(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】気象関連架空配電線路故障オンライン予測
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20241108BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20241108BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241108BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G06Q10/04
G06Q50/06
H02J13/00 301A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183621
(22)【出願日】2021-11-10
【審査請求日】2024-06-03
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホンボー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ションイー
(72)【発明者】
【氏名】キム・キョン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】グオ・ジエンリン
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0257913(US,A1)
【文献】特開2005-181004(JP,A)
【文献】特開平09-107634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
G06Q 50/06
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域に対する予測システムであって、
構成要素予測プロセッサを備え、前記構成要素予測プロセッサは、
領域についての気象
データおよび構成要素データを含むデータをデータ記憶装置から受信し、パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、テーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成し、
気象変数の所与のセットを各々が含む、気象ドライバのセットを生成し、前記データセットを用いて、前記領域内の各構成要素について、気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、
前記領域内の各気象事象について、反復して、
各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新し、
リアルタイムの観測データを、期間にわたって、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して受信し、そして、各期間について、反復して、
各構成要素について、同じ対応する気象ドライバのセットを気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新し、
前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成するよう構成される、予測システム。
【請求項2】
前記領域は、電力システムの供給エリア内にあり、前記構成要素は、前記電力システムの架空配電線路である、請求項1に記載の予測システム。
【請求項3】
前記架空配電線路は、(a)電柱、(b)機械的および電子的な構成要素、(c)架空配電線路の前記電柱に沿って取り付けられた配電変圧器、(d)保護装置、ならびに(e)前記架空配電線路上に設置されるセンサを含む、請求項2に記載の予測システム。
【請求項4】
前記観測データおよ
び格納データとして受信される前記構成要素データは、各構成要素ごとに、地理的データ、ならびに、経年数;材料の種類;指定された種類および設計;取付けおよび支持装置;電気機器;植生評価;剪定評価;葉の評価;設置および保守ログ;過酷な気象曝露ログ;架空電線の周りの植生および樹木の成長および種類の評価、および管理報告のうちの1つまたは組み合わせを含むデータを含む、請求項1に記載の予測システム。
【請求項5】
前記観測データおよ
び格納データとして受信される前記気象データは、季節データ;地方地域気象;雪、結氷、雨/洪水、風、暴風/電光、周囲空気温度、野火、ハリケーン、過酷な気象評価、過酷な暴風の評価、混合事象のうちの1つとしての切迫した気象事象の分類;非事象気象データのうちの1つまたは組合せのデータを含み、前記格納データは、気象前後事象および非事象気象事象を含む、請求項1に記載の予測システム。
【請求項6】
前記気象変数のセットを前記テーブル形式に変換することは、前記領域の気象セルのグリッドを含み、各気象セルは、前記気象変数のセットにおける前記気象変数間の関係の固有の気候変動を表す、請求項1に記載の予測システム。
【請求項7】
所与の構成要素に対する気象ドライバのセットに対する前記MLモデルは、アクションの報酬について所定の確率分布のパラメータを初期値とともに設定することによって構成され、アクションは、構成要素ステータスを故障または故障していないとして予測することを含む、請求項1に記載の予測システム。
【請求項8】
所与の構成要素に対する気象ドライバのセットに対する前記MLモデルは、アクションの報酬に対する確率分布のパラメータ、および各アクションに対する対応するアクション値関数を更新することを通して更新され、アクションは、構成要素ステータスを故障または故障していないとして予測することを含む、請求項1に記載の予測システム。
【請求項9】
【数1】
【請求項10】
【数2】
【請求項11】
【数3】
【請求項12】
【数4】
【請求項13】
【数5】
【請求項14】
【数6】
【請求項15】
【数7】
【請求項16】
各気象セルを気象変数閾値と比較して、前記領域内のあるエリアにおいて気象条件シナリオを正確に表す前記閾値を満たす気象セルのグループ化を特定する、請求項1に記載の予測システム。
【請求項17】
領域内の構成要素に関する予測方法であって、
領域についての気象
データおよび構成要素データを含むデータにアクセスし、パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、前記領域の気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成することと、
気象変数の所与のセットを各々が含む、気象ドライバのセットを生成することと、
前記データセットを用いて前記領域内の各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成することと、反復して、前記領域内の各気象事象ごとに、
各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新することと、
リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の期間にわたって受信することと、反復して、各期間ごとに、
各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新することと、
前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成することとを含む、予測方法。
【請求項18】
領域内の送電網システムの架空電力線ステータスを予測するため
の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体であって
、
第1プログラム命
令を備え、
前記第1プログラム命令は、コンピュータに、
(a)領域についての気象
データおよび構成要素データを含むデータをデータ記憶装置から受信し、パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、前記領域の気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成し、
(b)気象変数の所与のセットを各々が含む、気象ドライバのセットを生成し、前記データセットを用いて前記領域内の各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、反復して、前記領域内の各気象事象ごとに、
(c)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、
(d)前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新
する処理を実現させ、
前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体は、第2プログラム命令を
さらに備え、
前記第2プログラム命令は、コンピュータに、
(a)リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して期間にわたって受信し、反復して、各期間ごとに、
(b)前記観測データから、対応する構成要素および前記IW事象のモデル強制グループを特定し、
(c)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新し、
(d)前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成する
処理を実現させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
領域内の構成要素に対する予測システムであって、
予測プロセッサは、
領域についての気象
データおよび構成要素データをメモリから受信し、
気象事象のパラメータを構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットを生成し、および気象ドライバのセットを生成するよう構成され、前記気象ドライバのセットの各々は、前記領域において気象条件シナリオを正確に表すように構成される気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数の所与のセットを含み、前記予測プロセッサはさらに、
前記データセットを用いて各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、反復して、各気象事象ごとに、
各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを気象変数とともに特定し、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新し、
リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して期間にわたって受信し、反復して、各期間ごとに、
各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新し、前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成するよう構成される、予測システム。
【請求項20】
前記構成要素は、送電網架空配電線路、送電網構成要素、電信柱、電話構成要素、もしくは壁、型枠、屋根被覆、構造骨組のうちの1つもしくは組み合わせを含む建築物プロジェクト構成要素、のうちの1つまたは組み合わせを含む、請求項
19に記載の予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、電力システムに関し、特に、リアルタイムで報告される事故データを利用して予測モデルを動的に更新する、配電線路を含む構成要素のオンライン故障予測アルゴリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
送電網は、今日の社会に最も重要なインフラストラクチャの1つであり、例えば、輸送、給水、学校、役所、および空港はすべて、電気の供給に依存する。電力を供給する電力システムインフラストラクチャは、発電、送電、および給電のための電線路、変圧器、および他の装置を含む。残念ながら、極端な気象事象の頻度、持続時間、および強度の増大は、送電網の架空配電線路に重大な脅威をもたらし、その結果、広域停電が、主として、停電の大部分に寄与する低電圧配電網および中電圧配電網において影響を及ぼす。例えば、2017年8月および9月の米国では、ハーベイ、イルマおよびマリアの3つの別個のハリケーンに見舞われ、この結果、テキサスおよびフロリダにおいて合計約750万人の顧客に対する電力が途絶えた。電力システム事故の膨大なコストおよび個人の安全性に対する影響は、今日の老朽化し疲労した配電網に鑑み、電力システムに復元力を構築するという重大な必要性をもたらした。配電網の動作復元力を高めるための1つの有効な方法は、配電網において発生する事故の迅速かつ正確な推定または予測を達成することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配電システムのいくつかの事故予測方法は、電線路事故の総数、または特定の時間間隔内における特定のエリアについての事故の合計時間を予測することを含むことができる。しかしながら、これらの事故予測方法は、事故予測モデルを構築することを試みるときに重大な技術的課題に直面する。例えば、第1の課題は、予測を行うのに利用可能なデータを有していないことであり得る。第2の課題は、例として個々の架空配電線路事故を予測するために、各配電線路の個々の故障モデルを導出するために用いることができるデータが存在する必要があることである。例えば、履歴日の事象に基づくロジスティック回帰に基づく方法を用いる。しかしながら、履歴日のほとんどにおいて、これらの架空配電線路の事故ステータスは「稼働中」とラベル付けされ、架空配電線路の稼働ステータスには重大な不均衡が存在する。
【0005】
克服すべき別の課題は、モデル更新の課題である。ほとんどの事故予測モデルは、過去の知識または履歴データに基づいて導出される。しかしながら、実際には、過去の知識は、現在の決定または予測をサポートするのに十分な証拠ではない。例えば、少なくとも1つの理由は、気象条件の大部分は、特にいくつかの極端な気象事象については、予測が困難であり、および/または発生が稀であるかもしれず、事故予測モデルに用いられるのに十分な事故データが欠如している、ということである。また、事故データの分布は、必ずしも均一ではない。気象予報および個々の差異(例えば、植生環境、剪定、老朽化など)の固有の不確実性は、任意の履歴事故データの保全性を変化させる可能性がある。
【0006】
従来、停電分析は、そのような分析のための主な情報源として停電の場合に公益事業会社に対して行われる顧客電話呼に依存する。このプロセスは非常に遅い可能性があり、その理由は、多くの顧客は停電を報告する電話をしないことがあり、停電を報告する人々は、近隣の顧客がかわりに電話するとしばしば想定して、停電を報告するのに比較的長い期間待つ場合があるからである。
【0007】
顧客が停電を報告するために公益事業者に連絡すると、修理員が派遣されて、故障配電網要素を判断し、故障修復を行い、最終的にサービス回復を行う。修理員は、損傷の程度および停電を引き起こしている損傷の場所についての詳細の助けが無ければ、停電が単一の場所の停電なのか、または複数の場所に対する停電なのか、確かでない場合がある。しかしながら、修理は、顧客が停電を経験し、公益事業者に連絡するためのステップをとるまでは実施されない。そして、上述したように、修理員が派遣され、停電の原因が判断され、電力が回復するまで、顧客は電力なしで待たされ、それは、サービス品質の低下および顧客の不満の増大に至る。
【0008】
電力システムのための架空配電線路のためのいくつかの事故または故障予測方法がある。例えば、US2014/025,7913 A1の方法は、故障率モデルを用いて架空配電線路の事故ステータスを予測する。故障率モデルは、履歴データを用いて、統計アプローチ(一般化された線形回帰モデルなど)、または履歴事故サンプルに基づく機械学習技術(サポートベクトルマシンアプローチなど)を用いることによって、時間間隔または空間間隔において事象が発生する回数をモデル化する。しかしながら、US2014/025,7913 A1の方法には、正確な予測を行うのに使用可能なデータの欠如を含む多くの問題がある。個々の線路事故を予測するために、ある方法は、各配電線路に対する個々の故障モデルを導出する必要があり、それは、履歴日の事象に基づくロジスティック回帰に基づく方法を用いることにより得る。しかしながら、送電網システムによる配電線路についての大抵の事故ステータス報告は「稼働中」とラベル付けされ、US2014/025,7913 A1の方法で用いられるデータでの、実際の配電線路稼働状態の報告には重大な不均衡が存在する。また、架空配電線路に対する事故データは、US2014/025,7913 A1の方法のように、必ずしも均一ではない。例として、気象予報および個々の配電線路差異(例えば、植生環境、老朽化など)の固有の不確実性があり、それは、US2014/025,7913 A1方法で用いられるデータと同様に、履歴事故データへの信頼を変え得る。
【0009】
既存の故障予測方法は、いくつかの特定の事故予測問題を解決し得るが、それらは、オンライン故障予測問題を解決しない。したがって、リアルタイムで報告される事故データを利用する予測モデルの動的更新を含む、配電システムの回復のための架空配電線路を対象とするオンライン故障予測方法が必要である。
【0010】
概要
本発明は、一般に、電力システムに関し、特に、リアルタイムで報告される事故データを利用して予測モデルを動的に更新する、配電線路を含む構成要素のためのオンライン故障予測アルゴリズムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態は、配電システムにおける架空配電線路または電線事故ステータスに対する気象事象の影響を分析する評価アプローチを含む。いくつかの実施形態は、配電システムにおいて最も脆弱な構成要素である架空配電線路に対するオンライン事故ステータス予測を含む。ハリケーンまたは他の深刻な事象など、すなわち、降雪/降雨混合事象、39~73mphの風を伴う熱帯サイクロン、雷雨、降雪事象などの過去の気象事象の履歴データが収集され、故障予測モデリングにおいて用いられ得る。
【0012】
本開示の実施形態の少なくとも1つの実現は、故障予測問題の定式化を補助するために、テーブル形式で気象条件を表すことを含む。これは、2つの気象変数、すなわち、最大瞬間風速および落雷電流、または、各気象変数領域(最小値および最大値)をテーブル形式に変換する何らかの他の2つ以上の変数の間の関係を特定するのに役立つことができる。基本的に、最小値および最大値は、テーブル形式でセルのセットの範囲に分割され、セット内の各セルは、2つの気象変数間の関係の固有の気候変化を表す。次いで、各セルを、特定の量の最大瞬間風速およびある量の落雷電流の閾値と比較して、架空配電線路が位置する可能性がある領域内のある特定のエリアにおける気象条件シナリオを正確に表す、閾値を満たすセルのグループ化を特定する。領域がセルの格子状配置に分割され、閾値を満たすセルが他の同様のセルと隣接する場合、表示されると、セルのグループを含む特定のエリアは気象条件シナリオを正確に表す。気象変数をテーブル形式で表現することのいくつかの利点は、気象条件シナリオの量を全領域からセルの特定のグループ化に低減することを含み得、それは、全領域に関連付けられる個々の値(最小値/最大値)を用いる従来の方法と比較して、予測精度技術を組み込む必要がないことを可能にする。
【0013】
別の認識は、予報予測モデルにおいて履歴事故データを用いるだけでは、配電線路の故障を予測する際に送電網運用者のリアルタイムまたは現在の時間内決定をサポートするのに十分な証拠ではないことである。これは、履歴データが極端な気象事象には向けられず、構成要素故障を予測するための事故データを欠き、信頼性がないためである。この問題に対する少なくとも1つの解決策は、故障予測問題をオンラインのシーケンシャルな意思決定問題として再定式化することであり得、この場合、独立した故障予測モデルが各テーブル形式セルに対して用いられ、すなわち、問題における各故障予測器は複数の独立したベルヌーイバンディット問題を解決しようとする。
【0014】
本開示の実施形態は、予測または観測された気象条件を受信すると、構成要素のステータスを正確に予測する故障予測器予測を含む。観測されたデータは、通信ネットワークまたは有線接続を介して受信されるデータであり、気象局のローカルネットワークからの気象データ、第三者気象予測、または何らかの他の気象関連主体を含み得る。観測されるデータは、送電網システムまたは電気公益事業会社の監視制御およびデータ取得(SCADA)システムと通信する、構成要素に関連付けられるセンサからの構成要素データを含み、このシステムは、構成要素に関連付けられる情報、すなわち電力線ステータスおよび他のインフラストラクチャステータスを監視および中継する。例えば、遠隔端末ユニット(RTU)は、センサに接続し、センサ信号をデジタルデータに変換し、SCADAシステムのシステムにデジタルデータを送信することができ、SCADAシステムのシステムは、通信ネットワークに接続され、これは、構成要素故障予測システムに通信する。SCADAシステムの大部分の制御動作は、RTUによって、またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)によって実行することができる。PLCは、RTUまたはPLCレベルにおいて、通信ネットワークを介してSCADAシステムに通信される機器ステータス報告を含むデータを他のシステムから収集することができるように、いくつかのプロセスを制御することができる。
【0015】
予測は、構成要素のステータスを稼働中または事故として予測することによって達成することができ、各アクションは、ベルヌーイ分布によってモデル化され得る予測正確さの確率に関連する。ベルヌーイバンディット問題は、複数の独立した競合するアクションの中からあるアクションを選択し、報酬を受けるアクションを選択することであり、報酬はベルヌーイ分布の確率と関連付けられている。多腕バンデット問題の目的は、期待される報酬関数を最大化するアクションを選択するのに最良の戦略を用いることである。多腕バンデット問題によって提供される戦略を利用することによって、故障予測を解いて、構成要素故障を予測するための最高の長期精度を達成することができる。
【0016】
例えば、まず、各気象範囲組合せの故障予測モデルのパラメータを、対応する範囲に入り、切迫した気象の予測モデルの出力を用いて更新される履歴気象事象の予測モデルの出力を用いて決定することができる。故障予測は、複数ラウンド繰り返しゲームのオンライン学習プロセスとして扱うことができる。各ラウンドにおいて、予測が最初に行われ、次いで、真の成果を明らかにするために観測を得、最後に、予測の正確さに基づいて対応する報酬または損失が決定される。その目的は、累積報酬/損失および最良の予測戦略の累積報酬/損失に基づいて定義される報酬を最大化する、または損失を最小化することである。これが利用されるいくつかの理由は、実験中、オンラインのシーケンシャルな意思決定を用いて、各構成要素の事故ステータスを直接予測できることが見出されたためである。一方、予測モデルをオンラインで更新することにより、既存の事前条件(経年数、摩耗条件など)の影響を組み込むことができ、周囲の条件(落木など)のリアルタイム変化を容易に反映することができる。
【0017】
いくつかの実施形態の次のステップは、故障予測モデル精度に対する未知の固有の不確実性の影響を最小化することに対処する。これらの不確実性は、気象予測および個別差(例えば、植生環境、剪定、老朽化など)を生じる可能性がある。気象予測の不確実性は、値ではなく範囲によって気象条件を提示することによって部分的に緩和される。個別差からの不確実性は、故障予測のための適切なオンライン学習フレームワークを選択することによって処理される。学習プロセスを通じて、より強い学習能力を有するフレームワークは、最新の予測について報告された精度で予測モデルを更新することによって、未知の固有の不確実性の影響を迅速に拾い上げるすることができる。
【0018】
例えば、2種類の学習フレームワークを所望の故障予測器の設計に組み込むことができ、一方は最尤度推定に基づき、他方は最大事後推定に基づく。最尤度ベースの学習フレームワークは、故障予測の予想される報酬として定義されるアクション値関数を最大化することによって、ベルヌーイ確率分布のパラメータ、すなわち分布の平均を推定するので、仮定される統計モデルのもとで、観測されたデータは最確である。最尤度ベースの学習フレームワークは、貪欲法であり、それは、準最適解に収束し得る。準最適性を克服するために、ε-greenアルゴリズムを、εの確率で2つのアクションの間でランダムにアクションを選択し、(1-ε)の確率で予想される報酬を最大化するアクションを選択することによって、用いることができる。故障予測に用いられ得る最尤度推定の他の変形例は、期待される報酬として定義される信頼上限に、最適値を有する強い可能性があるアクションを好む項を加えたものを最大にするために、常にもっとも貪欲なアクションを選択する信頼上限(UCB)アルゴリズムである。故障予測のための最大事後ベースの学習フレームワークは、ベータ分布を用いた事前分布が与えられるという条件下で、ベルヌーイ確率分布のパラメータを推定する。
【0019】
2つのタイプの学習フレームワークは、故障予測モデル精度に対する未知の固有の不確実性の影響を軽減するために、受信された、報告された事故データを用いて、オンラインモデルパラメータを調整するように設計される。学習フレームワークは、2つのタスクを実現し、1つは、予測の正しさの確率分布モデルに基づいて構成要素のステータス予測を実行し、もう1つは、その構成要素の最新の予測およびリアルタイムで報告されるステータスを用いて、確率分布モデルのパラメータを更新する。学習フレームワークは、計算負荷と推定精度とのトレードオフによって選択される。パラメータは、データベースに記憶することができ;したがって、モデルの更新は、記憶されたパラメータを評価し、最新の予測および対応するステータス報告でのみ更新することによって行うことができる。
【0020】
本開示の別の実施形態は、所定の領域に位置する架空配電線路を含む構成要素のための構成要素故障予測システムを含む。架空配電線路の故障または電力線故障のいくつかの例は、断線(すなわちワイヤ)、倒れた/折れた電柱、短絡オンラインセグメント、ラインスイッチの機能不全、および給電変圧器上の短絡を含み得る。所定の領域は、配電システムによる供給エリアであり、架空配電線路に関連する構成要素の集合を含む。ハードウェアまたは電子プロセッサは、データ記憶装置から、モデル強制に対応する最大瞬間風速および落雷電流に関連する所与の気象変数(「気象ドライバのセット」とも呼ばれる)、ならびに所定の領域に対する構成要素事故に対応する気象事象などの気象および構成要素データを含む履歴データを含む、データにアクセスするために用いることができる。気象は、季節データ;雪、結氷、霙、雨/洪水、風、暴風/電光、周囲空気温度、野火、ハリケーン、過酷な気象評価、過酷な暴風の評価、他の混合事象などの1つとしての切迫した気象事象の分類のうちの1つまたは組み合わせを含むデータを含むことができる。構成要素は、経年数;材料の種類;指定された種類および設計;取付けおよび支持装置;電気機器;植生評価;剪定評価;葉の評価;設置および保守ログ;過酷な気象曝露ログ;架空電線の周りの植生および樹木増殖の評価のうちの1つまたは組み合わせを含む各構成要素のデータを含むことができる。ここで、所定の領域に対する構成要素事故に対応する気象事象を含む履歴気象データおよび履歴構成要素データを用いることにより、履歴気象事象の変数を用いてモデル強制強度グループを定義し、各モデル強制強度グループについて機械学習(ML)モデルを構成することができる。さらに、あらかじめ定められた場所に対する切迫した気象事象情報に固有のパラメータのセットを生成することができ、それは、場所、時期などを含むことができ、パラメータは、その季節に対する季節データ;雪、結氷、雨、霙、風、電光、周囲空気温度、植生、土地利用、地形などの分類を含むことができる。IW事象のパラメータは、資源割り当て、構成要素修復、およびサービス回復に用いることができる。本開示の実施形態のハードウェアプロセッサは、以下を含むいくつかのステップを実現することができる:
●履歴気象事象の変数を用いてモデル強制強度グループを定義し、モデル強制強度グループごとに機械学習(ML)モデルを構成するステップ;
●履歴データを介して気象事象を検索し、気象事象のモデル強制強度グループを特定し、そのグループに対応するMLモデルを用いて推定出力値を生成し、推定出力値および履歴構成要素データを用いてMLモデルを更新し、気象事象ごとに順次繰り返すステップ;
●複数の期間にわたって連続的なリアルタイム観測データを切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークから受信し、反復的に、各期間について;
●観測された気象データを介して、IW事象のモデル強制強度グループを特定するステップ;
●そのグループのMLモデルを最新の予測出力値と観測された構成要素データとを用いて更新するステップ;
●更新されたMLモデルについて、構成要素の故障または構成要素の故障なしを予測する更新された出力値を、その期間にわたって構成要素ごとに生成するステップ。
【0021】
本開示の態様は、送電網の集中配電制御システムによって制御される通信ネットワーク、または見直し中の構成要素の周りに位置するローカル通信装置を介して、リアルタイムで報告される事故データを受信することを含む。異なるアクション選択戦略を有するアルゴリズムの有効性は、シミュレーションによって生成されるかまたは履歴データから収集される気象事象サンプルのセットを用いて評価することができ、予測精度は、すべてのサンプルについては精度メトリックを用い、陽性サンプルと陰性サンプルとの区別にはF1スコアメトリックを用いて、すなわち二値事故ステータスを用いて測定することができる。故障予測モデルは、まず、履歴データを用いて学習され、次いで、最新の予測および報告されるデータで更新し続けながら、リアルタイムの適用に用いられ得る。
【0022】
実用的な応用
本実施形態は、作業員用準備物や停電用機器を手配することとともに必要とする、修理員の数を局所的または非局所的に予め決めておくという技術的課題を解決する。より良好に準備することにより、公益事業者は、より速く、より費用効率的に電力を回復し、履歴データを用いて仮定を行うよりもむしろ、実際の定量的分析において暴風に備える決定を公益事業者が判断すること知ることにより、ユーザに信頼を浸透させることができる。本開示の実施形態の特徴は、履歴データ、さらにはリアルタイムの観測データを用い、故障予測問題をオンラインのシーケンシャルな意思決定問題として再定式化することによって生じ、各テーブル形式セルごとに、独立した故障予測モデルを用い、すなわち、各故障予測器は、問題において、複数の独立したベルヌーイバンディット問題を解決しようとする。
【0023】
例えば、本開示の実施形態は、従来の履歴およびリアルタイムフォーマットされたデータから2つの気象変数(最大瞬間風速および落雷電流)の間の関係を特定し、各気象変数領域(最小値および最大値)をテーブル形式に変換する。基本的に、最小値および最大値は、テーブル形式でセルのセットの範囲に分割され、セット内の各セルは、2つの気象変数間の関係の固有の気候変化を表す。次いで、各セルは、気象条件のシナリオを正確に表すセルのグループ化を特定するために、特定の量の最大瞬間風速の閾値およびある量の落雷電流の閾値と比較される。気象変数をテーブル形式で表現することにより、気象条件シナリオの量を全領域からセルの特定のグループ化に低減するという技術的効果に寄与し、それは、全領域に関連付けられる個々の値(最小値/最大値)を用いる従来の方法と比較して、予測精度技術を組み込む必要がないこと含む技術的な目的に応えることができる。より重要なことに、本開示の実施形態は、従来の履歴データおよびリアルタイムデータを、値フォーマットされたデータから範囲フォーマットに分割してセルのグリッド状配置にすることに部分的に基づいて、従来の方法よりもより正確な予測をもたらす。閾値を満たすセルは、他の同様のセルに隣り合わせられ、表示されると、セルのグループを含む特定のエリアは、気象条件のシナリオを正確に表す。本開示の実施形態によって、その期間、構成要素のステータスが故障しているかまたは故障していないかを予測する、結果として得られる出力値を用いて、作業員用準備物や停電用機器を手配することとともに必要とする、修理員の数を局所的または非局所的に予め決めておくという技術的課題を解決する。公益事業者がより良好に備えることを可能にする結果、より速く電力が回復され、費用効果を増大させる。この技術的問題に対処する必要がある理由は、過酷な気象が配電ネットワークに大きな損傷を引き起こし、停電を引き起こすからである。公益事業者のエンジニアおよび緊急準備スタッフのために危険気象のリスクを管理することは、予測される事故のために、時系列の気象予測を用いて正確な情報を受信する必要があり、これは、本開示の実施形態が提供するものである。
【0024】
実験法
実験からわかったことは、テーブル形式で気象条件を表すことは、故障予測に関して複数の利点を提供することができることである。第1の利点は、気象条件変動を、ある範囲内の気象の固有の気候変動に対応する領域内のセクションのセットに制限することによって、故障予測モデルの複雑さを単純化することである。第2の利点は、故障予測モデルを決定するのに十分なデータがあることを保証することである。
【0025】
本開示の故障予測モデルを開発する際に、実験から気付くいくつかの認識において、1つの実現形態は、気象条件をテーブル形式で表現することは重要ではなく、独自の特徴であるということである。これは、構成要素故障と気象条件との間の関係の複雑さが、特定の範囲、すなわち、ある範囲内での気象の固有の気候変動内において、ドメイン内のセクションのセットにさらに定義または狭められるためである。はるかにより広い範囲を有する従来の方法と比較して、構成要素故障と気象条件との間の関係の複雑さをドメイン内のセクショのセットに大幅に低減することにより、より単純化されたモデルを故障予測に用いて、気象予測業界内で今日の予測需要を満たすことができるオンラインアプリケーションの計算速度要件を満たすことができる。
【0026】
実験を続けると、気象条件の影響は、個々の気象条件値を用いる従来のアプローチの代わりにテーブル形式表現を用いる場合、範囲によって評価される。例えば、従来の電力線事故予測方法は、気象条件が個々の値としてフォーマットされる/表される場合、より広い範囲に対する気象事象の影響を分析する。本実施形態のテーブル形式表現による範囲への気象条件の変換は、構成要素の故障を気象条件に関連付けることができる、より単純化されたモデルである。テーブル形式表現がより単純化されるいくつかの理由は、テーブル形式表現によって定義される同じ範囲に属する気象事象に対する気象条件差を無視できることである。
【0027】
従来の予測方法によって値を用いることとは対照的に、値から範囲への変換が、なぜ、値を用いる従来の手法とは非常に異なるかのいくつかの態様は、予測問題がどのように解決されるかという構成にあり得る。先に論じたように、正確な履歴データなしでは、事故予測モデルが架空配電線路の事故を予測することは困難である。気象条件をテーブルで表現することから後で認識される1つの驚くべき利点は、上述のように、気象条件シナリオの量および予測精度の要件さえも低減する可能性である。故障予測モデルにおいて気象条件シナリオの量を低減することが重要な理由は、気象条件をテーブル形式で表現すると、同じテーブル形式セルに属する気象事象の差が無視されるため、従来のように気象変数ごとに詳細な値を必要としないからである。そうすることによって、電力公益事業者は、より正確かつより高解像度の気象観測のための待ち時間を低減させ、構成要素故障情報が利用可能となると、準備を開始し、災害修復および回復のために職務をはるかに早く指令することができる。テーブル形式表現を用いることに対する別の利点は、気象条件を値の代わりに範囲として表すことによって、構成要素故障モデルを構成および較正するのに十分な数の過去の気象事象を収集することがはるかに容易になる。したがって、オンライン故障予測のためのデータ作成およびモデル検証の困難さも低減する。
【0028】
さらなる試験は、故障予測問題を、各テーブル形式セル、すなわち気象変数の変動範囲の組み合わせに対して、独立した故障予測モデルを用いる、オンラインのシーケンシャルな意思決定問題として、定式化することを含んだ。わかったことは、本開示のオンラインのシーケンシャルな意思決定アプローチはいくつかの実験的試験故障予測アプローチとは非常に異なることである。例えば、第1の試験アプローチは、線路事故の総数と、履歴気象データを用いて特定の期間内の特定のエリアに対する事故の合計時間とを予測することを含んだ。しかしながら、この第1の試験アプローチは、単に、全事故および全持続時間の統計値予測を提供したにすぎず、配電システムが事故分離、復旧、および構成要素修復作業を行うのに重要な事故発生の場所および時間を指摘しなかった。最後に、第1の試験アプローチを用いた実験後、本開示の最小の目標を満たす故障予測を得ることができないため、試験を停止した。例えば、第1の試験アプローチは、どの構成要素に事故が起こっており、いつ事故が発生しているかを特定することができなかった。第1の試験に続いて、より成功した故障予測を達成するために、異なる統計的アプローチを組み込むことを含んだ第2の試験アプローチが、より充分に吟味されるように開発された。
【0029】
第2の試験実験的アプローチは、気象事象からの電力設備の損傷評価を提供するために用いられる、クラディッドフラジリティ曲線とも称される故障率モデルの使用を含んだ。この試験モデルは、履歴事故サンプルデータを用いて事故の回数を仮定し、続いてポアソン分布を用いて、ある時間または空間の間隔内で事故事象が発生した回数をモデル化した。成功した故障予測アプローチを開発するためのすべての可能な解決策を完全に調査するために、一般化線形回帰モデル、履歴事故サンプルに基づくサポートベクトル機械アプローチなどの機械学習技法を含むいくつかの異なる統計的アプローチが、故障率モデルとともに組み込まれた。
【0030】
しかしながら、第1および第2の試験アプローチの試験から後でわかったことは、事故予測モデルを構築することは、重大な技術的課題に直面する、ということである。第1の課題は、本開示の目標を満たすための故障予測モデルの開発に関して利用可能なデータがないことであった。例えば、個々の線路事故を予測するとき、各配電線路に対して個々の故障モデルを導出する必要がある場合、例えば、あるアプローチは、履歴日の事象に基づくロジスティック回帰に基づく方法を用いることを含み得る。しかしながら、今日の電力系統会社やサードパーティによる事故履歴の報告の記録慣習では、事故中の配電線路のステータスを「稼働中」とラベル付けされた事故状態を有するとして記録しており、配電線路の稼働ステータスの記録には深刻な不均衡が存在する。実験から学習された第2の課題は、第1および第2の試験アプローチならびに試験された複数の他の試験アプローチが、故障予測モデルを更新する任意の態様を含むことができなかったことである。これらの試験された試験アプローチ、および従来の故障予測アプローチまたは従来の故障予測モデルさえも、すべて、過去の知識または履歴事故サンプルに基づいて導出された。
【0031】
この実験から認識されたのは、過去の知識、すなわち過去の事故データのみを用いることは、今日の電力産業の送電網または電力会社の配電線路または他の構成要素の故障を予測する際に、リアルタイムまたは現在の時間内決定をサポートするのには十分な証拠ではないことである。第1に、履歴的な記録された気象条件は、極端な気象事象に向けられることはほとんどなく、履歴的な記録された気象は、送電網システムの他の構成要素の電力線故障を予測することに関して十分な事故データを欠いている。第2に、事故データの分布は、常に均一または信頼できるわけではない。気象予報差および個別差(例えば、植生環境、老朽化など)の固有の不確実性は、履歴事故データに対する信頼を変化させる。したがって、故障予測問題をオンラインのシーケンシャルな意思決定問題として定式化することにより、故障予測は過去の知識や状況から学習するだけでなく、リアルタイム気象データの影響とともに、対応して更新することができる。
【0032】
故障予測問題をオンラインのシーケンシャルな意思決定問題として定式化する際に、ある試験実験のセットは、故障予測問題を再定式化することを含み、故障予測問題内の各故障予測器は、複数の独立したベルヌーイバンディット問題を解決しようとする。所望の故障予測器は、予測または観測された気象条件を受け取ると、構成要素のステータスを正確に予測する。予測は、構成要素ステータスを稼働中として予測するかまたは事故として予測するかのいずれかを選択することによって達成することができ、各アクションは、ベルヌーイ分布によってモデル化され得る予測の正確さの確率に関連する。このように、故障予測は、ベルヌーイ二本腕バンディット問題とみなすことができる。ベルヌーイ多腕バンディット問題は、複数の独立した競合するアクションの中からあるアクションを選択することであり、アクションを選択すると報酬が受け取られ、その報酬はベルヌーイ分布を伴う確率と関連付けられる。多腕バンディット問題の目的は、期待される報酬関数を最大化するアクションを選択するのに最良の戦略を用いることである。多腕バンディット問題によって提供される戦略を利用することによって、故障予測を、予測のための最高の長期精度を達成するよう解くことができる。
【0033】
本開示の別の実施形態によれば、領域に対する構成要素予測システムは、構成要素予測プロセッサを備え、前記構成要素予測プロセッサは、領域についての気象および構成要素データを含むデータをデータ記憶装置から受信するよう構成される。パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、テーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成する。気象ドライバのセットまたはモデル気象ドライバのセットを生成し、気象ドライバの各セットは気象変数の所与のセットを含む。前記データセットを用いて前記領域内の各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成する。前記領域内の各気象事象について、反復して、各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定する。前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成する。前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新する。リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して期間にわたって受信する。反復して、各期間ごとに、各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定する。前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新する。前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成する。
【0034】
本開示の別の実施形態によれば、領域内の構成要素に関する構成要素予測方法であって、領域についての気象および構成要素データを含むデータにアクセスすることを含む。パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、前記領域の気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成する。気象変数の所与のセットを各々が含む、気象ドライバのセットを生成する。前記データセットを用いて前記領域内の各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、反復して、前記領域内の各気象事象ごとに、各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定する。前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新する。リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の期間にわたって受信し、反復して、各期間ごとに、各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定する。前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新する。前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成する。
【0035】
本開示の別の実施形態によれば、領域内の送電網システムの架空電力線ステータスを予測するためのコンピュータプログラム製品のための方法であって、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含む。前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のうちの少なくとも1つに格納されるプログラム命令は、(a)領域についての気象および構成要素データを含むデータをデータ記憶装置から受信し、パラメータを各々が含む気象事象を構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットと、前記領域の気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数のセットとを生成し、各グリッドごとに、各気象セルは、前記気象変数のセットの気象変数間の関係の固有の気候変動を表し、(b)気象変数の所与のセットを各々が含む、気象ドライバのセットを生成し、前記データセットを用いて前記領域内の各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、反復して、前記領域内の各気象事象ごとに、(c)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、(d)前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新する。前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体のうちの少なくとも1つに格納されるプログラム命令は、(a)リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して期間にわたって受信し、反復して、各期間ごとに、(b)前記観測データから、対応する構成要素および前記IW事象のモデル強制グループを特定し、(c)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを、最大瞬間風速および落雷電流を含む気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新し、(d)前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成する。
【0036】
本開示の別の実施形態によれば、領域内の構成要素に関する予測システムのための方法であって、予測プロセッサを備え、前記予測プロセッサは、領域についての気象および構成要素データをメモリから受信するよう構成される。気象事象のパラメータを構成要素位置とともに特定するよう前記領域に対するデータセットを生成する。気象ドライバのセットを生成し、各気象ドライバのセットは、前記領域において気象条件シナリオを正確に表すように構成される気象セルのグリッドを表すテーブル形式に変換される気象変数の所与のセットを含む。前記データセットを用いて各構成要素について気象ドライバの各セットごとに機械学習(ML)モデルを構成し、反復して、各気象事象ごとに、(a)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを気象変数とともに特定し、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルのための出力値を生成し、前記出力値および前記気象事象に対する前記構成要素データとともに前記MLモデルを更新し、(b)リアルタイムの観測データを、前記領域における切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークを介して期間にわたって受信し、反復して、各期間ごとに、(c)各構成要素について、対応する気象ドライバのセットを気象変数とともに特定し、前記構成要素について最後に実行された反復予測出力値および前記IW事象の前記観測データを用いて、前記気象変数のセットに対する特定された構成要素に対応する前記MLモデルを更新し、前記更新されたMLモデルについて、構成要素ステータスを予測する出力値を、前記期間について、故障しているかまたは故障していないとして生成する。
【0037】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態についてさらに説明する。示される図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、概して、ここに開示される実施形態の原理を例示することに強調がおかれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】本開示の実施形態による、所定の領域に位置する配電システムにおける架空電線などの構成要素のための構成要素故障予測方法を示すブロック図である。
【
図1B】本開示の実施形態による、いくつかの構成要素で構成された、
図1Aの方法と同様の構成要素故障予測システムを示すブロック図である。
【
図1C】本開示のいくつかの実施形態による、
図1Aの方法のような構成要素故障予測システムを示し、コンピュータアプリケーションならびに計算処理およびデータストレージに接続された中央計算アプリケーションを示す概略図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、配電システムの構成要素およびシステムの構成要素間の関係を示す概略図である。
【
図2B】本開示の実施形態による、オンラインの配電線路故障予測問題のいくつかの方法ステップを示すブロック図である。
【
図2C】本開示の実施形態による、いくつかの実施形態が過酷な気象事象の影響を受けやすい電話構成要素ステータスを予測するように構成された電話会社ランドスケープ200Cを示す概略図である。
【
図2D】本開示の実施形態による、いくつかの実施形態が過酷な気象事象の影響を受けやすい建設プロジェクト構成要素ステータスを予測するように構成される建設プロジェクトを示す概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、テーブル形式の気象表現を示す概略図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、より大きい領域測定に基づいて、より小さい領域に対する気象条件を導出することを示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、変換されたオンライン配電線路故障予測問題のいくつかの方法ステップを示すブロック図である。
【
図5A】本開示の実施形態による、データ生成のためのベイズネットワークを示す概略図である。
【
図5B】本開示の実施形態による、故障予測アルゴリズムテスト実施のための人工データ点のデータセットを生成するいくつかのプロセスステップを示すブロック図である。
【
図6A】本開示の実施形態による、故障率モデルの態様を示すグラフの図である。
【
図6B】本開示の実施形態による、故障確率モデルの態様を示すグラフの図である。
【
図7A】本開示の実施形態による、風関連データ生成のためのパラメータ設定を示す表である。
【
図7B】本開示の実施形態による、電光関連データ生成のためのパラメータ設定を示す表である。
【
図8】本開示の実施形態による、アルゴリズム1~2に記述されるオンライン予測アルゴリズムおよびそれらの変形例を検証するために10,000個の人工データ点を有するデータセットが生成される、最大瞬間風速および電光電流に関する人工データ点のデータ分布を示すグラフの図である。
【
図9A】本開示の実施形態による、平均精度を用いた5つの異なるアルゴリズムに対する評価結果を示すグラフの図である。
【
図9B】本開示の実施形態による、平均F1-スコアを用いた5つの異なるアルゴリズムに対する評価結果を示すグラフの図である。
【
図10A】本開示の実施形態による、高発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図10B】本開示の実施形態による、中発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図10C】本開示の実施形態による、低発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図11A】本開示の実施形態による、高発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図11B】本開示の実施形態による、中発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図11C】本開示の実施形態による、低発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフの図である。
【
図12】本開示の実施形態による、代替のコンピュータまたはプロセッサを用いて実現され得る、
図1Aおよび
図1Bの方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上記で特定された図面は、ここに開示される実施形態を記載しているが、議論に記載するように、他の実施形態も企図される。本開示は、限定ではなく例示として例示的な実施形態を提示する。当業者は、本開示の実施形態の原理の範囲および精神に含まれる多数の他の修正および実施形態を考案することができる。
【0040】
詳細な説明
本開示は、配電システムの構成要素のオンライン故障予測のためのシステムおよび方法を提供することに関する。
【0041】
図1Aは、本開示の実施形態による、所定の領域に位置する配電システムにおける架空電線などの構成要素に対する故障予測方法100Aを示すブロック図である。ステップ110は、ステップ115でデータにアクセスすることを含み、データは、モデル強制(「気象ドライバのセット」とも呼ばれる)に対応する最大瞬間風速および落雷電流に関連する所与の気象変数と、所定の領域の構成要素事故データに対応する気象事象データを含む履歴データとを含む。ステップ110を続けると、履歴気象事象の変数を用いてモデル強制強度(FI)グループを定義し、FIグループごとに機械学習(ML)モデルを構成する。
【0042】
図1Aのステップ120は、ステップ115からの履歴気象(HW)事象を履歴データアクセスから順次検索し、その事象に対するFIグループを特定し、そのFIグループに対応するMLモデルを用いて推定出力値を生成し、推定出力値および履歴構成要素データを用いてMLモデルを更新することを含む。
【0043】
図1Aのステップ125は、ステップ130から、複数の期間にわたって、各期間について、切迫した気象(IW)事象の通信ネットワークから連続的なリアルタイム観測データを受信することを含む。ステップ125は、観測された気象データから、IW事象に対するFIグループを特定することによって継続する。
【0044】
図1Aのステップ135は、最後に実行された反復予測出力値およびステップ130からの観測された構成要素データを用いてMLモデルを更新することを含む。
【0045】
図1Aのステップ145は、更新されたMLモデルについて、構成要素の故障または構成要素の故障なしを予測する更新された出力値を、構成要素ごとに、期間に対して生成するステップを含む。
【0046】
図1Bは、本開示の実施形態による、いくつかの構成要素で構成された、
図1Aの方法と同様の構成要素故障予測システムを示すブロック図である。1つ以上のコンピュータ102は、入力インターフェイス106、メモリ108、通信ネットワーク104、1つ以上のプロセッサ116、およびデバイス123と通信する。コンピュータ102は、構成要素112、すなわち、送電網または配電システムの架空電線に接続される。コンピュータ102は、
図12の構成要素とともに組み込まれてもよい。
【0047】
図1Bのステップ101は、通信ネットワーク104からの観測データの監視および受信を含む。
図1Bには示されていないが、通信ネットワーク104に接続されるフェーザ管理ユニット(PMU)を介して不規則な事象および位置を検出し、観測されたデータを提供するために、架空配電線路112と一体化されたセンサが考えられる。PMU(図示せず)は、オンライン決定サポートのために配電網運用者に観測データを提供することができる。送電網システムは、架空配電線路112に沿って位置決めされたPMUを有することができる。構成要素故障予測システムは、PMUを管理することができ、複数のコンポーネント、すなわちプロセッサ、インターフェイスなどを有することができ、それらはすべて、システム設定はユーザシステムおよび動作要件に依存し得る。
【0048】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、
図1Bの構成要素故障予測システム100Bは、
図1Aのステップを含み、プロセッサのステップ111、ステップ113、ステップ117、ステップ119およびステップ121、ならびにデバイスによるステップ123のステップを示し、
図1Aでは、
図1Bでは言及していないステップが仮定される。
【0049】
図1Bに示されていない構成要素故障予測システム100Bの構成要素のいくつかの態様は、任意選択で、構成要素に関連付けられる情報、すなわち電力線ステータスおよび他のインフラストラクチャステータスを監視および中継する送電網システムまたは電気公益事業会社の監視制御およびデータ取得(SCADA)システムに接続されることができる。実施形態のための構成要素の具体的構成は、いくつかの要因の中でもとりわけ、ユーザ要件および動作制限に依存する。SCADAに関して、ユーザは、プロセスまたは設備またはインフラストラクチャを監視および制御するための産業制御システムまたはコンピュータベースのシステムとしてSCADAを設定することができる。SCADAシステムに接続されるのは、HMI(Human-Machine Interface)、あるタスク専用の他のコンピュータおよびプロセッサ、RTU(Remote Terminal Units)を含むことができる。RTUは、センサに接続し、センサ信号をデジタルデータに変換し、デジタルデータをSCADAシステムのうちのあるシステムに送信することができ、そのシステムは、通信ネットワーク104に接続され得、通信ネットワーク104は、構成要素故障予測システム100Bに通信する。SCADAシステムの大部分の制御動作は、RTUによって、またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)によって実行することができる。PLCはいくつかのプロセスを制御することができるが、SCADAシステムは、運用者が構成要素故障予測システム100Bのプロセスの態様を変更することを可能にしてもよい。RTUまたはPLCレベルでは、通信ネットワーク104を介してSCADAシステムに通信される機器ステータス報告を含む他のシステムからのデータを収集することを含み得る。データは、HMIを用いて運用者のために処理され、運用者は所定のRTUおよびPLC制御を調整または変更するための決定を行う。SCADAシステムのデータベースおよびソフトウェアプログラムは、トレンディングおよび診断データ、ならびに構成要素故障予測システム100Bに通信されることができる管理情報を提供するように構成することができる。
【0050】
図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1Aの方法に類似し、コンピュータアプリケーション133ならびに計算処理およびデータストレージ135に接続された中央計算アプリケーション131を示す、構成要素故障予測システム100Cを示す概略図である。中央計算アプリケーション131は、電気公益事業者事象事故管理アプリケーション(図示せず)を含む1つ以上のアプリケーション133を実行することができる1つ以上のコンピュータを含むことができる。中央計算アプリケーション131は、ユーザのシステム要件および動作要件に応じて、
図12のシステムまたは
図12のシステムの1つ以上の構成要素とともに組み込むことができる計算アプリケーション処理およびデータストレージ135を含むことができる。計算アプリケーション処理およびデータストレージ135は、1つ以上のコンピュータ137、データストレージ141(すなわち、クラウドベースのストレージとすることができる)、ローカル気象予測サービス151、リアルタイムローカル気象観測153、リアルタイム構成要素観測155、リアルタイム電力回路観測157、および他の観測159を含むことができ、出力情報134に接続される通信ネットワーク132に直接接続されることができる。
【0051】
故障構成要素予測モデル137は、1つ以上のアプリケーション133、すなわち、電気公益事業者暴風事故管理アプリケーション(図示せず)と統合されるか、またはそれに接続され得る。故障構成要素予測モデル137は、事象事故作業員163および事象他事故資源165を含むことができ、それらのすべては、ユーザ要件および動作設定、ならびに他のユーザ因子に依存する。動作中、運用者(図示せず)は、ユーザ動作およびシステム要件に応じて、中央計算アプリケーション131を介して、または中央計算アプリケーション131を介して故障構成要素予測モデル137を介して、またはその両方を介して、1つ以上の計算アプリケーション133とインターフェイスすることができる。ここで、運用者は、
図12に示す構成要素を介して、故障構成要素予測モデル137のために、情報を入力し、情報を表示し、データおよび情報を生成してもよい。
【0052】
1つ以上の計算アプリケーション133によって企図される実施形態は、プログラムを有するアプリケーションを含む実施形態であり得、いくつかのプログラムは、電力会社の監視制御およびデータ取得システムに関連付けられる包括的な程度の解像度を提供する気象監視局のローカルネットワークによってリアルタイムで測定されるローカル条件の受信観測データに対応するように予測モデルを変更するための命令を有するプログラムを有する態様を含むことができ、それは、ローカルネットワークによってリアルタイムで測定される受信ローカル条件、および予測条件と測定されるローカル条件との間の差に基づいて、パラメータ化スキームを選択することによって行われる。他のプログラムは、特定の知識が獲得された時点(切迫した気象事象が特定され、本開示のモデルの使用前)に依存して、運用者によって知られているデータ条件および観測データまたは格納された履歴データとして受信され得るトレンドデータに基づいて、ユーザによる修正データが予測モデルの結果を修正できるようにユーザインターフェイスを提示するための命令を有することができる。さらに他のプログラムは、予測モデルのドメインの気候地理的データに基づいて、より大規模な数値的気象予測データおよび下側境界条件に基づいて横方向境界条件を初期化するための命令を含むことができ、そのデータは、どの時点で特定の知識が獲得されるかによって、観測データまたは格納された履歴データとして受け取られ得る。
【0053】
パラメータ化スキームに関して、累積境界層パラメータ化、表面層パラメータ化およびマイクロ物理学があり得、各スキームは下位スキームを有し得る。例えば、配電網は、強風および電光を含む気象変数によって引き起こされる、配電網の架空配電線路またはいくつかの他の構成要素への損傷に関係があるため、より多くの気象条件情報を要求し得る。送電網は、それに関連付けられる対流、強風ならびに電光の何らかの態様について最適化された特定のパラメータ化スキームを選択するように大気科学団体/局に要求することができ、それは、大気科学団体/局がモデル内の特定の特徴をどのようにパラメータ化するかであり得る。
【0054】
数値的気象予測の文脈における気象モデルまたは気候モデルにおけるパラメータ化は、モデルにおいて物理的に表現されるには小規模であるかまたは複雑すぎるプロセスを単純化されたプロセスによって置き換える方法である。これは、モデル内で明示的に解決される他のプロセス(例えば、大気の大規模な流れ)と対照的である。これらのパラメータ化に関連付けられるのは、単純化されたプロセスにおいて用いられる様々なパラメータである。例としては、雨滴の下降速度、対流雲、大気放射伝達コードに基づく大気放射伝達の単純化、および雲微物理学が挙げられる。放射パラメータ化は、大気モデリングおよび海洋モデリングの両方にとって同様に重要である。個々のグリッドボックス内の異なる供給源からの大気排出物もまた、空気の品質に対するそれらの影響を決定するためにパラメータ化される必要がある。
【0055】
さらに
図1Cを参照すると、データストレージ141は、モデル強制(「気象ドライバのセット」とも称される)に対応する気象変数143、履歴データ147、および他の格納データ151を含むことができる。動作中、故障構成要素予測モデル137は、履歴データ147および他のデータ151にアクセスするために、データストレージ141に接続され得る。履歴データ147は、構成要素データおよび割り当てられた資源データに関連付けられた気象データを含むことができる。動作システム設定に応じて、データを、過去の気象事象、所定の場所における切迫した気象事象に対する異なるタイプの資源割り当ての推定量に基づいて生成することができる。たとえば、所定の場所に対する切迫した気象事象のための資源割り当てのいくつかの態様は、出力値を推定するために、切迫した気象事象の特定されたパラメータに対応する資源割当データを特定するステップを含み得る。たとえば、切迫した気象事象の特定されたパラメータは、所定の場所のための資源割当てに特有のデータの対応するセットを含み得る。ここで、考えられ得る対応のデータセットがデータストレージ141に格納されて利用可能であることに基づいて、故障構成要素予測モデル137は、例えば、電力回路に対する予測される損傷、損傷を修復するための予測される保守人員-日、損傷からの予測される消費者事故、電力回路を修復するための予測される推定時間、特定の顧客に電力を回復するための予測される推定時間、電力回路を修復するための予測推定コストなどの保守パラメータを推定することができる。
【0056】
計算アプリケーション133のあるアプリケーションはまた、例えば、電力回路に対する実際の損傷、損傷を修復するための実際の保守人員-日、損傷からの実際の消費者事故、電力回路を修復するための実際の時間、特定の顧客に電力を回復するための実際の時間、電力回路を修復するための実際のコストなど、リアルタイムの実際の保守パラメータを追跡してもよいことが企図され、それらは、通信ネットワーク132を介して故障予測モデル137に通信される。
【0057】
さらに
図1Cを参照すると、通信ネットワーク132は、電気公益事業者暴風事故管理アプリケーション(コンピュータアプリケーション133)が利用するためにクライアントコンピュータ(図示せず)と通信する1つ以上のサーバコンピュータ(図示せず)を含むことができることが企図される。例えば、通信ネットワーク132は、クライアントコンピュータ、携帯電話、ならびにラップトップおよびタブレットのような他のコンピューティングデバイスに接続されることができる。通信ネットワーク132は、ワイヤレスネットワーク、固定線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット、エクストラネット、インターネットなどであり得る。通信ネットワーク132は、インターネットとすることができ、例えば、サーバコンピュータは、多数の公知の通信プロトコルのいずれかを介してクライアントコンピュータが通信するウェブサーバとすることができる。
【0058】
さらに
図1Cを参照すると、ローカル気象予測サービス151は、予測風速および持続時間、予測暴風持続時間、予測降雪量、予測結氷量、および予測降雨量、予測暴風種類(例えば、ハリケーン、風、結氷、竜巻、電光など)、予測電光位置および強度などを含むことができる。気象予測は、GIS(Geographic Information System)ファイル等で具現化されてもよいし、それに付随してもよい。ローカル気象予測サービス151は、国内気象サービス局、気象サービス組織、または何らかの他の気象予測サービスを含み得る。リアルタイムローカル気象観測153は、所定の位置に近接して配置されたセンサ(図示せず)からのものであり得る。リアルタイム構成要素、すなわち架空電線は、所定の位置に配置された構成要素観測155を介してセンサ(図示せず)を介してセンサデータを生成することができる。リアルタイム電力回路観測157は、所定の位置に近接して配置されたセンサ(図示せず)からのものであり得る。他のリアルタイム観測159は、故障構成要素予測モデル137が結果を生成するのに有用な他のデータ、または保守問題、動作問題、管理問題等を含む送電網システムの任意の態様に関連付けられ得るデータを含み得る。
【0059】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、配電システム200Aのいくつかの構成要素、およびシステムのいくつかの構成要素間の関係を示す概略図である。配電システム200Aは配電制御システム201によって動作することができる。配電制御システム201は、主送電網210によって変電所220を介して供給される電力を、1つ以上のフィーダブレーカ240に、配電線路234負荷顧客205に伝達することができる。配電制御システム201はまた、変換サブシステム216を介して再生可能生成およびエネルギー貯蔵217などのローカル配電生成源215を含み得る。変電所220は、バス230を介していくつかのフィーダ240を接続することができる。各フィーダ240は、複数の配電線路セグメント235および電柱255を含むことができる。主配電網210および配電制御システム201の両方は、主配電網210の一部とすることができる。配電制御システム201はまた、主配電網210のための制御システム(図示せず)に含まれ得る。
【0060】
さらに
図2Aを参照すると、配電システム200Aは、フィーダーブレーカ240、常閉スイッチ、すなわち分割器250、および常開スイッチ、すなわちタイスイッチ260などの、システム内に設置されたスイッチングデバイスを動作させることによって、そのトポロジー接続性を調整することができる。配電システム200Aは、電柱255、セグメント235、バス230、および配電システム200Aの動作に関連付けられる任意の他のデバイス(図示せず)に設置されたセンサ265から収集された対応するデータを調べることによって、その動作状態を監視することができる。センサ265は、配電システム200Aの動作に関連する他のデバイスおよびシステムに近接して取り付けもしくは配置された通信回線270またはデバイス(図示せず)を介して、配電制御システム201に測定値を送信することができる。配電線路234および他のデバイス(図示せず)は、自己劣化、または大風によって引き起こされる落木245などの環境的影響を含む多くの理由により、故障場所246における故障のために使用不能となり得る。センサ265からのセンサ読み取り値に加えて、配電制御システム201は、顧客205または他のソースからのトラブル通話によって提供される情報に基づいて、システム異常事象を監視することもできる。
【0061】
図2Bは、本開示の実施形態による、オンラインの配電線路故障予測問題のいくつかの方法ステップを示すブロック図である。
【0062】
【0063】
本開示の実施形態によれば、テーブル形式の気象表現法をまず用いて、考えられる気象条件シナリオを低減する。次いで、元の問題を、複数の独立したベルヌーイバンディット問題に変換する。最後に、2種類の学習フレームワークを用いて故障予測器を設計する。
【0064】
【0065】
図2Cは、本開示の実施形態による、過酷な気象事象の影響を受けやすい電話構成要素のステータスを予測するように構成された電話会社のランドスケープ200Cを示す概略図である。電話会社281は、センサ通信回線286(無線接続でもよい)に接続されたセンサ282と、電信柱285に接続された電話回線287とを含む。電話サービスを受ける住宅顧客276およびビジネス電話顧客277は、電話回線286に接続される。電話回線286は電話回線セグメント283を含み、電信柱は構成要素284を含む。送電網用の架空配電線路と同様に、電信柱285は、電信柱285に近い木278および他の植物に関する同じ故障279問題を有する。
【0066】
図2Dは、本開示の実施形態による、いくつかの実施形態が、過酷な気象事象の影響を受けやすい建設プロジェクト構成要素ステータスを予測するように構成される建設プロジェクトを示す概略図である。建設プロジェクト200Dは、過酷な気象を受けやすい、型枠291、組積造壁292、壁293、構造骨組294および屋根カバー295を含む構成要素を含む。
【0067】
図3Aは、本開示の実施形態による、テーブル形式の気象表現を示す概略図である。
【0068】
【0069】
【0070】
所定の、より小さい領域に対する、必要とされる解像度の気象データが利用可能でない場合、より大きい領域に対する気象測定値を用いて、調査中のより小さい領域から測定される、より大きい領域の中心までの距離に基づいて、必要なデータを導出することができる
図3Bは、本開示の実施形態による、より大きい領域の測定値に基づいて気象条件を導出することを示す概略図である。
【0071】
【0072】
図4は、本開示の実施形態による、変換されたオンラインの配電線路故障予測問題のいくつかの方法ステップを示すブロック図である。気象予測器407は、気象予測を気象表現器405に与え、気象表現器405は、処理された気象条件を故障予測器403に送り、配電線路401の故障ステータスが予測される。
【0073】
【0074】
【0075】
次に、2つの学習フレームワークを用いて、問題における故障予測器を設計する。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
さらに
図4を参照すると、アルゴリズム1は貪欲アクション選択方法であり、現在の知識を利用して、見かけ上劣るアクションを探索し、それらが実際により良いかどうかを調べる時間を費やすことなく、即時報酬を最大化する。探索と利用とのバランスをとるために、本開示はまた、アルゴリズム1にわずかな変更を加えることによって、ε貪欲法に基づく推定方法および信頼上限UCBに基づく推定方法を提供する。
【0080】
【0081】
さらに
図4を参照すると、UCB法では、エージェントは、最高推定アクション値関数に信頼上限探索項を加えたものを有するアクションを選択し、それは、自身の推定の精度における固有の不確実性を考慮する。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
さらに
図4を参照すると、アルゴリズム2はトンプソンサンプリング(TS)アクション選択方法であり、それはアクション空間を調べるために事前知識を利用する。事後分布が徐々に集約されると、エージェントは、探索をより少なくし、利用をより多くし、これは効果的なバランスを果たす。
【0088】
開示されるアルゴリズムを実証するために、架空配電線路が一例としてあげられた。最も影響する気象事象のうちの2つ、すなわち風Wおよび電光Lが気象関係事故原因として選択され、最大瞬間風速Xおよび落雷電流の自然対数Zは、それぞれ代表的な気象データである。2つの値の事故ステータス状態Y、Y=0(すなわち稼働中)およびY=1(すなわち事故発生中)を考える。W、L、X、Z、Yの関係は、
図5Aに示すようにベイズネットワークで表すことができる。
【0089】
図5Aは、本開示の実施形態による、データ生成のためのベイズネットワークを示す概略図である。これは、以下の同時分布を有するデータ生成処理を示す:
【0090】
【0091】
(10)に基づいて、n個の人工データ点を有するデータセットが、
図5Bに指定されたプロセスに従うことによって生成され得る。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
図6Aは、本開示の実施形態による、故障率モデルの態様を示すグラフである。
図6Bは、本開示の実施形態による、式11における故障確率の態様を示すグラフである。
【0096】
図6Aおよび
図6Bは、故障率および故障確率を点の1対1対応で示しており、すなわち、故障率が高いほど故障確率が高いことを示している。詳細なパラメータ設定は、風については
図7Aの表1、および電光については
図7Bの表2に示す。
【0097】
図7Aは、本開示の実施形態による、風関連データ生成のためのパラメータ設定を示す表であり、
図7Bは、本開示の実施形態による、電光関連データ生成のためのパラメータ設定を示す表である。
【0098】
次いで、提案されたオンライン予測アルゴリズムを検証するために、10,000個の人工データ点を有するデータセットが生成される。それらのデータ分布を
図8に示す。
【0099】
図8は、本開示の実施形態による、アルゴリズム1およびアルゴリズム2、ならびにそれらの変形に記述されるオンライン予測アルゴリズムを検証するために10,000個の人工データ点を有するデータセットが生成される、人工データ点のデータ分布を示すグラフである。点のほとんどは、小さい最大瞬間風速および小さい電光電流を有するエリア内に位置しているが、事故のほとんどは、大きい最大瞬間風速または大きい電光電流を有する気象事象において発生することが観測され得る。
【0100】
開示されるアルゴリズムの性能を評価するために、以下の2つの分類メトリックが用いられる:
【0101】
【0102】
ここで、TPは真陽性指標であり、すなわち、アルゴリズムは「事故発生中」と予測し、実際のステータスは実際に「事故発生中」であり、TNは真陰性指標であり、すなわち、アルゴリズムは「稼働中」と予測し、実際のステータスは実際に「稼働中」であり、FPは偽陽性指標であり、すなわち、アルゴリズムは「事故発生中」と予測するが、実際のステータスは「稼働中」であり、FNは偽陰性指標であり、すなわち、アルゴリズムは「稼働中」と予測するが、実際の状態は「事故発生中」である。
【0103】
図9Aは、本開示の実施形態による平均精度を用いた評価結果を示すグラフである。
図9Bは、本開示の実施形態による、平均F1スコアを用いた評価結果を示すグラフである。
【0104】
図9Aおよび
図9Bに示すように、5つのアクション選択戦略を比較し、「mle」は最尤度推定を用いて事故ステータスを直接モデル化する基本法であり、「greedy」、「ε-greedy」および「ucb」はアルゴリズム1に基づくアクション選択戦略であり、「ts」はアルゴリズム2に基づく。時間ステップが進むにつれて、各アクション選択戦略は収束することができ、「ts」は、学習の期間後に最も高い平均精度およびF1スコアで最良に実行することができる。他のアクション選択戦略は、それらの探索が誘導されないため、「ts」ほど良好ではない。
【0105】
【0106】
図10Aは、本開示の実施形態による、高発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0107】
図10Bは、本開示の実施形態による、中発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0108】
図10Cは、本開示の実施形態による、低発生気象事象に対してステータス予測0を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0109】
図11Aは、本開示の実施形態による、高発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0110】
図11Bは、本開示の実施形態による、中発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0111】
図11Cは、本開示の実施形態による、低発生気象事象に対してステータス予測1を与えることによる報酬の確率1に対する確率分布の密度を示すグラフである。
【0112】
3つの代表気象ブロック:高発生気象事象(
図10Aおよび
図11A)、中発生気象事象(
図10Bおよび
図11B)、低発生気象事象(
図10Cおよび
図11C)が選択される。いくつかの気象ブロックにおいて、エージェントの学習深さが増加するにつれて、パラメータの分布は、ある点の周りに集中することが観測され得、それは、フィードバック報酬信号を通じてデータ分布の見直しのプロセスを示す。これも、常に学習して最も可能な最適なパラメータを見つけることにより、tsがより良好に実行できる理由である。
【0113】
シミュレーションデータを用いた試験は、両方の開示されるオンライン故障予測アルゴリズムが配電システムにおける事故についての気象条件の影響を効果的に評価できることを証明した。事故ステータスをオンラインで軽い計算複雑さで予測できることに加えて、これらの2つの方法はまた、報告された事故データを利用して次の意思決定タスクのためにその知識をオンラインで更新することもできる。試験結果は、開示されるアルゴリズムが陽性および陰性サンプル、すなわち2値事故ステータスに対して有効であることも示した。アルゴリズム2に基づくトンプソンサンプリングアクション選択戦略は、他の戦略と比較して最良である。そして、その埋め込まれた事前知識は、より良い学習性能のための探索を助けることができる。
【0114】
特徴
本開示の一態様は、領域は、電力システムの供給エリア内にあり、電力システムの架空配電線路に関連する構成要素のセットを含むことを含み得る。別の態様は、領域は電力システムの供給エリア内にあり、構成要素は電力システムの架空配電線路である。架空配電線路は、(a)電柱;(b)機械的および電子的な構成要素;(c)架空配電線路の電柱に沿って取り付けられた配電変圧器;(d)保護装置;および(e)前記架空配電線路上に設置されるセンサを含む。
【0115】
別の態様は、前記構成要素データは前記観測データおよび前記格納データとして受信されるデータを含み、前記構成要素データは、各構成要素ごとに、経年数;材料の種類;指定された種類および設計;取付けおよび支持装置;電気機器;植生評価;剪定評価;葉の評価;設置および保守ログ;過酷な気象曝露ログ;架空電線の周りの植生および樹木の成長および種類の評価、および管理報告のうちの1つまたは組み合わせを含むデータを含む。ある態様は、前記観測データおよび前記格納データとして受信される前記気象データは、季節データ;地方地域気象;雪、結氷、雨/洪水、風、暴風/電光、周囲空気温度、野火、ハリケーン、過酷な気象評価、過酷な暴風の評価、混合事象、前後事象および非事象のうちの1つとしての切迫した気象事象の分類のうちの1つまたは組合せを含むデータを含む。
【0116】
本開示の態様に従うと、前記気象変数のセットを前記テーブル形式に変換することは、前記領域の気象セルのグリッドを含み、各気象セルは、前記気象変数のセットにおける前記気象変数間の関係の固有の気候変動を表す。別の態様は、所与の構成要素に対する気象ドライバのセットに対する前記MLモデルは、アクションの報酬について予め定められた確率分布のパラメータを初期値とともに設定することによって構成され、アクションは、構成要素ステータスを故障なしとして予測すること、および構成要素ステータスを故障として予測することを含む。さらに別の態様は、所与の構成要素に対する気象ドライバのセットに対する前記MLモデルは、アクションの報酬に対する確率分布のパラメータ、および各アクションに対する対応するアクション値関数を更新することを通して更新され、アクションは、構成要素ステータスを故障なしとして予測すること、および構成要素ステータスを故障として予測することを含む。さらに、一態様は、モデル強制強度グループが、気象変数についての変動間隔の組み合わせとして定義され、各変動間隔は、気象変数のうちの1つに対する一意の変動範囲を表す。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
本開示の別の態様は、電力システムによって供給エリア内に構成要素を含む2マイルグリッド、4マイルグリッド、または6マイルグリッドである領域を含むことができる。別の態様は、各気象セルを気象変数閾値と比較して、前記領域内のあるエリアにおいて気象条件シナリオを正確に表す、前記閾値を満たす気象セルのグループ化を特定することである。
【0125】
別の態様は、プログラムを有するアプリケーションを含み、いくつかのプログラムは、電力会社の監視制御およびデータ取得システムに関連付けられる包括的な程度の解像度を提供する気象監視局のローカルネットワークによってリアルタイムで測定されるローカル条件に対応するように予測モデルを変更するための命令を有するプログラムを有する態様を含むことができ、それは、ローカルネットワークによってリアルタイムで測定された受信されるローカル条件、および測定された予測条件とローカル条件との間の差に基づいて、パラメータ化スキームを選択することによって行われる。別の態様は、ユーザーによる修正データが、運用者によって既知のデータ条件およびトレンドデータに基づいて予測モデルの結果を修正できるようにするためのユーザーインターフェイスを提示するための命令を有するプログラムを含むことができる。別の態様は、さらに他のプログラムは、予測モデルのドメインの気候地理的データに基づいて、より大規模な数値的気象予測データおよび下側境界条件に基づいて横方向境界条件を初期化するための命令を含むことができる。
【0126】
図12は、
図1Aおよび
図1Bの方法を示すブロック図であり、それは、本開示の実施形態に従って、代替のコンピュータまたはハードウェアプロセッサを用いて実現することができる。コンピュータ1211は、バス1256を介して接続される、ハードウェアプロセッサ1240、コンピュータ可読メモリ1212、ストレージ1258、ならびにディスプレイ1252およびキーボード1251を有するユーザインターフェース1249を含む。例えば、ハードウェアプロセッサ1240およびコンピュータ可読メモリ1212と通信するユーザインターフェース1257は、ユーザによるユーザインターフェース1257の表面、キーボード表面1257からの入力が受信されると、信号データ例を取得し、コンピュータ可読メモリ1212に格納する。
1140
コンピュータ1211は、電源1254を含むことができ、用途に応じて、電源1254は、任意選択で、コンピュータ1211の外に配置することができる。バス1256を通してリンクされ得るのは、ディスプレイ1248に接続するように適合されたユーザ入力インターフェース1257であり得、ディスプレイ1248は、とりわけ、コンピュータモニタ、カメラ、テレビ、プロジェクタ、またはモバイルデバイスを含み得る。プリンタインターフェース1259も、バス1256を介して接続することができ、印刷装置1232に接続するように適合されてもよく、印刷装置1232は、とりわけ、液体インクジェットプリンタ、固体インクジェットプリンタ、大規模商業プリンタ、サーマルプリンタ、UVプリンタ、または色素昇華プリンタを含み得る。ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)1254は、バス1256を介してネットワーク1236に接続するように構成され、特に、コンピュータ1211の外部のサードパーティ表示装置、サードパーティ撮像装置、および/またはサードパーティ印刷装置上に時系列データまたは他のデータをレンダリングすることができる。
【0127】
さらに
図12を参照すると、信号データまたは他のデータは、とりわけ、ネットワーク1236の通信チャネルを介して送信され得、ならびに/または記憶および/もしくはさらなる処理のためにストレージシステム1258内に記憶され得る。信号データは、最初に外部メモリに格納され、後でハードウェアプロセッサによって取得されて処理されるか、または何らかの後の時間で処理されるようハードウェアプロセッサのメモリ内に信号データを記憶することが企図される。ハードウェアプロセッサメモリは、配電システムと同じ種類の構成要素故障予測システム/方法、配電システム動作データ、および履歴配電システムデータ、ならびに配電システムまたは配電システムと同様の種類の配電システムの構成要素故障予測に関連する他のデータを実行するために、ハードウェアプロセッサまたはコンピュータによって実行可能な格納された実行可能プログラムを含む。
【0128】
さらに、信号データまたは他のデータは、受信機1246(もしくは外部受信機1238)から無線もしくは有線で受信されてもよく、または送信機1247(もしくは外部送信機1239)を介して無線もしくは有線で送信されてもよく、受信機1246および送信機1247は両方ともバス1256を介して接続される。コンピュータ1211は、入力インターフェース1208を介して、外部感知デバイス1244および外部入力/出力デバイス1241に接続され得る。例えば、外部感知デバイス1244は、配電システムの収集された信号データの前、間、後でデータを収集するセンサを含むことができる。
例えば、故障電線路セグメント、故障時間、および故障に影響を受けた顧客である。コンピュータ1211は、他の外部コンピュータ1242に接続されてもよい。出力インターフェース1209は、ハードウェアプロセッサ1240から処理されたデータを出力するために使用され得る。ハードウェアプロセッサ1240および非一時的コンピュータ可読記憶媒体1212と通信するユーザインターフェース1249は、ユーザインターフェース1249の表面1252からユーザによる入力を受け付けると、領域データを取得し、非一時的コンピュータ可読記憶媒体1212に格納することに留意されたい。バス1256はまた、GPS1201、プリンタインターフェイス1259などの他のデバイスおよびインターフェイスを、入力インターフェイス1208を介してメモリデバイス1206と、さらには外部センサ1204、およびマシン120と接続することもできる。
【0129】
定義
送電網:および電力網は、本出願において同じ定義を参照する。送電網は、ある場所から別の場所、例えば電力生産者から電力消費者へ電気を配電するための相互接続されたネットワークである。送電網は、電力を生成する発電所、遠方の供給源から需要センターに電力を搬送する高電圧伝送線路、および顧客などの電力の消費者に接続する配電線路からなってもよい。例えば、送電網または配電網は、電気または電力を消費する装置を含む、家庭、ビジネスまたは施設などの1つ以上の構内、ならびに発電機および再生可能エネルギーなどの電気または電力を提供するエネルギー資源を含み得る。
【0130】
電力負荷:電気的負荷であり得、(活性)電力を消費する回路の電気的構成要素または一部である。これは、電力を生成するバッテリまたは発電機などの電源に相対するものである。電力回路において、負荷の例は、電化製品および電灯である。負荷は、さらに、臨界負荷および非臨界負荷として分類され得る。
【0131】
臨界負荷:電力の実質的に連続的な供給を必要とし得、したがって「臨界負荷」と見なされる。いくつかの臨界負荷の例は、コンピュータ、コンピュータを用いる制御装置、および/または電子データ処理装置を含む。臨界負荷および連続的な電力の供給に関して、公益事業送電網による標準化された電力の供給における単純な短時間の中断は、例えば、時として損害が大きく、および重大な結果となり得る、コンピュータの誤動作を引き起こし得る。非臨界負荷:臨界負荷とラベル付けされないすべての負荷として定義することができる。非臨界負荷は、通常、実質的に連続的な電力の供給を必要とせず、発電不足がある場合には遮断され得、または臨界負荷が回復した後に回復され得る。故障分離:故障した構成要素が特定された後、他の健康な構成要素から分離され、次いで、可能な場合には、それらの構成要素に、電源を回復するために再通電することができるプロセスを指す。
【0132】
運用復元性:配電システム全体としての、災害に寄与せず、災害を吸収し災害に適合する能力として定義することができる。それは、配電システムおよびシステムの顧客の両方への「重要な機能」の提供の連続性を維持することに焦点を当てて、従来の運用上のリスクおよび回復能力を超える。
【0133】
インフラストラクチャ復元性:電力塔、変電所構造、および電力線などのハードウェアの弾性を指す。
【0134】
事象:送電網の少なくとも一部分に損傷を引き起こし、その結果、配電ネットワークにおける電力の不安定化または損失の可能性をもたらし、それが、即座に、または近い将来のある時点で、連続電力供給の中断を引き起こす、何らかのアクションと考えられる。事象のいくつかの例は、自然災害事象(気象、地震など)、意図的な傷害事象(テロリスト攻撃など)、または意図しない傷害事象(飛行機事故、列車事故など)が考えられ得る。
【0135】
復旧:極端な事象が発生し、部分的または全体的なシステムに停電をもたらした後に、部分的または全体的な配電システムを通常のサービスに戻すプロセスを指す。サービス回復:顧客にとって通常の電力供給を回復することを指す。インフラストラクチャ復旧:電柱、変電所変圧器、および電力線などの損傷したハードウェアの復旧を指す。情報ネットワーク:広域ネットワーク、インターネットのうちの1つ、またはその両方である。
【0136】
条件情報:デバイスから得られ、デバイス通電ステータス、デバイス損傷/切断ステータス、端子電圧、および電力フローを含み得る。例えば、デバイスから受信される現在の条件情報は、その条件情報が受信または取得される瞬間に対する更新された条件情報であり得る。
【0137】
履歴データ:極端な事象が発生する前に取得される配電網データを指す。例えば、データは、構成要素の故障に関連付けられる気象事象の位置、時間、種類、各構成要素の報告された故障および標準動作に関連付けられる気象データおよび地理的データ、事故に関連付けられる、および事故に関連付けられない、気象、地理的位置、および地形に関連付けられる第三者報告履歴データを含み得る。事故中および事故のない通常の動作時間中における保守、交換、過去の決定の管理、顧客により報告される懸念事項。配電網の構成要素、気象、地形、第三者報告データ、通信ネットワークのステータスおよび信頼性等を含む、配電網の動作に関連付けられる任意のデータ。
【0138】
配電網データ:マイクログリッドおよび1つ以上の負荷の位置を識別することを、当該1つ以上の負荷を臨界負荷のサブセットおよび非臨界負荷のサブセットとしてラベル付けすることとともに組み込む、配電網のトポロジーを含むことができる。
【0139】
電力破壊:配電ネットワークにおける停電または電力障害であり得る。電力障害のいくつかの原因の例は、発電所における障害、配電システムの電気伝送線路、変電所、配電システムの他の部分の損傷、短絡、または電力幹線の過負荷を含み得る。具体的には、停電は、停電の被害または原因の程度に応じて、単一の家屋、建物、または都市全体に影響を及ぼす可能性がある、送電網の所与のエリアまたはセクションにおける短期または長期の電力損失状態であり得る。
【0140】
実施形態
以下の説明は、例示的な実施形態のみを提供するものであり、本開示の範囲、適用可能性、または構成を制限することを意図していない。むしろ、例示的な実施形態の以下の記載は、当業者に、1つ以上の例示的な実施形態を実現することに対する実施可能な記載を提供するであろう。企図されるのは、特許請求の範囲に記載されるように開示される主題の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および構成において行われ得るさまざまな変更である。
【0141】
実施形態の完全な理解を与えるために、具体的な詳細が以下の記載において与えられる。しかしながら、当業者によって理解されることは、実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることであり得る。例えば、開示された主題におけるシステム、プロセス、および他の要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図形式でコンポーネントとして示され得る。他の例では、周知のプロセス、構造、および技法は、実施形態を不明瞭にすることを回避するために、不必要な詳細なしで示され得る。さらに、さまざまな図面における同様の参照番号および名称は、同様の要素を示した。また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明され得る。フローチャートは、動作を順次プロセスとして説明し得るが、動作の多くは、並列にまたは同時に実行することができる。加えて、動作の順序を入れ替えてもよい。プロセスは、その動作が完了したときに終了され得るが、論じられていない、または図に含まれていない追加のステップを有し得る。さらに、任意の特に説明されるプロセスにおけるすべての動作が、すべての実施形態において起こり得るわけではない。プロセスは、方法、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、関数の終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の復帰に対応することができる。
【0142】
さらに、開示される主題の実施形態は、少なくとも部分的に、手動または自動のいずれかで実現され得る。手動または自動実現例は、マシン、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組合せの使用を通じて実行され得るか、または少なくとも支援され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実現される場合、必要なタスクを実行するプログラムコードまたはコードセグメントは、機械可読媒体に記憶され得る。プロセッサが必要なタスクを実行してもよい。本明細書で概説されるさまざまな方法またはプロセスは、さまざまなオペレーティングシステムまたはプラットフォームのいずれか1つを用いる1つまたは複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化され得る。さらに、そのようなソフトウェアは、いくつかの好適なプログラミング言語および/またはプログラミングツールもしくはスクリプトツールのいずれかを用いて書かれてもよく、フレームワークもしくは仮想マシン上で実行される実行可能な機械語コードまたは中間コードとしてコンパイルされてもよい。典型的には、プログラムモジュールの機能は、さまざまな実施形態において所望に応じて組み合わせるか、または分散させることができる。
【0143】
本開示の実施形態は、一例が提供された方法として具現化され得る。方法の一部として実行される行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では順次動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含み得る、示されたものとは異なる順序で動作が実行される実施形態が構築され得る。さらに、特許請求の範囲においてクレーム要素を修飾する「第1の」、「第2の」などの序数詞の使用は、それ自体では、あるクレーム要素の優先順位、先行性、1つの請求項の順序が他の請求項の順序に先行すること、または方法の動作が実行される時間的順序を暗示せず、特定の名称を有するあるクレーム要素を(ただし、序数詞を用いるため)同じ名称の別の要素と区別してそれらクレーム要素を区別するための単にラベルとして用いられるにすぎない。本開示は特定の好ましい実施形態を参照して説明されたが、本開示の精神および範囲内でさまざまな他の適合および変更を行うことができることを理解されたい。したがって、本開示の真の精神および範囲内に入るそのようなすべての変形および修正を包含することは、特許請求の範囲の局面である。