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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】溶接部材および緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20241108BHJP
   B23K 33/00 20060101ALI20241108BHJP
   F16B 7/00 20060101ALI20241108BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F16F9/32 N
B23K33/00 Z
F16B7/00 B
F16B11/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021117751
(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公開番号】P2023013515
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 智徳
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163824(JP,A)
【文献】国際公開第2013/094672(WO,A1)
【文献】特開2020-176707(JP,A)
【文献】特開2020-112260(JP,A)
【文献】特開2001-330069(JP,A)
【文献】実開昭62-061385(JP,U)
【文献】特開2002-103044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/32
B23K 33/00
F16B 7/00
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接により接合される溶接部材であり、
先端が細くなるよう傾斜している第1突出部を有する第1部材と、
前記第1部材の前記第1突出部と対向するよう配置され、該第1突出部に向かって先端が細くなるよう傾斜している第2突出部を有する第2部材と、
前記第1部材の前記第1突出部と前記第2部材の前記第2突出部とが溶接されることにより前記第1突出部および前記第2突出部から外周側へ突出する溶接部と、
を有し、
前記第1部材または前記第2部材には、前記溶接部が該第1部材または該第2部材の外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部が設けられていることを特徴とする溶接部材。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接部材であり、
前記カバー部は、前記第1部材に設けられており、
前記カバー部は、内周が前記第2部材の外周以下に形成されている溶接部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶接部材であり、
前記カバー部は、前記第1部材に設けられており、
前記カバー部は、前記第1部材の前記第1突出部よりも前記第2部材側に突出している溶接部材。
【請求項4】
作動流体が封入され、一端が閉塞されるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に設けられるピストンと、
前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、
前記シリンダの他端を閉塞する閉塞部材と、
前記シリンダの外部に延出された前記ピストンロッドに取り付けられる弾性部材と、を有する緩衝器であり、
前記ピストンロッドは、先端が端側ほど細くなるよう傾斜している第1部材と、前記第1部材と対向するよう配置され、該第1部材に向かって先端が細くなるよう傾斜する第2部材と、前記第1部材の先端と前記第2部材の先端とが溶接されることにより前記第1部材および前記第2部材から外周側へ突出する溶接部と、を有し、
前記第1部材または前記第2部材には、前記溶接部が該第1部材または該第2部材の外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部が設けられていることを特徴とする緩衝器。
【請求項5】
請求項4に記載の緩衝器であり、
前記カバー部は、前記第1部材に設けられており、
前記カバー部は、内周が前記第2部材の外周以下に形成されている緩衝器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の緩衝器であり、
前記カバー部は、前記第1部材に設けられており、
前記カバー部は、前記第1部材の前記先端よりも前記第2部材側に突出している緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部材および緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器には、ピストンロッドのシリンダから延出する部分にバンプラバーを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-180561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝器においては、耐久性の低下を抑制することが求められている。
【0005】
したがって、本発明は、周辺部材の耐久性の低下を抑制することが可能となる溶接部材および耐久性の低下を抑制することが可能となる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、溶接により接合される溶接部材であり、先端が細くなるよう傾斜している第1突出部を有する第1部材と、前記第1部材の前記第1突出部と対向するよう配置され、該第1突出部に向かって先端が細くなるよう傾斜している第2突出部を有する第2部材と、前記第1部材の前記第1突出部と前記第2部材の前記第2突出部とが溶接されることにより前記第1突出部および前記第2突出部から外周側へ突出する溶接部と、を有し、前記第1部材または前記第2部材には、前記溶接部が該第1部材または該第2部材の外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部が設けられている、構成とした。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、作動流体が封入され、一端が閉塞されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられるピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記シリンダの他端を閉塞する閉塞部材と、前記シリンダの外部に延出された前記ピストンロッドに取り付けられる弾性部材と、を有する緩衝器であり、前記ピストンロッドは、先端が端側ほど細くなるよう傾斜している第1部材と、前記第1部材と対向するよう配置され、該第1部材に向かって先端が細くなるよう傾斜する第2部材と、前記第1部材の先端と前記第2部材の先端とが溶接されることにより前記第1部材および前記第2部材から外周側へ突出する溶接部と、を有し、前記第1部材または前記第2部材には、前記溶接部が該第1部材または該第2部材の外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部が設けられている、構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周辺部材の耐久性の低下を抑制することが可能となる溶接部材および耐久性の低下を抑制することが可能となる緩衝器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す要部の概略断面図である。
図3】本発明に係る第2実施形態の緩衝器を示す要部の概略断面図である。
図4】本発明に係る第3実施形態の緩衝器を示す要部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図1および図2を参照しつつ以下に説明する。
図1は、第1実施形態の緩衝器11を示すものである。この緩衝器11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。緩衝器11は、具体的には自動車のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。緩衝器11は、内筒15と外筒16とを有するシリンダ17を備えた複筒式の緩衝器である。内筒15は円筒状である。外筒16は内筒15よりも大径の有底筒状である。外筒16は内筒15の径方向外側に、内筒15と同軸状に設けられている。外筒16と内筒15との間はリザーバ室18となっている。
【0011】
外筒16は胴部材20と底部材21とを有している。胴部材20は、その軸方向の中間部分が、その軸方向の両側の部分よりも大径とされた段付き円筒状である。底部材21は、胴部材20の軸方向の一方の端部に嵌合されて固定されている。底部材21の胴部材20との嵌合部分と、胴部材20とが、外筒16の円筒状の胴部22を構成する。胴部22は、段付き円筒状である。底部材21の胴部材20との嵌合部分よりも径方向内側の部分が外筒16の底部23を構成する。底部23は、胴部22の軸方向の一方の端部を閉塞する。胴部22の底部23とは反対側の端部は開口部24となっている。外筒16の開口部24は、シリンダ17においても軸方向の一端に設けられている。外筒16の底部23は、シリンダ17においても軸方向の他端に設けられている。言い換えれば、シリンダ17は、軸方向の一端が開口部24とされ、軸方向の他端が底部23とされている。
【0012】
底部23の開口部24とは反対側には図示略の取付アイが固定される。取付アイは車両の車輪側に連結される。胴部22の外周部には、スプリングシート25が取り付けられている。スプリングシート25は、車体を支持するスプリング(図示せず)の下端を受ける。内筒15は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状である。
【0013】
緩衝器11は、バルブボディ27とロッドガイド28(閉塞部材)とを備えている。バルブボディ27は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の一端部に設けられている。ロッドガイド28は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の他端部に設けられている。バルブボディ27は、ベースバルブ30を構成するものであり、外周部が段差状をなしている。バルブボディ27は底部23に載置されている。その際に、バルブボディ27は、外周部の大径部分において外筒16に対し径方向に位置決めされる。
【0014】
ロッドガイド28は、金属製であって円環状である。ロッドガイド28は、外周部が、大径部分と、これよりも小径の小径部分とを有する段差状である。ロッドガイド28は、外周部の大径部分において、外筒16の胴部22の開口部24側の内周部に嵌合する。
【0015】
内筒15は、軸方向の一端部が、バルブボディ27の外周部の小径部分に嵌合されている。また、内筒15は、軸方向の他端部が、ロッドガイド28の外周部の小径部分に嵌合されている。この状態で、内筒15は、外筒16に対して軸方向および径方向に位置決めされている。ここで、バルブボディ27と底部23との間は、バルブボディ27に形成された通路溝40を介して内筒15と外筒16との間に連通している。バルブボディ27と底部23との間は、内筒15と外筒16との間と同様、リザーバ室18を構成している。
【0016】
緩衝器11は、円環状のロッドシール41(閉塞部材)を備えている。ロッドシール41は、ロッドガイド28の底部23とは反対側に設けられている。このロッドシール41も、ロッドガイド28と同様に胴部22の内周部に嵌合されている。胴部22の底部23とは反対の端部には係止部43が形成されている。係止部43は、胴部材20をカール加工等の加締め加工によって径方向内方に塑性変形させて形成されている。ロッドシール41は、この係止部43とロッドガイド28とに挟持されている。ロッドシール41は、その際に、ロッドガイド28によって胴部22の内周面に押し付けられる。これにより、ロッドシール41は、外筒16の開口部24を閉塞する。言い換えれば、ロッドガイド28とロッドシール41とが、シリンダ17の端部の開口部24を閉塞する。ロッドシール41は、具体的にはオイルシールである。
【0017】
緩衝器11はピストン45を備えている。ピストン45は、シリンダ17内に摺動可能に設けられている。ピストン45は、シリンダ17の内筒15内に摺動可能に設けられている。ピストン45は、内筒15内を第1室48と第2室49との2室に区画している。第1室48は、内筒15内のピストン45とロッドガイド28との間に設けられている。第2室49は、内筒15内のピストン45とバルブボディ27との間に設けられている。第2室49は、バルブボディ27によって、リザーバ室18と区画されている。シリンダ17内には、第1室48および第2室49に作動流体としての油液Lが封入されている。シリンダ17内には、リザーバ室18に作動流体としてのガスGと油液Lとが封入されている。
【0018】
緩衝器11はピストンロッド51(溶接部材)を備えている。ピストンロッド51は、軸方向の一端側の部分がシリンダ17の内部に挿入されている。ピストンロッド51は、この一端側の部分がピストン45に連結されている。ピストンロッド51は、軸方向の他端側の部分が外筒16の開口部24を介してシリンダ17の外部に延出されている。ピストンロッド51は、金属製であって、第1室48内を貫通している。ピストンロッド51は第2室49を貫通していない。よって、第1室48はピストンロッド51が貫通するロッド側室である。第2室49はシリンダ17の底部23側のボトム側室である。ピストンロッド51は、シリンダ17から外部に延出する部分が車両の車体側に連結される。
【0019】
ピストンロッド51は、ロッド本体101(第2部材)と取付部材102(第1部材)とを有している。ピストンロッド51は、ロッド本体101と取付部材102とが溶接により接合されることによって形成されている。
ロッド本体101は、主軸部111と取付軸部112とを有している。取付軸部112は、その外径が主軸部111の外径よりも小径である。主軸部111は円筒面状の外周面111aを有している。ピストンロッド51は、取付軸部112側がシリンダ17内に挿入されている。ピストンロッド51には、取付軸部112に、ピストン45がナット54によって固定されている。ピストンロッド51は、主軸部111においてロッドガイド28およびロッドシール41を通ってシリンダ17から外部へと延出している。ロッドガイド28およびロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド51が延出する側の部分に設けられている。ロッドガイド28は、ピストンロッド51を摺動可能に支持する。ピストンロッド51は、主軸部111の外周面111aにおいてロッドガイド28に案内される。ピストンロッド51は、シリンダ17に対して、ピストン45と一体に軸方向に移動する。ピストンロッド51がシリンダ17からの突出量を増やす緩衝器11の伸び行程において、ピストン45は第1室48側へ移動する。ピストンロッド51がシリンダ17からの突出量を減らす緩衝器11の縮み行程において、ピストン45は第2室49側へ移動する。
【0020】
ロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド51が延出する側、すなわち外筒16の開口部24側に設けられている。ロッドシール41は、ロッドガイド28によって外筒16の胴部22に押し付けられて密着する。ロッドシール41とロッドガイド28とが、外筒16の胴部22とピストンロッド51の主軸部111との間をシールして、内筒15内の油液Lと、リザーバ室18内のガスGおよび油液Lとが外部に漏出するのを規制する。ロッドシール41とロッドガイド28とは、一端が底部23で閉塞されたシリンダ17の他端側を閉塞する。
【0021】
ピストン45には通路55および通路56が形成されている。通路55および通路56は、いずれもピストン45を軸方向に貫通している。通路55,56は、第1室48と第2室49とを連通可能である。緩衝器11は、ディスクバルブ57とディスクバルブ58とを備えている。ディスクバルブ57は、ピストン45の軸方向における底部23とは反対側に設けられている。ディスクバルブ57は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路55を閉塞する。ディスクバルブ58は、ピストン45の軸方向における底部23側に設けられている。ディスクバルブ58は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路56を閉塞する。ディスクバルブ57,58は、ピストン45とともにピストンロッド51にナット54で取り付けられている。
【0022】
ピストンロッド51が内筒15および外筒16内への進入量を増やす縮み側に移動しピストン45が第2室49を狭める方向に移動する。これにより、第2室49の圧力が第1室48の圧力よりも所定値以上高くなると、ディスクバルブ57が通路55を開いて第2室49の油液Lを第1室48に流すことになる。その際にディスクバルブ57は減衰力を発生させる。ピストンロッド51が内筒15および外筒16からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン45が第1室48を狭める方向に移動する。これにより、第1室48の圧力が第2室49の圧力よりも所定値以上高くなると、ディスクバルブ58が通路56を開いて第1室48の油液Lを第2室49に流すことになる。その際にディスクバルブ58は減衰力を発生させる。
【0023】
ピストン45およびディスクバルブ57のうちの少なくとも一方には図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ57が通路55を最も閉塞した状態でも通路55を介して第1室48と第2室49とを連通させる。また、ピストン45およびディスクバルブ58のうちの少なくとも一方にも図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ58が通路56を最も閉塞した状態でも通路56を介して第1室48と第2室49とを連通させる。
【0024】
バルブボディ27には液通路61および液通路62が形成されている。液通路61および液通路62は、いずれもバルブボディ27を軸方向に貫通している。液通路61,62は、いずれも第2室49とリザーバ室18とを連通可能である。ベースバルブ30は、ディスクバルブ65およびディスクバルブ66を備えている。ディスクバルブ65は、バルブボディ27の軸方向における底部23側に設けられている。ディスクバルブ65は、バルブボディ27に当接することで液通路61を閉塞する。ディスクバルブ66は、バルブボディ27の軸方向における底部23とは反対側に設けられている。ディスクバルブ66は、バルブボディ27に当接することで液通路62を閉塞する。ベースバルブ30は、ピン68を有している。このピン68がディスクバルブ65,66をバルブボディ27に取り付ける。バルブボディ27、ディスクバルブ65,66およびピン68等がベースバルブ30を構成している。
【0025】
ピストンロッド51が縮み側に移動しピストン45が第2室49を狭める方向に移動する。これにより、第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも所定値以上高くなると、ベースバルブ30は、ディスクバルブ65が液通路61を開いて、第2室49の油液Lをリザーバ室18に流すことになる。その際にディスクバルブ65が減衰力を発生させる。ピストンロッド51が伸び側に移動しピストン45が第1室48側に移動すると第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力より低下する。すると、ベースバルブ30は、ディスクバルブ66が液通路62を開いて、リザーバ室18の油液Lを第2室49に流すことになる。ディスクバルブ66は、その際にリザーバ室18から第2室49内に実質的に減衰力を発生させずに油液Lを流すサクションバルブである。
【0026】
緩衝器11は、係止リング77とストッパ部材78と第1弾性部材81と第2弾性部材82とを備えている。
ピストンロッド51の主軸部111には円環状の係合溝85が形成されている。係合溝85は主軸部111の外周面111aから径方向内方に凹んでいる。係合溝85は、主軸部111の内筒15内に配置される部位であってピストン45とロッドガイド28との間に配置される部位に形成されている。
係止リング77は、金属製であり、円環の一部を切り欠いたC字状である。係止リング77は係合溝85に嵌合されている。これにより、係止リング77はピストンロッド51に対して軸方向の移動が規制される。
ストッパ部材78は、金属製であり、円環状である。ストッパ部材78には、その径方向内側にピストンロッド51の主軸部111および係止リング77が配置される。ストッパ部材78は、この状態で、ピストンロッド51の軸方向におけるピストン45側の部分が径方向内側に加締められて塑性変形させられる。すると、ストッパ部材78は、係止リング77の拡径を規制しつつ係止リング77によってピストンロッド51に固定された状態になる。
第1弾性部材81および第2弾性部材82は、いずれも円環状である。第1弾性部材81は、内側にピストンロッド51を嵌合させた状態でストッパ部材78のピストン45とは反対側に当接する。第2弾性部材82は、内側にピストンロッド51を嵌合させた状態で第1弾性部材81のピストン45とは反対側に当接する。
ストッパ部材78、第1弾性部材81および第2弾性部材82はピストンロッド51と一体に移動することになり、ピストンロッド51が伸び切り側の所定位置に位置すると、第2弾性部材82がロッドガイド28に当接する。これにより、第1弾性部材81および第2弾性部材82が弾性変形して衝撃を吸収する。
【0027】
緩衝器11は、ピストンロッド51に支持されるバンプラバー71(弾性部材)を有している。バンプラバー71は、ピストンロッド51の周辺に設けられる周辺部材である。バンプラバー71は、ゴム製であり、筒状である。バンプラバー71は、ピストンロッド51のシリンダ17から外部に延出された部分に取り付けられている。バンプラバー71は、その径方向内側にピストンロッド51が挿入される。これにより、バンプラバー71は、ピストンロッド51に支持される。バンプラバー71は、ピストンロッド51の軸方向におけるロッドシール41側の端部72がロッドシール41に当接する。バンプラバー71は、ピストンロッド51の軸方向におけるロッドシール41とは反対側の端部73がピストンロッド51の縮み側への移動時に車体側に当接する。
【0028】
ピストンロッド51は、上記したように、ロッド本体101と取付部材102とが溶接により接合されることによって形成されている。ロッド本体101は、主軸部111と取付軸部112とに加えて本体側突出部121(第2突出部)を有している。ロッド本体101は、鉄鋼製である。本体側突出部121は、ロッド本体101の軸方向において、主軸部111の取付軸部112とは反対側の端縁部から、取付軸部112とは反対の方向に突出している。
【0029】
図2に示すように、本体側突出部121は、ロッド本体101の軸方向において主軸部111から離れるほど外径が小さくなるように傾斜している。本体側突出部121は、その外周面121aが、ロッド本体101の軸方向において主軸部111から離れるほど小径となるテーパ面状となっている。言い換えれば、本体側突出部121は、ロッド本体101の軸方向において主軸部111とは反対側の端部にある先端面121b側が細くなるよう傾斜している。さらに言い換えれば、本体側突出部121は、主軸部111から先端が細くなるよう傾斜する先細の形状で突出している。本体側突出部121が、ロッド本体101の取付部材102側の先端部である。
【0030】
図1に示すように、取付部材102は、円板状部131とネジ軸部132と係合部133とを有している。取付部材102は、図2に示すように、カバー部134と部材側突出部135(第1突出部)とを有している。取付部材102は、鉄鋼製である。図1に示すように、円板状部131は外周面131aが円筒面状である。ネジ軸部132は外周部にオネジ138が形成されている。係合部133は六角柱状に形成されている。係合部133は工具が係合する部分である。円板状部131は、その外径が、ネジ軸部132の最大外径よりも大径である。ネジ軸部132の最大外径は、係合部133の最大外径よりも大径である。取付部材102は、オネジ138を有するボルト部材である。
【0031】
図2に示すように、カバー部134は、円板状部131と同軸の円環状である。言い換えれば、カバー部134は中空状である。カバー部134は、取付部材102の軸方向において、円板状部131のネジ軸部132とは反対側の端部の外周縁部からネジ軸部132とは反対側に突出している。カバー部134は、外周面134aが円筒面状である。カバー部134の外周面134aは、円板状部131の外周面131aと中心軸線を一致させており、同径である。よって、外周面131a,134aは連続している。取付部材102の外周面131a,134aの径は、主軸部111の外周面111aの径よりも大径である。取付部材102の外周面131a,134aの径が、取付部材102において最も大径であり、ピストンロッド51においても最も大径である。カバー部134の内周面134bは、取付部材102の軸方向において、円板状部131から離れるほど大径となるテーパ面状である。カバー部134は、取付部材102の軸方向において、円板状部131とは反対側の先端面134cが取付部材102の中心軸線に対して直交して広がる平面状である。
【0032】
部材側突出部135は、カバー部134の径方向の内側にあって、円板状部131からカバー部134と同側に突出している。部材側突出部135は、その外径が、カバー部134の内径よりも小径である。部材側突出部135は、取付部材102の軸方向において、円板状部131から離れるほど外径が小さくなるように傾斜している。部材側突出部135は、その外周面135aが、取付部材102の軸方向において円板状部131から離れるほど小径となるテーパ面状となっている。言い換えれば、部材側突出部135は、取付部材102の軸方向において円板状部131とは反対側の端部にある先端面135b側が細くなるよう傾斜している。さらに言い換えれば、部材側突出部135は、円板状部131から先端が細くなるよう傾斜する先細の形状で突出している。カバー部134および部材側突出部135が、取付部材102のロッド本体101側の先端部である。
【0033】
取付部材102は、ロッド本体101と中心軸線を一致させた状態で、部材側突出部135の先端面135bが、ロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bに突き当てられる。そして、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bとロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bとが溶接されて接合される。これにより、ピストンロッド51が形成される。
【0034】
この接合状態で、ピストンロッド51は、ロッド本体101と、取付部材102と、いわゆる溶接バリである溶接部141とを有している。また、この接合状態で、取付部材102の部材側突出部135は、取付部材102の一端面である先端面135b側、すなわち先端が細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、ロッド本体101の本体側突出部121は、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bと対向するよう配置されている。また、この接合状態で、ロッド本体101は、先端面121b側の先端である本体側突出部121が取付部材102の先端である部材側突出部135の先端面135bに向かって、細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、溶接部141は、取付部材102の先端部である部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101の先端部である本体側突出部121の先端面121bよりも外周側へ広がっている。言い換えれば、溶接部141は、部材側突出部135および本体側突出部121から外周側へ突出している。また、この接合状態で、取付部材102は、部材側突出部135を外周側で覆うように中空状のカバー部134を有している。また、この接合状態で、カバー部134は、内周がロッド本体101の外周以下に形成されている。すなわち、カバー部134は、内周面134bの最大径φ1が、ロッド本体101の主軸部111の外周面111aの径φ2以下となっている。カバー部134は、内周面134bの最大径φ1が、ロッド本体101の主軸部111の外周面111aの径φ2より小さい方が、より好ましい。
【0035】
上記したように、取付部材102には、部材側突出部135を外周側で覆うように中空状のカバー部134が設けられている。このため、このカバー部134が、ロッド本体101と取付部材102とを溶接する際に生じる溶接部141が取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制する。すなわち、カバー部134は、溶接部141が取付部材102の外周面131a,134aよりも径方向外側に突出することを抑制する。しかも、カバー部134は、溶接部141がロッド本体101の主軸部111の外周面111aよりも径方向外側に突出することをも抑制する。
【0036】
ピストンロッド51は、取付部材102の円板状部131と、オネジ138に螺合される図示略のナットとによって、弾性体である図示略のマウント部材を介して車体の図示略の取付部を挟持する。これにより、ピストンロッド51がマウント部材を介して車体に取り付けられる。これにより、ピストンロッド51には、図示略のマウント部材を介して車体から主に軸方向の荷重が入力される。
【0037】
図1に示すように、ピストンロッド51には、ロッドシール41より外側部分にバンプラバー71が配置される。バンプラバー71は、ロッドシール41側の端部72がロッドシール41に当接している。バンプラバー71は、ピストンロッド51が縮み切り側の所定位置に位置するとロッドシール41とは反対側の端部73が車体側に当接する。ここで、ピストンロッド51は、その最大外径である取付部材102の外周面131a,134aの径が、バンプラバー71の最小内径よりも若干大径となっている。
【0038】
上記した特許文献1には、ピストンロッドのシリンダから延出する部分にバンプラバーを設けた緩衝器が記載されている。このような緩衝器において、ピストンロッドを複数の部材を溶接して形成する場合がある。この場合、溶接時に部材が溶融して形成される溶接部がバリとしてピストンロッドの外周側に突出することがある。すると、例えばバンプラバーの組み付け時に、溶接部がバンプラバーに接触してバンプラバーに傷を付けてしまう可能性がある。すると、バンプラバーの耐久性を低下させてしまう可能性がある。
【0039】
第1実施形態の緩衝器11の溶接部材であるピストンロッド51は、取付部材102とロッド本体101と溶接部141とを有する。取付部材102は、その先端である部材側突出部135が、端側すなわちロッド本体101に近づくほど細くなるよう傾斜している。言い換えれば、取付部材102は、先端が端側ほど細くなるよう傾斜している。ロッド本体101は、その先端である本体側突出部121が、取付部材102の部材側突出部135と対向するよう配置され、先端側すなわち部材側突出部135に向かって細くなるよう傾斜している。溶接部141は、取付部材102の部材側突出部135とロッド本体101の本体側突出部121とが溶接されることにより、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bよりも外周側へ広がっている。言い換えれば、溶接部141は、部材側突出部135および本体側突出部121の両方から径方向外方に広がっている。そして、取付部材102には、溶接部141が取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制する中空状のカバー部134が設けられている。よって、溶接部141が取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制することができる。このため、緩衝器11は、ピストンロッド51の周辺部材である例えばバンプラバー71の組み付け時に、溶接部141がバンプラバー71に接触して傷を付けてしまう可能性を低減することができる。したがって、緩衝器11は、バンプラバー71の耐久性の低下を抑制することができ、ひいては緩衝器11の耐久性の低下を抑制することができる。勿論、バンプラバー71の組み付け時に、溶接部141がバンプラバー71に当たって組み付けを阻害することも抑制できる。
【0040】
また、カバー部134は、取付部材102に設けられており、その内周が、ロッド本体101の外周以下に形成されている。このため、カバー部134は、溶接部141がロッド本体101の外周よりも径方向外側に突出することを抑制することができる。よって、緩衝器11は、ピストンロッド51の周辺部材である例えばバンプラバー71の組み付け時に、溶接部141がバンプラバー71に接触して傷を付けてしまう可能性を一層低減することができる。したがって、緩衝器11は、バンプラバー71の耐久性の低下を一層抑制することができ、ひいては緩衝器11の耐久性の低下を一層抑制することができる。また、バンプラバー71の組み付け時に、溶接部141がバンプラバー71に当たって組み付けを阻害することも一層抑制できる。
【0041】
ここで、ロッド本体と取付部材との溶接合わせ面の近くの部分の径に十分な差を設けることで、発生する溶接部が径方向に広がっても他への影響を抑制することが可能である。しかし、この両者の径の差を十分に設けられない設定とした場合には、ピストンロッドの外径より大きく溶接部が外側へ広がることがあり、バンプラバーを傷つけてしまう可能性がある。特に、このような場合に、第1実施形態の緩衝器11の構造を適用することが有効となる。
【0042】
また、外側へ大きく広がった溶接部を後工程で除去することは、加工工数増および設備投資増等のコストアップの原因となってしまう。第1実施形態の緩衝器11は、溶接部141を後工程で除去する必要をなくしてコストアップを防ぎつつ、径方向へ溶接部141が大きく広がることを抑制することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図3に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態の緩衝器11Aにおいては、第1実施形態のピストンロッド51とは一部異なるピストンロッド51A(溶接部材)がピストンロッド51にかえて設けられる。
【0044】
図3に示すように、ピストンロッド51Aは、第1実施形態と同様の取付部材102と、ロッド本体101とは一部異なるロッド本体101A(第2部材)とを有している。
ロッド本体101Aは、いずれも第1実施形態と同様の主軸部111と取付軸部112(図1参照)とを有している。ロッド本体101Aは、本体側突出部121とは一部異なる本体側突出部121A(第2突出部)と、第1実施形態にはないカバー部151Aとを有している。
【0045】
カバー部151Aは、主軸部111と同軸の円環状である。言い換えれば、カバー部151Aは中空状である。カバー部151Aは、ロッド本体101Aの軸方向において、主軸部111の取付軸部112(図1参照)とは反対側の端部の外周縁部から取付軸部112とは反対側に突出している。カバー部151Aは、外周面151Aaが円筒面状である。カバー部151Aの外周面151Aaは、主軸部111の外周面111aと中心軸線を一致させており、同径である。よって、外周面151Aa,111aは連続している。カバー部151Aの内周面151Abは、ロッド本体101Aの軸方向において、主軸部111から離れるほど大径となるテーパ面状である。カバー部151Aは、ロッド本体101Aの軸方向において、主軸部111とは反対側の先端面151Acがロッド本体101Aの中心軸線に対して直交して広がる平面状である。
【0046】
本体側突出部121Aは、カバー部151Aの径方向の内側にあって、主軸部111からカバー部151Aと同側に突出している。本体側突出部121Aは、その外径が、カバー部151Aの内径以下である。本体側突出部121Aは、ロッド本体101Aの軸方向において、主軸部111から離れるほど外径が小さくなるように傾斜している。本体側突出部121Aは、その外周面121Aaが、ロッド本体101Aの軸方向において主軸部111から離れるほど小径となるテーパ面状となっている。言い換えれば、本体側突出部121Aは、ロッド本体101Aの軸方向において主軸部111とは反対側の端部にある先端面121Ab側が細くなるよう傾斜している。さらに言い換えれば、本体側突出部121Aは、主軸部111から先端が細くなるよう傾斜する先細の形状で突出している。カバー部151Aおよび本体側突出部121Aが、ロッド本体101Aの取付部材102側の先端部である。本体側突出部121Aの先端面121Abは、ロッド本体101Aの軸方向において、カバー部151Aの先端面151Acよりも主軸部111とは反対側に位置している。よって、ロッド本体101Aの軸方向において、本体側突出部121Aの主軸部111から突出量は、カバー部151Aの主軸部111から突出量よりも大きい。
【0047】
取付部材102は、ロッド本体101Aと中心軸線を一致させた状態で、部材側突出部135の先端面135bが、ロッド本体101Aの本体側突出部121Aの先端面121Abに突き当てられる。そして、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bとロッド本体101Aの本体側突出部121Aの先端面121Abとが溶接されて接合される。これにより、ピストンロッド51Aが形成される。
【0048】
この接合状態で、ピストンロッド51Aは、ロッド本体101Aと取付部材102と溶接部141Aとを有している。また、この接合状態で、取付部材102の部材側突出部135は、取付部材102の一端面である先端面135b側、すなわち先端側が細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、ロッド本体101Aの本体側突出部121Aは、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bと対向するよう配置されている。また、この接合状態で、ロッド本体101Aは、先端面121Ab側の先端である本体側突出部121Aが、取付部材102の先端である部材側突出部135の先端面135bに向かって、細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、溶接部141Aは、取付部材102の先端部である部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101Aの先端部である本体側突出部121Aの先端面121Abよりも外周側へ広がっている。また、この接合状態で、ロッド本体101Aは、本体側突出部121Aを外周側で覆うように中空状のカバー部151Aを有している。また、この接合状態で、取付部材102のカバー部134の先端面134cと、ロッド本体101Aのカバー部151Aの先端面151Acとが、ピストンロッド51Aの軸方向において離間して対向している。
【0049】
ここで、第1実施形態と同様の取付部材102には、部材側突出部135を外周側で覆うように中空状のカバー部134が設けられている。このため、このカバー部134が、ロッド本体101Aと取付部材102とを溶接する際に生じる溶接部141Aが取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制する。すなわち、カバー部134は、溶接部141Aが取付部材102の外周面131a,134aよりも径方向外側に突出することを抑制する。
【0050】
また、ロッド本体101Aには、本体側突出部121Aを外周側で覆うように中空状のカバー部151Aが設けられている。このため、このカバー部151Aが、ロッド本体101Aと取付部材102とを溶接する際に生じる溶接部141Aがロッド本体101Aの外周よりも径方向外側に突出することを抑制する。すなわち、カバー部151Aは、溶接部141Aがロッド本体101Aの外周面111a,151Aaよりも径方向外側に突出することを抑制する。
【0051】
第2実施形態の緩衝器11Aの溶接部材であるピストンロッド51Aは、取付部材102とロッド本体101Aと溶接部141Aとを有する。取付部材102は、その先端である部材側突出部135が、端側すなわちロッド本体101Aに近づくほど細くなるよう傾斜している。言い換えれば、取付部材102は、先端が端側ほど細くなるよう傾斜している。ロッド本体101Aは、その先端である本体側突出部121Aが、取付部材102の部材側突出部135と対向するよう配置され、先端側すなわち部材側突出部135に向かって細くなるよう傾斜している。溶接部141Aは、取付部材102の部材側突出部135とロッド本体101Aの本体側突出部121Aとが溶接されることにより、取付部材102の部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101Aの本体側突出部121Aの先端面121Abよりも外周側へ突出している。言い換えれば、溶接部141Aは、部材側突出部135および本体側突出部121Aの両方から径方向外方に突出している。そして、取付部材102には、溶接部141Aが取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制する中空状のカバー部134が設けられている。よって、溶接部141Aが取付部材102の外周よりも径方向外側に突出することを抑制することができる。また、ロッド本体101Aには、溶接部141Aがロッド本体101Aの外周よりも径方向外側に突出することを抑制する中空状のカバー部151Aが設けられている。よって、溶接部141Aがロッド本体101Aの外周よりも径方向外側に突出することを抑制することができる。このため、ピストンロッド51Aの周辺部材である例えばバンプラバー71(図1参照)の組み付け時に、溶接部141Aがバンプラバー71に接触して傷を付けてしまう可能性を一層低減することができる。したがって、緩衝器11Aは、バンプラバー71の耐久性の低下を抑制することができ、ひいては緩衝器11Aの耐久性の低下を抑制することができる。勿論、バンプラバー71の組み付け時に、溶接部141Aがバンプラバー71に当たって組み付けを阻害することも一層抑制できる。
【0052】
なお、第2実施形態において、取付部材102のカバー部134をなくすことも可能である。この場合、カバー部151Aが、ロッド本体101A(第1部材)に設けられて、取付部材102(第2部材)との溶接により形成される溶接部141Aがロッド本体101Aの外周よりも径方向外側に突出することを抑制する。この場合も、溶接部141Aがバンプラバー71に傷を付けてしまう可能性を低減することができる。すなわち、緩衝器は、取付部材102またはロッド本体101Aに、溶接部141Aが取付部材102またはロッド本体101Aの外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部134またはカバー部151Aが設けられていれば良い。また、緩衝器は、取付部材102およびロッド本体101Aの少なくともいずれか一方に、溶接部141Aが取付部材102およびロッド本体101Aの少なくとも一方の外周よりも突出することを抑制する中空状のカバー部が設けられていれば良い。
【0053】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態の緩衝器11Bにおいては、第1実施形態のピストンロッド51とは一部異なるピストンロッド51B(溶接部材)がピストンロッド51にかえて設けられている。
【0054】
図4に示すように、ピストンロッド51Bは、第1実施形態と同様のロッド本体101と、取付部材102とは一部異なる取付部材102B(第1部材)とを有している。
取付部材102Bは、いずれも第1実施形態と同様の円板状部131とネジ軸部132と係合部133(図1参照)とを有している。取付部材102Bは、第1実施形態とは異なるカバー部134Bと、第1実施形態と同様の部材側突出部135とを有している。
【0055】
カバー部134Bは、円板状部131と同軸の円環状である。言い換えれば、カバー部134Bは中空状である。カバー部134Bは、取付部材102Bの軸方向において、円板状部131のネジ軸部132とは反対側の端部の外周縁部からネジ軸部132とは反対側に突出している。カバー部134Bは、外周面134Baが円筒面状である。カバー部134Bの外周面134Baは、円板状部131の外周面131aと中心軸線を一致させており、同径である。よって、外周面131a,134Baは連続している。外周面131a,134Baの径が、取付部材102Bにおいて最も大径であり、ピストンロッド51Bにおいても最も大径である。カバー部134Bの内周面134Bbは、取付部材102Bの軸方向において、円板状部131から離れるほど大径となるテーパ面状である。カバー部134Bは、内周面134Bbの最小径が、ロッド本体101の主軸部111の外周面111aの径よりも小径となっている。カバー部134Bは、取付部材102Bの軸方向において、円板状部131とは反対側の先端面134Bcが取付部材102Bの中心軸線に対して直交して広がる平面状である。
【0056】
部材側突出部135は、カバー部134Bの径方向の内側にあって、円板状部131からカバー部134Bと同側に突出している。部材側突出部135は、その外径が、カバー部134Bの内径よりも小径である。
【0057】
取付部材102Bは、ロッド本体101と中心軸線を一致させた状態で、部材側突出部135の先端面135bが、ロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bに突き当てられる。そして、取付部材102Bの部材側突出部135の先端面135bとロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bとが溶接されて接合される。これにより、ピストンロッド51Bが形成される。
【0058】
この接合状態で、ピストンロッド51Bは、ロッド本体101と取付部材102Bと溶接部141Bとを有している。また、この接合状態で、取付部材102Bの部材側突出部135は、取付部材102Bの一端面である先端面135b側、すなわち先端側が細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、ロッド本体101の本体側突出部121は、取付部材102Bの部材側突出部135の先端面135bと対向するよう配置されている。また、この接合状態で、ロッド本体101は、先端面121b側の先端である本体側突出部121が、取付部材102Bの先端である部材側突出部135の先端面135bに向かって細くなるよう傾斜している。また、この接合状態で、溶接部141Bは、取付部材102Bの先端部である部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101の先端部である本体側突出部121の先端面121bよりも外周側へ広がっている。また、この接合状態で、取付部材102Bは、部材側突出部135を外周側で覆うように中空状のカバー部134Bを有している。また、この接合状態で、取付部材102Bのカバー部134Bは、その先端面134Bcが、ピストンロッド51Bの軸方向において、部材側突出部135の先端面135bよりもロッド本体101側に突出している。言い換えれば、取付部材102Bのカバー部134Bは、ピストンロッド51Bの軸方向において、ロッド本体101と位置を重ね合わせている。
【0059】
取付部材102Bには、部材側突出部135を外周側で覆うように中空状のカバー部134Bが設けられている。しかも、このカバー部134Bは、ピストンロッド51Bの軸方向において、部材側突出部135よりもロッド本体101側に突出している。このため、このカバー部134Bが、ロッド本体101と取付部材102Bとを溶接する際に生じる溶接部141Bが取付部材102Bの外周よりも径方向外側に突出することを一層抑制する。すなわち、カバー部134Bは、溶接部141Bが取付部材102Bの外周面131a,134Baよりも径方向外側に突出することを抑制する。
【0060】
第3実施形態の緩衝器11Bの溶接部材であるピストンロッド51Bは、取付部材102Bとロッド本体101と溶接部141Bとを有する。取付部材102Bは、その先端である部材側突出部135が、端側すなわちロッド本体101に近づくほど細くなるよう傾斜している。言い換えれば、取付部材102Bは、先端が端側ほど細くなるよう傾斜している。ロッド本体101は、その先端である本体側突出部121が、取付部材102Bの部材側突出部135と対向するよう配置され、先端側すなわち部材側突出部135に向かって細くなるよう傾斜している。溶接部141Bは、取付部材102Bの部材側突出部135とロッド本体101の本体側突出部121とが溶接されることにより、取付部材102Bの部材側突出部135の先端面135bおよびロッド本体101の本体側突出部121の先端面121bよりも外周側へ突出している。言い換えれば、溶接部141Bは、部材側突出部135および本体側突出部121の両方から径方向外方に突出している。そして、取付部材102Bには、溶接部141Bが取付部材102Bの外周よりも径方向外側に突出することを抑制する中空状のカバー部134Bが設けられている。しかも、このカバー部134Bは、ピストンロッド51Bの軸方向において、部材側突出部135よりもロッド本体101側に突出している。よって、溶接部141Bが取付部材102Bの外周よりも径方向外側に突出することを一層抑制することができる。このため、緩衝器11Bは、ピストンロッド51Bの周辺部材である例えばバンプラバー71(図1参照)の組み付け時に、溶接部141Bがバンプラバー71に接触して傷を付けてしまう可能性を一層低減することができる。したがって、緩衝器11Bは、バンプラバー71の耐久性の低下を一層抑制することができ、ひいては緩衝器11の耐久性の低下を一層抑制することができる。勿論、バンプラバー71の組み付け時に、溶接部141Bがバンプラバー71に当たって組み付けを阻害することも一層抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
11,11A,11B…緩衝器、17…シリンダ、28…ロッドガイド(閉塞部材)、41…ロッドシール(閉塞部材)、45…ピストン、48…第1室、49…第2室、51,51A,51B…ピストンロッド(溶接部材)、71…バンプラバー(弾性部材)、101,101A…ロッド本体(第2部材)、102,102B…取付部材(第1部材)、121,121A…本体側突出部(第2突出部)、135…部材側突出部(第1突出部)、134,134B,151A…カバー部。
図1
図2
図3
図4