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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】緩衝剤制御
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20241108BHJP
   G01N 30/34 20060101ALI20241108BHJP
   B01D 15/08 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01N30/26 E
G01N30/34 E
B01D15/08
A61K9/08
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021549682
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2020054795
(87)【国際公開番号】W WO2020173886
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】1902747.3
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2001172.2
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・マットソン
(72)【発明者】
【氏名】イオアナ・アーランドソン
(72)【発明者】
【氏名】テレーズ・ウェストマン
(72)【発明者】
【氏名】エンリケ・カレダーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニー・デュンケル
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506128(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229271(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/047173(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/037530(WO,A1)
【文献】特表2020-523600(JP,A)
【文献】国際公開第2016/066579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
B01D 15/00 -15/42
A61K 9/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝液を生成するように構成された緩衝液生成システムによって実行される動作空間を決定するためのコンピュータ実装方法であって、前記生成システムが、前記緩衝液の成分を保持するための複数の流体源と、前記流体源の各々から流体を搬送するためのポンプと、前記ポンプの各々を前記生成システムの出口ポートに流体結合するパイプと、前記ポンプの各々に通信可能に接続された制御ユニットとを備え、前記方法が、
前記生成システムによって生成されるべき目標の緩衝液の目標特性を示す第1の入力データを取得するステップと、
前記生成システムのシステム特性を示す第2の入力データを取得するステップと、
前記緩衝液を生成するために使用される成分の成分特性を示す第3の入力データを取得するステップと、
前記第1の入力データ、前記第2の入力データ、および前記第3の入力データを使用して、前記緩衝液の生成のための外側動作境界を計算することによって動作空間を決定するステップと
を含み、前記第2の入力データが複数のシステム特性から選択することによって取得され、前記第3の入力データが複数の成分特性から選択することによって取得される、方法。
【請求項2】
第1の入力データを取得するステップが、
目標特性を示すユーザ入力を受信するステップであって、前記目標特性が、少なくとも、目標緩衝液タイプと、前記生成される緩衝液の目標濃度と、前記緩衝液の目標総生成量とを示す、ステップと、
Debye-Huckel式を使用してさらなる目標特性を計算するステップであって、前記さらなる目標特性が、前記目標緩衝液タイプを定義する相対成分比率のレシピを使用して導出される成分の流量を含み、前記レシピが、Debye-Huckel式を使用して決定される、ステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レシピを決定することが、
前記生成される緩衝液のイオン強度に寄与するすべての種の加重平均イオンサイズに基づいて、前記Debye-Huckel式におけるイオンサイズパラメータaを決定することであって、各種の前記イオン強度が前記Debye-Huckel式における重み付けパラメータとして使用される、ことと、
前記Debye-Huckel式および前記決定されたイオンサイズパラメータaに基づいて、前記緩衝液の前記成分の前記相対成分比率を決定することと、
前記成分の前記比率と、前記生成システムのパイプ寸法に基づいて導出される最大流量によって制限される前記緩衝液の流量とを使用して、成分の流量を示すさらなる目標特性を計算することと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の入力データを取得するステップが、
実験計画(DoE)データを取得するステップであって、前記DoEデータが、緩衝剤組成のセットと、対応する一意のレシピとを示す、ステップと、
実験の第1のセットを実行するステップと、
前記実験の第1のセットからの出力として実験結果(RoE)データを取得するステップと、
前記緩衝剤組成のセットから、対応する緩衝剤の特徴が目的関数を最適化する1つの緩衝剤組成と、対応する一意のレシピとを選択することによって、前記第1の入力データを取得するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記動作空間を示す表現(1100)をレンダリングするステップと、
前記生成システムのユーザに前記表現を表示するようにディスプレイを制御するステップと
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記目標特性が、目標緩衝液タイプ、前記緩衝液の目標総生成量および前記緩衝液の目標pH、前記緩衝液の目標濃度、前記緩衝液の目標流量、前記緩衝液の目標塩濃度のうちのいずれかの選択を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記目標特性が、出力ポートにおける前記生成される緩衝液の流量を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記目標特性が、前記生成される緩衝液の濃度を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記システム特性が、前記生成システムの総流量範囲およびパイプ寸法の選択を示す、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記成分特性が、前記緩衝液の前記成分の濃度および溶解度のうちのいずれかの選択を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記動作境界が、前記緩衝液の前記成分の濃度の複数の組合せの各々についての前記生成される緩衝液のpHを示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記動作境界が、所定の動作空間内に入るシステム特性を有する1秒間あたりのポンプの流量範囲を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記動作境界が、前記緩衝液を生成するために必要とされる前記成分の容量を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記決定された動作空間内で動作するように前記生成システムを制御する制御パラメータを割り当てるステップと、
前記割り当てられた制御パラメータを使用して前記生成システムを制御するステップと
をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
緩衝液を生成するように構成された緩衝剤生成システム(10)であって、
流体ネットワークと、
ディスプレイと、
入力デバイスと、
回路を備える制御ユニットと
を備え、前記回路が、
処理回路と、
メモリと
を備え、前記メモリが、前記処理回路によって実行可能な命令を備え、前記制御ユニットが、ポンプの各々に通信可能に接続され、それによって、前記命令が前記処理回路によって実行されると、前記システムが、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、システム。
【請求項16】
前記流体ネットワークが、
第1の流体源に流体結合された第1のポンプであって、前記第1の流体源が塩溶液を保持するように構成され、前記第1のポンプが前記第1の流体源から流体を搬送するように構成される、第1のポンプと、
第2の流体源に流体結合された第2のポンプであって、前記第2の流体源が塩基溶液を保持するように構成され、前記第2のポンプが前記第2の流体源から流体を搬送するように構成される、第2のポンプと、
第3の流体源に流体結合された第3のポンプであって、前記第3の流体源が酸溶液を保持するように構成され、前記第3のポンプが前記第3の流体源から流体を搬送するように構成される、第3のポンプと、
第4の流体源に流体結合された第4のポンプであって、前記第4の流体源が注射用水を保持するように構成され、前記4のポンプが前記第4の流体源(C4)から流体(FL4)を搬送するように構成される、第4のポンプと、
前記ポンプ(P1~P4)の各々を前記システム(10)の出力ポート(PO)に流体結合するパイプと
を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記生成された緩衝液の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサ(S1,S2)をさらに備え、前記制御ユニット(CU,30,810,910)が前記センサ(S1,S2)の各々に通信可能に接続される、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
制御ユニット(CU,30,810,910)内に含まれる処理回路において実行されると、前記制御ユニット(CU,30,810,910)に請求項1から14のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させるコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオプロセッシングの分野に関し、より詳細には、液体混合物、例えば、緩衝剤の制御された調製の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオプロセッシングの分野では、正確に既知の組成の液体を取得することが多くの場合重要である。多くの場合、液体の組成は、各瞬間において正確に知られ、制御されるだけでなく、正確かつ制御された方法で時間とともに変化すべきである。
【0003】
緩衝液は、酸、塩基、および場合によっては塩、ならびに注射用水(WFI:Water for Injection)を含む水溶液である。混合物は、制御されたプロセスにおいてブレンドされた、弱酸およびその共役塩基、または弱塩基およびその共役酸を含む。
【0004】
緩衝剤の特性は、少量の強酸または強塩基が加えられたときに緩衝液のpHにわずかな影響しか及ぼさないことである。したがって、緩衝液は、多種多様な化学的用途、例えば、クロマトグラフィまたは他のタイプの濾過動作において、pHをほぼ一定の値に保つ手段として使用される場合がある。緩衝液の所望の精度に維持するために、フィードバック制御が適用される場合もある。
【0005】
緩衝剤の原材料の必要量を計算し、それらを混合することによって、所望のpHを有し、オプションで所望のイオン強度を有する緩衝液が調製され得る。これらの原材料の混合物は、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムとして使用される調製システムにおいて実行され得る。そのようなシステムの例は、GE Healthcareによって開発されたAKTA(商標) AvantおよびBioProcessインラインコンディショニング(IC:Inline Conditioning)システムである。AKTA(商標) Avantは、4元(quaternary)バルブを使用して原液から緩衝液を調製することができる緩衝剤ブレンドデバイスである。ICは、異なる成分のためのいくつかのポンプを有する緩衝剤ブレンドデバイスである。酸、塩基、塩、およびWFIの濃縮単一成分原液を使用するインライン緩衝剤調製のための緩衝剤管理システムが運用されている。濃縮液の使用は、緩衝剤の容量を大幅に低減し、床面積およびタンク容量を節約する。濃縮液の同じセットから多くの異なる緩衝剤を調製することができ、緩衝剤調製を効率化することができる。調合の正確さおよび調製間の一貫性のために、組込み動的制御機能を備える様々なフィードバックモードを選択することができる。インラインコンディショニングシステムとしても知られるそのようなインライン緩衝剤調製システムは、緩衝剤調製のために使用され得るが、クロマトグラフィシステムとしても使用され得る。
【0006】
クロマトグラフィは、化学的物質および生物学的物質を分離するための技法である。液体クロマトグラフィにおいて、緩衝液は、プロセスの重要な構成要素である。クロマトグラフィでは、正確に既知の組成、および/またはpH、イオン強度などの他の特性の液体を用いることが重要である。溶液の組成を時間とともに変化させる必要もある場合がある。そのような組成およびその変化は、ブレンドシステムを使用して2つ以上の液体を互いに混合またはブレンドすることによって取得され得る。
【0007】
所望の性質を有する緩衝液は、例えば、市販のソフトウェアを使用して緩衝剤の原材料の必要量を計算し、それらを混合することによって調製され得る。緩衝剤混合デバイスは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる以下の背景技術の特許出願/特許、EP2269055A1、US9,446,329B2、US2011/0039712A1、WO2009/131524A1、US9,327,212B2、US2012/0217192A1、EP2480943A1、WO2011/037530A1、EP2585887A1、US2013/0081703A1、およびWO2011/162666A1において開示されているように、よく知られている。背景技術は、例えば、EP2269055A1において定義されているように、pHに応じて弱酸(または弱塩基)および弱塩基(または弱酸)の比較的単純な混合物の異なる成分の相対濃度を計算するためのソフトウェアソリューションを含んでいるが、より複雑な性質の緩衝剤調製を制御することが依然として必要である。従来のソフトウェアソリューションは、そのような複雑な緩衝剤、例えば、追加の成分および塩を含む緩衝剤の調製をサポートしていない。また、例えば、EP2269055A1において定義されているように、特定の実行のフィードバック制御を使用して相対濃度を取得するために使用することができる緩衝剤混合デバイスが存在するが、このタイプのより複雑な緩衝剤を使用すると、類似しているが異なる制御パラメータを用いて新しい実行を制御するそのような結果から取得された情報を分析するためのツールが依然として必要である。そのような制御パラメータの例は、緩衝剤濃度、塩および添加物の濃度、ならびに原液の濃度および容量である。関連するパラメータのさらなる例は、pH、調製された緩衝剤の流量、システムにおいて使用されるポンプの流量範囲、または4元バルブの場合、バルブの相対的な分割の範囲、ならびに導電率および濃度などの相関するパラメータの中からの重要なパラメータの選択である。
【0008】
したがって、例えば、塩のような異なる強電解質と、さらには完全に解離する強酸もしくは強塩基、または部分的にイオン化する緩衝物質のような弱電解質、またはそれらの組合せとの組合せである複雑な性質の緩衝液のための、必要量を計算し、緩衝液生成のためにこれらの計算された設定を使用するための方法およびツールが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願公開第2269055号明細書
【文献】米国特許第9446329号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0039712号明細書
【文献】国際公開第2009/131524号
【文献】米国特許第9327212号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0217192号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2480943号明細書
【文献】国際公開第2011/037530号
【文献】欧州特許出願公開第2585887号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0081703号明細書
【文献】国際公開第2011/162666号
【文献】国際公開第2018/229271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、上記で特定した欠陥のうちの1つまたは複数を軽減、緩和、または除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、これは、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物を調製するためのコンピュータ実装方法によって達成される。
【0012】
コンピュータ実装方法は、調製されるべき液体混合物の組成を取得するステップと、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップとを含む。複数の設定は、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに提供される。
【0013】
いくつかの実装形態において、調製されるべき液体の組成を取得するステップは、液体混合物の複数の属性の情報の入力を促すステップを含む。調製されるべき液体混合物の組成は、複数の属性の情報を受信し、少なくとも1つのソフトウェア実装アルゴリズムを適用することに応答して決定される。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、液体混合物の属性は、液体混合物タイプと、液体混合物濃度と、液体混合物密度および液体混合物導電率のうちの少なくとも1つとを含む。ソフトウェア実装アルゴリズムは、モル濃度計算またはモル質量計算のためのアルゴリズムであり得る。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップは、1つまたは複数の自動化プロセスのうちの選択された自動化プロセスの情報を取得するステップを含む。選択された自動化プロセスの制御システムのための制御モードが決定され得、自動化プロセスは、制御モードを使用して実行される。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、制御モードは、流量フィードバック、pHフィードバック、および導電率フィードバックのうちの1つまたは複数を含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、自動化プロセスは、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムとして実行される。クロマトグラフィシステムとして実行される場合、制御モードは、クロマトグラフィシステムの4元バルブのプログラミングを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップは、1つまたは複数のストック濃度を決定するステップと、自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプのための1つまたは複数のポンプ設定を決定するステップとをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップは、1つまたは複数の制御システムからそれぞれの設定のための1つまたは複数の境界条件を取得することと、1つまたは複数の境界条件の充足を検証することとを含む。境界条件は、酸ストック容量、塩基ストック容量、ならびに自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプの最小流量および/または最大流量のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0020】
第2の態様によれば、本開示の目的は、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製を制御するための緩衝剤ツールによって達成される。緩衝剤ツールは、ユーザインターフェースと、制御システムインターフェースと、処理回路とを備える。処理回路は、第1の態様による方法を実行するように構成される。
【0021】
第3の態様によれば、本開示の目的は、緩衝剤ツールによって実行されると第1の態様による方法の実行を引き起こすコンピュータプログラムを記憶されたコンピュータ可読記憶媒体によって達成される。
【0022】
第4の態様によれば、本開示の目的は、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製を制御するための緩衝剤管理システムによって達成される。緩衝剤管理システムは、液体混合物の調製のための1つまたは複数の自動化プロセスと、1つまたは複数の自動化プロセスを制御するための1つまたは複数の制御システムと、第3の態様による緩衝剤ツールとを備える。
【0023】
上記で開示した態様は、所望のpHおよび/またはイオン強度ならびに緩衝剤容量に基づいて、例えば、緩衝剤種、緩衝剤濃度、および/または塩濃度に関して、液体混合物の調製を可能にする。液体混合物の所望のpHと、オプションで所望のイオン強度および緩衝剤容量とに基づいて、本発明は、所望のpH、イオン強度、および緩衝剤容量を有する液体混合物の調製のための設定を提供する。
【0024】
上記で開示した態様は、正確な組成が最初に計算され、液体混合物のための自動化プロセスにおいてその後に使用するために送られ、液体混合物がその後、単一のステップにおいて調製されるという点で、液体混合物の調製、例えば、緩衝剤調製において改善を提供する。したがって、上記で開示した態様は、システムにおいて利用可能なポンプに基づく、モルレシピ、ストック濃度、および適切なポンプ設定の自動化された計算を提供する。液体調製に関する上記で開示した態様は、例えば、緩衝剤/プロセス開発、緩衝剤/バイオ医薬品製造、およびマイクロプレートまたは他の実験器具内のインテリジェント緩衝剤調製のための自動分配デバイスにおいて使用され得る。
【0025】
本発明は、緩衝種に加えて、1つまたは複数の非緩衝塩および添加物が存在する場合、緩衝種の相対的な成分比率を決定するのに有用である。
【0026】
本発明は、しばしば複数の緩衝剤種流体として認識される2つ以上の緩衝種を含む、緩衝剤などの液体混合物の相対的な成分比率を決定するのに有利である。したがって、いくつかの実施形態によれば、2つ以上の原液が調製され得、それらの原液は、異なる緩衝種を含む。代替実施形態において、複数の緩衝種を含む原液が提供され得る。
【0027】
前述のことは、異なる図にわたって同様の参照文字が同じ部分を指す添付図面に示すように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに例示的な実施形態を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】液体混合物の調製を制御するための例示的な方法ステップを示すフローチャートである。
図2】緩衝剤ツールの概略図である。
図3a】緩衝剤管理システムの例示的な概略図である。
図3b】緩衝剤管理システムの例示的な概略図である。
図4】コンピュータ実装緩衝剤ツールに対するユーザインターフェースの例示的な図である。
図5】緩衝液を調製または生成するためのシステムを示す図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態による、緩衝液を生成するためのシステムを示す図である。
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態による、容器への緩衝液のオンデマンド生成を示す図である。
図8】本開示の1つまたは複数の実施形態による、容器への緩衝液のオンデマンド生成を示す図である。
図9】本開示の1つまたは複数の実施形態による制御ユニットを示す図である。
図10】本開示の1つまたは複数の実施形態によるコンピュータ実装方法のフローチャートである。
図11】本開示の1つまたは複数の実施形態による動作空間の表現を示す図である。
図12】目標の緩衝液の例示的な目標特性の表である。
図13】生成システムの例示的なシステム特性の表である。
図14】例示的なシステムおよび/または構成要素の構成の表である。
図15】目標の緩衝液の例示的な目標特性の表である。
図16】例示的なシステムおよび/または構成要素の構成の表である。
図17】本開示の1つまたは複数の実施形態による、動作空間の組み合わされたプロセスの表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願、US9,327,212に関連する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許出願、EP2585887にさらに関連する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願、WO2018/229271、「METHOD AND APPARATUS FOR DETERMINING ONE OR MORE BUFFER COMPOSITION RECIPES」に関連する。
【0030】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成し、実施され得る特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。これらの実施形態について、当業者が実施形態を実施することを可能にするために十分に詳細に説明し、他の実施形態が利用され得ること、ならびに実施形態の範囲から逸脱することなく、論理的変更、機械的変更、および他の変更が行われ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書で使用される用語は、開示の特定の態様を説明するためだけのものであり、発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合の「備える/備えている」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するように解釈されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそのグループの存在または追加を排除しない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことを意図している。
【0032】
本開示の文脈において、緩衝剤は、液体混合物の形で、実質的な量の酸および/または塩基の追加にもかかわらず、ほぼ一定のpH値を維持する成分または化合物である。緩衝液は、弱酸とその共役塩基、または弱塩基とその共役酸の混合物を含む水溶液である。そのような液体混合物、すなわち緩衝液を調製するために、弱酸/塩基およびその共役塩基/酸ならびに塩溶液の量が、例えば、モル値またはいわゆるモルレシピとして計算される。これらのモル値から、次に、対応する原液からの必要な量を計算することができる。酸および塩基の原液は、加重量の緩衝塩を測定された容量に希釈し、原液および水の緩衝剤の共通混合点への流れを制御することによって、既知の濃度に調製され得る。
【0033】
液体混合物の調製は、本明細書では緩衝剤キッチンとも呼ばれる緩衝剤調製システム/緩衝剤混合システムとして、またはクロマトグラフィシステム、すなわちクロマトグラフィカラムを備える緩衝剤混合システムとして使用される調製システムにおいて実行され得る。例えば、配合緩衝剤用のオプションのタンク/バッグを有する緩衝剤調製デバイス。
【0034】
そのようなシステムまたは緩衝剤調製デバイスの例は、GE Healthcareによって開発されたAKTA(商標) AvantおよびBioProcessインラインコンディショニング(IC)システムである。AKTA(商標) Avantは、マルチポートバルブ、例えば、4つの異なる成分/流体の自動的な混合を可能にする4元バルブを使用する、ストック成分からの緩衝剤ブレンドデバイスである。マルチポートバルブの使用は、混合されるべき複数の流体/成分の流量制御を可能にする。ICは、異なる流体/成分のためのいくつかのポンプを有する緩衝剤ブレンドデバイスである。
【0035】
この説明および対応する特許請求の範囲における「または」は、「および」および「または」をカバーする数学的論理和として理解されるべきであり、XOR(排他的論理和)として理解されるべきではない。本開示および特許請求の範囲における不定冠詞(a)は、「1つ」に限定されず、「1つまたは複数」、すなわち複数形として理解することもできる。
【0036】
本開示において、「コンテナ」という用語または「リザーバ」という用語を互換的に参照し、流体を保持するのに適した容器を示す。
【0037】
本開示において、「処理回路」という用語および「処理手段」という用語を互換的に参照する。
【0038】
本開示において、液体混合物の「組成」および「レシピ」という用語を互換的に参照し、目標の緩衝液をもたらす混合物中のそれぞれの成分の比率を示す。
【0039】
本開示において、液体混合物、典型的には緩衝液を調製するという文脈において、「調製する」および「生成する」という用語を互換的に参照する。一例において、液体混合物または緩衝液を調製または生成することは、レシピに従って成分を混合することと、それぞれの成分の適切な比率を与えることと、目標の緩衝液をもたらすこととを含む。緩衝液の調製は、典型的には、塩酸、塩基、および注射用水(WFI)の単一成分の濃縮原液を使用することを伴い、尿素、ポリソルベート、およびグリセロールなどの様々な添加物を含む場合もある。
【0040】
本開示において、「液体混合物の調製を制御するための設定」および「割り当てられた制御パラメータ」という用語を互換的に参照し、液体混合物/緩衝液の調製/生成を構成および/または制御するために使用される設定および/またはパラメータを示す。
【0041】
本開示において、「制御システム」および「制御ユニット」という用語を互換的に参照し、処理回路とメモリとを備える装置を示し、メモリは、本明細書で説明するステップまたは方法のいずれかを実行するために処理回路によって実行可能な命令を含み、典型的には、自動化プロセスにおける緩衝液の調製/生成を制御する。
【0042】
本開示において、「液体混合物の属性」および「目標の緩衝液の目標特性」という用語を互換的に参照し、調製されるべき液体混合物/緩衝液の所望の性質または特性を示す。
【0043】
本開示において、「流体源」という用語は、流体を提供することができるユニットまたは配置、例えば、流体コンテナを示す。以下の説明において、流体源について、コンテナとして説明するが、任意の適切な流体源が使用され得る。
【0044】
本開示において、「オンデマンド緩衝液生成システム」という用語は、典型的には、地理的に近接して、またはクロマトグラフィ装置の場所において配置された、ユーザの要求に応じて目標の緩衝液を生成する生成システムを示す。本開示において、「オンデマンド緩衝液生成システム」という用語は、「生成システム」と互換的に使用される。
【0045】
本開示において、「動作空間」という用語は、ポンプ流量、パイプの寸法、および成分濃度などのいくつかの動作パラメータが与えられた場合に、緩衝剤生成システムを動作させることができる境界によって形成される空間を示す。言い換えれば、動作空間は、緩衝液の生成を制御するパラメータを変化させることができ、緩衝液を生成するためのオンデマンドシステムによる目標の緩衝液の生成をもたらす多次元空間の抽象化とみなすことができる。例えば、生成システムによって生成されるべき目標の緩衝液の所与の目標特性を達成する、オンデマンド緩衝液生成システムのシステム特性および成分特性の複数の可能な構成。言い換えれば、複数の可能な構成から選択された任意の構成を、目標の緩衝液タイプを生成するために使用することができる。
【0046】
本開示において、「緩衝液」という用語は、例えば、クロマトグラフィランを実行する前にサンプルを懸濁するために使用される、クロマトグラフィ装置とともに使用するように適合された流体を示す。
【0047】
本開示において、「目標特性」という用語は、オンデマンド緩衝液生成システムによって生成されるべき目標の緩衝液の性質を定義する。
【0048】
本開示において、「システム特性」という用語は、オンデマンド緩衝液生成システムの性質、例えば、ポンプ流量範囲、パイプの寸法、およびコンテナ容量を定義する。
【0049】
本開示において、「成分特性」という用語は、緩衝液を生成するために使用される成分の特性、例えば、成分濃度、および酸、塩基、塩などの成分タイプを定義する。
【0050】
本開示において、「外側動作境界」という用語は、目標の緩衝液および/もしくはオンデマンド緩衝液生成システムの性質の範囲、ならびに/または緩衝液を生成するために使用される成分の性質の範囲を定義する。例えば、成分濃度を含むシステム構成が与えられた場合の、生成された緩衝液の最小および最大pH。一例において、そのような外側動作境界は、境界条件によって与えられる。そのような境界条件の例は、最大/最小酸ストック容量、最大/最小塩基ストック容量、最大/最小流量、および自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプの最大/最小流量のうちの1つまたは複数を含む。
【0051】
本発明は、複数の緩衝種液体としてしばしば認識される2つ以上の緩衝種を含む緩衝剤などの液体混合物のための相対的な成分比率を決定するのに有用である。したがって、一実施形態において、本発明は、上記で論じたような方法であり、2つ以上の原液が調製され、これらの原液は、異なる緩衝種を含む。代替実施形態において、3つ、4つ、またはそれより多くなどの、少なくとも2つの緩衝種を含む原液が提供される。
【0052】
本発明は、緩衝種に加えて1つまたは複数の非緩衝塩および添加物が存在する場合に、緩衝種のそれぞれの成分比率を決定するのに有用である。
【0053】
緩衝剤ツールは、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムのいずれかとして実行するようにICシステムを制御する。ツールは、1つの緩衝剤の生成を制御することができ、またはクロマトグラフィステップを含む生産プロセス全体を実行する方法を制御することができる。緩衝剤ツールによって制御されるシステムは、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムとして使用することができる。クロマトグラフィシステムとして使用される場合、緩衝剤制御は、実際のクロマトグラフィを実行する方法の生成を提供する。最適化されたプロセスおよびプロセス開発、ならびにバイオ医薬品の検証された製造のために提供された制御。
【0054】
例えば、図2において開示されているように、例えば、緩衝剤ツールにおいて実行される、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製を制御するための例示的な方法ステップを示すフローチャートである。図3に開示されているように、緩衝剤ツールは、緩衝剤管理システム内に含まれ得る。
【0055】
オプションの最初のステップにおいて、液体混合物の調製を制御するためのコンピュータ実装方法は、1つまたは複数の自動化プロセスにおいて液体混合物の調製を制御することに関連する情報を取得するステップを含む。コンピュータ実装方法は、図4において開示されているようにユーザインターフェースを有するコンピュータ実装緩衝剤ツールにおいて実装され得、好ましくは、設定条件の充足、部分的充足、および非充足を示すために信号機の色が使用される。1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御することに関連する情報は、例えば、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション2において提案されているように、1つまたは複数の自動化プロセスに関連するプロセス情報を含み得る。
【0056】
情報は、例えば、図4において開示されている緩衝剤ツールインターフェースのセクション3において提案されているように、液体混合物の組成を決定するために適用可能な少なくとも1つのコンピュータ実装アルゴリズムへのアクセスを提供することも含み得る。情報は、例えば、図4において開示されているユーザインターフェースのセクション2および3を介して、情報についてユーザに入力を促すことによって、少なくとも部分的に受信され得る。コンピュータ実装方法の一実装形態において、このツールにおいて4つの質問、「pHフィードバックを使用するか?」、「緩衝剤の組合せタイプは?」、「塩は?」、および「プロセスに重要なのは、濃度または導電率?」に答える必要があり、すなわち、緩衝剤ツールインターフェースによって情報についてユーザに入力を促すことによって要求される情報である。情報はまた、制御システムから、制御システムに関連付けられたデータベースから、または緩衝剤ツールに関連付けられ、多数の緩衝液を定義するためのライブラリ情報を備えるデータベースから情報を取得することによって部分的に受信され得る。取得され得る他の情報の例は、緩衝剤システム、pH、塩のタイプ、添加物のタイプ、流量、緩衝剤の容量、プロセスステップ時間、モルレシピなどを含み、すなわち、情報についてユーザに入力を促すことによって自動的に取得され得る情報、または入力を促された情報を受信したことに応答して自動取得を開始する複合動作として取得される情報である。
【0057】
その最も一般的な形態において、酸およびその共役塩基または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製を制御するためのコンピュータ実装方法は、調製されるべき液体混合物の所定の組成、すなわち、目標の緩衝剤を定義する目標の緩衝液の情報もしくは目標特性、および/またはそのような目標の緩衝剤の特性を取得するステップS11を含む。液体混合物の識別子、例えば、緩衝剤名を受信したことに応答して、緩衝剤の特性に関連する詳細な情報が、多数の緩衝液を定義するためのライブラリ情報を備えるデータベースから取得され得、または上記で示唆したように、コンピュータ実装方法の実行中に取得されたパラメータから計算され得る。したがって、液体混合物中に含まれるべきストック濃度の相対的な比率に関連する情報は、緩衝剤ツールに関連付けられた、または例えば、有線もしくはワイヤレス通信によって緩衝剤ツールからアクセス可能なデータベースから取得され得る。相対的な比率の情報はまた、緩衝剤ツールのユーザインターフェースにおいて緩衝剤ツールに直接入力され得る。液体混合物は、その最も一般的な組成において、単に、弱酸および共役塩基、またはその逆を含む組成から構成され得るが、組成は、ほとんどの場合、塩、水、および/または他の添加物の濃度も含む。そのような他の添加物は、例えば、タンパク質の安定性に寄与し得る界面活性剤、およびタンパク質の不安定性に寄与し得る尿素を含む。緩衝剤調製の文脈において、添加物は、主に中性分子でできているが、塩は、導電率を制御するために使用される荷電粒子でできている。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、調製されるべき液体の組成を取得するステップS11は、例えば、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション1において示唆されているように、液体混合物の複数の属性の情報について、例えば、ユーザインターフェースまたは液体混合物組成インターフェースによって入力を促すステップS11aを含む。そのような属性の例は、液体混合物のタイプと、液体混合物の濃度と、液体混合物の密度および液体混合物の導電率のうちの少なくとも1つとを含む。液体混合物のpHは、緩衝液の導電率および濃度の関数として決定され得る。しかしながら、液体混合物のpHは、調製されるべき液体の事前設定された属性も表し得る。
【0059】
複数の属性の情報を受信したことに応答して、液体混合物の組成は、例えば、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション3に示すようにモル濃度計算またはモル質量計算アルゴリズムを使用して、少なくとも1つのソフトウェア実装アルゴリズムを適用することによって決定され得る(S11b)。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、調製されるべき液体の組成を取得するステップS11は、クロマトグラフィ装置において実験を実行するステップを含む。組成を取得するステップS11は、次いで、実験計画法(DoE:design of experiment)データを取得するステップを含み、DoEデータは、緩衝剤の組成のセットと、対応する一意のレシピとを示す。DoEは、例えば、メモリから取得され得る。実施形態において、緩衝剤の組成のセットは、設計範囲内の緩衝剤組成の全セットからサブセットとして選択される。方法は、例えば、クロマトグラフィ装置を使用して、実験の第1のセットを実行するステップをさらに含み得る。例において、実験は、クロマトグラフィ装置への唯一の入力として、DoEデータによって示される各一意のレシピに従って混合された緩衝剤組成を連続的に提供することによって実行される。方法は、実験の第1のセットからの出力として実験結果(RoE:results of experiment)データを取得するステップをさらに含み得る。実施形態において、RoEデータは、少なくとも、緩衝剤組成のセットおよび/または緩衝剤組成の全セットの各緩衝剤組成の水素イオン指数(potential of hydrogen)(pH)値を示す。オプションで、方法は、第1の目的関数を取得するステップをさらに含み得る。実施形態において、第1の目的関数は、少なくともpH値および導電率値に依存し得る。方法は、緩衝剤組成のセットおよび/または緩衝剤組成の全セットから、対応するpH値が第1の目的関数を最適化する第2のサブセットを選択するステップをさらに含み得る。オプションで、方法は、第2のサブセットに対応する一意のレシピとして、化学サンプルのクロマトグラフィ用の1つまたは複数の緩衝剤組成レシピを決定するステップをさらに含む。実施形態において、方法は、実験の予測(PoE:prediction of experimental)データを取得するステップをさらに含み、PoEデータは、少なくとも、緩衝剤組成の全セットの各緩衝剤組成の予測されたpH値および予測された導電率値を示す。緩衝液の組成を取得することに関するさらなる詳細は、以前に含まれたWO2018229271において見ることができる。
【0061】
緩衝剤ツールが目標の緩衝剤に関する情報を受信している場合、すなわち、液体混合物の所望の組成に関連する情報が緩衝剤ツールにおいて取得されている場合、次のステップは、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップS12を含む。そのような設定は、液体混合物の調製に使用される選択された自動化プロセスの情報を含み得、例えば、自動化プロセスは、緩衝剤キッチンプロセスまたはクロマトグラフィシステムプロセスである。設定は、制御モード、モルレシピ、および溶液濃度、溶液タイプ、容量などの属性に関連する他の設定、すなわち、配合された緩衝剤に直接関連する特性も含み得る。密度、導電率、および溶解度などの他の性質は、溶解度の問題なしに濃縮溶液を調製することができることを確実にするための、ベース溶液とも呼ばれるストック溶液に有用な特性である。いくつかの実施形態によれば、複数の設定を決定するステップは、1つまたは複数のストック濃度を決定するステップと、自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプのための1つまたは複数のポンプ設定を決定するステップとを含み得る。したがって、緩衝剤ツールでは、後続の選択された自動化プロセスにおける緩衝剤調製を制御するために必要なすべての設定が決定され得る。いくつかの実施形態によれば、決定するステップは、自動化プロセスの制御モードを決定するステップを含み、自動化プロセスは、制御モードを使用して実行される。そのような制御モードは、選択された組合せにおける流量フィードバック、pHフィードバック、および/または導電率フィードバックを含む。例は、参照によりその全体が組み込まれる以下の前述の特許出願/特許、US9,446,329B2、US2011/0039712A1、EP2269055A1、WO2009/131524A1、US9,327,212B2、US2012/0217192A1、EP2480943A1、WO2011/037530A1、EP2585887A1、US2013/0081703A1号、およびWO2011/162666A1において開示されている。緩衝剤ツールは、インラインコンディショニングシステムを緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムのいずれかとして実行するために必要なすべての設定の計算を可能にする。流量フィードバックを使用するときのモルレシピとしての設定、例えば、AKTA(商標) Avantを実行するときのクロマトグラフィシステムの4元バルブを制御するための設定、ならびに/または導電率および/もしくはpHのいずれかを制御するための選択に基づく、どの制御モードを使用するかに関する設定を提供し得る。したがって、所望の目標の緩衝剤を受け取るために1つまたは複数の制御システムにおいて必要とされる設定が決定される。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、緩衝剤ツールは、後続の自動化プロセスにおいて利用可能なストック濃度およびストック容量が与えられた場合に、目標の緩衝剤を生産することができるかどうかを判定する機能を提供することもできる。ストック濃度は、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション4を介して直接提供され得る。しかしながら、原液の利用可能性はまた、原液の利用可能性を閲覧する能力を提供する関連アプリケーションから自動的に取得され得る。その結果、液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップは、1つまたは複数の制御システムからそれぞれの設定の1つまたは複数の境界条件を取得するステップと、1つまたは複数の境界条件の充足を検証するステップとをさらに含み得る。そのような境界条件の例は、自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプの酸ストック容量、塩基ストック容量、最小流量、および最大流量のうちの1つまたは複数を含む。図4における例示に向かうと、塩基ポンプ流量および塩基ポンプ最終濃度は、カラーバージョンでは赤色または任意の他の適切な信号色を使用して示され得る非充足境界条件の例である。目標の緩衝剤を生産することができない場合、システムは、システムの性質/ポンプ範囲に基づいて選択する代替のストック濃度を自動的に提示し得る。目標の緩衝剤を生産するための設定を決定するとき、すなわち、液体混合物の調製を制御するとき、各原液に必要な容量を計算し得る。いくつかの緩衝剤を生産するために同じ原液が使用され得る場合、各緩衝剤の各原液の必要性と、各原液に必要な総量とに関連する情報が提供され得る。
【0063】
最後のステップとして、液体混合物の実際の調製を開始するために、方法は、例えば、プロセス制御インターフェースにおいて、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに複数の設定を提供するステップS13を含む。したがって、例えば、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムとして後続の自動化プロセスを実行するために制御システムによって必要とされる設定が、緩衝剤ツールから提供される。緩衝剤ツールは、1つの特定の緩衝剤の設定、またはクロマトグラフィステップを含む生産プロセス全体の設定を生成し得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに複数の設定を提供するステップは、各境界が充足されたときに制御システムに複数の設定を提供するステップを含む。しかしながら、前述のように、緩衝剤ツールは、目標の緩衝剤を生産することができないと判断することもでき、境界条件が充足されていないと判断した場合、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに複数の設定を提供するステップは、代替液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップと、1つまたは複数の制御システムに代替液体混合物の複数の設定を提供するステップとを含む。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、緩衝剤ツールは、フィードバックモードにおいて実行する制御システムの設定を決定するために使用され得る。方法は、次いで、1つまたは複数の自動化プロセスからセンサデータを受信するステップと、1つまたは複数の自動化プロセスにおいて液体混合物の調製を制御するための少なくとも1つの調整された設定を決定するステップと、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに調整された設定を提供するステップとを含み得る。液体混合物を調製する自動化プロセスは、例えば、緩衝液に関連するpHレベルおよび導電率を決定するために、センサによって監視され得る。緩衝液の特性が所望の特性ではない場合、コンテナからの溶液の流量は、所望の特性を有する緩衝液が得られるように変えられ得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、緩衝剤ツールは、プロセスのためのいくつかのストック濃度の選択および最適化を可能にする。緩衝剤レシピを含むデータベースから、それぞれの液体混合物を調製するための1つまたは複数の緩衝剤レシピが選択され得る。例えば、いくつかの緩衝剤レシピが、1つのシステムにおいて実行されるプロセス、緩衝剤の性質(pH、緩衝剤濃度など)、または原液のタイプなどの基準(またはタグ)に基づいて、ユーザによって選択される。緩衝剤ツールは、境界条件に基づいて1つまたは複数の原液を選択する際に、取得されたレシピを使用し、境界条件は、取得された緩衝剤レシピに基づいて液体混合物を調製するためにそれぞれの原液から必要とされる容量を含む。選択された原液ごとに、緩衝剤ツールは、取得された1つまたは複数の緩衝剤レシピのための最小数のストック濃度を決定する。1つの原液に対して3未満~5の異なる濃度などの基準に基づいて、ソフトウェアが潜在的な最適化の可能性を示唆することもあり得る。最適化されるべき原液の濃度範囲などの最適化の基準は、ユーザによって設定することができる。緩衝剤ツールは、すべての/いくつかの選択された緩衝剤レシピにおいて実装するためにユーザが選択することができるいくつかの異なるオプションを与え得る。例えば、ポンプサイズおよびポンプサイズの組合せなどの境界条件により、システム設定と互換性のないオプションも表示される場合があり、除外される可能性もある。最適化動作の後、1つまたは複数の緩衝剤レシピは、決定された最小数のストック濃度から選択されたストック濃度を用いて更新される。
【0067】
図2は、例えば、図4のセクション1~4に示すように液体混合物成分インターフェース21と、例えば、図4の結果セクションによって示されているように液体混合物処理制御インターフェース22と、処理回路23とを備える緩衝剤ツール20の例を概略的に示す。処理回路23は、調製されるべき液体混合物の組成を取得したことに応答して、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御するための設定を決定し、1つまたは複数の自動化プロセスの1つまたは複数の制御システムに複数の設定を提供するように構成される。緩衝剤ツールは、例えば、緩衝剤キッチン用途またはクロマトグラフィシステムにおいて液体混合物を調製するための様々な自動化プロセスに設定を提供するために利用可能である。
【0068】
図2にさらに示すように、本開示は、緩衝剤ツール20において実行されると、上記で開示した方法の態様のいずれかの実行を引き起こすコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体25にも関する。
【0069】
図3aは、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製を制御するための緩衝剤管理システム10のブロック図を示す。緩衝剤管理システムは、上記で開示した緩衝剤ツールを使用してインラインで緩衝剤を調製するように構成され、上記で開示した方法を実行するように構成される。緩衝剤管理システム10は、液体混合物、すなわち緩衝液の調製のための1つまたは複数の自動化プロセス構成40と、1つまたは複数の自動化プロセスを制御するための1つまたは複数の制御システム30とを備える。液体混合物の調製は、塩酸、塩基、および注射用水(WFI)の単一成分の濃縮原液を使用することを伴い得る。濃縮液の仕様は、緩衝剤容量を低減し、タンク容量ならびに床面積を節約するのに有益である。加えて、濃縮液の同じセットから多くの異なる緩衝剤を調製することができ、緩衝液調製をさらに効率化することができる。調合の正確さおよび調製間の一貫性のために、組込み動的制御機能を備えるフィードバックモードを使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の自動化プロセス構成は、制御システム30によって制御されるクロマトグラフィシステムを備える。緩衝剤ツール20は、制御システムに複数の設定を提供するように構成され、複数の設定は、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御する目的のために決定される。
【0071】
図3bに示す例示的な実施形態において、緩衝剤ツールは、液体混合物調製動作を実験室規模から大規模な工業規模にスケーリングするためのスケーリング動作、例えば、AKTA(商標) Avantにおける液体混合物調製環境からBioProcessインラインコンディショニング(IC)システムにおける大規模な液体混合物調製に移行することをサポートし得る。Avantは、4元バルブを使用して原液から緩衝液を調製することができる、すなわち、主に、実験室規模の量の液体混合物を調製するために使用される緩衝剤ブレンド構成であり、ICは、異なる成分のための複数のポンプを使用する緩衝剤ブレンド構成である。
【0072】
図3bに向かうと、例えば、Avant環境における、液体混合物の実験室規模の調製のためのパラメータ設定は、緩衝剤ツールにおいて決定され、例えば、データメッセージにおいて、Avantの制御システム30に提供される(1)。パラメータは、制御設定を決定し、制御システムから、例えば、制御メッセージにおいて提供する(2)ために使用される。緩衝剤ツールがAvant構成と一緒に使用される状況において、Avantは、例えば、各実行中に1つまたは複数のパラメータを調整しながら、Avantにおいて複数の実行を可能にすることによって、理想的な設定の決定を可能にするために偵察を行うことができる。したがって、Avant構成は、大規模に緩衝液を生産するためのパラメータを定義するのを助けることができる。図3bに開示した構成において、緩衝剤ツールは、例えば、データメッセージにおいて制御システムに提供される(1)パラメータ設定を決定するために使用される。制御システムは、制御パラメータを、例えば、制御メッセージにおいて、制御システムからAvantに提供する(2)ことによって、Avantシステムにおける自動化プロセスの調整された制御を進める。実験室規模の構成であるAvantは、緩衝液を提供するためにこれらの制御設定の制御の下で動作する。緩衝液に加えて、開示されている緩衝剤管理システムは、データ、報告、および結果を制御ソフトウェアおよび/または緩衝剤ツールにフィードバックするように構成される。したがって、実験室規模の構成、例えば、Avantは、例えば、データメッセージにおいて、制御ソフトウェアまたは緩衝剤ツールに提供される(3)データを生成し得る。このデータは、例えば、データメッセージにおいて、緩衝剤ツールにさらに提供される(4)。
【0073】
例示的な実施形態において、緩衝剤ツールは、実験室規模の構成からの結果およびデータを、より大規模な構成、例えば、IC構成に適したパラメータ設定に変換するように構成される。IC構成は、緩衝剤ツールにおいて新しいランを行うために使用することができるデータを生成する緩衝剤プロセス開発のために使用することができ、または検証されたシステムにおけるバイオ医薬品生産のための緩衝剤を生産することができる。緩衝剤ツールが可能にする方法は、緩衝剤キッチンにおける緩衝剤生産の制御を可能にするだけでなく、クロマトグラフィプロセスのために使用することもできる。
【0074】
緩衝剤ツールが実験室規模のプロセスのためのパラメータ設定を開発するために提供される場合、ツールは、モルレシピの計算、使用するストック濃度の定義、および適切なポンプ設定を可能にする。これらのパラメータ設定のフィードバックは、次いで、大規模なシステムを実行するための入力データの生成を改善するために使用され得る。大規模構成40bからのフィードバックループは、フィードバックデータが大規模構成40b、例えば、IC構成から制御システム30または緩衝剤ツール20に提供される(7)ことを可能にすることによって、改善をさらに前進させる。
【0075】
結果として、開示されている緩衝剤ツールは、複数のユースケースにおいて適用可能であり、例えば、実験室規模の構成もしくは工業用の大規模な構成における緩衝剤/プロセス開発のための液体混合物調製、または工業用緩衝剤/バイオ医薬品生産のための液体混合物調製をサポートする。さらに、緩衝剤ツールは、制御されたプロセスのスケールアップおよびスケールダウンを可能にするように構成される。上記のユースケースにおいて、緩衝剤ツールは、緩衝剤キッチンプロセスまたはクロマトグラフィプロセスに適用され、良好な結果が得られている。
【0076】
スケールアップシナリオにおいて、適切な液体混合物調製プロセスを決定するために、実験室規模の構成が最初に使用される。Avantは、モルレシピを定義し、液体混合物生産を最適化するために使用され、この液体混合物手順の決定において、実験室規模の構成からの情報を提供する(1)~(3)。その後、スケールアップ手順は、大規模構成において実行され、液体混合物調製のために、緩衝剤ツール20と、制御システム30と、大規模構成40bとの間で情報を提供する(4)~(7)を通して、さらに展開される。
【0077】
スケールダウンまたは変更手順において、例えば、生産において変更を行って、新しいプロセスを検証する必要がある場合、設定が、大規模構成から取得され、緩衝剤ツール20または制御システム(30)に情報として提供され(7)、その後、工業規模のプロセスを実行する前に、実験室規模の環境において、スケールダウンされたプロセスが実行および検証され得るように、実験室規模の設定が決定される。このタイプのスケールアップおよびスケールダウンのサポートは、提案されている緩衝剤ツールによって自動化される。
【0078】
当業者は、例えば、緩衝剤の品質について緩衝剤ツールから出力を得るために、液体混合物調製実行からの実際の結果と比較することができる理論的結果を得るために緩衝剤ツールにおいて緩衝剤計算機を使用するために、または組込みデータベースとして緩衝剤ツール内に記憶され得る情報を使用して予想される導電率を決定するために、フィードバック構造が液体混合物調製結果のシミュレーションをサポートすることも理解するであろう。
【0079】
工業用の大規模な状況において、緩衝剤管理システムは、液体混合物調製のための完全に自動化されたプロセスを可能にし、それによって、液体混合物は、必要なときに生産することができ、配合の時点で検証することができる。緩衝剤調製の制御における高められたダイナミクスは、pHおよび/または導電率の精度を高める。
【0080】
図4は、4つのセクション、セクション1~4に分割された液体混合物成分インターフェースと、結果セクションとして提示されたプロセス制御インターフェースとを備える例示的な緩衝剤ツールインターフェースを開示している。
【0081】
セクション1「緩衝剤クラス」において、緩衝剤ツールは、液体混合物の複数の属性の情報について入力を促し得る。そのような属性の例は、液体混合物のタイプ、液体混合物濃度、ならびに液体混合物密度および液体混合物導電率のうちの少なくとも1つを含む。液体混合物のpHは、緩衝液の導電率および濃度の関数として決定され得る。しかしながら、液体混合物のpHは、調製されるべき液体の事前設定された属性も表し得る。さらなる属性は、塩および添加物のタイプおよび濃度に関連する。セクション2「プロセス情報」において、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御することに関連する情報は、入力を促されるか、制御システムまたは別の関連システムから取得された後に提示され得る。プロセス情報は、例えば、流量、緩衝剤容量、およびプロセスステップ時間を含み得る。入力を促された情報に基づいて、液体混合物の組成を決定するためにモル濃度計算またはモル質量計算を実行するためのコンピュータ実装アルゴリズムが適用され得る。利用可能な原液が、例えば、自動化プロセス、または自動化プロセスの制御システムから取得され、液体混合物の調製中に使用するためのストック濃度を決定するために使用され得る。セクション4は、そのようなストック濃度を決定するための例示的なインターフェースを提供する。
【0082】
結果セクションは、酸およびその共役塩基、または塩基およびその共役酸を含む液体混合物の調製のための1つまたは複数の自動化プロセスの制御中に適用されるべきいくつかの設定を反映する。そのような結果は、自動化プロセスにおいて液体混合物を調製し、入口B1およびA2に接続するときに、酸、塩基、塩、添加物、および水を提供する様々なポンプに適用されるべき流量設定を含む。
【0083】
したがって、緩衝剤ツールは、目標の緩衝剤調製のための自動化プロセスを実行するために制御システムによって必要とされる複数の設定を生成する。緩衝剤ツールは、単一の緩衝液を生産するための方法だけでなく、生産プロセス全体、例えば、クロマトグラフィステップを含む生産プロセスを実行するための方法も生成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、緩衝液を生成するためのシステムの形態における緩衝剤管理システム10が提供される。
【0085】
図5は、緩衝液を調製または生成するためのシステム10を示す。図5からわかるように、緩衝液を生成するために、選択された成分が混合される。緩衝液は、特定の流量、例えば、リットル/秒において、出力ポート(PO)において提供される。成分は、典型的には、酸、塩基、塩、および注射用水(WFI)を含む。尿素、ポリソルベート、およびグリセロールなどのさらなる成分が追加され得る。
【0086】
典型的には、WFIは、コンテナとメインパイプとに結合されたメインポンプによって提供される。メインパイプの他端は、出力ポート(PO)に結合される。出力ポート(PO)は、バルブ、アダプタ、流体出力部材、またはカップリングの任意の組合せを備え得、例えば、ホースまたは他のパイプ状の構造に素早く結合することを可能にする。メインパイプの寸法、およびメインポンプの動作範囲、例えば、流量などのシステム特性は、緩衝液の流量、例えば、最大流量に関してシステムの動作空間を制限する。
【0087】
調製または生成されるべき緩衝液のタイプは、例えば、成分の数、成分の必要な容量、および/または成分の濃度などの成分特性を決定する。生成されるべき緩衝剤の総生成量は、成分の必要な容量を決定する。成分の必要な容量は、典型的には、目標の緩衝液を定義するレシピによって決定される。言い換えれば、システムの動作空間は、成分または原液の選択、例えば、原液濃度の選択によって制限される。
【0088】
成分の各々は、コンテナ内に貯蔵され、成分パイプを介して成分ポンプによって緩衝液に混合するためのメインパイプに供給される。各成分は、複数のタイプの緩衝液を生成するために、特定の流量においてメインパイプに供給される必要がある。したがって、成分パイプの寸法および動作範囲、例えば、成分ポンプの流量範囲などのシステム特性は、緩衝液の流量、例えば、生成される緩衝液の最大流量に関してシステムの動作空間を制限する。したがって、これは、生成することができる緩衝液の特性を制限し、例えば、選択することができる緩衝液タイプを制限し、生成される緩衝液のサポートされる目標流量を制限する。
【0089】
上記の説明から理解することができるように、例えば、特定の目標流量、特定の目標pH、および特定の目標総量において、特定の目標の緩衝液を生成するために、システム特性および成分特性の多数の可能な構成を使用することができる。システム特性および成分特性のこの多数の可能な構成は、システムの動作空間とみなすことができる。言い換えれば、目標の緩衝液タイプを生成するために、多数の可能な構成から選択された任意の構成を使用することができる。
【0090】
一例において、特定の緩衝液を生成するために、特定の濃度における10リットルの酸が必要とされ、または代替的には、半分の濃度の20リットルの酸が必要とされる。この例では、10リットルの例と20リットルの例とを比較したとき、酸を保持する成分コンテナの容量が2倍にされなければならず、成分ポンプの流量が2倍にされなければならない。これは、例えば、コンテナおよびポンプの特性の選択に影響を及ぼす場合がある。したがって、システム特性と成分特性との間で選択を行わなければならず、両方の例は、特定の目標の緩衝液のためのシステムの動作空間内に入る。
【0091】
図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、緩衝液を生成するためのシステム10を示す。オンデマンド緩衝剤生成システム10は、緩衝液を生成するように構成される。生成システムは、例えば、成分パイプCP1~CP4とメインパイプMPとを備える流体ネットワークを備える。一実施形態において、流体ネットワークは、例えば、第1の成分パイプCP1によって第1のコンテナC1に流体結合された第1のポンプP1を備える。第1のコンテナC1は、塩溶液FL1を保持するように構成される。第1のポンプP1は、流体FL1を第1のコンテナC1から出力ポートPOに搬送するように構成される。
【0092】
追加的または代替的に、流体ネットワークは、例えば、第2の成分パイプCP2によって第2のコンテナC2に流体結合された第2のポンプP2をさらに備える。第2のコンテナC2は、塩基溶液FL2を保持するように構成される。第2のポンプP2は、流体FL2を第2のコンテナC2から出力ポートPOに搬送するように構成される。
【0093】
追加的または代替的に、流体ネットワークは、例えば、第3の成分パイプCP3によって第3のコンテナC3に流体結合された第3のポンプP3をさらに備える。第3のコンテナC3は、酸溶液FL3を保持するように構成される。第3のポンプP3は、流体FL3を第3のコンテナC3から出力ポートPOに搬送するように構成される。
【0094】
追加的または代替的に、流体ネットワークは、例えば、第4の成分パイプCP4によって第4のコンテナC4に流体結合された第4のポンプP4をさらに備える。第4のコンテナC4は、注射用水FL4を保持するように構成される。第4のポンプP4は、流体FL4を第4のコンテナC4から出力ポートPOに搬送するように構成される。
【0095】
追加的または代替的に、流体ネットワークは、1つまたは複数の追加のポンプ(図示せず)をさらに備え、各ポンプは、例えば、対応する成分パイプ(図示せず)によって対応するコンテナ(図示せず)に流体結合される。コンテナは、尿素、ポリソルベート、およびグリセロールなどの添加物を保持するように構成される。1つまたは複数のポンプの各々は、流体を対応するコンテナから出力ポートPOに搬送するように各々構成される。
【0096】
追加的または代替的に、流体ネットワークは、ポンプP1~P4の各々を生成システム10の出力ポートPOに流体結合するカップリングおよび/またはパイプをさらに備える。流体ネットワークは、例えば、流体FL4、例えば、WFIをコンテナC4からメインパイプを介して出力ポートPOに提供するように構成されたメインパイプP4を備え得る。
【0097】
成分パイプCP1~CP4の各々は、典型的には、一端において、例えば、対応するコンテナC1~C4の底部において入口を設けられ、他端において、対応するポンプP1~P4に結合される。
【0098】
コンテナは、オプションで、使い捨てコンテナまたは再利用可能なコンテナであり得る。使い捨てコンテナは、洗浄を必要としないという利点を有し、再利用可能なコンテナは、規模の経済性の利点を有し、すなわち、緩衝液の生成が繰り返される場合、長期的にはより安価になる。
【0099】
追加的または代替的に、オンデマンドシステムは、ディスプレイ518をさらに備える。
【0100】
追加的または代替的に、オンデマンドシステムは、入力デバイス517をさらに備える。
【0101】
追加的または代替的に、オンデマンドシステムは、制御ユニットCU、30、810、910をさらに備える。制御ユニットは、典型的には、緩衝剤ツール20と制御システム30とを備える。緩衝剤ツール20は、回路を備え、回路は、処理回路512とメモリ515とを備え、前記メモリ515は、前記処理回路512によって実行可能な命令を含み、制御ユニットCU、30、810、910は、ポンプP1~P4の各々に通信可能に結合され、それによって、制御ユニットCU、30、810、910を備える前記生成システム10は、本明細書で説明する任意の方法ステップを実行するように構成される。制御ユニットCU、30、810、910について、図9に関連してさらに説明する。
【0102】
一実施形態において、前述の請求項のいずれかによるシステムは、生成された緩衝液の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサS1、S2をさらに備える。制御ユニットCU、30、810、910は、さらに、センサS1、S2の各々に通信可能に結合される。センサは、生成された緩衝液のpHおよび/または導電率を測定するように構成され得る。緩衝液において測定を実行するための任意の適切なセンサが使用され得る。図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、システム10によるコンテナへの緩衝液の生成を示す。本開示の一実施形態において、緩衝液の生成は、典型的には、クロマトグラフィランの直前に行われる。言い換えれば、特定のクロマトグラフィランに必要なタイプの緩衝液は、クロマトグラフィランをちょうど開始する時点で生成される。生成された緩衝液は、流体源内に、例えば、使い捨てコンテナまたは再利用可能なコンテナ内に一時的に保存される。例えば、図6に示すコンテナである。
【0103】
図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、クロマトグラフィ装置への緩衝液の生成を示す。一実施形態において、緩衝液の生成は、クロマトグラフィランと同時に実行される。すなわち、生成システム10は、生成された緩衝液を、出力ポート(PO)を介してクロマトグラフィ装置800に直接供給する。
【0104】
図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるクロマトグラフィ装置800をさらに示す。クロマトグラフィ装置800は、典型的には、少なくとも1つの入口855を備え得る。入口は、オプションで、生成システム10、および/または流体、例えば、溶離液を保持するように構成されたリザーバ(図示せず)に結合され得る。入口855は、例えば、チューブまたはホースなどの管状として実装され得る。入口855は、カラム841に結合されるように構成され得る。カラム841は、クロマトグラフィ装置800内に含まれ得、またはクロマトグラフィ装置800の外部に配置され得る。
【0105】
クロマトグラフィ装置800は、回路、例えば、プロセッサおよびメモリを備える制御ユニット810をさらに備え得る。メモリは、処理回路によって実行可能な命令を含み得、それによって、前記制御ユニット810および/またはクロマトグラフィ装置は、本明細書で説明するステップまたは方法のいずれかを実行するように動作可能である。制御ユニット810は、生成システム10の制御ユニットCU、810とは別体で、通信可能に結合され得、または一体化され得る。生成システム10の制御ユニット810について、図9に関連してさらに説明する。
【0106】
クロマトグラフィ装置800は、オプションで、カラム841の流体出口に結合され、UVセンサ831、導電率センサ832、および出口バルブ820のいずれかの選択に結合されたスプリッタ870を備える。スプリッタ870は、カラム841から受け取った流体を、UVセンサ831、導電率センサ832、および出口バルブ820のいずれかに向けるように構成され得る。オプションで、スプリッタ870は、制御ユニット810に通信可能に結合され得、制御ユニット810からの1つまたは複数の制御信号に応答して、UVセンサ831、導電率センサ832、および出口バルブ820のいずれかへの流体の結合を実行し得る。
【0107】
UVセンサ831は、制御ユニット810に通信可能に結合され得、スプリッタ870によって実行される流体のUV光吸光度などの定量的測定値を測定するように構成され得る。クロマトグラフィ装置800は、制御ユニット810に通信可能に結合され、定量的測定値、例えば、スプリッタ870によって提供される流体の導電率を測定するように構成された導電率センサ832をさらに備え得る。UVセンサ831および/または導電率センサ832は、測定された定量的測定値を、測定データを含む制御信号として制御ユニット810に提供するようにさらに構成され得る。
【0108】
クロマトグラフィ装置800は、スプリッタ870に結合された出口バルブ820をさらに備え得る。出口バルブ820は、1つまたは複数の出口または出口ポート821~823を有し得、例えば、制御ユニット810から受信した制御信号に応答して、スプリッタ870によって提供された流体を1つまたは複数の出口821~823に提供するように構成される。言い換えれば、溶離液の分画を実行する。
【0109】
図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による制御ユニットCU、30、810、910を示す。制御ユニットCU、30、810、910は、例えば、電子制御ユニット、サーバ、オンボードコンピュータ、据え付け型コンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、手首装着型コンピュータ、スマートウォッチ、スマートフォン、またはスマートテレビの形態であり得る。制御ユニットCU、30、810、910は、有線またはワイヤレス通信用に構成されたトランシーバ904に通信可能に結合された処理回路912を備え得る。制御ユニットCU、30、810、910は、少なくとも1つのオプションのアンテナ(図示せず)をさらに備え得る。アンテナは、トランシーバ904に結合され得、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、5Gなどの通信ネットワークにおいて有線信号またはワイヤレス信号を送信および/または放射および/または受信するように構成される。一例において、処理回路912は、互いに協働するように構成された処理回路および/または中央処理装置および/またはプロセッサモジュールおよび/または複数のプロセッサの選択のいずれかであり得る。さらに、制御ユニットCU、30、810、910は、メモリ915をさらに備え得る。メモリ915は、例えば、ハードRAM、ディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、フラッシュドライブもしくは他のリムーバブルもしくは固定メディアドライブ、または当該技術分野で周知の任意の他の適切なメモリの選択を備え得る。メモリ915は、本明細書で説明するステップまたは方法のいずれかを実行するために処理回路によって実行可能な命令を含み得る。処理回路912は、オプションで、トランシーバ904、メモリ915、pHセンサおよび導電率センサS2などの1つまたは複数のセンサS1、S2のうちのいずれかの選択に通信可能に結合され得る。制御ユニットCU、30、810、910は、上記のユニットのうちのいずれかもしくは外部ノードとの間で制御信号を直接送信/受信するか、または有線および/もしくはワイヤレス通信ネットワークを介して制御信号を送信/受信するように構成され得る。
【0110】
有線/ワイヤレストランシーバ904および/または有線/ワイヤレス通信ネットワークアダプタは、処理回路912または他の外部ノードとの間でデータ値またはパラメータを信号として送信および/または受信するように構成され得る。例えば、測定されたpHもしくは導電率、または緩衝液の生成された容量である。
【0111】
一実施形態において、トランシーバ904は、外部ノードと直接、またはワイヤレス通信ネットワークを介して通信する。
【0112】
1つまたは複数の実施形態において、制御ユニットCU、30、810、910は、ユーザから入力または指示を受信し、ユーザ入力または指示を示すユーザ入力信号を処理回路912に送信するように構成された入力デバイス917をさらに備え得る。
【0113】
1つまたは複数の実施形態において、制御ユニットCU、30、810、910は、処理回路912から、テキストまたはグラフィカルユーザ入力オブジェクトなどのレンダリングされたオブジェクトを示す表示信号を受信し、受信した信号を、テキストまたはグラフィカルユーザ入力オブジェクトなどのオブジェクトとして表示するように構成されたディスプレイ818をさらに備え得る。
【0114】
一実施形態において、ディスプレイ818は、ユーザ入力デバイス917と統合され、処理回路912からテキストもしくはグラフィカルユーザ入力オブジェクトのなどのレンダリングされたオブジェクトを示す表示信号を受信し、受信した信号をテキストもしくはグラフィカルユーザ入力オブジェクトなどのオブジェクトとして表示するように構成され、および/またはユーザから入力もしくは指示を受信し、ユーザ入力もしくは指示を示すユーザ入力信号を処理回路912に送信するように構成される。
【0115】
さらなる実施形態において、制御ユニットCU、30、810、910は、生成システム10に属する物理的特性を受信および/または取得および/または測定し、生成システム10の物理的特性を示す1つまたは複数のセンサ信号を処理回路912に送信するように構成された1つまたは複数の追加のセンサ(図示せず)をさらに備え得、および/またはそれらに結合され得る。例えば、周囲温度を測定する温度センサである。
【0116】
1つまたは複数の実施形態において、処理回路912は、入力デバイス917および/またはディスプレイ9818、918および/または追加のセンサおよび/または図6に関連して説明したユニットのうちのいずれかにさらに通信可能に結合される。
【0117】
図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるコンピュータ実装方法1000のフローチャートを示す。コンピュータ実装方法は、動作空間を決定するように構成され、緩衝液を生成/調製するように構成されたオンデマンド緩衝液生成/調製システム10によって実行される。生成システム10は、緩衝液の成分FL1~FL4を保持するための複数の流体コンテナC1~C4と、流体コンテナC1~C4の各々から流体を搬送するためのポンプP1~P4と、ポンプの各々を生成システム10の出力ポートPOに流体結合するパイプと、ポンプP1~P4の各々に通信可能に結合された制御ユニットCU、810とを備える。生成システム10について、図6に関連してさらに説明する。方法は、以下のステップを含む。
【0118】
ステップ1010:生成システム10によって生成されるべき目標の緩衝液の目標特性を示す第1の入力データを取得する。第1の入力データは、入力デバイス917から受信され得、および/またはメモリ915から取得され得、および/または、通信ネットワークを介して別のユニットから、例えば、サーバもしくはクラウドサーバから、信号/メッセージにおいて受信され得る。
【0119】
第1のデータは、調製されるべき液体混合物の組成を含み得、図2に関連してさらに説明したように、調製されるべき液体混合物の組成が取得される方法と同様の方法で取得され得る。
【0120】
一実施形態において、動作空間の決定をもたらす目標の緩衝液は、目標特性によって定義される。一実施形態において、目標特性は、目標の緩衝液のタイプ、緩衝液の目標総生成量および緩衝液の目標pH、緩衝液の目標濃度、緩衝液の目標流量、緩衝液の目標塩濃度のいずれかの選択を示す。
【0121】
オプションでまたは追加的に、目標特性は、出力ポートPOにおける生成された緩衝液の流量を示す。
【0122】
オプションでまたは追加的に、目標特性は、生成された緩衝液の濃度を示す。
【0123】
ステップ1020:生成システムのシステム特性を示す第2の入力データを取得する。第2の入力データは、入力デバイス917から受信され、および/またはメモリ915から取得され、および/または通信ネットワークを介して別のユニット、例えば、サーバもしくはクラウドサーバから信号/メッセージにおいて受信され得る。
【0124】
一実施形態において、動作空間の決定をもたらす生成システム10の特性は、システム特性によって定義される。一実施形態において、システム特性は、ポンプの流量範囲、成分コンテナの容量、および生成システム10のパイプ寸法の選択を示す。本開示は、上記の特性に限定されず、センサ、フィルタなどの他の構成要素の特性も示し得ることが理解される。
【0125】
ステップ1030:緩衝液を生成するために使用される成分の成分特性を示す第3の入力データを取得する。第3の入力データは、入力デバイス517から受信され得、および/またはメモリ515から取得され得、および/または通信ネットワークを介して別のユニット、例えば、サーバもしくはクラウドサーバから信号/メッセージにおいて受信され得る。
【0126】
一実施形態において、緩衝液を生成するために使用され、動作空間の決定をもたらす成分の特性は、成分特性によって定義される。一実施形態において、成分特性は、緩衝液の成分の濃度および溶解度のいずれかの選択を示す。
【0127】
一例において、第1、第2、および第3の入力データを取得するステップは、液体混合物/緩衝液の複数の属性の情報の入力を促すステップを含む。調製されるべき液体混合物の組成は、複数の属性の情報を受信し、少なくとも1つのソフトウェア実装アルゴリズム、例えば、モル濃度計算またはモル質量計算のためのアルゴリズムを適用することに応答して決定される。液体混合物/緩衝液の属性は、液体混合物のタイプ/緩衝液のタイプと、液体混合物の濃度/緩衝液の濃度と、液体混合物の密度/目標緩衝剤密度および液体混合物の導電率/目標緩衝剤のタイプの導電率のうちの少なくとも1つとを含み得る。
【0128】
ステップ1040:第1の入力データと、第2の入力データと、第3の入力データとを使用して緩衝液の生成のための外側動作境界を計算することによって動作空間を決定する。追加的または代替的に、第2の入力データは、複数のシステム特性から選択することによって取得され、第3の入力データは、複数の成分特性から選択することによって取得される。
【0129】
動作空間を決定するステップは、例えば、図2においてさらに説明されているように、1つまたは複数の自動化プロセスにおける液体混合物の調製を制御するための複数の設定を決定するステップを含み得る。
【0130】
一例において、外側動作境界は、第1のデータおよび/または第2のデータおよび/または第3のデータのいずれかのための1つまたは複数の所定の境界条件を取得することによって、1つまたは複数の境界条件を使用して検証することができる外側動作境界を選択するように計算される。境界条件は、酸ストック容量の最小および/または最大、塩基ストック容量の最小および/または最大、ならびに自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプの最小流量および/または最大流量のうちの1つまたは複数を含み得る。検証について、図1図2、および図3bに関連してさらに説明する。
【0131】
一例において、ユーザは、目標の緩衝剤タイプのアセテートと、生成される緩衝液の目標総容量の1000リットルと、目標pHの4.3と、生成される緩衝液の目標pHの4.3と、目標緩衝剤濃度の100mM(ミリモル)とを示す入力データを提供する。生成システムは、次いで、29.4リットルの推定塩基成分容量と、35.3リットルの推定酸成分容量と、29.4リットルの推定塩成分容量とに基づいて、使用可能なコンテナを示す動作空間を決定する。すなわち、利用可能なコンテナまたはタンクのリストが推定容量と比較され得、必要な容量を収容することができる利用可能なコンテナのリストから選択されたコンテナのサブセットが決定される。
【0132】
1つのさらなる例において、ユーザは、塩基FL2および酸FL3の成分濃度と、1インチのメインパイプサイズと、毎時200リットルの生成システムの流量とを示す入力データをさらに提供する。生成システムは、次いで、異なるポンプP1~P4の推定流量、例えば、第1のポンプP1の毎時15~600リットルの推定流量範囲、第2のポンプP2の毎時4~180リットルの推定流量範囲、第3のポンプP3の毎時4~180リットルの推定流量範囲、および第4のポンプP4の毎時45~200リットルの推定流量範囲に基づいて、使用可能なポンプを示す動作空間を決定する。すなわち、利用可能なポンプのリストが推定流量と比較され得、必要な流量を収容することができる利用可能なポンプのリストから選択されたポンプのサブセットが決定される。
【0133】
いくつかの実施形態において、緩衝液を生成するために必要な成分の比率は、Debye-Huckel式を使用して計算され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS9,446,329B2においてさらに説明されている。
【0134】
一実施形態において、第1の入力データを取得するステップは、目標特性を示すユーザ入力を受信するステップであって、目標特性が、少なくとも、目標の緩衝液のタイプ、生成される緩衝液の目標濃度、および緩衝液の生成される目標総容量を示す、ステップと、Debye-Huckel式またはそのソフトウェア実装アルゴリズムを使用してさらなる目標特性を計算するステップであって、さらなる目標特性が、目標の緩衝液のタイプを定義するレシピを使用して導出された成分の流量を含む、ステップとをさらに含む。
【0135】
追加的または代替的に、この実施形態は、方程式を評価することによって緩衝液のレシピを決定するステップをさらに含み得る。方程式を評価するステップは、生成される緩衝液のイオン強度に寄与するすべての種の加重平均イオンサイズに基づいてDebye-Huckel式におけるイオンサイズパラメータaを決定するステップであって、各種のイオン強度がDebye-Huckel式における重み付けパラメータとして使用される、ステップと、Debye-Huckel式と決定されたイオンサイズパラメータaとに基づいて、緩衝液の成分の相対的な成分比率を決定するステップと、成分の比率と生成システム10のパイプサイズに基づいて導出された最大流量とを使用して成分の流量を示すさらなる目標特性を計算するステップとを含む。
【0136】
追加的または代替的に、この実施形態は、例えば、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション1において示唆されているように、液体混合物/緩衝液の複数の属性について、例えば、ユーザインターフェースまたは液体混合物組成インターフェースによって入力を促すステップを含む、調製されるべき液体の組成を取得することによって緩衝液のレシピを決定するステップをさらに含み得る。そのような属性の例は、液体混合物/緩衝液のタイプ、液体混合物/緩衝液の濃度、ならびに液体混合物/緩衝液の密度および液体混合物/緩衝液の導電率のうちの少なくとも1つを含む。液体混合物のpHは、緩衝液の導電率および濃度の関数として決定され得る。しかしながら、液体混合物のpHはまた、調製されるべき液体の事前設定された属性を表し得る。複数の属性の情報を受信したことに応答して、液体混合物/緩衝液の組成は、少なくとも1つのソフトウェア実装アルゴリズムを適用することによって、例えば、図4に示す緩衝剤ツールインターフェースのセクション3に示すようにモル濃度計算またはモル質量計算アルゴリズムを使用することによって決定され得る。
【0137】
追加的または代替的に、この実施形態は、クロマトグラフィ装置において実験を実行することによって緩衝液のレシピを決定するステップをさらに含み得る。組成を取得するステップS11は、次いで、実験計画法(DoE)データを取得するステップを含み、DoEデータは、緩衝剤組成のセットおよび対応する一意のレシピを示す。DoEデータは、例えば、メモリから取得され得る。実施形態において、緩衝剤組成のセットは、設計範囲内の緩衝剤組成の全セットからサブセットとして選択される。方法は、例えば、クロマトグラフィ装置を使用して実験の第1のセットを実行するステップをさらに含み得る。一例において、実験は、クロマトグラフィ装置への唯一の入力としてDoEデータによって示される各一意のレシピに従って混合された緩衝剤組成を連続的に提供することによって実行される。方法は、実験の第1のセットからの出力として実験結果(RoE)データを取得するステップをさらに含み得る。実施形態において、RoEデータは、少なくとも、緩衝剤組成のセットおよび/または緩衝剤組成の全セットの各緩衝剤組成の水素イオン指数(pH)値を示す。オプションで、方法は、第1の目的関数を取得するステップをさらに含み得る。実施形態において、第1の目的関数は、少なくともpH値および導電率値に依存し得る。方法は、対応するpH値が第1の目的関数を最適化する緩衝剤組成のセットおよび/または緩衝剤組成の全セットからの第2のサブセットを選択するステップをさらに含み得る。オプションで、方法は、化学的サンプルのクロマトグラフィ用の1つまたは複数の緩衝剤組成レシピを、第2のサブセットに対応する一意のレシピとして決定するステップをさらに含み得る。実施形態において、方法は実験の予測(PoE)データを取得するステップをさらに含み、PoEデータは、少なくとも、緩衝剤組成の全セットの各緩衝剤組成の予測されたpH値および予測された導電率値を示す。緩衝液の組成を取得するステップに関するさらなる詳細は、以前に含まれたWO2018/229271に見ることができる。
【0138】
代替的または追加的に、動作空間は、表現にさらにレンダリングされ、例えば、生成システム10のユーザに表示される。この実施形態において、方法は、
動作空間を示す表現1100をレンダリングするステップと、
表現1100を生成システムのユーザに表示するためにディスプレイ818、918を制御するステップと
をさらに含む。ディスプレイは、生成システム10によって構成された、もしくは生成システム10において配置されたディスプレイ918であり得、またはクロマトグラフィ装置によって構成された、もしくはクロマトグラフィ装置において配置されたディスプレイ818であり得る。表現1100について、図11に関連してさらに説明する。
【0139】
ユーザが固定されるべきかそうでないかの態様に応じて、動作空間は、異なる外側動作境界を計算することによって定義され得る。
【0140】
これは、例えば、生成システム10の実行可能な構成に到達するために、知覚を改善し、ユーザが情報を理解して反応するまでの時間を短縮するという利点を有する。表現1100は、動作空間を視覚的に示すように適合され得、それによって、提示を人間の生理学に適合させる、例えば、隣接するセルのグループをグリッドにおいて提示することによって、それによって、ユーザの視覚システムが、セル/要素を、動作空間を表すパターンに自動的にグループ化することを可能にし、例えば、ゲシュタルト理論を参照されたい。
【0141】
一実施形態において、動作境界は、緩衝液の成分の濃度の複数の組合せの各々について、生成される緩衝液のpHを示す。
【0142】
成分の濃度の選択は、非常に重要であり、プロセスにとって重大なことである。
【0143】
一実施形態において、動作境界は、決定された動作空間内に入るシステム特性を有するポンプの流量範囲を示す。
【0144】
一実施形態において、動作境界は、決定された動作空間内に入るシステム特性を有するコンテナの容量範囲を示す。
【0145】
一実施形態において、動作境界は、緩衝液を生成するために必要な成分の容量範囲または濃度範囲を示す。
【0146】
動作空間を形成するために、任意の数の動作境界が使用され、組み合わされ得る。
【0147】
いくつかの実施形態において、方法は、動作空間を使用して導出または割り当てられた制御パラメータを使用して生成システム10を制御するステップをさらに含む。この実施形態において、方法は、決定された動作空間内で動作するように生成システム10を制御する制御パラメータを割り当てるステップと、割り当てられた制御パラメータを使用して生成システム10を制御するステップとをさらに含む。
【0148】
言い換えれば、割り当てられた制御パラメータまたは複数の設定を、自動化プロセスを実行する1つまたは複数のシステム10の1つまたは複数の制御システム30、810、910に提供する。割り当てられた制御パラメータは、自動化プロセスにおいて使用されるそれぞれのポンプに関する1つもしくは複数のストック濃度および/または1つもしくは複数のポンプ設定を含み得る。制御システム30、810、910によって、1つもしくは複数の自動化プロセスのうちの選択された自動化プロセスおよび/または割り当てられた制御パラメータの情報をさらに取得/受信する。選択された自動化プロセスの制御システム30、810、910のための制御モードが決定され得、自動化プロセスは、制御モードを使用して制御システム30、810、910によって実行される。制御モードは、流量フィードバック、pHフィードバック、および導電率フィードバックのうちの1つまたは複数を含む。自動化プロセスは、緩衝剤キッチンまたはクロマトグラフィシステムとして実行され得る。クロマトグラフィシステムとして実行される場合、制御モードは、クロマトグラフィシステムの4元バルブのプログラミングを含み得る。
【0149】
一例において、決定された動作空間内で動作するように生成システム10を制御する制御パラメータを割り当てるステップは、必要な容量を収容することができる利用可能なコンテナのリストから選択された、上記で説明したコンテナのサブセットからコンテナを選択するステップと、選択されたコンテナの容量を制御パラメータとして割り当てるステップとを含む。例えば、コンテナが空になった後、またはコンテナが空もしくは実質的に空になったときに、緩衝液の生成を停止することによる。
【0150】
制御パラメータは、動作空間/動作境界内に入るパラメータ値を示すユーザからの入力データを受信することによって、動作空間/動作境界内に割り当てられ得る。
【0151】
制御パラメータは、動作空間/動作境界内に入るパラメータを割り当てるために目的関数を最適化または評価することによって、動作空間/動作境界内に割り当てられ得る。目的関数は、例えば、利用可能なコンテナまたは成分については低コストを有し得、注文または他の方法で取得される必要があるコンテナまたは成分については高コストを有し得る。最低コストを表すコンテナの容量または成分の濃度が割り当てられ得る。
【0152】
一例において、決定された動作空間内で動作するように生成システム10を制御する制御パラメータを割り当てるステップは、ポンプP1~P3を、対応するコンテナC1~C4内に保持される成分の濃度に依存する特定の流量に制御するステップを含む。すなわち、成分の第1の濃度が選択された場合、ポンプを第1の流量の流量に制御し、第1の濃度の半分の成分の濃度が選択された場合、ポンプを第1の流量の2倍の流量に制御する。
【0153】
図11は、本開示の1つまたは複数の実施形態による動作空間の表現1100を示す。表現の例は、2つの軸を有する2次元グリッドとして示される。グリッドは、一方の軸においてpH値を表し得、他方の軸において緩衝液の成分の濃度の組合せを表し得る。グリッドのボックスは、pH値および成分の濃度の対応する組合せが目標の緩衝液を生成することができる有効な組合せを表していない場合、空として示される。
【0154】
一実施形態において、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令が制御ユニット30、810、910内に含まれる処理回路上で実行されたときに、制御ユニット30、810、910に本明細書で説明する方法ステップのいずれかを実行させるコンピュータ実行可能命令を含む。
【0155】
一実施形態において、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読記憶媒体を備え、コンピュータ可読記憶媒体は、その中に具体化された上記のコンピュータプログラムを有する。
【0156】
本開示の第1の例示的な実施形態を以下で提供する。この例において、1つのプロセスのための適切なハードウェアシステムおよび適切な原液セットアップが決定される。
【0157】
図12は、目標の緩衝液の例示的な目標特性の表1200を示す。表は、第1の列において目標の緩衝液のタイプを識別するインデックスを示す。表は、第2の列において目標の緩衝液名を示す。表は、第3の列において緩衝液の目標pHを示す。表は、第4の列において緩衝液の目標塩濃度を示す。表は、第5の列において緩衝液の目標流量も示す。
【0158】
表における情報は、目標特性、すなわち、目標の緩衝剤の緩衝剤濃度、pH、塩濃度、ならびに最高および最低流量の第1の入力データを形成する。
【0159】
第1の入力データにおける緩衝液の目標流量に基づいて、顧客は、1インチシステムまたは1インチのパイプ寸法を必要とし、それによって、目標プロセス1、またはこの例では目標の緩衝液を生成するためのプロセスについて200~2000リットル/時の流量範囲を提供する。言い換えれば、所望の最小流量は、1インチのパイプを使用するシステムの流量範囲内に入る。
【0160】
図13は、生成システムの例示的なシステム特性の表1300を示す。次いで、第2の入力データは、8つのシステム構成、または表1300において提示されているポンプの1×2×2×2の異なる組合せの中からの選択とみなすことができる。
【0161】
第3の入力データは、緩衝液を生成するために使用される成分特性、または例1では、酸および塩基(緩衝液を生成するために使用される成分)の原液の濃度を示す。
【0162】
典型的には、様々な成分の溶解度の限界内で原液ができる限り濃縮されることが生成システムのユーザにとって有利である。これは、より大きい容量の低減を与えるからであり、同じ理由のため、ポンプは、できる限り小さくすべきである。この第1の例において、25の異なる組合せをもたらす酸および塩基の5つの異なる可能なストック濃度を検討した。
【0163】
この例において、モルレシピ(第1の入力データの緩衝液の各々1つにおける酸のモル濃度または相対的な成分比率、および塩基のモル濃度)は、Debye-Huckel式の解に基づいてUS9,446,329B2に記載の方法を使用して計算され、ここで、Debye-Huckel式におけるイオンサイズパラメータaは、生成される緩衝液のイオン強度に寄与するすべての種の加重平均イオンサイズとして計算され、各種のイオン強度は、Debye-Huckel式または参照によりその全体が本明細書に組み込まれる出願US12/988,553における重み付けパラメータとして使用される。
【0164】
次いで、各成分のモルレシピは、原液の25の組合せおよびポンプの8つの組合せのすべてについて酸ポンプおよび塩基ポンプのポンプ流量を取得するために、以下の式において使用される。
酸流量=(酸のモル濃度/酸のストック濃度)×目標緩衝液流量
塩基流量=(塩基のモル濃度/塩基のストック濃度)×目標緩衝液流量
最大の流量減少を与えるポンプの組合せの最終的な選択の結果は、表1400において提示されている。
【0165】
図14は、例示的なシステムおよび/または成分構成の表1400を示す。最初の3つの列は、図12における表1200に示す列と同様の情報、すなわち、目標の緩衝剤のタイプ、目標の緩衝剤流量、および成分濃度を含む。第4の列において、緩衝液の生成のための外側動作境界は、ポンプ特性またはサイズの形式において示されている。ポンプAは、酸ポンプのサイズを示し、ポンプBは、塩基ポンプのサイズを示す。言い換えれば、図6に示すポンプP2およびP3である。
【0166】
この第1の例におけるプロセス1の結果は、1つのICシステムにおいてすべての所望の緩衝剤を生成することを可能にするために、この顧客がポンプA(P3)とポンプB(P2)の両方において2000L/時の最大容量とサイズ3とを有する1インチパイプシステムを必要とすることを示す。他のポンプサイズを有するシステムは、顧客に対して同じ総容量の削減をもたらさない。
【0167】
本開示の第2の例示的な実施形態を以下に提供する。この第2の例において、2つのプロセスに適したハードウェアシステムおよび原液セットアップの決定が示されている。この例において、システムは、第1におけるプロセス1と、ここではプロセス2と示されている第2のプロセスの両方を実行するために使用される。
【0168】
プロセス1のための目標の緩衝液のリストは、例1と同じであり、図12に示されている。
【0169】
プロセス2のための目標の緩衝液のリストは、図15の表1500に示されている。
【0170】
図15は、目標の緩衝液の例示的な目標特性の表1500を示す。表は、第1の列において目標の緩衝液タイプを識別するインデックスを示す。表は、第2の列において目標の緩衝液名を示す。表は、第3の列において緩衝液の目標pHを示す。表は、第4の列において緩衝液の目標塩濃度を示す。表は、第5の列において緩衝液の目標流量も示す。
【0171】
プロセス2のための計算の手順は、上記の第1に示したプロセス1と同様である。
【0172】
図16は、例示的なシステムおよび/または成分構成の表1600を示す。この第2の例の結果は、この顧客が1つの生成システムにおいてすべての所望の緩衝剤を生成することを可能にするために、ポンプA(P3)とポンプB(P2)の両方において2000L/時の最大容量とサイズ3とを有する1インチシステムを必要とすることを示す。可能な最高濃度の原液が、図16の表1600に示されている。
【0173】
次いで、任意のさらなる生成プロセス3、4などに対して同じ手順を繰り返すことができる。方法は、次いで、個々のプロセスならびに組み合わされたすべてのプロセスについてのハードウェア要件を示すことができる。
【0174】
図17は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、動作空間の、組み合わされたプロセスの表現1700を示す。このオーバレイは、ニーズが1つのシステムサイズによってカバーされているかどうか、または顧客が異なるサイズのシステムを必要としているかどうかを示す。
【0175】
言い換えれば、2つ以上のプロセスの動作空間は、オーバレイされ、動作空間が互いに重ね合わされると、組み合わされた動作空間を形成する。
【0176】
実施形態において、通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、グローバルシステムフォーモバイルネットワーク(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム、ロングタームエボリューション、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)、LTEアドバンスト、IEEE802.16m、ワイヤレスMANアドバンスト、進化型高速パケットアクセス(HSPA+)、3GPPロングタームエボリューション(LTE)、モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)、ウルトラモバイルブロードバンド(UMB)(以前のエボリューションデータオプティマイズド(EV-DO)Rev.C)、シームレスハンドオフ直交周波数分割多重化(Flash-OFDM)による高速低遅延アクセス、大容量空間分割多元接続(iBurst(登録商標))およびモバイルブロードバンドワイヤレスアクセス(MBWA)(IEEE 802.20)システム、高性能無線メトロポリタンエリアネットワーク(HIPERMAN)、ビーム分割多元接続(BDMA)、全世界マイクロ波アクセス相互運用性(Wi-MAX)、ならびに超音波通信のうちの少なくとも1つを含み得るが、これらに限定されない。
【0177】
さらに、制御ユニット30、CU、810、910は、本解決策を実行するために、例えば、機能、手段、ユニット、要素の形態において必要な通信能力を備え得ることが、当業者によって理解される。他のそのような手段、ユニット、要素、および機能の例は、本解決策を実行するために一緒に適切に配置される、プロセッサ、メモリ、バッファ、制御ロジック、エンコーダ、デコーダ、レートマッチャー、デレートマッチャー、マッピングユニット、乗算器、決定ユニット、選択ユニット、スイッチ、インターリーバ、デインターリーバ、モジュレータ、デモジュレータ、入力、出力、アンテナ、増幅器、レシーバユニット、トランスミッタユニット、DSP、MSD、TCMエンコーダ、TCMデコーダ、電源ユニット、給電線、通線インターフェース、通信プロトコルなどである。
【0178】
特に、本開示の処理回路および/または処理手段は、処理回路、互いに協働するように構成されたプロセッサモジュールおよび複数のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、処理ユニット、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または命令を解釈して実行し得る他の処理ロジックの1つまたは複数のインスタンスを備え得る。「処理回路」および/または「処理手段」という表現は、したがって、例えば、上記のもののうちの任意の一部またはすべてなどの複数の処理回路を備える処理回路を表し得る。処理手段は、データバッファリングを含む、データの入力、出力、および処理のためのデータ処理機能と、ユーザインターフェース制御などのデバイス制御機能とをさらに実行し得る。
【0179】
本明細書で提供する例示的な実施形態の説明は、例示の目的のために提示されている。説明は、網羅的であること、または例示的な実施形態を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではなく、修正および変形が、上記の教示に照らして可能であり、または提供されている実施形態に対する様々な代替形態の実施から取得され得る。本明細書で論じる例は、当業者が例示的な実施形態を様々な方法で、想定される特定の使用に適した様々な修正とともに利用することを可能にするために、様々な例示的な実施形態の原理および性質、ならびにその実際的応用を説明するために選択および説明されている。本明細書で説明する実施形態の特徴は、緩衝剤ツール、緩衝剤管理システム、対応する方法、およびコンピュータプログラム製品のすべての可能な組合せにおいて組み合わされ得る。本明細書で提示する例示的な実施形態は、互いに組み合わせて実施され得ることが理解されるべきである。
【0180】
一般に、本明細書で使用するすべての用語は、異なる意味が明確に与えられない限り、および/または使用される文脈から暗示されない限り、関連する技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0181】
本明細書では、様々な実施形態を参照している。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲内に依然として入る、説明した実施形態に対する多数の変形例を認識するであろう。
【0182】
例えば、本明細書で説明する方法の実施形態は、特定の順序で実行されるステップを介して例示的な方法を開示する。しかしながら、特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの一連のイベントが別の順序で行われ得ることが認識される。さらに、いくつかの方法ステップは、それらが順番に実行されると説明されていても、並行して実行され得る。したがって、本明細書で開示する任意の方法のステップは、ステップが別のステップに続くもしくは先行するものとして明示的に説明されていない限り、および/またはステップが別のステップに続くもしくは先行しなければならないことが暗示されていない限り、開示されている正確な順序で実行される必要はない。
【0183】
同様に、実施形態の説明において、特定のユニットへの機能ブロックの分割は、決して限定を意図するものではないことが留意されるべきである。逆に、これらの分割は、単なる例である。1つのユニットとして本明細書で説明されている機能ブロックは、2つ以上のユニットに分割され得る。さらに、2つ以上のユニットとして実装されるものとして本明細書で説明されている機能ブロックは、より少ない(例えば、単一の)ユニットに併合され得る。
【0184】
本明細書で開示する実施形態のいずれかの任意の特徴は、適切な場合はいつも、任意の他の実施形態に適用され得る。同様に、実施形態のいずれかの任意の利点は、任意の他の実施形態に適用され得、逆もまた同様である。
【0185】
図面および明細書において、本開示の例示的な態様が開示されている。しかしながら、本開示の原理から実質的に逸脱することなく、これらの態様に対して多くの変形および修正が行われ得る。したがって、本開示は、制限的ではなく例示的であるとみなされるべきであり、上記で論じた特定の態様に限定されるとみなされるべきではない。したがって、特定の用語が使用されているが、それらは、一般的で説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的としていない。
【0186】
したがって、記載されている実施形態の詳細は、例示の目的のために提示された単なる例であり、特許請求の範囲内に入るすべての変形は、そこに包含されることが意図されていることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0187】
10 オンデマンド緩衝剤生成システム、オンデマンド緩衝液生成/調製システム
20 緩衝剤ツール
21 液体混合物成分インターフェース
22 液体混合物処理制御インターフェース
23 処理回路
30 制御システム
40 自動化プロセス構成
40b 大規模構成
512 処理回路
515 メモリ
517 入力デバイス
518 ディスプレイ
800 クロマトグラフィ装置
810 制御ユニット
818 ディスプレイ
820 出口バルブ
821,822,823 出口、出口ポート
831 UVセンサ
832 導電率センサ
841 カラム
855 入口
904 トランシーバ
910 制御ユニット
912 処理回路
915 メモリ
917 入力デバイス
918 ディスプレイ
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17