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特許7584320位置ずれを補償する3次元(3D)オブジェクト印刷システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】位置ずれを補償する3次元(3D)オブジェクト印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20241108BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20241108BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20241108BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241108BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241108BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241108BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20241108BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20241108BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/112
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/106
B22F3/16
B22F3/105
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021022075
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2021138138
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】16/812,746
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・ティー.・レストレンジ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・エス.・ブルーハム
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール.・マクローリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エル.・ジャコビ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア・エル.・ワーナー
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0111807(US,A1)
【文献】特開2019-104239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B29C 64/112
B29C 64/209
B33Y 10/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体プリンタを動作させる方法であって、
ビルド軸に沿った第1のビルドレベルにおいて、プラテン上に提供された第1のビルド表面に向かって少なくとも1滴の第1の材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、
前記第1のビルド表面上の第1の基準参照からの前記第1の材料滴の第1の距離成分を測定するようにセンサを動作させることであって、前記第1の距離成分が、プロセス軸に沿った第1のプロセス方向成分と、クロスプロセス軸に沿った第1のクロスプロセス方向成分とを含む、動作させることと、
前記ビルド軸に沿って前記プラテンに対して前記エジェクタヘッドを移動させることと、
前記プラテン上にゲージブロックを配置することであって、前記ゲージブロックが、前記ビルド軸に沿った第2のビルドレベルにおいて第2のビルド表面を提供する、配置することと、
前記第2のビルド表面に向かって少なくとも1滴の第2の材料滴を排出するように前記エジェクタヘッドの前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、
前記第2のビルド表面上の第2の基準参照からの前記第2の材料滴の第2の距離成分を測定するように前記センサを動作させることであって、前記第2の距離成分が、第2のプロセス方向成分及び第2のクロスプロセス方向成分を含む、動作させることと、
前記第1の距離成分と前記第2の距離成分との間の差を計算することであって、前記計算された差が、プロセス方向差及びクロスプロセス方向差を含む、計算することと、
前記第1のビルドレベルと前記第2のビルドレベルとの間の前記ビルド軸に沿った複数の漸増的なビルドレベルの、前記プラテンに対するエジェクタヘッドのシフトを決定することであって、前記漸増的なビルドレベルの各々の前記決定されたエジェクタヘッドのシフトが、前記計算された差に基づく、決定することと、
3次元物体を形成するために、前記エジェクタヘッドを移動させ、前記プラテンに向かって材料滴を排出するように前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることであって、前記エジェクタヘッドを移動させることが、前記漸増的なビルドレベルにおいて材料滴を排出する前に、前記複数の漸増的なビルドレベルの各々の前記決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、前記プラテンに対して前記エジェクタヘッドをシフトさせることを含む、動作させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ゲージブロックを前記プラテン上に配置することが、前記プラテン上の位置合わせ特徴部を前記ゲージブロック上の補完的特徴部と整列させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビルド軸に沿って前記プラテンに対して前記エジェクタヘッドを移動させることが、前記ビルド軸に沿って前記プラテンを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ビルド軸に沿って前記プラテンに対して前記エジェクタヘッドを移動させることが、ガントリ上に位置付けられた前記エジェクタヘッドと共に、前記ビルド軸に沿って前記ガントリを移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ビルド軸に沿った複数の漸増的なビルドレベルについて前記プラテンに対するエジェクタヘッドのシフトを決定することは、前記プロセス方向差に基づいて、前記プロセス軸に沿ってエジェクタヘッドのシフトを決定することと、前記クロスプロセス方向差に基づいて、前記クロスプロセス軸に沿ってエジェクタヘッドのシフトを決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エジェクタヘッドのシフトを決定することが、前記計算された差をプリンタ制御システムに入力することを含み、前記プリンタ制御システムは、(i)前記計算された差に基づいて、前記漸増的なビルドレベルの各々に対する画素調整を決定し、(ii)前記漸増的なビルドレベルの各々に対する前記決定された画素調整によって前記エジェクタヘッドをシフトさせるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
エジェクタヘッドのシフトを決定することが、前記計算された差をプリンタ制御システムに入力することを含み、前記プリンタ制御システムは、(i)前記計算された差に基づいて、前記漸増的なビルドレベルの各々に対するシフト量を決定し、(ii)ガントリ上の前記エジェクタヘッドの位置をシフトさせるか、又は前記漸増的なビルドレベルの各々について前記決定されたシフト量だけ、前記プラテンの位置をシフトさせるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラテン上に第2のゲージブロックを配置することであって、前記第2のゲージブロックが、前記ビルド軸に沿った第3のビルドレベルにおいて第3のビルド表面を提供することと、
前記第3のビルド表面に向かって少なくとも1つの第3の材料滴を排出するように前記エジェクタヘッドの前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、
前記第3のビルド表面上の第3の基準参照からの前記第3の材料滴の第3の距離成分を測定するように前記センサを動作させることであって、前記第3の距離成分が、第3のプロセス方向成分及び第3のクロスプロセス方向成分を含む、動作させることと、
前記第2の距離成分と前記第3の距離成分との間の差を計算することと、
前記第2の距離成分と前記第3の距離成分との間の前記計算された差に基づいて、前記第2のビルドレベルと前記第3のビルドレベルとの間の前記ビルド軸に沿った第2の複数の漸増的なビルドレベルについて、前記プラテンに対するエジェクタヘッドのシフトを決定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
3次元物体プリンタを動作させる方法であって、
ベースビルドレベルにおいて診断対象物の診断形状を形成するために、プラテンに向かって材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることであって、前記診断形状が、前記ベースビルドレベルにおいてプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を有する、動作させることと、
前記エジェクタヘッドが前記ベースビルドレベルから更に離れる方向に移動するように、ビルド軸に沿った前記ベースビルドレベルに対して前記エジェクタヘッドを移動させることと、
前記ビルド軸に沿ったより上のビルドレベルにおいて、前記診断対象物の前記診断形状を構築するように前記エジェクタヘッドの前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、
前記より上のビルドレベルにおいて前記診断形状のプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を感知することと、
前記ベースビルドレベル及び前記より上のビルドレベルにおける少なくとも1つの寸法の差を決定することと、
前記決定された差に少なくとも部分的に基づいて、前記ベースビルドレベルと前記より上のビルドレベルとの間のある数の漸増的なビルドレベルの各々についてエジェクタヘッドのシフトを決定することと、
前記エジェクタヘッドのシフトを決定した後、3次元物体を形成するために、前記エジェクタヘッドを移動させ、前記プラテンに向かって材料滴を排出するように前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、を含み、前記エジェクタヘッドを移動させることが、前記漸増的なビルドレベルにおいて材料滴を排出する前に、前記漸増的なビルドレベルの各々について前記決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、前記プラテンに対して前記エジェクタヘッドをシフトさせることを含
前記ベースビルドレベル及び前記より上のビルドレベルにおける少なくとも1つの寸法の前記差を決定することが、前記決定された差が前記ベースビルドレベルにおける前記寸法と同一であるように、前記より上のビルドレベルにおける前記診断対象物の不在を感知することを含み、
前記診断対象物が第1の診断形状を有する第1の診断対象物であり、前記第1の診断形状の前記プロセス方向寸法が前記ベースビルドレベルにおける前記クロスプロセス方向寸法よりも大きく、
前記方法が、
第2の診断対象物を構築するように前記少なくとも1つのエジェクタを動作させることであって、前記第2の診断対象物が、前記ベースビルドレベルにおいてクロスプロセス方向寸法よりも小さいプロセス方向寸法を有する第2の診断形状を含む、動作させることと、
前記漸増的なビルドレベルのうちの1つにおいて、前記第1及び第2の診断対象物のうちの1つの不在を感知することと、
前記漸増的なビルドレベルのうちの1つにおける前記第1及び第2の診断対象物のうちの1つの不在に基づいて、前記ベースビルドレベルにおける前記第1又は第2の診断対象物の前記プロセス方向寸法又は前記クロスプロセス方向寸法と同等である差を決定することと、を更に含む
方法。
【請求項10】
前記診断対象物がカラムであり、前記診断形状が前記カラムの矩形断面形状である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記漸増的なビルドレベルの各々について前記エジェクタヘッドのシフトを決定することが、前記決定された差を前記漸増的なビルドレベルの数で除算することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセス軸は、前記クロスプロセス軸に垂直であり、前記ビルド軸は、前記プロセス軸及び前記クロスプロセス軸の両方に垂直であり、前記プラテンは、前記ビルド軸に垂直である平面である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書に開示される装置及び方法は、3次元物体印刷に関し、より具体的には、3次元物体プリンタにおける診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル付加製造としても知られるデジタル3次元物体の製造は、デジタルモデルから仮想的に任意の形状の3次元固体物体を作製するプロセスである。3次元(three-dimensional、3D)物体印刷は、3Dプリンタ堆積材料の1つ以上のエジェクタヘッドが部品をビルドアップする付加プロセスである。材料は、典型的には、部品を集合的に形成する層を形成するために、制御された方法で個別の量で堆積される。材料の初期層は、基板上に堆積され、後続の層は、前の層の上に堆積される。基板は、それぞれの層が印刷され得るように、排出ヘッドに対して移動することができるプラットフォーム上に支持され、基板が、プラットフォームに動作可能に接続されたアクチュエータの動作を介して移動されるか、又はエジェクタヘッドが、エジェクタヘッドに動作可能に接続されたアクチュエータの動作を介して移動される。3次元物体印刷は、ほとんどが切断又はドリル加工などの減法プロセスによる加工物からの材料の除去に依存する従来の物体形成技術と区別可能である。
【0003】
ガントリのレール、プラテン及び他の構成要素が、プロセス方向(すなわち、Y方向)、クロスプロセス方向(すなわち、X方向)、及びビルド方向(すなわち、Z方向)に適切に位置合わせされることを確実にするように、プリンタ構成要素の製造及び3Dプリンタの初期設定の間に注意を払わなければならない。理想的には、各方向のレールは、他の2つの方向のレールに対して完全に垂直であるべきである(例えば、Z方向のレールは、X方向及びY方向にレールに対して完全に垂直であるべきである)。加えて、ビルド軸(すなわち、Z方向)に沿ってビルド材料を分配及び受容するように構成されたエジェクタヘッド、プラテン、及び関連する構成要素は、理想的には、ビルド材料の落下がこの軸に沿ってビルド表面に直接落下するように、プリンタセットアップ中に重力の力と適切に位置合わせされるべきである。プリンタの構成要素が意図通りに適切に製造及び位置合わせされていない場合、3Dプリンタで構築された部品の後続の各層は、前の層からオフセットされることになり、各追加のビルドレベルを伴う累積誤差(すなわち、プロセス及び/又はクロスプロセスドリフトは、各連続するビルドレベルで発生し、及び誤差が化合物となる)、及び設計仕様を満たさない不十分なビルド部品をもたらす。様々な理由の何らかのプリンタ構成要素のこのようなずれは、本明細書では、多数のビルドレベルにわたるプロセス方向及びクロスプロセス方向におけるプリンタのドリフトをもたらすプリンタの「位置ずれ」と呼ばれることがある。
【0004】
上記の考察は、3D物体を印刷することに伴う1つの課題が、ビルドレベルの高さ(Z方向)全体にわたって、クロスプロセス方向及びプロセス方向(すなわち、X方向及びY方向)における正確な位置合わせを維持することであることを示す。ローエンドの3Dプリンタは、有意な誤差許容誤差を有する低品質の構成要素で作製されるため、このような精密性を維持することは、ローエンド3Dプリンタにおいて特に深刻である。それでもなお、この同じ問題は、より高価な精密機械加工部品を含むハイエンド3Dプリンタにも生じ得る。したがって、ハイエンド及びローエンドのプリンタの両方において、プリンタの全ての構成要素が可能な限り厳密に位置合わせされていることを確実にし、最良の可能な部品を製造するためには、骨が折れ時間がかかるセットアップ手順に従わなければならない。残念ながら、これらのセットアップ手順は、従うことが困難であり、実施するのに時間がかかり、3Dプリンタのコストを追加するものである。
【0005】
上記を考慮すると、ローエンドプリンタがより高品質の部品を製造することを可能にし、ハイエンドプリンタが低コストで製造され、セットアップ時間及び複雑性が低減されて動作することを可能にする誤差補償機構及びルーチンを備えた改良された3Dプリンタを提供することは有益であろう。このような誤差補償機構を、新たに構築されたプリンタ及び既存のプリンタの両方に組み込むことが可能であることはまた、本技術分野において有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、3次元物体プリンタは、プラテンと、プラテンの上方に位置付けられたガントリと、ガントリ上に位置付けられたエジェクタヘッドと、センサと、コントローラと、を備える。エジェクタヘッドは、ビルド軸に沿った複数のビルドレベルまで、かつビルドレベルの各々におけるプロセス及びクロスプロセス座標によって定義される複数の位置までプラテンに対して移動するように構成されている。エジェクタヘッドは、複数の位置においてプラテンに向かって材料滴を排出するように構成されている少なくとも1つのエジェクタを有する。センサは、ビルドレベルのうちの1つにおいて、基準と材料滴との間の差を決定するように構成されている。コントローラは、センサ及びエジェクタヘッドに動作可能に接続され、ビルド軸に沿ってベースビルドレベルからより上のビルドレベルまでプラテンに対してエジェクタヘッドを移動させるように構成されている。コントローラは、少なくとも1滴の材料滴がビルド上面上に体積されるように、エジェクタがより上のビルドレベルにおいてプラテンに向かって少なくとも1滴の材料滴を排出するように動作させるように更に構成されている。加えて、コントローラは、センサビルド上面が基準と上に堆積された少なくとも1滴の材料滴との間のプロセス及びクロスプロセスの差を決定するように動作させるように構成されている。コントローラはまた、決定されたプロセス及びクロスプロセスの差、及びベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のビルドレベルの数に少なくとも部分的に基づいて、複数のビルドレベルの各々と関連付けられたプロセス方向及びクロスプロセス方向におけるエジェクタヘッドのシフトを決定するように構成されている。その後、コントローラは、3次元物体を形成するために、エジェクタヘッドを移動させ、少なくとも1つのエジェクタが、複数のビルドレベルの各々と関連付けられた複数の所定の位置においてプラテンに向かって材料滴を排出するように動作させるように構成されており、エジェクタヘッドを移動させることは、複数の所定の位置の各々に対してビルドレベルと関連付けられた決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、プラテンに対してエジェクタヘッドをシフトさせることを含む。
【0007】
少なくとも1つの実施形態では、3次元物体プリンタを動作させるための方法が開示される。本方法は、ビルド軸に沿った第1のビルドレベルにおいて、プラテン上に提供された第1のビルド表面に向かって少なくとも1滴の第1の材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、次に、第1のビルド表面上の第1の基準参照からの第1の材料滴の第1の距離成分を測定するようにセンサを動作させることであって、第1の距離成分が、プロセス軸に沿った第1のプロセス方向成分と、クロスプロセス軸に沿った第1のクロスプロセス方向成分とを含む、動作させることと、を含む。本方法は、ビルド軸に沿ってプラテンに対してエジェクタヘッドを移動させることと、次に、プラテン上にゲージブロックを配置することであって、ゲージブロックが、ビルド軸に沿った第2のビルドレベルにおいて第2のビルド表面を提供する、配置することと、を更に含む。加えて、本方法は、第2のビルド表面に向かって少なくとも1滴の材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、次に、第2のビルド表面上の第2の基準参照から第2の材料滴の第2の距離成分を測定するようにセンサを動作させることであって、第2の距離成分は、第2のプロセス方向成分及び第2のクロスプロセス方向成分を含む、動作させることと、を含む。本方法は、第1の距離成分と第2の距離成分との間の差を計算することであって、計算された差が、プロセス方向差及びクロスプロセス方向差を含む、計算することと、次に、第1のビルドレベルと第2のビルドレベルとの間のビルド軸に沿った複数の漸増的なビルドレベルについてプラテンに対するエジェクタヘッドのシフトを決定することであって、漸増的なビルドレベルの各々について決定されたエジェクタヘッドのシフトが、計算された差に基づく、決定することと、を更に含む。その後、本方法は、3次元物体を形成するために、エジェクタヘッドを移動させ、複数のエジェクタが、プラテンに向かって材料滴を排出するように動作させることを含み、エジェクタヘッドを移動させることが、漸増的なビルドレベルにおいて材料滴を排出する前に、複数の漸増的なビルドレベルの各々について、決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、プラテンに対してエジェクタヘッドをシフトさせることを含む。
【0008】
更に別の実施形態では、3次元物体プリンタを動作させる方法は、ベースビルドレベルにおいて診断対象物の診断形状を形成するために、プラテンに向かって材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることを含み、診断形状が、ベースビルドレベルにおいてプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を有する、動作させることを含む。その後、本方法は、エジェクタヘッドがベースビルドレベルから更に離れる方向に移動するように、ビルド軸に沿って、ベースビルドレベルに対してエジェクタヘッドを移動させることと、ビルド軸に沿ったより上のビルドレベルにおいて、診断対象物の診断形状を構築するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることと、を含む。本方法は、より上のビルドレベルにおいて診断形状のプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を感知することと、次に、ベースビルドレベル及びより上のビルドレベルにおける少なくとも1つの寸法における差を決定することと、を更に含む。加えて、本方法は、決定された差に少なくとも部分的に基づいて、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のある数の漸増的なビルドレベルの各々についてエジェクタヘッドのシフトを決定することを含む。エジェクタヘッドのシフトを決定した後、本方法は、3次元物体を形成するために、エジェクタヘッドを移動させ、プラテンに向かって材料滴を排出するように少なくとも1つのエジェクタを動作させることを含み、エジェクタヘッドを移動させることが、漸増的なビルドレベルにおいて材料滴を排出する前に、複数の漸増的なビルドレベルの各々について、決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、プラテンに対してエジェクタヘッドをシフトさせることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本方法及び装置の前述の態様及び他の特徴は、添付の図面と関連して以下の説明で説明される。
【0010】
図1】3次元物体プリンタを示す。
【0011】
図2】ビルドプロセスの開始時の図1の3次元物体プリンタを示す。
【0012】
図3】ビルドプロセスの複数の層が完了した図1の3次元物体プリンタを示す。
【0013】
図4図1の3次元物体プリンタを動作させる方法のフローチャートを示す。
【0014】
図5】基準及びビルド材料の試験滴がプラテン上に位置付けられた図1の3次元物体プリンタのプラテンを示す。
【0015】
図6】ゲージブロックがプラテン上に位置付けられ、第2の基準及び第2の試験滴がゲージブロックの上面に位置付けられた図5のプラテンを示す。
【0016】
図7図1の3次元物体プリンタの制御システムのブロック図を示す。
【0017】
図8A図1のプリンタを使用してベースビルドレベルで形成された一連の診断対象物の図示である。
【0018】
図8B】エンドビルドレベルでの図8Aの診断対象物の図示である。
【0019】
図9A】プロセス方向におけるプリンタの位置ずれを示す、図1のプリンタで形成された第1の診断対象物の斜視図を示す。
【0020】
図9B】クロスプロセス方向におけるプリンタの位置ずれを示す、図1のプリンタで形成された第2の診断対象物の斜視図を示す。
【0021】
図9C】プロセス方向におけるプリンタの位置ずれを示し、対象物の診断特徴が存在しないようにした、図1のプリンタで形成された第3の診断対象物の斜視図を示す。
【0022】
図10】プロセス及びクロスプロセス方向の両方におけるプリンタの位置ずれを示す、図1のプリンタで形成された診断対象物の平面図を図示する。
【0023】
図11A】プロセス方向に伸長された第1の診断対象物と、クロスプロセス方向に伸長された第2の診断対象物とを含む、図1のプリンタで形成された2つの診断対象物のベース層の平面図を図示する。
【0024】
図11B図11Aの2つの診断対象物のベース層に対する中間層の平面図を図示する。
【0025】
図11C】ベース層に対する図11Aの第1の診断対象物及び第2の診断対象物の上層の平面図を図示する。
【0026】
図12A】プロセス方向に伸長された第1の診断対象物と、クロスプロセス方向に伸長された第2の診断対象物とを含む、図1のプリンタで形成された2つの診断対象物のベース層の平面図を図示する。
【0027】
図12B図12Aの2つの診断対象物のベース層に対する中間層の平面図を図示する。
【0028】
図12C】ベース層に対する図11Aの第1の診断対象物及び第2の診断対象物の上層の上面図を図示する。
【0029】
図13】プロセス方向に伸長された第1及び第2の診断対象物と、クロスプロセス方向に伸長された第3及び第4の診断対象物とを含む、図1のプリンタで形成された4つの診断対象物のベース層の平面図を図示する。
【0030】
図14図1の3次元物体プリンタを動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に開示されるプリンタ及び方法の環境、並びにプリンタ及び方法の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0032】
本明細書に開示され、以下で更に詳細に説明されるように、3次元物体プリンタは、材料滴と基準との間でより上のビルドレベルでのプロセス及びクロスプロセス座標差を決定するように構成されているセンサを含む。プリンタは、決定されたプロセス及びクロスプロセス座標差に少なくとも部分的に基づいて、プロセス方向におけるエジェクタヘッドのシフト、及び複数のビルドレベルの各々と関連付けられたクロスプロセス方向を決定するように構成されたコントローラを更に含む。3次元物体を構築するときに、エジェクタヘッドは、決定されたシフト量だけ、それぞれの連続するビルドレベルでシフトされる。その結果、プリンタは、より高い精度で部品を製造することができる。
【0033】
図1は、例示的な3次元物体プリンタ110を示す。プリンタ110は、プラテン120、ガントリ130、1つ以上のエジェクタヘッド140、及びコントローラ150を含む。プラテン120は、実質的に平面の上面122を有し、その上に部品112などの3次元物体がプリンタ110によって形成される。エジェクタヘッド140は、プラテン120の表面122上に3次元物体を形成するために、ビルド材料滴を排出するように構成されている複数のエジェクタ142を有する。多くの実施形態では、複数のエジェクタ142は、クロスプロセス方向Xにおける1つ以上の列に配置されるが、他の実施形態では、複数のエジェクタ142は、代わりに単一のエジェクタ142のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のエジェクタ142は、ビルド材料滴を排出するように構成されている第1の複数のエジェクタ、及びワックスなどの支持材料滴を排出するように構成されている第2の複数のエジェクタを含む。
【0034】
ガントリ130は、エジェクタヘッド140がプラテン120の上方を移動することを可能にするフレームワークを提供する。この目的のために、ガントリは、柱体、レール、支柱などの様々なフレーム部材132、及びエジェクタヘッド140がプラテン120の上方を移動する際にエジェクタヘッド140を支持及び案内する他の構造部材を含む。ガントリ130は、一般的に、プロセス、クロスプロセス、及びビルド方向(本明細書ではそれぞれ「Y」、「X」及び「Z」方向、又は「Y軸」、「X軸」及び「Z軸」に沿ってとそれぞれ呼ばれることがある)においてエジェクタヘッド140の移動を容易にするように構成されている。少なくともいくつかの実施形態では、プラテン120はまた、ビルド方向でガントリに対して移動するように構成されてもよい。
【0035】
プリンタ110は、エジェクタヘッド140に動作可能に接続されたコントローラ150を含む。コントローラ150は、ビルド方向(すなわち、Z方向)におけるプリントのそれぞれ連続するビルドでクロスプロセス及びプロセス方向(すなわち、X及びY方向)におけるエジェクタヘッド140の適切な位置合わせを補償するように、エジェクタヘッド140を動作させるように構成されている。3次元物体112の各層を形成するために、コントローラ150は、プリンタ110が、エジェクタ142からプラテン120上に材料滴を排出しながら、プロセス方向(すなわち、Y方向)に1回以上エジェクタヘッド140をスイープするように動作させる。複数のパスの場合、エジェクタヘッド140は、各スイープ間のクロスプロセス方向(すなわち、X方向)にシフトする。各層が形成された後、エジェクタヘッド140はプラテン120から離れるように垂直方向のビルド方向(すなわち、Z方向)に移動して、次のビルドレベルにおける部品の次の層の印刷を開始する。ガントリ130及び本技術分野において既知の様々な他のアクチュエータ(図示せず)は、X、Y及びZ方向におけるエジェクタヘッド140の前述の移動を容易にするように構成されている。
【0036】
プリンタ110は、コントローラ150に動作可能に接続され、プリンタ100によって形成された材料の層の寸法を感知するように構成されているセンサ146を更に含む。以下でより詳細に説明するように、コントローラ150は、センサ146が、材料の上層上の様々な基準から、エジェクタヘッド140によって堆積された材料の距離を測定するよう動作させるように構成されている。例えば、センサ146は、プラテン上の参照マーク又は形成されている部品112の縁部から、堆積された材料滴のプロセス及びクロスプロセス距離を測定するように構成されている。センサ146は、上面においてX、Y、及びZ寸法を含む部分的に形成された部分112の上面の寸法を測定するように更に構成されている。したがって、センサ146は、部品112の上面に沿った様々な場所において寸法を決定することができるため、センサ146はまた、上面に沿った任意の特定の場所における材料の存在又は不在を検出するようにも構成されている。様々な実施形態では、上層上の1つ以上の位置における材料の特定の位置及び/又は存在を使用して、各連続的なビルドレベルでプロセス及びクロスプロセスドリフトを低減又は排除するために、プリンタ110を較正してもよい。一実施形態では、センサ146は、プロセス方向Xにおいてプラテン120に対して移動するように構成されている光学プロフィロメータであり、一度に部品112全体、1つのライン又は1つの行を走査する。しかしながら、センサ146が部品112を走査するように移動する必要がない他の構成も可能である。加えて、図1に示すように、センサ146はエジェクタヘッド140に取り付けられてもよい。しかしながら、他の実施形態では、センサ146は、エジェクタヘッド140から独立して移動するように構成されることができ、そのような構成ではエジェクタヘッドに取り付けられない。
【0037】
図1のプリンタ110は、例を挙げるとABSプラスチック、PLA、ポリアミド(ナイロン)、ガラス充填ポリアミド、エポキシ樹脂、銀、チタン、鋼、ワックス、フォトポリマー及びポリカーボネートを含む、当業者に認識されるような様々なビルド材料のうちのいずれかから構成される部品112を構築するように構成されている。前述したように、プリンタが各連続的なビルドレベルに移動すると、プリンタの構成要素が完全に製造及び位置合わせされていない場合、プロセス及びクロスプロセス方向に堆積されたビルド材料にドリフトが生じることがある。換言すれば、以前のビルドレベルで材料の直上にあることが意図される1つのビルドレベルで堆積される材料は、Z方向に完全に位置合わせされていないことがある。プリンタ110のこれらの欠陥の結果として、プリンタによって製造されたパーツは設計通りの精度がないことがある。したがって、以下に更に詳細に説明するように、プリンタ110は、より正確な部品を製造するために、印刷ヘッドの位置を各ビルドレベルでシフトするように設計された誤差訂正構成要素を備えて構成されている。
【0038】
ここで図2及び図3を参照すると、例示的な実施形態においてプリンタ110が示されており、ここでは、プリンタ110に直方体形状の部品を構築する作業が与えられている。しかしながら、図2に図示するように、プリンタ110は、プリンタの他の構成要素と完全には位置合わせされていない垂直フレーム部材132を含む。具体的には、垂直フレーム部材132は、プラテン120に対して完全に垂直ではないが、代わりに角度θだけX方向にわずかに傾いている。この傾きにより、プリンタ構成要素が各新しいビルドレベルに移動するにつれて、小さい誤差が部分112に蓄積する。
【0039】
部品を構築するために、プリンタ110のコントローラ150は、特定の座標(すなわち、クロスプロセス、プロセス及びビルドレベル座標(x、y、z))で、プラテン120上にビルド材料を堆積させるように指示される。図2は、プラテン120の表面122上に堆積された材料のベース層114を示す。例えば、ベース層114を形成する材料滴としては、前側左角部A(x1、y1、z1)、右側縁部B(x2、y2、z1)、及び後側左角部C(x3、y1、z1)が挙げられる。部品が構築されるにつれて、印刷ヘッド140は連続するビルドレベル(すなわち、Z方向)に移動し、プラテン120に向かってビルド材料滴を排出する。図2及び図3の実施例における部品は直方体形状であり、プリンタは、各新しいビルドレベルで同じ断面形状を再現しようとする。本明細書で使用するとき、用語「ビルドレベル」は、プリンタが部品の特定の層を一緒に構築することができるように、他のプリンタ構成要素に対して適切に配置されているときのZ方向の構成要素の位置を指す。したがって、2つの構成要素は、Z軸上の同じ位置にあることなく、同じ「ビルドレベル」にあってもよい。例えば、印刷ヘッド140、プラテン120及びビルド部分112は全て、単一の「ビルドレベル」であると見なされてもよいが、これらの構成要素は、z軸上の同じ位置には存在しない。
【0040】
図3は、プリンタ110がベース層114と上層116との間に多くのビルド層を完成した後の部品112の第2の層/上層116を示す。前述したように、垂直部材132の位置合わせにおける誤差のために、印刷ヘッドが各追加のビルドレベルに移動するにつれて、部品自体が位置合わせされなくなる。誤差が蓄積すると、ビルド部分112の上層116の位置は、図3に示すように、いくらかの差量dxだけシフトされる。例えば、ベース/底部ビルド層における位置A(x1、y1、z1)、及び部品112の上層116における位置A’(x1、y1、z1)を考える。X座標及びy座標が同じである(すなわち、x1及びy1)ため、プリンタ110のセットアップに基づいて、位置A’は位置Aの直上にあるべきであり、z座標のみが変化している(すなわち、位置Aにおいてはz1であり、位置A’においてはz2である)。しかしながら、図3に示すように、A’におけるx1の実際の位置は、x1の元の位置から、dxに等しい量だけわずかにドリフトしている。例として、dxが0.1mmである場合、上層116におけるA’の実際の印刷位置は、クロスプロセス方向において、わずかにシフトし、例えば、(0.1、0、20)である。これは、A’の座標が(0、0、20)であるとプリンタが認識している場合でもある。したがって、プリンタ110のこのセットアップにより、後述するプリンタ位置ずれ補償方法を使用しない限り、クロスプロセス方向にわずかに位置合わせされていない部品が製造される。
【0041】
ゲージブロックを使用した位置ずれを決定する方法
【0042】
ここで図4を参照すると、プリンタ110のコントローラ150は、プリンタの位置ずれを補償するための方法400を実施するように構成されている。方法400はまた、プリンタのフルスケール使用前に3次元物体プリンタ110を較正するための方法であると見なされてもよい。本方法の説明において、本方法がいくつかのタスク又は機能を実行しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを操作するために、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させてタスクもしくは機能を実行するために、コントローラ又はプロセッサに作動的に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上記のコントローラ150は、このようなコントローラ又はプロセッサであり得る。あるいは、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに/又は関連する回路及び構成要素と共に実装されることができ、これらはそれぞれ、本明細書で説明される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成されている。
【0043】
方法400は、実行されるときに、エジェクタヘッド140、ガントリ130及びプラテンがベースビルドレベルに配置された状態で開始する。プリンタ構成要素がベースビルドレベルにある状態で、本方法は、ベースビルドレベルに位置付けられたビルド表面上にビルド材料の試験滴を排出することによって開始する(ブロック402)。例えば、試験滴はプラテン120上に印刷されてもよい。試験滴は、特定の座標位置などの表面上の特定の場所、又は基準からのプロセス及びクロスプロセス方向における特定の距離内で印刷される。基準の位置は、センサ146によって検出されるように構成されている。
【0044】
図5は、図4のブロック402と関連付けられた行為を実行した構成の一例を示す。具体的には、図5は、基準170から所定の距離でプラテン120の表面122上に印刷された第1の試験滴160(すなわち、点「A」)を図示する。基準170は、プラテン120上の既知の位置に位置する。基準170は、センサ146によって容易に検出され得る、プラテン上の小さなマーク、隆起、くぼみ、又は他のしるしであってもよい。試験滴160は、指定yz1及びxz1によって示されるように、プロセス及びクロスプロセス方向において基準から所定の距離で印刷される。少なくともいくつかの実施形態では、所定の距離は、基準の直上でもよい。他の実施形態では、所定の距離は、基準から若干の比較的小さい又は比較的大きい距離であってもよい。いずれにしても、センサ146は、プロセス及びクロスプロセス方向(すなわち、yz1及びxz1)の第1の試験滴160と基準170との間の距離を測定し、この距離が所定の距離と同じであることを確認するように構成されている(又はこの距離を所定の距離/元の距離として登録する)。
【0045】
図4に戻ると、方法400は、印刷ヘッド140をプラテン120に対してより上のビルドレベルまで移動させることによって続く(ブロック404)。このより上のビルドレベルにおいて、印刷ヘッド140は、Z軸に沿ってプラテン120から更に離される。印刷ヘッド140とプラテンとの間のこの分離により、ゲージブロックがプラテン120上に挿入される。ゲージブロックは、既知の高さ(すなわち、Z方向成分)及び平坦な上面(すなわち、X方向及びY方向成分によって定義される平面)を有する単純な形状(例えば、直方体)で提供される。ゲージブロックは精密に機械加工された構成要素であり、高公差に接地することが可能な様々な金属のうちのいずれかから製造されてもよく、したがって、Z方向に非常に正確な寸法を提供する。プラテンの表面と同様に、ゲージブロックの上面はまた、上面上の基準の位置を識別するために、センサによって検出され得る基準も含む。ゲージブロックは既知の高さを有するため、ゲージブロックは、Z方向においてプラテン面122の上方に既知のオフセット高さである第2のビルドレベルにおいて標的ビルド表面を提供する。ゲージブロック及びプラテン120は、好ましくは、ゲージブロックをプラテン上に正確に位置付けるための位置合わせ特徴を含む。例えば、プラテンはいくつかの位置合わせピンを含んでもよく、ゲージブロックは、各々がピンのうちの1つを受容するように構成されているいくつかの補完的な空洞を含んでもよい。これにより、プロセス及びクロスプロセス方向において、ゲージブロックが、非常に正確な位置でプラテン上に位置付けられることを可能にする。当然ながら、当業者に認識されるように、位置合わせのために任意の様々な他の手段も使用され得る。
【0046】
図6は、図4のブロック404と関連付けられた行為を実行した構成の一例を示す。図6は、プラテン120の表面122上に位置付けられたゲージブロック180を図示する。この実施形態では、ゲージブロック180の左前の垂直縁部188は、ゲージブロックの上面182で終端するまで、プラテン120上の第1の基準170から直接上方に延在する。ゲージブロック180が正確な直方体形状を有するため、ゲージブロックの上方左角は、プラテン上の第1の基準170と同じxy位置(すなわち、クロスプロセス、プロセス位置)を有する第2の基準172として機能する。加えて、ゲージブロック180は直方体形状で正確に機械加工され、(例えば、位置合わせピン又は他の位置合わせ特徴を介して)プラテン120上に正確に位置付けられるため、ゲージブロックの水平縁部184及び186も、より上のビルドレベルにおいて基準参照マーカ(すなわち、プラテン表面に対する既知の位置)を提供するように適合されている。
【0047】
再度図4を参照すると、ゲージブロック180がプラテン120上に位置付けられた後、ビルド材料の第2の試験滴がゲージブロック上に排出される(ブロック406)。プリンタは、プリンタがプラテン上の第1の試験滴の真上であると決定した位置に、この第2の試験滴をゲージブロック上に堆積させる。換言すれば、第2の試験滴は、印刷ヘッドが第1の試験滴と同じプロセス及びクロスプロセス座標を有する(ただし、Z方向座標は異なる)位置にあるときに排出される。第2の試験滴は、第2のビルドレベルにおいて第2の基準に関係なく排出される。次いで、センサ146は、第2のビルドレベルにおいて第2の基準からの第2の試験滴の距離を測定する。あるいは、プリンタは、第2の試験滴をゲージブロック上の別の所定の位置(すなわち、第1の試験滴と異なるプロセス及びクロスプロセス座標を有する位置に堆積させ、コントローラは、異なるビルドレベルについて基準マークに対する試験滴の異なる位置を考慮する。
【0048】
図6は、図4のブロック406と関連付けられた行為を実行した構成の一例を示す。図6は、ゲージブロック180上に堆積された第2の試験滴162(すなわち、点「B」)を図示する。上述したように、プリンタは、第2の基準172の位置に関係なく、プリンタに対して第1の試験滴と同じプロセス及びクロスプロセス座標を有する位置においてこの試験滴を堆積させる。一例として、第1の試験滴160のプリンタ座標が(x1、y1、z1)である場合、第2の試験滴162のプリンタ座標は(x1、y1、z2)である(すなわち、z方向座標のみが変更される)。次に、センサ146は、第2の試験滴162と第2のビルドレベルにおける第2の基準172との間のプロセス及びクロスプロセス方向における実際の距離を測定する。この場合、第2のビルドレベルにおける基準172は、ゲージブロック180の上方前水平縁部184及び上方左水平縁部186を含むと見なされてもよい。図6に示すように、第2の試験滴162と基準172との間の測定されたプロセス及びクロスプロセス寸法は、yz2及びxz2である。
【0049】
再度図4に戻ると、第2の試験滴162がゲージブロック上に印刷され、距離寸法が第2の基準172に測定された後、コントローラ150は、第1の試験滴と第2の試験滴との間のプロセス及びクロスプロセス方向における測定された差/シフトを計算する(ブロック408)。換言すれば、コントローラ150は、ベースビルドレベル(例えば、プラテン表面122)とより上のビルドレベル(例えば、ゲージブロックの上面182)との間のプリンタにおけるプロセス及びクロスプロセスドリフトを計算する。図5及び図6の例では、コントローラ150は、yz2とyz1の差(すなわち、dy=yz2-yz1)を決定し、xz2とxz1の差(すなわち、dx=xz2-xz1)を決定することによって、全差値を計算する。差がない(すなわち、ドリフトがない)ときに、yz2=yz1及びxz2=xz1である(すなわち、ベース層と上層との間のプロセス及びクロスプロセス座標の位置の実際の変化がない)。しかしながら、yz2≠yz1及び/又はxz2≠xz1である場合、差が存在する。クロスプロセス及びプロセス方向におけるドリフトを決定するための前述の方法の一例として、図5において、xz1=10mm及びyz1=10mmである状況を考える。また、図6において、xz1=11mm及びyz1=12mmである状況を考える。次に、コントローラは、dxを1.0mm(すなわち、dx=xz2-xz1=11mm-10mm=1.0mm)、dyを2.0mm(すなわち、dy=yz2-yz1=12mm-10mm=2.0mm)と決定する。
【0050】
差が既知であることにより、コントローラ150は次に、漸増的なビルドレベル毎に漸増的なデルタを計算する(ブロック408)。漸増的なデルタは、各差(すなわち、dx、dy)を、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のビルドレベルの総数で除算することによって計算される。換言すれば、Δx=dx/z及びΔy=dy/zである。dx=1.0mmであり、dy=2.0mmである図5及び図6の前述の例で続けると、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のビルドレベルの総数を20レベル(すなわち、z=20レベル)と更に考える。結果として、コントローラは、Δxを0.05mm/レベルとし、Δyを0.10mm/レベル(すなわち、Δx=dx/z=1.0mm/20レベル=0.05mm/レベルであり、Δy=dy/z=2.0mm/20レベル=0.1mm/レベルである)。この情報が計算されることにより、コントローラは、z=0とz=20との間の各レベルに対する平均差/ドリフトが、クロスプロセス方向において0.05mm/レベルであり、プロセス方向において0.1mm/レベルであると決定する。
【0051】
再び図4に戻ると、Δx及びΔyが第1のゲージブロックの高さ(例えば、図5及び図6の例では、z=20である)にわたって計算された後、追加のゲージブロックを使用して、追加のビルドレベル(例えば、ゲージブロック180の上面182と関連するビルドレベルよりも高いビルドレベル)にわたるプリンタ又はドリフトの任意の追加の位置合わせを決定するかどうか、又は既に計算されたΔx及びΔyが、プリンタの全てのビルドレベルに対するドリフトを決定するために使用されるかどうかについて決定がなされる(ブロック410)。ブロック410において追加のゲージブロックが使用される場合、本方法はブロック404に戻り、エジェクタヘッドが再び移動して、別のゲージブロックのための空間を作る。次に、次のゲージブロックを第1のゲージブロック上に配置してもよく、ブロック404~408の行為を追加のビルドレベルのセットに対して繰り返す。次いで、任意の追加のΔx及びΔy値は、プリンタの特定のビルドレベル(例えば、z=21~z=40など)に関連付けられてもよい。追加のゲージブロックは、プリンタ110の位置ずれが頂部から底部まで線形でない場合に特に有用である。具体的には、誤差が非線形である(例えば、ガントリ上の湾曲したレールの可能性を考える)ときに、追加のゲージブロックは、他のビルドレベルよりも多い又は少ないドリフトに関連する特定のビルドレベルを決定するのに有用である。プリンタ位置ずれを決定するのに更なるゲージブロックが使用されないときに、方法はブロック412に続く。
【0052】
ブロック412において、コントローラ150は、計算されたΔx及びΔy情報を全て取り込み、プリンタの各ビルドレベルに対してエジェクタヘッドのシフト(すなわち、Δx及びΔy)を決定する。様々な実施形態では、漸増的なΔx及びΔy値は、各ビルドレベルに対して同じであってもよい。これは、1つのゲージブロックのみがゲージブロックの高さにわたる平均シフトを決定するために使用され、平均シフトがプリンタのビルドレベルの全てに付与される場合である。例えば、プリンタが50個のビルドレベルを有し、ゲージブロックが最初の20個のビルドレベルにわたるシフトを決定するために使用される場合、それら20個のビルドレベルにわたる平均シフトが、残りの30個のビルドレベルにも付与されてもよい。複数のゲージブロックが使用される他の実施形態では、Δx及びΔy値は、異なるビルドレベルにわたって異なっていてもよい。例えば、3つのゲージブロックを使用して、50レベルを有する同じプリンタにおいてシフトを決定する場合、第1のΔx及びΔy値を最初の20個のビルドレベルにわたって使用してもよく、第2のΔx及びΔy値を次の20個のビルドレベルにわたって使用してもよく、第3のΔx及びΔy値を最後の10個のビルドレベルにわたって使用してもよい。いずれにしても、コントローラ150は、部品を印刷する前に、特定のΔx及びΔy値をプリンタの各ビルドレベルに関連付ける。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、計算されたΔx及びΔy値は、エジェクタに適切なシフトで提供するためにガントリ上のエジェクタヘッドを微調整するために使用される。したがって、コントローラがΔxを0.05mm/レベルとし、Δyを0.10mm/レベルとする上記実施例では、エジェクタの調整は、クロスプロセス方向において、0.05mm/レベル及びプロセス方向において、1レベル当たり0.1mmの決定されたシフトだけ、印刷ヘッドを単に微調整することによって達成され得る。
【0054】
代替的なアプローチでは、エジェクタヘッド140の位置を微調整する代わりに、エジェクタヘッドの解像度に応じて、移動範囲にわたって1つの画素増分で印刷される画像をシフトすることによって、計算されたΔx及びΔy値が提供されてもよい。例えば、エジェクタヘッドが300dpiの解像度を有する場合、約84μm毎に1画素調整を行うことができる。したがって、ビルドレベル毎に0.05mmのシフト(すなわち、50μm)は、1つのビルドレベル対して1つの画素シフトをもたらしてもよいが、隣接するレベルでは追加の画素シフトをもたらさない。この実施例に従って、3つのレベルにわたって300dpiのエジェクタヘッドに対する計画された画素シフトを考える。所望のシフトが、ビルドレベル当たり0.05mm(50μm)である場合、3つのレベルにわたる所望の総シフトは、0.15mm(150μm)である。しかしながら、各ビルドレベルに対して1つの画素シフトが行われる場合、総シフトは252μm(すなわち、84×3=252μm)となり、これは、これら3つのレベルにわたって所望されるものよりも多いシフト量となる。したがって、所望の150μmシフトにより近い総シフトに到達するために、1つの画素シフトを3つのビルドレベルのうちの2つにだけ行ってもよい(例えば、第1及び第3のビルドレベルに行って、第2のビルドレベルにおいては追加の画素シフトが行われない)。結果として、3つのビルドレベルにわたる総シフトは、168μm(すなわち、84×2=168μm)となり、これは、所望の0.15mmシフトにはるかに近い。したがって、コントローラ150は、プリンタのビルド高さ全体にわたって、多数のビルドレベルにおける画素を更により良好に調整するように構成されている。換言すれば、総ビルドにわたる多数のビルドレベルにより、コントローラは、ビルド全体にわたってビルドレベル当たり所望のΔx及びΔyを平均化するために、画素調整に対するビルドレベルの適切な比率を容易に決定することができる(例えば、7つのビルドレベルにわたって5画素シフト、12ビルドレベルにわたって11画素シフトなど)。
【0055】
プリンタの各ビルドレベルに対してエジェクタヘッドのシフトを決定した後(ブロック412)、次に、本方法は、決定されたエジェクタヘッドのシフトに基づいて実際の3次元物体が形成されるときに続く(ブロック414)。具体的には、プリンタ110は、部品を構築するためにエジェクタが発射すべき所定の座標を含む、部品を構築するための一組の命令を取り込み、決定されたΔx値及びΔy値に基づいて命令を調整する。結果として、プリンタ110は、位置ずれ誤差を補償し、そのような補償を伴わずに可能である物体よりも正確な3次元物体を形成するように構成されている。
【0056】
図7は、プリンタ110の一実施形態の制御システム図を示す。制御システムは、本質的に、システムが、各ビルドレベルにおいてプロセス及びクロスプロセス成分を調整することによって補償する誤差を決定するようにセンサ146を使用する、閉ループフィードバックシステムである。図示した実施形態では、コントローラ150は、位置制御構成要素704、エジェクタ制御構成要素708、及びセンサ制御構成要素712を含む。読者は、図5に関して示し、説明する特定の構成が単に例示的であることに留意されたい。当業者であれば、類似の機能を達成するために、多くの代替的及び同等の構成が採用され得ると理解するであろう。
【0057】
位置制御構成要素704は、エジェクタ142及びプラテン120の相対運動を提供し、必要に応じてセンサ146及びプラテン120の相対運動を提供することを担当するアクチュエータを動作させるための制御信号を提供するように構成されている。加えて、一実施形態では、位置制御構成要素704は、エジェクタ制御構成要素708及びセンサ制御構成要素712に関連する位置情報を提供する。具体的には、位置制御構成要素704は、プロセス方向Y及びクロスプロセス方向Xにおけるエジェクタ142の位置を示す位置情報(X、Z)をエジェクタ制御構成要素708に提供する。エジェクタ制御構成要素708はまた、特定の部品を構築するための命令(すなわち、所望の部品を構築するためにビルド材料を堆積すべき場所を示す所定の座標のセット)を含む。エジェクタ制御構成要素708が、生成される3次元物体のための命令に基づいて、又は診断プロセスに関連付けられた命令に基づいて、ビルド材料が排出されるべき位置にあるという指示を受信するときに、エジェクタ制御構成要素708は、発射信号をエジェクタ142に送信し、そこからビルド材料を排出させる。位置制御構成要素704はまた、プロセス方向Y及びクロスプロセス方向Xにおけるセンサ146の位置を示す位置情報(X、Z)をセンサ制御構成要素712に提供する。
【0058】
センサ制御構成要素712は、様々なビルドレベルにおけるプロセス及びクロスプロセス方向の様々なビルド材料滴の位置を測定するようにセンサ146を動作させるように構成されている。具体的には、センサ制御構成要素712は、特定のビルド表面上の基準(例えば、マーク、縁部、又は他の参照点)に対する滴の位置を測定するように構成されている。センサ制御構成要素712は、各ビルド高さにおける、任意の特定のクロスプロセス、プロセス位置(すなわち、(x、y)位置)における様々なビルド材料及び基準の存在(existence)(すなわち、存在(presence))又は非存在(non-existence)(すなわち、不在(absence))を決定するように更に構成されている。センサ制御構成要素712は、様々なビルド位置における材料及び基準の存在又は非存在に対応する信号をセンサ146から受信するように構成されている。センサ制御構成要素712はまた、位置制御構成要素704からセンサ132の位置に関する位置情報(X、Y)を受信するように構成されている。センサ146からの信号及び位置情報(X、Y)に基づいて、センサ制御構成要素712は、図7のMP(x、y)として示される、所与のビルド位置において、堆積されたビルド材料と検出された基準マーカとの間に測定された距離を生成するように構成されている。センサ制御構成要素712はまた、必要に応じて、特定のビルド位置においてビルド材料の不在に関連付けられたヌル状態を示すように構成されている。
【0059】
コントローラ150は、基準MP(x、y)からのビルド材料の測定された距離を、このような層TP(x、y)におけるビルド材料に対する目標位置と比較し、その層(dx、dy)におけるビルド材料に対する差座標に到達するように構成されている。次に、これらの差座標は、各ビルドレベルに関連付けられるエジェクタヘッドのシフトの量を決定する座標シフトエンジン718に送信される。座標シフトエンジン718は、差座標が取られたビルドレベルの総数によって各差座標を除算し(すなわち、既知の目標位置に基づいて)、次に、各ビルドレベルに対して座標シフト(Δx、Δy)に到達するために、現在のビルドレベルによってそれらの座標を乗算するように構成されてもよい。例えば、最後の既知の目標位置TP(x、y)がベースビルドレベル(例えば、z=0)にあり、測定されたビルド位置MP(x、y)はビルドレベル20(すなわち、z=20)であった場合、座標シフトエンジン718は、差座標(dx、dy)を20で除算して、漸増的なシフト座標を決定する。次に、このようなビルドレベルに対する座標シフト(Δx、Δy)に到達するために、現在のビルドレベル(例えば、z=5)によって乗算される。次に、座標シフトは、エジェクタ制御708に送達され、エジェクタ制御708は、現在のビルドレベルにおける所与のクロスプロセス及びプロセス座標(x、y)に到達したときに発射するように信号をエジェクタ142に送信する。エジェクタが発射するときに、ビルド材料滴がそこから排出され、ビルド表面(例えば、プラテン、部品、支持材料など)上に堆積される。認識されるように、座標シフト(Δx、Δy)は、それぞれの連続するビルドレベルで漸増的であるため、座標の総シフトは、それぞれの連続するビルドレベルで漸増的に増加される。
【0060】
上記の例として、コントローラ動作は、前述の図5及び図6の例に関連して考えてもよい。この例では、コントローラは、Δxを0.05mm/レベルであり、Δyを0.10mm/レベルであると決定した。次に、コントローラは、各レベルに対する平均差/ドリフトが、クロスプロセス方向において0.05mm/層であり、プロセス方向において0.1mm/層であると決定した。したがって、ビルドレベル5(すなわち、z=5)では、クロスプロセス方向におけるエジェクタヘッドのシフトは0.25mm(すなわち、0.05mm/レベル×5レベル=0.25mm)になり、プロセス方向におけるエジェクタヘッドのシフトは、0.5mm(すなわち、0.1mm/レベル×5レベル=0.5mm)となるであろう。
【0061】
上記の例を考慮すると、座標シフトエンジン718は、計算された差に基づいて、漸増的なビルドレベルの各々に対する画素調整を決定することができると留意されたい。当業者には理解されるように、コントローラ150の特定の数学及び動作は、多くの選択肢で表現されるが同等の形式で表現されてもよい。例えば、各ビルドレベルに対する座標調整は、以前に形成された層に対する全ての以前の座標調整の和として表されてもよい。
【0062】
エジェクタ制御708は、座標シフトエンジン718から各ビルド層(すなわち、Δx、Δy)の座標調整を受信するように構成されている。エジェクタ制御708は、計画されたビルドに関連付けられた所定の座標を取り込み、座標シフトエンジン718からの入力に基づいてそれらの座標をシフトさせる。例えば、z=5において、クロスプロセスのシフトが0.25mmであり、プロセスのシフトが0.5mmである前述の例を考える。エジェクタ制御部708が、エジェクタヘッドが位置(10、20、5)において発射するべき部分を構築するための命令を有する場合、エジェクタ制御708は、それらの座標を(10.25、20.5、5)に調整し、エジェクタを発射させる前に、エジェクタがこの位置に到達するまで待機する。したがって、エジェクタ制御構成要素708は、位置制御構成要素704からエジェクタ142の現在位置に関する位置情報(X、Y)を受信するように構成されている。各層(Δx、Δy)及び現在の位置情報(X、Y)に対する座標調整に基づいて、エジェクタ制御構成要素708は、エジェクタ142に適切な発射信号を提供するように構成されている。特に、エジェクタ制御構成要素708は、そのレベルに対する座標調整(Δx、Δy)に基づいて、各ビルドレベルにおける新しいエジェクタ発射位置を決定するように構成されている。このようにして、エジェクタ制御構成要素708は、エジェクタ142が3D物体プリンタ110の不十分な製造公差又は不十分な設定からもたらされるビルド方向の誤差を除去する。
【0063】
図1図7に関連して説明された上記の3次元物体プリンタは、位置ずれを補償するように構成されている印刷システム及び動作方法の例示的な一実施形態である。このようなプリンタ及び方法の様々な代替的な実施形態も可能であり、本明細書に提供される開示によって企図される。
【0064】
診断対象物を形成することによって位置ずれを決定する方法
【0065】
ここで図8A図13を参照して、少なくとも1つの代替的な実施形態では、3次元プリンタは、1つ以上の診断対象物を印刷することによってZ軸に沿った様々なビルドレベルに関連付けられたプロセス及びクロスプロセスドリフトを決定するように構成されている。1つ以上の診断対象物は、図4図6において説明される1つ以上のゲージブロックを使用する代わりに印刷される。具体的には、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のプロセス及びクロスプロセスの差を検出するために上述のゲージブロック180を使用する代わりに、診断対象物を使用して差を決定してもよい。この実施形態によれば、プリンタ110のセンサ146は、診断対象物の様々な寸法成分及び/又は特徴を測定するために使用される。診断対象物は、適切な設定を、目盛り付き部品角度及び/又は寸法を介して操作者に伝達するために適切な特徴を備えて印刷される。一例として、及び以下で更に詳細に説明するように、特定のビルドレベルにおいてビルド材料の不在などの視覚的特徴障害は、制御システムにフィードバックするための調整を定量化するために使用されてもよい。
【0066】
図8A及び図8Bは、プラテン120上にプリンタ110によって印刷された一連の診断対象物200を示す。図8Aは、ベースビルドレベル(すなわち、Z=0)における診断対象物200を示す。図8Bは、エンドビルドレベル(すなわち、Z=Z2)での診断対象物200を示す。診断対象物200は、異なるサイズ及び形状の多数のカラム構造の形態で提供される。診断対象物は、クロスプロセス方向に沿って位置付けられた一連の第1の円柱状カラム210と、プロセス方向に沿って位置付けられた一連の第2の円柱状カラム220と、を含む。図8Aに最も良く示すように、第1の円柱状カラム210は全て、x軸に沿って後続の各カラムの断面直径が前のカラムの断面直径よりも大きくなっている円形断面を有する。第2の円柱状カラム220は全て、y軸に沿って後続の各カラムの断面直径が前のカラムの断面直径よりも大きくなっている矩形断面を有する。カラム200に組み込まれる診断特徴に応じて、カラムは、異なる材料から、異なる滴サイズ/間隔などで構築されてもよい。
【0067】
図8A及び図8Bのカラムの各々は、ドリフトをもたらす、プリンタにおける位置ずれがない理想的な状態(すなわち、連続するビルドレベルにおいてx方向又はy方向のドリフトがない)で示されているが、図8A及び図8Bのカラム200の各々は、カラムの断面形状及びサイズによって提供される診断特徴を含む。具体的には、カラム200は、構築中にx方向及びy方向の誤差が蓄積すると、前の層に構築されたピラー特徴境界を越えている任意の噴射された材料は、支持されず、ピラーの縁部を越えて間隙内に噴射されるように構成されている。したがって、カラム200の間に設計された間隙は、隣接するピラー上に噴射しないように、これを考慮する。例えば、カラムがx方向又はy方向のいずれかにおいて5mmの最大誤差を検出するように構成されていると仮定すると、カラム200間の間隙は6~7mmの間隙であり、カラム200間の底部のプラテン120にビルド材料が落下することを可能にする複数の間隔を提供する。
【0068】
ここで図9A図9Cを参照すると、3つの例示的な診断対象物が、プリンタの位置ずれを図示する診断特徴を備えて示されている。図9Aの例では、診断対象物はカラム222であり、診断特徴はカラムの断面形状である。ベースビルド層224において、カラム222のクロスプロセス寸法はxであり、カラムのプロセス寸法はyである。上方ビルド層226において、カラム222のクロスプロセス寸法はxであり、カラムのプロセス寸法はyである。図9Aに示すように、xは、xと寸法が非常に類似しているが、yはyよりもはるかに小さい。これは、プロセス方向(すなわち、y方向)におけるプリンタに対する一次誤差/位置ずれを図示する。換言すれば、各連続層がプリンタによって構築されることにより、プロセス方向の誤差/ドリフトが蓄積する。各連続するビルド層と共にプロセス座標がドリフトするにつれて(すなわち、図9Aの右側に)、ビルド材料が、物体の右側境界/縁部228から外れてプラテン(又はベース層224が載置される他の基材)上に落下する。したがって、診断特徴としてカラム222の断面形状を観察することにより、プリンタにおける位置ずれ/誤差がプロセス方向に示される。ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間の正確な誤差量を決定するために、プロセス及びクロスプロセス寸法における差が取られてもよい(すなわち、dy=y-y、dx=x-x)。
【0069】
ここで図9Bの例を参照すると、診断対象物は再びカラム212であり、診断特徴は、カラムの断面形状である。ベースビルド層214において、カラム212のクロスプロセス寸法はxであり、カラムのプロセス寸法はyである。上方ビルド層216において、カラム212のクロスプロセス寸法はxであり、カラムのプロセス寸法はyである。図9Bに示すように、xはxよりもはるかに小さいが、yはyと同様である。これは、クロスプロセス方向(すなわち、x方向)におけるプリンタに対する一次誤差/位置ずれを図示する。換言すれば、各連続層がプリンタによって構築されることにより、交差プロセス方向の誤差/ドリフトが蓄積する。各連続するビルド層と共にクロスプロセス座標がドリフトするにつれて(すなわち、図9Bの後側に向かって)、ビルド材料が、物体の後部境界/縁部218から外れてプラテン(又はベース層214が載置される他の基材)上に落下する。診断特徴としてカラム212の断面形状を観察することにより、プリンタにおける位置ずれ/誤差がクロスプロセス方向に示される。ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間の正確な誤差量を決定するために、プロセス及びクロスプロセス寸法における差が取られてもよい(すなわち、dy=y-y、dx=x-x)。
【0070】
ここで図9Cの例を参照すると、別の診断カラム232は、図9A及び図9Bのものと同様に示されているが、プロセス方向に誤差を有するプリンタのより極端な例である。この例では、プロセス方向におけるドリフトは、カラム232の上方断面形状が不在/非存在である程度で蓄積している。この例では、ベースビルド層234において、カラム232のクロスプロセス寸法はxであり、カラムのプロセス寸法はyである。しかしながら、(例えば、図9A及び図9Bのカラム222及び212の高さと類似する)より上のビルドレベルにおける全てのビルド材料は、全て右側境界/縁部238を外れると、欠落/不在となる。この縁部238の形状は、エッジがクロスプロセス方向(x)に位置合わせされているため、主にプロセス方向(y)にあったことを示す。換言すれば、右縁部238において、xはxとほぼ同じであるがはヌルである。yがヌルになったビルドレベルを観察することにより、yに等しいプロセス方向誤差/ドリフトを、そのビルドレベルで記録されてもよい。xとxとの差もこのビルドレベルにおいて測定される場合、クロスプロセス方向における差も決定され得る。
【0071】
図10は、診断カラム200の断面形状が、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間のプリンタ110におけるプロセス及びクロスプロセスドリフトを示す診断特徴としてどのように使用され得るかの特定の例を図示する。図10は、診断カラム200の上面/平面図。点線によって示す矩形形状は、ベースビルド層202における診断カラム200の寸法(すなわち、プリンタ110に対するベースビルドレベル)を示す。ベースビルドレベルにおける寸法はxz1、yz1である。実線で示す矩形形状は、上方ビルド層204における診断カラム200の寸法(すなわち、プリンタ110に対するより上のビルドレベル)を示す。より上のビルドレベルにおける寸法はxz2、yz2である。より上のビルドレベルにおけるプリンタ110の誤差を決定するために、プリンタは、ベースビルドレベルにおける寸法からより上のビルドレベルにおける寸法を減算することによって決定する(すなわち、dx=xz2-xz1、dy=yz2-yz1)。例えば、xz1=20mmであり、yz1=20mmでありz2=15mmであり、yz2=8mmである状況を考える。この場合、dx=5mm(すなわち、dx=20-15=5mm)であり、dy=12mm(すなわち、dy=20-12=8mm)である。これらの測定された差に基づいて、診断カラム200は、より上のビルドレベルとベースビルドレベルとの間のプリンタの各ビルドレベルに関連付けられたドリフトを決定するために使用される。例えば、上記の例では、ベースビルドレベルがz=1であり、より上のビルドレベルがz=50であると考える。この例では、50個のビルドレベルが存在する。各ビルドレベルに関連付けられたドリフトを決定するために、それぞれの差dx、dyは単に50で除算して、各ビルドレベルに対するドリフトに到達する。換言すれば、Δx=dx/50=5mm/50レベル=0.1mm/レベルであり、Δy=dy/50=8mm/50レベル=0.16mm/レベルである。したがって、少なくとも1つの実施形態において図10に図示されるように、プリンタの各レベルに対するプリンタのドリフト/位置ずれは、診断カラムを印刷し、より上のビルドレベル及びベースビルドレベルにおける診断カラムの寸法を測定し、プロセス及びクロスプロセス方向における関連する差を計算し、次に、差をビルドレベルの数で除算することによって決定され得る。様々な実施形態では、このプロセスは、ビルドレベルの多数のサブセット(例えば、10個のビルドレベル毎)にわたって繰り返されてもよく、ビルドレベルの異なるセットに関連して異なるドリフト量が計算されるようにする。
【0072】
少なくとも1つの実施形態では、ベースビルドレベル及びより上のビルドレベルにおいて診断カラムの断面寸法を測定する代わりに、診断特徴が診断カラムに組み込まれてもよく、センサが、特徴が消失すると公称誤差を認識するようにする。これは、誤差が特徴寸法と同等であると、特徴が消失する、タイヤ上のトレッド深さマークに類似する。この例として、平面/頂部の2つの診断対象250、260が示されており、それぞれ断面形状によって提供される診断特徴を有する、図11A図11Cのような構成を考える。この例では、形状のうちの1つの消失は、所定の量の誤差を示す。図11A図11Cでは、2つの診断カラム250及び260はそれぞれ、クロスプロセス方向に伸長された第1診断カラム250を伴う矩形断面形状と、プロセス方向に伸長された第2診断カラム260とを有する矩形断面形状を有する。図11Aは、診断カラムのベース層を示し、図11Bは、診断カラムの中間層を示し、図11Cは、診断カラムの上層を示す(ベース層が例示を目的として図11B及び図11Cに点線で示されている)。図11A図11Cの例では、プリンタは、プロセス方向に一次誤差を有し、クロスプロセス方向に誤差がほとんど又は全くない。したがって、図11Bに示すように、中間層において、診断カラム250及び260は両方とも、yに等しい量だけ右に(すなわち、プロセス方向に)シフトされる。この中間層において、診断カラム250、260の右側縁部251、261は、これらの縁部の右側に支持材料がないことにより、ビルド材料が診断カラムの右側及びこれらの位置においてプラテン上に落下するため、既知の位置に留まる(図10と同様に、ベース層の境界は、図11B及び図11Cにおいて点線で示されている。)。図11Cに示すように、いくらか上方のビルドレベルにおいて、プロセス方向における誤差は、重要であり、第1の診断カラム250上に追加のビルド材料が堆積されないようにしている。具体的には、プロセス方向における誤差がy(すなわち、第1診断カラム250の元のプロセス方向寸法)に等しいときに、追加のビルド材料は第1の診断カラム250上に堆積されない。したがって、図11Cに示すように、追加のビルド材料がより上のビルドレベルにおいて存在しないことを検出することによって、システムは、より上のビルドレベルにおけるプロセス方向誤差がyに等しいことを認識する。
【0073】
ここで図12A図12Cを参照すると、図11A図11Cと類似する構成が示されているが、この実施例では、プリンタはプロセス及びクロスプロセス方向の両方にドリフト誤差を有する。図12Aに示すように、2つの診断カラム250及び260は、それぞれ、クロスプロセス及びプロセス方向に沿って伸長している。このため、それらは、それぞれのカラムにおけるビルド材料の消失に基づいて、クロスプロセス及びプロセス方向の両方における公称誤差を認識するように構成されている。診断カラム250は、yに等しいプロセス方向において、より小さい寸法を有する。診断カラム260は、xに等しいクロスプロセス方向において、より小さい寸法を有する。図12Bに示すように、診断カラムが構築される際に、断面寸法は、クロスプロセス及びプロセス寸法の両方において中間ビルド層において低減される。図12Cに示すように、第1の上方ビルド層において、診断カラム250に関連付けられた材料は不在であり、プロセス方向の差は、このビルドレベルにおいてはyに等しいことを示す(すなわち、dy=y)。次に、システムが第2の診断カラム260のビルドを続ける場合、このカラム260に関連付けられたビルド材料は、(これは図には示されていないが)最終的には不在となる。診断カラム260に対するビルド材料が不在であるこのビルドレベルにおいて、システムは、クロスプロセス方向の差がこのビルドレベルにおいてxに等しいと認識する(すなわち、dx=x)。したがって、図12A図12Cのプリンタ構成は、センサは、特徴が消失するときに、プロセス又はクロスプロセス方向のいずれかで公称誤差/差を認識するような断面形状を有する診断カラムを形成するように構成されている。
【0074】
図12A図12Cの例では、1つの方向における誤差は、診断カラムのうちの1つの消失が誤った誤差に誤って関連付けられる可能性があるほど小さい可能性がある。例えば、誤差が主にプロセス方向にある図11A図11Cの構成を考える。この場合、図11Cに関連付けられた層の後に、カラム260のビルド材料が上方レベルで不在/消失するまで、診断カラム260が引き続き構築される場合、このような消失の理由は、プロセス方向誤差に起因する。システムが、この消失をクロスプロセス方向誤差として誤って認識する場合、システムはまた、誤ってクロスプロセス方向における差を特定する。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、システムは、特定の特徴の不在が特定のタイプの誤差に合理的に起因し得るかどうかを決定するために、異なる層におけるプロセス及びクロスプロセス寸法の変化率を測定するように構成されている。例えば、図12Cに関連付けられたビルドレベルにおいて、システムは、診断カラム260の残りの長さに対するXs2の変化率が、診断カラム260の特定の未来のビルドレベルでの消失が、Xs2に等しいクロスプロセス方向における差を示すように十分であると認識してもよい。
【0075】
センサがプロセス及びクロスプロセス方向の両方において公称誤差/差を認識するように断面形状を有する診断カラムを形成するように構成されているプリンタ構成の更に別の例が、図13に示されている。この実施例では、クロスプロセス方向に2つ(カラムI及びIIIとして特定される)、及びクロスプロセス方向に2つ(カラムII及びIVとして識別される)を含む4つの診断カラムが構築される。カラムI及びIIの両方は、寸法「a」及び「b」を有するが、反対方向に有する(すなわち、寸法「a」はカラムIのプロセス方向であるが、カラムIIのクロスプロセス方向であり、「c」は、カラムIのクロスプロセス方向であるが、カラムIIのプロセス方向である)。同様に、カラムIII及びIVの両方は、寸法「b」及び「d」を有するが、反対方向に有する。更に、これらの寸法の大きさは、a<b<c<dであるようになっている。図12A図12Cと同様に、プリンタは、カラムI又はIIのうちの1つが消失する(すなわち、ビルド材料がそのビルドレベルにおいて不在となる)まで、カラムI~IVを構築する。その時点で、システムは以下を認識する。
-カラムIが最初に消失する場合、誤差は、主に、消失のビルドレベルにおいて「a」に相当するプロセス方向の差を有するプロセス方向の誤差であり、
-カラムIIが最初に消失する場合、誤差は、主に、消失のビルドレベルにおいて「a」に相当する差を有する、クロスプロセス方向の誤差である。
【0076】
カラムI又はIIが消失した後、プリンタは、別の列が消失するまで診断カラムを構築し続ける。どのカラムが次に消失するかに応じて、システムは以下を認識することができる。
-カラムIが最初に消失し、カラムIIが第2に消失した場合、カラムIIの消失に関連付けられた誤差は、カラムIIの消失に関連付けられたそのビルドレベルにおける「a」に相当する差を有するクロスプロセス誤差に起因し、
-カラムIが最初に消失し、カラムIIIが第2に消失した場合、カラムIIIの消失に関連付けられた誤差は、プロセス方向の誤差であり続け、クロスプロセス方向の誤差の決定は、カラムIIIのこの消失に基づいて行われることができず、
-カラムIIが最初に消失し、カラムIが第2に消失した場合、カラムIの消失に関連付けられた誤差は、カラムIの消失に関連付けられたそのビルドレベルにおける「a」に相当する差を有するプロセス誤差に起因し、
-カラムIIが最初に消失し、カラムIVが第2に消失した場合、カラムIVの消失に関連付けられた誤差は、クロスプロセス方向の誤差であり続け、プロセス方向の誤差の決定は、カラムIVのこの消失に基づいて行われることができない。
【0077】
前述のカラム消失の順序は、プリンタにとって最良の可能性のある精度を提供するために、プリンタにとって有用な洞察を提供してもよい。例えば、カラムI及びIIが消失する最初の2つのカラムであるときに、プリンタの各ビルドレベルに対する漸増的なシフト(Δx及びΔy)は、以下に説明する方法を使用して決定されてもよい。あるいは、カラムIII及びIVのいずれかがカラムI又はIIのうちの1つよりも前に消失するときに、(i)1つの方向における誤差が、漸増的なシフトが必要とされない程度に最小であるか、又は(ii)反対方向の誤差が、機械的手段による誤差を最小限に抑える試みにおいて、再度プリンタの機械的セットアップを実行するために、ユーザに命令を提供すべきである程度に大きいと決定されてもよい。
【0078】
図11A図13の前述の例は、プリンタの各ビルドレベルに対して適切な座標シフトを決定するために使用され得る特徴を有する診断対象物のほんの数個の構成にすぎない。前述したように、ビルドレベル間のドリフト/誤差に関して、異なる種類の情報をユーザに提供するために、診断対象物の様々な形状及びサイズが多数の構成で使用されてもよい。更に、少なくとも1つの代替的な実施形態では、ビルド及び支持材料の両方が、診断対象物を印刷するときに使用されてもよい。このような実施形態では、カラム境界から外れて噴出された材料は、支持材料によって支持されることができ、これは、物体がx及び/又はy方向に単にシフトされることによって寸法的に正確な断面を維持することを可能にする。
【0079】
図14は、図8A図13の開示を考慮した3次元物体プリンタを動作させる方法1400を図示するブロック図である。ブロック1402に示されるように、本方法は、ベースビルドレベルにおいて診断対象物の診断形状を形成するために、プラテンに向かって材料滴を排出するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることであって、診断形状が、ベースビルドレベルにおいてプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を有する、動作させることを含む(例えば、図10及び図12Aを参照)。ブロック1404に示されるように、本方法は、エジェクタヘッドがベースビルドレベルから更に離れる方向に移動するように、ビルド軸に沿ったベースビルドレベルに対してエジェクタヘッドを移動させることを更に含む。次に、ブロック1404にも示されるように、本方法は、ビルド軸に沿ったより上のビルドレベルにおいて、診断対象物の診断形状を構築するようにエジェクタヘッドの少なくとも1つのエジェクタを動作させることを含む(例えば、図10及び図12Bを参照)。ブロック1406に移動すると、本方法は、より上のビルドレベルにおいて診断形状のプロセス方向寸法及びクロスプロセス方向寸法を感知することにより継続する。ブロック1408に示されるように、次に、本方法は、ベースビルドレベル及びより上のビルドレベルにおいて少なくとも1つの寸法間の差(dx、dy)を決定することによって進行する(例えば、図10及び図12Cを参照)。この差は、図4の方法及び前述のブロック408の行為に関連して決定されたものに類似する。この実施形態では、より上のビルドレベルにおける診断対象物の縁部は、この縁部の位置が既知であるため(すなわち、ベースビルドレベルにおける寸法が既知であるためであり、診断対象物の1つの縁部に沿ったビルド材料が各連続するビルドレベルにおいて誤差を有して縁部から外れて落下し、上方レベルにおける縁部の真の位置が既知であり、基準として機能するためである)、実際に基準縁部と見なされてもよい。その後、本方法は、ブロック410において、決定された差に少なくとも部分的に基づいて、ベースビルドレベルとより上のビルドレベルとの間の漸増的な蓄積レベルの数の各々対して、エジェクタヘッドのシフト(Δx、Δy)を決定することによって継続する。エジェクタヘッドのシフトを決定した後、本方法は、ブロック412において、3次元物体を形成するために、エジェクタヘッドを移動させ、プラテンに向かって材料滴を排出するように少なくとも1つのエジェクタを動作させることによって継続し、エジェクタヘッドを移動させることが、漸増的なビルドレベルにおいて材料滴を排出する前に、複数の漸増的なビルドレベルの各々について、決定されたエジェクタヘッドのシフトだけ、プラテンに対してエジェクタヘッドをシフトさせることを含む。ブロック410及び412は、ブロック412及び414において図4に関連して前述したものと類似する行為の実行を伴う。
【0080】
上述の実施形態は、位置ずれに対する補償を伴う3D物体印刷システムのほんのいくつかの例示的な実施形態である。上記に開示された及び他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替が、望ましくは、多くの他の異なるシステム、アプリケーション、又は方法に組み合わせられ得ることが理解されるであろう。更に、様々な現在予期又は予測されていない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の「特許請求の範囲」によって包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14