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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】薬液製造装置及び薬液を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241108BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 39/05 20170101ALI20241108BHJP
   B01J 39/09 20170101ALI20241108BHJP
   B01J 39/19 20170101ALI20241108BHJP
   B01J 39/20 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 39/22 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 47/12 20170101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648F
B01D69/00
B01J39/05
B01J39/09
B01J39/19
B01J39/20
B01J39/22
B01J47/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021521827
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019057737
(87)【国際公開番号】W WO2020086772
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】62/750,004
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】ヒンジー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コール-ヨーコム マルシア
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/084302(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/061485(WO,A1)
【文献】特開2009-218405(JP,A)
【文献】特開平11-128691(JP,A)
【文献】特開2016-192473(JP,A)
【文献】特開2018-056469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
B01D 69/00
B01J 39/00
B01J 47/12
G03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を製造する方法であって、
第1の濾過媒体と、第2の濾過媒体と、第3の濾過媒体と、を含む第1のシステムを提供することと、
第1の温度制御ユニットを前記第1の濾過媒体と前記第2の濾過媒体の間に配置することと、
前記第1のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第1のシステムの上流側へ戻す第1の再循環路を配置することと、
前記第1のシステムの下流側に接続されたタンクを配置することと、
前記タンクの下流側に接続された、第4の濾過媒体と、第5の濾過媒体と、第6の濾過媒体と、を含む第2のシステムを提供することと、
第2の温度制御ユニットを前記第2のシステムに配置することと、
前記第2のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第2のシステムの上流側へ戻す第2の再循環路を配置することと、
前記第1の温度制御ユニットにより材料の温度を調整することと、
前記薬液を製造するため、前記第1の温度制御ユニットにより調整された温度で前記第1のシステムを用いて前記材料を処理することと、
前記第1のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第1のシステムの上流側に戻すことと、
前記第1のシステムから流出した材料を、前記タンクを介して、前記第2のシステムに流入させることと、
前記第2の温度制御ユニットにより材料の温度を調整することと、
前記薬液を製造するため、前記第2の温度制御ユニットにより調整された温度で前記第2のシステムを用いて材料を処理することと、
前記第2のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第2のシステムの上流側に戻すことと、
第3の温度制御ユニットを前記第1の再循環路に沿って配置することと、
第4の温度制御ユニットを前記第2の再循環路に沿って配置することと、を含み、
前記第1の濾過媒体と、前記第2の濾過媒体と、前記第3の濾過媒体と、前記第4の濾過媒体と、前記第5の濾過媒体と、前記第6の濾過媒体は、粒子除去フィルタ、イオン交換膜、イオン吸着膜から選択される薬液製造方法。
【請求項2】
前記材料の前記温度が約65°F以下に調整される、
請求項1に記載の薬液製造方法。
【請求項3】
前記材料の前記温度が70°F以上に上昇することが防止される、
請求項1に記載の薬液製造方法。
【請求項4】
前記第1のシステム又は第2のシステムが、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、4-メチル-2-ペンタノール、及びその組合せからなる群から選択された前記材料を処理する、
請求項1に記載の薬液製造方法。
【請求項5】
前記第1のシステム又は第2のシステムが、含有量約0.1~1000質量pptを有する金属成分を含む前記材料を処理する、
請求項1に記載の薬液製造方法。
【請求項6】
前記薬液が、含有量約0.1~100質量pptを有する金属成分を含み製造される、
請求項1に記載の薬液製造方法。
【請求項7】
材料を処理するよう構成され、第1の濾過媒体と、第2の濾過媒体と、第3の濾過媒体と、を含む、第1のシステムと、
前記第1の濾過媒体と前記第2の濾過媒体の間に配置された第1の温度制御ユニットと、
前記第1のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第1のシステムの上流側へ戻す第1の再循環路と、
前記第1のシステムの下流側に接続されたタンクと、
前記材料を処理するよう構成され、第4の濾過媒体と、第5の濾過媒体と、第6の濾過媒体を含む、前記タンクの下流側に配置された第2のシステムと、
前記第2のシステムに配置された第2の温度制御ユニットと、
前記第2のシステムにより処理された材料の少なくとも一部を、前記第2のシステムの上流側へ戻す第2の再循環路と、
前記第1の再循環路に沿って配置された第3の温度制御ユニットと、
前記第2の再循環路に沿って配置された第4の温度制御ユニットと、
を含
前記第1の濾過媒体と、前記第2の濾過媒体と、前記第3の濾過媒体と、前記第4の濾過媒体と、前記第5の濾過媒体と、前記第6の濾過媒体は、粒子除去フィルタ、イオン交換膜、イオン吸着膜から選択される薬液製造装置。
【請求項8】
前記第1の温度制御ユニットが、65°F以下の温度になるように構成された、
請求項に記載の薬液製造装置。
【請求項9】
前記第1の温度制御ユニットが、70°F以上の温度に上昇することを防ぐように構成された、
請求項に記載の薬液製造装置。
【請求項10】
10nm以下の細孔径を有する粒子除去フィルタを更に含む、
請求項に記載の薬液製造装置。
【請求項11】
20nm以上の細孔径を有する粒子除去フィルタを更に含む、
請求項に記載の薬液製造装置。
【請求項12】
前記第1のシステムが有機溶剤を処理するように構成された、
請求項に記載の薬液製造装置。
【請求項13】
前記有機溶剤が、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、4-メチル-2-ペンタノール、及びその組合せからなる群から選択される、
請求項1に記載の薬液製造装置。
【請求項14】
前記第2の温度制御ユニットが前記少なくとも1つの第2の濾過媒体の上流側に配置された、
請求項1に記載の薬液製造装置。
【請求項15】
前記第2の温度制御ユニットが、65°F以下の温度になるように構成された、
請求項1に記載の薬液製造装置。
【請求項16】
前記第2の温度制御ユニットが、70°F以上の温度に上昇することを防ぐように構成された、
請求項1に記載の薬液製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
【0002】
本発明は薬液製造装置及びそれを用いた薬液を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[背景技術]
【0004】
半導体産業は、部品サイズの継続的な縮小から生じた、電子部品の集積密度の急速な向上を達成している。最終的には、より多くのより小さな部品を所与の領域内に統合することができる。これら向上は、大部分が新たな精度と高解像度の処理技術の開発によるものである。
【0005】
高分解能集積回路(IC)の製造の間、様々な処理液がベアウェハ又はフィルム被膜ウェハと接触する。例えば、微細金属配線構造の製造は、典型的に、レジスト膜を形成するために基材が複合液で被膜される前に、プリウエット液で基材を被膜する手順が含まれる。独自の成分と様々な添加剤を含むこれら処理液は、ICウェハの混入物源として知られる。
【0006】
ウェハプレウェッティング液又は現像液といったこれら薬液に微量の混入物が混入しても、結果として得られる回路パターンは欠陥を有する可能性があると推測できる。僅か1.0pptという金属不純物の非常に低レベルの存在が、半導体デバイスのパフォーマンスと安定性を害することが知られている。そして、金属不純物の種類によって、酸化特性が劣化し、不正確なパターンが形成され、半導体回路の電気的性能が損なわれ、これは最終的に製造歩留まりに影響を与える。
【0007】
金属不純物、微粒子、有機不純物、湿気等といった不純物の混入は、薬液の製造プロセスの様々な段階の間に、薬液に意図せず導入される可能性がある。そのような例には、原材料に、不純物、又は薬液が製造される際に生成された副産物や残留した未反応の反応物質、又は製造装置の表面や搬送、格納、反応に用いられる容器設備、反応槽等から溶出又は抽出された異物が存在する場合を含む。このため、高精度で且つ超微細な半導体電子回路の製造に使用されるこれら薬液からの不溶性及び可溶性の混入物の低減又は除去は、欠陥のないICを製造するための基本的な保証である。
【0008】
この点において、薬液製造プロセスの標準及び品質と、超微細で且つ非常に精密な半導体電子回路の製造に欠かせない高純度薬液を形成するためのプロセスに応用される製造装置を、大幅に改善し、厳密に管理することが不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、高精度集積回路を形成するため、超高純度薬液の需要及びこれら液の品質改善及び制御が非常に重要となっている。品質改善及び制御のための特定の重要パラメータには、微量金属の低減、液体粒子数の低減、オンウェハ欠陥の低減、有機混入物の低減等を含む。これら全ての重要パラメータが、製造装置の必要な準備と、製造プロセスの適切な設計とにより影響されることが示されている。
【0010】
上記を鑑み、本発明は特に、半導体製造を対象とした薬液を調製するための、薬液製造装置及びそれを用いた薬液を製造する方法を提供するものであり、高純度薬液は、所定の範囲内であり、未知及び望まれない物質の導入を生むことのないよう管理された薬液中の粒子の数と金属不純物の量を伴い製造される。このため、残留物及び/又はパーティクル欠陥の発生が抑制され、半導体ウェハの歩留まりが改善される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬液製造装置は、少なくとも第1のシステムを含み、第1システムは材料を処理するよう構成される。第1のシステムは、第1のイオン交換膜と第1のイオン吸着膜から選択された少なくとも1つの第1の濾過媒体と、少なくとも1つの第1の濾過媒体の上流側に構成された温度制御ユニットとを含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬液を製造する方法は、少なくともイオン交換膜及び/又はイオン吸着膜を含むシステムを提供することと、材料の温度を調整するため少なくともイオン交換膜及び/又はイオン吸着膜の上流側に温度制御ユニットを配置することと、該システムで材料を処理することとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、薬液製造装置及びそれを用いた薬液を製造する方法は、製造プロセスの間の様々な有機及び無機混入物の導入又は生成を回避するよう、そして半導体製造に応用可能な超高純度薬液を製造するよう、効果的に設計され、適切に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の様態は、添付図面と共に読まれたとき、以下の詳細な説明から最も好ましく理解される。本業界の標準的な慣行に従い、様々な機能は縮尺通りに描かれていないことに注意されたい。実際、記述を明確化するため、様々な機能の寸法は任意に拡大又は縮小される。
【0015】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による薬液を製造する方法に採用される例示的な薬液製造装置を示す概略図である。
【0016】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による例示的な薬液を製造する方法における処理ステップのフロー図である。
【0017】
図3は、GC-MSMS結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態又は実施例を提供する。本開示を簡略化するため、構成要素及び配置の特定の実施例を以下に説明する。当然ながら、これらは単なる例であり、限定することを意図していない。例えば、用語「溶剤」が用いられるとき、特に述べられていない場合(特に明記しない限り)、それは単一の溶剤または2以上の溶剤の組合せを指す。加えて、本開示は、様々な実施例において参照符号及び/又は文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは簡潔さと明確さを目的とするものであり、それ自体は、述べられる様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を特定するものではない。
【0019】
更に、「下方」、「下」、「低い」、「上方」、「上」等といった空間的な相対的用語は、図面に表された1つの要素又は機能の別の要素又は機能に対する関係を説明するための記述を容易にするためここで用いられる。空間的な相対的用語は、図面に図示されている向きに加え、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の方法(90度回転又は他の向きに)で方向付けられてもよく、ここで用いられる空間的な相対的記述語はそれに応じて同様に解釈される。
【0020】
本発明において、用語「~」を用いて示す数値範囲は、用語「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0021】
本発明において、「ppm」は「parts-per-million(10 -6 )」を意味し、「ppb」は「parts-per-billion(10 -9 )」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10 -12 )」を意味する。
【0022】
本発明において、1Å(オングストローム)は0.1nm(ナノメートル)に対応し、1μm(ミクロン)は1000nmに対応する。
【0023】
<薬液>
【0024】
本発明において、薬液は、プリウェット液、現像液、リンス液、洗浄液、剥離液等といったウェハ処理液、又はその製造のために用いられる原料溶剤を含む、
【0025】
精製工程を含むがこれに限定されない本発明の製造プロセスを受ける前に、薬液は望まれない量の混入物及び不純物を含む可能性がある。薬液が本発明の薬液製造装置を採用することによる本発明の製造プロセスにより処理された後、混入物と不純物の相当量が薬液から除去される。処理前の薬液は本発明において「処理対象材料」と呼称される。処理対象材料は、社内で合成するか、供給業者から購入することを介し市場で手に入れてもよい。処理後の薬液は本発明において「処理済み薬液」と呼称され、単純に「薬液」とも称される。「処理済み薬液」又は「薬液」は、所定の範囲内に制御され制限された不純物を含んでよい。
【0026】
<有機溶剤>
【0027】
本発明において、薬液は有機溶剤を含む。有機溶剤の種類は特に限定されないが、周知の有機溶剤が該当する。薬液中の有機溶剤の含有量は特に限定されないが、有機溶剤は主成分として含まれる。具体的には、有機溶剤の含有量は、薬液の全質量に対し98質量%以上である。特定の実施形態において、有機溶剤の含有量は、薬液の全質量に対し99質量%以上である。他の実施形態において、有機溶剤の含有量は、薬液の全質量に対し99.5質量%以上である。更に他の実施形態において、有機溶剤の含有量は、薬液の全質量に対し99.8質量%以上である。その上限値は特に限定されないが、通常、その上限値は99.999質量%以下である。
【0028】
有機溶剤は、単独で用いられるか、又は2種以上を併用してよい。有機溶剤の2種以上を併用するとき、その合計含有量が上記の範囲内にあることが好ましい。
【0029】
薬液中の有機溶剤の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)デバイスを用いることにより測定できる。
【0030】
有機溶剤の沸点は特に限定されない。ただし、有機溶剤の沸点は、半導体チップの製造歩留まり改善の点から、200℃未満であることが好ましい。本発明において、沸点は1atmでの沸点を意味する。
【0031】
有機溶剤は特に限定されない。有機溶剤の例は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、n-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-3-ペンタノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、4,4-ジメチル-2-ペンタノール、3-エチル-3-ヘプタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル-2-ヘキサノール、2-メチル-3-ヘキサノール、5-メチル-1-ヘキサノール、5-メチル-2-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール、4-メチル-3-ヘプタノール、6-メチル-2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、2-プロピル-1-ペンタノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、2-ノナノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、tert-ブチルプロピルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル、α、α-ジクロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、2-クロロエチルメチルエーテル、2-ブロモエチルメチルエーテル、2,2-ジクロロエチルメチルエーテル、2-クロロエチルエチルエーテル、2-ブロモエチルエチルエーテル、(±)-1,2-ジクロロエチルエチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、ジアリルエーテル、2-メトキシプロペン、エチル-1-プロペニルエーテル、シス-1-ブロモ-2-エトキシエチレン、2-クロロエチルビニルエーテル、アリル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、メチルシクロヘキサン、デカリン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン、sec-ブチルベンゼン、シメン、ジペンテン、ピルビン酸メチル、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルメトキシプロピオネート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸イソアミル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4-ジオキサン、ヘキシルアルコール、2-ヘプタノン、酢酸イソアミル、及びテトラヒドロフランを含む。
【0032】
本発明の特定の実施形態において、薬液はプリウェット液である。プリウェット液の種類は特に限定されない。プリウェット液の特定の例としては、シクロペンタノン(CyPe)、シクロヘキサノン(CyH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGPE)、乳酸エチル(EL)のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態において、薬液は、ブチルアセテートといった現像液、又は4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)といったリンス液であってよい。
【0033】
<不純物>
【0034】
処理対象及び/又は薬液に含まれる不純物は、金属不純物、粒子、及び有機不純物や湿気等といったその他を含む。
【0035】
<金属不純物>
【0036】
最も一般的な金属不純物は、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、クロミウム(Cr)、ニッケル(Ni)といった重金属、及びナトリウム(Na)とカルシウム(Ca)といったイオン性金属を含む。金属の種類によって、金属不純物は、酸化物の完全性を低下させ、MOSゲートスタックを劣化させ、デバイスの寿命等を短縮させる。本発明の製造方法による薬液製造装置により製造される薬液において、総微量金属含有量は、質量で0~300pptの所定の範囲内にあることが好ましく、0~150pptであることがより好ましい。
【0037】
本発明において、金属不純物は、固体の形態で提供される金属不純物を指す(金属単体、粒子状金属含有化合物等)。
【0038】
<粒子>
【0039】
本発明において、0.03μm以上のサイズを有する計数対象を「粒子」又は「微粒子」と呼称する。液体媒体中の「粒子」の数は、光散乱式液中粒子計数器により計数され、LPC(液中粒子数)と呼ぶ。
【0040】
粒子の例は、ほこり、ごみ、有機固形物、無機固形物を含む。粒子はコロイド化した金属原子の不純物をも含んでよい。容易にコロイド化する金属原子の種類は特に限定されないが、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、Pbからなる群から選択される少なくとも1つの金属原子を含んでよい。本発明の薬液製造装置により調製された薬液において、0.03μm以上のサイズを有する粒子の合計数は、薬液1ml毎に100以下の所定の範囲内にあることが好ましい。
【0041】
<有機不純物>
【0042】
有機不純物は、薬液に提供される主成分としての有機溶剤とは異なる化合物を意味し、薬液の全質量に対し5000質量ppm以下の含有量において含まれる有機物が有機不純物に相当し、有機溶剤には相当しないことを指す。
【0043】
揮発性有機化合物は、クリーンルーム内でさえ周囲空気中に存在する。有機不純物によっては、出荷及び保管装置に由来するものもあれば、最初から原材料に含まれるものもある。有機不純物の他の例には、有機溶剤が合成されるときに生成される副産物、及び/又は未反応の反応物を含む。
【0044】
薬液中の有機不純物の合計含有量は特に限定されない。半導体デバイスの製造歩留まりを改善する点から、有機不純物の合計含有量は、薬液の全質量に対し、0.1~5000質量ppmであることが好ましく、1~2000質量ppmであることがより好ましく、1~1000質量ppmであることが更に好ましく、1~500質量ppmであることが特に好ましく、1~100質量ppmであることが最も好ましい。
【0045】
薬液中の有機不純物の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)デバイスを用いることにより測定できる。
【0046】
<薬液製造装置>
【0047】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による例示的な薬液製造装置の構成を示す概略図である。図1に示されるように、薬液製造装置10は、例えば処理対象材料又は前処理済薬液といった、材料を保持又は搬送するよう構成された処理対象供給ユニット20に接続される。処理対象材料は、微粒子、有機不純物、金属不純物等といった、望まれない混入物の数が所定の範囲内に管理され制限された薬液を生成又は製造するため、薬液製造装置10により処理される。いくつかの実施形態において、薬液は、モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、4-メチル-2-ペンタノール等を含むが、これに限定されない。処理対象供給ユニット20は、薬液製造装置10に処理対象材料を連続的又は断続的に供給する限り、特に限定されない。処理対象供給ユニット20は、材料受取タンク、レベルゲージ(図示せず)といったセンサ、ポンプ(図示せず)、処理対象材料(図示せず)の流入を制御するためのバルブ等を含んでよい。図1において、薬液製造装置10は1つの処理対象供給ユニットの20に接続されている。しかし、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、複数の処理対象供給ユニット20が、薬液製造装置10により処理すべき処理対象材料の各種類のため、並列に提供される。
【0048】
図1に示されるように、薬液製造装置10は、少なくとも1つの第1の精製システム110を含む。特定の例示的な実施形態において、薬液製造装置10は、処理対象材料の温度を特定の温度範囲に設定するための熱交換器100を含んでよい。このようにして、薬液製造装置10に充填される処理対象材料は実質的に一定温度に保たれる。熱交換器100は、例えば、処理対象供給ユニット20と第1の精製システム110との間に配置される。いくつかの実施形態において、処理対象材料の温度は、周囲温度(例えば、室温)である。
【0049】
やはり図1を参照し、第1の精製システム110は、それぞれが特定の精製機能(濾過ユニットの様式又は媒体)を有し、特定の処理を提供する、少なくとも1以上の濾過媒体114(精製手段)を含む。例えば、精製システム110は、イオン交換膜とイオン吸着膜から選択された少なくとも1つの濾過媒体114(114a、114b、又は114c)を含んでよい。いくつかの実施形態において、精製システム110は、少なくとも1つの粒子除去フィルタと、少なくとも1つのイオン交換膜及び/又はイオン吸着膜とを含む。更に、1以上の濾過媒体114は、供給業者から市販されている高品質級の製品である。
【0050】
特定の例示的な実施形態において、1以上の濾過媒体114は、それぞれ区画化され、1以上の筐体112に収容される。例えば、第1の精製システム110は、第1の筐体112a、第2の筐体112b、第3の筐体112cから選択された少なくとも1つの筐体112を含んでよく、少なくとも1つの筐体112は、その内に濾過媒体114の1以上のユニットを含み収容する。換言すれば、上記例によると、第1の精製システム110は、1つの筐体112のみ(第1の筐体112a、第2の筐体112b、又は第3の筐体112cのいずれか)、又は2つの筐体112(第1の筐体112a、第2の筐体112b、第3の筐体112cののうちの任意の2つの組合せ)、又は3つの筐体112(第1の筐体112a、第2の筐体112b、第3の筐体112c)を含んでよい。上記例は例示目的のみであり、筐体の数は示された例に限定されないことに注意されたい。他の例示的な実施形態において、第1の精製システム110は、上記の第1、第2及び/又は第3の筐体(112a、112b、112c)に加え、例えば、1、2、3、6、又は10以上の、より多くの筐体112を含んでよい。
【0051】
代替的な例示的な実施形態において、分離された筐体112がなくてよく、1以上の濾過媒体114は第1の精製システム110において区画化されないよう構成される。更に他の例示的な実施形態において、第1の精製システム110は、1以上の濾過媒体114に加え、他の精製モジュール(図示せず)も含んでよい。
【0052】
やはり図1を参照し、第1の筐体112aは第1の濾過媒体114aの1以上のユニットを含んでよく、第2の筐体112bは第2の濾過媒体114bの1以上のユニットを含んでよく、第3の筐体112cは第3の濾過媒体114cの1以上のユニットを含んでよく、第1、第2、第3の濾過媒体114a、114b、114cは機能又は性能が異なり、異なる精製処理を提供してよく、それぞれ、各選択された筐体(112a、112b、112c)に収容された濾過媒体114(114a、114b、114c)の1以上のユニットが同一又は類似の精製機能、物理化学的特性、細孔径及び/又は構成材料等を有する。例として、第1の精製システム110は、それぞれ、第1の筐体112a、第2の筐体112b、第3の筐体112cに収容された、1以上の粒子除去フィルタ、1以上のイオン交換膜、1以上のイオン吸着膜を含んでよい。もう1つの例において、第1の精製システム110は、それぞれ、第1の筐体112aと第2の筐体112bに収容された、1以上の粒子除去フィルタと1以上のイオン交換膜(又は1以上のイオン吸着膜)を含んでよい。更にもう1つの例において、第1の精製システム110は、それぞれ、第1の筐体112aと第2の筐体112bに収容された、1以上のイオン交換膜と1以上のイオン吸着膜を含んでよい。上記例は例示目的のみであり、限定することを意図していないことに注意されたい。
【0053】
図1に示されるように、第1の精製システム110は、少なくとも1つの筐体112の進入口の上流に構成された温度制御ユニット180も含む。本発明の実施形態によると、温度制御ユニット180は、1以上のイオン交換膜又は1以上のイオン吸着膜を収容する選択された筐体112の進入口の上流に構成され、選択された筐体112を通過する処理対象材料の温度が所定の最適温度範囲に制限される。温度制御ユニット180は、選択された筐体112の進入口の上流側で、市販の再循環加熱/冷却ユニット、復水器、又は、例えば配管に取り付けられた熱交換器を含むが、これに限定されない。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態において、温度制御ユニット180は冷却ユニットを含み、温度制御ユニット180は約80°F以下、好ましくは約65°F以下の温度に設定され、処理対象の温度は、選択された筐体112内の1以上のイオン交換膜又は1以上のイオン吸着膜を通過するとき、約80°F以下に制限される。他の実施形態において、温度制御ユニット180は、約30~70°Fの温度範囲内に設定される。更に他の実施形態において、温度制御ユニット180は約41~67°Fの温度範囲内に設定されることが好ましい。代替的な実施形態において、温度制御ユニットは約50~65°Fの温度範囲内に設定されることがより好ましい。本発明の特定の実施形態によると、温度制御ユニット180は70°F以上に上昇することが回避される。いくつかの実施形態において、温度制御ユニット180は68.5°F以上へ上昇することが防止される。更に他の実施形態において、温度制御ユニット180は67.5°F以上に上昇することが制限される。
【0055】
図1に表された例のように、温度制御ユニット180は、第1の筐体112aと第2の筐体112bとの間に構成され、処理対象材料の温度は温度制御ユニット180により、処理対象材料材料が第2の筐体112b内に充填され処理される前に65°F以下に調整され、第2の筐体112bは、1以上のイオン交換濾過媒体又は1以上のイオン吸着濾過媒体のいずれかを収容する。上記例において、第1の筐体112aは1以上の粒子除去フィルタを含んでよく、粒子除去フィルタは、例えば20nm以上の細孔径を有してよい。上記例において例示された筐体112と濾過媒体114の配置順序は例示目的のみであり、限定することを意図していないことを理解されたい。
【0056】
温度制御ユニット180の位置は上記に示された例に限定されないことに注意されたい。他の例示的な実施形態において、温度制御ユニット180は第1の筐体112aの入口の上流に構成されてよく、第1の筐体112aは1以上のイオン交換膜又は1以上のイオン吸着膜を収容する。これに関し、もう1つの温度制御ユニットが後続の筐体(例えば筐体112b及び/又は112c)の入口の前の第1の筐体112aの下流に取り付けられても取り付けられなくてもよい。第1の筐体112aの下流のもう1つの温度制御ユニットの構成は、ポンプといった処理対象材料中に熱エネルギーを再導入しうる他の手段又は機器が、第1の筐体112aと、他の又は追加的なイオン交換媒体及び/又はイオン吸着媒体を収容する後続の筐体(例えば、第2の筐体112b又は第3の筐体112c)との間に導入又は配置されないという条件において、任意である。
【0057】
特定の例示的な実施形態において、第1の精製システム110において分離された筐体112がなくてよく、1以上の濾過媒体114は第1の精製システム110において区画化されないよう構成される。例えば、第1の精製システム110は、第1の精製システム110内部で共に連結された取替可能な濾過媒体114(114a、114b、114c)を含む多段階システムであり、処理対象材料は濾過媒体114(114a、114b、114c)を流れ落ちる。これに関して、温度制御ユニット180は、処理対象材料が通過する又は流れ落ちる第1のイオン交換膜又はイオン吸着膜の上流の任意の位置に構成されてよい。例えば、第1の精製システム110が、順番にその供給口110aの下流で、粒子除去フィルタA、粒子除去フィルタB、イオン交換膜A、イオン交換膜B、イオン吸着膜Aを収容する場合、温度制御ユニット180は、処理対象材料がイオン交換膜A及び後続のイオン交換膜Bとイオン吸着膜Aを通過して処理される前に、処理対象材料の温度を約80°F以下、好ましくは約65°F以下に調整し制限するため、粒子除去フィルタBとイオン交換膜Aとの間に構成されてよい。上記例は例示目的のみであり、限定することを意図していないことに注意されたい。
【0058】
他の例において、温度制御ユニット180は、処理対象材料がイオン交換膜A及び後続のイオン交換膜Bとイオン吸着Aにより処理されるとき、処理対象材料の温度が上述した温度範囲、例えば80°F以下、好ましくは65°F以下に抑えられるよう維持される限り、粒子除去フィルタAの上流、又は粒子除去フィルタAとBとの間に構成されてよい。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態において、第1の精製システム110は、部分的に精製された処理対象が第1の精製システム110へ戻され、再度第1の精製システム110により処理されるよう再循環するための、再循環導管160hも含んでよい。また、もう1つの温度制御ユニット/熱交換器170が再循環導管160hに沿って構成されてよい。特定の実施形態において、温度制御ユニット170は、やはり約80°F以下、好ましくは約65°F以下の温度に設定されてよく、部分的に精製された処理対象の温度は第1の精製システム110へと再循環されるとき約80°F以下に制限される。図1に示される例において、再循環導管160hは第1の精製システム110の流出口110bの上流側に配置される。他の例において、再循環導管116hは流出口110bの下流側に構成されてよい。必要に応じ、ポンプとバルブが、処理対象供給ユニット20、熱交換器100、第1の精製システム110等で、様々な導管、流出口、供給口に取り付けられてよい。
【0060】
上述した非限定的な実施形態によると、薬液製造装置10は、第1の精製システム110と直接的又は間接的に連通する第2の精製システム120を更に含み、第2の精製システム120は1以上の濾過媒体124を含む。図1に示された例示的な実施形態において、第2の精製システム120は第1の精製システム110の下流に配置される。ただし、第1の精製システム110と第2に精製システム120の相対的構成は上記に示された例に限定されないことに注意されたい。
【0061】
第2の精製システム120内の1以上の濾過媒体124は、それぞれ、区画化され1以上の筐体122に収容されてよい。例えば、第2の精製システム120は、第4の筐体122a、第5の筐体122b、第6の筐体122cから選択された少なくとも1つの筐体122を含んでよく、少なくとも1つの筐体122は、その内に濾過媒体124の1以上のユニットを含み収容する。換言すれば、第2の精製システム120は、1、2、又は3つの筐体122を含んでよい。他の例示的な実施形態において、第2の精製システム120は、第4の筐体122a、第5の筐体122b、第6の筐体122cに加え、より多くの筐体122を含んでよい。更に、分離された筐体122がなくてよく、1以上の濾過媒体124は第2の精製システム120において区画化されないよう構成される。更に他の例示的な実施形態において、第2の精製システム120は、1以上の濾過媒体124に加え、他の図示されていない精製モジュールを含んでもよい。
【0062】
上述した例によると、第4の筐体122aは第4の濾過媒体124aの1以上のユニットを含んでよく、第5の筐体122bは第5の濾過媒体124bの1以上のユニットを含んでよく、第6の筐体122cは第6の濾過媒体124cの1以上のユニットを含んでよく、第4の濾過媒体124a、第5の濾過媒体124b、第6の濾過媒体124cは機能又は性能が異なり、異なる精製処理を提供してよく、それぞれ、各選択された筐体122(122a、122b、122c)に収容された濾過媒体124(124a、124b、124c)の1以上のユニットが同一又は類似の精製機能、物理化学的特性、細孔径及び/又は構成材料等を有する。例えば、第2の精製システム120は、粒子除去フィルタ、イオン交換膜、イオン吸着膜から選択された濾過媒体124(124a、124b、124c)を含んでよい。
【0063】
第1の精製システム110に類似し、温度制御ユニット190が1以上のイオン交換膜又は1以上のイオン吸着膜を収容する筐体122の入口の上流に構成されてよく、筐体122を通過する薬液の温度が所定の最適温度範囲に制限される。第2の精製システム120に採用される温度制御ユニット190の応用の原理、配置、仕様は、段落[0051]~[0058]に例示された第1の精製システム110で説明したものに類似する。
【0064】
図1に表された例示的な実施形態によると、温度制御ユニット190は第4の筐体122aの進入口の上流側に構成されてよく、第4の筐体122aは1以上のイオン交換膜又はイオン吸着膜を収容し、処理対象の温度は、処理対象材料が第2の精製システム120の第4の筐体122a内に進入する前に、温度制御ユニット190により約80°F以下、好ましくは約65°F以下に調整される。他の実施形態において、温度制御ユニット190は約30~70°Fの温度範囲内に設定される。更に他の実施形態において、温度制御ユニット190は約41~67°Fの温度範囲内に設定されることが好ましい。代替的な実施形態において、温度制御ユニット190は約50~65°Fの温度範囲内に設定されることがより好ましい。特定の実施形態において、温度制御ユニット190は70°F以上の温度に設定されることが回避されることに注意されたい。いくつかの実施形態において、温度制御ユニット190は68.5°F以上に上昇すること防止される。更に他の実施形態において、温度制御ユニット190は67.5°F以上に上昇することを制限される。例として、第5又は第6の筐体(122b又は122c)は10nm以下の孔径を有する1以上の粒子除去フィルタを含んでよい。
【0065】
上記例に例示された筐体122と濾過媒体124の配置順序は例示目的のみであり、限定することを意図していないことに注意されたい。いくつかの実施形態において、温度制御ユニット190は、第2の精製システム120内の第4の筐体122aと第5の筐体122bとの間に構成されてよく、処理対象材料の温度は、処理対象材料が第5の筐体122b内に充填される前に、温度制御ユニット190により所望の温度範囲に調整され、第5の筐体112bはイオン交換濾過媒体114b又はイオン吸着濾過媒体114bのいずれかを収容し、第4の筐体122aは1以上の粒子除去フィルタを含んでよい。更に、もう1つの温度制御ユニットが第5の筐体122bの下流に取り付けられても取り付けられなくてもよい。もう1つの温度制御ユニットの取付けは、ポンプといった処理対象材料に熱エネルギーを再導入しうる他の手段又は機器が、第5の筐体122bと、他のイオン交換媒体又はイオン吸着媒体を収容する後続の筐体(例えば、第6の筐体122c)との間に導入又は配置されないという条件において、任意である。温度制御ユニット190の位置は上記に示された例に限定されないことを理解されたい。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態において、第2の精製システム120は、部分的に精製された処理対象が第2の精製システム120へ戻され、再度第2の精製システム120により処理されるよう再循環するための、再循環導管160fを含んでもよい。また、もう1つの温度制御ユニット/熱交換器が再循環導管160fに沿って構成されてよい。
【0067】
<薬液を製造する方法>
【0068】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による例示的な薬液を製造する方法における処理ステップのフロー図である。
【0069】
図1と2の両方を参照し、いくつかの実施形態による薬液を製造する方法は、薬液を製造するためにステップ10において薬液製造装置10を提供することを含む。本発明の例示的な実施形態によると、薬液製造装置10は、1以上の第1の濾過媒体114を収容する1つの第1の精製システム110を少なくとも含み、第1の濾過媒体114は、少なくとも1以上のイオン交換膜及び/又は1以上のイオン吸着膜を含む。特定の実施形態において、薬液製造装置10は少なくとも第1の精製システム110に加え、第2の精製システム120を含む。
【0070】
次にステップ30を参照し、前処理済薬液又は処理対象材料が薬液製造装置10の第1の精製システム110へと送られる。処理対象材料は、鉄(Fe)、クロミウム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)からなる金属元素の群から選択された金属成分を含む有機溶剤を含み、前処理済薬液中の金属成分の含有量は約0.1~1000質量pptの範囲である。他の実施形態において、前処理済薬液に含まれる金属成分の含有量は200~1000質量pptであってよい。更に他の実施形態において、前処理済薬液に含まれる金属成分の含有量は500~1000質量pptの範囲である。
【0071】
やはり図1と2を参照し、薬液を製造する方法は、ステップ40において処理対象材料の温度を所定の最適温度範囲に調整することを含む。より具体的には、本発明の特定の実施形態によると、処理対象材料の温度は、1以上のイオン交換膜又は1以上のイオン吸着膜を収容する筐体112の進入口に進入する前に、約65°F以下に調整される。例えば、図1に示される例によると、処理対象材料の温度は、第2の筐体112bに進入する前に、約80°F以下、好ましくは約65°F以下に調整され、第2の筐体112bを通過する処理対象材料の温度は約80°F以下の所定の最適温度範囲に制限される。いくつかの実施形態において、処理対象材料の温度は約30~70°Fの温度範囲内に調整されてよい。更に他の実施形態において、処理対象材料の温度は約41~67°Fの温度範囲内に制限されることが好ましい。代替的な実施形態において、処理対象材料の温度は約50~65°Fの温度範囲内に制限されることがより好ましい。本発明のいくつかの実施形態によると、処理対象材料の温度は70°F以上に上昇することを制限される。他の実施形態において、処理対象材料の温度は68.5°F以上に上昇することを制限される。更に他の実施形態において、処理対象材料の温度は67.5°F以上に上昇することを制限される。
【0072】
処理対象材料の温度制御は、ステップ20において、例えば、1以上のイオン交換膜又はイオン吸着膜を収容する選択された筐体内を通過し処理されるとき、処理対象材料の温度を所望の所定温度範囲に調整し維持するため、選択された筐体の進入口の上流に位置する導管に温度制御ユニット180を取り付ける、又は選択された筐体(例えば、上記例における第2の筐体112b)を温度ユニットで囲むことにより達成されてよい。
【0073】
上記例は例示目的のみであり、処理ステップの順序は示された例に限定されないことに注意されたい。他の例示的な実施形態において、送出ステップ(例えば、ステップ30)と温度制御ステップ(例えば、ステップ40)の順序は逆であってよい。例えば、先ず処理対象材料の温度が約80°F以下、好ましくは約65°F以下である所定の最適温度範囲に制限されてよく、次いで温度制限された処理対象材料が1以上のイオン交換媒体又はイオン吸着媒体を含む薬液製造装置10に送られてよい。例として、処理対象材料の温度は、処理対象材料が第1の精製システム110に戻される前に、再循環導管160hに沿って構成された温度制御ユニット/熱交換器170により、約80°F以下、好ましくは約65°F以下の所定の最適温度範囲に制限される。上記例は例示目的のみであり、限定することを意図していないことに注意されたい。上記の例示的な実施形態において、温度制御ステップと送出ステップとの間で処理対象材料に熱又は熱エネルギーを再導入する他の手段は存在しない。換言すれば、処理対象材料の温度は、イオン交換又はイオン吸着処理の間、実質的に所定の最適温度範囲に維持される。
【0074】
薬液を製造する方法は、任意的に、処理対象を再び第1の精製システム110に再循環させ、第1の精製システム110に処理させることを含んでよい。方法はまた、処理対象を第2の精製システム120へ送り、1以上の回数、第2の精製システム120内の1以上の第2の濾過媒体124により処理対象を処理することを含んでよい。
【0075】
第1の精製システム110又は第1精製システム110と第2の精製システム120の組合せによる処理の終わりに処理済薬液から収集され検出された粒子の数と金属不純物の量が所定の範囲内に制御されるとすぐに、例えば、鉄(Fe)、クロミウム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)からなる金属元素の群から選択された金属成分の0.1~100質量pptを含む超高純度薬液が、ステップ50において生成される。続いて、超高純度薬液が製造の次の段階又はパッケージング140のいずれかへ送出される。
【0076】
[粒子除去フィルタ]
【0077】
粒子除去処理は、粒子除去フィルタを用いることにより、薬液といった処理対象中の粒子及び/又は金属不純物(固体の金属不純物)を除去する工程である。粒子除去フィルタは特に限定されず、周知の粒子除去フィルタを用いることができる。
【0078】
フィルタの平均細孔径(細孔径)は特に限定されないが、約0.001~1.0μm(1nm~1000nm)が適し、約0.003~0.5μm(3nm~500nm)が好ましく、約0.005~0.1μm(5nm~100nm)がより好ましい。この範囲内で、フィルタの目詰まりを抑制しつつ、精製品に含まれる不純物又は凝集物といった異物を確実に除去することができる。本発明の特定の実施形態において、第1の精製システム110は、最小2nmの平均細孔径を有し、0.002μm(2nm)以上約1.0μm(1000nm)以下の範囲であってよい粒子除去フィルタ(例えば、2nm以上の細孔径を有する精密濾過膜)を含んでよい。鉄又はアルミニウムといった金属原子を含むコロイド化した不純物に加えて微粒子が処理対象に含まれる場合、処理対象は、比較的微細な粒子を除去するため最小20nm又は15nmの平均細孔径を有するフィルタを用いることにより濾過を実行する前に、粒子を除去するため最小50nmの平均細孔径を有するフィルタを用いることにより濾過される。このため、濾過効率が向上し、粒子除去のパフォーマンスがより向上する。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態において、第2の精製システム120は最小0.001μm(1nm)で、約0.001μm(1nm)以上約0.015μm(15nm)以下の範囲であってよい細孔径を有する粒子除去フィルタを含んでよい。特定の実施形態において、第2の精製システム122は最小1nmの細孔径を有するUPEフィルタを含んでよい。更に他の実施形態において、第2の精製システム120は、約5nmの細孔径を有するナイロン又はMPTFEフィルタを含んでよい。ここで、平均細孔径はフィルタ製造業者の公称値を参照できる。
【0080】
粒子除去に用いられるフィルタの材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)といったフルオロ樹脂、ナイロン等といったポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)等といったポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)、パーフルオロアルコキシ(PFA)樹脂等、又は変性ポリテトラフルオロエチレン(MPTFE)を含む。薬液に含まれる不純物及び/又は凝集物といった微細異物を効率的に除去することを考慮し、本発明の粒子除去に用いられるフィルタは、ナイロン、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリイミド、ポリアミドイミドからなる群から選択された少なくとも1つで製造される。上記材料で製造されたフィルタにより、残留物欠陥及び/又はパーティクル欠陥を引き起こしやすい高極性を有する異物を効果的に除去することができ、薬液中の金属成分の含有量を効率的に低減することができる。
【0081】
ポリイミド及び/又はポリアミドイミドは、カルボキシル基、塩型カルボキシル基、-NH-結合からなる群から選択された少なくとも1つを有してよい。耐溶剤性については、フルオロ樹脂、ポリイミド、及び/又はポリアミドイミドが優れる。
【0082】
[イオン交換樹脂膜(イオン交換膜)]
【0083】
本実施形態において用いられるイオン交換樹脂膜は特に限定されず、樹脂膜に固定化された適切なイオン交換基を含むイオン交換樹脂を含むフィルタが用いられてよい。そのようなイオン交換樹脂膜の例は、樹脂膜上に化学修飾されたスルホン酸基といったカチオン交換基を有する強酸性カチオン交換樹脂を含み、その例としては、セルロース、珪藻土、ナイロン(アミド基を有する樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、イミド基を有する樹脂、アミド基とイミド基を有する樹脂、フルオロ樹脂、又は粒子除去膜とイオン交換樹脂膜との一体構造を有する膜である粒子除去膜を有する高密度ポリエチレン膜及びイオン交換樹脂膜を含む。イオン交換基が化学修飾されたポリアルキレン膜が好ましい。ポリアルキレンは、例えば、ポリエチレンとポリプロピレンを含み、ポリプロピレンが好ましい。イオン交換基としてカチオン交換基が好ましい。本実施形態で使用されるイオン交換樹脂膜は、金属イオン除去機能を備えた市販のフィルタであってよい。これらのフィルタは、イオン交換効率に基づき選択され、最小約0.2μm(200nm)のフィルタの推定細孔径を有する。
【0084】
[イオン吸着膜]
【0085】
イオン吸着膜は、多孔質膜材料を有し、イオン交換機能を有する。そのようなイオン吸着膜は、100μm以下の細孔径を有しイオン交換機能がある限り、特に限定されない。その材料、種類等は特に限定されない。イオン吸着膜を構成する基材の材料の例には、セルロース、珪藻土、ナイロン(アミド基を有する樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンといった精密濾過膜のフィルム材料、イミド基を有する樹脂、アミド基とイミド基を有する樹脂、フルオロ樹脂、又は高密度ポリエチレン樹脂、イオン交換能官能基が導入された膜材料等を含むが、これに限定されない。膜材料の形状の例としては、プリーツ型、平膜型、中空糸型、特開2003-112060に記載の多孔質体等を含む。膜材料に導入されるイオン交換基として、除去すべき成分の溶出と選択性を最適化するため、カチオン交換基、キレート交換基、アニオン交換基のうちの少なくとも2つの組合せを用いることが好ましい。イオン吸着膜は多孔性であるため、微粒子の一部を除去することも可能である。 本発明の特定の実施形態において、イオン吸着膜は、例えば、最小0.02μm(20nm)の細孔径を有するナイロン膜である。
【0086】
[実施例]
【0087】
以下の実施例に基づき本発明を以下により具体的に説明する。以下の実施例で説明される、材料、使用量、割合、処理の詳細、処理手順等は本発明の要旨から逸脱することなく、ある範囲に適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下の実施例により限定的に解釈されるべきではない。
【0088】
[薬液の調製]
【0089】
サンプル中の薬液はシクロヘキサノンであり、前処理済シクロヘキサノン(処理対象材料)を本発明の薬液製造装置10により実行されるイオン交換処理をすることにより調製された。
【0090】
前処理済シクロヘキサノンは、適切な温度制御あり又は温度制御なしのいずれかでイオン交換媒体を通過させた。適切な温度制御を伴うサンプルの温度は、イオン交換処理される前に約50°F~65°Fに抑えられた。温度制御なしのサンプルは、70°Fを超えて同一種のイオン交換媒体を通過し処理された。
【0091】
<GC-MSMS>
【0092】
イオン交換処理の終わりに収集された各サンプルを、未知の揮発性分析物の存在を明確に識別するために用いられるGC-MSMS(ガスクロマトグラフィータンデム質量分析)機器内に注入した。
【0093】
<OWPC>
【0094】
各サンプルを収集し、次いでウェハ被膜ツールに挿入した。ベアウェハがサンプルで被覆された後、ウェハをレーザー式検査システムに移して検査した。レーザー光を用いることにより、レーザー式検査システムが19nmの検出限界でウェハ上の各粒子の位置とサイズを検知、計数、記録した。これら実施例において、計数対象には31nm以上のサイズを有する粒子を含んだ。データは、ウェハマップを作成し、31nm~1000nmの範囲のサイズを有する全ての粒子を含む合計オンウェハ粒子数(OWPC)を提供するために用いた。
【0095】
<RAE>
【0096】
蒸発残留物(RAE、不揮発性残留物(NVR)としても知られる)は、揮発性溶液の蒸発の後に残留した可溶性、懸濁浮遊、又は微粒子状物質である。微細混入物の量を測定するため、不揮発分の分析を用いることができる。RAE定量は、制御された実験室環境で実行され、小さな計量容器に液体サンプルを分注し、有機溶剤を蒸発させるため容器を所定温度まで所定時間加熱することを含んだ。残留物量は、高感度天秤を用いた有機溶剤の蒸発前後の容器を秤量することにより重量測定で決定された。
【0097】
<評価結果>
【0098】
図3に示されるように、GC-MSMS結果は、シクロヘキサノンの製造の間のイオン交換処理の適切な温度制御の影響を表している。結果は、温度制御なしに行われたシクロヘキサノンの製造に関連付く望まれない、以前には未知の不純物(例えば、シクロヘキサノン二量体)の存在を明確に示している。一方、イオン交換処理が50°F~65°Fの所望の温度範囲内の適切な温度制御下で実行されたとき、サンプル中に生成された望まれない有機不純物の検出は、微量でも存在しなかった。
【0099】
<表1>
【0100】
表1に示されるように、本発明の薬液を製造する方法は、不純物の除去及び/又は薬液の製造の間に生成された望まれない副産物の低減の改善という所望の利点を達成したことを表している。データは、温度制御なしのサンプルの不揮発性残留物含有量が、適切な温度制御を伴ったサンプルの2倍~10倍であったことを示している。温度が低下するにつれ、RAE含有量の低減はより明確となる。
【0101】
<表2>
【0102】
表2にまとめられた結果は、薬液製造方法がオンウェハ粒子数の低減に効果的であることを表している。表2に示されるように、適切な温度制御を伴ったサンプルからの31nm以上のサイズを有するOWPCは、イオン交換処理の間の温度制御なしのサンプルと比較し、ほぼ2~3倍減少した。
【0103】
<薬液の調製>
【0104】
以下の実験において、サンプル中の薬液は再びシクロヘキサノンであり、前処理済シクロヘキサノンを、本発明の少なくとも第1の精製システム110と第2の精製システム120とを含む薬液製造装置10を採用した本発明の薬液を製造する方法により調製した。
【0105】
機能性、細孔径、温度コントローラの有無といった、第1の精製システム110(ユニットA内の濾過媒体114)と第2の精製システム120(ユニットB)内の濾過媒体124の配置と選択は、各実施例の組成を有する薬液の調製のため調整した。
【0106】
<評価結果>
【0107】
表3に示されるように、各実施例を、薬液製造装置が各実施例の前処理済シクロヘキサノン(処理対象)を処理するため異なるよう構成されたことを除き、本発明の薬液製造装置により調製した。前処理済シクロヘキサノンを処理するための薬液製造装置の異なる構成は、表3にまとめたように、それぞれ処理A、B、C、D、Eとして表した。
【0108】
表3
【0109】
表4
【0110】
表5
【0111】
表1~5にまとめられた集合的な結果及び図3は、本発明の薬液製造装置を採用した薬液を製造する方法が、不揮発性残留物とOWPCを大幅に低減することを少なくとも含む全てのテスト属性を改善し、温度制御と処理構成の相乗効果により薬液の製造の間の望まれない不純物の発生を防ぐという所望の利点を達成したことを確証している。これらデータは、本発明の製造方法及び製造装置が、効果的に設計されていない製造装置及び/又は不適切に実装された製造方法に起因する、望まれない混入物の導入を妨げ、除去を改善することを実証している。従って、本発明の製造方法及び製造装置は、超高純度薬液を製造し、回路パターンや半導体デバイスの欠陥の発生を回避し、歩留まりを改善するという競争上の優位性を提供する。
【0112】
上記は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、ここで紹介された実施形態と同じ目的を実行するため、及び/又は同じ利点を達成するための他の処理及び構造を設計又は改変するための基礎として、本開示を容易に用いることができることを理解すべきである。当業者はまた、そのような同等の構造が本発明の精神及び範囲から逸脱せず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な改変、置き換え、代替を行うことができることを理解すべきである。
図1
図2
図3