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特許7584305ヒートポンプチラーシステムおよびプレート式熱交換器の接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ヒートポンプチラーシステムおよびプレート式熱交換器の接続方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 13/00 20060101AFI20241108BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F25B13/00 U
F25B13/00 R
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021001967
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107185
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-048359(JP,A)
【文献】特開2018-054198(JP,A)
【文献】特開2005-090917(JP,A)
【文献】特開2017-101855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に供給する熱媒体と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器を備える第1のヒートポンプチラーと、
前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器を備える第2のヒートポンプチラーと、
前記熱媒体と第3の冷媒の熱交換を行う第3のプレート式熱交換器を備える第3のヒートポンプチラーと、
前記熱媒体と第4の冷媒の熱交換を行う第4のプレート式熱交換器を備える第4のヒートポンプチラーと、
前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器とを接続する接続流路と、
前記第3のプレート式熱交換器又は前記第4のプレート式熱交換器の何れかに切り替えて前記熱媒体を供給する切替機構と、
を備え、
前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように前記熱媒体の流路が設けられ
前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に上から下の場合に、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器における前記熱媒体の流れが共に下から上へとなるように前記接続流路が設けられ、且つ、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第3のプレート式熱交換器から前記第4のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第3のプレート式熱交換器へ前記熱媒体が供給され、
前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に下から上に切り替わると、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第4のプレート式熱交換器から前記第3のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第4のプレート式熱交換器へ前記熱媒体が供給される、
ヒートポンプチラーシステム。
【請求項2】
前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体の出口と、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体の入口を接続する前記熱媒体の流路、をさらに備え、
前記第1のヒートポンプチラーと前記第2のヒートポンプチラーが直列に接続された、 請求項1に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項3】
冷房運転時に前記第1の冷媒および前記第2の冷媒が垂直方向の下から上へ流れ、暖房運転時に前記第1の冷媒および前記第2の冷媒が垂直方向の上から下へ流れる、
請求項1または請求項2に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項4】
暖房運転時に、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように、前記第1のヒートポンプチラーおよび前記第2のヒートポンプチラーの設定温度を設定し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように前記設定温度を設定する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項5】
冷房運転時に、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように前記第1のヒートポンプチラーおよび前記第2のヒートポンプチラーの設定温度を設定し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように前記設定温度を設定する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項6】
負荷が所定の閾値以下であって、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの運転を停止し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの運転を停止する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項7】
前記第1のヒートポンプチラーの運転時間が、前記第2のヒートポンプチラーの運転時間よりも所定の時間より長い場合、前記熱媒体と冷媒の流れ方向の関係に関わらず、前記第1のヒートポンプチラーを停止して前記第2のヒートポンプチラーを運転し、
前記第2のヒートポンプチラーの運転時間が、前記第1のヒートポンプチラーの運転時間よりも所定の時間より長い場合、前記熱媒体と冷媒の流れ方向の関係に関わらず、前記第2のヒートポンプチラーを停止して前記第1のヒートポンプチラーを運転する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項8】
前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体の出口を垂直方向の下側に設けた場合、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体の入口を垂直方向の下側に設け、 前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体の出口を垂直方向の上側に設けた場合、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体の入口を垂直方向の上側に設けた、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載のヒートポンプチラーシステム。
【請求項9】
負荷に供給する熱媒体と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器を備える第1のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器を備える第2のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第3の冷媒の熱交換を行う第3のプレート式熱交換器を備える第3のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第4の冷媒の熱交換を行う第4のプレート式熱交換器を備える第4のヒートポンプチラーと、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器とを接続する接続流路と、前記第3のプレート式熱交換器又は前記第4のプレート式熱交換器の何れかに切り替えて前記熱媒体を供給する切替機構と、を備えるヒートポンプチラーシステムにおいて、
前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように、前記第1のプレート式熱交換器と前記第2のプレート式熱交換器とを接続し、
前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に上から下の場合に、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器における前記熱媒体の流れが共に下から上へとなるように前記接続流路を設け、且つ、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第3のプレート式熱交換器から前記第4のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第3のプレート式熱交換器へ前記熱媒体を供給し、
前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に下から上に切り替わると、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第4のプレート式熱交換器から前記第3のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第4のプレート式熱交換器へ前記熱媒体を供給する、
プレート式熱交換器の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプチラーシステムおよびプレート式熱交換器の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器を備えるヒートポンプチラーを複数含むシステムにおいて、水が流れる水回路は、一般にどのヒートポンプチラーのプレート式熱交換器でも、水と冷媒との流れは対向流もしくは並行流で統一されており、冷房運転と暖房運転で、対向流、並行流が固定されている。水と冷媒の熱交換については、対向流の方が効率がよい。そのため、例えば、暖房運転が対向流、冷房運転が並行流の場合、冷房運転(並行流)の性能が、暖房運転(対向流)に比べると低下する。
【0003】
特許文献1の第2実施形態には、冷房運転時において、第1中間熱交換器211では冷媒と熱媒体が対向流となり、第2中間熱交換器212では冷媒と熱媒体が並行流となるように構成し、第2中間熱交換器212を通過する熱媒体の冷却を弱めるようにした冷媒回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-101855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷房運転、暖房運転のうち、一方の性能が高く、他方の性能が低い、という偏りがないヒートポンプチラーシステムに対するニーズがある。
【0006】
そこで本開示は、上述の課題を解決することのできるヒートポンプチラーシステムおよびプレート式熱交換器の接続方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、ヒートポンプチラーシステムは、負荷に供給する熱媒体と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器を備える第1のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器を備える第2のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第3の冷媒の熱交換を行う第3のプレート式熱交換器を備える第3のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第4の冷媒の熱交換を行う第4のプレート式熱交換器を備える第4のヒートポンプチラーと、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器とを接続する接続流路と、前記第3のプレート式熱交換器又は前記第4のプレート式熱交換器の何れかに切り替えて前記熱媒体を供給する切替機構と、を備え、前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように前記熱媒体の流路が設けられ、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に上から下の場合に、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器における前記熱媒体の流れが共に下から上へとなるように前記接続流路が設けられ、且つ、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第3のプレート式熱交換器から前記第4のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第3のプレート式熱交換器へ前記熱媒体が供給され、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に下から上に切り替わると、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第4のプレート式熱交換器から前記第3のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第4のプレート式熱交換器へ前記熱媒体が供給される。
【0008】
本開示の一態様によれば、負荷に供給する熱媒体と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器を備える第1のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器を備える第2のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第3の冷媒の熱交換を行う第3のプレート式熱交換器を備える第3のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第4の冷媒の熱交換を行う第4のプレート式熱交換器を備える第4のヒートポンプチラーと、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器とを接続する接続流路と、前記第3のプレート式熱交換器又は前記第4のプレート式熱交換器の何れかに切り替えて前記熱媒体を供給する切替機構と、を備えるヒートポンプチラーシステムにおいて、前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように、前記第1のプレート式熱交換器と前記第2のプレート式熱交換器とを接続し、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に上から下の場合に、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器における前記熱媒体の流れが共に下から上へとなるように前記接続流路を設け、且つ、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第3のプレート式熱交換器から前記第4のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第3のプレート式熱交換器へ前記熱媒体を供給し、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向とが共に下から上に切り替わると、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が前記第4のプレート式熱交換器から前記第3のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第4のプレート式熱交換器へ前記熱媒体を供給する、プレート式熱交換器の接続方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示のヒートポンプチラーシステムおよびプレート式熱交換器の接続方法によれば、冷房運転と暖房運転の何れかにおける性能低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの一例を示す図である。
図2】一般的なプレート式熱交換器の概略図である。
図3】第一実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す図である。
図4A】第一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの設定および動作の一例を示す第1図である。
図4B】第一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの設定および動作の一例を示す第2図である。
図5】第二実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す第1図である。
図6】第二実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す第2図である。
図7A】第三実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの一例を示す図である。
図7B】第三実施形態に係る水と冷媒の流れの関係を示す図である。
図8】一般的なプレート式熱交換器の接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態に係るヒートポンプチラーシステムについて、図1図8を参照しながら説明する。
【0012】
<第一実施形態>
(ヒートポンプチラーシステムの構成)
図1は、一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの一例を示す図である。
ヒートポンプチラーシステム100は、ヒートポンプチラー1Aと、ヒートポンプチラー1Bと、制御装置10と、を備える。
ヒートポンプチラー1Aと、ヒートポンプチラー1Bは、水が流れる配管WLによって負荷に対して直列に接続される。水は、ヒートポンプチラー1Aへ流入し、冷却または加熱され、ヒートポンプチラー1Aから流出する。ヒートポンプチラー1Aから流出した水は、ヒートポンプチラー1Bへ流入し、冷却または加熱され、ヒートポンプチラー1Bから流出する。
ヒートポンプチラー1Aは、圧縮機2Aと、四方弁3Aと、熱交換器4Aと、プレート式熱交換器5Aと、膨張弁6Aと、制御装置7A等を備える。
ヒートポンプチラー1Bは、圧縮機2Bと、四方弁3Bと、熱交換器4Bと、プレート式熱交換器5Bと、膨張弁6Bと、制御装置7B等を備える。
制御装置10は、制御装置7A、7Bを通じて、ヒートポンプチラー1A、1Bの起動、停止等を制御する。
以下、ヒートポンプチラー1Aとヒートポンプチラー1Bを区別する必要がない場合には、ヒートポンプチラー1と記載する。プレート式熱交換器5Aとプレート式熱交換器5Bを区別する必要がない場合には、プレート式熱交換器5と記載する。他の構成についても同様である。
【0013】
冷房運転時のヒートポンプチラーシステム100の動作について説明する。制御装置7Aは、圧縮機2Aの高圧側と熱交換器4Aが連通し、圧縮機2Aの低圧側とプレート式熱交換器5Aが連通するように四方弁3Aを制御する。また、制御装置7Aは、現在の水温と設定温度に基づいて、圧縮機2Aを所定の回転数で運転させ、膨張弁6Aを所定の開度で開く。制御装置7Bも同様にして、四方弁3B、圧縮機2B、膨張弁6Bを制御する。
負荷側から配管WLを通って流れてきた水が、ヒートポンプチラー1Aへ流入する。ヒートポンプチラー1Aでは、圧縮機2Aが、冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する。高圧冷媒は、四方弁3Aを経由して熱源側の熱交換器4A(凝縮器)へ供給され、室外の空気等と熱交換して凝縮する。この冷媒は、膨張弁6Aで減圧され、利用側のプレート式熱交換器5A(蒸発器)に供給される。プレート式熱交換器5Aでは、冷媒が配管WLを流れる水から吸熱して気化し、圧縮機2Aへ吸入される。圧縮機2Aは、高圧冷媒を吐出し、冷媒は上記と同様にして冷媒回路を循環する。配管WLを流れる水は、プレート式熱交換器5Aでの熱交換により冷却され、ヒートポンプチラー1Bへ流入する。ヒートポンプチラー1Bでは、ヒートポンプチラー1Aと同様にして、冷媒が、圧縮機2B、熱交換器4B(凝縮器)、膨張弁6B、プレート式熱交換器5B(蒸発器)、圧縮機2B、の順に循環する。ヒートポンプチラー1Bへ流入した水は、プレート式熱交換器5Bでの熱交換により冷却され負荷へ供給される。図中、矢印は、水の流れ方向を示している。
【0014】
暖房運転時のヒートポンプチラーシステム100の動作について説明する。制御装置7Aは、図1に示すように、圧縮機2Aの高圧側とプレート式熱交換器5Aが連通し、圧縮機2Aの低圧側と熱交換器4Aが連通するように四方弁3Aを制御する。また、制御装置7Aは、現在の水温と設定温度に基づいて、圧縮機2Aを所定の回転数で運転させ、膨張弁6Aを所定の開度で開く。制御装置7Bも同様にして、四方弁3B、圧縮機2B、膨張弁6Bを制御する。
負荷側から配管WLを通って流れてきた水は、ヒートポンプチラー1Aへ流入する。ヒートポンプチラー1Aでは、圧縮機2Aが、冷媒を圧縮して高圧冷媒を吐出する。高圧冷媒は、四方弁3Aを経由して利用側のプレート式熱交換器5A(凝縮器)へ供給され、水と熱交換して凝縮する。この冷媒は、膨張弁6Aで減圧され、熱源側の熱交換器4A(蒸発器)に供給される。冷媒は、熱交換器4Aにて、室外の空気等から吸熱して気化する。気化した冷媒は圧縮機2Aへ吸入される。圧縮機2Aは、高圧冷媒を吐出し、冷媒は上記と同様にして冷媒回路を循環する。配管WLを流れる水は、プレート式熱交換器5Aでの熱交換により加熱され、ヒートポンプチラー1Bへ流入する。ヒートポンプチラー1Bでは、ヒートポンプチラー1Aと同様にして、冷媒が、圧縮機2B、プレート式熱交換器5B(凝縮器)、膨張弁6B、熱交換器4B(蒸発器)、圧縮機2B、の順に循環する。ヒートポンプチラー1Bへ流入した水は、プレート式熱交換器5Bでの熱交換により加熱され、負荷へ供給される。
【0015】
(プレート式熱交換器の構成)
次に図2を参照し、一般的なプレート式熱交換器5の構造を簡単に説明する。図2に示すように、プレート式熱交換器5のうち、水の入口を第1端51とし、水の出口を第2端52とする。第1端51において、水を導入する配管WL1が接続され、第2端52において、水を排出する配管WL2が接続されている。また、冷媒の出入口を第3端53とし、冷媒の出入口を第4端54とする。第3端53において、冷媒を導入又は排出する配管RL1が接続され、第4端54において、冷媒を排出又は導入する配管RL2が接続されている。なお、冷房運転と暖房運転で冷媒の流れは、逆方向になる。暖房運転では、冷媒は、例えば、第3端53から導入され第4端54から排出される。冷房運転では、冷媒は、例えば、第4端54から導入され第3端53から排出される。
【0016】
図示するようにプレート式熱交換器5は、複数のプレート55a~55eを備えている。複数のプレート55a~55eは、熱伝導材料で構成され、プレート両面間で熱交換可能となっている。複数のプレート55が互いに間隔をあけて積層配置されることによって、プレート式熱交換器5の内部に積層配置された各プレート55a~55eの間には、流路56a~56dが形成されている。例えば、プレート55aとプレート55bの間に流路56aが形成され、プレート55bとプレート55cの間に流路56bが形成される。流路56c,56dについても同様である。積層された複数の流路に対し、水と冷媒が交互に流れる。例えば、冷媒は流路56aと流路56cを流れ、水は流路56bと流路56dを流れる。水の流れを実線矢印、冷媒の流れの一例を破線矢印で示す。プレート式熱交換器5では、熱伝導材料であるプレート55a~55eを介して、水と冷媒との間で熱交換が行われる。図示するようにプレート式熱交換器5では、水と冷媒が垂直方向に流れる。
【0017】
(プレート式熱交換器の接続方法)
図8に一般的なプレート式熱交換器5A´とプレート式熱交換器5B´の接続例を示す。図8に、プレート55を正面から見たときのプレート式熱交換器5A´、5B´を示す。プレート式熱交換器5は、気化した冷媒がプレート55a等の下側から上方向へ流れ、液化した冷媒はプレート55a等の上側から下方向へ流れるように使用される。つまり、図8に示すように、プレート式熱交換器5A´,5B´のそれぞれにおいて、冷房運転時には冷媒が上方向へ移動し、暖房運転時には冷媒が下方向へ移動する。冷房運転時の冷媒の流れを一点鎖線矢印、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示す。一般的には、水の入口である第1端51がプレートの垂直方向下側に設けられ、水の出口である第2端52がプレートの上側に設けられたプレート式熱交換器5A´,5B´(又は、第1端51がプレートの上側に設けられ、第2端52がプレートの下側に設けられたプレート式熱交換器5A´,5B´)を、ヒートポンプチラー1Aと、ヒートポンプチラー1Bのそれぞれに設けて、これらを直列に接続する。つまり、図8に示すように、プレート式熱交換器5A´の上側に設けられた第2端52A´と、プレート式熱交換器5B´の下側に設けられた第1端51B´とが接続される。すると、プレート式熱交換器5A´,5B´における水の流れは、何れにおいても下側から上方向となる。図示するように、暖房運転時には、プレート式熱交換器5A´,5B´の何れにおいても水と冷媒は対向する方向に流れ、冷房運転時には、プレート式熱交換器5A´,5B´の何れにおいても水と冷媒は同じ方向に流れる。暖房運転時のように水と冷媒が対向する方向に流れることを対向流と呼び、冷房運転時のように水と冷媒が同方向へ流れることを並行流と呼ぶ。ここで、水と冷媒の熱交換は、並行流よりも対向流の方が効率が良い。図8の例のように接続したヒートポンプチラーシステムの場合、暖房運転時の方が冷房運転時よりも高い性能が得られ、冷房運転時には、暖房運転時よりも性能が低下する。
【0018】
本開示では、このように運転モードによる性能の偏りをなくし、冷房運転でも暖房運転でも同様の性能が得られるようにプレート式熱交換器5を接続する。このとき、冷媒の流れを変えることは好ましくない為、冷房運転と暖房運転の何れにおいても、並行流と対向流が混在するように水の流れを制御する。図3に本実施形態に係るプレート式熱交換器5の接続例を示す。
【0019】
図3は、一実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す図である。
本実施形態では、図3に示すように、第1端51Aがプレートの垂直方向の下側に設けられ、第2端52Aがプレートの垂直方向の上側に設けられたプレート式熱交換器5Aをヒートポンプチラー1Aに設け、第1端51Bがプレートの上側に設けられ、第2端52Bがプレートの下側に設けられたプレート式熱交換器5Bをヒートポンプチラー1Bに設ける。そして、第2端52Aと第1端51Bを配管WLで接続する。
このようにすると、プレート式熱交換器5Aでは、第1端51Aから流入した水が、下側から上方向へ流れ、第2端52Aから流れ出た水は、配管WLを通じて、第1端51Bからプレート式熱交換器5Bへ流入する。プレート式熱交換器5Bでは、水は上側から下方向へ流れ、第2端52Bから流れ出る。この場合、暖房運転時には、プレート式熱交換器5Aにおいて水と冷媒は対向流となり、プレート式熱交換器5Bにおいては、水と冷媒は並行流となる。また、冷房運転時には、プレート式熱交換器5Aにおいて水と冷媒は並行流となり、プレート式熱交換器5Bにおいては、水と冷媒は対向流となる。つまり、冷房運転時においても、暖房運転時においても、対向流の熱交換器1台、並行流の熱交換器1台によって水と冷媒が熱交換を行うことになり、冷房運転時と暖房運転時との性能差、性能の偏りが解消される。
【0020】
次に、図4A図4Bを参照して、図3に例示するプレート式熱交換器5A,5Bを備えたヒートポンプチラーシステム100の設定および動作について説明する。
図4Aは、一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの設定および動作の一例を示す第1図である。
本実施形態では、冷房負荷、又は、暖房負荷を多く負担させるプレート式熱交換器5を“メイン作動プレート式熱交換器”と呼ぶ。図3を用いて説明したように、冷房運転時において、プレート式熱交換器5Aでは、水と冷媒が並行流となり、プレート式熱交換器5Bでは、水と冷媒が対向流となる。この場合、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5Bを“メイン作動プレート式熱交換器”として定め、制御装置10が、ヒートポンプチラー1Bに冷房負荷をより多く割り当てる設定を行う。
【0021】
例えば、負荷側から送られる水の温度を5℃低下させて、負荷に戻すような冷房運転が求められる場合、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aへ流入する水と、ヒートポンプチラー1Aから流出する水の温度差が2℃(流出する水の温度が2℃低い)となるようにヒートポンプチラー1Aの設定温度を制御装置7Aに設定する。そして、制御装置10は、“メイン作動プレート式熱交換器”であるヒートポンプチラー1Bについては、流入する水と流出する水の温度差が3℃(流出する水の温度が3℃低い)となるように、制御装置7Bに設定温度を設定する。
【0022】
また、例えば、負荷側から送られる水の温度を3℃低下させて負荷に戻すといった、比較的軽い負荷の冷房運転が求められる場合、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aを停止して、“メイン作動プレート式熱交換器”を備えるヒートポンプチラー1Bのみ運転させる(軽負荷時動作)。制御装置10は、ヒートポンプチラー1Bについて、水温を3℃低下させる設定温度を制御装置7Bに設定する。図4Aの“冷房時”の行は、これらの設定および動作内容を示している。
【0023】
また、図3の構成では、暖房運転時において、プレート式熱交換器5Aでは、水と冷媒が対向流となり、プレート式熱交換器5Bでは、水と冷媒が並行流となる。この場合、制御装置10は、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5Aを“メイン作動プレート式熱交換器”として定め、ヒートポンプチラー1Aに暖房負荷をより多く割り当てる設定を行う。例えば、負荷側から送られる水の温度を5℃上昇させて負荷に戻すような暖房運転が求められる場合、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aに流入する水とヒートポンプチラー1Aから流出する水の温度差が3℃(流出する水の温度が3℃高い)となるような設定温度を制御装置7Aへ設定する。そして、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Bに流入する水とヒートポンプチラー1Bから流出する水の温度差が2℃(流出する水の温度が2℃高い)となるように、制御装置7Bにヒートポンプチラー1Bの設定温度を設定する。
【0024】
また、例えば、負荷側から送られる水の温度を3℃上昇させて、負荷に戻すような比較的軽い負荷の暖房運転が求められる場合、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Bを停止して、ヒートポンプチラー1Aのみ運転させる(軽負荷時動作)。制御装置10は、水温を3℃上昇させる設定温度を制御装置7Aに設定する。図4Aの“暖房時”の行は、これらの設定および動作内容を示している。
【0025】
軽負荷時動作を長く続けると、“メイン作動プレート式熱交換器”を備えるヒートポンプチラー1だけを長時間使用し、他方のヒートポンプチラー1は運転を停止する時間が長くなる。このような状態が長く続くと、2台のヒートポンプチラー1の間に性能や状態の差が生じる。このような、偏りをなくすため、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aの運転時間と、ヒートポンプチラー1Bの運転時間との差が閾値以上となると、平準化運転を行ってもよい。平準化運転とは、ヒートポンプチラー1A、1Bの運転時間の偏りを平準化する運転のことである。図4Bに平準化運転におけるヒートポンプチラーシステム100の設定および動作例を示す。
【0026】
(平準化運転)
図4Bは、一実施形態に係るヒートポンプチラーシステムの設定および動作の一例を示す第2図である。
例えば、冷房運転の場合、軽負荷時運転が長く続くと、ヒートポンプチラー1Bの運転時間が、ヒートポンプチラー1Aの運転時間より、所定時間以上長くなる。すると、制御装置10は、“メイン作動プレート式熱交換器”をプレート式熱交換器5Bからプレート式熱交換器5Aに切り替える。例えば、制御装置10は、制御装置7Aを通じて圧縮機2Aを起動し、ヒートポンプチラー1Aを運転状態とする。また、制御装置10は、制御装置7Bを通じて圧縮機2Aを停止し、ヒートポンプチラー1Bを停止する。また、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aへ流入する水と流出する水の温度差が3℃(流出する水の水温が3℃低い)となるような設定温度を、制御装置7Aに設定する。これにより、長時間運転状態にあったヒートポンプチラー1Bを停止し、長時間停止していたヒートポンプチラー1Aを運転させることができる。例えば、制御装置10は、ヒートポンプチラー1A、1Bの運転時間が同等になるまで、ヒートポンプチラー1Aによって冷房運転を行う。ヒートポンプチラー1A、1Bの運転時間が同等になると、制御装置10は、再び、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5Bを“メイン作動プレート式熱交換器”とする運転に切り替える。
【0027】
同様に、暖房の軽負荷時運転が長く続くと、ヒートポンプチラー1Aの運転時間が、ヒートポンプチラー1Bの運転時間より、所定時間以上長くなる。すると、制御装置10は、“メイン作動プレート式熱交換器”をプレート式熱交換器5Aからプレート式熱交換器5Bに切り替える。例えば、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Aを停止し、ヒートポンプチラー1Bを起動する。また、制御装置10は、ヒートポンプチラー1Bへ流入する水と流出する水の温度差が3℃(流出する水の水温が3℃高い)となるような設定温度を、制御装置7Bに設定する。そして、ヒートポンプチラー1A、1Bの運転時間が同等になると制御装置10は、再び、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5Aを“メイン作動プレート式熱交換器”とする暖房の軽負荷運転に切り替える。
【0028】
なお、平準化運転の実行は必須ではない。例えば、性能を優先する場合、ヒートポンプチラー1Aとヒートポンプチラー1Bの運転時間に乖離が生じた場合であっても、制御装置10は、図4Aに示す性能優先運転時の運転を継続してもよい。また、性能優先運転を行うか、平準化運転を行うかは、ユーザが制御装置10に任意に設定することができる。また、平準化運転を行う場合、熱交換の効率が良いヒートポンプチラー1から、熱交換の効率が悪いヒートポンプチラー1への切り替えタイミング(運転時間差)は、ユーザが制御装置10に任意に設定することができる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、ヒートポンプチラー1を2台備えるヒートポンプチラーシステム100において、冷房運転と暖房運転の性能の偏りを解消し、冷房運転の性能と暖房運転の性能を同等とすることができる。また、低負荷時に1台のヒートポンプチラー1だけで運転する場合、冷房運転と暖房運転において、性能の良いヒートポンプチラー1を選択して運転させることができる。また、一方のヒートポンプチラー1の運転時間が所定時間以上長くなった場合、他方のヒートポンプチラー1に切り替えて運転を継続することで、運転時間の平準化を図ることができる。
【0030】
なお、ヒートポンプチラーシステム100を構成するヒートポンプチラー1の数は2台に限定されない。例えば、ヒートポンプチラー1の台数が偶数台の場合、図3に例示する接続方法で接続した2台のヒートポンプチラー1を1つのユニットとし、このユニットを複数備える構成とする。また、ヒートポンプチラー1の台数が奇数の場合、1台は、重要視する運転状態において、水と冷媒が対向流となるように水の出入口と冷媒の出入口を設定し(例えば、冷房運転より暖房運転に重きを置く場合、暖房運転時に水と冷媒が対向流となるように設定する。)、残りは、上記のユニットによって構成する。
【0031】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態によるヒートポンプチラーシステムについて図5図6を参照して説明する。
第一実施形態では、2つのプレート式熱交換器5において、対応流と並行流を混在させ、1台が対応流、1台が並行流となるように水の流れを制御した。第二実施形態では、2つのプレート式熱交換器5において、2台共に対応流となるように水の流れを制御する。
【0032】
図5は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す第1図である。
図5に2つのプレート式熱交換器5C,5Dを示す。プレート式熱交換器5C,5Dにおいては、図8に例示する一般的な接続と同様に、それぞれプレートの下側に水の入口である第1端51C,51Dが設けられ、上側に水の出口である第2端52C,52Dが設けられている。但し、図8の例と異なり、第三実施形態では、運転モード(冷房、暖房)に応じて、第1端51C,51Dが水の出口となり、第2端52C,52Dが水の入口となる。そして、例えば、図1のヒートポンプチラー1Aにプレート式熱交換器5Cを設け、ヒートポンプチラー1Bにプレート式熱交換器5Dを設ける。
【0033】
また、配管WLについて、上流側のヒートポンプチラー1へ水を導入する配管WLを配管WL3とし、上流側のヒートポンプチラー1と下流側のヒートポンプチラー1を接続する配管WLを配管WL4とし、下流側のヒートポンプチラー1から水を排出する配管WLを配管WL5とする。そして、配管WL3の上流側から順に他の配管との接続点C1、C2を設け、配管WL5の上流側から順に他の配管との接続点C3、C4を設ける。そして、接続点C1と接続点C3を配管WL6によって接続し、接続点C2と接続点C4を配管WL7によって接続する。また、配管WL3における接続点C1と接続点C2の間に弁V1を設け、配管WL6に弁V2を設け、配管WL7に弁V3を設ける。また、配管WL3における接続点C3と接続点C4の間に弁V4を設ける。制御装置10が、弁V1~V4の開閉を制御する。例えば、暖房運転時、制御装置10は、弁V1と弁V4を開とし、弁V2と弁V3を閉とする。すると、配管WL3を流れる水は、第1端51Cからプレート式熱交換器5Cへ流入し、第1端51Cが設けられたプレートの下側から上方向へ流れる。また、水はプレート式熱交換器5Cの第2端52Cから流出し、配管WL4を通じて第1端51Dからプレート式熱交換器5Dへ流入する。プレート式熱交換器5Dにおいても、水は、プレートの下側から上方向へ流れ、第2端52Dから流出し、配管WL5を通じて負荷へ供給される。図5に示すように、プレート式熱交換器5C、5Dの両方で、水と冷媒は対向流となる。これにより、水と冷媒の間で、効率の良い熱交換が可能となり、第一実施形態に比べ、暖房運転の性能を向上することができる。
【0034】
次に図6を参照して、冷房運転時の水および冷媒の流れを説明する。
図6は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器の接続を示す第2図である。
冷房運転時、制御装置10は、弁V1と弁V4を閉とし、弁V2と弁V3を開とする。すると、配管WL3を流れる水は、配管WL3、配管WL7、配管WL5の順に流れ、第2端52Dからプレート式熱交換器5Dへ流入し、第2端52Dが設けられた上側から下方向へ流れ、プレート式熱交換器5Dの第1端51Dから流出する。その後、水は、配管WL4を通じて第2端52Cからプレート式熱交換器5Cへ流入し、第2端52Cが設けられた上側から下方向へ流れ、プレート式熱交換器5Cの第1端51Cから流出する。プレート式熱交換器5Cから流出した水は、配管WL3、配管WL6、配管WL5の順に流れ、配管WL5を通じて負荷へ供給される。図6に示すように、冷房運転時、プレート式熱交換器5C、5Dの両方で、水と冷媒は対向流となる。これにより、水と冷媒の間で、効率の良い熱交換が可能となり、第一実施形態に比べ、冷房運転の性能を向上することができる。
【0035】
以上、説明したように第二実施形態によれば、冷房運転、暖房運転に関わらず、2台のヒートポンプチラー1の両方において水と冷媒の対応流を実現することができる。従って、図8に例示した一般的な接続のように、冷房運転、暖房運転の何れかで性能の低下を招くことなく、どちらの運転状態でも高い性能を維持することができる。
なお、第一実施形態と同様、低負荷時には、どちらか一方のヒートポンプチラー1だけを運転し、他方を停止させてもよい。また、ヒートポンプチラー1Aとヒートポンプチラー1Bの運転時間に所定時間以上の時間差が生じた場合には、制御装置10の制御により平準化運転を実行してもよい。
【0036】
なお、第二実施形態においてヒートポンプチラー1の数は2台に限定されない。例えば、ヒートポンプチラー1の台数が偶数台の場合、図5図6に例示する接続方法で接続した2台のヒートポンプチラー1を1つのユニットとし、このユニットを複数備える構成とする。また、ヒートポンプチラー1の台数が奇数の場合、1台は、重要視する運転状態において、水と冷媒が対向流となるように水の出入口と冷媒の出入口を設定し、残りは、上記のユニットによって構成する。
【0037】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態によるヒートポンプチラーシステムについて図7A図7Bを参照して説明する。
第三実施形態では、第一実施形態と第二実施形態を組み合わせたヒートポンプチラーシステム100´を提供する。図7Aに第三実施形態に係るヒートポンプチラーシステム100´を示す。ヒートポンプチラーシステム100´は、ヒートポンプチラー1Aと、ヒートポンプチラー1Bと、ヒートポンプチラー1Cと、ヒートポンプチラー1Dと、ヒートポンプチラー1A~1Dを制御する制御装置10と、を備える。ヒートポンプチラー1A~1Dは、直列に接続されている。つまり、負荷側から流れてきた水は、ヒートポンプチラー1Aに流入して熱交換されて流出し、次にヒートポンプチラー1Bに流入して熱交換されて流出し、次にヒートポンプチラー1Cに流入して熱交換されて流出し、次にヒートポンプチラー1Dに流入して熱交換されて流出し、その後、負荷に供給される。
【0038】
ヒートポンプチラー1Aは、図3に例示するプレート式熱交換器5Aを備え、ヒートポンプチラー1Bは、図3に例示するプレート式熱交換器5Bを備える。そして、プレート式熱交換器5Aとプレート式熱交換器5Bは、図3に例示するように接続されている。
【0039】
ヒートポンプチラー1Cは、図5図6に例示するプレート式熱交換器5Cを備え、ヒートポンプチラー1Dは、図5図6に例示するプレート式熱交換器5Dを備える。そして、プレート式熱交換器5Cとプレート式熱交換器5Dは、図5図6に例示するように接続されている。そして、プレート式熱交換器5B(図3)の第2端52Bには、図5図6の配管WL3が接続される。
【0040】
そして、冷房運転時、制御装置10は、図6に示すように弁V1、弁V4を閉とし、弁V2、弁V3を開とする。また、暖房運転時、制御装置10は、図5に示すように弁V1、弁V4を開とし、弁V2、弁V3を閉とする。
【0041】
このように制御したときのプレート式熱交換器5A~5Dにおける、水と冷媒の流れ方向の関係を図7Bに示す。図7Bに示すように、冷房運転時には、プレート式熱交換器5Aでは並行流、プレート式熱交換器5B~5Dでは対向流となる。暖房運転時には、プレート式熱交換器5Bでは並行流、プレート式熱交換器5A,5C~5Dでは対向流となる。
【0042】
このように第一実施形態と第二実施形態を組み合わせることで、並行流と対向流の割合を1:3とすることができ、冷房運転、暖房運転の両方で高い性能で運転することができる。
【0043】
なお、上記の制御装置7、10はコンピュータを備えている。コンピュータは、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備える。制御装置7、10における各処理の過程は、例えば制御装置7、10が有するCPU等がプログラムを実行することによって実現できる。制御装置7、10によって実行されるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。なお、制御装置7、10は、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、制御装置7、10に内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
<付記>
各実施形態に記載のヒートポンプチラーシステム100,100´およびプレート式熱交換器の接続方法は、例えば以下のように把握される。
【0046】
(1)第1の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、負荷に供給する熱媒体(水)と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器5Aを備える第1のヒートポンプチラー1Aと、前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器5Bを備える第2のヒートポンプチラー1Bと、を備え、前記第1のプレート式熱交換器5Aにおける前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器5Bにおける前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器5Bにおける前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器5Aにおける前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように前記熱媒体の流路が設けられている。
これにより、冷房運転と暖房運転を同程度の性能で運転することができる。
【0047】
(2)第2の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、前記第1のプレート式熱交換器5Aにおける前記熱媒体の出口と、前記第2のプレート式熱交換器5Bにおける前記熱媒体の入口を接続する前記熱媒体の流路、をさらに備え、前記第1のヒートポンプチラー1Aと前記第2のヒートポンプチラー1Bが直列に接続されている。
【0048】
(3)第3の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(2)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、冷房運転時に前記第1の冷媒および前記第2の冷媒が垂直方向の下から上へ流れ、暖房運転時に前記第1の冷媒および前記第2の冷媒が垂直方向の上から下へ流れる。
【0049】
(4)第4の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(3)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、暖房運転時に、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように設定温度を設定し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように設定温度を設定する。
熱交換の効率が高い、プレート式熱交換器5を備えるヒートポンプチラーに、多くの暖房負荷を負担させることで、効率の良い暖房運転を行うことができる。
【0050】
(5)第5の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(4)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、冷房運転時に、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように設定温度を設定し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差が、前記第1のヒートポンプチラーの入口における前記熱媒体の温度と出口における前記熱媒体の温度との差よりも大きくなるように設定温度を設定する。
熱交換の効率が高い、プレート式熱交換器5を備えるヒートポンプチラーに、多くの冷房負荷を負担させることで、効率の良い冷房運転を行うことができる。
【0051】
(6)第6の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(5)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、負荷が所定の閾値以下であって、前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第2のヒートポンプチラーの運転を停止し、前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合、前記第1のヒートポンプチラーの運転を停止する。
低負荷の場合、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5を備えるヒートポンプチラー1の運転により負荷を賄い、熱交換の効率が高いプレート式熱交換器5を備えるヒートポンプチラー1の運転を停止することにより、省エネルギ運転を実現することができる。
【0052】
(7)第7の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(6)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、前記第1のヒートポンプチラーの運転時間が、前記第2のヒートポンプチラーの運転時間よりも所定の時間より長い場合、前記熱媒体と冷媒の流れ方向の関係に関わらず、前記第1のヒートポンプチラーを停止して前記第2のヒートポンプチラーを運転し、前記第2のヒートポンプチラーの運転時間が、前記第1のヒートポンプチラーの運転時間よりも所定の時間より長い場合、前記熱媒体と冷媒の流れ方向の関係に関わらず、前記第2のヒートポンプチラーを停止して前記第1のヒートポンプチラーを運転する。
ヒートポンプチラー1A、1Bの運転時間を平準化することができる。
【0053】
(8)第8の態様に係るヒートポンプチラーシステム100、100´は、(1)~(7)のヒートポンプチラーシステム100、100´であって、前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体の出口を垂直方向の下側に設けた場合、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体の入口を垂直方向の下側に設け、前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体の出口を垂直方向の上側に設けた場合、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体の入口を垂直方向の上側に設けている。
これにより、2台のヒートポンプチラーにおいて、対向流と並行流を1台ずつ混在させることができる。
【0054】
(9)第9の態様に係るヒートポンプチラーシステム100´は、(1)~(8)のヒートポンプチラーシステム100´であって、前記熱媒体と第3の冷媒の熱交換を行う第3のプレート式熱交換器5Cを備える第3のヒートポンプチラー1Cと、前記熱媒体と第4の冷媒の熱交換を行う第4のプレート式熱交換器5Dを備える第4のヒートポンプチラー1Dと、前記第3のプレート式熱交換器5Cと前記第4のプレート式熱交換器5Dとを接続する接続流路と、前記第3のプレート式熱交換器又は前記第4のプレート式熱交換器の何れかに切り替えて前記熱媒体を供給する切替機構(配管WL3、WL5、WL6、WL7、弁V1~V4)と、をさらに備え、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向と、が共に上から下の場合に、前記第3のプレート式熱交換器と前記第4のプレート式熱交換器における前記熱媒体の流れが共に下から上へとなるように前記接続流路が設けられ、且つ、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が、前記第3のプレート式熱交換器から前記第4のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第3のプレート式熱交換器へ前記熱媒体が供給され、前記第3のプレート式熱交換器における前記第3の冷媒の流れ方向と、前記第4のプレート式熱交換器における前記第4の冷媒の流れ方向と、が共に下から上に切り替わると、前記切替機構の制御により、前記熱媒体が、前記第4のプレート式熱交換器から前記第3のプレート式熱交換器の順に流れるように、前記第4のプレート式熱交換器へ供給される。
これにより、冷媒の流れに関わらず、水と冷媒を対向流とすることができ、冷房運転でも暖房運転でも高性能を発揮することができる。
【0055】
(10)第10の態様に係るプレート式熱交換器の接続方法は、負荷に供給する熱媒体と第1の冷媒の熱交換を行う第1のプレート式熱交換器を備える第1のヒートポンプチラーと、前記熱媒体と第2の冷媒の熱交換を行う第2のプレート式熱交換器を備える第2のヒートポンプチラーと、を備えるヒートポンプチラーシステムにおいて、前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が並行流となり、前記第2のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第2の冷媒の流れ方向が対向流の場合に前記第1のプレート式熱交換器における前記熱媒体と前記第1の冷媒の流れ方向が並行流となるように、前記第1のプレート式熱交換器と前記第2のプレート式熱交換器とを接続する。
【符号の説明】
【0056】
100、100´・・・ヒートポンプチラーシステム
1、1A、1B、1C、1D・・・ヒートポンプチラー
7、7A、7B、10・・・制御装置
2、2A、2B・・・圧縮機
3、3A、3B・・・四方弁
4、4A、4B・・・熱交換器
5、5A、5B・・・プレート式熱交換器
6、6A、6B・・・膨張弁
WL、WL1、WL2、WL3、WL4、WL5、WL6、WL7・・・配管
V1、V2、V3、V4・・・弁
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8