(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ゲルタイプの熱界面材料
(51)【国際特許分類】
H01L 23/373 20060101AFI20241108BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241108BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241108BHJP
C08K 5/04 20060101ALI20241108BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20241108BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L23/36 D
C08K3/22
C08K5/04
C08L83/05
C08L83/07
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021003897
(22)【出願日】2021-01-14
(62)【分割の表示】P 2018568724の分割
【原出願日】2017-07-11
【審査請求日】2021-01-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】リチャン・ヅァン
(72)【発明者】
【氏名】フイフェン・ドュアン
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ヅァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤークン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】リン・シェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ジュン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ハイガン・カン
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】▲吉▼澤 英一
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-144234(JP,A)
【文献】特開2012-201106(JP,A)
【文献】特開2005-325211(JP,A)
【文献】特開2000-204259(JP,A)
【文献】特開2016-216523(JP,A)
【文献】国際公開第2012/067247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L83/00-83/16
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
C09K5/00-5/20
H01L23/34-23/473
H05K7/20
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱界面材料であって、
50,000ダルトン未満の重量(M
w)平均分子量を有する少なくとも1種の低分子量シリコーン油と、
熱界面材料の全重量に基づいて、90重量%~97重量%の量の、少なくとも2種の熱伝導性充填剤と、
少なくとも1種の高分子量シリコーン油と、
少なくとも1種の付加阻害剤と、
を含み、
前記高分子量シリコーン油が、少なくとも60,000ダルトンの重量(M
w)平均分子量を有する
ビニル官能性シリコーン油を含み、
前記付加阻害剤が、エチニルシクロヘキサノール中のビニル末端ポリジメチルシロキサンであり、
前記少なくとも2種の熱伝導性充填剤が、1ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属酸化物である熱伝導性充填剤と、1ミクロン未満の粒子サイズを有する金属酸化物である熱伝導性充填剤とを含む、熱界面材料。
【請求項2】
前記少なくとも1種の低分子量シリコーン油が、第1のシリコーン油と第2のシリコーン油とを含み、前記第1のシリコーン油が、ビニル官能性シリコーン油であり、前記第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油である、請求項1に記載の熱界面材料。
【請求項3】
1ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属酸化物である熱伝導性充填剤と、1ミクロン未満の粒子サイズを有する金属酸化物である熱伝導性充填剤との比が、1.5:1~3:1である、請求項1
または2に記載の熱界面材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月26日に出願された米国仮特許出願第62/366,704
号及び2016年12月20日に出願された同第62/436,746号に対する優先権
を主張するものであり、これらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に明確に組
み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、熱界面材料に関し、より具体的にはゲルタイプ熱界面材料に関する
。
【背景技術】
【0003】
熱界面材料(Thermal interface materials、TIM)は
、中央処理装置、ビデオグラフィックスアレイ、サーバー、ゲーム機、スマートフォン、
LEDボード等の電子部品からの熱を放散するために広く使用されている。熱界面材料は
、典型的には、過剰の熱を電子部品からヒートシンク等のヒートスプレッダに伝達するた
めに用いられる。
【0004】
熱界面材料を含む典型的な電子パッケージ構造体10が
図1に示されている。電子パッ
ケージ構造体10は、例示的に、電子チップ12等の発熱部品と、ヒートスプレッダ14
及びヒートシンク16等の1つ以上の放熱部品とを含む。例示的なヒートスプレッダ14
及びヒートシンクとしては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、又はニッケ
ルメッキ銅等の金属、金属合金、又は金属メッキ基板が挙げられる。TIM18及びTI
M20等のTIM材料は、発熱部品と1つ以上の放熱部品との間に熱的接続を提供する。
電子パッケージ構造体10は、電子チップ12とヒートスプレッダ14とを接続する第1
のTIM18を含む。TIM18は、通常、「TIM1」と呼ばれる。電子パッケージ構
造体10は、ヒートスプレッダ14とヒートシンク16とを接続する第2のTIM20を
含む。TIM20は、典型的には、「TIM2」と呼ばれる。別の実施形態では、電子パ
ッケージ構造体10は、ヒートスプレッダ14を含まず、TIM(図示せず)は、電子チ
ップ12をヒートシンク16に直接接続する。電子チップ12をヒートシンク16に直接
接続するそのようなTIMは、典型的には、TIM1.5と呼ばれる。
【0005】
従来の熱界面材料としては、ギャップパッド等の部品が挙げられる。しかしながら、ギ
ャップパッドは、非常に薄い厚さの要件を満たすことができないこと、自動化された製造
に使用することが困難であること等のいくつかの欠点を有する。
【0006】
他の熱界面材料としては、ゲル生成物が挙げられる。ゲル生成物は、大規模生産のため
に自動的に分注され、所望の形状及び厚さに形成され得る。しかしながら、典型的なゲル
生成物は、極端な場合には、生成物が機能しなくなる可能性がより高いことを含む、温度
サイクル試験における滴下及び亀裂の問題を有する。
【0007】
上記の改良が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、コンピュータチップ等の発熱電子デバイスからヒートスプレッダ及びヒート
シンク等の放熱構造体に熱を伝達するのに有用な熱界面材料を提供する。熱界面材料は、
少なくとも1種のシリコーン油と、少なくとも1種の熱伝導性充填剤と、少なくとも1種
の付加阻害剤を含む。
【0009】
例示的な一実施形態では、熱界面材料が提供される。熱界面材料は、50,000ダル
トン未満の重量(Mw)平均分子量を有する少なくとも1種の低分子量シリコーン油と、
少なくとも1種の熱伝導性充填剤と、少なくとも1種の添加触媒と、少なくとも1種の高
分子量シリコーン油を含み、高分子量シリコーン油が、少なくとも60,000ダルトン
の重量(Mw)平均分子量を有するビニル官能性シリコーン油を含む。より具体的な実施
形態では、少なくとも1種の低分子量シリコーン油が、第1のシリコーン油と第2のシリ
コーン油とを含み、第1のシリコーン油が、ビニル官能性シリコーン油であり、第2のシ
リコーン油が、水素化物官能性シリコーン油である。
【0010】
より具体的な実施形態では、熱伝導性充填剤が、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導
性ファイラーとを含み、第1の熱伝導性充填剤が、1ミクロンより大きい粒子サイズを有
する金属酸化物であり、第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の粒子サイズを有する
金属酸化物である。別のより具体的な実施形態では、熱伝導性充填剤は、第1の熱伝導性
充填剤と、第2の熱伝導性充填剤と、第3の熱伝導性充填剤と、を含み、第1の熱伝導性
充填剤が、10ミクロンより大きい平均粒子サイズを有する金属酸化物であり、第2の熱
伝導性充填剤が、1ミクロン~10ミクロンの平均粒子サイズを有する金属酸化物であり
、第3の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の平均粒子サイズを有する金属酸化物である
。
【0011】
更に別のより具体的な実施形態では、熱界面材料は、2重量%~20重量%の低分子量
シリコーン油と、50重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、0.1重量%~5重量%
の高分子量シリコーン油を含む。更に別のより具体的な実施形態では、低分子量シリコー
ン油が、第1のシリコーン油と第2のシリコーン油とを含み、第1のシリコーン油が、ビ
ニル官能性シリコーン油であり、第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油で
ある。
【0012】
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、熱界面材料が提供される
。熱界面材料は、少なくとも1種のシリコーン油と、少なくとも1種の熱伝導性充填剤と
、少なくとも1種の付加阻害剤を含み、付加阻害剤が、アルキニル化合物を含む。更によ
り具体的な実施形態では、付加阻害剤が、マルチビニル官能性ポリシロキサン、エチニル
シクロヘキサノールで終端するポリジメチルシロキサンビニル、2-メチル-3-ブチン
-2-オール、及び3-メチル-1-ペンチン-3-オールからなる群から選択される。
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、少なくとも1種のシリコー
ン油が、第1のシリコーン油と第2のシリコーン油とを含み、第1のシリコーン油が、ビ
ニル官能性シリコーン油であり、第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油で
ある。
【0013】
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、熱伝導性充填剤が、第1
の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤とを含み、第1の熱伝導性ファイラーが、1ミ
クロンより大きい粒子サイズを有する金属であり、第2の熱伝導性充填剤が1ミクロン未
満の粒子サイズを有する金属酸化物である。上記実施形態のうちのいずれかのより具体的
な実施形態では、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤との比が、1.5:1~
3:1である。
【0014】
上記実施形態のうちのいずれかのより具体的な実施形態では、熱界面材料は、2重量%
~20重量%のシリコーン油と、0.1重量%~5重量%のシランカップリング剤と、5
0重量%~95重量%の熱伝導性充填剤と、0.01重量%~5重量%の付加阻害剤と、
を含む。より具体的な実施形態では、付加阻害剤は、エチニルシクロヘキサノールで終端
するポリジメチルシロキサンビニルである。より具体的な実施形態では、シリコーン油は
、第1のシリコーン油と、第2のシリコーン油とを含み、第1のシリコーン油が、ビニル
官能性シリコーン油であり、第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油である
。
【0015】
例示的な一実施形態では、電子部品が提供される。電子部品は、ヒートシンクと、電子
チップと、第1の表面層及び第2の表面層を含む熱界面材料であって、熱界面材料が、ヒ
ートシンクと電子チップとの間に配置され、熱界面材料が、少なくとも1種のシリコーン
油、少なくとも1種の熱伝導性充填剤、及び少なくとも1種の付加阻害剤を含み、付加阻
害剤が、アルキニル化合物を含む。より具体的な実施形態では、少なくとも1種のシリコ
ーンは、少なくとも1種の低分子量シリコーン油及び少なくとも1種の高分子量シリコー
ン油を含む。
【0016】
より具体的な実施形態では、少なくとも1種の高分子量シリコーン油は、少なくとも6
0,000ダルトンの重量(Mw)平均分子量を有するビニル官能性シリコーン油を含む
。別のより具体的な実施形態では、第1の表面層は、電子チップの表面と接触し、第2の
表面層は、ヒートシンクと接触している。別のより具体的な実施形態では、電子部品は、
ヒートシンクと電子チップとの間に配置されたヒートスプレッダを更に備え、第1の表面
層が、電子チップの表面と接触し、第2の表面層はヒートスプレッダと接触している。更
により具体的な実施形態では、電子部品は、ヒートシンクと電子チップとの間に配置され
たヒートスプレッダを更に備え、第1の表面層が、ヒートスプレッダの表面と接触し、第
2の表面層が、ヒートシンクと接触している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面と組み合わせて本発明のいくつかの実施形態の以下の記載を参照することに
よって、本開示の上述及び他の特徴並びに有利性、並びにそれらを達成する方法がより明
らかになり、本発明自体がより良好に理解されるであろう。
【0018】
【
図1】典型的な電子回路パッケージ構造体を概略的に図示する。
【
図2A】実施例1に関連し、熱サイクル試験前の実施例1から形成された試料を示す。
【
図2B】実施例1に関連し、熱サイクル試験前に比較例から作成された試料を示す。
【
図3A】実施例1に関連し、熱サイクル試験後に実施例1から形成された試料を示す。
【
図3B】実施例1に関連し、熱サイクル試験後に実施例1から形成された試料を示す。
【
図4A】実施例2に関連し、熱サイクル試験前の比較例2から形成された試料を示す。
【
図4B】実施例2に関連し、熱サイクル試験前の実施例2Aから形成された試料を示す。
【
図4C】実施例2に関連し、熱サイクル試験前の実施例2Bから形成された試料を示す。
【
図5A】実施例2に関連し、熱サイクル試験後の比較例2から形成された試料を示す。
【
図5B】実施例2に関連し、熱サイクル試験後の実施例2Aから形成された試料を示す。
【
図5C】実施例2に関連し、熱サイクル試験後に実施例2Bから形成された試料を示す。
【
図6A】本開示の一実施形態によるディスペンサ装置を示す。
【0019】
対応する参照文字は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。本明細書に記載さ
れる実施形態は、本発明の例示的な実施態様を示すものであり、このような例示は、いか
なる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.熱界面材料
本発明は、電子部品から熱を逃がすのに有用な熱界面材料(TIM)に関する。例示的
な一実施形態では、TIMは、少なくとも1種のシリコーン油、少なくとも1種の触媒、
少なくとも1種の熱伝導性充填剤、並びにアミン官能基及びアルキル官能基の両方を含む
少なくとも1種の接着促進剤を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、TIMは、シランカップリング剤、有機可塑剤、界面活性剤
、及び融剤のうちの1つ以上の成分を任意に含むことができる。
【0022】
1.シリコーン油
a.概要
本開示は、少なくとも1種の低分子量シリコーン油と、少なくとも1種の高分子量シリ
コーン油とを含むTIM材料用のマトリックスを提供する。シリコーン油は、触媒によっ
て架橋さる、ビニル、水酸化物、ヒドロキシル、及びアクリレート官能基等の1種以上の
架橋性基を含む。一実施形態では、1種以上のシリコーン油は、第1のシリコーン油と、
第2のシリコーン油とを含み、第1のシリコーン油はビニル官能性シリコーン油であり、
第2のシリコーン油は水素化物官能性シリコーン油である。シリコーン油は、熱伝導性充
填剤を湿潤し、TIMのための分注可能な(dispensable)流体を形成する。
【0023】
例示的な一実施形態において、シリコーン油は、Shin-Etsuから入手可能なK
Eシリーズ製品、Bluestarから入手可能なSILBIONE(登録商標)、Wa
ckerから入手可能なELASTOSIL(登録商標)、SilGel(登録商標)、
SILPURAN(登録商標)、及びSEMICOSIL(登録商標)、Momenti
veから入手可能なSilopren(登録商標)、Dow Corningから入手可
能なDow Corning(登録商標)、Silastic(登録商標)、XIAME
TER(登録商標)、Syl-off(登録商標)、及びSYLGARD(登録商標)、
Square Siliconeから入手可能なSQUARE(登録商標)、AB sp
ecialty Siliconesから入手可能なAndril(登録商標)等のシリ
コーンゴムを含む。他のポリシロキサンは、Wacker、Shin-etets、Do
wcoring、Momentive、Bluestar、RUNHE、AB Spec
ialty Silicones、Gelest、及びUnited Chemical
Technologiesから入手可能である。
【0024】
b.低分子量シリコーン油
1.ビニル官能性シリコーン油
TIMは、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chroma
tography、GPC)で測定して、低重量平均分子量のシリコーン油を含む。例示
的な低分子量シリコーン油は、以下に示す一般式を有するビニルシリコーン油を含み得る
。
【0025】
【0026】
例示的な低分子量ビニルシリコーン油はまた、少量の白金触媒も含み得る。
【0027】
ビニル官能性シリコーン油は、Si-CH=CH2基を有する有機シリコーン成分を含
む。例示的なビニル官能性シリコーン油としては、ビニル末端シリコーン油、Si-CH
=CH2基がポリマー鎖にグラフトされたビニルグラフトシリコーン油、及びそれらの組
み合わせが挙げられる。
【0028】
例示的なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可
能なDMS-V00(186ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する)、DMS-V
03(約500ダルトンのMwを有する)、DMS-V05(約800ダルトンのMwを
有する)、DMS-V21(約6,000ダルトンのMwを有する)、DMS-V22(
約9,400ダルトンのMwを有する)、DMS-V25(約17,200ダルトンのM
wを有する)、DMS-V25R(約17,200ダルトンのMwを有する)、DMS-
V35(約49,500ダルトンのMwを有する)、DMS-V35R(約49,500
ダルトンのMwを有する)等のビニル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。例示的
なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可能なPD
V-0325(約15,500ダルトンのMwを有する)、PDV-0331(約27,
000ダルトンのMwを有する)、PDV-0525(約14,000ダルトンのMwを
有する)、PDV-1625(約9,500ダルトンのMwを有する)、PDV-163
1(約19,000ダルトンのMwを有する)、PDV-2331(約12,500ダル
トンのMwを有する)等のビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリ
マーが挙げられる。例示的なビニル末端シリコーン油としては、Gelest,Inc.
から入手可能なPMV-9925(約2,000~3,000ダルトンのMwを有する)
等のビニル末端ポリフェニルメチルシロキサンが挙げられる。例示的なビニル末端シリコ
ーン油の例としては、Gelest,Inc.から入手可能なEDV-2025(約16
,500~19,000ダルトンのMwを有する)等のビニル末端ジエチルシロキサン-
ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0029】
例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、双方、Gelest,Inc.から入
手可能なVMS-005(約258~431ダルトンのMwを有する)、VMS-T11
(約1,000~1,500ダルトンのMwを有する)等のビニルメチルシロキサンホモ
ポリマーが挙げられる。例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、トリメチルシロ
キシ末端シリコーン油、シラノール末端シリコーン油、及びビニル末端シリコーン油等の
ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0030】
例示的な一実施形態では、ビニルグラフトシリコーン油は、各々、Gelest,In
c.から入手可能なVAT-4326(約10,000~12,000ダルトンのMwを
有する)等のビニルメチルシロキサン-オクチルメチルシロキサン-ジメチルシロキサン
ターポリマー、VBT-1323(約8,000~12,000ダルトンのMwを有する
)等のビニルメチルシロキサン-メトキシポリエチレンオキシプロピルメチルシロキサン
-ジメチルシロキサンターポリマー、又はビニルメチルシロキサン-フェニルメチルシロ
キサン-ジメチルシロキサン(約2,500~3,000ダルトンのMwを有する)を含
む、ビニルメチルシロキサンターポリマーである。
【0031】
例示的な一実施形態では、ビニル官能性シリコーン油は、ビニルT樹脂又はビニルQ樹
脂を含む。
【0032】
例示的な一実施形態では、シリコーン油は、RUNHEのRH-Vi303、RH-V
i301等、AB Specialty SiliconesのAndril(登録商標
)VS200、Andril(登録商標)VS1000等のビニル官能性油である。
【0033】
2.水素化物官能性シリコーン油
別の例示的な低分子量シリコーン油は、以下に示す一般式を有するヒドロシリコーン油
を含み得る。
【0034】
【0035】
例示的な一実施形態では、シリコーン油は、有機シリコーン成分とSi-H基とを有す
る水素化物官能性シリコーン油を含む。例示的な水酸化物官能性シリコーン油としては、
Si-H基がポリマー鎖にグラフトされている、水酸化物末端シリコーン油及び水素化物
グラフトシリコーン油、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
例示的な一実施形態では、水素化物末端シリコーン油としては、各々、Gelest,
Inc.から入手可能なDMS-H03(約400~500ダルトンのMwを有する)、
DMS-H11(約1,000~1,100ダルトンのMwを有する)、DMS-H21
(約6,000ダルトンのMwを有する)、DMS-H25(約17,200ダルトンの
Mwを有する)、又はDMS-H31(約28,000ダルトンのMwを有する)等の水
素化物末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。例示的な一実施形態では、水素化物末
端シリコーン油は、トリメチルシロキシ末端又は水素化物末端等のメチルヒドロシロキサ
ン-ジメチルシロキサンコポリマーである。例示的なトリメチルシロキシ末端コポリマー
としては、HMS-031(約1,900~2,000ダルトンのMwを有する)、HM
S-071(約1,900~2,000ダルトンのMwを有する)、HMS-082(約
5,500~6,500ダルトンのMwを有する)HMS-151(約1,900~2,
000ダルトンのMwを有する)、HMS-301(約1,900~2,000ダルトン
のMwを有する)、HMS-501(約900~1,200ダルトンのMwを有する)が
挙げられ、例示的な水素化物末端コポリマーとしては、HMS-H271(約2,000
~2,600ダルトンのMwを有する)が挙げられ、それらの各々がGelest,In
c.から入手可能である。例示的な一実施形態では、水素化物グラフトシリコーン油は、
各々、Gelest,Inc.から入手可能なHMS-991(約1,400~1,80
0ダルトンのMwを有する)、HMS-992(約1,800~2,100ダルトンのM
wを有する)、HMS-993(約2,100~2,400ダルトンのMwを有する)等
のトリメチルシロキシ末端のポリメチルヒドロシロキサンである。
【0037】
例示的な低分子量シリコーン油は、50ダルトン、500ダルトン、1,000ダルト
ンもの軽さ、5,000ダルトン、10,000ダルトン、50,000ダルトンもの重
さ、又は上記の値のうちのいずれか2つの間に規定される任意の範囲内の重量(Mw)平
均分子量を有し得る。
【0038】
例示的な低分子量シリコーン油は、ASTM D445に従って測定して、0.5cS
t、5cSt、100cStもの低さ、5,000cSt、10,000cSt、50,
000cStもの高さ、又は上記の値のうちのいずれか2つの間に規定される任意の範囲
内の動粘度を有し得る。
【0039】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.1重量%、0.5重量%、0.67重量%
、1重量%もの少なさ、3重量%、5重量%、10重量%、20重量%もの多さ、又は0
.1重量%~15重量%、0.1重量%~3重量%、若しくは0.67重量%~10重量
%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の低
分子量シリコーン油を含む。
【0040】
c.高分子量シリコーン油
TIMは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPCで測定して、高分子量のシリコーン油を
含む。例示的な高分子量シリコーン油は、上記の低分子量シリコーン油と同様に、以下に
示す一般式を有するビニルシリコーン油を含み得る。
【0041】
【0042】
ビニル官能性シリコーン油は、Si-CH=CH2基を有する有機シリコーン成分を含
む。例示的なビニル官能性シリコーン油としては、ビニル末端シリコーン油、Si-CH
=CH2基がポリマー鎖にグラフトされたビニルグラフトシリコーン油、及びそれらの組
み合わせが挙げられる。
【0043】
例示的なビニル末端シリコーン油としては、各々、Gelest,Inc.から入手可
能なDMS-V41(約62,700ダルトンのMwを有する)、DMS-V42(約7
2,000ダルトンのMwを有する)、DMS-V46(約117,000ダルトンのM
wを有する)、DMS-V51(約140,000ダルトンのMwを有する)、及びDM
S-V52(約155,000ダルトンのMwを有する)等のビニル末端ポリジメチルシ
ロキサンが挙げられる。
【0044】
例示的なビニルグラフトシリコーン油としては、トリメチルシロキシ末端シリコーン油
、シラノール末端シリコーン油、及びビニル末端シリコーン油等のビニルメチルシロキサ
ン-ジメチルシロキサンコポリマーが挙げられる。
【0045】
例示的な一実施形態では、ビニルグラフトシリコーン油は、ビニルメチルシロキサンタ
ーポリマーである。例示的な一実施形態では、ビニル官能性シリコーン油は、ビニルT樹
脂又はビニルQ樹脂を含む。
【0046】
別の例示的な高分子量シリコーン油は、有機シリコーン成分及びSi-H基を有する水
素化物官能性シリコーン油を含み得る。例示的な水酸化物官能性シリコーン油としては、
Si-H基がポリマー鎖にグラフトされている、水酸化物末端シリコーン油、水素化物グ
ラフトシリコーン油、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
例示的な一実施形態では、水素化物末端シリコーン油は、Gelest,Inc.から
入手可能なDMS-H41(約62,700ダルトンのMwを有する)等の水素化物末端
ポリジメチルシロキサンである。例示的な一実施形態では、水素化物末端シリコーン油は
、トリメチルシロキシ末端又は水素化物末端等のメチルヒドロシロキサン-ジメチルシロ
キサンコポリマーである。例示的なトリメチルシロキシ末端コポリマーとしては、Gel
est,Inc.から入手可能なHMS-064(約60,000~65,000ダルト
ンのMwを有する)が挙げられる。
【0048】
例示的な低分子量シリコーン油は、60,000ダルトン、70,000ダルトン、1
00,000ダルトンもの軽さ、1,000,000ダルトン、10,000,000ダ
ルトン、100,000,000ダルトンもの重さ、又は上記の値のうちのいずれか2つ
の間に規定される任意の範囲内の重量(Mw)平均分子量を有し得る。
【0049】
例示的な高分子量シリコーン油は、ASTM D445に従って測定して、10,00
0cSt、20,000cSt、100,000cStの低さ、1,000,000cS
t、10,000,000cSt、100,000,000cStもの高さ、又は上記の
値のうちのいずれか2つの間に規定される任意の範囲内の動粘度を有し得る。例示的な一
実施形態では、例示的な高分子量シリコーン油は、2,000,000cStの動粘度を
有する高分子量ビニルシリコーン油である。
【0050】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.01重量%、0.1重量%、0.25重量
%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%もの少なさ、1重量%、1.5重量
%、2重量%、5重量%もの多さ、又は0.1重量%~5重量%、0.1重量%~1重量
%、若しくは0.25重量%~0.67重量%等の上記の値のうちの任意の2つの間に規
定される任意の範囲内の量の1種以上の高分子量シリコーン油を含み得る。例示的な一実
施形態では、TIMは、約0.6重量%の量の高分子量シリコーン油を含む。別の例示的
な実施形態では、TIMは、約2.68重量%の量の高分子量シリコーン油を含む。
【0051】
2.触媒
TIMは、付加反応を触媒するための1種以上の触媒を更に含む。例示的な触媒は、白
金含有材料及びロジウム含有材料を含む。例示的な白金含有触媒は、以下に示す一般式を
有し得る。
【0052】
【0053】
例示的な白金含有触媒としては、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体(Ashby
Karstedt触媒)、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体(Oss
ko触媒)、白金ジビニルテトラメチルジシロキサンジメチルフマレート錯体、白金ジビ
ニルテトラメチルジシロキサンジメチルマレイン酸錯体等が挙げられる。白金カルボニル
シクロビニルメチルシロキサン錯体の例としては、SIP6829.2が挙げられ、白金
ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の例としては、SIP6830.3及びSIP6
831.2が挙げられ、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体の例としては、SIP6
833.2が挙げられ、これらは全て、Gelest,Inc.から入手可能である。白
金含有材料触媒の更なる例としては、Wacker Chemie AGから入手可能な
Catalyst OL、及びUnited Chemical Technologi
es Inc.から入手可能なPC065、PC072、PC073、PC074、PC
075、PC076、PC085、PC086、PC087、PC088が挙げられる。
【0054】
例示的なロジウム含有材料としては、Gelest,Inc.から入手可能なトリス(
ジブチルスルフィド)ロジウムトリクロライド(製品コードINRH078)が挙げられ
る。
【0055】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、白金触媒は、以下に示すように、
ビニルシリコーン油及びヒドロシリコーン油と反応すると考えられる。
【0056】
【0057】
TIMは、シリコーン油の全重量に基づいて、5ppm、10ppm、15ppm、2
0ppm物低さ、25ppm、30ppm、40ppm、50ppm、100ppm、2
00ppm、500ppm、1000ppmもの高さ、又は10ppm~30ppm、2
0ppm~100ppm、若しくは5ppm~500ppm等の、上記の値のうちのいず
れか2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の触媒を含み得る。
【0058】
例示的な一実施形態では、触媒は、シリコーン油のうちの1種以上との混合物として提
供される。例示的な一実施形態では、白金含有材料触媒は、Shin-Etsuから入手
可能なKE-1012-A、KE-1031-A、KE-109E-A、KE-1051
J-A、KE-1800T-A、KE1204A、KE1218A等、Bluestar
から入手可能なSILBIONE(登録商標)RT Gel 4725 SLD A等、
Wackerから入手可能なSilGel(登録商標)612A、ELASTOSIL(
登録商標)LR3153A、ELASTOSIL(登録商標)LR3003A、ELAS
TOSIL(登録商標)LR3005A、SEMICOSIL(登録商標)961A、S
EMICOSIL(登録商標)927A、SEMICOSIL(登録商標)205A、S
EMICOSIL(登録商標)9212A、SILPURAN(登録商標)2440等、
Momentiveから入手可能なSilopren(登録商標)LSR 2010A等
、Dow Corningから入手可能なXIAMETER(登録商標)RBL-920
0A、XIAMETER(登録商標)RBL-2004A、XIAMETER(登録商標
)RBL-9050A、XIAMETER(登録商標)RBL-1552A、Silas
tic(登録商標)FL30-9201A、Silastic(登録商標)9202A、
Silastic(登録商標)9204A、Silastic(登録商標)9206A、
SYLGARD(登録商標)184A、Dow Corning(登録商標)QP-1A
、Dow corning(登録商標)C6A、Dow Corning(登録商標)C
V9204A等の官能性シリコーン油と合わせられる。
【0059】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%
もの少なさ、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%もの多さ、又は上記の値のうち
の任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の触媒を含み得る。例示的な一実施形態
では、TIMは、約0.04重量%の量の触媒を含む。別の例示的な実施形態では、TI
Mは、約0.4重量%の量の触媒を含む。
【0060】
別の実施形態では、白金含有材料触媒は、高分子量のビニル官能性シリコーン油と合わ
される。
【0061】
3.熱伝導性充填剤
TIMは、1種以上の熱伝導性充填剤を含む。例示的な熱伝導性充填剤としては、金属
、合金、非金属、金属酸化物及びセラミック、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
金属としては、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、ニッケル、スズ、インジウム、及び鉛が挙
げられるが、それらに限定されない。非金属としては、カーボン、グラファイト、カーボ
ンナノチューブ、炭素繊維、グラフェン、窒化ホウ素、及び窒化ケイ素が挙げられるが、
それらに限定されない。金属酸化物又はセラミックとしては、アルミナ(酸化アルミニウ
ム)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化スズが挙げられるが、それら
に限定されない。
【0062】
TIMは、TIMの全重量に基づいて、10重量%、20重量%、25重量%、50重
量%もの少なさ、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97
重量%もの多さ、又は10重量%~95重量%、50重量%~95重量%、若しくは85
重量%~97重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の
量の1種以上の熱伝導性充填剤を含み得る。
【0063】
例示的な熱伝導性充填剤は、0.1ミクロン、1ミクロン、10ミクロンもの小ささ、
50ミクロン、75ミクロン、100ミクロンもの大きさ、又は上記の値のうちの任意の
2つの間に規定される任意の範囲内の平均粒子サイズを有し得る。
【0064】
例示的な一実施形態では、TIMは、第1の熱伝導性充填剤と、第2の熱伝導性充填剤
とを含んでもよく、第1の熱伝導性ファイラーが、1ミクロンより大きい平均粒子サイズ
を有し、第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の平均粒子サイズを有する。より具体
的な実施形態では、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤との比は、1:5、1
:4、1:3、1:2もの小ささ、1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:
1もの大きさ、又は1:5~5:1 1:1~3:1、若しくは1.5:1~3:1等の
上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の平均粒子サイズであり得る
。
【0065】
例示的な一実施形態では、TIMは、第1の熱伝導性充填剤と、第2の熱伝導性充填剤
と、第3の熱伝導性充填剤と、を含んでもよく、第1の熱伝導性ファイラーが、10ミク
ロンより大きい粒子サイズを有し、第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン、2ミクロン、
4ミクロンもの小ささ、6ミクロン、8ミクロン、10ミクロンもの大きさ、又はそれら
の間に規定される任意の範囲内の粒子サイズを有し、第3の熱伝導性充填剤が、1ミクロ
ン未満の平均粒子サイズを有する。
【0066】
例示的な一実施形態では、TIMは、30重量%、35重量%、40重量%もの少なさ
、45重量%、50重量%、60重量%もの多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値
のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第1の熱伝導性充填剤を含む。
第1の熱伝導性充填剤の平均粒子サイズは、30ミクロンもの小ささである。35ミクロ
ン、40ミクロン、多くは45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、又は上記の値の
うちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例示的なTIMは、5重量%、
10重量%、15重量%もの少なさ、25重量%、30重量%、40重量%の多さ、又は
全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量
の第2の熱伝導性充填剤を更に含む。第2の熱伝導性充填剤は、1ミクロン、3ミクロン
もの小ささの平均粒子サイズを有する。5ミクロン、多くは10ミクロン、15ミクロン
、20ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある
。例示的なTIMは、5重量%、10重量%、15重量%もの少なさ、25重量%、30
重量%、40重量%もの多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つ
の間に規定される任意の範囲内の量の第3の熱伝導性充填剤を更に含む。第3の熱伝導性
充填剤は、0.1ミクロン、0.3ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する。0.
5ミクロン、多くは1ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン、又は上記の値のうちの任
意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。
【0067】
例示的な一実施形態では、TIMは、5重量%、10重量%、15重量%もの少なさ、
25重量%、30重量%、40重量%もの多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値の
うちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の第1の熱伝導性充填剤を含む。3
0ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する第1の熱伝導性充填剤。35ミクロン、
40ミクロン、多くは45ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、又は上記の値のうち
の任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例示的なTIMは、30重量%、3
5重量%、40重量%もの少なさ、45重量%、50重量%、60重量%もの多さ、又は
全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量
の第2の熱伝導性充填剤を更に含む。1ミクロン、3ミクロンもの小ささの平均粒子サイ
ズを有する第2の熱伝導性充填剤。5ミクロン、多くは10ミクロン、15ミクロン、2
0ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内にある。例
示的なTIMは、5重量%、10重量%、15重量%もの少なさ、25重量%、30重量
%、40重量%もの多さ、又は全TIM組成物に関して上記の値のうちの任意の2つの間
に規定される任意の範囲内の量の第3の熱伝導性充填剤を更に含む。0.1ミクロン、0
.3ミクロンもの小ささの平均粒子サイズを有する第3の熱伝導性充填剤。0.5ミクロ
ン、多くは1ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン、又は上記の値のうちの任意の2つ
の間に規定される任意の範囲内にある。
【0068】
例示的な熱伝導性充填剤としては、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛が挙げられる。
【0069】
4.付加阻害剤
TIMは、シリコーン油の架橋を阻害又は制限するための1種以上の付加阻害剤を含む
。付加阻害剤は、少なくとも1種のアルキニル化合物を含み、任意選択的に、付加阻害剤
は、マルチビニル官能性ポリシロキサンを更に含む。
【0070】
例示的な付加阻害剤としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、2-メチル-
3-ブチン-2-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、2-エチニル-イソ
プロパノール、2-エチニル-ブタン-2-オール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシ
ン-3-オール等のアセチレンアルコール、トリメチル(3,5-ジメチル-1-ヘキシ
ン-3-オキシ)シラン、ジメチル-ビス-(3-メチル-1-ブチンオキシ)シラン、
メチルビニルビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シラン、及び((1,1-ジ
メチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン等のシリル化アセチレンアルコール
、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジアチル、フマル酸ジアリル、及
びマレイン酸ビス-2-メトキシ-1-メチルエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイ
ン酸モノイソオクチル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエ
チル、フマル酸モノアリル、フマル酸2-メトキシ-1-メチルエチル等の不飽和カルボ
ン酸エステル、アルコールがベンジルアルコール又は1-オクタノール及びエテニルシク
ロヘキシル-1-オールから選択される混合物等のフマル酸/アルコール混合物、2-イ
ソブチル-1-ブテン-3-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、3-メ
チル-3-ペンテン-1-イン、3-メチル-3-ヘキセン-1-イン、1-エチニルシ
クロヘキセン、3-エチル-3-ブテン-1-イン、及び3-フェニル-3-ブテン-1
-イン等の共役エンイン、I,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニ
ルシクロテトラシロキサン等のビニルシクロシロキサン、及び共役エンインとビニルシク
ロシロキサンの混合物が挙げられる。例示的な一実施形態において、付加阻害剤は、2-
メチル-3-ブチン-2-オール又は3-メチル-1-ペンチン-3-オールから選択さ
れる。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態では、付加阻害剤は、マルチビニル官能性ポリシロキサン
を更に含む。例示的なマルチビニル官能性ポリシロキサンは、Wacker Chemi
e AGから入手可能なPt Inhibitor88の等のエチニルシクロヘキサノー
ル中のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。特定の理論に拘束されることを望むも
のではないが、白金触媒は、以下に示すようにエチニルシクロヘキサノール及びビニル末
端ポリジメチルシロキサンと錯体を形成すると考えられる。
【0072】
【0073】
錯体の形成は、室温での触媒活性を低下させ、したがってTIMの分注性及び濡れ性を
維持すると考えられている。硬化工程のより高い温度で、Ptは錯体から放出され、ビニ
ル官能性シリコーン油及び水素化物官能性シリコーン油のヒドロシリル化を助け、「架橋
」をより制御する。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.01重
量%、0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.15重量%もの少なさ、0
.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重
量%もの多さ、又は0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.5重量%、若しく
は0.05重量%~0.2重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任
意の範囲内の量の1種以上の付加阻害剤を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは
、0.1重量%の量の付加阻害剤を含む。別の例示的な実施形態では、TIMは、0.1
3重量%の量の付加阻害剤を含む。
【0075】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、付加阻害剤が存在しない場合、ビ
ニル官能性シリコーン油は、添加ヒドロシリル化メカニズムに基づいて非常に迅速に水素
化物官能性シリコーン油と反応して、典型的な方法によって自動的に分注され得ない固相
を形成する。
【0076】
例示的な一実施形態では、付加阻害剤は、Shin-Etsuから入手可能なKE-1
056、KE-1151、KE-1820、KE-1825、KE-1830、KE-1
831、KE-1833、KE-1842、KE-1884、KE-1885、KE-1
886、FE-57、FE-61等、Dow Corningから入手可能なSyl-o
ff(登録商標)7395、Syl-off(登録商標)7610、Syl-off(登
録商標)7817、Syl-off(登録商標)7612、Syl-off(登録商標)
7780等の官能性シリコーン油と合わせられる。
【0077】
5.任意の成分
いくつかの実施形態では、TIMは、シランカップリング剤、有機可塑剤、界面活性剤
、及びフラックス剤のうちの1つ以上の成分を任意に含むことができる。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、1種以上のカップリング剤を含む。例示
的なカップリング剤としては、一般式Y-(CH2)n-Si-X3(式中、Yは有機官
能基であり、Xは加水分解性基である)を有するシランカップリング剤が挙げられる。有
機官能基Yとしては、アルキル、グリシドキシ、アクリルオキシル、メチルアクリロキシ
ル、アミンが挙げられる。加水分解性基Xとしては、アルキルオキシ、アセトキシが挙げ
られる。いくつかの例示的な実施形態では、シランカップリング剤としては、アルキルト
リアルコキシシランが挙げられる。例示的なアルキルトリアルコキシシランとしては、デ
シルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシ
ラン、オクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。例示的な一実施形態では、TIM
は、カップリング剤として以下の式に示すヘキサデシルトリメトキシシランを含む。
【0079】
【0080】
例示的なカップリング剤は、以下の例示的な反応に示すように例示的な充填剤と相互作
用する。アルミナは、以下の反応で使用される典型的な充填剤である。しかしながら、他
の代替的な充填剤を使用してもよい。示すように、カップリング剤を水に添加し、エトキ
シド基を除去するために加水分解を施す。次いで、生成物に、水が除去され、カップリン
グ剤とアルミナが結合される改質反応を施す。
【0081】
【0082】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.1重量
%、0.25重量%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%もの少なさ、1重
量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%もの多さ、又は0.1重量%~1
0重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.25重量%~0.67重量%等の、上
記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上のカップリング
剤を含み得る。例示的な一実施形態では、TIMは、0.4重量%の量のカップリング剤
を含む。
【0083】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、1種以上の有機可塑剤を含む。例示的な
有機可塑剤として、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジnブ
チル(DnBP、DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP又はDnOP)、フタル酸ジエ
チル(DEP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP
)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ブチルベンジル(BBzP)等のフタ
ル酸系可塑剤を含む。
【0084】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.01重
量%、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%
もの少なさ、1重量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%もの多さ、又は
0.01重量%~10重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.25重量%~0.
67重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種
以上の有機可塑剤を含み得る。
【0085】
いくつかの例示的実施形態では、TIMは、1種以上の界面活性剤を含む。例示的な界
面活性剤として、BYK-307、BYK-306及びBYK-222を含む、BYK
Chemie GmbHから入手可能なBYK界面活性剤等のシリコーン系表面添加剤を
含む。
【0086】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.01重
量%、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%
もの少なさ、1重量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%もの多さ、又は
0.1重量%~10重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.25重量%~0.6
7重量%等の、上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以
上の界面活性剤を含み得る。
【0087】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、1種以上の融剤を含む。例示的な融剤と
しては、ヒュームドシリカが挙げられる。
【0088】
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、TIMの全重量に基づいて、0.1重量
%、0.25重量%、0.5重量%、0.67重量%、0.75重量%もの少なさ、1重
量%、1.5重量%、2重量%、5重量%、10重量%もの多さ、又は0.1重量%~1
0重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.25重量%~0.67重量%等の、上
記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範囲内の量の1種以上の融剤を含み得
る。
【0089】
6.熱界面材料の例示的な配合物
第1の非限定的な例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%~約20重量%のシリ
コーン油、約0.1重量%~約5重量%のカップリング剤、約50重量%~約95重量%
の熱伝導性充填剤、約0.1重量%~約5重量%の付加阻害剤、及び約0.1重量%~約
5重量%の添加触媒を含む。
【0090】
第2の非限定的な例示的な実施形態では、TIMは、約2重量%~約10重量%の第1
の低分子シリコーン油、約2重量%~約10重量%の第2の低分子シリコーン油、約0.
1重量%~約5重量%の高分子量シリコーン油、約0.1重量%~約5重量%のカップリ
ング剤、約25重量%~約50重量%の第1の熱伝導性充填剤、約25重量%~約50重
量%の第2の熱伝導性充填剤、約25重量%~約50重量%の第3の熱伝導性充填剤、約
0.1重量%~約5重量%の付加阻害剤、及び約0.1重量%~約5重量%の添加触媒を
含む。
【0091】
7.熱界面材料の例示的な特性
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、高加速応力試験(HA
ST)に対する優れた耐性を有する。HAST試験は、典型的には、熱界面材料の熱性能
について、湿度及び温度に対する熱界面材料の耐性に関するものと理解される。例示的な
HAST試験標準は、JESD22-A110-Bである。具体的な一実施形態では、熱
界面材料は、ガラスと例示的な銅ヒートシンクとの間に垂直に配向された1.6mmギャ
ップに配置され、-55℃~+125℃で10,000回の熱サイクルを1週間以上受け
る。他の実施形態では、熱界面材料は、熱サイクル試験後に亀裂がほとんど又は全くない
ことを示している。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、温度サイクルに対する
優れた耐性を有する。温度サイクルは、典型的には、高温及び低温の極限に対する熱界面
材料の抵抗、並びに周期的な熱応力に耐えるその能力に関連すると理解される。例示的な
温度サイクル試験標準は、JESD22-A104-Bである。具体的な一実施形態にお
いて、熱界面材料は、垂直に配向された1.6mmギャップのガラスと例示的銅ヒートシ
ンクとの間に配置され、1週間にわたって-55℃~+125℃の間で10,000回の
熱サイクルを受けたときでも、滴下を示さない。他の実施形態では、熱界面材料は、温度
サイクル試験に続いてほとんど又は全く亀裂を示していない。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、少なくとも1W/m・
Kの熱伝導率を有する。例示的な熱伝導率試験方法標準は、ASTM D5470である
。例示的な一修正形態では、上記のような熱界面材料は、約4W/m・Kの熱伝導率を有
する。別の例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、約2W/m・Kの熱伝導
率を有する。
【0094】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、室温で10Pa.s~
100,000Pa.sの範囲内、より具体的には、100Pa.s~10,000Pa
.sの範囲内の粘度を有する。例示的な粘度試験法標準は、DIN 53018である。
具体的な一実施形態では、粘度は、ブルックフィールドレオメーターによって、せん断速
度2s-1で試験される。
【0095】
適用されるように、熱界面材料は、マイクロメーターで測定して、変化した厚さを有す
ることができる。いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、0.0
5mm、0.5mm、1mmもの小ささ、3mm、5mm、7mm、10mmもの大きさ
、又は0.05mm~5mm等の上記の値のうちの任意の2つの間に規定される任意の範
囲内の厚さを有する。
【0096】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、硬化したときに所定の
温度で圧縮可能である。例示的な一実施形態では、熱界面材料は、約25℃の温度で少な
くとも10%圧縮可能である。
【0097】
いくつかの例示的な実施形態では、上記のような熱界面材料は、1g/分~1,000
g/分の範囲、より具体的には10g/分~100g/分の範囲の分注速度を有する。具
体的な一実施形態では、分注速度は、直径0.1インチの分注ヘッダ開口部を有する10
mlシリンジを用いて、0.6MPaの圧力下で試験する。
【0098】
B.熱界面材料の形成方法
いくつかの例示的な実施形態では、TIMは、個々の成分を加熱ミキサー中で合わせ、
組成物を一緒に混合することによって調製する。次いで、混合された組成物は、焼成する
ことなく、基材に直接塗布することができる。
【0099】
C.熱界面材料を利用する用途
ここでも
図1を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、TIM
18によって示されるように、電子部品12とヒートスプレッダ14との間にTIM1と
して配置される。いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、TIM20によって
示されるように、ヒートスプレッダ14とヒートシンク16との間にTIM2として配置
される。いくつかの例示的な実施形態では、熱界面材料は、電子部品12とヒートシンク
16との間にTIM1.5(図示せず)として配置される。
【実施例】
【0100】
実施例1
熱界面材料は、表1に提供される配合に従って調製した。
【0101】
【0102】
低分子量(MW)シリコーン油Aは、ビニル官能基を含む低分子量液状シリコーンゴム
であった。低MWシリコーン油の分子量は50,000ダルトン未満であり、白金触媒を
更に含んでいた。低MWシリコーン油Bは、水素化物官能基を含む液体シリコーンゴムで
あり、50,000ダルトン未満の分子量を有する。シランカップリング剤は、ヘキサデ
シルトリメトキシシランであった。熱伝導性充填剤Aは、1~10ミクロンの粒子径を有
するアルミニウム粒子であった。熱伝導性充填剤Bは、1ミクロン未満の粒子径を有する
酸化亜鉛粒子であった。付加阻害剤は、Wacker Chemie AGから入手可能
なPt Inhibitor88であった。
【0103】
実施例1の配合物を調製するために、シリコーン油、シランカップリング剤、及び付加
阻害剤を合わせ、スピードミキサーで混合した。次いで、熱伝導性充填剤を添加し、混合
物を再び混合した。
【0104】
比較例を使用するためにParker Chomerics製のGEL30熱伝導性デ
ィスペンスゲルを得た。GEL30は、部分的に架橋されたシリコーンゴム及びアルミナ
を含む。
【0105】
実施例1及び比較例の配合物は、各々、ガラスと例示的なヒートシンクとの間で垂直に
配向された1.6mmのギャップで挟み込まれ、-55℃~+125℃で1週間熱サイク
ルにかけられた。
【0106】
図2Aは、熱サイクル試験前の実施例1から形成された試料を示し、
図2Bは、熱サイ
クル試験前のGEL30比較例から形成された試料を示す。
図3Aは、熱サイクル試験後
の実施例1から形成された試料を示し、
図3Bは、熱サイクル試験後のGEL30の比較
例から形成された試料を示す。
【0107】
図3Aに示すように、実施例1から形成された試料は、試験中にサンプルがガラスと基
板との間にその元の垂直位置を維持することによって示されるように、滴下がないことを
示した。対照的に、比較例から形成されたサンプルは、
図2Bと
図3Bとの間の下方への
移動によって示されるように、著しい滴下を示した。
【0108】
加えて、
図3Aは、熱サイクル試験のために実施例1から形成された試料の限られた亀
裂を示した。対照的に、
図3Bは、比較例において著しくより多くの亀裂を示した。
【0109】
実施例2
熱界面材料は、表2に提供される処方に従って調製した。
【0110】
【0111】
低分子量(MW)シリコーン油Aは、ビニル官能基を含む低分子量液状シリコーンゴムであった。低MWシリコーン油の分子量は50,000ダルトン未満であり、白金触媒を更に含んでいた。低MWシリコーン油Bは、水素化物官能基を含む低分子量液状シリコーンゴムであった。低MWシリコーン油Bの分子量は、50,000ダルトン未満であった。高MWシリコーン油の分子量は、60,000ダルトンより大きかった。シランカップリング剤は、ヘキサデシルトリメトキシシランであった。熱伝導性充填剤Aは、1~10ミクロンの粒子径を有する酸化アルミニウム粒子であった。熱伝導性充填剤Bは、1ミクロン未満の粒子径を有する酸化アルミニウム粒子であった。付加阻害剤は、Wacker Chemie AGから入手可能なPt Inhibitor88であった。
【0112】
比較例2、実施例2A、2B、又は2Cのうちの1つを調整した後、
図6A及び6Bに
示すように、調製した混合物をシリンジ50に挿入して封入する。シリンジ50は、自動
ディスペンサツール52に接続されている。混合物は、ディスペンサツール52によって
生成される空気圧によってシリンジ50からパージすることができる。ディスペンサツー
ル52はまた、オリフィスの直径を制御する。実際には、ディスペンサツール52は、2
つのパラメータ、すなわちオリフィスの直径及び空気圧を変化させることによって、シリ
ンジ50からの混合物の分注速度を制御する。一実施形態では、配合物は、シリンジ50
の0.100インチのオリフィスを通して90psiの圧縮下で、10立方センチメート
ルの先端取り付けなしでシリンジ50から分注される。
【0113】
比較例2、実施例2A、及び実施例2Bの配合物を、例示的なヒートシンク上に各々分
注した後、例えば、
図2Aに示すように、装置が垂直に配置されている場合には、ヒート
シンクとガラスとの間に1.6mmのギャップが存在する例示的なヒートシンク上にガラ
スプレートを配置した。配合物に加えられた圧力は、配合物を所望の領域に拡散させる。
ヒートシンクとガラスとの間には1.6mmのギャップがある。上記のようなガラス及び
例示的なヒートシンク装置は、-55℃~+125℃の熱サイクルを、1週間の間、各サ
イクルで40分の継続時間で行う。全部で約250サイクルを実施し、各個別のサイクル
は、40分間の継続時間を有する。
【0114】
図4A~
図4Cは、熱サイクル試験前の実施例2から形成された比較例2、実施例2A
、及び実施例2Bを、
図5A~
図5Cに示す熱サイクル試験後の比較例2、実施例2A、
及び実施例2Bから生じた配合物と共に示している。
【0115】
図5A、及び5Bに示すように、比較例2及び実施例2Aは、各々、試験中に試料がガ
ラスと基板との間のそれぞれの元の垂直位置を維持しないことによって示されるように、
顕著な滴下を示した。これに対し、
図5Cに示すように、実施例2Bは、試験中にサンプ
ルがガラスと基板との間の元の垂直位置を維持することによって示されるように、限られ
た滴下を示した。
【0116】
加えて、実施例2B(
図5C)は、例えば、熱サイクル試験のために実施例1から形成
された試料の限られた亀裂を示した。これに対して、比較例2及び実施例2A(それぞれ
図5A及び
図5B)は、比較例においてかなり多くの割れを示した。
【0117】
本発明は、例示的な設計を有するものとして説明したが、本発明は、本開示の思想及び範囲内で更に修正することができる。従って、本出願は、その一般的原理を利用した本発明のあらゆる変形、使用、又は適応を包含することが意図されている。更に、本出願は、本発明が関連し、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
熱界面材料であって、
50,000ダルトン未満の重量(Mw)平均分子量を有する少なくとも1種の低分子量シリコーン油と、
少なくとも1種の熱伝導性充填剤と、
少なくとも1種の高分子量シリコーン油と、を含み、前記高分子量シリコーン油が、少なくとも60,000ダルトンの重量(Mw)平均分子量を有するビニル官能性シリコーン油を含む、熱界面材料。
[2]
前記少なくとも1種の低分子量シリコーン油が、第1のシリコーン油と第2のシリコーン油とを含み、前記第1のシリコーン油が、ビニル官能性シリコーン油であり、前記第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油である、[1]に記載の熱界面材料。
[3]
前記熱伝導性充填剤が、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤とを含み、第1の熱伝導性ファイラーが、1ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属酸化物であり、前記第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の粒子サイズを有する金属酸化物である、[1]に記載の熱界面材料。
[4]
前記熱界面材料が、
2重量%~20重量%の前記低分子量シリコーン油と、
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤と、
0.1重量%~5重量%の前記高分子量シリコーン油と、を含む、[1]に記載の熱界面材料。
[5]
熱界面材料であって、
少なくとも1種のシリコーン油と、
少なくとも1種の熱伝導性充填剤と、
少なくとも1種の付加阻害剤と、を含み、前記付加阻害剤が、アルキニル化合物を含む、熱界面材料。
[6]
前記付加阻害剤が、マルチビニル官能性ポリシロキサン、エチニルシクロヘキサノールで終端するポリジメチルシロキサンビニル、2-メチル-3-ブチン-2-オール、及び3-メチル-1-ペンチン-3-オールからなる群から選択される、[5]に記載の熱界面材料。
[7]
前記少なくとも1種のシリコーン油が、第1のシリコーン油と第2のシリコーン油とを含み、前記第1のシリコーン油が、ビニル官能性シリコーン油であり、前記第2のシリコーン油が、水素化物官能性シリコーン油である、[5]に記載の熱界面材料。
[8]
前記熱伝導性充填剤が、第1の熱伝導性充填剤と第2の熱伝導性充填剤とを含み、第1の熱伝導性ファイラーが、1ミクロンより大きい粒子サイズを有する金属であり、前記第2の熱伝導性充填剤が、1ミクロン未満の粒子サイズを有する金属酸化物である、[5]に記載の熱界面材料。
[9]
前記第1の熱伝導性充填剤と前記第2の熱伝導性充填剤との比が、1.5:1~3:1である、[8]に記載の熱界面材料。
[10]
前記熱界面材料が、
2重量%~20重量%の前記シリコーン油と、
0.1重量%~5重量%のシランカップリング剤と、
50重量%~95重量%の前記熱伝導性充填剤と、
0.01重量%~5重量%の前記付加阻害剤と、を含む、[5]に記載の熱界面材料。