IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 文化シヤッター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図1
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図2
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図3
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図4
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図5
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図6
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図7
  • 特許-開閉制御システム及び開閉制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】開閉制御システム及び開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20241108BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20241108BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E05F15/77
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021001696
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106588
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054402(JP,A)
【文献】特開2003-087424(JP,A)
【文献】特開2017-183871(JP,A)
【文献】特開2016-217117(JP,A)
【文献】特開2013-163958(JP,A)
【文献】再公表特許第2004/086328(JP,A1)
【文献】特開2007-162241(JP,A)
【文献】特開2011-163049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/68
E05F 15/77
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられ開閉動作する開閉体手段と、
前記開閉体手段の前記開閉動作を電動にて制御する制御手段と、
前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段に出力する操作子手段と、
前記制御手段に通信回線を介して接続され、アプリケーションの起動によって前記操作子手段の操作子と同等の操作子画面を表示し、前記操作子画面の操作に対応して前記制御信号を前記制御手段に送信する携帯通信端末手段と、
インターネットに接続され、前記制御手段のファームウェアを保存するサーバー手段とを備える開閉制御システムにおいて、
前記サーバー手段は、前記インターネット経由にてID及びパスワードを事前に認証した前記制御手段に対してのみ接続されるように構成されており、
前記制御手段は、前記インターネットに接続したことを条件に仮のID及び仮のパスワードを用いて前記認証を実行して前記サーバー手段に接続し、前記ファームウェアを最新バージョンに更新する処理を実行し、
前記携帯通信端末手段は、前記制御手段を経由して前記サーバー手段に前記仮のID及び前記仮のパスワードを用いてアクセスし、事前に宅内で本登録を行っている本ID及び本パスワードの認証を取得するまで、前記インターネットを経由して前記制御手段に宅外からアクセスすることができないことを特徴とする開閉制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉制御システムにおいて、前記仮のID及び前記仮のパスワードは、前記携帯通信端末手段又は前記制御手段が生成することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項3】
開口部に設けられた開閉体手段の開閉動作を、制御手段によって電動で制御し、前記開閉動作に対応した制御信号を出力する操作子手段を用いて制御する開閉制御方法において、
前記制御手段に通信回線を介して接続され、アプリケーションの起動によって前記操作子手段の操作子と同等の操作子画面を表示し、前記操作子画面の操作に対応して前記制御信号を前記制御手段に送信する携帯通信端末手段と、
インターネットに接続され、前記制御手段のファームウェアを保存し、前記インターネット経由にてID及びパスワードを事前に認証した前記制御手段に対してのみ接続されるように構成されたサーバー手段とを備え、
前記制御手段は、前記インターネットに接続したことを条件に仮のID及び仮のパスワードを用いて前記認証を実行して前記サーバー手段に接続し、前記ファームウェアを最新バージョンに更新する処理を実行し、
前記携帯通信端末手段は、前記制御手段を経由して前記サーバー手段に前記仮のID及び前記仮のパスワードを用いてアクセスし、事前に宅内で本登録を行っている本ID及び本パスワードの認証を取得するまで、前記インターネットを経由して前記制御手段に宅外からアクセスすることができないことを特徴とする開閉制御方法。
【請求項4】
請求項に記載の開閉制御方法において、前記仮のID及び前記仮のパスワードは、前記携帯通信端末手段又は前記制御手段が生成することを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の窓や出入口などの開口部に設置される開閉体装置を無線方式で接続されたリモコン装置を用いて制御する開閉制御システム及び開閉制御方法に係り、特に同じリモコン装置を用いて外出先からインターネット経由にて開閉体装置を制御することのできる開閉制御システム及び開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置されシャッターやドアなどの開閉体装置には、その開閉停の開閉動作を電動で行う電動シャッターや電動ドアが使用されることが多い。このように電動で開閉停の開閉動作を行うものは、開閉停の3種類のスイッチを備えた有線式の専用スイッチ又は遠隔操作によって制御するための無線式の専用スイッチなどがある。これらの各スイッチの操作に対応して、開閉体装置はシャッターやドアなどの開閉動作を制御する。
【0003】
一方、最近では、スマートフォンなどの携帯通信端末に専用のリモコン装置用アプリケーションをインストールすることによって、携帯通信端末を無線方式の専用スイッチと同様の機能を備えさせることができる。また、このような携帯通信端末の複数にリモコン装置用アプリケーションをインストールすることによって、複数の人がそれぞれ個別に開閉体装置を制御することができる。
【0004】
特許文献1には、スマートフォンなどの携帯通信端末に専用のリモコン装置用アプリケーションをインストールし、ワイヤレス通信機(送受信親機)に接続することによって、建物内の複数の開閉体装置を制御できるように構成された開閉制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-220015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のように、スマートフォンなどの携帯通信端末を用いてシャッター装置などの開閉体装置のリモコン装置を構成することのできるワイヤレス通信機(送受信親機)を使用した場合、使用者は複数の開閉体装置に対して専用のリモコン装置を複数台購入する必要がなくなり、使用者に経済的な負担を軽減することができるので、使用者にとっては好ましいものである。
【0007】
特許文献1に記載の開閉制御システムでは、インターネットを経由して宅内のアクセスポイントに携帯通信端末を接続することによって、携帯通信端末を用いて外部からワイヤレス通信機(送受信親機)にアクセスして遠隔操作にてガレージシャッター装置及び窓シャッター装置等の開閉体装置を制御できるように構成されている。
【0008】
ところが、携帯通信端末を用いてインターネット経由にて外部から遠隔操作することができるようにするためには、ワイヤレス通信機(送受信親機)の初期設定処理にて外部のクラウドサーバーへのID認証が必要である。このID認証は、携帯通信端末を用いて利用者自身がユーザーID、パスワード、郵便番号、メールアドレス等を入力するという初期設定処理を実行する必要があった。このID認証の初期設定処理を行わなくても、宅内のワイヤレス通信機(送受信親機)に接続されているリモコン装置及び/又は携帯通信端末を用いて開閉体装置の動作を制御することが可能である。従って、宅外からインターネット経由にて遠隔操作を行う必要のない家屋等では、利用者がクラウドサーバーへのID認証を行わないで使用している場合がある。
【0009】
このようにクラウドサーバーへのID認証を行わないで使用していると、いつまで経ってもファームウェアの更新を行うことができない状態となる。すなわち、ID認証を行うことで、ワイヤレス通信機(送受信親機)は、インターネットを介してクラウドサーバーからファームウェアの最新バージョンを取得することができる。ファームウェアの更新処理は、開閉体装置を正確かつ安全に動作させるために必要な処理である。しかしながら、クラウドサーバーはセキュリティの観点からID認証機能を備えているため、従来は利用者がID認証を行うまでファームウェアの更新を行うことができず、未更新のまま古いファームウェアがそのまま放置されることとなり好ましくなかった。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、スマートフォンなどの携帯通信端末を用いて開閉体装置のリモコン装置を構成することのできるワイヤレス通信機(送受信親機)のファームウェア更新を自動で行うことのできる開閉制御システム及び開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る開閉制御システムの第1の特徴は、開口部に設けられ開閉動作する開閉体手段と、前記開閉体手段の前記開閉動作を電動にて制御する制御手段と、前記開閉動作に対応した制御信号を前記制御手段に出力する操作子手段と、前記制御手段に通信回線を介して接続され、アプリケーションの起動によって前記操作子手段の操作子と同等の操作子画面を表示し、前記操作子画面の操作に対応して前記制御信号を前記制御手段に送信する携帯通信端末手段と、インターネットに接続され、前記制御手段のファームウェアを保存するサーバー手段とを備える開閉制御システムにおいて、前記サーバー手段は、前記インターネット経由にてID及びパスワードを事前に認証した前記制御手段に対してのみ接続されるように構成されており、前記制御手段は、前記インターネットに接続したことを条件に仮のID及び仮のパスワードを用いて前記認証を実行して前記サーバー手段に接続し、前記ファームウェアを最新バージョンに更新する処理を実行することにある。
【0012】
開閉体手段は、窓シャッター装置、ガレージシャッター装置、その他のシャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、開き扉装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置、門扉装置などであり、これらの開閉体手段が建物の内外の複数個所に設けられている。開閉体手段には、開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの各動作(これらの各動作を単に開閉動作と呼ぶ)を指示するための操作子であって、その種別に応じたものを備える操作子手段と、この操作子手段の操作に応じて開閉体手段の開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの開閉動作を制御する制御手段が設けられている。
【0013】
制御手段に通信回線を介して携帯通信端末手段を接続すると、開閉体手段に関する情報が携帯通信端末手段に送信される。携帯通信端末手段にインストールされているリモコン装置用アプリケーションが起動されると、制御手段から受信した開閉体手段に関する情報に基づいて開閉体手段の開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの開閉動作を制御可能な開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの操作ボタンであって、操作子手段に設けられている操作子とほぼ同じ形状等をした、すなわち操作子と同等の操作ボタンの画像が携帯通信端末手段の表示画面に表示されるようになっている。操作者は、携帯通信端末手段の画面に表示された開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの操作ボタン等を操作することによって、携帯通信端末手段を用いて開閉体手段の開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量調整などの開閉動作を制御することができる。
【0014】
通常、サーバー手段は、インターネット経由にてID及びパスワードを事前に認証した制御手段に対してのみ接続を許可し、認証していない場合には接続を許可していない。従って、従来は、携帯通信端末手段を用いて利用者自身がID、パスワードを入力してサーバー手段に認証(初期設定)処理を実行する必要があった。そこで、この第1の特徴に記載の発明では、制御手段がインターネットに接続したことを条件に仮のID及び仮のパスワードを用いて認証を実行してサーバー手段に接続し、ファームウェアのバージョンが最新のものでない場合にはファームウェアを最新バージョンに更新するという処理を自動的に実行するようにした。これによって、利用者自身がID認証の初期設定処理を行わなくても、制御手段のファームウェアのバージョンを最新のものに更新することができる。なお、仮のID及び仮のパスワードによる認証の場合は、携帯通信端末70は宅外からの操作を実行することはできないので、携帯通信端末70を用いて宅外から操作を行いたい場合には、携帯通信端末70から所望の文字列を用いてID及びパスワードの本登録を行うことによって、宅外からインターネット経由にて遠隔操作を行うことが可能となる。なお、本登録は宅内にて事前に行う。
【0015】
本発明に係る開閉制御システムの第2の特徴は、前記仮のID及び前記仮のパスワードは、前記携帯通信端末手段又は前記制御手段が生成することにある。
これは、仮のID及び仮のパスワードを携帯通信端末手段又は制御手段のいずれかが生成するようにしたものである。制御手段が仮のID及び仮のパスワードを生成する場合には、制御手段がインターネットに接続される環境になった時点で、サーバー手段に認証し接続してファームウェアのバージョンの更新処理を実行する。また、携帯通信端末手段が仮のID及び仮のパスワードを生成する場合には、制御手段がインターネットに接続される環境になり、さらに携帯通信端末手段が制御手段と同じアクセスポイントを経由してインターネットに接続される環境になった時点で、サーバー手段に認証することによって、制御手段のファームウェアのバージョンの更新処理が実行されるようになる。
【0016】
本発明に係る開閉制御システムの第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記携帯通信端末手段は、前記制御手段を経由して前記サーバー手段に前記仮のID及び前記仮のパスワードを用いてアクセスし、本ID及び本パスワードの認証を取得するまで、前記インターネットを経由して前記制御手段にアクセスすることができないことにある。
これは、制御手段が仮のID及び仮のパスワードでサーバー手段に認証し接続可能となったとしても、制御手段はファームウェアのバージョンの更新処理を実行するだけであり、宅外から開閉体手段の開閉動作を操作することはできない。携帯通信端末手段をアクセスポイントに接続することで、制御手段の仮のID及び仮のパスワードを取得することができるので、仮のID及び仮のパスワードを用いて宅外から操作可能とすると、セキュリティの観点から好ましくない。そこで、この発明では、本登録を行った携帯通信端末手段だけが宅外から制御手段を操作可能とした。
【0017】
本発明に係る開閉制御方法の第1の特徴は、開口部に設けられた開閉体手段の開閉動作を、制御手段によって電動で制御し、前記開閉動作に対応した制御信号を出力する操作子手段を用いて制御する開閉制御方法において、前記制御手段に通信回線を介して接続され、アプリケーションの起動によって前記操作子手段の操作子と同等の操作子画面を表示し、前記操作子画面の操作に対応して前記制御信号を前記制御手段に送信する携帯通信端末手段と、インターネットに接続され、前記制御手段のファームウェアを保存し、前記インターネット経由にてID及びパスワードを事前に認証した前記制御手段に対してのみ接続されるように構成されたサーバー手段とを備え、前記制御手段は、前記インターネットに接続したことを条件に仮のID及び仮のパスワードを用いて前記認証を実行して前記サーバー手段に接続し、前記ファームウェアを最新バージョンに更新する処理を実行することにある。
これは、前記開閉制御システムの第1の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0018】
本発明に係る開閉制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記仮のID及び前記仮のパスワードは、前記携帯通信端末手段又は前記制御手段が生成することにある。
これは、前記開閉制御システムの第2の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0019】
本発明に係る開閉制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉制御方法において、前記携帯通信端末手段は、前記制御手段を経由して前記サーバー手段に前記仮のID及び前記仮のパスワードを用いてアクセスし、本ID及び本パスワードの認証を取得するまで、前記インターネットを経由して前記制御手段にアクセスすることができないことにある。
これは、前記開閉制御システムの第3の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の開閉制御システム及び開閉制御方法によれば、スマートフォンなどの携帯通信端末を用いて開閉体装置のリモコン装置を構成することのできるワイヤレス通信機(送受信親機)のファームウェア更新を自動で行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の開閉制御システムが適用される複数のシャッター装置が設置された建物の概略構成を示す図である。
図2図1の送受信子機の概略構成を示す外観図である。
図3】リモコン操作スイッチ送受信子機及び送受信親機(ワイヤレス通信機)にリモコンIDが設定された状態を模式的に示す図である。
図4】携帯通信端末の表示画面の一例を示す図である。
図5図1の開閉制御システムのアクセスポイントとインターネット経由で接続されるクラウドサーバーとの接続関係を示す図である。
図6図5の開閉制御システムにおいて、携帯通信端末が送受信親機を介してクラウドサーバーとの間で実行するID認証の初期設定処理の一例を示す図である。
図7】開閉制御システム用のアプリケーションの削除操作の一例を説明するための図である。
図8】開閉制御システム用のアプリケーションの削除操作の別の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体装置及び開閉制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、複数の開閉体装置として上下に開閉制御されるシャッター装置群を例に説明する。図1は、本発明の開閉制御システムが適用される複数のシャッター装置が設置された建物の概略構成を示す図である。
【0023】
図1における開閉制御システムからなるシャッター装置群は、車庫などのガレージに設けられるガレージシャッター装置1と、建物のそれぞれの開口部である窓に設けられる窓シャッター装置2~4とで構成される。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、基本的にシャッターケース、シャッターカーテン、ガイドレール、モータ、シャッター駆動回路、開閉制御回路、送受信機、リモコン操作スイッチなどから構成される。なお、図1では、モータ、シャッター駆動回路やこれ以外の構成部品となる巻取シャフトやチェーンなどについては図示を省略してある。
【0024】
ガレージシャッター装置1が車両用開閉体装置であり、窓シャッター装置2~4が複数の開口部に対応して設けられた複数の開閉体装置である。この実施の形態に係る開閉制御システムでは、図1のようなシャッター装置群の設置された建物の他に図1とは異なる態様のシャッター装置群の設置された建物等がそれぞれ離間した場所に複数存在するものとして説明する。図1は、これらの建物の中の一例を示すものであり、建物の中には、図1以外の開閉体装置が設置されている場合もある。
【0025】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置3には、人感センサ14,34が接続されている。ガレージシャッター装置1の人感センサ14は、ガレージ開口部の後側に、すなわちガレージ内に設置され、人が存在するか否かを検知する。ガレージ内に人が存在する場合に、自動でガレージシャッター装置1が閉鎖すると、ガレージ内に人が閉じ込められる可能性があるので、それを防止するためである。
【0026】
窓シャッター装置3の人感センサ34は、掃き出し窓の開口部の後側、すなわち建物の外側に設置され、ベランダ35に人が存在するか否かを検知する。ベランダ35に人が存在する場合に、自動で窓シャッター装置3が閉鎖すると、ベランダ上に人が追い出される可能性があるので、それを防止するためである。
【0027】
人感センサは、これ以外にも閉じ込められる可能性のある領域及び/又は追い出される可能性のある領域に設置されればよい。また、人感センサは、赤外線、超音波、可視光などを用いられて人の存在を検知するものであり、監視カメラ等を用いて検知するものでもよい。人感センサ14,34は1又は複数のセンサで構成してもよい。なお、シャッター装置に設けられている危害防止用の障害物センサとは異なるものであり、開閉体装置からある程度離間した距離の所定領域に人が存在するか否かを検知するものである。
【0028】
シャッターケースはそれぞれの開口部の上方に設けられている。ガイドレールは、シャッターカーテンの両端部に接するようにガレージの開口部及び窓の両端側に設けられ、まぐさ部から床面及び窓枠下まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテンは、このガイドレールの各案内溝に沿って上昇下降し、開口部及び窓の開閉停又は途中停止(半開若しくは半閉)の開閉動作を行う。本明細書において、半開とは開動作の途中で停止した状態のことを、半閉とは閉動作の途中で停止した状態のことを意味する。
【0029】
図示していない巻取りシャフトは、シャッターケースの両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテンを巻き取ったり巻き戻したりする。図示していないチェーンは、モータの回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取りシャフトの回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータの回転駆動力はチェーンを介して巻取りシャフト側に伝達され、モータが回転すると、チェーンを介して巻取りシャフトが回転し、シャッターカーテンの開閉停又は途中停止の開閉動作が制御されるようになっている。
【0030】
シャッター駆動回路は、図示していないが、それぞれのシャッターケース内に設けられている。シャッター駆動回路は、マイクロコンピュータ構成になっており、電源ラインを介して外部から電力が供給されている。シャッター駆動回路は、開閉制御回路11,21,31,41からの制御信号に基づいて、モータの回転を制御してシャッターカーテンの開閉停又は途中停止などの開閉動作を制御している。
【0031】
モータの回転軸にはエンコーダが結合され、モータの回転位置を検出して、それをシャッター駆動回路に出力している。このモータの回転位置に基づいてHA信号(閉状態又は開状態を示す信号)が出力される。図1では、開閉制御回路11,21,31,41は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42からの制御信号を受信するアンテナを内蔵している。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子手段である。
【0032】
モータには、シャッター駆動回路からモータに供給される駆動電流及び駆動電圧を検出する電流検出器(電流センサ)及び電圧検出器(電圧センサ)が設けられており、検出された駆動電流及び駆動電圧の値がシャッター駆動回路にフィードバックされる。さらに、モータには温度検出器(温度センサ)が設けられており、その検出温度もシャッター駆動回路にフィードバックされる。シャッター駆動回路は、エンコーダから出力されるモータの回転位置(シャッター位置)を示す検出信号、電流検出器及び電圧検出器並びに温度検出器から出力されるモータの駆動電流、駆動電圧及び駆動時の温度を示す検出信号に基づいてモータの回転速度を制御している。電流検出器によって駆動電流が検出された場合、モータは駆動状態にあり、駆動電流が検出されないゼロの場合、モータは非駆動状態にあると判断できる。
【0033】
この実施の形態では、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4に対して、それぞれリモコン操作スイッチ12,22,32,42及び送受信子機13,23,33,43を設け、送受信親機50及びアクセスポイント60を建物内の所定の場所に設置し、携帯通信端末70などのユーザー端末や後述するクラウドサーバーをネットワーク経由にて接続することによって、インターネット経由にて外部から制御可能な開閉制御システムを構築している。この送受信親機50がワイヤレス通信機である。
【0034】
図1では、送受信子機13,23,33,43に、リモコン操作スイッチ12,22,32,42及び送受信親機50に接続されるアンテナが図示してある。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子手段である。ガレージシャッター装置1の送受信子機13とリモコン操作スイッチ12とは所定の周波数帯(例えば、426[MHz])で接続され、所定のIDを介してそれぞれ接続されるようになっている。
【0035】
窓シャッター装置2~4も同じくリモコン操作スイッチ22,32,42に対して特定の周波数帯で接続され、所定のIDを介して1対1で接続される。この実施の形態では、所定のIDとしてリモコン操作スイッチ12にはid12が、リモコン操作スイッチ22にはid22が、リモコン操作スイッチ32にはid32が、リモコン操作スイッチ42にはid42が、それぞれ固有のリモコンIDとして割り当てられているので、送受信子機13,23,33,43はこれらのリモコンIDを利用して制御する。
【0036】
なお、図示していないが、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4には、リモコン操作スイッチ12,22,32,42以外にも有線の操作子手段である壁スイッチがそれぞれの開口部近傍に備えられている場合がある。壁スイッチは、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の有線方式の操作子手段(専用スイッチ)であり、元々ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉制御回路11,21,31,41に直接接続されており、開閉停の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号を開閉制御回路11,21,31,41に送信するものである。
【0037】
各開閉制御回路11,21,31,41は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42及び壁スイッチなどの操作状態に対応した制御信号に応じて、シャッターカーテンの開閉停の開閉動作を制御する。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、壁スイッチの操作に応じて、この開閉制御システムとは無関係にガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停の開閉動作を直接制御することができるようになっている。なお、壁スイッチが途中停止用のボタンを備えている場合もある。
【0038】
送受信子機13,23,33,43は、それぞれの開閉制御回路11,21,31,41に有線にて電気的に接続されるように設置される。送受信子機13,23,33,43は、特定小電力無線(例えば、周波数429[MHz])によって送受信親機50に無線接続されている。送受信親機50は、それぞれのリモコン操作スイッチ12,22,32,42からの信号を受信するアンテナを内蔵している。アクセスポイント60(Wireless LAN access point)は、送受信親機50にWiFiを介して接続されている。さらに、このアクセスポイント60に携帯通信端末70などのユーザー端末がWiFiを介して接続可能となっている。このアクセスポイント60には、携帯通信端末70以外にもノートパソコンやデスクトップパソコンなどのユーザー端末がWiFiを介して又はLANケーブルなどの各種ケーブルを介して接続可能となっている。
【0039】
送受信子機13,23,33,43とリモコン操作スイッチ12,22,32,42との間を接続する特定の周波数帯と、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との間を接続する特定の周波数帯は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、特定の周波数帯が異なる場合、送受信子機13,23,33,43は、受信信号の周波数をソフト的に切り替えて受信している。
【0040】
送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置について、この実施の形態においては、少なくともどちらかは(好ましくは両者とも)どのシャッターケース内にも収容されておらず、シャッターケース外に設置されている。さらに、送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置がいずれかのシャッターケース(すなわち、このシャッターケースを備えているシャッター装置)の近傍に設置されているために、例えば目視等やその他の理由により、その高低が判断できる場合には、設置や保守の容易性等を考慮すると、当該シャッターケースよりも下方の位置に設置することが好ましい。勿論、例えばシャッターケース内部等であっても、通信が可能な範囲でかつシャッターカーテンの開閉や巻き取り等の移動動作と干渉しない位置であればその設置位置は任意である。
【0041】
携帯通信端末70は、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン(多機能型携帯電話)、PDA等の携帯型の通信端末である。この実施の形態では、携帯通信端末70は、スマートフォンで構成され、通常の通話機能だけでなく、タッチパネル式の表示画面を備え、各種アプリケーションの起動に応じて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42の各ボタンと同等の機能を備えたリモコン操作スイッチが表示画面上に表示され、これらの各ボタンを操作することによって、リモコン操作スイッチとして機能するようになっている。
【0042】
携帯通信端末70のタッチパネル式の表示画面には、通話を含む複数のアプリケーションを起動するための各種アイコンが表示されており、所望のアイコンをタッチ操作することによって所望のアプリケーションを起動できるように構成されている。図1では、開閉制御システム用のアプリケーションが起動され、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンの各操作ボタンが表示された状態が示されている。携帯通信端末70は、WiFi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えているが、この実施の形態では、アクセスポイント60にWiFiで接続され、さらにアクセスポイント60を介して送受信親機50や外部のインターネットに接続されるように構成されている。なお、図では1個の携帯通信端末70を示しているが、これは複数存在するようになっていてもよい。
【0043】
図2は、図1の送受信子機の概略構成を示す外観図である。送受信子機13,23,33,43は、電源線、信号線及び内蔵アンテナを備えている。なお、外部アンテナ接続線を備えている場合もある。この実施の形態では、送受信子機13,23,33,43は、これらの通常の無線部品の他に、シャッターの種類を示すディップスイッチ設定部81を備えている。
【0044】
図では、ディップスイッチ設定部81を拡大して示してある。このディップスイッチ設定部81は、図に示すように、3個のディップスイッチSW1~SW3から構成される。このディップスイッチSW1~SW3の設定状態は表82に示す通りである。すなわち、図では、ディップスイッチSW1~SW3が「000」の場合は掃き出し窓シャッター装置のスタンダードタイプ、「001」の場合は腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプ、「010」の場合は掃き出し窓シャッター装置のスリットタイプ、「011」の場合は腰高窓シャッター装置のスリットタイプ、「100」の場合は掃き出し窓シャッター装置のブラインドタイプ、「101」の場合は腰高窓シャッター装置のブラインドタイプ、「110」の場合はガレージシャッターをそれぞれ示す。
【0045】
これ以外のシャッターの種類に対してもディップスイッチSW1~SW3を割り当てることでシャッターとして8種類を割り当てることができる。これ以上の種類を割り当てる場合には、ディップスイッチの数を4個以上設ければよい。なお、図1の窓シャッター装置2は「001」の腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプに、窓シャッター装置3は「000」の掃き出し窓シャッター装置のスタンダードタイプに、窓シャッター装置4は「011」の腰高窓シャッター装置のスリットタイプに、ガレージシャッター装置1は「110」のガレージシャッターにそれぞれ設定されている。
【0046】
図1の開閉制御システムにおいて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42、送受信子機13,23,33,43及び送受信親機50には、それぞれのリモコンID(id12,id22,id32,id42)が設定される。このリモコンIDの設定処理の詳細は、先に出願した特願2015-208071、特願2015-208072に記載されているので、ここでは説明を省略する。
【0047】
図3は、リモコン操作スイッチ送受信子機及び送受信親機にリモコンIDが設定された状態を模式的に示す図である。各送受信子機13,23,33,43には、それぞれ対応するリモコンID(id12,id22,id32,id42)が自己の送受信子機13,23,33,43のID(id13,id23,id33,id43)と対応付けてそれぞれ登録されている。リモコン操作スイッチ12にはid12⇔id13,id12⇔110、リモコン操作スイッチ22にはid22⇔id23,id22⇔001、リモコン操作スイッチ32にはid32⇔id33,id32⇔000、リモコン操作スイッチ42にはid42⇔id43,id42⇔011のように、それぞれのID同士及びディップスイッチ状態信号が関連付けて記憶されている。
【0048】
送受信親機50には、各リモコン操作スイッチ12,22,32,42に登録されているもの同じID群及びディップスイッチ状態信号が登録されている。これによって、送受信子機13,23,33,43の中の受信ID及び送信IDに基づいて、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との間で通信回線13b,23b,33b,43bのいずれか一つを介して双方向の通信状態が確立される。送受信子機13,33と送受信親機50との間で双方向の通信状態が確立されると、人感センサ14,34の検知情報及び電流検出器、電圧検出器、温度検出器などの検出信号が状態信号として、リアルタイムに送受信親機50に送信されるようになる。これによって、送受信親機50は、人感センサ14,34からの検知情報に基づいて、ガレージ内の人の存在及びベランダ35の人の存在を認知することが可能となる。また、送受信親機50は、電流検出器、電圧検出器、温度検出器などの検出信号を、所定のタイミングで後述するクラウドサーバーに送信する。
【0049】
図4は、携帯通信端末の表示画面の一例を示す図である。図4において、携帯通信端末701は、開閉制御システム用のアプリケーションが起動された初期状態を示す画面の一例である。携帯通信端末701の初期状態画面には、「個別シャッター」、「建物内全シャッター」、「建物内シャッター」、「ガレージシャッター」などの選択ボタンが表示される。
【0050】
「個別シャッター」の選択ボタンは、図1に示すガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の中から選択したものを個別に制御する場合に選択されるものである。「建物内全シャッター」の選択ボタンは、図1に示すガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を同時に制御する場合に選択されるものである。「建物内シャッター」の選択ボタンは、図1に示すものの中で建物内に設置される窓シャッター装置2~4を同時に制御する場合に選択されるものである。
【0051】
「ガレージシャッター」の選択ボタンは、図1に示すガレージシャッター装置1のみを制御する場合に選択されるものである。なお、「ガレージシャッター」の選択ボタンには、ガレージ内に人が存在することを示す人マークが表示される。この人マークを視認することによって、ガレージ内に人が存在することを認知することができる。人マークが表示された選択ボタンについては、操作不可を示すために網かけ表示等を施し、他の操作可能なボタンと識別可能な表示としてもよい。
【0052】
図4において、携帯通信端末702は、初期状態画面の表示された携帯通信端末701の「個別シャッター」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末702には、図1に示した開閉制御可能な装置名として、「ガレージシャッター」、「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」などの選択ボタンが表示される。
【0053】
「ガレージシャッター」の選択ボタンは、図1に示すガレージシャッター装置1に対応する。「1階腰高窓シャッターST」の選択ボタンは、図1に示す腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプに対応する。「2階掃き出し窓シャッターST」の選択ボタンは、図1に示す掃き出し窓シャッター装置3のスタンダードタイプに対応する。「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンは、図1に示す腰高窓シャッター装置のスリットタイプに対応する。
【0054】
携帯通信端末702の画面の「ガレージシャッター」の選択ボタンには、携帯通信端末701の画面と同様にガレージ内に人が存在することを示す人マークが表示されると共に操作不可を示すために網かけ模様が施されている。一方、携帯通信端末702の画面の「2階掃き出し窓シャッターST」の選択ボタンには、人マークが表示されない。これは、ガレージ内に人が存在するが、ベランダ35には人が存在しないことを意味する。なお、半閉動作については、人の存在が確認された場合でも操作可能としてもよい。半閉状態なので、閉じ込めや追い出しに該当しないからである。
【0055】
これらの対応関係は、図3に示すように、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との双方向通信が確立した段階で、送受信親機50にそれぞれ設定することができ、その設定された内容が携帯通信端末70などのユーザー端末に表示されるようにシステム構成されている。従って、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」に変えて、「2階○○部屋窓シャッター」及び「2階△△部屋窓シャッター」などのようにその名称を分かり易いように割り当てるようにしてもよい。このように、送受信親機50に割り当てられた名称は、アクセスポイント60を介して携帯通信端末70などのユーザー端末に送信されるので、携帯通信端末70などのユーザー端末を送受信親機50に別途登録する必要もなく、アクセスポイント60に携帯通信端末70などのユーザー端末を接続するだけで、携帯通信端末70などのユーザー端末を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停又は途中停止の開閉動作を適宜制御することができる。
【0056】
図4において、携帯通信端末703は、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「ガレージシャッター」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末703の表示画面上部には、現在制御対象である装置名「ガレージシャッター」が表示され、その下側に開閉停の各操作ボタンが表示される。なお、携帯通信端末703の画面には、上述の人マークが表示されていないので、ガレージ内に人が存在しないことを示す。
【0057】
図4において、携帯通信端末704は、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末704の表示画面上部には、現在制御対象である装置名「2階腰高窓シャッターSL」が表示され、その下側に開閉停の各操作ボタン、半開又は半閉用の途中停止用ボタン、及び換気量又は採光量を調整するための換気採光用の操作ボタンが表示される。
【0058】
携帯通信端末704の換気採光用操作ボタンは、上述のように、腰高窓シャッター装置のシャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「011」のスリットタイプなので、これに対応して採光量を調整するために表示されるスリットタイプのシャッター固有の操作ボタンである。また、シャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「101」のブラインドタイプの場合にも同様に、換気量を調整するための「換気採光」の操作ボタンが携帯通信端末704のように、表示されることになる。従って、シャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「000」,「001」のスタンダードタイプの場合には、この「換気採光」の操作ボタンは表示されずに、携帯通信端末703のように、開閉停又は途中停止の各操作ボタンのみが表示されることになる。なお、スタンダードタイプの場合でも同様に「換気採光」の操作ボタンを表示してもよい。
【0059】
上述のように、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「ガレージシャッター」、「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」、又は「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンが操作された場合には、それぞれの装置名が携帯通信端末703,704に示すように表示画面上部に表示され、携帯通信端末703,704の表示画面を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4のいずれかの開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量の開閉動作を制御することができるようになる。なお、図4では、ガレージシャッター装置1については、途中停止用操作ボタン及び換気採光用操作ボタンは非表示としてあるが、表示してもよい。
【0060】
携帯通信端末701の表示画面で「建物内全シャッター」の選択ボタンが操作された場合には、「建物内全シャッター」の文字が携帯通信端末703の表示画面上部に表示され、携帯通信端末703を用いて全てのシャッターの開閉を一斉(同時)に制御することができるようになる。なお、建物内全シャッターの場合は、開動作及び閉動作のみとして、停止動作のボタンは操作できないものとする。これは、開閉体装置の開閉動作に要する時間等が腰高窓シャッターと掃きだし窓シャッターとではそれぞれ異なるので、停動作した場合、どの段階で停動作されるか操作者自身が判断することが困難なので、この実施の形態では、建物内全シャッターについて停動作の操作はできないようにしてある。勿論、建物内全シャッター又は一部のシャッターについて停止動作が可能となるように構成してもよいことは言うまでもない。なお、全開又は全閉の半分又は約3分の1だけ開状態とする又は閉状態とするなどを設定可能としてもよい。
【0061】
携帯通信端末701の表示画面で「建物内シャッター」の選択ボタンが操作された場合には、図1に示した開閉制御可能な装置名として建物内の「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」などを操作可能な携帯通信端末703又は704の表示画面が表示され、それぞれの窓シャッターの開閉停又は途中停止又は換気量若しくは採光量の開閉動作を制御することができるようになる。なお、図1では、リモコン操作スイッチ32,42は、開閉停のボタンのみを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子を示しているが、図4の携帯通信端末704のような開閉停の操作ボタンの他に、途中停止及び/又は換気量若しくは採光量の開閉動作を制御することのできる操作ボタンを備えていてもよい。
【0062】
携帯通信端末701の表示画面でガレージシャッター用の選択ボタンが操作された場合には、携帯通信端末703の表示画面が表示されるので、そのまま携帯通信端末703を用いてガレージシャッター装置1の開閉停の開閉動作を制御できるようになる。すなわち、図1に示す開閉制御システムにおいては、開閉体装置専用のリモコン操作スイッチ12,22,32,42以外の携帯通信端末70などのユーザー端末を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停の開閉動作を適宜制御することができる。携帯通信端末70などのユーザー端末は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4共用の、無線方式の操作子手段として機能する。また、送受信親機50と携帯通信端末70などのユーザー端末とは、アクセスポイント60を介して接続されているので、WEP(WPA,WPA2でもよい)の認証を受けた携帯通信端末70などのユーザー端末のみが送受信親機50に接続されるので、高いセキュリティを構築することができる。
【0063】
図5は、図1の開閉制御システムのアクセスポイントとインターネット経由で接続されるクラウドサーバーとの接続関係を示す図である。図5において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図5では、図1に示したガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4のみを便宜上示しているが、実際にはこのような開閉体装置群からなる開閉制御システムの設置された建物がそれぞれ離間した場所に複数存在する。図5に示す開閉制御システムは、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、送受信親機50、アクセスポイント60、ISP90~92及びネットワーク(インターネット)95、クラウドサーバー100及びユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102など)から構成される。
【0064】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、図1に示す開閉体装置群であり、制御信号や検出信号などの各種信号(電流検出器、電圧検出器、温度検出器、人感センサなどで検出された信号)を送受信親機50に送信する。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、上述したように特定小電力無線によって送受信親機50に接続されている。なお、家屋、ビル、工場、倉庫などの建物の構造物躯体によっては、有線で接続されている場合や有線と無線が混在して接続されている場合もある。図5では、図1に対応して開閉体装置群は全て無線にて接続されている場合を示す。
【0065】
送受信親機50は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4からの各種信号を受信して、それを所定の開閉体装置に関するデータに変換して記録すると共にアクセスポイント60並びに外部のネットワーク95を経由して、クラウドサーバー100に送信する。クラウドサーバー100には、送受信親機50から送信されて来た開閉体装置データをライブ表示するモニタが設けられている。このモニタを視認することで、どこの地域のどの建物の開閉体装置がどのような状態にあるのか、現在の情報を容易に取得し認識し、離間した場所にそれぞれ設置された複数の開閉体装置の開閉動作を効率的かつ集中的に制御することができるようになっている。
【0066】
ISP(Internet Service Provider)90,91,92、ネットワーク95は、移動体通信網(無線網)及び有線通信網(有線網)から構成される。移動体通信網(無線網)は、携帯電話やPHSなどの携帯電話サービス会社などによって提供される通信サービス網であり、有線通信網(有線網)は、固定電話などの公衆電話サービス会社などによって提供される通信サービス網である。有線通信網(有線網)には、ISPを介して接続されるネットワーク95を含むものとする。
【0067】
アクセスポイント60は、送受信親機50をISP90経由にてネットワーク95に接続するものであり、WiFi機能を備えている。クラウドサーバー100は、ISP91経由にてネットワーク95に接続されている。ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)は、アクセスポイント60にWiFiにて接続可能になっている。
【0068】
また、ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)は、ISP90とは別のISP92を経由してネットワーク95に接続可能である。すなわち、ISP90は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、送受信親機50及びアクセスポイント60の設置された建物などの場所に存在し、そこで接続されるものである。一方、ISP91,92は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、送受信親機50及びアクセスポイント60の設置された場所から遠く離れた管理センターやユーザーの会社や出先などの遠隔地から接続可能なものである。
【0069】
なお、アクセスポイント60とクラウドサーバー100をインターネット経由で接続するためには、送受信親機50からアクセスポイント60を経由してクラウドサーバー100に対して予めID認証処理が必要である。従来は、このID認証処理は、ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101及び/又はノートPC端末102)を用いて利用者自身がユーザーID、パスワード、郵便番号、メールアドレス等を入力するという初期設定処理を実行する必要があった。この実施の形態では、ユーザー端末は、WiFiを経由してアクセスポイント60に接続可能な状態にあるので、アクセスポイント60を経由して送受信親機50に接続可能である。
【0070】
また、ユーザー端末は、建物外のISP92に接続された場合には、ISP92、ネットワーク95、ISP90及びアクセスポイント60を経由して送受信親機50に接続可能である。さらに、ユーザー端末は、アクセスポイント60、ISP90、ネットワーク95及びISP91を経由して、又はISP92、ネットワーク95及びISP91を経由して、それぞれクラウドサーバー100に接続可能である。一方、送受信親機50は、アクセスポイント60、ISP90、ネットワーク95及びISP91を経由してクラウドサーバー100に接続可能となっている。
【0071】
送受信親機50は、アクセスポイント60及びISP90経由にてネットワーク95に接続するためのサーバー情報部、ユーザー情報部、ISP情報部及び電子メール送信部などを備えている。サーバー情報部は、クラウドサーバー100のURL、ログインID、パスワードなどの各種情報を格納しており、クラウドサーバー100への接続を実行するものである。
【0072】
ユーザー情報部は、ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)に関するユーザーID、パスワードなどの各種情報を格納しており、ユーザー端末と送受信親機50とを接続するものである。ISP情報部は、ISP90を介してネットワーク95に接続するために必要な情報を格納しており、ネットワーク95への接続を実行するものである。
【0073】
なお、送受信親機50は、電子メール送信部を備え、ユーザー端末や遠隔監視センターなどから入力した電子メールアドレスを格納し、その電子メールアドレス宛にネットワーク95を経由して各種情報や画像データなどを送信することも可能である。また、送受信親機50は、ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)からの要求に応じて各種データをネットワーク95経由にて送信することもできる。また、送受信親機50は、所定のタイミング又はガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態が変化したタイミング若しくは検出信号が検出されたタイミングなどに、その各種データをネットワーク95経由にてクラウドサーバー100に送信する。
【0074】
送受信親機50は、アクセスポイント60を経由して受信したアクセス要求がユーザーとしてあらかじめ設定登録されたユーザーID及びパスワードに一致するか照合すると共にユーザーIDに対応する電子メールアドレスを抽出する。送受信親機50は、照合の結果、ユーザーID及びパスワードが設定登録されたものに一致する場合は、グローバルIPアドレス又はこのグローバルIPアドレスを含んだURLに関する情報をユーザー端末などに送信する。タブレット端末101、携帯通信端末70などは、端末自体に通知機能を備えているので、受信したデータをユーザーに瞬時に通知可能となっている。なお、ノートPC端末102などのように通知機能がないものに対しては、電子メールなどを用いて送信する。
【0075】
ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)を使用して、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態を確認する場合、ISP90から割り振られたグローバルIPアドレスあるいはグローバルIPアドレスを含むURLに基づいて、ユーザー端末から送受信親機50に対してアクセスを行う。送受信親機50は、ユーザー情報部に格納されているユーザーID、パスワード等を使用し、ユーザー端末に接続許可を与える。これによって、ユーザー端末は、送受信親機50にアクセスし、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを確認することができる。
【0076】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどの確認が終わると、ユーザー端末から終了要求を送受信親機50に送信する。この終了要求を受け取ると、送受信親機50は、ISP90との接続を切断する。また、一定時間以上、ユーザー端末の通信端末から送受信親機50に対するアクセスがない場合にも、ISP90との接続を切断する。これにより、ユーザーは簡単な操作で送受信親機50からのガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを取得し確認することができる。上述の実施の形態では、送受信親機50を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを複数のユーザー端末から同時にアクセス可能である。
【0077】
なお、送受信親機50がクラウドサーバー100に接続する場合には、最初にID認証の初期設定を行う必要がある。この実施の形態では、開閉制御システム用のアプリケーションをインストールしてあるユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)をアクセスポイント60に接続し、図4に示すように、ユーザー端末(図4では携帯通信端末)の「個別シャッター」の選択ボタンと、図1の開閉制御可能な装置名「ガレージシャッター」、「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」との対応関係が送受信親機50に設定された時点で、クラウドサーバー100に対して自動的にID認証の初期設定処理を実行するように構成してある。
【0078】
図6は、図5の開閉制御システムにおいて、携帯通信端末70が送受信親機50を介してクラウドサーバー100との間で実行するID認証の初期設定処理の一例を示す図である。図6において、通信回線5aは、送受信親機50からクラウドサーバー100への送信を示す。通信回線7aは、携帯通信端末70から送受信親機50への送信を示す。通信回線10aは、クラウドサーバー100から送受信親機50への送信を示す。通信回線7bは、送受信親機50から携帯通信端末70への送信を示す。通信回線710aは、送受信親機50とクラウドサーバー100との間の送受信を示す。
【0079】
図6の携帯通信端末の初期設定処理は、開閉制御システム用のアプリケーションを起動することによってスタートする。
ステップS71では、携帯通信端末70は、開閉制御システム用のアプリケーションの起動と共に初期設定処理開始信号を通信回線7a経由にて送受信親機50に送信する。
ステップS51では、初期設定処理開始信号を受信した送受信親機50は、自己の機器情報等と共に仮のユーザーID(仮ID)及び仮のパスワード(仮PW)をランダムに生成し、クラウドサーバー100にID認証信号を通信回線5a経由にて送信する。
【0080】
ステップS101では、ID認証信号を受信したクラウドサーバー100は、受信した仮のユーザーIDを送受信親機50のIDとして認証する。これによって、送受信親機50は、仮のユーザーID及び仮のパスワードPWを用いてクラウドサーバー100からファームウェアのダウンロードのみを実行することが可能となる。すなわち、仮のユーザーID及び仮のパスワードPWによる認証の場合は、携帯通信端末70は宅外からの操作を実行することはできない。携帯通信端末70を用いて宅外から操作を行う場合には、携帯通信端末70から所望の文字列を用いてユーザーID(本ID)及び本パスワードの本登録を行う必要がある。
【0081】
ステップS102では、クラウドサーバー100は、ID認証信号を送信して来た送受信親機50のファームウェアのバージョンが最新のものであるか否かの判定を行い、最新(yes)の場合はリターンし、古いバージョン(no)の場合は次のステップS103に進む。
ステップS103では、クラウドサーバー100は、記憶装置に保存してある送受信親機50の最新のファームウェアを送受信親機50がダウンロード可能な状態とし、ダウンロード可能信号を通信回線10a経由にて送受信親機50に送信する。
【0082】
ステップS52では、送受信親機50は、クラウドサーバー100からダウンロード可能信号を受信したか否かの判定を行い、受信した(yes)場合は次のステップS53に進み、受信していない(no)場合はダウンロード可能信号を受信するまでステップS52の判定処理を繰り返し、所定時間が経過した時点で本ステップを抜けてリターンする。送受信親機50がダウンロード可能信号を受信しなかったということは、ステップS102でファームウェアのバージョンの最新のものと判定されたことを意味する。
【0083】
ステップS53及びステップS104では、送受信親機50はクラウドサーバー100に最新のファームウェアのダウンロードを通信回線710a経由にて要求し、クラウドサーバー100はその要求に応じて最新のファームウェアを通信回線710a経由にて送信することによって更新処理を実行する。これによって、送受信親機50のファームウェアは最新バージョンに更新される。
ステップS54では、送受信親機50は、更新処理が終了したか否かの判定を行い、終了(yes)した場合は次のステップS55に進み、終了していない(no)場合は更新処理が終了するまで同様の判定を繰り返す。
【0084】
ステップS105では、クラウドサーバー100は、ステップS54と同様に更新処理が終了したか否かの判定を行い、終了(yes)した場合はリターンし、終了していない(no)場合は更新処理が終了するまで同様の判定を繰り返す。
ステップS55では、送受信親機50は、ステップS51で生成した仮のユーザーID及び仮のパスワードPWと共にファームウェアの更新処理が終了したことを示す更新終了信号を通信回線7b経由にて送信する。
【0085】
更新終了信号を受信した携帯通信端末70は、仮のユーザーID及び仮のパスワードPWを使用してクラウドサーバー100に接続し、本ユーザーID(本ID)及び本パスワードを用いて本登録を実行することで、宅外から開閉体装置を操作することができるようになる。すなわち、本ユーザーIDの認証登録処理が実行されることによって、ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)は、建物外のISP92などに接続された場合には、ISP92、ネットワーク95、ISP90及びアクセスポイント60を経由して送受信親機50に接続可能となる。
【0086】
なお、図6の実施の形態では、仮のユーザーID及び仮のパスワードの生成を送受信親機50が行う場合について説明したが、この生成処理を携帯通信端末70が行ってもよい。この場合は、ステップS55の仮のユーザーID及び仮のパスワードPWを携帯通信端末70に送信する処理は省略される。
上述の実施の形態では、携帯通信端末の開閉制御システム用のアプリケーションを起動することによって初期設定処理をスタートする場合について説明したが、アクセスポイントと送受信親機との接続が確立し、アクセスポイントがインターネットに接続された時点で初期設定処理を実行しても良い。
【0087】
従来、携帯通信端末の開閉制御システム用のアプリケーションに登録された開閉体装置を抹消(削除)するためには、削除処理する時に開閉体を停止させ、登録抹消モードに移行させるための最初の操作を通常の操作とは異なるボタンの操作としていたため誤操作を起こしにくくしていた。また、携帯通信端末側からは抹消モードに入れないようにしていた。最近では携帯通信端末の開閉制御システム用のアプリケーションに登録された開閉体装置を携帯通信端末側の通常のタッチパネル操作で個別に抹消できるようして欲しいという要望があるため、携帯通信端末側通常のタッチパネル操作で抹消操作できるとしている。通常のアプリケーション操作と同様のタッチパネルでの簡単な操作になるため、誤操作が発生しやすくなる。このように誤操作し易い中で誤操作によって容易に抹消モードに切り替わると、その度に簡単に開閉体の動作が停止し利便性を損なうことになる。そこで、この実施の形態では、操作を多段階操作とし、2段階目以降の操作時に開閉体の停止制御を実行するようにした。
【0088】
図7は、開閉制御システム用のアプリケーションの削除操作の一例を説明するための図である。図7において、携帯通信端末71は開閉制御システム用アプリケーションによって操作可能なシャッター一覧画面の一例を示し、携帯通信端末72は1段階目操作における登録抹消モード画面を示し、携帯通信端末73は2段階目操作における登録抹消確認画面を示す。携帯通信端末71のシャッター一覧画面には、操作可能な第1グループに対応した「建物内全シャッター」操作子と、第2グループに対応した「1階リビング・和室」操作子と、6台の個別シャッターに対応した各操作子がそれぞれ表示されている。
【0089】
ここでは、図1とは別に、操作可能な個別シャッターとして建物内に5台のシャッターが設置され、建物外に1台のガレージシャッター1が設置されている場合について説明する。建物内の5台のシャッターには、それぞれの設置個所に対応した名称が設定されている。それぞれの名称は、各操作子の表示欄にある通り、「リビング右側」、「リビング左側」、「1階和室」、「2階寝室」、「2階子ども部屋」である。図1では、1階には1台の窓シャッター装置2が示されているが、リビングに2台、和室に1台の合計3台の腰高窓シャッターが設置されているものとして説明する。また、「2階寝室」に対応するものは、図1の2階掃き出し窓シャッター3であり、「2階子ども部屋」に対応するものは、図1の2階腰高窓シャッター装置4である。
【0090】
図7において、携帯通信端末71の「建物内全シャッター」操作子のグループ名表示欄の下側には、それが第1グループであって、その登録台数が5台であることが示されている。「1階リビング・和室」操作子のグループ表示欄の下側には、それが第2グループであって、その登録台数が3台であることが示されている。個別シャッター「ガレージシャッター」、「リビング右側」、「リビング左側」、「1階和室」、「2階寝室」、「2階子ども部屋」の各操作子表示欄の下側には、そのシャッターのIDがそれぞれ示されている。個別シャッターのIDの右側に登録されているグループ番号がそれぞれ表示されるようにしてもよい。
【0091】
これらの各表示欄の右側の長方形は、シャッターの開閉状態を示すものであり、「2階寝室」、「2階子ども部屋」の操作子表示欄の右端にある二つの長方形を横並びにした図は、窓の図形を模式的に表したもので、その表示欄に対応するシャッターが現在全開状態にあることを示す。「1階リビング・和室」、「ガレージシャッター」、「リビング右側」、「リビング左側」、「1階和室」の操作子表示欄の右端にある横縞模様の長方形は、シャッターにおけるスラットからなるシャッターカーテン形状を模式的に表したもので、その表示欄に対応するシャッターが現在閉状態にあることを示す。「建物内全シャッター」の操作子表示欄の右端にある長方形の横並び図に三角形の横縞模様が重なった図は、グループ内のシャッターに開状態と閉状態が混在していることを模式的に示す。
【0092】
「ガレージシャッター」及び「2階寝室」の操作子表示欄の右側には、図4に示したものと同様の人マークが表示されている。これは、「ガレージシャッター」及び「2階寝室」の掃き出し窓シャッター3が人感センサ14,34を備えていることを示す。図7では、人マークの四角は点線で示され、人模様もグレーで示されており、人感センサ14,34が現在人検知状態にないことを示している。人感センサ14,34が人検知状態にある場合は、人マークの四角は実線となり、人模様も黒塗り等で表示される。
【0093】
携帯通信端末71のャッター一覧画面において、「リビング右側」の窓シャッターを一覧画面から削除する場合は、携帯通信端末72に示すように、「リビング右側」の窓シャッターの操作子を指9aでタップし、左方向へスワイプする。操作子の右端に削除ボタンが出現する。この削除ボタンを指9bでタップする。この削除ボタンをタップする操作が1段階目操作となる。従来は、この1段階目操作における削除ボタン出現時点で開閉体の動作を停止させていた。
【0094】
この実施の形態では、削除ボタンのタップによって携帯通信端末73に削除確認画面9dが出現する。この削除確認画面9dには「リビング右側」を削除しますか?の文字と共に「はい」、「いいえ」の選択ボタンが表示される。「はい」の選択ボタンが指9cでタップされた時点で2段階目操作が実行されたことになる。この2段階目操作が実行される時点で開閉体の動作を停止させる。これによって、誤操作が発生し難くなり、開閉体の動作が頻繁に停止してしまう状態の発生を抑制することができ、利便性が損なわれずに、操作が分かりやすい抹消モードを設けることができる。
【0095】
図8は、開閉制御システム用のアプリケーションの削除操作の別の例を説明するための図である。図8において、携帯通信端末74は開閉制御システム用アプリケーションによって削除モードに移行した1段階目の操作おけるシャッター選択画面を示し、携帯通信端末75は2段階目操作における登録抹消モード画面を示し、携帯通信端末76は3段階目操作における登録抹消確認画面を示す。携帯通信端末74~76において、各表示欄の左側の正方形は、携帯通信端末74で登録抹消対象を選択するためのボックスである。携帯通信端末74において削除モードに移行し、削除対象として「リビング右側」のボックスを指9eでタップする。携帯通信端末74では、選択された「リビング右側」のボックス内にチェックマークが表示され、「リビング右側」が削除対象であることが表示される。従来は、1段階目の操作おける削除対象が「リビング右側」の窓シャッターであることが確定した時点で開閉体の動作を停止させていた。
【0096】
この実施の形態では、右下に表示されている削除ボタンをタップすることによって携帯通信端末76に図7と同様の削除確認画面9hが出現する。この削除ボタンをタップする操作が2段階目操作となる。削除確認画面9hには「リビング右側」を削除しますか?の文字と共に「はい」、「いいえ」の選択ボタンが表示されているので、「はい」の選択ボタンが指9gでタップされた時点で3段階目操作が実行されたことになる。この3段階目操作が実行された時点で開閉体の動作を停止させる。これによって、誤操作が発生し難くなり、開閉体の動作が頻繁に停止してしまう状態の発生を抑制することができ、利便性が損なわれずに、操作が分かりやすい抹消モードを設けることができる。
【0097】
上述の実施の形態は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4と送受信親機50とで構成される開閉体装置システムがスタンドアローン型で設けられている場合を例に説明したが、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4が個々に送受信親機50と同様の機能を備えており、移動体通信網などの通信媒体を利用してインターネット経由にて各種データを常時記録できるようにしたクラウド型のデータ記録サービスにも応用することもできる。この場合、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4に備えられた送受信親機が個々に、バッファメモリとして機能する記録媒体を有し、この送受信親機が各種データを記録媒体に記録すると共にクラウドサーバー100から各種データの転送要求があった場合、その要求に応じてネットワーク95経由にてクラウドサーバー100に順次各種データを転送するように構成すればよい。
【0098】
上述の実施の形態では、アクセスポイント60が一箇所に設けられた場合について説明したが、建物内の複数個所にアクセスポイントを設置してもよい。この場合、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4内にアクセスポイントを設けてもよいし、建物内のLAN端子にアクセスポイントを設けてもよい。
【0099】
上述の実施の形態では、送受信親機50と送受信子機13,23,33,43との間は、特定小電力の無線方式にて接続したが、建物内のLAN回線を介して接続してもよい。また、上述の実施の形態では、送受信親機50とアクセスポイント60が別途設けられているが、送受信親機50がアクセスポイント60の機能を内蔵していてもよい。
【0100】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、開き扉装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置、門扉装置などにも適用可能である。
【0101】
上述の実施の形態では、シャッターカーテンが上下昇降方式で繰り出される開閉体装置を例に説明したため、開口部の開口寸法を高さ寸法としたが、横引き方式で繰り出される開閉体装置の場合、開口寸法は横幅寸法とするとよい。また、開口部全域を完全に閉鎖しないオーニング、垂れ幕装置などの場合は、繰り出しストローク長さを開口部の開口寸法に置き換えて入力できるようにしてもよい。
携帯通信端末用のアプリケーションソフトは、所定のURLから任意に入手可能とする。また、このアプリケーションソフトを適宜変更することによって、デザインや操作方法を容易に変更可能とする。
【0102】
上述の実施の形態で携帯通信端末70として説明した携帯通信端末手段は、アプリケーションソフトによって同様な処理・通信を実施できれば必ずしも携帯して持ち運ぶことを前提としたものでなくてもよく、ふだん据置きで使用したり、移動式ながら大型なものなど携帯式でないものであってもよい。例えば、情報表示・操作機能を備えたリビングのテレビや自動車装備のカーナビゲーション装置など通信機能付き機器を、アプリケーションソフトによって送受信親機50と通信しリモコン操作スイッチとして機能できればよい。また、携帯通信端末手段やアプリケーションソフトはクラウド上で仮想的に動作されるものとしてもよく、例えば携帯通信端末手段は、Webページとして表示されるアプリケーションソフトによってリモコン操作スイッチとして機能させるインターネット上のサイト(具体的な処理や送受信親機50との通信はサイトを運営処理するサーバー機器が行う)であってもよい。
【0103】
上述の実施の形態では、送受信親機50のファームウェアのバージョンを更新する場合について説明したが、同様の処理にて送受信子機13,23,33,43及び/又は開閉制御回路11,21,31,41のファームウェアバージョンを更新することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…ガレージシャッター装置
2,3,4…窓シャッター装置
5a,10a,710a,7a,7b…通信回線、
11,21,31,41…開閉制御回路
12,22,32,42…リモコン操作スイッチ
13,23,33,43…送受信子機
14,34…人感センサ
35…ベランダ
50…送受信親機
60…アクセスポイント
70…携帯通信端末
81…ディップスイッチ設定部
90,91,92…ISP
95…ネットワーク
100…クラウドサーバー
101…タブレット端末
102…ノートPC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8