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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙製品収納体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/462 20060101AFI20241108BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65D5/462 120
A47K10/42 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021067082
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162311
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 賢弥
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059529(JP,A)
【文献】登録実用新案第3006782(JP,U)
【文献】実開昭47-017927(JP,U)
【文献】実開昭50-018632(JP,U)
【文献】米国特許第03750933(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/462
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛生薄葉紙が折り畳まれ積層された略直方体形状の束が、包装材によって包装されている衛生薄葉紙製品を、段ボール製の収納箱内に整列に収納した衛生薄葉紙製品収納体であって、
前記収納箱が、対向する一対の第一側面部と、これら第一側面部の縁部に連接する対向する一対の第二側面部と、第一側面部から延出する内フラップと、第二側面部から延出する外フラップと、第一側面部及び第二側面部に連接する底面部と、前記内フラップ及び外フラップをこの順に閉じることで形成される天面部とを有する、直六面体形状であり、
外フラップの先端縁が天面部の中央部において対向するように構成され、
各外フラップに、把手部形成部を有し、
把手部形成部は、外フラップの先端縁側に各端を有する凸形状又は略コ字状の外側易切り起こし線と、外フラップの先端側縁側に各端を有する凸形状又は略コ字状の内側易切り起こし線とによって囲まれ、外側易切り起こし線と内側易切り起こし線との各端間を結ぶ基端縁から切り起こし可能とされ、
外フラップが、内フラップに対して、前記把手部形成部の基端縁の近傍位置で前記基端縁の長さ以上の範囲において接着されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙製品収納体。
【請求項2】
内側易切り起こし線から外側易切り起こし線に向かって、所定幅離間する一対の易切り起こし線を有し、各易切り起こし線における外側易切り起こし線側の端を結ぶ線を基端縁として、切り起こし可能な把手補助部形成部を有する、請求項1記載の衛生薄葉紙製品収納体。
【請求項3】
把手部形成部を切り起こして形成される把手部の先端縁が、各外フラップの先端縁間の上方位置で接するように構成されている、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙製品収納体。
【請求項4】
内側易切り起こし線及び外側易切り起こし線がミシン目であり、外側易切り起こし線と内側易切り起こし線との各端間を結ぶ基端縁位置に押し罫が形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品収納体。
【請求項5】
易切り起こし線における外側易切り起こし線側の端を結ぶ線を基端縁位置に、押し罫が形成されている、請求項2記載の衛生薄葉紙製品収納体。
【請求項6】
所定幅で離間する一対の開封用切込線が外フラップの先端縁から所定位置まで形成され、かつ、その一対の開封用切込線は、内フラップの先端縁を跨ぐように配されている、請求項1~5の何れか1項に記載の衛生薄葉紙製品収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーやペーパータオル等の衛生薄葉紙の束が包装フィルム等により包装されている衛生薄葉紙製品を複数個、収納箱に納めた衛生薄葉紙製品収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパー等の衛生薄葉紙の束を包装した衛生薄葉紙製品では、樹脂製の柔軟な包装フィルムによって包装するようにするなど製品のコンパクト化が進んでいる。
【0003】
また、この衛生薄葉紙製品は、販売時の形態が一般に三~五個パックを纏めて集合包装(パック包装ともいわれる)した集合包装形態とすることが行われている。
【0004】
そして、このような衛生薄葉紙製品は、さらに、それらを複数個纏めて、段ボール紙製の段ボール箱(段ケースとも言われる)等の比較的剛性のある収納箱に納めた収納体の状態で出荷・配送されることが行われている。
【0005】
近年、特にフィルム包装タイプの衛生薄葉紙製品に代表されるように製品のコンパクト化が進んだ結果、前記収納体の大きさも小さくなりつつあり、このため、個々の衛生薄葉紙製品やその集合包装品を店頭に陳列するのではなく、ケース売り、まとめ売りなどとも称される収納体のままの状態で、より多くの衛生薄葉紙製品を梱包されたままの状態で、購入者が購入できる販売形態が採られることも増えてきている。
【0006】
さらに、近年では、感染症対策のために店舗への来店回数を少なくする必要性が生じたりするなど、生活様式の変化による来店回数の減少等にともない、一度により多くの紙製品を購入する要望もある。
【0007】
しかしながら、ケース販売品に係る収納体は、両手で抱えるようにして持ち運ぶ程度の大きさがあるため、持ち運びにくく、手軽に手に持って持ち帰り難いものであった。また、強固に封止されており、家庭での開封性にも配慮されていなかった。
【0008】
紙製の収納箱に持ち運び用の取っ手を形成するものとして下記特許文献1、特許文献2のようなものが開示されるが、いずれも衛生薄葉紙製品に適するようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-177314号公報
【文献】実用新案登録3086723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の主たる課題は、出荷時や移送時の段ケースとして十分な強度を有する収納箱でありながら、簡易に開封でき、さらに、持ち運びしやすい形態に変形可能な衛生薄葉紙製品収納体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段は次のとおりである。
【0012】
その第一の手段は、
複数の衛生薄葉紙が折り畳まれ積層された略直方体形状の束が、包装材によって包装されている衛生薄葉紙製品を、段ボール製の収納箱内に整列に収納した衛生薄葉紙製品収納体であって、
前記収納箱が、対向する一対の第一側面部と、これら第一側面部の縁部に連接する対向する一対の第二側面部と、第一側面部から延出する内フラップと、第二側面部から延出する外フラップと、第一側面部及び第二側面部に連接する底面部と、前記内フラップ及び外フラップをこの順に閉じることで形成される天面部とを有する、直六面体形状であり、
外フラップの先端縁が天面部の中央部において対向するように構成され、
各外フラップに、把手部形成部を有し、
把手部形成部は、外フラップの先端縁側に各端を有する凸形状又は略コ字状の外側易切り起こし線と、外フラップの先端側縁側に各端を有する凸形状又は略コ字状の内側易切り起こし線とによって囲まれ、外側易切り起こし線と内側易切り起こし線との各端間を結ぶ基端縁から切り起こし可能とされ、
外フラップが、内フラップに対して、前記把手部形成部の基端縁の近傍位置で前記基端縁の長さ以上の範囲において接着されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙製品収納体である。
【0013】
第二の手段は、
内側易切り起こし線から外側易切り起こし線に向かって、所定幅離間する一対の易切り起こし線を有し、各易切り起こし線における外側易切り起こし線側の端を結ぶ線を基端縁として、切り起こし可能な把手補助部形成部を有する、上記第一の手段に係る衛生薄葉紙製品収納体である。
【0014】
第三の手段は、
把手部形成部を切り起こして形成される把手部の先端縁が、各外フラップの先端縁間の上方位置で接するように構成されている、上記第一又は第二の手段に係る衛生薄葉紙製品収納体である。
【0015】
第四の手段は、
内側易切り起こし線及び外側易切り起こし線がミシン目であり、外側易切り起こし線と内側易切り起こし線との各端間を結ぶ基端縁位置に押し罫が形成されている、上記第一~第三の手段に係る衛生薄葉紙製品収納体である。
【0016】
第五の手段は、
易切り起こし線における外側易切り起こし線側の端を結ぶ線を基端縁位置に、押し罫が形成されている、上記第二の手段に係る衛生薄葉紙製品収納体である。
【0017】
第六の手段は、
所定幅で離間する一対の開封用切込線が外フラップの先端縁から所定位置まで形成され、かつ、その一対の開封用切込線は、内フラップの先端縁を跨ぐように配されている、上記第一~第五の手段に係る衛生薄葉紙製品収納体である。
【発明の効果】
【0018】
以上の本発明によれば、出荷時や移送時の段ケースとして十分な強度を有する収納箱でありながら、簡易に開封でき、さらに、持ち運びしやすい形態に変形可能な衛生薄葉紙製品収納体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の外フラップ及び内フラップを展開した状態の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の外フラップ及び内フラップを展開した状態の平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の内フラップを閉じた状態の平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の把手部を形成した際の側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の把手部を形成した際の正面図である。
図8】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の把手部を形成した際の斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙製品収納体の把手部を形成した際の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1図9を参照しながら説明する。
【0021】
本実施形態に係る衛生薄葉紙製品の収納体11は、衛生薄葉紙製品1を収納箱50に整列に収納したものである。
【0022】
本実施形態に係る衛生薄葉紙製品1は、図1図5に示すように、複数の衛生薄葉紙が折り畳まれ積層された略直方体形状の束が、包装材によって包装されているものであり、例えば、束が樹脂製のフィルムで包装されているいわゆるフィルム包装ティシュー、束がカートンとも言われる直六面体形状の紙箱に納められているいわゆるボックスティシュー等である。さらに、個々のフィルム包装ティシュー等がさらに、複数個整列に纏めてガセット包装やキャラメル包装された製品であってもよい。図示の形態は、個々のフィルム包装ティシューを収納した形態を示している。フィルム包装ティシューは、省スペース化に適する製品形態であるため、本発明に係る収納体11における被収納物としては、特に適する。
【0023】
収納箱50は、段ケース、段ボール又は段ボールケースと称される段ボール製の収納箱50であり、対向する一対の第一側面部51,51と、これら第一側面部51,51の縁部に連接する対向する一対の第二側面部52,52と、第一側面部51,51から延出する内フラップ53,53と、第二側面部52,52から延出する外フラップ54,54と、第一側面部51,51及び第二側面部52,52に連接する底面部58と、前記内フラップ53,53及び外フラップ54,54をこの順に閉じることで形成される天面部55と、を有する直六面体形状をなしている。底面部58の構造は、必ずしも限定されないが、段ボール箱の規格に従って、JIS Z 1507における02形の形状であるのが望ましく、図示はしないが、例えば、第一側面部51,51から延出する一対の底側内フラップと、第二側面部から延出する一対の底側外フラップとを、この順に閉じることで形成されているのが望ましい。
【0024】
収納箱50は、前記外フラップ54,54の先端縁54e,54eが、天面部55の中央部において対向するように構成され、内包物が露出しないようになっている。また、内フラップ53,53は、やや先端縁53e,53eが天面部55の中央部においてやや離間するように構成されているが、外フラップ54,54と広範に重なることで、強固な天面部55を形成するように構成されている。
【0025】
なお、収納箱50は、展開形態は必ずしも限定されない。例えば、第一側面部51と第二側面部52とを一つ有する第一紙片部と第二紙片部とを糊代部で接着するなど複数の紙片部から組み立てられてもよいし、一対の第一側面部と一対の第二側面部とを有する一つの紙片部から組み立てられた形態であってもよい。また、第一側面部51,51と第二側面部52,52の大きさは、同一であってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、外フラップ54,54を有する第二側面部52,52が、第一側面部51,51よりも、やや横長となっており、前記第二側面部52,52が、直六面体の長側面部となっている。
【0026】
収納箱50を構成する段ボール紙は、必ずしも限定されない。JIS Z 0104における両面段ボール、複両面段ボールでよく、好ましくは、両面段ボールである。また、中芯の段数も限定されない。JIS Z 1516におけるAフルート、Cフルート程度がよい。収納箱50の原紙構成も、必ずしも限定されない。外層・内層が160~210g/m2、中芯が120~200g/m2であり、ティシュペーパー等の衛生薄葉紙製品の収納に汎用的に用いられる規格の段ボール製の収納箱と同様の構成とすることができる。
【0027】
本実施形態に係る収納体11は、衛生薄葉紙製品1であるフィルム包装ティシュー製品収納体が、上記の段ボール製の収納箱50内に整列に収納されている。収納箱50の内寸は、整列形態の衛生薄葉紙製品1の全体外寸とほぼ一致するように形成され、輸送時に収納箱50内で衛生薄葉紙製品1が崩れないようにされる。図示の形態は、天面部55と底面部58との間に5段、第一側面部51,51間に三列、第二側面部52,52間に二列の2×3×5の合計30個の衛生薄葉紙製品1が整列されて配置されている。一般的なフィルム包装ティシューの製品を、このように収納する場合には、収納箱50の内寸は、幅400~650mm、奥行き300~450mm、高さ250~500mmである。なお、内包物の総質量は、必ずしも限定されないが、本発明に係る衛生薄葉紙収納体は、内包物の総質量2~4kgが最も想定される。
【0028】
ここで、本発明に係る収納体11は、特徴的に、各外フラップ54,54に、把手部形成部40,40が形成されている。この把手部形成部40は、外フラップ54の先端縁54e側に各端41,41を有する凸形状又は略コ字状の外側易切り起こし線60と、外フラップ54の先端縁54e側に各端42,42を有する凸形状又は略コ字状の内側易切り起こし線61とによって囲まれる部分である。凸形状の具体的形状は必ずしも限定されない。外フラップ54の基端縁側に向かって凸となっていればよい。また、略コ字状については、完全なコ字状を排除する意味ではない。図示の形態では、好ましい形状として、外側易切り起こし線60が、外フラップ54の基端縁側がやや広がる末広がりの略コ字状となっており、内側易切り起こし線61が、角部がほぼ90°の略コ字状に形成されている。但し、外側易切り起こし線60及び内側易切り起こし線61の形状は、上記のとおり、必ずしも図示の形状に限定されず、本発明の構成及び効果の範囲で、適宜の形状とすることができる。例えば、外フラップ54の基端縁側に向かって膨出するように湾曲するアーチ型の凸形状等であってもよい。また、先窄まりの略コ字型であってもよい。
【0029】
外側易切り起こし線60及び内側易切り起こし線61は、段ボール紙を意図した位置での切り起こしを容易にする線であればよく、例えば、ライナーカット、ミシン目、カットテープ等の公知の技術により形成することができる。好ましくは、ミシン目である。ミシン目のカットタイ比は限定されない。段ボール紙の厚さや強度に応じて適宜に設計する。
【0030】
この各外フラップ54,54に形成された各把手部形成部40,40をともに切り起こすことで、図6図9に示すように天面部55に手を通す貫通孔70を有する把手部49,49が立設される。
【0031】
ここで、把手部形成部40は、外側易切り起こし線60及び内側易切り起こし線61の各端41,42が、外フラップ54の先端縁54eからの離間距離が実質的に等距離とするのがよい。さらに、各外フラップにおける把手部形成部40,40は、好適に外フラップ54,54の先端縁54e,54e間を挟んで線対称の同位置に同形状で形成されているのが特に好ましい。また、外フラップ54は、把手部形成部40においては、内フラップ53に対して接着されていないのが望ましい。このようにすると、把手部形成部40は、外側易切り起こし線60と内側易切り起こし線61との各端間を結ぶ基端縁45から容易に切り起こし可能となる。
【0032】
また、外側易切り起こし線60と内側易切り起こし線61との各端41,42間を結ぶ基端縁45の位置に押し罫45aが形成されているのが望ましい。押し罫45aに沿って段ボール紙が折れやすくなるため、上記基端縁45等から把手部形成部40を切り起こしやすくなる。
【0033】
把手部形成部40における外側易切り起こし線60と内側易切り起こし線61の離間距離L1は、各位置において少なくとも10mm以上、好ましくは15mm以上、特に好ましくは20m以上とするのがよい。10mm以上であれば把手部として使用する際に意図しない破断が生ずるおそれが小さくなる。
【0034】
他方で、本実施形態の収納箱50では、特に、外フラップ54は、内フラップ53に対して、把手部形成部40の基端縁45の近傍位置で前記基端縁45の長さ以上の範囲において接着されている(接着部を符号48で示す)。基端縁45から接着部48まで距離は、0mm以上10mm以下である。外フラップ54と内フラップ53とがこの位置で接着されていることにより、把手部49を形成して把持した際に、意図せず把手部49が破断したり、外フラップ54が意図せず開いて開封されるおそれが小さくなる。
【0035】
また、外側易切り起こし線60と内側易切り起こし線61との各端41,42間を結ぶ基端縁45の位置と外フラップ54の先端縁54eとの間の距離L2は、少なくとも20mm以上であるのが望ましい。20mm以上離間していると、接着領域を十分とすることができ、また、把手部49を形成して把持した際に、意図せず把手部49が破断するおそれが小さくなる。
【0036】
外フラップ54と内フラップ53との接着方法は、十分な接着強度があれば限定されないが、特に、柔軟な被包装物である衛生薄葉紙製品を傷つけるおそれがない接着剤による接着が望ましい。好適にはホットメルト接着剤によって接着するのが望ましい。段ボール紙の接着に適し、また、十分な接着力を確保できるとともに、開封もしやすい接着態様となる。
【0037】
ここで、収納箱50の特に好ましい形態は、各外フラップ54,54における把手部形成部40,40を切り起こして形成される把手部49,49の先端縁49e,49eが、各外フラップ54,54の先端縁54e,54e間の上方位置で接するように構成されている形態である。つまり、把手部形成部40は、外側易切り起こし線60と内側易切り起こし線61との各端41,42間を結ぶ基端縁45の位置と外フラップ54の先端縁54eとの間の距離L2よりも、前記基端縁45の位置から外側易切り起こし線60の外フラップ54基端縁側の位置までの距離L3のほうが長く構成されているのが望ましい。このように把手部49,49の先端縁49e,49eが、各外フラップ54,54の先端縁54e,54e間の上方位置で接するように構成されている形態では、把手部49を把持した際に、各把手部49が近づく方向に引っ張られ、外フラップ54と内フラップ53との接着位置である把手部形成部40の基端縁近傍においては、外フラップ54が閉じる方向にも力が加わりやすくなる。このため把手部49の特に基端縁45近傍の破断や、外フラップ54の意図しない開封が生じ難くなる。
【0038】
また、本実施形態の収納箱50の把手部形成部40は、好ましい形態として、内側易切り起こし線61から外側易切り起こし線60に向かって、所定幅離間する一対の易切り起こし線62,62を有している。この易切り起こし線62,62は、外フラップ54の先端縁54eから基端縁側に向かって延在しており、各易切り起こし線62,62における外側易切り起こし線60側の端を結ぶ線を基端縁62eとして、切り起こし可能な把手補助部形成部62A,62Aを構成している。易切り起こし線62,62も、外側易切り起こし線60、内側易切り起こし線61と同様にミシン目等で構成することができる。好ましくは、ミシン目である。
【0039】
さらに、把手補助部形成部62Aは、易切り起こし線62における外側易切り起こし線60側の端を結ぶ線を基端縁62eの位置に、押し罫62aが形成されている望ましい。基端縁62eから把手補助部形成部62Aを切り起こしやすくなる。
【0040】
ここで、把手補助部形成部62Aは、把手部形成部40を切り起こして把手部49を形成した後、さらに、把手補助部形成部62Aを外フラップ54の先端縁54e側に向かって切り起こすことで、把手部49を手で把持した際に手に当たる部分に平板状の把手補助部69が形成され、把持した際の手指の痛みを軽減することができる。易切り起こし線62間の離間距離L4は限定されないが、人の手の平の幅と同程度以上であるのが望ましく、概ね50~200mm程度であればよい。また、易切り起こし線62の延在長さは限定されない。適宜に設計することができる。
【0041】
また、特に各外フラップ54,54における把手部形成部40,40を切り起こして形成される把手部49,49の先端縁49e,49eが、各外フラップ54,54の先端縁54e,54e間の上方位置で接するように構成されている形態において把手補助部形成部62Aを形成すると、特に図6に示すように、把手部49,49の先端縁49e,49eの下方位置に平板状の把手補助部69が形成されるため、一対の把手部49の先端縁側に略三角柱形状の筒型部分が形成され、把持しやすい把手部形態となる。
【0042】
他方で、本実施形態の収納箱50は、所定幅で離間する一対の開封用切込線71が外フラップ54の先端縁54eから所定位置まで形成されている。開封用切込線71は、単なる切断線でもよいし、ミシン目のような裂開を容易とする易切断線でもよい。この一対の開封用切込線71,71の間を押し込む又は引き上げることで、外フラップ54を先端縁54e側から開封しやすくなる。開封用切込線71,71の離間幅L5は、必ずしも限定されないが、30~60mmとするのが望ましい。また、先端縁54eから前記所定位置までの距離も必ずしも限定されないが、30~60mmとするのが望ましい。さらに、この一対の開封用切込線71,71は、内フラップ53,53の先端縁53e,53eを跨ぐように配されているのが望ましい。一対の開封用切込線71,71の間を押し込む又は引き上げる操作をした際に、外フラップ54と内フラップ53との接着部分が剥離しやすくなる。
【0043】
以上、説明のとおり本実施形態の衛生薄葉紙製品収納体は、出荷時や移送時の段ケースとして十分な強度を有する収納箱でありながら、簡易に開封でき、さらに、持ち運びしやすい形態に変形可能なものである。なお、本発明は、この実施形態に限定されるわけではない。
【符号の説明】
【0044】
1・・・衛生薄葉紙製品(フィルム包装ティシュー)、11…衛生薄葉紙製品収納体、40…把手部形成部、41…外側易切り起こし線の端、42…内側易切り起こし線の端、45…把手部形成部の基端縁、45a…押し罫、48…接着部、49…把手部、49e…把手部の先端縁、60…外側易切り起こし線、61…内側易切り起こし線、62…易切り起こし線、62A…把手補助部形成部、62e…把手補助部形成部の基端縁、69…把手補助部、50…収納箱、51…第一側面部、52…第二側面部、53…内フラップ、53e…内フラップの先端縁、54…外フラップ、54e…外フラップの先端縁、58…底面部、55…天面部、70…貫通孔、71…開封用切込線、L1…外側易切り起こし線と内側易切り起こし線の離間距離、L2…把手部形成部の基端縁と外フラップの先端縁との間の距離、L3…把手部形成部の基端縁から外側易切り起こし線の外フラップ基端縁側までの距離、L4…易切り起こし線の離間幅、L5…開封用切込み線の離間幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9