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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/68 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021001695
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106587
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
(72)【発明者】
【氏名】若井 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-125816(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125214(WO,A1)
【文献】実公平01-037113(JP,Y2)
【文献】特開平03-208979(JP,A)
【文献】特開2004-003251(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/125214(JP,A1)
【文献】実公平07-032872(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E06B 9/00- 9/18
9/24- 9/388
9/40- 9/50
9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
直流電力で駆動されて前記開閉手段を動作させる開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源の電力を直流電力に変換して前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低い電圧のバッテリとを備え、
前記電源供給装置は、前記商用電源の供給が無いときに、前記バッテリの出力を前記制御手段へ供給する電源切替手段を有し、
前記制御手段は、前記開閉機へ出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段の検出結果に応じて、前記開閉手段の動作の制御を変更する処理手段とを有し、
前記処理手段は、前記電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲内にあるとき、前記開閉手段の動作を所定速度に制御し、前記電圧検出手段の検出結果が前記第1の所定範囲よりも低い第2の所定範囲内にあるとき、前記開閉手段の動作を前記所定速度よりも低い速度に制御し、前記電圧検出手段の検出結果が前記第1の所定範囲と前記第2の所定範囲との間にあるとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記処理手段は、前記電圧検出手段の検出結果が前記第1の所定範囲を上回って高いとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1、又は2に記載の開閉体装置において、前記処理手段は、前記電圧検出手段の検出結果が前記第2の所定範囲を下回って低いとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
直流電力で駆動されて前記開閉手段を動作させる開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源の電力を直流電力に変換して前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低い電圧のバッテリとを備えた開閉体装置の制御方法であって、
前記商用電源の供給が無いときに、前記電源供給装置に設けた電源切替手段により、前記バッテリの出力を前記制御手段へ供給し、
前記制御手段から前記開閉機へ出力する直流電力の電圧を検出し、
検出結果に応じて、前記検出結果が第1の所定範囲内にあるとき、前記開閉手段の動作を所定速度に制御し、前記検出結果が前記第1の所定範囲よりも低い第2の所定範囲内にあるとき、前記開閉手段の動作を前記所定速度よりも低い速度に制御し、前記検出結果が前記第1の所定範囲と前記第2の所定範囲との間にあるとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉体装置の制御方法において、前記検出結果が前記第1の所定範囲を上回って高いとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項6】
請求項4、又は5に記載の開閉体装置の制御方法において、前記検出結果が前記第2の所定範囲を下回って低いとき、前記開閉手段の動作を停止させることを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に係り、特に、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、開閉体の動作を行うのに好適な開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に、電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。このような電動の開閉体装置では、例えば、停電時に所定の操作を行うことにより、開閉体自体が自重降下して全閉状態に保持されるように構成されているものがある。そこで、従来は、停電時において、全閉状態の開閉体を開放する際、例えば、開閉機の出力回転軸(回転軸)をその近傍に備え付けの手動操作用ハンドルで回転させるなど、手動により開閉体を巻き上げて開放するようにしていた。
【0004】
このような電動の開閉体装置の中には、火災による停電時でも、消防隊のホースを給水口(送水口)に連結し放水(送水)することによって、開閉体装置を電動にて動作させて開閉体を非常開放するように構成された非常電源装置を備えたものがある。非常電源装置は、バッテリからなる予備電源及びインバータ機器などの電子部品を搭載して構成されている。この非常電源装置には、開閉体装置の自動閉鎖装置、障害物感知装置、危害防止用連動中継器、起動ボタンを備えた操作スイッチ及び水圧スイッチなどの外部機器や外部電源線などが接続されている。このような非常電源装置を備えた開閉体装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。その他、商用電源の停電時に、発電機を使用して開閉機(モータ等)の制御装置へ電力を供給するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-83629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商用電源の停電時などに手動操作用ハンドルを用いて操作を行う場合、作業者が脚立や作業台などに上って上部に設けられた点検口を開放しながら、開閉体の開閉操作を行う必要があり、操作が大変面倒であった。一方、特許文献1に記載のような非常電源装置を設ける場合、予備電源として商用電源より低い電圧のバッテリを使用すると、昇圧回路等が必要となり、設備費用が増大する。一方、商用電源と同じ電圧のバッテリを使用すると、バッテリ自体が高価になると共に、高電圧のバッテリの設置や交換などにおける危険性が増大する。あるいは、発電機を使用する場合も、設備費用が増大し、かつ発電機への燃料の補給やオイル交換などのメンテナンスが必要であった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、開閉体の動作を容易に行うことができる開閉体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、直流電力で駆動されて開閉手段を動作させる開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源の電力を直流電力に変換して制御手段へ供給する電源供給装置と、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低い電圧のバッテリとを備え、電源供給装置が、商用電源の供給が無いときに、バッテリの出力を制御手段へ供給する電源切替手段を有し、制御手段が、開閉機へ出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段の検出結果に応じて、開閉手段の動作の制御を変更する処理手段とを有することにある。
【0009】
開閉手段を動作させる開閉機として、直流モータなどの直流電力で駆動される電気機器を使用する。電源供給装置から、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段へ、商用電源の電力を直流電力に変換して供給し、また、商用電源の供給が無いときは、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低い電圧のバッテリの出力を供給する。そして、制御手段に、開閉機へ出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出手段と処理手段とを設け、処理手段が、電圧検出手段の検出結果に応じて、開閉手段の動作の制御を変更する。電源供給装置は、バッテリの出力を、商用電源の電力を直流に変換した直流電力と同じ電圧にするための昇圧回路等が必要なく、安価な構成となり、また発電機への燃料の補給やオイル交換などのメンテナンスの必要が無く、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、開閉体の動作が容易に行われる。
【0010】
開閉手段は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部を電動で開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。開閉手段が、シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過してシャッターカーテンが下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも、開閉手段が開口部の下部に収納されて、上昇方式にて電動で開閉移動したり、開閉手段が側部に収納されて、スライド方式にて電動で移動したりすることもある。また、開閉手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
【0011】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、電源切替手段が、商用電源の供給が無いときに、バッテリの出力を制御手段へ自動的に供給する自動式の電源切替装置であることにある。
自動式の電源切替装置により、バッテリの出力を、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段へ供給することが可能となり、操作性が向上する。
【0012】
あるいは、本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、電源切替手段が、商用電源の供給が無いときに、操作者が手動で切り替える手動式の電源切替スイッチであることにある。
手動式の電源切替スイッチにより、バッテリの出力を、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段へ供給することが可能となり、自動式の電源切替装置を設ける場合に比べ、装置の設備費用を削減することが可能になると共に、装置の設置スペースが小さくなる。
【0013】
本発明の開閉体装置の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置において、処理手段が、電圧検出手段の検出結果がバッテリの電圧であるとき、電圧検出手段の検出結果が商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧であるときよりも、開閉手段の動作を低い速度に制御することにある。
商用電源の供給が無いときに制御手段へ供給されるバッテリの電圧は、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低いので、制御手段は、供給されたバッテリの電力を用い、商用電源の電力を直流に変換した直流電力が供給されたときよりも、開閉手段の動作を低速に制御することができる。
【0014】
本発明の開閉体装置の第5の特徴は、前記第1、第2、第3、又は第4の特徴に記載の開閉体装置において、処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度に制御し、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲よりも低い第2の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度よりも低い速度に制御することにある。
電圧検出手段の検出結果の第1の所定範囲は、開閉機へ出力する直流電力の電圧が、電源供給装置から供給された、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧である場合に相当している。また、電圧検出手段の検出結果の第2の所定範囲は、第1の所定範囲よりも低いので、開閉機へ出力する直流電力の電圧が、バッテリの電圧である場合に相当している。
処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度に制御するので、直流電力に変換する前の商用電源に、第1の所定範囲内で多少の電圧変動があっても、開閉手段の動作を所定速度に制御することができる。
また、処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲よりも低い第2の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度よりも低い速度に制御するので、バッテリの消耗により、バッテリの電圧に第2の所定範囲内で多少の電圧降下があっても、開閉手段の動作を所定速度よりも低速に制御することができる。
【0015】
本発明の開閉体装置の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体装置において、処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲と第2の所定範囲との間にあるとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
開閉機へ出力される直流電力の電圧が第1の所定範囲と第2の所定範囲との間にあるのは、商用電源の供給があり、直流電力に変換する前の商用電源に第1の所定範囲を下回る過大な電圧降下が生じた場合と、商用電源の供給がなく、バッテリの直流電力に第2の所定範囲を上回る異常な電圧上昇が生じた場合である。これらの場合に、開閉手段の動作が停止されて、安全が確保される。
【0016】
本発明の開閉体装置の第7の特徴は、前記第5、又は第6の特徴に記載の開閉体装置において、処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第1の所定範囲を上回って高いとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
直流電力に変換する前の商用電源に第1の所定範囲を上回る過大な電圧上昇があっても、開閉手段の動作を停止して、安全を確保することができる。
【0017】
本発明の開閉体装置の第8の特徴は、前記第5、第6、又は第7の特徴に記載の開閉体装置において、処理手段が、電圧検出手段の検出結果が第2の所定範囲を下回って低いとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
バッテリの消耗により、バッテリの電圧に第2の所定範囲を下回る過大な電圧低下があっても、開閉手段の動作を停止して、安全を確保することができる。
【0018】
本発明の開閉体装置の制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、直流電力で駆動されて開閉手段を動作させる開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源の電力を直流電力に変換して制御手段へ供給する電源供給装置と、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低い電圧のバッテリとを備えた開閉体装置の制御方法であって、商用電源の供給が無いときに、電源供給装置に設けた電源切替手段により、バッテリの出力を制御手段へ供給し、制御手段から開閉機へ出力する直流電力の電圧を検出し、検出結果に応じて、制御手段による開閉手段の動作の制御を変更することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0019】
本発明の開閉体装置の制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、電源切替手段として、商用電源の供給が無いときに、バッテリの出力を制御手段へ自動的に供給する自動式の電源切替装置を用いることにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0020】
あるいは、本発明の開閉体装置の制御方法の第3の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、源切替手段として、商用電源の供給が無いときに、操作者が手動で切り替える手動式の電源切替スイッチを用いることにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0021】
本発明の開閉体装置の制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、検出結果がバッテリの電圧であるとき、検出結果が商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧であるときよりも、開閉手段の動作を低い速度に制御することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0022】
本発明の開閉体装置の制御方法の第5の特徴は、前記第1、第2、第3、又は第4の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、検出結果が第1の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度に制御し、検出結果が第1の所定範囲よりも低い第2の所定範囲内にあるとき、開閉手段の動作を所定速度よりも低い速度に制御することにある。
これは、前記第5の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0023】
本発明の開閉体装置の制御方法の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、検出結果が第1の所定範囲と第2の所定範囲との間にあるとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
これは、前記第6の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0024】
本発明の開閉体装置の制御方法の第7の特徴は、前記第5、又は第6の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、検出結果が第1の所定範囲を上回って高いとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
これは、前記第7の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0025】
本発明の開閉体装置の制御方法の第8の特徴は、前記第5、第6、又は第7の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、検出結果が第2の所定範囲を下回って低いとき、開閉手段の動作を停止させることにある。
これは、前記第8の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の開閉体装置によれば、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、開閉体の動作を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】電源供給装置の回路構成の一例を示す図である。
図4】電源供給装置の回路構成の他の例を示す図である。
図5】本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。
図6】制御装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って、本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0029】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、直流モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知装置185、操作スイッチ19、電源供給装置20、及びバッテリ30などを含んで構成される。
【0030】
この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機である直流モータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている。
【0031】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0032】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、直流モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、直流モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、直流モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0033】
直流モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。直流モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、直流モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0034】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから電源供給装置20を介して直流電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号や、障害物感知装置185からの感知信号、及びモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0035】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は、無線型リモコン装置によっても操作可能としてもよい。
【0036】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0037】
障害物感知装置185は、送信機がシャッターカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。障害物感知装置185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。また、シャッターカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0038】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源供給装置20から供給された直流電力により、操作スイッチ19、障害物感知装置185、及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、直流モータ17を制御する。
なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0039】
図3は、電源供給装置の回路構成の一例を示す図である。本例の電源供給装置20は、整流器21、平滑コンデンサ22、リレースイッチ23、及び電源切替装置24を含んで構成されている。整流器21は、例えばダイオードブリッジ回路などから構成され、商用電源の電源ラインACから供給された交流電力を、直流電力に変換して出力する。整流器21から出力された直流電力は、平滑コンデンサ22を介して、制御装置18へ供給される。
【0040】
リレースイッチ23は、商用電源の停電時に自動的に切り替わる自動スイッチである。電源切替装置24は、普段、バッテリ30に接続されておらず、商用電源の停電時に、リレースイッチ23の切り替わりにより、電源ラインACからの商用電源の電力の供給が途絶えたことを検出して、バッテリ30に接続され、バッテリ30の出力を制御装置18へ供給する。ここで、バッテリ30の出力電圧は、整流器21によって商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧よりも低くなっている。
なお、商用電源の停電が解消した際、電源切替装置24は、リレースイッチ23の切り替わりにより、電源ラインACからの商用電源が回復したことを検出して、バッテリ30との接続を切り離す。
【0041】
図3に示した例によれば、リレースイッチ23及び自動式の電源切替装置24により、バッテリ30の出力を、シャッターカーテン12の動作を電動で制御する制御装置18へ供給することが可能となり、操作性が向上する。
【0042】
図4は、電源供給装置の回路構成の他の例を示す図である。本例では、図3に示した例のリレースイッチ23及び電源切替装置24の代わりに、電源切替スイッチ24’が設けられている。電源切替スイッチ24’は、停電時など商用電源の供給が無い場合に、操作者が手動で切り替えるための手動スイッチである。その他の構成は、図3に示した例と同様である。
【0043】
図4に示した例によれば、手動式の電源切替スイッチ24’により、バッテリ30の出力を、シャッターカーテン12の動作を電動で制御する制御装置18へ供給することが可能となり、リレースイッチ23及び自動式の電源切替装置24を設ける場合に比べ、装置の設備費用を削減することが可能になると共に、装置の設置スペースが小さくなる。
【0044】
図5は、本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。本実施の形態の制御装置18は、IPM(Intelligent Power Module:高機能電力用半導体素子)ドライバ18a、CPU18b、DC/DCコンバータ18c、電圧検出回路18d、及びA/D変換回路18eなどを含んで構成されている。
【0045】
電源供給装置20から制御装置18へ供給された直流電力は、IPMドライバ18aへ入力され、IPMドライバ18aは、CPU18bの制御により、直流モータ17へ直流電力を出力して、直流モータ17を駆動する。DC/DCコンバータ18cは、電源供給装置20から制御装置18へ供給された直流電力を降圧して、CPU18bの動作に必要な電圧(例えば、DC3.3V)をCPU18bへ出力する。
【0046】
電圧検出回路18dは、直流モータ17へ出力する直流電力の電圧を検出して、検出信号を出力する。A/D変換回路18eは、電圧検出回路18dから出力された検出信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換して、CPU18bへ出力する。CPU18bは、A/D変換回路18eによってディジタル化された電圧検出回路18dの検出信号に応じて、以下に説明する制御動作を行う。
【0047】
図6は、制御装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。本例は、商用電源の電圧を100Vとし、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧の第1の所定値を100V、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧の第1の所定範囲を、第1の所定値から±10%の範囲の110V~90Vとしたものである。
また、バッテリ30の電圧を24Vとし、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧の第2の所定値を24V、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧の第2の所定範囲を、第2の所定値を上限としてそこから-4Vの範囲の24V~20Vとしたものである。
【0048】
まず、制御装置18のCPU18bは、電圧検出回路18dの検出信号から、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の上限の110Vを上回っているか否かを判断する(ステップ601)。直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の上限の110Vを上回っている場合、CPU18bは、過電圧異常として、シャッターカーテン12の動作を停止させる(ステップ602)。そして、フローの最初に戻る。
直流電力に変換する前の商用電源に、第1の所定範囲を上回る過大な電圧上昇があっても、シャッターカーテン12の動作が停止され、安全が確保される。
【0049】
直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の上限の110Vを上回っていない場合、CPU18bは、次に、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の下限の90V以上であるか否かを判断する(ステップ603)。直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の下限の90V以上である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の動作速度を、所定速度(例えば1,500rpm)に制御する通常制御を行う(ステップ604)。そして、フローの最初に戻る。
直流電力に変換する前の商用電源に、第1の所定範囲内で多少の電圧変動があっても、シャッターカーテン12の動作を、所定速度に制御することができる。
【0050】
直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲の下限の90V以上でない場合、CPU18bは、次に、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の上限の24Vを上回っているか否かを判断する(ステップ605)。直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の上限の24Vを上回っている場合、CPU18bは、何れかの電圧異常として、シャッターカーテン12の動作を停止させる(ステップ606)。そして、フローの最初に戻る。
直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第1の所定範囲と第2の所定範囲との間にあるのは、商用電源の供給があり、直流電力に変換する前の商用電源に、第1の所定範囲を下回る過大な電圧降下が生じた場合と、商用電源の供給がなく、バッテリ30の電圧に、第2の所定範囲を上回る異常な電圧上昇が生じた場合である。これらの場合に、シャッターカーテン12の動作が停止されて、安全が確保される。
【0051】
直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の上限の24Vを上回っていない場合、CPU18bは、次に、直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の下限の20V以上であるか否かを判断する(ステップ607)。直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の下限の20V以上である場合、CPU18bは、シャッターカーテン12の動作速度を、所定速度(例えば、1,500rpm)よりも低い速度(例えば、300rpm)に制御する低速制御を行う(ステップ608)。そして、フローの最初に戻る。
バッテリ30の消耗により、バッテリ30の電圧に第2の所定範囲内で多少の電圧降下があっても、シャッターカーテン12の動作を、所定速度よりも低速に制御することができる。
【0052】
直流モータ17へ出力される直流電力の電圧が、第2の所定範囲の下限の20V以上でない場合、CPU18bは、バッテリ30の消耗によって電圧が低下したものとして、シャッターカーテン12の動作を停止させる(ステップ609)。そして、フローの最初に戻る。
バッテリ30の消耗により、バッテリ30の電圧に第2の所定範囲を下回る過大な電圧低下があっても、シャッターカーテン12の動作が停止されて、安全が確保される。
【0053】
以上説明した実施の形態によれば、電源供給装置20は、バッテリ30の出力を、商用電源の電力を直流に変換した直流電力と同じ電圧にするための昇圧回路等が必要なく、安価な構成となり、また発電機への燃料の補給やオイル交換などのメンテナンスの必要が無く、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、シャッターカーテン12の動作が容易に行われる。従って、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、商用電源が供給されている通常時も、停電などで商用電源の供給が無い時でも、シャッターカーテン12の動作を容易に行うことが可能となる。
【0054】
そして、商用電源の供給が無いときに制御装置18へ供給されるバッテリ30の電圧は、商用電源の電力を直流に変換した直流電力の電圧より低いので、制御装置18は、供給されたバッテリ30の電力を用い、商用電源の電力を直流に変換した直流電力が供給されたときよりも、シャッターカーテン12の動作を低速に制御することができる。
【0055】
本発明の開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…直流モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
18a…IPMドライバ
18b…CPU
18c…DC/DCコンバータ
18d…電圧検出回路
18e…A/D変換回路
185…障害物感知装置
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源供給装置
21…整流器
22…平滑コンデンサ
23…リレースイッチ
24…電源切替装置
24’…電源切替スイッチ
30…バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6