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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】車両の乗員監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241108BHJP
   B60K 35/50 20240101ALI20241108BHJP
   B60K 35/60 20240101ALI20241108BHJP
   B60K 37/10 20240101ALI20241108BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/50
B60K35/60
B60K37/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021027735
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129153
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-255971(JP,A)
【文献】特開2007-326410(JP,A)
【文献】特開2009-186189(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128838(WO,A1)
【文献】特開2008-195141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/00 - 11/06
B60K 35/00 - 37/20
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16 ; 40/20
G08G 1/00 - 99/00
G06F 3/01
G06F 3/038- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の操作画面を表示する表示部材と、
前記表示部材の前記操作画面に対する乗員の操作として判断された操作内容に応じた制御を実行する制御部と、
前記車両の乗員を撮像可能な撮像部材と、
を有し、
前記制御部は、
前記乗員の操作内容が、少なくとも前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、
車両の乗員監視装置。
【請求項2】
前記撮像部材は、前記表示部材の表示領域と隣接して配置され、
前記制御部は、
前記乗員の操作内容が、前記表示領域についての前記撮像部材の周辺部分における前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、
請求項1記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項3】
前記表示部材は、前記操作画面を表示するパネルとして、前記操作画面の表示領域より大きいものを有し、
前記撮像部材は、前記表示部材の前記パネルの裏側に設けられる、
請求項1または2記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作が、前記表示部材の表面を前記撮像部材へ向けてなぞる操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項5】
前記表示部材は、前記操作画面にスワイプ操作可能な複数の操作オブジェクトを表示し、
前記制御部は、
前記撮像部材の周辺に表示される前記操作オブジェクトについて前記撮像部材へ向けてなぞるスワイプ操作がなされた場合には、判断したスワイプ操作に応じた制御を実行しない、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記表示部材の表面をなぞる操作の向きが、前記撮像部材へ向かうものである場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行せず、
前記表示部材の表面をなぞる操作の向きが、前記撮像部材とは異なる方向へ向かうものである場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行する、
請求項4または5記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記乗員の操作内容が、少なくとも前記車両の走行中における前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、
請求項1から6のいずれか一項記載の、車両の乗員監視装置。
【請求項8】
前記表示部材および前記撮像部材は、前記車両の車幅方向の中央部分に設けられ、
前記制御部は、前記撮像部材の撮像画像に基づいて、前記車両の乗員の状態を監視する、
請求項1から7のいずれか一項記載の、車両の乗員監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、たとえば車両の設定などを行うための表示部材として、タッチパネルを有する液晶デバイスを、ユーザインタフェースとして採用し始めている。タッチパネルを有する液晶デバイスには、たとえばボタンといった操作オブジェクトが表示される。
この場合、車両の乗員が、タッチパネルを有する液晶デバイスに表示されているたとえばボタンといった操作オブジェクトを操作する。車両の制御部は、操作内容に応じた制御を実行する。
そして、タッチパネルを有する液晶デバイスは、たとえばモバイル端末において、操作オブジェクトを触れるようにクリック操作するだけでなく、たとえば液晶デバイスの表面をなぞるように動かすスワイプ操作などの多彩な操作が可能である。乗員は、モバイル端末などの操作において、これらの操作に慣れている。
【0003】
また、車両では、運転支援や自動運転の際に乗員の状態を監視することが今後求められてくると考えられる(特許文献1、2)。
この場合、車両は、車両の乗員を監視するために、たとえば乗員の前のダッシュボートなどに撮像デバイスを設け、撮像デバイスの撮像画像に基づいて乗員の状態を判断して監視することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-014359号公報
【文献】特開2019-014360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら各種の要求に応えるために、撮像デバイスは、車両に設けられるタッチパネルを有する液晶デバイスの近くなどに設けることが考えられる。
これにより、撮像デバイスは、液晶デバイスに所定の表示をしてそれを見ている乗員を正面から撮像することが可能になる。乗員を予め正面から撮像した撮像データがある場合、たとえば、この正面からの撮像データと現在の撮像データとを比較するなどして、ドライバといった各乗員の状態をより確からしく判断することが可能になる。この場合、撮像デバイスは、液晶デバイスの近くに設けることが望ましい。
しかしながら、撮像デバイスが表示部材としての液晶デバイスの近くに設けられていると、監視中の乗員が、液晶デバイスに対してたとえばスワイプ操作をする際に、その操作の際に動くことになる乗員の指、手、腕、肘により、撮像デバイスの視野が遮られる可能性がある。特に、たとえば1つの撮像デバイスによる撮像データによりドライバを含む前列の複数の乗員の状態を監視しようとする場合、撮像デバイスは、タッチパネルを有する液晶デバイスとともに、車体の車幅方向の中央部分に設けられることが望ましく、このような場合にはスワイプ操作をする際の乗員の指、手、腕、肘により、撮像デバイスの視野が遮られてしまうことが発生し易くなる可能性がある。乗員を撮像することができないと、その乗員の状態を監視することができない。
【0006】
このため、車両に設けられるタッチパネルを有する液晶デバイスでは、スワイプ操作などを一律に制限して、クリック操作などのみを使用可能にすることが考えられる。しかしながら、スワイプ操作などを一律に制限すると、乗員は、クリック操作などを繰り返すことになる。乗員は、慣れ親しんでいるスワイプ操作などにより、車両に設けられている液晶デバイスに対して操作をすることができなくなる。乗員は、モバイル端末などで慣れていて違和感が少ないスワイプ操作などを、車両の操作画面の操作として利用することができなくなってしまう。車両に設けられるタッチパネルを有する液晶デバイスの使い勝手は、悪くなる。
【0007】
このように車両では、車両において乗員の操作画面を表示する表示部材を、撮像部材とともに乗員監視に用いる場合でも、表示部材についての乗員の使いやすさと、乗員の状態監視とを、良好に両立させることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両の乗員監視装置は、車両の乗員の操作画面を表示する表示部材と、前記表示部材の前記操作画面に対する乗員の操作として判断された操作内容に応じた制御を実行する制御部と、前記車両の乗員を撮像可能な撮像部材と、を有し、前記制御部は、前記乗員の操作内容が、少なくとも前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない。
【0009】
好適には、前記撮像部材は、前記表示部材の表示領域と隣接して配置され、前記制御部は、前記乗員の操作内容が、前記表示領域についての前記撮像部材の周辺部分における前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、とよい。
【0010】
好適には、前記表示部材は、前記操作画面を表示するパネルとして、前記操作画面の表示領域より大きいものを有し、前記撮像部材は、前記表示部材の前記パネルの裏側に設けられる、とよい。
【0011】
好適には、前記制御部は、前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作が、前記表示部材の表面を前記撮像部材へ向けてなぞる操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、とよい。
【0012】
好適には、前記表示部材は、前記操作画面にスワイプ操作可能な複数の操作オブジェクトを表示し、前記制御部は、前記撮像部材の周辺に表示される前記操作オブジェクトについて前記撮像部材へ向けてなぞるスワイプ操作がなされた場合には、判断したスワイプ操作に応じた制御を実行しない、とよい。
【0013】
好適には、前記制御部は、前記表示部材の表面をなぞる操作の向きが、前記撮像部材へ向かうものである場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行せず、前記表示部材の表面をなぞる操作の向きが、前記撮像部材とは異なる方向へ向かうものである場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行する、とよい。

【0014】
好適には、前記制御部は、前記乗員の操作内容が、少なくとも前記車両の走行中における前記撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない、とよい。
【0015】
好適には、前記表示部材および前記撮像部材は、前記車両の車幅方向の中央部分に設けられ、前記制御部は、前記撮像部材の撮像画像に基づいて、前記車両の乗員の状態を監視する、とよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、制御部は、乗員の操作内容が、少なくとも撮像部材へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない。よって、乗員は、車両の乗員の操作画面を表示する表示部材に対して、撮像部材へ向かう動きを伴う操作をしないようになり得る。その結果、本発明では、乗員の操作の際の指、手、腕、肘などの動きにより、撮像部材の視野が遮られ難くなることが期待できる。しかも、乗員は、撮像部材へ向かわないのであれば動きを伴う操作について制限されることなく操作が可能であるため、表示部材に表示される操作画面に対して動きを伴う操作をすることができる。
このように、本発明では、乗員による動きを伴う操作が一律に制限されてしまうことがないため、操作画面を表示する表示部材を撮像部材とともに乗員監視に用いる場合でも、表示部材についての乗員の使いやすさと、乗員の状態監視とを、良好に両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る乗員監視装置が適用される自動車の説明図である。
図2図2は、図1の自動車の制御装置の説明図である。
図3図3は、図2の自動車の乗員監視装置の説明図である。
図4図4は、図3の乗員監視装置における表示操作パネルを有する液晶デバイスと、撮像センサを有するカメラモジュールとについての、車内配置の説明図である。
図5図5は、自動車の乗員であるドライバの撮像状態の説明図である。
図6図6は、車体の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置の液晶デバイスとカメラモジュールとについての詳細な説明図である。
図7図7は、図3の監視制御部による乗員の登録制御のフローチャートである。
図8図8は、図3の監視制御部による乗員の監視制御のフローチャートである。
図9図9は、車体の車幅方向の中央部分に設けられて監視制御に用いることができる図3の表示操作パネルに対する操作についての応答制御のフローチャートである。
図10図10は、図6の車体の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置の液晶デバイスとカメラモジュールとについての第一変形例の説明図である。
図11図11は、図6の車体の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置の液晶デバイスとカメラモジュールとについての第二変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る乗員監視装置15が適用される自動車1の説明図である。
自動車1は、自動車1の一例である。自動車1は、内燃機関を走行の動力源としているものでも、バッテリの蓄電電力を走行の動力源としているものでも、それらを組み合わせたものでもよい。
図1の自動車1の車体2には、車室3が形成されている。車室3には、運転席および助手席のための複数の前列のシート4と、長尺の後列のシート4と、が設けられる。シート4には、ドライバを含む乗員が着座する。前列の複数のシート4の前側である車室3の前部には、車体2の車幅方向に沿って延在するようにダッシュボード5が設けられる。
【0020】
図2は、図1の自動車1の制御装置10の説明図である。
図2の制御装置10は、ドア開閉センサ11、車速センサ12、パークセンサ13、スピーカデバイス14、乗員監視装置15、ポジション設定装置16、運転支援装置17、車外通信装置18、乗員保護装置19、空調装置20、および、これらが接続される車内ネットワーク21、を有する。
【0021】
車内ネットワーク21は、自動車1のためのたとえばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)に準拠した有線の通信ネットワークでよい。車内ネットワーク21は、LANなどの通信用ネットワークでも、これらを組み合わせたものであってもよい。車内ネットワーク21の一部には、無線方式の通信ネットワークが含まれてよい。
【0022】
ドア開閉センサ11は、自動車1のドアの開閉を検出する。
車速センサ12は、走行する自動車1の速度を検出する。車速センサ12は、停止状態を検出してよい。
パークセンサ13は、自動車1が停車状態に維持されるパーキング状態を検出する。パークセンサ13は、たとえば不図示のシフトレバーがパーキング位置に操作されたこと、不図示のパーキングレバーが制動位置に操作されたこと、をパーキング状態として検出してよい。
【0023】
乗員監視装置15は、たとえばドア開閉センサ11がドアの開閉を検出すると、車室3に乗る乗員の認識処理を実行する。
乗員監視装置15は、複数の乗員を認識している場合、複数の乗員の各々を個別に監視してよい。
乗員監視装置15は、認識した各乗員の情報、監視に基づく情報を、車ネットワークを通じて制御装置10の各部へ出力してよい。
特に、乗員監視装置15は、たとえばドライバ用のシート4に着座した乗員をドライバとして認識し、認識したドライバの脇見や居眠りを監視する。そして、ドライバが所定の状態にある場合、乗員監視装置15は、ドライバへの注意喚起のための制御、危険予防のための制御を実行する。この際、乗員監視装置15は、ドライバの情報、注意喚起のための情報、危険予防のための情報を、車ネットワークを通じて制御装置10の各部へ出力してよい。
【0024】
スピーカデバイス14は、音声、警告音などを出力する。スピーカデバイス14は、乗員監視装置15によるドライバその他の乗員への警告を出力してよい。
ポジション設定装置16は、たとえば、シート4の前後上下の位置および背もたれの角度、ハンドルの前後上下の位置および角度、各種ペダルの前後上下の位置および角度を調整する。ポジション設定装置16は、乗員監視装置15が出力する乗員の情報に基づいて、シートポジションを変更する。
運転支援装置17は、ドライバによる手動運転による自動車1の走行操作を支援したり、自動運転による自動車1の走行操作を支援したりする。運転支援装置17は、自動車1の加速、減速、停止、操舵を制御する。運転支援装置17は、乗員監視装置15が出力するドライバの情報に基づいて、ドライバに応じた運転支援を実行する。
車外通信装置18は、たとえば公共無線通信網の基地局、商用無線通信網の基地局、高度交通情報のための基地局との間に無線通信路を確立し、確立している無線通信路を用いてデータ通信を実行する。車外通信装置18は、たとえば自動運転を支援するサーバ装置などとの双方向のデータ通信を実行してよい。車外通信装置18は、乗員監視装置15が出力するドライバを含む乗員の情報を、たとえば緊急支援情報として、サーバ装置へ送信してよい。
乗員保護装置19は、自動車1の衝突を検出または予測した場合に、乗員を保護するための制御を実行する。乗員保護装置19は、不図示のたとえばエアバッグを展開したり、シートベルトにテンションをかけたりすることにより、シート4に着座している乗員を保護する。乗員保護装置19は、乗員監視装置15が出力する乗員の情報に応じて、乗員に対する乗員保護を実行してよい。
空調装置20は、車室3の温度、酸素濃度、を制御する。空調装置20は、たとえば冷却した空気または過熱した空気を車室3へ供給し、これにより車室3を設定温度に調整する。空調装置20は、乗員監視装置15が出力する乗員の情報に応じた空調を実行してよい。
これらの乗員監視装置15が出力する乗員の情報に基づく制御により、乗員は、たとえば自らに応じた設定の下で快適に乗車できる。ドライバは、たとえば自動車1の走行に集中することができる。
【0025】
図3は、図2の自動車1の乗員監視装置15の説明図である。図3の乗員監視装置15は、ドライバだけでなく、たとえば前列の複数のシート4に着座する複数の乗員を監視するものである。図3の乗員監視装置15は、カメラモジュール31、表示操作パネル33を有する液晶デバイス32、入出力デバイス34、メモリ35、および、これらが接続される監視制御部36、を有する。
【0026】
入出力デバイス34は、車内ネットワーク21に接続される。入出力デバイス34は、車内ネットワーク21を通じて、自動車1に設けられる他の各部との間でデータを入出力する。
【0027】
液晶デバイス32は、表示操作パネル33による表示面に画像を表示する。液晶デバイス32は、表示部材として、自動車1に乗る各乗員に視認させる画面を表示する。表示画面には、たとえば乗員により操作される操作画面がある。
表示操作パネル33は、液晶デバイス32の表示面に重ねて設けられる透明または半透明のパネルである。表示操作パネル33を液晶デバイス32の表示面に重ねたものが表示部材である。表示操作パネル33は、液晶デバイス32の表示面に対する乗員の操作を検出する。表示操作パネル33は、液晶デバイス32の表示面に対する乗員の操作位置を、監視制御部36へ出力してよい。
【0028】
カメラモジュール31は、前列の複数のシート4に着座する複数の乗員を撮像するためのものである。カメラモジュール31は、撮像センサ41、撮像広角レンズ42、第一LED43、第一投光レンズ44、第二LED45、第二投光レンズ46、を有する。
【0029】
撮像センサ41は、たとえばCCD、CMOSセンサといった半導体光学センサである。撮像センサ41は、たとえば複数の受光素子が配列された略四角形の受光面を有するものでよい。撮像センサ41は、撮像画像を含む撮像データを、監視制御部36へ出力してよい。
撮像広角レンズ42は、撮像センサ41に重ねて設けられる。撮像広角レンズ42は、画像の周縁部分での歪みを抑制するように、複数枚の光学レンズで構成されてよい。
撮像センサ41および撮像広角レンズ42は、撮像部材として、自動車1に乗る複数の乗員の状態を監視可能にするために自動車1の乗員を撮像可能である。
撮像広角レンズ42は、たとえばダッシュボード5についての車幅方向の中央部に撮像センサ41が設けられている状態において、前列の複数のシート4に着座する複数の乗員の上体または頭部を撮像可能なレンズでよい。
【0030】
第一LED43、第二LED45は、半導体発光素子でよい。第一LED43、第二LED45は、投光部材として、撮像センサ41が撮像対象としている自動車1の乗員へ投光する。第一LED43、第二LED45は、たとえば赤外線を投光するものでよい。この場合、撮像センサ41は、赤外線による撮像画像を含む撮像データを、監視制御部36へ出力することになる。第一投光レンズ44は、第一LED43に重ねて設けられる。第一投光レンズ44は、第一LED43の光を主に運転席としてのシート4に着座するドライバへ向けて照射してよい。第二投光レンズ46は、第二LED45に重ねて設けられる。第二投光レンズ46は、第二LED45の光を主に助手席としてのシート4に着座する乗員へ向けて照射してよい。なお、第二投光レンズ46は、助手席としてのシート4に着座する乗員とともに、運転席としてのシート4に着座するドライバへ向けて、光を拡散して投光してもよい。
【0031】
メモリ35は、プログラムおよびデータを記憶する。メモリ35は、不揮発性メモリと、揮発性メモリとで構成されてよい。不揮発性メモリには、たとえばHDD、SSD、EEPROM、などがある。揮発性メモリには、たとえばRAMがある。
【0032】
乗員監視装置15のメモリ35には、自動車1に登録されている複数の乗員のデータが、乗員毎に管理して記録されてよい。図3には、第一乗員についての第一乗員データ51と、第二乗員についての第二乗員データ52と、が示されている。複数の乗員データにより、メモリ35にはデータベースが構成される。
【0033】
第一乗員データ51、第二乗員データ52といった各乗員データには、乗員ごとに固有の識別情報、たとえば乗員の頭部や目を撮像センサ41により撮像した登録撮像データ、乗員がした各種の設定データ、が含まれてよい。設定データには、たとえば乗員の着座についてのシートポジション、運転支援の有無の初期設定、自動運転での走行嗜好情報、使用するサーバ装置の情報、乗員保護の設定、空調の設定、といった情報、が含まれてよい。
このように、メモリ35は、記録部材として、液晶デバイス32に所定の画面を表示している際の各乗員を正面から撮像センサ41により撮像した撮像データを、それぞれの乗員の登録撮像データとして記録できる。
また、メモリ35は、登録されていない汎用の乗員についての乗員データを、記録してよい。
【0034】
監視制御部36は、たとえばECU、CPU、その他のマイクロコンピュータでよい。監視制御部36は、メモリ35からプログラムを読み込んで実行する。これにより、乗員監視装置15の制御部としての監視制御部36が実現される。監視制御部36は、液晶デバイス32の操作画面に対する乗員の操作として判断された操作内容に応じた制御を実行してよい。
また、監視制御部36は、撮像センサ41の撮像画像のデータに基づいて自動車1の複数の乗員の状態を監視する。監視制御部36は、乗員監視のために、たとえば、自動車1に乗る乗員についての登録処理、監視処理、を実行する。監視処理において、監視制御部36は、自動車1に乗っている乗員を識別し、乗員ごとの監視処理を実行してよい。特に、少なくともドライバとしての乗員については、監視制御部36は、判断部として、メモリ35に登録されている各自の登録撮像データを判断の際の基準データとして用いて、各乗員のわき見、居眠り、緊急事態といった状態を判断する。
【0035】
図4は、図3の乗員監視装置15における表示操作パネル33を有する液晶デバイス32と、撮像センサ41を有するカメラモジュール31とについての、車内配置の説明図である。
【0036】
図4(A)には、車室3の前部に設けられるダッシュボード5およびセンターコンソール6が示されている。
本実施形態の液晶デバイス32とカメラモジュール31とは、たとえば図1に示すように、自動車1の車幅方向の中央部分において、ダッシュボード5からセンターコンソール6までにかけて縦長に配置される。これにより、カメラモジュール31の撮像センサ41は、ドライバおよび同乗者を広角により全体的に撮像できる。撮像センサ41は、ドライバの頭部を含む上体と、同乗者の頭部を含む上体とを撮像し得る。
液晶デバイス32は、表示画面の車幅方向の中央位置Ydが自動車1の車幅方向の中央位置Y0と一致するように、自動車1の車幅方向の中央部分においてセンター配置されてもよいが、本実施形態では、表示画面の車幅方向の中央位置Ydが、自動車1の車幅方向の中央位置Y0より少しだけドライバとは反対側へずらしてオフセット配置されている。そして、液晶デバイス32は、その位置からドライバへ向かうように、車幅方向に対して傾けて配置される。液晶デバイス32の表示画面は、同乗者の視認性を確保しながら、ドライバの視認性を高めることができる。
【0037】
図4(B)は、自動車1の車幅方向の中央部分においてオフセット位置に傾けて設けられる撮像センサ41および撮像広角レンズ42を有するカメラモジュール31による車内の撮像範囲の説明図である。
撮像センサ41には撮像広角レンズ42が重ねられる。これにより、撮像センサ41は、図4(B)において撮像範囲として示すように、車室3を全体的に撮像できる。撮像センサ41は、自動車1の車幅方向の中央部分に配置されて、複数の前列のシート4に着座するドライバの頭部と同乗者の頭部とを撮像できる。
ただし、撮像広角レンズ42を撮像センサ41に組み合わせて複数の乗員を撮像可能とする場合、撮像範囲の中央部分の画像は、歪みが少ない高画質エリアとなる一方で、撮像範囲の周縁部分は、中央部分と比べて歪みが生じている歪発生エリアとなる。このため、乗員が車幅方向において右端や左端へ寄って着座してしまうと、その乗員の頭部を歪みなく撮像することが難しくなる傾向にある。乗員の目の開閉状態などを判断に使用する場合、その判断を正しくできなくなる可能性が高まる。
本実施形態では、表示操作パネル33は、ドライバへ向かうように車体2の前後方向に対して傾けて配置される。これにより、撮像センサ41の撮像画像の中央部分の高画質エリアは、ドライバ側へ寄る。ドライバは、撮像センサ41の撮像画像の中央部分の高画質エリアにおいて撮像され易くなり、周辺部分の歪発生エリアにおいて撮像され難くなる。ドライバは、歪みが抑えられた画像として撮像されることが期待できる。
【0038】
図5は、自動車1の乗員であるドライバの撮像状態の説明図である。
【0039】
図5(A)は、第一ドライバの頭部の正面図である。図5(B)は、図5(A)の第一ドライバの頭部の斜視図である。
自動車1の車幅方向の中央部分に設けられる撮像センサ41は、ドライバが自動車1の前方を向いている場合、ドライバの頭部を、図5(A)の正面方向から撮像したものではなく、図5(B)のように斜め方向から撮像することになる。
【0040】
図5(C)は、第二ドライバの頭部の正面図である。図5(D)は、図5(C)の第二ドライバの頭部の斜視図である。
自動車1の車幅方向の中央部分に設けられる撮像センサ41は、ドライバが自動車1の前方を向いている場合、ドライバの頭部を、図5(C)の正面方向から撮像したものではなく、図5(D)のように斜め方向から撮像することになる。
【0041】
そして、図5(D)の撮像データでは、図5(B)の撮像データとは異なり、ドライバの右目が、ドライバの高い鼻に隠れて、黒目しか映っていない。
この場合、監視制御部36は、図5(D)の撮像データのみから、ドライバの右目の開閉状態を判断することは容易でない。特に、図5(D)のように歪みがない状態ではなく、歪んだ画像として撮像されている場合には、監視制御部36は、図5(D)の撮像データのみから、ドライバの右目の開閉状態を判断することは極めて容易でない。
また、図5(D)の撮像データでは、ドライバの右目の白目の画像成分が状態判別可能な程度に含まれていないことから、監視制御部36は、図5(D)の撮像データのみに基づいて右目の状態を抽出し難い。監視制御部36は、右目を特定できない場合、その結果としてドライバの頭部の向きなどを判別できない可能性もある。たとえば両目と鼻との配置関係、両目と口との配置関係に基づいて、画像中の頭部の撮像領域を特定するような場合、監視制御部36は、図5(D)の撮像データのみに基づいて、図5(D)のドライバの頭部の向きなどを特定することができない。ドライバの頭部についての基準となるデータがない場合、監視制御部36は、ドライバの右目が画像成分に含まれていない場合には、ドライバの状態を正しく推定することができない可能性が高まる。
カメラモジュール31の撮像センサ41が自動車1の車幅方向の中央部分に設けられている場合、この図5(D)のような状態は生じ易くなる。
【0042】
このように乗員には、たとえば目が大きい人、目が小さい人、目が前に出ている人、目が奥に入っている人などの個人差がある。
実際のドライバの頭部の位置は、車幅方向での画角方向へ移動するだけでなく、さらに上下方向へも移動する可能性がある。これらの移動の発生について考慮すると、撮像センサ41の現在の撮像データのみに基づいてドライバの頭部の状態や目の状態を正しく推定することは、容易なことではない。
【0043】
図6は、車体2の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置15の液晶デバイス32とカメラモジュール31についての詳細な説明図である。図6(A)は、車室3側からの正面図である。図6において、液晶デバイス32の表示操作パネル33の中央位置Ydは、車体2の車幅方向の中央位置Y0から図示左側である同乗者側へずれて設けられている。
表示操作パネル33を有する液晶デバイス32は、樹脂製の押さえ部品としての保持部材61により、表示操作パネル33の周縁部分をその四角において保持されている。
表示操作パネル33は、液晶デバイス32より一回り大きい外形を有する。
【0044】
液晶デバイス32は、画面を表示する表示領域として、一般的なモニタのように四角形の表示面ではなく、四角形の上縁の中央部分を切り欠いた略凹形状を有する。略凹形状の液晶デバイス32の表示領域と外接する矩形枠33aの内側に、切り欠きになる非表示部33bが形成される。非表示部33bの左右両側には、液晶デバイス32の表示領域がある。非表示部33bは、液晶デバイス32の表示操作パネル33の中央位置Ydを基準として、線対象に形成されている。
このように、非表示部33bは、液晶デバイス32についての画面を表示する表示操作パネル33において、表示領域と外接する矩形枠33aの内側における、画面の表示領域の上縁の中央部分の切欠部分として形成される。非表示部33bは、液晶デバイス32についての画面を表示する表示操作パネル33において、画面の表示領域の上縁に沿う切欠部分として形成される。そして、非表示部33bは、液晶デバイス32についての画面を表示する表示操作パネル33において、少なくとも、画面の表示領域の車幅方向の中央位置Ydから、自動車1の車幅方向の中央位置Y0までの範囲にわたって形成されている。非表示部33bは、表示操作パネル33において、画面の表示領域の車幅方向の中央位置Ydを基準として、自動車1の車幅方向において左右対称な形状に形成される。
そして、表示操作パネル33の表示領域には、カメラモジュール31が配置される非表示部33bの左右両側および下側に、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作を禁止する制限領域62が設定されている。
【0045】
撮像センサ41を有するカメラモジュール31は、表示操作パネル33の裏側において、液晶デバイス32による表示領域の上側に形成される非表示部33bの裏側に配置される。カメラモジュール31は、表示操作パネル33の四角を保持する保持部材61より外へ突出しないように、保持部材61より内側となるように設けられる。
詳しくは、カメラモジュール31は、撮像センサ41および撮像広角レンズ42が、液晶デバイス32の表示操作パネル33の中央位置Ydと、車体2の車幅方向の中央位置Y0との間に収まるように設けられる。これにより、撮像センサ41および撮像広角レンズ42は、それらの車幅方向の中央位置が、液晶デバイス32の表示操作パネル33の中央位置Ydと、車体2の車幅方向の中央位置Y0との間に位置するように設けられる。
これにより、カメラモジュール31の撮像センサ41は、あたかも液晶デバイス32そのものに設けられている状態となる。撮像センサ41は、液晶デバイス32において操作画面を表示する表示操作パネル33についての操作画面の表示領域と隣接して配置される。
その結果、カメラモジュール31の撮像センサ41は、表示操作パネル33を有する液晶デバイス32の裏側から、乗員を撮像することが可能となる。
また、カメラモジュール31において、撮像センサ41および撮像広角レンズ42は、車幅方向の中央部分に配置される。第一LED43および第一投光レンズ44は、助手席側の端部分に配置される。第二LED45および第二投光レンズ46は、ドライバ側の端部分に配置される。これにより、カメラモジュール31は、ドライバとダッシュボード5との間にステアリング7などの物体が存在していても、そのステアリング7などにより遮られることなく投光し、撮像することができる。
なお、このようにカメラモジュール31を表示操作パネル33の裏側に設ける場合、撮像広角レンズ42、第一投光レンズ44、第二投光レンズ46は、表示操作パネル33そのものを加工することにより設けられてもよい。
【0046】
図7は、図3の監視制御部36による乗員の登録制御のフローチャートである。
監視制御部36は、新たな乗員が自動車1に乗ると、図7の登録制御を繰り返し実行してよい。
【0047】
ステップST1において、監視制御部36は、まず、乗員を登録するか否かを判断する。
監視制御部36は、たとえば液晶デバイス32に表示しているメニュー画面において乗員登録ボタンが乗員により選択操作された場合、乗員を登録すると判断し、処理をステップST2へ進める。これ以外の場合、監視制御部36は、乗員を登録しないと判断し、図7の登録制御を終了する。
【0048】
ステップST2から、監視制御部36は、新たな乗員の登録処理を実行する。監視制御部36は、まず、乗員の登録を開始する案内を、液晶デバイス32に表示する。メニュー画面において乗員登録ボタンを操作して登録しようとしている乗員は、基本的に液晶デバイス32の案内表示を正面から直視していると考えられる。また、監視制御部36は、案内において、顔を液晶デバイス32へ向けるように正対する指示してよい。また、監視制御部36は、カメラモジュール31の第一LED43、および第二LED45を点灯する。これにより、液晶デバイス32の案内表示を視るように正対している乗員の上体または頭部には、紫外線が照射される。
【0049】
ステップST3において、監視制御部36は、撮像センサ41から、現在の撮像データを取得し、撮像データに含まれる新たな登録対象の乗員を正面から撮像した画像成分を、正対画像として取得する。監視制御部36は、撮像センサ41の撮像画像から複数の乗員が抽出できる場合、その中の1つを乗員に選択させてよい。正対画像には、乗員の両目、鼻、口についての赤外線光による画像成分が高い確率で含まれることが期待できる。赤外線光による画像成分には、頭部や眼球の静脈パターンが含まれてもよい。頭部や眼球の静脈パターンは、それについて抽出する特徴点の個数にもよるが、個人を特定するために用いることができる。また、頭部や眼球の静脈パターンは、頭部の表面形状やまたは顔の凹凸や形状の影響に起因する明暗パターンの影響を受け難い。眼球の静脈パターンは、基本的に、周辺の白目から中央の黒目へ向かうものがある。眼球を覆う瞼の静脈パターンは、眼球の静脈パターンとは異なるパターンである。監視制御部36は、これらの頭部、眼球、瞼などの静脈パターンの情報を、撮像データから抽出して取得してよい。そして、このように正対する乗員の頭部を捉えた画像成分には、頭部の各部の画像成分が高画質に含まれていることが期待できる。
なお、監視制御部36は、正対画像に、乗員の両目、鼻、口についての赤外線光による画像成分が含まれていることが確認できるまで、案内を繰り返したり、撮像センサ41からの現在の撮像データの取得を繰り返したりしてよい。
【0050】
ステップST4から、監視制御部36は、乗員に自動車1の前方を視る正面視の案内を、液晶デバイス32に表示する。乗員は、液晶デバイス32の案内表示に基づいて、自動車1の前方を視ると考えられる。また、監視制御部36は、カメラモジュール31の第一LED43、および第二LED45を点灯する。これにより、自動車1の前方を視る正面視の乗員の上体または頭部には、紫外線が照射される。
【0051】
ステップST5において、監視制御部36は、撮像センサ41から、現在の撮像データを取得し、撮像データに含まれる正面視している乗員を撮像した画像成分を、正面視画像として取得する。正面視画像には、基本的に正対画像とは異なる配置で乗員の両目、鼻、口についての赤外線光による画像成分が含まれ得る。正面視画像には、赤外線光による正面視の頭部や眼球の静脈パターンが含まれてもよい。監視制御部36は、これらの頭部、眼球、瞼などの静脈パターンの情報を、撮像データから抽出して取得してよい。
そして、このように正面視する乗員の頭部を捉えた画像成分には、居眠りもわき見もしていない状態で正面視している頭部の各部の画像成分が高画質に含まれていることが期待できる。正面視している頭部の各部の画像成分は、正対している頭部の各部の画像成分と好適に対応するものとすることができる。その結果、たとえば一人の乗員についての居眠りしている状態で正面視している頭部の画像がある場合、その乗員が居眠りもわき見もしていない状態で正面視している頭部の各部の画像成分を、正面視している頭部の各部の画像成分へ変換する場合と同様の処理を実行することにより、居眠りしている状態で正面視している頭部の各部の画像成分を得ることが可能になる。このような正面視している頭部の各部の画像成分は、その乗員が居眠りしている状態のものとして確からしいものとなり得る。乗員の特徴によらずに一律の処理を実行した場合には、その乗員が居眠りしている状態のものとはならない可能性があるが、そのような可能性を確実に減らすことができる。
【0052】
ステップST6において、監視制御部36は、ユーザの登録処理を実行する。
ユーザ登録処理において、監視制御部36は、撮像した二枚の乗員の画像を、登録撮像データとして、乗員ごとに固有の識別情報とともに記録する。これにより、メモリ35には、新たな乗員についての登録撮像データを含む乗員データが記録される。メモリ35は、記録部材として、液晶デバイス32に所定の画面を表示している際の各乗員を撮像センサ41により撮像した撮像データが、乗員ごとの撮像データとして記録される。メモリ35において各乗員について記録される登録撮像データには、乗員を正面から撮像したものと、正面視の乗員を撮像したものと、が含まれる。
【0053】
図8は、図3の監視制御部36による乗員の監視制御のフローチャートである。
監視制御部36は、たとえば乗員が自動車1に乗っている期間において、図8の監視制御を繰り返し実行してよい。
【0054】
ステップST11において、監視制御部36は、乗員の乗車を判断する。監視制御部36は、たとえば、ドア開閉センサ11による開閉検出、撮像センサ41の画像に基づいて乗員の乗車を判断してよい。乗員が乗車している場合、監視制御部36は、処理をステップST12へ進める。乗員が乗車していない場合、監視制御部36は、本処理を繰り返す。なお、乗員が乗車していない場合、監視制御部36は、図8の監視制御を終了してもよい。
【0055】
ステップST12から、監視制御部36は、乗車している乗員の監視処理を開始する。監視制御部36は、まず、乗車している乗員を識別する。
監視制御部36は、撮像センサ41から新たな撮像画像を取得し、乗車している乗員の画像成分を抽出し、メモリ35に登録されている複数の乗員データと照合する。
この際、監視制御部36は、メモリ35に登録されている各乗員の登録撮像データの中の、正面視の画像成分のみに基づいて、照合してよい。正面視の画像には、顔の鼻などについての凹凸による特徴点が鮮明に含まれることが多い。正面視の画像成分のみに基づいて照合しても、乗員の合致を高い精度で判断可能である。また、監視制御部36は、画像同士を直接比較するのではなく、それぞれの画像から抽出した特徴点同士を比較してよい。
監視制御部36は、メモリ35に登録されている乗員データに含まれる登録撮像データが一定確度以上で合致する場合、乗車している乗員をその登録撮像データの乗員であるとして特定してよい。
この場合、監視制御部36は、乗車している乗員を、メモリ35に登録されている複数の乗員データとの照合により特定した乗員として識別することになる。
メモリ35に登録されている複数の乗員データにおいて一定確度以上で合致する登録撮像データがない場合、監視制御部36は、登録がない乗員として識別してよい。
【0056】
ステップST13において、監視制御部36は、識別した乗員の乗員データを取得する。
【0057】
ステップST14において、監視制御部36は、取得した乗員データを用いて、設定処理を実行する。乗員データに、乗員がした各種の設定データが含まれている場合、監視制御部36は、その設定データに基づく設定処理を実行する。監視制御部36は、設定データの情報を、自動車1の各部へ出力する。これにより、乗員の着座についてのシートポジション、運転支援の有無の初期設定、自動運転での走行嗜好情報、使用するサーバ装置の情報、乗員保護の設定、空調の設定、などの処理が実行される。
また、監視制御部36は、取得している最新の撮像データに基づいて、たとえば助手席のシート4へのチャイルドバケットの装着を判断し、チャイルドバケットが装着されている場合には、助手席のシート4へ向けてのエアバッグ展開を禁止する設定を実行する。
【0058】
ステップST15から、監視制御部36は、識別した乗員についての監視処理を開始する。監視制御部36は、まず、撮像センサ41による最新の撮像データを取得する。
【0059】
ステップST16において、監視制御部36は、最新の撮像データに含まれる乗員の上体および頭部の画像成分を特定する。監視制御部36は、既に識別している乗員についてのメモリ35の登録撮像データの画像成分を基準として用いて、最新の撮像データに含まれる乗員の上体および頭部の画像成分を判断する。ここで、監視制御部36は、たとえばメモリ35に登録されている各乗員を正面から撮像したものと正面視の乗員を撮像したものとの相違(差)に基づいて、撮像センサ41により撮像されている現在の撮像データに含まれる乗員を正面から撮像したものを推定し、乗員を正面から撮像したものとして推定した画像成分に基づいて自動車1に乗る各乗員の状態を判断してよい。監視制御部36は、たとえば乗員を正面から撮像したものを用いて、現在の撮像データに含まれる乗員の画像のレンズ歪みおよび向きを補正し、現在の撮像データに基づく乗員を正面から撮像したものを推定してよい。なお、登録が識別てきない場合には、監視制御部36は、メモリ35の標準的な登録撮像データの画像成分を基準として用いても、登録撮像データの画像成分を用いずに、最新の撮像データに含まれる乗員の上体および頭部の画像成分を判断してよい。
監視制御部36は、最新の撮像データにおける乗員の状態としてたとえば目の開閉状態、視線の方向、頭部の向き、などを判断する。監視制御部36は、静脈の脈動を判断してもよい。そして、たとえばドライバとしての乗員の目が閉じている場合、視線が正面視ではない場合、頭部の向きが正面視ではない場合、脈拍が高い場合、監視制御部36は、ドライバが運転に適した状態にないと判定する。それ以外の場合、監視制御部36は、ドライバが運転に適した状態にあると判定してよい。
このように監視制御部36は、判断部として、メモリ35に記録されている登録撮像データを基準データとして用いて、自動車1に乗る各乗員の状態を判断する。
また、監視制御部36は、自動車1に乗るドライバの状態として、少なくとも、ドライバの目の開閉状態、またはドライバの視線を判断する。この際、監視制御部36は、高画質な登録撮像データを基準として用いることができるので、単なる目の開閉状態だけでなく、上瞼と下瞼との間における黒目の撮像状態の変化や白目の撮像状態の変化などについての情報を、各乗員に合わせて取得でき、乗員の視線方向などの目の表情を高精度に判定することができる。
これに対し、乗員ごとの登録撮像データを用いないで同様の判断をしようとすると、目の大きさなどの個人差を含めて乗員の視線方向などの目の表情を判定することになる。各個人についての視線方向などの目の表情を高精度に判定することは容易ではない。乗員の身体的特徴に基づく過剰な警告を出力するようになってしまう。その乗員にとって不快である。
【0060】
ステップST17において、監視制御部36は、ドライバなどの乗員の状態判定結果に基づいて、自動車1の走行などについての制御が必要であるか否かを判断する。たとえばドライバが運転に適した状態にないと判定している場合、監視制御部36は、制御要と判断し、処理をステップST18へ進める。それ以外の場合、たとえばドライバを含む乗員のすべてが移動に適した状態にある場合、監視制御部36は、制御不要と判断し、ステップST18を飛ばして処理をステップST19へ進める。
【0061】
ステップST18において、監視制御部36は、自動車1の走行などについての制御を実行する。
たとえばドライバの視線が正面視ではないまたは頭部が前へ向いていないと判定している場合、監視制御部36は、ドライバに対する警告を行う。ドライバへの警告は、たとえば液晶デバイス32の警告表示、スピーカデバイス14からの警告音の出力でよい。警告を出力してもドライバが正面視とはならない場合、すなわち連続してドライバの視線が正面視ではないと判定している場合、監視制御部36は、自動車1の走行モードを自動運転へ切り替えて、自動車1の走行を減速停止してよい。自動車1の走行を減速停止する場合、監視制御部36は、不図示のハザードランプの点灯、車外通信装置18による緊急事態情報の送信を実行してよい。
たとえばドライバが居眠りしているまたは高い脈拍であると判定している場合、監視制御部36は、ドライバへの警告、または自動車1の走行の減速停止を実行する。自動車1の走行を減速停止する場合、監視制御部36は、不図示のハザードランプの点灯、車外通信装置18による緊急事態情報の送信を実行してよい。
なお、所定の期間以上にわたって継続的に走行をしている場合、目が所定頻度で開閉している場合、頭部の向きが下がりぎみである場合、監視制御部36は、ステップST17において制御要と判断し、ドライバに対して休憩などを促す出力を実行してよい。
【0062】
ステップST19において、監視制御部36は、乗員の監視制御を継続するか否かを判断する。監視制御部36は、たとえば、ドア開閉センサ11による開閉検出、撮像センサ41の画像に基づいて乗員の降車を判断してよい。乗員が降車した場合、監視制御部36は、乗員の監視制御を継続しないと判断し、処理をステップST20へ進める。それ以外の場合、監視制御部36は、乗員の監視制御を継続すると判断し、処理をステップST15へ戻す。監視制御部36は、乗員の監視制御を継続しないと判断するまで、ステップST15からステップST19の処理を繰り返す。
【0063】
ステップST20において、監視制御部36は、乗員の降車時の処理として、認識した乗員のものとしてメモリ35に登録されている乗員データを更新する。監視制御部36は、乗員の降車時の設定情報を、自動車1の各部が取得し、メモリ35に登録されている乗員データを更新する。これにより、メモリ35に登録されている乗員データは、乗員の嗜好に適応したものとなる。次回の乗車時には、乗員についての最新の設定が自動的になされることになる。
また、監視制御部36は、未登録の乗員についての乗員データを、メモリ35に一時的に記録してよい。これにより、その後にその乗員が登録操作をした場合に、直ちに設定を紐付けることができる。
【0064】
このように、本実施形態の乗員監視装置15では、撮像センサ41を有するカメラモジュール31が、自動車1の車幅方向の中央部分において液晶デバイス32の表示操作パネル33の裏側に配置されているため、ドライバと同乗者とを1つの撮像センサ41により撮像して、各々の状態を監視することができる。しかも、撮像センサ41を有するカメラモジュール31は、液晶デバイス32の表示操作パネル33の近くに配置され、乗員の現在の撮像データに加えて乗員を予め正面などから撮像したデータを用いて状態を判断しているため、乗員の撮像方向や撮像位置の影響を抑制して、乗員の状態を現在の撮像データのみに基づいて判断する場合と比べて、より確からしく判断することができる。
【0065】
次に、このような乗員監視に用いることができる表示操作パネル33を有する液晶デバイス32についての、乗員の操作に対する応答制御を説明する。
【0066】
図9は、車体2の車幅方向の中央部分に設けられて監視制御に用いることができる図3の表示操作パネル33に対する操作についての応答制御のフローチャートである。
乗員監視装置15の監視制御部36は、液晶デバイス32の表示操作パネル33に対する乗員の操作を検出するために、図9の処理を繰り返し実行する。
なお、乗員監視装置15に接続される車両の他の装置のECUが、たとえば図2に示す他の装置のECUが、液晶デバイス32の表示操作パネル33への乗員操作の情報を監視制御部36を通じて取得して、図9の処理を繰り返し実行してもよい。
そして、図6に示すように、表示操作パネル33の表示領域には、カメラモジュール31が配置される非表示部33bの左右両側および下側に、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作を禁止する制限領域62が設定されている。
【0067】
ステップST31において、監視制御部36は、乗員による液晶デバイス32の表示操作パネル33に対する操作の有無を判断する。乗員の操作が検出されていない場合、監視制御部36は、本処理を継続する。そして、乗員の操作が検出されると、監視制御部36は、処理をステップST32へ進める。
【0068】
ステップST32において、監視制御部36は、操作環境として、自動車1が走行中であるか否かを判断する。自動車1が走行中である場合、表示操作パネル33に対する操作を禁止するために、監視制御部36は、処理をステップST31へ戻す。自動車1が走行中でない場合、監視制御部36は、処理をステップST33へ進める。
ここで、監視制御部36は、操作環境として、さらにドライバが操作したか否かを判断してもよい。この場合、監視制御部36は、ドライバが操作している場合には処理をステップST31へ戻し、同乗者が操作している場合には処理をステップST33へ進めてよい。
【0069】
ステップST33において、監視制御部36は、液晶デバイス32の表示操作パネル33の表示領域について、乗員により操作された操作位置を判定する。表示操作パネル33の表示領域には、たとえば図6に示すように、メイン表示領域AMと、サブ表示領域ASと、がある。サブ表示領域ASは、非表示部33bの左右両側に設定されてよい。メイン表示領域AMには、各種の設定のための複数の操作ボタンといった操作オブジェクト65が表示できる。サブ表示領域ASには、現在時刻、自動車1の各種の状態についての操作オブジェクト65が表示できる。
液晶デバイス32は、操作画面にスワイプ操作可能な複数の操作オブジェクト65を表示できる。監視制御部36は、操作位置を判定において、表示中の複数の操作オブジェクト65について、どの操作オブジェクト65が操作されたか否かを判断してよい。
【0070】
ステップST34において、監視制御部36は、乗員の操作内容を判定する。乗員は、液晶デバイス32の表示操作パネル33の表示領域に表示されている操作オブジェクト65について、基本的に、たとえば押すクリック操作、上下左右へずらすスワイプ操作などをしてよい。監視制御部36は、乗員の操作内容として、ステップST33において特定した操作位置または操作オブジェクト65の位置を基準として、クリック操作がなされたか、スワイプ操作がなされたかを判断してよい。また、監視制御部36は、表示操作パネル33の表面を撮像カメラの設置位置へ向けてなぞるスワイプ操作についての操作位置からの操作方向を判断してよい。
【0071】
ステップST35において、監視制御部36は、操作内容が表示操作パネル33の表面をなぞるスワイプ操作であるか否かを判断する。ステップST34においてスワイプ操作と判断している場合、監視制御部36は、処理をステップST36へ進める。ステップST34においてスワイプ操作と判断していない場合、監視制御部36は、処理をステップST38へ進める。
【0072】
ステップST36において、監視制御部36は、スワイプ操作が、スワイプ操作を制限する領域での、スワイプ操作を制限する方向への操作であるか否かを判断する。図6に示すように、表示操作パネル33の表示領域には、カメラモジュール31が配置される非表示部33bの左右両側および下側に、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作を禁止する制限領域62が設定されている。監視制御部36は、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作であるか否かを判断する。カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作である場合、監視制御部36は、処理をステップST37へ進める。それ以外の場合、監視制御部36は、処理をステップST38へ進める。
ここで、図6に例示するように、制限領域62と一部が重なる操作オブジェクト65については、制限領域62に含まれる操作オブジェクト65と同様に判断しても、制限領域62に含まれていない操作オブジェクト65と同様に判断しても、よい。たとえばカメラモジュール31の周囲に十分な広さの制限領域62を設定している場合には、制限領域62に含まれていない操作オブジェクト65と同様に判断してよい。
また、制限領域62の設定は、図6のパターンに限られるものではない。
【0073】
ステップST37において、監視制御部36は、乗員の操作位置および操作内容に応じた、操作に対する応答制御を実行しない。監視制御部36は、乗員の操作内容が表示領域についての撮像センサ41の周辺部分における撮像センサ41へ向かう動きを伴うスワイプ操作である場合、操作内容に応じた制御を実行しない。監視制御部36は、操作に対する応答制御を実行しない旨の警告ウィンドウなどを液晶デバイス32に出力してもよい。その後、監視制御部36は、本制御を終了する。
【0074】
ステップST38において、監視制御部36は、乗員の操作位置および操作内容に応じた、操作に対する応答制御を実行する。
たとえば乗員の操作が表示オブジェクトについてのクリック操作である場合、監視制御部36は、その操作に予め対応付けられた応答制御を実行する。監視制御部36は、たとえば操作された表示オブジェクトについての実行画面を、液晶デバイス32に表示してよい。
たとえば乗員の操作が表示オブジェクトについてのスワイプ操作である場合、監視制御部36は、その操作に予め対応付けられた応答制御を実行する。監視制御部36は、たとえば操作された表示オブジェクトについての設定画面を、液晶デバイス32に表示してよい。
【0075】
このように監視制御部36は、撮像センサ41の周辺に表示される操作オブジェクト65について撮像センサ41の設置位置へ向けてなぞるスワイプ操作がなされた場合には、そのスワイプ操作に応じた制御を実行しない。これに対し、撮像センサ41の周辺以外に表示される操作オブジェクト65についてのスワイプ操作がなされた場合、または、撮像センサ41の周辺であっても撮像センサ41以外へ向けてなぞるスワイプ操作がなされた場合には、監視制御部36は、そのスワイプ操作に応じた制御を実行する。
【0076】
以上のように、本実施形態では、監視制御部36は、乗員の操作内容が、少なくとも撮像センサ41へ向かう動きを伴う操作である場合には、判断した操作内容に応じた制御を実行しない。よって、乗員は、自動車1の乗員の操作画面を表示する液晶デバイス32に対して、撮像センサ41へ向かう動きを伴う操作をしないようになり得る。その結果、本実施形態では、乗員の操作の際の指、手、腕、肘などの動きにより、撮像センサ41の視野が遮られ難くなる。しかも、乗員は、撮像センサ41へ向かわないのであれば動きを伴う操作について制限されることがないため、液晶デバイス32に表示される操作画面に対して動きを伴う操作をすることができる。
このように、本実施形態では、乗員による動きを伴うスワイプ操作が一律に制限されてないため、乗員の使いやすさと、乗員の状態監視とを、高度なバランスで両立することができる。
このように自動車1では、乗員監視に用いる液晶デバイス32についての、乗員の使いやすさと、乗員の状態監視とを、良好に両立させることが求められる。
【0077】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0078】
たとえば上述した実施形態では、液晶デバイス32は、縦長に配置されている。
この他にもたとえば、液晶デバイス32は、横長に配置されてよい。
【0079】
図10は、図6の車体2の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置15の液晶デバイス32とカメラモジュール31についての第一変形例の説明図である。
図10の液晶デバイス32の表示領域は、横長となっている。
また、撮像センサ41を有するカメラモジュール31は、表示操作パネル33の裏側において、液晶デバイス32による表示領域の上側に形成される非表示部33bの裏側に配置される。カメラモジュール31は、表示操作パネル33の四角を保持する保持部材61より外へ突出しないように、保持部材61より内側となるように設けられる。
この場合であっても、表示操作パネル33の表示領域についての、カメラモジュール31が配置される非表示部33bの左右両側および下側に、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作を禁止する制限領域62を設定することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
図11は、図6の車体2の車幅方向の中央部分に設けられる乗員監視装置15の液晶デバイス32とカメラモジュール31についての第二変形例の説明図である。
図11の液晶デバイス32の表示領域は、横長となっている。
また、撮像センサ41を有するカメラモジュール31は、表示操作パネル33の裏側において、液晶デバイス32による四角形の表示領域の上側となるように配置される。カメラモジュール31は、表示操作パネル33の四角を保持する保持部材61より外へ突出しないように、保持部材61より内側となるように設けられる。
この場合であっても、表示操作パネル33の表示領域についての、カメラモジュール31が隣接して配置される上部中央に、カメラモジュール31へ向かう方向へのスワイプ操作を禁止する制限領域62を設定することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
上述した実施形態では、液晶デバイス32の表示操作パネル33、および撮像センサ41は、自動車1の車幅方向の中央部分にセンター配置されている。撮像センサ41は、自動車1の車幅方向の中央部分にセンター配置された状態で、自動車1の前列に着座する複数の乗員の頭部を撮像可能な画角の撮像広角レンズ42を有している。監視制御部36は、自動車1に乗る乗員の状態として、少なくとも、乗員の目の開閉状態、または視線を判断している。
乗員の監視装置は、これらのいずれかにも該当しないものであってもよい。たとえば、乗員の監視装置は、ドライバのみを監視対象とするものでもよい。この場合であっても、たとえば、撮像センサ41を、液晶デバイス32の表示操作パネル33の裏側において、画像の表示領域の外接円の内側に収まるように配置したり、監視制御部36が、メモリ35に記録されている登録撮像データを基準データとして用いて、自動車1に乗る乗員の状態を判断することにより、その監視判断の確からしさを向上できることは期待できる。
【符号の説明】
【0082】
1…自動車(車両)、2…車体、3…車室、4…シート、5…ダッシュボード、6…センターコンソール、7…ステアリング、10…制御装置、11…ドア開閉センサ、12…車速センサ、13…パークセンサ、14…スピーカデバイス、15…乗員監視装置、16…ポジション設定装置、17…運転支援装置、18…車外通信装置、19…乗員保護装置、20…空調装置、21…車内ネットワーク、31…カメラモジュール、32…液晶デバイス(表示部材)、33…表示操作パネル、33a…矩形枠、33b…非表示部、34…入出力デバイス、35…メモリ、36…監視制御部、41…撮像センサ(撮像部材)、42…撮像広角レンズ、43…第一LED、44…第一投光レンズ、45…第二LED、46…第二投光レンズ、51…第一乗員データ、52…第二乗員データ、61…保持部材、62…制限領域、65…操作オブジェクト、AM…メイン表示領域(表示領域)、AS…サブ表示領域(表示領域)、Y0…自動車の車幅方向の中央位置、Yd…液晶デバイスの車幅方向の中央位置

図1
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図10
図11