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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】生分解性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20241108BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20241108BHJP
   C08L 1/26 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20241108BHJP
   C08J 3/21 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 20/24 20060101ALI20241108BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20241108BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
C08L5/00
C08L1/00
C08L1/26
C08K3/16
C08J3/21 CEP
B01J20/04 C
B01J20/24 C
B01J20/26 H
C08L101/16
【請求項の数】 57
(21)【出願番号】P 2021550103
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 GB2020050455
(87)【国際公開番号】W WO2020174234
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】1902558.4
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】524292444
【氏名又は名称】セアロ・ラブス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEARO LABS LTD
【住所又は居所原語表記】181 CAMBRIDGE SCIENCE PARK, MILTON ROAD, CAMBRIDGE, ENGLAND CB4 0GJ, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】デュンダル・フィールド,アイカ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107629226(CN,A)
【文献】米国特許第11178988(US,B2)
【文献】米国特許第11180300(US,B2)
【文献】国際公開第23/081848(WO,A1)
【文献】国際公開第22/167933(WO,A1)
【文献】GUOHOU SUN; ET AL,RHEOLOGICAL BEHAVIORS AND PHYSICAL PROPERTIES OF PLASTICIZED HYDROGEL FILMS DEVELOPED 以下備考,FOOD HYDROCOLLOIDS,NL,2018年12月,VOL:85,PAGE(S):61-68,http://dx.doi.org/10.1016/j.foodhyd.2018.07.002,FROM [KAPPA]-CARRAGEENAN INCORPORATING HYDROXYPROPYL METHYLCELLULOSE
【文献】SUN GUOHOU; ET AL,DEVELOPING A GREEN FILM WITH PH-SENSITIVITY AND ANTIOXIDANT ACTIVITY BASED ON [KAPPA]- 以下備考,FOOD HYDROCOLLOIDS,2019年01月25日,VOL:94,PAGE(S):345-353,http://dx.doi.org/10.1016/j.foodhyd.2019.03.039,CARRAGEENAN AND HYDROXYPROPYL METHYLCELLULOSE INCORPORATING PRUNUS MAACKII JUICE
【文献】MAKWANA DIPAK; ET AL,CHARACTERIZATION OF AGAR-CMC/AG-MMT NANOCOMPOSITE AND EVALUATION OF ANTIBACTERIAL 以下備考,ARABIAN JOURNAL OF CHEMISTRY,NL,ELSEVIER,2018年09月06日,VOL:13, NR:1,PAGE(S):3092-3099,http://dx.doi.org/10.1016/j.arabjc.2018.08.017,AND MECHANICAL PROPERTIES FOR PACKAGING APPLICATIONS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
B01J 20/04
B01J 20/24
B01J 20/26
C08J 3/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量の、60~90重量%の量の海藻抽出物と、10~40重量%の量の水溶性セルロース誘導体と、1~20重量%の量の水とからなる、組成物。
【請求項2】
組成物の総重量の、60~90重量%の量の海藻抽出物と、10~40重量%の量の水溶性セルロース誘導体と、1~20重量%の量の水とを含む組成物であって、ここで、前記組成物は、一以上の添加剤をさらに含み、前記一以上の添加剤が前記組成物の総重量の5重量%以下で存在する、組成物。
【請求項3】
前記海藻抽出物が66~90重量%の量で存在し、前記水溶性セルロース誘導体が10~35重量%の量で存在し、水が2~15重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記海藻抽出物、前記水溶性セルロース誘導体水、及び、存在するとき前記添加剤の重量パーセンテージが合計して前記組成物の前記総重量の100重量%となる、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記海藻抽出物が、カラギーナン;寒天;及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記海藻抽出物がカラギーナンである、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記カラギーナンがカラギーナンκである、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、デンプン;カラギーナンι;寒天;アルギネート;及びキトサンからなる群の一つ以上を欠く、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記水溶性セルロース誘導体が、メチルセルロース(MC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記水溶性セルロース誘導体がメチルセルロース(MC)である、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
存在するとき、前記一つ以上の添加剤が、無機塩;おがくず、紙、麻繊維;炭酸カルシウム;グリセリン;リンゴのピューレ;デンプン;モンモリロナイト(MMT);桂皮油;ダイズ油;グリセロール;グルコース;銀ナノ粒子;グレープフルーツ種子抽出物;タイム(zataria multifloro)精油;ノノクレイ(nonoclay)又はクレイ鉱物;ポリエチレングリコール(PEG);キチン;アラビノキシラン;バナナ粉末;ゼラチン;酸化チタンナノ粒子;着色料;及び香味料からなる群から選択される、請求項2~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記一つ以上の添加剤が無機塩を含み、前記無機塩が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記無機塩が、リチウム塩;ナトリウム塩;カルシウム塩;及びカリウム塩からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記無機塩が塩化カリウムである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
0.5mmの標準的厚さで、入射光の少なくとも30%が吸収又は散乱されることなく通過する請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
0.5mmの標準的厚さで、入射光の少なくとも50%が吸収又は散乱されることなく通過する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が充分生分解性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が外部非工業環境において6か月未満で充分に生分解する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が嫌気性雰囲気中で充分に生分解する、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が充分に堆肥化可能である、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、家庭用堆肥の山において6か月未満で堆肥化可能である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が食べられる、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が成形可能である、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、プレス成形、射出成形又はキャスティングによって成形可能である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物を成形後に再処理する、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物から形成された製品。
【請求項27】
前記製品が、プレート;平面状シート;規則的な球;不規則的な球;規則的な回転楕円体;不規則的な回転楕円体;規則的な立方体;不規則的な立方体;規則的な直方体;不規則的な直方体;規則的な楕円体;不規則的な楕円体;規則的な円筒;不規則的な円筒;規則的な錐体;不規則的な錐体;規則的な角柱;不規則的な角柱;規則的なピラミッド;不規則的なピラミッド;及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される形状を有する、請求項26に記載の製品。
【請求項28】
前記製品が、構造用材料保持ユニット(SKU);パッケージング材料;フィルム;シート;飲物用ストロー;管類;タンポン及びアプリケータ;カトラリー;プレート;トレー;及びスターラーからなる群から選択される、請求項26又は27に記載の製品。
【請求項29】
前記製品が、容器;及びその一部からなる群から選択されるパッケージング材料である、請求項28に記載の製品。
【請求項30】
前記容器又はその一部が、コップ;トレー;パネット;クラムシェル;箱;ビン;チューブ;及び蓋からなる群から選択される、請求項29に記載の製品。
【請求項31】
前記製品が三次元であり、硬質かつ耐荷重性である、請求項26~30のいずれか一項に記載の製品。
【請求項32】
前記製品中の前記組成物の最大厚さが、0.01mm~5mmの範囲内である、請求項26~31のいずれか一項に記載の製品。
【請求項33】
前記製品、又はその一部が半透明である、請求項26~32のいずれか一項に記載の製品。
【請求項34】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)前記海藻抽出物を水と接触させて、海藻抽出物ヒドロゲルを形成するステップと、
(b)別に前記水溶性セルロース誘導体を水と接触させて、水溶性セルロース誘導体溶液を形成するステップと、
(c)前記海藻抽出物ヒドロゲルと前記水溶性セルロース誘導体溶液とを混合して、混合物を形成するステップと、
(d)前記組成物を形成するために前記混合物を乾燥させるステップと、を含む方法。
【請求項35】
ステップ(a)が、(i)前記海藻抽出物を水と約5℃及び約40℃の範囲内の温度で接触させ;次いで(ii)水中の前記海藻抽出物の前記混合物を約70℃~約100℃の範囲内の温度まで加熱して、前記海藻抽出物ヒドロゲルを形成することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(b)において、前記水溶性セルロース誘導体を水と、約70℃~約100℃の温度で接触させる、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(c)が、海藻抽出物溶液と前記水溶性セルロース誘導体溶液とを約70℃~約100℃の温度で混合することを含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
請求項26~33のいずれか一項に記載の製品を製造する方法であって、請求項34~37のいずれか一項で請求する前記方法のステップ(a)~(d)、及びステップ(c)と(d)との間に、前記混合物を前記製品の形状又は三次元形態に形成するさらなるステップを含む、方法。
【請求項39】
形成の前記ステップが成形を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記成形が、プレス成形、射出成形又はキャスティングを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(d)の間、固体組成物が、前記成形で使用した型の少なくとも一部の上に担持される、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
生分解性組成物を再処理する方法であって、請求項38~41のいずれか一項に記載の前記方法によって製品を製造することを含み、
f)前記製品を水又は蒸気と接触させることによって前記製品を軟化又は融解させて、軟化製品を提供すること;
g)前記軟化製品をさらに操作して、再処理製品であって、前記製品とは異なる形状を有する前記再処理製品を提供すること;
h)前記再処理製品を乾燥させて、乾燥した再処理製品を提供すること、をさらに含む、方法。
【請求項43】
ステップ(f)における前記水が、80℃を越える温度であるか、又は蒸気である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(g)における前記操作が、前記軟化製品を成形具又は型の形状に再処理することを含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
ステップ(h)における乾燥の後、前記乾燥し成形された製品を前記成形具又は型から取り外す、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(g)における操作が、軟化製品の少なくとも縁部、又は部の一部をシールする、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項26~33のいずれか一項に記載の製品を溶解させる方法であって、前記組成物又は製品を液体水と接触させるステップを含む、方法。
【請求項48】
前記液体水が、少なくとも1時間、少なくとも50℃の温度である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記液体水が、少なくとも70℃の温度である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項26~33のいずれか一項に記載の製品の工業的生分解の方法であって、生分解速度が増大する条件に、前記組成物又は製品を曝露するステップを含む、方法。
【請求項51】
前記条件が、加熱;水への曝露;微生物への曝露;酵素;及び機械的分解からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項26~33のいずれか一項に記載の製品を堆肥化する方法であって、前記組成物又は製品が分解して、堆肥、又は堆肥において、もしくは肥料としての土壌への添加剤としての使用に適した材料を形成する条件に、前記組成物又は製品を曝露するステップを含む、方法。
【請求項53】
前記条件が、前記組成物又は製品を事前に堆肥化した材料又は堆肥化材料に添加することである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
腐りやすい商品の保存可能期間を延長する方法であって、前記腐りやすい商品を、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物で形成された構造用材料保持ユニット中に入れることを含む、方法。
【請求項55】
前記腐りやすい商品が、果物;野菜;乳製品;チーズ;パン;ケーキ;ビスケット;及び菓子類からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記腐りやすい商品の前記保存可能期間が少なくとも25%延長される、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項26~33のいずれか一項に記載の製品の、パッケージング材料として、又は飲料容器、タンポン若しくはタンポンアプリケータなどのシングルユース製品としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性組成物に関する。特に、前記発明は、石油系プラスチックの代替品として使用するための生分解性組成物、及びシングルユース又は使い捨て製品などの製品中のバイオプラスチックに関する。前記発明はまた、前記組成物から形成される、パッケージング材料はじめとする製品、前記組成物又は前記製品を溶解、堆肥化、及び生分解する方法、前記組成物及び前記製品を製造する方法、及び前記組成物を再処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラスチック製品は、石油系プラスチック又は植物系バイオプラスチックのいずれかで作られている。そのような材料は、軽量で耐久性があり、高いバリヤ特性を有し、高い引張強度を有し、透明又は半透明の視覚特性を有し得る。さらに、そのような材料は、大量生産に好適なヒートシール適性及び成形特性を有し得る。これにより、これらは例えばパッケージング材料としての使用に非常に望ましくなる。
【0003】
石油由来のプラスチックから脱却することが一般的に望まれている。これは主に、製造中、及び使用後の前記廃棄流れの両方でのこのような製品の前記高い環境への影響によるものである。さらに、工業的堆肥化、又は他の特定の廃棄物処理プロセスに供されない非生分解性バイオプラスチックは、自然界で崩壊する傾向があり、前記環境中に残留することができる微粒子プラスチック材料(マイクロプラスチック又はナノプラスチック)となり、数百年もの間悪影響を及ぼす。
【0004】
チェックしないまま放置されると、プラスチック汚染は2050年までに4倍増加すると予測され、その時までに、前記海洋中には重量で魚よりも多くのプラスチックがあることになると予想される。この深刻さを増す問題に対する前記重大な貢献因子の一つは、パッケージング及び使い捨てコップ又は果物パネットで使用されるなど、構造用材料保持ユニット[SKU](硬質かつ耐荷重性の容器に形成することができるもの)として使用されるシングルユースプラスチックである。
【0005】
これらの問題を考慮して、最近は生分解性プラスチックの使用に向けた傾向がある。しかしながら、伝統的な生分解性プラスチックは、ゆっくりと、多くの場合は、前記製品の前記耐用年数よりもはるかに長い期間にわたって分解する傾向がある。その結果、環境にやさしいといわれる、これらのいわゆる生分解性プラスチックでさえも、複雑な廃棄物管理システムを必要とし、さもないと不適切に廃棄された場合、前記環境中に相当な時間残存する可能性があり、潜在的に、数十年、さらには数百年にわたって、著しい生態学的損害を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、製品中のプラスチック及びバイオプラスチックを、前記環境又は生態系への害がないか、又は最小限の害しかなく、前記環境又は廃棄物流れにおいて迅速かつ充分に生分解する低環境負荷型の材料と置換する必要性が残る。好適には、生分解のための前記時間は、使用(具体的には、シングルユース)の前記時間スケールにより良好に適合し、一方で、前述の従来型プラスチックの前記望ましい材料特性の少なくとも一つを依然として提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様において、前記本発明は、前記組成物の前記総重量の、50~90重量%の量の海藻抽出物と、10~40重量%の量の水溶性セルロース誘導体と、1~20重量%の量の水とを含む組成物を提供する。好適には、前記海藻抽出物は60~85重量%の量で存在し、水溶性セルロース誘導体は10~35重量%の量で存在し、水は2~15重量%の量で存在する。
【0008】
前記本発明の一部を形成するものではないが、多くの前記有益な特性を共有する別の組成物は、2~5重量%の量の前記海藻抽出物と、80~95重量%の量の前記水溶性セルロース誘導体と、4~15重量%の量の水とを含む。以下の前記実施形態の各々もこの組成物に適用され得る。
【0009】
実施形態では、前記組成物は、前記海藻抽出物と前記水溶性セルロース誘導体と水とから本質的になる。別の実施形態では、前記組成物は、前記海藻抽出物と前記水溶性セルロース誘導体と水とからなる。実施形態では、前記海藻抽出物と前記水溶性セルロース誘導体と水との前記重量パーセンテージは合計すると前記組成物の前記総重量の100重量%となる。
【0010】
実施形態では、前記海藻抽出物は、カラギーナン;寒天;及びそれらの混合物からなる前記群から選択される。好適には、前記海藻抽出物はカラギーナンである。さらに好適には、前記カラギーナンはカラギーナンκである。
【0011】
実施形態では、前記組成物は、デンプン;カラギーナンι;寒天;アルギネート;及びキトサンからなる前記群の一つ以上を欠く。
【0012】
実施形態では、前記水溶性セルロース誘導体は、メチルセルロース(MC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);及びそれらの混合物からなる前記群から選択される。好適には、前記水溶性セルロース誘導体はメチルセルロース(MC)である。
【0013】
実施形態では、前記組成物は一つ以上の添加剤をさらに含む。好適には、前記一つ以上の添加剤は、前記組成物の前記総重量の10重量%以下で存在する。好適には、前記一つ以上の添加剤は、無機塩;おがくず、紙、麻繊維;炭酸カルシウム;グリセリン;リンゴのピューレ;デンプン;モンモリロナイト(MMT);桂皮油;ダイズ油;グリセロール;グルコース;銀ナノ粒子;グレープフルーツ種子抽出物;タイム(zataria multifloro)精油;ノノクレイ(nonoclay)又はクレイ鉱物;ポリエチレングリコール(PEG);キチン;アラビノキシラン;バナナ粉末;ゼラチン;酸化チタンナノ粒子;着色料;及び香味料からなる前記群から選択される。
【0014】
前記添加剤が無機塩である実施形態では、前記無機塩はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩である。好適には、前記無機塩は、リチウム塩;ナトリウム塩;カルシウム塩;及びカリウム塩からなる前記群から選択される。さらに好適には、前記無機塩は塩化カリウムである。
【0015】
実施形態では、前記本発明の前記第一の態様の前記組成物は、0.5mmの標準的厚さで、前記入射光の少なくとも30%が吸収又は散乱されることなく通過する。好適には、0.5mmの標準的厚さで、前記入射光の少なくとも50%が吸収又は散乱されることなく通過する。
【0016】
実施形態では、前記組成物は充分生分解性である。好適には、前記組成物は、外部非工業環境において6か月未満で充分に生分解する。好適には、前記組成物は、嫌気性雰囲気において充分に生分解する。
【0017】
実施形態では、前記組成物は、充分に堆肥化可能である。好適には、前記組成物は、家庭用堆肥の山において6か月未満で堆肥化可能である。
【0018】
実施形態では、前記組成物は食べられる。
【0019】
実施形態では、前記組成物は成形可能である。好適には、前記組成物は、プレス成形、射出成形又はキャスティングによって成形可能である。実施形態では、前記組成物は成形後に再処理される。
【0020】
第二の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物から形成された製品を提供する。
【0021】
実施形態では、前記製品は、プレート;平面状シート;規則的又は不規則的球;規則的又は不規則的回転楕円体;規則的又は不規則的立方体;規則的又は不規則的直方体;規則的又は不規則的楕円体;規則的又は不規則的円筒;規則的又は不規則的錐体;規則的又は不規則的角柱;規則的又は不規則的ピラミッド;及びそれらの任意の組み合わせからなる前記群から選択される形状を有する。
【0022】
実施形態では、前記製品は、構造用材料保持ユニット(SKU);パッケージング材料;フィルム;シート;飲物用ストロー;管類;タンポン及びアプリケータ;カトラリー;プレート;トレー;及びスターラーからなる前記群から選択され、好適には、前記製品は、容器;及びその一部からなる前記群から選択されるパッケージング材料である。さらに好適には、前記容器又はその一部は、コップ;トレー;パネット;クラムシェル;箱;ビン;チューブ;及び蓋からなる前記群から選択される。実施形態では、前記製品は、三次元的であり、硬質かつ耐荷重性である。
【0023】
実施形態では、前記製品における前記組成物の前記最大厚さは、0.01mm~5mmの前記範囲内である。実施形態では、前記製品は半透明である。
【0024】
第三の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物を製造する方法を提供し、前記方法は:
(a)前記海藻抽出物を水と接触させて海藻抽出物ヒドロゲルを形成する前記ステップと、
(b)別に、前記水溶性セルロース誘導体を水と接触させて水溶性セルロース誘導体溶液を形成する前記ステップと、
(c)前記海藻抽出物ヒドロゲルと前記水溶性セルロース誘導体溶液とを混合して混合物を形成する前記ステップと、
(d)前記組成物を形成するために前記混合物を乾燥させる前記ステップと、を含む。
【0025】
実施形態では、ステップ(a)は、(i)前記海藻抽出物を水と、約5℃及び約40℃の前記範囲の温度で接触させ;次いで(ii)水中での前記海藻抽出物の前記混合物を約70℃~約100℃の前記範囲の温度まで加熱して、前記海藻抽出物ヒドロゲルを形成することを含む。
【0026】
実施形態において、ステップ(b)では、前記水溶性セルロース誘導体を水と約70℃~約100℃の温度で接触させる。
【0027】
実施形態において、ステップ(c)は、前記海藻抽出物溶液と前記セルロース誘導体溶液とを、約70℃~約100℃の温度で混合することを含む。
【0028】
実施形態では、前記方法は、前記発明の前記第三の態様の組成物を製造する前記方法の前記ステップ(a)~(d)、及びステップ(c)と(d)との間に前記混合物を前記製品の形状又は三次元形態に形成する前記さらなるステップとを含む。好適には、前記製品は前記発明の前記第二の態様の製品である。
【0029】
実施形態では、前記形成ステップは、成形を含む。好適には、前記成形は、プレス成形、射出成形又はキャスティングを含む。
【0030】
実施形態では、ステップ(d)の間、前記固体組成物は、前記成形で使用した型の少なくとも一部に支持される。
【0031】
第四の態様において、前記発明は、生分解性組成物を再処理する方法であって、前記発明の前記第三の態様の前記方法によって製品を製造することを含む方法を提供し、ここで、前記方法は:
(f)前記製品を水又は蒸気と接触させることによって前記製品を軟化又は融解させて、軟化製品を提供すること;
(g)前記軟化製品をさらに操作して、再処理製品であって、前記製品とは異なる形状を有する前記再処理製品を提供すること;
(h)前記再処理製品を乾燥させて、乾燥した再処理製品を提供すること
をさらに含む。
【0032】
実施形態では、ステップ(f)における前記水は、80℃より高い温度であるか、又は蒸気である。
【0033】
実施形態では、ステップ(g)における前記操作は、前記軟化製品を成形具又は型の前記形状に再処理することを含む。
【0034】
実施形態では、乾燥ステップ(h)後に、前記乾燥された成形製品を前記成形具又は型から取り出す。
【0035】
実施形態では、ステップ(g)における前記操作によって、前記軟化製品の少なくとも縁部又は縁部の一部をシールする。
【0036】
第五の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物、又は前記発明の前記第二の態様の前記製品を溶解する方法を提供し、前記方法は、前記組成物又は製品を液体水と接触させる前記ステップを含む。好適には、前記液体水は少なくとも1時間少なくとも50℃の温度である。好適には、前記液体水は少なくとも70℃の温度である。
【0037】
第六の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物、又は前記発明の前記第二の態様の前記製品の工業的生分解の方法を提供し、前記方法は、前記組成物又は製品を、前記生分解速度が増加する条件に曝露する前記ステップを含む。好適には、前記条件は、加熱;水への曝露;微生物への曝露;酵素;及び機械的分解からなる前記群から選択される。
【0038】
第七の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物、又は前記発明の前記第二の態様の前記製品を堆肥化する方法を提供し、前記方法は、前記組成物又は製品を、前記組成物又は製品が分解して、堆肥又は堆肥における使用若しくは肥料のような土壌への添加剤として適した材料を形成する条件に曝露する前記ステップを含む。好適には、前記条件は、事前に堆肥化されたか又は堆肥化された材料へ前記組成物又は製品を添加することを含む。
【0039】
第八の態様において、前記発明は、腐りやすい商品の保存可能期間を延長する方法を提供し、前記方法は、前記腐りやすい商品を、前記発明の前記第一の態様の前記組成物で形成された容器または構造用材料保持ユニット中に入れることを含む。好適には、前記腐りやすい商品は、果物;野菜;乳製品;チーズ;パン;ケーキ;ビスケット;及び菓子類からなる前記群から選択される。
【0040】
実施形態では、前記腐りやすい商品の前記保存可能期間は、少なくとも25%延長される。
【0041】
第九の態様において、前記発明は、前記発明の前記第一の態様の前記組成物、又は前記発明の前記第二の態様の前記製品の、パッケージング材料として、又はシングルユース製品、例えば、飲料容器、タンポン若しくはタンポンアプリケータとしての使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
次に、前記発明の一つ以上の実施形態を、ほんの一例として、前記添付の図面を参照して記載する。
【0043】
図1A】24時間水と接触(浸漬)する前(A)及び接触した後(B)の前記本発明の前記組成物(高海藻含有量の実施形態)のストリップを示す側面図である。前記組成物による前記吸水は、0.3mm~7mmの厚さからの膨潤によって証明される。
図1B】室温で水を保持する前記本発明の前記組成物(高海藻含有量の実施形態)で形成されたコップの実施形態を示す図である。(A)は、水を前記コップに注いだ直後の前記コップを示す(T=0);(B)は、前記水を前記コップに注いでから1.5時間後の前記コップを示す(T=1.5);(C)は、前記水を前記コップに注いでから8.0時間後の前記コップを示す(T=8.0);前記組成物は室温で水を吸収し、変形し始めるが、それでも構造的完全性を保持し、水密性のままであることがわかる。前記組成物は、水を吸収すると、シリコーンのようなテクスチャー及び稠度を達成する。
図2】前記本発明の高海藻組成物(本明細書中で定義するとおり)で形成されたコップの実施形態を示す図である。(A)は、離型前のプレス型の前記雄部上で乾燥に供されたコップであるのに対し、(B)は、乾燥前に前記型から取り出されたのと前記同じ方法で調製されたコップである。(B)に示す前記コップは乾燥に際してかなり収縮/変形している。乾燥中に支持されていない場合に前記材料が変形する前記傾向は、前記調製プロセスの前記最後での前記高い含水量(>90wt%水)によるものである。
図3】成形具又は型(左)及び前記本発明の高海藻組成物(本明細書中で定義するとおり)のシート材料を含むパッケージング材料(右)を示す図であり、これを次に、前記成形具上で折り畳み、離型前に乾燥させることによって前記発明にしたがって再処理する。示した前記例では、前記シート材料は、前記シートを熱湯(90℃)に5秒間漬け、次いで成形具の周りに形成することによって形成するために、水和させた。前記成形具上の前記シートを次いで周囲条件中で5時間乾燥した。前記シート材料を前記熱湯に漬けることで、前記シート材料の前記表面を軟化及び/又は融解させる。前記シートの表面上のこの軟化及び/又は融解材料は、粘着性であり、接着剤として作用することができる。例えば、前記シート材料の表面が互いの上面上で重なりあう場合、前記表面上の前記融解材料は、接触している前記表面を接着させる可能性がある。このような粘着性は、前記材料の再加工を支援することができる。
図4】0月後(A);1か月後(B);及び2か月後(C)の、家庭用堆肥における前記本発明の高海藻組成物(本明細書中で定義するとおり)で形成されたコップの材料劣化を示す図である。前記コップは、プラスチック非生分解性ネットで包まれて、前記コップの前記劣化材料を保持している。明白な生分解は、1か月後に明らかになり、これは継続して2か月でほぼ完了することが示されている。
図5】0週間(A);1週間(B);2週間(C);及び4週間(D)、海で海水中に沈めた後の前記本発明の前記組成物で形成されたコップの材料劣化を示す図である。前記コップは、プラスチック非生分解性ネットで包まれて、前記コップの前記劣化材料を保持している。明白な生分解は、2週間後に明らかになり、4週間後には前記ネットのみが残る。
図6】戸外(沿道又は都市環境をシミュレート)で0週間後(A);1週間後(B);及び4週間後(C)の前記本発明の前記組成物で形成されたコップの材料劣化を示す図である。明白な生分解は、1週間後で明らかであり、4週間まで継続し、著しい生分解が見られる。
図7】先行技術のPLAライニング紙コップ(白)及びPETプラスチックコップ(透明)を比較した4週間後の図6の前記コップを示す図であるが、どちらも劣化の兆候を示さない。
図8】前記空気中、室温で10秒後(A);3時間後(B);3日後(D);9日後(E);14日後(F)及び21日後(G)の、前記本発明の前記組成物で形成された、水を含むコップの前記生分解を示す図である。この時間枠の間、前記コップの変形は明白であるが、構造的剛直性は保持され、前記コップは立ったまま、水密性のままである。9日以降は、前記生分解プロセスが14及び21日継続するにつれ、細菌増殖は明白である。
図9】生物消化試験の結果を示す図である。左から右へ、胆汁塩(A);プロテアーゼHCl(B);アミラーゼ(C);唾液(D)及び脱イオン水(E)中の前記本発明の前記組成物の細断されたストリップを示す。前記細断されたストリップは、前記所与の溶液中、室温で3時間かけて、完全に崩壊するか又は溶解するかのいずれかであった。
図10】石油由来のPETで形成されたパッケージング材料(上段)と比較した、前記本発明の前記組成物で形成されたパッケージング材料(下段)中の、1~2日後(A列)、3日後(B列)及び4日後(C列)の、冷蔵されていない周囲条件での柔らかい果物(イチゴ)の前記貯蔵の比較例を示す図である。3日後の前記PETパッケージングの前記内壁上には結露があるのが明白であり、これは4日まで増加する。前記本発明で形成された前記パッケージング上では明白な結露はない。結露は高湿度を意味し、これは細菌及び真菌の増殖を促進するので、前記本発明のパッケージングが、その中に含まれる前記食品での細菌又は真菌の増殖速度の低下をもたらすことを示唆する。
図11】石油由来のPETで形成されたパッケージング材料(左の縦列)と比較した、前記本発明で形成されたパッケージング材料(右の縦列)中の、1日後(A段)、2日後(B段);3日後(C段);4日後(D段);5日後(E段);及び6日後(F段)の、冷蔵されていない周囲条件での柔らかい果物(ラズベリー)の前記貯蔵の比較例を示す図である。前記PETコップ中の前記ラズベリーは、前記第三日でカビが生え始めるのに対して、前記本発明の前記組成物で形成された前記コップ中のラズベリーは6日までカビがなく、保存可能期間の100%増加が得られることは明白である。
図12】前記本発明の前記組成物から作られたパウチ中にヒートシールされているチェダーチーズのスライスを示す図である。前記上の図は、シール直後の前記チーズを示し、前記下の写真は、1.5年間貯蔵した後の前記同じチーズを示す。この期間後に前記チーズの劣化の兆候は見られない。
図13】嫌気性条件での前記本発明の前記組成物で形成されたコップの材料劣化を示す図である。
図14】実施例6で定義されるような、異なる海藻抽出物、又は異なる割合の海藻抽出物を有する前記本発明による組成物の色素沈着における変動を示す図である。
図15】(A)前記本発明によるカラギーナンκとメチルセルロースとを含む組成物;(B)前記本発明によるカラギーナンιとメチルセルロースとを含む組成物;及び(C)前記本発明による寒天とメチルセルロースとを含む組成物から形成されたコップを示す図である。前記所与の海藻抽出物、メチルセルロース及び水の前記割合は、各コップで一定である。全ての組成物を成形して、硬質及び耐荷重性構造を形成することができることは明らかである。カラギーナンκ(A)から形成される前記コップには成形不良が無いのに対して、寒天(B)から形成される前記コップは割れを示し、これは乾燥に際して起こり、カラギーナンι(C)は、凝固に際して不安定性を示し、上端部にしわが寄ってしまう。また、寒天(B)で形成された前記コップは色素沈着が高いことは明白である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、概して、生分解性組成物に関する。実施形態では、前記組成物は、三次元構造製品などの成形製品を形成するための成形可能な材料としての使用に好適である。そのような製品は、例えば、パッケージング材料;プレート、トレー、パネット、クラムシェル若しくはコップなどの食器類;飲物用ストロー、カトラリー、若しくはスターラーなどの他の飲食用器具;又は他のフィルム、シート若しくは形成された構造製品であり得る。実施形態では、前記組成物は、石油由来のプラスチック、バイオプラスチック及び先行技術の生分解性プラスチックの別の可能性又は代替品として使用することができる。
【0045】
便宜上、前記本開示をさらに記載する前に、前記明細書及び実施例中で採用する特定の用語をここで説明する。これらの定義は、前記開示の前記残りの部分の前記観点から読まれ、当業者によって理解されるべきである。本明細書中で使用される前記用語は、当業者に理解され、知られている前記意味を有するが、利便性及び完全性のために、特定の用語及びそれらの意味を以下に記載する。
【0046】
前記冠詞「a」、「an」及び「the」は、一つ又は複数(すなわち、少なくとも一つ)の前記冠詞の前記文法上の目的語を指す。
【0047】
本明細書中で使用する場合、前記用語「含む」は、前記列挙した要素のいずれかが必然的に含まれ、他の要素も任意選択的に含まれていてもよいことを意味する。「本質的に~からなる」とは、任意の列挙した要素は必ず含まれ、前記列挙した要素の前記基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼす要素は除外され、他の要素が任意選択的に含まれていてもよいことを意味する。「~からなる」は、列挙されているもの以外のすべての要素が除外されることを意味する。これらの用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の前記範囲内に含まれる。前記用語「含む」は、前記組成物の特定の成分に関して使用する場合、それらの同じ成分「から本質的になる」及びそれらの同じ成分「からなる」という前記用語の明確な文言根拠を提供すると理解されるべきである。
【0048】
本明細書中で使用する場合、前記用語「生分解性」は、自然界で、及び/又は生物の前記作用によって、化学的及び/又は物理的に分解することができることを意味する。前記用語は、本明細書中では、組成物、又は組成物内の成分であって、水又は水性若しくは湿潤環境中、典型的には細菌又は真菌などの微生物の前記作用を通して、無害の構成物質に自然に分解するものを指すために使用される。前記組成物は、欧州規格EN13432に準拠し得るか、またはより一般的には、前記材料の90%が崩壊して、12週間後に2mm以下のサイズを有する粒子片となり、6か月後に少なくとも90%が生分解する(実験室試験方法EN14046)。本明細書中で定義される前記用語「超生分解性(hyper biodegradable)」は、例えば、6か月未満、好適には3か月未満の特に早い生分解速度を有し、自然の非適合環境中、又は廃棄物流れ中で充分生分解する材料を指すために使用することができる。この文脈で、前記用語「自然」または「自然の」とは、非工業的環境及び/又は前記戸外又は家庭用堆肥の山などの生分解を促進するために適合されない環境を指す。
【0049】
本明細書中で使用する場合、前記用語「堆肥化可能」は、自然界で、及び/又は堆肥として使用するための生物の前記作用によって、分解できることを意味する。好適には、前記用語「堆肥化可能」は、堆肥化部位に許容可能に添加することができる組成物または製品を指すために使用することができる。前記用語「家庭で堆肥化可能」とは、例えば、家庭菜園に設置された堆肥の山に添加するなど、家庭環境で許容可能な堆肥化され得る組成物又は製品を指すために使用され得る。前記用語は、前記オーストラリア基準AS5810「生分解性プラスチック-家庭での堆肥化に適した生分解性プラスチック」;前記ベルギー認定TUV OK堆肥家庭用認定スキーム、周囲温度にて12か月で少なくとも90%分解することを要する;及び/又は前記フランス基準NF T 51-800「プラスチック-家庭での堆肥化に適したプラスチックの仕様」に準拠するプラスチックを意味する可能性がある。前記用語「工業的に堆肥化可能」とは、工業的堆肥化廃棄物流れに許容可能に添加することができる組成物又は製品を指すために使用することができる。工業的複合化(compositing)廃棄物流れは、例えば、活性複合化段階に続いて硬化を含み得る。前記活性複合相(compositing phase)は、典型的には最低21日間続き、この期間中、約50℃~60℃の前記堆肥の山中の温度を維持する。衛生化(hygienisation)の目的のために、温度は、病原微生物を撲滅するために少なくとも一週間60℃超でのままであってよい。前記硬化相の間、腐植物質の合成で、前記分解速度は減速し、前記温度は40℃未満まで低下する。
【0050】
本明細書中で使用する場合、前記用語「無害の」は、人及び動物、又は前記環境に対して毒性でないか又はリスクを提示しないことを意味する。化合物に関して、無害とは、EC Regulation No 1907/2006、EC Regulation No 1272/2008、REACH Directive 1999/45/EC、No 76/769/EEC、European Council Directive 793/93及び91/155/EEC、93/67/EEC若しくは67/548/EECのいずれか一つ以上に準拠すること;又は前記連邦規制合衆国法律集のタイトル40(156.62)、又はその均等物にしたがって毒性カテゴリーIV(実際には無毒で刺激性でない)を達成することを意味し得る。
【0051】
本明細書中で使用する場合、前記用語「食べられる」とは、悪影響又は健康へのリスクを提示することなく、ヒト又は動物が摂取することができる無害の物質を意味する。
【0052】
前記用語「バイオプラスチック」は、本明細書中で使用する場合、再生可能なバイオマス源、例えば、植物性油脂、コーンスターチ、わら、木くず、おがくず、リサイクルされた食品廃棄物などから製造されるプラスチック材料を意味する。バイオプラスチックは、農業副産物から作製することができる。バイオプラスチックは、前記プラスチックを生物学的にする前記材料の前記供給源を示す。バイオプラスチックは前記材料が生分解性であることを意味しないが、一部のバイオプラスチックは生分解性でもあり得る。
【0053】
本明細書中で使用する場合、前記用語「海藻」は、前記海中若しくは海又は淡水の中又は近辺で典型的に見られる数種の多細胞藻類について前記通常使用される用語を指す。海藻の種類には、Rhodophyta(赤)、Phaeophyta(褐色)及びChlorophyta(緑)大型海藻が含まれる。褐藻の多くは簡単にケルプと称される。
【0054】
本明細書中で使用する場合、前記用語「海藻抽出物」は、分離又は単離された海藻の成分又は構成物質部分を指す。好適には、前記分離又は単離方法は、化学的又は物理的抽出(すなわち、ゲルプレス又はアルコール中での沈降及びアルカリ加水分解)による。例えば、前記海藻抽出物は、前記海藻植物、又はその一部を粉砕し、続いてろ過して、前記固体海藻残留材料を除去することによって;又は別法として、前記海藻を好適な溶媒、例えばアルカリ性水溶液で洗浄し、前記所望の抽出物を残存する不溶性物質として、若しくは残存する不溶性物質の一部として集めることによって得ることができる。前記抽出物をさらなる精製/分離ステップに供してもよい。前記本明細書中の意味による海藻抽出物の例は、前記抽出物カラギーナン、寒天及びアルギネート、好適にはカラギーナンである。
【0055】
本明細書中で使用する場合、前記用語「カラギーナン」は、紅藻から抽出された直鎖硫酸化多糖類のファミリーを指す。カラギーナンは三つの主要品種があり、これらは硫酸化の程度が異なる。カラギーナンκは、二糖あたり一つ、カラギーナンιは二つ、カラギーナンλは三つのスルフェート基を有する。
【0056】
本明細書中で使用する場合、前記用語「多糖」は、長鎖炭水化物分子、特に、グリコシド結合によって結合された単糖単位から構成されるポリマー炭水化物を指す。例としては、「貯蔵多糖類」、例えば、デンプン及びグリコーゲン、並びに「構造多糖類」、例えば、セルロース及びキチンが挙げられる。デンプンは、グルコピラノース単位がα結合によって結合したグルコースポリマーであり;セルロースは、β結合によって結合した反復グルコース単位で作られたポリマーである。セルロースは、化学的に修飾することができ、例えば、前記セルロース中の遊離ヒドロキシル基をメチルなどの様々なアルキル基でアルキル化して、メチルセルロースを製造することができるか;又はヒドロキシプロピルを化学的に修飾して、ヒドロキシプロピルセルロース(CAS No:9004-64-2)若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(CAS No:9004-65-3)を作製することができる。
【0057】
本明細書中で使用する場合、前記用語「水溶性セルロース誘導体」は、室温又は周囲温度で水中に容易に溶解するセルロースから誘導される材料又は化合物を指す。好適には、前記用語は、セルロースから誘導される材料又は化合物を指す。例えば、メチルセルロースは40℃未満から50℃で水中に容易に溶解し;ヒドロキシプロピルセルロースは45℃未満で水中に容易に溶解する。メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースはどちらも、温度が高くなると溶けにくくなる前記異常な挙動を示す。
【0058】
石油系プラスチックは、構造的剛直性、半透明性、液体を保持し、成形製品に形成できるという利点のために工業界で広く用いられる。これは、多くの工業、例えば、食品用、並びにコップ、プレート、及びカトラリーなどの他の食品又は飲料関連の品物用パッケージングにおける石油由来のプラスチックの使用の増加につながる。そのような製品は、成形(例えば、射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出等)若しくはキャスティングによって、又はシートに成形し、その後再処理して、成形及び/又は三次元製品を形成することによって、形成することができる。
【0059】
文書で充分に立証されているように、石油系プラスチック及び一部のバイオプラスチックは多くの所望の材料特性を有する一方で、それらの使用に関する前記問題は、10年~1,000年であると示唆される、前記環境又は廃棄物流れ中のその寿命に関連する。分解のこの時間スケールは、前記プラスチックの前記典型的な耐用年数に対して完全に比例せず、食品パッケージングの前記場合では、例えば、数時間又は数日であり得る。シングルユース製品を製造するために使用されるプラスチックが、前記製品が廃棄された後、最大1,000年間存続し続ける可能性があるという前記事実は、環境的又は生態学的観点から明らかに非常に問題である。
【0060】
生分解性と称されるプラスチック、例えば、ポリ乳酸(PLA)又はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であっても、完全に生分解するために数か月又はさらには数年かかる可能性がある。これは、生態系及び野生生物に対して石油系プラスチックとおおむね前記同じ負の影響を及ぼすこの期間中、前記環境中で前記プラスチックが損傷を受けないままであることを意味する。
【0061】
石油系、又は植物系、又は植物由来バイオプラスチック若しくは生分解性と称するもの、また製品としてのそれらの使用事例に対するこれらの材料の前記低速又は比較的低速の分解速度にかかわらず、プラスチックの前記増加する使用は、ゴミ廃棄場において、そして前記海及び海洋中の粒状物質を含む前記さらに広い環境でのプラスチック廃棄物量の増大に至っている。これは、陸上、前記大気中、及び海での環境及び生態系に対して類を見ない損害を引き起こし、そしてもたらし続けている。前記環境におけるプラスチック及びバイオプラスチックの前記持続もまた、適切な廃棄物流れによって処分されなければ、前記街路上に見苦しいごみとして残存する可能性があり、また水路及び下水管を閉塞させる可能性があり、このため、これらの材料を回収するための高価な方策及び清掃操作につながることを意味する。さらに、前記環境におけるプラスチック及びバイオプラスチックの前記低速であるが最終的な分解は、いわゆる「マイクロプラスチック」又は「ナノプラスチック」(前記マイクロメートル又はナノメートル台のサイズを有するプラスチック粒子)の前記放出に至ることが知られており、これは生態系に対してさらなる損害を引き起こす。ごく最近、「ナノプラスチック」は前記大気を汚染し、その後、結果としてヒト又は他の生物が吸入することが示されている。このプラスチック汚染様式の前記全影響はまだわかっていないが、多くのプラスチックは、それらのエージング及び分解につれて有害な化学物質を浸出させることが知られ、これは前記肺及び他の身体の器官を刺激し、不快感や疾患をもたらすと予想され得る。動物が消化できないプラスチック又はバイオプラスチックを摂取すると、これにより消化系の閉塞が起こる可能性があり、場合によっては、これは飢えにつながり、この結果として前記動物の死に至る可能性がある。
【0062】
プラスチック及びバイオプラスチックに関するさらなる生態学的問題点はまた、それらがゆっくりと分解し、多くの場合、堆肥化施設中で生分解しないか又は少なくとも充分に生分解しないという前記事実で特定することができる。これにより、プラスチック汚染物質が前記堆肥の一部として前記土壌に適用されることになる可能性があり、それによって結果として土壌の前記質が低下する。前記世界の人口は、現在の76億人から前記今後30年にわたって約100億人にまで増大することが予想される。これは、人々や家畜のために食物を成長させるための前記農産業及び土地利用に対する圧力が高まることを意味する。今日又は前記今世紀にわたる土壌肥沃度のいかなる低下も、この基本的資源に依存する、増え続ける世界人口の前記必要性に真っ向から反するものである。
【0063】
前記本発明は、前記環境中、特に水性若しくはその他の様々な種類の非乾燥環境中、又は廃棄物流れ中で充分かつ迅速に分解し(超生分解性)、それでも、その使用寿命の間、石油系プラスチック又は植物系バイオプラスチックの前記利点の一つ、複数、又は全部を維持する、生分解性組成物に関する。
【0064】
前記本発明の前記組成物は、概して、海藻抽出物と水溶性セルロース誘導体とを含む。前記組成物は、水をさらに含んでもよい。好適には、前記組成物は、海藻抽出物と、水溶性セルロース誘導体と、水とを含む。好適には、前記組成物は、海藻抽出物と、水溶性セルロース誘導体と、水とから本質的になる。好適には、前記組成物は、海藻抽出物と、水溶性セルロース誘導体と、水とからなる。
【0065】
実施形態では、前記海藻抽出物は、カラギーナン、寒天、又はそれらの混合物であってよい。カラギーナン化合物の前記ファミリー及び寒天は前記食品、医薬品及びパーソナルケア製品の分野で周知であり;しかしながら、それらは化学的に異なる。カラギーナンは、β-D-ガラクトース-cc-D-ガラクトースの反復単位を含む一方で、寒天は反復β-D-ガラクトース-α-L-ガラクトースを含む。好適には、前記本発明の前記組成物で使用される前記海藻抽出物はカラギーナンである。さらに好適には、前記カラギーナンはカラギーナンκであってよい。
【0066】
任意の海藻抽出物が前記本発明において有用であり得ることが想定される。しかしながら、予想されるように、カラギーナン、寒天及び他の海藻抽出物は共通の供給源(海藻)、及び関連する化学構造を有する一方で、各物質は、そこから超生分解性プラスチック代替品材料を形成すると、著しく異なる特性を有する。例えば、カラギーナン、特に、カラギーナンκは、前記本発明におけるように、水溶性セルロース誘導体、例えば、メチルセルロースと混合されると、寒天及び他の海藻抽出物と比較して、予想外の有益な機械的及び視覚的材料特性を示す。
【0067】
実施形態では、前記水溶性セルロース誘導体は、セルロース由来の任意の好適な材料又は化合物であり得る。好適には、前記水溶性セルロース誘導体は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はそれらの混合物であり得る。好適には、前記水溶性セルロース誘導体はメチルセルロース(MC)であり得る。
【0068】
実施形態では、前記組成物は、カラギーナンなどの海藻抽出物、及びメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体のみを含み、前記組成物の前記残りは水である。換言すると、また本明細書中で定義するように、前記組成物は、海藻抽出物及び水溶性セルロース誘導体、又は海藻抽出物及び水溶性セルロース誘導体及び水からなっていてもよい。換言すると、これらの成分の前記重量パーセンテージは、合計すると、前記組成物の前記総重量に基づいて100重量%になり得る。
【0069】
実施形態では、前記組成物の前記全体的特性に致命的な影響を及ぼすことなく一つ以上の利点を提供できる他の少量の添加剤が含まれてよいことが想定される。換言すると、また本明細書中で定義するように、前記組成物は、海藻抽出物と水溶性セルロース誘導体、又は海藻抽出物と水溶性セルロース誘導体と水とから本質的になり得る。前記用語「少量の添加剤」又は「添加剤」は、海藻抽出物及び水溶性セルロース誘導体以外の、前記組成物中、20wt%以下の量で存在し得る添加剤に関することが意図される。好適には、15wt%、10wt%、5wt%、2wt%、1wt%未満である。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。換言すると、前記海藻抽出物、前記水溶性セルロース誘導体、水及び前記少量の添加剤(複数可)の前記重量パーセンテージは、合計すると、前記組成物の前記総重量に基づいて100重量%になり得る。
【0070】
前記添加剤又は少量の添加剤は、限定されるものではないが:無機塩、例えば、塩化カリウム又は塩化カルシウム;おがくず、紙、麻繊維;炭酸カルシウム;グリセリン;リンゴのピューレ;デンプン;モンモリロナイト(MMT);桂皮油;ダイズ油;グリセロール;銀ナノ粒子;グレープフルーツ種子抽出物;タイム(zataria multifloro)精油;ノノクレイ(nonoclay)又はクレイ鉱物;ポリエチレングリコール(PEG);キチン;アラビノキシラン;バナナ粉末;ゼラチン;酸化チタンナノ粒子であり得る。あるいは、実施形態では、前記本発明の前記組成物、及びそれから形成される製品は、上述のもののうちの一つ以上を含むが、これに限定されない少量の添加剤が欠けていてもよい。
【0071】
実施形態では、前記組成物は、塩、さらに好適にはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属、なお一層好適にはリチウム、ナトリウム、カルシウム又はカリウム塩を含んでもよい。最も好適には、前記組成物はカリウム塩を含んでもよい。実施形態では、前記カリウム塩は塩化カリウムである。好適には、前記組成物は、前記塩を、0.1~5重量%の前記範囲、さらに好適には0.5~3重量%の前記範囲、なお一層好適には0.5~1.5重量%の前記範囲の量で含んでもよい。好適には、前記塩は、前記組成物中、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%、4.0重量%またはそれ以上の量で存在してもよい。好適には、前記塩は、前記組成物中、最大で5.0重量%、4.0重量%、3.0重量%、2.0重量%、1.9重量%、1.8重量%、1.7重量%、1.6重量%、1.5重量%又はそれ以下の量で存在してもよく;全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。理論によって拘束されることを望まないが、そのような塩の前記包含によって、前記結果として得られる組成物及びそれから形成される製品の前記剛性を増加させることができると考えられる。
【0072】
実施形態では、前記組成物はグリセロールを含んでもよい。さらに好適には、前記組成物はグリセロールを、0.1~5重量%の前記範囲の量で、なお一層好適には1~3重量%の前記範囲で、さらに詳細には1.5~2.5重量%で含んでもよく、全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。理論によって拘束されることを望まないが、グリセロールの前記包含は、前記結果として得られる製品の前記柔軟性を増大させることができると考えられる。
【0073】
本明細書中でのみ参照の目的で「低海藻抽出物組成物」と呼ばれる場合がある実施形態では、前記組成物は、前記海藻抽出物を1~10重量%、好適には2~5重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記海藻抽出物を少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、又は9重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記海藻抽出物を最大で10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、又は2重量%の量で含んでもよい。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0074】
実施形態では、前記低海藻抽出物組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、70~95重量%、さらに詳細には、80~95重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、最大で95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、又は75重量%の量で含んでもよい。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0075】
実施形態では、前記低海藻抽出物組成物は、2~20重量%の水、なおさらに詳細には4~15重量%の水を含んでもよく、全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。好適には、前記組成物は、前記水を、少なくとも2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、又は14重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記水を、最大で15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、又は3重量%の量で含んでもよい。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0076】
前記本発明による低海藻抽出物組成物の特定の実施形態において、前記組成物は、カラギーナンκを2~5重量%の量で、メチルセルロースを80~95重量%の量で、水を4~15重量%の量で含んでもよい。一つの実施形態では、前記組成物は、1~5重量%の塩化カリウムをさらに含んでもよい。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。実施形態では、カラギーナンκ、メチルセルロース、水、及び場合によって塩化カリウムの前記重量パーセンテージは、合計すると前記組成物の前記総重量に基づいて100重量%になり得る。
【0077】
本明細書中でのみ参照の目的で「高海藻抽出物組成物」と呼ばれる場合がある別の実施形態では、前記組成物は、前記海藻抽出物を、40~95重量%、好適には50~95重量%、さらに好適には60~90重量%の量で含み得る。好適には、前記組成物は、前記海藻抽出物を、少なくとも40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%の量で含み得る。好適には、前記組成物は、前記海藻抽出物を、最大で95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、又は45重量%の量で含み得る。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0078】
実施形態では、前記高海藻抽出物組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、5~50重量%、さらに好適には10~40重量%の量で含み得る。好適には、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は45重量%の量で含み得る。好適には、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を、最大で50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、又は10重量%の量で含み得る。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0079】
実施形態では、前記高海藻抽出物組成物は、1~20重量%の水、なお一層詳細には2~15重量%の水を含んでもよく、全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。好適には、前記組成物は、前記水を、少なくとも2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、又は14重量%の量で含んでもよい。好適には、前記組成物は、前記水を、最大で15重量%、14重量%、13重量%、12重量%、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、又は3重量%の量で含んでもよい。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。
【0080】
前記本発明による高海藻抽出物組成物の具体的な実施形態において、前記組成物は、カラギーナンκを50~90重量%又は好適には66~85重量%の量で、メチルセルロースを25~35重量%又は好適には11~33重量%の量で、水を4~25重量%又は好適には2~11重量%の量で含み得る。実施形態では、前記組成物は、1~5重量%の塩化カリウムをさらに含み得る。全重量パーセンテージは、前記組成物の前記総重量に基づく。実施形態では、カラギーナンκ、メチルセルロース、水、及び任意選択的に塩化カリウムの前記重量パーセンテージは、合計して、前記組成物の前記総重量に基づいて100重量%となり得る。
【0081】
前記本発明の前記組成物は吸湿性である、すなわち、水を吸収する。前記高海藻抽出物組成物は前記低海藻抽出物組成物よりも吸湿性であるが、どちらも少なくともある程度までは水を吸収する。理論によって拘束されることを望まないが、前記本発明の前記組成物の前記例外的な生分解性、又は超生分解性は、天然の食品源である前記組成物の前記主成分とともに、前記組成物上の細菌又は真菌などの前記微生物の前記成長を促進しかつ支援し、その生分解をもたらす水を吸収するその能力に少なくとも部分的に起因するものであると考えられる。
【0082】
前記本発明の前記高海藻抽出物組成物は、水又は水系液体用の容器として使用した場合、完全性の喪失又は漏れ又は割れがなく、相当量の水を吸収することができる。前記本発明の前記高海藻抽出物組成物は、60℃以下の温度で水を吸収することができ;この温度を越えると、前記高海藻組成物は溶解し始める。例えば、前記材料は、材料1グラムあたり約10~13グラムの水を吸収することができ、水への曝露に際して前記材料重量の約1,000%~1,300%の変化をもたらす。水を吸収した前記組成物は、シリコーン様の前記感触を有する。図1Aは、水中へ一日浸漬する前及び後の前記高海藻抽出物組成物で形成された材料のストリップの前記視覚的膨潤を示し、図1Bは、8時間にわたる水への曝露に際しての前記高海藻抽出物組成物で形成されたコップの前記視覚的膨潤を示す。以上のように、前記コップは、接触から前記水を吸収しつつ、その一般的形状及び前記コップ中の前記水を保持するために充分な構造的完全性を維持する。
【0083】
前記組成物が接触に際して水を吸収する傾向は、微生物成長を促進し、それによって、前記大気中[例えば、湿度又は沈殿](都会の沿道型環境)、堆肥中、廃棄物流れ中、又は下水管中、前記海又は河川中の水と接触して迅速(前記高海藻抽出物組成物については二か月未満)かつ有意な生分解を推進する。
【0084】
加えて、そして理論によって拘束されることを望まないが、水をこのように吸収し、その後蒸発によって水を再度放出する前記材料の前記能力が、前記材料構造の崩壊及び断片化に至る湿潤及び乾燥サイクルを通して前記材料中に生じる前記応力によるその急速な物理的劣化の要因であることを前提とする。
【0085】
前記本発明の前記組成物はまた、消化管液中で崩壊及び/又は溶解する。図9に示すように、前記本発明の前記組成物は、典型的な哺乳類の消化液、例えば、胆汁塩、酸性プロテアーゼ溶液、アミラーゼ、唾液中室温で崩壊及び/又は溶解する。したがって、前記無害かつ食品に使っても安全な成分を考慮して、ヒト及び/又は動物の消費のために前記組成物は無害である、すなわち、前記材料は、原則として少なくとも食べられると予測される。海藻抽出物、特に、カラギーナン及び寒天は、例えば、多くの食品において一般的な添加剤であるので、前記組成物が食品に使っても安全であることが前記本発明の前記組成物の特徴である。前記組成物で形成された製品は、前記エンドユーザーが食べることができることが想定される。消化液中での前記組成物の前記分解における前記予想外に有益な特性を考慮すると、これは、特殊化した廃棄物流れに対する前記必要性なしに前記材料を廃棄する手段を提供する。
【0086】
前記低海藻抽出物実施形態において、前記組成物は、液体水中に40℃以下、さらに詳細には30℃以下、なお一層詳細には25℃以下の温度で可溶性であり得る。溶解に必要とされる時間の前記長さは、前記材料の前記形態、又は形状、及び厚さに依存する。例えば、約1mmの厚さを有するシート材料では、連続して混合しながら室温で3時間以内に完全に溶解することが予想される。
【0087】
前記高海藻抽出物実施形態において、前記組成物は水中に少なくとも50℃、さらに詳細には少なくとも75℃、なお一層詳細には少なくとも85℃の温度で可溶性であり得る。溶解に必要とされる時間の前記長さは、前記形態、又は形状に依存し、及び約1mmの前記材料シート材料壁厚の厚さで、完全な溶解は、連続して混合しながら85℃で1時間以内と予想される。
【0088】
前記本発明の前記組成物、又はそれから形成される製品は、前記環境中又は水中での生分解性の点で予想外に有益な特性を示す一方で、前記組成物、又はそれから形成される製品は、70%以下の比較的湿潤性条件で貯蔵した場合、使用前では3年まで、さらに詳細には2~3年までの保存可能期間を示し得る。
【0089】
さらなる態様において、前記発明は、上述の前記生分解性組成物を含むか、又は上述の前記生分解性組成物から形成された製品に関する。実施形態では、前記製品は、成形品、例えば、シート若しくはフィルムであり得るか、又は前記製品は三次元成形品であり得る。好適には、前記三次元成形品は、一般的に、プレート若しくは平面状シートとして、又は規則的若しくは不規則的球又は回転楕円体、立方体又は直方体、楕円体、円筒、錐体、角柱、ピラミッド、又はこれらの組み合わせとして形成してもよい。好適には、前記製品はパッケージング材料であり得る。好適には、前記パッケージング材料は容器又はその一部であってよい。好適には、前記容器又はその一部は、コップ、トレー、パネット、クラムシェル、箱、ビン、チューブ又は蓋であってよい。好適には、前記容器、又はその一部はパッケージング材料、特に、食品などの腐りやすい商品用のパッケージング材料であってよい。パッケージングに加えて、前記発明はまた、上述の前記組成物から形成された、他のシングルユース消費材、例えば、飲物用ストロー、コップ、タンポン及びタンポンアプリケータチューブ、例えば綿棒の棒、プレート、又は食品トレーにも関する。前記組成物の前記予想外の構造的剛直性及び他の材料特性のために、薄い壁を有する構造的三次元製品、例えばパッケージング材料及びコップでの使用に特に適するようになる。
【0090】
実施形態では、前記製品の前記厚さは、前記使用に適切であり得、例えば、タンポンは1cm以上の厚さであってよい。好適には、前記発明の前記製品は、例えば、前記製品が生分解性パッケージング材料又はコップである場合、5mm以下の厚さ(前記製品の二つの表面間の最小距離)を有してもよい。好適には、前記製品は、最大で4.5mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.0mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm又は0.1mm以下又はそれ以下の厚さを有していてもよい。好適には、前記製品は、少なくとも0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm又は1.0mm以上の厚さを有していてもよい。これらの厚さの各々を、構造的及び耐荷重性である三次元製品で使用することができる。
【0091】
実施形態において、また上記前記厚さで、前記パッケージング材料は、湿潤又は蒸気及び/又は圧力を用いるなど工業的標準技術を用いたヒートシーリングに好適であり得る。前記高海藻抽出物組成物は、前記蒸気が前記材料の前記表面を融解させ、前記材料を互いに接着させる接着性表面を創出する際に、蒸気と圧力との両方を必要とする可能性がある。一方、低海藻抽出物は、前記材料が冷水中で軟化して、前記表面を互いに接着させ、隣接して成形することを可能にする接着性表面を前記材料上に創出する際に、冷水及び圧力のみを必要とする。
【0092】
構造的剛直性が限定され、一般的にフィルム又はシート、例えば、薬物錠剤用のコーティングとして使用される一部の先行技術生分解性プラスチック又はバイオプラスチックとは対照的に、前記本発明の前記組成物は、成形及びその後の乾燥に際して、荷重を支持する、及び/又はPET若しくはポリスチレンなどの石油系プラスチックと類似した飲料特性を保持する前記能力を有する、堅くて硬質の自立性構造を形成する。前記本発明の前記組成物の前記硬質及び高引張強度特性により、「構造的パッケージング」、すなわち、構造の外部支持なしで三次元耐荷重性構造を形成するパッケージング又は製品、並びに他の構造又は製品によって包まれ支持されるフィルム又はシートを形成するための前記材料の使用が可能になる。理論によって拘束されることを望まないが、前記海藻抽出物、好適にはカラギーナン、特にカラギーナンκは、構造及び耐荷重性の点で前記予想外の有益な特性を前記組成物に提供すると考えられる。
【0093】
前記本発明の前記組成物、又はそれから形成される製品は、印刷メディア、例えば、水性又は油性インクを許容し得る。前記本発明の前記組成物、及びその形成された製品は、前記型上に存在するエンボス加工された細部を示すように好適に成形することができる。前記製品の前記構造的剛直性は、石油系プラスチックのものと同様に、変更することなく前記本発明の前記組成物の製品形態を現行の印刷機において使用できることが予想されることを意味する。
【0094】
加えて、実施形態では、前記本発明の前記組成物から形成されるか又はこれを含む前記製品の特定の利点は、それらが透明であり得(散乱若しくは吸収がないか又は最小で光を通過させる)又は少なくとも半透明(多少の散乱若しくは吸収を伴って光を通過させる)であり得ることである。好適には、入射光の30%超は、散乱又は損失無しに0.5mmの標準的厚さ(二つの表面間の最小距離)で前記組成物を通して伝達され得る。好適には、入射光の35%超、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、又は100%は、0.5mmの標準的厚さ(二つの表面間の最小距離)で、散乱又は損失無しに前記材料を通過することができる。光透過性の測定は、ASTM D1746にしたがって測定することができる。
【0095】
透明性又は半透明性は、事実上、透明なPETプラスチック又はPLAバイオプラスチックと類似した魅力的な外観を提供する。理論によって拘束されることを望まないが、前記水溶性セルロース誘導体、例えば、メチルセルロースの前記添加は、前記海藻抽出物溶液、好適にはカラギーナンκ溶液の前記粘度を低下させる働きをし、製造中のより有効な消泡(トラップされた気泡を除去)を可能にすると考えられる。これにより、前記最終的乾燥成形製品を通した前記光透過率が改善される。前記水溶性セルロース誘導体、例えばメチルセルロースの前記添加はまた、前記海藻抽出物溶液、好適にはカラギーナンκ溶液の前記自然の着色を希釈し、前記乾燥成形製品は実質的に無色であるか、又はごくわずかに着色され、その結果、前記材料によって吸収又は散乱される光がないか又は最小であることを意味すると考えられる。
【0096】
海藻抽出物、例えば、カラギーナンκは、黄色/褐色の色素沈着を有する。前記海藻抽出物含有量を増加することで、前記最終材料の前記黄色/褐色の着色が増強される。
【0097】
前記発明の前記組成物、又はそれから形成される製品の前記半透明性は、形成された前記材料の前記厚さ(二つの表面間の最小距離)に少なくとも一部依存する。実施形態では、透明又は半透明であると予想される前記発明の前記製品は、5mm以下の厚さ(前記製品の二つの表面間の最小距離)を有し得る。好適には、前記製品は、最大で4.5mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.0mm、又は0.5mm以下の厚さを有し得る。好適には、前記製品は、少なくとも0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm又は1.0mmもしくはそれ以上の厚さを有し得る。
【0098】
前記組成物、又は前記組成物から形成された前記製品が5mm超、又は好適には、6mm、7mm、8mm、9mm、若しくは10mmの厚さを有する実施形態では、前記製品は、実質的に不透明であり得る(すなわち、光は実質的に通過し得ない)。このように、前記結果として得られる製品は、不透明なポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリ乳酸(PLA)のような外観及び感触であり得る。実施形態では、前記組成物の前記不透明度を増大させるために、おがくず又は紙繊維などの凝集体を添加することによって、複合的アプローチを使用することができる。
【0099】
前記発明の前記製品、例えば、前記パッケージング材料は、有用な酸素バリヤ特性を示し得る。これは、前記パッケージング材料が前記含まれる品物をより長く、より新鮮に保ち、それらの保存可能期間を延長することを意味し得る。
【0100】
前記本発明の別の予想外の利点において、前記本発明の前記組成物で作られたか又は前記本発明の前記組成物を含む食品用パッケージングは、伝統的な石油系プラスチック、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はバイオプラスチック、例えばPLAなどと比較して、その中に含まれる食品、好適には生鮮食品、野菜又は乳製品、例えばチーズの保存可能期間の増強につながり得ることが見出された。前記組成物の前記吸湿性は、前記パッケージングの内部の任意の環境湿度が前記組成物によって吸収され、保持されることを意味し、前記食品が貯蔵される前記環境が、カビの成長及び腐敗の典型的な原因である微生物成長に適さなくなることを意味する。これは、前記組成物の前記酸素バリヤ特性と共に、前記パッケージング内の前記食品の分解を遅らせ、前記食品の保存可能期間を結果として延長する。
【0101】
実施形態では、製品又は製品若しくは構造用材料保持ユニット(SKU)内に含まれる腐りやすい商品の前記保存可能期間(品物が消費に適したままであるか、または売り物になる時間の前記長さとして定義される)は、所与の温度で少なくとも10%延長することができる。好適には、前記保存可能期間は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%又はそれ以上延長することができる。
【0102】
図10~12に最もよく示されているように、前記本発明の前記組成物で作られたパッケージング中に保持された柔らかい果物、特にイチゴ及びラズベリー、並びに乳製品、例えばチェダーチーズは、PETから作られた先行技術のパッケージングと比較すると、前記パッケージングの前記壁上の結露の減少を示す。前記パッケージング中に保存される前記果物の前記分解速度も低下することが示される。
【0103】
前記組成物は食品において増粘剤又はゲル化剤として既に一般的に見られる天然材料で形成されているので、前記発明の前記製品は食べられる、すなわち、接触又は摂取することによりヒト及び/若しくは動物に対して無毒である。前記組成物は、前記材料の前記美味しさを増すために、香味料又は他の少量成分を含んでもよい。これは、前記本発明の前記組成物が消化管液中で溶解又は崩壊するという証拠と一致して、前記組成物廃棄のさらに環境にやさしい手段であることを示す。
【0104】
さらなる態様において、前記発明は、前記定義の組成物を調製する方法に関し、前記方法は:
(a)海藻抽出物を水、又は他の好適な極性溶媒と接触させて、海藻抽出物ヒドロゲルを形成する前記ステップ;
(b)水溶性セルロース誘導体を水、又は他の好適な極性溶媒と別に接触させて、前記セルロース誘導体の溶液、又はゲル若しくはスラリーを形成する前記ステップ;
(c)前記海藻抽出物ヒドロゲル及び前記セルロース誘導体溶液を混合して混合物を形成する前記ステップ;
(d)前記組成物を形成するために前記混合物を乾燥させる前記ステップ、を含む。
【0105】
ステップ(a)における前記海藻抽出物及び/又はステップ(b)におけるセルロース誘導体は、本明細書中の他の箇所で定義する通りであり得る。
【0106】
ステップ(a)又は(b)における好適な極性溶媒は、水のほかに、前記海藻抽出物と好適なヒドロゲルを形成できるか、又は前記水溶性セルロース誘導体と好適な溶液、スラリー若しくはヒドロゲルを形成できる、任意の極性溶媒であり得る。好適には、前記極性溶媒は、成形後の前記配合物の乾燥を可能にする沸点を有する。好適には、前記溶媒は、無害で、前記環境に対して損害を与えるものではない。この関連での極性溶媒には、限定されるものではないが、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル及びジメチルスルホキシドが含まれ得る。
【0107】
実施形態において、ステップ(a)では、海藻抽出物を、好適には粉末形態で、冷水と混合、又は他の方法で組み合わせて、ペーストを形成する。このペーストを次いで、好適には混合しながら高温まで加熱する。加熱すると、前記海藻抽出物ヒドロゲルが形成される。好適には、前記高温は、80℃以上、さらに好適には80~100℃、なお一層好適には90~100℃であってよい。実施形態では、前記ペーストは、前記高温で約20分~約4時間保持してもよい。好適には、接触は約1時間~約3時間である。最も好適には、接触は約2時間である。
【0108】
実施形態において、ステップ(a)では、前記海藻抽出物ヒドロゲル中の海藻抽出物の前記濃度は、前記海藻抽出物ヒドロゲル中4~8%w/v、なお一層好適には6~7%w/v、さらに好適には6.7%であってよい。実施形態では、ステップ(a)後、さらなる水、又は必要に応じて他の好適な極性溶媒を前記ヒドロゲルに添加して、前記所望の粘度を達成する。好適には、ステップ(c)で使用する前記海藻抽出物ヒドロゲルの前記稠度は、液体ゲルである。水の前記量は、ステップ(a)で添加される水の前記元の体積の100%~300%であり得る。
【0109】
実施形態において、ステップ(b)では、前記水溶性セルロース誘導体溶液中の水溶性セルロース誘導体の前記濃度は、2~30重量%、さらに好適には5~20重量%、なお一層好適には13~18重量%、又は最も好適には13.6重量%であり得る。好適には、ステップ(c)で添加される前記水溶性セルロース誘導体溶液の前記稠度は流動性液体ゲルである。
【0110】
実施形態では、ステップ(b)は、高温で実施することができる。好適には、接触は、80℃超、さらに好適には80℃~100℃、なお一層好適には90~100℃の前記範囲内の温度であってよい。
【0111】
さらに詳細には、前記海藻抽出物ヒドロゲルがステップ(a)の前記最後で冷却される実施形態において、ステップ(c)は、混合前に、前記海藻抽出物溶液を50℃超、さらに詳細には70~100℃、なお一層詳細には80~90℃の温度まで加熱する前記ステップを含み得る。この加熱ステップは、撹拌しながら実施してもよく、好適には、前記加熱中に撹拌(stirring)又は他の撹拌(agitation)は必要ない。
【0112】
実施形態では、ステップ(c)は、前記海藻抽出物溶液及び前記水溶性セルロース誘導体溶液を50℃超、さらに好適には70℃~100℃、なお一層好適には80℃~90℃の温度で添加及び/又は加熱することを含み得る。好適には、ステップ(c)における前記加熱は、混合を伴う。好適には、前記混合は、前記加熱の前記開始時のみで実施する。この混合は撹拌によるものであってよい。好適には、前記混合は約15分~約30分間であってよい。好適には、前記混合物の前記加熱は、前記混合期間より長くてもよい。実施形態では、前記加熱は、約3時間~約8時間であってよい。最も好適には、前記加熱は約5時間であってよい。前記撹拌が完了した後、前記混合物を混合せずに4~6時間加熱してもよい。
【0113】
前記海藻抽出物ヒドロゲル及び前記水溶性セルロース誘導体溶液を混合した直後、発泡は、前記混合物中の気泡形成により起こり得る。発泡は、ステップ(c)における前記加熱の間継続し得る。前記泡は、ステップ(c)の間又は後の任意の時間で除去してもよく、形成された前記泡の除去は繰り返してもよい。好適には、前記泡は、ステップ(c)における混合が完了した約5時間後に除去される。前記泡の除去は、前記混合物を脱気した後、又は脱気しながら実施することができる。そのような脱気は、加熱中、前記混合物を撹拌して、前記混合物からの気泡の放出を促進することを含み得る。大気圧下又は減圧下(真空)で、脱気の他の形態、例えば、超音波処理及び振動を、代替的又は付加的に使用してもよく、これもまた想定される。好適には、前記混合物を約2時間~約8時間脱気する。好適には、約2時間~約6時間。最も好適には、脱気は約3~約4時間実施する。好適には、前記脱気はステップ(c)の加熱で起こる。
【0114】
ステップ(c)における前記混合物の前記脱気により、もし前記混合物中に残っていると、前記最終組成物又はそれから形成される製品の前記透明性/半透明性を低下させる気泡の除去が可能になる。
【0115】
脱気後及び乾燥前に、前記混合物の前記濃度は、直接乾燥に好適であり得るか、又は水、若しくは他の好適な極性溶媒の添加によりこの段階で調節することができる。ステップ(c)の前記最後での前記成分の前記最終濃度は、4~8wt%の前記範囲内、好適には6wt%の海藻抽出物、0.5~3wt%の前記範囲内、好適には2wt%の水溶性セルロース誘導体、及び80wt%~95wt%の前記範囲内の水又は他の好適な極性溶媒であってよい。すべての重量パーセンテージは、ステップ(c)の前記最後での前記混合物の前記総重量に基づく。
【0116】
さらに高い粘度を有する混合物(前記型中に注ぐ前)は(乾燥すると)、粘度が高くより構造的な製品、例えば、構造的パッケージング材料をもたらし、これはこの種類のほとんどの用途に好ましい。前記調製した混合物がより低い粘度を有する場合(型中に注入する前)、前記結果として得られる(乾燥)製品、例えばパッケージング材料フィルムは、概してより薄い。
【0117】
実施形態では、前記方法は、ステップ(a)、(b)及び/又は(c)において、本明細書中の他の箇所で定義する一つ以上の添加剤を添加する前記ステップを含んでもよい。前記添加剤は、染料又は顔料であってよい。これらは、前記組成物に対して色を付与できる。他の添加剤は、上述のように塩又はグリセロールであってよい。好適には、塩又はグリセロールをステップ(c)で製造した前記混合物に添加してもよい。
【0118】
さらなる態様において、本発明は、前記定義の製品を製造する方法に関する。前記方法は、前記組成物を形成するための前記定義のステップ(a)~(d)、及びステップ(c)とステップ(d)との間に前記混合物を前記製品の形状に形成する前記ステップを含む。
【0119】
前記形成ステップは、成形又は真空成形を含み得るが、真空成形は概して前記低海藻抽出物組成物のみに好適である。好適には、成形は、キャスティング、押出成形、圧縮成形、プレス成形、射出成形、回転成形又はスリップ成形を含み得る。最も好適には前記成形はプレス成形である。
【0120】
前記成形技術は、大量生産、例えば、射出成形、プレス成形、又はキャスティングに好適であるように選択することができる。前記本発明の特定の特徴は、調製後の前記組成物が比較的流体であり、所与の製品に対して前記望ましい構造的剛直性を有する材料を形成するために冷却及び/又は乾燥を必要とすることである。任意の前述成形技術を適応させてこれに対応させることができる一方で、プレス成形及び射出成形は、前記流体組成物は前記型の前記雄部(又はマンドレル)を挿入する前に前記雌型内に堆積させることができ、それにより、前記所与の製品について前記材料の前記望ましい厚さの、制御されかつ充分に分配された壁を確実にするので、特に有益であることが判明している。
【0121】
前記材料は、概して周囲温度超で前記型に添加して、前記混合物の流動性を保持する。好適には、前記材料を前記型に約80℃~100℃、又はさらに好適には85℃~95℃で添加する。実施形態では、前記材料を前記型に約70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃又は100℃で添加する。好適には、前記材料を前記型に約90℃で添加する。70℃未満では、前記材料は凝固して、好適な成形を複雑にするか又は妨害する可能性がある。
【0122】
前記液体ヒドロゲルが冷却され凝固すると(適切な時間の後)、前記型を次いで分離することができ、前記型の前記雄又は雌部の少なくとも一方、好適には前記型の前記雄部(又はマンドレル)上に前記材料が残り、前記凝固組成物を乾燥環境に曝露し、それによって前記溶媒、好適には水の、前記凝固ゲルからの蒸発により前記組成物の乾燥を促進する。この乾燥プロセスは、典型的には、前記組成物が好適には硬質かつ自立性になり(前記乾燥プロセスにより)、離型することができ、その結果、前記最終製品が得られるまで継続する。一部の実施形態では、前記最終製品はPETプラスチック及びPLAバイオプラスチックに匹敵する外観及び特性を有する。さらに、乾燥中に前記雄型又はマンドレル上に前記凝固ゲルを保持することによって、前記最終製品の収縮を制御し、変形を防止する(図2)。
【0123】
前記材料を前記型中で少なくとも部分的に冷却する実施形態において、前記組成物を前記型中で周囲温度まで冷却する。好適には、前記組成物を約40℃より低い温度で、約0℃より高い温度まで冷却してもよい。好適には、前記組成物をおよそ又はちょうど30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃の温度まで冷却してもよい。
【0124】
実施形態では、前記本発明の前記組成物は、室温及び圧力で乾燥してもよい。実施形態では、前記組成物は、制御された大気環境中、例えば低湿度環境、すなわち湿度が前記周囲雰囲気の湿度よりも低い環境中、又は減圧下、又は紫外線(UV)光下で乾燥してもよい。好適には、前記組成物の前記乾燥手段は、水の前記沸点が低下した真空オーブン中であってよい。この方法は、前記本発明の前記組成物などの熱に弱い材料に用いられることが多い。
【0125】
乾燥をさらに推進するための熱の前記使用は、上述のものを含む他の乾燥方法に加えて、又はその代わりに適用してもよいが、前記組成物を融解させないように充分注意を払わなければならない。実施形態では、前記組成物は、60℃より低い温度で乾燥させてもよい。好適には、前記組成物は、30℃~60℃、又は30℃~50℃、最も好適には40℃の温度で乾燥させてもよい。好適には、前記組成物は、少なくとも30℃、40℃、又は50℃の温度で乾燥させてもよい。好適には、前記組成物は、最大で60℃、50℃、40℃、又は30℃の温度で乾燥させてもよい。真空オーブンなどの低下した大気圧乾燥環境中で、前記所望の加熱温度は、環境大気条件での乾燥と比較して低下させてもよい。
【0126】
他の実施形態において、又は上述の実施形態に加えて、前記乾燥ステップの間の前記組成物を含む前記型上の前記雰囲気は低い相対湿度を有していてもよい。好適には、前記組成物上の前記雰囲気の前記相対湿度は約70%以下であり得る。好適には、前記型上の前記雰囲気の前記相対湿度は50%~70%であり得る。好適には、前記型上の前記雰囲気の前記相対湿度は、約60%、55%、50%、45%、40%又はそれ以下であり得る。
【0127】
他の実施形態において、又は上述の実施形態に加えて、前記乾燥ステップ中の前記組成物を含む前記型上の前記雰囲気は、環境大気圧より低い圧力であってよい。好適には、前記乾燥ステップ中の前記型上の前記雰囲気の前記圧力は、7~14psiであってよい。好適には、前記圧力は最大で14psi、13psi、12psi、11psi、10psi、9psi、8psi、7psi又はそれ以下である。好適には、前記圧力は少なくとも1psi、2psi、3psi、4psi、5psi、6psi、7psi又はそれ以上である。
【0128】
乾燥は、例えば、室温にて、除湿器(最大60℃)及び/又は真空オーブン(最大60℃)中であり得る。
【0129】
図3に最も良く示されるように、実施形態において、製品は好適な厚さの前記組成物のシートから再処理することができる。前記再処理は、例えば、上記ステップ(c)から誘導される前記混合物を平坦表面上に注ぐか又は堆積させることによって前記本発明の前記組成物のシートをまず形成、次いで冷却し、次いでプレス成形の前記関連で上述した前記方法と同様に前記組成物を乾燥することを含み得る。実施形態において、前記シートを前記平坦表面に、好適には好適な重り、例えば、プレートにより固定して、乾燥中の収縮又は変形を防止する。前記組成物で形成された前記シートを次いで、例えば、熱湯(80℃超)中に適切な長さの時間、例えば5秒間入れることにより、水の前記存在下で蒸気処理及び/又は加熱し、次いで所望の形状に再処理してもよい。好適には、再処理は、好適な成形具の前記輪郭に前記シートを巻き付け、次いで保持するプロセスによるものであってよい。前記組成物が前記製品を形成するために充分冷却及び/又は乾燥されたら、前記成形具を除去してもよい。再処理は、好適な成形具上に確実に引っ張られるように、前記シートに真空を適用することによる真空成形を用いて実施することができる。再加工のために、前記シートは、再加工前に、0.01mm~5mm、さらに詳細には0.01mm~1mm、なお一層詳細には0.05mm~0.5mmの好適な厚さ(すなわち、その最短寸法で)を有していてもよい。
【0130】
さらなる態様において、前記発明はまた、上述した前記本発明の前記先の態様の前記組成物又は製品を溶解、分解、生分解、又は他の方法で安全に分解する方法にも関する。天然及び人工の両方の様々な環境、例えば、工業的堆肥化施設で、急速(4~6か月未満)で充分に生分解する前記材料の能力と共に、水中に前記組成物を溶解させる前記オプションは、廃棄物流れの前記管理の点で重要であり得る。これは、前記高海藻組成物よりも高い水溶解度を有する低海藻組成物について特に関連性がある。
【0131】
具体的には、前記組成物が水中に容易に溶解する前記能力は、前記消費者によってリサイクル用回収箱に誤って廃棄された場合(前記組成物は廃棄物流れを堆肥化することを意図する)、リサイクル可能なプラスチックを液体中に浸漬し、洗浄した後、処理する前記ポイントでのその分離を支援することによって、前記製品-組成物がプラスチックリサイクル廃棄物流れを汚染するのを防止するのを支援するのに有利であり得る。
【0132】
前記組成物、又はそれから誘導される製品の前記低海藻抽出物実施形態において、前記組成物又は製品を溶解させる前記方法は、前記組成物又は製品を液体水と40℃以下、さらに詳細には30℃以下、なお一層詳細には25℃以下の温度で接触させる前記ステップを含む。前記方法のこの実施形態において、前記組成物は、前記海藻抽出物を1~10重量%、さらに詳細には2~5重量%の量で含み得る。特に、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を70~95重量%、さらに詳細には80~95重量%の量で含み得る。さらに詳細には、前記組成物は、2~20重量%の水、なお一層詳細には4~15重量%の水を含み得る。好適には、前記組成物を、連続して撹拌して溶解させながら、前記液体水と30℃の温度で15~30分接触させる。
【0133】
前記組成物、又はそれから誘導される製品の前記高海藻抽出物実施形態において、前記組成物又は製品を溶解する前記方法は、前記組成物又は製品を液体水と、少なくとも50℃、さらに詳細には少なくとも70℃、なお一層詳細には少なくとも85℃の温度で接触させる前記ステップを含む。この方法では、前記組成物は、前記海藻抽出物を、40~90重量%、さらに詳細には60~90重量%の量で含み得る。特に、前記組成物は、前記水溶性セルロース誘導体を5~50重量%、さらに詳細には10~40重量%の量で含み得る。さらに詳細には、前記組成物は、1~20重量%の水、なお一層詳細には2~15重量%の水を含み得る。好適には、前記組成物を前記水と90℃の温度で、連続して撹拌して溶解させながら、30分~1時間接触させる。
【0134】
前記本発明の前記組成物、又はそれから誘導される製品を溶解して、無害の食品に使っても安全な水溶性成分にする前記能力は、簡単かつ信頼性のある廃棄物処理流れを提供するという前記利点を有する。前記組成物及び又は製品は前記環境で充分かつ迅速に生分解するので、このことは必要である。前記上記方法は、適切な管理された廃棄物流れにより廃棄される場合に前記組成物又は製品の容易な廃棄の手段を提供する。その温度に依存する前記組成物を水中に溶解させる前記能力により、前記環境、その意図する時間スケール及び当該使用の想定される廃棄物流れに応じて、所与の使用のための特定の組成物の選択が可能になる。
【実施例
【0135】
〔実施例1〕前記本発明による組成物の前記調製のための具体的な方法
粉末形態のカラギーナンκ(32.5g)を510gの水(20℃)に添加した後、5分間混合した。前記結果として得られるペーストを、湯浴(80℃)中に入れることによって80℃まで温めた。前記混合物の温度が上昇し80℃に達すると、液体ゲル(ヒドロゲル)になった。前記混合物を80℃で1時間保持した。
【0136】
別の容器中で、メチルセルロース(MC、6.5g)を40gの熱湯(80℃)に添加した後、短時間(約10秒)混合して、液体ゲルを形成した。
【0137】
前記熱MCゲルを次いで前記熱カラギーナンκゲルに添加した。塩化カリウム(1.3g)を次いで前記組み合わせた混合物に添加した後、20分間撹拌した。前記調製した混合物を前記湯浴(80℃)中に7時間放置した。7時間後、前記混合物は液体ゲルの前記外観を有し、前記混合物の前記表面上に泡が蓄積していた。前記泡を集め、前記ヒドロゲル混合物から除去した。
【0138】
80℃の前記調製した溶液を雌型に注ぐことによってパッケージング容器を製造した。雄型を次いで前記雌型(すなわち、プレス成形)中に押し込み、前記溶液を25℃まで冷却させると、前記ヒドロゲルは凝固した。前記型を次いで分離し、前記型の前記雄部に付着した前記凝固ゲルを次いで完全に乾燥するまで(約8時間)、周囲圧力及び湿度にて60℃で乾燥させた。前記最終組成物は乾燥した半透明の仕上がりを有していた。
【0139】
前記結果として得られるパッケージングは、71.3%のカラギーナンκ、10%の水、14.3%のメチルセルロース及び3%の塩化カリウム(前記組成物の前記総重量に基づく、重量基準の含有量)を含んでいた。
【0140】
前記相対的重量パーセンテージは、成形前の前記凝固したゲルの前記重量及び前記製品の前記最終重量の比較により決定される含水量に基づいて算出した。前記調製による前記MC、CK及び塩化カリウムの材料質量の損失、又は乾燥前の調製中の水の損失はなかったと推定される。
【0141】
前記結果として得られるパッケージングは充分生分解性であり、食べられ、80℃以上の熱湯中に溶解した。
【0142】
〔実施例2〕前記本発明による組成物の前記調製のための具体的方法
粉末形態のカラギーナンκ(21.6g)を340gの水(10℃)に添加した後、15秒間混合した。前記結果として得られたペーストを、湯浴(90℃)中に1時間入れることによって90℃まで温めた。前記溶液は粘度が増加し、液体ゲルになった。
【0143】
別の容器中で、メチルセルロース(MC、4g)を22gの熱湯(90℃)に添加し、短時間(約5秒)混合して、液体ゲルを形成した。
【0144】
前記熱MCゲルを次いで前記熱カラギーナンκゲルに添加した。前記混合物を15分間撹拌し、次いで前記湯浴(90℃)中で4時間放置した。4時間後、前記混合物は、液体ゲルの前記外観を有し、泡が前記混合物の前記表面上に蓄積した。前記泡を集め、前記ヒドロゲル混合物から除去した。
【0145】
前記調製した溶液を90℃で雌型中に注ぐことによってパッケージング容器を製造した。雄型を次いで前記雌型中に押し込み(すなわち、プレス成形)、前記溶液を30℃まで冷却させ、すると前記材料が凝固した。前記型を次いで分離し、前記雄型に依然として付着した、前記凝固したゲル溶液を次いで放置して、50℃で周囲圧力及び湿度で10時間乾燥させた。前記乾燥した材料は、乾燥した半透明の仕上がりを有していた。
【0146】
前記結果として得られるパッケージングは、80%のカラギーナンκ、5%の水及び15%のメチルセルロースを含んでいた(前記組成物の前記総重量に基づく、重量基準の含有量)。
【0147】
前記相対的重量パーセンテージは、成形の前の前記凝固したゲルの前記重量及び前記製品の前記最終重量の比較により決定される含水量に基づいて算出した。前記調製による前記MC及びCKの材料質量の損失、又は乾燥前の調製中に水の損失が無かったと推測される。
【0148】
前記結果として得られるパッケージングは、充分生分解性であり、食べられ、また100℃の熱湯中に1時間かけて溶解した。
【0149】
〔実施例3〕前記本発明による組成物の前記調製のための具体的方法
粉末形態のメチルセルロース(MC、30g)を100mlの熱湯(80℃)に添加し、短時間(約15秒)混合して、液体ゲルが形成した。前記結果として得られる溶液を湯浴(80℃)に入れた。
【0150】
別の容器中で、粉末形態のカラギーナンκ(2g)を25gの冷水(20℃)に添加した後、15秒間混合した。前記結果として得られるペーストを次いで水浴中で80℃まで加熱し、次いで前記MCゲルに添加した。前記結果として得られる混合物を15分間充分に混合し、前記湯浴中80℃で4時間放置し、その後、液体ゲル(ヒドロゲル)を形成した。前記加熱プロセス中に生じる前記泡及び気泡を前記混合物の前記表面から除去した。
【0151】
前記調製した溶液を80℃で雌型中に注ぐことによってパッケージング容器を製造した。雄型を次いで前記雌型中に押し込み(すなわち、プレス成形)、前記溶液を10℃まで冷却させると凝固した。前記雌型を分離し、前記雄型に付着した前記凝固したゲル溶液を次いで放置して50℃にて10時間乾燥した。前記乾燥した材料は、半透明PLA様の乾燥かつ透明な仕上がりを有していた。
【0152】
前記結果として得られるパッケージングは、84%のメチルセルロース、10%の水及び5.6%のカラギーナンκ(前記組成物の前記総重量に基づく重量基準の含有量)を含んでいた。
【0153】
前記相対的重量パーセンテージは、成形前の前記凝固したゲルの前記重量及び前記製品の前記最終重量の比較によって決定された含水量に基づいて算出した。前記調製による前記MC及びCKの材料質量の損失、又は調製中で乾燥前の水の損失はなかったと推測される。
【0154】
前記結果として得られるパッケージングは充分生分解性で、食べられ、また連続して混合しながら冷水中30℃で1時間にわたって溶解した。
【0155】
〔実施例4〕前記本発明による組成物の前記調製のための具体的方法
粉末形態のメチルセルロース(MC、35g)を100mlの熱湯(90℃)に添加し、短時間(約5秒)混合した。前記結果として得られるゲルを湯浴(90℃)に入れた。
【0156】
別の容器中で、粉末形態のカラギーナンκ(1グラム)を25mlの冷水(10℃)に添加し、短時間(約10秒)混合した。前記結果として得られるペーストを水浴中90℃まで加熱し、次いで前記MC溶液に添加した。塩化カリウム(1g)を次いで前記溶液に添加した。前記結果として得られる混合物を10分間充分に混合し、そして前記湯浴中で90℃にて4時間放置し、その後、液体ゲル(ヒドロゲル)が形成した。
【0157】
前記調製したヒドロゲルを90℃で雌型中に注ぐことによってパッケージング容器を製造した。雄型を次いで前記雌型中に押し込み(すなわち、プレス成形)、前記溶液を10℃に冷却して凝固させた。前記型を分離し、前記雄型に付着した前記凝固したゲル溶液を次いで室温で2日間乾燥させた。前記乾燥材料は、半透明PET様の乾燥した透明な仕上がりを有していた。
【0158】
前記結果として得られる組成物は充分生分解性であり、食べられ、連続して混合しながら、冷水中、30℃で30分にわたって溶解した。
【0159】
前記結果として得られるパッケージングは、85%のメチルセルロース、10%の水、2.5%のカラギーナンκ及び2.5%の塩化カリウム(前記組成物の前記総重量に基づく、重量基準の含有量)を含んでいた。
【0160】
前記相対的重量パーセンテージは、成形前の前記凝固ゲルの前記重量と乾燥後の前記製品の前記最終重量との比較によって決定される含水量に基づいて算出した。前記調製による前記MC、CK及び塩化カリウムの材料質量の損失、又は乾燥前の調製中の水の損失はなかったと推測される。
【0161】
〔実施例5〕前記本発明による組成物の前記調製の一般的方法
粉末形態のカラギーナンκ(32.4グラム)を510gの水(25℃)に添加した。前記結果として得られるゲルをダブルボイラーに装填し、90℃~100℃で2時間加熱した。
【0162】
別の容器中で、メチルセルロース(MC、4g)を22.2mlの熱湯(95℃)に添加し、短時間(約10秒)撹拌した。前記結果として得られるゲルを次いで前記ダブルボイラー中の前記CKヒドロゲルに添加し、15分間混合した。前記加熱を6時間続け、その間に前記混合物は加熱の前記作用によって徐々に脱気された。前記形成された泡を除去した後、前記混合物は成形の準備が整った。
【0163】
前記組成物の前記およその最終配合物は、5.7wt%カラギーナンκ、0.6wt%メチルセルロース及び93.7wt%水(前記組成物の前記総重量に基づく、重量基準の含有量)であった。
【0164】
前記型を完全に組み立てる前にプレス(雌)型に前記熱材料を投入することによってパッケージング容器を製造した。前記型中の前記混合物を次いで周囲温度まで15~20分かけて冷却させた。前記型の前記雌部を除去して、乾燥のために前記型の前記雄部上の前記材料を露出される前に。図2に示すように、乾燥に際して過度の収縮を防止し、その形状を保持するために、前記材料は前記製品の前記型上に残っていなければならない。
【0165】
前記製品の乾燥を2段階にわたって実施した。段階1は、前記周囲雰囲気中、60℃で8~12時間乾燥した。段階1に続く段階2で、前記製品を50℃にて最大6時間乾燥した。前記製品は乾燥の間中前記型の前記雄部上に残存していた。
【0166】
前記製品を次いでトリミングし、前記型の前記雄部から取り出した後、エタノールで洗浄して、前記最終コップを提供した。
【0167】
前記結果として得られるパッケージングは、80%のカラギーナンκ、10%のメチルセルロース及び10%の水(前記組成物の前記総重量に基づく、重量基準の含有量)を含んでいた。
【0168】
前記相対的重量パーセンテージは、成形前の前記凝固ゲルの前記重量と前記製品の前記最終重量との比較によって決定される含水量に基づいて算出した。前記調製による前記MC、CK及び塩化カリウムの材料質量の損失、又は乾燥前の調製中の水の損失はなかったと推測される。
【0169】
〔実施例6〕例示組成物の調製
前記本発明による組成物2~10及び12~13を、実施例5の前記一般的方法に従い、必要に応じて、成分の前記割合を置換及び/又は適合させて、調製した。
【0170】
前記発明によらない比較組成物1及び11も、実施例5の前記一般的方法に従い、必要に応じて成分の前記割合を置換及び/又は適合させて、調製した。
【0171】
組成物1~13のまとめを表1に提示する:
【0172】
【表1】
【0173】
〔実施例7〕組成物の視覚的外観
実施例6の前記例示組成物の前記視覚的外観は、前記以下の方法を使用して試験した。
【0174】
露出計(Urceri MT-912)をライトボックス(Heorryn 40/40/40cm)内に入れた。前記露出計の前記センサを、0.3mmの標準的厚さで各組成物の材料サンプルで全体的に覆った後、光を読み取り、各サンプルについてluxで記録した。
【0175】
前記結果を表2及び図14に示す
【0176】
【表2】
【0177】
前記組成物1~13の各々は、ある程度の光透過率を許容した、すなわち、半透明であった。前記海藻抽出物であるカラギーナンκを含む組成物1~11は高レベルの光透過率を有していた。
【0178】
カラギーナンκ及びメチルセルロースを含む組成物2~10は低い色素沈着レベルを有していた。カラギーナンκ単独を含む組成物1、及び同じ量のメチルセルロース及び前記海藻抽出物である寒天又はカラギーナンιを含む組成物11(MCの量が増大している)12~13は中程度又は高い色素沈着レベルを有していた。
【0179】
組成物1~10は、平滑で均一な均質性を有する一方で、等量のメチルセルロースとカラギーナンκとを含む組成物11及び前記海藻抽出物である寒天又はカラギーナンιと少量のMCとを含む組成物12及び13は、粗いか又はフレーク状で多様な均質性を有していた。
【0180】
前記上記事項から、前記組成物の前記視覚的外観が、前記本発明による相対的割合でカラギーナンκ及びメチルセルロースを含む組成物にとって最良であったことは明らかである。
【0181】
図14は、組成物4(B)の前記色素沈着が、組成物11(C)、組成物1(A)及び組成物12(D)の順で有意に少ないことを明らかに示す。
【0182】
〔実施例8〕厚さに伴う視覚的外観の変動
前記組成物の厚さに伴う視覚的外観の前記変動を前記以下の方法に従って組成物4(実施例6)について測定した。
【0183】
露出計(Urceri MT-912)をライトボックス(Heorryn 40/40/40cm)内に入れた。前記露出計の前記センサを各厚さの材料サンプルで全体的に覆った後、光を読み取り、各サンプルについてluxで記録した。
【0184】
前記結果を表3に提示する。
【0185】
【表3】
【0186】
予想されるように、前記光透過率は、厚さの増加に伴い均一に減少する。さらに、色素沈着及び透明性は厚さの増加と共に減少する。それでも、0.5mmの前記最大厚さでさえも、組成物4の前記材料は、PETなどの石油系の透明プラスチック、又はPLAなどのバイオプラスチックと類似した例外的な視覚的外観を提供する。
【0187】
〔実施例9〕吸水
実施例6の前記例示組成物の前記吸水特性は前記以下の方法を使用して試験した。
【0188】
各組成物の材料サンプルを5mm/90mm/0.3mmの均一な寸法で調製して、各々約0.3gの重量のストリップを形成した。各ストリップを秤量(Pocket Scale、Model:PS-200B)した後、室温の250mlの水道水のビーカー中に24時間完全に沈めた。各ストリップを次にビーカーから取り出し、各ストリップ上の残留する表面水を除去した。各ストリップの前記重量を次いで記録し、重量の前記変化パーセンテージを算出した。
【0189】
前記結果を表4に示す。
【0190】
【表4】
【0191】
組成物1~11の各々は、高レベルの吸水を示す。前記結果は、前記海藻抽出物がカラギーナンκである場合、海藻含有量の増加と共により良好な吸水の一般的傾向を示す。前記海藻抽出物である寒天及びカラギーナンιをそれぞれ含む組成物12及び13は、カラギーナンκを含む組成物よりも低い程度の吸水を示した。
【0192】
吸水は改善された生分解性及び増大した保存可能期間と関連するので、生分解性及び増大した保存可能期間性能は組成物1から組成物13まで減少することが予想される。
【0193】
〔実施例10〕成形性
実施例6の前記例示組成物を成形する前記能力を、前記以下の方法を用いて試験した。
【0194】
組成物は、雄及び雌成分を含むプレス型中で形成した。前記型の一部を除去すると、ゲル状態の各組成物の前記接着特性を乾燥前に観察することができた。どのように異なる組成物が前記型により少なく又はより多く接着するかを記録した。
【0195】
前記結果を表5及び図15に示す。
【0196】
【表5】
【0197】
前記型に付着する組成物のために、前記型を均一に充填することが困難になる。さらに、前記型の一部が除去され、前記材料に付着すると、成形製品は損傷を受ける傾向がある。
【0198】
カラギーナンκを含む組成物1~11はすべて許容可能な成形性を示したが、前記型への接着性は、より高いMC組成物で、特に組成物11で顕著であった。
【0199】
寒天及びカラギーナンιを含む組成物12及び13は、それぞれ、前記同じ量のメチルセルロース混合物を含む前記カラギーナンκ組成物よりも低い粘度を有し、その結果、それらは前記型が乾燥のために除去される前に固体ゲルを形成するのにより長い時間が必要であった。組成物13(カラギーナンι)は、固体ゲルを形成することができず、前記表面は、非常に粘着性であり、前記型に対して高い接着性を有していた。組成物12(寒天)は、固体ゲルを形成したが、前記表面は乾燥中に割れた。
【0200】
図15は、(A)組成物4(カラギーナンκ);(B)組成物12(カラギーナンι);及び(C)組成物13(寒天)から形成されたコップを示す。すべての組成物を成形して硬質かつ耐荷重性の構造を形成することができることは明らかである。カラギーナンκ(A)から形成された前記コップは、乾燥すると割れを示す寒天(B)、又は凝固すると不安定性を示し、上端部のしわにつながるカラギーナンι(C)から形成された前記コップよりも、明らかに成形不良が少ない。
【0201】
〔実施例11〕組成物の破壊強度
実施例6の前記例示組成物の前記破壊強度は、前記以下の方法を使用して試験した。
各組成物の材料サンプルを5mm/90mm/0.3mmの一様な寸法で調製して、ストリップを形成した。それらの短辺で、ストリップは、クランプされる場合、両端を覆い、一方のクランプは固定されて動かず、前記他方のクランプは可変重りに取り付けられているので、前記ストリップに張力がかかる。この設定を使用し、次に各ストリップに対する前記引張応力を徐々に増加させることによって、破断するまでに各ストリップが耐えた負荷を記録した。
【0202】
前記結果を表6に示す。
【0203】
【表6】
【0204】
前記結果から、全ての組成物(1~13)が良好な破壊強度を示したことが分かる。カラギーナンκを含む組成物1~11は、寒天(組成物12)又はカラギーナンι(組成物13)を含む組成物よりも良好な破壊強度を示すようであった。
【0205】
破壊強度は、材料の前記引張強度のための代替的測定値であり、したがって、硬質であり、良好な耐荷重特性を有する薄肉製品に組成物が形成される前記能力の尺度を提供する。
【0206】
〔実施例12〕前記組成物の再処理
実施例6の前記調製した液体組成物を好適な浅い平皿中に注ぎ、実施例6の前記製品と同様の方法で乾燥することによって、前記本発明の前記組成物のシートを形成することができる。シート製品の場合、前記冷却組成物は、前記表面に固定する必要があり、例えば、その上方の重りをつけたプレートによってシートを表面上に置いて、変形及び/又は収縮を防止する。
【0207】
図3で最もよく示されるように、シート形態である場合、前記組成物は、乾燥後に再処理して、製品を形成することができる。特に、前記乾燥組成物は、熱、湿度及び/又は圧力に曝露されると可鍛性になり、成形及び/あるいはそれ自体又は好適な成形具若しくは治具に接着することができる。前記熱、湿度及び/又は圧力を除去したら、前記形成された、前記製品を前記成形具又は治具から取り外すことができる。
【0208】
〔実施例13〕前記組成物の生分解の例
図4~6及び13に示すように、前記本発明の前記組成物は様々な環境条件で急速に生分解する。前記生分解プロセスは、家庭用堆肥中2か月後(図4)、海水中に浸漬して4週間(図5)、前記戸外にて4週間(図6)で充分に進行する。図13に示すように、嫌気性条件での分解は、一部の微生物が前記材料に対して作用する前記能力低下のためにはるかに少ないが、明白な生物活性が見られ、前記組成物を分解するようである。
【0209】
〔実施例14〕保存可能期間の延長
図10~12に示すように、前記本発明の前記組成物で作られたパッケージング又は構造用材料保持ユニット(SKU)中に貯蔵された腐りやすい食品は、保存可能期間の有意な延長を示す。
【0210】
図10は、冷蔵されていない周囲条件で、石油由来のPETで形成されたパッケージング材料(上段)と比較した、前記本発明の前記組成物で形成されたパッケージング材料(下段)中での柔らかい果物(イチゴ)の前記貯蔵の、1~2日後(A列)、3日後(B列)及び4日後(C列)の比較例を示す。3日後の前記PETパッケージングの前記内壁上には結露があり、これは4日まで増加することは明白である。前記本発明において形成された前記パッケージング上には明らかな結露はない。結露は、細菌及び真菌の増殖を促進する高湿度を意味するので、前記本発明のパッケージングが前記本発明の前記組成物の高い水吸収速度のために、その中に含まれる前記食品上での細菌又は真菌の増殖速度の低下につながることが示唆される。
【0211】
図11は、冷蔵されていない周囲条件で、石油由来のPETで形成されたパッケージング材料(左の縦列)と比較した、前記本発明において形成されたパッケージング材料(右の縦列)中での柔らかい果物(ラズベリー)の前記貯蔵の、1日後(A段)、2日後(B段);3日後(C段);4日後(D段);5日後(E段);及び6日後(F段)の比較例を示す。前記PETコップ中の前記ラズベリーは、前記第三日でカビが生え始めるのに対して、前記本発明の前記組成物で形成された前記コップ中のラズベリーは、第6日までカビがなく、保存可能期間の100%の増加をもたらすことは明白である。
【0212】
図12は、前記本発明の前記組成物で作られたパウチ中にヒートシールされたチェダーチーズのスライスを示す。前記上の図は、シーリング直後の前記チーズを示し、前記下の写真は、冷蔵されていない周囲条件中、室温(約20~25℃)で1.5年間貯蔵した後の前記同じチーズを示す。この期間後に前記チーズの劣化の兆候は見られない。
【0213】
前記発明の特定の実施形態を本明細書中で詳細に開示してきたが、これは一例として、説明の前記目的のみのために開示したものである。前記上述した実施形態は、前記発明の前記範囲に関して限定的であることを意図しない。前記発明者は、前記発明の前記範囲から逸脱することなく前記発明に対して様々な置換、変更、及び修正を行うことができることを企図する。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C