(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】遠方監視制御システム、サーバ装置および通信障害予測方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/06 20220101AFI20241108BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20241108BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241108BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20241108BHJP
【FI】
H04L41/06
H04W24/04
H04M11/00 301
H04B3/46
(21)【出願番号】P 2021090311
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】大山 耕平
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148968(JP,A)
【文献】特開2000-049937(JP,A)
【文献】特開2006-245993(JP,A)
【文献】特開2002-247607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00-43/55
H04W 24/04
H04M 11/00
H04B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被制御所にそれぞれ設置され、無線通信ネットワークを介して広域ネットワークに接続される複数の遠方監視制御装置と、
前記遠方監視制御装置に接続され、互いにメタル伝送路で接続された複数のモデムと、
前記広域ネットワークに接続され、前記モデムから取得した前記メタル伝送路の状態に関する情報に基づいて前記遠方監視制御装置間の通信障害を予測するサーバ装置と、
前記サーバ装置にて予測した通信障害に関する情報を表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする遠方監視制御システム。
【請求項2】
前記モデムが前記メタル伝送路を介して受信した信号の信号対雑音比、および、前記信号の強度の一方または両方を前記メタル伝送路の状態に関する情報とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠方監視制御システム。
【請求項3】
前記表示装置をタブレット型端末が備える表示装置とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遠方監視制御システム。
【請求項4】
無線通信ネットワークを介して単一の広域ネットワークに接続される複数の遠方監視制御装置が一つの障害予測対象システムを構成し、
前記サーバ装置は、複数の前記障害予測対象システムのそれぞれに含まれるメタル伝送路の状態に関する情報を収集して保持し、保持している情報に基づいて、前記通信障害を予測する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の遠方監視制御システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、前記メタル伝送路の状態に関する情報と予め定められたしきい値との比較結果に基づいて前記遠方監視制御装置間の通信障害を予測する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の遠方監視制御システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記遠方監視制御装置間の通信障害の発生有無と前記メタル伝送路の状態に関する情報との関係を学習して生成された学習済モデルを用いて前記遠方監視制御装置間の通信障害を予測する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の遠方監視制御システム。
【請求項7】
複数の被制御所にそれぞれ設置され、無線通信ネットワークを介して広域ネットワークに接続される複数の遠方監視制御装置、および、前記遠方監視制御装置に接続され、互いにメタル伝送路で接続された複数のモデムとともに遠方監視制御システムを構成するサーバ装置であって、
前記メタル伝送路の状態に関する情報を前記モデムから収集してデータベース部に登録するデータ収集部と、
前記データベース部に登録されている前記メタル伝送路の状態に関する情報に基づいて前記遠方監視制御装置間の通信障害を予測するデータ解析部と、
前記データ解析部による通信障害の予測結果を表示装置に出力する通信部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
複数の被制御所にそれぞれ設置され、無線通信ネットワークを介して広域ネットワークに接続される複数の遠方監視制御装置、および、前記遠方監視制御装置に接続され、互いにメタル伝送路で接続された複数のモデムとともに遠方監視制御システムを構成するサーバ装置が実行する通信障害予測方法であって、
前記メタル伝送路の状態に関する情報を前記モデムから収集する収集ステップと、
前記収集ステップで収集した前記メタル伝送路の状態に関する情報に基づいて前記遠方監視制御装置間の通信障害を予測する予測ステップと、
前記予測ステップにおける通信障害の予測結果を表示装置に出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする通信障害予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器の状態の監視および動作の制御を遠方から行う遠方監視制御システム、サーバ装置および通信障害予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠方監視制御システムは、1つ以上の被制御所のそれぞれに設置された機器である現地機器の状態を監視し、監視結果に応じて現地機器の動作を制御する。被制御所は、例えば変電所である。制御所および被制御所には、遠方監視制御装置が設置される。制御所に設置された遠方監視制御装置である親局は、被制御所に設置された遠方監視制御装置である子局のそれぞれと伝送路を介して接続され、各子局との間でデータを送受信する(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、上述の親局に相当する管理局と上述の子局に相当する通常局との間の伝送路を二重化することで信頼性を向上させた分散制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムは、伝送路を二重化することで、親局と子局との通信の信頼性向上を実現しているが、信頼性向上を実現する他の方法として、通信障害の発生を予測し、事前に対策を実施できるようにすることが考えられる。
【0006】
特に、メタル伝送路が適用されたシステムの場合、伝送路の劣化、外的環境の変化に伴うノイズの発生などにより伝送路上で通信障害が発生する可能性がある。そのため、通信障害の発生を高精度に予測することが、より重要となる。通信障害が発生した場合、現地機器の監視および制御が不能となることから、現地に人員を派遣し状況確認を実施する必要があり、運用への影響が大きい。ここで、通信障害の予測は伝送路の状態に基づいて行うことができ、予測精度を高めるためには、伝送路の状態に関して、データを高頻度に収集することが必要となる。
【0007】
しかしながら、多くのデータを高頻度に収集する場合、通信帯域が圧迫され、この結果、現地機器の監視および制御で必要なデータの送受信が影響を受けて、却って信頼性が低下する可能性がある。具体的には、伝送容量が比較的小さいメタル伝送路が適用されたシステムでは、メタル伝送路を使用して多くのデータを高頻度に収集する場合、現地機器の監視および制御で必要なデータの送受信ができなくなる、データの伝送遅延が大きくなる、といった現象の発生が懸念される。このような問題は、メタル伝送路を、伝送容量が大きい光伝送路などに置き換えることで解決することもできるが、メタル伝送路を他の伝送路に置き換えるには大規模な工事が必要となり時間およびコストを要する。また、現地機器の遠方監視制御で使用する伝送路を異なる種類の伝送路に置き換える場合、遠方監視制御に要求される高い信頼性を満足できるかの検証、不具合が発生しないかの検証を十分に行う必要があり、この検証作業に時間を要する。このような事情から、遠方監視制御で使用実績のある伝送路を交換することなく、通信障害を高精度に予測できるシステムの実現が望まれる。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、メタル伝送路を使用して遠方監視制御を行う構成の遠方監視制御システムにおいて、メタル伝送路を使用した通信への影響を抑制しつつ通信障害の発生を予測可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる遠方監視制御システムは、複数の被制御所にそれぞれ設置され、無線通信ネットワークを介して広域ネットワークに接続される複数の遠方監視制御装置と、遠方監視制御装置に接続され、互いにメタル伝送路で接続された複数のモデムと、広域ネットワークに接続され、モデムから取得したメタル伝送路の状態に関する情報に基づいて遠方監視制御装置間の通信障害を予測するサーバ装置と、サーバ装置にて予測した通信障害に関する情報を表示する表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、メタル伝送路を使用して遠方監視制御を行う構成の遠方監視制御システムにおいて、メタル伝送路を使用した通信への影響を抑制しつつ通信障害の発生を予測可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる遠方監視制御システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1にかかる遠方監視制御システムが備えるサーバ装置の構成例を示す図
【
図3】実施の形態1にかかるサーバ装置が通信障害を予測する動作の一例を示すフローチャート
【
図4】実施の形態2にかかる遠方監視制御システムの構成例を示す図
【
図5】実施の形態3にかかる遠方監視制御システムの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施の形態にかかる遠方監視制御システム、サーバ装置および通信障害予測方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す各実施の形態では、遠方監視制御装置を省略して遠制装置と記載する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100の構成例を示す図である。遠方監視制御システム100は、複数の被制御所10のそれぞれに設置されたモデム11および遠方監視制御装置の子局である遠制装置12と、制御所20に設置されたモデム21、遠方監視制御装置の親局である遠制装置22および上位装置23と、サーバ装置3と、監視卓4と、を備える。監視卓4は、表示装置41を含んで構成される。なお、
図1では被制御所10に設置されたモデム11と遠制装置12とを別構成の装置としているが、モデム11が遠制装置12に含まれる構成としてもよい。同様に、制御所20のモデム21が遠制装置22に含まれる構成としてもよい。
【0014】
モデム11およびモデム21は、メタル伝送路51に接続され、メタル伝送路51を介して他のモデム11またはモデム21との間で、遠方監視制御のためのデータの送受信を行う。また、モデム11およびモデム21は、接続されているメタル伝送路51の状態を監視する機能を有する。モデム11およびモデム21は、例えば、メタル伝送路51からの受信信号のS/N比(Signal Noise ratio:信号対雑音比)、受信信号の強度、などを測定し、測定値をメタル伝送路51の監視結果とする。メタル伝送路51の監視結果は、受信信号のS/N比および強度の一方であってもよいし、両方であってもよい。モデム11およびモデム21は、例えば、1秒ごとにメタル伝送路51の監視を行う。モデム11およびモデム21は、メタル伝送路51の監視のために、監視用のデータを周期的に送受信する。モデム11は、メタル伝送路51の監視結果を、自己と接続されている遠制装置12に出力する。モデム11が出力する監視結果は、通信障害が発生中か否かを示す情報を含んでいてもよい。また、モデム11が出力する監視結果は、上述の監視用のデータの時間あたりの受信失敗回数を含んでいてもよい。また、受信失敗時に監視用のデータを再送する機能をモデム11が有する場合、モデム11が出力する監視結果は、データの再送回数を含んでいてもよい。モデム21は、メタル伝送路51の監視結果を、自己と接続されている遠制装置22に出力する。なお、メタル伝送路51の監視結果は、メタル伝送路51の状態に関する情報である。
【0015】
遠制装置12のそれぞれは、5Gまたは4Gの無線通信ネットワークである無線通信ネットワーク52を介して広域ネットワーク53に接続する機能を有する。広域ネットワーク53にはサーバ装置3および監視卓4も接続される。なお、無線通信ネットワーク52は、遠制装置12が広域ネットワーク53との間で行うデータ送受信に要求される伝送容量を満足する方式であればよく、5Gまたは4Gの無線通信ネットワーク以外であってもよい。
【0016】
遠制装置12のそれぞれは、モデム21からメタル伝送路51の監視結果を受け取ると、受け取った監視結果を無線通信ネットワーク52および広域ネットワーク53を介してサーバ装置3へ送信する。
【0017】
また、
図1では記載を省略しているが、遠制装置12のそれぞれには被制御所10に設置された各種機器が接続されている。遠制装置12は、自己と接続されている機器の動作状態を監視し、監視結果をモデム11およびメタル伝送路51を介して制御所20の遠制装置22へ送信する。また、遠制装置12は、制御所20の遠制装置22から機器の制御データを受信すると、受信した制御データに基づいて、制御対象の機器を制御する。
【0018】
サーバ装置3は、遠制装置12から受信したメタル伝送路51の監視結果を保持し、保持している監視結果に基づいて、障害予測対象システム110における通信障害、具体的には、モデム11間の通信障害と、モデム11とモデム21との間の通信障害とを予測する。なお、障害予測対象システム110は、例えば、変電所に設置された機器の監視および制御を中央指令所から行う電力管理システムである。サーバ装置3は、クラウド上に設けられてもよい。
【0019】
監視卓4は、広域ネットワーク53を介してサーバ装置3に接続する機能を有し、サーバ装置3から通信障害の予測結果に関する情報を取得して表示装置41に表示する。監視卓4は、サーバ装置3が保持している各種データの編集機能、例えば、通信障害の予測結果、メタル伝送路51の監視結果などの編集機能をさらに有する構成であってもよい。なお、監視卓4の設置場所については限定が無く、例えば、制御所20の内部に監視卓4が設置されていてもよい。
【0020】
制御所20の上位装置23は、例えば、遠制装置22から、被制御所10に設置された機器の監視結果および制御結果を取得して管理する。
【0021】
なお、本実施の形態にかかる遠方監視制御システム100において、サーバ装置3は、被制御所10のモデム11がメタル伝送路51を監視した結果を取得して保持することとしたが、これは、被制御所10のモデム11と制御所20のモデム21とを接続するメタル伝送路51の状態は、被制御所10のモデム11によるメタル伝送路51の監視結果から通信障害の予測が可能なためである。しかし、この構成は必須ではない。サーバ装置3は、制御所20のモデム21がメタル伝送路51を監視した結果も取得して通信障害の予測に用いるようにしてもよい。
【0022】
図2は、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100が備えるサーバ装置3の構成例を示す図である。
【0023】
サーバ装置3は、モデム11によるメタル伝送路51の監視結果を収集するデータ収集部31と、データ収集部31が収集したメタル伝送路51の監視結果が登録されるデータベース部32と、データベース部32に登録されたメタル伝送路51の監視結果を解析して通信障害の発生を予測するデータ解析部33と、広域ネットワーク53を介して他の装置と通信する通信部34と、を備える。
【0024】
つづいて、サーバ装置3がメタル伝送路51の異常を予測する動作、すなわち、モデム11間の通信障害およびモデム11とモデム21との間の通信障害を予測する動作について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態1にかかるサーバ装置3が通信障害を予測する動作の一例を示すフローチャートである。サーバ装置3は、
図3に示す動作を周期的に繰り返し、メタル伝送路51における通信障害の予兆の監視、すなわち、通信障害の発生確率が高くなったか否かの監視を常時行う。サーバ装置3が
図3に示す動作を繰り返す周期は、例えば1秒とする。
【0025】
メタル伝送路51における通信障害の予兆を監視する動作では、まず、サーバ装置3のデータ収集部31が、各被制御所10のモデム11から、メタル伝送路51の監視結果を収集し、データベース部32に登録する(ステップS11)。
【0026】
次に、サーバ装置3のデータ解析部33が、データベース部32に登録されているメタル伝送路51の監視結果を解析して通信障害の発生を予測する(ステップS12)。例えば、監視結果が受信信号のS/N比である場合、データ解析部33は、S/N比がしきい値以下である場合に通信障害の予兆ありと判断する。データ解析部33は、S/N比が定められた回数連続してしきい値以下である場合に通信障害の予兆ありと判断してもよいし、過去の一定期間のS/N比の平均値がしきい値以下である場合に通信障害の予兆ありと判断してもよい。監視結果が受信信号の強度である場合、データ解析部33は、信号の受信強度がしきい値以下である場合に通信障害の予兆ありと判断する。データ解析部33は、信号の送信強度と受信強度との差、すなわち、送信側のモデム11が送信する信号の強度と、この信号を受信側のモデム11が受信した時の強度との差がしきい値以上である場合に通信障害の予兆ありと判断してもよい。上述のS/N比を用いた予測動作と場合と同様に、データ解析部33は、しきい値判定の結果が定められた回数連続して同じ結果である場合に通信障害の予兆ありと判断してもよいし、平均値がしきい値以下の場合に通信障害の予兆ありと判断してもよい。
【0027】
サーバ装置3のデータ解析部33が、ステップS12を実行した結果、通信障害の予兆が無い場合(ステップS13:No)、サーバ装置3は動作を終了する。一方、通信障害の予兆がある場合(ステップS13:Yes)、データ解析部33は、通信障害の予兆検出を監視卓4に通知する(ステップS14)。このとき、データ解析部33は、障害予測対象システム110内に複数存在するメタル伝送路51のうち、通信障害の予兆を検出したメタル伝送路51の情報も一緒に通知する。データ解析部33は、上記ステップS12における監視結果の解析において通信障害を発生させる原因を推定可能な場合、推定結果をステップS14で通知するようにしてもよい。例えば、受信信号のS/N比の時間あたりの低下量が大きい場合、データ解析部33は、S/N比が低下したメタル伝送路51の近辺にノイズ源が存在すると推定する。
【0028】
監視卓4は、通信障害の予兆検出の通知をサーバ装置3から受けると、通信障害の予兆が検出されたことを表示装置41に表示してユーザに通知する。これにより、実際に通信障害が発生する前に、メタル伝送路51の検査、メタル伝送路51の周囲のノイズ源の調査などを行い、通信障害の発生を防止することができる。
【0029】
以上説明したように、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100は、モデム11によるメタル伝送路51の監視結果をサーバ装置3が無線通信ネットワーク52を介して収集し、サーバ装置3は、収集した監視結果に基づき、メタル伝送路51を介して通信する遠制装置12間の通信障害、および、遠制装置12と遠制装置22との間の通信障害を予測する。また、サーバ装置3が通信障害の発生を予測した場合、監視卓4が、通信障害の発生が予測されることを表示装置41に表示する。実施の形態1によれば、メタル伝送路51を使用して遠方監視制御を行う構成の遠方監視制御システム100において、遠方監視制御の動作に影響を与えることなく通信障害の発生を高精度に予測することができる。また、メタル伝送路51の監視結果をサーバ装置3に伝送する伝送路を無線通信ネットワーク52で構成することとしたので、遠方監視制御に用いるメタル伝送路51およびメタル伝送路51に接続される中継装置等を新たな伝送路および中継装置等に置き換える工事が不要となり、工事に要する時間およびコストを抑制できる。
【0030】
なお、本実施の形態では、監視卓4が備える表示装置41に通信障害の予兆検出を表示させることとしたが、サーバ装置3が表示装置を備える構成の場合は、サーバ装置3が備える表示装置に通信障害の予兆検出を表示させるようにしてもよい。監視卓4が備える表示装置41およびサーバ装置3が備える表示装置の両方に表示させるようにしてもよい。
【0031】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2にかかる遠方監視制御システム100aの構成例を示す図である。遠方監視制御システム100aは、
図1に示す実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100の監視卓4を、タブレット型端末6で実現する構成としたものである。遠方監視制御システム100aは、タブレット型端末6で監視卓4を実現する点以外は遠方監視制御システム100と同一である。また、タブレット型端末6で実現した監視卓4は、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100の監視卓4と同様の機能を有する。
【0032】
実施の形態2にかかる遠方監視制御システム100aは、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100が奏する効果に加えて、被制御所10などにおいてサーバ装置3による予測結果をリアルタイムで確認できるという効果を奏する。
【0033】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3にかかる遠方監視制御システム100bの構成例を示す図である。遠方監視制御システム100bは、実施の形態1で説明した障害予測対象システム110に相当する障害予測対象システム110-1~110-nを含む。すなわち、遠方監視制御システム100bは、サーバ装置3が、複数の障害予測対象システム110-1~110-nのそれぞれを構成するモデム11からメタル伝送路51の監視結果を収集し、遠方監視制御のための通信を行う遠方監視制御装置12間の通信障害、詳細には、メタル伝送路51上で発生する通信障害を予測する。
【0034】
遠方監視制御システム100bのサーバ装置3は、実施の形態1にかかる遠方監視制御システム100のサーバ装置3と比較して、より多くのメタル伝送路51の監視結果を収集する。すなわち、通信障害につながる様々なケースについて、そのときのメタル伝送路51の状態に関する情報を収集することができる。そのため、実施の形態3にかかるサーバ装置3のデータ解析部33は、通信障害の予測精度の向上が期待できる。
【0035】
例えば、メタル伝送路51の監視結果が通信障害の発生中か否かを示す情報である障害発生状況を含む場合、データ解析部33は、障害発生状況と受信信号のS/N比との関係に基づいてS/N比のしきい値判定で用いるしきい値を調整することで、通信障害の予測精度を向上させる。データ解析部33は、例えば、通信障害が発生していないときのS/N比の中の最小値と、通信障害が発生しているときのS/N比の中の最大値との中間値をしきい値に設定する。なお、しきい値の調整は、データベース部32に登録済の通信障害が発生していないときのメタル伝送路51の監視結果の数、および、通信障害が発生しているときのメタル伝送路51の監視結果の数が一定数に達している状態の時に行うのが望ましい。ここでの一定数とは、しきい値を適切な値に調整することが可能な程度の数であり、この数はデータ解析部33に予め設定しておく。しきい値の調整は、本実施の形態に限らず、実施の形態1および2でも実施するようにしてもよい。
【0036】
また、データ解析部33は、機械学習を利用して通信障害を予測してもよい。すなわち、データ解析部33は、メタル伝送路51の状態と障害発生状況との対応関係を学習して学習済モデルを生成しておき、データ収集部31がメタル伝送路51の監視結果を収集するごとに、学習済モデルを用いて通信障害を予測してもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態にかかる遠方監視制御システム100bにおいては、複数の障害予測対象システム110-1~110-nのそれぞれに含まれるメタル伝送路51の状態の監視結果を1台のサーバ装置3が集約し、メタル伝送路51における通信障害を予測する。これにより、実施の形態1および2と比較して、通信障害の予測精度を向上させることが可能となる。
【0038】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
3 サーバ装置、4 監視卓、6 タブレット型端末、10 被制御所、11,21 モデム、12,22 遠方監視制御装置、20 制御所、23 上位装置、31 データ収集部、32 データベース部、33 データ解析部、34 通信部、41 表示装置、51 メタル伝送路、52 無線通信ネットワーク、53 広域ネットワーク、100,100a,100b 遠方監視制御システム、110,110-1,110-n 障害予測対象システム。