(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム、学習モデル、制御装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B02C 23/00 20060101AFI20241108BHJP
B02C 17/16 20060101ALI20241108BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20241108BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B02C23/00 Z
B02C17/16 Z
B02C25/00 B
B02C25/00 C
G05B13/02 L
(21)【出願番号】P 2021524544
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2019022172
(87)【国際公開番号】W WO2020245915
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年 6月 5日に、平成30年度第1回粉体ハンドリング分科会にて公開 平成30年 8月 2日に、日本学術振興会先進セラミックス 第124委員会 第155回講演会にて公開 平成30年10月23日に、粉体技術にて公開 平成30年11月29日に、国際粉体工業展東京2018にて公開 平成30年11月22日に、化学工業日報にて公開 平成30年11月26日に、https://www.youtube.com/watch?v=6WmO1XuOpwQにて公開 平成30年11月27日に、日刊工業新聞にて公開 平成30年11月27日に、https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00497347にて公開 平成30年11月28日に、http://www.hosokawamicron.co.jp/jp/news-product-jp/2018/11/28/5701/にて公開 平成30年12月 3日に、https://www.youtube.com/watch?v=yAU67BQftSEにて公開 平成30年12月11日に、http://www.hosokawamicron.co.jp/jp/service/tech_a.htmlにて公開 平成30年12月21日に、http://www.hosokawamicron.co.jp/info/wp-content/uploads/2018/12/74report201812.pdfにて公開 令和 1年 5月 1日に、化学装置5月号にて公開 令和 1年 5月14日に、産業機械5月号にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000113355
【氏名又は名称】ホソカワミクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】北村 智浩
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】河本 充雄
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-200079(JP,A)
【文献】特開平6-327990(JP,A)
【文献】特開平11-104511(JP,A)
【文献】特開2007-175561(JP,A)
【文献】特開2002-361116(JP,A)
【文献】特開平9-141116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0290917(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 9/00-11/08
B02C19/00-25/00
B02C 1/00- 7/18
B02C15/00-17/24
G05B 1/00- 7/04
G05B11/00-13/04
G05B17/00-17/02
G05B21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置に関して、前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データとを複数組取得し、
取得した複数組の計測データと、粒子径データ及び円形度データとを教師データに用いて、ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度の入力に応じて、前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記処理室からの吐出・吸引流量に関する制御パラメータについての演算結果を出力する学習モデルを生成する
学習モデルの生成方法。
【請求項2】
前記粉体処理装置の処理室に供給する前記粉体原料の供給量及び前記処理室内の温度の少なくとも1つを更に含む計測データを教師データに用いて、前記供給量及び前記温度の少なくとも1つを更に含む制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデルを生成する
請求項1に記載の学習モデルの生成方法。
【請求項3】
前記教師データは、前記粉体原料の水分含有量、前記粉体処理装置の駆動電力、前記粉体処理装置の駆動電流、熱媒温度、前記処理室内で攪拌されることによって前記粉体原料を粉砕する媒体の重量を示す媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくも1つのデータを更に含み、
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度と、前記水分含有量、前記駆動電力又は前記駆動電流、前記熱媒温度、前記媒体重量、前記環境温度、及び前記環境湿度の少なくとも1つとの入力に対し、前記制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデルを生成する
請求項1又は請求項2に記載の学習モデルの生成方法。
【請求項4】
教師データに用いる計測データと、粒子径データ及び円形度データとを再取得し、
再取得した前記計測データと、前記粒子径データ及び前記円形度データとを教師データに用いて、前記学習モデルを再学習する
請求項1から請求項3の何れか1つに記載の学習モデルの生成方法。
【請求項5】
ユーザが所望する粒子径及び円形度の入力に応じて、前記制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデルを、粉体原料の種別に応じてそれぞれ生成する
請求項1から請求項4の何れか1つに記載の学習モデルの生成方法。
【請求項6】
前記粉体処理装置を含む系内に流れる流体は気体又は液体である
請求項1から請求項5の何れか1つに記載の学習モデルの生成方法。
【請求項7】
コンピュータに、
トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置に関して、前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データとを複数組取得し、
取得した複数組の計測データと、粒子径データ及び円形度データとを教師データに用いて、ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度の入力に応じて、前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記処理室からの吐出・吸引流量に関する制御パラメータについての演算結果を出力する学習モデルを生成する
処理を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度が入力される入力層、
トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力する出力層、並びに
前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データとを複数組含む教師データを用いて、前記粒子径及び前記円形度と、前記制御パラメータとの関係を学習してある中間層
として機能させるための学習モデルであって、
前記入力層にユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度が入力された場合、前記中間層にて演算し、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力するよう
前記コンピュータを機能させる
学習モデル。
【請求項9】
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度の入力を受付ける受付部と、
トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データと、前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを複数組含む教師データを用いて、前記粉体の粒子径及び前記粉体の円形度と、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータとの間の関係を学習してある学習モデルと、
前記受付部にて受付けた粒子径及び円形度を前記学習モデルへ入力し、前記学習モデルによる演算を実行する演算処理部と、
前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する制御部と
を備える制御装置。
【請求項10】
前記演算処理部は、前記粉体処理装置の処理室に供給する粉体原料の供給量、及び前記処理室内の温度の少なくとも1つを更に含む計測データを用いて前記関係を学習してある学習モデルに、前記受付部にて受付けた粒子径及び粉体の円形度を入力することにより、前記学習モデルによる演算を実行し、
前記制御部は、前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記受付部は、ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度と、粉体原料の水分含有量、前記粉体処理装置の駆動電力、前記粉体処理装置の駆動電流、熱媒温度、前記処理室内で攪拌されることによって前記粉体原料を粉砕する媒体の重量を示す媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくも1つとを受付け、
前記演算処理部は、前記水分含有量、前記駆動電力又は前記駆動電流、前記熱媒温度、前記媒体重量、前記環境温度、及び前記環境湿度の少なくとも1つのデータを更に含む教師データを用いて前記関係を学習してある学習モデルに、前記受付部にて受付けた値を入力することにより、前記学習モデルによる演算を実行し、
前記制御部は、前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項9又は請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記受付部は、粉体原料の種別を受付け、
前記演算処理部は、前記粉体原料の種別毎に前記関係を学習してある複数の学習モデルから、前記受付部にて受付けた種別に対応する学習モデルを選択し、選択した学習モデルにユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度を含む値を入力することにより、前記学習モデルによる演算を実行し、
前記制御部は、前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項9から請求項11の何れか1つに記載の制御装置。
【請求項13】
ユーザが所望する粉体の粒子径と、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データとを比較し、比較結果に応じて、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径がユーザが所望する粉体の粒子径に近づくように、前記制御パラメータを調整する調整部
を備え、
前記制御部は、調整後の制御パラメータに基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項9から請求項12の何れか1つに記載の制御装置。
【請求項14】
前記計測データの少なくとも1つ、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ、前記受付部にて受付けたユーザが所望する粒子径、及び前記粉体処理装置の全体図を含む画面データを生成する画面生成部と、
生成した画面データを外部端末へ送信する送信部と
を備える請求項9から請求項13の何れか1つに記載の制御装置。
【請求項15】
コンピュータが、
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度の入力を受付け、
受付けた粒子径及び円形度を、トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データと、前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを複数組含む教師データを用いて、前記粉体の粒子径及び前記粉体の円形度と、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータとの間の関係を学習してある学習モデルへ入力し、
前記学習モデルによる演算を実行し、
前記学習モデルから得られる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
制御方法。
【請求項16】
受付けた粒子径及び円形度を、前記粉体処理装置の処理室に供給する粉体原料の供給量、及び前記処理室内の温度の少なくとも1つを更に含む計測データを用いて前記関係を学習してある学習モデルへ入力し、
前記学習モデルから得られる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度と、粉体原料の水分含有量、前記粉体処理装置の駆動電力、前記粉体処理装置の駆動電流、熱媒温度、前記処理室内で攪拌されることによって前記粉体原料を粉砕する媒体の重量を示す媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくも1つとを受付け、
受付けたデータを、前記水分含有量、前記駆動電力又は前記駆動電流、前記熱媒温度、前記媒体重量、前記環境温度、及び前記環境湿度の少なくとも1つを更に含む教師データを用いて前記関係を学習してある学習モデルへ入力し、
前記学習モデルから得られる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項15又は請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
粉体原料の種別を受付け、
粉体原料の種別毎に前記関係を学習してある複数の学習モデルから、受付けた種別に対応する学習モデルを選択し、
選択した学習モデルに受付けた粒子径及び円形度を入力することにより、前記学習モデルによる演算を実行し、
前記学習モデルから得られる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項15から請求項17の何れか1つに記載の制御方法。
【請求項19】
ユーザが所望する粉体の粒子径と、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データとを比較し、
比較結果に応じて、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径がユーザが所望する粉体の粒子径に近づくように、前記制御パラメータを調整し、
調整後の制御パラメータに基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
請求項15から請求項18の何れか1つに記載の制御方法。
【請求項20】
前記粉体処理装置における計測データの少なくとも1つ、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ、及び前記粉体処理装置の全体図を含む画面データを生
成し、
生成した画面データを外部端末へ送信する
請求項15から請求項19の何れか1つに記載の制御方法。
【請求項21】
前記粉体処理装置を含む装置は、前記粉体処理装置と、前記粉体処理装置に接続される原料供給機、熱風発生機、サイクロン、集塵機、及びブロワ若しくはポンプの少なくとも1つとを含む
請求項15から請求項20の何れか1つに記載の制御方法。
【請求項22】
コンピュータに、
ユーザが所望する粒子径及び粉体の円形度の入力を受付け、
受付けた粒子径及び円形度を、トナー用若しくは電池材料用の粉体原料を粉砕する粉砕ロータ、及び粉体を分級する分級ロータを備え、前記粉体原料からトナー用若しくは電池材料用の粉体を製造する粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データ及び前記粉体の円形度データと、前記粉体処理装置の動作状態として前記粉砕ロータの回転速度、前記分級ロータの回転速度、及び前記粉体処理装置の処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを複数組含む教師データを用いて、前記粉体の粒子径及び前記粉体の円形度と、粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータとの間の関係を学習してある学習モデルに入力することにより、前記学習モデルによる演算を実行し、
前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する
処理を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム、学習モデル、制御装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体処理プロセスは、貯蔵、供給、輸送、粉砕、分級、混合など種々のプロセスの組み合わせにより構成される(例えば、特許文献1を参照)。ユーザが望む品質を持った製品又は中間体を安定的に得るためには、粉体処理装置の操作条件を適切に設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粉体処理プロセスにおいて取り扱う粉体は、粉体の種類、サイズ、形状等に応じて千差万別の性質を示す。このため、粉体処理装置に設定される操作条件は、現場技術者の経験や勘に依存している要素が多いという問題点を有している。
【0005】
本発明は、現場技術者の経験や勘に依存することなく、粉体処理装置に関する制御パラメータを決定できる学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム、学習モデル、制御装置、及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る学習モデルの生成方法は、コンピュータを用いて、粉体原料を粉砕する機能を少なくも備える粉体処理装置に関して、前記粉体処理装置の動作状態を示す計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データとを取得し、取得した計測データと粒子径データとを教師データに用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力する学習モデルを生成する。
【0007】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、粉体原料を粉砕する機能を少なくも備える粉体処理装置に関して、前記粉体処理装置の動作状態を示す計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データとを取得し、取得した計測データと粒子径データとを教師データに用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力する学習モデルを生成する処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0008】
本発明の一態様に係る学習モデルは、ユーザが所望する粒子径が入力される入力層、粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力する出力層、及び前記粉体処理装置の動作状態を示す計測データと、前記粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データとを教師データに用いて、前記粒子径と前記制御パラメータとの関係を学習してある中間層を備え、前記入力層にユーザが所望する粒子径が入力された場合、前記中間層にて演算し、前記粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータについての演算結果を出力するようコンピュータを機能させる。
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置は、ユーザが所望する粒子径の入力を受付ける受付部と、粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データと、前記粉体処理装置の動作状態を示す計測データとを教師データに用いて、前記粉体の粒子径と、粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータとの間の関係を学習してある学習モデルと、前記受付部にて受付けた粒子径のデータを前記学習モデルへ入力し、前記学習モデルによる演算を実行する演算処理部と、前記学習モデルによる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する制御部とを備える。
【0010】
本発明の一態様に係る制御方法は、ユーザが所望する粒子径の入力を受付け、受付けた粒子径のデータを、粉体処理装置から得られる粉体の粒子径データと、前記粉体処理装置の動作状態を示す計測データとを教師データに用いて、前記粉体の粒子径と、粉体処理装置の動作状態を制御する制御パラメータとの間の関係を学習してある学習モデルへ入力し、前記学習モデルによる演算を実行し、前記学習モデルから得られる演算結果に基づき、前記粉体処理装置を含む装置の動作を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本願によれば、現場技術者の経験や勘に依存することなく、粉体処理装置に関する制御パラメータを決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る粉体処理システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1に係る粉体処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図6】制御装置が収集するデータの一例を示す概念図である。
【
図7】制御装置による学習モデルの生成手順を説明するフローチャートである。
【
図8】制御装置による制御手順を説明するフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係る粉体処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図10】実施の形態2における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図11】実施の形態3に係る粉体処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図12】実施の形態4に係る粉体処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図13】実施の形態4における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図14】実施の形態5に係る粉体処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図15】実施の形態5における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図16】実施の形態6における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図17】実施の形態7における学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図18】実施の形態8におけるデータの収集例を示す概念図である。
【
図19】実施の形態8に係る学習モデルの生成手順を説明するフローチャートである。
【
図20】制御装置による制御手順を説明するフローチャートである。
【
図21】学習モデルの再学習手順を説明するフローチャートである。
【
図22】制御パラメータの調整手順を説明するフローチャートである。
【
図23】端末装置及び制御装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図25】モニタリング画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る粉体処理システム1の全体構成を示す模式図である。実施の形態1に係る粉体処理システム1は、例えば、原料供給機2、熱風発生機3、粉体処理装置4A、サイクロン5、集塵機6、ブロワ7(若しくはポンプ)、及び制御装置100(
図3を参照)を備える。
【0014】
原料供給機2は、粉体原料を粉体処理装置4Aへ供給するための装置である。原料供給機2が粉体処理装置4Aへ供給する粉体原料は、例えば、コピー機やレーザープリンタで紙の着色に使われる微細な粉末状のトナーの原料である。トナー原料に限らず、粉体塗料、電池材料、磁性材料、染料、樹脂、ワックス、ポリマ、医薬品、触媒、金属粉、シリカ、はんだ、セメント、食品など、無機材料、有機材料、又は金属材料の粉体を製造するための粉体原料であってもよい。
【0015】
原料供給機2は、原料供給路TP1を介して粉体処理装置4Aに接続されている。原料供給路TP1内には、粉体原料を搬送するためのスクリューフィーダ21(
図2を参照)が設けられている。スクリューフィーダ21は、粉体原料が固体の場合であって、粉体原料を一定速度で連続的に投入する場合に好ましい。スクリューフィーダ21に代えて、ダブルダンパーやロータリーバルブ等を用いてもよい。また、熱風発生機3が発生させる熱風を原料供給路TP1に導入し、熱風と共に粉体原料を粉体処理装置4Aに供給してもよい。更に、原料供給機2は、ロードセルなどの重量センサS1(
図3を参照)を用いて重量管理を行い、粉体処理装置4Aにおいて連続処理を行う場合であっても、装置内滞留量が一定となるように粉体原料の供給量を調節してもよい。また、原料供給機2は、内蔵タイマ(不図示)の出力と、重量センサS1により計測される粉体原料の供給量とに基づき、単位時間当たりの粉体原料の供給量(すなわち供給速度)を計測してもよい。重量センサS1は、原料供給機2だけでなく、粉体処理装置4A、サイクロン5、及び集塵機6に設けられてもよい。
【0016】
熱風発生機3は、粉体処理装置4Aに導入する熱風を発生させるための装置であり、加熱ヒータなどの熱源、送風機、及び熱風の温度及び風量を制御する制御装置などを備える。熱風発生機3は、上記の構成に限らず、公知の構成を用いればよい。例えば、粉体処理装置4Aに導入した熱風の一部を回収し、熱風発生機3と粉体処理装置4Aとの間で循環させてもよい。
【0017】
熱風発生機3は、気体導入路TP2を介して粉体処理装置4Aに接続されている。熱風発生機3が発生させた熱風は、気体導入路TP2を介して、粉体処理装置4Aに導入される。熱風発生機3が発生させる熱風の温度は、粉体処理装置4Aで処理される粉体に応じて適宜設定される。例えば、粉体処理装置4Aで処理した粉体を乾燥させるために200℃~600℃程度の熱風を発生させてもよい。
【0018】
粉体処理装置4Aは、原料供給機2から供給される粉体原料を粉砕し、得られる粉体を分級することにより、所定粒子径未満の粉体を生成するための装置である。本実施の形態に係る粉体処理装置4Aは、主として、粉体原料を粉砕する粉砕処理と、粉砕した粉体を分級する分級処理とを行う装置(例えば、ホソカワミクロン株式会社製ACMパルベライザ(登録商標))として説明する。
【0019】
粉体処理装置4Aにて処理された粉体は、粉体輸送路TP3を介してサイクロン5に輸送される。本実施の形態では、粉体処理装置4Aからサイクロン5に至る粉体輸送路TP3の中途に粒子径センサS2を設置し、粒子径センサS2により粉体処理装置4Aを通過する粉体の粒子径を常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測する。サイクロン5により収集される粉体は製品タンク8に取り出され、製品として回収される。
【0020】
粒子径センサS2は、例えばレーザ回折・散乱法を用いて粒度分布を測定する装置であり、D10,D50,D90の値を出力する。ここで、D10,D50,D90は、それぞれ粒度分布における累積体積分布の小径側から累積10%、50%、90%に相当する粒子径を表す。累積体積分布とは、粉末の粒子径(μm)と、小径側からの積算頻度(体積%)との関係を表す分布である。D50は、一般には平均粒子径(メジアン径)ともいわれる。D10,D50,D90に代えて、粒子径の頻度分布において出現比率が最も大きい粒子径を表すモード径を用いてもよく、各種算術平均値(個数平均、長さ平均、面積平均、体積平均など)を用いてもよい。
なお、本実施の形態では、粉体輸送路TP3に粒子径センサS2を設置する構成としたが、原料供給機2、サイクロン5から製品タンク8に至る経路、集塵機6から集塵タンク9に至る経路等に設置されてもよい。
【0021】
サイクロン5には、集塵経路TP4を介して集塵機6が接続されている。集塵機6は、サイクロン5を通過した微粉等を捕集するためのバグフィルタを備える。集塵機6のバグフィルタを通過した気体は、排風路TP5を通じてブロワ7へ流れ、ブロワ7の排出口から排出される。一方、集塵機6のバグフィルタにより捕集された微粉等は集塵タンク9に取り出され、回収される。
【0022】
集塵機6には、排風路TP5を介してブロワ7が接続されている。このブロワ7を駆動することにより、粉体処理装置4Aからサイクロン5への気体の流れ(すなわち、粉体処理装置4Aから粉体を取り出す気体の流れ)、及びサイクロン5から集塵機6への気体の流れを形成する。本実施の形態では、集塵機6からブロワ7に至る排風路TP5の中途に流量センサS3(
図3を参照)を設置し、粉体処理装置4Aから粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測する。排風路TP5に流量センサS3を設置する構成に代えて、原料供給路TP1、気体導入路TP2、粉体輸送路TP3、集塵経路TP4、ブロワ7の排出口等に流量センサS3を設置してもよい。
【0023】
制御装置100は、粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する装置であり、これら装置との間で各種データの授受ができるように接続される。ここで、粉体処理装置4Aを含む装置とは、粉体処理装置4Aを含み、原料供給機2、熱風発生機3、サイクロン5、集塵機6、及びブロワ7の少なくとも1つを更に含んでもよいことを表している。以下の説明において、粉体処理装置4Aを含む装置を、制御対象の装置とも記載する。
【0024】
図2は実施の形態1に係る粉体処理装置4Aの構成を示す模式的断面図である。粉体処理装置4Aは、その内部において粉体処理を行う円筒形状のケーシング410を備える。このケーシング410には、原料投入口411、気体導入口412、粉砕ロータ413、ガイドリング414、分級ロータ415、粉体取出口416等が設けられている。
【0025】
ケーシング410の素材は、従来から粉体処理装置のケーシングに用いられている公知の材料を用いればよい。具体的には、SS400、S25C、S45C、SPHC(Steel Plate Hot Commercial)などの鉄系鋼材、SUS304、SUS316などのステンレス鋼材、FC20、FC40などの鉄鋳物材、SCS13、14などのステンレス鋳物材などの金属、あるいは、セラミックス、ガラスなどを用いればよい。また、内壁面に耐磨耗材を貼り付けるなどすれば、アルミニウム、その他木材や合成樹脂であってもよい。
【0026】
ケーシング410の内面は、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキ処理などのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0027】
また、ケーシング410内において、トナーなどの低融点樹脂成分の粉体処理を行う場合、固着成分が製品に混入すると品質不良となる。そこで、処理粉体の付着又は固着による気流の乱れ、または、ケーシング410内の閉塞を防ぐために、ケーシング410の内面には、バフ研磨、電解研磨、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などのコーティング、ニッケルなどのメッキ処理が施されてもよい。
【0028】
ケーシング410には、原料供給機2から供給される粉体原料をケーシング410内に投入するための原料投入口411が設けられている。この原料投入口411は、粉砕ロータ413の回転円盤413Aよりも上方の位置に設けられることが好ましい。原料供給機2から供給される粉体原料は、原料供給路TP1内のスクリューフィーダ21によって搬送され、原料投入口411よりケーシング410内に投入される。
【0029】
ケーシング410には、熱風発生機3による熱風(気体)をケーシング410内に導入するための気体導入口412が設けられている。気体導入口412は、気体導入路TP2を介して熱風発生機3に接続されている。この気体導入口412の位置は特に限定されないが、回転する粉砕ロータ413を介してケーシング410内に気体が導入されるように、粉砕ロータ413よりも下方の位置に設けられることが好ましい。本実施の形態では、粉砕ロータ413の回転方向と交差する方向から気体を導入する構成としたが、粉砕ロータ413の回転方向に沿って気体を導入する構成としてもよい。
【0030】
気体導入口412から導入された気体は、ケーシング410内部を旋回しつつ循環する気流を形成すると共に、ケーシング410の内部から分級ロータ415を経て、粉体取出口416からサイクロン5及び集塵機6に到達する。ケーシング410内の気流は、サイクロン5及び集塵機6を介して接続されているブロワ7による吸引によって形成されてもよく、気体導入口412側からの吹き込み(加圧)によって形成されてもよい。ケーシング410内に導入される気体の種類は、目的とする処理品に応じて適宜決めればよい。例えば、空気を用いてもよく、酸化防止のために、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いてもよい。
【0031】
処理対象の粉体によっては、ケーシング410内の温度上昇により、粉体に軟化現象が生じ、粉体同士が融着して粒子径にばらつきが生じたり、収率が低下したりする場合がある。そこで、ケーシング410内の1又は複数箇所に温度センサS4(
図3を参照)を設け、ケーシング410内の温度を管理してもよい。例えば、処理対象の粉体が例えば低融点のトナーの場合、粉体取出口416での排気温度が35~55℃となるように、ケーシング410内に導入する気体の温度を調節してもよい。
また、サイクロン5、集塵機6、製品タンク8、集塵タンク9等に温度センサS4を設けてもよい。
【0032】
また、本実施の形態では、ケーシング410内に熱風発生機3からの熱風を導入する構成としたが、図に示していない冷風発生機を用いて、ケーシング410内に-20℃~5℃程度の冷風を導入する構成としてもよい。この場合、結露防止のために、ケーシング410内に導入される気体は除湿された気体であることが好ましい。その他に、熱によって風味がなくなったり、変質し易い食品等を処理する場合には、0~15℃に調節された冷風空気を用いてもよい。
【0033】
更に、ケーシング410の内部温度を調節するために、ケーシング410の周囲にジャケット部を設けてもよい。ジャケット部は、別に設けたタンクから加熱流体または冷却流体を循環供給することによって、ケーシング410の内部温度を調節する。
【0034】
粉砕ロータ413は、回転円盤413Aと、回転円盤413Aの上面周縁部から上向きに突出する複数のハンマ413Bとを備えるロータであり、粉砕モータ413M(
図3を参照)の動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。ここで、粉砕モータ413Mは、粉体処理システム1が備える駆動部の1つである。粉砕モータ413Mの回転速度は、回転速度センサS5(
図3を参照)によって常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測される。粉砕ロータ413のハンマ413Bは、回転円盤413Aの上面周縁部にて周方向に等間隔に複数配置される。なお、ハンマ413Bの形状、寸法、個数、及び素材は、要求される製品粉体の粒子径や円形度等に応じて適宜設計される。例えば、
図2では、棒状のハンマ413Bを示しているが、直方体状のハンマであってもよく、平面視において台形状のハンマであってもよい。また、ハンマ413Bに代えて、刃物状の構造物を用いてもよい。
【0035】
粉砕ロータ413は、粉砕モータ413Mの動力によって回転し、ケーシング410内に旋回する気流を発生させると共に、ハンマ413Bの作用により、ケーシング410内に導入された粉体原料に衝撃、圧縮、摩砕、剪断等の機械エネルギを与え、粉体原料を粉砕する。
【0036】
粉砕ロータ413の素材は、従来から粉体処理装置の粉砕ロータに用いられている公知の材料を用いればよい。例えば、SS400、S25C、S45C、SUS304、SUS316、SUS630などを用いることができる。また、ハンマ413Bについては、衝撃力に耐え得るように、超硬合金のチップを付けたり、磨耗性及び強靭性を備えたセラミックスやサーメットなどの金属とセラミックスとの複合物を用いてもよい。
【0037】
更に、粉砕ロータ413の表面は、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキなどのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理、SUS630の焼き入れ硬化処理などが施されていてもよい。また、粉砕ロータ413の表面には、バフ研磨、電解研磨、PTFEなどのコーティング、ニッケルなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0038】
本実施の形態では、回転円盤413Aの上面周縁部から上向きに突出したハンマ413Bの構成について説明したが、回転円盤413Aの下面周縁部から下向きに突出したハンマを用いてもよい。このように下向きに突出したハンマは、ケーシング410内の粉体原料を直接的に粉砕するものではないが、ケーシング410内に強い旋回気流を形成することができるため、粉体原料同士を衝突させて間接的に粉体原料を粉砕することができる。
【0039】
また、ケーシング410の内周面であって、ハンマ413Bと対向する位置には粉砕ライナが設けられてもよい。粉砕ライナは、粉砕ロータ413の回転軸方向に沿った中心軸を有する筒状の部材であり、この筒状の部材の内周面には、三角形、波形、くさび形の溝が設けられてもよい。
【0040】
ガイドリング414は、ケーシング410内に旋回する気流を発生させ、ケーシング410内で処理される粉体を分級ロータ415へ導くための円筒状の部材である。ガイドリング414は、粉砕ロータ413の上方にて粉砕ロータ413と同軸に配され、ケーシング410の内部に固定される。ガイドリング414の固定方法は特に限定されるものではないが、粉体処理装置4Aの動作中はケーシング410内部にて回転することなく固定される必要がある。これは、ケーシング410内部で、処理対象の粉体の流動状態を適切な状態に制御するためである。
図2の例では、その内径がケーシング410内の下側から上側に向かって連続的に大きくなっているガイドリング414を示しているが、内径が上側に向かって連続的に小さくなるガイドリングであってもよく、内径が上下方向で変化しないガイドリングであってもよい。
【0041】
分級ロータ415は、放射状に配される複数の分級羽根415Aを備えたロータであり、分級モータ415M(
図3を参照)の動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。ここで、分級モータ415Mは、粉体処理システム1が備える駆動部の1つである。分級モータ415Mの回転速度は、回転速度センサS6(
図3を参照)によって常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測される。分級ロータ415は、粉砕ロータ413の上方に設けられており、高速回転による遠心力により、ケーシング410内で処理された粉体のうち所定粒子径未満の粉体のみを通過させ、通過させた粉体のみを粉体取出口416へ導く。
【0042】
ここで、分級ロータ415を通過する粉体の粒子径は、分級ロータ415の回転速度等を制御することによって設定することができる。すなわち、分級ロータ415の回転速度を制御することによって、ケーシング410内から所定粒子径未満の粉体を取り出すことができる。一方、分級ロータ415を通過できない粉体は、ケーシング410内を循環し、繰り返し処理される。
【0043】
分級ロータ415の素材は、従来から粉体処理装置の分級ロータに用いられている公知の材料を用いればよい。例えば、SS400、S25C、S45C、SUS304、SUS316、チタン、チタン合金、アルミ合金などを用いることができる。また、分級ロータ415の表面は、装置の耐久性向上のために、浸炭焼入れなどの熱硬化処理、タングステンカーバイド溶射材処理、ハードクロムメッキなどのメッキ処理、溶射後に熱硬化処理を施すための特殊溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0044】
また、分級ロータ415への粉体の付着や固着を防止するため、分級ロータ415の表面には、バフ研磨、電解研磨、PTFEなどのコーティング、ニッケルなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0045】
本実施の形態に係る粉体処理装置4Aは、粉砕ロータ413及び分級ロータ415を備えているが、粉砕ロータ413を使用せずに、分級機として利用してもよい。また、熱風発生機3から熱風を導入することが可能であるため、粉体処理装置4Aを乾燥機として利用してもよい。また、ケーシング410に粗粉回収口を設け、粗粉を回収することにより、粉体処理装置4Aを粒子設計装置として利用してもよい。更に、複数種の原料をケーシング410へ供給し、ケーシング410内で複数種の原料を混合する連続混合機として利用してもよい。
【0046】
また、粉体処理装置4Aを含む装置の少なくとも1つ、又は装置間の各経路の少なくとも1つに、上述した各種センサに加え、含塵濃度を計測する含塵濃度センサ、粉体の組成を計測するNIRセンサなどの計測センサ、粉体の湿分を計測する湿分センサ、圧力を計測する圧力センサ、音圧若しくは周波数を計測する音圧・周波数センサが設けられてもよい。
【0047】
以下、粉体処理システム1における制御系の構成について説明する。
図3は実施の形態1に係る制御装置100の内部構成を示すブロック図である。制御装置100は、汎用又は専用のコンピュータにより構成されており、制御部101、記憶部102、入力部103、出力部104、通信部105、操作部106、及び表示部107を備える。
【0048】
制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部101が備えるROMには、制御装置100が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。制御部101内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムや後述する記憶部102に記憶された各種コンピュータプログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御することによって、本発明に係る制御装置としての機能を実現する。制御部101が備えるRAMには、演算の実行中に利用されるデータ等が一時的に記憶される。
【0049】
制御部101は、CPU、ROM、及びRAMを備える構成としたが、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、量子プロセッサ、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備える1又は複数の演算回路又は制御回路であってもよい。また、制御部101は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0050】
記憶部102は、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いた記憶装置を備える。記憶部102には、制御部101によって実行されるコンピュータプログラム、外部から取得した各種データ、装置内部で生成した各種データ等が記憶される。
【0051】
記憶部102に記憶されるコンピュータプログラムは、制御対象の装置の動作を制御するための制御プログラムPG1、粉体処理装置4Aにより処理される粉体の粒子径と、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータとの関係を学習させるための学習プログラムPG2等を含む。
【0052】
制御プログラムPG1及び学習プログラムPG2を含むコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体M1により提供されてもよい。記録媒体M1は、例えば、CD-ROM、USBメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、などの可搬型メモリである。制御部101は、図に示していない読取装置を用いて、記録媒体M1から各種プログラムを読み取り、読み取った各種プログラムを記憶部102に記憶させる。
【0053】
本実施の形態では、制御部101が学習プログラムPG2を実行することにより、制御装置100は学習フェーズに移行する。学習フェーズは、例えば制御装置100の導入時に実施される。また、学習フェーズは、操作部106を通じてユーザの指示を受付けた場合、若しくは定期的なタイミングで実施されるものであってもよい。
【0054】
学習フェーズにおいて、制御部101は、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410(処理室)から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データと、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径データとを取得する。これらの計測データ及び粒子径データは、事前に収集されていてもよく、学習フェーズへの移行後に収集されてもよい。制御部101は、収集した計測データ及び粒子径データを教師データに用いて、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径と粉体処理装置4Aに関する制御パラメータとの関係を学習することにより、学習モデル200を生成する。ここで、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータは、粉体処理装置4Aの動作を直接的に制御するための制御パラメータ(例えば、粉砕ロータ413の回転速度、及び分級ロータ415の回転速度)を含む。更に、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータは、粉体処理装置4Aに付随する原料供給機2、熱風発生機3、集塵機6、ブロワ7の動作を制御するための制御パラメータを含んでもよい。本実施の形態では、粉体処理装置4Aから得られる粒子径と、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及び粉体処理装置4Aの処理室から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータとの間の関係を学習する構成について説明する。
【0055】
学習フェーズにおいて生成された学習モデル200は記憶部102に記憶される。学習モデル200は、その定義情報によって定義される。学習モデル200の定義情報は、例えば、学習モデル200の構造情報、ノード間の重み及びバイアスなどのパラメータを含む。
【0056】
また、本実施の形態では、制御部101が制御プログラムPG1を実行することにより、制御装置100は運用フェーズに移行する。運用フェーズは、学習モデル200の実行後に実施される。
【0057】
運用フェーズにおいて、制御装置100は、粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する。このとき、制御部101は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力を受付けてもよい。制御部101は、受付けた粒子径のデータを学習モデル200に入力し、学習モデル200を用いた演算を実行することにより、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及び粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を取得する。制御部101は、学習モデル200から得られる演算結果に基づき、制御対象の装置の動作を制御する。
【0058】
入力部103は、制御対象の装置を接続するための接続インタフェースを備える。入力部103に接続される装置は、原料供給機2、熱風発生機3、粉体処理装置4A、サイクロン5、集塵機6、及びブロワ7を含む。入力部103が備える接続インタフェースは、有線のインタフェースであってもよく、無線のインタフェースであってもよい。入力部103には、原料供給機2、熱風発生機3、粉体処理装置4A、サイクロン5、集塵機6、及びブロワ7から送出されるデータが入力される。入力部103に入力されるデータには、重量センサS1、粒子径センサS2、流量センサS3、温度センサS4、粉砕ロータ413用の回転速度センサS5、及び分級ロータ415用の回転速度センサS6によって計測される計測データが含まれる。
【0059】
本実施の形態では、制御対象の装置を入力部103に接続する構成としたが、センサS1~S6の少なくとも一部が直接的に入力部103に接続されてもよい。この場合、センサS1~S6から出力される計測データは、制御対象の装置を介さずに、直接的に入力部103に入力される。また、センサS1~S6が通信インタフェースを有する場合、制御装置100は、後述する通信部105を通じて計測データを取得してもよい。
【0060】
出力部104は、制御対象の装置を接続する接続インタフェースを備える。出力部104に接続される装置は、原料供給機2、熱風発生機3、粉体処理装置4A、サイクロン5、集塵機6、及びブロワ7を含む。出力部104が備える接続インタフェースは、有線のインタフェースであってもよく、無線のインタフェースであってもよい。制御部101は、出力部104を通じて制御指令を出力することにより、制御対象の装置の動作を制御する。例えば、粉砕ロータ413の回転速度を制御する場合、制御部101は、粉砕ロータ413の駆動部である粉砕モータ413Mに対する制御指令を生成し、出力部104を通じて粉体処理装置4Aへ出力することにより、粉砕ロータ413の回転速度を制御する。分級ロータ415の回転速度を制御する場合も同様であり、制御部101は、分級ロータ415の駆動部である分級モータ415Mに対する制御指令を生成し、出力部104を通じて粉体処理装置4Aへ出力することにより、分級ロータ415の回転速度を制御する。また、粉体処理装置4Aが備えるケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する場合、制御部101は、ブロワ7に対する制御指令を生成し、出力部104を通じてブロワ7へ出力することにより、ケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する。
【0061】
通信部105は、各種の通信データを送受信する通信インタフェースを備える。通信部105が備える通信インタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)やイーサネット(登録商標)で用いられるLAN(Local Area Network)の通信規格に準じた通信インタフェースである。代替的に、Bluetooth(登録商標) 、ZigBee(登録商標)、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に準じた通信インタフェースであってもよい。
【0062】
通信部105は、例えば、粉体処理システム1のユーザが使用する端末装置500と通信を行う。通信部105は、粉体処理システム1の遠隔操作を受付けるために、端末装置500から送信される操作データ又は設定データを受信してもよい。制御部101は、通信部105を通じて、端末装置500から送信される操作データ又は設定データを受信した場合、受信した操作データ又は設定データに応じた処理を実行する。例えば、ユーザが所望する粒子径のデータを受信した場合、制御部101は、学習モデル200を用いた演算を実行し、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータを取得する処理を行ってもよい。また、制御部101は、端末装置500に表示させるユーザインタフェース画面の画面データを生成し、生成した画面データを通信部105を通じて端末装置500へ送信してもよい。
【0063】
操作部106は、キーボードやマウスなどの入力インタフェースを備えており、各種操作及び各種設定を受付ける。制御部101は、操作部106を通じて受付けた各種操作及び各種設定に基づき、適宜の処理を行い、必要に応じて設定情報を記憶部102に記憶させる。なお、本実施の形態では、制御装置100が操作部106を備える構成としたが、操作部106は必須ではなく、外部に接続されたコンピュータ(例えば、端末装置500)を通じて操作を受付ける構成であってもよい。
【0064】
表示部107は、液晶パネル又は有機EL(Electro-Luminescence)パネル等の表示パネルを備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。表示部107は、例えば、通信部105を通じて受信した各種センサS1~S6の計測データを表示してもよく、操作部106を通じて受付けた各種操作及び各種設定に基づく情報を表示してもよい。また、表示部107は、学習モデル200による演算結果を表示してもよい。なお、本実施の形態では、制御装置100が表示部107を備える構成としたが、表示部107は必須ではなく、ユーザに報知すべき情報を外部のコンピュータ(例えば、端末装置500)へ出力し、出力先のコンピュータに情報を表示させてもよい。
【0065】
本実施の形態では、制御装置100を単一のコンピュータとして説明したが、単一のコンピュータである必要はなく、複数のコンピュータにより構成されてもよく、複数の仮想コンピュータにより構成されてもよい。
【0066】
図4は端末装置500の内部構成を示すブロック図である。端末装置500は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などのコンピュータであり、制御部501、記憶部502、通信部503、操作部504、及び表示部505を備える。
【0067】
制御部501は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部501が備えるROMには、端末装置500が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。制御部501内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムや後述する記憶部502に記憶された各種コンピュータプログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御する。また、制御部501は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えてもよい。制御部501が備えるRAMには、演算の実行中に利用されるデータ等が一時的に記憶される。
【0068】
記憶部502は、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いた記憶装置を備える。記憶部502には、制御部501によって実行されるコンピュータプログラム、外部から取得した各種データ、装置内部で生成した各種データ等が記憶される。記憶部502に記憶されるコンピュータプログラムは、端末装置500から制御装置100にアクセスするためのアプリケーションプログラムを含んでもよい。
【0069】
通信部503は、各種データを送受信する通信インタフェースを備える。通信部503が備える通信インタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)やイーサネット(登録商標)で用いられるLANの通信規格に準じた通信インタフェースである。代替的に、Bluetooth(登録商標) 、ZigBee(登録商標)、3G、4G、5G、LTE等の通信規格に準じた通信インタフェースであってもよい。
【0070】
通信部503は、例えば、粉体処理システム1の制御装置100と通信を行う。端末装置500が通信部503を通じて受信するデータは、制御装置100のインタフェース画面を表示部505に表示させるための画面データ、粉体処理装置4Aを含む装置の設定状態及び制御状態を示すデータ等を含む。ここで、設定状態を示すデータには、粉砕ロータ413の回転速度に関する設定値、分級ロータ415の回転速度に関する設定値、及びブロワ7による吐出・吸引流量に関する設定値等が含まれる。また、制御状態を示すデータには、粉砕ロータ413の回転速度に関する計測値、分級ロータ415の回転速度に関する計測値、ブロワ7による吐出・吸引流量に関する計測値、及び粉体処理装置4Aを含む装置から出力される警報情報等が含まれる。通信部503にて受信したデータは制御部501へ出力される。端末装置500が通信部503を通じて送信するデータは、粉体処理システム1を遠隔操作する際の操作データ又は設定データ等を含む。
【0071】
操作部504は、キーボードやマウスなどの入力インタフェースを備えており、各種操作及び各種設定を受付ける。制御部501は、操作部504を通じて受付けた各種操作及び各種設定に基づき、適宜の処理を行い、必要に応じて設定情報を記憶部502に記憶させる。
【0072】
表示部505は、液晶パネル又は有機ELパネル等の表示パネルを備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。表示部505は、例えば、通信部503にて受信した画面データに基づき、制御装置100のインタフェース画面を表示する。また、表示部505は、通信部503にて受信した粉体処理装置4Aを含む装置の設定状態及び制御状態を示すデータに基づき、粉体処理装置4Aを含む装置の設定状態及び制御状態を表示してもよい。
【0073】
以下、制御装置100において用いられる学習モデル200について説明する。
図5は実施の形態1における学習モデル200の構成例を示す模式図である。学習モデル200は、例えば、深層学習を含む機械学習の学習モデルであり、ニューラルネットワークによって構成されている。学習モデル200は、入力層201、中間層202A,202B、及び出力層203を備える。
図5の例では、2つの中間層202A,202Bを記載しているが、中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0074】
入力層201、中間層202A,202B、及び出力層203には、1つまたは複数のノードが存在し、各層のノードは、前後の層に存在するノードと一方向に所望の重みおよびバイアスで結合されている。学習モデル200の入力層201には、入力層201が備えるノードの数と同数のデータが入力される。本実施の形態において、入力層201のノードに入力されるデータは、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)のデータである。ここで、入力層201のノードに入力される粒子径のデータの一例は、メジアン径である。メジアン径に限らず、モード径であってもよく、各種算術平均値であってもよい。更に、入力層201のノードに与える粒子径のデータは、メジアン径、モード径、各種算術平均値などの単一の値に限らず、D10,D50,D90のそれぞれの値であってもよく、D10,D50,D90のそれぞれについて設定された範囲(すなわち、粒子径に関してユーザが許容する範囲の上限値及び下限値)であってもよい。
【0075】
学習モデル200に入力された粒子径のデータは、入力層201を構成するノードを通じて、最初の中間層202Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層202Aに入力されたデータは、中間層202Aを構成するノードを通じて、次の中間層202Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層203による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。ノード間を結合する重み、バイアス等のパラメータは、所定の学習アルゴリズムによって学習される。各種パラメータを学習する学習アルゴリズムには、例えば深層学習の学習アルゴリズムが用いられる。本実施の形態では、粉体処理装置4Aから得られる粒子径に関する粒子径データ(すなわち、粒子径センサS2により計測される粒子径のデータ)と、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを教師データとして、所定の学習アルゴリズムによってノード間の重み及びバイアスを含む各種パラメータを学習することができる。
【0076】
出力層203は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層203を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG1、分級ロータ415の回転速度がC1、吐出・吸引流量がV1である確率P1を出力し、第2ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG2、分級ロータ415の回転速度がC2、吐出・吸引流量がV2である確率P2を出力し、…、第nノードから粉砕ロータ413の回転速度がGn、分級ロータ415の回転速度がCn、吐出・吸引流量がVnである確率Pnを出力してもよい。出力層203を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0077】
制御装置100は、粉体処理装置4Aから得られる粒子径に関する粒子径データと、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及び粉体処理装置4Aのケーシング410からの吐出・吸引流量を含む計測データとを収集し、これらのデータを教師データに用いて、上述したような学習モデル200を生成する。
【0078】
図6は制御装置100が収集するデータの一例を示す概念図である。制御装置100の制御部101は、入力部103を通じて、粒子径センサS2、粉砕ロータ413の回転速度センサS5、分級ロータ415の回転速度センサS6、及び流量センサS3から計測データを取得し、取得したデータをタイムスタンプと共に記憶部102に記憶させ、教師データに用いるデータを収集する。
図6は制御装置100が収集したデータの一例を示している。
図6に示すデータのうち、1つ目のレコードは、粉砕ロータ413の回転速度の実測値が4749.6rpm、分級ロータ415の回転速度の実測値が3195.1rpm、吐出・吸引流量の実測値が2281.2m
3 /hであった場合、D10,D50,D90の実測値がそれぞれ0.71μm、2.09μm、9.06μmであったことを示している。2つ目以降のレコードについても同様であり、粉体処理システム1が稼働しているときの粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量の実測値が、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径に関するデータ(D10,D50,D90)に関連付けられて記憶部102に記憶される。なお、
図6の例では、5秒間隔でデータを収集した例を示しているが、データを収集する時間間隔は5秒に限らず、任意に設定すればよい。
【0079】
制御部101は、収集した上記データを教師データに用いて、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径と、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータとの関係を学習し、上述したような学習モデル200を生成する。
【0080】
以下、学習フェーズにおける制御装置100の動作について説明する。
図7は制御装置100による学習モデル200の生成手順を説明するフローチャートである。制御装置100の制御部101は、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データと、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径データとを収集する(ステップS101)。収集した計測データ及び粒子径データは、タイムスタンプと共に、記憶部102に記憶される。
【0081】
計測データ及び粒子径データの収集後、制御部101は、記憶部102に記憶されているデータから、一組の教師データを選択する(ステップS102)。すなわち、制御部101は、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量の実測値と、そのときに得られた粉体の粒子径の値(D10,D50,D90)とを一組だけ選択する。
【0082】
次いで、制御部101は、選択した教師データに含まれる粒子径の値を学習モデル200へ入力し(ステップS103)、学習モデル200による演算を実行する(ステップS104)。すなわち、制御部101は、学習モデル200の入力層201を構成するノードに粒子径の値を入力し、中間層202A,202Bにおいてノード間の重み及びバイアスを用いた演算を行い、演算結果を出力層203のノードから出力する処理を行う。なお、学習が開始される前の初期段階では、学習モデル200を記述する定義情報には初期値が与えられているものとする。
【0083】
次いで、制御部101は、ステップS104で得られた演算結果を評価し(ステップS105)、学習が完了したか否かを判断する(ステップS106)。具体的には、制御部101は、ステップS104で得られる演算結果と教師データとに基づく誤差関数(目的関数、損失関数、コスト関数ともいう)を用いて、演算結果を評価することができる。制御部101は、最急降下法などの勾配降下法により誤差関数を最適化(最小化又は最大化)する課程で、誤差関数が閾値以下(又は閾値以上)となった場合、学習が完了したと判断する。なお、過学習の問題を避けるために、交差検定、早期打ち切りなどの手法を取り入れ、適切なタイミングにて学習を終了させてもよい。
【0084】
学習が完了してないと判断した場合(S106:NO)、制御部101は、学習モデル200のノード間の重み及びバイアスを更新して(ステップS107)、処理をステップS102へ戻し、別の教師データを用いた学習を継続する。制御部101は、学習モデル200の出力層203から入力層201に向かって、ノード間の重み及びバイアスを順次更新する誤差逆伝搬法を用いて、各ノード間の重み及びバイアスを更新することができる。
【0085】
学習が完了したと判断した場合(S106:YES)、制御部101は、学習済みの学習モデル200として記憶部102に記憶させ(ステップS108)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施の形態に係る制御装置100は、学習フェーズにおいて、粉体処理装置4Aから得られる粒子径に関する粒子径データと、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを収集する。制御装置100は、収集したデータを教師データとして用いることにより、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410に対する吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル200を生成できる。
【0087】
なお、本実施の形態では、制御装置100において学習モデル200を生成する構成としたが、学習モデル200を生成する外部サーバ(不図示)を設け、外部サーバにて学習モデル200を生成してもよい。この場合、制御装置100は、通信等により、外部サーバから学習モデル200を取得し、取得した学習モデル200を記憶部102に記憶させればよい。
【0088】
次に、運用フェーズにおける制御装置100の動作を説明する。なお、運用フェーズにおいては、学習モデル200は学習済みであるとする。
【0089】
図8は制御装置100による制御手順を説明するフローチャートである。制御装置100の制御部101は、操作部106を通じて、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力を受付ける(ステップS121)。ここで、制御部101は、ユーザが所望する粒子径として、D50の値を受付けてもよい。また、制御部101は、D50の値に代えて、D10,D50,D90のそれぞれの値を受付けてもよく、D10,D50,D90のそれぞれについて上限値及び下限値を受付けてもよい。すなわち、学習モデル200が備える入力層201の構成に応じて、粒子径のデータを入力すればよい。
【0090】
次いで、制御部101は、受付けた粒子径のデータを学習モデル200の入力層201へ入力し、学習モデル200による演算を実行する(ステップS122)。このとき、制御部101は、受付けた粒子径のデータを入力層201のノードに与える。入力層201のノードに与えられたデータは、隣接する中間層202Aのノードへ出力される。中間層202Aではノード間の重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算が行われ、演算結果は後段の中間層202Bへ出力される。中間層202Bにおいて、更に、ノード間の重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算が行われ、演算結果は出力層203の各ノードへ出力される。出力層203の各ノードは、粉体処理装置4Aの制御パラメータに関する演算結果を出力する。具体的には、出力層203の各ノードは、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。
【0091】
次いで、制御部101は、学習モデル200から演算結果を取得し(ステップS123)、制御に用いる制御パラメータを決定する(ステップS124)。学習モデル200の出力層203は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。より具体的には、出力層203は、粉砕ロータ413の回転速度がGi、分級ロータ415の回転速度がCi、吐出・吸引流量がViである確率Pi(i=1~n)を各ノードから出力する。制御部101は、この確率が最も高い粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量の組み合わせを特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。
【0092】
次いで、制御部101は、ステップS124において決定した制御パラメータに基づき、制御を実行する(ステップS125)。すなわち、制御部101は、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度がステップS124において決定した値となるように、粉砕モータ413M及び分級モータ415Mに対する制御指令を生成し、出力部104を通じて粉体処理装置4Aへ出力する。また、制御部101は、ケーシング410からの吐出・吸引流量がステップS124において決定した値となるように、ブロワ7に対する制御指令を生成し、出力部104を通じてブロワ7へ出力する。
【0093】
以上のように、本実施の形態に係る制御装置100は、ユーザが所望する粒子径の入力を受付けることにより、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータを決定することができる。すなわち、本実施の形態では、現場技術者の経験や勘に依存することなく、粉体処理装置4Aに関する制御パラメータを決定できる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、決定した制御パラメータに基づく制御を実行する。
【0094】
本実施の形態では、ニューラルネットワークによって構成される機械学習の学習モデル200を用いて制御パラメータに関する演算結果を取得する構成について説明したが、学習モデル200は特定の手法を用いて得られるモデルに限定されない。
例えば、深層学習によるニューラルネットワークに代えて、パーセプトロン、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、残差ネットワーク、自己組織化マップ等による学習モデルであってもよい。
また、上記のニューラルネットワークによる学習モデルに代えて、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン等を含む回帰分析手法、決定木、回帰木、ランダムフォレスト、勾配ブースティング木等の探索木を用いた手法、単純ベイズ等を含むベイズ推定法、AR(Auto Regressive)、MA(Moving Average)、ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)、状態空間モデル等を含む時系列予測手法、K近傍法等を含むクラスタリング手法、ブースティング、バギング等を含むアンサンブル学習を用いた手法、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、トピックモデル等を含むクラスタリング手法、アソシエーション分析、強調フィルタリング等を含むその他の手法により学習された学習モデルであってもよい。
更に、PLS(Partial Least Squares)回帰、重回帰分析、主成分分析、因子分析、クラスター分析等を含む多変量分析を用いて学習モデルを構築してもよい。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態2では、ピンミル(例えば、ホソカワミクロン株式会社製ファインインパクトミル)への適用例について説明する。なお、実施の形態2における粉体処理システム1は、粉体処理装置4Aに代えて、ピンミル(
図9に示す粉体処理装置4B)を備えるが、その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その詳細な説明については省略することとする。
【0096】
図9は実施の形態2に係る粉体処理装置4Bの構成を示す模式的断面図である。粉体処理装置4Bは、その内部において粉体処理を行う円筒形状のケーシング420を備える。このケーシング420には、原料投入口421、固定式の粉砕ロータ422、回転式の粉砕ロータ423、粉体取出口424等が設けられている。
【0097】
ケーシング420の素材には、実施の形態1で説明した粉体処理装置4Aのケーシングと同様の材料が用いられるとよい。すなわち、SS400、S25C、S45C、SPHCなどの鉄系鋼材、SUS304、SUS316などのステンレス鋼材、FC20、FC40などの鉄鋳物材、SCS13、14などのステンレス鋳物材などの金属、あるいは、セラミックス、ガラスなどを用いればよい。また、内壁面に耐磨耗材を貼り付けるなどすれば、アルミニウム、その他木材や合成樹脂であってもよい。
【0098】
また、ケーシング420の内面には、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキ処理などのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0099】
ケーシング420には、原料供給機2から供給される粉体原料をケーシング420内に投入するための原料投入口421が設けられている。この原料投入口421は、例えば粉砕ロータ422,423よりも上側に設けられる。
【0100】
粉砕ロータ422は、固定式のロータであり、ケーシング420内に固定された円盤422Aと、粉砕ロータ423側に向かって突出する複数のピン422Bとを備える。一方、粉砕ロータ423は、回転式のロータであり、回転円盤423Aと、粉砕ロータ422側に向かって突出する複数のピン423Bとを備え、粉砕モータ413M(
図3を参照)の動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。粉砕ロータ423のピン423Bは、回転円盤423Aが回転した際に、固定式の粉砕ロータ422のピン422Bと衝突しないように位置決めされている。なお、本実施の形態では、粉砕ロータ422,423が備えるピン422B,423Bの形状、寸法、配置、個数、及び素材は、要求される製品粉体の粒子径や円形度等に応じて適宜設計される。
【0101】
粉砕ロータ423は、粉砕モータ413Mの動力によって回転し、ケーシング420内に旋回する気流を発生させると共に、ピン422B,423Bの作用により、ケーシング420内に導入された粉体原料に衝撃、圧縮、摩砕、剪断等の機械エネルギを与え、粉体原料を粉砕する。
【0102】
粉砕ロータ422,423の素材は、従来から粉体処理装置の粉砕ロータに用いられている公知の材料を用いればよい。例えば、SS400、S25C、S45C、SUS304、SUS316、SUS630などを用いることができる。また、ピン422B,423Bについては、衝撃力に耐え得るように、超硬合金のチップを付けたり、磨耗性及び強靭性を備えたセラミックスやサーメットなどの金属とセラミックスとの複合物を用いてもよい。
【0103】
更に、粉砕ロータ422,423の表面は、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキなどのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理、SUS630の焼き入れ硬化処理などが施されていてもよい。また、粉砕ロータ422,423の表面には、バフ研磨、電解研磨、PTFEなどのコーティング、ニッケルなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0104】
粉体取出口424には、粉体輸送路TP3等を介して、サイクロン5、集塵機6、ブロワ7が接続されている。粉砕ロータ422,423によって粉砕された粉体は、気流と共に粉体取出口424から取り出される。
【0105】
制御装置100は、希望粒子径の入力に対して、粉体処理装置4Bの制御パラメータに関する演算結果として出力する学習モデルを生成するために、回転速度センサS5によって計測される粉砕ロータ423の回転速度、流量センサS3によって計測される吐出・吸引流量、及び粒子径センサS2によって計測される粒子径データを教師データとして収集する。
【0106】
制御装置100の制御部101は、収集した教師データを用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ロータ423の回転速度、粉体取出口424から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル210(
図10を参照)を生成する。学習モデル210の生成手順は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。なお、学習モデル210は、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
【0107】
図10は実施の形態2における学習モデル210の構成例を示す模式図である。学習モデル210は、実施の形態1において説明した学習モデル200と同様に、それぞれが1又は複数のノードを備えた入力層211、中間層212A,212B、及び出力層213を備える。中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0108】
実施の形態2に係る学習モデル210は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力に対して、粉砕ロータ423の回転速度、及びケーシング420からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力するように構成される。
【0109】
制御装置100は、学習モデル210を用いた演算を行う場合、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)を学習モデル210に入力する。学習モデル210に入力された粒子径のデータは、入力層211を構成するノードを通じて、最初の中間層212Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層212Aに入力されたデータは、中間層212Aを構成するノードを通じて、次の中間層212Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層213による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。
【0110】
出力層213は、粉砕ロータ423の回転速度、及びケーシング420から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層213を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、粉砕ロータ423の回転速度がG1、吐出・吸引流量がV1である確率P1を出力し、第2ノードから、粉砕ロータ423の回転速度がG2、吐出・吸引流量がV2である確率P2を出力し、…、第nノードから、粉砕ロータ423の回転速度がGn、吐出・吸引流量がVnである確率Pnを出力してもよい。出力層213を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0111】
制御装置100の制御部101は、出力層213から出力される確率のうち、確率が最も高い組み合わせ(本実施の形態では、粉砕ロータ423の回転速度、及び吐出・吸引流量の組み合わせ)を特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、粉砕モータ413M、ブロワ7の動作を制御する制御指令を生成し、出力部104を通じて各装置へ出力する。
【0112】
以上のように、実施の形態2では、ピンミル(粉体処理装置4B)に関して、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ロータ423の回転速度、粉体取出口424から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル210を生成する。また、学習モデル210を用いることにより、粉砕ロータ423の回転速度、ケーシング420からの吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果が得られる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、学習モデル210の演算結果に基づき、粉体処理システム1の動作を制御することができる。
【0113】
(実施の形態3)
実施の形態3では、衝撃式粉砕機(例えば、ホソカワミクロン株式会社製グラシス(登録商標))への適用例について説明する。なお、実施の形態3における粉体処理システム1は、粉体処理装置4Aに代えて、衝撃式粉砕機(
図11に示す粉体処理装置4C)を備えるが、その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その詳細な説明については省略することとする。
【0114】
図11は実施の形態3に係る粉体処理装置4Cの構成を示す模式的断面図である。粉体処理装置4Cは、その内部において粉体処理を行う円筒形状のケーシング430を備える。このケーシング430には、原料投入口431、粉砕ロータ432、ライナ433、粉体取出口434等が設けられている。
【0115】
ケーシング430の素材には、実施の形態1で説明した粉体処理装置4Aのケーシングと同様の材料が用いられるとよい。すなわち、SS400、S25C、S45C、SPHCなどの鉄系鋼材、SUS304、SUS316などのステンレス鋼材、FC20、FC40などの鉄鋳物材、SCS13、14などのステンレス鋳物材などの金属、あるいは、セラミックス、ガラスなどを用いればよい。また、内壁面に耐磨耗材を貼り付けるなどすれば、アルミニウム、その他木材や合成樹脂であってもよい。
【0116】
また、ケーシング430の内面には、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキ処理などのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0117】
ケーシング430には、原料供給機2から供給される粉体原料をケーシング430内に投入するための原料投入口431が設けられている。この原料投入口431は、例えば粉砕ロータ432よりも上側に設けられる。原料供給機2から供給される粉体原料は、例えば原料供給路TP1内のスクリューフィーダ(不図示)によって搬送され、原料投入口431よりケーシング430内に投入される。また、ケーシング430内には冷媒を導入してもよい。冷媒は、例えばケーシング430の周面に設けた冷媒導入口や粉砕ロータ432の回転軸を通じて導入されるとよい。
【0118】
粉砕ロータ432は、回転軸に沿って同軸に配される複数の回転円盤432A,432A,…,432Aを備え、粉砕モータ413M(
図3を参照)の動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。回転円盤432Aの周面には、三角形、波形、くさび形の溝が設けられている。ケーシング430の内周面であって、回転円盤432Aの周面と対向する位置にはライナ433が配されている。ライナ433は、粉砕ロータ432の回転軸方向に沿った中心軸を有する筒状の部材であり、この筒状の部材の内周面には、三角形、波形、くさび形の溝が設けられている。
【0119】
粉砕ロータ432及びライナ433の素材は、従来から用いられている公知の材料を用いればよい。例えば、SS400、S25C、S45C、SUS304、SUS316、SUS630などを用いることができる。また、衝撃力に耐え得るように、超硬合金のチップを付けたり、磨耗性及び強靭性を備えたセラミックスやサーメットなどの金属とセラミックスとの複合物を用いてもよい。
【0120】
更に、粉砕ロータ432及びライナ433の表面は、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキなどのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理、SUS630の焼き入れ硬化処理などが施されていてもよい。また、粉砕ロータ432及びライナ433の表面には、バフ研磨、電解研磨、PTFEなどのコーティング、ニッケルなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0121】
粉砕ロータ432は、粉砕モータ413Mの動力によって回転し、ケーシング430内に旋回する気流を発生させると共に、粉砕ロータ432及びライナ433の作用により、ケーシング430内に導入された粉体原料に衝撃、圧縮、摩砕、剪断等の機械エネルギを与え、粉体原料を粉砕する。
【0122】
粉体取出口434には、粉体輸送路TP3等を介して、サイクロン5、集塵機6、ブロワ7が接続されている。粉砕ロータ432及びライナ433によって粉砕された粉体は、気流と共に粉体取出口434から取り出される。
【0123】
制御装置100は、希望粒子径の入力に対して、粉体処理装置4Cの制御パラメータに関する演算結果として出力する学習モデルを生成するために、回転速度センサS5によって計測される粉砕ロータ432の回転速度、流量センサS3によって計測される吐出・吸引流量、及び粒子径センサS2によって計測される粒子径データを教師データとして収集する。
【0124】
制御装置100の制御部101は、収集した教師データを用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ロータ432の回転速度、粉体取出口434から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデルを生成する。学習モデルは、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
なお、実施の形態3で生成される学習モデルの構成、及び生成手順は、実施の形態2と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0125】
以上のように、実施の形態3では、粉体処理装置4Cに関して、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ロータ432の回転速度、粉体取出口434から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデルを生成する。また、学習モデルを用いることにより、粉砕ロータ432の回転速度、ケーシング430からの吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果が得られる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、学習モデルの演算結果に基づき、粉体処理システム1の動作を制御することができる。
【0126】
(実施の形態4)
実施の形態4では、媒体攪拌型の粉体処理装置(例えば、ホソカワミクロン株式会社製プルビス(登録商標))への適用例について説明する。なお、実施の形態4における粉体処理システム1は、粉体処理装置4Aに代えて、媒体攪拌型の粉体処理装置(
図12に示す粉体処理装置4D)を備えるが、その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その詳細な説明については省略することとする。
【0127】
図12は実施の形態4に係る粉体処理装置4Dの構成を示す模式的断面図である。粉体処理装置4Dは、その内部において粉体処理を行う円筒形状のケーシング440を備える。このケーシング440には、原料投入口441、ガス導入口442、粉砕部443、分級ロータ444、粉体取出口445、アジテータ446等が設けられている。
【0128】
ケーシング440の素材には、実施の形態1で説明した粉体処理装置4Dのケーシングと同様の材料が用いられるとよい。すなわち、SS400、S25C、S45C、SPHCなどの鉄系鋼材、SUS304、SUS316などのステンレス鋼材、FC20、FC40などの鉄鋳物材、SCS13、14などのステンレス鋳物材などの金属、あるいは、セラミックス、ガラスなどを用いればよい。また、内壁面に耐磨耗材を貼り付けるなどすれば、アルミニウム、その他木材や合成樹脂であってもよい。
【0129】
また、ケーシング440の内面には、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキ処理などのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0130】
ケーシング440には、原料供給機2から供給される粉体原料をケーシング440内に投入するための原料投入口441が設けられている。この原料投入口441は、例えば粉砕部443よりも上側に設けられる。原料供給機2から供給される粉体原料は、例えば原料供給路TP1内のスクリューフィーダ(不図示)によって搬送され、原料投入口441よりケーシング440内に投入される。
【0131】
実施の形態4に係る粉体処理装置4Dでは、ガス導入口442を通じて圧縮空気などの気体をケーシング440内に導入することによって、ケーシング440の内部に気流を発生させる。また、粉体処理装置4Dは、媒体であるボール(若しくはビーズ)を攪拌するアジテータ446を有する粉砕部443を備える。アジテータ446は、攪拌モータ446Mの動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。ここで、攪拌モータ446Mは、粉体処理システム1が備える駆動部の1つである。ケーシング440の内部に投入された粉体原料は媒体表面を被覆する状態となる。粉砕部443では、アジテータ446を回転することで媒体を攪拌し、媒体表面を被覆する粉体原料に衝撃、圧縮、せん断、摩砕の作用を付与することによって、粉体原料を粉砕することができる。粉砕された粉体は、気流と共に搬送され、装置上部に設けた分級ロータ444によって分級される。
【0132】
分級ロータ444の構成は、実施の形態1と同様である。すなわち、分級ロータ444は、放射状に配される複数の分級羽根444Aを備えたロータであり、分級モータ415Mの動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。分級モータの回転速度は、回転速度センサS6(
図3を参照)によって常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測される。分級ロータ444は、高速回転による遠心力により、ケーシング440内で処理された粉体のうち所定粒子径未満の粉体のみを通過させ、通過させた粉体のみを粉体取出口445へ導く。一方、分級ロータ444を通過できない粉体は、ケーシング440内を循環し、繰り返し処理される。
【0133】
ここで、粉体取出口445を通過する粉体の粒子径は、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、及び吐出・吸引流量を制御することによって設定することができる。
【0134】
制御装置100は、希望粒子径の入力に対して、粉体処理装置4Dに関する制御パラメータを演算結果として出力する学習モデル220を生成するために、回転速度センサS5によって計測されるアジテータ446の回転速度、回転速度センサS6によって計測される分級ロータ444の回転速度、流量センサS3によって計測される吐出・吸引流量、及び粒子径センサS2によって計測される粒子径データを教師データとして収集する。
【0135】
制御装置100の制御部101は、収集した教師データを用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、粉体取出口445から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル220(
図13を参照)を生成する。学習モデル220の生成手順は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。なお、学習モデル220は、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
【0136】
図13は実施の形態4における学習モデル220の構成例を示す模式図である。学習モデル220は、実施の形態1において説明した学習モデル200と同様に、それぞれが1又は複数のノードを備えた入力層221、中間層222A,222B、及び出力層223を備える。中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0137】
実施の形態4に係る学習モデル220は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力に対して、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、及びケーシング440からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力するように構成される。
【0138】
制御装置100は、学習モデル220を用いた演算を行う場合、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)を学習モデル220に入力する。学習モデル220に入力された粒子径のデータは、入力層221を構成するノードを通じて、最初の中間層222Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層222Aに入力されたデータは、中間層222Aを構成するノードを通じて、次の中間層222Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層223による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。
【0139】
出力層223は、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、及びケーシング440から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層223を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、アジテータ446の回転速度がA1、分級ロータ444の回転速度がC1、吐出・吸引流量がV1である確率P1を出力し、第2ノードから、アジテータ446の回転速度がA2、分級ロータ444の回転速度がC2、吐出・吸引流量がV2である確率P2を出力し、…、第nノードから、アジテータ446の回転速度がAn、分級ロータ444の回転速度がCn、吐出・吸引流量がVnである確率Pnを出力してもよい。出力層223を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0140】
制御装置100の制御部101は、出力層223から出力される確率のうち、確率が最も高い組み合わせ(本実施の形態では、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、及び吐出・吸引流量の組み合わせ)を特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、攪拌モータ446M、分級モータ415M、ブロワ7の動作を制御する制御指令を生成し、出力部104を通じて各装置へ出力する。
【0141】
以上のように、実施の形態4では、粉体処理装置4Dに関して、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、粉体取出口445から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル220を生成する。また、学習モデル220を用いることにより、アジテータ446の回転速度、分級ロータ444の回転速度、ケーシング440からの吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果が得られる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、学習モデル220の演算結果に基づき、粉体処理システム1の動作を制御することができる。
【0142】
(実施の形態5)
実施の形態1では、ケーシング410内に導入された粉体原料に衝撃、圧縮、摩砕、剪断等の機械エネルギを与え、粉体原料を粉砕する粉体処理装置4Aについて説明したが、機械式の粉体処理装置4Aに代えて、ケーシング内に導入するジェット気流の作用により粉砕処理を行う気流式の粉体処理装置(例えば、ホソカワミクロン株式会社製ミクロンジェット(登録商標)T型)に本願発明を適用してもよい。
実施の形態5では、気流式の粉体処理装置への適用例について説明する。なお、実施の形態5における粉体処理システム1は、機械式の粉体処理装置4Aに代えて、気流式の粉体処理装置4E(
図14を参照)を備えるが、その他の構成については実施の形態1と同様であるため、その詳細な説明については省略することとする。
【0143】
図14は実施の形態5に係る粉体処理装置4Eの構成を示す模式的断面図である。粉体処理装置4Eは、その内部において粉体処理を行う円筒形状のケーシング450を備える。このケーシング450には、原料投入口451、エジェクタガス導入口452、粉砕ガス導入口453、衝突板454、分級ロータ455、粉体取出口456等が設けられている。
【0144】
ケーシング450の素材には、実施の形態1で説明した粉体処理装置4Aのケーシングと同様の材料が用いられるとよい。すなわち、SS400、S25C、S45C、SPHCなどの鉄系鋼材、SUS304、SUS316などのステンレス鋼材、FC20、FC40などの鉄鋳物材、SCS13、14などのステンレス鋳物材などの金属、あるいは、セラミックス、ガラスなどを用いればよい。また、内壁面に耐磨耗材を貼り付けるなどすれば、アルミニウム、その他木材や合成樹脂であってもよい。
【0145】
また、ケーシング450の内面には、装置の耐久性向上のために、ハードクロムメッキ処理などのメッキ処理、タングステンカーバイド溶射などの耐磨耗溶射材処理、真空下で行う金属蒸着、ダイヤモンド構造の炭素蒸着などの耐磨耗処理が施されていてもよい。
【0146】
ケーシング450には、原料供給機2から供給される粉体原料をケーシング450内に投入するための原料投入口451が設けられている。この原料投入口451は、例えばエジェクタガス導入口452よりも上側に設けられる。原料供給機2から供給される粉体原料は、例えば原料供給路TP1内のスクリューフィーダ(不図示)によって搬送され、原料投入口451よりケーシング450内に投入される。
【0147】
実施の形態5に係る粉体処理装置4Eでは、エジェクタガス導入口452及び粉砕ガス導入口453を通じて、圧縮空気などの気体をケーシング450内に導入することによって、ケーシング450の内部にてジェット気流を発生させる。原料投入口451より投入された粉体原料は、ケーシング450内のジェット気流によって吸引加速され、衝突板454に衝突することにより粉砕される。または、ジェット気流によって吸引加速された粉体同士が衝突することにより粉砕される。ケーシング450内には、粉砕圧力を常時若しくは定期的なタイミング(例えば、5秒間隔)にて計測するための圧力センサ(不図示)が設けられる。
【0148】
ジェット気流の作用によって粉砕された粉体は、気流と共に搬送され、装置上部に設けた分級ロータ455によって分級される。粉砕された粉体を分級ロータ455へ導くために、衝突板454の周囲に円筒状のガイドリング457を設けてもよい。
【0149】
分級ロータ455の構成は、実施の形態1と同様である。すなわち、分級ロータ455は、放射状に配される複数の分級羽根455Aを備えたロータであり、分級モータ415Mの動力によって所望の回転速度にて回転するように構成されている。分級モータの回転速度は、回転速度センサS6(
図3を参照)によって常時若しくは定期的なタイミング(例えば5秒間隔)にて計測される。分級ロータ455は、高速回転による遠心力により、ケーシング450内で処理された粉体のうち所定粒子径未満の粉体のみを通過させ、通過させた粉体のみを粉体取出口456へ導く。
【0150】
ここで、分級ロータ455を通過する粉体の粒子径は、分級ロータ455の回転速度等を制御することによって設定することができる。すなわち、分級ロータ455の回転速度を制御することによって、ケーシング450内から所定粒子径未満の粉体を取り出すことができる。一方、分級ロータ455を通過できない粉体は、ケーシング450内を循環し、繰り返し処理される。
【0151】
制御装置100は、希望粒子径の入力に対して、粉体処理装置4Eの制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル230を生成するために、粉砕ガス導入口453に設けられた圧力センサ(不図示)によって計測される粉砕圧力、回転速度センサS6によって計測される分級ロータ455の回転速度、流量センサS3によって計測される吐出・吸引流量、及び粒子径センサS2によって計測される粒子径データを教師データとして収集する。
【0152】
制御装置100の制御部101は、収集した教師データを用いて、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、ケーシング450内の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、粉体取出口456から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル230(
図15を参照)を生成する。学習モデル230の生成手順は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。なお、学習モデル230は、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
【0153】
図15は実施の形態5における学習モデル230の構成例を示す模式図である。学習モデル230は、実施の形態1において説明した学習モデル200と同様に、それぞれが1又は複数のノードを備えた入力層231、中間層232A,232B、及び出力層233を備える。中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0154】
実施の形態5に係る学習モデル230は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力に対して、ケーシング450内の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、及びケーシング450からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力するように構成される。
【0155】
制御装置100は、学習モデル230を用いた演算を行う場合、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)を学習モデル230に入力する。学習モデル230に入力された粒子径のデータは、入力層231を構成するノードを通じて、最初の中間層232Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層232Aに入力されたデータは、中間層232Aを構成するノードを通じて、次の中間層232Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層233による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。
【0156】
出力層233は、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、及びケーシング450から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層233を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力がB1、分級ロータ455の回転速度がC1、吐出・吸引流量がV1である確率P1を出力し、第2ノードから、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力がB2、分級ロータ455の回転速度がC2、吐出・吸引流量がV2である確率P2を出力し、…、第nノードから、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力がBn、分級ロータ455の回転速度がCn、吐出・吸引流量がVnである確率Pnを出力してもよい。出力層233を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0157】
制御装置100の制御部101は、出力層233から出力される確率のうち、確率が最も高い組み合わせ(本実施の形態では、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、及び吐出・吸引流量の組み合わせ)を特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、ケーシング450内にジェット気流を生じさせる圧縮空気等の粉砕圧力、分級モータ415M、ブロワ7の動作を制御する制御指令を生成し、出力部104を通じて各装置へ出力する。
【0158】
以上のように、実施の形態5では、気流式の粉体処理装置4Eに関して、ユーザが所望する粒子径の入力に応じて、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、粉体取出口456から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル230を生成する。また、学習モデル230を用いることにより、粉砕ガス導入口453の粉砕圧力、分級ロータ455の回転速度、ケーシング450からの吐出・吸引流量を制御するための制御パラメータに関する演算結果が得られる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、学習モデル230の演算結果に基づき、粉体処理システム1の動作を制御することができる。
【0159】
(実施の形態6)
実施の形態6では、粉体処理装置4Aに関して、ユーザが所望する粒子径の入力に対し、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410からの吐出・吸引流量、原料供給機2による粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する学習モデル240の構成について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0160】
図16は実施の形態6における学習モデル240の構成例を示す模式図である。学習モデル240は、実施の形態1において説明した学習モデル200と同様に、それぞれが1又は複数のノードを備えた入力層241、中間層242A,242B、及び出力層243を備える。中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0161】
実施の形態6に係る学習モデル240は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力に対して、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410からの吐出・吸引流量、原料供給機2による粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力するように構成される。粉体原料の供給量は、単位時間あたりの供給量(すなわち供給速度)であってもよい。
【0162】
このような学習モデル240は、粉体処理装置4Aから得られる粒子径に関する粒子径データ(粒子径センサS2により計測される粒子径のデータ)と、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量、重量センサS1により得られる粉体原料の供給量、及び温度センサS4により得られるケーシング410内の温度を含む計測データとを教師データに用いて、粒子径と制御パラメータとの間の関係を学習することにより生成される。なお、粉体原料の供給量は、単位時間あたりの供給量(すなわち供給速度)であってもよい。また、粉体原料の供給量及びケーシング410内の温度の何れか一方のみを制御パラメータとして採用してもよい。学習モデル240は、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
【0163】
制御装置100は、学習モデル240を用いた演算を行う場合、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)を学習モデル240に入力する。学習モデル240に入力された粒子径のデータは、入力層241を構成するノードを通じて、最初の中間層242Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層242Aに入力されたデータは、中間層242Aを構成するノードを通じて、次の中間層242Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層243による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。
【0164】
出力層243は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量、粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層243を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG1、分級ロータ415の回転速度がC1、吐出・吸引流量がV1、粉体原料の供給量がF1、ケーシング410内の温度がT1である確率P1を出力し、第2ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG2、分級ロータ415の回転速度がC2、吐出・吸引流量がV2、粉体原料の供給量がF2、ケーシング410内の温度がT2である確率P2を出力し、…、第nノードから、粉砕ロータ413の回転速度がGn、分級ロータ415の回転速度がCn、吐出・吸引流量がVn、粉体原料の供給量がFn、ケーシング410内の温度がTnである確率Pnを出力してもよい。出力層243を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0165】
制御装置100の制御部101は、出力層243から出力される確率のうち、確率が最も高い組み合わせ(本実施の形態では、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、吐出・吸引流量、粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度の組み合わせ)を特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、粉砕モータ413M、分級モータ415M、ブロワ7、原料供給機2、熱風発生機3のそれぞれの動作を制御する制御指令を生成し、出力部104を通じて各装置へ出力する。
【0166】
以上のように、実施の形態6に係る学習モデル240を用いた場合、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410からの吐出・吸引流量に加え、粉体原料の供給量及びケーシング410内の温度を制御する制御パラメータに関する演算結果が得られる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、学習モデル240の演算結果に基づき、粉体処理システム1の動作を制御することができる。
【0167】
実施の形態6では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0168】
(実施の形態7)
実施の形態7では、粉体処理装置4Aに関して、ユーザが所望する粒子径と、粉体の円形度、粉体原料の水分含有量、粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流、熱媒温度、媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくとも1つとの入力に対し、演算結果を出力する学習モデル250について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0169】
図17は実施の形態7における学習モデル250の構成例を示す模式図である。学習モデル250は、実施の形態1において説明した学習モデル200と同様に、それぞれが1又は複数のノードを備えた入力層251、中間層252A,252B、及び出力層253を備える。中間層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0170】
実施の形態7に係る学習モデル250は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)と、粉体の円形度、粉体原料の水分含有量、粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流、粉体処理装置4Aに導入する流体の温度(熱媒温度)、媒体攪拌型の粉体処理装置における媒体の重量(媒体重量)、環境温度、及び環境湿度の少なくとも1つとの入力に対して、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力するように構成される。
【0171】
このような学習モデル250は、粉体処理装置4Aから得られる粒子径に関する粒子径データと、粉体の円形度、粉体原料の水分含有量、粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流、熱媒温度、媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくとも1つに関するデータと、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを教師データに用いて、入出力の関係を学習することにより生成される。ここで、粉体の円形度は、例えば(粒子の投影面積と等しい投影面積を有する円の周長)/(粒子の周長)によって表される値であり、公知の計測装置を用いて収集することができる。粉体原料の水分含有量は、例えば質量%によって表される値であり、赤外線水分計などの公知の計測装置を用いて収集することができる。粉体処理装置4Aの駆動電力及び駆動電流は、粉体処理装置4Aの内部において計測される値を取得すればよい。熱媒温度は、粉体処理装置4Aの内部において計測される値を用いればよく、媒体重量は、事前に計測された値を用いればよい。環境温度及び環境湿度は、粉体処理装置4Aが設定されている周囲環境の温度及び湿度であり、公知の温度センサ及び湿度センサを用いて収集することができる。学習モデル250は、制御装置100によって生成されてもよく、外部のサーバ装置(不図示)によって生成されてもよい。
【0172】
制御装置100は、学習モデル250を用いた演算を行う場合、ユーザが所望する粉体の粒子径(希望粒子径)と、ユーザが所望する粉体の円形度、ユーザが所望する粉体の水分含有量、ユーザが設定する粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流、熱媒温度、媒体重量、環境温度の実測値、環境湿度の実測値の少なくとも1つとを学習モデル250に入力する。学習モデル250に入力されたデータは、入力層251を構成するノードを通じて、最初の中間層252Aが備えるノードへ出力される。最初の中間層252Aに入力されたデータは、中間層252Aを構成するノードを通じて、次の中間層252Bが備えるノードへ出力される。このとき、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いて出力が算出される。以下同様にして、ノード間において設定されている重み及びバイアスを含む活性化関数を用いた演算を実行し、出力層253による演算結果が得られるまで次々と後の層に伝達される。
【0173】
出力層253は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量、粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。演算結果として、例えば、上述した複数の制御パラメータの組み合わせの良否を示す確率を出力してもよい。具体的には、出力層253を第1ノードから第nノードまでのn個のノードにより構成し、第1ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG1、分級ロータ415の回転速度がC1、吐出・吸引流量がV1である確率P1を出力し、第2ノードから、粉砕ロータ413の回転速度がG2、分級ロータ415の回転速度がC2、吐出・吸引流量がV2である確率P2を出力し、…、第nノードから、粉砕ロータ413の回転速度がGn、分級ロータ415の回転速度がCn、吐出・吸引流量がVnである確率Pnを出力してもよい。出力層253を構成するノードの数や各ノードに割り当てる演算結果は、上述の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。
【0174】
制御装置100の制御部101は、出力層253から出力される確率のうち、確率が最も高い組み合わせ(本実施の形態では、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及び吐出・吸引流量の組み合わせ)を特定することにより、制御に用いる制御パラメータを決定する。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、粉砕モータ413M、分級モータ415M、ブロワ7のそれぞれの動作を制御する制御指令を生成し、出力部104を通じて各装置へ出力する。
【0175】
以上のように、実施の形態7に係る学習モデル250を用いた場合、ユーザが所望する粉体の粒子径、ユーザが所望する粉体の円形度、ユーザが所望する粉体の水分含有量、ユーザが設定する粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流等を条件として粉体を生成することができる。
【0176】
なお、実施の形態7に係る学習モデル250は、ユーザが所望する粒子径と、粉体の円形度、粉体原料の水分含有量、粉体処理装置4Aの駆動電力又は駆動電流、熱媒温度、媒体重量、環境温度、及び環境湿度の少なくとも1つとの入力に対して、演算結果を出力する構成としたが、含塵濃度、粉体の組成、粉体の湿分、圧力、音圧若しくは周波数の少なくとも1つを更に入力する構成としてもよい。
【0177】
また、実施の形態7に係る学習モデル250は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する構成としたが、これらの制御パラメータに加え、粉体原料の供給量、及びケーシング410内の温度の少なくとも1つを制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する構成であってもよい。
【0178】
また、学習モデル250へ入力する制御パラメータの少なくとも1つを時系列的に変化させる場合、学習モデル250はリカレントニューラルネットワークにより構築されるモデルを採用すればよい。
【0179】
実施の形態7では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0180】
(実施の形態8)
実施の形態8では、粉体処理装置4Aに関して、粉体原料の種別に応じて学習モデル200を生成する構成について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0181】
実施の形態8に係る制御装置100は、粉体原料の種別毎に、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径データと、粉体処理装置4Aが備える粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410から粉体を取り出す際の吐出・吸引流量を含む計測データとを収集する。
図18は実施の形態8におけるデータの収集例を示す概念図である。制御装置100の制御部101は、入力部103を通じて、粒子径センサS2、粉砕ロータ413の回転速度センサS5、分級ロータ415の回転速度センサS6、及び流量センサS3から計測データを取得し、取得したデータをタイムスタンプや粉体原料の種別に関する情報と共に記憶部102に記憶させる。ここで、粉体原料の種別に関する情報とは、粉体原料の種別名を示す文字情報であってもよく、粉体原料の種別を特定できる任意の識別子であってもよい。粉体原料の種別に関する情報は、データの収集前若しくはデータの収集後に操作部106を通じて受付ければよい。
図18の例は、トナー原料、黒鉛、二酸化マンガン(MnO
2 )といった粉体原料の種別毎にデータを収集し、記憶部102に記憶させた状態を示している。
【0182】
制御部101は、粉体原料の種別毎に収集したデータを教師データに用いて、学習モデル200を生成する。
【0183】
図19は実施の形態8に係る学習モデル200の生成手順を説明するフローチャートである。制御装置100の制御部101は、学習モデル200の生成に先立ち、粉体原料の種別に関する情報を受付ける(ステップS401)。制御部101は、例えば、粉体原料の種別をユーザに問い合わせる画面を表示部107に表示させ、表示させた画面を通じて、粉体原料の種別に関する情報を受付けることができる。また、制御部101は、粉体原料の種別に関する問い合わせを通信部105より端末装置500へ送信し、端末装置500からの返信を受信することにより、粉体原料の種別に関する情報を受付けてもよい。
【0184】
次いで、制御部101は、ステップS401で受付けた種別に関連付けて記憶されているデータを記憶部102から読込む(ステップS402)。制御部101は、読込んだデータから、教師データに用いるデータを選択する(ステップS403)。すなわち、制御部101は、読込んだデータから、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量の実測値と、そのときに得られた粉体の粒子径の値(D10,D50,D90)とを一組だけ選択する。
【0185】
次いで、制御部101は、選択した教師データに含まれる粒子径の値を学習モデル200へ入力し(ステップS404)、学習モデル200による演算を実行する(ステップS405)。すなわち、制御部101は、学習モデル200の入力層201を構成するノードに粒子径の値を入力し、中間層202A,202Bにおいてノード間の重み及びバイアスを用いた演算を行い、演算結果を出力層203のノードから出力する処理を行う。なお、学習が開始される前の初期段階では、学習モデル200を記述する定義情報には初期値が与えられているものとする。
【0186】
次いで、制御部101は、ステップS405で得られた演算結果を評価し(ステップS406)、学習が完了したか否かを判断する(ステップS407)。具体的には、制御部101は、ステップS405で得られた演算結果と教師データとに基づく誤差関数(目的関数、損失関数、コスト関数ともいう)を用いて、演算結果を評価することができる。制御部101は、最急降下法などの勾配降下法により誤差関数を最適化(最小化又は最大化)する課程で、誤差関数が閾値以下(又は閾値以上)となった場合、学習が完了したと判断する。なお、過学習の問題を避けるために、交差検定、早期打ち切りなどの手法を取り入れ、適切なタイミングにて学習を終了させてもよい。
【0187】
学習が完了してないと判断した場合(S407:NO)、制御部101は、学習モデル200のノード間の重み及びバイアスを更新して(ステップS408)、処理をステップS403へ戻し、別の教師データを用いた学習を継続する。制御部101は、学習モデル200の出力層203から入力層201に向かって、ノード間の重み及びバイアスを順次更新する誤差逆伝搬法を用いて、各ノード間の重み及びバイアスを更新することができる。
【0188】
学習が完了したと判断した場合(S407:YES)、制御部101は、粉体原料の種別に関する情報に関連付けて、学習済みの学習モデル200を記憶部102に記憶させ(ステップS409)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0189】
以上のように、実施の形態8に係る制御装置100は、粉体原料の種別に応じた学習モデル200を生成できる。実施の形態8における学習モデル200は、実施の形態1と同様であるが、学習モデル200に代えて、実施の形態2~7において説明した学習モデル210~250を粉体原料の種別毎に生成してもよい。
【0190】
なお、本実施の形態では、制御装置100において学習モデル200を生成する構成としたが、学習モデル200を生成する外部サーバ(不図示)を設け、外部サーバにて学習モデル200を生成してもよい。この場合、制御装置100は、通信等により、外部サーバから学習モデル200を取得し、取得した学習モデル200を記憶部102に記憶させればよい。
【0191】
図20は制御装置100による制御手順を説明するフローチャートである。制御装置100の制御部101は、操作部106を通じて、粉体原料の種別に関する情報、及びユーザが所望する粒子径の入力を受付ける(ステップS421)。
【0192】
次いで、制御部101は、受付けた粉体原料の種別に応じた学習モデル200を記憶部102から読み出す(ステップS422)。制御部101は、受付けた粒子径のデータをステップS422で読み出した学習モデル200の入力層201へ入力し、学習モデル200による演算を実行する(ステップS423)。このとき、制御部101は、受付けた粒子径のデータを入力層201のノードに与え、中間層202A,202Bによる演算を実行する。学習モデル200の出力層203は、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を制御する制御パラメータに関する演算結果を出力する。
【0193】
次いで、制御部101は、学習モデル200から演算結果を取得し(ステップS424)、制御に用いる制御パラメータを決定する(ステップS425)。制御部101は、演算結果として出力される確率に基づき、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及び吐出・吸引流量の組み合わせを決定すればよい。
【0194】
次いで、制御部101は、ステップS425において決定した制御パラメータに基づき、制御を実行する(ステップS426)。すなわち、制御部101は、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度がステップS425において決定した値となるように、粉砕モータ413M及び分級モータ415Mに対する制御指令を生成し、出力部104を通じて粉体処理装置4Aへ出力する。また、制御部101は、ケーシング410からの吐出・吸引流量がステップS425において決定した値となるように、ブロワ7に対する制御指令を生成し、出力部104を通じてブロワ7へ出力する。
【0195】
以上のように、本実施の形態に係る制御装置100は、粉体原料の種別に応じた学習モデル200を用いて、制御パラメータを決定することができる。制御装置100は、所望の粒子径を有する粉体が得られるように、決定した制御パラメータに基づく制御を実行することができる。
【0196】
なお、本実施の形態では、粉体原料の種別毎に生成した学習モデル200を用いて、制御パラメータを決定する構成としたが、実施の形態2~7において説明した学習モデル210~250を粉体原料の種別毎に生成し、生成した学習モデル210~250を用いて、制御パラメータを決定する構成としてもよい。
【0197】
実施の形態8では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0198】
(実施の形態9)
実施の形態9では、学習モデル200の再学習手順について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0199】
図21は学習モデル200の再学習手順を説明するフローチャートである。実施の形態1において説明したように、運用フェーズにおいて、制御装置100の制御部101は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力を受付け、受付けた粒子径のデータを学習モデル200へ入力することにより、制御パラメータに関する演算結果を取得する。制御部101は、学習モデル200から取得した演算結果に基づき、粉体処理システム1を構成する各装置の動作を制御する。制御部101は、運用フェーズにおいて、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を含む計測データと、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径データとを収集してもよい。収集した計測データ及び粒子径データは、タイムスタンプと共に、記憶部102に記憶される。
【0200】
制御部101は、運用フェーズ開始後の適宜のタイミングにて、粒子径データが示す粒子径(すなわち、粒子径の実測値)と、ユーザの希望粒子径とを比較する(ステップS501)。学習モデル200への入力がD50の値のみである場合、制御部101は、実測値として得られたD50の値と、希望粒子径として入力されたD50の値とを比較すればよい。また、学習モデル200への入力がD10,D50,D90の値(若しくは、それらの上限値及び下限値)である場合、制御部101は、実測値として得られたD10,D50,D90の値と、希望粒子径として入力されたD10,D50,D90の値(若しくは、それらの上限値及び下限値)とを比較すればよい。制御部101は、比較結果に基づき、再学習を実行するか否かを判断する(ステップS502)。
【0201】
粒子径の実測値が希望粒子径に近い場合(例えば、両者の差が10%未満である場合)、制御部101は、再学習を実行しないと判断し(S502:NO)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0202】
一方、粒子径の実測値が希望粒子径に近くない場合(例えば、両者の差が10%以上である場合)、制御部101は、再学習を実行すると判断する(S502:YES)。
【0203】
再学習を実行すると判断した場合、制御部101は、運用開始後に収集したデータを記憶部102から読み出し(ステップS503)、教師データを選択する(ステップS504)。なお、ステップS503以降の再学習手順は、粉体処理システム1が稼働していないタイミングにて実行すればよい。
【0204】
制御部101は、選択した教師データに含まれる粒子径の値を学習モデル200へ入力し(ステップS505)、学習モデル200による演算を実行する(ステップS506)。すなわち、制御部101は、学習モデル200の入力層201を構成するノードに粒子径の値を入力し、中間層202A,202Bにおいてノード間の重み及びバイアスを用いた演算を行い、演算結果を出力層203のノードから出力する処理を行う。
【0205】
次いで、制御部101は、ステップS506の演算により得られる演算結果を評価し(ステップS507)、学習が完了したか否かを判断する(ステップS508)。具体的には、制御部101は、ステップS506で得られる演算結果と教師データとに基づく誤差関数(目的関数、損失関数、コスト関数ともいう)を用いて、演算結果を評価することができる。
【0206】
学習が完了してないと判断した場合(S508:NO)、制御部101は、学習モデル200のノード間の重み及びバイアスを更新して(ステップS509)、処理をステップS504へ戻し、別の教師データを用いた学習を継続する。制御部101は、学習モデル200の出力層203から入力層201に向かって、ノード間の重み及びバイアスを順次更新する誤差逆伝搬法を用いて、各ノード間の重み及びバイアスを更新することができる。
【0207】
学習が完了したと判断した場合(S508:YES)、制御部101は、学習済みの学習モデル200として記憶部102に記憶させ(ステップS510)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0208】
以上のように、本実施の形態に係る制御装置100は、学習モデル200の再学習を必要に応じて実行するので、運用フェーズの開始後においても、粉体処理システム1による粉体処理の精度を高めることができる。
【0209】
なお、実施の形態9では、学習モデル200の再学習手順について説明したが、実施の形態2~7において説明した学習モデル210~250、実施の形態8で説明した粉体原料の種別毎の学習モデル200についても、同様の手順にて再学習することが可能である。
【0210】
実施の形態9では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0211】
(実施の形態10)
実施の形態10では、粉体処理装置4Aにおける制御パラメータの調整手順について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0212】
図22は制御パラメータの調整手順を説明するフローチャートである。実施の形態1において説明したように、運用フェーズにおいて、制御装置100の制御部101は、ユーザが所望する粒子径(希望粒子径)の入力を受付け、受付けた粒子径のデータを学習モデル200へ入力することにより、制御パラメータに関する演算結果を取得する。制御部101は、学習モデル200から取得した演算結果に基づき、粉体処理システム1を構成する各装置の動作を制御する。制御部101は、運用フェーズにおいて、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量を含む計測データと、粉体処理装置4Aから得られる粉体の粒子径データとを収集してもよい。収集した計測データ及び粒子径データは、タイムスタンプと共に、記憶部102に記憶される。
【0213】
制御部101は、運用フェーズ開始後の適宜のタイミングにて、粒子径データが示す粒子径(すなわち、粒子径の実測値)と、ユーザの希望粒子径とを比較する(ステップS601)。学習モデル200への入力がD50の値のみである場合、制御部101は、実測値として得られたD50の値と、希望粒子径として入力されたD50の値とを比較すればよい。また、学習モデル200への入力がD10,D50,D90の値(若しくは、それらの上限値及び下限値)である場合、制御部101は、実測値として得られたD10,D50,D90の値と、希望粒子径として入力されたD10,D50,D90の値(若しくは、それらの上限値及び下限値)とを比較すればよい。制御部101は、比較結果に基づき、制御パラメータを調整するか否かを判断する(ステップS602)。
【0214】
粒子径の実測値が希望粒子径に近い場合(例えば、両者の差が10%未満である場合)、制御部101は、制御パラメータを調整しないと判断し(S602:NO)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0215】
一方、粒子径の実測値が希望粒子径に近くない場合(例えば、両者の差が10%以上である場合)、制御部101は、制御パラメータを調整すると判断する(S602:YES)。
【0216】
制御パラメータを調整すると判断した場合、制御部101は、ステップS602の比較結果に応じて制御パラメータを調整し(ステップS603)、調整後の制御パラメータに基づき粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する(ステップS604)。例えば、粒子径の実測値が希望粒子径より小さい場合、制御部101は、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度が現在の値より低くなるように、かつ、吐出・吸引流量が現在の値より大きくなるように制御パラメータの調整を行い、調整後の制御パラメータに基づき粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する。また、粒子径の実測値が希望粒子径より大きい場合、制御部101は、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度が現在の値より高くなるように、かつ、吐出・吸引流量が現在の値より小さくなるように制御パラメータの調整を行い、調整後の制御パラメータに基づき粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する。
【0217】
以上のように、本実施の形態では、粉体処理システム1の稼働中に粒子径の実測値とユーザの希望粒子径との間に一定以上の乖離が生じた場合、その乖離が小さくなるように制御パラメータを調整することができる。
【0218】
実施の形態10では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0219】
(実施の形態11)
実施の形態11では、端末装置500から粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する構成について説明する。
なお、粉体処理システム1の全体構成、及び粉体処理システム1における各装置の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0220】
図23は端末装置500及び制御装置100が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。端末装置500の制御部501は、通信部503を通じて、制御装置100にアクセスする(ステップS701)。
【0221】
制御装置100の制御部101は、粉体処理装置4Aが稼働していないときに端末装置500からアクセスを受付けた場合、例えば、ユーザが所望する粒子径の入力を受付けるための入力画面に係る画面データを生成し(ステップS702)、生成した画面データを通信部105より端末装置500へ送信する(ステップS703)。なお、粉体処理装置4Aが稼働しているときに端末装置500からアクセスを受付けた場合、制御部101は、以下で説明するステップS703以降の処理を実行すればよい。
【0222】
端末装置500の制御部501は、制御装置100から送信される入力画面の画面データを通信部503より受信する(ステップS704)。制御部501は、受信した画面データに基づき入力画面を表示部505に表示し(ステップS705)、ユーザが所望する粒子径の入力を受付ける(ステップS706)。
【0223】
図24は入力画面の一例を示す模式図である。この入力画面は、D10,D50,D90のそれぞれに対して、下限値及び上限値を受付けるための画面を示している。D10,D50,D90のそれぞれの下限値及び上限値を受付ける構成に代えて、ユーザが所望するD10,D50,D90の値を受付けてもよく、D50の値(メジアン径)のみを受付けてもよい。制御部501は、ステップS706において受付けた粒子径のデータを制御装置100へ送信する(ステップS707)。
【0224】
制御装置100の制御部101は、端末装置500から送信される粒子径のデータを通信部105より受信する(ステップS708)。制御部101は、受信した粒子径のデータを例えば学習モデル200に入力し、学習モデル200による演算を実行する(ステップS709)。次いで、制御部101は、学習モデル200から演算結果を取得し(ステップS710)、演算結果に基づき制御パラメータを決定する(ステップS711)。制御部101は、決定した制御パラメータに基づき、粉体処理装置4Aを含む装置の動作を制御する(ステップS712)。
【0225】
粉体処理システム1の稼働中、制御部101は、粉体処理装置4Aより得られる粉体の粒子径、粉砕ロータ413及び分級ロータ415の回転速度、並びに、ケーシング410からの吐出・吸引流量についての計測データを入力部103より随時取得する。制御部101は、適宜のタイミングにて、上記計測データの少なくとも1つと、粉体処理システム1の全体図とを含むモニタリング画面の画面データを生成する(ステップS713)。制御部101は、生成した画面データを通信部105より端末装置500へ送信する(ステップS714)。
【0226】
端末装置500の制御部501は、制御装置100から送信される画面データを通信部503より受信する(ステップS715)。制御部501は、受信した画面データに基づき、モニタリング画面を表示部505に表示する(ステップS716)。
図25はモニタリング画面の一例を示す模式図である。
図25に示した例は、粉体処理装置4Aから得られる粒子径の計測データ(すなわち、粒子径センサS2により計測された粒子径の実測値)と、粉体処理システム1の全体図とを含むモニタリング画面を表示部505に表示した状態を示している。粒子径の計測データに代えて、若しくは、粒子径の計測データと共に、粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、及びケーシング410からの吐出・吸引流量の計測データをモニタリング画面に表示してもよい。更に、ユーザにより入力された希望粒子径、学習モデル200の演算結果に基づき設定された粉砕ロータ413の回転速度、分級ロータ415の回転速度、ケーシング410からの吐出・吸引流量の値などをモニタリング画面に表示してもよい。
【0227】
以上のように、本実施の形態では、端末装置500を用いて粉体処理システム1を遠隔操作できると共に、粉体処理システム1の稼働状況を端末装置500にて監視することができる。
【0228】
実施の形態11では、機械式の粉体処理装置4Aに対する適用例を説明したが、粉体処理装置4B~4Eについて同様の手法を適用できることは勿論のことである。
【0229】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0230】
例えば、本発明は、実施の形態1~11に記載した粉体処理装置4A~4Eに限らず、衝撃式粉砕機、せん断型粉砕機、気流式粉砕機、摩砕型粉砕機、媒体撹拌型粉砕機、スクリーンミル、ビーズミル、ボールミル、ピンミル、及びジェットミルに分類される粉体処理装置(すなわち、粉砕機能を少なくとも備えた粉体処理装置)に適用することが可能である。
【0231】
また、実施の形態1~11では、粉体処理装置4A~4Eに対して気体を導入する構成としたが、気体に代えて液体を導入する構成としてもよい。この場合、流量センサS3として、液体の流量を計測するセンサが用いられるとよい。また、ブロワ7に代えて、ポンプが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0232】
1…粉体処理システム、2…原料供給機、3…熱風発生機、4A~4E…粉体処理装置、5…サイクロン、6…集塵機、7…ブロワ、410…ケーシング、411…原料投入口、412…気体導入口、413…粉砕ロータ、414…ガイドリング、415…分級ロータ、416…粉体取出口、S1…重量センサ、S2…粒子径センサ、S3…流量センサ、S4…温度センサ、S5…回転速度センサ、S6…回転速度センサ、100…制御装置、101…制御部、102…記憶部、103…入力部、104…出力部、105…通信部、106…操作部、107…表示部、500…端末装置、501…制御部、502…記憶部、503…通信部、504…操作部、505…表示部