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▶ シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ピラゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20241108BHJP
   C07D 495/10 20060101ALI20241108BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C07D403/04
C07D495/10 CSP
C07D231/12 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021545858
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052782
(87)【国際公開番号】W WO2020161148
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】1901559.3
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】モリス ジェームス アラン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル サリー エリザベス
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-168768(JP,A)
【文献】特開2004-210788(JP,A)
【文献】国際公開第2018/177836(WO,A1)
【文献】特表2018-522832(JP,A)
【文献】特表2017-506210(JP,A)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2014.03.07[検索日 2023.12.13]CAS登録番号 1564032-97-8
【文献】REGISTRY(STN)[online],2014.03.07[検索日 2023.12.27]CAS登録番号 1563989-10-5
【文献】REGISTRY(STN)[online],2014.03.07[検索日 2023.12.27]CAS登録番号 1563935-23-8
【文献】REGISTRY(STN)[online],2014.03.06[検索日 2023.12.27]CAS登録番号 1563519-24-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)の化合物:
(X)
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり;
B2 は、メチル、エチル、n-プロピル、トリフルオロメチル及びジフルオロエチルからなる群から選択され;
B3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;
ギザギザの線は式(X)の化合物の残りの部分への連結位置を示し、
Q1及びRQ4はそれぞれ水素であり;
Q2及びRQ3は、それらが結合している炭素原子と共に、Qを形成し、ここで環Qは、Q1又はQ2である
(式中、R 1 は、メチルであり;かつ
「a」は環Aへの連結位置を示し、「c」はカルボキシレート部位への連結位置を示す)
【請求項2】
(i)パラジウム触媒下で式(A)の化合物をアクリル酸エチルと反応させて式(B)の化合物を得ること:
(式中、(a)式(A)の化合物は、A 1* 及びA 2* からなる群から選択され
(式中、B2独立して、メチル、エチル、n-プロピル、トリフルオロメチル又はジフルオロエチルであり、RB3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;Halはハロゲンであり;及び
(b)式(B)の環Aは請求項1に定義した通りである)
(ii)工程(i)からの前記式(B)の化合物を付加環化反応において式(C)の化合物と反応させて、式(D)と(E)の化合物の混合物を得ること:
(式中、R1は、メチルである);
(iii)水/エーテル混合溶媒系中で前記式(E)の化合物を水酸化物塩基と反応させて前記式(X)の化合物を得ること:
(式中、環AびR1は、上記のステップ(i)及び(ii)で定義した通りである);
を含む、請求項1に記載の式(X)の化合物の製造方法。
【請求項3】
(iv)ステップ(iii)からの前記式(X)の化合物を式(G)のアミンと反応させて、適切な塩基を含む適切な溶媒中でプロパンホスホン酸無水物を使用して、式(H)のチオラクタム-カルボキサミドを得ること;
を更に含む、請求項2に記載の方法:
2は、 2 -1、R 2 -2、R 2 -3、R 2 -4、R 2 -5及びR 2 -6から成る群から選択され、
式中、pは0、1、2、3又は整数であり、
ギザギザの線は環のアミド窒素への連結位置を示し;かつ
各R25は、独立に、ハロゲン、C1~C 4 アルキル、C1~C 3 ハロアルキル、C1~C 3 アルコキシ又はC1~C 3 ハロアルコキシある)。
【請求項4】
医薬品又は農薬の製造における、請求項1記載の式(X)の化合物の使用。
【請求項5】
前記農薬が除草剤である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
式(B)の化合物の、請求項1に記載の式(X)の化合物の製造における、使用。
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり;
B2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり;
B3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;ギザギザの線は式(B)の化合物の残りの部分への連結位置を示す)。
【請求項7】
式(E)の化合物:
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり
B2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり;
B3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;
ギザギザの線は式(E)の化合物の残りの部分への連結位置を示し、
1は、メチルである)。
【請求項8】
式(H)の化合物:
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり
B2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり;
B3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;
ギザギザの線は式(H)の化合物の残りの部分への連結位置を示し:
1は、メチルであり;
2 は、R 2 -1、R 2 -2、R 2 -3、R 2 -4、R 2 -5及びR 2 -6から成る群から選択され、
式中、pは0、1、2、3又は整数であり、
ギザギザの線はR 2 のアミド窒素への連結位置を示し;かつ
各R 25 は、独立して、ハロゲン 1 -C 4 アルキル、C 1 -C 3 ハロアルキル、C 1 -C 3 アルコキシ又はC 1 -C 3 ハロアルコキシである)。
【請求項9】
式(J)の化合物:
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり;
B2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり;
B3SN は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;ギザギザの線は式(J)の化合物の残りの部分への連結位置を示し;
1は、メチルである)。
【請求項10】
式(D)の化合物:
(式中、環Aは、 1 又はA 2 であり
B2は、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり;
B3 は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C 1 ~C 3 ハロアルコキシ、又はC 1 ~C 3 アルコキシであり;
B3SN は、R B2 で置換される窒素原子のすぐ隣の炭素原子上に位置するR B3 置換基であり、ギザギザの線は式(D)の化合物の残りの部分への連結位置を示し;R 1は、メチルである)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬及び医薬品の製造における重要な中間体である、本明細書に記載の式(X)のピラゾール誘導体に関する。本発明は、そのようなピラゾール誘導体の製造、並びにその後の農薬及び/又は医薬品の製造におけるそれらの使用にまで及ぶ。
【発明を実施するための形態】
【0002】
第1の態様では、本発明は、式(X)の化合物を提供する:
【化1】
(式中、環Aは、1つの環窒素がRB2で置換されており、且つ少なくとも1つの環炭素がRB3で置換されている二置換又は三置換のピラゾールであり、RB2はC1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり、nは1又は2の整数であり、各RB3は、独立して、ハロゲン、C1~C3フルオロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルキル、C1~C3フルオロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3アルキルであり;RQ1及びRQ4はそれぞれ水素であり、RQ2及びRQ3は、それらが結合している炭素原子と共に、任意選択的に置換されていてもよい5員チオラクタム環である環Qを形成している)。
【0003】
第2の態様では、環QがR1で置換されている上で定義した式(X)の化合物の製造方法が提供され、前記方法は、
(i)パラジウム触媒下で式(A)の化合物をアクリル酸エチルと反応させて式(B)の化合物を得ること:
【化2】
(式中、環Aは環炭素がHalで置換されたピラゾール環であり、Halは、ヨード、ブロモ、又はクロロであり、RB2は環窒素上の置換基であり、C1~C3アルキル又はC1~C3フルオロアルキルであり、nは1又は2の整数であり、RB3は、環炭素上の置換基であり、各RB3は、独立して、ハロゲン、C1~C3フルオロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルキル、C1~C3フルオロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3アルキルである);
(ii)工程(i)からの式(B)の化合物を付加環化反応において式(C)の化合物と反応させて、式(D)と(E)の化合物の混合物を得ること:
【化3】
(式中、R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルケニル、任意選択的に置換されていてもよいフェニル、任意選択的に置換されていてもよいC5~C6ヘテロアリール、-CR1213、-C(O)R12からなる群から選択され;R12は、水素、OH、C1~C3アルコキシ、又はC1~C4アルキルであり;R13は-C(O)NH2である);
(iii)水/エーテル混合溶媒系中で式(E)の化合物を水酸化物塩基と反応させて式(X)の化合物を得ること:
【化4】
(式中、A、RB2、RB3、n、及びR1は、上記のステップ(i)及び(ii)で定義した通りである);
を含む。
【0004】
式(B)、(D)及び(E)の化合物も新規であり、本発明の更に別の態様を形成する。
【0005】
本明細書で使用される「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、別段の記載がない限り、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)を指し、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素を指す。
【0006】
本明細書において、シアノは-CN基を意味する。
【0007】
本明細書において、ヒドロキシは-OH基を意味する。
【0008】
本明細書において、ニトロは-NO2基を意味する。
【0009】
単独で、又はより大きな基(アルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキル、ハロアルコキシなど)の一部としての各アルキル部位は、直鎖であっても分岐であってもよく、また本明細書においては、この用語には明確にシクロプロピルも含まれる。典型的には、アルキルは、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、シクロプロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、又はn-ヘキシルである。アルキル基は、一般にC1~C6アルキル基であるが(既により狭く定義されている場合を除く)、好ましくはC1~C4アルキル又はC1~C3アルキル基であり、より好ましくはC1又はC2アルキル基(すなわちメチル又はエチル)である。
【0010】
本明細書で使用される「C1~C3アルコキシ」という用語は、式-ORaのラジカルを指し、式中のRaは上で一般的に定義されているC1~C3アルキルラジカルである。したがって、C1~C3アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びiso-プロポキシが含まれる。
【0011】
本明細書で使用される「C1~C3ハロアルキル」という用語は、同じ又は異なる1つ以上のハロゲン原子で置換された、上で一般的に定義されているC1~C3アルキルラジカルを指す。したがって、C1~C3ハロアルキルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロ-2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロエチル、及び2,2,2-トリクロロエチルが含まれる。
【0012】
本明細書で使用される「C1~C3ハロアルコキシ」という用語は、同じ又は異なる1つ以上のハロゲン原子で置換された上で定義されたC1~C3アルコキシ基を指す。したがって、C1~C3ハロアルコキシの例には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、及び2,2,2-トリクロロエトキシが含まれる。
【0013】
「C1~C6アルキルチオ」という用語は、C1~C6アルキル-S-基を指し、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、又はtert-ブチルチオであり、好ましくはメチルチオ又はエチルチオである。
【0014】
「C1~C6アルキルスルフィニル」という用語は、C1~C6アルキル-S(O)-基を指し、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、又はtert-ブチルスルフィニルであり、好ましくはメチルスルフィニル又はエチルスルフィニルである。
【0015】
「C1~C6アルキルスルホニル」という用語は、C1~C6アルキル-S(O)2-基を指し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、又はtert-ブチルスルホニルであり、好ましくはメチルスルホニル又はエチルスルホニルである。
【0016】
式(X)の化合物は、異なる幾何異性体として存在していてもよく、或いは異なる互変異性体の形態で存在していてもよい。本発明には、そのような全ての異性体及び互変異性体、並びにあらゆる比率でのそれらの混合物、並びに重水素化化合物などの同位体形態の使用が含まれる。それらは、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、光学異性体及びジアステレオマーを生じさせる場合がある。式(X)は立体化学を考慮せずに示されているものの、本発明は、全てのそのような光学異性体及びジアステレオマー、並びにラセミ体及び分割された鏡像異性的に純粋なR及びS立体異性体、並びにR及びS立体異性体の他の混合物、並びにそれらの農薬に許容される塩の使用を含む。特定の光学異性体又はジアステレオマーが他のものよりも好ましい特性を有する場合があることが認識されている。したがって、本発明を開示及び特許請求する際にラセミ混合物が開示される場合には、他のものを実質的に含まないジアステレオマーを含む両方の光学異性体も開示及び請求することが明確に意図されている。
【0017】
同様に、式(D)、(E)、(H)、及び(I)の化合物中の1つ以上の非対称になり得る炭素原子の存在は、これらの化合物がキラル異性体形態、すなわちエナンチオマー形態又はジアステレオマー形態でも生じ得ることを意味する。また、単結合の周りの制限された回転の結果としてアトロプ異性体が生じる場合もある。式(D)、(E)、(H)、及び(I)は、それらの可能な全ての異性体形態及びそれらの混合物を含むことが意図されている。本発明は、式(D)、(E)、(H)、及び(I)の化合物についてのそれら全ての可能な異性体形態及びそれらの混合物の使用を含む。同様に、式(D)、(E)、(H)、及び(I)は、存在する場合には全ての可能な互変異性体(ラクタム-ラクチム互変異性及びケト-エノール互変異性を含む)を含むことが意図されている。したがって、本発明は、式(D)、(E)、(H)、及び(I)の化合物についての全ての可能な互変異性形態の使用を含む。
【0018】
適切な塩としては、アルカリ又はアルカリ土類金属に由来するもの、並びにアンモニア及びアミンに由来するものが挙げられる。好ましいカチオンとしては、式N+(R119120121122)のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びアンモニウムカチオンが含まれ、式中のR119、R120、R121、及びR122は、水素、C1~C6アルキル、及びC1~C6ヒドロキシアルキルから独立して選択される。式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物を金属水酸化物(水酸化ナトリウムなど)又はアミン(アンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン、2-メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2-ブトキシエチルアミン、モルホリン、シクロドデシルアミン、又はベンジルアミンなど)で処理することによって調製することができる。アミン塩は、水溶性であり、望ましい水性除草剤組成物の調製に役立つことから、アミン塩は多くの場合式(I)の化合物の好ましい形態である。
【0019】
許容される塩は、本発明の化合物が塩基性部位を含む場合には、有機酸及び無機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、及び同様に知られている許容可能な酸から形成することができる。
【0020】
本明細書で使用される「除草剤」という用語は、植物の成長を制御又は変更する化合物を意味する。「除草効果量」という用語は、植物の成長に対して制御効果又は変更効果を得ることができるそのような化合物又はそのような化合物の組み合わせの量を意味する。効果の制御又は修正には、自然な発育からのあらゆる逸脱、例えば、枯死、成長阻害、葉焼け、白化、矮化などが含まれる。
【0021】
本発明は、以下の一般化された反応スキームに基づいており、式中、環A、RB2、RB3、n、R1、及びR2は、本明細書で定義されている通りである。
【0022】
反応スキーム1
【化5】
望みのハロゲン化ピラゾール(A)を、パラジウム触媒下でアクリル酸エチルと反応させることで、式(B)の置換ビニルピラゾールが得られる。置換ビニルピラゾール(B)は、式(C)のジチオラン-イソシアネートイミニウムメチリドとの付加環化を行い、ピロリジン環状付加物、すなわち式(D)の化合物と式(E)の化合物との混合物を与える。これはクロマトグラフィーによって分離することができる。望みのピロリジン環状付加物(上の反応スキームにおいて式(E)の化合物が例示される)を、水/エーテル混合溶媒系中で水酸化物塩基と反応させることで、式(X)の3-カルボキシル置換チオラクタムが得られる。式(C)の化合物は、Tetrahedron Lett.1995,36:9409に記載されている通りに調製することができる。式(A)のハロゲン化ピラゾールは公知であり、或いは当該技術分野で周知の方法に従って調製することができる。
【0023】
望まれる最後の最終生成物に応じて、以下の反応スキーム2に示されているように適切な塩基を含むジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、プロパンホスホン酸無水物などの標準的なアミドカップリング条件を使用して、3-カルボキシル置換チオラクタムを式(G)のアニリンとカップリングさせることで、式(H)の望みのチオラクタム-カルボキサミドを得ることができる。当業者は、R2の選択が望まれる最後の最終生成物に依存し、そのため、アミド結合され得る任意の適切な置換基であってよいことを理解するであろう。
【0024】
反応スキーム2
【化6】
得られた式(H)のチオラクタム-カルボキサミドに対してその後過酸化水素溶液及び適切な酸を用いた酸化的加水分解を行うことで、式(I)のラクタム化合物を形成することができる(反応スキーム3)。
【0025】
反応スキーム3
【化7】
或いは、式(X)の3-カルボキシル置換チオラクタムは、その後、反応スキーム4に示す通りに過酸化水素溶液及び適切な酸を用いて酸化的加水分解を行うことで、式(J)のラクタム化合物を形成することができる。これを、その後上述した標準的なアミドカップリング条件を使用して式(G)のアニリンとカップリングすることで、式(H)の望みのラクタム化合物を得ることができる(下の反応スキーム5を参照)。
【0026】
反応スキーム4
【化8】
反応スキーム5
【化9】
単一のエナンチオマーは、必要に応じてキラル分離によって調製することができる。当業者は、式(D)、(E)、(X)、(H)、(I)、及び(J)の化合物が、例えば:
(i)式(D)の化合物については
【化10】
(ii)式(E)の化合物については
【化11】
(iii)式(X)の化合物については
【化12】
(iv)式(H)の化合物については
【化13】
(v)式(I)の化合物については
【化14】
(vi)式(J)の化合物については
【化15】
などの異なるエナンチオマー形態で存在し得ることを理解するであろう。
【0027】
それぞれの場合において、一組の実施形態において、(D1)、(E1)、(X1)、(H1)、(I1)、及び(J1)のエナンチオマーが好ましい。
【0028】
本明細書に記載の式(A)、(B)、(D)、(E)、(X)、(H)、及び(I)の化合物において、環Aは、少なくとも2つの置換基を有するピラゾール部位であり、前記置換基(RB2)のうちの1つは環窒素が有し、2つ目の置換基(RB3)は環炭素原子上にある。そのような構成では、明らかに、Aは分子の残りの部分に結合した炭素である。
【0029】
Aが二置換であり、且つRB3が置換された環窒素原子に隣接する環炭素原子上にある場合には、前記RB3置換基はRB3SNとして定義することができる。疑義を避けるために明記しておくと、RB3SNは純粋にピラゾール部位内の位置の場所を示すために使用されるRB3の下位概念の定義であるため、RB3SNも、ハロゲン、C1~C3フルオロアルキル、C1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、及びC1~C3アルキルからなる群から選択される。したがって、Aが二置換されている場合には、下に示す基A1、A2、A3、A4、又はA5で表すことができ、式中のRB2、RB3、及びRB3SNは上で定義した通りであり、ギザギザの線は関連する分子の残りの部分への連結位置を示す。式(A)の化合物では、これは関連するハロゲン原子に対するものである。式(B)の化合物では、これはエチル-プロペノエート部位に対するものである。式(D)及び(E)の化合物では、これは、1,4-ジチア-6-アザスピロ[4.4]ノナン-8-カルボキシレート部位に対するものである。式(X)、(H)、及び(I)の化合物では、これは(チオ)ラクタム環の4位の炭素原子を介する。
【化16】
【0030】
基A1及びA2が特に好ましく、A2が二置換ピラゾールのうちで最も好ましい。
【0031】
環Aが三置換である場合、それは、3つ目の置換基(RB3)も環炭素原子上に存在する基A6又はA7によって表すことができる:
【化17】
(式中、RB2、RB3、RB3SN、及びギザギザの線は、上で定義した通りである)。
【0032】
好ましくは、RB2は、メチル、エチル、n-プロピル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、及びトリフルオロエチルからなる群から選択される。より好ましくは、RB2は、メチル、エチル、n-プロピル、トリフルオロメチル、及びジフルオロエチルからなる群から選択される。さらに好ましくは、RB2は、メチル、エチル、及びジフルオロエチルからなる群から選択される。
【0033】
好ましくは、RB3及び/又はRB3SNは、それぞれ独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルC1~C3ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3アルキルから選択される。当業者は、環Aが三置換である場合、RB3及びRB3SNが同じであっても異なっていてもよいことを理解するであろう。
【0034】
本明細書で定義される式(X)の化合物において、RQ1及びRQ4はそれぞれ水素であり、RQ2及びRQ3は、それらが結合している炭素原子と共に、任意選択的に置換されていてもよい5員チオラクタム環である環Qを形成している。好ましい実施形態では、Qは構造Q1又はQ2を有し、「a」は環Aへの連結位置を示し、「c」はカルボキシレート部位への連結位置を示す。
【化18】
【0035】
好ましい実施形態では、式(A)の化合物中のHal置換基は、ヨード又はブロモである。
【0036】
式(X)の化合物は、ピラゾロ-ピロリドンモチーフを含む医薬品及び農薬の製造における中間体として使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0123508号明細書には、PAR2阻害剤として使用するための2-オキソ-1-ピロリドン誘導体が記載されており、式(X)の化合物は、米国特許出願公開第2007/0123508号明細書の化合物のR1が置換ピラゾールである化合物の合成に使用することができる。米国特許出願公開第2004/0242671号明細書には、ジスキネジアを治療するための治療薬として使用するための2-オキソ-1-ピロリジン誘導体が記載されており、式(X)の化合物は、米国特許出願公開第2004/0242671号明細書の式(II)のR3が二置換/三置換ピラゾールであり、且つR4がアミドである化合物のために使用することができる。
【0037】
米国特許第4,874,422号明細書には、除草剤としての1-フェニル-3-カルボキシアミドピロリドンが記載されており、式(X)の化合物は、その中に記載されている式(I)の化合物の製造に使用できるものの、式中のR3は二置換ピラゾールである。式(X)の化合物を使用する新規な除草化合物の製造も本明細書に記載されている。
【0038】
したがって、さらなる態様では、農薬の調製、特に除草剤の調製における式(X)の化合物の使用、並びに医薬品、特にはPAR2に関連する疾患及び障害の予防及び/又は治療のための、及び/又はジスケニシアの治療のための医薬品の調製における式(X)の化合物の使用が提供される。
【0039】
望まれる最後の最終生成物に応じて、R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルケニル、任意選択的に置換されていてもよいフェニル、任意選択的に置換されていてもよいC5~C6ヘテロアリール、-CR1213、又は-C(O)R12からなる群から選択され;R12は、水素、OH、C1~C3アルコキシ、又はC1~C4アルキルである。R13は-C(O)NH2である。
【0040】
置換されている場合、前記フェニル又はC5~C6ヘテロアリールは、好ましくは、1、2、又は3個のR11置換基によって置換されている。
【0041】
各R11は、独立に、ハロゲン、OH、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルコキシ、C1~C3アルコキシ-C1~C3アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、ニトロ、シアノ、又はアミノである。
【0042】
一実施形態では、R1は3-CF3-フェニル-である。
【0043】
より好ましくは、R1はC1~C3アルキル、又は-CR1213である。好ましくは、R12はメチル又はエチルであり、より好ましくはエチルである。最も好ましくは、R1はメチルである。
【0044】
適切なR2置換基の例としては、水素、C1~C6アルキル、-CrアルコキシCsアルキル、C1~C6ハロアルキル、-CrアルコキシCsハロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、及び-(CR2122t20が挙げられ、各R20は、独立に、-C(O)OR23、-OC(O)R23、-C3~C6シクロアルキル、又は-アリール、-アリールオキシ、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールオキシ、又は-ヘテロシクリル環であり、前記環は、1~3個の独立したR25によって任意選択的に置換されていてもよく;rは、1、2、3、4、又は5の整数であり、sは、1、2、3、4、又は5の整数であり、r+sの合計は6以下であり;tは、0、1、2、3、4、5、又は6の整数であり、各R21は独立に水素又はC1~C2アルキルであり;各R22は、独立に水素又はC1~C2アルキルであり;各R23は水素又はC1~C4アルキルである。
【0045】
特定の実施形態では、R2が1~3個のR25によって任意選択的に置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール環であり、且つ前記アリール又はヘテロアリール環が、フェニル、ピリジニル、及びチエニル環系からなる群から選択される場合、それは、次の一般構造によって表すことができる:
【化19】
(式中、環Bは、フェニル、ピリジニル、又はチエニル環であり、pは整数又は0、1、2、又は3であり、ギザギザの線は分子の残りの部分への、この場合はアミド窒素を介した環の連結位置を表す)。
【0046】
特定の実施形態では、R2は、R2-1、R2-2、R2-3、R2-4、R2-5、及びR2-6からなる群から選択され、式中のp及びギザギザの線は前述した通りであり、各R25は、独立に、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、C1~C6アルキルチオ、C1~C6アルキルスルフィニル、又はC1~C6アルキルスルホニルである。
【化20】
【0047】
より好ましくは、各R25は、独立に、ハロゲン、C1~C4アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシであり;更に好ましくは、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1~C2ハロアルキル、C1~C2ハロアルコキシ、又はC1~C2アルコキシであり;より好ましくは、フルオロ、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロエチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、又はトリフルオロメトキシである。本明細書に記載されているように、pの値は1、2又は3である。好ましくは、pは0、1、又は2であり、各R25は環炭素原子が有する。
【0048】
式(H)及び式(I)の化合物の実施形態の1つの特定の組では、pは2であり、少なくとも1つのR25はフルオロである。好ましくは、pは0、1、又は2であり、各R25は環炭素原子が有する。
【0049】
上述したように、式(B)、(D)、(E)、(X)、(H)、及び(I)の化合物は、式(J)の化合物と同様に新規であり、これらの化合物は全て本発明の更に別の態様を形成する。以下の表1~7は、本発明の範囲内にあるこれらの化合物の具体例を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【0055】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【0056】
【表7】
【実施例
【0057】
実施例1:除草剤化合物N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドの調製
【化21】
塩(I)は、Tetrahedron Lett.1995,36,9409に記載の通りに調製することができる。
【0058】
ステップ1 エチル(E)-3-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]プロプ-2-エノエート
大きいマイクロ波バイアルの中で、3-ヨード-1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール(3.62mmol、1.00g)をアセトニトリル(15.2mL)の中に溶解し、アクリル酸エチル(1.19mL、10.9mmol)、トリエチルアミン(0.507mL、3.64mmol)、トリ-オルト-トリルホスフィン(0.362mmol、0.110g)、及び酢酸パラジウム(II)(0.362mmol、0.0813g)を添加し、撹拌されている橙色の溶液の上方の空間を窒素でスイープし、バイアルを密封し、マイクロ波照射下で110℃で60分間加熱した。反応混合物を濾過し(少量のEtOAcで洗浄)、濾液と洗浄液を合わせて濃縮することで、溶媒の大部分を除去した。残りのオレンジ色がかった褐色の液体を水(12mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、水(10mL)で洗浄し、相分離カートリッジに通してから濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/iso-ヘキサンのグラジエントによる溶離)により、エチル(E)-3-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]プロプ-2-エノエートを黄色オイルとして0.51g(57%)得た。
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ=7.58(d,J=16.1Hz,1H),6.81(s,1H),6.43(d,J=16.1Hz,1H),4.26(q,J=7.1Hz,2H),4.01(d,J=0.6Hz,3H),1.33(t,J=7.1Hz,3H).
【0059】
ステップ2 エチル-6-メチル-8-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-1,4-ジチア-6-アザスピロ[4.4]ノナン-9-カルボキシレート
窒素雰囲気下、-50℃で撹拌されているテトラヒドロフラン(9.51mL)中の細かく粉砕されたフッ化セシウム(12.7mmol、1.93g)の懸濁液に、エチル(E)-3-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]プロプ-2-エノエート(3.17mmol、0.787g)と1,3-ジチオラン-2-イリデン-メチル-(トリメチルシリルメチル)アンモニウムとの溶液を添加し、反応温度を-45℃未満に保ちながら、テトラヒドロフラン(39.51mL)中のトリフルオロメタンスルホン酸(5.55mmol、2.06g)を約15分かけて滴下した。得られた非常に淡い黄色の濁った懸濁液をゆっくりと室温まで戻し、撹拌を一晩継続した。その後、反応混合物をDCMで希釈し、濾過し、追加のDCMで十分に洗い流した。合わせた濾液及び洗浄液を濃縮し、粗生成物質をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/シクロヘキサンのグラジエントによる溶離)により精製することで、エチル-6-メチル-8-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-1,4-ジチア-6-アザスピロ[4.4]ノナン-9-カルボキシレート淡黄色オイルとして566mg(45%)得た。
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ=6.45(s,1H),4.31-4.17(m,2H),3.90(d,J=0.6Hz,3H),3.89-3.79(m,2H),3.35-3.06(m,5H),2.97-2.91(m,1H),2.47(s,3H),1.31(t,J=7.2Hz,3H).
【0060】
ステップ3 1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボン酸
ジオキサン(34.3mL)及び水(11.4mL)中の、エチル6-メチル-8-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-1,4-ジチア-6-アザスピロ[4.4]ノナン-9-カルボキシレート(1.43mmol、0.566g)の溶液に、LiOH(14.3mmol、0.343g)を添加し、撹拌されている混合物を窒素雰囲気下で1時間60℃まで加熱した。次いで、反応混合物を約35℃まで冷却し、その後濃縮してジオキサンの大部分を除去した。残りの混合物を水(10mL)で希釈し、希HCl(5mL、pH3まで)とDCM(20mL)とで分離させた。二相混合物を濾過して微細な固体を除去し、その後有機相を分離した。水相を更にDCM(2×15mL)で抽出し、全ての有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を濃縮することで、1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボン酸を淡黄色の固体として399mg(90%)を得た。
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ=6.66(s,1H),4.19-4.03(m,4H),3.93(d,J=0.5Hz,3H),3.34(s,3H).
【0061】
ステップ4 N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボキサミド
DCM(8.0mL)中の1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボン酸(0.340g、1.11mmol)の溶液に、2,3-ジフルオロアニリン(0.112mL、1.11mmol)を添加し、淡黄色の溶液を得た。酢酸エチル中のプロパンホスホン酸無水物(50質量%)(1.88mmol、1.12mL)を添加し、続いてN,N-ジイソプロピルアミン(3.32mmol、0.578mL)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を撹拌しながら水(2mL)を添加することによりクエンチし、相分離カートリッジに移し、有機物を回収して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/イソヘキサンのグラジエントにより溶離)により、N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドを無色の結晶性固体として264mg(57%)得た。
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ=10.25(br s,1H),8.01(tdd,J=1.6,6.6,8.3Hz,1H),7.04(ddt,J=2.1,5.9,8.3Hz,1H),6.94-6.86(m,1H),6.58(s,1H),4.40(td,J=6.3,8.6Hz,1H),4.20(d,J=6.4Hz,1H),4.13(dd,1H),4.00(dd,1H),3.93(d,3H),3.33(s,3H).
【0062】
ステップ5 N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミド
撹拌されており氷塩浴中で約0~-5℃に冷却されているアセトニトリル(6.21mL)中のN-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-チオキソ-ピロリジン-3-カルボキサミド(0.621mmol、0.260g)の溶液に、50%過酸化水素(0.746mL)を滴下し、白色の懸濁液を得た。5分後、45%の臭化水素酸水溶液(0.0750mL、0.621mmol)を滴下し、10分間撹拌した後、混合物を室温まで戻した。3時間後、反応混合物を5℃まで再冷却し、チオ硫酸ナトリウム溶液(約10mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(15mL)及び水(10mL)で希釈し、有機相を分離した。水相を更にEtOAc(2×10mL)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて相分離カートリッジに通し、その後濃縮することで無色のガムを得た。カラムクロマトグラフィー(EtOAc/iso-ヘキサンのグラジエントで溶離)により、N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドを白色結晶性固体として210mg(84%)得た。
1H NMR:(400MHz,CDCl3):δ=10.15(br s,1H),8.04(dd,J=6.6,8.3Hz,1H),7.06-6.99(m,1H),6.89(br dd,J=1.1,8.6Hz,1H),6.69(s,1H),4.09(q,1H),3.94(s,3H),3.78(d,J=9.5Hz,1H),3.76-3.65(m,2H),2.98(d,3H).
【0063】
溶媒としてsc-CO2(溶媒A)B=イソプロパノール(溶媒B)を用いて、アイソクラティック条件:85%溶媒A:15%溶媒Bで15mL/分で、Chiralpak IA、10×250mm、5μmカラムを使用して、ラセミ体であるN-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドを分離することで、エナンチオマーである(3S,4R)-N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3カルボキサミド及び(3R,4S)-N-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドを得ることができる。
【0064】
式(I)のさらなる除草化合物の例は、上の実施例1に記載のN-(2,3-ジフルオロフェニル)-1-メチル-4-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール-3-イル]-2-オキソ-ピロリジン-3-カルボキサミドに直接類似した方法で、本明細書に記載の本発明の方法及び化合物を使用して製造した。これらの化合物についての構造及び特徴的なNMRデータは下の表8に示されている。
【0065】
【表8-1】
【表8-2】