップ20が着脱可能に螺着されている。なお、口部13には、キャップ20がアンダーカット嵌合により着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0023】
口部13におけるキャップ20が螺着する部分よりも下側の部分には、径方向外側に突出する環状突起部14が形成されている。環状突起部14は、ボトル軸Oと同軸に配置された円環状である。環状突起部14は、口部13に取り付けられた状態のキャップ20よりも下方に位置する。本実施形態において口部13の内周面は、ボトル軸Oと同軸に配置された円筒状であり、滑らかな曲面である。
本実施形態において口部13は、射出成形により成形されたインジェクション成形口元である。口部13は、射出成形によってプリフォーム(1次成形品)が成形される際に、プリフォームの一部として成形される。プリフォームに形成された口部13は、プリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を行う際に、形状が変化しない。
【0024】
肩部12は、胴部11の上端部から口部13の下端部まで径方向内側に広がっている。肩部12は、胴部11と口部13とを繋いでいる。肩部12は、ボトル軸Oを囲む四角枠状である。
図2に示すように、平面視における肩部12の外縁は、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形状である。平面視における肩部12の内縁は、ボトル軸Oと同軸に配置された円形状である。
【0025】
肩部12には、上方に突出し平面視で外縁が四角形状を呈する段差部15が形成されている。段差部15は、肩部12の上面を径方向外側から径方向内側に辿る際に上方に突出する段差である。本実施形態において段差部15は、平面視において、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形状である。平面視において、段差部15の対角線は、胴部11の対角線と一致している。つまり、本実施形態においてパーティングラインPLの段差ライン部PLaは、平面視において、段差部15の対角線に沿って延びている。
【0026】
段差部15は、4つの外側面15aを有する。4つの外側面15aは、平面視で四角形状を呈する段差部15の外縁における各辺をそれぞれ構成する面である。各外側面15aは、上下方向と直交する方向を向く段差面である。4つの外側面15aは、上下方向と直交する第1方向Xに延びる一対の外側面15aと、上下方向および第1方向Xの両方と直交する第2方向Yに延びる一対の外側面15aと、を含む。第1方向Xは、
図2における横方向であり、X軸で示される方向である。第2方向Yは、
図2における縦方向であり、Y軸で示される方向である。
【0027】
第1方向Xに延びる一対の外側面15aは、第2方向Yを向く面であり、互いに第2方向Yに間隔を空けて配置されている。第1方向Xに延びる一対の外側面15aは、互いに他方の外側面15aが位置する側と逆側を向いている。第2方向Yに延びる一対の外側面15aは、第1方向Xを向く面であり、互いに第1方向Xに間隔を空けて配置されている。第2方向Yに延びる一対の外側面15aは、互いに他方の外側面15aが位置する側と逆側を向いている。各外側面15aは、
図1に示すように、上方に向かうに従って各外側面15aが向く側と逆側(径方向内側)に位置する傾斜面である。外側面15aは、段差部15のうち後述する第2外壁部(嵌合枠部)35と対向する面である。
【0028】
本実施形態において段差部15には、
図2に示すように、係合凹部16が形成されている。係合凹部16は、段差部15の外縁に形成されている。本実施形態において係合凹部16は、各外側面15aに2つずつ形成されている。つまり、本実施形態において係合凹部16は、合計で8つ形成されている。第1方向Xに延びる外側面15aに形成された係合凹部16は、第2方向Yに窪んでいる。第2方向Yに延びる外側面15aに形成された係合凹部16は、第1方向Xに窪んでいる。各係合凹部16は、上方に開口している。
【0029】
各外側面15aに形成された2つの係合凹部16は、平面視において、各外側面15aによって構成される段差部15の外縁の一辺の中心を通る中心線CLを挟んで配置されている。中心線CLは、平面視においてボトル軸Oを通る仮想線である。
図2では、中心線CLとして、第1方向Xに延びる中心線CLxと、第2方向Yに延びる中心線CLyと、が示されている。中心線CLxは、平面視において、第2方向Yに延びる一対の外側面15aの第2方向Yの中心を通っている。中心線CLyは、平面視において、第1方向Xに延びる一対の外側面15aの第1方向Xの中心を通っている。
【0030】
各外側面15aに形成された2つの係合凹部16は、平面視において、各外側面15aの中心を通る中心線CLから同じ距離となる位置に形成されている。本実施形態において各外側面15aに形成された2つの係合凹部16は、平面視において、各外側面15aの中心を通る中心線CLに対して線対称に配置されている。つまり、平面視において、第1方向Xに延びる外側面15aに形成された2つの係合凹部16は、第2方向Yに延びる中心線CLyに対して線対称に配置されている。平面視において、第2方向Yに延びる外側面15aに形成された2つの係合凹部16は、第1方向Xに延びる中心線CLxに対して線対称に配置されている。
【0031】
第1方向Xに延びる一対の外側面15aのうち、一方の外側面15aに形成された2つの係合凹部16と、他方の外側面15aに形成された2つの係合凹部16とは、平面視において、第1方向Xに延びる中心線CLxに対して線対称に配置されている。
第2方向Yに延びる一対の外側面15aのうち、一方の外側面15aに形成された2つの係合凹部16と、他方の外側面15aに形成された2つの係合凹部16とは、平面視において、第2方向Yに延びる中心線CLyに対して線対称に配置されている。
本実施形態において、8つの係合凹部16は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称に配置されている。段差部15は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称となる形状である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態において係合凹部16の形状は、平面視において、一対の対向面16a,16bを有する形状である。一対の対向面16a,16bは、係合凹部16が設けられた外側面15aが延びる方向に互いに対向して配置されている。一対の対向面16a,16bは、係合凹部16の内端16cにおいて互いに繋がっている。一対の対向面16a,16bは、平面視において、係合凹部16の内端16cから外側面15aに向かうに従って互いに離れる向きに傾いて延びている。
【0033】
本実施形態において、一対の対向面16a,16bは、平面視において、他方の対向面との接続部分および外側面15aとの接続部分において丸みを帯びた形状であり、他方の対向面および外側面15aに対して滑らかに繋がっている。一対の対向面16a,16bは、平面視において、係合凹部16が形成された外側面15aが延びる方向と直交する方向に延びる中心線CLcに対して線対称に配置されている。中心線CLcは、平面視において、係合凹部16の内端16cを通る仮想線である。
【0034】
対向面16bは、対向面16aに対して、段差ライン部PLaから離れる側、つまり
図3の例では左側に配置されている。対向面16bは、一対の対向面16a,16bのうち、係合凹部16が形成された外側面15aが平面視で延びる方向において段差ライン部PLaから遠い側に位置する対向面である。
【0035】
平面視において、対向面16aに接する接線TLaは、段差ライン部PLaが延びる方向、つまり段差部15の対角線が延びる方向と平行な方向に延びている。平面視において、対向面16bに接する接線TLbは、段差ライン部PLaが延びる方向と直交する方向、つまり段差部15の対角線が延びる方向と直交する方向に延びている。平面視において、対向面16bに接する接線TLbと、段差ライン部PLaと、が係合凹部16と段差ライン部PLaとの周方向の間で成す角度θ1は、90°となっている。角度θ1は、平面視において、接線TLbのうち段差ライン部PLaとの交点から対向面16bに向かって延びる線分と、段差ライン部PLaのうち接線TLbとの交点から径方向外側に延びる線分と、が成す角度のうち、小さい方の角度である。本実施形態において接線TLaと接線TLbとは、平面視において、互いに直交する方向に延びている。
【0036】
カバー30は、
図1および
図2に示すように、口部13の下端部を囲み、肩部12に取り付けられた四角枠状の部材である。カバー30は、肩部12の上方に位置する。
図2に示すように、本実施形態においてカバー30の外縁は、平面視において、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形状である。カバー30は、
図1に示すように、円筒部31と、第1天壁部32と、第1外壁部33と、第2天壁部34と、第2外壁部(嵌合枠部)35と、を有する。
【0037】
円筒部31は、ボトル軸Oと同軸に配置され、上下方向の両側に開口する円筒状である。円筒部31は、口部13に形成された環状突起部14に外嵌されている。
第1天壁部32は、円筒部31の上端部から径方向外側に広がっている。第1天壁部32は、円筒部31の上端部と第1外壁部33の上端部とを繋いでいる。
図2に示すように、平面視において、第1天壁部32の外縁は、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形状である。
【0038】
第1外壁部33は、
図1に示すように、第1天壁部32の径方向外周縁部から下方に突出している。第1外壁部33は、円筒部31の径方向外側に位置し、円筒部31を囲む四角枠状である。
図2に示すように、第1外壁部33は、平面視において、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形枠状である。
第2天壁部34は、
図1に示すように、第1外壁部33の下端部から径方向外側に広がっている。第2天壁部34は、第1外壁部33の下端部と第2外壁部35の上端部とを繋いでいる。
図2に示すように、第2天壁部34は、平面視において、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形枠状である。
【0039】
第2外壁部35は、
図1に示すように、第2天壁部34の径方向外周縁部から下方に突出している。第2外壁部35は、ボトル軸Oを囲む四角枠状である。
図2に示すように、本実施形態において第2外壁部35は、ボトル軸Oを中心とする角丸の正方形枠状である。本実施形態において第2外壁部35は、段差部15に外嵌された嵌合枠部に相当する。
図1に示すように、第2外壁部35の下端部が、段差部15に外嵌されている。第2外壁部35の下端部は、肩部12のうち段差部15よりも径方向外側に位置する部分に上方から接触している。
【0040】
第2外壁部35は、
図2に示すように、4つの内側面35aを有する。4つの内側面35aは、平面視で四角形状を呈する第2外壁部35の内縁における各辺をそれぞれ構成する面である。各内側面35aは、上下方向と直交する方向を向く面である。4つの内側面35aは、第1方向Xに延びる一対の内側面35aと、第2方向Yに延びる一対の内側面35aと、を含む。第1方向Xに延びる一対の内側面35aは、第2方向Yを向く面であり、第2方向Yに間隔を空けて配置されている。第1方向Xに延びる一対の内側面35aは、互いに他方の内側面35aが位置する側を向いている。第2方向Yに延びる一対の内側面35aは、第1方向Xを向く面であり、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。第2方向Yに延びる一対の内側面35aは、互いに他方の内側面35aが位置する側を向いている。
【0041】
4つの内側面35aのそれぞれは、段差部15における4つの外側面15aのそれぞれの外側に位置し、各外側面15aと対向して配置されている。これにより、カバー付きボトル1における段差部15とカバー30との間には、互いに対向した1つの外側面15aおよび1つの内側面35aからなる対向辺部40が周方向に沿って4つ設けられている。4つの対向辺部40は、第1方向Xに延びる一対の対向辺部40と、第2方向Yに延びる一対の対向辺部40と、を含む。
図2に示す中心線CLxは、平面視において、第2方向Yに延びる一対の対向辺部40の第2方向Yの中心を通っている。
図2に示す中心線CLyは、平面視において、第1方向Xに延びる一対の対向辺部40の第1方向Xの中心を通っている。
【0042】
第2外壁部35には、係合凸部36が形成されている。係合凸部36は、第2外壁部35の内縁に形成されている。本実施形態において係合凸部36は、各内側面35aに2つずつ形成されている。つまり、本実施形態において係合凸部36は、合計で8つ形成されている。各係合凸部36は、各係合凹部16内に挿入されて係合凹部16に係合される。このように、係合凹部16と係合凸部36とは、4つの対向辺部40ごとに少なくとも2組ずつ形成されている。
【0043】
第1方向Xに延びる内側面35aに形成された係合凸部36は、第2方向Yに突出している。第2方向Yに延びる内側面35aに形成された係合凸部36は、第1方向Xに突出している。係合凸部36の先端部は、丸みを帯びている。係合凸部36の先端部の外縁は、平面視において、係合凹部16の内面に向かって凸となる半円弧状である。各係合凸部36の上端部は、
図1に示すように、第2天壁部34の下端面に繋がっている。
【0044】
図2に示すように、各内側面35aに形成された2つの係合凸部36は、平面視において、中心線CLを挟んで配置されている。各内側面35aに形成された2つの係合凸部36は、平面視において、各内側面35aの中心を通る中心線CLから同じ距離となる位置に形成されている。本実施形態において各内側面35aに形成された2つの係合凸部36は、平面視において、各内側面35aの中心を通る中心線CLに対して線対称に配置されている。つまり、平面視において、第1方向Xに延びる内側面35aに形成された2つの係合凸部36は、第2方向Yに延びる中心線CLyに対して線対称に配置されている。平面視において、第2方向Yに延びる内側面35aに形成された2つの係合凸部36は、第1方向Xに延びる中心線CLxに対して線対称に配置されている。
【0045】
第1方向Xに延びる一対の内側面35aのうち、一方の内側面35aに形成された2つの係合凸部36と、他方の内側面35aに形成された2つの係合凸部36とは、平面視において、第1方向Xに延びる中心線CLxに対して線対称に配置されている。
第2方向Yに延びる一対の内側面35aのうち、一方の内側面35aに形成された2つの係合凸部36と、他方の内側面35aに形成された2つの係合凸部36とは、平面視において、第2方向Yに延びる中心線CLyに対して線対称に配置されている。
【0046】
本実施形態において、8つの係合凸部36は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称に配置されている。カバー30は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称となる形状である。
本実施形態において、8組の係合凹部16および係合凸部36は、平面視において、ボトル軸O回りに回転対称に配置されている。本実施形態において、8組の係合凹部16および係合凸部36は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称に配置されている。
【0047】
本実施形態によれば、互いに係合する1組の係合凹部16および係合凸部36は、4つの対向辺部40ごとに、平面視で対向辺部40の中心を通る中心線CLを挟んで少なくとも2組ずつ形成されている。そのため、
図4に示すように、カバー30をボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転させようとした場合、一方の組において係合凸部36が係合凹部16から脱離する向きに動こうとする一方で、他方の組において係合凸部36が係合凹部16の内面に押し付けられる向きに動こうとする。
【0048】
具体的に
図4の例では、ボトル本体10に対して、カバー30を上方から見てボトル軸Oを中心とする時計回りの向きに回転させようとしている場合を示している。
図4においては、例えば第2方向Yの一方側(+Y側)に位置する対向辺部40に設けられた2組の係合凹部16および係合凸部36において、中心線CLyよりも左側(-X側)に位置する係合凸部36は、矢印で示すように、周方向のうち係合凹部16から抜け出る向きに動こうとする。一方、中心線CLxよりも右側に位置する係合凸部36は、矢印で示すように、周方向のうち係合凹部16の対向面16aに押し付けられる向きに動こうとする。
【0049】
これにより、カバー30をボトル本体10に対してボトル軸O回りのいずれの向きに回転させようとした場合であっても、各対向辺部40のそれぞれにおいて2組の係合凹部16および係合凸部36のうちいずれか一方の組の係合凹部16および係合凸部36は、互いに強く当接する向きに相対的に動こうとする。したがって、カバー30がボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転することを好適に抑制することができる。そのため、カバー30がボトル本体10に対してボトル軸O回りにずれることを抑制できる。これにより、ボトル本体10の胴部11が四角筒状であるカバー付きボトル1において、外観の意匠性が低下することを抑制できる。また、カバー30がボトル本体10から外れることを抑制できる。
【0050】
また、カバー30をボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転させようとする場合、係合凹部16から抜け出る向きに動こうとする係合凸部36と、係合凹部16の対向面16a,16bに押し付けられる向きに動こうとする係合凸部36とは、周方向に沿って、交互に配置される。そのため、係合凹部16から抜け出る向きに動こうとする係合凸部36の周方向両側に隣り合う各係合凸部36が、係合凹部16の対向面16a,16bに押し付けられる向きに動こうとする係合凸部36となる。これにより、係合凹部16から抜け出る向きに動こうとする係合凸部36の周方向両側において、係合凹部16と係合凸部36との係合によりカバー30の回転を阻止する向きに力を生じさせることができる。したがって、カバー30がボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転することをより好適に抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、互いに係合する1組の係合凹部16および係合凸部36は、平面視において、中心線CLに対して線対称に配置されている。そのため、カバー30がボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転しようとして2組の係合凹部16および係合凸部36のいずれの組において係合凹部16と係合凸部36とが強く当接し合う向きに動こうとした場合であっても、係合凹部16と係合凸部36との係合によってカバー30の回転を阻止する向きに生じる力を同程度に得ることができる。これにより、カバー30をボトル本体10に対してボトル軸O回りのいずれの向きに回転させようとした場合であっても、カバー30がボトル本体10に対してずれることを好適に抑制できる。
また、各対向辺部40において2組の係合凹部16および係合凸部36における各組が線対称に配置されることで、ボトル本体10の形状およびカバー30の形状が複雑化することを抑制できる。そのため、カバー付きボトル1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、係合凹部16および係合凸部36の各組は、平面視において、ボトル軸O回りに4回対称に配置されている。そのため、4つの対向辺部40のいずれにおいても、係合凹部16と係合凸部36との係合によってカバー30の回転を阻止する向きに生じる力を同程度に得ることができる。これにより、各対向辺部40のいずれにおいてもカバー30の回転を阻止する向きに生じる力を好適に生じさせやすく、カバー30がボトル本体10に対してずれることをより好適に抑制できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ボトル本体10には、段差部15に形成された段差ライン部PLaを有するパーティングラインPLが形成されている。段差ライン部PLaは、平面視において、段差部15の対角線に沿って延びている。係合凹部16は、段差部15のうち嵌合枠部としての第2外壁部35と対向する外側面15aに形成されている。係合凹部16の形状は、平面視において、係合凹部16が形成された外側面15aが延びる方向に互いに対向して配置される一対の対向面16a,16bを有する形状である。平面視において、一対の対向面16a,16bのうち、係合凹部16が形成された外側面15aが延びる方向において段差ライン部PLaから遠い側に位置する対向面16bに接する接線TLbと、段差ライン部PLaと、が係合凹部16と段差ライン部PLaとの周方向の間で成す角度θ1は、90°となっている。
【0054】
ここで、上下方向と直交する方向に分割された一対の成形金型を組み合わせてボトル本体10を成形する場合、パーティングラインPLのうち肩部12に形成された部分は、平面視において、一対の成形金型が分割された方向と直交する方向に延びるように形成される。一対の成形金型が分割された方向とは、ボトル本体10の成形後に一対の成形金型を移動させて取り外す方向でもある。このとき、成形するボトル本体10の形状が複雑である場合などには、一対の成形金型ではボトル本体10を成形した後に各成形金型を抜けず、3つ以上の成形金型を用いる必要がある場合などがある。この場合、ボトル本体10の製造コストが増大する虞がある。
【0055】
これに対して、本実施形態では、パーティングラインPLの段差ライン部PLaを平面視で段差部15の対角線に沿って形成されるように配置し、かつ、段差ライン部PLaから遠い側の対向面16bを、平面視において対向面16bに接する接線TLbと段差ライン部PLaとが成す角度θ1が90°となるような形状とすることで、複数の係合凹部16が段差部15に形成されたボトル本体10を、一対の成形金型を用いて製造することができる。具体的に、例えば、
図3に示す係合凹部16を成形する成形金型は、平面視において段差ライン部PLaが延びる方向と直交する向き(
図3における左斜め上側の向き)に抜かれる。このとき、平面視において接線TLbと段差ライン部PLaとが係合凹部16と段差ライン部PLaとの周方向の間で成す角度θ1を90°とすることで、成形金型を当該向きに抜く際に、係合凹部16内に位置していた成形金型の部分が成形された係合凹部16の内面と干渉することがない。したがって、平面視で段差ライン部PLaが延びる方向と直交する方向に分割された一対の成形金型によって、複数の係合凹部16が段差部15の各外側面15aに2つずつ形成された形状のボトル本体10を成形することができる。そのため、ボトル本体10の製造コストが増大することを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ボトル本体10は、二軸延伸ブローボトルである。二軸延伸ブローボトルは、上述したように、射出成形などにより成形されたプリフォーム(1次成形品)が二軸延伸ブロー成形されることで形成される。ここで、ボトル本体10を二軸延伸ブロー成形により成形する際には、まず口部13が形成されたプリフォームを射出成形などで成形し、成形された口部13を径方向外側から成形金型で挟み込んで固定して、二軸延伸ブロー成形を行う。そのため、例えば、係合凹部または係合凸部が口部13に形成されていると、二軸延伸ブロー成形を行う際に、成形金型のうち口部13を固定する部分の形状を変更する必要がある、成形金型による口部13の固定が不安定になる、などの不具合が生じる虞があった。
【0057】
これ対して、本実施形態によれば、二軸延伸ブローボトルであるボトル本体10において係合凹部16は、肩部12に形成された段差部15に形成されている。そのため、口部13が形成されたプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を行う場合であっても、口部13を固定する成形金型の形状を変更する必要がなく、成形金型による口部13の固定が不安定になることも抑制できる。これにより、ボトル本体10を二軸延伸ブロー成形によって低コストかつ安定して製造することが可能となる。このように、本実施形態では、カバー30の回転を抑制するための係合凹部16を、単にボトル本体10に形成しただけでなく、ボトル本体10のうちでも肩部12に形成したことによって、ボトル本体10を二軸延伸ブローボトルとする場合に、ボトル本体10の製造コストが増大することを効果的に抑制できる。
【0058】
なお、二軸延伸ブロー成形においては、プリフォームのうち口部13を除いた部分が、成形金型内においてボトル軸方向(上下方向)および径方向に膨らみ、成形金型の内面形状に沿って成形される。このとき、二軸延伸ブロー成形によって成形されるボトル本体10の部分、つまり胴部11および肩部12は、内面の形状が外面の形状に沿った形状となる。
【0059】
一方、二軸延伸ブロー成形においては、プリフォームにおいてすでに形成されている口部13は、形状が変化しない。ここで、本実施形態では、プリフォームは射出成形により成形されているため、口部13も射出成形により成形されている。射出成形で成形される場合、二軸延伸ブロー成形で成形される場合と異なり、成形部分の内面形状と外面形状とを異ならせることができる。これにより、本実施形態では、口部13の外周面にはキャップ20が螺着されるネジ部および環状突起部14が形成されているのに対して、口部13の内周面は、滑らかな曲面となっている。
【0060】
また、例えば、本実施形態のようにボトル本体10が二軸延伸ブロー成形によって成形される場合において、係合凸部36が段差部15に形成されていると、係合凸部36も二軸延伸ブロー成形により成形され、係合凸部36が中空に形成される。そのため、係合凸部36の剛性が低下する虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、係合凸部36は、第2外壁部35の内側面35aに形成されている。つまり、係合凸部36がカバー30に形成されている。そのため、ボトル本体10を二軸延伸ブロー成形によって成形する場合であっても、カバー30を射出成形などで成形することにより、係合凸部36を中実に形成することができる。これにより、係合凸部36の剛性が低下することを抑制できる。したがって、係合凹部16と係合凸部36との係合によって、カバー30がボトル本体10に対してボトル軸O回りに回転することをより好適に抑制することができる。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、以下の構成および方法を採用することもできる。
ボトル本体が二軸延伸ブロー成形により成形される二軸延伸ブローボトルである場合、プリフォーム(1次成形品)は、射出成形以外の方法によって成形されてもよい。プリフォームは、例えば、押出ブロー成形によって成形されてもよい。ボトル本体は、押出ブロー成形などの二軸延伸ブロー成形以外のブロー成形により成形されるブロー成形ボトルであってもよい。ボトル本体は、ブロー成形以外の方法により成形されるボトルであってもよい。
【0062】
1組の係合凹部および係合凸部は、4つの対向辺部ごとに3組以上ずつ形成されていてもよい。1つの対向辺部に3組の係合凹部および係合凸部が設けられる場合、平面視において対向辺部の中心を通る中心線を挟んで形成される2組の係合凹部および係合凸部を除く残りの1組の係合凹部および係合凸部は、例えば、平面視において対向辺部の中心を通る中心線と重なる位置に形成されてもよい。1つの対向辺部に係合凹部と係合凸部とが4組以上の偶数組設けられる場合、半数の組と残りの半数の組とが、平面視において対向辺部の中心を通る中心線を挟んで形成されてもよい。各対向辺部に形成される係合凹部と係合凸部との組数は、2組以上であれば、互いに異なっていてもよい。
【0063】
係合凹部が嵌合枠部(第2外壁部35)に形成され、係合凸部が段差部に形成されてもよい。係合凹部の形状および係合凸部の形状は、特に限定されない。
係合凹部がボトル本体の段差部に形成される場合、平面視において、係合凹部における一対の対向面のうち段差ライン部から遠い側に位置する対向面に接する接線は、段差ライン部と直交する方向に対して、段差ライン部から離れるに従って一対の対向面のうち他方の対向面から離れる側に位置する向きに傾く方向に延びてもよい。言い換えれば、平面視において、係合凹部における一対の対向面のうち段差ライン部から遠い側に位置する対向面に接する接線と、段差ライン部と、が係合凹部と段差ライン部との周方向の間で成す角度は、90°より大きくてもよい。
【0064】
具体的に、
図3の例において対向面16bの接線は、平面視で段差ライン部PLaと直交する方向(
図3において接線TLbが延びる方向)に対して二点鎖線で示す接線TLcのように傾く方向に延びてもよい。平面視において接線TLcと段差ライン部PLaとが係合凹部16と段差ライン部PLaとの周方向の間で成す角度θ2は、90°よりも大きい。このような場合であっても、ボトル本体を成形する成形金型を平面視で段差ライン部と直交する方向に抜く際に、係合凹部内に位置していた成形金型の部分が成形された係合凹部の内面と干渉することがない。したがって、一対の成形金型によってボトル本体を好適に成形することができ、ボトル本体の製造コストが増大することを抑制できる。
【0065】
以上、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、相互に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…カバー付きボトル、10…ボトル本体、11…胴部、12…肩部、15…段差部、15a…外側面、16…係合凹部、16a,16b…対向面、30…カバー、35…第2外壁部(嵌合枠部)、35a…内側面、36…係合凸部、40…対向辺部、CL,CLx,CLy…中心線、PL…パーティングライン、PLa…段差ライン部、TLa,TLb,TLc…接線、θ1,θ2…角度