(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの製造方法及び中間体
(51)【国際特許分類】
C07F 9/572 20060101AFI20241108BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C07F9/572 A CSP
C12N15/11 Z ZNA
(21)【出願番号】P 2021524842
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2020021676
(87)【国際公開番号】W WO2020246443
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2019103903
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】谷野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】関口 光明
(72)【発明者】
【氏名】越智 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】福井 伸明
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第18/181428(WO,A1)
【文献】国際公開第18/179172(WO,A1)
【文献】国際公開第17/057540(WO,A1)
【文献】国際公開第15/012912(WO,A1)
【文献】特表2015-514108(JP,A)
【文献】国際公開第10/071852(WO,A1)
【文献】LIU,H. et al.,Membrane Anchored Immunostimulatory Oligonucleotides for In Vivo Cell Modification and Localized Imm,Angewandte Chemie, International Edition,2011年,Vol.50, No.31,pp.7052-7055, S7052/1-S7052/8,DOI 10.1002/anie.201101266
【文献】LIU,H. et al.,DNA-Based Micelles: Synthesis, Micellar Properties and Size-Dependent Cell Permeability,Chemistry - A European Journal,2010年,Vol.16, No.12,pp.3791-3797,DOI 10.1002/chem.200901546
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C12N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に記載の式で示される
化合物又はその塩。
【化1】
【請求項2】
以下に記載の式
【化2】
で示される化合物と、
式(III):
【化3】
(式中、Supportは固相担体を意味し、Oligonucleotideはオリゴヌクレオチドを意味し、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を意味し、5’はオリゴヌクレオチドの5’末端を意味する。Wは単結合又は式:
【化4】
(式中、Z
1はO又はSであり、
R
10及びR
11はそれぞれ独立してアルキル又はアルケニルであり、
式中の末端のアルキレンがオリゴヌクレオチドの3’末端の酸素に結合し、式中の末端の酸素原子が固相担体に結合する)で示される基である。)で示されるオリゴヌクレオチドを反応させ、式(IV)
’:
【化5】
(式中、
Z
2は
O又はSであり、
Support、Oligonucleotide、3’、5’
及びWは前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
切断試薬及び脱保護剤の存在下で、式(IV)
’で示される化合物中の保護基の脱保護及び固相担体からの切り出しを行い、式(V)
’:
【化6】
(式中、各記号は前記と同意義であり、Wが上記式(a)~(d)で示される基のいずれかである場合、式(a)~(d)中の末端の酸素原子は水素原子に結合する。)で示される化合物を得る工程、及び
式(V)
’で示される化合物に、
式(VI):R
X1-C(=O)-L
1(式中、R
X1はアルキル又はアルケニルであり、L
1はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させる工程を含む、
式(VII)
’:
【化7】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物の製造方法。
【請求項3】
以下に記載の式
【化8】
で示される化合物と、
式(III):
【化9】
(式中、Supportは固相担体を意味し、Oligonucleotideはオリゴヌクレオチドを意味し、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を意味し、5’はオリゴヌクレオチドの5’末端を意味する。Wは単結合又は式:
【化10】
(式中、Z
1はO又はSであり、
R
10及びR
11はそれぞれ独立してのアルキル又はアルケニルであり、
式中の末端のアルキレンがオリゴヌクレオチドの3’末端の酸素に結合し、式中の末端の酸素原子が固相担体に結合する。)で示される基である)で示されるオリゴヌクレオチドを反応させ、式(IV)
’:
【化11】
(式中、
Z
2は
O又はSであり、
Support、Oligonucleotide、3’、5’
及びW
は前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
切断試薬及び脱保護剤の存在下で、式(IV)
’で示される化合物中の保護基の脱保護及び固相担体からの切り出しを行い、式(V)
’:
【化12】
(式中、各記号は前記と同意義であり、Wが上記式(a)~(d)で示される基のいずれかである場合、式(a)~(d)中の末端の酸素原子は水素原子に結合する)で示される化合物を得る工程、及び
式(V)
’で示される化合物に、
式(VI):R
X1-C(=O)-L
1(式中、R
X1はアルキル又はアルケニルであり、L
1はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させ、式(VIII)
’:
【化13】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
式(VIII)
’で示される化合物に、
式(IX):R
X2-C(=O)-L
2(式中、R
X2はアルキル又はアルケニルであり、L
2はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させる工程を含む、式(X)
’:
【化14】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物の製造方法。
【請求項4】
R
X1が、炭素数8~30のアルキル又は炭素数8~30のアルケニルであり、
R
X2が、炭素数1~29のアルキル又は炭素数2~29のアルケニルであり、
当該炭素数が、R
X1のアルキル又はアルケニルの炭素数より少ないことを特徴とする、請求項
3記載の製造方法。
【請求項5】
切断試薬及び脱保護剤が、ブチルアミン及び/又はベンジルアミンからを含む、請求項
2~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
化合物(V)
’を有機溶媒により洗浄する工程を含む、請求項
2~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
請求項
2~6のいずれかに記載の製造方法により化合物(VII)
’又は(X)
’を得る工程及び
化合物(VII)
’又は(X)
’のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドをアニーリングして二本鎖を形成する工程を含む、
二本鎖オリゴヌクレオチドの製造方法。
【請求項8】
二本鎖オリゴヌクレオチドが、式:
【化15】
で示される鎖及び以下から選択される一の式で示される鎖からなる二本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項
7記載の製造方法。
式:
【化16】
、式:
【化17】
、式:
【化18】
、式:
【化19】
、式:
【化20】
及び式:
【化21】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの製造方法に関する。さらに、該製造方法に有用な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジアシル脂質(つまり、二分岐脂質)が結合した免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチドが記載されている。さらに、実施例1にジアシル脂質ホスホロアミダイトの合成方法及びジアシル脂質結合オリゴヌクレオチドの合成方法が記載されている。
特許文献2及び3には、免疫賦活活性を示すジアシル脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドが記載されている。さらに、これらの文献には、実施例1のA)の1-1)、1-2)及び3)にジアシル脂質を有するアミダイトの合成方法、C)にジアシル脂質結合オリゴヌクレオチドの合成方法が記載されている。
特許文献4には、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA等の核酸医薬を含むオリゴヌクレオチドに、アミドを介するアルキルからなる鎖を末端に2つ含有する二分岐脂質が1つ結合している複合体(つまり、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチド)が記載されている。さらに、実施例1のA)の1)に二分岐脂質が結合しているアミダイトの合成方法、C)に二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの合成方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/151771号
【文献】国際公開第2017/057540号
【文献】国際公開第2018/179172号
【文献】国際公開第2018/181428号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの品質コントロールが可能な製造方法及び該製造方法に有用な、安定性がよく、管理及び分析が容易な中間体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特許文献1~4にはジアシル脂質(二分岐脂質)とリンカーユニットを併せ持つ中間体(アミダイト)を固相でオリゴヌクレオチドに導入することにより二分岐脂質結合二本鎖オリゴヌクレオチドを得る方法が記載されている。本発明者らは、この方法では、オリゴヌクレオチドの二量体が生成され、アミダイトとオリゴヌクレオチドの縮合効率が悪いことを見出した。この問題点を克服するために、本発明者らは、鋭意研究の結果、アシル脂質を導入予定の窒素原子に結合する二つの水素原子を保護基により置換したアミダイト(本発明のアミダイト)を中間体として利用し、オリゴヌクレオチドを合成した後に脂質を導入することにより、二量体の生成を抑え、アミダイトとオリゴヌクレオチドの縮合効率を改善し、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドを製造することができることを見出した。
【0006】
本発明者らは、さらに、特許文献2~4に記載の合成方法の中間体である特許文献2及び3記載の化合物4-18(特許文献4記載の化合物5-18、本願実施例における比較化合物)は(a)結晶性が悪く、その粉末X線回折は非晶質であること、(b)一般的なUV検出器を用いた分析に際し、実用的な波長域に吸収帯を有さないこと、(c)-20℃下においても不安定で経時的な分解が観測されたことという品質管理上の問題点を見出した。さらに、本発明者らは、(d)該比較化合物を用いると二分岐脂質結合オリゴヌクレオチド合成の効率が比較的悪いという問題点を見出した。
それに対し、下記実施例2に記載の通り、(a’)本発明のアミダイト(中間体)である化合物5は、結晶性が良好であった。そのため、晶析による精製操作が容易であり、該比較化合物よりも十分に良好な純度にて化合物5を得ることができた。(b’)化合物5はフタロイル基に由来すると一般に考えられるUV吸収帯を有するため、純度の分析や不純物量の制御及び管理が容易であった。(c’)化合物5は40℃、50日間においても分解は観測されなかった。その結果、UV検出器を備えた液体クロマトグラフィーにより品質管理された化合物5をオリゴヌクレオチドの原料として用いることにより、オリゴヌクレオチドの品質を担保することができた。さらに、(d’)化合物5を使用した場合、特許文献1~4に記載の従来法と比較して、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチド合成の効率が改善した。
本発明者らは、アシル脂質を導入予定の窒素原子に結合する一つの水素原子のみを保護基により置換したアミダイトを用いて、ジアシル脂質が結合したオリゴヌクレオチドの合成を試みた。8種の保護基を用いて、それぞれ下記実施例1と同様に、アミダイトの合成からオリゴヌクレオチドの合成を試みたが、アミダイトの合成が進行しない、アミダイトが不安定で徐々に分解する、オリゴヌクレオチドとアミダイトの縮合反応は進行するがアミダイトに施されていた保護基の脱保護ができない等の問題があった。つまり、本発明のアミダイト(下記式(II)で示される化合物又はその塩、特に好ましくは下記式(I)で示される化合物又はその塩)が、アシル脂質を導入予定の窒素原子に結合する一つの水素原子のみを保護基により置換したアミダイトと比較し、高品質な二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの効率的な合成方法に用いる中間体として非常に優れていることを見出した。
【0007】
さらに、本発明者らは、鋭意研究の結果、化合物5を固相合成法でオリゴヌクレオチドに導入し、化合物7を得た後、固相担体から切り出しかつ脱保護を行い、化合物8を得る際に、オリゴヌクレオチドの配列中のシトシンのアミノ基をアセチル基で保護し、切断試薬及び脱保護剤としてn-ブチルアミン又はベンジルアミンを用いた場合が好ましいことを見出した。すなわち、副反応を起こすことなく、オリゴヌクレオチドの配列中の保護基(アデニン、グアニン又はシトシンのアミノ基の保護基及びリン酸のヒドロキシ基の保護基)及びフタロイル基を共に効率的に除去することができ、目的とする二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドを得られることを見出した。つまり、本発明の切断試薬及び脱保護剤としてブチルアミン及び/又はベンジルアミンを用いるという条件が、その他条件と比較して、高品質な二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの合成方法として特に優れていることが示唆された。
【0008】
さらに、本発明者らは、鋭意研究の結果、固相担体から切り出しかつ脱保護の工程で用いるアルキルアミン等のアミン類は、アシル化反応の阻害要因となるが、化合物8を有機溶媒であるメチルtert-ブチルエーテルにより洗浄することで、アミン類の残留量を低減できることを見出した。さらに、固相担体から切り出しかつ脱保護の工程でベンジルアミンを用いた場合には、UV検出によりその残存を追跡及び管理できるため、アシル化反応の進行に関して堅牢性が向上することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)式(I):
【化1】
(式中、
A及びBはそれぞれ独立して、
【化2】
であり、
X
1、X
2、X
3及びX
4はそれぞれ独立して、O又はSであり、
qはそれぞれ独立して、0~4の整数であり、
r及びsはそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
ただし、q個のR
1、r個のR
2及びs個のR
3は、同一でも異なっていてもよく、
m、n及びpはそれぞれ独立して、0~5の整数であり、
Yは
式(Y-1):-P(OR
4)(N(R
5)
2)(式中、R
4は置換又は非置換のアルキルであり、R
5はそれぞれ独立して、置換又は非置換のアルキルである。)で示される基、
式(Y-2):-P(=R
6)(OR
7)
2(式中、R
6はO又はSであり、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基又は
式(Y-3):-P(=R
8)H(OR
9)(式中、R
8はO又はSであり、R
9は水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基である。)
で示される化合物又はその塩。
(2)A及びBが、それぞれ独立して
【化3】
であり、
X
1及びX
2が、Oであり、
Yが、該式(Y-1)で示される基である、(1)記載の化合物又はその塩。
(3)化合物が、以下に記載の式で示される、(1)又は(2)記載の化合物又はその塩。
【化4】
【0010】
なお、上記(1)~(3)は下記(4)~(10)のいずれかに記載の製造方法において、式(II)で示される化合物として用いることが可能な有用中間体である。
【0011】
(4)式(II):
【化5】
(式中、
Pro
1、Pro
2、Pro
3及びPro
4はそれぞれ独立して、保護基であり、
Pro
1及びPro
2又はPro
3及びPro
4は一緒になって保護基を形成していてもよく、
m、n及びpはそれぞれ独立して、0~5の整数であり、
Yは、
式(Y-1):-P(OR
4)(N(R
5)
2)(式中、R
4は置換又は非置換のアルキルであり、R
5はそれぞれ独立して、置換又は非置換のアルキルである。)で示される基、
式(Y-2):-P(=R
6)(OR
7)
2(式中、R
6はO又はSであり、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基又は
式(Y-3):-P(=R
8)H(OR
9)(式中、R
8はO又はSであり、R
9は水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基である。)で示される化合物と、
式(III):
【化6】
(式中、Supportは固相担体を意味し、Oligonucleotideはオリゴヌクレオチドを意味し、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を意味し、5’はオリゴヌクレオチドの5’末端を意味する。Wは単結合又は式:
【化7】
(式中、Z
1はO又はSであり、
R
10及びR
11はそれぞれ独立してアルキル又はアルケニルであり、
式中の末端のアルキレンがオリゴヌクレオチドの3’末端の酸素に結合し、式中の末端の酸素原子が固相担体に結合する。)で示される基である。)で示されるオリゴヌクレオチドを反応させ、式(IV):
【化8】
(式中、
Z
2は
式(II)のYが式(Y-1)で示される基である場合はO又はSであり、
式(II)のYが式(Y-2)で示される基である場合はR
6であり、
式(II)のYが式(Y-3)で示される基である場合はR
8であり、
R
12は
式(II)のYが式(Y-1)で示される基である場合はOR
4であり、
式(II)のYが式(Y-2)で示される基である場合はOR
7であり、
式(II)のYが式(Y-3)で示される基である場合はOR
9であり、
Support、Oligonucleotide、3’、5’、W、Pro
1、Pro
2、Pro
3、Pro
4、m、n及びpは前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
切断試薬及び脱保護剤の存在下で、式(IV)で示される化合物中の保護基の脱保護及び固相担体からの切り出しを行い、式(V):
【化9】
(式中、各記号は前記と同意義であり、Wが上記式(a)~(d)で示される基のいずれかである場合、式(a)~(d)中の末端の酸素原子は水素原子に結合する)で示される化合物を得る工程、及び
式(V)で示される化合物に、
式(VI):R
X1-C(=O)-L
1(式中、R
X1はアルキル又はアルケニルであり、L
1はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させる工程を含む、
式(VII):
【化10】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物の製造方法。
【0012】
(5)式(II):
【化11】
(式中、
Pro
1、Pro
2、Pro
3及びPro
4はそれぞれ独立して、保護基であり、
Pro
1及びPro
2又はPro
3及びPro
4は一緒になって保護基を形成していてもよく、
m、n及びpはそれぞれ独立して、0~5の整数であり、
Yは、
式(Y-1):-P(OR
4)(N(R
5)
2)(式中、R
4は置換又は非置換のアルキルであり、R
5はそれぞれ独立して、置換又は非置換のアルキルである。)で示される基、
式(Y-2):-P(=R
6)(OR
7)
2(式中、R
6はO又はSであり、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基又は
式(Y-3):-P(=R
8)H(OR
9)(式中、R
8はO又はSであり、R
9は水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基又は置換若しくは非置換の芳香族炭素環カルボニルである。)で示される基である。)で示される化合物と、
式(III):
【化12】
(式中、Supportは固相担体を意味し、Oligonucleotideはオリゴヌクレオチドを意味し、3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を意味し、5’はオリゴヌクレオチドの5’末端を意味する。Wは単結合又は式:
【化13】
(式中、Z
1はO又はSであり、
R
10及びR
11はそれぞれ独立してのアルキル又はアルケニルであり、
式中の末端のアルキレンがオリゴヌクレオチドの3’末端の酸素に結合し、式中の末端の酸素原子が固相担体に結合する。)で示される基である。)で示されるオリゴヌクレオチドを反応させ、式(IV):
【化14】
(式中、
Z
2
は
式(II)のYが式(Y-1)で示される基である場合はO又はSであり、
式(II)のYが式(Y-2)で示される基である場合はR
6であり、
式(II)のYが式(Y-3)で示される基である場合はR
8であり、
R
12は
式(II)のYが式(Y-1)で示される基である場合はOR
4であり、
式(II)のYが式(Y-2)で示される基である場合はOR
7であり、
式(II)のYが式(Y-3)で示される基である場合はOR
9であり、
Support、Oligonucleotide、3’、5’、W、Pro
1、Pro
2、Pro
3、Pro
4、m、n及びpは前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
切断試薬及び脱保護剤の存在下で、式(IV)で示される化合物中の保護基の脱保護及び固相担体からの切り出しを行い、式(V):
【化15】
(式中、各記号は前記と同意義であり、Wが上記式(a)~(d)で示される基のいずれかである場合、式(a)~(d)中の末端の酸素原子は水素原子に結合する。)で示される化合物を得る工程、及び
式(V)で示される化合物に、
式(VI):R
X1-C(=O)-L
1(式中、R
X1はアルキル又はアルケニルであり、L
1はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させ、式(VIII):
【化16】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物を得る工程、
式(VIII)で示される化合物に、
式(IX):R
X2-C(=O)-L
2(式中、R
X2はアルキル又はアルケニルであり、L
2はOH又は脱離基である。)で示される化合物を反応させる工程を含む、式(X):
【化17】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物の製造方法。
【0013】
(6)RX1が、炭素数8~30のアルキル又は炭素数8~30のアルケニルであり、
RX2が、炭素数1~29のアルキル又は炭素数2~29のアルケニルであり、
当該炭素数が、RX1のアルキル又はアルケニルの炭素数より少ないことを特徴とする、(5)記載の製造方法。
(7)切断試薬及び脱保護剤が、ブチルアミン及び/又はベンジルアミンを含む、(4)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)化合物(V)を有機溶媒により洗浄する工程を含む、(4)~(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)(4)~(8)のいずれかに記載の製造方法により化合物(VII)又は(X)を得る工程及び
化合物(VII)又は(X)のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドをアニーリングして二本鎖を形成する工程を含む、
二本鎖オリゴヌクレオチドの製造方法。
【0014】
(10)二本鎖オリゴヌクレオチドが、式:
【化18】
で示される鎖(配列番号:1記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)及び以下から選択される一の式で示される鎖からなる二本鎖オリゴヌクレオチドである、(9)記載の製造方法。
式:
【化19】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:2記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
、式:
【化20】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:3記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
、式:
【化21】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:4記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
、式:
【化22】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:5記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
、式:
【化23】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:2記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
及び式:
【化24】
(5’末端に二分岐脂質を含む配列番号:4記載の塩基からなるオリゴヌクレオチド)
【0015】
(11)式(II)で示される化合物が、(1)記載の化合物である、(4)~(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)式(II)で示される化合物が、(2)記載の化合物である、(11)記載の製造方法。
(13)式(II)で示される化合物が、(3)記載の化合物である、(11)記載の製造方法。
【0016】
(14)式(IV):
【化25】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物。
【0017】
(15)式(XI):
【化26】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物。
【0018】
(16)式(V):
【化27】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物。
【0019】
(17)式(VIII):
【化28】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で示される化合物。
【発明の効果】
【0020】
アシル脂質を導入予定の窒素原子に結合する二つの水素原子を保護基により置換した本発明のアミダイトを利用する本発明の二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの製造方法及びその条件は、副生成物の生成を抑え、確実に目的とする最終物を得るために有用である。つまり、本発明の製造方法は、医薬品等、高品質が要求される製品を合成する際、非常に有用である。
特に、式(I)で示される化合物又はその塩である中間体は結晶であり、品質コントロール(純度の分析、不純物量の制御及び管理等)が可能である。該中間体を用いて、二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの合成を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において使用される用語は、特に言及する場合を除いて、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。
本発明においては、当該分野で公知の遺伝子操作方法の使用が可能である。例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Forth Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2012)、Current Protocols Essential Laboratory Techniques, Current Protocols (2012)に記載された方法等が挙げられる。
【0022】
以下に本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、又は他の用語と一緒になって使用されている場合も、同一の意義を有する。
【0023】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子及び塩素原子が好ましい。
【0024】
「アルキル」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-へプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル又はn-ペンチルが挙げられる。
なお、式(VI)中のRX1及び式(IX)中のRX2における「アルキル」は、炭素数1~50、炭素数1~40、炭素数1~30、より好ましくは炭素数8~30、さらに好ましくは炭素数12~30の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。
【0025】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~15、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル又はブテニルが挙げられる。
なお、式(VI)中のRX1及び式(IX)中のRX2における「アルケニル」は、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~50、炭素数2~40、炭素数2~30、より好ましくは炭素数8~30、さらに好ましくは12~30の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。
【0026】
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2~10、好ましくは炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。さらに任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等を包含する。
「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル又はペンチニルが挙げられる。
【0027】
「芳香族炭素環式基」とは、単環又は2環以上の、環状芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の好ましい態様として、フェニルが挙げられる。
【0028】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」及び「置換アルキニル」の置換基としては、次の置換基が挙げられる。任意の位置の炭素原子が次の置換基から選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、トリアルキルシリル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、モノアルキルカルボニルアミノ、ジアルキルカルボニルアミノ、モノアルキルスルホニルアミノ、ジアルキルスルホニルアミノ、アルキルイミノ、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アルキルカルボニルイミノ、アルケニルカルボニルイミノ、アルキニルカルボニルイミノ、アルキルオキシイミノ、アルケニルオキシイミノ、アルキニルオキシイミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルスルファニル、アルケニルスルファニル、アルキニルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、モノアルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイル、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、芳香族炭素環オキシ、非芳香族炭素環オキシ、芳香族複素環オキシ、非芳香族複素環オキシ、芳香族炭素環カルボニル、非芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環カルボニル、芳香族炭素環オキシカルボニル、非芳香族炭素環オキシカルボニル、芳香族複素環オキシカルボニル、非芳香族複素環オキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルオキシ、非芳香族炭素環アルキルオキシ、芳香族複素環アルキルオキシ、非芳香族複素環アルキルオキシ、芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルアミノ、非芳香族炭素環アルキルアミノ、芳香族複素環アルキルアミノ、非芳香族複素環アルキルアミノ、芳香族炭素環スルファニル、非芳香族炭素環スルファニル、芳香族複素環スルファニル、非芳香族複素環スルファニル、非芳香族炭素環スルホニル、芳香族炭素環スルホニル、芳香族複素環スルホニル及び非芳香族複素環スルホニル。
【0029】
「置換芳香族炭素環」、「置換非芳香族炭素環」、「置換芳香族複素環」及び「置換非芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基が挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基から選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、トリアルキルシリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、モノアルキルカルボニルアミノ、ジアルキルカルボニルアミノ、モノアルキルスルホニルアミノ、ジアルキルスルホニルアミノ、アルキルイミノ、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アルキルカルボニルイミノ、アルケニルカルボニルイミノ、アルキニルカルボニルイミノ、アルキルオキシイミノ、アルケニルオキシイミノ、アルキニルオキシイミノ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アルキルスルファニル、アルケニルスルファニル、アルキニルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、モノアルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイル、芳香族炭素環式基、非芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、芳香族炭素環オキシ、非芳香族炭素環オキシ、芳香族複素環オキシ、非芳香族複素環オキシ、芳香族炭素環カルボニル、非芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環カルボニル、芳香族炭素環オキシカルボニル、非芳香族炭素環オキシカルボニル、芳香族複素環オキシカルボニル、非芳香族複素環オキシカルボニル、芳香族炭素環アルキル、非芳香族炭素環アルキル、芳香族複素環アルキル、非芳香族複素環アルキル、芳香族炭素環アルキルオキシ、非芳香族炭素環アルキルオキシ、芳香族複素環アルキルオキシ、非芳香族複素環アルキルオキシ、芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、非芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、芳香族複素環アルキルオキシアルキル、非芳香族複素環アルキルオキシアルキル、芳香族炭素環アルキルアミノ、非芳香族炭素環アルキルアミノ、芳香族複素環アルキルアミノ、非芳香族複素環アルキルアミノ、芳香族炭素環スルファニル、非芳香族炭素環スルファニル、芳香族複素環スルファニル、非芳香族複素環スルファニル、非芳香族炭素環スルホニル、芳香族炭素環スルホニル、芳香族複素環スルホニル及び非芳香族複素環スルホニル。
【0030】
本発明の二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの製造方法としては、上記(4)~(13)に記載の方法が挙げられる。
【0031】
上記(4)に記載の本発明の製造方法を以下に示す。
【化29】
(式中、各記号は前記と同意義である。)
【0032】
上記(5)に記載の本発明の製造方法に関し、式(V)で示される化合物から後の工程を以下に示す。式(V)で示される化合物を得る工程までは、上記(4)の場合と同様である。
【化30】
(式中、各記号は前記と同意義である)
【0033】
1.オリゴヌクレオチドの合成
式(II)で示される化合物又はその塩と式(III)で示されるオリゴヌクレオチドを反応させ、式(IV)で示される化合物を得る。合成法として、ホスホロアミダイトを用いた固相合成法を用いることができる。例えば、下記実施例、Tetrahedron Letters 22,1859-1862 (1981)等に開示されている。具体的には、市販の核酸自動合成装置(例えば、GE Healthcare社(Cytiva社)製、AppliedBiosystems社製、(株)大日本精機製等)によってまず、式(III)で示される化合物を合成し、最終サイクルにおいて、式(II)で示される化合物又はその塩を導入することにより、式(IV)で示される化合物を容易に合成することができる。
【0034】
「固相担体」とは、オリゴヌクレオチドの固相合成に使用される、オリゴヌクレオチドを担持可能で反応溶媒に不溶な固体の支持体である。当分野で一般に使用されている市販品は本発明の製造方法において、固相担体として使用することができ、また、必要に応じてこれら市販品の担体表面に存在する官能基に適当な修飾を加えることもできる。
式(II)で示される化合物又はその塩は、本明細書に記載の化合物(a)に、各保護基(Pro1、Pro2、Pro3及びPro4)を導入することにより、製造することができる。
【0035】
「オリゴヌクレオチド」とは、同一又は異なるヌクレオシドが複数個結合したヌクレオチドを意味する。
本発明における「オリゴヌクレオチド」の配列や修飾は特に限定されない。DNA、RNA又は核酸塩基、糖若しくはヌクレオシド間結合に当該分野で公知の修飾を有するヌクレオチドを含む核酸等を使用することができる。また、オリゴヌクレオチドの鎖長は特に限定されないが、例えば、8~50塩基、8~40塩基、8~30塩基、10~25塩基又は15~25塩基である。
【0036】
本明細書において式(III)~(V)、(VII)、(VIII)、(X)及び(XI)中の「Oligonucleotide」の左に結合しているOはオリゴヌクレオチド配列の3’末端の酸素原子を意味し、右に結合しているOはオリゴヌクレオチド配列の5’末端の酸素原子を意味する。
該「Oligonucleotide」としては、二分岐脂質を結合する必要があるオリゴヌクレオチドであれば、特に限定されない。例えば、特許文献1記載のCpGオリゴヌクレオチド、特許文献2及び3に記載の「CpGオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチド」、特許文献4記載の「標的遺伝子の発現抑制活性を有するオリゴヌクレオチド(siRNA、miRNA等二本鎖オリゴヌクレオチドのうちの一本鎖、アンチセンスオリゴヌクレオチド等)」が挙げられる。二分岐脂質を結合させることにより、該脂質が結合したオリゴヌクレオチド又は該オリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドの医薬としての活性(アジュバントの場合の免疫賦活活性、核酸医薬の場合の標的遺伝子の発現抑制活性等)を向上させることができる。
【0037】
なお、本明細書において、式(III)、(IV)及び(XI)中の「Oligonucleotide」中のアデニン、グアニン又はシトシン中のアミノ部分及びリン酸中のヒドロキシ部分は、副反応防止のため、保護基で保護されている。保護基としては、当該分野で通常用いられる保護基を利用することができる。例えば、アミノの保護基としては、ピバロイル、ピバロイロキシメチル、トリフルオロアセチル、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、4-tert-ブチルフェノキシアセチル、アセチル、ベンゾイル、イソブチリル、ジメチルアミノメチレン9-フルオレニルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。好ましくは、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、アセチル、ベンゾイル、イソブチリル又はジメチルホルムアミジニル基である。アデニンのアミノ部分の保護基としては、特にベンゾイル基が好ましい。グアニンのアミノ部分の保護基としては、特にジメチルアミノメチレン基又はイソブチリル基が好ましい。シトシンのアミノ部分の保護基としては、ベンゾイル基又はアセチル基が好ましく、特にアセチル基が好ましい。リン酸のヒドロキシ基の保護基としては2-シアノエチル等が挙げられる。
【0038】
Pro1、Pro2、Pro3及びPro4の「保護基」としては、核酸合成の際に安定してアミノを保護し得るものであれば、特に限定されない。具体的には、酸性又は中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解及び光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基をいい、例えば、ホルミル、置換又は非置換のアルキルカルボニル、置換又は非置換の芳香族炭素環カルボニル、置換又は非置換のアルコキシカルボニル、置換又は非置換のアルケニルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0039】
「Pro
1及びPro
2又はPro
3及びPro
4は一緒になって保護基を形成する」とは、Pro
1及びPro
2又はPro
3及びPro
4が一緒になって含窒素環を含む保護基を形成することを意味する。当該保護基は特に限定されないが、例えば、
【化31】
(式中、各記号は前記と同意義である)で示される基が挙げられる。
【0040】
式(II)で示される化合物としては、以下の態様が好ましい。
mとしては、0~5の整数のうち、0~2が好ましく、特に1が好ましい。
nとしては、0~5の整数のうち、1又は2が好ましく、特に1が好ましい。
pとしては、0~5の整数のうち、0又は1が好ましく、特に0が好ましい。
Yとしては、式(Y-1)で示される基、式(Y-2)で示される基又は式(Y-3)で示される基が挙げられる。
R4は好ましくはアルキル又はシアノアルキルである。R5は好ましくはアルキルである。
式(Y-1)として、例えば、式:-P(OC2H4CN)(N(i-Pr)2)で示される基(式中、i-Prはイソプロピルを意味する。)が挙げられる。
R6は好ましくはOであり、R7は好ましくは水素原子である。
式(Y-2)として、例えば、式:-P(=O)(OH)2で示される基が挙げられる。
R8は好ましくはOであり、R9は好ましくは水素原子である。
式(Y-3)として、例えば、式:-P(=O)H(OH)で示される基で示される基が挙げられる。
【0041】
式(II)で示される化合物として、特に好ましくは、式(I)で示される化合物及びその塩である。さらに好ましくは、上記(2)又は(3)に記載の化合物又はその塩が挙げられる。
【0042】
式(I)で示される化合物としては、以下の態様が好ましい。
A及びBとしては、それぞれ独立して
【化32】
である場合が好ましい。
X
1、X
2、X
3及びX
4は、好ましくはOである。
Yとしては、式(Y-1)で示される基が好ましい。
式(I)で示される化合物として、特に好ましくは、以下に記載の式で示される化合物又はその塩である。
【化33】
【0043】
本発明の式(I)又は(II)の化合物の一つ以上の水素、炭素又は他の原子は、水素、炭素又は他の原子の同位体で置換され得る。
例えば、式(I)又は(II)の化合物は、式(I)又は(II)の化合物のすべての放射性標識体を包含する。式(I)又は(II)の化合物のそのような「放射性標識化」、「放射性標識体」等は、それぞれが本発明に包含され、代謝薬物動態研究ならびに結合アッセイにおける研究及び/又は診断ツールとして有用である。本発明の式(I)又は(II)の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素が包含される。本発明の放射性標識化合物は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)又は(II)のトリチウム標識化合物は、例えば、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)又は(II)の特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在又は非存在下で、式(I)又は(II)の化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含してもよい。他のトリチウム標識化合物を調製するための適切な方法としては、文書Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences, Vol. 1, Labeled Compounds (Part A), Chapter 6 (1987年)を参照にできる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0044】
式(I)又は(II)の化合物の塩としては、以下の塩が挙げられる。
塩基性塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩、メグルミン塩、ジエタノールアミン塩又はエチレンジアミン塩等の脂肪族アミン塩;N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ベネタミン塩等のアラルキルアミン塩;ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等のヘテロ環芳香族アミン塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
酸性塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;安息香酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等が挙げられる。本明細書中の酸付加塩は、上記酸性塩を含む。
【0045】
式(I)若しくは(II)の化合物又はその塩は、溶媒和物及び/又は結晶多形を形成する場合があり、式(I)又は(II)の化合物はそのような各種の溶媒和物及び結晶多形も包含する。溶媒和物とは、式(I)若しくは(II)の化合物又はその塩の溶媒和物を意味し、例えば、アルコール(例:エタノール)和物、水和物、トルエン和物等が挙げられる。水和物としては、一水和物、二水和物等を挙げることができる。「溶媒和物」は、式(I)又は(II)の化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)若しくは(II)の化合物又はその塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)若しくは(II)の化合物又はその塩を、再結晶することでそれらの結晶多形を形成する場合がある。
【0046】
本発明の式(I)で示される化合物の一般的製造法を以下に例示する。抽出、精製等は、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
式(I)で示される化合物中、AとBが同一である場合の製造方法の一例を以下に示す。
【化34】
(式中、各記号は式(I)と同意義である。)
【0047】
工程1-1
化合物(b)にアセトニトリルを加えて攪拌する。トリエチルアミンを加えた後、化合物(a)をアセトニトリルに溶解した溶液及びアセトニトリルを加える。激しく撹拌し、固体をろ取する。得られる固体をアセトニトリルで洗浄後、乾燥し、化合物(c)を得る。
【0048】
工程2-1
N-メチルピロリドンに工程1-1で得られる化合物(c)及びN-メチルピロリドンを加えて攪拌する。N、N-ジイソプロピルエチルアミンを加えた後、化合物(d)及びN-メチルピロリドンを加える。室温で攪拌し、水道水を加えて、さらに攪拌する。水道水を加えた後、攪拌する。その後、水道水をさらに加え、攪拌し、固体をろ取する。得られる固体を2-プロパノールで洗浄後、乾燥し、化合物(I-1)を得る。
【0049】
式(I)で示される化合物中、AとBが異なる場合の製造方法の一例を以下に示す。
【化35】
(式中、R
1-1及びR
1-2は式(I)のR
1と同意義、X
1-1及びX
1-2は式(I)のX
1と同意義、X
2-1及びX
2-2は式(I)のX
2と同意義、q-1及びq-2は式(I)のqと同意義、その他各記号は式(I)と同意義である。)
【0050】
工程1-2
上記工程1-1において、加える化合物(b)の量を減らすことにより、化合物(e)を得る。次に、化合物(e)に化合物(f)を加え、化合物(g)を得る。
工程2-2
得られる化合物(g)を用いて上記工程2-1と同様の方法で、化合物(I-2)を得る。
化合物(b)や(f)の代わりに、式:
【化36】
で示される化合物を用いることができる。
【0051】
2.樹脂からの切り出し、塩基及びリン酸の脱保護
切断試薬及び脱保護剤の存在下で、式(IV)で示される化合物中の保護基(オリゴヌクレオチド中の塩基及びリン酸の保護基も含む)を脱保護し、かつ、固相担体からの切り出しを行い、式(V)で示される化合物を得る。
【0052】
脱保護及び固相担体からの切り出しの工程は、同時に実施することもでき、同じ試薬を用いて又は2種以上の試薬を使用して実施され得る。また、異なった温度において、かつ、異なった試薬を使用して実施され得る。
「切断試薬及び脱保護剤」は、オリゴヌクレオチドを固相担体から切り出し及び/又は保護基を脱保護する作用を有する試薬であれば、当該分野で通常用いられる試薬を利用することができる。例えば、アンモニア、アミン類等が挙げられる。好ましくはブチルアミン及び/又はベンジルアミンを含む。特に好ましくはn-ブチルアミン又はベンジルアミンを含む。さらに、オリゴヌクレオチドの配列中にシトシンを有する場合は、シトシンのアミノ基がアセチル基で保護されたアミダイトを使用してオリゴヌクレオチドを合成した上で、n-ブチルアミン又はベンジルアミンを含む切断試薬及び脱保護剤を用いることが好ましい。
なお、まず、ジエチルアミンを使用して式(IV)で示される化合物中のR12に含まれる保護基を除去し、その後、式(IV)で示される化合物中のその他の保護基の脱保護及び固相担体からの切り出しを行うこともできる。
【0053】
3.脂質の導入(アシル化反応)
式(V)で示される化合物に、式(VI)で示される化合物を反応させることにより、式(VII)で示される化合物を得る。
また、式(V)で示される化合物に、式(VI)で示される化合物を反応させることにより、式(VIII)で示される化合物を得、式(IX)で示される化合物を反応させることにより、式(X)で示される化合物を得る。
【0054】
上記脂質の導入の工程において、式(V)で示される化合物に、式(VI)で示される化合物を反応させる前に、化合物(V)を有機溶媒により洗浄することが好ましい。
「有機溶媒」としては、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アニソール、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、n-ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。特に好ましくは、メチルtert-ブチルエーテルである。
【0055】
RX1は、アルキル又はアルケニルであり、好ましくは、炭素数8~30のアルキル又は炭素数8~30のアルケニルである。
RX2は、アルキル又はアルケニルであり、好ましくは、炭素数1~29のアルキル又は炭素数2~29のアルケニルである。さらに、RX2のアルキル又はアルケニルの炭素数が、RX1のアルキル又はアルケニルの炭素数より少ないことが好ましい。
【0056】
L1及びL2の「脱離基」としては、カルボン酸とアミンの縮合に際して脱離する置換基であれば、特に限定されない。例えば、ハロゲン、置換若しくは非置換のアルキルイミノ、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアルキルスルホニルオキシ、置換又は非置換の芳香族炭素環オキシ、置換又は非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換又は非置換の芳香族複素環オキシ、置換又は非置換の非芳香族複素環オキシ、置換又は非置換の芳香族炭素環カルボニルオキシ、換又は非置換の芳香族炭素環スルホニルオキシ、置換又は非置換の芳香族炭素環アルキルスルホニルオキシ等が挙げられる。好ましくはハロゲン、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、パラトルエンスルホニルオキシ、オルトニトロベンゼンスルホニルオキシ、N,N’-ジシクロヘキシルカルバミミドイルオキシ、N,N’-ジイソプロピルカルバミミドイルオキシ、(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルバミミドイルオキシ、N-スクシンイミジルオキシ等である。特に好ましくは、N-スクシンイミジルオキシである。
本工程において、縮合剤を使用することができる。縮合剤としては、カルボキシル基とアミノ基の縮合に使用されるアミド縮合剤を用いることができる。例えば、カルボジイミド類(例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジフェニルリン酸アジド、BOP試薬(例えば、BOP、PyBop、TBTU等)、HBTU、DMT-MM、1,1’-カルボニルビス-1H-イミダゾール、2-クロロ1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドナトリウム等である。好ましくは、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドナトリウム等)である。特に好ましくは、N-ヒドロキシスクシンイミド又はN、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドである。
L1又はL2がOHの場合は、縮合剤を使用することが好ましい。
【0057】
本発明の製造方法を用いて得られた二分岐脂質結合オリゴヌクレオチド(一本鎖)は、例えば、アンチセンス等の核酸医薬品として用いることができる。
【0058】
4.二本鎖オリゴヌクレオチドの調製
上記A~Cの製造方法を用いて得られた化合物(VII)又は(X)のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドをアニーリングすることにより、二本鎖のオリゴヌクレオチドを得る。
アニーリングするオリゴヌクレオチドは、化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする限りにおいて、1又は数個の塩基の分短くてもよい。また、ハイブリダイズする部位の片側又は両側に1又は数個の塩基が付加することにより、化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドより長くてもよい。
「1又は数個の塩基」とは、1~10個、1~5個、1~3個又は1若しくは2個の塩基を意味している。
アニーリングするオリゴヌクレオチドの好ましい長さは化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドの長さに依存する。例えば、化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドの鎖の長さに対して50%以上の長さ、60%以上の長さ、70%以上の長さ、50~100%の長さ、60~100%の長さ、70~100%の長さである。特に好ましくは化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドの鎖の長さに対して50~100%の長さである。
【0059】
アニーリングするオリゴヌクレオチドは、化合物(VII)又は(X)中のオリゴヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズできる限り、ハイブリダイズする部位において、1又は数個のミスマッチが存在するものも含まれる。例えば、ハイブリダイズする部位が、標的配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、もっとも好ましくは95%以上の相同性を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
ここで、相同性は、例えば、Altschulら(The Journal of Molecular Biology,215,403-410(1990).)の開発したアルゴリズムを使用した検索プログラムBLASTを用いることにより、スコアで類似度が示される。
【0060】
「ストリンジェントな条件」とは、ある塩基配列が特定配列とハイブリット(いわゆる特異的ハイブリット)を形成し、同等の機能を有しない塩基配列は該特定配列とハイブリット(いわゆる非特異的ハイブリット)を形成しない条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション反応及び洗浄時の温度や、ハイブリダイゼーション反応液及び洗浄液の塩濃度等を変化させることによって、このような条件を容易に選択することができる。具体的には、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)又は6×SSPE(3M NaCl,0.2M NaH2PO4,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、さらに42℃で0.5×SSCにより洗浄する条件が、本発明のストリンジェントな条件の1例として挙げられるが、これに限定されるものではない。ハイブリダイゼーション方法としては、当該分野において周知慣用な手法、例えば、サザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることができる。具体的には、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley-Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A Practical Approach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0061】
「1又は数個のミスマッチ」とは、1~5個、好ましくは1~3個、さらに好ましくは1又は2個のミスマッチを意味している。
【0062】
本発明の製造方法を用いて得られた二分岐脂質結合オリゴヌクレオチド(二本鎖)は、例えば、上記(10)のように、特許文献2~4記載の二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの製造方法として利用することができる。
【0063】
別に言及がなければ、本明細書中及び特許請求の範囲記載の数値はおおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、その他の因子に起因する。
【0064】
本発明化合物の各種の置換基は、(1) Alan R.Katriszly et al., Comprehensive Heterocyclic Chemistry (2) Alan R.Katriszly et al., Comprehensive Heterocyclic Chemistry II (3) RODD’S CHEMISTRY OF CARBON COMPOUNDS VOLUME IV HETEROCYCLIC COMPOUNDS等を参考にして、導入することができる。
【実施例】
【0065】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例で得られた化合物のNMR分析は400MHz超電導核磁気共鳴装置で行い、CDCl3を用いて測定した。
【0066】
実施例1 本発明の中間体(アミダイト)を用いた二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドの合成
1)アミダイトの合成
【化37】
【0067】
工程1
化合物2(133.76g、610.22mmol)にアセトニトリル(600mL)を加えて攪拌した。トリエチルアミン(30.87g、305.07mmol)を加えた後、化合物1(25.00g、277.38mmol)をアセトニトリル(125mL)に溶解した溶液及びアセトニトリル(25mL)を加えた。室温で激しく2.5時間撹拌し、固体をろ取した。得られた固体をアセトニトリル(300mL)で洗浄後、乾燥し、白色固体として化合物3(72.73g、207.6mmol)を得た。
【0068】
UPLC分析は以下の条件を用いた。
移動相:[A]は60mMアンモニア―酢酸アンモニウム含有緩衝溶液(pH8.0)[B]はアセトニトリル
グラジエント:12分間で15%-50%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、3分間で50%-95%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、1分間、95%溶媒[B]を維持した。
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH Phenyl(1.7μm、i.d.2.1x100mm)(Waters)
流速:0.3 mL/分
UV検出波長:295nm
【0069】
1H-NMR(CDCl3)δ:7.85-7.90 (m、 4H)、 7.72-7.76 (m、 4H)、 4.28-4.34 (m、 1H)、 3.83-3.93 (m、 4H)、 3.12 (d、 1H, J = 6.3 Hz).
13C-NMR(CDCl3)δ:42.21、 68.75、 123.53、 131.94、 134.19、 168.68.
ESI-MS(m/z) : 351 (M+1)、 373 (M+23).
【0070】
工程2
N-メチルピロリドン(220mL)に化合物3(20.00g、57.09mmol)及びN-メチルピロリドン(10mL)を加えて攪拌した。N、N-ジイソプロピルエチルアミン(20.68g、160.01mmol)を加えた後、化合物4(21.62g、91.35mmol)及びN-メチルピロリドン(10mL)を加えた。23℃で1.5時間攪拌し、水道水(20.00g)を加えて、さらに0.5時間攪拌した。水道水(50.00g)を15分間かけて加えた後、2時間攪拌した。その後、水道水(70.02g)を22分間かけて加え、1.5時間攪拌し、固体をろ取した。得られた固体を2-プロパノール(80mL)で洗浄後、乾燥し、白色固体として化合物5(27.83g、50.55mmol)を得た。
【0071】
1H-NMR(CDCl3)δ:7.82-7.88 (m、 4H)、 7.70-7.7.76 (m、 4H)、 4.40-4.49 (m、 1H)、 3.94-4.07 (m、 2H)、 3.66-3.80 (m、 3H)、 3.38-3.56 (m、 3H)、 2.38-2.52 (m、 2H)、 0.97-1.01 (m、 12H).
13C-NMR(CDCl3)δ:19.8 (d、 J = 6.6 Hz)、 24.19、 24.24、 24.47、 24.53、 41.2, 41.3、 41.4、 43.0、 43.1、 58.2 (d、 J = 21.1 Hz)、 68.3 (d、 J = 10.9 Hz)、 117.4、 123.2、 123.3、 132.1、 132.2、 133.97、 134.02、 168.0、 168.1.
31P-NMR(CDCl3)δ:149.3
ESI-MS(m/z) : 551 (M+1)、 573 (M+23).
【0072】
2)脂質結合オリゴヌクレオチドの合成
UPLC分析は以下の条件を用いた。
移動相:[A]は200mM1、1、1、3、3、3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、8mMトリエチルアミン含有水溶液[B]は200mM1、1、1、3、3、3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、8mMトリエチルアミン含有メタノール溶液
グラジエント:7.29分間で5%-26%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、1.21分間で26%-55%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、3.64分間で55%-95%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、2.86分間、95%溶媒[B]を維持した。
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)Protein BEH C4、300Å(1.7μm、i.d.2.1x50mm)(Waters)
流速:0.51 mL/分
UV検出波長:254nm
カラム温度:45℃
【0073】
【化38】
(式中、各記号は前記と同意義であり、n’は6~28の整数である。)
【0074】
2-1) オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドは核酸自動合成装置であるAKTA Oligopilot100(GE Healthcare(Cytiva))、NS-8-I(大日本精機)、NS-8-II(大日本精機)を用いて、ホスホロアミダイト法により合成した。カップリング時間は3分間とし、1つのモノマーの縮合に2当量~10当量のアミダイト体を用いた。得られた化合物6に対し、最終サイクルでは、導入するモノマーとして5当量の化合物5を0.2Mアセトニトリル溶液に調製して加え、カップリング時間は60分間とし、化合物7を得た。
なお、PO酸化をする場合には0.02M Oxidizer(Sigma―Aldrich)、ヨウ素/ピリジン/水/=12.7/9/1(w/v/v)を使用し、PS酸化をする場合には0.2M キサンタンヒドリドのピリジン溶液、50mM DDTT((ジメチルアミノ-メチリデン)アミノ-3H-1,2,4-ジチアゾリン-3-チオン)のアセトニトリル/3-ピコリン1/1(v/v)、1/4(v/v)、アセトニトリル/ピリジン1/4(v/v)溶液を用いた。活性化剤はBTT activator(5-ベンジルチオ)-1H-テトラゾール)(Sigma―Aldrich)、ETT activator(5-エチルチオ)-1H-テトラゾール)(Sigma―Aldrich)、キャッピング試薬はCapA、CapB(Sigma―Aldrich)を使用した。脱トリチル化試薬はDeb(3w/v%TCA CH2Cl2 solution)(和光純薬)、Deb(3w/v% Dichloroacetic acid、Toluene Solution)を使用した。
【0075】
2-2) 樹脂からの切り出し、塩基及びリン酸の脱保護
化合物8の固相担体からの切り出し、オリゴヌクレオチド中のアデニンのアミノ基を保護するベンゾイル基、グアニンのアミノ基を保護するイソブチリル基、シトシンのアミノ基を保護するアセチル基及びリン酸のヒドロキシ基を保護する2-シアノエチル基の脱保護、並びにフタロイル基の脱保護は、アンモニア水及びn-ブチルアミンを用いて、室温下で4時間、55℃で2時間激しく攪拌した。
また、別の方法として、アンモニア水及びベンジルアミンを用いて、室温下で4時間、55℃で4時間激しく攪拌した。
なお、「2-4)脂質の導入」において、アミン類が残存すると目的の脂質導入反応が停止することが明らかとなった。しかし、ベンジルアミンを使用した場合、本項に記載する分液操作による洗浄及び「2-3)化合物8の精製」においてUV検出器(254nm)によりベンジルアミンの残存を追跡及び管理することができた。
また、本項に記載する分液操作において、メチルtert-ブチルエーテルを用いて洗浄することによりアミン類を除去することが効率的であった。具体的には、反応混合物から切り出し後の樹脂をろ別し、得られた樹脂を水、メチルtert-ブチルエーテルで洗浄した。ろ液及び洗液を合併した溶液を、分液操作によりメチルtert-ブチルエーテルで洗浄後、減圧下で75%程度の重量になるまで濃縮し、化合物8の粗製溶液を得た。
【0076】
2-3) 化合物8の精製
化合物8の粗製溶液を以下の条件により逆相液体クロマトグラフィーにより精製した。得られたフラクションを集め、減圧下で80%程度の重量になるまで濃縮し、化合物8の溶液を得た。
(精製条件)
移動相:[A]は100mM酢酸ナトリウム含有水溶液[B]はアセトニトリル
グラジエント:59分間、0%溶媒[B]を維持した後、1分間で0%-5%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、30分間で5%-90%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、10分間、95%溶媒[B]を維持した。
カラム:Triart Prep(登録商標)C18-S(12nm、i.d.10x250mm)(YMC)
流速:5mL/分
UV検出波長:254nm
カラム温度:25℃
【0077】
2-4) 脂質の導入
化合物9-n’(例えば、n’=18、アラキジン酸)、N-ヒドロキシコハク酸イミド及びN、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドをN-メチロピロリドンに溶解し、50℃で2時間攪拌した後、N-メチロピロリドンで希釈し、上記化合物8の溶液を加えた。室温で2時間攪拌した後、エタノール及び1M酢酸ナトリウム含有水溶液を加え固体をろ別した。得られた固体をエタノール及びメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、洗液をろ液と合併した。
【0078】
3) 化合物10-n’の精製、脱塩、凍結乾燥
得られた固体を特許文献2の実施例1のE)精製、F)精製オリゴヌクレオチドの脱塩及び凍結乾燥に記載の方法と同様の方法に付し、化合物10-n’を合成する。
【0079】
4) 二本鎖オリゴヌクレオチドの調製
特許文献2の実施例1のI)二本鎖オリゴヌクレオチドの調製に記載の方法により、化合物10-n’とハイブリダイズ可能な配列を含むオリゴヌクレオチドを合成し、化合物10-n’とアニーリングして二本鎖核酸を調整し、化合物XI-1~XI-6を得る。
【0080】
【0081】
また、同様の方法で、特許文献4の表14記載のsiRNA-4及びsiRNA-5を得る。
【0082】
実施例2 本発明の中間体(アミダイト)の物性
化合物5と以下の比較化合物(特許文献2及び3記載の化合物4-18、特許文献4記載の化合物5-18)について、物性の比較を行った。
【化39】
【0083】
1)粉末X線回折
日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、粉末X線回折測定を行った。測定条件を以下に示す。
(装置)
リガク社製MiniFlex600RINT-TTRIII
(操作方法)
検出器:高速一次元検出器(D/teX Ultra2)及び可変ナイフエッジ
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:15mA
管電圧:40Kv
試料プレート:無反射板 (シリコン)
X線の入射角(θ):4-40°、サンプリング幅:0.02°
(結果)
化合物5:下記の回折パターンが観測された。
粉末X線回折2θ(°):4.5、8.9、9.7、9.9、11.4、12.0、13.5、14.3、18.0、19.2、19.5、20.0、20.7、21.7、21.9、22.9、28.9、29.2
比較化合物: ブロードなハローパターンを示した。
2)UV吸収
液体クロマトグラフィーの検出器をフォトダイオードアレイ(PDA)検出器として、得られたクロマトグラムで各化合物に対応するピークについてUVスペクトル及びピーク面積値を測定し、各化合物のモル吸光度係数の大きさの相対的な違いを見積もった。測定条件を以下に示す。
(装置)
HPLCシステム:島津製作所社製Nexera X2 UHPLC
検出器:SPD-M30A(PDA)、測定波長域:190~400 nm
(操作方法)
化合物5:
移動相:[A]は10mMギ酸アンモニウム含有水溶液[B]はアセトニトリル
グラジエント:17分間で5%-95%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、3分間、95%溶媒[B]を維持した。
カラム:XBridge(登録商標)Phenyl(3.5μm、i.d.4.6x150mm)(Waters)
流速:1.0 mL/分
試料溶液濃度:約0.48 mg/mL
注入量:10μL
比較化合物:
移動相:5%アセトニトリル含有水溶液
カラム:COSMOSIL(登録商標)HILIC(5.0μm、i.d.4.6x250mm)(ナカライテスク)
流速:1.0 mL/分
試料溶液濃度:約10 mg/mL
注入量:1μL
(結果)
化合物5:極大吸収波長 221nm
比較化合物:極大吸収波長 195nm(一般的なUV検出器を用いた分析に際し、実用的な波長域である>210nmに極大吸収波長は見られない)。
化合物5の221nmにおけるモル吸光係数は比較化合物の195nmにおけるモル吸光係数の約5倍であることが見積もられた。また、化合物5の221nmにおけるモル吸光係数は比較化合物の221nmにおけるモル吸光係数の約40倍であることが見積もられた。
3)安定性
化合物5の分析は以下の条件を用いた。
移動相:[A]は60mMアンモニア―酢酸アンモニウム含有緩衝溶液(pH8.0)[B]はアセトニトリル
グラジエント:0.5分間、15%溶媒[B]を維持した後、2.5分間で15%-50%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、9分間で50%-65%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、3分間で65%-95%溶媒[B]のリニアグラジエントを行い、1分間、95%溶媒[B]を維持した。
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH Phenyl(1.7μm、i.d.2.1x100mm)(Waters)
流速:0.3 mL/分
UV検出波長:295nm
比較化合物の分析は以下の条件を用いた。
移動相:[A]は10mMギ酸アンモニウム含有水溶液[B]はメタノール
グラジエント:97%溶媒[B]を20分維持した。
カラム:Triart(登録商標)C8(3μm、i.d.4.6x100mm)(YMC)
流速:1.0mL/分
注入量:10μL
検出器:コロナCAD、コロナCAD検出条件:60Hz、BCD極性+、圧力35±1psi、トータル流量1.53mL/分
(結果)
化合物5(40℃): 99.6%(初期)→99.6%(7日後)→99.7%(50日後)
比較化合物(-20℃): 54.3% (初期)→ 42.0% (71日後)→ 33.8%(7箇月後)
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の製造方法を用いて、高品質な二分岐脂質結合オリゴヌクレオチドを効率的に製造することができる。本発明の中間体は該製造方法に特に有用である。
【配列表】