(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】搬送装置および搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20241108BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B65G47/30 D
B65G43/08 D
(21)【出願番号】P 2021123938
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】平野 安行
(72)【発明者】
【氏名】長山 弘之
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240842(JP,A)
【文献】特開2012-218883(JP,A)
【文献】特開平02-182617(JP,A)
【文献】実開昭56-058717(JP,U)
【文献】登録実用新案第3017714(JP,U)
【文献】特開平10-316236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B65G 43/00 - 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に処理を行う容器処理装置へ向けて前記容器を搬送するコンベヤと、
前記容器に搬送方向に作用するプレッシャの検知に供される1つ以上のプレッシャ検知部と、
前記プレッシャによる前記容器の千鳥配列を許容して前記容器を両側から支持可能に構成されているガイドと、
前記ガイドの歪みまたは変位量を計測可能に構成されているガイド物理量計測部と、
前記プレッシャ検知部による検知結果を制御に用いる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記プレッシャ検知部の位置または当該位置よりも上流で行われるプレッシャ調整処理により前記プレッシャを軽減させる制御が可能に構成されて
おり、かつ、
一の前記プレッシャ検知部としての前記ガイド物理量計測部により得られる前記歪みまたは前記変位量を前記プレッシャの計測値として用いる、搬送装置。
【請求項2】
前記プレッシャ検知部は、
第1ガイド物理量計測部と、前記第1ガイド物理量計測部よりも下流に設けられる第2ガイド物理量計測部と、を備え、
前記プレッシャ調整処理は、
前記第1ガイド物理量計測部による第1の前記計測値に基づいて実行する第1調整処理部と、前記第2ガイド物理量計測部による第2の前記計測値に基づいて実行する第2調整処理部と、を備え、
前記第1調整処理部は、前記第1ガイド物理量計測部よりも上流に設けられ、
前記第2調整処理部は、前記第2ガイド物理量計測部よりも上流であって、前記第1ガイド物理量計測部よりも下流に設けられる、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1調整処理部と前記第1ガイド物理量計測部の間における前記容器の粗密の状態を検知する第1光電センサと、
前記第2調整処理部と前記第2ガイド物理量計測部の間における前記容器の粗密の状態を検知する第2光電センサと、を備える、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記容器に規定のピッチを割り付けて前記容器処理装置に供給するスクリュー装置を備え、
前記スクリュー装置は、
前記搬送方向に対して並行に配置され、前記容器を受け入れる溝が形成されているスクリューと、
前記スクリューを軸回り方向に回転駆動するモータと、
前記プレッシャにより前記搬送方向に押圧される前記スクリューを支持する軸受と、
前記軸受の歪みまたは
前記変位量を計測可能に構成されている軸受物理量計測部と、を含み、
前記制御装置は、一の前記プレッシャ検知部としての前記軸受物理量計測部により得られる前記歪みまたは前記変位量を前記計測値として用いる、
請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記容器を前記搬送方向に移動させる装置の駆動源であるモータと、
前記モータを駆動制御し、前記モータに印加される電流を計測可能に構成されているモータ駆動制御部と、を含み、
前記制御装置は、一の前記プレッシャ検知部としての前記モータ駆動制御部により得られる前記電流を前記計測値として用いる、
請求項
1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記容器に規定のピッチを割り付けて前記容器処理装置に供給するスクリュー装置を備え、
前記スクリュー装置は、
前記搬送方向に対して並行に配置され、前記容器を受け入れる溝が形成されているスクリューと、
前記スクリューを軸回り方向に回転駆動する前記モータと、
前記モータ駆動制御部と、を含む、
請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記制御装置は、一の前記プレッシャ調整処理として、前記コンベヤの速度を前記検知結果に基づいて加減する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記コンベヤに対して並行に配置され、前記搬送方向に所定の速度で駆動されながら前記容器の側面に接触するサイドベルトを備え、
前記制御装置は、一の前記プレッシャ調整処理として、前記サイドベルトの速度を前記検知結果に基づいて加減する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記制御装置は、一の前記プレッシャ調整処理として、前記容器に液体を散布する液体散布部を備える、
請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記制御装置は、一の前記プレッシャ調整処理として、前記コンベヤの搬送面に潤滑剤を供給する潤滑材供給部を備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項11】
第1の前記プレッシャ検知部と、前記第1のプレッシャ検知部よりも下流に位置する第2の前記プレッシャ検知部と、を備え、
前記コンベヤがなしている搬送路は、
前記第1のプレッシャ検知部よりも上流で第1の前記プレッシャ調整処理が行われる第1の調整領域と、
前記第1のプレッシャ検知部よりも下流かつ前記第2のプレッシャ検知部よりも上流で第2の前記プレッシャ調整処理が行われる第2の調整領域と、を備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項12】
容器に処理を行う容器処理装置へ向けて搬送路を搬送される容器に搬送方向に作用するプレッシャを前記搬送路における1つ以上の箇所で検知する検知ステップと、
前記検知ステップにより前記プレッシャが検知される箇所または当該箇所よりも上流で前記プレッシャの検知結果を用いて行われるプレッシャ調整処理により前記プレッシャを軽減させる制御ステップと、を含
み、
前記搬送路は、前記容器を両側から支持可能に構成されているガイドを備え、
前記制御ステップにおいて、前記ガイドの歪みまたは変位量を前記プレッシャの前記検知結果として用いる、搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器を搬送する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば飲料製品の製造ラインにおける製品充填後の流れとしては、ボトル容器を集積するアキュームコンベヤから単列化コンベヤへと容器を払い出し、単列化コンベヤにより容器の列数を単列(一列)に減少させた後、単列に並んだ状態の容器を単列コンベヤによりラベラや検査装置等の処理装置まで搬送する(例えば、特許文献1)。
【0003】
ラベラの能力に相応の量の容器を単列コンベヤ上に待機させるため、典型的には、単列コンベヤの搬送方向における複数箇所に設置される光電センサが用いられる。光電センサにより容器の粗密の状態を検知し、容器の滞留量が多いのならばコンベヤの速度を減少させ、滞留量が少ないのならばコンベヤの速度を増加させるといったコンベヤの速度制御が行われる。
特許文献1では、単列コンベヤの所定位置を通過する容器の単位時間あたりの数を計数し、ラベラの能力に合わせて各コンベヤの速度を増減させる。
【0004】
単列コンベヤ上の容器が密集して搬送方向に圧縮される箇所で容器が進行方向または逆方向に変位したり、密集した容器がコンベヤの幅方向に振動したりといった、意図しない容器の挙動が起こる場合がある。こうした容器の挙動は、バウンド現象と呼ばれる。
ラベラのスターホイールに容器を渡すため容器間に規定ピッチを割り付けるスクリューの溝に対して、容器を押し付けて供給する必要があるため、少なくともスクリューの直前においては、容器が密着した状態で上流へ連なり、かつ、適度に搬送方向への圧力(ラインプレッシャ、あるいは単にプレッシャ)が作用している必要がある。
【0005】
スクリューの直前におけるバウンド現象の発生を避けてスクリューに安定して容器を供給するため、特許文献2に記載の搬送装置は、スクリューに接触している容器を支持して搬送するコンベヤを上流側と下流側とに分割し、上流側のコンベヤには下流側のコンベヤの速度よりも低い速度を与えている。そうすることで、スクリューに導入される容器同士の衝突を緩和して、容器間に隙間があくことによるスクリューへの容器の噛み込み、あるいは容器の転倒を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-135182号公報
【文献】特開2016-044003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラベラの能力に相応量の容器を単列コンベヤ上に滞留させつつ、容器が潰れたり損傷したりしない適度なプレッシャを容器に作用させながらスクリューを介してラベラ等の処理装置に容器を供給したい。
ここで、ラベラの稼働能力が高いほど多数の容器を単列コンベヤ上に滞留させておく必要があり、容器の滞留量が多いほどプレッシャが高くなる傾向にある。また、容器に作用するプレッシャが増加するとバウンド現象が発生し易くなる傾向にある。
【0008】
バウンド現象により、一部の容器が他の容器に対して変位することで容器間に隙間ができるため、容器の転倒や、容器の移動速度の遅れによる搬送能力の低下に繋がる。専ら光電センサにより容器の滞留量を知り、ラベラ等の稼働率を極力低下させぬようにコンベヤの速度を制御するだけでは、ラインの高速化や容器の薄肉化に伴い、バウンド現象の回避が難しくなっている。
バウンド現象の発生に影響を与えるプレッシャを計測することができるならば、プレッシャを許容値以下に制御しうるが、プレッシャを計測する装置や方法は知られていない。
【0009】
バウンド現象の発生に伴い容器間の隙間を光電センサの光が通過することで、実際には過大なプレッシャが容器に作用するほどに滞留量が多いとしてもコンベヤの速度を増加させる速度制御が行われるのならば、プレッシャが増大してバウンド現象がより一層起こり易くなり、容器の潰れや損傷が生じかねない。また、バウンド現象による容器間の隙間の発生により容器の転倒や、スクリューへの容器の噛み込みが発生するのならば、ラベラを含むラインを異常停止させて容器の除去等を行うので、稼働率が低下してしまう。
【0010】
以上より、本開示は、容器のバウンド現象や潰れ等の発生を回避してラベラ等の容器処理装置に安定して容器を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る搬送装置は、容器に処理を行う容器処理装置へ向けて容器を搬送するコンベヤと、容器に搬送方向に作用するプレッシャの検知に供される1つ以上のプレッシャ検知部と、プレッシャ検知部による検知結果を制御に用いる制御装置と、を備える。制御装置は、プレッシャ検知部の位置または当該位置よりも上流で行われるプレッシャ調整処理によりプレッシャを軽減させる制御が可能に構成されている。
【0012】
本開示に係る搬送方法は、容器に処理を行う容器処理装置へ向けて搬送路を搬送される容器に搬送方向に作用するプレッシャを搬送路における1つ以上の箇所で検知する検知ステップと、検知ステップによりプレッシャが検知される箇所または当該箇所よりも上流でプレッシャの検知結果を用いて行われるプレッシャ調整処理によりプレッシャを軽減させる制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、容器に作用するプレッシャの検知結果に基づいて、検知箇所またはそれよりも上流で行われるプレッシャ調整処理により、容器に作用するプレッシャを軽減させることができる。プレッシャの検知結果を監視し、リアルタイムにプレッシャ調整処理を行うことが可能となるので、容器の潰れや損傷、バウンド現象等の発生を未然に防止することができる。
【0014】
高能力運転条件のため容器滞留量の検知のみでは容器処理装置への容器の安定供給をなし得ない場合であっても、本開示によれば、容器の搬送状態に直結するプレッシャについて、少なくとも許容値を超えるか否かが検知されることにより、容器間に隙間なく適度なプレッシャが作用した状態で容器が処理装置に安定して供給される。その結果、容器の転倒や移動速度の低下、スクリューへの噛み込み等の発生を避けて、容器処理装置を長時間に亘り連続して能力を落とさずに稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る搬送装置の模式的な平面図である。アキュームコンベヤからラベラまでの搬送路が示されている。
【
図2】ラベラ、搬送装置、およびコンベヤ上の容器を模式的に示す平面図である。
【
図3】ラベラへと容器を供給するスクリュー装置の模式図である。
【
図4】(a)~(c)は、ガイドの間を容器が搬送される状態を示す模式図である。(a)、(b)、(c)の順に容器に作用するプレッシャが大きい。
【
図5】単列の状態に並んで搬送される容器群を示す側面図である。
【
図6】光電センサにより容器の有無を検知する機構を示す模式図である。
【
図7】第1実施形態における制御例1を示す図表である。
【
図8】第1実施形態の変形例に係る搬送装置および容器を模式的に示す平面図である。
【
図9】第2実施形態における制御例2を示す図表である。
【
図10】第2実施形態に係る搬送装置および容器を模式的に示す平面図である。
【
図11】第2実施形態の搬送装置に備わる液体散布装置および潤滑材供給装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
[第1実施形態]
〔全体構成〕
図1および
図2は、飲料製品の製造ライン1の一部を示している。
図1では、容器2の図示が省略されている。容器2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料からボトル状に形成されている。
図示しない充填機により製品液が充填され、蓋の装着により密封された容器2は、アキュームコンベヤ3に集積される。アキュームコンベヤ3上の容器2の貯留量は、充填機等の上流の処理装置や、ラベラ7等の下流の装置の稼働状況に応じて増減する。
アキュームコンベヤ3からコンバイナ4へと容器2が払い出されると、多列をなして並んだ状態の容器2は、コンバイナ4における減列処理により単列(一列)に並び、単列コンベヤ5によりラベラ7に向けて搬送される。
【0017】
ラベラ7の稼働率を担保するため、単列コンベヤ5における容器2の移動速度が調整される。容器2の移動速度の調整により、スクリュー装置6の導入部を列の先頭として上流へと、容器2がラベラ7の稼働能力に相応の長さの領域に亘り滞留するとともに、少なくともスクリュー装置6の近傍の領域においては互いに密着する容器2に搬送方向D1における適度なプレッシャが作用している。プレッシャは、容器2の横断面の形状を問わずに作用する。
【0018】
スクリュー装置6は、容器2間に、ラベラ7による処理に適合する規定のピッチを割り付け、導入スターホイール71を介してラベラ7へと供給する。
ラベラ7によりラベルを装着する処理が行われた容器2は、排出スターホイール72、およびモータM4により駆動される排出コンベヤ73により下流の図示しない検査装置や箱詰め装置等へと送られる。
【0019】
スクリュー装置6は、
図3に示すように、搬送方向D1に対して並行に配置され、容器2を受け入れる螺旋状の溝610が形成されているスクリュー61と、スクリュー61を軸回り方向に回転駆動するモータ62と、スクリュー61を回転可能に支持するラジアル軸受63と、容器2のプレッシャにより搬送方向D1に押圧されるスクリュー61を支持するスラスト軸受64と、モータ62から出力されるトルクをスクリュー61に伝達する傘歯車65,66と、モータ62を駆動制御するモータ駆動制御部67とを備えている。
【0020】
スクリュー61は、容器2間に隙間がなく、プレッシャにより容器2が導入端61Aから溝610に連続して押し込まれることを前提として動作する。スクリュー61は、回転しながら導入端61Aから溝610に容器を受け取り、溝610のピッチに従い容器2間のピッチを拡大し、導入スターホイール71の回転と同期して導入スターホイール71のポケットに容器2を供給する。
【0021】
〔搬送装置〕
以下、
図2、
図4および
図5を参照し、容器2をラベラ7に向けて搬送する搬送装置10について説明する。
搬送装置10は、
図2に示すように、単列に並ぶ容器2を導入スターホイール71まで搬送する単列コンベヤ5と、容器2に搬送方向に作用するプレッシャの計測に供されるプレッシャ計測部11,12と、容器2の粗密状態の検知に供される複数の光電センサ21~27と、プレッシャ計測部11,12および光電センサ21~27のそれぞれにより得られる情報を制御に用いる制御装置13とを備えている。
【0022】
(単列コンベヤ)
単列コンベヤ5は、複数のコンベヤ要素5A~5Cと、コンベヤ要素5A~5Cがなしている搬送路Rの方向に容器2を案内するガイド50と、コンベヤ要素5A~5Cをそれぞれ駆動する複数のモータM1,M2,M3と、サイドベルト装置31,32と、サイドベルト装置31,32をそれぞれ駆動する複数のモータM12,M13と、モータM1,M2,M3,M12,M13をそれぞれ駆動制御する図示しない駆動制御部とを備えている。
コンベヤ要素5Aは、下流端に位置する駆動スプロケットに設けられるモータM1により駆動される。コンベヤ要素5B,5Cも、それぞれの下流端に位置するモータM2,M3により個別に駆動される。
【0023】
コンベヤ要素5A~5Cのいずれも、チェーン51およびスプロケット52(
図5)を備えたチェーンコンベヤである。
ガイド50は、例えば、ステンレス鋼から棒状に形成され、搬送方向D1に延びているガイド部材501と、ガイド部材501を支持する複数の支柱502(
図5)とを備えている。ガイド50は、搬送路Rを容器2が搬送される方向D1に対して直交する幅方向D2の両側に設けられている。容器2は、チェーン51に設けられたプレート53上に支持され、ガイド50により案内されつつ搬送方向D1に搬送される。ガイド50と容器2との間には、所定のクリアランスが設定されているため、後述するように、ガイド50間における容器2の千鳥配列が許容される。円形またはそれに類する形状(多角形等)の横断面を呈する容器2は、千鳥配列をなす。
【0024】
コンベヤ要素5Aの下流端とコンベヤ要素5Bの上流端とが並列に配置される領域において、ガイド50はコンベヤ要素5A,5Bのチェーン51の進行方向に対して傾斜した状態に配置される。容器2は、ガイド50に沿ってコンベヤ要素5Aからコンベヤ要素5Bへ、さらにコンベヤ要素5Bからコンベヤ要素5Cへと順次移動し、コンベヤ要素5Cと並行に配置されているスクリュー装置6へと導入される。
【0025】
(サイドベルト)
サイドベルト装置31は、コンベヤ要素5Bに対して並行に配置され、容器2の側面に接触するサイドベルト301と、サイドベルト301が掛け回される駆動プーリ302および従動プーリ303と、駆動プーリ302にトルクを出力するモータM12とを備えている。サイドベルト301は、例えば、ゴム系材料やスポンジ状の素材から形成されている。
【0026】
サイドベルト301、駆動プーリ302および従動プーリ303は、コンベヤ要素5Bにおける幅方向D2の両側に設置されている。両側の駆動プーリ302へとモータM12からトルクが出力されることで、一対のサイドベルト301は、両側から弾性力により容器2を押さえながら、コンベヤ要素5Bのチェーン51の速度と同速または低速で搬送方向D1へと駆動される。サイドベルト301がコンベヤ要素5Bの速度よりも低速で駆動される場合、容器2は、コンベヤ要素5Bのプレート53上を滑り、サイドベルト301の速度と同様、コンベヤ要素5Bの速度よりも低速で移動する。
【0027】
上記のサイドベルト装置31よりも下流に位置するサイドベルト装置32は、コンベヤ要素5Cに対して並行に配置されている。このサイドベルト装置32も、上記のサイドベルト装置31と同様に構成され、一対のサイドベルト301がコンベヤ要素5Cの速度と同速または低速で搬送方向D1へと駆動されることにより、容器2は、コンベヤ要素5C上を所定速度で移動する。
搬送装置10は、サイドベルト装置31,32のいずれか1つのみを備えていてもよい。
【0028】
(プレッシャ計測部)
プレッシャ計測部11,12はそれぞれ、単列に並ぶ容器2に搬送方向D1に作用するプレッシャの計測値を取得するために用いられる。
プレッシャ計測部11は、コンベヤ要素5Bにおける上流側に設置されたサイドベルト装置31よりも下流に設けられている。プレッシャ計測部12は、コンベヤ要素5Cにおける上流側に設置されたサイドベルト装置32よりも下流に設けられている。
【0029】
本実施形態のプレッシャ計測部11,12は、ガイド50を利用して、プレッシャに相関する物理量を得る。ガイド50に設けられるガイド物理量計測部55がプレッシャ計測部11,12として機能する。プレッシャ計測部11としてのガイド物理量計測部55により得られる物理量、および、プレッシャ計測部12としてのガイド物理量計測部55により得られる物理量は、制御装置13によりプレッシャの計測値として制御に用いられる。
【0030】
容器2に作用するプレッシャについて説明する。
図4(a)~(c)はそれぞれ、搬送路Rを搬送される横断面が円形の容器2がガイド50の間を通過する様子の一例を示している。
図4(a)および
図5において、容器2は搬送方向D1に沿って直線的に並んでいる。このとき、容器2間に隙間がなく、容器2が互いに接触していたとしても、容器2にプレッシャは実質的に作用していない。このときチェーン51が容器2の径に相当する移動量(1ピッチ)だけ駆動される時間に、容器2はチェーン51に追従して1ピッチ分だけ移動しており、プレート53と容器2との滑りは発生していない。このときの容器2の移動量(移動距離)を「1ピッチ」と称する。
【0031】
図4(b)は、上流側から他の容器2に押される、あるいは下流側から他の容器2に押されることで、容器2がガイド50間の全体に亘り幅方向D2に広がり、千鳥状に配列されている状態を示している。このとき、ガイド50により両側から容器2が支持されることで容器2の幅方向D2へのさらなる移動が規制されるため、容器2は互いに搬送方向D1に押し合い、各容器2には搬送方向D1にプレッシャが作用している。少なくとも、スクリュー装置6の近傍でラベラ7への供給を待機している容器群は、千鳥状に配列されて適度なプレッシャが与えられる。
【0032】
図4(c)は、
図4(b)に示す容器2に作用しているプレッシャよりも大きなプレッシャが千鳥配列の容器群に作用していることにより、容器2を拘束するガイド部材501が幅方向D2に押し広げられて変形している状態を誇張して示している。ガイド部材501は、
図4(a)に示す無負荷の状態から、例えば、搬送方向D1に隣り合う支柱502の間で幅方向D2に変位量ΔWだけ変位している。
このとき、ガイド部材501に生じている歪み、または変位量ΔWの大きさは、ガイド部材501を幅方向D2に押圧するプレッシャの大きさと相関している。
ガイド物理量計測部55は、ガイド部材501に作用する荷重をガイド部材501の歪み、または変位量ΔWとして計測可能に構成されている。ガイド物理量計測部55は、例えば、歪みを計測する歪みゲージ、または、レーザー等を用いて変位量ΔWを計測可能な変位計、距離計である。
【0033】
ガイド物理量計測部55に代えて、あるいはガイド物理量計測部55と併用して、ガイド部材501の外側に設置される近接スイッチ56を用いることができる。近接スイッチ56は、容器2のプレッシャによりガイド部材501が一定以上に押し広げられたことを非接触にて検知することができる。制御装置13は近接スイッチ56による検知結果を制御に用いることができる。
【0034】
過大なプレッシャは、容器2の潰れ(変形)や損傷の要因となり得る。また、過大なプレッシャは、容器2が搬送方向D1の前方または後方へ変位したり、幅方向D2に振動したりといったバウンド現象を発生させ易い傾向にある。かかる現象は、アコーデオン現象とも呼ばれる。こうした現象は、滞留量の増加に伴いプレッシャが大きくなりがちな高能力運転の場合に発生し易い。
【0035】
同一容器2に作用するプレッシャは、搬送路Rを移動する間に亘り変動する。また、プレッシャが作用している容器群における各容器2に作用しているプレッシャの大きさは、必ずしも同一ではなく、プレッシャの値は搬送方向D1に変動して分布している。プレッシャの値の分布状態は時間的および空間的に変動するため、バウンド現象が発生する場所も変動する。
【0036】
バウンド現象により一部の容器2が他の容器2に対して変位することで容器2間に隙間ができると、容器2の移動速度の遅れにより搬送能力の低下に繋がる上、スクリュー61への容器2の噛み込みや、容器2の転倒のおそれがある。
プレッシャが過大ならば、スクリュー装置6の近傍あるいは搬送路Rの下流側には限らず、搬送路Rのいずれかの場所で、容器2の潰れやバウンド現象が発生し得る。容器2に作用するプレッシャを直接計測することは難しくても、例えばガイド部材501の歪みや変位量ΔW等の物理量の計測を通じてプレッシャを間接的に計測し、当該物理量を許容値以下に制御することを通じてプレッシャを許容値以下に制御することができる。
例えば、物理量を継続的に計測しつつ、許容値より低い値を目標値としてプレッシャ調整処理を行うフィードバック制御により、物理量を許容値以下に制御することができる。
【0037】
本実施形態に開示する搬送方法は、ラベラ7へ向けて搬送される容器2に作用するプレッシャをプレッシャ計測部11,12により搬送路Rにおける1つ以上の箇所で検知する検知ステップと、検知ステップによりプレッシャが検知される箇所または当該箇所よりも上流でプレッシャの検知結果を用いて行われるプレッシャ調整処理によりプレッシャを軽減させる制御ステップとを含む。
【0038】
上述の近接スイッチ56は、プレッシャが閾値を超えていることを検知するので、近接スイッチ56による検知結果に基づくプレッシャ調整処理によりプレッシャを許容値以下に軽減させることができる。
【0039】
ガイド部材501は、プレッシャが許容値を超えるとプレッシャの大きさに応じた変形量にて弾性域で変形し、プレッシャが許容値以下に下がると無負荷時と同様の状態に復元する。ガイド部材501は、プレッシャによりガイド部材501に作用し得る応力により弾性変形可能な金属材料から形成されている。ガイド部材501は、例えば、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系等のステンレス鋼のいずれの材料を用いて形成することができるし、超高分子ポリエチレン等により被覆されたステンレス鋼、普通鋼(炭素鋼)やアルミニウムの押出材等であってもよい。
【0040】
ガイド部材501を支持する支柱502が、ガイド部材501と共に、プレッシャにより幅方向D2に押されて弾性変形するならば、支柱502に設けられたガイド物理量計測部55により計測される支柱502の歪みまたは幅方向D2への変位量をプレッシャの計測値として用いることが可能である。
【0041】
複数のプレッシャ計測部11,12のそれぞれにより得られる計測値に基づいて後述するプレッシャ調整処理が行われる。プレッシャ調整処理は、例えばサイドベルト装置31,32のそれぞれの速度制御であり、この場合、プレッシャ調整処理が行われるプレッシャ調整領域は、サイドベルト装置31,32である。本実施形態の搬送路Rは、上流から下流に向けて、第1の調整領域としてのサイドベルト装置31、第1のプレッシャ計測部11、第2の調整領域としてのサイドベルト装置32、第2のプレッシャ計測部12の順に配置されている。
【0042】
搬送路Rには、3つ以上のガイド物理量計測部55をプレッシャ計測部として配置することができる。コンベヤ要素5A~5Cの数や長さ、搬送路Rの形状等に応じて、適宜な数のプレッシャ計測部を搬送路Rの適宜な箇所に配置することができる。
【0043】
(光電センサ)
光電センサ21~27は、搬送方向D1に分布して配置されており、搬送路Rを搬送される容器2の粗密の状態をそれぞれ検知する。
本実施形態において、光電センサ21,22は上流側のコンベヤ要素5Aの区間に設置され、光電センサ23~25は中間のコンベヤ要素5Bの区間に設置されている。光電センサ26,27は下流側のコンベヤ要素5Cの区間に設置されている。
【0044】
図6に、光電センサ21~27を代表して光電センサ21を示している。他の光電センサ22~27も、光電センサ21と同様に構成されている。
光電センサ21は、搬送路Rを間に挟んで配置される発光部211と、受光部212と、図示しない回路基板とを備えている。
図2および
図6において、発光部211と受光部212は、搬送方向D1に対して傾斜した状態で対向しているが、これに限らず、搬送方向D1に対して直交する方向に対向していてもよい。
【0045】
発光部211から出射されるレーザー等の光の進路上に容器2が存在しないならば、出射光は空間を通過して受光部212に入射する。出射光は、例えば容器2間の隙間を通過して受光部212に入射する。また、出射光は、容器2に遮られると受光部212に入射しない。そうすると、例えば、通光時にはOFF、遮光時にはONを示す波形21wの信号を得ることができるので、波形21wから、搬送路Rにおける容器2の有無、容器2の粗密の状態といった容器2の搬送状態を知ることができる。このことから、光電センサ21~27により、スクリュー装置6の位置から上流へ容器2が隙間なく並んでいる長さ、言い換えれば滞留している容器2の数量を知ることができる。
【0046】
スクリュー装置6よりも上流へ待機させる容器2の数量は、ラベラ7の能力に応じて異なる。ここでは、ラベラ7の能力を低速運転条件、中速運転条件、高速運転条件、超高速運転条件の4段階に区分して説明する。低速運転条件は、例えば、400~600BPM(Bottles Per Minute)であり、超高速運転条件は、例えば、900~1200BPMである。
【0047】
低速運転条件の場合は、スクリュー装置6から上流へ、例えば光電センサ26の位置まで容器2が滞留していれば足りる。つまり、光電センサ26,27のそれぞれの出力(PH3-1,PH3-2)がいずれも、容器2により遮光されていることを示すONであるならば、滞留量は足りている。
以下同様に、中速運転条件の場合は、スクリュー装置6から上流へ、例えば光電センサ25の位置まで容器2を滞留させる。
高速運転条件の場合は、スクリュー装置6から上流へ、例えば光電センサ24の位置まで容器2が滞留させる。
超高速運転条件の場合は、スクリュー装置6から上流へ、例えば光電センサ23の位置まで容器2が滞留させる。
光電センサ21~27の数や、設置される位置は、本実施形態には限らず、ラベラ7の能力や、搬送路Rの長さや形状、プレート53の摩擦係数等に応じて適宜に定めることができる。
【0048】
光電センサ21~27による検知結果から、滞留量に過不足がある場合はモータM1,M2,M3の速度を適宜に制御して、容器2が隙間なく滞留している領域よりも上流のコンベヤ要素の速度を増減させるとよい。例えば、高速運転条件下、光電センサ24の出力(PH2-2)がOFFであるならば、滞留量が不足しているので、モータM1の速度制御によりコンベヤ要素5Aの速度を増加させる。
【0049】
(制御装置による制御例)
制御装置13は、プレッシャ計測部11,12および光電センサ21~27のそれぞれにより得られる情報を用いて、例えば、下記(A)~(C)を実現するため、搬送装置10による容器2の搬送状態を制御する。
(A)ラベラ7の能力に対応する量の容器2をスクリュー装置6から上流へ滞留させる。
(B)少なくともスクリュー装置6の近傍の領域においてスクリュー装置6の動作を保証する適度なプレッシャを容器2に作用させる。
(C)スクリュー装置6の近傍の領域のみならず、スクリュー装置6から上流へ離れた領域(例えばコンベヤ要素5B)においても、過大なプレッシャが容器2に作用することを防止する。
【0050】
上記(A)および(B)を実現するため、制御装置13は、ラベラ7の稼働能力に応じてモータM1,M2およびサイドベルト用モータM12,M13の速度制御を行う。
図7の表「制御例1」における(1)~(4)は、速度制御に際し、モータM1,M2,M3,M12,M13のそれぞれに速度制御のパラメータとして設定される容器移動量p(ピッチ)およびコンベヤのチェーン51の速度v(コンベヤ速度)を容器滞留量に紐付けた光電センサの状態毎に示している。ピッチp-*およびコンベヤ速度v-*は、該当の運転条件に対応するラベラ7の基準能力から計算されている。なお、*は、モータM1,M2,M3,M12,M13および各運転条件に紐付けられる添字である。
仮に、スクリュー装置6に供給される容器2の移動速度が、ラベラ7の基準能力から搬送装置10に要求される移動速度に満たないとするならば、ラベラ7の能力が低下してしまう。
【0051】
上述したように、運転条件毎に、スクリュー装置6から上流への必要な滞留量が決まる。
図2および
図7におけるPH1-1,PH1-2,PH2-1,PH2-2,PH2-3,PH3-1,PH3-2は、光電センサ21~27のそれぞれの出力を示している。それらの出力が示す滞留量で滞留している容器群が適度なプレッシャによりスクリュー装置6に供給されるように、いずれの運転条件においても、搬送路Rの上流側であるコンベヤ要素5Aには、容器2の移動量として1を超えるピッチが設定されている。ラベラ7の能力が相対的に高く、滞留量が相対的に大きいほど、コンベヤ要素は高速で駆動され、ピッチは小さい。
コンベヤ要素5Bは、コンベヤ要素5Aと同速またはコンベヤ要素5Aよりも低速であり、かつ、コンベヤ要素5Aと同ピッチまたはコンベヤ要素5Aよりもピッチが小さい。
【0052】
搬送路Rの相対的に下流側では、コンベヤ要素およびサイドベルトに設定される容器2の移動量として1ピッチを設定することができる。
但し、モータM3の速度は、スクリュー装置6から導入スターホイール71へと容器2を確実に受け渡すため、容器2の滞留量やプレッシャにかかわらず、ラベラ7の基準能力およびラベラ7が要求する規定ピッチが設定されることが好ましい。
【0053】
以上に説明した制御と並行して、制御装置13は、上記(C)を実現するため、
図7の(5)および(6)に示すように、プレッシャの計測値に基づいて、サイドベルト装置31,32のモータM12,M13の速度制御を行う。
図2および
図7におけるBP2,BP3は、プレッシャ計測部11,12により得られる計測部としての物理量(歪みまたは変位量)を示している。
【0054】
制御装置13は、(5)および(6)に示すように、BP2,BP3が許容値(許容値上限値)を超えたならば、計測位置よりも少なくとも上流で容器2を移動させているサイドベルトの速度を減少させるプレッシャ調整処理を行う。プレッシャ調整処理により、容器2に作用していたプレッシャを許容値以下に軽減させる。
許容値T2および許容値T3は、必ずしも同一である必要はなく、相違していてもよい。
【0055】
具体的な制御としては、(5)に示すように、プレッシャ計測部11により計測されたBP2が許容値T2を超えたならば、プレッシャ計測部11よりも上流のサイドベルト装置31を駆動するモータM12に、(4)超高速運転条件におけるM2およびM12の設定速度v-M2(4),v-M12(4)のいずれに対しても低い速度v-M12(5)を設定する。ピッチも同様に、p-M2(4),p-M12(4)のいずれに対しても小さいピッチp-M12(5)をモータM12に設定する。
許容値を超えるプレッシャが計測された位置よりも上流でサイドベルト装置31の減速により容器2の移動速度が減少することによって、サイドベルト装置31よりも下流で容器2に作用するプレッシャが軽減されるので、下流におけるプレッシャを許容値以下に下げることができる。
【0056】
(6)に示すように、プレッシャ計測部12により計測されたBP3が許容値T3を超えたならば、プレッシャ計測部12よりも上流のサイドベルト装置32を駆動するモータM13に、超高速運転条件におけるM3およびM13の設定ピッチp-M3(4),p-M13(4)のいずれに対しても小さいピッチp-M13(5)を設定する。サイドベルト装置32の速度は、コンベヤ要素5Cの速度v-M13(4)を考慮して、v-M13(4)よりも高速であるがコンベヤ要素5Cの速度v-M3(4)よりも低速に設定される。
サイドベルト装置32の減速により容器2の移動速度が減少することによって、サイドベルト装置32よりも下流で容器2に作用するプレッシャを許容値以下に下げることができる。
【0057】
本実施形態においては(1)~(4)に示す容器滞留量に対応する速度制御に加え、(5)および(6)に示すプレッシャ調整制御によりプレッシャを許容値以下に安定させることができるので、容器2に過大なプレッシャが作用することを防止する目的においては、必ずしも、アキュームコンベヤ3からの容器2の払い出し量やラベラ7の能力を調整する必要はない。
但し、プレッシャが許容値以下に安定しない場合には、本実施形態の(1)~(6)に示す制御に加え、BP2,BP3が許容値を超えた際に、アキュームコンベヤ3からの容器2の払い出し量を減少させたり、ラベラ7の能力を低下させたりすることが許容される。
【0058】
〔本実施形態による効果〕
本実施形態の搬送装置10は、容器2に作用するプレッシャを検知可能なプレッシャ検知部としてのプレッシャ計測部11,12を備えているので、制御装置13により、プレッシャの計測値が許容値を超えている場合にプレッシャの計測位置よりも上流でサイドベルト装置31または32の速度を減少させるプレッシャ調整処理を行って、容器2に作用するプレッシャを軽減させることができる。プレッシャの計測は、プレッシャ計測部11,12により随時行われ、プレッシャが許容値を超えたならば直ちにプレッシャ調整処理が行われるので、プレッシャが許容値を超えた状態を速やかに解消して容器2の潰れや損傷、バウンド現象の発生を未然に防止することができる。
そうすると、容器2は、容器2間に隙間なく適度なプレッシャが作用した状態でスクリュー装置6を通じてラベラ7に安定して供給される。その結果、容器2の転倒や移動速度の低下、スクリュー61への噛み込みの発生を避けて、ラベラ7を長時間に亘り連続して能力を落とさずに稼働させることができる。
【0059】
本実施形態の搬送路Rには、複数のプレッシャ計測部11,12および複数のプレッシャ調整領域(サイドベルト装置31,32)が配置されているので、下流でBP3が許容値T3を超えたときのサイドベルト装置32の速度制御に起因して上流でプレッシャが増大したとしても、上流側のサイドベルト装置31の速度制御により対処することができる。
本実施形態によれば、搬送路Rの全長に亘り、容器2に過大なプレッシャが作用することを避けることができる。
【0060】
[第1実施形態の変形例]
図8に示す搬送装置10-1は、サイドベルト装置31,32を備えていない点を除いて、上記第1実施形態の搬送装置10と同様に構成されている。
搬送装置10-1に備わる制御装置13-1によれば、
図9の表「制御例2」の(5-1)および(6-1)に示すように、プレッシャ計測部11,12によりそれぞれ計測されるBP2,BP3の値に基づいて、計測位置よりも上流で容器2を移動させているコンベヤ要素の速度を減少させるプレッシャ調整処理を行う。
図9の(1)~(4)は、
図7の(1)~(4)と同様である。
【0061】
(5-1)に示すように、プレッシャ計測部11により計測されたBP2が許容値T2を超えたならば、プレッシャ計測部11よりも上流のコンベヤ要素5Aを駆動するモータM1に、(4)超高速運転条件におけるM1の設定速度v-M1(4)よりも低い速度v-M1(5-1)を設定する。ピッチも同様に、p-M1(4)よりも小さいピッチp-M1(5-1)をモータM1に設定する。
また、(6-1)に示すように、プレッシャ計測部12により計測されたBP3が許容値T3を超えたならば、プレッシャ計測部12よりも上流のコンベヤ要素5Bを駆動するモータM2に、超高速運転条件におけるM2の設定速度v-M2(4)よりも小さい速度v-M2(6-1)を設定する。ピッチも同様に、p-M2(4)よりも小さいピッチp-M2(6-1)をモータM2に設定する。
(5-1)および(6-1)に示す制御によれば、プレッシャの計測位置よりも上流で容器2の移動速度を減少させることにより、プレッシャを軽減させて許容値以下に制御することができる。
【0062】
〔プレッシャ計測部に係る変形例〕
プレッシャ計測部11,12としては、プレッシャにより幅方向D2に押し広げられるガイド50の歪みまたは変位量を計測するガイド物理量計測部55には限らず、プレッシャに相関する物理量を計測可能な適宜な機構を採用することができる。
以下、ガイド50に設けられるガイド物理量計測部55に代えて、あるいはガイド物理量計測部55と併せて採用することが可能な機構を説明する。
【0063】
例えば、プレッシャ計測部12は、スクリュー装置6(
図3)のスラスト軸受64に設けられる軸受物理量計測部641であってもよい。軸受物理量計測部641は、容器2のプレッシャによりスラスト軸受64に搬送方向D1に作用する荷重を軸受64の歪みまたは変位量として計測する。軸受物理量計測部641は、歪みを計測する歪みゲージや、変位量を計測する変位計、距離計に相当する。制御装置13は、軸受物理量計測部641により計測される歪みまたは変位量をプレッシャの計測値として用いることができる。つまり、
図7や
図9におけるBP3は、軸受物理量計測部641により得られる物理量(歪みまたは変位量)であってもよい。
【0064】
あるいは、プレッシャ計測部12は、スクリュー装置6のモータ62を駆動制御するモータ駆動制御部67であってもよい。モータ駆動制御部67は、プレッシャにより容器2からスクリュー61に加えられる負荷に応じてモータ62に印加される電流を計測可能に構成されている。制御装置13は、モータ駆動制御部67により計測される電流値をプレッシャの計測値として用いることができる。つまり、
図7や
図9におけるBP3は、モータ駆動制御部67により得られる物理量(電流)であってもよい。
【0065】
スクリュー装置6と同様に、容器2を搬送方向D1に移動させる装置、つまりコンベヤ要素5A,5Bやサイドベルト装置31,32の駆動源であるモータM1,M2,M12,M13の印加電流をプレッシャの計測に用いることもできる。つまり、プレッシャ計測部11が、例えば、モータM2を駆動制御する図示しない駆動制御部であったり、プレッシャ計測部12が、モータM13を駆動制御する図示しない駆動制御部であったりしてもよい。
【0066】
プレッシャ調整処理は、必ずしも、プレッシャの計測位置よりも上流で行われる必要はなく、計測位置で行われてもよい。例えば、プレッシャ計測部としてのモータ駆動制御部によりサイドベルト装置31のモータM12の電流が許容値を超えた場合に、制御装置13は、モータM12の回転速度を制御して容器2の移動速度を減少させることにより、プレッシャを軽減させることができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、
図10および
図11を参照し、第2実施形態に係る搬送装置10-2を説明する。搬送装置10-2は、液体散布/潤滑材供給装置41,42を備えることにより、プレッシャ調整処理として、容器2への液体の散布と、チェーン51に設けられたプレート53(搬送面)への潤滑材の供給との少なくともいずれかを行うことができる。
液体の散布および潤滑材の供給のいずれも、プレッシャ計測部11または12により計測される物理量が許容値を超える場合に、計測位置よりも少なくとも上流で行われるプレッシャ調整処理に該当する。
【0068】
液体散布/潤滑材供給装置41は、液体散布装置401(
図11)と、潤滑材供給装置402(
図11)とを備えている。液体散布装置401は、図示しない液体供給源に接続されている。液体散布装置401のシャワーノズル401Aから、コンベヤ要素5B上の容器2に向けて上方から液体(例えば、水)が散布される。なお、液体が容器2の側方から散布されてもよい。
潤滑材供給装置402は、図示しない潤滑材供給源に接続されている。潤滑材供給装置402のノズル402Aから、コンベヤ要素5Bのプレート53に潤滑材が噴霧される。
水散布/潤滑材供給装置41と同様に、水散布/潤滑材供給装置42も、液体散布装置401および潤滑材供給装置402を備えており、シャワーノズル401Aからコンベヤ要素5C上の容器2に向けて液体を散布するとともに、ノズル402Aからコンベヤ要素5Cのプレート53に潤滑材を供給する。
【0069】
シャワーノズル401Aから容器2に散布された液体は、容器2の側面に付着することで、コンベヤ要素5Bにより搬送される容器2間の摩擦を低減させる。プレッシャが作用している容器2間の摩擦が低減されると、容器2同士が接触しつつプレッシャを下げる向きに相対変位し易くなるので、各容器2に作用するプレッシャが軽減される。
同様に、潤滑材の供給によるプレート53と容器2との摩擦低減によりプレート53上の容器2の相対変位が促進されることで、各容器2に作用するプレッシャが軽減される。
【0070】
制御装置13-2は、プレッシャ計測部11により得られるプレッシャの計測値BP2が許容値を超えている場合は、プレッシャ調整処理として、プレッシャ計測部11よりも上流で液体散布/潤滑材供給装置41のシャワーノズル401Aからコンベヤ要素5B上の容器2に向けて液体を散布することができる。このとき、制御装置13-2は、他のプレッシャ調整処理として、プレッシャ計測部11よりも上流で液体散布/潤滑材供給装置41のノズル402Aからコンベヤ要素5Bのプレート53に潤滑材を供給することができる。
【0071】
また、制御装置13-2は、プレッシャ計測部12により得られるプレッシャの計測値BP3が許容値を超えている場合は、プレッシャ調整処理として、プレッシャ計測部12よりも上流で液体散布/潤滑材供給装置42のシャワーノズル401Aからコンベヤ要素5C上の容器2に向けて液体を散布することができる。このとき、制御装置13-2は、他のプレッシャ調整処理として、プレッシャ計測部12よりも上流で液体散布/潤滑材供給装置42のノズル402Aからコンベヤ要素5Cのプレート53に潤滑材を供給することができる。
【0072】
プレッシャの計測値が許容値を超えた際に容器2に液体を散布したりコンベヤ要素のプレート53に潤滑材を供給したりすることによっても、プレッシャを許容値以下に軽減させることができるので、容器2の破損やバウンド現象の発生を抑えて、ラベラ7へ容器2を安定して供給することができる。
【0073】
搬送装置10-2は、第1実施形態の搬送装置10と同様の構成を備えているため、
図7の(1)~(6)の制御を行うとともに、上述の液体散布および潤滑材供給の処理を行うことができる。
【0074】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
単列で並ぶ容器2が供給される容器処理装置としては、ラベラ7の他、例えば、容器2を検査する検査装置や、容器2に印字する印字装置等であってよい。
また、容器2は、樹脂製のボトルに限らず、金属製のボトルや、缶であってもよい。
【0075】
[付記]
以上で説明した搬送装置および搬送方法は、以下のように把握される。
〔1〕搬送装置10,10-1,10-2は、容器2に処理を行う容器処理装置(7)へ向けて容器2を搬送するコンベヤ(5,5A,5B,5C)と、容器2に搬送方向D1に作用するプレッシャの検知に供される1つ以上のプレッシャ検知部(11,12)と、プレッシャ検知部(11,12)による検知結果を制御に用いる制御装置13,13-1,13-2と、を備える。制御装置13,13-1,13-2は、プレッシャ検知部(11,12)の位置または当該位置よりも上流で行われるプレッシャ調整処理によりプレッシャを軽減させる制御が可能に構成されている。
〔2〕プレッシャ検知部(11,12)は、プレッシャの計測に供され、制御装置13,13-1,13-2によりプレッシャの計測値として制御に用いられる物理量を取得する。
〔3〕搬送装置は、プレッシャによる容器2の千鳥配列を許容して容器2を両側から支持可能に構成されているガイド50と、ガイド50の歪みまたは変位量を計測可能に構成されているガイド物理量計測部55と、を備える。制御装置13,13-1,13-2は、一のプレッシャ検知部(11,12)としてのガイド物理量計測部55により得られる歪みまたは変位量を計測値として用いる。
〔4〕搬送装置は、容器2に規定のピッチを割り付けて容器処理装置(7)に供給するスクリュー装置6を備える。スクリュー装置6は、搬送方向D1に対して並行に配置され、容器2を受け入れる溝610が形成されているスクリュー61と、スクリュー61を軸回り方向に回転駆動するモータ62と、プレッシャにより搬送方向D1に押圧されるスクリュー61を支持する軸受64と、軸受64の歪みまたは変位量を計測可能に構成されている軸受物理量計測部641と、を含む。制御装置13,13-1,13-2は、一のプレッシャ検知部(11,12)としての軸受物理量計測部641により得られる歪みまたは変位量を計測値として用いる。
〔5〕搬送装置は、容器2を搬送方向D1に移動させる装置の駆動源であるモータM1,M2,M12,M13,62と、モ6タを駆動制御し、モータに印加される電流を計測可能に構成されているモータ駆動制御部(67等)と、を含む。制御装置13,13-1,13-2は、一のプレッシャ検知部(11,12)としてのモータ駆動制御部(67等)により得られる電流を計測値として用いる。
〔6〕搬送装置は、容器2に規定のピッチを割り付けて容器処理装置(7)に供給するスクリュー装置6を備える。スクリュー装置6は、搬送方向D1に対して並行に配置され、容器2を受け入れる溝610が形成されているスクリュー61と、スクリュー61を軸回り方向に回転駆動するモータ62と、モータ62を駆動制御し、モータに印加される電流を計測可能に構成されているモータ駆動制御部67と、を含む。
〔7〕制御装置13-1は、一のプレッシャ調整処理として、コンベヤ(5A,5B)の速度を検知結果に基づいて加減する。
〔8〕搬送装置は、コンベヤ(5B,5C)に対して並行に配置され、搬送方向D1に所定の速度で駆動されながら容器2の側面に接触するサイドベルト装置31,32を備える。制御装置13,13-2は、一のプレッシャ調整処理として、サイドベルト装置31,32の速度を検知結果に基づいて加減する。
〔9〕制御装置13-2は、一のプレッシャ調整処理として、容器2に液体を散布する液体散布部(401)を備える。
〔10〕制御装置13-2は、一のプレッシャ調整処理として、コンベヤ(5B,5C)の搬送面(53)に潤滑剤を供給する潤滑材供給部(402)を備える。
〔11〕搬送装置は、第1のプレッシャ検知部(11)と、第1のプレッシャ検知部(11)よりも下流に位置する第2のプレッシャ検知部(12)と、を備える。コンベヤ(5)がなしている搬送路Rは、第1のプレッシャ検知部(11)よりも上流で第1のプレッシャ調整処理が行われる第1の調整領域(31,5A)と、第1のプレッシャ検知部(11)よりも下流かつ第2のプレッシャ検知部(12)よりも上流で第2のプレッシャ調整処理が行われる第2の調整領域(32,5B)と、を備える。
〔12〕搬送方法は、容器2に処理を行う容器処理装置(7)へ向けて搬送路Rを搬送される容器2に搬送方向D1に作用するプレッシャを搬送路Rにおける1つ以上の箇所で検知する検知ステップと、検知ステップによりプレッシャが検知される箇所または当該箇所よりも上流でプレッシャの検知結果を用いて行われるプレッシャ調整処理によりプレッシャを軽減させる制御ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0076】
1 製造ライン
2 容器
3 アキュームコンベヤ
4 コンバイナ
5 単列コンベヤ
5A,5B,5C コンベヤ要素
6 スクリュー装置
7 ラベラ(容器処理装置)
10,10-1,10-2 搬送装置
11,12 プレッシャ計測部(プレッシャ検知部)
13,13-1,13-2 制御装置
21~27 光電センサ
21w 波形
31,32 サイドベルト装置
41,42 液体供給/潤滑材供給装置
50 ガイド
51 チェーン
52 スプロケット
53 プレート
55 ガイド物理量計測部
56 近接スイッチ
61 スクリュー
61A 導入端
62 モータ
63 ラジアル軸受
64 スラスト軸受
64 軸受
65,66 傘歯車
67 モータ駆動制御部
71 導入スターホイール
72 排出スターホイール
73 排出コンベヤ
211 発光部
212 受光部
301 サイドベルト
302 駆動プーリ
303 従動プーリ
401 液体散布装置(液体散布部)
401A シャワーノズル
402 潤滑材供給装置(潤滑材供給部)
402A ノズル
501 ガイド部材
502 支柱
610 溝
641 軸受物理量計測部
D1 搬送方向
D2 幅方向
M1,M2,M3,M4,M12,M13 モータ
R 搬送路
T2 許容値
T3 許容値
ΔW 変位量